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特表2024-526543電気自動車のバッテリ構造体の為の保護部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】電気自動車のバッテリ構造体の為の保護部材
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/242 20210101AFI20240711BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20240711BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240711BHJP
【FI】
H01M50/242
B60K1/04 Z
H01M50/249
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575856
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-01-19
(86)【国際出願番号】 EP2022069645
(87)【国際公開番号】W WO2023006431
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】070109/21
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514091231
【氏名又は名称】ムベア カルボ テック ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】MUBEA CARBO TECH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】マルティン, ポール
(72)【発明者】
【氏名】オプデンウィンケル, イェルク
(72)【発明者】
【氏名】スパッツェネッガー, ヘルベルト
【テーマコード(参考)】
3D235
5H040
【Fターム(参考)】
3D235BB43
3D235CC15
3D235EE63
5H040AA01
5H040AA07
5H040AS07
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY10
5H040CC20
5H040CC35
5H040LL01
5H040LL06
5H040NN03
(57)【要約】
【要約書】
本発明は、電気自動車のバッテリ構造体(2)の為の保護部材(1)に関する。保護部材(1)は、波形を有する最上部ベルト(3)と、底部ベルト(4)と、最上部ベルト(3)と底部ベルト(4)との間に配置されてこれらを相互に接続するコア(5)と、を備える。コア(5)は、少なくとも部分的に、発泡体に埋め込まれた繊維のルーズネットワークを備えた第1のコア材料から作成される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車のバッテリ構造体(2)の保護部材(1)において、
a.第1の方向に波形を有する最上部ベルト(3)と、
b.底部ベルト(4)と、
c.最上部ベルト(3)と底部ベルト(4)との間に配置され、これらを相互に接続するコア(5)であって、前記コア(5)は、少なくとも部分的に、発泡体に埋め込まれた繊維のルーズネットワーク(lose network)を備えた第1のコア材料から作成されているコア(5)と、
を備える、保護部材(1)。
【請求項2】
前記最上部ベルト(3)は、隆起部(11)と、それに交互する降下部(12)とを備える、請求項1に記載の保護部材(1)。
【請求項3】
前記最上部ベルト(3)は、前記第1の方向と直交する第2の方向に、前記第1の方向の波形と重なる波形を更に有する、請求項1又は2に記載の保護部材(1)。
【請求項4】
前記第2の方向の波形は、前記最上部ベルト(3)の隆起部(11)の領域においてのみ前記第1の方向の波形に重なる、請求項2又は3に記載の保護部材(1)。
【請求項5】
前記最上部ベルト(3)は、前記第1の方向および/または前記第2の方向に階段状の波形を有する、請求項3又は4に記載の保護部材(1)。
【請求項6】
前記第1のコア材料の前記発泡体がポリウレタンから作成され、さらに/または、前記繊維がガラス繊維である、請求項1~5のいずれか一項に記載の保護部材(1)。
【請求項7】
前記コアは、繊維注入構成要素、特に長繊維注入構成要素である、請求項1~6のいずれか一項に記載の保護部材(1)。
【請求項8】
前記コア(5)は、本質的に平らな上部表面と本質的に平らな下部表面とを有するベースプレート(6)を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の保護部材(1)。
【請求項9】
前記ベースプレート(6)は、前記第1のコア材料から作成される、請求項8に記載の保護部材(1)。
【請求項10】
前記コア(5)は、前記ベースプレート(6)と前記最上部ベルト(3)との間に配置された少なくとも1つの梁部(7)を更に備え、前記コア(5)が波状の強化構造を備える、請求項8又は9に記載の保護部材(1)。
【請求項11】
前記波形を有する前記最上部ベルト(3)は、前記コア(5)の前記波状の強化構造で形状固定嵌合を有する、請求項10に記載の保護部材(1)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの梁部(7)は、高分子材料、特にポリウレタン(PU)またはポリエチレンテレフタレート(PET)を備える第2のコア材料または第1のコア材料から作成される、請求項10~11のいずれか一項に記載の保護部材(1)。
【請求項13】
前記コア(5)が、前記ベースプレート(6)と前記少なくとも1つの梁部(7)との間に配置された繊維強化プラスチックの少なくとも1つの中間層を備える、請求項10~12のいずれか一項に記載の保護部材(1)。
【請求項14】
少なくとも2つの梁部(7)が、互いに平行に、かつ/または保護部材(1)の縁部(9)に平行に配置されている、請求項10~13のいずれか一項に記載の保護部材(1)。
【請求項15】
前記保護部材(1)を前記電気自動車の前記バッテリ構造体(2)に装着するための装着孔(8)が、少なくとも1つの梁部(7)を介して機械加工されている、請求項10~14のいずれか一項に記載の保護部材(1)。
【請求項16】
前記最上部ベルト(3)および/または前記底部ベルト(4)は、少なくとも部分的に、
ガラス繊維強化プラスチック(GFK) 、炭素繊維強化プラスチック(CFK)、玄武岩繊維強化ポリマー複合材料、アラミド繊維強化ポリマー複合材料、板金等の金属、天然繊維強化ポリマー複合材料、これらの組合せ、からなる群から選択される材料から作成される、請求項1~15のいずれか一項に記載の保護部材(1)。
【請求項17】
前記保護部材(1)は、前記最上部ベルト(3)と前記底部ベルト(4)とが、前記コア(5)上に横方向に突出する縁部領域(9)および/または前記保護部材(1)の装着孔(8)の領域で直接接合されている、請求項1~16のいずれか一項に記載の保護部材(1)。
【請求項18】
前記最上部ベルト(3)及び前記底部ベルト(4)は、前記コア(5)上に横方向に突出する縁部領域(9)に隆起部(11)を形成する、請求項1~17のいずれか一項に記載の保護部材(1)。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載の保護部材(1)を備えた電気自動車のバッテリ構造体(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド自動車を含む電気自動車のバッテリ構造体の為の保護部材およびそのような保護部材を備えたバッテリ構造体に関する。
【0002】
【発明の背景】
【0003】
DE102015101096A1は、2016年7月にPorsche AGの名前で初めて発表された。それはバッテリ担持送構造体に関する。バッテリ設備には、底板と床との間にアンダーボデーバッテリが含まれる。少なくとも1つの変形ゾーンは、アンダーボディバッテリへの望ましくない損傷を回避するように予見される。変形ゾーンは、底板の上方およびアンダーボディバッテリの下方に配置された複数の変形要素を備え、これにより、底板は、バッテリ設備を損傷することなく上方に変形することができる。変形要素は、車両の長さに沿った方向に延びる中空プロファイルとすることができる。
【0004】
WO2015/077000A1は、2015年5月にAtieva Inc.の名称で最初に発行された。本発明は、電気自動車に使用するバッテリパック保護システムに関し、このバッテリパック保護システムは、バッテリパックが車両の下に装着される。このシステムは、各バッテリの下部表面と下バッテリパック筐体パネルとの間に置かれた複数の変形可能な冷却導管を利用する。断熱体が導管と下部筐体パネルとの間に挿入される。冷却導管と断熱体との間に介在し、冷却導管の各々の下部表面と接触する熱伝導性材料の層が含まれてもよい。冷却導管は、道路の破片などの物体が下部バッテリパック筐体パネルの下部表面に衝突したときに、衝突エネルギを変形して吸収するように構成される。さらなる保護は、衝撃シールドを単独で、または圧縮可能な材料の層と共に、電池パックの底部表面の下に位置することによって達成されてもよい。衝撃シールドは、金属または高密度プラスチックのいずれかから製作することができ、圧縮性材料の層は、シリコンまたはウレタンの開放セルまたは閉鎖セル発泡体から作成することができ、バッテリパックと衝撃シールドとの間に介在させることができる。
【0005】
FR2977554A1は、2013年1月にFior Conceptという名称で初めて公表された。本発明は、プレートを形成する、ハニカム状の構造体からなるフレームを有する車両に関する。上板の表面は、プレートの上部表面に強固に接続される。底板の表面は、プレートの下部表面に強固に接続されている。抵抗構造体は、ホイールノッチの上に突出しており、完全な剛体接続によってノッチに取り付けられている。外部抵抗ベルトは、完全な剛体接続によってプレートの外周に取り付けられ、ホイールの通路の構造の間に部分的に配列される。
【0006】
プレート、上板および下板は、例えばアルミニウムをベースとする軽金属合金材料から作られる。
【0007】
床下バッテリパック用の従来技術の保護システムは、通常、発生するエネルギを吸収するために相対的に大きな変形経路を必要とする。従って、既知の保護システムは、安全要件を満たすために、即ち、保護されるべき部品に大きな力を導入することなく、導入されたエネルギを枯渇させるために、車両の底部と保護されるべき部品との間にかなりの量の空間を必要とする。車両の型式によっては、これは以下のパラメータの少なくとも1つに重大な影響を及ぼす可能性がある:最低地上高、アクセス高、ヘッドクリアランス、車両高、横断面積。
【0008】
従来技術から知られているバッテリ保護システムは、さらに通常は金属または複合材料で作られており、高い規則的な衝突荷重を吸収するにはあまり適切ではないか、またはこの目的のために追加の衝撃シールドを必要とする。それらの構造は、一緒に組み立てられなければならない複数の部品を含み、従って、自動車製造プロセスに複雑さを加える。
【0009】
WO2018/149762A1は、現在の出願人MUBEA CARBO TECH GmbHの名称で、2018年8月に最初に発行された。波形の最上部ベルトと底部ベルトとの間に配置されたコアを備えたプロテクタを有するバッテリ構造体に関する。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、比較的軽量で、衝突エネルギを吸収するために必要な垂直方向(z方向)の空間が少なく、製造が容易であり、かつ車両への装着が容易な、電気自動車(ハイブリッド自動車を含む)の電池構造体用の改良された保護部材を提供することにある。本発明の更なる態様は、製造コストがより低い、改良された保護部材に関する。
【0011】
これらの目的は、例えば電気自動車(ハイブリッド自動車)等の電池構造体において、第1の方向の波形(それぞれ波形状)を有する最上部ベルトと、底部ベルトと、最上部ベルトと底部ベルトとの間に配置され、これらを相互接続するコアと、を備えた保護部材によって達成される。コアは、少なくとも部分的に、発泡体に埋め込まれた繊維の損失ネットワークを備えた第1のコア材料から作られる。第1のコア材料の発泡体はポリウレタンから作ることができ、さらに/または、第1のコア材料の繊維はガラス繊維であることができる。繊維はさらに、12mm~100mm、特に12mm~75mm、より具体的には12mm~25mmの長さを有することができる。少なくとも部分的に第1のコア材料から作成されるコアは、繊維注入構成要素、特に長繊維注入構成要素とすることができる。このプロセスの間に、ポリウレタン発泡体および切断された繊維が開放された型に注ぎ込まれる。次に低圧縮圧力を使用して、さまざまなサイズの複雑な部品を作り出す。ポリウレタン中に強化繊維が存在すると、剛性が増加し、全体的により少ない材料でより薄い壁を形成することも可能になる。これは、より大きく複雑な部品であっても、対応するコストの削減を伴う。従って、本開示に係る保護部材は、公知のシステムに対して様々な利点を有する。この構造体によれば、保護部材のコアの機械的特性を良好に発揮することができ、これは、例えば、格納式ボラードなどのより大きな物体がバッテリ構造体の下部表面に衝突したときに、衝突エネルギを吸収するための十分な塑性または非可逆的な変形および破壊挙動、例えば、道路のがれきなどのより小さな物体が保護部材を貫通しようとするときに、高い時間的な荷重を吸収するための適切な侵入保護挙動を含む。圧縮可能な構造体または材料および衝撃シールドを有する公知の保護システムと比較して、本発明の保護部材は、より単純な構造を有し、衝突エネルギを効率的に吸収する。
【0012】
波形を有する最上部ベルトは、隆起部とそれに対して交互になっている降下部とを有することができる。これにより、第1の方向における波形は、隆起部および降下部が前記第1の方向に対して垂直に、かつ垂直方向に対して直交するように延びるように画定される。波形は、連続的(例えば、正弦波)でもよい。しかしながら、隆起部が本質的に平らな最上部デッキを備え、さらに/または、降下部が本質的に平らな底部を備え、隆起部と降下部との間に丸みを帯びた移行部を有する変形も可能である。しかしながら、例えば、隆起部が本質的に平らな最上部デッキを含み、降下部が凹形に形成されるような変形も可能である。
【0013】
一部の実施形態において、波形は、適切な場合には、2つの方向に延びることができる。従って、最上部ベルトは、第1の方向の波形と重なる第2の方向の波形を更に有することができる。これにより、第2の方向が第1の方向および垂直方向に対して直交することが好ましい。用途に応じて、第1の方向は、保護部材の長手方向(y方向)に規定されてもよい。これにより、保護部材の横断方向(x方向)に第2の方向を規定することができる。
【0014】
第2の方向の波形は、好ましくは、第1の方向の波形の隆起部の領域(例えば、一つ又は複数の隆起部の最上部デッキの領域)においてのみ、第1の方向の波形を重ね合わせることができる。その場合、最上部デッキは、第2の方向の波形の局所的な高さを有する本質的に平らな表面を特徴とすることができる。
【0015】
第1の方向および/または第2の方向の波形は、連続的および/または階段状でもよい。階段状の波形の場合、一つ又は複数の階段部は、相対的な高さおよび/またはそれぞれの降下部を形成することができる。階段部は、垂直方向に対して本質的に鉛直な領域であることが好ましい。移行領域は、2つの隣接する階段部の間に配置されてもよい。移行領域は傾斜していても、垂直方向に延長されていてもよい。好ましくは、少なくとも1つの中間階段部が、(隆起部の最上部を形成する)最上部階段部と(凹部の底部を形成する)底部階段部との間に形成される。少なくとも1つの中間階段部は、保護部材をバッテリ構造体に強固に装着するのに役立つことができる。これにより、底部階段部と中間階段部との間に変形空間が形成される。変形空間は、保護部材の弾性または非弾性、すなわち損傷変形を引き起こす高衝突事象の場合に、変形可能領域を提供する。代替的(または追加的)に、ト最上部階段部も保護部材を装着するために機能してもよい。この場合、変形空間は、底部階段部と上最部階段部(および/または中間階段部)との間に形成される。
【0016】
最上部ベルト(および/または底部ベルト)は、繊維強化複合材料の一つ又は複数の層を備えることができる。最上部ベルトまたは底部ベルトの一つ又は複数の層は、(垂直方向の)厚さを変化させることができる。用途に応じて、最上部ベルトおよび/または底部ベルトは、少なくとも部分的に、ガラス繊維強化プラスチック(GFK)、炭素繊維強化プラスチック(CFK)、玄武岩繊維強化ポリマー複合材料、アラミド繊維強化ポリマー複合材料、板金等の金属、天然繊維強化ポリマー複合材料、およびそれらの組合せ、からなる群から選択される材料から作成することができる。この材料の選択は、最上部および底部ベルトに非常に高い剛性を与え、これは、コアの柔軟性と相まって、あらゆるタイプの高衝突事象における保護部材の優れたエネルギ吸収および損傷挙動を提供する。代替または追加として、最上部ベルトおよび/または底部ベルトは、少なくとも部分的または完全に天然繊維を含有する繊維から作成され、特に、亜麻、麻、ジュート、ラミー、ケナフ、シサル、ヘネケン、竹、絹、綿及びこれらの組合せからなる群から選択される繊維である。
【0017】
実施形態において、コアは、本質的な平らな上部表面および本質的な平らな下部表面を有するベースプレートを備える。このような平らなコアは、製造をさらに単純化し、さらに剛性の最上部ベルトおよび底部ベルトを備えた可撓性コアの好ましい特徴を提供する。ベースプレートは、第1のコア材料から形成されることが好ましい。
【0018】
追加的または代替的に、コアは、少なくとも1つの梁を備えてもよい。少なくとも1つの梁は、ベースプレートと最上部ベルトとの間に垂直方向に配置することができる。これにより、少なくとも1本の梁部をベースプレートの上部表面に配置し、特に接着剤で接着してコアに波状の強化構造を設けることができる。この結果、波状構造は、保護部材の垂直横断面に見え、即ち、(装着状態では電気車両の)(縦方向および横断方向に直交する)保護部材の垂直方向に沿って延びる横断面平面に見える。コアの波状形状はまた、保護部材を(梁の外側の領域において)バッテリ構造体の下側から離間させて変形空間を提供する役割を果たし、この変形空間は、バッテリ構造体を損傷することなく衝突事象の場合に保護部材が膨張することができる。また、少なくとも1つの梁部は、保護部材を床下バッテリ構造体の下に固定するために、ネジのような固定手段を配列するための機械的な作用を提供する。
【0019】
一部の実施態様において、少なくとも1つの梁部は、第1のコア材料で構成することができる。あるいは、少なくとも1つの梁部は、ポリマー材料、特にポリウレタンまたはポリエチレンテ作成することができる。用途に応じて、少なくとも1つの梁部は、少なくとも部分的にまたは完全に、発泡体材料、特にポリウレタン発泡体(PU発泡体)、ポリエチレンテレフタレート発泡体(PET発泡体ム)などのポリマー発泡体材料、またはその他から作成することができる。発泡体材料は、エネルギ吸収に有益であり得る。
【0020】
実施形態において、コアは、ベースプレートとコアの少なくとも1つの梁部との間に配置された少なくとも1つの中間層を備えることができる。その場合、(ベースプレート、少なくとも1つの中間層、および少なくとも1つの梁部を備えた)コアも、上述したように、波状の強化構造体を提供する。少なくとも1つの中間層は、繊維強化プラスチックの層であることが好ましい。少なくとも1つの中間層が最上部ベルトと同じ材料である場合、さらに有利である。少なくとも1つの梁部に隣接する領域において、最上部ベルトおよび中間層(それぞれ複数の中間層の上部層)は、例えば、互いに直接接着されてもよい。
【0021】
コアが波状構造体を提供する実施形態において、最上部ベルトの波形は、コアの波状構造体と少なくとも部分的または完全な形状固定嵌合を有する。代替として、上部ベルトは、コアの波状補強構造に類似した波形を有し、少なくとも幾つかの接合領域においてそれを支持する。保護部材の波状の形状、または少なくともその上部は、弾性および/または塑性変形の組合せによって保護部材内への衝突エネルギの最適な分布を提供し、それによって衝突エネルギを吸収する能力をさらに向上させる。
【0022】
実施形態において、少なくとも2つの梁部は、互いに平行および/または保護部材の縁部に平行に配置される。保護部材は、原則として任意の形状または輪郭を有することができる。たとえば、2つ以上の梁部を、(横段方向に延びる)保護部材の横段方向淵部に平行に配置することができ、これは、電気自動車の横段方向延長部に平行に装着されるのに適しているか、または設計されている。代替または追加として、一つ又は複数の梁部を、(長手方向に延びる)保護部材の長手方向縁部に平行に配置することもでき、保護部材は、電気自動車の長さ延長部に平行に装着されるのに適しているか、または設計されている。
【0023】
実施形態において、少なくとも1つの梁部は、ベースプレート用のフレーム(例えば、長方形のフレーム)、特に、ベースプレートの一部の縁部または全ての縁部に沿って、またはそれに近接して延びる開いたフレームまたは閉じたフレームを形成する複数の梁部を備える。実施形態において、少なくとも1つの梁部は、ベースプレートの縁部に対して一定角度でベースプレートを横切って延びる少なくとも1つの交差梁部であるか、または、少なくとも1つの交差梁部を備える。実施形態はまた、以下の任意の組み合わせを包含する。交差梁部、フレーム状に走行する梁部、縁部沿ってまたは縁部に接近して走行する梁部。開示された梁部の配置は、コアのベースプレートに好ましい強化構造体を提供することができる。
【0024】
実施形態において、保護部材を電気自動車のバッテリ構造体に装着するための装着孔が、保護部材を貫通して機械加工される。好ましくは、装着孔は、保護部材または電気自動車の垂直方向に沿って機械加工され、例えば、ドリル加工またはフライス加工される。装着孔が少なくとも1つの梁部を通して機械加工される場合に有利である。ベースプレートが存在せず、コアが複数の梁部だけで構成される場合、装着孔を梁部に隣接して配置することは、しかしながら、コアが完全に囲まれ、環境の影響から保護されるという利点を有する。
【0025】
実施形態において、最上部ベルトおよび底部ベルトは、コアの上に横方向に突出する縁部領域および/または保護部材の装着孔の領域で、互いに直接接合される。最上部ベルトを底部ベルトに直接接合することにより、保護部材のバッテリ構造体への高い力の伝達を伴う剛性装着が可能になり、保護部材とバッテリ構造体との間の変形可能領域は、高い衝突事象の間も維持することができる。他の実施形態において、装着孔の領域は、依然として、消失しない局所的な厚さを有し、ネジなどの装着手段を受けるために挿入されるスリーブ(例えば、金属スリーブまたはアルミニウムスリーブ)を備えたコアを含むことができる。
【0026】
実施形態において、最上部ベルトおよび底部ベルトは、コア上に横方向に突出するこれらの縁部ジ領域内に隆起を形成する。これにより、変形可能領域に必要な保護部材とバッテリ構造体との間の距離を簡易かつ効率的に確保することができる。
【0027】
実施形態において、最上部ベルトおよび/または底部ベルトは、それぞれ1.5mm未満または1mmに等しい厚さを有し、さらに/または、コアは、ベースプレートの領域において10mm未満の第1のコア厚と、強化梁部が装着される領域において30mm未満の第2のコア厚とを有する。
【0028】
実施形態においては、コアは楔形の縁部を有し、この縁部でコアは先細りとなっている。これにより、最上部ベルトおよび底部ベルトとコアとの間の力伝達を均一化することができ、コアの曲げ挙動、ひいては保護部材全体の曲げ挙動を改善することができる。
【0029】
上記に開示された保護部材は、電気自動車(ハイブリッド自動車を含む)におけるバッテリ構造体(特に床下バッテリ構造体)を保護するのに特に適している。しかしながら、本発明の保護部材はまた、自動車またはエアロスペース用途における衝突撃エネルギの強化および吸収のための軽量構造要素など、本明細書に包含される他の用途にも適している。第2の態様において、本発明は、先に開示した保護部材を備える電気自動車のバッテリ構造体に関する。
【0030】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方が、任意の特徴を有する実施形態を提示し、開示の性質および特徴を理解するための概要またはフレームワークを提供することを意図していることが理解されるべきである。添付の図面は、更なるる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は様々な実施形態を示し、説明と共に、開示された概念の原理および動作を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本明細書に記載された発明は、以下の本明細書に与えられる詳細な説明および添付の図面からより十分に理解されるであろう。これらの図面は、添付の特許請求の範囲に記載された発明に限定すると考えるべきではない。
図1図1は、本発明に係る保護部材の斜視図及び分解図である。
図2図2は、前記保護部材は、図1による保護部材が装着された状態を斜視図で示す。
図3図3は、本発明による保護部材の第1の変形例の垂直方向に沿った横断面における概略図である。
図4図4は、本発明による保護部材の第2の変形例の垂直方向に沿った横断面における概略図である。
図5図5は、本発明による保護部材の第3の変形例の垂直方向に沿った横断面における概略図である。
図6図6は、本発明による保護部材の第4の変形例の垂直方向に沿った横断面における模式図である。
【実施形態の説明】
【0032】
次に、幾つかの実施形態を詳細に参照する。これらの実施形態の実施例は、添付の図面に例示されており、全てではないが一部の特徴が示されている。実際、本明細書に開示される実施形態は、多くの異なる形態で実施されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。可能な限り、同様の構成要素または部品を参照するために同様の参照番号が使用される。
【0033】
図1および図2は、本発明による保護部材1の変形例を示しており、電気自動車のバッテリ構造体2を保護するのに適している。図1は斜視図、図2は保護部材1の装着状態を示す図である。保護部材1は、y方向に長手方向の縁部と、x方向に横断方向の縁部とを有している。保護部材1の装着状態において、y方向が電気自動車の長さ延長に対応し、x方向が電気自動車の横方向延長に対応する。縁部領域9には、保護部材1をバッテリ構造体又は電気自動車の車体下に装着するための装着構造体及び翼状縁部が装備されている。図示するように、保護部材1は、波状の形状、または少なくとも波状の上部部品を有している。これは、弾性及び/又は塑性変形の組合せによる衝突エネルギの散逸を改善する。
【0034】
図1に示すように、コア5は、第1の方向に波形を有する最上部ベルト3と、実質的に平坦な底部ベルト4との間に挟まれ、好ましくはしっかりと接合される。従って、最上部ベルト3は、いくつかの交互の隆起部11と降下部12を特徴とする。コア5は、主に平らなベースプレート6と、主に細長い少なくとも1つの梁部7とを含む。図示の変形例において、互いに平行で且つ保護部材1の縁部に平行に配置された複数の梁部7が存在する。少なくとも1つの梁部7の領域には、保護部材1を貫通する装着孔8が機械加工、例えばドリル加工される。装着孔8の領域において、コア厚を0にすることが好ましく、最上部ベルト3と底部ベルト4とが直接接合される。これにより、保護部材1をバッテリ構造体2に強固に装着することができる。さらに、最上部ベルト3および底部ベルト4は、コア5を越えて横方向に突出する縁部領域9で直接接合されてもよい。これにより、最上部ベルト3および底部ベルト4は、それぞれ梁部7であるコア5上に横方向に突出する縁部領域9内に隆起部を形成することができる。また、梁部7は、保護部材1の波状形状および保護部材1とバッテリ構造体2との間の必要な距離を提供し、保護部材1の弾性または非弾性、即ち、損傷変形を引き起こす高衝突事象の場合に変形空間または変形可能領域を作り出す。
【0035】
図3図7は、垂直方向(z方向)に沿った横断面における保護部材1の幾つかの可能な構成を概略的に示している。図3に示す第1の変形例において、コア5は、最上部ベルト3と底部ベルト4との間に配置され、これらを相互接続する。図から分かるように、最上部ベルト3は第1の方向(y方向)に波形を有し、底部ベルト4は実質的に平坦である。コアも波状の強化構造として形成されている。従って、最上部ベルト3の波形は、コア5の波状強化構造で形状固定嵌合を有する。最上部ベルト3および/または底部ベルト4は、少なくとも1層の繊維強化プラスチックを備えることができる。コア5は、ベースプレート6と、ベースプレート6と最上部ベルト3との間に配置された少なくとも1つの梁部7とを備えることができる。これにより、ベースプレート6は、本質的に平らな上部表面と本質的に平らな下部表面とを有する。ベースプレート6および少なくとも1つの梁部7は、一体に形成されてもよいし、例えば、接着剤によって互いに相互接続された別個の部品であってもよい。ベースプレート6は、好ましくは、発泡体に埋め込まれた繊維のルーズネットワーク(lose network)を備えた第1のコア材料から作成される。発泡体はポリウレタンでもよく、さらに/または、繊維はガラス繊維でもよい。少なくとも1つの梁部7はまた、ポリマー材料、特にポリウレタン(PU)またはポリエチレンテレフタレート(PET)を備えた第2の材料から、又は、第1の材料から作ることができる。ベースプレート6および少なくとも1つの梁部7が第1の材料から作成される場合、コアは、(一体の)繊維注入構成要素、特に長繊維注入構成要素とすることができる。ベースプレート6と少なくとも1つの梁部7とが互いに離れている場合には、コア5は、ベースプレート6と少なくとも1つの梁部7との間に配置された少なくとも1つの中間層10を任意に更に備えることができる。中間層10は、最上部ベルト3と同じ材料または異なる材料であってもよい。従って、少なくとも1つの中間層10は、繊維強化プラスチックでもよい。
【0036】
図4に示す第2の変形例において、最上部ベルト3の形状およびそれぞれコア5の形状が第1の変形例とは異なる。第1の変形例と同様に、第2の変形例の最上部ベルト3も、幾つかの交互の隆起部11と降下部12を特徴とする。図示の変形例において、隆起部11は実質的に平らな最頂部デッキ13を備え、(異なる隆起部11の)2つの最上部デッキ13の間に配置された降下部12は凹形に形成される。コア5はまた、最上部ベルト3との形状固定嵌合を提供するために、最上部デッキおよび凹形降下部を有する波状の強化構造として形成されてもよい。
【0037】
図5に示す第3の変形例において、最上部ベルト3(及びコア5)の波形が階段状である点で、第1及び第2の変形例と異なる。第3の変形例において、最上部ベルト3は、隆起部11を形成する最上部階段部13と、1つの移行領域15を間に配置して降下部12を形成する底部階段部14とを備える。しかしながら、図6の第4の変形例に示されるように、より多くの階段部も可能である。ここで、最上部ベルト3は、最上部階段部13と、底部階段部14と、少なくとも1つの中間階段部16とを備える。少なくとも1つの中間階段部16は、保護部材1をバッテリ構造体2に強固に装着する役割を果たすことが好ましい。従って、中間階段部16の下方及び底部階段部の上方の空間は、保護部材1の弾性又は非弾性、すなわち損傷変形を引き起こす高い衝突事象の場合に、変形空間17を提供する。
【0038】
さらに可能な変形例を図6に示す。用途に応じて、最上部ベルト3は、第1の方向に垂直な第2の方向(x方向)の波形を更に有することができ、第1の方向の波形と重ね合わせる。図示の実施例において、第2の方向の波形は、点線で示すように、第1の方向の波形を隆起部11の階段部13の領域のみに重ね合わせている。第2の方向の波形は、連続的であっても階段状であってもよい。
【0039】
第2の方向の波形は、図3図5に示される他の変形例にも使用することができる。図4の第2の変形例の場合、最上部デッキは、第2の方向における波形の局所的な高さを有する本質的に平らな表面を特徴付けることができる。第1の変形例と同様に、図4から図6に示す他の変形例においても、コア5は、ベースプレート6、中間層10および少なくとも1つの梁部7のいずれか、または単にベースプレート6および少なくとも1つの梁部7のいずれかを備えることができる。中間層10を使用しない場合には、ベースプレート6と少なくとも1つの梁部7とを一体化することができる。
【0040】
【符合の説明】
【0041】
1…保護部材、
2…バッテリ構造体、
3…最上部ベルト、
4…底部ベルト、
5…コア、
6…ベースプレート、
7…梁部、
8…装着孔、
9…縁部領域、
10…中間層、
11…隆起部、
12…降下部、
13…最上部階段部/最上部デッキ、
14…底部階段部、
15…移行領域、
16…中間階段部、
17…変形空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】