(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】環境にやさしい保冷剤組成物及びこれを含む保冷パック
(51)【国際特許分類】
C09K 5/06 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
C09K5/06 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578866
(86)(22)【出願日】2022-11-02
(85)【翻訳文提出日】2023-12-20
(86)【国際出願番号】 KR2022016959
(87)【国際公開番号】W WO2023090698
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0159646
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513280854
【氏名又は名称】オーシーアイ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OCI Company Ltd.
【住所又は居所原語表記】94,Sogong-ro,Jung-gu,Seoul,100-718(KR)
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ,セウン
(72)【発明者】
【氏名】オ,フィス
(72)【発明者】
【氏名】イ,サン ヨプ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ソク キョン
(57)【要約】
【課題】環境にやさしい特性を有するとともに、保冷性能を長期間維持することができる保冷剤組成物を提供することにある。
また、前記保冷剤組成物を含む保冷パックを提供することにある。
【解決手段】非晶質酸化物と、二成分イオン結合化合物(Binary Ionic Compound)と、水を含む保冷剤組成物において、前記保冷剤組成物の総有機炭素量(Total Organic Carbon、TOC)は、0ppm乃至1ppmであることを特徴とする。
また、前記非晶質酸化物は、非晶質遷移金属酸化物、非晶質遷移後金属酸化物、及び非晶質半金属酸化物の中で少なくとも1つを含むことを特徴とする。
前記非晶質酸化物は、チタニア(TiO
2)、アルミナ(Al
2O
3)、シリカ(SiO
2)、及びジルコニア(ZrO
2)の中で選択された少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶質酸化物と、
二成分イオン結合化合物(Binary Ionic Compound)と、
水を含む保冷剤組成物において、
前記保冷剤組成物の総有機炭素量(Total Organic Carbon、TOC)は、0ppm乃至1ppmであることを特徴とする保冷剤組成物。
【請求項2】
前記非晶質酸化物は、非晶質遷移金属酸化物、非晶質遷移後金属酸化物、及び非晶質半金属酸化物の中で少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の保冷剤組成物。
【請求項3】
前記非晶質酸化物は、チタニア(TiO
2)、アルミナ(Al
2O
3)、シリカ(SiO
2)、及びジルコニア(ZrO
2)の中で選択された少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の保冷剤組成物。
【請求項4】
前記非晶質酸化物は、チタニア(TiO
2)、アルミナ(Al
2O
3)、シリカ(SiO
2)、及びジルコニア(ZrO
2)の中で選択された2種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の保冷剤組成物。
【請求項5】
前記非晶質酸化物は、非晶質金属酸化物及び非晶質半金属酸化物を含み、
前記非晶質金属酸化物は、チタニア(TiO
2)、アルミナ(Al
2O
3)、及びジルコニア(ZrO
2)の中で選択された少なくとも1つを含み、
前記非晶質半金属酸化物は、シリカ(SiO
2)を含むことを特徴とする請求項1に記載の保冷剤組成物。
【請求項6】
前記シリカ(SiO
2)は、ヒュームドシリカ(Fumed Silica、FS)であることを特徴とする請求項5に記載の保冷剤組成物。
【請求項7】
前記保冷剤組成物は、高分子及び有機化合物を含まないことを特徴とする請求項1に記載の保冷剤組成物。
【請求項8】
前記非晶質酸化物は、1次粒子が連結されて形成された凝集体を含み、
前記凝集体は、3次元の立体構造を有することを特徴とする請求項1に記載の保冷剤組成物。
【請求項9】
前記非晶質酸化物の前記1次粒子の平均直径は、2nm乃至50nmであり、
前記非晶質酸化物の比表面積は、40m
2/g乃至500m
2/gであることを特徴とする請求項8に記載の保冷剤組成物。
【請求項10】
前記二成分イオン結合化合物(Binary Ionic Compound)は、アルカリ金属塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属塩、アルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、及び炭酸水素塩の中で選択された少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の保冷剤組成物。
【請求項11】
前記二成分イオン結合化合物(Binary Ionic Compound)は、水酸化ナトリウム(NaOH)及び塩化ナトリウム(NaCl)の中で少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の保冷剤組成物。
【請求項12】
前記保冷剤組成物の総重量基準に、
前記非晶質酸化物の含量は、0.1wt%乃至18wt%であり、
前記二成分イオン結合化合物の含量は、0.01wt%乃至7wt%であることを特徴とする請求項1に記載の保冷剤組成物。
【請求項13】
前記保冷剤組成物のpHは、5.5乃至8.5であることを特徴とする請求項1に記載の保冷剤組成物。
【請求項14】
前記保冷剤組成物の粘度は、200cps乃至10、000cpsであることを特徴とする請求項1に記載の保冷剤組成物。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14のいずれかの一項に記載の保冷剤組成物と、
前記保冷剤組成物を密封する包装材と、を含むことを特徴とする保冷パック。
【請求項16】
前記包装材は、PE(polyethylene)、LLDPE(linear low-density polyethylene)、PP(polypropylene)、PVC(polyvinyl chloride)、及びPET(polyethylene terephthalate)で成された群で選択された1種以上を含むことを特徴とする請求項15に記載の保冷パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は環境にやさしい保冷剤組成物及びこれを含む保冷パックに係り、より詳しくは環境にやさしい特性を有するとともに、保冷性能を長期間維持することができる環境にやさしい保冷剤組成物及びこれを含む保冷パックに関する。
【背景技術】
【0002】
保冷剤は密閉された容器内部の食品、医薬品等を一定期間低温状態に維持させることができる役割をする。保冷剤として氷を利用する場合、氷が溶けて水が外部に流れて保管物品を汚染させるか、或いは密閉された容器が破損されるという問題がある。したがって、氷に代わる保冷剤組成物の主成分で高吸収性高分子(Super Absorbent Polymer、SAP)が使用されている。
【0003】
高吸収性高分子は体積を膨張させることによって、樹脂自体重量の40乃至1、000倍に至る水の吸収が可能であり、凍結されれば、長時間冷気を提供することができるので、保冷剤組成物の主要成分として使用されて来た。しかし、高吸収性高分子はマイクロプラスチックとして分類される。高吸収性高分子を放流する場合、プランクトンと海洋生物がマイクロプラスチックを摂取して生態系の破壊をもたらすことになる。したがって、最近保冷剤組成物に対する環境規制が厳しくなって、高吸収性高分子の放流が制限されている実情である。
【0004】
代替方案として、保冷剤組成物の主成分として澱粉又は小麦粉などの食用粉末を適用しようとしたが、細菌繁殖の問題で保冷剤組成物として長時間活用できないという問題点があった。また、食用粉末の場合、小さい体積密度を有するので、保冷剤組成物の安定性が低下する可能性があるという問題点があった。したがって、環境にやさしい特性を確保するとともに、高い保冷性能を維持することができる保冷剤組成物に対する研究が続いているのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、環境にやさしい特性を有するとともに、保冷性能を長期間維持することができる保冷剤組成物を提供することにある。
また、前記保冷剤組成物を含む保冷パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の概念による、保冷剤組成物は非晶質酸化物、二成分イオン結合化合物(Binary Ionic Compound)、及び水を含むことができ、前記保冷剤組成物の総有機炭素量(Total Organic Carbon、TOC)は0ppm乃至1ppmであり得る。
本発明の他の概念による、保冷パックは前記保冷剤組成物及び前記保冷剤組成物を密封する包装材を含むことができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明による保冷剤組成物は高分子及び有機化合物を含まず、総有機炭素量(TOC)が非常に低いので、放流が可能な環境でやさしい特性を有することができる。これと同時に、本発明による保冷剤組成物は3次元立体構造を有する非晶質酸化物を含むことによって、長時間に保冷性能を維持することができる。これに加えて、本発明による保冷剤組成物は水溶液内で安定的な分散状態を維持することができ、細菌繁殖又は保管物品が汚染されることを防止することができるので、長期保管性が確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の非晶質酸化物を含む保冷パックを示す断面図である。
【
図2】本発明の非晶質酸化物の構造を示した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の構成及び効果を十分に理解するために、添付した図面を参照して本発明の望ましい実施形態を説明する。しかし、本発明は以下で開示される実施形態に限定されることではなく、様々な形態に具現されることができ、多様な変更を加えることができる。但し、本実施形態の説明を通じて本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されているものである。
【0010】
本明細書で使用された用語は実施形態を説明するためのものであり、本発明を制限しようとすることではない。本明細書で、単数形は文句で特別に言及しない限り、複数形も含む。明細書で使用される‘含む(comprises)’及び/又は‘含んでいる(comprising)’は言及された構成要素は1つ以上の他の構成要素の存在又は追加を排除しない。
【0011】
図1は本発明に実施形態による非晶質酸化物を含む保冷パックを示す断面図である。
図2は本発明の実施形態による非晶質酸化物の構造を示した拡大図である。
図1及び
図2に示す通り、保冷パックCPは保冷剤組成物CC及び包装材PMを含むことができる。前記保冷剤組成物CCは非晶質酸化物、二成分イオン結合化合物(Binary Ionic Compound)、及び水を含むことができる。
【0012】
本発明の非晶質酸化物は非晶質金属酸化物及び非晶質半金属酸化物の中で少なくとも1つを含むことができる。非晶質金属酸化物は非晶質遷移金属酸化物又は非晶質遷移後金属酸化物を含むことができる。非晶質遷移金属酸化物は、例えばチタニア(TiO2)又はジルコニア(ZrO2)を含むことができる。非晶質遷移後金属酸化物は、例えばアルミナ(Al2O3)を含むことができる。非晶質半金属酸化物は、例えばシリカ(SiO2)を含むことができる。
【0013】
一部の実施形態で、非晶質酸化物は、例えばチタニア(TiO2)、アルミナ(Al2O3)、シリカ(SiO2)、及びジルコニア(ZrO2)の中で選択された少なくとも1つを含むことができる。一部の実施形態で、非晶質酸化物は、例えばチタニア(TiO2)、アルミナ(Al2O3)、シリカ(SiO2)、及びジルコニア(ZrO2)の中で選択された2種以上を含むことができる。一部の実施形態で、非晶質酸化物は非晶質金属酸化物及び非晶質半金属酸化物を含むことができる。例えば、非晶質酸化物はチタニア(TiO2)、アルミナ(Al2O3)、及びジルコニア(ZrO2)の中で選択された少なくとも1つとシリカ(SiO2)を含むことができる。
【0014】
本発明の実施形態による非晶質酸化物は複数の1次粒子PPが連結されて形成された凝集体(AG、aggregate)を含むことができる。詳細には、1次粒子PP間の衝突によって互いに連結されて、凝集体AGが形成されることができる。したがって、凝集体AGは枝を含む3次元の立体構造を有することができる。非晶質酸化物は水溶液内の他の化合物に対して混和性を持つことができる。例えば、非晶質酸化物の3次元枝構造内に水溶液が閉じ込められ、非晶質酸化物の凝集体AGは担持体の役割をすることができる。非晶質酸化物の1次粒子PPの平均直径は、例えば2nm乃至50nmであり得る。非晶質酸化物の比表面積は、例えば40m2/g乃至500m2/gであり得る。
【0015】
本発明のシリカ(SiO2)は非晶質の二酸化ケイ素であり、一例として、ヒュームドシリカ(Fumed Silica、FS)を含むことができる。ヒュームドシリカは単独に存在する時、白色の粉末形態であり得る。ヒュームドシリカは親水性を有することができる。したがって、ヒュームドシリカは水溶液内の他の化合物に対して混和性を持つことができる。
【0016】
一例として、ヒュームドシリカを構成する1次粒子PPの平均直径は、例えば2nm乃至50nmであり、ヒュームドシリカの比表面積は、例えば、40m2/g乃至500m2/gであり得る。ヒュームドシリカは塩化シランが酸素と水素で形成された1、000℃以上の火炎内で加水分解されて形成されることができる。ヒュームドシリカは火炎内で作られた1次粒子PP間の衝突によって互いに連結されて、凝集体AGが形成されることができる。凝集体AGのサイズは、例えば1μm乃至500μmであり得る。結晶質シリカ(Crystalline silica)とは異なりに、非晶質シリカ(Amorphous silica、SiO2)を摂取しても消化管で概ね吸収されなく大部分排泄されるので、非晶質シリカ(Amorphous silica)は人体に影響を与えず、毒性が低い無害な物質として知られている。
【0017】
本発明によれば、3次元立体構造を有する非晶質酸化物の水分散体を保冷剤として使用することによって、凝集体AG間の水素結合(Hydrogen bond)及び/又はファンデルワールス力(Van der Waals force)で形成された3次元立体構造のフレームワーク(Framewrok)に水分子が閉じ込められる可能性がある。
したがって、保冷剤組成物CCが凍結されれば、長時間冷気を提供することができる。また、熱伝導率の側面で、3次元立体構造によって凝集体AG間の界面によって熱伝達が活発に働かなくなり、既存の温度を維持するのに効果的であり得る。
【0018】
保冷剤組成物CCの総重量基準に、非晶質酸化物の含量は、例えば0.1wt%乃至18wt%であり得る。非晶質酸化物の含量が0.1wt%未満である場合、保冷剤組成物CCの粘度が十分に確保できず、保冷パックCPの模様が容易に変形されることができる。非晶質酸化物の含量が18wt%を超過する場合、非晶質酸化物が均一に混ぜることができず、単位質量当たり格納することができるエネルギーが減少することができるので、保冷性能が低下されることができる。
【0019】
本発明の二成分イオン結合化合物(Binary Ionic Compound)はアルカリ金属塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属塩、アルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、及び炭酸水素塩の中で選択された少なくとも1つを含むことができる。一部の実施形態で、二成分イオン結合化合物は、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)及び塩化ナトリウム(NaCl)の中で少なくとも1つを含むことができる。一部の実施形態で、二成分イオン結合化合物は、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)及び塩化ナトリウム(NaCl)を含むことができる。二成分イオン結合化合物は保冷剤組成物CCのpHを調節する役割をすることができ、保冷剤組成物CC内の構成成分を結合させ、ゲル化を促進する役割をすることができる。したがって、二成分イオン結合化合物は非晶質酸化物を含む水溶液の上(phase)を安定化させることができる。
【0020】
保冷剤組成物CCの総重量基準に、二成分イオン結合化合物の含量は、例えば、0.01wt%乃至7wt%であり得る。二成分イオン結合化合物の含量が0.01wt%未満である場合、水溶液のpHが低くなって保冷剤組成物CCの水溶液の相が不安定になり、構成成分間の結合力及びゲル化度が十分でないことがあり得る。二成分イオン結合化合物の含量が7wt%を超過する場合、保冷剤組成物CCの粘度が必要以上に高くなって、保冷性能が低下されることができる。
【0021】
本発明の水は前記非晶質酸化物及び前記二成分イオン結合化合物を均一に分散させる溶媒役割をすることができる。水は、例えば脱イオン水、純水、超純水、蒸留水、水道水、RO水、及び工業用水の中で少なくとも1つを使用することができる。水は、例えば保冷剤組成物CC100重量%を満足させる残量であり得る。
【0022】
本発明の保冷剤組成物CCのpHは、例えば5.5乃至8.5であり得る。本発明の実施形態による保冷剤組成物CCの粘度は、例えば200cps乃至10、000cpsであり得る。
【0023】
本発明の保冷剤組成物CCは高分子及び有機化合物を含まないことがあり得る。一例として、保冷剤組成物CCは高吸収性高分子(Super Absorbent Polymer、SAP)を含まないことがあり得る。他の例として、保冷剤組成物CCは微細プラスチックを含まないことがあり得る。一部の実施形態で、保冷剤組成物CCの総有機炭素量(Total Organic Carbon、TOC)は、例えば、0ppm乃至1ppmであり得る。本明細書で、総有機炭素量(TOC)が0ppmであることは保冷剤組成物CC内に有機炭素が存在しないか、又は総有機炭素量(TOC)を測定する装置では検出されない程度の極少量の有機炭素を含むことを意味する。
【0024】
本発明によれば、保冷剤組成物CCはマイクロプラスチックとして分類される高吸収性高分子(SAP)を含まず、保冷剤組成物CCの総有機炭素量(TOC)が0ppm乃至1ppmであり得る。したがって、本発明の保冷剤組成物CCは海洋生物に無害なので、放流が可能な環境にやさしい特性を有することができる。したがって、だんだん強化されているpH、TOC、及び/又は浮遊固形物(Suspended Solid、SS)量に対する環境基準を満足して環境汚染の問題を生じさせず、廃棄の時に発生する負担金に対する問題を解決することができる保冷剤組成物CCを提供することができる。
【0025】
これに加えて、高吸収性高分子(SAP)を主成分として含む一般的な保冷剤組成物とは異なり、本発明の保冷剤組成物CCは水溶液の内部で安定的な分散状態を維持することができる。したがって、別の防腐剤無しでも細菌繁殖又は保管物品が汚染されることを防止することができ、長期保管性が確保されることができる。
【0026】
本発明による包装材PMは保冷剤組成物CCを密封することができる。前記包装材PMは、例えばPE(polyethylene)、LLDPE(linear low-densitypolyethylene)、PP(polypropylene)、PVC(polyvinyl chloride)、及びPET(polyethylene terephthalate)で成された群で選択された少なくとも1つを含むことができる。前記包装材PMは薄いフィルムであり得る。したがって、保冷パックCPの重さを減らすことができ、生産単価を下げることができる。
【0027】
<実施例1及び比較例1>
実施例1
3次元立体構造のシリカ(SiO2)水分散液、水酸化ナトリウム(NaOH)、及び塩化ナトリウム(NaCl)を投入した後、撹拌して、実施例1による保冷剤組成物(pH7)を製造した。実施形態1の保冷剤組成物のシリカの含量は、5wt%であり、塩化ナトリウム(NaCl)の含量は、1wt%であった。水酸化ナトリウム(NaOH)は保冷剤組成物のpHが7になるまで添加した。
比較例1
既存の保冷剤として使用する、イオンが全て除去された純水(Deionized water)を保冷剤として使用した。
【0028】
<実験例>
保冷性評価
外部温度露出の影響を評価するISTA 7D Summer Profileを利用して実験を進行した。実施例1及び比較例1にしたがう保冷剤組成物を各々0.5kgずつ採取した後、-18℃で72時間の間に冷却した。温度湿度調節チャンバー(Chamber)で、前記冷却された保冷剤組成物の各々が3℃に到達する時間を測定して、その結果を下記の表1に表示した。
【0029】
【表1】
前記表1を通じて分かるように、実施例1による保冷剤組成物は既存の市販されている水保冷剤(比較例1)と同等又はその以上水準の保冷性を確保することができることを確認することができた。
また、前記表1に示したように、実施例1による保冷剤組成物は比較例1と同様に別の有機化合物を含まないので、TOC(Total organic carbon)が1ppm未満に測定された。
これに加えて、実施例1による保冷剤組成物の粘度は比較例1より高いことと測定された。実施形態1の保冷剤組成物が一定粘度を有することによって、常温で安定的な分散状態を維持して長期保管性を確保することができることを確認することができる。
【0030】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更しないでも他の具体的な形態に実施されることができることを理解できる。したがって、以上で記述した実施形態はすべての面で例示的なものであり、限定的ではないことと理解しなければならない。
【国際調査報告】