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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】耐洗濯性炭化膜無溶滴生地
(51)【国際特許分類】
   D03D 15/283 20210101AFI20240711BHJP
   D03D 15/47 20210101ALI20240711BHJP
   D03D 15/513 20210101ALI20240711BHJP
   D01F 6/82 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
D03D15/283
D03D15/47
D03D15/513
D01F6/82
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539903
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2023-06-22
(86)【国際出願番号】 CN2022126661
(87)【国際公開番号】W WO2023245935
(87)【国際公開日】2023-12-28
(31)【優先権主張番号】202210694779.6
(32)【優先日】2022-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523240291
【氏名又は名称】浙江藍天海紡織服飾科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100145241
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康裕
(72)【発明者】
【氏名】陳 明青
(72)【発明者】
【氏名】王 跳慶
(72)【発明者】
【氏名】銭 ▲イン▼娟
【テーマコード(参考)】
4L035
4L048
【Fターム(参考)】
4L035AA05
4L035BB31
4L035DD19
4L035DD20
4L035EE14
4L048AA08
4L048AA20
4L048AA24
4L048AA33
4L048AA34
4L048AA49
4L048AA53
4L048AB01
4L048AC14
4L048CA06
4L048CA15
4L048DA01
(57)【要約】
本発明は、混紡生地の技術分野に属し、特に耐洗濯性炭化膜無溶滴生地に関する。本発明の生地の混紡繊維は、ポリエステルアミド繊維、綿繊維及びポリエステル繊維を含み、ポリエステルアミド繊維の含有量は54.2~62.5重量%であり、ポリエステルアミド繊維は、テレフタル酸、ドデカンジオール、及びカプロラクタムを共重合することによって得られ、ポリエステルアミド繊維中のエステル結合とアミド結合の数の比は(10.2~15.5):1であり、最終的に得られる生地は、炭化膜に溶滴がなく、飛灰が飛散しにくいという特徴を有し、また複数回の洗濯後も炭化膜無溶滴機能が効率的に維持される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルアミド繊維、綿繊維及びポリエステル繊維を含む耐洗濯性炭化膜無溶滴生地であって、前記ポリエステルアミド繊維の含有量が54.2~62.5重量%であり、前記ポリエステルアミド繊維が、テレフタル酸、ドデカンジオール、及びカプロラクタムを共重合することによって得られ、前記ポリエステルアミド繊維中のエステル結合とアミド結合の数の比が(10.2~15.5):1である、ことを特徴とする耐洗濯性炭化膜無溶滴生地。
【請求項2】
前記ポリエステルアミド繊維の含有量が56.6重量%であり、前記ポリエステルアミド繊維中のエステル結合とアミド結合の数の比が14.6:1である、ことを特徴とする請求項1に記載の耐洗濯性炭化膜無溶滴生地。
【請求項3】
前記ポリエステルアミド繊維の含有量が54.2~56.6重量%(56.6重量%を除く)である場合、前記ポリエステルアミド繊維中のエステル結合とアミド結合の数の比は(10.2~14.6):1(14.6:1を除く)であり、前記ポリエステルアミド繊維の含有量が56.6~62.5重量%である場合、前記ポリエステルアミド繊維中のエステル結合とアミド結合の数の比は(14.6-15.5):1である、ことを特徴とする請求項1に記載の耐洗濯性炭化膜無溶滴生地。
【請求項4】
前記ポリエステルアミド繊維の長さが38mm、線密度が1.33~1.56dtexである、ことを特徴とする請求項1に記載の耐洗濯性炭化膜無溶滴生地。
【請求項5】
前記ポリエステルアミド繊維の破断伸びが43~49%であり、公定水分率が0.6~0.7%である、ことを特徴とする請求項1に記載の耐洗濯性炭化膜無溶滴生地。
【請求項6】
前記ポリエステルアミド繊維の融点が245~248℃、溶融結晶化温度が170~190℃、限界酸素指数LOIが21.6~22.5%である、ことを特徴とする請求項1に記載の耐洗濯性炭化膜無溶滴生地。
【請求項7】
前記生地は、経糸と緯糸を織り交ぜて製造され、緯糸には前記ポリエステルアミド繊維、綿繊維、及びポリエステル繊維が使用され、経糸には前記ポリエステルアミド繊維及びポリエステル繊維が使用される、ことを特徴とする請求項1に記載の耐洗濯性炭化膜無溶滴生地。
【請求項8】
前記生地の経糸密度が390~520本/10cm、緯糸密度が200~280本/10cmである、ことを特徴とする請求項7に記載の耐洗濯性炭化膜無溶滴生地。
【請求項9】
初期生地の燃焼後の飛灰飛散率が2%以下であり、50回洗濯後の生地の燃焼飛灰飛散率が3%以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の耐洗濯性炭化膜無溶滴生地。
【請求項10】
GB/T5455-1997標準に基づく前記生地の限界酸素指数が22~26%であり、燃焼時に溶滴がない、ことを特徴とする請求項1に記載の耐洗濯性炭化膜無溶滴生地。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混紡生地の技術分野に属し、特に耐洗濯性炭化膜無溶滴生地に関する。
【背景技術】
【0002】
生地が燃焼した後、燃焼生成物の異なる形態に応じて生地を溶滴生地と無溶滴生地に分けることができる。ご存知のように、ポリエステル繊維は燃焼後に溶滴が形成されるが、天然繊維は燃焼後に炭化して溶滴がない。世界の多くの国では、無溶滴生地の研究開発と生産が行われており、例えば日本ではアクリル繊維を使用して無溶滴生地を製造しており、ヨーロッパや中国でも無溶滴の効果を実現するためにビニロンが使用されている。
【0003】
溶滴生地の場合、溶滴状の燃焼生成物は皮膚にしっかりと付着し、重大な二次被害を引き起こし、非常に危険であり、そのため、無溶滴生地は、石油、化学工業、粉塵などの可燃性及び爆発性の消火活動、高温作業、緊急訓練などの産業及び状況で使用されている。
【0004】
また、同じ無溶滴生地でも、飛灰無溶滴生地及び炭化膜無溶滴生地に更に分けることができ、飛灰無溶滴生地の場合、燃えた灰が空中に飛散し、爆発や火災などの危険な状況では、溶融滴下による二次被害はないものの、皮膚が高温の火炎環境に直接さらされることになる。
【0005】
炭化膜無溶滴生地は比較的優れており、これは、炭化して膜を形成することができ、爆発や火災などの危険な状況では、溶融滴下による二次被害を引き起こさず、環境への熱被害を部分的に遮断する効果もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしその一方で、従来の無溶滴生地の研究開発は、主に生地の燃焼無溶融効果に重点が置かれており、無溶滴炭化膜形成生地の分野には注目も進歩もまだなく、いくつかの炭化膜形成生地は1~2回の洗濯にしか耐えられず、その後、燃焼後の炭化膜形成特性が失われる。
【0007】
特許公開番号がCN107177979A、公開日が2017年9月19日の中国特許には、無溶滴難燃性ポリエステル繊維/織物及びその製造方法が開示されており、その特徴は、難燃性ポリエステル繊維/織物の外表面に、難燃剤と架橋剤を含む接着剤溶液を含浸させ、電子線照射により難燃剤及び架橋剤を織物にグラフト導入して表層材料を形成し、そして水蒸気で蒸し、更にソーピング、すすぎと乾燥を経て、重量増加百分率が5~35%の上記無溶滴難燃性ポリエステル繊維/織物を得ることである。
【0008】
しかしながら、該発明特許における無溶滴難燃性ポリエステル繊維/織物は、十分な無溶滴難燃効果を達成するために多量の難燃剤を使用しているため、織物を素肌に着るときの着用感が非常に悪い。
【0009】
更に重要なことに、その無溶滴効果は、まさに飛灰無溶滴であり、生地が燃焼した後、皮膚が直接露出するため、依然として非常に危険である。
【0010】
要約すると、長期にわたって有効な炭化膜形成無溶滴機能を有する新しいタイプの生地が緊急に必要とされており、少なくとも複数回の洗濯後の炭化膜形成無溶滴機能が著しく低下することはない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、耐洗濯性炭化膜無溶滴生地を提供することであり、その混紡繊維は、ポリエステルアミド繊維、綿繊維及びポリエステル繊維を含み、ポリエステルアミド繊維の含有量は54.2~62.5重量%であり、ポリエステルアミド繊維は、テレフタル酸、ドデカンジオール、及びカプロラクタムを共重合することによって得られ、ポリエステルアミド繊維中のエステル結合とアミド結合の数の比は(10.2~15.5):1であり、最終的に得られる生地は、炭化膜に溶滴がなく、飛灰が飛散しにくいという特徴を有し、また複数回の洗濯後も炭化膜無溶滴機能が効率的に維持される。
【0012】
上述の問題を解決するために本発明が採用した技術的解決手段は、耐洗濯性炭化膜無溶滴生地であり、生地の組成にはポリエステルアミド繊維、綿繊維及びポリエステル繊維が含まれ、ポリエステルアミド繊維の含有量は54.2~62.5重量%であり、ポリエステルアミド繊維は、テレフタル酸、ドデカンジオール、及びカプロラクタムを共重合することによって得られ、ポリエステルアミド繊維中のエステル結合とアミド結合の数の比は(10.2~15.5):1である。
【0013】
本発明において、ポリエステル繊維、即ちポリエステルはそれ自体で元々耐洗濯性という利点を有し、一方、綿繊維は天然繊維であり、それ自体で元々無溶滴という利点を有し、本出願人は特定組成のポリエステルアミド繊維を定量的に導入することにより、以下の2つの目的を達成した。
【0014】
第一に、通常の無溶滴効果を炭化膜無溶滴に改善し、爆発や火災などの危険な状況では、溶融滴下による二次被害を引き起こさず、環境への熱被害を部分的に遮断する効果もあり、即ち、飛灰が飛散しにくい。
【0015】
第二に、炭化膜無溶滴だけでなく、少なくとも50回の水洗後でも、炭化膜無溶滴機能は著しく劣化することなく、依然として効率的に維持される。
【0016】
更に好ましい技術的解決手段では、ポリエステルアミド繊維の含有量は56.6重量%であり、ポリエステルアミド繊維中のエステル結合とアミド結合の数の比は14.6:1である。
【0017】
本発明において、本出願人は、含有量が56.6重量%、比率が14.6:1の上記特定のポリエステルアミド繊維を用いて生地を織ったところ、その生地が、無溶滴炭化膜形成性能と複数回の洗濯後の無溶滴炭化膜形成性能の低下範囲という2つの指標において総合的に最適であるという利点を有することを発見し、即ち、生地の着用初期段階では、燃焼後の膜形成率が大きく、飛灰飛散率が2%未満であり、50回の洗濯後、生地燃焼後の飛灰飛散率は依然として3%未満であり、即ち、炭化膜無溶滴機能は長期にわたって有効である。
【0018】
更に好ましい技術的解決手段では、ポリエステルアミド繊維の含有量が54.2~56.6重量%(56.6重量%を除く)である場合、ポリエステルアミド繊維中のエステル結合とアミド結合の数の比は(10.2~14.6):1(14.6:1を除く)であり、ポリエステルアミド繊維の含有量が56.6~62.5重量%である場合、ポリエステルアミド繊維中のエステル結合とアミド結合の数の比は(14.6-15.5):1である。
【0019】
本発明において、本出願人は、ポリエステルアミド繊維の含有量が54.2~56.6重量%(56.6重量%を除く)である場合、ポリエステルアミド繊維中のエステル結合とアミド結合の比率を増加させると、複数回の洗濯後の炭化膜無溶滴効果が著しく低下することを発見し、したがって前述のエステル結合とアミド結合の最大比率を14.6:1と定義した。
【0020】
一方、ポリエステルアミド繊維の含有量が56.6~62.5重量%である場合、エステル結合とアミド結合の比率を適切に増加させると、炭化膜無溶滴性能と耐洗濯性を若干低下させることを前提として、初期生地の炭化膜形成率を大幅に向上させることができ、特にポリエステルアミド繊維の含有量が56.6重量%で、エステル結合とアミド結合の比率が14.6:1であるグループでは、炭化膜形成率が最も高く、したがって、本発明では、炭化膜形成無溶滴性能の有効期間を延長することよりも、炭化形成率を向上させることの優先順位が高い。
【0021】
更に好ましい技術的解決手段では、ポリエステルアミド繊維の長さは38mm、線密度は1.33~1.56dtexである。
更に好ましい技術的解決手段では、ポリエステルアミド繊維の破断伸びは43~49%であり、公定水分率は0.6~0.7%である。
【0022】
更に好ましい技術的解決手段では、ポリエステルアミド繊維の融点は245~248℃、溶融結晶化温度は170~190℃、限界酸素指数LOIは21.6~22.5%である。
【0023】
本発明において、綿繊維自体が無溶滴という基本的な効果を有し、ポリエステルアミド繊維にも少なくとも比較的基本的な無溶滴効果が求められるため、ポリエステルアミド繊維の長さと線密度を上記のように定義し、最終的には、ポリエステルアミド繊維は、限界酸素指数LOIにおいて21.6~22.5%という優れた性能を有することが保証され、最終的には、綿繊維の無溶滴効果を妨げないだけでなく、無溶滴効果を炭化膜無溶滴に更に改善し、生地燃焼後に大量の飛灰がないことも保証する。
【0024】
更に好ましい技術的解決手段では、生地は、経糸と緯糸を織り交ぜて製造され、緯糸にはポリエステルアミド繊維、綿繊維、及びポリエステル繊維が使用され、経糸にはポリエステルアミド繊維及びポリエステル繊維が使用される。
【0025】
更に好ましい技術的解決手段では、生地の経糸密度は390~520本/10cm、緯糸密度は200~280本/10cmである。
【0026】
更に好ましい技術的解決手段では、初期生地の燃焼後の飛灰飛散率は2%以下であり、50回洗濯後の生地の燃焼飛灰飛散率は3%以下である。
【0027】
更に好ましい技術的解決手段では、GB/T5455-1997標準に基づく生地の限界酸素指数は22~26%であり、燃焼時に溶滴がない。
【0028】
本発明において、生地燃焼後の飛灰飛散面積は全体面積の3%未満であるため、大量の飛灰が発生することはない。
【発明の効果】
【0029】
本発明は以下の利点を有する。
【0030】
第一に、生地燃焼後の無溶滴効果は炭化膜無溶滴であり、炭化膜は、灰が飛び散りにくく、依然として皮膚を覆って熱の一部を遮断することができる。
【0031】
第二に、洗濯前の生地の炭化膜無溶滴性能は非常に優れており、生地を50回洗濯した後でも、炭化膜無溶滴性能は依然として比較的優れており、炭化膜無溶滴性能は長期にわたって有効であり得る。
【0032】
第三に、生地の縦糸と横糸の織り方は簡単で便利であり、消火や高温作業の分野で利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明による無溶滴生地の燃焼後に形成される炭化膜の形態を示す概略図である。
図2】従来技術による無溶滴生地の燃焼後の飛灰の形態を示す概略図である。
図3】従来技術による溶滴生地の燃焼後の形態を示す概略図である。
図4】本発明の実施例と比較例における生地の性能試験結果の表である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下の説明は、本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【0035】
実施例1
【0036】
耐洗濯性炭化膜無溶滴生地は、ポリエステルアミド繊維、綿繊維及びポリエステル繊維を含み、ポリエステルアミド繊維の含有量は56.6重量%であり、ポリエステルアミド繊維は、テレフタル酸、ドデカンジオール、及びカプロラクタムを共重合することによって得られ、ポリエステルアミド繊維中のエステル結合とアミド結合の数の比は14.6:1である。
【0037】
ここで、ポリエステルアミド繊維の長さは38mm、線密度は1.56dtexである。ポリエステルアミド繊維の破断伸びは44%であり、公定水分率は0.7%である。ポリエステルアミド繊維の融点は246℃、溶融結晶化温度は172℃、限界酸素指数LOIは21.8%である。
【0038】
また、生地は、経糸と緯糸を織り交ぜて製造され、緯糸にはポリエステルアミド繊維、綿繊維、及びポリエステル繊維が使用され、経糸にはポリエステルアミド繊維及びポリエステル繊維が使用される。生地の経糸密度は512本/10cm、緯糸密度は275本/10cmである。
【0039】
最後に、本実施例の生地について試験を行った。試験項目は初期生地の燃焼飛灰飛散率(%)、50回洗濯後の生地の燃焼飛灰飛散率(%)、限界酸素指数(%)、及び燃焼溶滴状況であり、最終的な試験結果を図4に示す。
【0040】
実施例2
【0041】
耐洗濯性炭化膜無溶滴生地は、ポリエステルアミド繊維、綿繊維及びポリエステル繊維を含み、ポリエステルアミド繊維の含有量は54.2重量%であり、ポリエステルアミド繊維は、テレフタル酸、ドデカンジオール、及びカプロラクタムを共重合することによって得られ、ポリエステルアミド繊維中のエステル結合とアミド結合の数の比は10.2:1である。
【0042】
ここで、ポリエステルアミド繊維の長さは38mm、線密度は1.56dtexである。ポリエステルアミド繊維の破断伸びは43%であり、公定水分率は0.6%である。ポリエステルアミド繊維の融点は247℃、溶融結晶化温度は171℃、限界酸素指数LOIは21.9%である。
【0043】
また、生地は、経糸と緯糸を織り交ぜて製造され、緯糸にはポリエステルアミド繊維、綿繊維、及びポリエステル繊維が使用され、経糸にはポリエステルアミド繊維及びポリエステル繊維が使用される。生地の経糸密度は504本/10cm、緯糸密度は237本/10cmである。
【0044】
最後に、本実施例の生地について試験を行った。試験項目は初期生地の燃焼飛灰飛散率(%)、50回洗濯後の生地の燃焼飛灰飛散率(%)、限界酸素指数(%)、及び燃焼溶滴状況であり、最終的な試験結果を図4に示す。
【0045】
実施例3
【0046】
耐洗濯性炭化膜無溶滴生地は、ポリエステルアミド繊維、綿繊維及びポリエステル繊維を含み、ポリエステルアミド繊維の含有量は62.5重量%であり、ポリエステルアミド繊維は、テレフタル酸、ドデカンジオール、及びカプロラクタムを共重合することによって得られ、ポリエステルアミド繊維中のエステル結合とアミド結合の数の比は15.5:1である。
【0047】
ここで、ポリエステルアミド繊維の長さは38mm、線密度は1.56dtexである。ポリエステルアミド繊維の破断伸びは47%であり、公定水分率は0.7%である。ポリエステルアミド繊維の融点は248℃、溶融結晶化温度は185℃、限界酸素指数LOIは22.2%である。
【0048】
また、生地は、経糸と緯糸を織り交ぜて製造され、緯糸にはポリエステルアミド繊維、綿繊維、及びポリエステル繊維が使用され、経糸にはポリエステルアミド繊維及びポリエステル繊維が使用される。生地の経糸密度は394本/10cm、緯糸密度は208本/10cmである。
【0049】
最後に、本実施例の生地について試験を行った。試験項目は初期生地の燃焼飛灰飛散率(%)、50回洗濯後の生地の燃焼飛灰飛散率(%)、限界酸素指数(%)、及び燃焼溶滴状況であり、最終的な試験結果を図4に示す。
【0050】
実施例4
【0051】
耐洗濯性炭化膜無溶滴生地は、ポリエステルアミド繊維、綿繊維及びポリエステル繊維を含み、ポリエステルアミド繊維の含有量は55.9重量%であり、ポリエステルアミド繊維は、テレフタル酸、ドデカンジオール、及びカプロラクタムを共重合することによって得られ、ポリエステルアミド繊維中のエステル結合とアミド結合の数の比は12.5:1である。
【0052】
ここで、ポリエステルアミド繊維の長さは38mm、線密度は1.56dtexである。ポリエステルアミド繊維の破断伸びは49%であり、公定水分率は0.7%である。ポリエステルアミド繊維の融点は248℃、溶融結晶化温度は188℃、限界酸素指数LOIは22.0%である。
【0053】
また、生地は、経糸と緯糸を織り交ぜて製造され、緯糸にはポリエステルアミド繊維、綿繊維、及びポリエステル繊維が使用され、経糸にはポリエステルアミド繊維及びポリエステル繊維が使用される。生地の経糸密度は475本/10cm、緯糸密度は236本/10cmである。
【0054】
最後に、本実施例の生地について試験を行った。試験項目は初期生地の燃焼飛灰飛散率(%)、50回洗濯後の生地の燃焼飛灰飛散率(%)、限界酸素指数(%)、及び燃焼溶滴状況であり、最終的な試験結果を図4に示す。
【0055】
実施例5
【0056】
耐洗濯性炭化膜無溶滴生地は、ポリエステルアミド繊維、綿繊維及びポリエステル繊維を含み、ポリエステルアミド繊維の含有量は58.2重量%であり、ポリエステルアミド繊維は、テレフタル酸、ドデカンジオール、及びカプロラクタムを共重合することによって得られ、ポリエステルアミド繊維中のエステル結合とアミド結合の数の比は14.7:1である。
【0057】
ここで、ポリエステルアミド繊維の長さは38mm、線密度は1.33dtexである。ポリエステルアミド繊維の破断伸びは45%であり、公定水分率は0.7%である。ポリエステルアミド繊維の融点は248℃、溶融結晶化温度は188℃、限界酸素指数LOIは22.3%である。
【0058】
また、生地は、経糸と緯糸を織り交ぜて製造され、緯糸にはポリエステルアミド繊維、綿繊維、及びポリエステル繊維が使用され、経糸にはポリエステルアミド繊維及びポリエステル繊維が使用される。生地の経糸密度は475本/10cm、緯糸密度は236本/10cmである。
【0059】
最後に、本実施例の生地について試験を行った。試験項目は初期生地の燃焼飛灰飛散率(%)、50回洗濯後の生地の燃焼飛灰飛散率(%)、限界酸素指数(%)、及び燃焼溶滴状況であり、最終的な試験結果を図4に示す。
【0060】
比較例1
【0061】
耐洗濯性炭化膜無溶滴生地は、ポリエステルアミド繊維、綿繊維及びポリエステル繊維を含み、ポリエステルアミド繊維の含有量は53.0重量%であり、ポリエステルアミド繊維は、テレフタル酸、ドデカンジオール、及びカプロラクタムを共重合することによって得られ、ポリエステルアミド繊維中のエステル結合とアミド結合の数の比は9.8:1である。
【0062】
ここで、ポリエステルアミド繊維の長さは38mm、線密度は1.56dtexである。ポリエステルアミド繊維の破断伸びは47%であり、公定水分率は0.7%である。ポリエステルアミド繊維の融点は246℃、溶融結晶化温度は182℃、限界酸素指数LOIは22.0%である。
【0063】
また、生地は、経糸と緯糸を織り交ぜて製造され、緯糸にはポリエステルアミド繊維、綿繊維、及びポリエステル繊維が使用され、経糸にはポリエステルアミド繊維及びポリエステル繊維が使用される。生地の経糸密度は512本/10cm、緯糸密度は275本/10cmである。
【0064】
最後に、本実施例の生地について試験を行った。試験項目は初期生地の燃焼飛灰飛散率(%)、50回洗濯後の生地の燃焼飛灰飛散率(%)、限界酸素指数(%)、及び燃焼溶滴状況であり、最終的な試験結果を図4に示す。
【0065】
比較例2
【0066】
耐洗濯性炭化膜無溶滴生地は、ポリエステルアミド繊維、綿繊維及びポリエステル繊維を含み、ポリエステルアミド繊維の含有量は54.9重量%であり、ポリエステルアミド繊維は、テレフタル酸、ドデカンジオール、及びカプロラクタムを共重合することによって得られ、ポリエステルアミド繊維中のエステル結合とアミド結合の数の比は18.0:1である。
【0067】
ここで、ポリエステルアミド繊維の長さは38mm、線密度は1.56dtexである。ポリエステルアミド繊維の破断伸びは48%であり、公定水分率は0.7%である。ポリエステルアミド繊維の融点は245℃、溶融結晶化温度は185℃、限界酸素指数LOIは21.7%である。
【0068】
また、生地は、経糸と緯糸を織り交ぜて製造され、緯糸にはポリエステルアミド繊維、綿繊維、及びポリエステル繊維が使用され、経糸にはポリエステルアミド繊維及びポリエステル繊維が使用される。生地の経糸密度は504本/10cm、緯糸密度は237本/10cmである。
【0069】
最後に、本実施例の生地について試験を行った。試験項目は初期生地の燃焼飛灰飛散率(%)、50回洗濯後の生地の燃焼飛灰飛散率(%)、限界酸素指数(%)、及び燃焼溶滴状況であり、最終的な試験結果を図4に示す。
【0070】
比較例3
【0071】
耐洗濯性炭化膜無溶滴生地は、ポリエステルアミド繊維、綿繊維及びポリエステル繊維を含み、ポリエステルアミド繊維の含有量は65.1重量%であり、ポリエステルアミド繊維は、テレフタル酸、ドデカンジオール、及びカプロラクタムを共重合することによって得られ、ポリエステルアミド繊維中のエステル結合とアミド結合の数の比は13.4:1である。
【0072】
ここで、ポリエステルアミド繊維の長さは38mm、線密度は1.56dtexである。ポリエステルアミド繊維の破断伸びは48%であり、公定水分率は0.6%である。ポリエステルアミド繊維の融点は248℃、溶融結晶化温度は186℃、限界酸素指数LOIは21.9%である。
【0073】
また、生地は、経糸と緯糸を織り交ぜて製造され、緯糸にはポリエステルアミド繊維、綿繊維、及びポリエステル繊維が使用され、経糸にはポリエステルアミド繊維及びポリエステル繊維が使用される。生地の経糸密度は394本/10cm、緯糸密度は208本/10cmである。
【0074】
最後に、本実施例の生地について試験を行った。試験項目は初期生地の燃焼飛灰飛散率(%)、50回洗濯後の生地の燃焼飛灰飛散率(%)、限界酸素指数(%)、及び燃焼溶滴状況であり、最終的な試験結果を図4に示す。
【0075】
なお、燃焼試験においては、すべての生地を2つに分割し、半分を初期燃焼試験に使用し、残りの半分を50回の洗浄と乾燥を行ってから燃焼試験に使用した。
【0076】
上記の5つの実施例、3つの比較例、及び4つの図面を組み合わせて、次の結論を導き出すことができる。
【0077】
第一に、合計3つの比較例のうち、1つの比較例では、ポリエステルアミド繊維中のエステル結合とアミド結合の比が低すぎ、2つ目の比較例ではポリエステルアミド繊維中のエステル結合とアミド結合の比が高すぎ、最後の比較例ではポリエステルアミド繊維の含有率が高すぎ、最終的に初期生地の燃焼飛灰飛散率が過剰に高くなり、即ち、炭化膜無溶滴性能が基準に達していない。
【0078】
第二に、50回の洗濯後、生地の炭化膜無溶滴性能が低下し、性能を向上させることができなくなる。
【0079】
第三に、5つの実施例における生地は、初期の炭化膜無溶滴性能及び50回洗濯後の炭化膜無溶滴性能の両方において基準に達しており、即ち、飛灰飛散率が3%以下である。
【0080】
第四に、ポリエステルアミド繊維、綿繊維、及びポリエステル繊維からなる混紡生地はいずれも、無溶滴という基本的な効果を有する。
【0081】
以上、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱することなく、当業者の知識の範囲内で様々な変更を加えること可能である。これらはすべて進歩性のない変更であり、特許請求の範囲の範囲内である限り、特許法により保護される。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-07-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルアミド繊維、綿繊維及びポリエステル繊維を含む耐洗濯性炭化膜無溶滴生地であって、前記ポリエステルアミド繊維の含有量が54.2~62.5重量%であり、前記ポリエステルアミド繊維が、テレフタル酸、ドデカンジオール、及びカプロラクタムを共重合することによって得られ、前記ポリエステルアミド繊維中のエステル結合とアミド結合の数の比が(10.2~15.5):1である、ことを特徴とする耐洗濯性炭化膜無溶滴生地。
【請求項2】
前記ポリエステルアミド繊維の含有量が56.6重量%であり、前記ポリエステルアミド繊維中のエステル結合とアミド結合の数の比が14.6:1である、ことを特徴とする請求項1に記載の耐洗濯性炭化膜無溶滴生地。
【請求項3】
前記ポリエステルアミド繊維の含有量が54.2~56.6重量%(56.6重量%を除く)である場合、前記ポリエステルアミド繊維中のエステル結合とアミド結合の数の比は(10.2~14.6):1(14.6:1を除く)であり、前記ポリエステルアミド繊維の含有量が56.6~62.5重量%である場合、前記ポリエステルアミド繊維中のエステル結合とアミド結合の数の比は(14.6-15.5):1である、ことを特徴とする請求項1に記載の耐洗濯性炭化膜無溶滴生地。
【請求項4】
前記ポリエステルアミド繊維の長さが38mm、線密度が1.33~1.56dtexである、ことを特徴とする請求項1に記載の耐洗濯性炭化膜無溶滴生地。
【請求項5】
前記ポリエステルアミド繊維の破断伸びが43~49%であり、公定水分率が0.6~0.7%である、ことを特徴とする請求項1に記載の耐洗濯性炭化膜無溶滴生地。
【請求項6】
前記ポリエステルアミド繊維の融点が245~248℃、溶融結晶化温度が170~190℃、限界酸素指数LOIが21.6~22.5%である、ことを特徴とする請求項1に記載の耐洗濯性炭化膜無溶滴生地。
【請求項7】
前記生地は、経糸と緯糸を織り交ぜて製造され、緯糸には前記ポリエステルアミド繊維、綿繊維、及びポリエステル繊維が使用され、経糸には前記ポリエステルアミド繊維及びポリエステル繊維が使用される、ことを特徴とする請求項1に記載の耐洗濯性炭化膜無溶滴生地。
【請求項8】
前記生地の経糸密度が390~520本/10cm、緯糸密度が200~280本/10cmである、ことを特徴とする請求項7に記載の耐洗濯性炭化膜無溶滴生地。
【国際調査報告】