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▶ フーフ・ヒュルスベック・ウント・フュルスト・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニー・カーゲーの特許一覧

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  • 特表-センサ装置の評価方法 図1a
  • 特表-センサ装置の評価方法 図1b
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】センサ装置の評価方法
(51)【国際特許分類】
   G01V 3/08 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
G01V3/08 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577198
(86)(22)【出願日】2022-03-11
(85)【翻訳文提出日】2023-12-13
(86)【国際出願番号】 EP2022056355
(87)【国際公開番号】W WO2022263024
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】102021115258.5
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509099073
【氏名又は名称】フーフ・ヒュルスベック・ウント・フュルスト・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニー・カーゲー
【氏名又は名称原語表記】HUF HULSBECK & FURST GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルイ フィリペ カルヴァーリョ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ウェーナー
(72)【発明者】
【氏名】ヨビシュ ヨセフ
【テーマコード(参考)】
2G105
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB04
2G105EE01
2G105HH01
2G105HH02
(57)【要約】
少なくとも1つの近接センサを有する、センサ装置の評価方法が開示される。近接センサのセンサ測定値(S1、S2)は、(ブロック10において)監視され、動作の着手が捕捉されると、(ブロック30において)タイマー(t1)がスタートする。第1のタイマーが第1の目標値(tz1)に達した場合、およびセンサ測定値(S1、S2)が、第1の基準を、第1のタイマーのスタート以来連続的に満たす場合、第1の操作信号は(ブロック30において)出力される。さらなるセンサ測定値が、操作ジェスチャの有効な実施の認識のために構成されている第2の基準を(ブロック20において)満たす場合、有効な操作は確認され、第1の操作信号がすでに出力された場合、第2の操作信号は(ブロック20において)出力される。第1の操作信号がまだ出力されていなかった場合、まず、第1の操作信号が出力され、続いて、第2の操作信号が出力される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体(6a、6b)の空間的な接近を捕捉する少なくとも1つの近接センサ(2、3)を有するセンサ装置、ならびに前記近接センサと連結されている、および信号出力部を有する少なくとも1つの制御および評価装置(4)を有する前記センサ装置の評価方法であって、
前記近接センサ(2、3)のセンサ測定値を前記制御および評価装置により繰り返し捕捉するステップと、
前記センサ測定値が、前記センサ装置の動作の着手を特徴づける場合、
- 第1のタイマーt1をスタートさせるステップと、
- 前記少なくとも1つの近接センサ(2、3)の前記センサ測定値を前記制御および評価装置により繰り返し捕捉するステップであり、
- 前記第1のタイマーが第1の目標値tz1に達した場合、および前記センサ測定値が、第1の基準を、前記第1のタイマーの前記スタート以来連続的に満たす場合、第1の操作信号は前記制御および評価装置(4)の前記信号出力部において出力されるステップと、
- 前記少なくとも1つの近接センサの前記センサ測定値を前記制御および評価装置(4)により継続的に捕捉するステップであり、
- 前記センサ測定値が、操作ジェスチャの有効な実施の認識のために構成されている第2の基準を満たす場合、前記制御および評価装置(4)によって、有効な操作は確認され、かつ
- 第1の操作信号がすでに出力された場合、第2の操作信号は前記信号出力部において出力され、
- 第1の操作信号がまだ出力されていなかった場合、まず、前記第1の操作信号は前記制御および評価装置(4)の前記信号出力部において出力され、続いて、前記第2の操作信号は前記信号出力部において出力されるステップで、
- 前記第1の操作信号および前記第2の操作信号は、特徴的に区別される、ステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の操作信号および前記第2の操作信号は、それらの信号長さの点で異なる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の基準は条件を含み、それによると、前記センサ測定値は、設定された第1の閾値を超えない請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記センサ装置は、それらのそれぞれがセンサ測定値を供給する少なくとも2つの近接センサ(2、3)を有し、前記第1のタイマーが第1の目標値に達した場合、およびすべての近接センサ(2、3)の前記センサ測定値が、それぞれに割り当てられた第1の基準を、前記第1のタイマーの前記スタート以来連続的に満たす場合、第1の操作信号は前記信号出力部において出力される請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
各近接センサにそれぞれ割り当てられた前記第1の基準は、前記それぞれの近接センサ(2、3)の前記センサ測定値が超えてはならない特定の閾値である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記センサ測定値が、前記第2の基準を満たさない場合、前記制御および評価装置によって無効な操作が確認され、かつ第1の操作信号がすでに出力された場合、誤動作信号は前記信号出力部において出力される請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の基準は条件を含み、それによると、操作ジェスチャの有効な実施は、前記タイマーt1の実行時間以内であって、かつ第2の目標値tz2の達成前に、前記タイマーt1により認識される必要のある請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記制御および評価装置は、前記信号出力部において出力される信号の出力を、必要に応じて、前記信号間でそれぞれ最短時間間隔tdが遵守されるように遅延させる請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の操作信号および/または前記誤動作信号は、処理ユニットにより受信され、光学信号装置または音響信号装置を解除するための引き金として使用される請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の操作信号は、処理ユニットにより受信され、操作者が携行するIDトランスポンダの認可要求に関するワイヤレス無線通信を解除するための引き金として使用される請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置の評価方法に関する。とりわけ本発明は、身体の空間的な接近を捕捉する少なくとも1つの近接センサを有するセンサ装置を使用する方法に関する。センサ装置は、近接センサと連結されており、かつそれ自体が信号出力部を有する制御および評価装置(Steuer - und Auswerteeinrichtung)をさらに有する。
【背景技術】
【0002】
上記の種類のセンサ装置は、操作のジェスチャ(Bedienungsgeste)を認識するために、自動車において使用される。例えば、静電容量式または光学式の近接センサを備えた、時には超音波センサまたはレーダセンサを備えることもあるそのようなセンサ装置は、車両において適用され、適用された場合、車両機能が、操作ジェスチャの実施により解除されることになる。例えばドアまたはハッチバック、とりわけテールゲートの操作を、この様式で主として非接触式に行うことができる。非接触式とは、この関連では、操作者が、ドアロックまたはドアノブのロック解除操作を行う必要がないことを意味する。
【0003】
近接センサの測定値は、近接センサから出力されるデータの時間的な信号推移が、利用者の有効な動作指令を特徴づける、設定された基準に相当するかどうかを確認するために、公知の方法において評価される。そのためには、例えば、複雑なパターン比較を実行してよいが、信号推移の単純な時間的特徴と同様に、特定の時間内の値変化を比較することも可能である。近接センサが、例えば、静電容量式センサとして車両の後部領域内に配置されている場合、操作指令を表現するためには、利用者が、脚または足の揺動運動をまず車両に向かう方向へと、次いで再び戻すように実行する必要があることが通常は想定されている。そのようなキックセンサは、近接センサが、特定の時間範囲内にまず身体の接近を捕捉した後に再び身体の遠退きを捕捉するかどうか、適切に評価を行う。他のジェスチャおよび運動も、操作に使用され得る。そのような操作パターンの基本的な認識には、多数の実装が、従来技術において公知である。同じく、近接センサならびに帰属する制御および評価装置を備えたセンサ装置に関する多数の構築が公知である。
【0004】
例えば、特許文献1は、相応するセンサ装置および帰属の評価アルゴリズムを開示する。近接センサの時間的な信号推移がパターン認識に従う代替的な一形態が、特許文献2から読み取れる。
【0005】
近接センサの信号推移が評価され、評価に従って、利用者の操作指令が本当に存在するかまたはしないかが決定されることが、公知のシステムには共通する。その上、進行中の評価と同時かまたは下位的に(nachgeordnet)、車両キーまたは操作者が携行する必要のあるその他の識別手段によるワイヤレス要求を引き起こす許可要求がさらに行われ得て、車両機能が実際に解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】西独国特許出願公開第102012100960号明細書
【特許文献2】西独国特許出願公開第102014100974号明細書
【特許文献3】西独国特許出願公開第102014106939号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そのような動作装置およびそれらの作動方法の基本的な機能は今では広く普及しており、かつ実証済みであるのに対して、利用者および操作者における支持は必ずしも満足させるものではない。操作者は頻繁に、自身が操作ジェスチャを正しく実施しているかどうか、または車両がそもそも、実施された動作ジェスチャを検出する状態にあるかどうかを疑わしく思う。操作をやりやすくするために、すでに多数の改善、例えば、操作ジェスチャを実施すべき領域の視覚標識が提案された(例えば、特許文献3を参照)。
【0008】
しかしながら、そのようなシステムは、例えば、車における許容されない光源を必要とするか、またはまた不利な周囲条件においてそれらの有用性を失うため、時には新たな問題を伴う。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の課題は、センサ装置の操作快適性を高める上に操作安全性の改善を可能にする、改善された方法を提供することである。
【0010】
この課題は、特許請求項1の特徴を有する方法によって解決される。
【0011】
本発明によると、操作イベントの認識プロセスの進行中に、複数の様々な信号が、制御および評価装置の信号出力部において出力される。この制御および評価装置は、その信号出力部を介して、通常は、車両のバスシステム、または車両のその他の中央制御ユニットと連結可能である。これは、センサ装置の制御および評価装置から受信した信号を受け取り、適宜、付加的な信号および基準を顧慮しながら、下位の実行、例えば、ドアのロック解除または車両におけるその他の調整方法などを命ずる。センサ装置の制御および評価装置からの信号の中央制御ユニットでの受信に応じて、無線通信の解除も可能である。しかしながら、下位の実行は、本発明の構成要素ではない。出力された信号に対する反応は、車両メーカが個別に選択できる。
【0012】
本発明によると、有効な操作ジェスチャの認識を本発明により合図する第2の操作信号に加えて、時間的に前置された第1の操作信号が出力される。利用者が、車両のセンサ装置およびその近接センサの検出領域内において操作ジェスチャを実行すると、近接センサのセンサ値が評価され、これらの値が、有効に実行された操作ジェスチャを表すかどうかが認識される。従来技術に記載されるように、そのためには、きわめて様々な種類のパターン認識またはその他の評価が顧慮可能である。つまり例えば、足の揺動運動または手の接近である操作ジェスチャを表すこれらの信号推移の評価は、閾値比較、ニューラルネットワークおよびその他のアルゴリズムによるパターン認識により捕捉されて評価され得る。具体的に指定される基準は、例えば静電容量式センサとして形成されていてもよい使用される近接センサの種類にも依存する(しかしながら、本方法は、基本的に他の種類の近接センサを用いても使用可能である)。実際の操作イベントのこの認識は、従来技術に属するため、本明細書ではさらには言及しない。
【0013】
しかしながら、有効な操作が実際に認識される前に、本発明により、時間的に前置されて第1の操作信号が生成され、制御および評価装置によって出力される。この第1の操作信号に関しては、有効な完全な操作イベントの評価の場合とはまったく異なる基準を顧慮してもよい。つまり、例えば、操作信号の評価においても顧慮される、基準の部分群であり得るか、または操作イベントの正しい実施において満たされる、明らかなより大まかな基準であり得て、ただし、適宜、いくつかの無効の操作イベントも含まれる。第1の操作信号を生成するためには、制御および評価装置によってセンサ装置の動作の着手が捕捉される場合に、タイマーt1がスタートする。動作の着手の認識は、とりわけ近接センサの測定値の、アイドル位置からのある程度の偏差を超える変化であり得て、つまり例えば、近接センサの測定値の長期的な平均値から設定された距離をおいて存在する閾値の超過、または移動平均からの百分率変化であり得る。測定値のそのような変化が認識された場合、第1のタイマーt1はスタートし、近接センサでの測定値の捕捉は継続される。第1のタイマーt1が第1の目標値tz1に達した場合、および測定値が、第1の基準を、タイマーのスタート以来および目標値の達成まで連続的に満たす場合、第1の操作信号は信号出力部において生成される。第1の基準は、複雑な基準であり得るが、単純な継続的な閾値比較であってもよく、それにより非操作状態での長期的平均値の範囲内へと測定値が逆戻りした場合、基準は満たされないことになる。近接センサでの測定値の継続的な単調な低下を点検することも想定でき、ただし、測定値は、前もってまたスムージングまたはフィルタリングしてもよい。その際、第1の基準は、データ量および基準の種類に関して、有効な操作の認識に顧慮される基準とは異なり得る。したがって、わずかな計算の手間のみ引き起こす第1の基準の形態においては、第1の基準の早期認識と同時に、完全に正しい操作の監視を実行することができる。第1のタイマーの実行時間t1(つまり、目標値tz1)は、本発明において、この実行時間が、通常の動作時間よりも明らかに短くなるように選択される。つまり、目標値tz1は、通常の動作の場合、動作が完全に実行される前に達成される。
【0014】
下位の中央制御装置は、第1の操作信号を後続処理し、かつ多数のプロセスの引き金として顧慮し得るが、それらのプロセスは、まだ最終的な動作は含まない。とりわけ第1の操作信号に応じて、操作者自身に情報を提供することが可能であり、それにより操作者は、操作評価が進行しており、操作者自身の進行中の動作プロセスが評価されることを知る。このようなフィードバックは、利用者にとっての操作快適性を著しく改善する。なぜなら、利用者は、操作機能の最終的な解除において初めて、車両またはセンサ装置が、そもそも実行中および捕捉中の状態に移行したかどうかを知るのではないからである。利用者へのそのような合図には、利用者にとって知覚可能な任意の信号、例えば、車両の信号装置またはその他の車両装置(例えば、内部照明)の動作が考慮の対象になる。
【0015】
第1の操作信号の生成時および生成後も、測定値の捕捉は引き続き進行する。測定値の捕捉のこの継続は、動作ジェスチャの通常の認識に顧慮される基準に従って継続される。そのような認識に関しても、通常は最長持続時間が存在し、それを過ぎると、認識は成果なしに中断される。測定値の継続的な捕捉において、操作ジェスチャの有効な実施の認識のために構成されている第2の基準が満たされ、ひいては有効な操作が、制御および評価装置(Steuer- und Auswerteeinrichtung)によって確認された場合、第2の操作信号は第1の操作信号に続いて、制御および評価装置の信号出力部において出力される。
【0016】
本発明によると、その際、まず、第1の操作信号が実際にすでに生成されたかどうかが、なおも点検される。これが、第2の操作信号が生成されるたびに、この第2の操作信号に、第1の操作信号が先行することを確保する。それにより、操作者が一貫した操作感を得ること、つまり、第1の操作信号が生成されなかったのに、操作の解除が認識されることは決してないことが保証される。上述のように、第1の操作信号を生成するための基準は、操作の成功を認識するための基準から異なり得るため、そのような点検が必要である。第1の操作信号は、早期の評価に基づいて生成されるため、早期の評価は、操作信号を生成するための第1の基準を満たさなかったのに対して、下位の(nachgeordnet)評価は、有効な操作が確かに存在したことを明らかにすることが十分に起こり得ることになる。第1の基準が、例えば、第1のタイマーの実行時間中に、測定値が、設定された閾値を持続的に上回るかまたは下回るかどうかを点検する単純な閾値比較である場合、値の単一の偏差が、その基準のバリデーションの失敗をすでにもたらし得る。例えば、信号伝達のいずれかの理由からゼロ値がもたらされる場合、第1の基準は、場合により、満たされていないと見なされるであろう。実際に正しく実行された完全な動作において第2の操作信号を生成するための、より複雑であって、適宜スムージングおよびフィルタリングを用いて処理する評価は、そのようなエラーを削除して、有効な操作が確かに存在することを確認し得るであろう。その場合、時点tz1までに第1の基準が満たされなかったにもかかわらず、後からさらに、第1の操作信号が生成されて出力され、第2の操作信号がその後に続く。その結果、第2の操作信号は、先行する第1の操作信号と共にのみ出力されることが、いつでも保証される。つまり、中央制御ユニットが、第1の操作信号に応じて、技術的反応(technische Reaktion)を解除する場合、この実行はまた実際の操作動作(Bedienbetaetigung)の前に実施されることをいつでも信頼できる。
【0017】
本発明によると、第1の操作信号および第2の操作信号が異なるため、制御および評価装置から信号を受け取る下位の中央制御装置は、操作信号間でいつでも区別できることになる。区別は、信号符号化、周波数、または信号レベル等での任意の区別であり得る。
【0018】
第1の操作信号および第2の操作信号は、それらの信号長さの点で異なる場合、それは特に好ましい。
【0019】
信号の長さ符号化は、車両の信号システム内において、例えば、バスシステムを介して、特に簡単かつ確実な伝達を可能にする。
【0020】
本発明の好ましい一形態では、第1の基準が条件を含み、それによると、測定値は、設定された第1の閾値を超えない。
【0021】
この基準により、第1のタイマーt1の実行時間内に、閾値の通過が確認され得るかどうかが点検される。この際、例えば、閾値を上回るかまたは下回る、測定値の最初の上昇または低下を、タイマーt1をスタートさせる、つまり開始する操作イベントを認識するための基準として顧慮することが可能である。その後、第1のタイマーt1の終了まで、信号が再び、初期レベルの方向に低下または上昇するかどうかが点検される。これがそうでない場合、つまり、信号が、設定された時間にわたり閾値を改めて超えない場合、第1の操作信号は、適宜、さらなる条件を満たすかの点検後に生成される。そのように単純な閾値点検の利点は、評価および計算に課されるわずかな計算上の要件にある。相応するシステムをできるだけ単純に構成するためには、計算能力に課されるわずかな要件は有利である。とりわけなぜなら、操作イベントの実際の、後の認識は、迅速な評価を行い得るためには、場合により、すべての使用可能なリソースを必要とするからである。その上、単純な閾値比較により、開始する操作イベントのまさに実質的な寄与部分を正しく認識できることが示され、ただし、その閾値は、経験的かつ車両モデルに応じて決定される。
【0022】
本発明の好ましい一発展形態では、センサ装置が、少なくとも2つの近接センサを有し、それらのそれぞれが、測定値を供給し、両方が、第1の操作信号を生成するための評価に顧慮される。つまり第1のタイマーt1が目標値に達するまで、両方ともの近接センサのセンサ値が顧慮され、それが、第1の操作信号を生成するための、より精密かつより確実な早期評価を可能にする。例えば、両方ともの測定値系列を、閾値比較することが可能であり、ただし、各近接センサには、比較のための特定の閾値が割り当てられる。例えば車両の後部領域内で使用される従来のセンサ装置では、複数の近接センサが、たいていは静電容量式近接センサの形態で、車両のシェルの様々な位置に存在する。例えば、第1の近接センサは、バンパー内に配置されている一方、第2の近接センサは、その下方でさらに車両中央方向に配置されている。この領域内において足の揺動運動を実施すると、両方ともの近接センサが、ただしそれらの位置に起因し時間シフトされて信号変化を検出する。次いで、第1の基準として、例えば両方の近接センサに関して、単純な値比較を顧慮してもよいが、例えば、両方ともの近接センサが、タイマーt1による第1の目標値の達成まで、上昇するかまたは低下する推移を示すかどうか、近接センサの測定値の時間的推移を点検することも可能である。
【0023】
本発明の好ましい一発展形態では、タイマーt1が、第1の操作信号を生成するための評価に顧慮されるのみならず、その後、連続的に監視されることが想定されている。その場合、タイマーt1による第2の目標値TZ2の達成が、有効な操作イベントを認識するための時間制限に利用されることを想定していてもよい。つまり、第2の目標値TZ2までに、制御および評価装置によって、正しい操作ジェスチャの完全な実施による有効な操作イベントの存在が認識されない場合、操作イベントが破棄される。この様式で、あり得る操作に関して、利用者にとって明白かつ理解できる一貫した最長持続時間が設定されている。
【0024】
信号出力部で出力される信号が、最短時間間隔TDで送信されるように、制御および評価装置を作動させる場合、それは有利である。その場合、制御および評価装置は、複数の信号が同時または相次いで出力されることになる場合も、最小遅延が遵守されることを配慮し、車両システム内における正確な信号伝達をいつでも保証する。これはとりわけ、第1の操作信号および第2の操作信号または誤動作信号が、ほとんど同時に生成される場合に重要である。いずれにせよ、制御および評価装置の作動における遅延が、第1の操作信号と第2の操作信号または誤動作信号との間で最短時間間隔が遵守されることを配慮する。これはとりわけ、第1の操作信号および第2の操作信号が、ほとんど同時に生成される場合に重要である。上に記載したように、操作が認識され、その前に第1の操作信号がまだ出力されていなかった場合、第1の操作信号は常に埋め合わされる。この場合にも、制御および評価装置の作動における遅延は、第1の操作信号と第2の操作信号との間で最短時間間隔が遵守されることを配慮する。
【0025】
第1の操作信号が出力されたが、その後に完全に効果的な動作が認識されず、それに応じて、測定値が第2の基準を満たさないことから、第2の操作信号が生成されなかった場合、第1の操作信号および第2の操作信号とは異なる誤動作信号(Fehlbetaetigungssignal)が出力されることが特に好ましい。
【0026】
つまり、誤動作信号は、第1の操作信号が送信されたものの、続いて効果的な操作が確認されなかった場合に毎回出力される。これは、第1の操作信号によって車両においてまたはまた下位的に操作者のもとで生成された作用が破棄されるよう配慮するため、利用者にとって一貫した操作シーケンスおよび印象がいつでも生じることになる。例えば、進行中の操作認識を操作者に合図するために、第1の操作信号が利用される場合、相応する、検出の不成功を操作者に知らせるためには、誤動作信号が使用され得る。これにより、操作者の支持が高まる。なぜなら、操作者は、操作がその捕捉に関して進行しているかどうか、この操作が効果的であったかどうか、またはこの操作の認識が不成功であったかどうかをいつでも理解できるからである。
【0027】
評価方法の進行を、音響信号または光学信号によって操作者に知らせるために、第1の操作信号が使用される場合、それは特に好ましい。このプロセスの目的は、理解可能な操作者ガイドにあり、なぜなら、そのような光学フィードバックまたは音響フィードバックにより、利用者は、本方法の現在の経過についていつでも情報を与えられているからである。
【0028】
本方法の変更された一形態では、第1の操作信号に応じた光学合図または音響合図に付加的または代替的に、この第1の操作信号が、操作者が携行するIDトランスポンダの認可要求に関するワイヤレス無線通信を解除するための引き金として使用され得る。
【0029】
第1の操作信号は、開放の成功を合図するための第2の操作信号に時間的に先行することから、この時間節約を利用して、車両機能、とりわけ開扉の、後の解除にいずれにせよ先行する必要のある、IDトランスポンダのワイヤレス要求をスタートさせることができる。第1の操作信号が、この目的のために使用されると、快適な使用感および支持の改善
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明を、添付の図面を手がかりに、以下でより詳細に説明する。
【0031】
図1a】本発明による方法の実施に関する車両の後部図を示す図である。
図1b図1aからの車両を概略的に示す側面図である。
図2】本発明による方法の一実施形態のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1aおよび図1bには、後部領域内に近接センサ電極2、3が配置されている車両1を示す。これらの近接センサ電極は、容量性電極(kapazitive Elektrode)である近接センサ電極を制御してそれぞれの容量を算出する制御および評価装置4と結合している。この制御機器4はまた、車両の中央制御機器5と連結している。制御および評価装置4が、電極2、3の制御、および信号評価、つまり、信号応答の算出、および操作信号への割当てを担う。場合によって生成された操作信号は、制御および評価装置4から、テールゲートの閉鎖機能、および電気的開放を実施し得る中央制御装置5へと伝達される。
【0033】
電極2は、下方の後部領域内に配置されており、その捕捉領域2aは、図1bに示すように、下向きである。電極3は、その捕捉領域3aが、後方向きであるように配置されている。
【0034】
図1bには、利用者の脚6a、6bが、2つの異なる位置で示されている。位置6aでは、利用者が、車両の後部の後方に立っており、利用者の脚は、適宜センサ構成3によって、捕捉領域3aで捕捉されるが、センサ構成2によっては、その捕捉領域2aにより捕捉されない。しかしながら、利用者が、テールゲートのすぐそばに近寄り、その足を、位置6bに示すように、捕捉領域2a内へと運ぶと、領域3a内での捕捉もつまり領域2a内での捕捉も可能である。効果的な操作認識には、センサ2と同様にセンサ3も、制御および評価装置4内に保存された基準と一致する時間的信号シーケンスを供給することが必要になる。その際、例えば、動作の成功を認識するためには、利用者の脚がどのくらいの時間、位置6bに留まる必要があるか、およびセンサ2およびセンサ3の測定値がそれぞれ経時的にどのように変化するかが考慮され得る。そのような認識がどのように進行し、適切な第2の操作信号がどのように生成されるかは、従来技術で詳細に記載されている。制御および評価装置は、実際の操作を、他の物体または周囲条件に起因する妨害信号と区別するために、とりわけパターン比較または閾値比較を実行してもよいか、またはまたニューラルネットワークを含んでもよい。
【0035】
ただし、本発明によると、動作の成功を中央制御機器5に合図する第2の操作信号に第1の操作信号が先行する。第1の操作信号を生成するためには、開始する操作が認識されると、まずタイマーt1がスタートする。このタイマーは、本例では、近接センサ電極3および近接センサ電極2が、それぞれに割り当てられた閾値を上回る、測定値の上昇によって示される物体の接近を捕捉するとすぐにスタートし得る。
【0036】
図1aおよび図1bは、本発明による方法を実行するため使用され得るシステムの明瞭化に役立つのに対して、図2は、第1の実施形態による本発明による方法のフローチャートを示す。
【0037】
図2のブロック10中に図示される、本発明による方法の第1の部分では、制御および評価装置4が、それぞれ近接センサ電極2または3のうちの1つに割り当てられる信号S1およびS2を監視する。この捕捉は、両方の近接センサ2、3において、測定値が、それぞれに割り当てられた閾値THR1またはTHR2を超えることが確認されるまでループで行われる。上記の閾値のそのような超過は、操作イベントの開始または着手(Beginnen)が存在し得ることを示す。その際、近接センサ電極2、3によって捕捉される容量は、その前の状態(アイドル状態または移動平均)に比べて著しく変化するため、利用者の近距離を前提できることになる。この条件が満たされている場合、つまり両方ともの近接センサ電極2、3において割り当てられた閾値THR1またはTHR2を超えた場合、プロセスブロック(Verfahrensblock)30が実施される。
【0038】
プロセスブロック(Verfahrensblock)30では、第1の操作信号がどのように生成され、どの帰属する基準が、本発明のこの例示的実施形態において存在するかが、図示されている。まず、タイマーt1が、ゼロに設定される。続いて、タイマーt1の実行時間にわたり、すなわちこれが目標値tz1よりも短い間、信号S1およびS2、つまり近接センサ電極2、3の測定値が、引き続き、割り当てられた閾値を再び超えてその初期レベルの方向へと上昇または低下しなかったかどうかが点検される。本明細書において、低下するおよび上昇するセンサ測定値に言及する限り、これは、具体的な例示的実施形態に関してのみ重要である。すなわち接近が、低下する測定値または上昇する測定値によって表されるかどうかは、近接センサ電極の信号表示および回路の種類による。プロセスブロック30では、信号データS1およびS2が、タイマーt1の実行時間にわたり、割り当てられた閾値の同じ側にとどまり、これらの閾値を改めて超えないかどうかが点検される。これが当てはまる場合、第1の操作信号は制御および評価装置の信号出力部において生成される。これがそうでない場合、第1の操作信号は生成されない。いずれにせよ、タイマーt1の実行時間の終了後、プロセスのブロック20へと戻る。そこでは、その前かまたは並行して行われたブロック30の点検とは関係なく、近接センサの測定値S1およびS2を手がかりに、有効な操作イベントが存在するかどうかが点検される。そのために必要な時間は、時間tz1よりも明らかに長くあり得て、相応に、ブロック30からのプロセスと比べてさらなる測定値も考慮され得る。そのような有効な操作イベントの評価は、複雑な基準を手がかりに、かつ明らかにより大きな計算の手間をかけて実行してもよく、ただし、例えば、特定の時間範囲に対して保存された測定値を、パターン比較するかまたはニューラルネットワーク内に供給する。また多数の閾値比較基準を使用して、有効な操作イベントを認識してもよい。ブロック20において、有効な操作イベントが認識された場合、第1の操作信号が送信されたかどうかが点検される。その前かまたは並行して実施されたブロック30において、有効な操作信号が出力されなかった場合、まず第1の操作信号が出力される。続いて、有効な操作イベントの認識を特徴づける第2の操作信号が出力される。その際、制御および評価装置が、第1の操作信号と第2の操作信号との間に、設定された最短時間間隔を挿入する。
【0039】
つまりこの経過では、ブロック30での認識において第1の操作信号が送信されなかった場合でも、第1の操作信号が第2の操作信号に常に先行することがいつでも保証されている。
【0040】
ただし、ブロック20において、有効な操作信号が認識されなかったと決定される場合も同じく、まず、ブロック30において第1の操作信号が生成されたかどうかが点検される。これがそうでない場合プロセスは終了し、測定値S1およびS2は改めて監視される。ただし、ブロック30において第1の操作信号が送信された場合、今度は誤動作信号は、制御および評価装置から出力される。続いて、センサの監視へと戻る。
【0041】
一方では第1の操作信号に対して、および他方では第2の操作信号に対して、中央制御装置5の側からどの反応が起こるかは、使用目的、および相応するシステムを組み込むそれぞれの車両メーカ次第である。上にすでに記載したように、第1の操作信号は、とりわけ利用者に自身の動作の進行中の点検を合図するために使用され得る。代替的に、第1の操作信号は、利用者が携行する識別手段、例えばリモートキーを、無線通信に含めるために使用してもよい。そのような無線通信では、例えば、正当な車両キーへの距離が、車両によって点検され得る一方、他方では実際の操作認識がまだ進行している。同様に、誤動作信号は、適切な報告を、利用者または携行される識別手段に送信するため、および適宜、無線ダイアログ(Funkdialog)を再び中断するために使用され得る。
図1a
図1b
図2
【国際調査報告】