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特表2024-526519バリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム、その製造方法及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】バリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム、その製造方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   B32B 23/08 20060101AFI20240711BHJP
   B65D 65/46 20060101ALI20240711BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
B32B23/08
B65D65/46
B65D65/40 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570079
(86)(22)【出願日】2023-05-26
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 CN2023096422
(87)【国際公開番号】W WO2023236784
(87)【国際公開日】2023-12-14
(31)【優先権主張番号】202210642715.1
(32)【優先日】2022-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523426507
【氏名又は名称】山東恒聯新材料股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANDONG HENGLIAN NEW MATERIALS CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100187883
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 正信
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 世子
(72)【発明者】
【氏名】李 柯▲セン▼
(72)【発明者】
【氏名】王 新
(72)【発明者】
【氏名】邱 金江
(72)【発明者】
【氏名】王 超
(72)【発明者】
【氏名】江 修才
(72)【発明者】
【氏名】李 萌
(72)【発明者】
【氏名】陳 玉苹
(72)【発明者】
【氏名】石 拓
(72)【発明者】
【氏名】劉 敏
(72)【発明者】
【氏名】李 連波
(72)【発明者】
【氏名】劉 法光
(72)【発明者】
【氏名】姚 瑞先
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AA23
3E086AB01
3E086AD01
3E086BA04
3E086BA14
3E086BA15
3E086BB01
3E086BB02
3E086BB05
3E086BB51
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4F100AA20H
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4F100EH46C
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4F100JL12
4F100YY00
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
(57)【要約】
【課題】本発明は、バリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム、その製造方法及び使用を提供し、機能性セルロースフィルムの技術分野に関する。
【解決手段】本発明が提供するバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムは、順次積層されたバリア層、再生セルロースベースフィルム及び接着層を含み、バリア層は、バリア塗料(ポリ塩化ビニリデンエマルジョン、第1の接着防止剤及び水)で形成され、接着層は、接着塗料(エマルジョン(アクリレートエマルジョン及び/又はポリウレタンエマルジョン)、第2の接着防止剤及び水)で形成される。本発明が提供するバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムは、高い接着力とバリア性を有し、紙製品と直接熱圧着でき、紙製品との接着強度が高く、ラミネート紙の接着強度の使用要件に達し、本発明が提供するバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムは、水分バリア性が高く、酸素バリア性が高く、優れた保香性、鮮度保持性及び防湿性を有し、本発明が提供するバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムは、それ自体のヒートシール強度が高く、それ自体を熱圧着して包装袋に製造でき、包装袋のシール強度が高い。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムであって、順次積層されたバリア層、再生セルロースベースフィルム及び接着層を含み、
前記バリア層は、ポリ塩化ビニリデンエマルジョン、第1の接着防止剤及び水を含むバリア塗料で形成され、
前記接着層は、エマルジョン、第2の接着防止剤及び水を含む接着塗料で形成され、前記エマルジョンは、アクリレートエマルジョン及び/又はポリウレタンエマルジョンを含むことを特徴とするバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム。
【請求項2】
前記再生セルロースベースフィルム、バリア層及び接着層の質量比は、77~87:4~8:9~15であることを特徴とする請求項1に記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム。
【請求項3】
前記バリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムの含水率は、5~6%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム。
【請求項4】
前記バリア塗料中のポリ塩化ビニリデンエマルジョンと第1の接着防止剤の質量比は、100:1~3であることを特徴とする請求項1又は2に記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム。
【請求項5】
前記ポリ塩化ビニリデンエマルジョンの固形分含有量は、30~45%であることを特徴とする請求項4に記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム。
【請求項6】
前記第1の接着防止剤は、ワックス接着防止剤及びシリカ粉末接着防止剤のうちの一種又は二種を含み、前記第1の接着防止剤の粒子径は、100~300nmであることを特徴とする請求項4に記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム。
【請求項7】
前記バリア層の厚さは、2~7μmであることを特徴とする請求項1、2、5又は6に記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム。
【請求項8】
前記接着塗料中のアクリレートエマルジョンと第2の接着防止剤の質量比は、100:0.5~1.5であることを特徴とする請求項1又は2に記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム。
【請求項9】
前記アクリレートエマルジョンの固形分含有量は、30~45%であることを特徴とする請求項8に記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム。
【請求項10】
前記第1の接着防止剤は、ワックス接着防止剤及びシリカ粉末接着防止剤のうちの一種又は二種を含み、前記第2の接着防止剤の粒子径は、100~300nmであることを特徴とする請求項8に記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム。
【請求項11】
前記接着層の厚さは、4~7μmであることを特徴とする請求項1、2、9又は10に記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム。
【請求項12】
前記再生セルロースベースフィルムの坪量は、30~60g/mであることを特徴とする請求項1又は2に記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム。
【請求項13】
前記再生セルロースベースフィルムの厚さは、20~40μmであることを特徴とする請求項12に記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム。
【請求項14】
バリア塗料及び接着塗料を使用して、再生セルロースベースフィルムの両面に対して同時両面塗布を行い、バリア層及び接着層をそれぞれ形成し、バリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムを得るステップを含むことを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムの製造方法。
【請求項15】
前記同時両面塗布は、空気圧ダイアフラムポンプを使用して、バリア塗料及び接着塗料をそれぞれ第1の塗布槽及び第2の塗布槽内にポンピングし、アニロックスロールを使用して、再生セルロースベースフィルムに対して同時両面塗布を行うステップを含むことを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記アニロックスロール塗布の走行速度は、70~95m/minであり、
前記バリア塗料のアニロックスロール塗布のアニロックスロールのメッシュ数は、100~250メッシュであり、前記バリア塗料の乾燥状態での塗布量は、3~5g/mであり、
前記接着塗料のアニロックスロール塗布のアニロックスロールのメッシュ数は、100~180メッシュであり、前記接着塗料の乾燥状態での塗布量は、4~7g/mであることを特徴とする請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
前記両面同時塗布後、得られたバリア性及びヒートシール性を兼ね備えた湿潤セルロースフィルムを乾燥させ、次いで冷却し、巻き取るステップをさらに含むことを特徴とする請求項14、15又は16に記載の製造方法。
【請求項18】
前記乾燥は予備乾燥及び乾燥を順次行うことを含み、前記予備乾燥は赤外線乾燥を含み、前記予備乾燥の温度は60~80℃、時間は1.2~1.8s、前記乾燥の温度は60~120℃であることを特徴とする請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
前記乾燥は横型乾燥であり、前記横型乾燥は8つのゾーンに分けられ、順にゾーン1~ゾーン8として記され、前記ゾーン1の温度は85~95℃、前記ゾーン2の温度は95~105℃、前記ゾーン3の温度は105~115℃、前記ゾーン4の温度は105~120℃、前記ゾーン5の温度は95~105℃、前記ゾーン6の温度は85~100℃、前記ゾーン7の温度は80~98℃、前記ゾーン8の温度は85~95℃であることを特徴とする請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
請求項1~13のいずれか一項に記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム又は請求項14~19のいずれか一項に記載の製造方法により得られたバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムの包装分野における使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年06月08に中国特許庁に出願された、出願番号がCN202210642715.1、発明の名称が「バリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム、その製造方法及び使用」である中国特許出願の優先権を主張し、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、機能性セルロースフィルムの技術分野、具体的には、バリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム、その製造方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0003】
天然セルロースを原料として製造された再生セルロースフィルムは、生分解性、環境に優しいという特性を有し、理想的な環境に優しい材料である。
【0004】
再生セルロースフィルムをベースフィルムとして、溶剤型塗料をディップコーティング又はブレードコーティングすることなどによって塗布して、ヒートシール性、バリア性を備えたセルロースフィルムを製造し、非荷重、ヒートシール強度要件350g/37mm以下の応用シーンを満たすことができる。
【0005】
プラスチック禁止令が世界中で絶えず出されることに伴い、分野を越えて使用される再生セルロース機能性フィルムは、包装業界の需要のホットスポットとなっているが、元のヒートシール強度により、耐荷重包装袋の製造を満たすことができず、ラミネートホットメルトプラスチックフィルムを代替して紙フィルム複合包装製品を完成できないニーズなどの高い接着力に類似する使用など、多くの用途に制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これに鑑み、本発明の目的は、バリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム、その製造方法及び使用を提供することであり、本発明が提供するバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムと紙との接着強度、及びバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム自体の接着強度が高く、使用要件を満たし、水性エマルジョンコーティングを適用することで、生産過程は環境に優しい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記発明の目的を達成するために、本発明は、以下の技術的解決手段を提供する。
【0008】
本発明は、順次積層されたバリア層、再生セルロースベースフィルム及び接着層を含むバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムを提供し、
前記バリア層は、ポリ塩化ビニリデンエマルジョン、第1の接着防止剤及び水を含むバリア塗料で形成され、
前記接着層は、エマルジョン、第2の接着防止剤及び水を含む接着塗料で形成され、前記エマルジョンは、アクリレートエマルジョン及び/又はポリウレタンエマルジョンを含む。
【0009】
好ましくは、前記再生セルロースベースフィルム、バリア層及び接着層の質量比は、77~87:4~8:9~15である。
【0010】
好ましくは、前記バリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムの含水率は、5~6%である。
【0011】
好ましくは、前記バリア塗料中のポリ塩化ビニリデンエマルジョンと第1の接着防止剤の質量比は、100:1~3である。
【0012】
好ましくは、前記接着塗料中のアクリレートエマルジョンと第2の接着防止剤の質量比は、100:0.5~1.5である。
【0013】
好ましくは、前記再生セルロースベースフィルムの坪量は、30~60g/mである。
【0014】
本発明は、バリア塗料及び接着塗料を使用して、再生セルロースベースフィルムの両面に対して同時両面塗布を行い、バリア層及び接着層をそれぞれ形成し、バリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムを得るステップを含む、上記技術的解決手段に記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムの製造方法を提供する。
【0015】
好ましくは、前記同時両面塗布は、空気圧ダイアフラムポンプを使用して、バリア塗料及び接着塗料をそれぞれ第1の塗布槽及び第2の塗布槽内にポンピングし、アニロックスロール塗布を使用して、再生セルロースベースフィルムに対して同時両面塗布を行うステップを含む。
【0016】
好ましくは、前記アニロックスロール塗布の走行速度は、70~95m/minであり、
前記バリア塗料のアニロックスロール塗布のアニロックスロールのメッシュ数は、100~250メッシュであり、前記バリア塗料の乾燥状態での塗布量は、3~5g/mであり、
前記接着塗料のアニロックスロール塗布のアニロックスロールのメッシュ数は、100~180メッシュであり、前記接着塗料の乾燥状態での塗布量は、4~7g/mである。
【0017】
本発明は、上記技術的解決手段に記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム又は上記技術的解決手段に記載の製造方法により得られたバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムの包装分野における使用を提供する。
【0018】
本発明は、順次積層されたバリア層、再生セルロースベースフィルム及び接着層を含むバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムを提供し、前記バリア層は、ポリ塩化ビニリデンエマルジョン、第1の接着防止剤及び水を含むバリア塗料で形成され、前記接着層は、エマルジョン、第2の接着防止剤及び水を含む接着塗料で形成され、前記エマルジョンは、アクリレートエマルジョン及び/又はポリウレタンエマルジョンを含む。バリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムは、高い接着力とバリア性を同時に有し、紙製品と直接熱圧着でき、紙製品との接着強度及び機械的強度が高く、ラミネート紙の接着強度の使用要件をある程度満たし、水分バリア性が高く、酸素バリア性が高く、優れた保香性、鮮度保持性及び防湿性を有する。本発明が提供するバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムは、自己接着性が高く、それ自体を熱圧着して包装袋に製造でき、包装袋のシール強度が高く、包装材料として非常に良い応用見通しを有する。実施例の試験結果に示すように、本発明が提供するバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムは、坪量が40~60g/m、長手方向の引張強度が>36N/15mm、長手方向の伸びが>18%、接着層と紙製品との接着強度が>6N/15mm、接着層自体の接着強度が>7N/15mm、酸素透過率が≦5mL/(m・24h)、水蒸気透過性が≦12g/(m・24h)、バリア層の表面張力が≧42ダイン、含水率が≦5.5wt%である。
【0019】
本発明は、上記技術的解決手段に記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムの製造方法を提供する。本発明が提供する製造方法は、操作がシンプルであり、製造原料の供給源が広く、コストが低く、工業生産に適する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、順次積層されたバリア層、再生セルロースベースフィルム及び接着層を含むバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムを提供する。
【0021】
本発明において、前記バリア層は、ポリ塩化ビニリデンエマルジョン、第1の接着防止剤及び水を含むバリア塗料で形成される。本発明の具体的な実施例では、前記ポリ塩化ビニリデン(PVDC)エマルジョンは、米国ソルベイ社から購入することが好ましい。本発明において、前記ポリ塩化ビニリデンエマルジョンの固形分含有量は、好ましくは30~45%、より好ましくは35~40%である。本発明において、前記第1の接着防止剤は、ワックス接着防止剤及びシリカ粉末接着防止剤のうちの一種又は二種を含むことが好ましく、前記ワックス接着防止剤は、好ましくはPoligen WE-1(BASFワックスエマルジョン)であり、前記第1の接着防止剤の粒子径は、好ましくは100~300nm、より好ましくは150~200nmである。本発明において、前記水は、軟水を含むことが好ましい。本発明において、前記バリア塗料中のポリ塩化ビニリデンエマルジョンと第1の接着防止剤の質量比は、好ましくは100:1~3、より好ましくは100:1.5~2.5、さらに好ましくは100:2である。
【0022】
本発明において、前記バリア塗料の製造方法は、ポリ塩化ビニリデンエマルジョン、第1の接着防止剤及び水を混合して、バリア塗料を得るステップを含むことが好ましい。本発明において、前記混合の順序は、第1の接着防止剤と水を予備混合し、得られた第1の接着防止剤液とPVDCエマルジョンを混合することが好ましく、前記予備混合の温度は、好ましくは室温であり、前記予備混合の速度は、好ましくは500~1000r/min、より好ましくは700~800r/minであり、前記予備混合の時間は、好ましくは5~15min、より好ましくは10minであり、前記予備混合の温度は、好ましくは室温であり、前記混合の速度は、好ましくは60~120r/min、より好ましくは80~100r/minであり、前記混合の時間は、好ましくは15~25min、より好ましくは20minであり、前記混合の温度は、好ましくは室温である。本発明において、前記バリア層の厚さは、好ましくは2~7μm、より好ましくは3~6μm、さらに好ましくは4~5μmである。
【0023】
本発明において、前記接着層は、エマルジョン、第2の接着防止剤及び水を含む接着塗料で形成され、前記エマルジョンは、アクリレートエマルジョン及び/又はポリウレタンエマルジョンを含む。本発明において、前記第2の接着防止剤の選択可能な種類及び粒子径は、前記第1の接着防止剤と同じであることが好ましく、ここで詳細な説明は繰り返さない。本発明の具体的な実施例では、前記アクリレートエマルジョンは、好ましくはDSM水性アクリルエマルジョンである。本発明において、前記アクリレートエマルジョンの固形分含有量は、好ましくは30~45%、より好ましくは35~40%である。本発明において、前記水は、軟水を含むことが好ましい。本発明において、前記接着塗料中のアクリレートエマルジョンと第2の接着防止剤の質量比は、好ましくは100:0.5~1.5、より好ましくは100:0.8~1.2、さらに好ましくは100:1である。本発明において、前記接着塗料の製造方法は、アクリレートエマルジョン、第2の接着防止剤及び水を混合して、接着塗料を得るステップを含むことが好ましい。本発明において、前記混合の順序は、第2の接着防止剤と水を予備混合し、得られた第2の接着防止剤液とアクリレートエマルジョンを混合することが好ましく、前記予備混合の温度は、好ましくは室温であり、前記予備混合の速度は、好ましくは500~1000r/min、より好ましくは700~800r/minであり、前記予備混合の時間は、好ましくは5~15min、より好ましくは10minであり、前記予備混合の温度は、好ましくは室温であり、前記混合の速度は、好ましくは60~120r/min、より好ましくは80~100r/minであり、前記混合の時間は、好ましくは15~25minであり、より好ましくは20minであり、前記混合の温度は、好ましくは室温である。本発明において、前記接着層の厚さは、好ましくは4~7μm、より好ましくは4.5~6.5μm、さらに好ましくは5~6μmである。
【0024】
本発明において、前記再生セルロースベースフィルムの坪量は、好ましくは30~60g/m、より好ましくは35~55g/m、より好ましくは40~50g/mである。前記再生セルロースベースフィルムの厚さは、好ましくは20~40μm、より好ましくは27~35μmである。
【0025】
本発明において、前記セルロースベースフィルム中の再生セルロースベースフィルム、バリア層及び接着層の質量比は、好ましくは77~87:4~8:9~15、より好ましくは80~85:5~7:10~14、さらに好ましくは82~83:6~6.5:12~13である。本発明において、前記バリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムの含水率は、好ましくは5~6%、より好ましくは5.2~5.8%、さらに好ましくは5.4~5.5%である。
【0026】
本発明は、バリア塗料及び接着塗料を使用して、再生セルロースベースフィルムの両面に対して同時両面塗布を行い、バリア層及び接着層をそれぞれ形成し、バリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムを得るステップを含む、上記技術的解決手段に記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムの製造方法を提供する。
【0027】
本発明において、特に断りのない限り、すべての原料成分は、当業者に周知の市販品である。
【0028】
本発明において、前記再生セルロースベースフィルムの製造方法は特に制限されず、当業者によく知られている製造方法、具体的には、二硫化炭素ビスコース法、文献(賈向娟.NMMO/HO溶液法による高吸着再生セルロース材料の製造に関する研究[D].陝西科技術大学.)に開示された再生セルロースフィルムの製造方法、又は既に工業生産を実現した中国科学院と山東恒聯新材料有限公司が共同開発した、イオン液体によってセルロースを直接溶解し、再生セルロースフィルムを製造する方法を採用すればよい。
【0029】
本発明の具体的な実施例では、前記再生セルロースベースフィルムは、二硫化炭素ビスコース法で製造されることが好ましく、具体的なステップは、セルロース原料をアルカリ化した後に黄変させて、キサントゲン酸セルロース、すなわちビスコース原液を得、前記ビスコース原液を噴射成膜し、次に酸凝固再生浴に入れて酸凝固再生を行い、再生セルロースフィルムを得ることである。本発明において、前記繊維原料は、綿パルプ、針葉樹又は広葉樹パルプを含むことが好ましい。本発明において、前記アルカリ化用アルカリ液は、水酸化ナトリウム溶液を含むことが好ましく、前記アルカリ化用アルカリ液の濃度は、好ましくは17.5~18.5wt%、より好ましくは18wt%であり、前記アルカリ化の温度は、好ましくは45~65℃、より好ましくは50~60℃であり、前記アルカリ化の時間は、好ましくは10~30min、より好ましくは15~25minであり、前記アルカリ化過程において、セルロースと水酸化ナトリウムは、アルカリセルロースを生成する。本発明において、前記黄変用の黄変試薬は、好ましくはCSであり、前記アルカリセルロースと黄変試薬の質量比は、好ましくは1:0.25~0.32(20℃での使用量を基準とする)、より好ましくは1:0.3であり、前記黄変の初期温度は、好ましくは20~30℃、より好ましくは25℃であり、前記黄変の時間は、好ましくは30~60min、より好ましくは40~50minである。本発明において、前記酸凝固再生浴は、希硫酸又は希硫酸-硫酸ナトリウムの混合溶液を含むことが好ましく、前記希硫酸の濃度は、好ましくは10~18wt%、より好ましくは12~15wt%であり、前記希硫酸-硫酸ナトリウムの混合溶液において、希硫酸の濃度(すなわちHSO/HO)は、好ましくは10~18wt%、より好ましくは12~15wt%であり、硫酸ナトリウムの濃度は、好ましくは230~260g/L、より好ましくは245~255g/Lである。本発明において、前記繊維ビスコース原液を流延ダイを通して酸凝固再生浴に入れて酸凝固再生を行うことが好ましい。
【0030】
本発明は、再生セルロースフィルムを得た後、前記再生セルロースフィルムに対して前処理及び軟化接着防止処理を順次行い、再生セルロースベースフィルムを得る。
【0031】
本発明において、前記前処理は、再生セルロースフィルムに対して第1の水洗、脱硫、第2の水洗、漂白、脱塩及び第3の水洗を順次行うことを含むことが好ましい。本発明において、第1の水洗、第2の水洗及び第3の水洗の回数は、独立に、好ましくは1~6回、より好ましくは2~4回である。本発明において、前記脱硫は、アルカリ液を使用して行うことが好ましく、前記アルカリ液の濃度は、好ましくは1.5~3.5g/L、より好ましくは2~3g/Lであり、前記アルカリ液は、水酸化ナトリウム水溶液を含むことが好ましい。本発明において、前記漂白用漂白剤は、次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素又はオゾンを含むことが好ましく、次亜塩素酸ナトリウムを含むことがより好ましく、濃度は、好ましくは1~4g/L、より好ましくは1.5~2.5g/Lである。本発明において、前記脱塩素は、軟水洗浄を含むことが好ましい。
【0032】
本発明において、前記軟化接着防止処理に用いられる軟化剤-接着防止剤水分散液は、軟化剤、接着防止剤及び水を含み、前記軟化剤は、ポリオールを含むことが好ましく、トリエチレングリコール又はグリセリンを含むことがより好ましく、前記接着防止剤は、ナノシリカを含むことが好ましく、前記接着防止剤の粒子径は、好ましくは5~600nm、より好ましくは80~100nmである。本発明において、前記軟化剤と接着防止剤の質量比は、好ましくは30~50:1.5~5、より好ましくは35~45:2~4.5、さらに好ましくは40~45:3~4である。本発明において、前記水は、好ましくは軟水である。本発明において、前記軟化剤-接着防止剤水分散液中の軟化剤の濃度は、好ましくは30~50g/L、より好ましくは35~45g/L、さらに好ましくは40~45g/Lである。本発明において、前記軟化剤-接着防止剤水分散液の使用量は、前記湿潤再生セルロースフィルムを浸漬できる量であれば特に制限されない。本発明において、前記軟化接着防止処理の温度は、好ましくは30~70℃、より好ましくは45~55℃であり、前記軟化接着防止処理の時間は、好ましくは10~20s、より好ましくは12~16sである。
【0033】
本発明は、前記軟化接着防止処理後、前記軟化接着防止処理後の再生セルロースフィルムを順次乾燥及び巻き取り、再生セルロースベースフィルムを得ることをさらに含むことが好ましい。本発明において、前記乾燥の温度は、好ましくは100~150℃、より好ましくは120~140℃であり、前記乾燥の時間は、好ましくは20~80s、より好ましくは40~50sである。本発明において、前記巻き取りは特に制限されず、当業者によく知られている巻き取り操作を採用すればよい。
【0034】
本発明は、再生セルロースベースフィルムを得た後、バリア塗料及び接着塗料を使用して、再生セルロースベースフィルムの両面に対して同時両面塗布を行い、バリア層及び接着層をそれぞれ形成して、バリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムを得る。
【0035】
本発明において、前記同時両面塗布は、空気圧ダイアフラムポンプを使用して、バリア塗料及び接着塗料をそれぞれ第1の塗布槽及び第2の塗布槽内にポンピングし、アニロックスロール塗布を使用して、前記再生セルロースベースフィルムに対して同時両面塗布を行うステップを含むことが好ましい。本発明において、前記アニロックスロール塗布の走行速度は、好ましくは70~95m/min、より好ましくは75~90m/min、さらに好ましくは80~85m/minである。本発明において、前記バリア塗料のアニロックスロール塗布のアニロックスロールのメッシュ数は、好ましくは100~250メッシュ、より好ましくは150~200メッシュであり、前記バリア塗料の乾燥状態での塗布量は、好ましくは3~5g/m、より好ましくは3.5~4.5g/m、さらに好ましくは4g/mである。本発明において、前記接着塗料のアニロックスロール塗布のアニロックスロールのメッシュ数は、好ましくは100~180メッシュ、より好ましくは130~150メッシュであり、前記接着塗料の乾燥状態での塗布量は、好ましくは4~7g/m、より好ましくは4.5~6.5g/m、さらに好ましくは5~6g/mである。
【0036】
本発明は、前記同時両面塗布が完了した後、得られたバリア性及びヒートシール性を兼ね備えた湿潤セルロースフィルムを乾燥させ、次いで冷却し、巻き取り、バリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムを得ることをさらに含むことが好ましい。本発明において、前記乾燥は、予備乾燥と乾燥を順次行うことが好ましい。本発明において、前記予備乾燥は、赤外線乾燥を含むことが好ましく、前記予備乾燥の温度は、好ましくは60~80℃、より好ましくは70℃であり、前記予備乾燥の時間は、好ましくは1.2~1.8s、より好ましくは1.4~1.5sである。本発明において、前記乾燥の温度は、好ましくは60~120℃、より好ましくは85~120℃である。本発明において、前記乾燥は、横型乾燥を含むことが好ましく、前記横型乾燥は、8つのゾーンに分けられ、順にゾーン1~ゾーン8として記される。本発明において、前記ゾーン1の温度は、好ましくは85~95℃、より好ましくは90℃であり、前記ゾーン1の乾燥時間は、好ましくは2.7~3.2s、より好ましくは2.8~3.0sである。本発明において、前記ゾーン2の温度は、好ましくは95~105℃、より好ましくは100℃であり、前記ゾーン2の乾燥時間は、好ましくは2.7~3.2s、より好ましくは2.8~3.0sである。本発明において、前記ゾーン3の温度は、好ましくは105~115℃、より好ましくは110℃であり、前記ゾーン3の乾燥時間は、好ましくは2.7~3.2s、より好ましくは2.8~3.0sである。本発明において、前記ゾーン4の温度は、好ましくは105~120℃、より好ましくは110~115℃であり、前記ゾーン4の乾燥時間は、好ましくは2.7~3.2s、より好ましくは2.8~3.0sである。本発明において、前記ゾーン5の温度は、好ましくは95~105℃、より好ましくは100℃であり、前記ゾーン5の乾燥時間は、好ましくは2.7~3.2s、より好ましくは2.8~3.0sである。本発明において、前記ゾーン6の温度は、好ましくは85~100℃、より好ましくは90~95℃であり、前記ゾーン6の乾燥時間は、好ましくは2.7~3.2s、より好ましくは2.8~3.0sである。本発明において、前記ゾーン7の温度は、好ましくは80~98℃、より好ましくは90~95℃であり、前記ゾーン7の乾燥時間は、好ましくは2.7~3.2s、より好ましくは2.8~3.0sである。本発明において、前記ゾーン8の温度は、好ましくは85~95℃、より好ましくは88~93℃であり、前記ゾーン8の乾燥時間は、好ましくは2.7~3.2s、より好ましくは2.8~3.0sである。本発明において、前記乾燥過程では、バリア性及びヒートシール性を兼ね備えた湿潤セルロースフィルムのバリアヒートシール面は下にあり、前記接着層面は上にある。本発明において、前記乾燥過程では、再生セルロースベースフィルムの両面に塗布されたエマルジョンの性質及び乾燥状態での塗布量が異なるため、再生セルロースベースフィルムが乾燥過程において片面へカールし、塗布過程が正常に進行しなくなる。本発明は、予備乾燥及び横型乾燥の方式を採用し、8つのゾーンの温度及び速度を制御することにより、再生セルロースベースフィルムの両面の応力のバランスがとれ、平坦に巻き取る。本発明において、前記冷却巻き取り用の冷却ラミネートロールの温度は、好ましくは20~25℃、より好ましくは22~23℃である。
【0037】
本発明は、上記技術的解決手段に記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム又は上記技術的解決手段に記載の製造方法により得られたバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムの包装分野における使用を提供する。本発明が提供するバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムは、紙製品と直接熱圧着でき、ラミネート紙の接着強度の使用要件をある程度満たし、同時に、本発明が提供するバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムは、水分バリア性及び酸素バリア性が高く、良好な保香性、鮮度保持性及び防湿性を有し、さらに、本発明が提供するバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムは、それ自体を熱圧着することもでき、製袋シール強度が高く、包装材料として非常に良好な応用見通しを有する。
【0038】
以下、本発明における実施例を参照しながら、本発明における技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。明らかに、説明された実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を要さずに取得したすべての他の実施例は、本発明の技術的範囲に属する。
【0039】
実施例1
(1)綿パルプと木材パルプを質量比1:3で均一に混合し、得られた混合パルプを濃度17.5wt%の水酸化ナトリウム溶液を体積比1:28で均一に混合し、45℃で30minアルカリ化し、得られたアルカリセルロースとCSを質量比1:0.28で均一に混合し、20℃で60min黄変させ、繊維ビスコース原液を得、前記繊維ビスコース原液を流延ダイを通して希硫酸(濃度12wt%)に入れ、50℃で酸凝固を行い、再生セルロースを得た。前記再生セルロースを順次水洗し、濃度1.5g/Lのアルカリ液中で80℃で脱硫し、水洗し、pH値9の次亜塩素酸ナトリウム溶液中で漂白し、室温で軟水に入れて脱塩素し、水洗し、次いで軟化浴槽に浸漬し、トリエチレングリコール-ナノスケールシリカ水分散液中で50℃で8s軟化処理した後、130℃で乾燥させ、調湿し、巻き取り、含水率6.0%、坪量30g/mの再生セルロースベースフィルムを得、ここで、トリエチレングリコール-ナノシリカ水分散液中のトリエチレングリコールの濃度は30g/Lであり、ナノシリカの粒子径は80nmであり、濃度は1.5g/Lであった。
(2)軟水とワックス接着防止剤(BASFワックスエマルジョン、Poligen WE-1)を質量比1:0.3で1000r/minで10min撹拌し、得られたワックス接着防止剤液とDSM水性アクリレートエマルジョンを200r/minで10min撹拌して、接着塗料を得、200r/minで貯蔵し、使用に備え、ここで、接着塗料中のアクリレートエマルジョンとワックス接着防止剤の質量比は100:0.5であり、接着塗料の固形分含有量は42%であり、均一に撹拌した後、200r/minの速度で撹拌して貯蔵し、使用に備えた。
(3)軟水とワックス接着防止剤(BASFワックスエマルジョン、Poligen WE-1)を質量比1:0.3で1000r/minで10min撹拌し、得られたワックス接着防止剤液、PVDCエマルジョン(米国ソルベイ社から購入)及び接着防止剤を200r/minで10min撹拌して、バリア塗料を得、200r/minで貯蔵し、使用に備え、ここで、バリア塗料中のPVDCエマルジョンとワックス接着防止剤の質量比は100:1.5であり、バリア塗料の固形分含有量は40%であった。
(4)同時両面塗布:空気圧ダイヤフラムポンプを使用して、前記バリア塗料及び接着塗料をそれぞれ第1の塗布槽及び第2の塗布槽内にポンピングし、アニロックスロール塗布を使用して、前記再生セルロースベースフィルムに対して同時両面塗布を行い、バリア性及びヒートシール性を兼ね備えた湿潤セルロースフィルムを得、ここで、走行速度は90m/minであり、バリア塗料の塗布に用いられるアニロックスロールのメッシュ数は250メッシュであり、乾燥状態での塗布量は2.5g/mであり、接着塗料の塗布に用いられるアニロックスのメッシュ数は150メッシュであり、乾燥状態での塗布量は6g/mであった。
(5)前記バリア性及びヒートシール性を兼ね備えた湿潤セルロースフィルムを60℃で1.3s赤外線乾燥させ、次いで乾燥トンネルに入れ、熱風で加熱する横型乾燥法で乾燥させ、冷却ラミネートロールの温度20℃で冷却し、巻き取り、バリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムを得た。
ここで、横型乾燥条件を表1に示す。
【表1】
GB/T24695-2009試験方法によれば、バリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムの性能試験結果:坪量は40g/m、長手方向の引張強度は36.85N/15mm、長手方向の伸びは18.36%、接着層と紙製品との接着強度は6.58N/15mmであり、接着層自体の接着強度は7.3N/15mm、酸素透過率は5mL/(m・24h)、水蒸気透過性は12g/(m・24h)、バリア層の表面張力は42ダイン、含水率は5.2wt%であった。
【0040】
実施例2
実施例1の方法に従って、バリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムを製造し、実施例1との相違点は、以下のとおりである。
ステップ(1)において、再生セルロースベースフィルムの坪量は40g/m、トリエチレングリコールの濃度は40g/L、ナノスケールシリカの濃度は3g/Lであった。
ステップ(2)において、接着塗料中のアクリレートエマルジョンとワックス接着防止剤の質量比は100:1、接着塗料の固形分含有量は42%であった。
ステップ(3)において、バリア塗料中のPVDCエマルジョンとワックス接着防止剤の質量比は100:1、バリア塗料の固形分含有量は40%であった。
ステップ(4)において、走行速度は80m/min、バリア塗料の塗布に用いられるアニロックスロールのメッシュ数は200メッシュ、乾燥状態での塗布量は3g/m、接着塗料の塗布に用いられるアニロックスロールのメッシュ数は100メッシュ、乾燥状態での塗布量は6.5g/mであった。
ステップ(5)において、赤外線乾燥の温度は70℃、時間は1.5s、冷却ラミネートロールの温度は23℃であった。
GB/T24695-2009試験方法によれば、バリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムの性能試験結果:坪量は50g/m、長手方向の引張強度は52.63N/15mm、長手方向の伸びは22.34%、接着層と紙製品との接着強度は7.21N/15mm、接着層自体の接着強度は7.8N/15mm、酸素透過率は3.8mL/(m・24h)、水蒸気透過性は9g/(m・24h)、バリア層の表面張力は42ダイン、含水率は5.5wt%であった。
【0041】
実施例3
実施例1の方法に従って、バリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムを製造し、実施例1との相違点は、以下のとおりである。
ステップ(1)において、再生セルロースベースフィルムの坪量は50g/m、トリエチレングリコールの濃度は50g/L、ナノスケールシリカの濃度は5g/Lであった。
ステップ(2)において、接着塗料中のアクリレートエマルジョンとワックス接着防止剤の質量比は100:1.5、接着塗料の固形分含有量は42%であった。
ステップ(3)において、バリア塗料中のPVDCエマルジョンとワックス接着防止剤の質量比は100:2、バリア塗料の固形分含有量は40%であった。
ステップ(4)において、走行速度は75m/min、バリア塗料の塗布に用いられるアニロックスロールのメッシュ数は150メッシュ、乾燥状態での塗布量は4g/m、接着塗料の塗布に用いられるアニロックスのメッシュ数は150メッシュ、乾燥状態での塗布量は6g/mであった。
ステップ(5)において、赤外線乾燥の温度は70℃、時間は1.6s、冷却ラミネートロールの温度は25℃であり、横型乾燥の条件を表2に示す。
【表2】
GB/T24695-2009試験方法によれば、バリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムの性能試験結果:坪量は60g/m、長手方向の引張強度は73.26N/15mm、長手方向の伸びは43.65%、接着層と紙製品との接着強度は7.83N/15mm、接着層自体の接着強度は8.31N/15mm、酸素透過率は2.8mL/(m・24h)、水蒸気透過性は7g/(m・24h)、バリア層の表面張力は42ダイン、含水率は5.4wt%であった。
【0042】
比較例1
実施例3の方法に従って、バリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムを製造し、実施例1との相違点は、以下のとおりである。
ステップ(1)において、再生セルロースベースフィルムの坪量は50g/m、トリエチレングリコールの濃度は50g/L、ナノスケールシリカの濃度は5g/Lであった。
ステップ(2)における接着塗料をステップ(3)におけるバリア塗料に置き換えた。
ステップ(4)において、両面にバリア塗料を塗布し、使用したアニロックスロールのメッシュ数は200メッシュ、両面の乾燥状態での塗布量は2.5g/mであった。
ステップ(5)において、赤外線乾燥の温度は80℃、時間は1.6sであった。
GB/T24695-2009試験方法によれば、バリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムの性能試験結果:坪量は60g/m、長手方向の引張強度は70.26N/15mm、長手方向の伸びは41.65%、接着層と紙製品との接着強度は0N/15mm、バリア層自体の接着強度は1.9N/15mm、酸素透過率は6mL/(m・24h)、水蒸気透過性は25g/(m・24h)、2つのバリア層の表面張力は両方とも42ダイン、含水率は5.4wt%であった。
【0043】
実施例3と比較例1との比較から分かるように、本発明の技術と比較して、比較例1で製造したバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムと紙製品との接着強度及びそれ自体の接着強度は、ラミネート紙複合製品の要件を満たしておらず、特殊な応用シナリオでの使用に適していない。
【0044】
以上は、本発明の好ましい実施形態にすぎず、当業者であれば、本発明の原理から逸脱することなく、若干の改良及び修飾を行うことができ、これらの改良及び修飾は保護範囲ともみなされるべきである。

【手続補正書】
【提出日】2023-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムであって、順次積層されたバリア層、再生セルロースベースフィルム及び接着層を含み、
前記バリア層は、ポリ塩化ビニリデンエマルジョン、第1の接着防止剤及び水を含むバリア塗料で形成され、
前記接着層は、エマルジョン、第2の接着防止剤及び水を含む接着塗料で形成され、前記エマルジョンは、アクリレートエマルジョン及び/又はポリウレタンエマルジョンを含むことを特徴とするバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム。
【請求項2】
前記再生セルロースベースフィルム、バリア層及び接着層の質量比は、77~87:4~8:9~15であることを特徴とする請求項1に記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム。
【請求項3】
前記バリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムの含水率は、5~6%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム。
【請求項4】
前記バリア塗料中のポリ塩化ビニリデンエマルジョンと第1の接着防止剤の質量比は、100:1~3であることを特徴とする請求項1又は2に記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム。
【請求項5】
前記ポリ塩化ビニリデンエマルジョンの固形分含有量は、30~45%であることを特徴とする請求項4に記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム。
【請求項6】
前記第1の接着防止剤は、ワックス接着防止剤及びシリカ粉末接着防止剤のうちの一種又は二種を含み、前記第1の接着防止剤の粒子径は、100~300nmであることを特徴とする請求項4に記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム。
【請求項7】
前記バリア層の厚さは、2~7μmであることを特徴とする請求項1記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム。
【請求項8】
前記接着塗料中のアクリレートエマルジョンと第2の接着防止剤の質量比は、100:0.5~1.5であることを特徴とする請求項1又は2に記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム。
【請求項9】
前記アクリレートエマルジョンの固形分含有量は、30~45%であることを特徴とする請求項8に記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム。
【請求項10】
前記第1の接着防止剤は、ワックス接着防止剤及びシリカ粉末接着防止剤のうちの一種又は二種を含み、前記第2の接着防止剤の粒子径は、100~300nmであることを特徴とする請求項8に記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム。
【請求項11】
前記接着層の厚さは、4~7μmであることを特徴とする請求項1記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム。
【請求項12】
前記再生セルロースベースフィルムの坪量は、30~60g/mであることを特徴とする請求項1又は2に記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム。
【請求項13】
前記再生セルロースベースフィルムの厚さは、20~40μmであることを特徴とする請求項12に記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム。
【請求項14】
バリア塗料及び接着塗料を使用して、再生セルロースベースフィルムの両面に対して同時両面塗布を行い、バリア層及び接着層をそれぞれ形成し、バリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムを得るステップを含むことを特徴とする請求項1記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムの製造方法。
【請求項15】
前記同時両面塗布は、空気圧ダイアフラムポンプを使用して、バリア塗料及び接着塗料をそれぞれ第1の塗布槽及び第2の塗布槽内にポンピングし、アニロックスロールを使用して、再生セルロースベースフィルムに対して同時両面塗布を行うステップを含むことを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記アニロックスロール塗布の走行速度は、70~95m/minであり、
前記バリア塗料のアニロックスロール塗布のアニロックスロールのメッシュ数は、100~250メッシュであり、前記バリア塗料の乾燥状態での塗布量は、3~5g/mであり、
前記接着塗料のアニロックスロール塗布のアニロックスロールのメッシュ数は、100~180メッシュであり、前記接着塗料の乾燥状態での塗布量は、4~7g/mであることを特徴とする請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
前記両面同時塗布後、得られたバリア性及びヒートシール性を兼ね備えた湿潤セルロースフィルムを乾燥させ、次いで冷却し、巻き取るステップをさらに含むことを特徴とする請求項14記載の製造方法。
【請求項18】
前記乾燥は予備乾燥及び乾燥を順次行うことを含み、前記予備乾燥は赤外線乾燥を含み、前記予備乾燥の温度は60~80℃、時間は1.2~1.8s、前記乾燥の温度は60~120℃であることを特徴とする請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
前記乾燥は横型乾燥であり、前記横型乾燥は8つのゾーンに分けられ、順にゾーン1~ゾーン8として記され、前記ゾーン1の温度は85~95℃、前記ゾーン2の温度は95~105℃、前記ゾーン3の温度は105~115℃、前記ゾーン4の温度は105~120℃、前記ゾーン5の温度は95~105℃、前記ゾーン6の温度は85~100℃、前記ゾーン7の温度は80~98℃、前記ゾーン8の温度は85~95℃であることを特徴とする請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
請求項1記載のバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルム又は請求項14~19のいずれか一項に記載の製造方法により得られたバリア性及びヒートシール性を兼ね備えたセルロースフィルムの包装分野用セルロースフィルム
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
本発明において、前記バリア塗料の製造方法は、ポリ塩化ビニリデンエマルジョン、第1の接着防止剤及び水を混合して、バリア塗料を得るステップを含むことが好ましい。本発明において、前記混合の順序は、第1の接着防止剤と水を予備混合し、得られた第1の接着防止剤液とPVDCエマルジョンを混合することが好ましく、前記予備混合の温度は、好ましくは室温であり、前記予備混合の速度は、好ましくは500~1000r/min、より好ましくは700~800r/minであり、前記予備混合の時間は、好ましくは5~15min、より好ましくは10minであり、得られた第1の接着防止剤液とPVDCエマルジョンを混合する速度は、好ましくは60~120r/min、より好ましくは80~100r/minであり、得られた第1の接着防止剤液とPVDCエマルジョンを混合する時間は、好ましくは15~25min、より好ましくは20minであり、得られた第1の接着防止剤液とPVDCエマルジョンを混合する温度は、好ましくは室温である。本発明において、前記バリア層の厚さは、好ましくは2~7μm、より好ましくは3~6μm、さらに好ましくは4~5μmである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
本発明において、前記接着層は、エマルジョン、第2の接着防止剤及び水を含む接着塗料で形成され、前記エマルジョンは、アクリレートエマルジョン及び/又はポリウレタンエマルジョンを含む。本発明において、前記第2の接着防止剤の選択可能な種類及び粒子径は、前記第1の接着防止剤と同じであることが好ましく、ここで詳細な説明は繰り返さない。本発明の具体的な実施例では、前記アクリレートエマルジョンは、好ましくはDSM水性アクリルエマルジョンである。本発明において、前記アクリレートエマルジョンの固形分含有量は、好ましくは30~45%、より好ましくは35~40%である。本発明において、前記水は、軟水を含むことが好ましい。本発明において、前記接着塗料中のアクリレートエマルジョンと第2の接着防止剤の質量比は、好ましくは100:0.5~1.5、より好ましくは100:0.8~1.2、さらに好ましくは100:1である。本発明において、前記接着塗料の製造方法は、アクリレートエマルジョン、第2の接着防止剤及び水を混合して、接着塗料を得るステップを含むことが好ましい。本発明において、前記混合の順序は、第2の接着防止剤と水を予備混合し、得られた第2の接着防止剤液とアクリレートエマルジョンを混合することが好ましく、前記予備混合の温度は、好ましくは室温であり、前記予備混合の速度は、好ましくは500~1000r/min、より好ましくは700~800r/minであり、前記予備混合の時間は、好ましくは5~15min、より好ましくは10minであり、得られた第2の接着防止剤液とアクリレートエマルジョンを混合する速度は、好ましくは60~120r/min、より好ましくは80~100r/minであり、得られた第2の接着防止剤液とアクリレートエマルジョンを混合する時間は、好ましくは15~25minであり、より好ましくは20minであり、得られた第2の接着防止剤液とアクリレートエマルジョンを混合する温度は、好ましくは室温である。本発明において、前記接着層の厚さは、好ましくは4~7μm、より好ましくは4.5~6.5μm、さらに好ましくは5~6μmである。
【国際調査報告】