(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】枝肉部分を処理するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A22C 21/00 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
A22C21/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575738
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 NL2022050394
(87)【国際公開番号】W WO2023287280
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520386523
【氏名又は名称】マレル・ポウルトリー・ベスローテン・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】Marel Poultry B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】モーレン,ミケ クリスティアーン マリア
(72)【発明者】
【氏名】ファン エスブルック,モリース エドゥアルドゥス テオドルス
(72)【発明者】
【氏名】アーンツ,ポール ゴデフリドゥス ヘラルドゥス
【テーマコード(参考)】
4B011
【Fターム(参考)】
4B011FA01
4B011FA04
(57)【要約】
少なくとも背中部分とそれに接続された脚部を含む屠殺された家禽の枝肉部分を処理するためのシステムは、枝肉を吊り下げて搬送方向に移動させるコンベアを備え、枝肉部分が鼠径部皮膚切断装置を通過する間に鼠径部の皮膚を切断するための鼠径部皮膚切断装置を備え、刃先を有する細長いベース部、カッターの上流端の穿刺先端部を有するカッターを備え、カッターは、枝肉部分の搬送方向に移動する際、穿刺先端部が鼠径部の皮膚を穿刺して穿刺穴を形成し、カッターが鼠径部の皮膚の下に進入するようにし、枝肉部分の搬送方向への継続的な移動の結果、穿刺穴から開始して鼠径部の皮膚に切れ目を形成する刃先によって鼠径部の皮膚が切断されるように、配置および構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも背中部分とそれに接続された脚部を備える屠殺された家禽の枝肉部分を処理するためのシステムであって、
前記システムは、前記システムの使用中、前記脚部をコンベアから吊り下げた状態で、前記枝肉部分を吊り下げて移動させるコンベアを備え、
前記システムは、使用中、前記枝肉部分が鼠径部皮膚切断装置を通過する間に、鼠径部の皮膚を切断するための鼠径部皮膚切断装置をさらに備え、
前記鼠径部皮膚切断装置は、
-刃先を有する細長いベース部、
-カッターの上流端の穿刺先端部、を有するカッターを備え、
前記カッターは、使用中、枝肉部分が搬送方向に移動する際、前記穿刺先端部が鼠径部の皮膚を穿刺し、それによって穿刺穴を形成し、前記カッターが鼠径部の皮膚の下に進入するようにし、使用中、枝肉部分の搬送方向への継続的な移動の結果、前記穿刺穴から開始して前記鼠径部の皮膚に切れ目を形成する前記刃先によって前記鼠径部の皮膚が切断されるように、配置および構成される
システム。
【請求項2】
前記カッターは、前記鼠径部の皮膚を切断するために、前記鼠径部の皮膚を緊張させるために、少なくともその前記上流端がくさび形である
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記カッターは、使用中、屠殺された家禽の枝肉部分が、前記カッターの外側長手方向側面に沿って、前記カッターの外側でその脚部とともに通過し、その外側長手方向側面が使用中に前記脚部の内側に面するように、配置および構成され、
前記ベース部は、くさび形の上流端の最大厚さに適合する厚さを有し、
前記刃先は、前記カッターの外側長手方向側面の反対側の内側長手方向側面に設けられる
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記カッターは、前記カッターの前記上流端にガイド部を備え、
前記刃先は、前記ガイド部の下流から始まり、
前記カッターは、使用中、前記穿刺先端部が前記穿刺穴を形成して前記カッターが前記鼠径部の皮膚の下に進入した後、前記鼠径部の皮膚が前記ガイド部上を前記刃先に向かってスライドし、その後、前記刃先が前記鼠径部の皮膚に前記切れ目を形成されて切断されるように、配置および構成される
請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記カッターは、使用中、前記屠殺された家禽の枝肉部分が、前記カッターの外側長手方向側面に沿って、その脚部とともに前記カッターの外側を通過し、その外側長手方向側面は使用中、前記脚部の内側に面し、前記カッターの上流端は、平面視で内側に湾曲するように、配置および構成される
請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記カッターは、使用中、前記屠殺された家禽の枝肉部分が、前記カッターの外側長手方向側面に沿って、その脚部とともに前記カッターの外側を通過し、その外側長手方向側面は使用中、前記脚部の内側に面し、前記カッターは、平面視で内側に傾斜するように、配置および構成される
請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記鼠径部皮膚切断装置は、前記枝肉部分の両脚部の内側に沿って前記鼠径部の皮膚を切断するために、互いに鏡像状に配置された2つのカッターを有し、
前記システムはさらに、前記両脚部を広げてその後の前記鼠径部の皮膚の切断の目的で前記脚部を位置決めするために、前記カッターの上流に、脚部位置決め装置を有する
請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記搬送方向に移動可能であり、少なくとも前記枝肉部分が前記切断装置に沿って通過する間、前記背中部分を支持するように配置された背中支持装置をさらに備える
請求項1~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記切断装置は、使用中、前記カッターが前記枝肉部分によって選択的にバイパスされるように構成されたバイパス要素を有し、これにより、前記枝肉部分が前記搬送方向に移動する際に、前記穿刺先端部が前記鼠径部の皮膚を穿刺することが防止され、それにより、前記鼠径部の皮膚が前記刃先によって切断されることを防止する
請求項1~8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記カッターは、使用中、前記枝肉部分の前記背中部分が前記カッターの下を通過するように配置され、前記刃先はその上流端が下方に傾斜している
請求項1~9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記カッターの下流に設けられ、前記背中部分から前記脚部を分離するように構成された分離装置をさらに備える
請求項1~10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記枝肉部分は、屠殺された家禽の枝肉のバックハーフであって、
前記バックハーフは、背中部分と、それに接続された脚部とを備え、
前記システムの使用中、前記脚部を前記コンベアから吊り下げた状態で、前記バックハーフは、前記コンベアに吊り下げられて搬送方向に移動される
請求項1~11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載のシステムを使用して、屠殺された家禽の枝肉部分を処理するための方法であって、
前記枝肉部分は、好ましくは、バックハーフであり、前記枝肉部分は、背中部分と、それに接続された脚部とを少なくとも備え、
前記方法は、前記脚部を前記コンベアから吊り下げた状態で、前記枝肉部分を前記コンベアにより搬送方向に吊り下げて移動させることを含み、
枝肉部分が鼠径部皮膚切断装置を通過する間に、以下を含む:
-前記カッターの穿刺先端で鼠径部の皮膚を穿刺し、その後、
-前記刃先で鼠径部の皮膚を切断する
屠殺された家禽の枝肉部分を処理するための方法。
【請求項14】
前記穿刺先端が前記穿刺孔を形成し、前記カッターが前記鼠径部の皮膚の下に進入した後、前記鼠径部の皮膚は、前記ガイド部上を前記刃先に向かってスライドし、その後、前記刃先によって前記鼠径部の皮膚に切れ目が形成される
請求項4又はその従属請求項に記載のシステムを使用する請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枝肉部分、好ましくはバックハーフ(backhalve)を処理するシステムおよび方法に関し、枝肉部分は少なくとも背中部分とそれに接続された脚部を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明の目的は、このような枝肉部分を処理するためのシステムおよび方法を提供することであり、これにより、背中部分からの脚部の切断を改善することが可能となる。本発明の別の目的は、背中部分からの切断後に脚部に残留する可能性のある不純物を低減する枝肉部分を処理するためのシステムおよび方法を提供することである。本発明のさらに他の目的は、鼠径部の皮膚を信頼性が高く正確な方法で切断できるシステムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
上記目的の1つ以上は、本発明によるシステムおよび方法によって達成される。本発明の第1の態様では、背中部分およびそれに接続された脚部を少なくとも含む屠殺された家禽の枝肉部分を処理するためのシステムが提供される。このシステムは、システムの使用中に脚部をコンベアから吊り下げた状態で、枝肉部分を搬送方向で吊り下げて移動させるコンベアを備える。システムは、使用中、枝肉部分が鼠径部皮膚切断装置を通過する間に、鼠径部の皮膚を切断するための鼠径部皮膚切断装置をさらに備える。鼠径部皮膚切断装置は、刃先を有する細長いベース部と、カッターの上流端に設けられた穿刺先端部(puncturing tip)とを有するカッター、好ましくは固定カッターを備える。固定カッターは、使用中、枝肉部分が搬送方向に移動する際、穿刺先端部が鼠径部の皮膚を穿刺し、それによって穿刺穴を形成し、カッターが鼠径部の皮膚の下に進入するようにし、使用中、枝肉部分の搬送方向への継続的な移動の結果、穿刺穴から開始して鼠径部の皮膚に切れ目を形成する刃先によって鼠径部の皮膚が切断されるように、配置および構成されている。
【0004】
鼠径部の皮膚を穿刺させ、その後に切断する鼠径部皮膚切断装置を提供することの効果は、鼠径部の皮膚を非常に効率的かつ正確に切断できることである。これにより、脚部が背中部分から切断された後、脚部に接続されたままであるべきでない鼠径部の皮膚の少なくとも一部を効果的に切断できる。なぜなら、このような鼠径部の皮膚の少なくとも一部は、枝肉の排泄腔に近い部分に由来するため不衛生であると考えられ、汚染されている可能性があるからである。この点で、鼠径部の皮膚は脚部と排出腔との間の皮膚であることに留意されたい。
【0005】
これは、そのような特定の穿刺とその後の切断が行われない従来技術の方法とは対照的であり、その結果、脚部が背中部分から切断された後、比較的大量の鼠径部の皮膚が脚部に接続されたままになる可能性がある。このような鼠径部の皮膚から脚部に接続される残余部分は、通常、肉に直接接続されることはなく、フラップのように緩く垂れ下がるが、これも商業上の理由から望ましくない。このような先行技術の方法では、脚部が背中部分から切断された後、鼠径部の皮膚の言及された部分を手作業で切り離す必要があり、処理ラインに沿って比較的多くの作業者が関与することになり、コストの観点から望ましくない。また、鼠径部の皮膚が穿刺され、その後、切断される本発明による鼠径部皮膚切断装置を提供することにより、鼠径部の皮膚における切断の非常に正確な所定の位置が達成され得る。その結果、脚部に連結されたままの鼠径部の皮膚が効果的に減少され得る。
【0006】
一実施形態では、カッターは、鼠径部の皮膚を切断するために、鼠径部の皮膚を緊張(Tensioning)させるために、少なくともその上流端がくさび形になっている。鼠径部の皮膚の緊張を使用すると、切断がより確実かつ正確になる。
【0007】
一実施形態では、カッターは、使用中、屠殺された家禽の枝肉部分が、カッターの外側長手方向側面に沿って、カッターの外側でその脚部とともに通過し、その外側長手方向側面が使用中に脚部の内側に面するように、配置および構成される。ベース部は、くさび形の上流端の最大厚さになる厚さを有し、刃先は、外側長手方向側面とは反対側のカッターの内側長手方向側面に設けられる。このようにして、鼠径部の皮膚は切断中も緊張が維持される。
【0008】
カッターの上流端は、平面図視で内側に湾曲していてもよい。これは、前述の外側長手方向側面から離れる方向に湾曲していることを意味する。これにより、カッターが誤って鼠径部の皮膚の肉ではなく脚部の肉に穴をあけてしまう可能性が低くなる。
【0009】
カッターは、平面図視で内側に傾斜していてもよい。これにより、枝肉部分が脚部とカッターの外側を通過する際に、カッターが誤って鼠径部の皮膚ではなく脚部の肉に穴をあけてしまう可能性も低くなる。
【0010】
一実施形態では、カッターは、カッターの上流端にガイド部を備え、刃先はガイド部の下流から始まる。ガイド部は、前述のくさび形を有してもよい。カッターは、使用中、穿刺先端部が穿刺穴を形成してカッターが鼠径部の皮膚の下に進入した後、鼠径部の皮膚がガイド部上を刃先に向かってスライドし、その後、刃先が鼠径部の皮膚を貫通してカットすることによって切断されるように、配置および構成され得る。ガイド部を設けることで、切断前の鼠径部の皮膚の緊張の効果が高まり、切断の信頼性と精度が向上する。
【0011】
一実施形態では、鼠径部皮膚切断装置は、枝肉部分の両脚部の内側に沿って鼠径部の皮膚を切断するために、互いに鏡像状に配置された2つのカッターを有する。システムはさらに、両脚部を広げてその後の鼠径部の皮膚の切断の目的で脚部を位置決めするために、カッターの上流に、脚部位置決め装置を有し得る。これにより、穿刺とその後の切断の精度が向上する。
【0012】
一実施形態では、システムは、搬送方向に移動可能であり、少なくとも枝肉部分が切断装置に沿って通過する間、背中部分を支持するように配置された背中支持装置をさらに備える。背中支持装置の移動速度は、一実施形態では、コンベアの移動速度と等しく設定できる。少なくとも切断装置による切断中、枝肉部分の背中部分を支持することにより、切断の信頼性と精度を高めることができる。また、少なくとも枝肉部分が切断装置を通過する間、背中支持装置は背中部分を持ち上げてもよい。このような持ち上げにより、脚部が離れることになり、その結果、切断装置による穿刺と切断のための利用可能なスペースが広がる。背中部分の持ち上げのもう一つの効果は、鼠径部の皮膚がねじられ(crumpled up)得ることである。ねじられるのは、背面部分に対する脚部の向きが変わるからであるだ。鼠径部の皮膚がねじられると、カッターが鼠径部の皮膚に穴を開け、枝肉部分がカッターを通過する間に鼠径部の皮膚を見逃さない可能性が高くなる。脚部位置決め装置を備える実施形態では、鼠径部の皮膚は好ましくはねじられ、つまり枝肉部分は脚部位置決め装置を通過する間、背中部分は好ましくは背中支持装置によって持ち上げられることを意味する。
【0013】
一実施形態では、切断装置は、使用中、カッターが枝肉部分によって選択的にバイパスされるように構成されたバイパス要素を有し、枝肉部分の搬送方向に移動する際に、穿刺先端部が鼠径部の皮膚を穿刺することを防止し、それにより、鼠径部の皮膚が刃先によって切断されることを防止する。一実施形態では、切断装置はさらに、使用中、搬送方向の枝肉部分の穿刺先端部が動くと鼠径部の皮膚を穿刺するが鼠径部の皮膚の切断装置を通過する第1の位置と、バイパス要素が、搬送方向の枝肉部分の移動時に穿刺先端部が鼠径部の皮膚を穿刺することを防止し、それによって鼠径部の皮膚が刃先によって切断されることを防止するように、カッターの少なくとも穿刺先端部を覆う第2の位置との間で移動可能なバイパス要素を有する。このようなバイパス要素を設けることで、システムの汎用性を高めることができる。なぜなら、このようにすることで、特定の鼠径部の皮膚の切断が不要な家禽の枝肉部分の特定のバッチ(BaBtch)が処理される場合など、一時的に必要な場合には、切断装置のカッターを簡単かつ効果的にバイパスできるからである。別の実施形態では、切断装置は、使用中、搬送方向内の枝肉部分の穿刺先端部が動くと鼠径部の皮膚を穿刺するが鼠径部の皮膚の切断装置を通過する第1の位置と、搬送方向内の枝肉部分の移動時に穿刺先端部が鼠径部の皮膚を穿刺するのを防止し、それによって鼠径部の皮膚が刃先によって切断されるのを防止するように、鼠径部の皮膚の手の届かないところにカッターを移動させる第2の位置との間でカッターを移動させるように構成されたバイパス要素を有してもよい。
【0014】
一実施形態では、カッターは、使用中、枝肉部分の背中部分がカッターの下を通過するように配置され、刃先は、その上流端が搬送方向を横切って見えるように下方に傾斜している。背中支持装置を有する実施形態の場合、刃先は、その上流端が切断装置の下の背中支持装置の支持面に対して下方に傾いていることが好ましい。刃先が下向きに傾いていることは、切断中に鼠径部の皮膚にテンションをかけ続けることをさらに助ける。
【0015】
一実施形態では、システムは、カッターの下流に設けられ、脚部を背中部分から分離するように構成された分離装置をさらに備える。分離装置は、例えば、股関節又はその近傍を分離する円形回転刃のような分離要素から構成されてもよく、又は、引っ張り動作の結果として脚部を背中部分から分離する目的で背中部分を脚部に対して下方に引っ張る、引っ張り要素から構成されてもよい。
【0016】
実施形態において、枝肉部分は、屠殺された家禽の枝肉のバックハーフであって、バックハーフは、背中部分と、それに接続された脚部とを備え、システムの使用中、脚部をコンベアから吊り下げた状態で、バックハーフは、コンベアに吊り下げられて搬送方向に移動される。
【0017】
本明細書及び特許請求の範囲を通して提示されるシステムの対応する実施形態は、本発明の第2の態様による以下に記載される方法にも適用可能である。本発明の第1の態様によるシステムは、本発明の第2の態様による方法を実行するように構成できる。
【0018】
第2の態様において、本発明は、屠殺された家禽の枝肉部分を処理する方法を提供し、枝肉部分は、好ましくはバックハーフであり、上述の本発明によるシステムを使用し、枝肉部分は、少なくとも背中部分とそれに接続された脚部を備え、この方法は、脚部をコンベアから吊り下がった状態で、枝肉部分をコンベアによって吊り下げて搬送方向に移動させることと、枝肉部分が鼠径部皮膚切断装置を通過して移動する間に、カッターの穿刺先端部で鼠径部の皮膚を穿刺し、その後、刃先で鼠径部の皮膚を切断することとを含む。
【0019】
本発明による方法およびその実施形態の効果は、上述した本発明の第1の態様によるシステムおよびその実施形態の効果に類似している。
【0020】
カッターの上流端にガイド部を有し、刃先がガイド部の下流から始まるカッターを有する実施形態では、本方法によれば、穿刺先端部が穿刺穴を形成し、カッターが鼠径部の皮膚の下に進入し、鼠径部の皮膚がガイド部の上を刃先に向かってスライドし、その後、刃先によって鼠径部の皮膚に切れ目が形成されて切断される。
【0021】
カッターの上流に脚部位置決め装置を有する実施形態では、その後の鼠径部の皮膚の切断を目的として、脚部位置決め装置を使用して脚部を広げて位置決めする。
【0022】
背中支持装置を有する実施形態では、背中部分は、少なくとも枝肉部分が切断装置に沿って通過する間、つまり少なくとも切断の間、背中支持装置によって支持され、好ましくは支持されながら持ち上げられる。
【0023】
一実施形態では、鼠径部の皮膚はカッターの上流、つまり切断の前に、ねじられ得る。このようなねじりは、背中支持装置による背中部分の持ち上げによって提供され得る。脚部位置決め装置も有する実施形態では、枝肉部分が脚部位置決め装置を通過する間に、鼠径部の皮膚はねじられることが好ましい。
【0024】
一般論として、本発明は、背中部分と脚部からなる屠殺された家禽の枝肉部分を処理するためのシステム及び方法に関し、搬送方向の中で吊り下げられた枝肉部分を移動させるためのコンベアを備え、枝肉部分が切断装置を通過して移動される間に鼠径部の皮膚を切断するための切断装置を備え、刃先を有する細長いベース部、カッターの上流端に穿刺先端部を有するカッターを備え、カッターは、枝肉部分が搬送方向に移動する際、穿刺先端が鼠径部の皮膚を穿刺し、それによって穿刺穴を形成し、カッターが鼠径部の皮膚の下に進入するようにし、枝肉部分の継続的な移動の結果、穿刺穴から開始して鼠径部の皮膚に切れ目を形成する刃先によって鼠径部の皮膚が切断されるように、配置および構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
以下、本発明の実施形態が示され、同様の参照番号が同一または類似の要素を示す添付の概略図を参照して、本発明を説明する。
【0026】
【
図1】
図1は、側面図における、本発明によるシステムの一部の実施形態を示す。
【
図2】
図2は、屠殺された家禽の枝肉部分を含む
図1の詳細を示す。
【
図3】
図3は、搬送方向から見た請求項1のシステムを示す。
【
図5A】
図5Aは、側面図と上面図における、本発明によるシステムのカッターの実施形態を示す。
【
図5D】
図5Dは、側面図と上面図における、本発明によるシステムのカッターの実施形態を示す。
【
図6A】
図6Aは、側面図および上面図における、本発明によるシステムのカッターの別の実施形態を示す。
【
図6C】
図6Cは、側面図および上面図における、本発明によるシステムのカッターの別の実施形態を示す。
【
図7A】
図7Aは、側面図および上面図における、本発明によるシステムのカッターのさらに別の実施形態を示している。
【
図7C】
図7Cは、側面図および上面図における、本発明によるシステムのカッターのさらに別の実施形態を示している。
【
図8A】
図8Aは、本発明による方法のステップの実施形態を示し、搬送方向に家禽枝肉部分が見られる。
【
図9】
図9は、側面図において、本発明によるシステムの切断装置の別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1~4は、屠殺された家禽の枝肉部分(
図2に示す1つの枝肉部分2は、少なくともそれに接続された背中部分3と脚部4を備える)を処理するためのシステム1を示している。
図8aおよび
図8bも参照のこと。枝肉部分は、いわゆるバックハーフが好ましい。システム1は、システム1の使用中、脚部4をコンベア6から吊り下げた状態で、枝肉部分2を吊り下げたて搬送方向8に移動させるためのコンベア6を備えている。
図2も参照のこと。家禽の処理で一般的に使用されるように、連続する枝肉部分は、使用中のコンベアによって移動され、各枝肉部分は、コンベア6のそれぞれの連続するキャリア7によって運ばれる。
図1には、そのようなキャリアが1つだけ示されている。
【0028】
システムはさらに、枝肉部分2が鼠径部皮膚切断装置を通過する間に、鼠径部の皮膚12を切断するための鼠径部皮膚切断装置10を備える。そのため、切断装置10は、枝肉部分2のそれぞれの脚部4の内側で鼠径部の皮膚12を切断するために、それぞれ2つの固定カッター14を備える。そのために、2つの固定カッター14は、互いに鏡像状に配置される(特に
図3を参照し、枝肉部分に対する2つのカッターの非常に概略的な表現については
図8aを参照)。システム1は、切断装置10の上流に、切断装置10による後続の鼠径部の皮膚の切断を目的として脚部4を広げて脚部4を位置決めするための脚部位置決め装置40をさらに有する。
図3が示すように、互いに隣接して配置された2つのカッター14は、平面視で内側に傾斜している。
【0029】
各カッター14は、刃先18を有する細長いベース部16と、カッター14の上流端22にある穿刺先端部20とを有する。特に
図2および5a~5dを参照されたい。固定カッター14は、システムのフレーム15、または少なくともフレームに固定的に接続されたシステムの一部に固定的に配置される。カッター14はそれぞれ、特に
図8bおよび
図8cに示すように、使用中、枝肉部分2の搬送方向8への移動時に穿刺先端部20が鼠径部の皮膚12を穿刺し、それによってカッター14が鼠径部の皮膚12の下に部分的に入ることができるように穿刺穴24を形成するように、配置および構成されている。鼠径部の皮膚12は、搬送方向8の枝肉部分2の継続的な動きが使用中の切断装置10を通過した結果、刃先18が穿刺穴24から開始して鼠径部の皮膚12に切れ目(
図8bおよび
図8cにおいて参照符号26で示す)を形成することによって切断される。
【0030】
システムはさらに、搬送方向8に移動可能な背中支持装置50を備える。背中支持装置50が背中部分3をわずかに持ち上げ、その結果、脚部4が離れ、切断装置10による穿刺と切断のための利用可能なスペースが広がる。背中支持装置による背中部分3の持ち上げのもう一つの効果は、鼠径部の皮膚12がカッター14の上流でねじられることである。背面部に対する脚部の向きが変わるため、ねじられる。枝肉部分が脚部位置決め装置40を通過する間に、鼠径部の皮膚がねじられているのが望ましい。
【0031】
カッター14は、使用中、枝肉部分2の背中部分3がカッター14の下を通過するように配置される。刃先18は、搬送方向に対して横方向に見て、特に
図1および
図2に示すように、その上流端22が下向きに傾斜している。これは、カッター14直下の背中支持装置50に対して刃先18が下向きに傾斜していることを意味する。
【0032】
カッター14は、少なくともその上流端22において、鼠径部の皮膚を切断するために鼠径部の皮膚12を緊張させるために、くさび形をしている。特に
図5dの上面図を参照されたい。カッター14は、使用中、屠殺された家禽の枝肉部分2が、カッター14の外側長手方向側面28に沿ってカッター14の外側をその脚部4とともに通過し、その外側長手方向側面28が脚部4の内側に面するように、配置および構成されている。ベース部16は、
図5dに示すように、くさび形の上流端22の最大厚さに適合する厚さtを有し、刃先18は、外側長手方向側面28とは反対側のカッター14の内側長手方向側面30に設けられている。固定カッター14はまた、上流端22にガイド部32も備え、刃先18は、特に
図5aおよび
図5dに示すように、ガイド部32の下流から始まる。これは、ガイド部32には刃先がないことを意味する。カッター14は、使用中、穿刺先端部20が穿刺穴24を形成し、カッター14が鼠径部の皮膚の下に入るようにした後、鼠径部の皮膚がガイド部32上を刃先18に向かって、つまり、まだ切断されることなくスライドし、その後、刃先18が穿刺穴24から鼠径部の皮膚12を通って開始する切れ目26を形成することによって切断されるように、配置および構成されている。スライド中、カッター14がくさび形であるため、鼠径部の皮膚もある程度引き伸ばされる。
【0033】
また、
図9に非常に概略的に示す実施形態では、切断装置10は、
図9の例では、
図9に示すように、その作動位置において、細長いストリップ状の要素として形成されたバイパス要素60を有することができ、(バイパス要素は、)カッター14の上流端22の穿刺先端部20を少なくとも覆い、使用中、切断装置に沿って移動される家禽の枝肉がカッター14の届かないところに留まり、鼠径部の皮膚に穿刺したり切断されたりしないようにする。これは、切断装置が必要としない特定のバッチの家禽の枝肉を処理する際に問題となる可能性がある。バイパス要素60は、カッター14と同様に、システムのフレーム115上に設けられている。バイパス要素60は、
図9の実施例に示すように、ピボット軸62を中心として方向61に回動されるなどして、バイパス要素60が、穿刺先端部が鼠径部の皮膚を穿刺するのを防止するようにカッターの少なくとも穿刺先端部を覆い、それによって、刃先によって鼠径部の皮膚が刃先によって切断されるのを防止する
図9に示す第2の位置から、使用中、枝肉部分が鼠径部皮膚切断装置を通過して搬送方向に移動する際に、穿刺先端が鼠径部の皮膚を穿刺する第1の位置に移動されることができる。すなわち、第1の位置において、バイパス要素60は、穿刺先端部がもはやバイパス要素によって覆われないようにカッター14から離れるように回動されるので、穿刺および切断のために上述のような方法で使用できる。バイパス要素の移動は、電磁モータ、ソレノイド、空気圧アクチュエータなど、図示しない手段によって行うことができる。
【0034】
図5eは、
図5a~dの実施形態の変形例であるカッター414を示し、カッター14との唯一の相違点は、カッター414の上流端422が、平面図で見て内側に湾曲していることであり、これは、上流端422が、いわば脚部から離れるように湾曲していることを意味する。
【0035】
図6a~6cは、カッター14の代わりにシステム1に使用できるカッターの別の実施形態を示している。
図6a~6cのカッター114は平らである。そのため、くさび形の上流端を欠いている。
図6dに示すカッター314もカッター114の変形例であり、カッター414と同様に内側に湾曲した上流端322を有する。
図7a~7cは、カッター14の代わりにシステム1に使用できるカッターのさらに別の実施形態を示している。
図7a~7cのカッター214は、くさび形の上流端222を有しているが、ガイド部は有していない。つまり、その刃先218は穿刺先端部220から始まる。一実施形態では、カッター114に肉厚部を追加でき、その結果、くさび形の上流端を有するカッター214に匹敵するカッターを得ることができるが、カッター214が1つの部品として作られるのに対して、肉厚部を有する前記カッターは2つの個々の部品から構成されるという違いがある。カッター314も同様に、これには肉厚部を追加することもできる。また、カッター14、214、414は、図に示すような全体形状を得るために、複数の個々の部品で構成されてもよい。
【0036】
システムはさらに、固定カッター14の下流に設けられ、脚部4を背中部分3から分離するように構成された分離装置60(
図1にはごく概略的にしか示されていない)を備える。分離装置は、図示のような分離要素(円形の回転刃)から構成されてもよいし、例えば、分離のために背中部分を脚部に対して下方に引っ張るための引っ張り要素から構成されてもよい。
【0037】
本発明による方法によれば、枝肉部分2が搬送方向8のコンベア6によって吊り下げられた状態で移動させられ、脚部4がコンベアから吊り下げられており、枝肉部分が鼠径部の皮膚の切断装置10を通過して移動する間に、カッター14の穿刺先端部20によって鼠径部の皮膚12を穿孔し、その後、刃先18によって鼠径部の皮膚を切断することを含む。
【0038】
開示された実施形態に対する他の変形は、図面、開示、および添付の特許請求の範囲の検討から、請求された発明を実施する際に当業者によって理解され、実施され得る。前述の説明は、例としてのみ本発明の実施形態を提供するものである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。本発明の1つ以上の目的は、添付の特許請求の範囲によって達成される。
【国際調査報告】