(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】自動運転操作で車両を運転する方法
(51)【国際特許分類】
B60W 30/12 20200101AFI20240711BHJP
B60W 50/023 20120101ALI20240711BHJP
B60W 50/029 20120101ALI20240711BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
B60W30/12
B60W50/023
B60W50/029
G08G1/16 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577522
(86)(22)【出願日】2022-04-27
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2022061194
(87)【国際公開番号】W WO2022263044
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】102021003069.9
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100176946
【氏名又は名称】加藤 智恵
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オルトマン フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】トッフターマン ニコライ
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA12
3D241BA64
3D241BC01
3D241BC02
3D241CD23
3D241CE06
3D241DC35Z
3D241DC37Z
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC14
5H181LL09
(57)【要約】
本発明は、自動運転操作で車両(1)を運転する方法に関し、車両は、自動運転操作の通常運転モードにおいて主制御装置(2)によって自動で目的位置に誘導され、自動運転操作の非常運転モードにおいて副制御装置(5)によって自動で非常運転目標軌道に沿って安全な停止位置に誘導される。非常運転目標軌道は、通常運転モードにおいて主制御装置(2)によって連続的に決定され、車線標示(S)をもとにして連続的に検出される車両(1)の車線(F1)の前方の車線コースとともに副制御装置(5)に記憶される。非常運転モードにおいて、記憶された車線コースと、非常運転モードにおいて連続的に決定される車両(1)の車線(F1)の車線コースとに基づいて、記憶された非常運転目標軌道を追加で修正する。修正は、連続的に決定される車線コースが事前に妥当であると評価された場合にのみ行われ、妥当性は、記憶された車線コースと連続的に決定される車線コースとの間の決定された偏差に基づいて検査される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転操作で車両(1)を運転する方法であって、前記車両は、前記自動運転操作の通常運転モードにおいて主制御装置(2)によって自動で目的位置に誘導され、前記自動運転操作の非常運転モードにおいて副制御装置(5)によって自動で非常運転目標軌道に沿って安全な停止位置に誘導され、前記非常運転目標軌道は、前記通常運転モードにおいて前記主制御装置(2)によって連続的に決定され、車線標示(S)をもとにして連続的に検出される前記車両(1)の車線(F1)の前方の車線コースとともに前記副制御装置(4)に記憶され、前記非常運転モードにおいて、前記記憶された車線コースと、前記非常運転モードにおいて連続的に決定される前記車両(1)の前記車線(F1)の車線コースとに基づいて前記記憶された非常運転目標軌道が修正される前記方法において、
前記非常運転モードにおいて、
-前記記憶された車線コースと前記連続的に決定される車線コースとの間の偏差が決定され、
-前記決定された偏差に応じて、前記連続的に決定される車線コースが妥当であるかどうかが評価され、
-前記連続的に決定される車線コースが妥当であると評価された場合にのみ、前記記憶された車線コースと前記連続的に決定される車線コースとに基づいて前記記憶された非常運転目標軌道が修正される
ことを特徴とする、自動運転操作で車両(1)を運転する方法。
【請求項2】
前記決定された偏差が所定の値を下回る場合、前記非常運転モードにおいて、前記連続的に決定される車線コースが妥当であると評価される
ことを特徴とする、請求項1に記載の自動運転操作で車両(1)を運転する方法。
【請求項3】
前記決定された偏差は、前記車両(1)の前方に所定の距離(x)をおいたところでの前記記憶された車線コースと前記連続的に決定される車線コースとの間の偏差である
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の自動運転操作で車両(1)を運転する方法。
【請求項4】
前記距離(x)は、速度に応じて指定される
ことを特徴とする、請求項3に記載の自動運転操作で車両(1)を運転する方法。
【請求項5】
前記記憶された非常運転目標軌道は、前記記憶された車線コースを前記連続的に決定される車線コースと比較することによって修正される
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の自動運転操作で車両(1)を運転する方法。
【請求項6】
前記記憶された車線コースを前記連続的に決定される車線コースと比較するために、前記記憶された車線コースを前記連続的に決定される車線コースに適合させるように、前記記憶された車線コースにどの座標変換を適用すべきかが決定される
ことを特徴とする、請求項5に記載の自動運転操作で車両(1)を運転する方法。
【請求項7】
前記記憶された非常運転目標軌道を修正するために、前記決定された座標変換が前記記憶された非常運転目標軌道に適用される
ことを特徴とする、請求項6に記載の自動運転操作で車両(1)を運転する方法。
【請求項8】
前記車線コースを決定するための車線標示(S)が検出されない場合、又は前記連続的に決定される車線コースが妥当でないと評価された場合、前記車両(1)は、前記非常運転モードにおいて推測航法によって位置特定される
ことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の自動運転操作で車両(1)を運転する方法。
【請求項9】
前記車線標示(S)は、画像データを用いて連続的に決定される
ことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の自動運転操作で車両(1)を運転する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の自動運転操作で車両を運転する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第102017011808号明細書から、自動運転操作で車両の移動を制御する方法及び当該方法を実行するための装置が知られている。当該方法は、自動運転操作が、車両が所定の目標位置に自動で誘導される通常運転モードから、車両が非常停止位置に自動で誘導される非常運転モードに切り替え可能であることを提供する。通常運転モードの制御は主制御装置によって実行され、非常運転モードの制御は副制御装置によって実行される。自動運転操作は、通常運転モードにおいて主制御装置の機能が損なわれたと判断される場合、通常運転モードから非常運転モードに切り替えられる。通常運転モードにおける制御は、通常運転モードにおいて主制御装置によって連続的に決定される、目的位置に導く通常目標軌道に基づいて実行される。非常運転モードにおける制御は、副制御装置に記憶されている、非常停止位置に導く非常運転目標軌道に基づいて行われる。当該非常運転目標軌道は、主制御装置によって、運転モードを非常運転モードに切り替える前に通常運転モードにおいて決定され、記憶のために副制御装置に供給される。通常運転モードにおいて、非常運転目標軌道に加えて、車両が走行する車線の非常運転目標軌道に関連する車線コースも決定され、記憶のために副制御装置に供給される。更に、非常操作目標軌道及び関連する車線コースが、主制御装置の車両に固定された座標系において決定されることが提供される。非常運転モードでは、車両が走行する車線の車線コースが副制御装置の車両に固定された座標系において決定され、非常運転モードでは、副制御装置に記憶された車線の車線コースと副制御装置により決定された車線の車線コースとに基づいて、主制御装置及び副制御装置の座標系の偏差が補正され、それにより記憶された非常運転目標軌道が修正される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、自動運転操作で車両を運転する方法を具体化するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
当該課題は、本発明によれば、請求項1に特定された特徴を有する方法によって解決される。
【0005】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0006】
自動化、特に高度な自動化又は無人の運転操作で車両を運転する方法は、車両が、自動運転操作の通常運転モードにおいて主制御装置によって自動で目的位置に誘導され、自動運転操作の非常運転モードにおいて副制御装置によって自動で非常運転目標軌道に沿って安全な停止位置に誘導され、非常運転目標軌道は、通常運転モードにおいて主制御装置によって連続的に決定され、車線標示をもとにして連続的に検出される(記録される)車両の車線の前方の(に位置する、に延びる)車線コースとともに副制御装置に記憶されること、及び非常運転モードにおいて、前記記憶された車線コースと、非常運転モードにおいて連続的に決定される車両の車線の車線コースとに基づいて、記憶された非常運転目標軌道が修正されることを提供する。本発明によれば、非常運転モードにおいて、記憶された車線コースと非常運転モードにおいて連続的に決定される車線コースとの間の偏差が決定されることと、決定された偏差に応じて、連続的に決定される車線コースが妥当であるかどうかが評価されることと、連続的に決定される車線コースが妥当であると評価された場合にのみ、記憶された車線コースと連続的に決定される車線コースとに基づいて、記憶された非常運転目標軌道が修正されることとが提供される。非常運転モードにおいて連続的に決定される車線コースは、それぞれ非常運転モードにおいて現在決定される車線コースに相当する(対応する)。
【0007】
したがって、非常運転モードでは、連続的に決定される車線コース、すなわち現在決定される車線コースを、車両を安全な停止位置に誘導する際に、考慮すべきか、又は無視し続けるべきか、或いは破棄すべきか、が決定された偏差に応じて決定される。
【0008】
この方法を適用することによって、特に、記憶された非常時目標軌道を連続的に決定される車線コースの妥当性検査に基づいて修正することによって、車両の車線が誤って検出された場合に、当該車線が車両の誘導に利用されるリスクを低減することができる。車線コースが妥当でない場合は、いわゆる推測航法データを用いて比較的信頼できる非常運転目標軌道をたどることができる。
【0009】
この方法の一実施形態は、非常運転モードにおいて、決定された偏差が所定の値を下回る場合、連続的に決定される車線コースが妥当であると評価されることを提供する。これに対し、連続的に決定される車線コースが所定の値を上回る場合、車線コースは妥当でないと評価されて破棄され、その場合、車両は記憶された非常時目標軌道に従って安全な停止位置に誘導される。
【0010】
特に、この方法は、比較的複雑なシナリオでカメラによる車線情報が誤った結果をもたらす場合に適用され、この方法によってこれらの誤った結果を識別し、したがって避けることができる。
【0011】
更に、この方法を用いることで、特に車線標示の誤った検出による、車両の車線からの離脱、及びそれによって増加する、その車両にとってだけではない、事故のリスクを大幅に低減することができる。
【0012】
更に、この方法を、車両の自動運転操作のために主制御装置の環境センサシステムの環境検出データの妥当性検査のために使用することができる。
【0013】
この方法の発展形態では、車両の前方に所定の距離をおいたところでの(車両の前方に所定の距離をおいたところで生じる)記憶された車線コースと連続的に決定される車線コースとの間の偏差が決定されることにより、記憶された車線コースと連続的に決定される車線コースとの間の偏差が決定される。それによって、偏差の程度を簡単に決定することが可能である。
【0014】
可能な発展形態では、所定の距離は速度に応じて指定され、比較的遅い速度の場合よりも速い速度の場合に、選択される距離はより大きくなる。これにより、誤って検出される車線標示に、速度に応じた対応で反応することが可能である。
【0015】
この方法の可能な実施形態は、記憶された非常運転目標軌道は、記憶された車線コースを連続的に決定される車線コースと比較することによって修正されることを提供する。
【0016】
記憶された車線コースを連続的に決定される車線コースと比較するために、記憶された車線コースを連続的に決定される車線コースに適合させるように、どの座標変換が記憶された車線コースに適用されるべきかを決定することが好ましい。これにより、記憶された車線コースと連続的に決定される車線コースとが一致するために、記憶された車線コース、つまりその座標系をどの程度回転及びシフトする必要があるかが決定される。
【0017】
記憶された非常時目標軌道を修正するために、決定された座標変換が記憶された非常時目標軌道に適用される。この座標変換の結果は、修正された非常時目標軌道である。
【0018】
本方法の別の可能な実施形態では、車線コースを決定するために必要とされる車線標示が検出されない場合、又は車線コースは検出されるが妥当でないと評価される場合、車両は、非常運転モードにおいて推測航法によって位置特定される。特に、非常運転モードにおける車両の運転のために使用される推測航法データを用いて位置特定が行われ、それにより車両を安全な停止位置に移動することができる。
【0019】
別の可能な実施形態では、作動した(アクティブ化された)非常運転モードで車両を安全な停止位置に移動するために、特に車載カメラ及び/又は別の適切な装置の画像データを用いて車線標示が連続的に決定される。
【0020】
以下では、本発明の実施例を、図面に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】道路区間の車線を自動運転操作で走行する車両を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
唯一の図は、2つの対向車線F1、F2を有する道路区間Fと、自動運転操作(自動走行運転、自動走行操作、自動運転[操作]モード)で右側車線F1を走行する車両1とを示す。
【0023】
自動化、特に高度に自動化された運転操作の通常運転モードにおいて、車両1は、主制御装置2によって、衛星支援及びランドマーク支援により位置特定される。主制御装置2は、車両に固定された座標系において、走行設定(走行指示)を表す目標軌道を規則的な時間間隔で決定し、決定した目標軌道に応じて軌道制御を行う。目標軌道は、通常運転モードにおいて車両1が移動すべき経路の詳細を含む。目標軌道は、更に、車両1が経路に沿って移動すべき速度の推移の詳細を含む。
【0024】
車両1は、車載カメラ4と、詳しく図示されないライダベース、レーダベース、及び/又は超音波ベースの検出ユニットとを有する環境センサシステム3を備えている。車載カメラ4で検出(記録)された画像データ、及び検出ユニットで検出(記録)された信号を用いて、車両1の周辺及び周辺にある物体が検知される。
【0025】
すなわち、検出された画像データ及び環境センサシステム3の検出された信号を用いて、車両1の車線F1の車線コース、すなわち右側車線F1の車線コースを含めた環境(周辺)情報が検知される。車線コースは、車線F1の境界を定める車線標示Sを検出する(記録する)ことによって決定される。
【0026】
車両1が自動化された運転操作の通常運転モードで移動する目標軌道は、検出された周辺状況を用いて、検出された車線コースを考慮して、かつデジタル地図を用いて決定された車線情報を考慮して決定される。
【0027】
目標軌道を決定する間、同時に規則的な時間間隔で非常運転目標軌道が決定され、この非常運転目標軌道も、検出された画像データを用いて検知された周辺状況をもとにして、検出された車線コースを考慮して、デジタル地図からの車線情報を考慮に入れて、車両に固定された座標系において作成される。
【0028】
非常運転目標軌道は非常時経路の詳細を含み、車両1は、主制御装置2の故障、及び/又は、例えば環境センサシステム3の検出ユニットの故障など、車両内の他の欠陥(故障、障害、エラー)の発生時に、作動した非常運転モードにおいて、この非常時経路に沿って安全静止位置とも呼ばれる安全停止位置に移動される。この安全な停止位置は、例えば、右側車線F1の車線端、又は場合によって存在する路肩に位置する。
【0029】
更に、非常運転目標軌道は、車両1が非常時経路に沿って停止位置、すなわち静止状態に誘導されるべき速度又は加速度の推移の詳細を含む。
【0030】
したがって、非常運転目標軌道は、車両が移動されるべき非常時経路の詳細を含み、車両が非常時経路に沿って移動されるべきダイナミクスの詳細を含むデータセットである。
【0031】
規則的な時間間隔で決定された非常運転目標軌道と、その過程で決定された車線コース、特に決定された車線標示Sは、副制御装置5、例えば走行ダイナミクス制御のための制御装置に供給され、後で非常運転モードにおいて使用するためにそこに記憶される。したがって、副制御装置5には、車線標示Sに対する非常時経路のコースの詳細が存在し、非常運転目標軌道及び車線コースのデータは、非常運転目標軌道及び車線コースを定期的に決定し記憶することによって定期的に更新される。
【0032】
主制御装置2の冗長としてのこの副制御装置5は、非常運転モードにおける車両の横方向誘導のために、限られた数の検出ユニットしか有していない。高度自動運転操作では、副制御装置5は、車線認識及び推測航法データと共に車載カメラ4で検出された画像データが利用可能である。画像データをもとにして決定された車線情報、特に右側車線F1の境界を定める車線標示Sは、通常正確であるが、画像データは、比較的複雑なシナリオでは車線標示Sに関して不正確な結果をもたらす可能性がある。
【0033】
このような不正確な結果を識別及び修正できるようにするために、以下で説明する方法が提供される。
【0034】
主制御装置2の故障及び/又は自動運転操作の通常運転モードを制限する他の欠陥の発生時には、通常運転モードから非常運転モードに切り替えられる。
【0035】
非常運転モードへの切り替え時に、副制御装置5が車両1の制御を引き継ぎ、軌道制御によって、記憶された非常運転目標軌道に基づいて車両を安全な停止位置へ誘導する。
【0036】
非常運転モードでは、車線F1の車線コースを連続的に決定するために、車載カメラ4で検出された画像データをもとにして車線標示Sが連続的に決定される。連続的に決定された車線コース、すなわち現在決定される車線コースが記憶された車線コースと比較される。特に、記憶された車線コースの座標系と決定された車線標示Sの座標系との間の偏差が決定され、修正される。
【0037】
修正は、記憶された車線コースが現在決定される車線コースと一致するまで記憶された車線コースの座標系を回転及びシフトさせることによって行われる。非常時経路のコースもこのように座標の修正を行うことにより修正される。
【0038】
特に、記憶された車線コースと現在決定される車線コースとの間の偏差を決定するために距離xが指定(予め決定)され、それにより記憶された車線コースと現在決定される車線コースとの偏差が、車両1の前方に指定された(所定の)距離xをおいた位置で決定される。距離xは、特に速度に応じて指定され、距離xは、車両1の速度が遅い場合よりも速い速度の場合のほうが大きい。
【0039】
車両1の前方に、車両1からの距離xにおいて、記憶された車線コースと現在決定される車線コースとの間の偏差の大きさが決定される。
【0040】
この方法の次の工程において、この偏差がメートル単位の所定の値を下回ると決定された場合、現在決定される車線コースは妥当であると評価され、記憶された非常時目標軌道を修正するために使用され、修正された非常運転目標軌道に従って軌道制御が実行される。
【0041】
これに対して、記憶された車線コースと現在決定される車線コースとの間の偏差がメートル単位の所定の値を上回ると決定された場合、現在決定される車線コースが妥当でないと評価され、非常運転目標軌道は修正されない。その場合、記憶された非常時目標軌道は、変更されずに軌道制御の基礎とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0042】
【特許文献1】独国特許出願公開第102017011808号明細書
【手続補正書】
【提出日】2024-02-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転操作で車両(1)を運転する方法であって、前記車両は、前記自動運転操作の通常運転モードにおいて主制御装置(2)によって自動で目的位置に誘導され、前記自動運転操作の非常運転モードにおいて副制御装置(5)によって自動で非常運転目標軌道に沿って安全な停止位置に誘導され、前記非常運転目標軌道は、前記通常運転モードにおいて前記主制御装置(2)によって連続的に決定され、車線標示(S)をもとにして連続的に検出される前記車両(1)の車線(F1)の前方の車線コースとともに前記副制御装置(4)に記憶され、前記非常運転モードにおいて、前記記憶された車線コースと、前記非常運転モードにおいて連続的に決定される前記車両(1)の前記車線(F1)の車線コースとに基づいて前記記憶された非常運転目標軌道が修正される前記方法において、
前記非常運転モードにおいて、
-前記記憶された車線コースと前記連続的に決定される車線コースとの間の偏差が決定され、
-前記決定された偏差に応じて、前記連続的に決定される車線コースが妥当であるかどうかが評価され、
-前記連続的に決定される車線コースが妥当であると評価された場合にのみ、前記記憶された車線コースと前記連続的に決定される車線コースとに基づいて前記記憶された非常運転目標軌道が修正される
ことを特徴とする、自動運転操作で車両(1)を運転する方法。
【請求項2】
前記決定された偏差が所定の値を下回る場合、前記非常運転モードにおいて、前記連続的に決定される車線コースが妥当であると評価される
ことを特徴とする、請求項1に記載の自動運転操作で車両(1)を運転する方法。
【請求項3】
前記決定された偏差は、前記車両(1)の前方に所定の距離(x)をおいたところでの前記記憶された車線コースと前記連続的に決定される車線コースとの間の偏差である
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の自動運転操作で車両(1)を運転する方法。
【請求項4】
前記距離(x)は、速度に応じて指定される
ことを特徴とする、請求項3に記載の自動運転操作で車両(1)を運転する方法。
【請求項5】
前記記憶された非常運転目標軌道は、前記記憶された車線コースを前記連続的に決定される車線コースと比較することによって修正される
ことを特徴とする、請求項1
又は2に記載の自動運転操作で車両(1)を運転する方法。
【請求項6】
前記記憶された車線コースを前記連続的に決定される車線コースと比較するために、前記記憶された車線コースを前記連続的に決定される車線コースに適合させるように、前記記憶された車線コースにどの座標変換を適用すべきかが決定される
ことを特徴とする、請求項5に記載の自動運転操作で車両(1)を運転する方法。
【請求項7】
前記記憶された非常運転目標軌道を修正するために、前記決定された座標変換が前記記憶された非常運転目標軌道に適用される
ことを特徴とする、請求項6に記載の自動運転操作で車両(1)を運転する方法。
【請求項8】
前記車線コースを決定するための車線標示(S)が検出されない場合、又は前記連続的に決定される車線コースが妥当でないと評価された場合、前記車両(1)は、前記非常運転モードにおいて推測航法によって位置特定される
ことを特徴とする、請求項1
又は2に記載の自動運転操作で車両(1)を運転する方法。
【請求項9】
前記車線標示(S)は、画像データを用いて連続的に決定される
ことを特徴とする、請求項1
又は2に記載の自動運転操作で車両(1)を運転する方法。
【国際調査報告】