(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】燃焼煙道ガスからCO2を隔離するための組成物、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/62 20060101AFI20240711BHJP
B01D 53/82 20060101ALI20240711BHJP
B01D 53/96 20060101ALI20240711BHJP
B01J 20/22 20060101ALI20240711BHJP
B01J 20/26 20060101ALI20240711BHJP
B01J 20/34 20060101ALI20240711BHJP
C01B 32/50 20170101ALI20240711BHJP
【FI】
B01D53/62 ZAB
B01D53/82
B01D53/96
B01J20/22 A
B01J20/26 A
B01J20/34 E
B01J20/34 F
B01J20/34 H
C01B32/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576393
(86)(22)【出願日】2022-06-16
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 US2022033871
(87)【国際公開番号】W WO2022266377
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521471039
【氏名又は名称】カーボンクエスト, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フューゲルヴァンド,ウィリアム,エー.
【テーマコード(参考)】
4D002
4G066
4G146
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002BA04
4D002BA13
4D002CA07
4D002DA31
4D002DA45
4D002DA46
4D002DA47
4D002DA70
4D002EA02
4D002EA07
4D002EA08
4G066AB10B
4G066AB13B
4G066AB18B
4G066AB24B
4G066AC11B
4G066CA35
4G066DA02
4G066GA01
4G066GA06
4G066GA14
4G146JA02
4G146JB09
4G146JC07
4G146JC28
4G146JC34
4G146JD03
(57)【要約】
燃焼ガス流からCO
2を回収するためのシステムが提供される。組成物も提供され、この組成物は、ナノ多孔質フレームワーク組成物、ナノ多孔質フレームワーク組成物と会合した配位子、および配位子とナノ多孔質フレームワーク組成物の一方または両方と会合したCO
2を含み得る。燃焼流からCO
2を分離するための方法も提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼ガス流からCO
2を回収するためのシステムであって、
CO
2およびN
2を含む燃焼流と、
前記燃焼流に動作可能に連結された容器であって、配位子と会合したナノ多孔質フレームワーク組成物を含有する、容器と、
前記容器と動作可能に関連した容器出口流と、を備える、システム。
【請求項2】
前記ナノ多孔質フレームワーク組成物が金属有機組成物を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記金属有機組成物が金属有機フレームワーク(MOF)を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ナノ多孔質フレームワーク組成物がリンカーによって連結されたクラスターを含み、前記クラスターが金属元素を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記配位子が、前記クラスターとリンカーの一方または両方と会合している、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ナノ多孔質フレームワーク組成物がリンカーによって連結されたクラスターを含み、前記クラスターが非金属である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記クラスターが、前記リンカーに共有結合により連結している、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記配位子が少なくとも1つの-NH-部分を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記配位子がCH
3NHCH
2CH
2NHCH
3を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記-NH-部分の非共有電子対が、前記ナノ多孔質フレームワーク組成物の前記クラスターまたはリンカーと会合している、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
組成物であって、
ナノ多孔質フレームワーク組成物と、
前記ナノ多孔質フレームワーク組成物と会合した配位子と、
前記配位子と前記ナノ多孔質フレームワーク組成物の一方または両方と会合したCO
2と、を含む、組成物。
【請求項12】
前記ナノ多孔質フレームワーク組成物が金属有機フレームワークを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記金属有機フレームワークがリンカーによって連結されたクラスターを含み、前記クラスターが金属元素を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記配位子が、前記クラスターとリンカーの一方または両方と会合している、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記配位子が少なくとも1つの-NH-部分を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項16】
前記配位子がCH
3NHCH
2CH
2NHCH
3を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記-NH-部分の非共有電子対が、前記ナノ多孔質フレームワーク組成物の前記クラスターまたはリンカーと会合している、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
燃焼流からCO
2を分離するための方法であって、
ナノ多孔質フレームワーク組成物を含有する容器に燃焼流の成分を充填するステップであって、前記成分の少なくとも2つがCO
2およびN
2を含む、ステップと、
少なくとも2つのステップのうちの第1のステップにおいて、前記金属有機組成物と会合したCO
2を保持しながらN
2の少なくとも一部を放出するステップと、
前記少なくとも2つのステップのうちの第2のステップにおいて、前記保持されたCO
2の少なくとも一部を放出して、N
2を実質的に含まないCO
2流を提供するステップとを含む、方法。
【請求項19】
前記燃焼流が、前記CO
2ならびに前記N
2およびO
2含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ナノ多孔質フレームワーク組成物が、複数の配位子と会合した金属有機フレームワークを含み、前記CO
2を前記金属有機フレームワークおよび/または前記配位子の一方または両方と会合させるステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記金属有機フレームワークが、リンカーによって会合したクラスターから構成され、前記CO
2が、前記クラスターおよび/またはリンカーの一方または両方と会合している、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ナノ多孔質フレームワーク組成物がクラスターおよびリンカーを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記CO
2が、前記配位子の-NH-部分と会合している、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記燃焼流が水を実質的に含まない、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
燃焼ガス流からCO
2を回収するためのシステムであって、
CO
2およびN
2を含む燃焼流と、
前記燃焼流に動作可能に連結された容器であって、活性炭、炭素モレキュラーシーブ、カーボンナノチューブ、天然および合成のゼオライト(すなわち、アルカリ金属アルミノケイ酸塩)、アルミノホスファート材料、ならびに/またはメソ多孔質シリカのうちの1つまたは複数を含む材料を含有する、容器と、
前記容器と動作可能に関連した容器出口流と、を備える、システム。
【請求項26】
前記材料が自己組織化配位子をさらに含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記配位子が前記材料に連結されている、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記配位子がSiを含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
前記配位子が-NH-部分を含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項30】
燃焼流からCO
2を分離するための方法であって、
容器に燃焼流の成分を充填するステップであって、前記成分の少なくとも2つがCO
2およびN
2を含み、前記容器が、活性炭、炭素モレキュラーシーブ、カーボンナノチューブ、天然および合成のゼオライト(すなわち、アルカリ金属アルミノケイ酸塩)、アルミノホスファート材料、ならびに/またはメソ多孔質シリカのうちの1つまたは複数を含む材料を含有する、ステップと、
少なくとも2つのステップのうちの第1のステップにおいて、前記金属有機組成物と会合したCO
2を保持しながら前記N
2の少なくとも一部を放出するステップと、
前記少なくとも2つのステップのうちの第2のステップにおいて、保持されたCO
2の少なくとも一部を放出して、N
2を実質的に含まないCO
2流を提供するステップと、を含む、方法。
【請求項31】
前記材料が自己組織化配位子をさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記配位子が前記材料に連結されている、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記配位子がSiを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記配位子が-NH-部分を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記燃焼流が水を実質的に含まない、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年6月16日に出願された「Compositions,Systems,and Methods for Sequestering CO2 from Combustion Flue Gas(燃焼煙道ガスからCO2を隔離するための組成物、システム、および方法)」と題する米国仮特許出願第63/211,484号に対する優先権およびその利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の分野は、二酸化炭素管理システムおよび方法を含み得る、より詳細には、蒸気加熱、温水、吸着物冷却、および燃焼流の形態での排出ガスの副産物を生じる熱電併給などの構造物システムのための大規模燃焼エネルギー源を利用する、多用途のまたは設置面積の大きな構造物によって利用され得る構造物排出ガスの処理に関する。
【背景技術】
【0003】
特に大都市圏および/または工業環境の構造物における二酸化炭素の発生は、全体的に二酸化炭素の発生に大きく寄与する。二酸化炭素は、現在、世界的に削減が求められている地球温暖化化合物として挙げられている。二酸化炭素の発生は、生命維持に必須である呼吸の必須部分であるが、気候変化に対処するために二酸化炭素の発生を制限することが重要である。本開示は、都市圏における化石燃料の燃焼およびその拡散からの二酸化炭素の発生に対処することができる構造物排出ガスの処理および隔離のシステムを提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
燃焼ガス流からCO2を回収するためのシステムが提供され、このシステムは、CO2およびN2を有する燃焼流、燃焼流に動作可能に連結された容器であって、配位子と会合したナノ多孔質フレームワーク組成物を含有する、容器、ならびに容器と動作可能に関連した容器出口流を含み得る。
【0005】
組成物も提供され、この組成物は、ナノ多孔質フレームワーク組成物、ナノ多孔質フレームワーク組成物と会合した配位子(リガンド)、および配位子とナノ多孔質フレームワーク組成物の一方または両方と会合したCO2を含み得る。
【0006】
燃焼流からCO2を分離するための方法も提供される。この方法は、ナノ多孔質フレームワーク組成物を含有する容器に燃焼流の成分を充填するステップであって、この成分の少なくとも2つがCO2およびN2を含む、ステップと、少なくとも2つのステップのうちの第1のステップにおいて、金属有機組成物と会合したCO2を保持しながらN2の少なくとも一部を放出するステップと、少なくとも2つのステップのうちの第2のステップにおいて、保持されたCO2の少なくとも一部を放出して、N2を実質的に含まないCO2流を提供するステップとを含む。
【0007】
燃焼ガス流からCO2を回収するためのシステムであって、CO2およびN2を含む燃焼流、燃焼流に動作可能に連結された容器であって、活性炭、炭素モレキュラーシーブ、カーボンナノチューブ、天然および合成のゼオライト(すなわち、アルカリ金属アルミノケイ酸塩)、アルミノホスファート材料、ならびに/またはメソ多孔質シリカのうちの1つまたは複数を含む材料を含有する、容器、ならびに容器と動作可能に関連した容器出口流を含み得る、システムも提供される。
【0008】
燃焼流からCO2を分離するための方法であって、容器に燃焼流の成分を充填するステップであって、この成分の少なくとも2つがCO2およびN2を含み、容器が、活性炭、炭素モレキュラーシーブ、カーボンナノチューブ、天然および合成のゼオライト(すなわち、アルカリ金属アルミノケイ酸塩)、アルミノホスファート材料、メソ多孔質シリカまたはナノ多孔質フレームワーク組成物のうちの1つまたは複数を含む吸着剤材料を含有する、ステップと、少なくとも2つのステップのうちの第1のステップにおいて、選択された吸着剤と会合したCO2を保持しながらN2の少なくとも一部を放出するステップと、少なくとも2つのステップのうちの第2のステップにおいて、保持されたCO2の少なくとも一部を放出して、N2を実質的に含まないCO2流を提供するステップとを含み得る、方法も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下の添付図面を参照して、本開示の実施形態を以下に説明する。
【
図1】本開示の一実施形態による、燃焼流からCO
2を隔離するためのシステムの図である。
【
図2A】本開示の一実施形態による使用のための例示的な吸着剤である。
【
図2B】本開示の一実施形態による使用のための例示的な吸着剤である。
【
図2C】本開示の一実施形態による吸着剤CO
2の能力を高めるためのアミン官能基である。
【
図2D】本開示の一実施形態による吸着剤CO
2の能力を高めるためのアミン官能基である。
【
図2E】本開示の一実施形態による吸着剤CO
2の能力を高めるためのアミン官能基である。
【
図2F】本開示の一実施形態による吸着剤CO
2の能力を高めるためのアミン含浸化合物である。
【
図3】本開示の一実施形態による官能化された金属有機フレームワーク(MOF)組成物である。
【
図4】本開示の一実施形態による金属有機構造体(MOF)の図である。
【
図5】本開示の一実施形態による
図1のシステムの構成要素である。
【発明の詳細な説明】
【0010】
本開示を、
図1~5を参照して説明する。最初に
図1を参照すると、乾燥機構成要素14、セパレータ18、および液化機構成要素22の3つの構成要素を含むシステム10が示されている。例示的な実装形態によれば、システム10は、例えば、工業および/または住宅構造物からの煙道ガスまたは燃焼流であり得るガス燃焼生成物12を受容するように構成することができる。例示的な実装形態によれば、この流れ12は、窒素および二酸化炭素を含む可能性があり、この点で、湿潤が最小限であり、最終乾燥を必要とすると考えられるものであり得る。流れはO
2を含む可能性もある。
【0011】
例示的な実装形態によれば、乾燥機14を利用して燃焼ガス12を乾燥させ、含水量を低減することができる。少なくとも1つの構成において、最終乾燥のための燃焼生成物12は、水分が0.1%未満であり得る。別の例示的な構成によれば、乾燥機は、セパレータ18から回収することができる少なくともいくらかの窒素を含む流れ24を受容するように構成することができる。例示的な構成によれば、乾燥機14は、乾燥機内で乾燥剤を再生するように構成される窒素供給口と動作可能に関連することができる。典型的には、乾燥機は、一方のチャンバーが乾燥している間、他方のチャンバーが乾燥のために再生しており、これらのサイクルを連続的に実行することができる2チャンバーサイクル装置であり得る。例示的な実装形態によれば、乾燥剤を再生するプロセスにおいて乾燥剤が消耗した後(もはや水を除去しない)に乾燥剤を乾燥させるために使用される窒素は、セパレータ18から供給することができる。乾燥すると、乾燥燃焼生成物は、セパレータ18に供給される前に、主に窒素、酸素、および二酸化炭素、ならびに約10ppm未満の水を含み得る。
【0012】
セパレータ18は、圧力スイング吸着アセンブリーの容器内に吸着剤を含む圧力スイング吸着アセンブリーであり得る。他のスイング吸着には、真空圧力スイング吸着(VPSA)アセンブリー、温度スイング吸着(TSA)アセンブリー、および/または電気スイング吸着(ESA)アセンブリー、またはそれらの任意の組合せが含まれ得る。典型的には、吸着アセンブリーは、進入流16の二酸化炭素を進入流16の窒素から分離するように協働して作用するように連結および/または構成された、成形された固相吸着剤材料を含有する1つまたは複数の容器を含む。吸着剤材料は、時間の関数としての破過応答および/または圧力の関数としての能力を示す等温(一定温度)曲線によって特徴付けることができる。これらの特徴は、プロセスステップサイクルを構成する場合に材料のワーキングキャパシティー(working capacity)を決定するために使用することができる。窒素および酸素に対してCO2に対する能力が高くおよびCO2に対する選択性が高い吸着剤材料が好ましい可能性がある。
【0013】
システムおよび/または方法は、活性炭、炭素モレキュラーシーブ、天然および合成のゼオライト(すなわち、アルカリ金属アルミノケイ酸塩)、アルミノホスファート材料、金属有機フレームワーク構造(MOF)などのナノ多孔質フレームワーク組成物、ならびに共有結合性有機フレームワーク構造(COF)および/または自己組織化配位子を有するメソ多孔質シリカのうちの1つまたは複数などの吸着剤材料を利用することができる。ナノ多孔質フレームワーク組成物は、以下の少なくとも2つのクラスの材料を含み得る:1.有機リンカーに結合した多核金属クラスターを含有する金属有機フレームワーク(MOF)、および2。有機リンカーに結合した多核非金属クラスターを含む共有結合性有機フレームワーク(COF)。多核クラスターは、構造および剛性をフレームワーク材料に付与する二次構造単位(SBU)と称され得る。ナノ多孔質フレームワーク組成物は、クラスターおよび/またはリンカーと会合した特殊な配位子でさらに官能化され得る。
【0014】
炭素質吸着剤は、入手可能であり、低コストであり、高い熱安定性を有し、水分に対する感度が低い。これらの材料は、表面積および細孔構造を改善するために強化することができ、アミン化合物の官能化、および/またはアミン化合物の含浸を含む。
【0015】
ゼオライト吸着剤は、低コストであってよく、熱安定性が高くてもよく、交換カチオンの特徴を有してもよい。これらの材料は、Al/Si組成比ならびに/またはアルカリおよびアルカリ土類カチオンとの交換を改善するために強化され得る。CO2は、ゼオライトカチオンと相互作用する高い線形四極子モーメントを有する。
【0016】
メソ多孔質シリカは、高い表面積、高い細孔容積、調整可能な細孔径、ならびに良好な熱的および機械的安定性を有し得る。これらの材料は、SBA-nおよびABSなどの新しいファミリーを提供するために強化され、アミン化合物の負荷、および/またはアミン官能化成分のより大きな細孔構造への自己組織化を含むように変更され得る。
【0017】
金属有機フレームワーク(MOF)および共有結合性有機フレームワーク(COF)は、高い表面積、制御可能な細孔構造および/または細孔表面特性を有し得る。これらの材料は、新しいタイプのMOFおよびCOFを提供し、合成および製造のコストを低減し、ならびに/または水蒸気に対する安定性を改善するように構築することができる。
【0018】
さらに、すべての材料を、アミン修飾配位子の化学的結合および/または自己組織化、ならびに合成ゼオライト中のアルミニウム対ケイ素比の制御などの特定の官能化について評価することができる。
【0019】
吸着剤材料としては、活性炭(AC)、炭素モレキュラーシーブ(CMS)、3Aゼオライト(例えば、Grace 564 3A);4Aゼオライト(例えば、Grace 514 4A);5Aゼオライト(例えば、BASF、Grace 522 5A SYLOBEAD);13Xゼオライト(例えば、Grace 544 13X、BASF 13X、Zeochem Z10-02);13X APG(例えば、UOP MOLSIV 13×APG);13×APGIII(すなわち、UOP MOLSIV APG III);およびJalon JLPM3モレキュラーシーブ;カーボンナノチューブ(CNT);グラフェン支持材(Graphene Supported Material);LiLSXゼオライト(LSXゼオライトのリチウム交換形態、すなわち、VSA-10);他のカチオン交換材料;およびナノ多孔質フレームワーク組成物材料を挙げることができる。
【0020】
さらに、これらの吸着剤材料のうちの1つまたは複数は、性能を強化することができる。強化された材料を含む特定の材料は、PSAおよびTSAアセンブリーに必要な圧力または温度を低下させ、したがって、動作するのに必要なエネルギーがより少ないシステムを提供することができる。例えば、メソ多孔質シリカは、自己組織化した官能化アミン配位子を含むように強化され得る。したがって、合成多孔質材料を、以下の変更のうちの1つまたは複数によってCO2のワーキングキャパシティーおよび選択性を強化するために改変することができる。
a.ゼオライト構造におけるSI/AL比の改変。
b.ゼオライト中の様々な金属カチオンの選択。
c.細孔およびケージ内へのアミン化合物の含浸。
d.表面形状へのアミン配位子の化学的結合。
e.細孔内でのアミン配位子の自己組織化(メソ多孔質シリカ)。
【0021】
アミン官能基44を含むことができる
図2Bに示されているケージ構造42を有する、
図2Aに示されている例示的な合成ゼオライト(すなわち、アルカリ金属アルミノケイ酸塩)40を含む例示的な吸着剤構成が提供される。配位子は、例えばメソ多孔質シリカの場合のように、吸着剤表面、細孔の縁に結合するか、またはより大きな細孔内に組織化し得る。このアミン官能基を有する配位子の例を
図2C~
図2Eに示す。例示的な細孔またはケージへの含浸化合物はポリエチレンイミン(PEI)であることが
図2Fに示されている。図示されているように、このアミン官能基は、多孔質材料の開口部内まで延在することができ、このアミン官能基は、窒素よりも優先的に、または窒素よりもむしろ二酸化炭素の捕捉または保持の選択性を高めることができる。弱い分子引力と組み合わせて周期的な吸着および脱着を利用することにより、CO2およびN2の分離を達成することができる。
【0022】
図3および
図4を参照して、ナノ多孔質フレームワーク組成物を示す。これらの組成物は、分離容器内で吸着剤として使用するための金属有機組成物および/または構造を含み得る。ナノ多孔質フレームワーク組成物60は、金属有機フレームワークまたは共有結合性有機フレームワークとして構成することができる。ナノ多孔質フレームワーク組成物は、クラスター62とリンカー64の両方を含み得る。クラスターは金属を含み得る。クラスターは、有機リンカー64によって連結した多核クラスター62を含む二次構造単位(SBU:secondary building unit)と考えることができる。SBUクラスターは、金属または非金属要素68のいずれかを含み、構造的剛性をフレームワークに与えることができる。
【0023】
示されているように、組成物60は、クラスター62とリンカー64の一方または両方に関連する配位子66を含み得る。配位子66は、少なくとも1つの-NH-(すなわち、アミン)部分70を含み得る。例えば、配位子66は、CH3NHCH2CH2NHCH3(ジメチルエチレンジアミン)であり得る。例示的な実装形態によれば、-NH-部分の非共有電子対は、ナノ多孔質フレームワーク組成物60の金属68の少なくとも1つと会合し得る。
【0024】
次に
図5を参照して、例示的なガス分離容器床のレイアウトが示されており、ここで、流れ16は、側壁32を含む容器30の下部に進入し、容器30内で、システムに進入する残りの水蒸気をすべて捕捉するように構成された活性アルミナの層を含むことができるガード床33となり得る。
【0025】
このガード床は、約8インチ(20.32cm)の深さとすることができ、約49インチ(124.46cm)の吸着剤層34に対して下にある。例示的な実装形態によれば、動作中の床の流動化の防止を容易にすることができる床支持媒体(すなわち、1?4インチ(6.35mm)のDenstoneビーズ)を含む、吸着剤層34の上の上層35を設けることができる。例示的な実装形態によれば、容器30は、適切なサイズのスクリーンセパレータを用いて、少なくとも3つの材料層、すなわち、下層33、吸着剤層34、および上層35を収容するように構成することができる。例示的な実装形態によれば、これらの層の深さの比は、下層8インチ(20.32cm)、吸着剤層49インチ(124.46cm)、および上層6.5インチ(16.51cm)からの範囲であり得る。
【0026】
少なくとも1つの特定の実装態様によれば、13×APGIII吸着剤またはJLPM3吸着剤を、
図5に示されている容器床充填材を有する多容器(すなわち、9または12個の)真空圧力スイング吸着(VPSA)システムで利用することができる。機能性材料の3つの層が示されている。したがって、各容器の下層は、混合ガス流入流中の微量水蒸気すべてを捕捉するように構成された活性アルミナを含み得る。スクリーンセパレータに続いて、第2の層は、49インチ(124.46cm)の13×APGIII(特殊な金属アルミノケイ酸ナトリウム)、またはN
2からCO
2を分離するように構成されたJLPM3吸着剤によって画定され得る。別のスクリーンセパレータに続いて、上層は、床が流動化するのを防止するために、12インチ(30.48cm)の床支持媒体(すなわち、Denstone)によって画定され得る。これらの固体材料のすべてについて、最適な形状(ビーズ、ロッド、プリルなど)および寸法を選択することができる。
【0027】
流れ16は、充填および放出用容器32と吸着剤34の両方に使用することができる。例示的な実装形態によれば、容器32および吸着剤34には燃焼流の成分が充填され得る。これらのガス状成分は、少なくともCO2およびN2を含み得るが、O2およびH2Oを含んでもよい。充填されると、材料は段階的に放出され得る、および/または放出は放出内容をモニタリングしながら分離され得る。充填された場合、組成物60はCO2を含み得る。CO2は、配位子66、金属68、クラスター62、および/またはリンカー64のうちの一方または両方と会合し得る。例示的な構成によれば、CO2は、MOFまたはCOFフレームワーク構造の多孔質開口部72内に存在し得る。例えば、CO2は吸着剤によってN2より多量に保持されるので、初期放出はCO2よりも多くのN2を含有することになる。第1のステップに関するこの初期の放出流または廃棄物流は、例えば、上述のように乾燥のために提供され得る。その後の放出は、より多量のCO2、例えば、比較的N2を含まないCO2を含有することになる。第2のステップで得られる後続の放出流または生成物流は、液化および/または貯蔵のために提供され得る。複数の容器は、連続的な生成物分離を提供するために時間関係で調整された同じステップサイクル順序を有する。
【0028】
例示的な実装形態によれば、
図1を再び参照すると、セパレータ18は、窒素を二酸化炭素から分離し、13×APG、13×APGIIIおよび/またはJLPM3などのアルミノケイ酸塩を利用する場合に、少なくとも90%から多くても98%~100%までの純度の範囲であり得る実質的に純粋な二酸化炭素の生成物流20を残すように構成され得る。少なくとも1つの例示的な実装形態によれば、13×APGIIIまたはJLPM3吸着剤はVPSAシステムに負荷され得る。この吸着剤は、業界標準の13X材料の約1.7倍の能力を発揮し得る。周期的な圧力(真空)スイング作業域は、吸着剤等温曲線の変曲に従って最適な性能のために配置することができる。
【0029】
図1のシステムによれば、CO
2流出純度は一貫して95%を超え、CO
2回収率は85%を超え得る。吸着熱は、主に流出廃棄物窒素流に伝達することができる。したがって、乾燥機床での再生は、より高温の窒素(華氏90℃より高い)スリップ流によって強化される。さらに、生成物CO
2の流出温度は、冷却および圧縮の下流の液化プロセスを補完する温度(華氏90℃未満)より低い可能性がある。
【0030】
例示的な実装形態によれば、この特定の材料を利用することにより、分流し、乾燥機14に部分的に供給することができる暖かいかまたはさらに高温の窒素廃棄物流24を生じる可能性があり、乾燥剤乾燥機床の再生を強化することができる。圧縮された窒素廃棄物ガスは、エネルギー回収のために膨張させることもできる。同様に例示的な構成によれば、この材料は、液化機22内の液相に二酸化炭素を凝縮するのに必要なエネルギーを大幅に低減する、実質的により低温またはほぼ周囲温度のCO2 20を液化機22に提供することも示されている。
【0031】
本開示のシステムおよび/または方法は、コンクリート(炭酸塩)に隔離することができ、カーボンニュートラル燃料(eFuel)、プラットフォーム化学物質の製造、排水処理、種々の他の有益な用途の支持に利用することができる貴重な製品を製造しながら、大気中への二酸化炭素排出ガスを削減することができる。
【国際調査報告】