(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】加工装置及び加工軌跡を生成するための関連マーキングデバイス
(51)【国際特許分類】
B25J 9/22 20060101AFI20240711BHJP
B23K 9/127 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
B25J9/22
B23K9/127 509C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575624
(86)(22)【出願日】2022-06-27
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 IB2022055935
(87)【国際公開番号】W WO2023275701
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】102021000017033
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590003342
【氏名又は名称】コマウ・ソシエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】COMAU SOCIETA PER AZIONI
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロンゴ、ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】シニエッロ、フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】レンガ、ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】ディ ステファノ、ジョバンニ
(72)【発明者】
【氏名】ジェリオ、ジアン パオロ
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS11
3C707BS10
3C707KS03
3C707KS04
3C707KS31
3C707KT01
3C707KT05
3C707LS06
3C707LS15
3C707MT01
(57)【要約】
加工装置(1)は、産業ロボットユニット(2)及びロボットユニット(2)によって自動的に認識可能な加工軌跡を生成するために提供されるマーキングデバイス(3)を備える。マーキングデバイス(3)はロッドのような形状であり、視覚システム(5)を用いてロボットユニット(2)によって光学的に検出可能な少なくとも1つのポインタ要素(4)を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業ロボットユニット、及び前記産業ロボットユニットによって自動的に認識可能な加工軌跡を生成するために提供されるマーキングデバイスを備え、ここで:
-前記産業ロボットユニットは、複数の加工又は組立動作を実行するように配置された加工手段を含む多軸マニピュレータのロボットであり、
-前記マーキングデバイスは、オペレータによって手動で使用されて、前記ロボットによって自動的に認識可能な加工軌跡を示すように構成されており、ここで前記マーキングデバイスはロッド形状であり、視覚システムを用いて前記産業ロボットユニットによって光学的に検出可能な少なくとも1つのポインタ要素を有する
加工装置。
【請求項2】
前記産業ロボットユニットは、前記視覚システムを用いる前記ポインタ要素の位置の検出に続いて、前記ポインタ要素を用いて示される点において前記加工手段を自動的に位置決めするように構成されている、請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
前記視覚システムは、前記産業ロボットユニットにオンボードで搭載されている、請求項1に記載の加工装置。
【請求項4】
前記マーキングデバイスは、ロッド形状であり、オペレータによって把持されるように構成された近位部分、及び前記視覚システムによって自動的に認識可能な前記ポインタ要素を含む端部を有する、請求項1に記載の加工装置。
【請求項5】
前記ポインタ要素は、オペレータによって手動で実行される溶接点を示す段階を特に直感的なものにするように、前記マーキングデバイスの先端に配置されている、請求項1に記載の加工装置。
【請求項6】
-前記ポインタ要素は、複数の面を含み、作業領域の点に接触させて前記ロボットに前記点の位置を学習させるように構成されている接触部も含む、3次元立体の形状の本体を有し、
-少なくともいくつかの面の各々は1つ又は複数の2次元マーカ又は1つ又は複数のQRコード(登録商標)を保持し、その各々は前記視覚システムによって読み取り可能であり、
前記2次元マーカ又はQRコードの各々は、前記視覚システムによって読み取られる前記2次元マーカの前記位置に基づいて、コントローラが前記ポインタ要素の前記接触部の前記位置を計算することが可能なように、前記2次元マーカ又はQRコードの識別要素についての情報を含み、
-前記視覚システムは2Dカメラである、
請求項1に記載の加工装置。
【請求項7】
前記オペレータの要求に応じて、前記ポインタ要素によって保持されている2次元マーカの追跡モードを起動するように構成されているコントローラを備え、ここで前記2Dカメラは予め定められた頻度で前記2次元マーカの前記位置を継続的に検出し、それを前記コントローラへ通信し、前記コントローラは結果的に前記ロボットに命令して前記2次元マーカに対する前記2Dカメラの相対位置が変わらないように保たせる、請求項6に記載の加工装置。
【請求項8】
前記ポインタ要素は、前記加工装置の予備のプログラミング段階に続いて、前記視覚システムによって既知の予め定められた幾何形状の3次元要素である、請求項1に記載の加工装置。
【請求項9】
前記マーキングデバイスは、前記産業ロボットユニットの移動を有効化するように配置された、その上に搭載された起動ボタンを有する、請求項1に記載の加工装置。
【請求項10】
前記マーキングデバイスは、起動/中断アクティビティ、特に前記ポインタ要素の探索機能を起動すること、及び前記加工軌跡に沿った回避すべき障害物として示される特定の位置を識別することのために、前記視覚システムとメッセージを交換するように配置された選択ボタンを有する、請求項1に記載の加工装置。
【請求項11】
前記マーキングデバイスは、一方を他方の内側にスライドするように構成されている複数の管状部材を有する伸縮式ロッド本体である、請求項4に記載の加工装置。
【請求項12】
前記加工手段は、ガス保護下にある金属に対するアーク溶接(MIG/MAG)を実行するために配置された溶接トーチを含む溶接手段を備える、請求項1に記載の加工装置。
【請求項13】
前記加工装置のコントローラへそれぞれのコマンド信号を提供して、前記マーキングデバイスによってトレースされる加工軌跡の検出に続いて加工を実行するために、前記産業ロボットユニットへ送信される情報を完成させるように構成されている、オペレータによって使用可能な携帯型制御及び/又はプログラミング端末を備える、請求項1に記載の加工装置。
【請求項14】
前記視覚システムに対する前記ポインタ要素の位置及び距離を正確に識別するために、予備の自動較正段階を実行するように構成されている、請求項1に記載の加工装置。
【請求項15】
-請求項1に記載の加工装置を提供する段階、
-前記ポインタ要素の位置を記録するために記録段階を開始する段階、
-前記ポインタ要素を用いて、前記加工手段を用いて加工を実行するための第1の点を示す段階、
-前記視覚システムを用いて前記第1の点の前記位置を検出する段階、及び
-ヒューマンマシンインターフェース(HMI)デバイスを使用して、加工のタイプを識別する追加のパラメータを入力する段階
といった段階を備える、産業ロボットユニットによって自動的に認識可能な加工軌跡を生成するための方法。
【請求項16】
-前記第1の点から終点まで前記ポインタ要素を移動させることによって加工軌跡を示す段階、及び
-前記視覚システムを使用して前記加工軌跡を検出する段階
も備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
-前記加工装置に加工のタイプについて命令し、動作をその上に行う構成要素の特性、例えば、金属シート要素の厚み等を識別するためにレーザスキャンを実行するように前記視覚システムに命令する段階、及び
-始点から終点まで前記加工を実行する段階
を備える、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記視覚システムを用いて、前記加工が完了した点を光学的に検出して、実行された前記加工の自動的品質管理を実行する段階を備える、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
-前記ポインタ要素は、複数の面を含み、作業領域の点に接触させて前記ロボットに前記点の前記位置を学習させるように構成されている接触部も含む、3次元立体の形状の本体を有し、
-少なくともいくつかの面の各々は1つ又は複数の2次元マーカ又は1つ又は複数のQRコード(登録商標)を保持し、その各々は前記視覚システムによって読み取り可能であり、
前記2次元マーカ又はQRコードの各々は、前記視覚システムによって読み取られる前記2次元マーカの前記位置に基づいて、コントローラが前記ポインタ要素の前記接触部の前記位置を計算することが可能なように、前記2次元マーカ又は前記QRコードの識別要素についての情報を含み、
-前記視覚システムは2Dカメラであり、
前記方法は、
前記オペレータの要求に応じて、前記ポインタ要素によって保持されている前記2次元マーカの追跡モードを前記加工装置のコントローラを介して起動する段階を備え、ここで前記2Dカメラは予め定められた頻度で前記2次元マーカの前記位置を継続的に検出し、それを前記コントローラへ通信し、前記コントローラは結果的に前記ロボットに命令して前記2次元マーカに対する前記2Dカメラの相対位置が変わらないように保つように命令する、
請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記マーキングデバイスを介して前記オペレータによって選択された点の前記位置の前記ロボットによる学習段階の最中に、前記ロボットによるマーカの前記位置の学習のためにボタンを押すと、前記コントローラを用いて、前記ロボットによって保持される加工ツールによる前記選択された点の到達性について更なるチェックが行われる、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業ロボットユニット及びロボットユニットによって自動的に認識可能な加工点及び/又は軌跡を生成するために提供されるマーキングデバイスを備える加工装置に関する。
【0002】
「加工装置」という表現は、例えば、溶接装置、密閉装置、リベット締め装置、釘打ち装置等のような、連続的又は不連続的な加工を実行するように設計された、任意のタイプの産業装置を指す。
【0003】
[先行技術]
上記で示されたタイプの装置は、例えば文書KR 101265552 B1において説明されている。この文書は、溶接動作を実行する点を産業ロボットへ示すように構成されたポインタデバイスを例示する。ポインタデバイスは、電気機械式デバイスを用いてロボットによって検出可能であり、当該電気機械式デバイスは、ロボットによって配向可能に保持されているコイルから巻き出すケーブルを含む。ケーブルの自由端部は、ロッド形状のポインタデバイスの先端へフックされる。ポインタデバイスの先端が所与の点に位置決めされるとき、点の位置は、それぞれのエンコーダによって計測される、ケーブルの巻き出す長さ及びコイルの配向角度に基づいて計算される。
【0004】
このタイプの解決手段は、ケーブルが直線経路に従って延在することが可能でなければならないので、ロボットによって保持されるコイル及び検出対象の点の間に障害物が存在できないということを意味する。
【0005】
したがって、単純且つ高速な方法で加工サイクルを実行することが可能なように、加工動作の実行の柔軟性及び効率の改善を可能にする、上記で示されたタイプの装置を提供することが望ましい。
【0006】
[発明の目的]
本発明の目的は、したがって、上述の欠点を克服して、高い柔軟性及び効率という特性を有する上記で示されたタイプの装置を生産することである。
【0007】
本発明の更なる目的は、オペレータにとって極めて直感的である上記で示されたタイプの装置を提供し、特に簡単に使用できる、動作を検出及び制御するためのシステムを提供することである。
【発明の概要】
【0008】
これらの目的を達成するために、本発明は、産業ロボットユニット、及び前記産業ロボットユニットによって自動的に認識可能な加工軌跡を生成するために提供されるマーキングデバイスを備え、ここで:
-前記産業ロボットユニットは、複数の加工又は組立動作を実行するように配置された加工手段を含む多軸マニピュレータロボットであり、
-前記マーキングデバイスは、オペレータによって手動で使用されて、前記ロボットによって自動的に認識可能な加工軌跡を示すように構成されており、ここで前記マーキングデバイスはロッド形状であり、視覚システムを用いて前記産業ロボットユニットによって光学的に検出可能な少なくとも1つのポインタ要素を有する
加工装置に関する。
【0009】
本発明は、上記で説明された装置を用いて実装される方法にも関する。
【0010】
本発明の更なる特性及び利点は、添付の従属請求項において示される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の更なる特性及び利点は、純粋に非限定的な例として提供される添付の図面を参照して下記の説明から明らかになるであろう:
【
図1】本発明に係る装置の好ましい実施形態を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る装置の更なるコンポーネントを示す概略斜視図である。
【
図3】本発明に係る装置の更なるコンポーネントを示す概略斜視図である。
【
図4】本発明に係る装置の一部である、マーキングデバイスの別の実施形態を示す図である。
【
図5】マーキングデバイスによって保持されるポインタ要素の例を示す図である。
【
図6】マーキングデバイスによって保持されるポインタ要素の例を示す図である。
【
図7】ポインタ要素によって保持される2Dマーカのいくつかの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
下記の説明において、様々な具体的な詳細は、1つ又は複数の実施形態の例の十分な理解を狙って示される。実施形態は、具体的な詳細のうちの1つ又は複数を用いることなく、又は、他の方法、コンポーネント、材料等を用いて実装することができる。他の場合、実施形態の様々な態様を不明瞭にすることを回避するために、公知の構造、材料又は動作は、図示されることも、詳細に説明されることもない。本明細書の文脈における「1つの実施形態」への参照は、その実施形態に関連して説明された特定の構成、構造又は特性が少なくとも1つの実施形態の中に含まれることを示す。したがって、本明細書の様々な箇所において存在する可能性がある「1つの実施形態では」等の文言は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。その上、特定の形態、構造又は特性が、1つ又は複数の実施形態において好適な方式で組み合わされることができ、及び/又は、本明細書で示されているものとは異なる方式で実施形態と関連付けられることができ、例えば、或る図面に関連して本明細書で例示される特性は、異なる図において例示される1つ又は複数の実施形態に適用され得る。
【0013】
本明細書で示される参照は、便宜のためだけであり、したがって、保護領域又は実施形態の範囲を画定しない。
【0014】
図1、
図2を参照すると、参照符号1は、全体として、ロボットユニット2によって自動的に認識可能な加工点及び軌跡を生成するように構成されているマーキングデバイス3に関連付けられ得る産業ロボットユニット2を備える加工装置を示す。
【0015】
既に示されたように、「加工装置」という表現は、例えば、溶接装置、密閉装置、リベット締め装置、釘打ち装置等のような、連続的又は不連続的な加工を実行するように設計された、任意のタイプの産業装置を指す。
【0016】
図1、
図2は、ロボット溶接ユニットに関する、1つの実施形態を示す。この例は、上記で示されたように本発明が連続的又は不連続的な加工動作を実行するように設計された任意の産業装置へ適用可能なので、決して限定するものとみなされるべきでない。
【0017】
図1、
図2中に示される実施形態を参照すると、ロボットユニット2は、複数の加工又は組立動作を実行するように構成されている加工手段20を含む。
【0018】
本発明に係り、ロボットユニット2は、ベース23、及び第1の鉛直方向の軸の周囲を回転可能にベース23に搭載されたカラムを有する多軸マニピュレータロボットである。ロボット2は、水平方向の第2の軸IIの周りに関節接合されたカラム42に搭載されているアーム24を有し;参照符号22は、上述のアーム24に搭載された前アームを示す。前アーム22は、これもまた水平方向の第3の軸の周りに関節接合され;前アーム22は、その長手方向軸の周りに回転する可能性も有する。ロボット2の前アーム22は、その端部において、2つの相互に直交する軸の周りを回転可能に搭載されているリストを設けられている。先行技術によれば、ロボット2の6つの軸の各々は、それぞれの電気モータによって制御される。ロボット2の電気モータは、それ自体公知の方式(図面中に示さず)で、電子制御ユニットによって制御される。ロボット2のリストの遠位端部において、ロボット2によって保持される加工手段20を取り付けるためのフランジ21が存在する。
【0019】
図1、
図2中に示される実施形態において、溶接手段がロボット2のフランジ21に搭載されている。好ましくは、溶接手段は、ガス保護下にある金属に対するアーク溶接(MIG/MAG)を実行するために配置された溶接トーチを備える。もちろん、本発明は、他のタイプの溶接(例えば、レーザ溶接、抵抗溶接等)を実行するように構成されている溶接手段が設けられている場合にも関する。
【0020】
固定ロボットの代わりに、ロボットユニット2は、車両、又は別のロボットを含む任意の他のロボット位置決めシステムに搭載されたロボットを備え得ることに留意されたい。
【0021】
図2中に示される内容によれば、加工手段20は、ロボット2及び加工手段20の動きを制御するように構成されているコントローラを備えるサービストロリ11へ、電気接続ケーブル25を用いて、接続されている。
図2中に示されている実施形態によれば、上述の接続ケーブル25を巻き付けるリール、及びケーブル25を支持する支持本体が、ロボットユニット2にオンボードで搭載されている。
【0022】
前に示されたように、装置1は、ロボットユニット2によって自動的に認識可能な点及び加工軌跡を生成するように配置されたマーキングデバイス3を備える。マーキングデバイス3は、オペレータによって手動で、毎回作業点を規定するために使用され得る。
【0023】
本発明に係り、マーキングデバイス3はロッドのような形状であり、視覚システム5を用いてロボットユニット2によって光学的に検出可能であるように構成されている少なくとも1つのポインタ要素4を備える。1つ又は複数の実施形態において、視覚システム5はロボット2にオンボードで搭載されている。
【0024】
図1、3中に示される実施形態によれば、マーキングデバイス3はオペレータOによって把持されるよう設計された近位部分6、及びロボット2によって自動的に認識可能なポインタ要素4を含む端部7を備える。好ましくは、ポインタ要素4は、オペレータOによって手動で実行される作業点を示す段階を特に直感的なものにするように、マーキングデバイス3の先端に配置されている。
【0025】
1つ又は複数の実施形態において、及び
図3中に示されたものにおいて、マーキングデバイス3は、一方を他方の内側にスライドするように構成されている複数の管状部材を有する伸縮式ロッドを備える本体である。この特性のおかげで、オペレータOはマーキングデバイス3の伸長をそれが動作する作業領域の特性及びポインタ要素4を用いて示される点からの距離に従って変化させることができる。
【0026】
前に示されたように、マニピュレータロボット2は、ポインタ要素4の位置を検出するように配置された視覚システム5を備える。この視覚システム5は、検出された画像のシーケンスの取得、記録、及び処理を可能にする光学及び電子コンポーネント、例えば、1つ又は複数のビデオカメラを構成することで生産され得る。処理の結果は、ポインタ要素4の位置の制御及び選択を確定するための、画像の特定の特性の認識である。
【0027】
1つ又は複数の実施形態において、ビデオカメラ50は、前アーム22の動きと一体的に空間内で自由に配向可能であるように、ロボット2の前アーム22へ強固に接続されている。
【0028】
1つ又は複数の実施形態において、ポインタ要素4は、複数の面を有する多角形の形状の本体を備え、ここでロボットユニット2によって保持されるビデオカメラ50によって読み取り可能なQRコード(登録商標)が各々の面の上に存在する。
【0029】
1つ又は複数の実施形態において、ポインタ要素4は、装置1の予備のプログラミング段階に続いて、視覚システム5によって既知の予め定められた幾何形状の3次元要素である。この場合、視覚システム5は、空間内のロボット2の配向及び位置を一意に推定するために、3次元ポインタ要素4の位置を検出及び識別することが可能である。
【0030】
装置1は、上述のビデオカメラ50に対する、それゆえロボット2のベース部23に対する、ポインタ要素4の位置及び距離を正確に識別するために、予備の自己較正段階を実行するように構成されてもいる。
【0031】
上記に示された特性のおかげで、ロボット2によって自動的に認識可能なポインタ要素4によって、特に高速且つ直感的に加工手段20を用いて介入する作業点をロボット2に学習させることが可能であることに留意されたい。
【0032】
連続的加工の場合、ポインタ要素4を用いて、始点と、終点と、始点及び終点の間に延在する経路とを示すことが可能である。前に示されたように、好ましくはポインタ要素4は、ロッド形状のマーキングデバイス3の先端に配置される。
【0033】
マーキングデバイス3によって示される、加工軌跡に沿って障害物が存在する場合、装置1は、加工軌跡の始点及び終点の間で、上述の障害物の位置を識別する点を正確に検出する可能性を想定する。装置1は、始点から終点まで、前もって識別された障害物を迂回しつつ加工を自動的に実行する機能を提供する。
【0034】
再び
図3を参照すると、マーキングデバイス3の近位部分6は、ロボット2の動きを有効化するように構成されている起動ボタン8を備える。好ましくは、この起動ボタン8は、「デッドマン」安全機能を備え、その結果、特定の力を超えたボタン8にかかる圧力に続いて、又はボタン8が完全に解放された場合に、ロボット2は完全に停止する。
図3中に示された更なる特性に従って、ポインタ要素4の近位部分6は、例えば、ポインタ要素4の探索機能を起動し、回避すべき障害物として示される特定の位置を識別する等の、アクティビティ起動/中断メッセージを視覚システム5と交換するように構成されている選択ボタン9も備える。好ましくは、マーキングデバイス3は、音響及び/又は視覚アラーム信号を起動するように配置された緊急ボタン10も備える。
【0035】
本発明は、複数の加工ツールを保持するロボットユニットの場合においても適用可能であることに留意されたい。この場合、オペレータOは、特定の加工を実行するための最も好適なツールを(例えば、マーキングデバイス3のハンドルの上に配置された特定のツールを選択するためのボタンを使用して)選択し得る。
【0036】
前に示されたように、装置1は、マニピュレータロボット2へ動作可能に接続された、ロボットユニット2及び加工手段20のコントローラ(
図2)を含むサービストロリ11も備える。サービストロリ11は、オペレータOが容易に作業サイクルをプログラミングすることを可能にするように構成されたヒューマンマシンインターフェース(HMI)デバイス12も含み得る。例えば、オペレータOは、装置1に加工のタイプについて命令でき、加工をその上へ実行する構成要素の特性(例えば、金属シートの厚み)を識別するために、視覚システム5にレーザスキャンを実行するように命令できる。プログラミングアクティビティは、加工の実行への予備の段階を含み得、ここで、ロボットの接近の角度、軌跡の最中のロボットの配向、ロボットの速度等を含む様々な動作パラメータが加工を実行するために規定される。プログラミングアクティビティは、いわゆる「ツールセンターポイント」(TCP)の規定段階も含み得、これはロボット2のリストに搭載されるツールのアクティブな部分、又はむしろ、動作を実行するツールの部分の位置を識別し;この点において、例えば、アーク溶接動作の場合、TCPは溶接ワイヤの端部における溶接トーチの先端に位置する。
【0037】
更に好ましい実施形態を参照すると、装置1は、コントローラにそれぞれの制御信号を供給して、マーキングデバイス3によってトレースされる加工軌跡の検出に続いて加工動作を実行するために、ロボットユニット2へ送信される情報を改善するように配置されている、オペレータOによって使用可能な携帯型制御及び/又はプログラミング端末13を備え得る。携帯型端末13は、ビジュアライザ又はディスプレイ、及びロボット2の動きのプログラミング及び手動制御のために使用できる一連のボタンを備え得る。携帯型端末13は、長いワイヤを用いてサービストロリ11にオンボードで配置されているコントローラへ接続されており、当該長いワイヤは、ロボットユニット2によって実行される動作を正確に検証することを可能にするために、関係する作業領域の近くへオペレータOが移動することを可能にする。
【0038】
1つ又は複数の実施形態において、装置1は、ロボットユニット2を持ち上げ、ロボットが位置する地面から特定の距離を超えて空間の空いた作業領域の任意の領域に到達することを可能にするように構成されている、鉛直方向において動作する持ち上げユニットを備える。持ち上げユニットは、持ち上げユニットと、それに動力を供給する電気モータとのための外部カバーとして機能するベローズを備え得る。
【0039】
上記で説明された装置1の動作は、下記の説明において示される。
【0040】
装置1は、特定の加工が作業領域の1つ又は複数の構成要素に対して実行されなければならないその度に、オンラインプログラミングモードで動作し、単一点(不連続的加工の場合)及び加工軌跡(連続的加工の場合)を規定するように構成されている。
【0041】
連続的加工の場合、第1の動作段階において、オペレータOは、マーキングデバイス3を使用して、ポインタ要素4を用いて加工軌跡の初期点を示す。オペレータOは、ポインタ要素4の位置を検出するように視覚システム5へ通信するための命令を実行する。この命令に続いて、視覚システム5はポインタ要素4の位置を検出し、ロボット2は自動的に、ポインタ要素4によって示される点に向けてエンドエフェクタを保持しつつ移動する。ロボット2のエンドエフェクタが前もって示された点の近くへ位置決めされた後、オペレータOは別の通信信号を起動して、ポインタ要素4を終点へ移動することによってマーキングデバイス3を用いて示された加工軌跡を検出するよう視覚システム5へ通信する。このように、ロボット2は、オペレータOによる要求を識別して、加工(溶接等)を始点から終点まで実行することが可能である。続いて、オペレータOは装置1に加工のタイプについて命令でき、ロボット2によって保持される加工手段を用いて動作をその上へ行う構成要素の特性(例えば、厚み)を識別するために、視覚システム5にレーザスキャンを実行するように命令できる。作業サイクルのプログラミングが終了すると、命令信号に続いて、ロボット2は軌跡及び前もって学習した追加の情報に従って加工動作を実行する。前に示されたように、回避すべき1つ又は複数の障害物を識別するために、点による取得の類似の方法が規定され得る。
【0042】
加工動作の実行の最中に、前もってトレースされ且つロボット2によって学習された加工軌跡との適合は、加工動作に従って選ばれた自動化軌跡追跡システムを用いて達成され得る。例えば、この自動化軌跡追跡システムは、溶接の最中に板金の変形の検出及び追跡を可能にする3Dレーザスキャナを備え得る。より具体的には、ロボットは、溶接加工のために適正且つ必要な距離においてジョイントの上へフックすることを「強い」られ、また、設定された溶接面に対するアタックの角度を一定に保つために、ロボットのリストの傾き角度を補正する。上述のレーザスキャナを用いて、溶接が完了したら溶接ジョイントを分析して、実行された溶接の品質管理を実行することも可能である。
【0043】
上記で説明された特性のおかげで、本発明に係る装置1は、複数の連続的又は不連続的加工動作を単純且つ高速な方法で実行可能であり、結果としてオペレータにとって極めて直感的である。
【0044】
図4は、相互にスライドする部分3A、3B、3Cからなる伸縮式ロッドを備え、「デッドマン」ボタン8を自体の内部の側に保持するハンドル6Aを有する近位部分6を含む、マーキングデバイス3の別の例を示す。またこの例においてシステムは、ボタン8が装置の動作を有効化するために常に押され続けなければならず、一方で、何らかの理由でボタン8が解放されるか又は特定の力を超えて押された場合、ロボット2は停止するという意味で、前に説明したものに準拠する使用の理念に従って構成される。ハンドル6Aの外部の側に、ポインタ要素4が接触している点の取得、及び前に取得された点のキャンセルをそれぞれ命令する2つのボタン9A、9Bが存在する。
【0045】
図5、
図6及び
図8を参照すると、ポインタ要素4は、複数の面40を備え、作業領域の点に接触させてロボット2に当該点の位置を学習させるように構成されている接触部400(
図8中に示される)も含む、3次元立体の形態の本体を備え得る。
【0046】
本体4の少なくともいくつかの面の各々は、1つ又は複数の2次元マーカM又は1つ又は複数のQRコードを保持し、その各々は視覚システム5によって読み取り可能である。
図7は、マーカMのいくつかの例を示す。各々のMマーカは、更に、複数のマーカを備え得る。
【0047】
図5は、デバイス3のロッドのねじ付き端部と係合するためのねじ付き穴部Hを有する、立方体の本体の例を示す。
図6は、ロッドの端部と係合するためのねじ付き穴部Hを有する、くさび型の形状の本体の例を示す。
図8は、四角形のベースを有するピラミッド型の本体を示し、当該ピラミッド型の本体は、ピラミッドの頂部に接触部400を保持し、1つの側にロッド3の端部を接続するための耳部Fを有する。
【0048】
図4及び
図5の例の場合、接触部400は、3次元本体の任意の頂点又は面の上に設けられ得る。
【0049】
図の例において、マーカMは金属プレートPによって保持され、当該金属プレートPは、3次元本体の面40の対応する台座内に配置された磁石41へ磁力で接着する。
【0050】
好ましくは、マーカM又はQRコードの各々は、視覚システムによって読み取られるマーカの位置に基づいて、コントローラがポインタ要素4の接触部400の位置を計算することが可能なように、マーカ又はQRコードの識別要素についての情報を含む。
【0051】
マーカを保持するために使用される本体のタイプに従って異なる識別子をマーカMに関連付けることが可能であることは、マーカの中央の座標を接触部400の座標へと変換することを可能にする様々な回転-並進行列の使用を通して、ロボットに教えられる点の再計算を可能にする。
【0052】
例において、視覚システムは、2Dカメラ50であり、好ましくは赤外線照射器を備える。
【0053】
教える段階の最中に、オペレータは、デッドマンボタン8を押した状態を保つことによってロボットの動きを有効化しつつ且つボタン9A、9Bを介してシステムへ命令を与えつつ、手中に伸縮式ロッド3を持つことによってカメラのために予め定められたマーカMを位置付けなければならない。
【0054】
必要な場合、制御ボタン8、9A、9Bは、ロッドのハンドル6Aとは別個のハンドピースによって保持され、ロッド3を持たない手でオペレータによって把持されてもよい。
【0055】
ポインタ要素4の本体の複数の面を有する構成は、作業領域の構成がどのようなものであっても、2Dカメラ50によってマーカMが常に可視であることを可能にする。
【0056】
好ましくは、装置のコントローラは、オペレータの要求に応じて、ポインタ要素4によって保持されているマーカMの追跡モードを起動するように構成されており、ここで2Dカメラは予め定められた頻度(例えば5Hz)でマーカMの位置を継続的に検出し、それをコントローラへ通信し、当該コントローラは結果的にロボットに命令してマーカMに対する2Dカメラの相対位置が変わらないように保たせる。
【0057】
常に好ましくは、教える段階の最中に、ロボットによるマーカの位置の学習のためにボタン9Aを押すと、ロボットコントローラを用いて、ロボットによって保持される加工ツール(例えば溶接トーチ)が選択された点に現実に到達できるのかについて、追加のチェックが実行される。このようにして、加工の最中に到達可能な点に対してだけ学習段階を完了することが確実である。
【0058】
もちろん、本発明の原理を損なうことなく、構造の詳細及び実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなく、説明及び図示されたものに対して広範に変化し得る。
【国際調査報告】