(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】細胞及び細胞バイオマスの培養のためのフィルタケーキベースのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/02 20060101AFI20240711BHJP
C12N 5/07 20100101ALI20240711BHJP
A23L 13/00 20160101ALI20240711BHJP
【FI】
C12N5/02
C12N5/07
A23L13/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570447
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(85)【翻訳文提出日】2024-01-19
(86)【国際出願番号】 US2022071418
(87)【国際公開番号】W WO2023049537
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521286293
【氏名又は名称】アップサイド フーズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】UPSIDE FOODS, INC.
【住所又は居所原語表記】804 Heinz Avenue, Berkeley, California 94710, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー‐アウファーマン, コンラッド
【テーマコード(参考)】
4B042
4B065
【Fターム(参考)】
4B042AC10
4B042AD36
4B042AK20
4B042AP30
4B065AA90X
4B065BC41
4B065CA41
(57)【要約】
本明細書では、細胞及び細胞バイオマスを培養するためのフィルタケーキベースのシステム並びに方法が提供される。本明細書では、少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を備えるフィルタチャンバと、フィルタチャンバ内に配置された少なくとも1つのフィルタ支持体と、フィルタ支持体上に配置されたフィルタケーキとを備え、このフィルタケーキは少なくとも1つの濾過助剤及び複数の細胞を備える、細胞及び細胞バイオマスを培養するためのシステムが提供される。本明細書では、フィルタ支持体を提供することと、少なくとも1つの濾過助剤をフィルタ支持体に添加することと、複数の細胞を濾過助剤に添加することであって、細胞及び濾過助剤はともにフィルタケーキを形成する、添加することと、を含む、細胞及び細胞バイオマスの培養を最適化するための方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に圧縮可能な濾過助剤上へ細胞を播種することと、
細胞、少なくとも部分的に圧縮可能な濾過助剤、又はその両方を圧縮することと、
細胞を細胞バイオマス中に増殖させるために、前記少なくとも部分的に圧縮可能な濾過助剤を介して培地を流し、それによって、増殖が時間とともに潅流を減少させる、流すことと、
培地の潅流を増進させるために、前記細胞、前記少なくとも部分的に圧縮可能な濾過助剤、又はその両方を減圧することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記細胞バイオマスが、前記培地の流体圧力又は流動によって圧縮される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記培地が、細胞増殖を促進するための栄養物及び酸素添加を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記細胞、前記少なくとも部分的に圧縮可能な濾過助剤、又はその両方を減圧することが、リリーフ弁、より低圧の培地流、又は前記培地の流量減少のうちの少なくとも1つを利用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記細胞バイオマス、その基材、又はその両方が、前記細胞バイオマスの増殖に比例して減圧され、それによって潅流が安定化される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記細胞バイオマス、前記少なくとも部分的に圧縮可能な濾過助剤、又はその両方が、パルス頻度において圧縮状態と減圧状態との間を循環する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記パルス頻度が約20秒~約20分である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
フィルタ支持体を提供することと、
少なくとも1つの濾過助剤をフィルタ支持体に添加することと、
複数の細胞を少なくとも1つの濾過助剤に添加することであって、複数の細胞及び少なくとも1つの濾過助剤がともにフィルタケーキを形成する、添加することと、
フィルタケーキを培地で潅流することによって、複数の細胞をフィルタケーキ中で培養することと、を含む、方法。
【請求項9】
前記フィルタ支持体が、水平フィルタ、垂直フィルタ、プレートフィルタ、プレートプレスフィルタ、マッシュフィルタ、布フィルタ、及びキャンドルフィルタからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの濾過助剤が、セルロース、デンプン、珪藻土、パーライト、活性炭、植物繊維、菌糸体、藻類、及び有機繊維からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記有機繊維が、約1μm~20μm、20μm~50μm、50μm~80μm、80μm~110μm、110μm~140μm、140μm~170μm、170μm~200μm、200μm~230μm、230μm~260μm、260μm~290μm、又は290μm~320μmの長さを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
有機繊維が、約0.01dtex~120dtex、0.05dtex~60dtex、0.1dtex~30dtex、0.2dtex~15dtex、又は0.5dtex~5dtexの繊維タイターを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの濾過助剤が圧縮可能である、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの濾過助剤が、約70%~75%、75%~80%、80%~85%、85%~90%、90%~95%、95%~98%、又は98%~100%圧縮可能である、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの濾過助剤が中空である、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの濾過助剤が可食性である、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの濾過助剤が分解性である、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
前記フィルタケーキを通る前記培地の流量を変化させることによって前記フィルタケーキを圧縮することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項19】
前記フィルタケーキを含有するチャンバの圧力を変化させることによって、前記フィルタケーキを圧縮することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つの濾過助剤が、フィルタ支持体に、25g/m
2~12000g/m
2、50g/m
2 ~6000g/m
2、100g/m
2~3000g/m
2、200g/m
2~1500g/m
2、又は400g/m~750g/m
2で添加される、請求項8に記載の方法。
【請求項21】
フィルタケーキ中の細胞の濃度が、約0.05×10
6細胞/ml~2000×10
6細胞/ml、0.5×10
6細胞/ml~200×10
6細胞/ml、5×10
6細胞/ml~20×10
6細胞/ml、又は5×10
6細胞/ml~10×10
6細胞/mlである、請求項8に記載の方法。
【請求項22】
温度が約10°C~約45°Cに維持される、請求項8に記載の方法。
【請求項23】
前記複数の細胞が後生動物細胞である、請求項8に記載の方法。
【請求項24】
前記複数の細胞は、骨格筋細胞、幹細胞、多能性幹細胞、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、線維芽細胞、筋芽細胞、体細胞、胚外細胞、筋細胞、サテライト細胞、側集団細胞、筋由来幹細胞、間葉系幹細胞、筋原性周皮細胞、中胚芽細胞、及び脂肪細胞で構成されるグループから選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項25】
前記複数の細胞が、約95F:5M~5F:95Mの比率の線維芽細胞と筋芽細胞との共培養物である、請求項8に記載の方法。
【請求項26】
前記複数の細胞が、家禽、猟獣、水生、又は家畜の種に由来する、請求項8に記載の方法。
【請求項27】
前記複数の細胞は、Gallus gallus、Meleagris gallopavo、Anas platyrhynchos、Bos taurus、Sus scrofa、Ovis aries、Salmo salar、Thunnus thynnus、Gadus morhua、Homarus americanus、Litopenaeus setiferus、Oncorhynchus mykiss、及びOreochromis niloticusからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つの濾過助剤を添加することが、前記少なくとも1つの濾過助剤を含有する培地を流動させることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1つの濾過助剤は、同時に、連続的に、交互に、又はそれに関連する任意の順序で添加される、請求項8に記載の方法。
【請求項30】
前記複数の細胞を加えることは、前記少なくとも1つの濾過助剤を介して前記複数の細胞を含む培地を流動させることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項31】
前記複数の細胞が、同時に、連続的に、交互に、又はそれに関連する任意の順序で添加される、請求項8に記載の方法。
【請求項32】
前記フィルタケーキが可食性である、請求項8に記載の方法。
【請求項33】
前記フィルタケーキから、前記複数の細胞又はそれから産生された組織を採取することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項34】
前記培地が、GRAS成分、場合によりGRAS成分のみを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項35】
前記複数の細胞が、ヒト消費を意図する組織へと培養される、請求項8に記載の方法。
【請求項36】
前記複数の細胞が、治療目的を意図する組織へと培養される、請求項8に記載の方法。
【請求項37】
前記複数の細胞を前記少なくとも1つの濾過助剤に添加することが、2つの細胞型を交互の層に添加することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項38】
フィルタ支持体を提供することと、
少なくとも1つの濾過助剤をフィルタ支持体に添加することであって、少なくとも1つの濾過助剤が圧縮可能である、添加することと、
複数の細胞を少なくとも1つの濾過助剤に添加することであって、前記複数の細胞及び前記少なくとも1つの濾過助剤がともにフィルタケーキを形成する、添加することと、
前記フィルタケーキを圧縮することと、
前記フィルタケーキ中で前記複数の細胞を培養することと、を含む、方法。
【請求項39】
前記複数の細胞及びそれから産生された組織を採取することを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
肉製品がそれによって生成される、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
流量及び圧力のうちの1つ以上を変化させることによって前記フィルタケーキを圧縮することを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記フィルタケーキが可食性である、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記少なくとも1つの濾過助剤が圧縮可能である、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
前記少なくとも1つの濾過助剤が可食性である、請求項38に記載の方法。
【請求項45】
前記少なくとも1つの濾過助剤が、セルロース、デンプン、珪藻土、パーライト、活性炭、植物繊維、菌糸体、藻類、及び有機繊維からなる群から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項46】
前記有機繊維が、約1μm~20μm、20μm~50μm、50μm~80μm、80μm~110μm、110μm~140μm、140μm~170μm、170μm~200μm、200μm~230μm、230μm~260μm、260μm~290μm、又は290μm~320μmの長さを備える、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記有機繊維が、約0.01dtex~120dtex、0.05dtex~60dtex、0.1dtex~30dtex、0.2dtex~15dtex、又は0.5dtex~5detxの繊維タイターを有する、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
少なくとも1つの濾過助剤が、フィルタ支持体に、25g/m
2~12000g/m
2、50g/m
2 ~6000g/m
2、100g/m
2~3000g/m
2、200g/m
2~1500g/m
2、又は400g/m~750g/m
2で添加される、請求項38に記載の方法。
【請求項49】
前記フィルタ支持体が、水平フィルタ、垂直フィルタ、プレートフィルタ、プレートプレスフィルタ、マッシュフィルタ、布フィルタ、及びキャンドルフィルタからなる群から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項50】
温度が約10°C~約45°Cに維持される、請求項38に記載の方法。
【請求項51】
前記複数の細胞が、家禽、猟獣、水生、又は家畜の種に由来する、請求項38に記載の方法。
【請求項52】
前記複数の細胞は、Gallus gallus、Meleagris gallopavo、Anas platyrhynchos、Bos taurus、Sus scrofa、Ovis aries、Salmo salar、Thunnus thynnus、Gadus morhua、Homarus americanus、Litopenaeus setiferus、Oncorhynchus mykiss、及びOreochromis niloticusからなる群から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項53】
前記少なくとも1つの濾過助剤を添加することが、前記少なくとも1つの濾過助剤を含有する培地を流動させることを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項54】
前記複数の細胞を添加することが、前記複数の細胞を含有する培地を流動させることを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項55】
フィルタ支持体を提供することと、
少なくとも1つの濾過助剤をフィルタ支持体に添加することと、
複数の細胞を少なくとも1つの濾過助剤に添加することであって、複数の細胞及び少なくとも1つの濾過助剤がともにフィルタケーキを形成する、添加することと、
前記複数の細胞をフィルタケーキ中で細胞バイオマスへと増殖させることと、を含む、方法。
【請求項56】
前記細胞バイオマスが肉製品である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記フィルタケーキを介した培地の流量及び圧力のうちの1つ以上を変化させることによって、前記フィルタケーキを圧縮又は減圧することをさらに含む、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記フィルタケーキが可食性である、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記少なくとも1つの濾過助剤が少なくとも部分的に圧縮可能である、請求項55に記載の方法。
【請求項60】
前記少なくとも1つの濾過助剤が可食性又は分解性である、請求項55に記載の方法。
【請求項61】
前記少なくとも1つの濾過助剤が、少なくとも1つの圧縮可能な濾過助剤及び1つの圧縮可能でない濾過助剤を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項62】
前記少なくとも1つの濾過助剤が、約1μm~20μm、20μm~50μm、50μm~80μm、80μm~110μm、110μm~140μm、140μm~170μm、170μm~200μm、200μm~230μm、230μm~260μm、260μm~290μm、又は290μm~320μmの長さを有する有機繊維を備える、請求項55に記載の方法。
【請求項63】
前記少なくとも1つの濾過助剤が、約0.01dtex~120dtex、0.05dtex~60dtex、0.1dtex~30dtex、0.2dtex~15dtex、又は0.5dtex~5detxの繊維タイターを有する有機繊維を備える、請求項55に記載の方法。
【請求項64】
少なくとも1つの濾過助剤が、フィルタ支持体に、25g/m
2~12000g/m
2、50g/m
2 ~6000g/m
2、100g/m
2~3000g/m
2、200g/m
2~1500g/m
2、又は400g/m~750g/m
2で添加される、請求項55に記載の方法。
【請求項65】
前記フィルタ支持体を提供することが、水平フィルタ、垂直フィルタ、プレートフィルタ、プレートプレスフィルタ、マッシュフィルタ、布フィルタ、マスフィルタ、又はキャンドルフィルタ内の前記濾過助剤を提供することを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項66】
前記複数の細胞の増殖中に、前記フィルタケーキの温度を約10°C~約45°Cに維持することをさらに含む、請求項55に記載の方法。
【請求項67】
前記複数の細胞が、家禽、猟獣、水生、又は家畜の種に由来する、請求項55に記載の方法。
【請求項68】
前記フィルタケーキが少なくとも部分的に圧縮可能である、請求項55に記載の方法。
【請求項69】
前記複数の細胞を前記フィルタケーキ中で前記細胞バイオマスへと増殖させることが、前記フィルタケーキ中の前記複数の細胞に栄養物及び酸素を提供することを含み、それにより、細胞増殖、細胞分裂、細胞融合、又は架橋のうちの1つ以上を可能にする、請求項55に記載の方法。
【請求項70】
前記複数の細胞を前記フィルタケーキ中で前記細胞バイオマスへと増殖させることが、前記フィルタケーキ中の多核筋管中への筋芽細胞の融合を引き起こすことを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項71】
細胞及び細胞バイオマスを培養するためのシステムであって、
少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を備えるフィルタチャンバと、
前記フィルタチャンバ内に配置された少なくとも1つのフィルタ支持体と、
前記少なくとも1つのフィルタ支持体上に配置されたフィルタケーキであって、少なくとも1つの濾過助剤及び複数の細胞を含む、フィルタケーキと、を備える、システム。
【請求項72】
前記フィルタケーキが少なくとも2つの異なる細胞型を含む、請求項71に記載のシステム。
【請求項73】
前記細胞が後生動物細胞から選択される、請求項71に記載のシステム。
【請求項74】
前記細胞は、骨格筋細胞、幹細胞、多能性幹細胞、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、線維芽細胞、筋芽細胞、体細胞、胚外細胞、筋細胞、サテライト細胞、側集団細胞、筋由来幹細胞、間葉系幹細胞、筋原性周皮細胞、中胚芽細胞、及び脂肪細胞で構成されるグループから選択される、請求項71に記載のシステム。
【請求項75】
前記細胞が、約95F:5M~5F:95Mの比率の線維芽細胞と筋芽細胞との共培養物である、請求項71に記載のシステム。
【請求項76】
前記細胞が、家禽、猟獣、水生、又は家畜の種に由来する、請求項71に記載のシステム。
【請求項77】
前記フィルタチャンバは、細胞を含む少なくとも1つのリザーバと流体連通している、請求項71に記載のシステム。
【請求項78】
前記フィルタチャンバは、前記少なくとも1つの濾過助剤を含む少なくとも1つのリザーバと流体連通している、請求項71に記載のシステム。
【請求項79】
前記フィルタチャンバの温度は約10°C~約45°Cに維持される、請求項71に記載のシステム。
【請求項80】
前記少なくとも1つの入口と前記少なくとも1つの出口との間の流量が、約1L/分~1000L/分である、請求項71に記載のシステム。
【請求項81】
前記少なくとも1つの入口と前記少なくとも1つの出口との間の圧力が、約0.1バール~5.0バールである、請求項71に記載のシステム。
【請求項82】
前記少なくとも1つの濾過助剤が、前記少なくとも1つのフィルタ支持体に、25g/m
2~12000g/m
2、50g/m
2 ~6000g/m
2、100g/m
2~3000g/m
2、200g/m
2~1500g/m
2、又は400g/m~750g/m
2で添加される、請求項71に記載のシステム。
【請求項83】
前記フィルタチャンバが、約5リットル~25,000リットルのサイズを有する、請求項71に記載のシステム。
【請求項84】
前記少なくとも1つのフィルタ支持体が、約1m
2~2000m
2の表面積を有する、請求項71に記載のシステム。
【請求項85】
前記フィルタケーキが2つの細胞型を交互の層で含む、請求項71に記載のシステム。
【請求項86】
前記細胞は、Gallus gallus、Meleagris gallopavo、Anas platyrhynchos、Bos taurus、Sus scrofa、Ovis aries、Salmo salar、Thunnus thynnus、Gadus morhua、Homarus americanus、Litopenaeus setiferus、Oncorhynchus mykiss、及びOreochromis niloticusからなる群から選択される、請求項71に記載のシステム。
【請求項87】
細胞及び細胞バイオマスを培養するためのシステムであって、
少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を備えるフィルタチャンバと、
前記フィルタチャンバ内に配置された少なくとも1つのフィルタ支持体と、
前記少なくとも1つのフィルタ支持体上に配置されたフィルタケーキであって、前記フィルタケーキは圧縮可能であり、少なくとも1つの濾過助剤及び複数の細胞を含む、フィルタケーキと、を備える、システム。
【請求項88】
前記フィルタチャンバは、細胞を含む少なくとも1つのリザーバと流体連通している、請求項87に記載のシステム。
【請求項89】
前記フィルタチャンバは、前記少なくとも1つの濾過助剤を含む少なくとも1つのリザーバと流体連通している、請求項87に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
後生動物細胞を培養することによって生産された細胞ベースの肉を市場にもたらすには、いくつかの障害を克服する必要がある。例えば、厚い細胞ベースの肉製品の大規模な培養は、細胞及び組織の非効率的かつ最適でない培養によって妨げられ得る。結果として、採取された収量及び品質が低下する可能性があり、合成成分の添加を必要とし、コストの増加及び望ましくない添加剤の存在をもたらす。
【0002】
本明細書では、細胞ベースの肉の最適な培養、同様に他の組織ベースの適用のためのシステム及び方法が提供される。
【発明の概要】
【0003】
本明細書では、細胞及び細胞バイオマスの培養のためのフィルタケーキベースのシステム並びに方法が提供される。
【0004】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は細胞及び細胞バイオマスの培養を最適化するための方法を提供し、この方法はフィルタ支持体を提供することと、少なくとも1つの濾過助剤をフィルタ支持体に添加することと、複数の細胞を濾過助剤に添加することであって、細胞及び濾過助剤はともにフィルタケーキを形成する、添加することと、を含む。いくつかの実施形態では、細胞バイオマスは肉製品である。
【0005】
いくつかの実施形態では、この方法が、流量及び圧力のうちの1つ以上を変化させることによってフィルタケーキを圧縮又は減圧することを含む。いくつかの実施形態では、フィルタケーキは可食性である。いくつかの実施形態では、濾過助剤は可食性又は分解性である。いくつかの実施形態では、濾過助剤が少なくとも1つの圧縮可能な濾過助剤及び少なくとも1つの圧縮可能でない濾過助剤を含む。いくつかの実施形態では、濾過助剤が少なくとも部分的に圧縮可能である。
【0006】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの濾過助剤が、約1μm~約20μm、約20μm~約50μm、約50μm~約80μm、約80μm~約110μm、約110μm~約140μm、約140μm~約170μm、約170μm~約200μm、約200μm~約230μm、約230μm~約260μm、約260μm~約290μm、又は約290μm~約320μmの長さの有機繊維を含む。いくつかの実施形態では、濾過助剤が約0.01dtex~約120dtex、約0.05dtex~約60dtex、約0.1dtex~約30dtex、約0.2dtex~約15dtex、又は約0.5dtex~約5dtexの繊維タイターを有する有機繊維を含む。いくつかの実施形態では、濾過助剤が、フィルタ支持体に、約25g/m2~約12000g/m2、約50g/m2 ~約6000g/m2、約100g/m2~約3000g/m2、約200g/m2~約1500g/m2、又は約400g/m~約750g/m2で添加される。
【0007】
いくつかの実施形態では、フィルタ支持体が、水平フィルタ、垂直フィルタ、プレートフィルタ、プレートプレスフィルタ、マッシュフィルタ、布フィルタ、マスフィルタ、又はキャンドルフィルタに含まれる。いくつかの実施形態では、温度が、増殖中、約10°C~約45°Cに維持される。いくつかの実施形態では、細胞が、家禽、猟獣、水生又は家畜の種に由来する。
【0008】
本明細書では、増殖中の細胞バイオマスを通して潅流を確立するための方法が提供される。いくつかの実施形態では、この方法は、少なくとも部分的に圧縮可能な濾過助剤上へ細胞を播種すること、細胞、少なくとも部分的に圧縮可能な濾過助剤又はその両方を圧縮することと、細胞を細胞バイオマス中に増殖させるために、少なくとも部分的に圧縮可能な濾過助剤を介して培地を流動させ、それによって、増殖が時間とともに潅流を減少させる、流動させることと、培地の潅流を増進させるために、細胞、少なくとも部分的に圧縮可能な濾過助剤又はその両方を減圧することと、を含む。いくつかの実施形態では、細胞バイオマスが培地の流体圧力又は流動によって圧縮される。いくつかの実施形態では、細胞培養培地が細胞増殖を促進するための栄養物及び酵素添加を提供する。いくつかの実施形態では、細胞バイオマスが、リリーフ弁、より低圧の培地流、培地の流動減少、又はそれらのいくつかの組み合わせを用いて減圧される。いくつかの実施形態では、細胞バイオマス、その基材、又はその両方が、細胞集団の増殖に比例して減圧され、それによって潅流が安定化される。いくつかの実施形態では、細胞バイオマス、少なくとも部分的に圧縮可能な濾過助剤、又はその両方が、パルス頻度において圧縮状態と減圧状態との間を循環する。いくつかの実施形態では、パルス頻度が約20秒~約20分である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】細胞を培養するための本開示の例示的なシステム及び方法の例示的な概略図を示す。
図1Aに示される例示的なシステムは、例示的な繊維性植物ベースの濾過助剤(デンプン及びセルロース)を含有する2つの濾過助剤チャンバと流体連通するフィルタ支持体と、例示的な細胞(筋芽細胞及び線維芽細胞)をそれぞれ含有する2つの細胞タンクと、を含有するフィルタチャンバを含む。
【0010】
【
図1B】プレコート層を形成するためにフィルタ支持体に濾過助剤を添加する例示的な実施形態を示す。
【0011】
【
図1C】フィルタケーキを形成するために、フィルタ支持体上に細胞及び/又は濾過助剤を添加する例示的な実施形態を示す。
【0012】
【
図1D】フィルタケーキを形成するために、フィルタ支持体上に細胞及び/又は濾過助剤を添加する別の例示的な実施形態を示す。
【0013】
【
図1E】圧力及び/又は流量の変化によってフィルタケーキを圧縮及び減圧する例示的な実施形態を示す。
【0014】
【
図2N】細胞及び細胞バイオマスを培養するための本開示の別の例示的なシステム及び方法を示す。
【0015】
【
図3M】細胞及び細胞バイオマスを培養するための本開示のさらに別の例示的なシステム及び方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
特定の実施形態を詳細に説明する前に、本開示は、本明細書に記載される特定の実施形態に限定されず、変化し得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の説明される実施形態を記述する目的であり、別途定義されない限り、限定することを意図するものではないことも理解されたい。本明細書で使用される用語は一般に、本開示の文脈内及び各用語が使用される特定の文脈内で、当技術分野におけるそれらの通常の意味を有する。特定の用語は本開示の組成物及び方法、並びにそれらを作製及び使用する方法を説明する際に、実施者にさらなる指針を提供するために、以下又は本明細書の他の箇所で論じられる。用語の任意の使用の範囲及び意味は、その用語が使用される特定の文脈から明らかとなるであろう。したがって、本明細書に記載される定義は、特定の組成物又は生物学的システムに限定されない、本開示の特定の実施形態を確認する際の説明される指針を提供することを意図する。
【0017】
組換えDNA、組織培養、及び形質転換(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)のために、標準的な技術が使用されてもよい。酵素反応及び精製技術は、製造業者の仕様書に従って、又は当技術分野において一般的に達成されるか若しくは本明細書に記載されるように実施されてもよい。これらの及び関連する技術並びに手順は一般に、当技術分野で周知の従来の方法に従って、並びに、本明細書を通して引用され議論される様々な一般的及びより具体的な基準に記載されるように、実行されてもよい。特定の定義が提供されない限り、本明細書に記載される分子生物学、分析化学、合成有機化学、並びに医薬品化学及び製薬化学に関連して利用される命名法、並びに実験手順及び技術は、当技術分野において周知であり、一般に使用されるものである。組換え技術、分子生物学的、微生物学的、化学的合成、化学的分析、薬学的調製、製剤、及び送達のために、標準的な技術が使用されてもよい。
【0018】
本開示及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は内容が明らかに別段の指示をしない限り、複数の参照を含む。
【0019】
本開示及び添付の特許請求の範囲を通して、文脈が別途必要としない限り、単語「comprise(含む)」、又は「comprises」若しくは「comprising」などの実施例は、記載された要素又は要素のグループの包含を意味するが、任意の他の要素又は要素のグループの除外を意味しないと理解されるであろう。
【0020】
本開示において使用される場合、単語「約」は、一般的に、測定される量の許容可能な誤差の程度を意味するものとする。例示的な誤差の程度は、値又は値の範囲の20%以内、10%以内、及び5%以内である。
【0021】
懸濁液中に分散された細胞の培養は、典型的には組織及び器官などのより高次の構造へのそれらの集合を制限する。したがって、それらの使用は、細胞ベースの肉の生産、幹細胞、肝臓細胞、細胞スフェロイド、小結節、オルガノイド、人工臓器、3D細胞培養、バイオファブリケーション、再生バイオエンジニアリングなどを含むいくつかの用途には最適でない場合がある。懸濁液中で増殖させた細胞は、互いに有意な相互接続を典型的には形成しない。形成する少数のより小さい細胞クラスター又はペレットは、有意には増殖せず、融合して筋線維などの架橋多核高次組織集合体を形成することができない場合がある。これは、細胞ベースの肉製品を含む、細胞シートの大規模な製造及び濃度にとって重要であるので、細胞はさらなる処理工程(例えば、遠心分離)で分離され、他の物質と混合されて半成品の若しくは完成した製品になるか、又は(例えば、沈降によって)表面上に接着されて薄い組織層を形成するかのいずれかである。しかしながら、これらの方法は両方とも、しばしば、最適ではなく、非効率的である。個々の細胞が有意な組織形成なしに分離される場合、添加物(酵素及び/又は繊維など)は典型的にはテクスチャリングのために使用され、これらは、少なくとも部分的に細胞ベースの肉中に残存し、品質、バッチ間変動性、及び安全性の懸念を高める。さらに、細胞はこれらの条件下ではもう酸素及び栄養素を能動的に供給されないので、細胞は急速に溶解し、細胞バイオマス又は細胞融合のさらなる増加を阻害し得る。細胞が表面に接着する場合、架橋、細胞融合及び細胞バイオマス増加によって形成される組織層が形成され得る。しかしながら、増殖する組織は栄養素及び酸素のより深い層への拡散をますます妨げるので、生存可能な組織の厚さは、厳しく制限され、しばしば、支持構造に向かって下側境界層中の細胞の溶解をもたらす。不均質な細胞及び組織培養のこの制限は、接着の表面積を増加させるために、マトリックス構造、例えば足場を使用する培養手順でも見られる。本明細書では、上述の欠点を克服する細胞の培養のためのシステム及び方法が提供される。
【0022】
本明細書には、懸濁液中の細胞が添加され、フィルタケーキ中で濾過を使用して培養されるシステム及び方法が記載される。本明細書で使用するとき、フィルタケーキは、複数の細胞と、少なくとも1つの濾過助剤とを含む。フィルタケーキは、フィルタ支持体上に配置されてもよい。理論又は機構に束縛されるものではないが、いくつかの実施形態では、濾過流が、自由に浮遊する分散懸濁細胞を、培養のためのコンパクトなフィルタケーキに導く。流動培地はフィルタケーキ中の細胞の潅流を可能にし、無菌条件下で必要な栄養物及び酸素を提供し、細胞増殖、細胞分裂、細胞融合、並びに架橋を可能にする。細胞廃棄物もまた、流動によって積極的に排除される。必要な栄養物及びガスの十分かつ均一な供給が、より深い層の増殖中の細胞にまで達する。したがって、フィルタケーキ中の細胞は、厚い強健な組織及びより高次の細胞バイオマスアセンブリ(例えば、筋芽細胞の多核筋管への融合)を形成する。多孔性、透過性、圧縮性などのフィルタケーキの特性は、時間当たりの流量、流動方向、及び/又は圧力などのパラメータを調整することによって、細胞/細胞バイオマスの特定の必要性に従って個々に調整することができる。フィルタケーキ中の、特定の構造上の特徴及びに処理に影響を及ぼす特徴を作り出すために、異なる細胞型及び/又は濾過助剤の混合物を使用することができ、したがって、細胞ベースの肉を生産する全体的な効率が劇的に改善され、コストを下げる。
【0023】
これらのシステム及び方法は、細胞ベースの肉の生産だけでなく、治療、バイオマニュファクチャリング、バイオエンジニアリング、幹細胞の培養、肝細胞、細胞スフェロイド、小結節、オルガノイド、人工臓器、3D細胞培養、バイオファブリケーション、再生バイオエンジニアリングなどの任意の他の適用可能な分野に適用可能である。
【0024】
[細胞及び細胞バイオマスを培養するためのフィルタケーキベースのシステム]
本明細書では、細胞及び細胞バイオマスを培養するためのフィルタケーキベースのシステムが提供される。いくつかの実施形態では、細胞を培養するためのシステムが、少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を備えるフィルタチャンバと、フィルタチャンバ内に配置された少なくとも1つのフィルタ支持体と、フィルタ支持体上に配置されたフィルタケーキとを備え、このフィルタケーキは少なくとも1つの濾過助剤及び複数の細胞を備える。
【0025】
図1Aは、本開示の例示的なシステム100を示す。システム100は、入口112と、2つの出口114及び116と、バイパス(B)出口118とを有するフィルタチャンバ110を備えてもよい。このフィルタチャンバは、フィルタ支持体によって、濾過されていない(非濾過の、又は濾過しない、とも呼ばれる)チャンバ192と、濾過された(濾過とも呼ばれる)チャンバ194と、に分けられる。この例示的なシステムでは、2つのフィルタ支持体120及び122がフィルタチャンバ110内に配置されてもよい。代替の実施形態では、フィルタチャンバが頑丈かつ強健な細胞増殖を支持するために、数百ものフィルタ支持体を含んでもよい。濾過助剤132及び142は、それぞれ、濾過助剤チャンバ130及び140に貯蔵されてもよい。いくつかの実施形態では、濾過助剤が植物ベースの繊維であってもよい。いくつかの実施形態では、濾過助剤132は(天然)デンプン(S)であってもよく、142はセルロース(C)であってもよい。筋芽細胞及び線維芽細胞などの細胞は、1つ以上の細胞タンク(150及び160)に貯蔵されてもよい。
図1Aに示されるように、筋芽細胞(M)152及び線維芽細胞(F)162は、それぞれ、細胞タンク150及び160に貯蔵されてもよい。濾過助剤チャンバ130及び140、細胞タンク150及び160、並びにフィルタチャンバ110は、互いに流体連通することができる。熱交換器170(H)を使用して、フィルタチャンバの温度を調整することができる。
図1Dに示されるように、濾過助剤(デンプン(132)及びセルロース(142))、並びに細胞(筋芽細胞(152)及び線維芽細胞(162))を含むフィルタケーキ126及び128が、濾過支持体上に形成されてもよい。
【0026】
[細胞及び細胞バイオマス]
本明細書に記載されるシステム及び方法において使用される細胞及びその細胞バイオマスは、培養物中の天然に存在する、遺伝子操作された、又はそうでなければ改変された細胞のインビトロ培養によって産生されてもよい。
【0027】
本明細書で提供されるシステム及び方法は、培養物中の任意の後生動物細胞に適用可能である。いくつかの実施形態では、細胞ベースの肉を生成するために本開示のシステム及び方法を使用する文脈において、細胞が、その組織が食事消費に適している任意の後生動物種由来である。いくつかの実施形態では、細胞が成熟組織、例えば、骨格筋組織、他の筋肉組織、若しくは任意の細胞、細胞バイオマス、及び/又は細胞ベースの肉若しくはその栄養として消費される可能性がある組織への分化能を示してもよい。本開示における細胞は、プライマリ細胞、又は細胞株であってもよい。細胞は、接着細胞又は非接着細胞、凝集細胞又は非凝集細胞であってもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、細胞は、ヒト若しくは非ヒトの食事消費を意図した任意の非ヒト動物種(例えば、トリ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、魚起源の細胞)、家畜、家禽猟獣、又は水生種などの細胞に由来する。
【0029】
いくつかの実施形態では、細胞は、家畜、例えば、家畜のウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラクダ、水牛、ウサギなどに由来する。いくつかの実施形態では、細胞は、家禽、例えば家畜のニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ハトなどに由来する。いくつかの実施形態では、細胞は、猟獣、例えば、野生のシカ、キジ目の鳥、水鳥、ノウサギなどに由来する。いくつかの実施形態では、細胞は、野生の漁業又は水産養殖作業から商業的に収穫された水生種又は半水生種に由来するか、又は特定の魚類、甲殻類、軟体動物、頭足類、クジラ目、ワニ類、カメ類、カエル類などを含む変種用である。
【0030】
いくつかの実施形態では、細胞は、外来、保護、又は絶滅した動物種由来である。いくつかの実施形態では、細胞は、Gallus gallus、Gallus domesticus、Bos taurus、Sous scrofa、Meleagris gallopavo、Anas platyrynchos、Salmo salar、Thunnus thynnus、Ovis aries、Coturnix coturnix、Capra aegagrus hircus、又はHomarus americanusからのものである。したがって、本開示の例示的な細胞ベースの肉製品には、鳥肉製品、鶏肉製品、アヒル肉製品、及びウシ肉製品が含まれる。
【0031】
いくつかの実施形態では、細胞は、プライマリ幹細胞、自己再生幹細胞、胚性幹細胞、多能性幹細胞、人工多能性幹細胞、又は幹細胞の分化した子孫である。
【0032】
いくつかの実施形態では、細胞は、骨格筋組織、結合組織、脂肪組織、及び/又は任意の他の成熟組織に分化するように改変され、例えば、培養肉生産又は何らかの他の応用に有用である。
【0033】
いくつかの実施形態では、細胞は、筋肉又は筋肉様細胞になるようにプログラムされた筋原性細胞である。いくつかの実施形態では、筋原性細胞が、天然の筋原性、例えば筋芽細胞である。天然の筋原細胞としては筋芽細胞、筋細胞、サテライト細胞、予備細胞、側集団細胞、筋由来幹細胞、間葉系幹細胞、筋原性周皮細胞、又は間葉芽細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
いくつかの実施形態では、細胞は骨格筋系列のものである。骨格筋系列の細胞は筋芽細胞、筋細胞、及び骨格筋前駆細胞を含み、これらはサテライト細胞、予備細胞、側集団細胞、筋由来幹細胞、間葉系幹細胞、筋原性周皮細胞、及び間葉系細胞を含む筋原性前駆細胞とも呼ばれる。
【0035】
他の実施形態では、細胞は天然の筋原性ではない(例えば、培養インフラストラクチャにおいて筋原性細胞になるために培養される線維芽細胞又は非筋原性幹細胞などの非筋原性細胞である)。
【0036】
いくつかの実施形態では、細胞バイオマスの細胞は体細胞である。いくつかの実施形態では、細胞バイオマスの細胞は体細胞ではない。
【0037】
いくつかの実施形態では、細胞は、特定のアミノ酸、炭水化物、ビタミン、無機塩、微量金属、TCAサイクル中間体、脂質、脂肪酸、補助化合物、成長因子、接着タンパク質、及び組換えタンパク質を含む特定の成分を必要とせずに増殖するよう、遺伝的に編集され、改変され、又は適合される。
【0038】
いくつかの実施形態では、細胞が本明細書に記載される修飾の任意の組み合わせを含んでもよい。
【0039】
本明細書で提供される細胞培地製剤を用いて生成される本開示の細胞ベースの肉は、ヒト及び非ヒトの両方の消費に適している。いくつかの実施形態では、細胞ベースの肉が家畜などの非ヒト動物による消費に適している。したがって、本明細書で提供される細胞培地製剤は「ペットフード」、例えば、イヌフード、ネコフードなどの発展を支持する。
【0040】
いくつかの実施形態では、システム及び方法が組織の寸法を支持するために追加の内部足場を必要とせずに、厚い組織の作製を可能にし得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、細胞が治療、診断、バイオマニュファクチャリング、又はバイオエンジニアリング適用のために培養されてもよい。例としては、幹細胞、肝細胞、細胞スフェロイド、小結節、オルガノイド、人工臓器、ラボオンチップ、3D細胞培養、バイオファブリケーション、再生バイオエンジニアリングなどの培養が挙げられる。
【0042】
[フィルタ支持体]
本開示に記載のシステムは、少なくとも1つのフィルタ支持体を備える。いくつかの実施形態では、システムが複数のフィルタ支持体を備えてもよい。例えば、システムは、少なくとも1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、1000、5000、10,000、100,000、又は1,000,000個のフィルタ支持体を備えてもよい。
【0043】
フィルタ支持体は、フィルタチャンバ内に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、このシステムが複数のフィルタ支持体を備え、例えば、
図1Aに示されるシステムはフィルタチャンバ110内に位置する2つのフィルタ支持体120及び122を含む。フィルタ支持体は、ネット、クロー、マッシュ、又は焼結材料のような透過性構造から作製されてもよく、多くの場合、プレート又はキャンドルとして製造される。
【0044】
いくつかの実施形態では、フィルタ支持体が、水平フィルタ、垂直フィルタ、プレートフィルタ、プレートプレスフィルタ、マッシュフィルタ、布フィルタ、マスフィルタ、又はキャンドルフィルタを含む。いくつかの実施形態では、フィルタ支持体が、水平フィルタ、垂直フィルタ、プレートフィルタ、プレートプレスフィルタ、マッシュフィルタ、布フィルタ、又はキャンドルフィルタに含まれてもよく、又は設置されてもよい。当技術分野で公知の任意の適切かつ滅菌可能なフィルタ支持体が使用されてもよい。当業者は本明細書に開示されるシステムにおいてフィルタ支持体を識別し、使用する方法を理解するのであろう。
【0045】
フィルタ支持体は、任意の適切な寸法とすることができる。いくつかの実施形態では、フィルタ支持体は、約1m2~約2000m2の表面積を有する。
【0046】
いくつかの実施形態では、フィルタ支持体が使用前に滅菌される。
【0047】
[濾過助剤]
本開示に記載のシステムは、少なくとも1つの濾過助剤を備える。いくつかの実施形態では、濾過助剤は、濾過されたチャンバと流体連通して濾過助剤チャンバに貯蔵される。例えば、
図1Aに示されるシステムは、濾過助剤チャンバ130及び140にそれぞれ格納された2つの濾過助剤132及び142を含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、濾過助剤は、デンプン、珪藻土、パーライト、活性炭及び結晶などの圧縮可能でない材料、又は植物性脂肪、ワックス、セルロース、繊維、植物繊維、菌糸、藻類、天然繊維、合成繊維、無機繊維、有機繊維、木材チップ、芽、外皮、有機殻、植物性タンパク質、又はそれらの組み合わせなどの圧縮可能材料(本明細書では圧縮可能でない材料とも呼ばれる)で構成されてもよい。本明細書では、当技術分野で公知の任意の適切な濾過助剤又は濾過助剤の組み合わせが使用されてもよい。当業者は本明細書に開示されるシステムにおいて濾過助剤を識別し、使用する方法を理解するのであろう。粒径、機能性表面、粒子構造、及び異なる圧縮性などの異なる材料特性を有する異なる濾過助剤の組み合わせをさらに使用し、組み合わせることができる。例えば、部分的に圧縮可能な濾過助剤を形成するために、圧縮可能な濾過助剤(例えば、セルロース)と圧縮可能でない濾過助剤(例えば、デンプン)との組み合わせを異なる比率で組み合わせてもよい。
【0049】
濾過助剤は、任意の適切な長さであってもよい。いくつかの実施形態では、濾過助剤は、約1μm~約20μm、約20μm~約50μm、約50μm~約80μm、約80μm~約110μm、約110μm~約140μm、約140μm~約170μm、約170μm~約200μm、約200μm~約230μm、約230μm~約260μm、約260μm~約290μm、又は約290μm~約320μmの長さを有していてもよい。いくつかの実施形態では、濾過助剤は、約300μm以下の長さを有していてもよい。いくつかの実施形態では、濾過助剤は、約20μm~約50μmの長さを有していてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、濾過助剤が有機繊維を含んでもよい。いくつかの実施形態では、有機繊維は、約1μm~約20μm、約20μm~約50μm、約50μm~約80μm、約80μm~約110μm、約110μm~約140μm、約140μm~約170μm、約170μm~約200μm、約200μm~約230μm、約230μm~約260μm、約260μm~約290μm、又は約290μm~約320μmの長さを有していてもよい。いくつかの実施形態では、有機繊維は、約300μm以下の長さを有していてもよい。いくつかの実施形態では、有機繊維は、約20μm~約50μmの長さを有していてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、有機繊維は、約0.01dtex~約120dtex、約0.05dtex~約60dtex、約0.1dtex~約30dtex、約0.2dtex~約15dtex、又は約0.5dtex~約5dtexの繊維タイターを備えていてもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、濾過助剤は圧縮可能であってもよい。いくつかの実施形態では、使用される複数の濾過助剤のうちの少なくとも1つは圧縮可能であってもよい。いくつかの実施形態では、濾過助剤の少なくとも1つの構成要素は圧縮可能であってもよい。圧縮可能濾過助剤又はその構成要素の非限定的な例としては、セルロース、有機繊維、及び植物繊維が挙げられる。
【0053】
他の実施形態では、濾過助剤は、圧縮可能でない、又は圧縮不可であってもよい。いくつかの実施形態では、使用される複数の濾過助剤のうちの少なくとも1つは圧縮可能でなくともよい。いくつかの実施形態では、濾過助剤の少なくとも1つの構成要素が圧縮可能でなくともよい。非圧縮可能濾過助剤の非限定的な例としては、珪藻土、パーライト活性炭、及び天然デンプン粒子が挙げられる。
【0054】
いくつかの実施形態では、濾過助剤は少なくとも部分的に圧縮可能であってもよい。いくつかの実施形態では、単一の濾過助剤は、それ自体で部分的に圧縮可能であってもよい。いくつかの実施形態では、部分的に圧縮可能な濾過助剤を形成するために、1つ以上の圧縮可能な濾過助剤及び圧縮可能でない濾過助剤を組み合わせることができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、濾過助剤が約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、約95%~約98%、又は約98%~約100%圧縮可能である。
【0056】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの圧縮可能な濾過助剤(CFA)と少なくとも1つの圧縮可能でない濾過助剤(NCFA)との組み合わせを使用することができる。いくつかの実施形態では、CFAとNCFAとの組み合わせは、約70%CFAと約30%NCFAとの間、約75%CFAと約25%NCFAとの間、約80%CFAと約20%NCFAとの間、約85%CFAと約15%NCFAとの間、約90%CFAと約10%NCFAとの間、約95%CFAと約5%NCFAとの間、約98%CFAと約2%NCFAとの間、又は約99%CFAと約1%NCFAとの間である。いくつかの実施形態では、CFA及びNCFAの組み合わせは、少なくとも約98%のCFAを含む。いくつかの実施形態では、CFA及びNCFAの組み合わせは、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%、約0.5%、約0.1%、又は約0.01%以下のNCFAを含有してもよい。いくつかの実施形態では、CFA及びNCFAの組み合わせは、約5%以下のNCFAを含有してもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、CFAとNCFAとの組み合わせは約99CFA:1NCFAと約1CFA:99NCFAとの間の比であってもよい。いくつかの実施形態では、CFAとNCFAとの組み合わせは約90CFA:10NCFAの比であってもよい。いくつかの実施形態では、CFAとNCFAとの組み合わせは約95CFA:5NCFAの比であってもよい。いくつかの実施形態では、CFAとNCFAとの組み合わせは約98CFA:2NCFAの比であってもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、CFA対NCFAの比は約99:1~約1:99であってもよい。いくつかの実施形態では、CFA対NCFAの比は約90:10の間であってもよい。いくつかの実施形態では、CFA対NCFAの比は約95:5の間であってもよい。いくつかの実施形態では、CFA対NCFAの比は約98:2の間であってもよい。
【0059】
濾過助剤は、任意の適切な順序で添加されてもよい。いくつかの実施形態では、濾過助剤は、同時に、連続的に、交互に、又は任意の関連する順序及び任意の時間隔で添加されてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、濾過助剤は可食性であってもよい。可食性の濾過助剤の例としては、真菌菌糸体、植物繊維、及びセルロースが挙げられる。可食性の濾過助剤の使用は、以下に記載される採取工程中の、濾過助剤を除去又は分解するために必要とされる追加の工程を回避する。
【0061】
いくつかの実施形態では、濾過助剤は分解性であってもよい。可食性の濾過助剤の例は、セルロース、真菌菌糸体、藻類、植物繊維、デンプン粒子、及び植物ベースのタンパク質である。
【0062】
いくつかの実施形態では、濾過助剤は、例えば、培養される細胞への均一な気体(例えば、酸素)及び栄養物の供給を可能にするために、中空であってもよく、又はそうでなければ成形されてもよい。中空の、又は区分された繊維に加えて、その形状は、直径がL、M、Y、Z、正方形、円形、及び/若しくは星形であり得、直線状又は架橋され得る。いくつかの実施形態では、濾過助剤が天然又は合成であってもよく、純粋な形態であってもよく、又はコーティングなどの添加剤を用いてもよい。いくつかの実施形態では、濾過助剤が使用前に滅菌される。
【0063】
[フィルタチャンバ]
本開示に記載のシステムは、少なくとも1つのフィルタチャンバを備える。フィルタチャンバは、上述のフィルタ支持体のうちの少なくとも1つを包含する。いくつかの実施形態では、フィルタチャンバは、フィルタ支持体によって、濾過されていない流体、細胞、及び濾過助剤が導入される、濾過されていないチャンバ192と、濾過された懸濁液の出口である濾過されたチャンバ194とに分割されてもよい(
図1A)。フィルタチャンバは少なくとも1つの入口及び1つの出口を有することができ、システムの他の構成要素と流体連通することができる。例えば、
図1Aに示されるフィルタチャンバ110はフィルタ支持体120及び122を包含し、入口112及び出口114、116、並びにバイパス出口118を介して流体連通している。バイパス出口は、フィルタケーキの厚さ及び細胞の分布がフィルタ支持体の長さにわたって均一なままであることを確実にすることができる。一例では、バイパス出口が濾過されていないチャンバ内の圧力を解放し、圧力解放がフィルタケーキの減圧又は緩和をもたらしてもよい。
【0064】
フィルタチャンバは、任意の適切な寸法とすることができる。いくつかの実施形態では、フィルタチャンバは、約5リットル~約25,000リットルのサイズを有する。いくつかの実施形態では、フィルタチャンバはバイオリアクタであってもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、フィルタチャンバは滅菌されてもよい。滅菌は、熱、蒸気、圧力、照射、ガス、及び/又は化学物質を用いて、任意の公知の方法で実施することができる。
【0066】
[フィルタケーキ]
本開示に記載のシステムは、少なくとも1つのフィルタケーキを備える。フィルタケーキは、少なくとも1つの濾過助剤及び複数の細胞を含む。いくつかの実施形態では、フィルタケーキはフィルタ支持体上に配置される。例えば、
図1Dは、濾過されていないチャンバ192内のフィルタ支持体120及び122上にそれぞれ形成されたフィルタケーキ126並びに128を示す。
【0067】
本明細書に開示されるシステムの利点の1つは、フィルタケーキの特性をカスタマイズする能力である。これは、例えば、適切な種類の濾過助剤を使用すること、細胞と同時に、連続的に、交互に、又は任意の関連する順序で添加される濾過助剤を添加すること、上昇する差圧のような特定のフィードバックにそれに応じて濾過助剤を添加すること、並びに培地の圧力及び流動特性を調節することによって達成されてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、フィルタケーキは多孔質である。フィルタケーキの透過性は培地がケーキ、細胞、及び成長組織の異なる層全体に能動的に流れることを可能にし、栄養物、溶存酸素、及び成長関連物質がフィルタケーキ内に深く浸透することを可能にし、望ましくない代謝産物が流出されることを可能にし得る。中空形状の濾過助剤は、特により深く置かれている組織への効率的な浸透を可能にすることができる。結果として、細胞は、組織の接着、増殖、架橋、及び厚い層を形成するための栄養豊富な動的表面を提供されることが期待される。
【0069】
使用される濾過助剤の種類に基づいて、フィルタケーキは、圧縮可能であっても又は圧縮可能でなくてもよい。いくつかの実施形態では、フィルタケーキは圧縮可能である。例えば、圧縮可能な濾過助剤(例えば、セルロース)のみを含有するフィルタケーキ、若しくは細胞に加えて圧縮可能でない濾過助剤(例えば、5%未満)をほとんど又は全く含有しない圧縮可能な濾過助剤のいずれかを含有するフィルタケーキは、圧縮可能であると考えられる。フィルタケーキを意図的に圧縮及び減圧するために、入口と出口との間の周期的な圧力及び/又は流量誘起変動が使用されてもよい。フィルタケーキのこの調整可能な圧縮及び減圧は、本明細書に開示されるシステムのさらに別の利点である。この「スポンジ様」アクションは、
図1Eにおいてフィルタケーキ126及び128の矢印460によって示され、細胞及び組織の成長層への培地及び酸素のより深い浸潤を可能にし、シグナル伝達分子の交換を可能にし、廃棄物を洗い流すことを可能にすると予想される。いくつかの実施形態では、間隔様収縮が、培養される組織、例えば、筋肉又は筋肉様組織の所望の刺激を達成してもよい。このシステムは、
図1Eに示されるような流量制御ポンプ500(FQ)を備えてもよく、ここで、充填された三角形はバルブを示し、充填された三角形の周りの円はポンプを示す。システムはまた、乾燥及び/又は酸素置換のための窒素入口510(N)を備えてもよい(
図1E)。
【0070】
一般に、フィルタケーキは動的構造である。培養培地がその上に流され、それを介して、様々な細胞が増殖し始め、隣接する細胞と連結し、それによって細胞バイオマスを形成し得る。細胞及び細胞バイオマスが増殖するとき、濾過されていないチャンバから濾過されたチャンバへの流体力学は、一定の流束にある。典型的には、細胞及び細胞バイオマスが増殖するにつれて、フィルタケーキはより密度が高くなり、多孔性が低くなる。細胞培養培地の流量が一定に保たれる場合、細胞増殖にもかかわらず、圧力は濾過されていないチャンバ内に蓄積する可能性があり、それによって、フィルタケーキのさらなる圧縮及び多孔性のさらなる減少をもたらす。チェックを入れずに放置すると、一定の流量が、強健な細胞増殖のために十分な時間を与えられて、フィルタを詰まらせる可能性がある。いくつかの例では、この流量が、濾過されていないチャンバと濾過されたチャンバとの間の一定の圧力差を維持するために低減される。このような流量の減少は、フィルタケーキの厚さの増加に起因する抵抗の増加を中和する。いくつかの実施形態では、コンピュータがフローポンプを制御し、濾過されていないチャンバ圧力センサを読み取るように構成され、それによって、コンピュータは圧力センサ読み取り値を取得しフローポンプを調節することによって、濾過されていないチャンバと濾過されたチャンバとの間の安定した圧力差を確立し、維持することができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、濾過されていないチャンバと濾過されたチャンバとの間の圧力差が意図的に変更され、この変更は繰り返し又はリズミカルに実行されてもよい。一例では、フィルタケーキがフィルタケーキの多孔性を維持するために、並びに/又は培地をより深いフィルタケーキ層に十分に押し込むために、周期的に圧縮及び減圧されてもよい。この例では、フィルタケーキは、様々な圧力下でスポンジと同様の機械的特性を示し得る。圧力が増加するにつれて、フィルタケーキは圧縮され、細胞は凝集し、多孔性は減少し、細胞は濾過助剤中により深く押し込まれ、細胞培養培地はフィルタ支持体を通して濾過されたチャンバ中に排出される。圧力が低下するにつれて、フィルタケーキは減圧され、凝集した細胞(例えば、細胞集団)の周囲に空間が開き、多孔性が増加し(それによって、細胞培養培地がフィルタケーキの深部の細胞に潅流することを可能にし)、フィルタケーキを通る流動が増加する。圧縮係合は、圧力が上昇する速度と、高圧状態が維持される持続時間とによって特徴付けられてもよい。同様に、減圧係合は、圧力が減少する速度と、低圧力状態が維持される持続時間とによって特徴付けられてもよい。培地の流れは、フィルタケーキを、高圧状態と低圧状態との間で、秒範囲、分範囲、時間範囲、又は日範囲の頻度で振動させるように操作されてもよい。例示的な実施形態では、濾過されていないチャンバと濾過されたチャンバとの間の圧力差を操作することは、フィルタケーキ内の深い細胞への潅流を高め、酸素又は栄養物の欠乏による細胞死のリスクを軽減する。いくつかの例では、圧力増加が、細胞をともに圧縮することによって、細胞集団の増殖及び拡大によって引き起こされる潅流に対するフィルタケーキの増加した抵抗を中和し、それによって、その後の圧力減少が最近圧縮された細胞の周りの余分な開放空間をもたらし、次いでそこで、流体が自由に潅流することができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、フィルタケーキが圧力変動によって圧縮されてもよい。任意の適切な圧力範囲が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、入口と出口との間の圧力が約0.01バール~約500バール、約0.05バール~約50バール、又は約0.1バール~約5.0バールである。いくつかの実施形態では、入口と出口との間の圧力が約0.1~約5.0バールである。
【0073】
いくつかの実施形態では、フィルタケーキが流量変動によって圧縮されてもよい。任意の適切な流量が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、入口と出口との間の流量が約0.01L/分~約100,000L/分、約0.1L/分~約10,000L/分、又は約1L/分~約1000L/分である。いくつかの実施形態では、入口と出口との間の流量が約10L/分~約1000L/分である。
【0074】
本明細書に開示されるシステムの別の利点は、任意の所望の順序で複数の細胞型を培養する能力である。例えば、フィルタケーキは細胞バイオマスの複数の層を含むことができ、そこで、各層は、筋芽細胞、脂肪細胞、及び線維芽細胞の交互の層など、異なる細胞型のものである。いくつかの実施形態では、フィルタケーキが1つ以上の細胞型を含有する可能性がある。いくつかの実施形態では、フィルタケーキが任意の関連する順序で添加される1つ以上の濾過助剤を含有する可能性がある。いくつかの実施形態では、フィルタケーキが2つ、3つ、又はそれ以上の細胞型を含有する可能性がある。複数の細胞型は、交互の層など、任意の関連する順序で添加されてもよい。フィルタケーキは、異なる細胞型及び異なる濾過助剤の複数の層を含んでもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、フィルタケーキは、骨格筋細胞、幹細胞、多能性幹細胞、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、線維芽細胞、筋芽細胞、体細胞、胚外細胞、筋細胞、サテライト細胞、側集団細胞、筋由来幹細胞、間葉系幹細胞、筋原性周皮細胞、中胚芽細胞、及び脂肪細胞を含んでもよい。いくつかの実施形態では、フィルタケーキは、約95F:5M~約5F:95Mの比で線維芽細胞及び筋芽細胞の共培養物を含有してもよい。いくつかの実施形態では、フィルタケーキは、家禽、猟獣、水生又は家畜の種由来の細胞を含有してもよい。いくつかの実施形態では、フィルタケーキは、Gallus gallus、Meleagris gallopavo、Anas platyrhynchos、Bos taurus、Sus scrofa、Ovis aries、Salmo salar、Thunnus thynnus、Gadus morhua、Homarus americanus、Litopenaeus setiferus、Oncorhynchus mykiss、又はOreochromis niloticus由来の細胞を含有してもよい。
【0076】
任意の適切な密度の細胞がフィルタケーキ中で培養されてもよい。いくつかの実施形態では、未濾過培地中の細胞の初期密度が約1~200×106細胞/mlである。いくつかの実施形態では、培地中の細胞の密度は、約0.05×106細胞/ml~約2000×106細胞/ml、約0.5×106細胞/ml~約200×106細胞/ml、約5×106細胞/ml~約20×106細胞/ml、又は約5×106細胞/ml~約10×106細胞/mlである。
【0077】
いくつかの実施形態では、フィルタケーキが可食性、溶融性、及び/又は分解性である。
【0078】
[加熱要素]
本開示に記載されるシステムは、加熱されてもよい。いくつかの実施形態では、システムが少なくとも1つの加熱要素を備えてもよい。当技術分野で公知の任意の適切な加熱要素が使用されてもよい。当業者は本明細書に開示されるシステムにおいて加熱システムを識別し、使用する方法を理解するのであろう。いくつかの実施形態では、熱要素が管状熱交換器又はプレート熱交換器のような熱交換器であってもよい。例えば、
図1Aに示されるシステムは、インライン熱交換器170を含有する。いくつかの実施形態では、このシステムは温度制御された環境に置かれてもよい。
【0079】
加熱要素は、移送配管などの内の、フィルタチャンバ、濾過助剤チャンバ、細胞タンク、入口、出口などのシステムの任意の1つ以上の構成要素に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、加熱要素170は、
図1Aに示されるように、フィルタチャンバ110に接続される。いくつかの実施形態では、加熱要素は、濾過助剤チャンバ130及び140に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、加熱要素は、細胞タンク150及び160に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、加熱要素は、入口112、出口114、116、及び118、又は流体連通のために使用されるシステムの任意の他の構成要素(例えば、パイプ、弁)のうちの任意の1つ以上に接続されてもよい。他の加熱方法は、ジャケット付きタンク又は温度制御された環境など、当業者には周知であろう。
【0080】
加熱要素は、システムに必要とされる任意の適切な温度を維持することができる。いくつかの実施形態では、加熱要素は、細胞培養に適した温度を調節することができる。いくつかの実施形態では、加熱要素は、増殖中、フィルタチャンバの温度を約10°C~約45°Cに調節してもよい。いくつかの実施形態では、加熱要素は、温度を約37°Cに調節してもよい。いくつかの実施形態では、加熱要素は、約100°C以上など、滅菌に適した温度を調節してもよい。
【0081】
いくつかの実施形態では、加熱要素は、細胞培養培地、栄養培地、緩衝液、生理食塩水、若しくは任意の他の液体を貯蔵及び/又は滅菌するのに適した温度を調節してもよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、加熱要素は、それから生成される細胞又は細胞バイオマスの温度を調節してもよい。いくつかの実施形態では、加熱要素は、細胞ベースの肉及び/又は洗浄緩衝液の温度を調節してもよい。いくつかの実施形態では、この方法の様々な工程間(例えば、プレコート層の形成後かつ細胞懸濁液の添加前)の温度差は、細胞の損傷を回避するために特定の温度(例えば、約5°C)を超えない。いくつかの実施形態では、採取前に、細胞ベースの肉がさらなる処理のために冷却されてもよい。いくつかの実施形態では、細胞ベースの肉が特定の期間加熱されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の濾過助剤によるフィルタ支持体のプレコーティングを、この処理に細胞を導入するためにより冷たい培地を導入する前に、滅菌性を確実にするために高温で行うことができる。
【0083】
[培地]
このシステム及び方法における使用に応じて、異なる種類の培地が使用されてもよい。本明細書に記載の培地は、任意の適切な糖、塩、アミノ酸、ビタミン、保存剤、緩衝剤、浸透圧、pH値、温度、イオン強度、粘度、及び/又は成分(例えば、他の栄養素、シグナル伝達分子)を有し得る。これらの要因の組み合わせは、以下に記載されるように、培地の種類及び応用に依存するであろう。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される培地は、無菌であってもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、培地はフラッディング培地である。濾過助剤の均一な層(本明細書ではプレコート層とも呼ばれる)を形成するために、濾過チャンバ上に1つ以上の濾過助剤を添加するために、フラッディング培地が使用されてもよい。例えば、
図1Bに示されるように、フラッディング培地(FM)180は、フィルタ支持体上に濾過助剤デンプン132を添加して、それぞれプレコート層124及び125を形成するために使用されてもよい。フラッディング培地の例としては、無菌細胞培養培地、水、及び/又は無菌生理食塩水が挙げられる。フラッディング培地は、滅菌のために加熱されてもよい。
【0085】
いくつかの実施形態では、培地は濾過助剤培地である。この濾過助剤培地は、1つ以上の濾過助剤を懸濁させるために使用されてもよい。濾過助剤培地の例としては、水、塩水、生理食塩水、ミネラル及び金属、PBS、HEPES、又は当業者に公知の他の培地が挙げられ、例えば、所望の浸透圧、密度、並びに機能性を達成する。例えば、
図1Aに示されるように、濾過助剤132(デンプン)及び142(セルロース)は、濾過助剤培地として生理食塩水中に懸濁される。使用される濾過助剤の種類、例えば圧縮可能でないデンプン又は圧縮可能なセルロースに応じて、異なる濾過助剤培地が使用されてもよい。濾過助剤を含有する濾過助剤培地は、滅菌のために加熱されてもよく、又は劣化を防ぐために冷却されてもよい。濾過助剤培地は濾過助剤の沈降又は浮遊を防止するために、撹拌機、循環ポンプ及び/又はガススパージャーを使用して均質化されてもよい。ガス化はまた、酸化を防止又は強制するために実施されてもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、培地は細胞培養培地である。この細胞培養培地は、培養のために細胞を懸濁するために使用されてもよい。細胞培養培地の例としては、イーグル最小必須培地(EMEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、RPMI-1640、F12培地、ハム栄養混合物、及び当業者に公知の他の栄養培地が挙げられる。いくつかの実施形態では、培地は化学的に定義される。いくつかの実施形態では、培地は動物由来の血清を含まない。いくつかの実施形態では、培地は動物由来成分を含まない。
【0087】
いくつかの実施形態では、培地はウォッシュアウト培地である。いくつかの実施形態では、細胞バイオマスは、細胞ベースの肉である。ウォッシュアウト培地は、細胞ベースの肉を採取するために、並びに/又は細胞ベースの肉に物理的及び/若しくは官能特性を付与するために使用されてもよい。細胞ベースの肉の種類並びに所望の感覚及び視覚特性に応じて、異なるウォッシュアウト培地が使用されてもよい。例えば、赤ビートジュースを含有する水溶液が細胞ベースの肉の赤色のために使用されてもよく、又は鉄などの他の成分が香味のために添加されてもよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、本明細書で使用される異なる培地は、細胞が浸透圧ストレスを受けないことを確実にするために、同じ又は同様の浸透圧を有する。いくつかの実施形態では、濾過助剤培地及び細胞を含有する細胞培養培地が同じ又は低い浸透圧差を有する。他の実施形態では、この浸透圧が、拡散によって製品から望ましくない物質を除去するか、又は製品特性を改善する所望の物質を製品に導入するために、いくつかのパラメータにおいて意図的に有意に異なっていてもよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、上記の培地のいずれかが濾過後に再利用されてもよい。例えば、濾過されたチャンバから出口(R)190(
図1C)を通して採取された培地は、必要に応じて、栄養物、酸素、緩衝液、シグナル伝達分子などを用いて、完全に又は部分的に再利用、再循環、又は富化されてもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、培地は、微生物増殖を防止する物質を含有していてもよい。他の実施形態では、その培地はまた、最終細胞バイオマスの貯蔵寿命、化学的及び/若しくは物理的安定性、香味、質感、色、臭気、又はそれらのいくつかの組み合わせを改善するために特に選択された物質を含む。
【0091】
[細胞及び細胞バイオマスを培養するためのフィルタケーキベースの方法]
本明細書では、細胞及び細胞バイオマスの培養を最適化するための方法が提供される。いくつかの実施形態では、この方法は、フィルタ支持体を提供することと、少なくとも1つの濾過助剤をフィルタ支持体に添加することと、複数の細胞を濾過助剤に添加することとであって、細胞及び濾過助剤はともにフィルタケーキを形成する、添加することと、細胞をフィルタケーキ中で細胞バイオマスへと増殖させることであって、このフィルタケーキは少なくとも部分的に圧縮可能である、増殖させることとを含む。
【0092】
[フィルタ支持体の提供]
本明細書に開示される方法は、少なくとも1つのフィルタ支持体を提供することを含んでもよい。上記のセクションに記載されているように、任意の適切なフィルタ支持体が使用されてもよい。フィルタ支持体の例としては、通常、水平フィルタ、垂直フィルタ、プレートフィルタ、プレートプレスフィルタ、マッシュフィルタ、布フィルタ、又はキャンドルフィルタに設置される、ネット、マッシュ、グリット、布、焼結、多孔質、及び有孔材料が挙げられる。フィルタ支持体は、任意の適切な寸法とすることができる。いくつかの実施形態では、フィルタ支持体が約1m2~約5002の表面積を有する。いくつかの実施形態では、フィルタ支持体が約1m2~約20002の表面積を有する。
【0093】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのフィルタ支持体がフィルタチャンバ内に配置されてもよい。例えば、
図1Aは、フィルタチャンバ110内に配置された2つのフィルタ支持体120及び122を含有する。いくつかの実施形態では、フィルタ支持体がフィルタチャンバ内に配置される前に滅菌されてもよい。フィルタチャンバは、フィルタ支持体を配置する前に空にされ、洗浄され、滅菌されてもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ支持体及びチャンバは一緒に滅菌される。
【0094】
[濾過助剤の添加]
本明細書に開示される方法は、少なくとも1つの濾過助剤をフィルタ支持体に添加することを含む。上述のように、任意の適切な濾過助剤が使用されてもよい。フィルタ支持体の例としては、セルロース、デンプン、珪藻土、パーライト、活性炭、植物性脂肪、ワックス、結晶、繊維、植物繊維、真菌菌糸体、藻類、天然繊維、合成繊維、無機繊維、有機繊維、外皮、植物系タンパク質、脂肪、ワックス、又はそれらの組み合わせが挙げられる。粒径、機能性表面、粒子構造、及び異なる圧縮性(例えば、圧縮可能又は圧縮可能でない)などの異なる材料特性を有する異なる濾過助剤の組み合わせが使用されてもよい。
【0095】
濾過助剤を濾過支持体に添加することは、任意の適切な方法によって実施することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの濾過助剤が、少なくとも1つの濾過助剤を含有する培地をフィルタキャンバー全体に流すことによって添加されてもよい。濾過助剤は、流体中に懸濁され、フィルタ支持体上に添加されてもよい。例えば、
図1Bに示されるように、濾過助剤デンプン132及びセルロース142は、濾過助剤培地生理食塩水中に懸濁され、濾過助剤チャンバ130及び140中にそれぞれ貯蔵される。上述のように、フラッディング培地は、フィルタ支持体上に1つ以上の濾過助剤を流すために使用されてもよい。
【0096】
1つ以上の濾過助剤をフィルタ支持体に添加することは、任意の順序で実施することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの濾過助剤は、同時に、連続的に、交互に、又はそれに関連する任意の順序で添加されてもよい。例えば、
図1Bに示されるように、プレコーティング層124及び125を形成するために、濾過助剤デンプン132のみがフィルタ支持体上に添加される。
【0097】
いくつかの実施形態では、フィルタ支持体に濾過助剤を添加することにより、フィルタ支持体上に濾過助剤の層(本明細書ではプレコート層とも呼ばれる)が形成される。プレコート層は濾過中の高圧の蓄積を防止し、閉塞を防止する。いくつかの実施形態では、プレコート層がフィルタ支持体上に均一に分布されてもよい。
【0098】
フィルタチャンバは、細胞及び/又は濾過助剤を含む培地が導入される濾過されていないチャンバ192と、その中に濾過された培地が排出され、任意選択的に再循環される濾過されたチャンバ194と、に分割されてもよい。例えば、
図1Bに示されるように、プレコート層124並びに125は、濾過されていないチャンバ192内で、フィルタ支持体120及び122上にそれぞれ形成される。
【0099】
いくつかの実施形態では、濾過助剤が、フィルタ支持体に、約25g/m2~約12000g/m2、約50g/m2 ~約6000g/m2、約100g/m2~約3000g/m2、約200g/m2~約1500g/m2、又は約400g/m~約750g/m2で添加される。
【0100】
[複数の細胞の添加]
本明細書に開示される方法は、複数の細胞を、濾過助剤に、及びフィルタ支持体上に添加することを含む。いくつかの実施形態では、同じ細胞型の複数の細胞が添加されてもよい。いくつかの実施形態では、異なる細胞型の複数の細胞が添加されてもよい。この複数の細胞は、フィルタケーキ及び最終製品内に所望の構造、、並びに/又は機能性を作製するために、任意の関連する順序(例えば、同時に、交互に、定期的になど)若しくは時間隔(例えば、毎時、毎日、毎週など)で添加されてもよい。
【0101】
上記のセクションに記載されているように、任意の細胞型が添加されてもよい。いくつかの実施形態では、細胞は後生動物細胞であってもよい。いくつかの実施形態では、細胞は、骨格筋細胞、幹細胞、多能性幹細胞、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、線維芽細胞、筋芽細胞、体細胞、胚外細胞、筋細胞、サテライト細胞、側集団細胞、筋由来幹細胞、間葉系幹細胞、筋原性周皮細胞、中胚芽細胞、及び脂肪細胞で構成されるグループから選択される。
【0102】
いくつかの実施形態では、細胞は、フィルタケーキ中の共培養物中に存在する。例えば、約95F:5M~約5F:95Mの比の線維芽細胞(F)及び筋芽細胞(M)の共培養物が添加されてもよい。別の例では、約95A:5M~約5A:95Mの比の脂肪細胞(A)及び筋芽細胞(M)の共培養物が添加されてもよい。いくつかの実施形態では、細胞が、家禽、猟獣、水生又は家畜の種に由来する。いくつかの実施形態では、細胞は、Gallus gallus、Meleagris gallopavo、Anas platyrhynchos、Bos taurus、Sus scrofa、Ovis aries、Salmo salar、Thunnus thynnus、Gadus morhua、Homarus americanus、Litopenaeus setiferus、Oncorhynchus mykiss、及びOreochromis niloticusからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、細胞は、複数の種に由来し、組み合わされて、順番に、又はそれらのいくつかの組み合わせで添加されてもよい。
【0103】
この複数の細胞を添加することは、任意の適切な方法によって実施することができる。いくつかの実施形態では、複数の細胞は、複数の細胞を含む培地を流すことによって添加される。例えば、
図1Cに示されるように、筋芽細胞152並びに線維芽細胞162は、DMEM細胞培養培地中に懸濁され、細胞タンク150及び160中にそれぞれさらに貯蔵又は増倍されてもよい。線維芽細胞を含有する細胞培養培地は、プレコート層上に流れ、出口190を介してフラッディング培地を移動させる。ここで、繊維芽細胞は、フィルタ支持体上のプレコート層に埋め込まれ、フィルタケーキ126及び128をそれぞれ形成する。
【0104】
この複数の細胞を添加することは、任意の順序及び任意の時間隔で、1つ以上の濾過助剤の追加を伴って、又は伴わずに実施することができる。いくつかの実施形態では、1つの細胞型及び1つの濾過助剤がフィルタ支持体に同時に添加されてもよい。例えば、
図1Cに示されるように、濾過助剤セルロース142は、線維芽細胞162溶液とともに添加されてもよい。いくつかの実施形態では、2つ以上の細胞型及び2つ以上のフィルタ支持体がフィルタ支持体に同時に加えられてもよい。例えば、
図1Dに示されるように、濾過助剤セルロース142並びにデンプン132は、筋芽細胞152及び線維芽細胞162とともに、フィルタ支持体に同時に添加されてもよい。
【0105】
この複数の細胞を添加することは、任意の適切な順序で実施することができる。いくつかの実施形態では、複数の細胞は、同時に、連続的に、交互に、又は任意の関連する順序及び任意の時間隔で添加されてもよい。いくつかの実施形態では、1つの細胞型のみが添加される。例えば、
図1Cに示されるように、繊維芽細胞162のみが、セルロース濾過助剤142とともに、フィルタ支持体に添加される。いくつかの実施形態では、2つ以上の細胞型が同時にフィルタ支持体に添加される。例えば、
図1Dに示されるように、筋芽細胞152並びに線維芽細胞162の両方が、フィルタケーキ126及び128に同時に添加される。
【0106】
[細胞のフィルタケーキ中での細胞バイオマスへの増殖]
本明細書に開示される方法は、細胞をフィルタケーキ中で細胞バイオマスへと増殖させることを含む。フィルタケーキは、複数の細胞と濾過助剤とを含む。いくつかの実施形態では、フィルタケーキはフィルタ支持体上に配置される。いくつかの実施形態では、フィルタケーキは、フィルタ支持体の、濾過されていないチャンバに面する表面上に形成される。例えば、
図1Dに示されるように、フィルタケーキ126及び128は、濾過されていないチャンバ192内に配置される。
【0107】
任意の数又は密度の細胞がフィルタケーキ中で培養されてもよい。いくつかの実施形態では、培地中の細胞の初期密度は、約0.05×106細胞/ml~約2000×106細胞/ml、約0.5×106細胞/ml~約200×106細胞/ml、約5×106細胞/ml~約20×106細胞/ml、又は約5×106細胞/ml~約10×106細胞/mlである。
【0108】
いくつかの実施形態では、フィルタケーキ中で細胞を培養することは、細胞増殖に必要な栄養物及び酸素を含有する培地(例えば、細胞培養培地)による潅流を含む。上記のように、栄養豊富な連続潅流は、細胞間相互作用、架橋、及びフィルタケーキ中の細胞の融合を促進し、厚い細胞バイオマスの1つ以上の層の集合並びに形成を可能にする。
【0109】
[フィルタケーキの圧縮及び減圧]
いくつかの実施形態では、フィルタケーキ中で細胞を培養することはフィルタケーキを圧縮することを含む。例えば、
図1Eにおいて、矢印460は、フィルタケーキ126及び128の圧縮及び減圧を示す。フィルタケーキを作製するために使用される圧縮可能な濾過助剤は、フィルタケーキの挙動を変化させ適応させることを可能にする。上述のように、フィルタケーキの周期的な圧縮並びに減圧は、栄養豊富な培地及び酸素の、発生中の細胞及び組織のすべての層への流動を可能にする。フィルタケーキの圧縮性はまた、操作者が、増殖速度についての情報を得ること、及び処理中のフィルタケーキの多孔性を調整することを可能にする。例えば、細胞富化フィルタケーキ全体にわたる安定した一定の循環が実施される場合、濾過されていない側(高圧側)と濾過された側(低圧側)との間の特定の差圧と、それゆえにフィルタケーキ圧縮の程度と、が生じる。この流動が絶えず維持される場合、細胞が増殖し、分裂し、融合し、それによって流体がますます浸透するのを妨げるにつれて、この差圧は経時的に増加する。目詰まりを回避するために、供給圧力及び/又は流量を減少させることができ、これはケーキの軽減をもたらし、培地がチャネル及び細孔を通って流れることを可能にし、目詰まりの程度を補償する。したがって、圧力/流量調整は、肉の増殖と相関させることができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、フィルタケーキが圧力変動によって圧縮されてもよい。いくつかの実施形態では、入口と出口との間の圧力が約0.1バール~約5.0バールである。濾過されたチャンバと濾過されていないチャンバとの圧力差、及び代謝副生成物に基づいて、必要に応じて処理に影響を与えるために、細胞増殖、細胞分裂、並びに架橋強度についての結論を引き出すことができる。定常圧力差を維持するように流量を変化させることによって、目詰まりを回避することができる。圧力を交互にすることは、フィルタの圧縮及び減圧をもたらし、チャネルを形成し、より深い層の細胞に栄養物並びに酸素富化培地を供給することを可能にする。
【0111】
いくつかの実施形態では、フィルタケーキが流量及び/又は流動方向の変化によって圧縮されてもよい。いくつかの実施形態では、入口と出口との間の流量が約1L/分~約1000L/分である。いくつかの実施形態では、流動は、フィルタチャンバの上から下へ、フィルタチャンバの下から上へ、両側から、及び/又は十字流の形態であってもよい。例えば、
図1Bに示されるように、この流動は、入口112からフィルタチャンバに入り、出口114及び116を介して出てもよい。流量及び/又は流動方向は、周期的に変更されてもよい。
【0112】
培養は、約10°C~約45°Cの間など、細胞増殖に適した温度域で行うことができる。上述のように、約37°Cのような好適な温度を設定するために、熱交換器170のような温度制御された環境又は加熱要素が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、生成物が、それを能動的に冷却することによって、及び/又は冷洗浄緩衝液を使用することによって、濾過前に10°C未満に冷却される。
【0113】
[採取]
いくつかの実施形態では、この方法は、培養細胞又はそれから生成された細胞バイオマスをフィルタケーキから採取することを含んでもよい。培養細胞から生成された細胞バイオマスが所望の状態(例えば、増殖の程度、細胞分裂、架橋、繊維形成、タンパク質含有量、及び/又は全体の質量)に達した後、例えば(例えば、デンプン及び/又はセルロースを分解する)酵素を添加すること、酸若しくは塩基を添加すること、及び/又は温度の実施形態を実施することによって、濾過助剤の完全又は部分的分解を、フィルタチャンバ自体において任意に誘導することができる。いくつかの実施形態では、この組織は、物理的方法(例えば、遠心分離、重力支援沈降)、化学的方法、酵素的方法、沈降、濃縮、凝集などによって得られてもよい。
【0114】
いくつかの実施形態では、この方法は、濾過助剤を分解する、若しくはそうでなければ除去する必要なしに、培養細胞及び/又はそれから生成された細胞バイオマスをフィルタケーキから採取することを含んでもよい。例えば、1つ以上の可食性濾過助剤を含むフィルタケーキは、濾過助剤を除去又は分解するための追加の工程を不要にする。いくつかの実施形態では、フィルタケーキは可食性である。他の実施形態では、フィルタケーキは、細胞単位で可食性であるか、又は細胞の分泌物によって分解される濾過助剤を含んでもよく、それによって、濾過助剤は、細胞バイオマスが成長するにつれて消費されるか、分解されるか、又はその両方となる。
【0115】
いくつかの実施形態では、洗浄培地は、細胞バイオマスの感覚刺激特性(感覚特性及び視覚特性)に影響を与えるために、代替で又は追加で使用されてもよく、必要に応じて、特定の期間循環されてもよい。例えば、この洗浄培地は、わずかに塩味のある水溶液又は(例えば、赤ビートからのジュースを添加することによる)着色効果を有する洗浄溶液であってもよい。
【0116】
いくつかの実施形態では、採取が無菌条件下で行われる。いくつかの実施形態では、生成物は採取前に冷却される。フィルタは、製品を乾燥させるために、空にされガス(エア)を吹き込まれてもよい。いくつかの実施形態では、フィルタケーキ及び/又は生成物を脱湿するために、プレスフィルタなど、プレス工程(例えば、膜圧縮)が実施されてもよい。
【0117】
[増殖中の細胞バイオマスを介して潅流を確立するための方法]
本明細書では、増殖中の細胞バイオマスを通して潅流を確立するための方法が提供される。いくつかの実施形態では、この方法は、少なくとも部分的に圧縮可能な濾過助剤上へ細胞を播種すること、細胞、少なくとも部分的に圧縮可能な濾過助剤又はその両方を圧縮することと、細胞を細胞バイオマス中に増殖させるために、少なくとも部分的に圧縮可能な濾過助剤を介して培地を流動させ、それによって、増殖が時間とともに潅流を減少させる、流動させることと、培地の潅流を増進させるために、細胞、少なくとも部分的に圧縮可能な濾過助剤又はその両方を減圧することと、を含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、細胞バイオマスが培地の流体圧力又は流動によって圧縮される。いくつかの実施形態では、細胞培養培地が細胞増殖を促進するための栄養物及び酵素添加を提供する。いくつかの実施形態では、細胞バイオマスが、リリーフ弁、より低圧の培地流、培地の流動減少、又はそれらのいくつかの組み合わせを用いて減圧される。いくつかの実施形態では、細胞バイオマス、その基材、又はその両方が、細胞集団の増殖に比例して減圧され、それによって潅流が安定化される。いくつかの実施形態では、細胞バイオマス、少なくとも部分的に圧縮可能な濾過助剤、又はその両方が、パルス頻度において圧縮状態と減圧状態との間を循環する。
【0119】
いくつかの実施形態では、パルス頻度は、約1秒、約10秒、約30秒、約50秒、約1分、約2分、約4分、約6分、約8分、約10分、約12分、約14分、約16分、約18分、約20分、約30分、約60分、約2時間、約4時間、約8時間、約16時間、約24時間、又は約48時間である。いくつかの実施形態では、パルス頻度が約1秒~約48時間である。いくつかの実施形態では、パルス頻度が約20秒~約20分である。
【0120】
細胞及び細胞バイオマスを培養するための別の例示的なフィルタケーキベースのシステム200(
図2A)、並びにその方法が、本明細書において提供される。
【0121】
図2Aは、フィルタチャンバ210と、フィルタ支持体214の左側に濾過されていないチャンバ212を有するフィルタ支持体214(例えば、フィルタキャンドル、フィルタマッシュ、フィルタ布、又はフィルタ篩)と、フィルタ支持体214の右側の濾過されたチャンバ216との拡大断面を示す。ここでの主な流動方向は、
図2Aにおいて黒い矢印420によって示されるように、左から右にある。濾過されていないチャンバ212は、フィルタ支持体の表面及び細孔が流動を遮断及び制限し、圧力損失につながるであろうことから、典型的にはより高い圧力を有するのであろう。この圧力差は、フィルタ支持体が小さい又は微細な孔を含む場合に増加する。
【0122】
いくつかの実施形態では、フィルタ支持体214が浸漬され、滅菌され、プレコーティング工程が実行される。
図2Bは、流体流中への濾過助剤などのプレコーティング剤の導入を示す。この例では、圧縮可能な濾過助剤218(真菌繊維又はセルロースなど)及び少量の圧縮可能でない濾過助剤220(天然デンプン粒など)などのプレコーティング剤が流体流に導入され、そこでそれらはフィルタ支持体214に向かって流れる。一例では、約90%~約95%の圧縮可能な濾過助剤と約10%~約5%の圧縮可能でない濾過助剤との組み合わせは、好ましい圧縮性プロファイルを提供する。いくつかの実施形態では、プレコーティング濾過助剤のメジアン粒径は、最適な濾過を可能にするために後に添加される濾過助剤よりも大きい。
【0123】
図2Cは、プレコート層222を示す。その圧縮度、したがってフィルタケーキの多孔性は、使用される材料、及び濾過されていないチャンバ212と濾過されたチャンバ216との間の差圧(流速に依存)に依存する。より速い流動は、より高い圧縮度と、濾過されていないチャンバと濾過されたチャンバとの間のより高い差とをもたらす。例えば、より微細な粒子及びより高い圧力差は両方とも、より圧縮されより多孔性でないフィルタケーキをもたらし、一方、大きい粒子及びより低い圧力差は、より軽減され(又は減圧され)より多孔性のフィルタケーキをもたらす。
【0124】
図2Dは、濾過助剤218及び220、並びに任意選択で他のより微細な濾過助剤組成物も含有する、流体流(上述の様々な例示的培地など)への第1の細胞型224の導入を示す。流体流は、第1の細胞型224及び追加の濾過助剤をプレコート層222に向ける。
【0125】
図2Eは、フィルタケーキ226の第1の層を形成するために、圧縮可能な粒子218と圧縮可能でない粒子220の両方の間に埋め込まれた第1の細胞型224を示す。この例では、第1の細胞型224は、最初のフィルタケーキの濾過助剤に部分的に埋め込まれ、第1の細胞と同時に流された濾過助剤内に完全に埋め込まれる。一例では、細胞は、約90%~約95%の圧縮可能な濾過助剤と約10%~約5%の圧縮可能でない濾過助剤との組み合わせに播種される。
【0126】
図2Fは、追加の機能層を作製するために、追加の濾過助剤とともに第2の細胞型228が流体に導入される例を示す。あるいは、共培養又は単一細胞型が使用されてもよい。この図は、個々の投与工程の各々の間の休止を示すが、いくつかの実施形態ではこれらの処理が連続的に行われてもよい。いくつかの実施形態では、この処理の間、ケーキの一定の均質な多孔性を保証するために、濾過されていないチャンバと濾過されたチャンバとの間の一定の差圧が維持される。フィルタケーキ抵抗は厚さの増加とともに増加するので、流速(したがって、量)は典型的には所望の一定の差圧を維持するために低減されなければならない。
【0127】
図2Gは、フィルタケーキの第2の層230を形成する、第2の細胞型をその濾過助剤とともに示す。第2の細胞型は、所望に応じて任意の順序で変更及び/又は混合され得る、本明細書に開示される任意の細胞型(筋細胞、脂肪細胞、骨格細胞、又は構造細胞など)から構成されてもよい。この例では、フィルタケーキが濾過助剤(222)のみの底部層と、濾過助剤と混合された第1の種類の細胞の中間層(226)と、濾過助剤と混合された第2の種類の細胞の頂部層(230)とから構成される。フィルタケーキが厚くなり、細胞が成長するにつれて、濾過されていないチャンバ内に圧力が増大することがあり、これは、フィルタケーキの圧縮、多孔性の減少、及びフィルタケーキを通る流れの減少につながり得る。
【0128】
図2Hは、第3の細胞型232を濾過助剤とともに流体に添加することを示しており、これらはフィルタケーキに向けられている。
【0129】
図2Iは、細胞及び濾過助剤が何度も重ねられたフィルタケーキ234を示す。この処理は、濾過されていないチャンバが高度に充填されるまで繰り返すことができる。細胞の数に加えて、この流れに投入される濾過助剤の量及び種類、並びに流速は、本明細書の方法のいずれにおいても変更することができる。
【0130】
細胞及び濾過助剤の投与が完了した後、細胞増殖及び細胞の細胞バイオマス236への融合を促進するために、栄養物及び酸素富化細胞培養培地をフィルタケーキを介して流動させる(
図2J)。
【0131】
図2Kは、高流量238(太い矢印)によって圧縮されたフィルタケーキの例を示す。高流量は、より多くの細胞間接触をもたらし、効率的な細胞融合及び組織形成を可能にする。加えて、高流動の開始によって引き起こされる能動的圧縮は、細胞、細胞培養培地、及び酸素をフィルタケーキ内に深く浸透させる。一方、静的圧縮は多孔性の減少に関連付けられる可能性があり、それによって、培養培地及び酸素の潅流が制限され、それは長期化すると細胞死のリスクを増加させ得る。フィルタ支持体により近い細胞に酸素及び栄養素富化培地を供給し、望ましくない成分を除去するために、これに続いて1つ以上の圧縮フェーズを行うことができる。細胞バイオマスの厚さ、強健性、及び細胞バイオマスは、これらの処理中に増加する。
【0132】
図2Lは、低流量、例えば緩和フェーズによって減圧されたフィルタケーキ240の一例を示す。この例では、最初は高流量の下にある圧縮フィルタケーキがその後、減圧フィルタケーキ240を生成するために低流量に曝される。そのような例では、圧縮状態から減圧状態へのフィルタケーキの移行がフィルタケーキ内の細胞にいくつかの利点を提供し得る。フィルタケーキが減圧状態へと積極的に膨張すると、フィルタケーキ及び新鮮な細胞培養培地全体にわたって孔が開き、フィルタケーキ中に深く迅速に引き込まれる。静的低圧システムは、減圧処理中に少なくとも一時的に形成される細孔の形状及びサイズを維持してもよく、それによって、フィルタケーキ内の深部にある細胞への安定した潅流を確立してもよい。しかしながら、細胞が成長及び拡張するにつれて、細孔が閉塞され、それによって、別の圧縮並びに減圧サイクルを必要とすることがある。バイオマス並びに細胞バイオマスの増殖及び融合の程度は、バイオマス消費速度、一定の差圧が維持される場合の流速の減少、並びに/又は一定の流れの間の圧力差の増加を分析することによって決定され得る。
【0133】
所望のバイオマス及び増殖/融合の程度が達成されると、増殖した細胞バイオマスが洗浄されてもよい。細胞ベースの肉製品の生成のためのバイオマス生産又は関連するその他の応用の文脈では、洗浄工程は、風味、色、及び他の感覚刺激性、化学的、若しくは物理的特性を調整し得る。
図2Mは追加の任意の工程を示し、ここでは、濾過助剤の一部を分解しケーキ体積244当たりの細胞を濃縮するために流体242が添加される。濾過助剤の分解並びに富化は、酵素富化及び/又は強化流体組成物を用いて達成されてもよい。
【0134】
図2Nに示されるように、流速を停止又は減少させることによって、又は流体をガスで置換することによって、細胞バイオマス製品246の収集が可能になる。
図2Nは、増殖した細胞集団の採取を示す。この実施例では、増殖した細胞バイオマスは、流速を低下させ、それによって増殖した細胞バイオマスをフィルタ支持体に対して保持する圧力を除去し、重力が摩擦に打ち勝つことを可能にし、それによって細胞バイオマスが脱落することによって、採取される。あるいは、流体の流れをガスの流れと置き換えることによって増殖した細胞バイオマスを収集することができ、これは成長した細胞バイオマスを脱落させる。
【0135】
細胞及び細胞バイオマスを培養するためのまた別の例示的なフィルタケーキベースのシステム300(
図3A)、並びにその方法が、本明細書において提供される。
図3A~
図3Mは、両面、垂直、及び膜プレスフィルタを含む代替の濾過アプローチを示す。これにより、流動及び圧縮方向を変更するオプションが可能になり、これにより、細胞バイオマス製品中のより厚いフィルタケーキ及び/又はより低い水分含量を得ることが可能になる。
【0136】
図3Aは、濾過されていないチャンバ310と、2つのフィルタ支持体312及び314(例えば、フィルタ布)と、2つの濾過されたチャンバ315及び316と、2つの可撓性構造化膜318及び320と、2つの膜ブローアップチャンバ322及び324とを含有するフィルタチャンバ302を備える例示的なシステム300を示す。膜を膨張させ、濾過されていないチャンバ容積を減少させるために、2つの膜ブローアップチャンバ322及び324を使用することができる。
【0137】
図3Bに示されるように、洗浄、滅菌、及びフラッディングの後、繊維圧縮可能濾過助剤326及び圧縮性の低い濾過助剤328のわずかな増分を含有する流体が、プレコートを形成するために濾過されていないチャンバ内に導入される(中央の太い矢印430によって示される)。濾過された流体は、濾過されたチャンバから、フィルタ支持体の後ろにあるフィルタチャンバを出る(フィルタチャンバ302の上下の角部にある細い矢印440によって示されている)。
【0138】
図3Cは、フィルタ支持体314及び312の両方をそれぞれ覆うプレコート層330及び332を示す。次に、第1の細胞型334が可食性濾過助剤とともに、流体流に続いて添加される(
図3D)。
図3Eに示されるように、この細胞は濾過助剤中に埋め込まれ、フィルタケーキ336及び338の第1の層をそれぞれ形成する。次に、
図3Fに示すように、第2の細胞型340が追加される。これにより、フィルタケーキ341及び342に追加の層が加えられる(
図3G)。さらに、
図3Hに示されるように、他の細胞型344の添加は、必要に応じて繰り返し及び/又は交互に行うことができる。この処理は濾過されていないチャンバが完全に充填されるまで、例えば
図3Iの346まで繰り返すことができ、それによって、濾過されていないチャンバの2つの初期フィルタケーキは、単一のより厚いフィルタケーキに併合される。
【0139】
濾過されていないチャンバが充填された後、流れの方向を変えることができる(
図3J)。その結果、栄養物及び酸素富化培地は、残されたフィルタ支持体312の後ろから導入される(濾過されたチャンバ302の左側の上部及び下部に矢印400で示される)。この流体は多孔質細胞バイオマス348に浸透し、右のフィルタ支持体314上を出る(濾過されたチャンバ302の右側の上部及び下部に矢印410で示す)。厚い層は供給源からさらに離れた細胞の飢餓又は中毒をもたらす可能性があるので、この流動方向は交互にすることができ、培地はまた、右から左に流動することができる。したがって、このデザインは、細胞が増殖し、増加し、融合し、厚い細胞バイオマスを形成する、より厚い(例えば、本質的に2倍の厚さの)フィルタケーキの作製を可能にする。
【0140】
いくつかの実施形態では、多孔性及び細胞間接触に影響を与えるために、
図3Kに示すように、一方又は両方の膜を膨張又は収縮させることができる。膜ブローアップチャンバ322の膨張は、気体及び/又は液体350を使用することによって達成されてもよい。濾過されていないチャンバ容積を(定期的に、又は1回だけ)操作することは、プレコーティング、充填、細胞増殖、及び/又は放電中に有益であり得る。これは、例えば、フィルタケーキの深層内の流体を脈動させるのを助け、そうでなければ増殖している細胞集団の増殖によって閉鎖された流体のための流路を開くのを助けることができる。これにより、膨張側及び収縮側を変更することができる。
図3Kによって示される例では、左側の圧縮が左側からの流れによって増強され、それによって、この圧縮は流動がフィルタケーキ内により深く浸透するのを助ける。
【0141】
この膜及びブローアップチャンバは例えば、細胞バイオマス生成物の最終水分含有量を減少させるために、フィルタケーキが空にされる前にフィルタケーキを圧縮することを可能にする。
図3Lは、膜ブローアップチャンバ322及び324の両方が膨張され、フィルタケーキを圧縮及び脱湿するためにガス354が導入されることを示す。この流体は、フィルタ入口358を介して、又は代替的にフィルタチャンバ側面のうちの1つを介して排出される。続いて、
図3Mに示されるように、ブローアップチャンバは収縮され(矢印450によって示される)、その結果、フィルタケーキ356は濾過されていないチャンバが開かれたときに、脱落し採取され得る。
【0142】
[応用例]
本明細書に記載されるシステム及び方法は、様々な用途のために、そこから細胞及び/又は細胞バイオマスを培養するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、細胞及び/又は細胞バイオマスがヒト又は非ヒト消費を目的とする肉製品へと培養される。いくつかの実施形態では、細胞及び/又は細胞バイオマスは、細胞ベースの肉(in vitro産生細胞ベースの肉、細胞培養ベースの肉、in vitro肉、培養肉、実験室で増殖させた肉、又は清潔な肉としても知られる)へと培養される。
【0143】
いくつかの実施形態では、細胞は、治療目的のために意図される組織へと培養される。治療用途の例としては、幹細胞、肝細胞、3D細胞培養物、細胞スフェロイド、結節、オルガノイド、バイオファブリケーション、バイオエンジニアリングなどの培養が挙げられる。
【0144】
上述の記載は、説明の目的のため、本発明の完全な理解を提供するために、特定の専門用語を使用した。しかしながら、本発明を実施するために特定の詳細が必要とされないことは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の特定の実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的のために提示される。それらは、網羅的であること、又は開示された正確な形態に本発明を限定することを意図するものではなく、明らかに、上記の教示を考慮して、多くの修正及び実施形態が可能である。実施形態は、本発明の原理及びその実用的な応用を説明するために選択され、説明された。これにより、他の当業者は、本発明、及び想定される特定の使用に適した様々な修正を伴う様々な実施形態を利用することができる。以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物が本発明の範囲を定義することが意図される。
【0145】
[例示的な実施形態]
本開示のいくつかの実施形態は以下のように、実施形態Iに関する。
【0146】
[実施形態I-1]
細胞及び細胞バイオマスを培養するための方法であって、
a)フィルタ支持体を提供することと、
b)少なくとも1つの濾過助剤をフィルタ支持体に添加することと、
c)複数の細胞を濾過助剤に添加することであって、細胞及び濾過助剤がともにフィルタケーキを形成する、添加することと、
d)フィルタケーキ中で細胞を培養することであって、フィルタケーキが培地で潅流される、培養することと、を含む、方法。
【0147】
[実施形態I-2]
フィルタ支持体が、水平フィルタ、垂直フィルタ、プレートフィルタ、プレートプレスフィルタ、マッシュフィルタ、布フィルタ、及びキャンドルフィルタからなる群から選択される、実施形態I-1に記載の方法。
【0148】
[実施形態I-3]
濾過助剤が、セルロース、デンプン、珪藻土、パーライト、活性炭、植物繊維、菌糸体、藻類、及び有機繊維からなる群から選択される、実施形態I-1~I-3のいずれか1つに記載の方法。
【0149】
[実施形態I-4]
有機繊維が、約1μm~20μm、20μm~50μm、50μm~80μm、80μm~110μm、110μm~140μm、140μm~170μm、170μm~200μm、200μm~230μm、230μm~260μm、260μm~290μm、又は290μm~320μmの長さを備える、実施形態I-3に記載の方法。
【0150】
[実施形態I-5]
有機繊維が、約0.01dtex~120dtex、0.05dtex~60dtex、0.1dtex~30dtex、0.2dtex~15dtex、又は0.5dtex~5dtexの繊維タイターを有する、実施形態I-3に記載の方法。
【0151】
[実施形態I-6]
濾過助剤が圧縮可能である、実施形態I-1~I-5のいずれか1つに記載の方法。
【0152】
[実施形態I-7]
濾過助剤が、約70%~75%、75%~80%、80%~85%、85%~90%、90%~95%、95%~98%、又は98%~100%圧縮可能である、実施形態I-1~I-6のいずれか1つに記載の方法。
【0153】
[実施形態I-8]
濾過助剤が中空である、実施形態I-1~I-7のいずれか1つに記載の方法。
【0154】
[実施形態I-9]
濾過助剤が可食性である、実施形態I-1~I-8のいずれか1つに記載の方法。
【0155】
[実施形態I-10]
濾過助剤が分解性である、実施形態I-1~I-9のいずれか1つに記載の方法。
【0156】
[実施形態I-11]
培地の流量を変化させることによってフィルタケーキを圧縮することをさらに含む、実施形態I-1~I-10のいずれか1つに記載の方法。
【0157】
[実施形態I-12]
圧力を変化させることによってフィルタケーキを圧縮することをさらに含む、実施形態I-1~I-11のいずれか1つに記載の方法。
【0158】
[実施形態I-13]
濾過助剤が、フィルタ支持体に、25g/m2~12000g/m2、50g/m2 ~6000g/m2、100g/m2~3000g/m2、200g/m2~1500g/m2、又は400g/m~750g/m2で添加される、実施形態I-1~I-12のいずれか1つに記載の方法。
【0159】
[実施形態I-14]
フィルタケーキ中の細胞の濃度が、約0.05×106細胞/ml~2000×106細胞/ml、0.5×106細胞/ml~200×106細胞/ml、5×106細胞/ml~20×106細胞/ml、又は5×106細胞/ml~10×106細胞/mlである、実施形態I-1~I-13のいずれか1つに記載の方法。
【0160】
[実施形態I-15]
温度が約10°C~約45°Cに維持される、実施形態I-1~I-14のいずれか1つに記載の方法。
【0161】
[実施形態I-16]
細胞が後生動物細胞である、実施形態I-1~I-15のいずれか1つに記載の方法。
【0162】
[実施形態I-17]
細胞は、骨格筋細胞、幹細胞、多能性幹細胞、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、線維芽細胞、筋芽細胞、体細胞、胚外細胞、筋細胞、サテライト細胞、側集団細胞、筋由来幹細胞、間葉系幹細胞、筋原性周皮細胞、中胚芽細胞、及び脂肪細胞で構成されるグループから選択される、実施形態I-1~I-16のいずれか1つに記載の方法。
【0163】
[実施形態I-18]
細胞が、約95F:5M~5F:95Mの比率の線維芽細胞と筋芽細胞との共培養物である、実施形態I-1~I-17のいずれか1つに記載の方法。
【0164】
[実施形態I-19]
細胞が、家禽、猟獣、水生、又は家畜の種に由来する、実施形態I-1~I-18のいずれか1つに記載の方法。
【0165】
[実施形態I-20]
細胞は、Gallus gallus、Meleagris gallopavo、Anas platyrhynchos、Bos taurus、Sus scrofa、Ovis aries、Salmo salar、Thunnus thynnus、Gadus morhua、Homarus americanus、Litopenaeus setiferus、Oncorhynchus mykiss、及びOreochromis niloticusからなる群から選択される、実施形態I-1~I-19のいずれか一項に記載の方法。
【0166】
[実施形態I-21]
少なくとも1つの濾過助剤を添加することが、少なくとも1つの濾過助剤を含有する培地を流動させることを含む、実施形態I-1~I-20のいずれか1つに記載の方法。
【0167】
[実施形態I-22]
少なくとも1つの濾過助剤は、同時に、連続的に、交互に、又はそれに関連する任意の順序で添加される、実施形態I-1~I-21のいずれか1つに記載の方法。
【0168】
[実施形態I-23]
複数の細胞を添加することが、複数の細胞を含有する培地を流動させることを含む、実施形態I-1~I-22のいずれか1つに記載の方法。
【0169】
[実施形態I-24]
複数の細胞は、同時に、連続的に、交互に、又はそれに関連する任意の順序で添加される、実施形態I-1~I-23のいずれか1つに記載の方法。
【0170】
[実施形態I-25]
フィルタケーキが可食性である、実施形態I-1~I-24のいずれか1つに記載の方法。
【0171】
[実施形態I-26]
フィルタケーキから、細胞又はそれから産生された組織を採取することをさらに含む、実施形態I-1~I-25のいずれか1つに記載の方法。
【0172】
[実施形態I-27]
培地が、GRAS成分、場合によりGRAS成分のみを含む、実施形態I-1~I-26のいずれか1つに記載の方法。
【0173】
[実施形態I-28]
細胞を、ヒト消費を意図する組織へと培養する、実施形態I-1~I-27のいずれか1つに記載の方法。
【0174】
[実施形態I-29]
細胞を、治療目的を意図する組織へと培養する、実施形態I-1~I-28のいずれか1つに記載の方法。
【0175】
[実施形態I-30]
細胞及び細胞バイオマスの培養を最適化するためのシステムであって、
a)少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を備えるフィルタチャンバと、
b)フィルタチャンバ内に配置された少なくとも1つのフィルタ支持体と、
c)フィルタ支持体上に配置されたフィルタケーキであって、少なくとも1つの濾過助剤及び複数の細胞を含むフィルタケーキと、を備える、システム。
【0176】
[実施形態I-31]
フィルタケーキが少なくとも2つの異なる細胞型を含む、実施形態I-30のシステム。
【0177】
[実施形態I-32]
細胞が後生動物細胞から選択される、実施形態I-30~I-31のいずれか1つに記載の方法。
【0178】
[実施形態I-33]
細胞は、骨格筋細胞、幹細胞、多能性幹細胞、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、線維芽細胞、筋芽細胞、体細胞、胚外細胞、筋細胞、サテライト細胞、側集団細胞、筋由来幹細胞、間葉系幹細胞、筋原性周皮細胞、中胚芽細胞、及び脂肪細胞で構成されるグループから選択される、実施形態I-30~I-32のいずれか1つに記載のシステム。
【0179】
[実施形態I-34]
細胞が、約95F:5M~5F:95Mの比率の線維芽細胞と筋芽細胞との共培養物である、実施形態I-30~I-33のいずれか1つに記載のシステム。
【0180】
[実施形態I-35]
細胞が、家禽、猟獣、水生、又は家畜の種に由来する、実施形態I-30~I-34のいずれか1つに記載のシステム。
【0181】
[実施形態I-36]
細胞は、Gallus gallus、Meleagris gallopavo、Anas platyrhynchos、Bos taurus、Sus scrofa、Ovis aries、Salmo salar、Thunnus thynnus、Gadus morhua、Homarus americanus、Litopenaeus setiferus、Oncorhynchus mykiss、及びOreochromis niloticusからなる群から選択される、実施形態I-30~I-35のいずれか一項に記載のシステム。
【0182】
[実施形態I-37]
フィルタチャンバが、細胞を含む少なくとも1つのリザーバと流体連通している、実施形態I-30~I-36のいずれか1つに記載のシステム。
【0183】
[実施形態I-38]
フィルタチャンバが、濾過助剤を含む少なくとも1つのリザーバと流体連通している、実施形態I-30~I-37のいずれか1つに記載のシステム。
【0184】
[実施形態I-39]
フィルタチャンバの温度が約10°C~約45°Cに維持される、実施形態I-30~I-38のいずれか1つに記載のシステム。
【0185】
[実施形態I-40]
入口と出口との間の流量が約1L/分~1000L/分である、実施形態I-30~I-39のいずれか1つに記載のシステム。
【0186】
[実施形態I-41]
入口と出口との間の圧力が約0.1バール~5.0バールである、実施形態I-30~I-40のいずれか1つに記載のシステム。
【0187】
[実施形態I-42]
濾過助剤が、フィルタ支持体に、25g/m2~12000g/m2、50g/m2 ~6000g/m2、100g/m2~3000g/m2、200g/m2~1500g/m2、又は400g/m~750g/m2で添加される、実施形態I-30~I-41のいずれか1つに記載のシステム。
【0188】
[実施形態I-43]
フィルタチャンバが約5リットル~25,000リットルのサイズを有する、実施形態I-30~I-42のいずれか1つに記載のシステム。
【0189】
[実施形態I-44]
フィルタ支持体が約1m2~2000m2の表面積を有する、実施形態I-30~I-43のいずれか1つに記載のシステム。
【0190】
[実施形態I-45]
フィルタケーキが2つの細胞型を交互の層で含む、実施形態I-30~I-44のいずれか1つに記載のシステム。
【0191】
[実施形態I-46]
フィルタケーキが2つの細胞型を交互の層で含む、実施形態I-1~I-29のいずれか1つに記載の方法。
【0192】
[実施形態II-1]
細胞及び細胞バイオマスの培養を最適化するための方法であって、
a)フィルタ支持体を提供することと、
b)少なくとも1つの濾過助剤をフィルタ支持体に添加することであって、少なくとも1つの濾過助剤が圧縮可能である、添加することと、
c)複数の細胞を濾過助剤に添加することであって、細胞及び濾過助剤がともにフィルタケーキを形成する、添加することと、
d)フィルタケーキを圧縮することと、
e)フィルタケーキ中で細胞を培養することと、を含む、方法。
【0193】
[実施形態II-2]
細胞及びそれから産生された組織を採取することを含む、実施形態II-1の方法。
【0194】
[実施形態II-3]
肉製品がそれによって生成される、実施形態II-1の方法。
【0195】
[実施形態II-4]
流量及び圧力のうちの1つ以上を変化させることによってフィルタケーキを圧縮することを含む、実施形態II-1の方法。
【0196】
[実施形態II-5]
フィルタケーキが可食性である、実施形態II-1の方法。
【0197】
[実施形態II-6]
少なくとも1つの濾過助剤が圧縮可能である、実施形態II-1に記載の方法。
【0198】
[実施形態II-7]
少なくとも1つの濾過助剤は可食性である、実施形態II-1の方法。
【0199】
[実施形態II-8]
少なくとも1つの濾過助剤が、セルロース、デンプン、珪藻土、パーライト、活性炭、植物繊維、真菌菌糸体、藻類、及び有機繊維からなる群から選択される、実施形態II-1に記載の方法。
【0200】
[実施形態II-9]
有機繊維が、約1μm~20μm、20μm~50μm、50μm~80μm、80μm~110μm、110μm~140μm、140μm~170μm、170μm~200μm、200μm~230μm、230μm~260μm、260μm~290μm、又は290μm~320μmの長さを備える、実施形態II-1に記載の方法。
【0201】
[実施形態II-10]
有機繊維が、約0.01dtex~120dtex、0.05dtex~60dtex、0.1dtex~30dtex、0.2dtex~15dtex、又は0.5dtex~5dtexの繊維タイターを有する、実施形態II-1に記載の方法。
【0202】
[実施形態II-11]
少なくとも1つの濾過助剤が、フィルタ支持体に、25g/m2~12000g/m2、50g/m2 ~6000g/m2、100g/m2~3000g/m2、200g/m2~1500g/m2、又は400g/m~750g/m2で添加される、実施形態II-1の方法。
【0203】
[実施形態II-12]
フィルタ支持体が、水平フィルタ、垂直フィルタ、プレートフィルタ、プレートプレスフィルタ、マッシュフィルタ、布フィルタ、及びキャンドルフィルタからなる群から選択される、実施形態II-1に記載の方法。
【0204】
[実施形態II-13]
温度が約10°C~約45°Cに維持される、実施形態II-1の方法。
【0205】
[実施形態II-14]
細胞が、家禽、猟獣、水生、又は家畜の種に由来する、実施形態II-1の方法。
【0206】
[実施形態II-15]
細胞は、Gallus gallus、Meleagris gallopavo、Anas platyrhynchos、Bos taurus、Sus scrofa、Ovis aries、Salmo salar、Thunnus thynnus、Gadus morhua、Homarus americanus、Litopenaeus setiferus、Oncorhynchus mykiss、及びOreochromis niloticusからなる群から選択される、実施形態II-1の方法。
【0207】
[実施形態II-16]
少なくとも1つの濾過助剤を添加することが、少なくとも1つの濾過助剤を含有する培地を流動させることを含む、実施形態II-1の方法。
【0208】
[実施形態II-17]
複数の細胞を添加することが、複数の細胞を含有する培地を流動させることを含む、実施形態II-1の方法。
【0209】
[実施形態II-18]
細胞及び細胞バイオマスを培養するためのシステムであって、
a)少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を備えるフィルタチャンバと、
b)フィルタチャンバ内に配置された少なくとも1つのフィルタ支持体と、
c)フィルタ支持体上に配置されたフィルタケーキであって、フィルタケーキは圧縮可能であり、少なくとも1つの濾過助剤及び複数の細胞を含む、フィルタケーキと、を備える、システム。
【0210】
[実施形態II-19]
フィルタチャンバが、細胞を含む少なくとも1つのリザーバと流体連通している、実施形態II-18の方法。
【0211】
[実施形態II-20]
フィルタチャンバは、濾過助剤を含む少なくとも1つのリザーバと流体連通している、実施形態II-18の方法。
【0212】
[実施形態III-1]
細胞及び細胞バイオマスの培養を最適化するための方法であって、
a)フィルタ支持体を提供することと、
b)少なくとも1つの濾過助剤をフィルタ支持体に添加することと、
c)複数の細胞を濾過助剤に添加することであって、細胞及び濾過助剤がともにフィルタケーキを形成する、添加することと、
d)細胞をフィルタケーキ中で細胞バイオマスへと増殖させることであって、フィルタケーキは少なくとも部分的に圧縮可能である、増殖させることと、を含む、方法。
【0213】
[実施形態III-2]
前記細胞バイオマスが肉製品である、実施形態III-1の方法。
【0214】
[実施形態III-3]
流量及び圧力のうちの1つ以上を変化させることによってフィルタケーキを圧縮又は減圧することを含む、実施形態III-1の方法。
【0215】
[実施形態III-4]
フィルタケーキが可食性である、実施形態III-1の方法。
【0216】
[実施形態III-5]
少なくとも1つの濾過助剤が少なくとも部分的に圧縮可能である、実施形態III-1の方法。
【0217】
[実施形態III-6]
少なくとも1つの濾過助剤が可食性又は分解性である、実施形態III-1の方法。
【0218】
[実施形態III-7]
濾過助剤が、少なくとも1つの圧縮可能な濾過助剤及び1つの圧縮可能でない濾過助剤を含む、実施形態III-1の方法。
【0219】
[実施形態III-8]
有機繊維が、約1μm~20μm、20μm~50μm、50μm~80μm、80μm~110μm、110μm~140μm、140μm~170μm、170μm~200μm、200μm~230μm、230μm~260μm、260μm~290μm、又は290μm~320μmの長さを備える、実施形態III-1の方法。
【0220】
[実施形態III-9]
有機繊維が、約0.01dtex~120dtex、0.05dtex~60dtex、0.1dtex~30dtex、0.2dtex~15dtex、又は0.5dtex~5dtexの繊維タイターを有する、実施形態III-1の方法。
【0221】
[実施形態III-10]
少なくとも1つの濾過助剤が、フィルタ支持体に、25g/m2~12000g/m2、50g/m2 ~6000g/m2、100g/m2~3000g/m2、200g/m2~1500g/m2、又は400g/m~750g/m2で添加される、実施形態III-1の方法。
【0222】
[実施形態III-11]
フィルタ支持体が、水平フィルタ、垂直フィルタ、プレートフィルタ、プレートプレスフィルタ、マッシュフィルタ、布フィルタ、マスフィルタ、又はキャンドルフィルタに含まれる、実施形態III-1の方法。
【0223】
[実施形態III-12]
温度が約10°C~約45°Cに維持される、実施形態III-1の方法。
【0224】
[実施形態III-13]
細胞が、家禽、猟獣、水生、又は家畜の種に由来する、実施形態III-1の方法。
【0225】
[実施形態III-14]
増殖する細胞バイオマスを介して潅流を確立する方法であって、
a)少なくとも部分的に圧縮可能な濾過助剤上へ細胞を播種することと、
b)細胞、少なくとも部分的に圧縮可能な濾過助剤、又はその両方を圧縮することと、
c)細胞を細胞バイオマスへと増殖させるために、少なくとも部分的に圧縮可能な濾過助剤を介して培地を流動させ、それによって増殖が時間とともに潅流を減少させる、流動させることと、
d)培地の潅流を増進させるために、細胞、少なくとも部分的に圧縮可能な濾過助剤、又はその両方を減圧することと、を含む、方法。
【0226】
[実施形態III-15]
細胞バイオマスが、前記培地の流体圧力又は流動によって圧縮される、実施形態III-14の方法。
【0227】
[実施形態III-16]
細胞培養培地が、細胞増殖を促進するための栄養物及び酸素添加を提供する、実施形態III-14の方法。
【0228】
[実施形態III-17]
細胞バイオマスが、リリーフ弁、より低圧の培地流、培地の流動減少、又はそれらのいくつかの組み合わせを用いて減圧される、実施形態III-14の方法。
【0229】
[実施形態III-18]
細胞バイオマス、その基材、又はその両方が、細胞集団の増殖に比例して減圧され、それによって潅流が安定化される、実施形態III-14の方法。
【0230】
[実施形態III-19]
細胞バイオマス、少なくとも部分的に圧縮可能な濾過助剤、又はその両方が、パルス頻度において圧縮状態と減圧状態との間を循環する、実施形態III-14の方法。
【0231】
[実施形態III-20]
パルス頻度が20秒~20分である、実施形態III-19の方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞及び細胞バイオマスの培養を最適化するための方法であって、
フィルタ支持体を提供することと、
少なくとも1つの濾過助剤を前記フィルタ支持体に添加することであって、前記少なくとも1つの濾過助剤が、約1μm~約20μm、約20μm~約50μm、約50μm~約80μm、約80μm~約110μm、約110μm~約140μm、約140μm~約170μm、約170μm~約200μm、約200μm~約230μm、約230μm~約260μm、約260μm~約290μm、又は約290μm~約320μmの長さの有機繊維を含む、添加することと、
複数の細胞を前記少なくとも1つの濾過助剤に添加することであって、前記細胞及び前記少なくとも1つの濾過助剤がともにフィルタケーキを形成する、添加することと、
前記細胞を前記フィルタケーキ中で細胞バイオマスへと増殖させることであって、前記フィルタケーキは、少なくとも部分的に圧縮可能である、増殖させることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記細胞バイオマスが肉製品である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
流量若しくは圧力のうちの1つ以上を変化させることによって、前記フィルタケーキを圧縮又は減圧することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記フィルタケーキが可食性である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの濾過助剤が可食性又は分解性である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの濾過助剤が、少なくとも1つの圧縮可能な濾過助剤及び少なくとも1つの圧縮可能でない濾過助剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの濾過助剤が少なくとも部分的に圧縮可能である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの濾過助剤が、約0.01dtex~約120dtex、約0.05dtex~約60dtex、約0.1dtex~約30dtex、約0.2dtex~約15dtex、又は約0.5dtex~約5dtexの繊維タイターを有する有機繊維を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの濾過助剤が、前記フィルタ支持体に、約25g/m
2
~約12000g/m
2
、約50g/m
2
~約6000g/m
2
、約100g/m
2
~約3000g/m
2
、約200g/m
2
~約1500g/m
2
、又は約400g/m~約750g/m
2
で添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記フィルタ支持体が、水平フィルタ、垂直フィルタ、プレートフィルタ、プレートプレスフィルタ、マッシュフィルタ、布フィルタ、マスフィルタ、又はキャンドルフィルタを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記フィルタケーキの温度は、増殖中、約10°Cから約45°Cの間に維持されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記細胞が、家禽、猟獣、水生、又は家畜の種に由来する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
増殖する細胞バイオマスを介して潅流を確立する方法であって、
少なくとも部分的に圧縮可能な濾過助剤上へ細胞を播種することと、
前記細胞、前記少なくとも部分的に圧縮可能な濾過助剤、又はその両方を圧縮することと、
前記細胞を細胞バイオマスへと増殖させるために、前記少なくとも部分的に圧縮可能な濾過助剤を介して培地を流動させ、それによって、増殖が時間とともに潅流を減少させる、流動させることと、
培地の潅流を増進させるために、前記細胞、前記少なくとも部分的に圧縮可能な濾過助剤、又はその両方を減圧することと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記細胞バイオマスが、前記培地の流体圧力又は流動によって圧縮される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記培地が、細胞増殖を促進するための栄養物及び酸素添加を提供する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記細胞、前記少なくとも部分的に圧縮可能な濾過助剤、又はその両方を減圧することが、リリーフ弁、より低圧の培地流、又は前記培地の流動減少のうちの少なくとも1つを利用することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記細胞バイオマス、その基材、又はその両方が、前記細胞バイオマスの増殖に比例して減圧され、それによって潅流が安定化される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記細胞バイオマス、前記少なくとも部分的に圧縮可能な濾過助剤、又はその両方が、パルス頻度において圧縮状態と減圧状態との間を循環する、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記パルス頻度が約20秒~約20分である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
細胞及び細胞バイオマスの培養を最適化するための方法であって、
フィルタ支持体を提供することと、
少なくとも1つの濾過助剤を前記フィルタ支持体に添加することであって、前記少なくとも1つの濾過助剤が、前記フィルタ支持体に、約25g/m
2
~約12000g/m
2
、約50g/m
2
~約6000g/m
2
、約100g/m
2
~約3000g/m
2
、約200g/m
2
~約1500g/m
2
、又は約400g/m~約750g/m
2
で添加される、添加することと、
複数の細胞を前記少なくとも1つの濾過助剤に添加することであって、前記細胞及び前記少なくとも1つの濾過助剤がともにフィルタケーキを形成する、添加することと、
前記細胞を前記フィルタケーキ中で細胞バイオマスへと増殖させることであって、前記フィルタケーキは、少なくとも部分的に圧縮可能である、増殖させることと、を含む、方法。
【請求項21】
前記細胞バイオマスが肉製品である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
流量若しくは圧力のうちの1つ以上を変化させることによって、前記フィルタケーキを圧縮又は減圧することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの濾過助剤が可食性又は分解性である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの濾過助剤が、少なくとも1つの圧縮可能な濾過助剤及び少なくとも1つの圧縮可能でない濾過助剤を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つの濾過助剤が少なくとも部分的に圧縮可能である、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1つの濾過助剤が、約1μm~約20μm、約20μm~約50μm、約50μm~約80μm、約80μm~約110μm、約110μm~約140μm、約140μm~約170μm、約170μm~約200μm、約200μm~約230μm、約230μm~約260μm、約260μm~約290μm、又は約290μm~約320μmの長さの有機繊維を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1つの濾過助剤が、約0.01dtex~約120dtex、約0.05dtex~約60dtex、約0.1dtex~約30dtex、約0.2dtex~約15dtex、又は約0.5dtex~約5dtexの繊維タイターを有する有機繊維を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記フィルタ支持体が、水平フィルタ、垂直フィルタ、プレートフィルタ、プレートプレスフィルタ、マッシュフィルタ、布フィルタ、マスフィルタ、又はキャンドルフィルタを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記フィルタケーキの温度は、増殖中、約10°Cから約45°Cの間に維持されることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
前記細胞が、家禽、猟獣、水生、又は家畜の種に由来する、請求項20に記載の方法。
【国際調査報告】