(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】プロセス
(51)【国際特許分類】
H01M 10/54 20060101AFI20240711BHJP
C22B 7/00 20060101ALI20240711BHJP
C22B 26/12 20060101ALI20240711BHJP
C22B 3/04 20060101ALI20240711BHJP
C22B 3/44 20060101ALI20240711BHJP
C01D 15/04 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
H01M10/54
C22B7/00 C
C22B26/12
C22B3/04
C22B3/44 101Z
C01D15/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578674
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(85)【翻訳文提出日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 GB2022051874
(87)【国際公開番号】W WO2023002180
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516030797
【氏名又は名称】メキシケム フロー エセ・ア・デ・セ・ヴェ
(74)【代理人】
【識別番号】100113365
【氏名又は名称】高村 雅晴
(74)【代理人】
【識別番号】100209336
【氏名又は名称】長谷川 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100218800
【氏名又は名称】河内 亮
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・シャラット
(72)【発明者】
【氏名】ジェイミー・ブルックス
【テーマコード(参考)】
4K001
5H031
【Fターム(参考)】
4K001AA34
4K001BA22
4K001DB07
4K001DB22
5H031EE01
5H031EE03
5H031EE04
5H031HH03
5H031HH06
5H031RR02
(57)【要約】
リチウム電池廃棄物マスからリチウム塩を回収する方法であって、(a)リチウム電池廃棄物マス中のリチウム塩を、1回限りの処理又は連続処理のいずれかで、リチウム電池廃棄物マスの重量の100~0.1倍に相当する重量の水の中に溶解させるステップと、(b)水溶液を蒸発させて乾燥させるステップと、(c)乾燥残渣を、水、カルボナート、又はそれらの混合物を含む溶媒とかき混ぜるステップと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム電池廃棄物マスからリチウム塩を回収する方法であって、
(a)前記リチウム電池廃棄物マス中の前記リチウム塩を、1回限りの処理又は連続処理のいずれかで、前記リチウム電池廃棄物マスの重量の100~0.1倍に相当する重量の水の中に溶解させるステップと、
(b)水溶液を蒸発させて乾燥させるステップと、
(c)乾燥残渣を、水、有機溶媒、又はそれらの混合物を含む溶媒とかき混ぜるステップと、を含む、方法。
【請求項2】
リチウム電池廃棄物マスからリチウム塩を回収する方法であって、
b)前記リチウム電池廃棄物マス中の前記リチウム塩を、1回限りの処理又は連続処理のいずれかで、前記リチウム電池廃棄物マスの重量の100~0.1倍に相当する重量の溶媒の中に溶解させるステップと、
d)溶媒溶液を蒸発させて乾燥させるステップと、
e)乾燥残渣を、水、有機溶媒、又はそれらの混合物を含む溶媒とかき混ぜるステップと、を含む、方法。
【請求項3】
ステップ(a)における前記溶媒は、エーテル溶媒(ジエチルエーテルなど)、ニトリル溶媒(アセトニトリル若しくはプロピオニトリルなど)、カルボキシラート溶媒(酢酸エチルなど)、又は水を含有しないか、若しくは前記水及び前記溶媒が依然として25℃で混和性であるように低レベルの水を含有するカルボナート溶媒(プロピレンカルボナート、ジメチルカルボナート、ジエチルカルボナート、エチルメチルカルボナート、若しくはそれらの任意の混合物など)を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(c)における前記溶媒は、エーテル溶媒(ジエチルエーテルなど)、ニトリル溶媒(アセトニトリル若しくはプロピオニトリルなど)、カルボキシラート溶媒(酢酸エチルなど)、又は水を含有しないか、若しくは前記水及び前記溶媒が依然として25℃で混和性であるように低レベルの水を含有するカルボナート溶媒(プロピレンカルボナート、ジメチルカルボナート、ジエチルカルボナート、エチルメチルカルボナートなど)を含む、請求項1、2、又は3に記載の方法。
【請求項5】
最後のかき混ぜるステップ(c)は、回収された電解質塩の精製を行うのに役立つ、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記カルボナート溶媒は、ジメチルカルボナート、ジエチルカルボナート、エチルメチルカルボナート、プロピレンカルボナート、又はそれらの混合物である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記かき混ぜるステップ(c)で使用される溶媒は、水を含有しないか、又は前記水及びカルボナート溶媒が依然として25℃で混和性であるように低レベルの水を含有する、カルボナート溶媒を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
リチウム電池廃棄物マスが、ブラックマスを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ブラックマスは、前記リチウム電池廃棄物マスの少なくとも80重量%を構成する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(a)前の前記リチウム電池廃棄物マスは、乾燥しており、好都合には、20g/kg未満の液体を含有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記リチウム塩は、LiPF
6である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
溶解ステップ(a)が、50℃未満の温度で実行される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
溶解ステップ(a)が、95重量%超の純度である水を使用して実行される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(a)における、前記水の前記リチウムイオン電池マスとの接触時間が、5時間未満であり、好都合には、10分未満である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
蒸発させて乾燥させるステップ(b)は、真空蒸発又は噴霧乾燥によって実行される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
溶解ステップ(a)が、動的に実行される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
リチウム電池廃棄物マスに対する水の重量比率が、10~0.5:1であり、好都合には、3~0.5:1である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解質に含有する金属塩、特にリチウム塩を回収するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池からの成分の効果的かつ持続可能な再生利用の必要性は、かつてなく重要になっており、特に、多数の可能な最終用途のうちの1つと見なされる電気自動車などの技術におけるリチウムイオン電池の需要の急増が予想され、この技術におけるいくつかの重要な要素が品薄状態である。リチウムイオン電池のような電気化学貯蔵システムの使用は、再生可能エネルギー源が化石燃料に対する社会的依存を低減することができることを確実にするために不可欠である。
【0003】
電解質塩を再生利用するためのプロセスは、先行技術の中に存在するが、リチウム電池の文脈における再生利用方法の大多数は、正極、負極、ケーシング、及び集電器などの他の電池構成要素の回収及び再生利用に焦点が置かれている。特に、そのコストという理由から、リチウムは、回収プロセスの焦点である。しかしながら、ニッケル、銅、及びコバルトなどの多くの構成要素は、電池寿命の最後においてもそれらの価値を保持している。鋼及びアルミニウムなどの他のものは、既存の比較的単純な再生利用プロセスを利用する。更に、それらは、電池の組成物の大きな割合を占める傾向があるため、抽出及び精製は、経済的に比較的採算を取りやすい。
【0004】
また、リチウムの需要が十分蓄積されていると想定されているにもかかわらず、リチウムの需要が近いうちにリチウム埋蔵量から調達することができる量を上回る可能性があるという懸念があり、革新的な攻略技術が早急に商用化される必要があることが余儀なくされている。
【0005】
電池内部の電解質及び成分(塩、添加剤、及びリチウム)は、ほとんど考慮されておらず、ほとんどの廃棄電池処理は、処理開始時にこれらの材料を除去又は破壊することに焦点が置かれている。これは、おおかた、それらを長期間の再生利用プロセス中に作業することが危険であると考えられ、更に電池内部の濃度が比較的低いものであるためである。更に、リチウムヘキサフルオロホスファート(LiPF6)の組成物など、いくつかの成分の組成物は、それらの固有の化学的及び熱的不安定性に起因して、電池の経年化中に変化し、それらの抽出の試みを無駄にすると考えられる。電解質の分解は、セル内の種の品質によって更に影響され、例えば、プロトン種の不純物の存在は、容量及びセル寿命に有害な影響を及ぼす。
【0006】
しかしながら、電解質及びその構成成分は、リチウムイオン電池のおおよそ10重量%を占めており、したがって、再生利用を実現可能とするための技術及び技法の開発が必要とされる。これは、リチウムイオン電池に対して期待される需要の増加により、同等の廃棄物の増加が発生することになることを考慮すると、特に当てはまり、したがって、必要に応じて再生利用方法を出現させなければならない。電解質を抽出することを目的とした研究は、典型的には、溶媒添加なしで、超臨界CO2を使用しているが、廃棄物材料の集合的な仕分けとは対照的に、個々の放電済み電池セルのみから使用している。
【0007】
WO2015/193261(Rhodia Operations)は、マトリックス中に溶解された電解質の金属塩を回収するためのプロセスについて記載されており、このプロセスは、電解質を、水による液体抽出に供することからなる。好ましい塩は、水の中で安定であることが知られている特定のリチウム塩、例えば、スルホンイミド、過塩素酸塩、及びスルホン酸塩である。より詳細には、本明細書に記載のプロセスは、単純に水を添加することによって、非導電性マトリックスからリチウム塩を単離することを教示する。電解質塩のための非導電性マトリックスが有機溶媒を含む場合、この文献は、水不混和性有機抽出溶媒の使用を教示する。これにより、非導電性マトリックス中の有機溶媒が除去され得、有機相に保持され得る結果となり、得られた水相及び有機相は、不混和性であり、例えば、25℃及び大気圧において、沈降又は遠心分離後に2つの異なる相を形成する。
【0008】
US2017/0207503(Commissariat a l’Energie Atomique et aux Energies Alternatives)は、式LiAのリチウム塩を含有する電解質を再生利用するための方法に関し、式中、Aは、リチウムイオン電池のPF6
-、CF3SO3
-、BF4
-、CIO4
-、及び[(CF3SO2)2]N-から選択される陰イオンを表し、その方法は、以下の、a)任意選択的に、電池を処理して、その電池が含有する電解質を回収するステップと、b)電解質に水を添加するステップと、c)任意選択的に、ステップa)が採用されたときに、電池の残渣を含む固相から電解質を含む液相を分離するために濾過する(F1)ステップと、d)ステップb)で得られた液相に添加の有機溶媒を添加するステップ、又はステップa)が採用されたときに、ステップc)で濾過した(F1)後に、添加の有機溶媒を添加するステップと、e)水を添加するステップb)、又は添加の有機溶媒を添加するステップd)の後に得られた液相をデカントすることであって、それによって、リチウム塩を含有する水相、並びに電解質溶媒及び添加の有機溶媒を含有する有機相が得られる、デカントするステップと、f)ステップe)で得られた有機相を蒸留して、電解質の溶媒と、添加の有機溶媒とを分離するステップと、g)ピリジンの添加によってリチウム塩の陰イオンAを沈殿させ、その後、濾過する(F2)ステップと、h)ステップg)で得られた濾液に、少なくとも1つの炭酸塩、及び/又は少なくとも1つの燐酸塩を添加した後に濾過する(F3)ステップと、を含み、それによって、リチウム塩及び水が得られる。
【0009】
US7820317(Tedjar)は、不活性雰囲気中での室温でセルを乾燥破砕すること、磁気分離及び比重表による処理、並びに水溶性加水分解を含む、リチウム負極セルを処理するための方法について記載している。
【発明の開示】
【0010】
このような背景を踏まえて、本発明は、電池電解質溶液からリチウム塩を回収及び再生利用する改善方法、特にLiPF6を回収する方法を提供することを目的とする。
【0011】
更なる問題が、使用済み電池からのLiPF
6の回収において認識されている。LiPF
6は、一般的に使用され、かつリチウム電池に使用される商業的に重要な電解質塩であるが、加水分解に影響されやすい可能性がある材料であるものとして認識されている。通常、典型的な非水溶性電池電解質溶液では、LiPF
6は、次に示されるような平衡状態で存在する。
【数1】
【0012】
少量の水をこれらのLiPF6溶液と混合すると、この平衡は、PF5が加水分解されるにつれて更に右側に押し出され、HF、フルオロホスファート、ホスファート、及びフッ化ホスホリル、POF3などの追加の生成物が得られる。十分な水が存在する場合、これらの溶液中のLiPF6の全てが消費されることになる。LiPF6の分解生成物は、毒性があり、有害であり、かつ実際には他の溶媒の更なる分解を引き起こし得る、化合物を含む。その結果、LiPF6の再生利用は、複雑かつ危険なものと見なされている。
【0013】
第1の態様によれば、本発明は、リチウム電池廃棄物マスからリチウム塩を回収する方法を提供し、その方法は、
(a)リチウム電池廃棄物マス中のリチウム塩を、1回限りの処理又は連続処理のいずれかで、リチウム電池廃棄物マスの重量の100~0.1倍に相当する重量の水の中に溶解させるステップと、
(b)水溶液を蒸発させて乾燥させるステップと、
(c)乾燥残渣を、水、カルボナート、又はそれらの混合物を含む溶媒とかき混ぜるステップと、を含む。
【0014】
第2の態様によれば、本発明は、リチウム電池廃棄物マスからリチウム塩を回収する方法を提供し、その方法は、
a)リチウム電池廃棄物マス中のリチウム塩を、1回限りの処理又は連続処理のいずれかで、リチウム電池廃棄物マスの重量の100~0.1倍に相当する重量の溶媒の中に溶解させるステップと、
b)溶媒溶液を蒸発させて乾燥させるステップと、
c)乾燥残渣を、水、有機溶媒、又はそれらの混合物を含む溶媒とかき混ぜるステップと、を含む。
【0015】
好ましくは、最後のかき混ぜるステップは、回収された電解質塩の精製を行うのに役立つ。
【0016】
好ましい態様では、カルボナート溶媒は、ジメチルカルボナート、ジエチルカルボナート、エチルメチルカルボナート、又はそれらの混合物である。一実施形態では、カルボナート溶媒は、エチルメチルカルボナートである。好ましい態様では、かき混ぜステップは、カルボナート溶媒及び水が依然として25℃で混和性であるように低レベルの水を含有する、カルボナート溶媒を使用して実行される。
【0017】
回収プロセスの観点からいえば、廃棄物電池セルは、機械的に処理されることができ、これにより、「ブラックマス」として知られる活性電極及び電解質材料を含む細かい留分が残る。都合がよいことに、リチウム電池廃棄物マスは、ブラックマスを含み、好都合には、本質的に、ブラックマスからなり得る。好都合には、ブラックマスは、リチウム電池廃棄物マスの少なくとも80重量%を構成し得る。ブラックマスは、寿命に達したリチウム電池が放電され、解体され、破砕され、細断され、選別され、ふるいにかけられたときに得られる粉末物質に与えられた名称である。ブラックマスは、典型的には、コバルト、ニッケル、銅、リチウム、マンガン、アルミニウム、及びグラファイトを含む多くの材料を含有する。更に冶金術処理を用いて、他の成分の抽出を可能にし、その成分は、フッ素含有塩及びそれらの分解生成物を含み得る。
【0018】
ブラックマスは、電池再生利用において最も有用な留分のうちの1つであると考えられ、このことは、グラファイト、ニッケル、マンガン、コバルト、リチウムなどの電極成分、及び導電塩を含む電解質成分のその濃度に起因する。
【0019】
一実施形態では、リチウム電池廃棄物マス、好都合には、ブラックマスは、乾燥状態である。この文脈における「乾燥」とは、ブラックマスが電解質溶媒及び/又は水などの液体の20g/kg未満、好都合には、液体の10g/kg未満、好都合には、液体の5g/kg未満、好都合には、液体の1g/kg未満を含有することを意味する。
【0020】
本発明者らは、驚いたことに、水を使用して、塩の加水分解、又は電極成分の回収を損なうことなく、乾燥したブラックマスからリチウムヘキサフルオロホスファート、すなわち、LiPF6を抽出することができることを見出した。その後、その溶液は、蒸発させて乾燥させる。次いで、残った材料を水又はカルボナート溶媒中で作業して、更なる精製を行うことができる。都合のよいことに、カルボナート溶媒は、ジメチルカルボナート、ジエチルカルボナート、エチルメチルカルボナート、又はそれらの混合物とすることができ、好都合には、カルボナート溶媒は、エチルメチルカルボナートである。
【0021】
理論によって縛られたいわけではないが、上述したLiPF6に関しての動的平衡にもかかわらず、本発明者らは、驚いたことに、水の中のLiPF6の分解が予想されるほど容易には起こらないことを見出した。リチウム電池廃棄物マス、特に乾燥したリチウム電池廃棄物マス、及び特に乾燥したブラックマスの存在下での初期の水溶解ステップに関しては、このステップは、LiPF6加水分解を最小限に抑えるような条件で実行されることが好ましい。LiPF6の既知の加水分解の不安定性にもかかわらず、本発明者らは、LiPF6が実質的に乾燥しているときか、又はLiPF6が比較的安定している大量の水の中に存在するときのいずれかの場合に、加水分解が最小限に抑えられることを見出した。
【0022】
リチウム電池廃棄物マス、特にブラックマスが、水で洗浄される場合、リチウム塩、特にLiPF6は、最も水に溶けやすい塩として存在する傾向がある。したがって、水を用いたブラックマスの抽出は、存在するリチウム塩、特にLiPF6を濃縮し、ある程度精製する効果を有する。
【0023】
しかしながら、本発明者らは、驚いたことに、LiPF6塩の水溶液が乾燥したときに、LiPF6の予想される分解が起こらなかったことを見出した。乾燥したリチウム塩をカルボナート溶媒又は水を用いて作業するプロセスの後続のステップでも、同様にLiPF6は、驚くほど安定であることが判明した。本発明者らの知見は、LiPF6が水によって完全に溶媒和されたときには安定であるが、部分的に溶媒和されたときにはそうではないことを示唆する。LiPF6の有害な分解を最小限に抑えるために、本プロセスの詳細なステップは、LiPF6が、それを完全に溶媒和するのに十分ではない量の水に晒される時間を最小限に抑えるように選択される。一般的にLiPF6自体は回収されないが、LiPF6が再合成される必要があるいくつかの他のリチウム塩をもたらす一般的な多段階処理を、先行技術の教示が必要とすると想定すると、本発明は、電池からのリチウム塩、特にLiPF6を回収及び再生利用するための、驚くほどの効果的かつ単純なプロセスを提供する。
【0024】
驚いたことに、その相対的な加水分解の不安定性を考慮すると、LiPF6は、これらのプロセスを通じて存在し、かつ安定したままである。エチルメチルカルボナートは、作業中の水と比較して、PF6陰イオンの溶解に対してはるかに選択可能であることが示された。
【0025】
一実施形態では、初期の溶解ステップは、比較的低い温度でリチウムイオン廃棄物に水を添加することを含み、これは、好ましくは50℃未満、好ましくは40℃未満、好ましくは30℃未満、好ましくは25℃未満である。添加される水は、好ましくは、95重量%超の純度、より好ましくは、98重量%超の純度、好ましくは、99重量%超の純度であり、好ましくは、この水は、微量以下の不純物を含有する。
【0026】
一実施形態では、水のリチウム電池廃棄物マスとの接触時間は、10時間以下であってもよく、好ましくは、5時間以下であってもよく、好ましくは、2時間以下であってもよく、いくつかの実施形態では、その接触時間は、1時間又は30分以下であってもよい。他の実施形態では、接触時間は、10分未満であってもよく、好都合には、5分未満、好都合には、2分未満、好都合には、1分未満であってもよい。
【0027】
蒸発させて乾燥させるステップにおいて、乾燥させる溶液の温度は、溶解ステップについて上述した好ましい温度を超えて上昇させないことが好ましい。この目的のために、真空濾過又は噴霧乾燥が、水溶液を蒸発させて乾燥させる好ましい方法であり、特定の実施形態では、噴霧乾燥が好ましい場合がある。
【0028】
一実施形態では、ステップ(a)において、水は、真空下でリチウム電池廃棄物マス(例えば、ブラックマス)を通って引き出される。更なる実施形態では、ステップ(a)において、水は、リチウム電池廃棄物マスを動的に通過する(すなわち、バッチプロセスでは、通過しない)。
【0029】
一実施形態では、抽出ステップにおける水対リチウム電池廃棄物(例えばブラックマス)の重量比率は、100~0.1:1、好都合には、10~0.5:1、好都合には、7~0.5:1、好都合には、5~0.5:1、好都合には、3~0.5:1の比率内である。
【実施例】
【0030】
実施例1-水溶性抽出手順
NMC622正極及びグラファイト負極を有する使用済み電池の処理から生成される使用のために、再生利用される電池マス粉末(一般に、ブラックマスと呼ばれる)を提供した。この材料は、最大でも、およそ2重量%のLiPF6を含有することが推定されたため、この図は、収率などを計算するときの参照のために使用された。LiPF6は、水に可溶であると理解されており、加水分解に対して高い不安定性があるにもかかわらず、水によって完全に溶媒和した場合には安定であるが、水によって完全に溶媒和されるまでは不安定である。初期の研究は、抽出/混合時間、及び使用される水の体積を含む実験パラメータの間の任意のばらつきを特定することを目指した。その結果を表1に示す。
【0031】
ブラックマスの質量(5g)、混合速度、及び室温を一定に保った。各実験は、抽出液の
19F及び
31P NMR分析によって確認されたものとしてLiPF
6を得たが、抽出時間の影響については、LiPF
6及び他の種がどれくらい抽出されたかを決定する際には重要であるように見えなかったが、使用された水の体積については、大きな影響を及ぼした。特に、抽出のために使用される水の量を減らすことは、LiPF
6回収の改善につながった。
【表1】
【0032】
続いて、4倍に拡大した水の体積及び電池材料マスを使用して、収率に対するブラックマスの試料不均一性の影響を低減した。この実験では、20gのブラックマスを、80mlの水で3時間抽出し、78.5%のLiPF6回収率をもたらし、同等の小規模実験と同様であった。
【0033】
更なる実験では、20mLの水を、濾紙で所定の位置に保持されたカラム中の5gのブラックマスの床に通過させ、これにより、LiPF6回収率が、89.1%となり、フッ化物のレベルは、大幅に減少した。ブラックマス中に存在する任意のPF6陰イオンは、十分な時間及び水が与えられた場合、加水分解を起こされ得ると想定することができ、したがって、それを良好な収率で回収するための鍵は、ブラックマスに対する水の量、接触時間、及び接触モード、例えば、バッチモード又は動的モードを最適化することである。ただし、抽出ステップは、広い範囲にわたってこれらのパラメータで操作することができ、依然として有効であることが見出された。
【0034】
図1及び
図2は、水溶性の抽出物溶液中のPF
6陰イオンの存在を確認するのに役立つ、水溶性の抽出物の典型的な
19F及び
31P NMRスペクトルを示す。
【0035】
実施例2-ブラックマスからのLiPF
6
の抽出及び回収
ブラックマス粉末の水溶性抽出
ブラックマス(5g)材料の試料からの可溶性成分を、規定期間(1.5時間)の混合を伴う開放ビーカー内でのバッチ接触を使用して、水(10mL)で抽出した。この規定期間の後、得られた橙色の混合物を真空下で濾過し、10mLの水で作り上げた橙色の濾液を得た。この溶液を19F及び31P NMRによって分析して、PF6陰イオンの存在を確認し、その濃度、したがって、回収率を決定した。二重線を19F NMRによって観察し、七重線を31P NMRによって観察し、溶液中のLiPF6の量を、19F NMRによって10.97mg/gのブラックマスに相当すると決定した。
【0036】
濾液からの溶媒の除去
一部の濾液を75mLの丸底フラスコに移し、水を30mbar及び45℃での真空中で除去した。これらの条件下で、30分未満で全ての溶媒を除去した。
【0037】
水を除去した後に得られた固体残渣を水(10mL)中に再溶解し、そのようにして得られた溶液を、19F及び31P NMRによって再度分析すると、PF6陰イオンは、水の除去及び再溶解ステップの大部分を無傷で生き残ったことが示された。19F NMRによって、この溶液のLiPF6含有量は、10.80mg/gのブラックマスであることが決定され、これは、元の抽出溶液中の10.97mg/gのブラックマスからわずかに減少した。
【0038】
固体残渣からエチルメチルカルボナート(EMC)へのLiPF6の選択的抽出
上述した抽出及び蒸発ステップを繰り返して、得られた固体残渣をEMCで抽出した。そのように得られた水溶性抽出物及びEMC溶液を、
31P NMR分光法によって分析すると、PF
6陰イオンは、抽出及び蒸発プロセスを無傷で生き残り、EMCによって蒸発残渣から抽出されたことが示され、
図3を参照されたい。
【0039】
EMC溶媒中のPF
6
陰イオンの安定性
EMCへの抽出によって回収されたPF
6イオンの試料を15日間保存した。
19F NMRを使用して、この期間にわたる溶液中のPF
6陰イオンの濃度を定量化した。その結果を以下の表2に示しており、PF
6陰イオンが、水の除去、及びEMC中に少なくとも2週間抽出した後、EMC中で安定であることが示されている。
【表2】
【0040】
実施例3:プロセスステップの繰り返し実証
実施例2のEMC手順による固体の塩基性水溶性抽出、溶媒除去、及び抽出を6回繰り返し、それらの結果を表3にまとめた。EMC溶液中で抽出及び回収されたLiPF
6の量を、
19F NMRによって定量化し、
31P NMRによって確認した。
【表3】
【0041】
実施例4:洗浄/処理ステップの繰り返し
実施例2の固体の塩基性水溶性抽出、溶媒除去、及び抽出を、同じ試料上で5回繰り返し、それらの結果を
図4にまとめた。抽出及び回収されたLiPF
6の量を、
19F NMRによって定量化し、
31P NMRによって確認した。
【0042】
実施例5:ブラックマスからのLiPF
6
の抽出及び回収
実施例2の固体の塩基性水溶性抽出、溶媒除去、及び抽出を、100mLの溶媒で3つの異なる電池材料試料(200g)上で繰り返し、それらの結果を表4にまとめた。抽出及び回収されたLiPF
6の量を、
19F NMRによって定量化し、
31P NMRによって確認した。
【表4】
【0043】
実施例6:ブラックマスからのLiPF
6
の抽出及び回収
水又はEMCによる溶媒抽出
実施例2の固体の塩基性水溶性抽出、溶媒除去、及び抽出を、100mLの溶媒で3つの異なる電池材料試料(200g)上で繰り返し、それらの結果を
図5~
図7にまとめた。両方の層をイオンクロマトグラフィー(上部-陰イオン、下部-陽イオン)によって分析した。青色のプロファイルは、分離された水溶性組成物であり、桃色のプロファイルは、残りのEMC混合物の組成物である。抽出及び回収されたLiPF
6の量を、
19F NMRによって定量化し、
31P NMRによって確認した。
【0044】
黒色のプロファイルは、電池材料から水で直接抽出されたものである。PF6-の大部分は、Li+及びいくつかのNa+とともに、EMC中にいくつかの残留イオンを残して水相に移動していることが明らかに理解することができる。
【0045】
EMC抽出物の更なる抽出
LiPF
6を含有するEMC混合物を、同じ体積の水で洗浄し、有機層及び水層の分離を促進するために、エーテルを添加した。イオンクロマトグラフィー(上部-陰イオン、下部-陽イオン)によって分析された両方の層、及びそれらの結果を
図8~
図10にまとめた。青色のプロファイルは、分離された水溶性組成物であり、桃色のプロファイルは、残りのEMC混合物の組成物である。黒色のプロファイルは、電池材料から水で直接抽出されたものである。PF6
-の大部分は、Li
+及びいくつかのNa
+とともに、EMC中にいくつかの残留イオンを残して水相に移動していることが明らかに理解することができる。
【0046】
実施例7:ブラックマスからのLiPF
6
の抽出及び回収
水又はEMCによる溶媒抽出
実施例2の固体の塩基性水溶性抽出、溶媒除去、及び抽出を、100mLの溶媒(DMC又は水)で、異なる電池材料試料(200g)上で繰り返し、それらの結果を
図11(DMC(青色)、水(黒色))にまとめた。抽出及び回収されたLiPF
6の量を、
19F NMRによって定量化し、
31P NMRによって確認した。
【0047】
有機カルボナートを用いてLiPF6を抽出することが、必ずしも、水を使用したときに観察される他の全ての成分を抽出しないことを理解することができる。DMC抽出された材料の大部分は、LiPF6である。
【0048】
実施例8:ブラックマスからのLiPF
6
の抽出及び回収
水による溶媒抽出
実施例2の固体の塩基性水溶性抽出、溶媒除去、及び抽出を、100mLの溶媒(水)で、4つの異なる電池材料試料(200g)上で繰り返し、それらの結果を
図12(DMC(青色)、水(黒色))にまとめた。抽出及び回収されたLiPF
6の量を、
19F NMRによって定量化し、
31P NMRによって確認した。
【0049】
異なる試料は、異なる量のLiPF6、及び既存のLiPF6の加水分解の程度を示していることを理解することができる。図は、陰イオンクロマトグラムを示している。
【0050】
実施例9:異なる溶媒を用いたLiPF
6
の測定、並びに抽出及び回収
溶媒抽出
固体の水溶性抽出、溶媒除去、及び抽出を行った。
【0051】
異なる溶媒を使用して、すなわち、様々な溶媒中のPF
6陰イオンか又はLi陽イオン(イオンクロマトグラフィーによる)のいずれかに基づいて、抽出されたLiPF
6の測定値を以下の表5に示す。
【表5】
【0052】
LiPF6の濃度がPF6の量及びLiの量の両方に基づくと仮定すると、EMCと比較して水を抽出溶媒として使用した場合、Liが大幅に過剰になることが示されている。
【0053】
【0054】
水を使用する場合とEMCを使用する場合とでは、ブラックマス試料から抽出された追加の成分には明らかな違いが存在することが理解され得る。上記に示されたのは、陰イオンクロマトグラム(色は、WBMバッチと同じではない)である。
【0055】
実施例10:
200gの廃棄電池材料を、100mLのEMCで洗浄した。濾液を3つの分取、すなわち、未処理のもの、4オングストロームの分子ふるいにかけた7gの一方のもの、MgOペレット状の7gの別のものに分けた。両方とも、通風室に1週間放置し、電量カールフィッシャーで水分を分析し、ICで分解を行った。それらの結果を以下の表6に示す。
【表6】
【0056】
これは、LiPF6抽出中に大量の水分を拾い、既知の分解生成物に加水分解するため、溶媒を直ちに乾燥させる重要性を示している。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】実施例1における水溶性の抽出物溶液中のPF
6陰イオンの存在を確認するのに役立つ、水溶性の抽出物の典型的な
19F及び
31P NMRスペクトルを示す。
【
図2】実施例1における水溶性の抽出物溶液中のPF
6陰イオンの存在を確認するのに役立つ、水溶性の抽出物の典型的な
19F及び
31P NMRスペクトルを示す。
【
図3】実施例2における水溶性抽出物及びEMC溶液の
31P NMRスペクトルを示す。
【
図4】実施例2の固体の塩基性水溶性抽出、溶媒除去、及び抽出を、同じ試料上で5回繰り返した結果を示す。
【
図5】実施例2の固体の塩基性水溶性抽出、溶媒除去、及び抽出を、100mLの溶媒で3つの異なる電池材料試料(200g)上で繰り返した結果を示す。
【
図6】実施例2の固体の塩基性水溶性抽出、溶媒除去、及び抽出を、100mLの溶媒で3つの異なる電池材料試料(200g)上で繰り返した結果を示す。
【
図7】実施例2の固体の塩基性水溶性抽出、溶媒除去、及び抽出を、100mLの溶媒で3つの異なる電池材料試料(200g)上で繰り返した結果を示す。
【
図8】実施例6におけるイオンクロマトグラフィー(上部-陰イオン、下部-陽イオン)によって分析された両方の層、及びそれらの結果を示す。
【
図9】実施例6におけるイオンクロマトグラフィー(上部-陰イオン、下部-陽イオン)によって分析された両方の層、及びそれらの結果を示す。
【
図10】実施例6におけるイオンクロマトグラフィー(上部-陰イオン、下部-陽イオン)によって分析された両方の層、及びそれらの結果を示す。
【
図11】実施例2の固体の塩基性水溶性抽出、溶媒除去、及び抽出を、100mLの溶媒(DMC又は水)で、異なる電池材料試料(200g)上で繰り返した結果を示す。
【
図12】実施例8において、実施例2の固体の塩基性水溶性抽出、溶媒除去、及び抽出を、100mLの溶媒(水)で、4つの異なる電池材料試料(200g)上で繰り返した結果を示す。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム電池廃棄物マスからリチウム塩を回収する方法であって、
(a)前記リチウム電池廃棄物マス中の前記リチウム塩を、1回限りの処理又は連続処理のいずれかで、前記リチウム電池廃棄物マスの重量の100~0.1倍に相当する重量の水の中に溶解させるステップと、
(b)水溶液を蒸発させて乾燥させるステップと、
(c)乾燥残渣を、水、有機溶媒、又はそれらの混合物を含む溶媒とかき混ぜるステップと、を含む、方法。
【請求項2】
リチウム電池廃棄物マスからリチウム塩を回収する方法であって、
b)前記リチウム電池廃棄物マス中の前記リチウム塩を、1回限りの処理又は連続処理のいずれかで、前記リチウム電池廃棄物マスの重量の100~0.1倍に相当する重量の溶媒の中に溶解させるステップと、
d)溶媒溶液を蒸発させて乾燥させるステップと、
e)乾燥残渣を、水、有機溶媒、又はそれらの混合物を含む溶媒とかき混ぜるステップと、を含む、方法。
【請求項3】
ステップ(a)における前記溶媒は、エーテル溶媒(ジエチルエーテルなど)、ニトリル溶媒(アセトニトリル若しくはプロピオニトリルなど)、カルボキシラート溶媒(酢酸エチルなど)、又は水を含有しないか、若しくは前記水及び前記溶媒が依然として25℃で混和性であるように低レベルの水を含有するカルボナート溶媒(プロピレンカルボナート、ジメチルカルボナート、ジエチルカルボナート、エチルメチルカルボナート、若しくはそれらの任意の混合物など)を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(c)における前記溶媒は、エーテル溶媒(ジエチルエーテルなど)、ニトリル溶媒(アセトニトリル若しくはプロピオニトリルなど)、カルボキシラート溶媒(酢酸エチルなど)、又は水を含有しないか、若しくは前記水及び前記溶媒が依然として25℃で混和性であるように低レベルの水を含有するカルボナート溶媒(プロピレンカルボナート、ジメチルカルボナート、ジエチルカルボナート、エチルメチルカルボナートなど)を含む、請求項1、2、又は3に記載の方法。
【請求項5】
最後のかき混ぜるステップ(c)は、回収された電解質塩の精製を行うのに役立つ、請求項1~
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記カルボナート溶媒は、ジメチルカルボナート、ジエチルカルボナート、エチルメチルカルボナート、プロピレンカルボナート、又はそれらの混合物である、請求項1~
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記かき混ぜるステップ(c)で使用される溶媒は、水を含有しないか、又は前記水及びカルボナート溶媒が依然として25℃で混和性であるように低レベルの水を含有する、カルボナート溶媒を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
リチウム電池廃棄物マスが、ブラックマスを含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ブラックマスは、前記リチウム電池廃棄物マスの少なくとも80重量%を構成する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(a)前の前記リチウム電池廃棄物マスは、乾燥しており、好都合には、20g/kg未満の液体を含有する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記リチウム塩は、LiPF
6である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
溶解ステップ(a)が、50℃未満の温度で実行される、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
溶解ステップ(a)が、95重量%超の純度である水を使用して実行される、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(a)における、前記水の前記リチウムイオン電池マスとの接触時間が、5時間未満であり、好都合には、10分未満である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
蒸発させて乾燥させるステップ(b)は、真空蒸発又は噴霧乾燥によって実行される、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
溶解ステップ(a)が、動的に実行される、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
リチウム電池廃棄物マスに対する水の重量比率が、10~0.5:1であり、好都合には、3~0.5:1である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】