(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】塗料を調製するためのインラインプロセス
(51)【国際特許分類】
C09D 201/00 20060101AFI20240711BHJP
C09D 7/80 20180101ALI20240711BHJP
C09D 7/62 20180101ALI20240711BHJP
C09D 7/40 20180101ALI20240711BHJP
C09D 7/42 20180101ALI20240711BHJP
C09D 7/43 20180101ALI20240711BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D7/80
C09D7/62
C09D7/40
C09D7/42
C09D7/43
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577255
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(85)【翻訳文提出日】2023-12-13
(86)【国際出願番号】 US2022033508
(87)【国際公開番号】W WO2023287539
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ナンジェッセ、エドウィン エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ハーシュ、フィリップ アール.
(72)【発明者】
【氏名】ボーリング、ジェームズ シー.
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038BA022
4J038CG001
4J038CG142
4J038CG172
4J038CJ031
4J038EA011
4J038GA13
4J038HA216
4J038HA526
4J038HA536
4J038HA546
4J038KA06
4J038KA07
4J038KA08
4J038KA09
4J038KA15
4J038LA06
4J038MA03
4J038MA09
4J038MA10
(57)【要約】
本発明は、プレペイントを-プレペイント貯蔵タンクから混合チャンバに流し、更に塗料容器に流して合流させることによって、1つ以上の塗料を調製するための方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料の容器を調製するための方法であって、
a)混合チャンバに、
第1のプレペイント貯蔵槽からのポリマーカプセル化TiO
2粒子の水性分散液及びレオロジー調整剤、並びに第2のプレペイント貯蔵槽からの不透明化顔料-バインダーハイブリッド粒子の水性分散液及びレオロジー調整剤、又は
前記第1のプレペイント貯蔵槽からのポリマーカプセル化TiO
2粒子の水性分散液及びレオロジー調整剤、並びに前記第2のプレペイント貯蔵槽からの不透明化顔料-バインダーハイブリッド粒子の水性分散液及びレオロジーのいずれか又は両方と、以下のプレペイント:
第3のプレペイント貯蔵槽からのマット剤の水性分散液及びレオロジー調整剤、
第4のプレペイント貯蔵槽からの不透明化顔料粒子の水性分散液及びレオロジー調整剤、
第5のプレペイント貯蔵槽からのポリマー粒子の水性分散液及びレオロジー調整剤、のうちの少なくとも1つと、を供給する工程と、
b)前記混合チャンバ内で前記水性分散液を混合して、完全にブレンドされた塗料を形成する工程と、
c)前記完全にブレンドされた塗料を塗料容器に分配する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
工程(a)において、前記第1のプレペイント貯蔵槽からのポリマーカプセル化TiO
2粒子の水性分散液及びレオロジー調整剤、並びに前記第3のプレペイント貯蔵槽からのマット剤の水性分散液及びレオロジー調整剤が、前記混合チャンバに供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(a)において、前記第2のプレペイント貯蔵槽からの不透明化顔料-バインダーハイブリッド粒子の水性分散液及びレオロジー調整剤、並びに前記第3のプレペイント貯蔵槽からのマット剤の水性分散液及びレオロジー調整剤が、前記混合チャンバに供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程(a)において、前記第1のプレペイント貯蔵槽からのポリマーカプセル化TiO
2粒子の水性分散液及びレオロジー調整剤、並びに前記第2のプレペイント貯蔵槽からの不透明化顔料-バインダーハイブリッド粒子の水性分散液及びレオロジー調整剤が、前記混合チャンバに供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程(a)において、前記第3のプレペイント貯蔵槽からのマット剤の水性分散液及びレオロジー調整剤が、前記混合チャンバに供給される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
工程(a)において、前記第1のプレペイント貯蔵槽からのポリマーカプセル化TiO
2粒子の水性分散液及びレオロジー調整剤、又は前記第2のプレペイント貯蔵槽からの不透明化顔料-バインダーハイブリッド粒子の水性分散液及びレオロジー調整剤、並びに第5のプレペイント貯蔵タンクからのポリマー粒子の水性分散液及びレオロジー調整剤が、前記混合チャンバに供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程(a)において、界面活性剤、分散剤、消泡剤、造膜助剤、追加の増粘剤、有機不透明化顔料、ブロック添加剤、光開始剤、及び溶媒からなる群から選択される1つ以上の材料が、1つ以上の貯蔵タンクから前記混合チャンバに供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程(a)において、着色剤添加システムからの着色剤が、前記混合チャンバに供給される、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料を製造するためのインラインプロセスに関し、より詳細には、種々の塗料を連続的又は半連続的に製造するように適合されたインライン混合プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
小売店で販売される塗料は、典型的には、顔料及び増量剤粒子を粉砕して固体分散体を形成し、次いで、いわゆるレットダウン段階においてこの分散体をバインダー、増粘剤、及び他の添加剤と組み合わせることを含むバッチプロセスによってバルクで製造される。バッチプロセスは、消費者の要求を満たすために着色剤を塗料に添加する小売店へと輸送される、様々な濃度の顔料及び増量剤の塗料ベースを製造する。塗料製造のこのベースシステムモデルは、かなりの在庫を必要とし、TiO2レベルを調整する柔軟性が望ましい場合に、一定量のTiO2を使用することによって更に不利になる。例えば、着色剤が、所望の色合いを達成するために、着色されていない塗料中に存在するよりも少ない量のTiO2を必要とする場合、過剰なTiO2のバランスを取るために過剰な着色剤を添加する必要がある。過剰なTiO2及び着色剤の使用に関連する不必要なコスト、並びに最終塗料を調製するために必要とされる追加の時間は、対処する必要があるベースシステムモデルにおける非効率性の例である。
【0003】
このベースシステムモデルの代替は、ポイントオブセールモデルであり、このモデルでは、塗料の缶は、バインダー、顔料、及び増量剤成分を別々の保持タンクから塗料容器に同時に分配し、次いで容器の内容物を混合することによって作製される。(米国特許出願公開第2003/0110101号、段落[0027]及び[0028]を参照のこと。)このポイントオブセールモデルは、ベースシステムモデルの改良であるが、依然として、材料を容器に分配する速度と、容器内で材料を混合し、最終塗料の粘度を安定化させるのにかかる時間との両方に依存する、労働及びコスト集約的なバッチプロセスである。
【0004】
したがって、より効率的で用途の広いプロセスによって塗料の缶を製造することが有利である。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、塗料の容器を調製するための方法を提供することによって、当該技術分野における需要に対処し、方法は、
a)混合チャンバに、
第1のプレペイント貯蔵槽からのポリマーカプセル化TiO2粒子の水性分散液及びレオロジー調整剤、並びに第2のプレペイント貯蔵槽からの不透明化顔料-バインダーハイブリッド粒子の水性分散液及びレオロジー調整剤、又は
第1のプレペイント貯蔵槽からのポリマーカプセル化TiO2粒子の水性分散液及びレオロジー調整剤、並びに第2のプレペイント貯蔵槽からの不透明化顔料-バインダーハイブリッド粒子の水性分散液及びレオロジーのいずれか又は両方と、以下のプレペイント:
第3のプレペイント貯蔵槽からのマット剤の水性分散液及びレオロジー調整剤、
第4のプレペイント貯蔵槽からの不透明化顔料粒子の水性分散液及びレオロジー調整剤、
第5のプレペイント貯蔵槽からのポリマー粒子の水性分散液及びレオロジー調整剤、のうちの少なくとも1つと、を供給する工程と、
b)混合チャンバ内で水性分散液を混合して、完全にブレンドされた塗料を形成する工程と、
c)完全にブレンドされた塗料を塗料容器に分配する工程と、を含む。
【0006】
本発明の方法は、多種多様な塗料を製造する効率的かつ迅速な方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の方法によって塗料を製造するために使用される装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、塗料の容器を調製するための方法であり、方法は、
a)混合チャンバに、
第1のプレペイント貯蔵槽からのポリマーカプセル化TiO2粒子の水性分散液及びレオロジー調整剤、並びに第2のプレペイント貯蔵槽からの不透明化顔料-バインダーハイブリッド粒子の水性分散液及びレオロジー調整剤、又は
第1のプレペイント貯蔵槽からのポリマーカプセル化TiO2粒子の水性分散液及びレオロジー調整剤、並びに第2のプレペイント貯蔵槽からの不透明化顔料-バインダーハイブリッド粒子の水性分散液及びレオロジーのいずれか又は両方と、以下のプレペイント:
第3のプレペイント貯蔵槽からのマット剤の水性分散液及びレオロジー調整剤、
第4のプレ-ペイント貯蔵槽からの不透明化顔料粒子の水性分散液及びレオロジー調整剤、
第5のプレペイント貯蔵槽からのポリマー粒子の水性分散液及びレオロジー調整剤、のうちの少なくとも1つを供給する工程と、
b)混合チャンバ内で水性分散液を混合して、完全にブレンドされた塗料を形成する工程と、
c)完全にブレンドされた塗料を塗料容器に分配する工程と、を含む。
【0009】
図1は、本発明の方法を実施するための好ましい装置の例を示す。本発明の方法の第1の例では、プレペイント貯蔵タンク(1)に貯蔵されたポリマーカプセル化TiO
2粒子の水性分散液及びレオロジー調整剤、並びにプレペイント貯蔵タンク(2)に貯蔵されたマット剤の水性分散液及びレオロジー調整剤を、それぞれバルブ(13)及び(12)を通して、混合バッフル(7)を備えた混合チャンバ(6)に供給し、混合して、ポリマーカプセル化TiO
2粒子及びマット剤の水性分散液を形成する。混合チャンバ(6)は、好ましくはインライン連続フローミキサー、より好ましくはインラインスタティックミキサーである。貯蔵タンク(1)及び(2)中のプレペイントは、それぞれ適切なレオロジー調整剤とブレンドされる。例えば、プレペイント貯蔵タンク(1)は、有利には、ICIビルダー又はアルカリ膨潤性エマルジョン(alkali swellable emulsion、ASE)を含み、プレペイント貯蔵タンク(2)は、有利には、ASE)を含み、その例としては、ポリアクリル酸、又は疎水変性アルカリ膨潤性エマルジョン(hydrophobically modified alkali swellable emulsion、HASE)又はヒドロキシエチルセルロース(hydroxyethyl cellulose、HEC)が挙げられる。ICIビルダーの市販例は、ACRYSOL(商標)RM-2020 NPR HEURレオロジー調整剤(The Dow Chemical Company又はその関連会社の商標)である。
【0010】
本発明の方法の第2の例では、プレペイント貯蔵タンク(3)に貯蔵された不透明化顔料-バインダーハイブリッド粒子の水性分散液及びレオロジー調整剤、並びにプレペイント貯蔵タンク(2)に貯蔵されたマット剤の水性分散液及びレオロジー調整剤を、それぞれバルブ(12)及び(11)を通して、混合チャンバ(6)に供給し、混合して、不透明化顔料-バインダーハイブリッド粒子及びマット剤の水性分散液を形成する。この第2の態様では、プレペイント貯蔵タンク(4)に貯蔵された不透明化顔料粒子の水性スラリーを混合チャンバ(6)に同時に供給することが望ましい場合がある。好ましくは、不透明化顔料粒子はTiO2粒子である。プレペイント貯蔵タンク(3)はまた、レオロジー調整剤と、任意で、スルホン酸モノマー又はその塩の構造単位、及び分散剤の重量に基づいて30重量パーセント未満のアクリル酸又はメタクリル酸の構造単位を含むポリマーなどの水溶性分散剤とを含む。より詳細には、水溶性分散剤は、50重量%~80重量%のスルホン酸モノマー又はその塩の構造単位を含み、スルホン酸モノマーは、2--アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸若しくはその塩、ビニルスルホン酸若しくはその塩、2-スルホエチルアクリレート、2-スルホエチルメタクリレート、3--スルホプロピルアクリレート、3--スルホプロピルメタクリレート、スチレンスルホン酸ナトリウム、又は2-プロペン-1-スルホン酸若しくはその塩である。
【0011】
本発明の方法の第3の例では、プレペイント貯蔵タンク(1)に貯蔵されたポリマーカプセル化TiO2粒子の水性分散液及びレオロジー調整剤、並びにプレペイント貯蔵タンク(3)に貯蔵された不透明化顔料-バインダーハイブリッド粒子の水性分散液及びレオロジー調整剤を、混合チャンバ(6)に供給し、混合して、ポリマーカプセル化TiO2粒子及び不透明化顔料-バインダーハイブリッド粒子の水性分散液を形成する。この態様では、プレペイント貯蔵タンク(2)に貯蔵されたマット剤の水性分散液及びレオロジー調整剤を混合チャンバ(6)に同時に供給することが望ましい場合がある。
【0012】
本発明の方法の第4の例では、プレペイント貯蔵タンク(1)に貯蔵されたポリマーカプセル化TiO2粒子の水性分散液及びレオロジー調整剤、又はプレペイント貯蔵タンク(3)に貯蔵された不透明化顔料-バインダーハイブリッド粒子の水性分散液及びレオロジー調整剤、並びにラテックスプレペイント貯蔵タンク(5)に貯蔵されたポリマー粒子(すなわち、ラテックス)の水性分散液及びレオロジー調整剤を、混合チャンバ(6)に供給し、混合して、ポリマーカプセル化TiO2粒子又は不透明化顔料-バインダーハイブリッド粒子及びラテックスの水性分散液を形成する。
【0013】
界面活性剤、分散剤、消泡剤、造膜助剤(coalescents)、追加の増粘剤、有機不透明化顔料、ブロック添加剤、光開始剤、及び溶媒などの追加の材料を、プレペイント貯蔵タンク(5)のうちのいずれか又はすべてから、バルブ(14)、(16)、及び(17)のうちのいずれか又はすべてを通して、混合チャンバ(6)に供給することができる。あるいは、プレペイントのいずれかに、消泡剤、界面活性剤、及び造膜助剤のうちの1つ以上を含むことが望ましい場合がある。
【0014】
着色剤は、特別な注意を必要とする特別な種類の添加剤である。着色塗料の場合、着色剤添加システム(8)からの着色剤の1つ以上の水溶液又は分散液が、バルブ(19)を通して混合チャンバ(6)に供給され、最終塗料が形成され、次いで塗料容器(9)に送られる。
【0015】
ポリマーカプセル化TiO2粒子の水性分散液は、当技術分野で既知の方法、例えば、米国特許第8,283,404号、米国特許第9,234,084号、及び米国特許第9,371,466号によって調製することができる。動的光散乱法によって測定されるポリマーカプセル化TiO2粒子のz平均粒径は、典型的には、200nm~500nmの範囲である。
【0016】
本明細書で使用するとき、「不透明化顔料-バインダーハイブリッド粒子の水性分散液」という用語は、1)20~60重量パーセントのカルボン酸モノマーの塩の構造単位及び40~80重量パーセントの非イオン性モノエチレン性不飽和モノマーの構造単位を含む水吸蔵コアと、2)60℃~120℃の範囲のTgを有するポリマーシェルと、3)シェルに重ねられたポリマーバインダー層であって、35℃以下のTgを有し、少なくとも1種のモノエチレン性不飽和モノマーの構造単位を含むポリマーバインダー層とを含むa)多段ポリマー粒子の水性分散液を指す。好適なポリマーバインダー材料の例としては、アクリル、スチレン-アクリル、例えば酢酸ビニル及びビニルベルサテート(vinyl versatates)などのビニルエステル、並びにビニルエステル-エチレンポリマーバインダーが挙げられる。メチルメタクリレートの構造単位と、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、又は2-エチルヘキシルアクリレートなどの1つ以上のアクリレートの構造単位とを含むアクリルバインダーは、スチレン-アクリルバインダーと同様に、特に好ましい。
【0017】
動的光散乱法によって測定される不透明化顔料-バインダーハイブリッド粒子のz平均粒径は、典型的には、300nmから、又は400nmから、又は450nmから、750nmまで、又は700nmまで、又は600nmまで、又は550nmまでの範囲である。不透明化顔料-バインダーハイブリッド粒子の水性分散液は、米国特許第7,691,942(B2)号に記載されているように調製することができる。
【0018】
好適な不透明化顔料は、1.90を超える屈折率を有する無機不透明化顔料を含む。TiO2及びZnOは無機不透明化顔料の例であり、TiO2が好ましい。他の不透明化顔料は、不透明ポリマー(不透明化顔料-バインダーハイブリッド粒子以外)などの有機不透明化顔料を含み、これらは、プレペイントからミキサーに供給して、特にポリマーカプセル化TiO2粒子と混合することができる。有機不透明化顔料を無機不透明化顔料の代替物として使用してもよいが、無機不透明化顔料の効率を増大させるための補助物として有機不透明化顔料を使用することがより望ましい。有機不透明化顔料は、別個の添加剤タンクから混合チャンバに添加することができる。ROPAQUE(商標)ULTRA不透明ポリマー及びAQACell HIDE 6299不透明ポリマーは、不透明ポリマーの市販例である。
【0019】
マット剤プレペイント貯蔵タンク(2)から供給されるマット剤は、有機マット剤であっても無機マット剤であってもよい。有機マット剤の例は、ディスク遠心式光沈降計(Disc Centrifuge Photosedimentometer、DCP)を使用して測定して、0.7μmから、又は1μmから、又は2μmから、そして又は4μmから、30μmまで、又は20μmまで、又は13μmまでの範囲のメジアン重量平均粒径(D50)を有するポリマーミクロスフェアの水性分散液である。これらの有機ポリマーミクロスフェアは、非フィルム形成性であり、好ましくは架橋された低Tgコア、すなわち、Fox式によって計算される25℃以下、又は15℃以下、又は10℃以下のTgを有する架橋コアを有することを特徴とする。
【0020】
有機ポリマーミクロスフェアの架橋コアは、好ましくは、1つ以上のモノエチレン性不飽和モノマーの構造単位を含み、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、及び2-エチルヘキシルアクリレートなどのそのホモポリマーは、20℃以下のTg(低Tgモノマー)を有する。好ましくは、架橋された低Tgコアは、コアの重量に基づいて、50から、又は70から、又は80から、又は90重量パーセントから、99まで、又は97.5重量パーセントまでの低Tgモノエチレン性不飽和モノマーの構造単位を含む。n-ブチルアクリレート及び2-エチルヘキシルアクリレートは、低Tgコアを調製するために使用される好ましい低Tgモノエチレン性不飽和モノマーである。
【0021】
架橋コアは、多エチレン性不飽和モノマーの構造単位を更に含み、その例としては、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコール(1,3)ジメタクリレート、ブチレングリコール(1,3)ジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、及びエチレングリコールジアクリレートが挙げられる。架橋ミクロスフェア中の多エチレン性不飽和モノマーの構造単位の濃度は、典型的には、コアの重量に基づいて、1から、又は2重量パーセントから、9まで、又は8まで、又は6重量パーセントまでの範囲である。
【0022】
架橋ポリマーコアは、好ましくは、高いTgシェル、すなわち、少なくとも50℃、又は少なくとも70℃、又は少なくとも90℃のTgを有するシェルで被覆されている。シェルは、好ましくは、そのホモポリマーが70℃を超えるTgを有するモノマー(高Tgモノマー)、例えばメチルメタクリレート、スチレン、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、及びt-ブチルメタクリレートなど、の構造単位を含む。高Tgシェルは、好ましくは、少なくとも90重量パーセントのメチルメタクリレートの構造単位を含む。
【0023】
無機マット剤の例としては、タルク、クレー、マイカ、及びセリサイト;CaCO3;霞石閃長岩;長石;珪灰石;カオリナイト;リン酸二カルシウム;並びに珪藻土が挙げられる。種々のマット剤のブレンドを単一の貯蔵タンクからミキサーに供給することは可能であるが、異なるマット剤を別々のタンクから供給することが望ましい。
【0024】
ラテックスプレペイント貯蔵タンクからのポリマー粒子は、好ましくは、50nm~600nmの範囲の動的光散乱法によるz平均粒径を有する。好適なポリマー分散液の例としては、アクリル、スチレン-アクリル、ウレタン、アルキド、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル及びビニルベルサテート)、及び酢酸ビニル-エチレン(vinyl acetate-ethylene、VAE)ポリマー分散液、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。アクリル及びスチレン-アクリルポリマー分散液は、典型的には、70nm~300nmの範囲のz--平均粒径を有するが、一方で、ビニルエステルラテックスは、一般に、動的光散乱法を使用して測定して、200nm~550nmの範囲のz平均粒径を有する。2種類以上のラテックスを混合チャンバに供給することが望ましい場合、ラテックスは、別々のラテックスプレペイント貯蔵タンクから添加されることが好ましい。
【0025】
各プレペイント貯蔵タンクに含まれるレオロジー調整剤の濃度及び種類は、最終塗料の所望のブルックフィールド、KU、及びICI粘度を達成するように容易に予め決定される。好適なレオロジー調整剤の例としては、疎水変性エチレンオキシドウレタンポリマー(hydrophobically modified ethylene oxide urethane polymer、HEUR)、疎水変性アルカリ膨潤性エマルジョン(HASE)、アルカリ膨潤性エマルジョン(ASE)、及びヒドロキシエチルセルロース(HEC)、及び疎水変性ヒドロキシエチルセルロース(hydrophobically modified hydroxyethyl cellulosic、HMHEC)、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0026】
本発明の方法は、運転間の洗浄を最小限にして、多種多様な塗料を迅速に製造する方法を提供する。重要なことは、インライン混合されたプレペイントが塗料容器に分配された後に、更なる混合を必要としないことである。
【国際調査報告】