(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】粒状物凍結装置
(51)【国際特許分類】
F25D 13/06 20060101AFI20240711BHJP
F26B 3/08 20060101ALI20240711BHJP
A23L 3/36 20060101ALN20240711BHJP
A23B 7/04 20060101ALN20240711BHJP
A23B 9/10 20060101ALN20240711BHJP
【FI】
F25D13/06
F26B3/08
A23L3/36 A
A23B7/04
A23B9/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539259
(86)(22)【出願日】2022-06-03
(85)【翻訳文提出日】2023-06-27
(86)【国際出願番号】 JP2022022658
(87)【国際公開番号】W WO2023233660
(87)【国際公開日】2023-12-07
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】石田 潤
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 猛晋
(72)【発明者】
【氏名】岩下 洸
(72)【発明者】
【氏名】ブランコ パンサー
【テーマコード(参考)】
3L045
3L113
4B022
4B169
【Fターム(参考)】
3L045AA04
3L045BA03
3L045DA05
3L045DA06
3L045KA03
3L045PA04
3L113AB03
3L113AC21
3L113AC36
3L113AC67
3L113BA02
3L113CB13
3L113CB22
3L113DA07
4B022LA05
4B022LF01
4B022LN03
4B022LP01
4B022LT01
4B169CA04
4B169HA01
4B169HA11
(57)【要約】
粒状物凍結装置は、ベルトと、噴射板とを備える。ベルトは、粒状物の搬送を補助するように構成され、通気性を有する。噴射板は、冷却ガスを下からベルトに噴射するように構成された複数の噴射孔が設けられる。さらに、ベルトは、噴射板の上面に対してベルトの走行方向に摺接しながら進むように構成される摺接部を含む。これにより、冷却ガスの流れを安定化させた粒状物凍結装置が実現する。
【選択図】
図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状物の搬送を補助するように構成された通気性を有するベルトと、
冷却ガスを下から前記ベルトに噴射するように構成された複数の噴射孔が設けられる噴射板と、
を備え、
前記ベルトは、前記噴射板の上面に対して前記ベルトの走行方向に摺接しながら進むように構成される摺接部を含む
粒状物凍結装置。
【請求項2】
前記摺接部は、前記ベルトの幅方向と平行に延在する
請求項1に記載の粒状物凍結装置。
【請求項3】
前記ベルトは、前記粒状物の搬送経路を規定する搬送部をさらに含み、
前記摺接部は、前記搬送部のうち前記搬送経路とは反対側に位置する
請求項1または2に記載の粒状物凍結装置。
【請求項4】
前記ベルトは、前記噴射板を取り囲むように無端状に形成される走行部をさらに含み、
前記摺接部は、前記走行部のうち搬送面とは反対側に向かって突出する突起である
請求項1乃至3の何れか1項に記載の粒状物凍結装置。
【請求項5】
前記ベルトは、前記走行方向に配置されると共に、前記ベルトの幅方向に延在するロッドを介して互いに連結される複数のプレートを有し、前記噴射板を囲むように形成される無端状の走行部を備え、
各々の前記プレートは、前記ロッドが差し込まれる孔が設けられた突起を有し、
前記摺接部は、複数の前記突起の少なくとも一つを含む
請求項1乃至4の何れか1項に記載の粒状物凍結装置。
【請求項6】
前記ベルトは、
幅方向の両端部にそれぞれ配置された無端状の一対のチェーンと、
前記一対のチェーンのそれぞれに連結され、前記走行方向に間隔を空けて配置される複数のロッドと
をさらに含み、
前記摺接部は、前記複数のロッドの少なくとも一つを含む
請求項1乃至5の何れか1項に記載の粒状物凍結装置。
【請求項7】
前記ロッドは、前記ベルトの幅方向において最も一方側にある前記噴射孔から最も他方側にある前記噴射孔までの範囲において少なくとも連続的に延在する
請求項6に記載の粒状物凍結装置。
【請求項8】
前記摺接部は、前記複数のロッドによって支持されるネットを含む
請求項6または7に記載の粒状物凍結装置。
【請求項9】
前記ベルトは、前記噴射板を取り囲むように無端状に形成される走行部をさらに含み、
前記摺接部は、前記走行部のうち搬送面とは反対側に位置し、前記噴射板の前記上面に対して面接触する裏面を含む
請求項1乃至3の何れか1項に記載の粒状物凍結装置。
【請求項10】
前記摺接部は、樹脂材料によって形成される
請求項1乃至9の何れか1項に記載の粒状物凍結装置。
【請求項11】
前記摺接部は、金属材料によって形成される
請求項1乃至9の何れか1項に記載の粒状物凍結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、粒状物凍結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粒状物を凍結するための粒状物凍結装置が従来から知られている。例えば、特許文献1によって開示される粒状物凍結装置は、粒状物を搬送するためのコンベアベルトの下で間隔を空け並べられる複数の多孔性のプレートを備える。プレートの真上を通過する粒状物の流動は抑制され、いずれか2つのプレートの間にある隙間の真上を通過する粒状物の流動は促進される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記粒状物凍結装置では、粒状物に含まれていた液汁がコンベアベルトからプレートに落下する場合がある。この液汁が例えば凍結などすると、プレートに形成される孔で目詰まりが発生し、冷却ガスの流れが不安定になるおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、冷却ガスの流れを安定化させた粒状物凍結装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の少なくとも一実施形態に係る粒状物凍結装置は、
粒状物の搬送を補助するように構成された通気性を有するベルトと、
冷却ガスを下から前記ベルトに噴射するように構成された複数の噴射孔が設けられる噴射板と、
を備え、
前記ベルトは、前記噴射板の上面に対して前記ベルトの走行方向に摺接しながら進むように構成される摺接部を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、冷却ガスの流れを安定化させた粒状物凍結装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態に係る凍結装置の概念的な断面図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る凍結装置の別の概念的な断面図である。
【
図3A】本開示の一実施形態に係る噴射板の概念的な説明図である。
【
図3B】本開示の一実施形態に係る別の噴射板の概念的な説明図である。
【
図3C】本開示の一実施形態に係るさらに別の噴射板の概念的な説明図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る搬送方向視における噴射板とベルトの概念的な説明図である。
【
図5A】第1の実施形態に係るベルトの概念的な説明図である。
【
図5B】第2の実施形態に係るベルトの概念的な説明図である。
【
図5C】第3の実施形態に係るベルトの概念的な説明図である。
【
図6】第1の実施形態に係るベルトの概念的な斜視図である。
【
図7】第2の実施形態に係るベルトの概念的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
なお、同様の構成については同じ符号を付し説明を省略することがある。
【0010】
<1.粒状物凍結装置1の概要>
図1、
図2を参照し、本開示の一実施形態に係る粒状物凍結装置1(以下、「凍結装置1」ともいう)の概要を例示する。両図は本開示の一実施形態に係る凍結装置1の概念的な断面図である。
凍結装置1は、食用の粒状物5を凍結するように構成される。食用の粒状物5(以下、「粒状物5」ともいう)は例えば粒状の果物、ダイス状またはスライス状の果物である。粒状の果物は、ラズベリー、ブルーベリー、イチゴ、ブドウ、またはサクランボなどである。他の例として粒状物5は、穀物、豆類、丸ごとの野菜、スライス状もしくはダイス状の野菜、パスタ、米、または、ダイス状の肉などであってもよい。以下では、粒状物5が粒状の果物である例を説明する。
本実施形態の凍結装置1では、粒状物5を個別に凍結するための手法としてIQF(IQF:Individual Quick Freeze)が一例として採用される。
【0011】
図1で例示されるように、本開示の一実施形態に係る凍結装置1は、主に断熱材料によって形成されるケース9を備える。ケース9の内側には、例えば空気などの冷却ガスの循環路8が形成される。循環路8には上流側から順に、冷却ガスを送るための送風機4、粒状物5を搬送するための搬送装置7、及び冷却ガスを冷却するための冷却器6が設けられる。変速可能なファンなどを一例として備えてもよい送風機4が駆動すると、冷却ガスは、搬送装置7によって搬送される粒状物5に下から吹き当たって冷却する。粒状物5を冷却することで昇温した冷却ガスは、冷却器6によって冷却されて送風機4に戻る。冷却器6は、別の場所を循環する冷媒が冷却ガスと熱交換を行うことで蒸発するように構成された熱交換器である。冷媒の蒸発によって冷却ガスは冷却される。
【0012】
なお、他の実施形態では、ケース9の内部で冷却ガスが循環する代わりに、ケース9の内部において冷却ガスが順次供給される構成が採用されてもよい。この場合、凍結装置1は冷却器6を備えなくてもよく、ケース9は、例えば沸点が0℃未満となる冷却ガスが液化した状態で貯留するタンクと配管を介して接続されてもよい。この場合の冷却ガスは、例えば窒素ガスなどである。
【0013】
図2で例示されるように、上述の搬送装置7は、ケース9の内部に投入されて比較的間もない粒状物5を補助的に搬送するための搬送ユニット80、及び、搬送ユニット80から受け取った粒状物5をさらに下流へ補助的に搬送するための下流搬送ユニット70を備える。粒状物5は、流動化と搬送ユニット80とによる搬送の間にその表面部が凍結され、下流搬送ユニット70によって補助的に搬送される間にその内部が凍結される。
【0014】
本実施形態では、搬送ユニット80による粒状物5の搬送方向(矢印F1)と、下流搬送ユニット70による粒状物5の搬送方向(矢印F7)は、いずれも水平方向と平行な同一方向である。また本実施形態では、複数の冷却器6と複数の送風機4がそれぞれ、搬送ユニット80の搬送方向に沿って配置される。
【0015】
搬送ユニット80のより具体的な概要を例示する。搬送ユニット80は、複数のスプロケットに掛け渡されたベルト10、ベルト10を駆動するための駆動部(図示外)、及び噴射板30を備える。粒状物5の搬送を補助するように構成されるベルト10は通気性を有する。ベルト10の通気性は、ベルト10に複数の通気口49(例えば
図5A参照)が設けられることで実現する。
【0016】
本実施形態の駆動部はモータであり、ケース9の外部または内部のいずれに配置されてもよい。駆動部がケース9の外部に配置される実施形態では、ケース9に設けられた第1のベルト通過孔(図示外)をベルト10が通過するように構成される。この場合、ベルト10のうちで水平に延在する上端部である搬送部15は、ケース9の外側にて粒状物5を受け取ってケース9の内部に搬送する。駆動部がケース9の内部に配置される他の実施形態では、ケース9の内部に投入された粒状物5を搬送部15が受け取って下流に搬送する。本実施形態では、搬送部15の走行方向が、上述の搬送ユニット80による粒状物5の搬送方向(矢印F1)と一致する。
【0017】
噴射板30は搬送部15の下に位置する。噴射板30は、送風機4から送られる冷却ガスを搬送部15に向けて噴射するように構成された複数の噴射孔35を含む。噴射孔35によって噴射される冷却ガスが、通気性を有するベルト10を通過して粒状物5に吹き当たることで、粒状物5は流動する。
流動する粒状物5は、分散した状態で搬送されるため、複数の粒状物5のそれぞれの液状の表面が互いに接触した状態で凍結するのを抑制できる。これにより、複数の粒状物5が塊になって凍結する凝集凍結を抑制できる。噴射板30の構成の詳細は後述する。
なお、粒状物5の流動は、搬送部15における転動、搬送部15に載置されている別の1または複数の粒状物5のそれぞれの上部における転動、搬送部15からの異なった強度の浮き上がり、またはこれらの組み合わせなどを含む概念である。
【0018】
下流搬送ユニット70のより具体的な概要を例示する。下流搬送ユニット70は、複数のスプロケットに掛け渡された下流ベルト72、下流ベルト72を駆動するための下流駆動部(図示外)、及び粒状物5の搬送方向に沿って配置される複数のレール77を備える。
【0019】
下流ベルト72はベルト10の搬送部15よりも下に配置される。下流ベルト72は、ベルト10と同様、通気性を有する。送風機4から送られる冷却ガスは、下流ベルト72を下から上に通過して、粒状物5に吹き当たる。本実施形態では、噴射板30が、下流ベルト72のうちで水平延在する上端部である下流搬送部76の下には設けられていない。従って、下流搬送部76によって搬送される粒状物5は、噴射板30の上側を通過する時ほどには浮き上がらない。しかし、搬送部15による搬送を終えた時点で粒状物5の表面の凍結は少なくともある程度は終了している。故に、下流搬送部76によって搬送される粒状物5は上述の凝集凍結を起こしにくい。
【0020】
本実施形態の下流駆動部は、ケース9の内部または外部に配置されたモータである。下流駆動部がケース9の外部に配置される実施形態では、ケース9に設けられた第2のベルト通過孔(図示外)を下流ベルト72が通過するように構成される。この場合、凍結が完了した粒状物5は、下流ベルト72によってケース9の外部に排出される。
複数のレール77はそれぞれ下流ベルト72の幅方向に延在し、且つ、下流搬送部76を支持する。本例のレール77は軸線回りに回転しない。他の例のレール77は、軸線回りに回転自在であってもよい。
【0021】
<2.噴射板30の構成の詳細>
図3A~
図4を参照し、噴射板30の構成の詳細を例示する。
図3A~
図3Cは、幾つかの実施形態に係る噴射板30A~30Cを概念的に示す説明図である。
図4は、本開示の一実施形態に係る搬送方向視における噴射板30とベルト10を概念的に示す説明図である。
なお、図中で示される矢印Wは、ベルト10の幅方向(以下、単に「幅方向」という場合がある)を示し、矢印F1は、既述の通り、ベルト10の搬送部15の走行方向(粒状物5の搬送方向)を示す。また
図4では、ベルト10の構成要素である後述の摺接部20(例えば
図5A参照)の図示を省略している。
【0022】
図3A~
図3Cに示すように、噴射板30A~30Cは、それぞれ、第1噴射部31A~31C(31)と、第2噴射部32A~32C(32)とを含む。第1噴射部31と第2噴射部32は、同図で示されるように一例として互いに別体である。この場合、第1噴射部31と第2噴射部32は互いに接触していてもよいし、隙間を空けて幅方向に並べられてもよい。他の実施形態では、第1噴射部31と第2噴射部32は、互いに一体的に形成されてもよい(図示外)。
【0023】
第1噴射部31と第2噴射部32は、ベルト10の幅方向に沿って配置され、互いに異なる開口率を有する。本例では、第1噴射部31の開口率は第2噴射部32の開口率よりも大きい。また、第1噴射部31の噴射孔351(35)の内径は、第2噴射部32の噴射孔352(35)の内径よりも大きい。
図3A、
図3Cで例示される実施形態では、第1噴射部31A、31Cと第2噴射部32A、32Cがそれぞれ1種類ずつ用意される。第1噴射部31A、31Cの噴射孔351A、351C(351)はそれぞれ、第2噴射部32A、32Cの噴射孔352A、352C(352)よりも大きな内径を有する。
図3Bで例示される実施形態では、第1噴射部31Bまたは第2噴射部32Bの少なくとも一方が2種類以上用意される。より具体的には、第1噴射部31B(31)は、規定値以上となる開口率を有する2種類の第1噴射部311B、312Bを有し、第2噴射部32B(32)は、規定値未満となる開口率を有する2種類の第2噴射部321B、322Bを有する。同図では、第1噴射部31Bの噴射孔351B(351)を、符号375A、375Bによって示し、第2噴射部32Bの噴射孔352B(352)を符号372A、372Bによって示す。
なお他の実施形態では、第1噴射部31Bと第2噴射部32Bはそれぞれ3種類以上、用意されてもよい。
【0024】
本実施形態では、第1噴射部31と第2噴射部32の境界である第1境界301A~301C(301)は、ベルト10の搬送部15の走行方向(即ち矢印F1、以下単に「走行方向」ともいう)に沿う。
より具体的な一例として、
図3A、
図3Bで示される第1境界301A、301B(301)は、走行方向と平行に直線状に延在する。また、
図3Cで示されるように、走行方向に沿う第1境界301Cは、ジグザグパターンを有してもよい。
なお、第1噴射部31と第2噴射部32が一体的に形成されている実施形態、または、第1噴射部31と第2噴射部32が隙間を空けて並んでいる実施形態においては、両者の境界となり得る複数候補の仮想的な平面のうちでいずれかが走行方向に沿っていれば、走行方向に沿う第1境界301が存在することとなる。
【0025】
上記構成を有する噴射板30が冷却ガスを噴射することに伴って、粒状物5は搬送時において例えば以下の原理により幅方向位置に応じて高さの異なる流動層が形成される(
図4参照)。
開口率が大きい第1噴射部31によって噴射される冷却ガスの勢いは強く(高流動層)、開口率が小さい第2噴射部32によって噴射される冷却ガスの勢いは弱い(低流動層)。これにより、ベルト10の搬送部15を通過する冷却ガスの勢いが幅方向において不均等になり、ベルト10の上側では冷却ガスの幅方向における流れが生じる。結果、第1噴射部31の上側にある粒状物5と第2噴射部32の上側にある粒状物5とが幅方向に行き交い(矢印L)、粒状物5の幅方向における攪拌が起こる。
幅方向における攪拌の別の具体例を説明すると、冷却ガスの勢いが強い第1噴射部31の上側では粒状物5が高く浮き上がるため、その滞空時間は長い。従って、第1噴射部31の上側では搬送部15に載置される粒状物5の個数が少なく、搬送部15の上面において粒状物5が転動できる空スペースが生じ易い。これに対し、第2噴射部32の上側では搬送部15に載置されている粒状物5が多く、粒状物5が幅方向に沿って上記の空スペースに転動することになる。これにより、粒状物5の幅方向における攪拌が起こる。
粒状物5の幅方向の攪拌が起こることで、粒状物5は分散した状態で互いに異なる高さで流動することができる。粒状物5が個々に冷却ガスと当たり、表面凍結中においてもより活動的な挙動を維持することができるので、粒状物5の凝集凍結を抑制できる。
【0026】
上記構成によれば、開口率の互いに異なる第1噴射部31と第2噴射部32がベルト10の幅方向に配置されるので、搬送される粒状物5の幅方向における攪拌が生じる。また、第1境界301がベルト10の走行方向に沿うので、幅方向における粒状物5の攪拌が、第1噴射部31の上領域と第2噴射部32の上領域との間で異なる強さの流動化を伴って、さらに促進される。より詳細には例えば、搬送部15を通過する冷却ガスの勢いが幅方向において大きく不均等となり、冷却ガスの幅方向における流れはより強くなる。これにより、搬送方向において異なる位置にある粒状物5の攪拌が適度に抑制される。つまり、凍結進行度の異なる粒状物5の攪拌が適度に抑制される。
凍結進行度の互いに異なる粒状物5が接触し合うと、一方の表面に含まれる未凍結の液汁が、他方の凍結した表面に付着する。このような流動下において、粒状物5の表面を覆った液汁が、急激に冷却されて凍結される。結果、粒状物5の外観品質が劣化する可能性がある。
この点、上記構成によれば、凍結進行度の異なる粒状物5の攪拌が適度に抑制されるので、凍結した粒状物5の外観品質を向上させた凍結装置1が実現する。
【0027】
本実施形態では、
図3A~
図3Cで例示されるように、走行方向における第1境界301の長さは、第1噴射部31の走行方向における長さ(最大長さ)、および、第2噴射部32の走行方向における長さ(最大長さ)のいずれに対しても3分の1以上である。
例えば、
図3A、
図3Bで示される実施形態では、第1境界301A、301Bの長さは、第1噴射部31A、31Bの走行方向にける長さ、及び、第2噴射部32A、32Bの走行方向における長さのそれぞれと等しい。また、
図3Cで示される実施形態では、第1境界301Cの長さ(寸法B)は、第1噴射部31の長さ(寸法H)の3分の1であり、第2噴射部32の長さと同じである。
なお、他の実施形態では、走行方向における第1境界301の長さは、第1噴射部31の走行方向における長さ、および、第2噴射部32の走行方向における長さのいずれに対しても、2分の1以上または3分の2以上であってもよい。
【0028】
上記構成によれば、走行方向における第1境界301の長さが確保されるので、第1噴射部31の上側にある粒状物5と、第2噴射部32の上側にある粒状物5との幅方向における攪拌をより支配的にでき、凍結した粒状物5の外観品質をさらに向上することができる。
【0029】
また本実施形態では、
図3A、
図3Bで例示されるように、走行方向において第1噴射部31A、31Bが設けられる範囲と、走行方向において第2噴射部32A、32Bが設けられる範囲は互いに一致する。言い換えると、走行方向における第1噴射部31A、31Bの両端はそれぞれ、走行方向における第2噴射部32A、32Bの両端と幅方向に揃うように配置される。
【0030】
上記構成によれば、第1境界301A、301Bを跨いで流動する粒状物5の到達先がより確実に、第1噴射部31A、31Bの上側または第2噴射部32A、32Bの上側になるので、幅方向における粒状物5の攪拌をより支配的にすることができる。
【0031】
また本実施形態では、
図3A~
図3Cで例示されるように、第1噴射部31と第2噴射部32は互いに別体である。本例では、幅方向に隣り合う第1噴射部31と第2噴射部32は接触している。従って、第1噴射部31と第2噴射部32のそれぞれにおける接触部位(接触端面)が第1境界301となる。第1噴射部31と第2噴射部32が接触していることにより、第1境界301での冷却ガスの通過は制限される。
【0032】
上記構成によれば、第1噴射部31と第2噴射部32は互いに別体であるため、それぞれが交換可能であり、噴射板30の利便性を向上することができる。例えば、第1噴射部31と第2噴射部32のいずれかが破損等した場合であっても、交換する必要のあるもののみを交換すればよいので、噴射板30は高い利便性を実現できる。
【0033】
また
図3Aで示される実施形態では、噴射板30は、凍結装置1(
図1参照)の構成要素である支持フレーム90に離脱可能に取り付けられる。
本実施形態の支持フレーム90は、噴射板30を支持する多孔性の支持プレート95と、支持プレート95を支持する一対のサポート91とを含む。支持プレート95は、一例として、走行方向と幅方向に延在する1または複数の多孔性プレート部品によって形成される。一対のサポート91は、それぞれ、ベルト10(
図4参照)よりも幅方向の両側に位置する。
本例では、第1噴射部31Aと第2噴射部32Aのそれぞれに穴36が設けられており、支持プレート95にも穴36と上下に重なるプレート穴(図示外)が設けられている。締結部材(図示外)が、穴36とプレート穴に差し込まれて締結されることで、第1噴射部31Aと第2噴射部32Aは、支持フレーム90に離脱可能に取り付けられる。なお、支持プレート95のうちで、噴射板30の下方にある領域の大半には大型の孔(図示外)が形成されており、噴射板30に向かう冷却ガスの流れを阻害しない構成が採用される。
【0034】
図3Aで示される実施形態では、噴射板30のパーツとなる、複数の噴射部51A~51C(51)が予め用意されている。噴射部51A~51C(51)は、互いに同一の外形寸法を有し、且つ、互いに異なる開口率を有する。そして、冷却される粒状物5の種類に応じて、噴射部51のいずれかが第1噴射部31Aおよび第2噴射部32Aとして採用される。つまり、第1噴射部31A及び第2噴射部32Aはいずれも、複数の噴射部51A~51C(51)のうちいずれかが選択的に取り付けられたものである。
本実施形態では、3種類の噴射部51のいずれか2つがそれぞれ第1噴射部31A及び第2噴射部32Aとして採用され、支持フレーム90に取り付けられる。これにより、第1噴射部31A及び第2噴射部32Aの交換作業によって、第1噴射部31Aと第2噴射部32Aのそれぞれの開口率を粒状物5の種類に応じて変更できる。よって、噴射板30は、粒状物5に応じた冷却ガスの適正な噴射をすることができる。さらに、送風機4のファンの速度調整機能による噴射板30下の適正な風圧制御も加わり、冷却ガスの噴射の最適化が図られる。
【0035】
上記構成によれば、支持フレーム90に取り付けられる第1噴射部31Aおよび第2噴射部32Aは、互いに開口率の異なる複数の噴射部51のいずれかであるので、凍結装置1は凍結される粒状物5の種類に応じて適正な凍結を行うことができる。
また、第1噴射部31Aと第2噴射部32Aが支持フレーム90に離脱可能に取り付けられるので、交換に伴って第1噴射部31Aまたは第2噴射部32Aが支持フレーム90に新たに取り付けられる場合であっても、交換前と同様の取り付け位置に取り付けることができる。よって、第1噴射部31Aまたは第2噴射部32Aの少なくとも一方を交換した後においても、噴射板30は冷却ガスを安定的に噴射することができる。
【0036】
また本実施形態では、
図3A~
図3Cで例示されるように、第1噴射部31と第2噴射部32は、互いに同じ幅方向長さを有する。上記構成によれば、同じ幅方向長さを有する第1噴射部31と第2噴射部32が幅方向に配置されるので、噴射板30の構成を簡素化できる。
【0037】
本実施形態では、
図3A~
図3Cで例示されるように、噴射板30A~30C(30)はそれぞれ、第1噴射部31A~31C(31)と走行方向に隣り合う第3噴射部33A~33C(33)をさらに含む。第3噴射部33の開口率は、第1噴射部31の開口率とは異なる。また、第3噴射部33は、第1噴射部31と第2噴射部32のそれぞれとは別体であり、一例として第2噴射部32と同一形状である(詳細は後述する)。
【0038】
上記構成によれば、噴射板30の開口率が幅方向だけでなく走行方向にも変化することで、噴射される冷却ガスの流れをより多様にできる。より具体的な一例として、冷却ガスの勢いが強い空間と勢いが弱い空間が搬送部15の走行方向に並ぶことで、ベルト10の上側では走行方向に沿った冷却ガスの流れも適度に生じる。これにより、粒状物5はより分散した状態で冷却ガスと当たることができ、粒状物5の凝集凍結を抑制することができる。よって、凍結した粒状物5の外観品質をさらに向上できる。
【0039】
図3A、
図3Bで示されるように、噴射板30A~30B(30)は、第1噴射部31A、31B(31)および第2噴射部32A、32B(32)を含むとともに幅方向に配列された複数の配列噴射部55A、55B(55)を含む。配列噴射部55の構成要素の個数は、
図3Aでは2個であり、
図3Bでは4個である。
また、第3噴射部33は、複数の配列噴射部55のいずれかと同一形状である。より具体的な一例として、第3噴射部33A、33Bは第2噴射部32A、32Bと同一形状である。
【0040】
上記構成によれば、第3噴射部33A、33B(33)は、幅方向に配列された複数の配列噴射部55A、55B(55)のいずれかであるので、噴射される冷却ガスの流れを多様にしつつ、噴射板30の構成を簡素化できる。
【0041】
また、本実施形態では、第3噴射部33と第1噴射部31の第2境界302A、302B(302)は、幅方向に沿う。
図3A、
図3Bで示される実施形態では、第2境界302A、302Bは幅方向と平行に直線状に延在する。
上記構成によれば、第3噴射部33と第1噴射部31の第2境界302を跨いで搬送される粒状物5の流動状態の差異を小さくでき、結果、当該粒状物5の凍結進行度の差異を小さくできる。
なお、詳細な図示は省略するが、幅方向に沿う第2境界302は、ジグザグパターンを有してもよい。
【0042】
図3A、
図3Bで例示される実施形態では、複数の配列噴射部55A、55B(55)は、互いに別体に形成された複数の矩形状のプレートである。複数の矩形状プレートは互いに同じ走行方向長さを有し、且つ互いに同じ幅方向長さを有する。矩形状は正方形状を含む概念である。
複数の配列噴射部55は、走行方向に沿って複数列になって配列されている。
図3Aでは、幅方向に配列される2個の配列噴射部55A(即ち、第1噴射部31Aと第2噴射部32A)が4列以上になって配列されている。
図3Bでは、複数の配列噴射部55Bが走行方向に3列以上になって配列されている。そして、
図3A、
図3Bで例示される実施形態では、噴射板30A、30B(30)の幅方向の全長と走行方向の全長とに亘って、噴射板30の開口率は規則的に変化する。
例えば、
図3Aで例示される噴射板30Aでは、幅方向の一方側と他方側とで開口率が2パターンに分かれており、且つ、この2パターンの開口率が走行方向に沿って交互に表れている。
図3Bで例示される噴射板30Bでは、幅方向に沿って開口率が4パターンに分かれており、且つ、この4パターンの開口率が走行方向に沿って規則的に表れている。
【0043】
上記構成によれば、噴射板30の幅方向の全長と、走行方向の全長とに亘って、噴射板30の開口率が規則的に変化するので、噴射板30によって噴射される冷却ガスの流れを多様にしつつ、噴射板30の構成を簡素化できる。
【0044】
図3A、
図3Bで例示される実施形態では、噴射板30に含まれる全ての配列噴射部55のうちで、走行方向または幅方向において隣り合う任意の2つの配列噴射部55は互いに面接触している。言い換えると、走行方向において隣り合う任意の2つの配列噴射部55は互いに面接触しており、且つ、幅方向おいて隣り合う任意の2つの配列噴射部55は互いに面接触している。
【0045】
上記構成によれば、それぞれの配列噴射部55の境界(例えば、第1境界301および第2境界302)において冷却ガスの通過は制限される。冷却ガスの通過する場所が噴射板30の噴射孔35に集約されるので、噴射板30による冷却ガスの噴射を所望通りにすることができ、粒状物5を良好に凍結させることができる。
【0046】
本実施形態では、
図4で示すように、複数の噴射孔35の各々はストレート穴である。
【0047】
<3.ベルト10の構成の詳細>
以下、
図5A~
図5Cを参照し、ベルト10の構成の詳細を例示する。
図5A~
図5Cは、それぞれ、第1の実施形態に係るベルト11(10)、第2の実施形態に係るベルト13(10)、および第3実施形態に係るベルト14(10)を概念的に示す説明図である。
図6は第1の実施形態に係るベルト11(10)の概念的な斜視図である。
図7は第2の実施形態に係るベルト13(10)の概念的な斜視図である。
【0048】
<3-1.幾つかの実施形態に係るベルト10の例示>
図5A~
図5Cで例示されるように、ベルト11、13、14(10)はそれぞれ、噴射板30の上面39に対してベルト10の搬送部15の走行方向(矢印F1)に摺接しながら進むように構成される摺接部21、23、24を含む。以下の説明では、摺接部21、23、24を総称するときに「摺接部20」という場合がある。ベルト10は、走行方向に間隔を空けて配置される複数の摺接部20を備えてもよいし、単一の摺接部20を備えてもよい。
【0049】
摺接部20は、搬送部15に対して搬送経路Trとは反対側に位置する。搬送経路Trは搬送部15の上端によって規定される仮想平面である。本実施形態の搬送経路Trは、搬送部15の走行方向とベルト10の幅方向とに延在する。搬送部15の走行に伴って摺接部20は、噴射板30の上面39のみならず、噴射孔35を囲む内壁面381、382(
図4参照)の上端部に対しても摺接することができる。これにより、摺接部20は、噴射板30に付着した付着物S(
図5A参照)を除去できる。付着物Sは、粒状物5に含まれていた液汁(例えば果汁)、または、該液汁が凍結することで生成される凍結物の少なくとも一方を含む。
幅方向に延在する摺接部20は、複数のパーツによって構成されてもよいし、単一のパーツによって構成されてもよい。
【0050】
上記構成によれば、粒状物5に含まれていた液汁(例えば果汁)が搬送部15から噴射板30に落下した場合でも、摺接部20が噴射板30の上面39から付着物Sを除去することができる。併せて、噴射板30の噴射孔35を囲む内壁面381、382に付着した付着物Sも摺接部20は除去することができる。よって、複数の噴射孔35の目詰まりを抑制できるので、噴射孔35を通過する冷却ガスの流れを安定化させることができる。また、凍結装置1は凍結機能の低下を抑制することができる。
なお、本実施形態の付着物Sは、摺接部20によって擦り取られたあと搬送部15と共に移動し、噴射板30の下流端から落下する。
【0051】
図5A~
図5Cに示されるように、本実施形態の摺接部20は、搬送部15のうち搬送経路Trとは反対側に位置する。上記構成によれば、噴射板30の上面39のうち搬送される粒状物5に含まれる液汁の落下地点を摺接部20はより確実に通過することができる。よって、摺接部20が付着物Sに対してより確実に接触することができるので、凍結装置1は付着物Sをより確実に除去することができる。付着物Sは、搬送部15から吹き飛ばされることもある。
【0052】
本実施形態の摺接部20は、幅方向と平行に延在する。一例として、平面視における摺接部20の延在方向とベルト10の幅方向とのなす鋭角は、15度以下である。摺接部20が走行方向に対して平面視で傾斜している場合、摺接部20によって擦り取られた付着物Sは走行方向ではなく幅方向に移動し、別の噴射孔35に詰まる可能性がある。目詰まりした噴射孔35の走行方向位置が上流であるほど、目詰まりに起因して冷却ガスの流れが変化した冷却空間を通過する粒状物5は、投入されて間もない状態にある。表面部の凍結が開始された直後の粒状物5は特にデリケートな状態にあり、冷却ガスが所望の通りに吹き当たらなければ良好な凍結が実現できない可能性がある。
この点、上記構成によれば、幅方向と平行に延在する摺接部20は付着物Sを走行方向の下流側へ移動させやすいので、擦り取られた付着物Sが走行方向の上流側にある噴射孔35に再び進入するのを抑制できる。よって、凍結装置1は粒状物5の良好な凍結を実現することができる。
また、摺接部20が幅方向に延在することで、摺接部20の長さは短くなるので、凍結装置1は、ベルト10の構成を簡素化することができる。
【0053】
図5Aに示されるベルト11(10)はそれぞれ、噴射板30を取り囲むように無端状に形成される走行部18A(18)を含む。走行部18の外表面は、粒状物5が載置されるように構成された搬送面28である。本実施形態では、走行部18のうちで走行範囲の上端部に位置する部位が上述の搬送部15であり、搬送部15の搬送面28は上述の搬送経路Trと一致する。摺接部21(20)は、走行部18のうち搬送面28とは反対側に向かって突出する突起43A(43)である。
【0054】
上記構成によれば、摺接部21が突起43であることで、摺接部21と噴射板30との接触面積が低減する。走行方向に進む摺接部21と噴射板30との間で生じる摩擦力が低減するので、凍結装置1は、付着物Sを除去する際にベルト11に発生する負荷を低減することができる。
【0055】
<3-1-1.第1の実施形態に係るベルト11>
図6を参照し、第1の実施形態に係るベルト11(10)の詳細を例示する。同図で示される矢印Wはベルト11の幅方向を示す。なお、
図6では、
図3A~
図4を用いて既述した噴射板30を概略的に二点鎖線によって図示している(
図7も同様である)。
ベルト11の走行部18A(18)は、走行方向に沿って並ぶ複数のパーツ41を有する。そして、各パーツ41は、複数の通気口49A(49)が設けられたプレート42を有する。同図で示される通気口49Aは円形孔であるが、他の実施形態では矩形孔などであってもよい。
プレート42の一端面は上述の搬送面28である。また、プレート42の走行方向の一端部には凸部61が形成され、走行方向の他端部には凹部62が形成される。凸部61と凹部62は、ベルト11の幅方向において同じ位置に設けられる。従って、走行方向に隣り合う2つのプレート42の一方に設けられている凸部61が他方に設けられている凹部62に嵌るように、これら2つのプレート42は互いに連結している。
【0056】
走行方向に隣り合うプレート42のより詳細な連結構造は、一例として以下の通りである。
各パーツ41は、搬送面28とは反対側の面に設けられた上述の突起43A(43)を有する。プレート42と一体的に形成された円筒状の突起43Aは、ベルト11の厚さ方向に凸部61と並ぶ位置と、ベルト11の幅方向に凹部62と並ぶ位置のそれぞれに設けられる(
図6では、凹部62と幅方向に並ぶ突起43Aのみが図示されている)。従って、走行方向に隣り合うプレート42のそれぞれに設けられる突起43Aはベルト11の幅方向に並ぶ。また、各突起43Aには、幅方向に開放された孔46が設けられる。そして、幅方向に並ぶ突起43Aのそれぞれの孔46には、幅方向に延在するロッド29A(29)が差し込まれている。これにより、幅方向に並ぶ突起43Aがロッド29Aを介して連結する。よって、走行方向に隣り合うプレート42は互いに連結する。
【0057】
本実施形態の摺接部21は、複数の突起43Aの少なくとも1つを含む。即ち、複数の突起43Aの少なくとも1つが摺接部21として機能する。上記構成によれば、複数のプレート42を連結させるロッド29を支持する機能を担う突起43Aが、付着物Sを擦り取る摺接部21としての機能も兼ね備えるので、凍結装置1はベルト11の構成を簡素化できる。
なお、突起43Aは、
図6で例示されるような円筒状であってもよいし、
図5Aで例示されるような柱状体であってもよい。突起43Aが柱状体である場合には、上述のロッド29Aを支持しなくてもよい。
【0058】
幾つかの実施形態では、摺接部21は樹脂材料によって形成される。この場合、摺接部21の軽量化が実現するので、ベルト11が走行するときの負荷を低減することができる。
他の実施形態では、摺接部21は金属材料によって形成される。この場合、摺接部21は、噴射板30の上面39に対して摺接するときに変形しにくい。これにより、付着物Sを除去するための力が、摺接部21から付着物Sに対して伝わり易い。よって、付着物Sをより確実に除去することができる。
【0059】
<3-1-2.第2の実施形態に係るベルト13>
図5B、
図7を参照し、第2の実施形態に係るベルト13(10)の詳細を例示する。ベルト13はチェーンベルトであり、幅方向の両端のそれぞれに配置された無端状のチェーン63を含む(
図7では、幅方向の一方側にあるチェーン63のみを部分的に図示する)。本実施形態の一対のチェーン63は、搬送経路Tr(
図5B参照)に対して幅方向の両側にそれぞれ位置する。つまり、一対のチェーン63には粒状物5は載置されない。
図7で例示されるチェーン63では、幅方向に対向する一対のプレートを含んだリンクが2種類設けられる。幅方向長さが互いに異なるこれら2種類のリンクが、ベルト13の走行方向に沿って交互に配置されている。
【0060】
なお他の実施形態では、チェーン63に含まれるリンクは3種以上であってもよい。この場合、幅方向長さが互いに異なる3種のリンクが走行方向に順に配置される。また、リンクの構成要素となる一対のプレートは、
図7で例示されるような別体に形成される代わりに、互いに一体的に形成されてもよい。この場合、各リンクは略U字状に形成される。
【0061】
本実施形態のベルト13は、一対のチェーン63にそれぞれ連結されるロッド29C(29)を含む。各ロッド29Cは幅方向に延在するとともに、ベルト13の走行方向に間隔を空けて配置される。本実施形態のロッド29Cは、チェーン63を構成する2つのリンクを回転可能に連結させている。本実施形態の摺接部23(20)は、複数のロッド29Cの少なくとも1つを含む。上記構成によれば、一対のチェーン63を連結させる機能を担うロッド29Cが、付着物Sを除去する摺接部23としての機能も兼ね備えるので、凍結装置1は構成を簡素化できる。
【0062】
本実施形態のロッド29Cは、ベルト13の幅方向において最も一方側にある噴射孔35(
図5B参照)から最も他方側にある噴射孔35までの範囲において少なくとも連続的に延在する。上記構成によれば、複数の噴射孔35のいずれにおいても摺接部23(20)は付着物Sを除去することができるので、噴射孔35の目詰まりをより確実に抑制できる。
なお、ロッド29Cは、噴射板30の幅方向の一端から他端までの範囲において連続的に延在してもよい。
【0063】
なお、摺接部23は、複数のロッド29Cによって支持されるネット65を含んでもよい。
図7では、ネット65を2点鎖線によって仮想的に図示する。ネット65は、金属材料、樹脂材料、または繊維材料などによって形成される。金属製のネット65は金網であり、この場合のベルト13はメッシュコンベアベルトである。
この場合、摺接部23は、ロッド29Cと共にネット65を含む。上記構成によれば、ロッド29Cと共にネット65が付着物Sを除去するため、噴射孔35の目詰まりをより確実に抑制できる。
【0064】
<3-1-3.第3の実施形態に係るベルト14>
図5Cに戻り、第3の実施形態に係るベルト14(10)の詳細を例示する。ベルト14は、一例としてプレートコンベアある。ベルト14は、噴射板30を取り囲むように無端状に形成される走行部18D(18)を含む。本実施形態の摺接部24(20)は、走行部18D(18)の搬送面28とは反対側に位置し、且つ噴射板30の上面39に対して面接触する裏面である。
上記構成によれば、摺接部24が噴射板30の上面39に対して面接触するので、より確実に付着物Sを除去することができ、噴射孔35の目詰まりをより確実に抑制できる。
【0065】
<4.まとめ>
1)本開示の少なくとも一実施形態に係る粒状物凍結装置(1)は、
粒状物(5)を搬送するように構成された通気性を有するベルト(10)と、
冷却ガスを下から前記ベルト(10)に噴射するように構成された複数の噴射孔(35)が設けられる噴射板(30)と、
を備え、
前記ベルト(10)は、前記噴射板(30)の上面(39)に対して前記ベルト(10)の走行方向に摺接しながら進むように構成される摺接部(20)を含む。
【0066】
上記1)の構成によれば、粒状物(5)に含まれていた液汁がベルト(10)から噴射板(30)に落下した場合であっても、噴射板(30)に落下した液汁または該液汁が凍結することで生成される凍結物の少なくとも一方を含む付着物(S)を摺接部(20)が噴射板(30)の上面(39)から除去することができる。よって、複数の噴射孔(35)の目詰まりを抑制できるので、冷却ガスの流れを安定化させた粒状物凍結装置(1)が実現する。
【0067】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の粒状物凍結装置(1)であって、
前記摺接部(20)は、前記ベルト(10)の幅方向と平行に延在する。
【0068】
摺接部(20)が走行方向に対して平面視で傾斜している場合、摺接部(20)によって擦り取られた付着物(S)は搬送方向ではなく幅方向に移動し、別の噴射孔(35)に詰まる可能性がある。目詰まりした噴射孔(35)の走行方向位置が上流であるほど、目詰まりに起因して冷却ガスの流れ変化した冷却空間を通過する粒状物(5)は投入されて間もない状態にある。表面部の凍結が開始された直後の粒状物(5)は特にデリケートな状態にあり、冷却ガスが所望の通りに吹き当たらなければ良好な凍結が実現されない可能性がある。この点、上記2)の構成によれば、幅方向と平行に延在する摺接部(20)は付着物(S)を搬送方向の下流側へ移動させやすいので、擦り取られた付着物(S)が走行方向の上流側にある噴射孔(35)に再び進入するのを抑制できる。よって、粒状物凍結装置(1)は粒状物(5)の良好な凍結を実現することができる。
【0069】
3)幾つかの実施形態では、上記1)または2)に記載の粒状物凍結装置(1)であって、
前記ベルト(10)は、前記粒状物(5)の搬送経路を規定する搬送部(15)をさらに含み、
前記摺接部(20)は、前記搬送部(15)のうち前記搬送経路とは反対側に位置する。
【0070】
上記3)の構成によれば、摺接部(20)は、噴射板(30)の上面(39)のうち搬送される粒状物(5)に含まれる液汁の落下地点をより確実に通過することができる。よって、摺接部(20)が付着物(S)に対してより確実に接触することができるので、粒状物凍結装置(1)は付着物(S)をより確実に除去することができる。
【0071】
4)幾つかの実施形態では、上記1)から3)のいずれかに記載の粒状物凍結装置(1)であって、
前記ベルト(10)は、前記噴射板(30)を取り囲むように無端状に形成される走行部(18)をさらに含み、
前記摺接部(20)は、前記走行部(18)のうち搬送面(28)とは反対側に向かって突出する突起(43)である。
【0072】
上記4)の構成によれば、摺接部(20)が突起(43)であることで、摺接部(20)と噴射板(30)との接触面積が低減する。走行方向に進む摺接部(20)と噴射板(30)との間で生じる摩擦力が低減するので、粒状物凍結装置(1)は、付着物(S)を除去する際にベルト(10)に発生する負荷を低減することができる。
【0073】
5)幾つかの実施形態では、上記1)から4)のいずれかに記載の粒状物凍結装置(1)であって、
前記ベルト(10)は、前記走行方向に配置されると共に、前記ベルト(10)の幅方向に延在するロッド(29)を介して互いに連結される複数のプレート(42)を有し、前記噴射板(30)を囲むように形成される無端状の走行部(18)を備え、
各々の前記プレート(42)は、前記ロッド(29)が差し込まれる孔(46)が設けられた突起(43)を有し、
前記摺接部(20)は、複数の前記突起(43)の少なくとも一つを含む。
【0074】
上記5)の構成によれば、複数のプレート(42)を互いに連結させるロッド(29)を支持する機能を担う突起(43)が、付着物(S)を擦り取る摺接部(20)としての機能も兼ね備えるので、粒状物凍結装置(1)はベルト(10)の構成を簡素化できる。
【0075】
6)幾つかの実施形態では、上記1)から5)のいずれかに記載の粒状物凍結装置(1)であって、
前記ベルト(10)は、
幅方向の両端部にそれぞれ配置された無端状の一対のチェーン(63)と、
前記一対のチェーン(63)のそれぞれに連結され、前記走行方向に間隔を空けて配置される複数のロッド(29)と
をさらに含み、
前記摺接部(20)は、前記複数のロッド(29)の少なくとも一つを含む。
【0076】
上記6)の構成によれば、一対のチェーン(63)を連結させる機能を担うロッド(29)が、付着物(S)を除去する摺接部(20)としての機能も兼ね備えるので、粒状物凍結装置(1)はベルト(10)の構成を簡素化できる。
【0077】
7)幾つかの実施形態では、上記6)に記載の粒状物凍結装置(1)であって、
前記ロッド(29)は、前記ベルト(10)の幅方向において最も一方側にある前記噴射孔(35)から最も他方側にある前記噴射孔(35)までの範囲において少なくとも連続的に延在する。
【0078】
上記7)の構成によれば、複数の噴射孔(35)のいずれにおいても摺接部(20)は付着物(S)を除去することができるので、噴射孔(35)の目詰まりをより確実に抑制できる。
【0079】
8)幾つかの実施形態では、上記6)または7)に記載の粒状物凍結装置(1)であって、
前記摺接部(20)は、前記複数のロッド(29)によって支持されるネット(65)を含む。
【0080】
上記8)の構成によれば、ロッド(29)と共にネット(65)が付着物(S)を除去するため、噴射孔(35)の目詰まりをより確実に抑制できる。
【0081】
9)幾つかの実施形態では、上記1)から3)のいずれかに記載の粒状物凍結装置(1)であって、
前記ベルト(10)は、前記噴射板(30)を取り囲むように無端状に形成される走行部(18)をさらに含み、
前記摺接部(20)は、前記走行部(18)のうち搬送面(28)とは反対側に位置し、前記噴射板(30)の前記上面(39)に対して面接触する裏面を含む。
【0082】
上記9)の構成によれば、摺接部(20)が噴射板(30)の上面(39)に対して面接触するので、より確実に付着物(S)を除去することができ、噴射孔(35)の目詰まりをより確実に抑制できる。
【0083】
10)幾つかの実施形態では、上記1)から9)のいずれかに記載の粒状物凍結装置(1)であって、
前記摺接部(20)は、樹脂材料によって形成される。
【0084】
上記10)の構成によれば、摺接部(20)が樹脂材料によって形成されることで、摺接部(20)の軽量化を実現できる。これにより、ベルト(10)が走行するときの負荷を低減することができる。
【0085】
11)幾つかの実施形態では、上記1)から9)のいずれかに記載の粒状物凍結装置(1)であって、
前記摺接部(20)は、金属材料によって形成される。
【0086】
上記11)の構成によれば、金属材料によって形成される摺接部(20)は、噴射板(30)の上面(39)に対して摺接するときに変形しにくい。これにより、付着物(S)を除去するための力が、摺接部(20)から付着物(S)に対して伝わり易い。よって、付着物(S)をより確実に除去することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 :凍結装置(粒状物凍結装置)
5 :粒状物
10 :ベルト
15 :搬送部
18 :走行部
20 :摺接部
28 :搬送面
29 :ロッド
30 :噴射板
35 :噴射孔
39 :上面
42 :プレート
43 :突起
46 :孔
63 :チェーン
65 :ネット
351 :噴射孔
352 :噴射孔
Tr :搬送経路
【手続補正書】
【提出日】2023-06-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状物の搬送を補助するように構成された通気性を有するベルトと、
冷却ガスを下から前記ベルトに噴射するように構成された複数の噴射孔が設けられる噴射板と、
を備え、
前記ベルトは、前記噴射板の上面に対して前記ベルトの走行方向に摺接しながら進むように構成される摺接部を含む
粒状物凍結装置。
【請求項2】
前記摺接部は、前記ベルトの幅方向と平行に延在する
請求項1に記載の粒状物凍結装置。
【請求項3】
前記ベルトは、前記粒状物の搬送経路を規定する搬送部をさらに含み、
前記摺接部は、前記搬送部のうち前記搬送経路とは反対側に位置する
請求項1または2に記載の粒状物凍結装置。
【請求項4】
前記ベルトは、前記噴射板を取り囲むように無端状に形成される走行部をさらに含み、
前記摺接部は、前記走行部のうち搬送面とは反対側に向かって突出する突起である
請求項1
または2に記載の粒状物凍結装置。
【請求項5】
前記ベルトは、前記走行方向に配置されると共に、前記ベルトの幅方向に延在するロッドを介して互いに連結される複数のプレートを有し、前記噴射板を囲むように形成される無端状の走行部を備え、
各々の前記プレートは、前記ロッドが差し込まれる孔が設けられた突起を有し、
前記摺接部は、複数の前記突起の少なくとも一つを含む
請求項1
または2に記載の粒状物凍結装置。
【請求項6】
前記ベルトは、
幅方向の両端部にそれぞれ配置された無端状の一対のチェーンと、
前記一対のチェーンのそれぞれに連結され、前記走行方向に間隔を空けて配置される複数のロッドと
をさらに含み、
前記摺接部は、前記複数のロッドの少なくとも一つを含む
請求項1
または2に記載の粒状物凍結装置。
【請求項7】
前記ロッドは、前記ベルトの幅方向において最も一方側にある前記噴射孔から最も他方側にある前記噴射孔までの範囲において少なくとも連続的に延在する
請求項6に記載の粒状物凍結装置。
【請求項8】
前記摺接部は、前記複数のロッドによって支持されるネットを含む
請求項
6に記載の粒状物凍結装置。
【請求項9】
前記ベルトは、前記噴射板を取り囲むように無端状に形成される走行部をさらに含み、
前記摺接部は、前記走行部のうち搬送面とは反対側に位置し、前記噴射板の前記上面に対して面接触する裏面を含む
請求項1
または2に記載の粒状物凍結装置。
【請求項10】
前記摺接部は、樹脂材料によって形成される
請求項1
または2に記載の粒状物凍結装置。
【請求項11】
前記摺接部は、金属材料によって形成される
請求項1
または2に記載の粒状物凍結装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
摺接部20は、搬送部15に対して搬送経路Trとは反対側に位置する。搬送経路Trは搬送部15の上端によって規定される仮想平面である。本実施形態の搬送経路Trは、搬送部15の走行方向とベルト10の幅方向とに延在する。搬送部15の走行に伴って摺接部20は、噴射板30の上面39のみならず、噴射孔35を囲む内壁
面の上端部に対しても摺接することができる。これにより、摺接部20は、噴射板30に付着した付着物S(
図5A参照)を除去できる。付着物Sは、粒状物5に含まれていた液汁(例えば果汁)、または、該液汁が凍結することで生成される凍結物の少なくとも一方を含む。
幅方向に延在する摺接部20は、複数のパーツによって構成されてもよいし、単一のパーツによって構成されてもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
上記構成によれば、粒状物5に含まれていた液汁(例えば果汁)が搬送部15から噴射板30に落下した場合でも、摺接部20が噴射板30の上面39から付着物Sを除去することができる。併せて、噴射板30の噴射孔35を囲む内壁面に付着した付着物Sも摺接部20は除去することができる。よって、複数の噴射孔35の目詰まりを抑制できるので、噴射孔35を通過する冷却ガスの流れを安定化させることができる。また、凍結装置1は凍結機能の低下を抑制することができる。
なお、本実施形態の付着物Sは、摺接部20によって擦り取られたあと搬送部15と共に移動し、噴射板30の下流端から落下する。
【国際調査報告】