(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】エアロゾル発生デバイスのための誘導加熱アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20240711BHJP
A24F 40/51 20200101ALI20240711BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240711BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/51
A24F40/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572941
(86)(22)【出願日】2022-07-05
(85)【翻訳文提出日】2024-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2022068627
(87)【国際公開番号】W WO2023001547
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピラトヴィチ, グジェゴジ アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC01
4B162AC12
(57)【要約】
エアロゾル発生デバイス(10)のための誘導加熱アセンブリ(11)は、エアロゾル発生基材(102)の少なくとも一部を受け入れるための加熱チャンバ(18)と、電磁場を発生させるための、加熱チャンバ(18)の外部に位置決めされた誘導コイル(58)と、エアロゾル発生基材(102)の外部で加熱チャンバ(18)の内部においてその周囲(31)に位置決めされた誘導加熱可能サセプタ(48)と、誘導加熱可能サセプタ(48)と熱的に接触する温度センサ(64)とを含む。誘導加熱可能サセプタ(48)は、発生した電磁場によって誘導加熱されるように誘導コイル(58)に対して配置され、且つ発生した電磁場から温度センサ(64)を遮蔽するように配置された幾何学的特徴(70)を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生デバイス(10)のための誘導加熱アセンブリ(11)であって、
エアロゾル発生基材(102)の少なくとも一部を受け入れるための加熱チャンバ(18)と、
電磁場を発生させるための、前記加熱チャンバ(18)の外部に位置決めされた誘導コイル(58)と、
前記エアロゾル発生基材(102)の外部で前記加熱チャンバ(18)の内部においてその周囲(31)に位置決めされた誘導加熱可能サセプタ(48)であって、前記発生した電磁場によって誘導加熱されるように前記誘導コイル(58)に対して配置される誘導加熱可能サセプタ(48)と、
前記誘導加熱可能サセプタ(48)と熱的に接触する温度センサ(64)と、
を含み、前記誘導加熱可能サセプタ(48)は、前記発生した電磁場から前記温度センサ(64)を遮蔽するように配置された幾何学的特徴(70)を有する、誘導加熱アセンブリ(11)。
【請求項2】
前記温度センサ(64)は、前記幾何学的特徴(70)内に受け入れられる、請求項1に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項3】
前記温度センサ(64)は、熱電対であり、且つ前記幾何学的特徴(70)内に受け入れられる第1の熱電対ワイヤ(66)と、前記幾何学的特徴(70)内に受け入れられる第2の熱電対ワイヤ(68)とを含む、請求項2に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項4】
前記誘導コイル(58)は、前記加熱チャンバ(18)の周りに延びる、請求項1から3のいずれか一項に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項5】
前記加熱チャンバ(18)は、長手方向を画定する長手方向軸を有し、前記誘導加熱可能サセプタ(48)は、前記加熱チャンバ(18)の前記長手方向に細長く、及び前記誘導加熱可能サセプタ(48)は、内面(48a)及び外面(48b)を有する、請求項4に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項6】
前記加熱チャンバ(18)は、前記加熱チャンバ(18)の内部容積を画定するチャンバ壁(30)を含み、エアロゾル発生基材(102)が前記加熱チャンバ(18)内に受け入れられるとき、前記誘導加熱可能サセプタ(48)の前記内面(48a)と、前記エアロゾル発生基材(102)との間に内側空隙があり、及び前記誘導加熱可能サセプタ(48)の前記外面(48b)と、前記チャンバ壁(30)との間に外側空隙がある、請求項5に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項7】
前記幾何学的特徴(70)は、前記誘導加熱可能サセプタ(48)の前記内面(48a)又は前記外面(48b)に形成された溝(72)を含み、前記溝(72)は、前記長手方向に延び、及び前記温度センサ(64)は、前記溝(72)内に位置決めされる、請求項5又は6に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項8】
前記溝(72)は、前記温度センサ(64)の位置から前記誘導加熱可能サセプタ(48)の端部まで前記長手方向に延びる、請求項7に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項9】
前記溝(72)が前記誘導加熱可能サセプタ(48)の前記内面(48a)に形成されるとき、前記温度センサ(64)は、前記内面(48a)から凹んでいる、請求項7又は8に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項10】
前記溝(72)が前記誘導加熱可能サセプタ(48)の前記外面(48b)に形成されるとき、前記温度センサ(64)は、前記外面(48b)から凹んでいる、請求項7又は8に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項11】
前記溝(72)は、前記温度センサ(64)を前記溝(72)内に囲むために、導電性且つ非透磁性材料ストリップ(74)によって覆われる、請求項7から10のいずれか一項に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項12】
前記幾何学的特徴(70)は、前記誘導加熱可能サセプタ(48)の前記内面(48a)又は前記外面(48b)上に配置されたチャネル(76)を含み、前記チャネル(76)は、前記長手方向に延び、及び前記温度センサ(64)は、前記チャネル(76)内に位置決めされる、請求項5又は6に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項13】
前記チャネル(76)は、前記温度センサ(64)の位置から前記誘導加熱可能サセプタ(48)の端部まで前記長手方向に延びる、請求項12に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項14】
前記チャネル(76)は、前記長手方向に延びる側壁(76a)の対によって形成され、前記側壁(76a)は、導電性且つ透磁性材料を含む、請求項12又は13に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項15】
前記チャネル(76)は、前記温度センサ(64)を前記チャネル(76)内に囲むために、導電性且つ非透磁性材料ストリップ(74)によって覆われる、請求項12から14のいずれか一項に記載の誘導加熱アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、エアロゾル発生デバイスのための誘導加熱アセンブリに関し、より詳細には、エアロゾル発生基材を加熱して、エアロゾル発生デバイスのユーザによる吸入のためのエアロゾルを発生させるための誘導加熱アセンブリに関する。本開示の実施形態は、誘導加熱アセンブリを含むエアロゾル発生デバイスにも関する。本開示は、特に、携帯型(手持ち式)エアロゾル発生デバイスに適用可能である。そのようなデバイスは、エアロゾル発生基材、例えばタバコ又は他の好適な材料を、燃焼させるのではなく、伝導、対流及び/又は放射によって加熱して、ユーザによる吸入のためのエアロゾルを発生させる。本開示は、特に、誘導加熱式エアロゾル発生デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、(エアロゾル発生デバイス、又は蒸気発生デバイス、又は個人用気化器としても知られる)リスク低減デバイス又はリスク修正デバイスの人気及び使用は、従来のタバコ製品の使用に代わるものとして急速に成長している。エアロゾル発生物質を加熱又は加温して、ユーザによる吸入のためのエアロゾルを発生させる様々なデバイス及びシステムが入手可能である。
【0003】
一般に入手可能なリスク低減デバイス又はリスク修正デバイスは、基材加熱式エアロゾル発生デバイス、すなわちいわゆる非燃焼加熱式デバイスである。このタイプのデバイスは、エアロゾル発生基材を典型的には150℃~300℃の範囲の温度に加熱することにより、エアロゾル又は蒸気を発生させる。エアロゾル発生基材を燃やすか又は燃焼させたることなく、エアロゾル発生基材をこの範囲内の温度に加熱することにより、蒸気を発生させ、蒸気は、通常、冷却及び凝縮して、デバイスのユーザが吸入するエアロゾルを形成する。
【0004】
現在利用可能なエアロゾル発生デバイスは、幾つかの異なる手法の1つを用いて、エアロゾル発生基材に熱を与えることができる。そのような手法の1つは、誘導加熱システムを採用するエアロゾル発生デバイスを提供することである。このようなデバイスでは、エアロゾル発生基材を加熱するために、デバイス内に誘導コイルが設けられ、誘導加熱可能サセプタが設けられる。ユーザがデバイスを作動させると、電気エネルギーが誘導コイルに供給され、次いでこれにより交流電磁場が発生する。サセプタは、この電磁場と結合して熱を発生させ、この熱は、例えば、伝導、放射及び対流の1つ又は複数により、エアロゾル発生基材に伝達され、エアロゾル発生基材が加熱されるにつれてエアロゾルが発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、蒸気を発生させるのに十分な高さの温度までエアロゾル発生基材を急速に加熱し、エアロゾル発生基材をその温度に保つことが望ましい。適切な特性を有する蒸気エアロゾルを生成するために、エアロゾル発生基材の温度を慎重に制御する必要があり、したがって加熱温度を正確に制御できることが望ましい。本開示は、この必要性に対処しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様によれば、エアロゾル発生デバイスのための誘導加熱アセンブリであって、
エアロゾル発生基材の少なくとも一部を受け入れるための加熱チャンバ、
電磁場を発生させるための、加熱チャンバの外部に位置決めされた誘導コイル、
エアロゾル発生基材の外部で加熱チャンバの内部においてその周囲に位置決めされた誘導加熱可能サセプタであって、発生した電磁場によって誘導加熱されるように誘導コイルに対して配置される誘導加熱可能サセプタ、
誘導加熱可能サセプタと熱的に接触する温度センサ
を含み、誘導加熱可能サセプタは、発生した電磁場から温度センサを遮蔽するように配置された幾何学的特徴を有する、誘導加熱アセンブリが提供される。
【0007】
本開示の第2の態様によれば、第1の態様による誘導加熱アセンブリを含むエアロゾル発生デバイスが提供される。誘導加熱アセンブリは、電力を誘導コイルに提供するように配置された電源を更に含み得る。
【0008】
誘導加熱アセンブリは、エアロゾル発生基材を燃やすことなく、エアロゾル発生基材を加熱して、エアロゾル発生基材の少なくとも1つの成分を揮発させ、これにより加熱された蒸気を発生させるように構成され、加熱された蒸気は、冷却され、凝縮して、エアロゾル発生デバイスのユーザが吸入するためのエアロゾルを形成する。エアロゾル発生デバイスは、典型的には、手持ち式の携帯型デバイスである。
【0009】
一般論として、蒸気は、臨界温度よりも低い温度で気相である物質であり、これは、温度を低下させずに圧力を高めることにより、蒸気を液体に凝縮させ得ることを意味する一方、エアロゾルは、空気又は別のガス中に微細な固体粒子又は液滴が浮遊しているものである。しかしながら、本明細書では、「エアロゾル」及び「蒸気」という用語は、特に、ユーザが吸入するために発生させる吸入可能媒体の形態に関して同義で使用され得ることに留意されたい。
【0010】
幾何学的特徴は、発生した電磁場を温度センサから遠ざけて集中させるように配置され、したがって、温度センサは、発生した電磁場から遮蔽される。特に、幾何学的特徴は、発生した電磁場を温度センサから遠ざけて集中させるように形作られる(すなわちそのように配置された形状及び/又は容積を有する)。幾何学的特徴は、サセプタ材料から形成され、誘導加熱可能サセプタ内に又は誘導加熱可能サセプタによって少なくとも部分的に形成され得る。誘導加熱可能サセプタは、エアロゾル発生基材内に位置決めされず(すなわち内部加熱要素として機能しない)、代わりにエアロゾル発生基材の外部に位置決めされ、したがって温度センサもエアロゾル発生基材の外部(例えば、エアロゾル発生基材と誘導コイルとの間)に位置決めされ、そこで電磁場集中が最も高くなり得る。発生した電磁場から温度センサを遮蔽することで、発生した電磁場の温度センサへの影響が最小限に抑えられる。特に、温度センサの誘導加熱が実質的に又は完全に回避され、それにより誘導加熱可能サセプタの温度の正確な測定値を温度センサによって得ることができることを保証する。これにより、エアロゾル発生基材の加熱を正確に制御できることを保証する。
【0011】
ここで、任意選択的な機能について説明する。これらは、単独で又は本開示の任意の態様と任意に組み合わせて適用可能である。
【0012】
温度センサは、幾何学的特徴内に受け入れられ得る。これにより、温度センサに対する電磁場の影響が最小限に抑えられ、誘導加熱可能サセプタの温度をより正確に測定できるようになる。
【0013】
温度センサは、熱電対であり得、及び幾何学的特徴内に受け入れられ得る第1の熱電対ワイヤを含み得、且つ幾何学的特徴内に受け入れられ得る第2の熱電対ワイヤを含み得る。幾何学的特徴は、第1及び第2の熱電対ワイヤを受け入れるように動作可能な形状及び/又は容積を有する。第1及び第2の熱電対ワイヤを幾何学的特徴内に配置することにより、第1及び第2の熱電対ワイヤに対する発生した電磁場の影響が最小限に抑えられ、誘導加熱可能サセプタの温度のより正確な測定がもたらされる。
【0014】
誘導コイルは、加熱チャンバの周りに延び得る。加熱チャンバは、長手方向を画定する長手方向軸を有することができる。誘導コイルは、長手方向軸の周りで加熱チャンバの周囲に延びる螺旋状コイルであり得る。加熱チャンバの周りに螺旋状に延びる誘導コイルを設けることにより、発生した電磁場による誘導加熱可能サセプタの信頼性の高い加熱が保証される。
【0015】
誘導加熱可能サセプタは、加熱チャンバの長手方向に細長くてもよい。細長い誘導加熱可能サセプタは、発生した電磁場の存在下で効率的に加熱され、且つその細長い形状により、エアロゾル発生基材が長さ方向に沿って迅速に均一に加熱されることが確実になる。それにより、エアロゾル発生デバイスのエネルギー効率が最大化される。
【0016】
誘導加熱可能サセプタは、内面を有し得、且つ外面を有し得る。加熱チャンバは、加熱チャンバの内部容積を画定するチャンバ壁を含み得る。誘導加熱可能サセプタ(例えば、誘導加熱可能サセプタの外面)とチャンバ壁との間に外側空隙があり得、エアロゾル発生基材(又はエアロゾル発生基材を含むエアロゾル発生物品)が加熱チャンバ内に受け入れられるとき、加熱チャンバでは、誘導加熱可能サセプタ(例えば、誘導加熱可能サセプタの内面)とエアロゾル発生基材(又はエアロゾル発生基材を含むエアロゾル発生物品)との間に内側空隙があり得る。したがって、誘導加熱可能サセプタからエアロゾル発生基材への効率的な熱伝達が実現され得る。
【0017】
誘導加熱アセンブリは、加熱チャンバ内に位置決めされたホルダを含み得る。誘導加熱可能サセプタは、ホルダ上に取り付けることができる。ホルダの使用は、誘導加熱可能サセプタがエアロゾル発生基材に隣接して外部に位置決めされるが、エアロゾル発生基材を貫通しないように、加熱チャンバの周囲で且つエアロゾル発生基材の外側で誘導加熱可能サセプタを加熱チャンバ内に位置決めすることを容易にし得る。
【0018】
幾何学的特徴は、誘導加熱可能サセプタの内面又は外面に形成され得る溝を含み得る。溝は、長手方向に沿って延び得る。温度センサは、溝内に位置決めされ得る。温度センサ並びにその構成要素部品、例えば第1及び第2の熱電対ワイヤは、溝に完全に収容され得るため、温度センサ及びその構成要素部品に対する発生した電磁場の影響が確実に最小限に抑えられ、その結果、誘導加熱可能サセプタの温度をより正確に測定することができる。溝は、誘導加熱可能サセプタの内面又は外面に容易に形成され得、それにより誘導加熱アセンブリの製造性が向上する。
【0019】
溝は、温度センサの位置から誘導加熱可能サセプタの端部まで長手方向に延びることができる。第1及び第2の熱電対ワイヤなどの温度センサの構成要素部品は、溝内に収容され得る。
【0020】
溝が誘導加熱可能サセプタの内面に形成される実施形態では、温度センサは、内面から凹み得る。溝が誘導加熱可能サセプタの外面に形成される実施形態では、温度センサは、外面から凹み得る。誘導加熱可能サセプタの内面又は外面から凹ませることにより、温度センサ及びその構成要素部品に対する発生した電磁場の影響が最小限に抑えられ、その結果、誘導加熱可能サセプタの温度をより正確に測定できる。
【0021】
溝は、温度センサを溝内に囲むことができる導電性且つ非透磁性材料ストリップによって覆われ得る。材料ストリップは、理想的には、渦電流(例えば、隣接する誘導加熱可能サセプタ内で生成される)が材料ストリップを通過するとき、材料ストリップ内でほとんど熱が発生しないように、高い導電率(すなわち低い電気抵抗率)を有するべきである。
【0022】
幾何学的特徴は、誘導加熱可能サセプタの内面又は外面上に配置され得るチャネルを含み得る。チャネルは、長手方向に沿って延び得る。温度センサは、チャネル内に位置決めされ得る。温度センサ並びにその構成要素部品、例えば第1及び第2の熱電対ワイヤは、チャネル内に完全に収容され得るため、温度センサ及びその構成要素部品に対する発生した電磁場の影響が確実に最小限に抑えられ、その結果、誘導加熱可能サセプタの温度をより正確に測定することができる。チャネルは、誘導加熱可能サセプタの内面又は外面に容易に形成され得、それにより誘導加熱アセンブリの製造性が向上する。
【0023】
チャネルは、温度センサの位置から誘導加熱可能サセプタの端部まで長手方向に延びることができる。第1及び第2の熱電対ワイヤなどの温度センサの構成要素部品は、チャネル内に収容され得る。
【0024】
チャネルは、長手方向に延びる側壁の対によって形成され得る。側壁は、導電性且つ透磁性材料を含み得る。側壁は、温度センサに対するチャネルの遮蔽効果を最大化するように構成及び寸法設定され得る。側壁は、理想的には、側壁で(例えば、渦電流及び/又は磁気ヒステリシス損失によって)発生した熱が温度センサ(したがって測定された温度)に影響を与えず、代わりに誘導加熱可能サセプタに伝達されるように、温度センサから十分な距離だけ離す必要がある。
【0025】
チャネルは、温度センサをチャネル内に囲むことができる導電性且つ非透磁性材料ストリップによって覆われ得る。上述のように、材料ストリップは、理想的には、渦電流(例えば、隣接する誘導加熱可能サセプタ内で生成される)が材料ストリップを通過するとき、材料ストリップ内でほとんど熱が発生しないように、高い導電率(すなわち低い電気抵抗率)を有するべきである。
【0026】
誘導加熱アセンブリは、ホルダに取り付けられ得、且つチャンバ壁の内面の周りに延び得る複数の前記誘導加熱可能サセプタを含み得る。複数の誘導加熱可能サセプタを設けることにより、エアロゾル発生基材のより迅速且つ均一な加熱が達成され得る。
【0027】
チャンバ壁は、誘導コイルを支持するために外面内又は外面上に形成され得るコイル支持構造を含み得る。コイル支持構造は、誘導コイルの取り付けを容易にし、誘導加熱可能サセプタに対して誘導コイルを最適に位置決めすることを可能にする。そのため、誘導加熱可能サセプタが効率的に加熱され、それにより誘導加熱アセンブリ及びエアロゾル発生デバイスのエネルギー効率が向上する。コイル支持構造を設けることにより、誘導加熱アセンブリの製造及び組み立ても容易になる。
【0028】
コイル支持構造は、コイル支持溝を含み得る。コイル支持溝は、チャンバ壁の外面の周りに螺旋状に延び得る。コイル支持溝は、螺旋状の誘導コイルを受け入れるのに特に好適である。したがって、螺旋状の誘導コイルは、加熱チャンバの周りに延び得る。誘導コイルは、リッツ線又はリッツケーブルを含み得る。しかしながら、他の材料が使用され得ることを理解されたい。螺旋状の誘導コイルの円形断面は、加熱チャンバへのエアロゾル発生基材の挿入を容易にし得、誘導加熱可能サセプタ、したがってエアロゾル発生基材の均一な加熱を確実にし得る。
【0029】
誘導コイルは、使用時、約20mT~約2.0T(最高密度点)の磁束密度を有する変動電磁場を伴って動作するように配置され得る。
【0030】
加熱チャンバは、略管状であり得、誘導加熱可能サセプタ又は各誘導加熱可能サセプタは、誘導加熱可能サセプタ又は各誘導加熱可能サセプタが略管状の加熱チャンバの周囲に延びるように、ホルダに取り付けられ得る。加熱チャンバは、略円筒状であり得、誘導加熱可能サセプタ又は各誘導加熱可能サセプタは、誘導加熱可能サセプタ又は各誘導加熱可能サセプタが略円筒状の加熱チャンバの周囲に延びるように、ホルダに取り付けられ得る。したがって、加熱チャンバは、エアロゾル発生物品の形態のエアロゾル発生基材が円筒形態で包装され、販売されることが多いために有利であり得る、略円筒状のエアロゾル発生基材を受け入れるように構成され得る。誘導加熱アセンブリは、2つの誘導加熱可能サセプタを含み得る。誘導加熱可能サセプタの各々は、長手方向に細長いものであり得、略半円形断面を有し得る。
【0031】
加熱チャンバ及び/又はホルダは、実質的に非導電性且つ非透磁性材料を含み得る。例えば、加熱チャンバ及び/又はホルダは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの耐熱性プラスチック材料を含み得る。加熱チャンバ及び/又はホルダは、エアロゾル発生デバイスの動作中に誘導コイルにより発生させる電磁場により加熱されず、誘導加熱可能サセプタへのエネルギー入力が最大化されることを確実にする。したがって、これは、誘導加熱アセンブリ及びエアロゾル発生デバイスのエネルギー効率が最大化されることを確実にするのに役立つ。エアロゾル発生デバイスは、触れると冷たいままでもあり、ユーザの快適性が最大化されることを確実にする。
【0032】
温度センサは、熱電対、サーミスタ及び抵抗温度検出器(RTD)からなる群から選択され得る。しかしながら、他のタイプの温度センサも採用され得る。
【0033】
誘導加熱可能サセプタは、金属を含み得る。金属は、典型的には、ステンレス鋼及び炭素鋼からなる群から選択される。しかしながら、誘導加熱可能サセプタは、アルミニウム、鉄、ニッケル、ステンレス鋼、炭素鋼及びそれらの合金、例えばニッケルクロム又はニッケル銅の1つ又は複数を含むが、これらに限定されない任意の好適な材料を含むことができる。サセプタの付近に電磁場を印加すると、渦電流及び磁気ヒステリシス損失により電磁気から熱へのエネルギー変換がもたらされることに起因して、誘導加熱可能サセプタは、熱を発生させる。
【0034】
エアロゾル発生デバイスは、例えば、制御回路を含むコントローラを含み得、これらは、高周波で動作するように構成され得る。電源及び回路は、約80kHz~1MHz、場合により約150kHz~250kHz、場合により約200kHzの周波数で動作するよう構成され得る。電源及び回路は、使用される誘導加熱可能サセプタのタイプに応じて、例えばMHz範囲などのより高い周波数で動作するように構成され得る。
【0035】
エアロゾル発生基材は、任意のタイプの固体又は半固体の材料を含み得る。エアロゾル発生固体の例示的なタイプとしては、例えば、粉末、顆粒、ペレット、シュレッド、ストランド、粒子、ゲル、ストリップ、ルーズリーフ、カットフィラー、多孔質材料、発泡材料又はシートが挙げられる。エアロゾル発生基材は、植物由来の材料を含み得、特にタバコを含み得る。エアロゾル発生基材は、有利には、例えばタバコと、セルロース繊維、タバコ茎繊維及びCaCO3などの無機充填剤の任意の1つ又は複数とを含む再構成タバコを含み得る。
【0036】
したがって、エアロゾル発生デバイスは、「加熱式タバコデバイス」、「加熱非燃焼式タバコデバイス」、「タバコ製品気化用デバイス」などと呼ばれることがあり、これらの効果を実現するのに好適なデバイスとして解釈される。本明細書に開示する特徴は、任意のエアロゾル発生基材を気化させるように設計されたデバイスに等しく適用可能である。
【0037】
エアロゾル発生基材は、エアロゾル発生物品の一部を形成し得、紙製ラッパーで囲まれ得る。
【0038】
エアロゾル発生物品は、実質的にスティックの形状に形成され得、好適な形態で配置されたエアロゾル発生基材を有する管状領域を有する紙巻きタバコに概ね類似し得る。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品の近位端部において、例えばセルロースアセテート繊維を含むフィルタセグメントを含み得る。フィルタセグメントは、マウスピースフィルタを構成し得、エアロゾル発生基材と同軸に整列し得る。一部の設計には、1つ又は複数の蒸気収集領域、冷却領域及び他の構造も含まれ得る。例えば、エアロゾル発生物品は、フィルタセグメントの上流に少なくとも1つの管状セグメントを含み得る。管状セグメントは、蒸気冷却領域として機能し得る。蒸気冷却領域は、有利には、エアロゾル発生基材を加熱することによって発生させた加熱された蒸気が冷却され、凝縮して、例えばフィルタセグメントを通して、ユーザが吸入するのに適した特性を有するエアロゾルを形成することを可能にし得る。
【0039】
エアロゾル発生基材は、エアロゾル形成剤を含み得る。エアロゾル形成剤の例は、グリセリン又はプロピレングリコール等の多価アルコール及びこれらの混合物を含む。典型的には、エアロゾル発生基材は、乾燥重量ベースで約5%~約50%のエアロゾル形成剤含有量を含み得る。幾つかの実施形態では、エアロゾル発生基材は、乾燥重量ベースで約10%~約20%、場合により乾燥重量ベースで約15%のエアロゾル形成剤含有量を含み得る。
【0040】
加熱すると、エアロゾル発生基材は、揮発性化合物を放出し得る。揮発性化合物は、ニコチン又はタバコ香味料などの香味化合物を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】エアロゾル発生デバイスと、エアロゾル発生デバイスの加熱チャンバ内に位置決めされようとしているエアロゾル発生物品とを含むエアロゾル発生システムの概略断面図である。
【
図2】エアロゾル発生物品がエアロゾル発生デバイスの加熱チャンバ内に位置決めされた状態を示す、
図1のエアロゾル発生システムの概略断面図である。
【
図3】加熱チャンバ内に位置決めされたホルダ及び誘導加熱可能サセプタを示す、
図1及び
図2のエアロゾル発生デバイスの誘導加熱アセンブリの第1の例の切り欠き概略斜視図である。
【
図4】ホルダ及び誘導加熱可能サセプタの概略斜視図である。
【
図5】
図4のホルダ及び誘導加熱可能サセプタの分解図である。
【
図6-7】誘導加熱可能サセプタの外面に形成された溝を有する誘導加熱可能サセプタの第1の例の一部の概略斜視図である。
【
図8-9】誘導加熱可能サセプタの内面に形成された溝を有する誘導加熱可能サセプタの第2の例の一部の概略斜視図である。
【
図10-11】誘導加熱可能サセプタの外面上に配置されたチャネルを有する誘導加熱可能サセプタの第3の例の一部の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
ここで、本開示の実施形態について、単なる例として添付の図面を参照して説明する。
【0043】
まず、
図1及び
図2を参照すると、エアロゾル発生システム1の例が概略的に示されている。エアロゾル発生システム1は、エアロゾル発生デバイス10と、デバイス10と共に使用されるエアロゾル発生物品100とを含む。エアロゾル発生デバイス10は、エアロゾル発生デバイス10の様々な構成要素を収容する本体12を含む。本体12は、本明細書に提示される様々な実施形態に記載された構成要素に適合し、且つユーザが補助なしに片手で快適に保持するようなサイズの任意の形状を有し得る。
【0044】
図1~
図2の底部側に示すエアロゾル発生デバイス10の第1の端部14は、便宜上、エアロゾル発生デバイス10の遠位側、底部、基部又は下端部として説明される。
図1~
図2の頂部側に示すエアロゾル発生デバイス10の第2の端部16は、エアロゾル発生デバイス10の近位側、頂部又は上端部として説明される。使用中、ユーザは、典型的には、エアロゾル発生デバイス10を、第1の端部14を下向きに及び/又はユーザの口に対して遠位位置にし、且つ第2の端部16を上向きに及び/又はユーザの口に対して近接位置にして方向付ける。
【0045】
エアロゾル発生デバイス10は、本体12内に位置決めされた誘導加熱アセンブリ11を含む。誘導加熱アセンブリ11は、加熱チャンバ18を含む。加熱チャンバ18は、エアロゾル発生物品100を受け入れるために実質的に円筒形の断面を有するキャビティ20の形態の内部容積を画定する。加熱チャンバ18は、長手方向を画定する長手方向軸を有し、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの耐熱性プラスチック材料から形成される。エアロゾル発生デバイス10は、電源22、例えば充電式であり得る1つ又は複数のバッテリと、コントローラ24とを更に含む。
【0046】
加熱チャンバ18は、エアロゾル発生デバイス10の第2の端部16に向けて開放されている。換言すると、加熱チャンバ18は、エアロゾル発生デバイス10の第2の端部16に向かって開放した第1の端部26を有する。加熱チャンバ18は、本体12への熱伝達を最小限にするために、通常、本体12の内面から離間されて保持される。
【0047】
エアロゾル発生デバイス10は、スライドカバー28が加熱チャンバ18の開放した第1の端部26を覆って加熱チャンバ18へのアクセスを防止する閉位置(
図1を参照されたい)と、スライドカバー28が加熱チャンバ18の開放した第1の端部26を露出させて加熱チャンバ18へのアクセスを提供する開位置(
図2を参照されたい)との間で短手方向に移動可能なスライドカバー28を任意選択的に含むことができる。一部の実施形態では、スライドカバー28を閉位置に付勢することができる。
【0048】
加熱チャンバ18、具体的にはキャビティ20は、対応する形状の略円筒状又は棒状のエアロゾル発生物品100を受け入れるように配置される。通常、エアロゾル発生物品100は、予め包装されたエアロゾル発生基材102を含む。エアロゾル発生物品100は、例えば、エアロゾル発生基材102としてタバコを含み得る使い捨て且つ交換可能な物品(「消耗品」としても公知)である。エアロゾル発生物品100は、近位端部104(又は口側端)及び遠位端部106を有する。エアロゾル発生物品100は、エアロゾル発生基材102の下流側に位置決めされたマウスピースセグメント108を更に含む。エアロゾル発生基材102及びマウスピースセグメント108は、ラッパー110(例えば、紙製ラッパー)内に同軸整列で配置されて構成要素を所定位置に保持し、棒状のエアロゾル発生物品100を形成する。
【0049】
マウスピースセグメント108は、下流方向に、換言すればエアロゾル発生物品100の遠位端部106から近位(口側)端部104に向けて順次且つ同軸整列で配置された以下の構成要素(詳細には図示せず)、すなわち冷却セグメント、中心孔セグメント及びフィルタセグメントの1つ又は複数を含むことができる。冷却セグメントは、典型的には、ラッパー110の厚さよりも大きい厚さを有する中空紙管を含む。中心孔セグメントは、セルロースアセテート繊維及び可塑剤を含有する硬化された混合物を含み得、マウスピースセグメント108の強度を増加させるように機能する。フィルタセグメントは、典型的には、セルロースアセテート繊維を含み、マウスピースフィルタとして機能する。加熱された蒸気がエアロゾル発生基材102からエアロゾル発生物品100の近位(口側)端部104に向かって流れると、蒸気が、冷却セグメント及び中心孔セグメントを通過するときに冷却され、凝縮して、フィルタセグメントを通してユーザが吸入するのに好適な特性を有するエアロゾルを形成する。
【0050】
加熱チャンバ18は、加熱チャンバ18の第2の端部34に位置する基部32と開放した第1の端部26との間を延びる側壁(チャンバ壁)30を有する。側壁30と基部32とを互いに接続し、単一部品として一体に形成することができる。図示の実施形態では、側壁30は、管状、より具体的には円筒状である。別の実施形態では、側壁30は、他の適切な形状であり得、例えば断面が楕円形又は多角形の管状であり得る。更に別の実施形態では、側壁30は、テーパ状であり得る。
【0051】
図示の実施形態では、加熱チャンバ18の基部32は、閉じており、例えば密閉されるか又は気密である。すなわち、加熱チャンバ18は、カップ状である。これにより、開放した第1の端部26から引き込まれた空気が基部32によって第2の端部34から流出することが防止され、代わりにエアロゾル発生基材102を通して導かれることを確実にし得る。
【0052】
特に
図3~
図5を参照すると、誘導加熱アセンブリ11は、加熱チャンバ18のキャビティ20内に位置決めされるホルダ36(又はフレーム)であって、同じくポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの耐熱性プラスチック材料で形成されるホルダ36(又はフレーム)を含む。ホルダ36は、簡略化のために
図1及び2に示されていない。ホルダ36は、近位端部38と遠位端部40とを有し、加熱チャンバ18の開放した第1の端部26における周方向リップ44と協働する(
図3で最もよく分かる)、近位端部38におけるリム42を含む。ホルダ36は、リム42からホルダ36の遠位端部40に向かって延びる、長手方向に延びる2つのサセプタマウント46を含む。屈曲したプレートの形態の2つの細長い略半円形の誘導加熱可能サセプタ48は、誘導加熱可能サセプタ48が一緒になって管状のサセプタを形成するように、サセプタマウント46によりホルダ36に取り付けられる。誘導加熱可能サセプタ48の各々は、内面48aと外面48bとを有する。誘導加熱可能サセプタ48、より具体的には内面48aは、エアロゾル発生基材102から離間して、誘導加熱可能サセプタ48の内面48aとエアロゾル発生物品100のラッパー110の外面との間に空気が流れることを可能にする内側空隙を形成することができる。
【0053】
加熱チャンバ18の側壁30は、内面50と外面52とを有し、誘導加熱可能サセプタ48は、加熱チャンバ18の周囲31に位置決めされる。より具体的には、誘導加熱可能サセプタ48は、側壁30の内面50の周囲に延びる。誘導加熱可能サセプタ48の外面48bは、側壁30の内面50に面するが、空気が誘導加熱可能サセプタ48の外面48bと側壁30の内面50との間を流れることを可能にする外側空隙を形成するように、側壁30の内面50から間隔を空けて配置される。
【0054】
誘導加熱アセンブリ11は、電磁場を発生させるための電磁場発生器56を含む。電磁場発生器56は、略螺旋状の誘導コイル58を含む。誘導コイル58は、円形断面を有し、略円筒状の加熱チャンバ18の周りに螺旋状に延びる。誘導コイル58は、電源22及びコントローラ24によって通電され得る。コントローラ24は、電子部品の中でもとりわけ、電源22からの直流を誘導コイル58のための交流高周波電流に変換するよう配置されるインバータを含む。
【0055】
加熱チャンバ18の側壁30は、外面52に形成されたコイル支持構造60を含む。図示の例では、コイル支持構造60は、外面52の周りに螺旋状に延びるコイル支持溝62を含む。誘導コイル58は、コイル支持溝62内に位置決めされるため、誘導加熱可能サセプタ48に対して確実且つ最適に位置決めされる。
【0056】
図6~
図11を参照すると、誘導加熱アセンブリ11は、例えば、熱電対、サーミスタ、抵抗温度検出器(RTD)又は他の任意の好適な温度センサであり得る温度センサ64を更に含む。温度センサ64は、コントローラ24に動作可能に結合され、誘導加熱可能サセプタ48と熱的に接触して、誘導加熱可能サセプタ48の温度を測定できるようにする。図示の例では、温度センサ64は、温度センサ64をコントローラ24に接続する第1及び第2の接続ワイヤ66、68を含む。熱電対の場合、第1及び第2の接続ワイヤ66、68は、第1及び第2の熱電対ワイヤを含むことができる。誘導加熱可能サセプタ48は、発生した電磁場を温度センサ64から遠ざけるように集中させることにより、誘導コイル58によって発生した電磁場から温度センサ64を遮蔽するように配置された幾何学的特徴70を有する。簡単にするために、幾何学的特徴70が
図1~
図5から省略されていることに留意されたい。
【0057】
図6及び
図7を参照すると、幾何学的特徴70が誘導加熱可能サセプタ48の外面48bに形成された溝72を含む、誘導加熱可能サセプタ48の第1の例が示されている。溝72は、温度センサ64が置かれる位置から誘導加熱可能サセプタ48の端部まで長手方向に延びる。温度センサ64は、外面48bから凹むように溝72内に位置決めされる。
図7の例では、溝72は、導電性且つ非透磁性材料ストリップ74によって覆われる。材料ストリップ74は、温度センサ64と第1及び第2の接続ワイヤ66、68とを溝72内に囲み、高い導電率(すなわち低い電気抵抗率)を有する材料を含み、そのため隣接する誘導加熱可能サセプタ48内に発生した渦電流がそれを通過するとき、材料ストリップ74内にほとんど熱が発生しない。
【0058】
図8及び
図9を参照すると、幾何学的特徴70が誘導加熱可能サセプタ48の内面48aに形成された溝72を含む、誘導加熱可能サセプタ48の第2の例が示されている。溝72は、温度センサ64が置かれる位置から誘導加熱可能サセプタ48の端部まで長手方向に延びる。温度センサ64は、内面48aから凹むように溝72内に位置決めされる。
図9の例では、溝72は、導電性且つ非透磁性材料ストリップ74によって覆われる。材料ストリップ74は、温度センサ64と第1及び第2の接続ワイヤ66、68とを溝72内に囲み、上記で論じたように高い導電率を有する材料を含む。
【0059】
図10及び
図11を参照すると、幾何学的特徴70が誘導加熱可能サセプタ48の外面48b上に配置されたチャネル76を含む、誘導加熱可能サセプタ48の第3の例が示されている。チャネル76は、温度センサ64が置かれる位置から誘導加熱可能サセプタ48の端部まで長手方向に延びる。チャネル76は、長手方向に延びる側壁76aの対によって形成される。側壁76aは、導電性且つ透磁性材料を含み、誘導加熱可能サセプタ48と同じ材料で形成され得る。側壁76aは、温度測定に影響を与える可能性がある側壁76aから温度センサ64への熱伝達を最小限に抑えるのに十分な距離だけ温度センサ64から離間される。
図11の例では、チャネル76は、導電性且つ非透磁性材料ストリップ74によって覆われる。材料ストリップ74は、温度センサ64と第1及び第2の接続ワイヤ66、68とをチャネル76内に囲み、上記で論じたように高い導電率を有する材料を含む。
【0060】
エアロゾル発生デバイス10を使用するために、ユーザは、
図1に示す閉位置から
図2に示す開位置にスライドカバー28(存在する場合)を変位させる。その後、ユーザは、開放した第1の端部26を通してエアロゾル発生物品100を加熱チャンバ18に、より具体的には、加熱チャンバ18内に位置決めされたホルダ36に挿入し、その結果、エアロゾル発生基材102はキャビティ20内に受け入れられ、エアロゾル発生物品100の近位端部104は、ユーザの唇による係合を可能にするために、マウスピースセグメント108の少なくとも一部が開放した第1の端部26から突き出た状態で、加熱チャンバ18の開放した第1の端部26に位置決めされる。
【0061】
ユーザがエアロゾル発生デバイス10を作動させると、誘導コイル58に交流電流を供給する電源22及びコントローラ24により誘導コイル58が励磁され、これにより、交流及び時変電磁場が誘導コイル58により生成される。この電磁場は、誘導加熱可能サセプタ48と結合し、サセプタ48内に渦電流及び/又は磁気ヒステリシス損失を発生させ、サセプタ48を発熱させる。熱は、例えば、伝導、放射及び対流により、誘導加熱可能サセプタ48からエアロゾル発生基材102に伝達される。これにより、エアロゾル発生基材102を燃焼させずに加熱することになり、それにより蒸気が発生する。発生した蒸気は、冷めて凝縮して、エアロゾル発生デバイス10のユーザがマウスピースセグメント108(より具体的にはフィルタセグメント)を通して吸入できるエアロゾルになる。
【0062】
エアロゾル発生基材102の蒸発は、例えば、加熱チャンバ18の開放した第1の端部26を介して周囲環境から空気を添加することによって促進され、空気は、各誘導加熱可能サセプタ48の内面48aとラッパー110の外面との間の内側空隙によって画定される内側空気流路を通して且つ各誘導加熱可能サセプタ48の外面48bと側壁30の内面50との間の外側空隙によって画定される外側空気流路を通して流れる際に加熱される。より詳細には、ユーザがフィルタセグメントを通して吸引すると、
図2に矢印Aで示すように、開放した第1の端部26を通して空気が加熱チャンバ18内に引き込まれ、空気は、開放した第1の端部26から加熱チャンバ18を通して、内側空気流路及び外側空気流路に沿って、閉鎖された第2の端部34に向かって流れるときに加熱される。この加熱された空気は、加熱チャンバ18の閉鎖された第2の端部34に達すると、約180°曲がって、エアロゾル発生物品100の遠位端部106に入る。次いで、加熱された空気は、
図2の矢印Bで示すように、遠位端部106から近位(口)端部104に向かってエアロゾル発生物品100を通して引き込まれる。これにより、エアロゾル発生基材102を燃焼させずに加熱することになり、それにより蒸気が発生する。上述のように、発生した蒸気は、冷めて凝縮して、エアロゾル発生デバイス10のユーザがマウスピースセグメント108(より具体的にはフィルタセグメント)を通して吸入できるエアロゾルになる。
【0063】
ユーザは、エアロゾル発生基材102が蒸気を生成し続けることができる間には常に、例えば、好適な蒸気に気化させるための気化可能な成分がエアロゾル発生基材102に残っている間には常に、エアロゾルを吸入し続けることができる。コントローラ24は、誘導加熱可能サセプタ48の温度、したがってエアロゾル発生基材102の温度が閾値レベルを超えないことを確実にするために、誘導コイル58に流れる交流電流の大きさを調整することができる。具体的には、エアロゾル発生基材102の構成に依存する特定の温度において、エアロゾル発生基材102は燃え始めることになる。これは、望ましい効果ではなく、この温度以上の温度は、回避される。
【0064】
これを補助するために、コントローラ24は、温度センサ64から、エアロゾル発生基材102の温度、より具体的には誘導加熱可能サセプタ48の温度の表示を受信し、温度表示を使用して、誘導コイル58に供給される交流電流の大きさを制御するように構成される。したがって、エアロゾル発生基材102の加熱は、特に幾何学的特徴70(例えば、溝72又はチャネル76)が、発生した電磁場から温度センサ64を遮蔽し、それにより温度センサ64の誘導加熱を最小化又は防止するため、正確に制御することができる。
【0065】
これまでの段落で例示的実施形態について説明してきたが、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、それらの実施形態に対する様々な修正形態がなされ得ることを理解されたい。したがって、特許請求の広さ及び範囲は、上述の例示的実施形態に限定されるべきではない。
【0066】
本明細書において別途記載のない限り又は文脈に明らかに矛盾しない限り、上述の特徴の、そのあらゆる可能な変形形態でのいかなる組み合わせも本開示によって包含される。
【0067】
文脈上明らかに他の意味に解すべき場合を除き、本明細書及び特許請求項の全体を通して、「含む」、「含んでいる」などの語は、排他的又は網羅的な意味ではなく、包含的な意味、すなわち含むが、限定されない」という意味で解釈されるべきである。
【国際調査報告】