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特表2024-526577銅粒子を含む導電性ペーストおよび電子部品の製造のためのその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】銅粒子を含む導電性ペーストおよび電子部品の製造のためのその使用
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/22 20060101AFI20240711BHJP
   C04B 35/01 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
H01B1/22 A
C04B35/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579055
(86)(22)【出願日】2022-06-16
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 US2022072979
(87)【国際公開番号】W WO2022272224
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】63/214,627
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523478687
【氏名又は名称】デュポン チャイナ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】橘 勇介
(72)【発明者】
【氏名】松浦 有美
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 美江
【テーマコード(参考)】
5G301
【Fターム(参考)】
5G301DA06
5G301DA34
5G301DA42
5G301DD01
5G301DD02
5G301DE01
(57)【要約】
本明細書では、銅粒子、ガラスフリット、および有機ビヒクルを含む導電性ペーストを提供する。導電性ペーストは、誘電体フィルタなどの電子部品の前駆体として有用である。本明細書では、誘電体フィルタなどの電子部品の製造方法をさらに提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性ペーストであって、(i)0.8~2.6μmのD50を有するCu粉末、(ii)ガラスフリット、および(iii)有機ビヒクルを含む、導電性ペースト。
【請求項2】
前記銅粉末が、1μm未満のサイズを有する粒子を50%未満有する、請求項1に記載のペースト。
【請求項3】
前記銅粉末が、2μm未満のサイズを有する粒子を32%を超えて有する、請求項1または2に記載のペースト。
【請求項4】
前記銅粉末が1.2~4.5μmのD90を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のペースト。
【請求項5】
前記銅粉末が1.5~5.5μmのD95を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のペースト。
【請求項6】
前記銅粉末が、0.8~2.8μmの平均粒径を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のペースト。
【請求項7】
前記銅粉末が、懸濁媒体として水を使用してレーザー回折によって測定した場合に0.8~2.6μmのD50を有し、そして1μm未満のサイズを有する粒子を50%未満有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のペースト。
【請求項8】
前記銅粉末が球状の粒子を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のペースト。
【請求項9】
前記粒子が、1対1.2、好ましくは1対1.1のアスペクト比を有する、請求項8に記載のペースト。
【請求項10】
前記銅粉末の比表面積が、0.1~8.0m/g、より好ましくは0.3~4.0m/g、特に好ましくは0.5~2.0m/gである、請求項1から9のいずれか一項に記載のペースト。
【請求項11】
前記銅粉末が、前記導電性ペーストの重量に基づいて、40~95重量パーセント(wt%)、より好ましくは52~93wt%、特に好ましくは65~92wt%で使用される、請求項1から10のいずれか一項に記載のペースト。
【請求項12】
前記ガラスフリットが、酸化ビスマス(Bi)、酸化ホウ素(B)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ケイ素(SiO)およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される金属酸化物から製造される、請求項1から11のいずれか一項に記載のペースト。
【請求項13】
前記ガラスフリットが、Si-B-Znガラス、Bi-B-Znガラス、またはそれらの混合物である、請求項1から12のいずれか一項に記載のペースト。
【請求項14】
前記ガラスフリットが鉛を含まない、請求項1から13のいずれか一項に記載のペースト。
【請求項15】
前記ガラスフリットが、少なくとも約350℃、400℃、450℃、500℃、または550℃の軟化点を有し、前記ガラスフリットの軟化点が、約900℃以下、約875℃以下、約850℃以下、約750℃以下、または約700℃以下である、請求項1から14のいずれか一項に記載のペースト。
【請求項16】
前記ガラスフリットが、SiO、B、Al、Bi、CaOおよびZnOを含む混合物から製造される、請求項1から15のいずれか一項に記載のペースト。
【請求項17】
前記ガラスフリットが、5~9wt%のSiO、5~12wt%のB、1~3wt%のAl、65~75wt%のBi、0.1~1wt%のCaO、および8~16wt%のZnOを含む混合物から製造される、請求項1から16のいずれか一項に記載のペースト。
【請求項18】
前記ガラスフリットが、7.1wt%のSiO、8.4wt%のB、2.1wt%のAl、69.8wt%のBi、0.5wt%のCaO、および12.0wt%のZnOを含む、請求項1から17のいずれか一項に記載のペースト。
【請求項19】
前記ガラスフリットの粒径(D50)が、0.1~15μm、より好ましくは0.5~11μm、より特に好ましくは1.0~6.8μm、および1.5~4.5μmである、請求項1から18のいずれか一項に記載のペースト。
【請求項20】
前記ガラスフリットが、前記導電性ペーストの総重量に基づいて、0.5~2wt%、より好ましくは0.7~1.8wt%、特に好ましくは0.8~1.5wt%で前記導電性ペースト中に使用される、請求項1から19のいずれか一項に記載のペースト。
【請求項22】
前記有機ビヒクルが、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ウッドロジン、フェノール樹脂、低級(C1~6)アルコールのポリメタクリレート、およびそれらの混合物からなる群から選択される有機ポリマーを含む、請求項1から21のいずれか一項に記載のペースト。
【請求項23】
前記有機ポリマーが、前記有機ビヒクルの重量に基づいて、好ましくは0.1~50wt%、0.5~42wt%、1~35wt%、2~27wt%、および特に好ましくは3~15wt%で使用される、請求項22に記載のペースト。
【請求項24】
前記有機ビヒクルが、テキサノール(2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート)、エステルアルコール、テルピネオール、ケロシン、フタル酸ジブチル、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、ジブチルカルビトール、ヘキシレングリコール、二塩基性エステル、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される溶媒を含む、請求項1から23のいずれか一項に記載のペースト。
【請求項25】
前記溶媒が、前記有機ビヒクルの重量に基づいて、75~95wt%、より好ましくは80~93wt%、より特に好ましくは85~93wt%で使用される、請求項24に記載のペースト。
【請求項26】
前記有機ビヒクルが、エチルセルロースとテキサノールの混合物を含む、請求項1から25のいずれか一項に記載のペースト。
【請求項27】
前記有機ビヒクルが、前記有機ビヒクルの重量に基づいて、3~15wt%のエチルセルロースおよび85~93wt%のテキサノールを含む、請求項1から26のいずれか一項に記載のペースト。
【請求項28】
前記有機ビヒクルが、前記導電性ペーストの重量に基づいて、5~30wt%、より好ましくは6~15wt%、特に好ましくは7~10wt%で使用される、請求項1から27のいずれか一項に記載のペースト。
【請求項29】
電子部品を製造する方法であって、(a)セラミック基体を準備するステップと、(b)請求項1から30のいずれかに記載の導電性ペーストを前記セラミック基体上に適用するステップと、(c)前記セラミック基体を、前記適用された導電性ペーストと共に焼成するステップとを含む、方法。
【請求項30】
前記セラミック基体が、9~50、より好ましくは15~45、特に好ましくは20~40の誘電率εγを有する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記セラミック基体が、Al、BaTi、BaTi20、BaSnO、BaMgO、BaTaO、BaZrO、Ba(ZrTi)O、Ba(NiTa)O、Ba(ZrZnTa)O、Ba(Mg1/3Ta2/3)O、Ba(Mg1/3Nb2/3)O、Ba(Zn1/3Ta2/3)O、Ba(Zn1/3Nb2/3)O、Ba(Mn1/3Ta2/3)O、CaTiO、(CaSrBa)ZrO、MgTiO、(Mg0.95Ca0.05)TiO、SrZrO、Sr(Zn1/3Nb2/3)O、Sr(Zn1/3Ta2/3)O、ZrTiO、(Zr0.8Sn0.2)TiO、およびそれらの2種以上の混合物、から選択される、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記セラミック基体が、Al、MgTiO、(Mg0.95Ca0.05)TiO、Ba(Mg1/3Ta2/3)O、BaTi、BaTi20、Ba(Zn1/3Ta2/3)O、およびBa(Zn1/3Nb2/3)O、(Zr0.8Sn0.2)TiO、およびそれらの2種以上の混合物、からなる群から選択される、請求項29から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記導電性ペーストを、スクリーン印刷、スプレーまたは浸漬によって適用する、請求項29から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記導電性ペーストを、前記焼成ステップの前に乾燥させる、請求項29から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記焼成ステップを、600~1100℃、650~1050℃、または800~1000℃で実行する、請求項29から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記焼成ステップを、窒素、アルゴンまたは真空下などの酸素不足雰囲気下で実行する、請求項29から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記焼成を、3~30分、5~20分、または7~15分間実行する、請求項29から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記電子部品が誘電体フィルタである、請求項29から37のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の分野に関し、詳細には、基体(substrate)上に堆積された電極、およびそのような電極を用いて製造された誘電体フィルタなどの部品に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明が関係する従来技術をより完全に説明するために、いくつかの特許および刊行物をこの明細書で引用する。これらの特許および刊行物のそれぞれの全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
通信システムでは、さまざまな周波数の電波が使用される。用途に応じて、特定の範囲の周波数が割り当てられる。
帯域フィルタは、設計対象の周波数範囲を選択し、選択されていない周波数を拒否する。金属空洞フィルタおよび誘電体フィルタなど、いくつかのタイプのフィルタが知られている。誘電体フィルタには、小型化および軽量化が可能であり、信頼性が高く、製造コストが比較的低いという利点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
製造の柔軟性を与え、場合によってはコストが削減される、さまざまな材料で作製された誘電体フィルタの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様では、本発明は、導電性ペーストであって、(i)0.8~2.6μmのD50を有するCu粉末、(ii)ガラスフリット、および(iii)有機ビヒクルを含む、導電性ペーストを提供する。
【0006】
第2の態様では、本発明は、電子部品を製造する方法であって、(a)セラミック基体を準備するステップと、(b)セラミック基体上に導電性ペーストを適用するステップであり、導電性ペーストが、(i)0.8~2.6μmのD50を有するCu粉末、(ii)ガラスフリット、および(iii)有機ビヒクルを含む、ステップと、(c)セラミック基体および適用された導電性ペーストを焼成するステップとを含む、方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明者らは、驚くべきことに、0.8~2.6μmのD50を有する銅粒子で作製された導電性ペーストが、セラミック基体上に焼結された場合、特に品質係数で測定して良好な結果を与えることを発見した。
【0008】
一実施形態では、本発明は導電性ペーストを提供し、導電性ペーストは、(i)0.8~2.6μmのD50を有するCu粉末、(ii)ガラスフリット、および(iii)有機ビヒクルを含む。銅粉末、ガラスフリット、および有機ビヒクルの重量パーセンテージの合計は、導電性ペーストの総重量に基づいて、100wt%である。
【0009】
銅粉末
銅粉末は、好ましくは純銅粉末である。また、有機材料によって全体的または部分的に被覆された銅粉末、および酸化銅によって全体的または部分的に被覆された銅粉末も好適である。純銅粉末は、被覆、非被覆、または部分被覆にかかわらず、好ましくは、少なくとも99.0wt%、少なくとも99.5wt%、少なくとも99.9wt%、または少なくとも99.99wt%の元素状銅を含む。
【0010】
懸濁媒体として水を使用し、MIE理論に基づいて計算して、ASTMB822-20法によるレーザー回折によって測定した場合、0.8~2.6μmのD50を有する限り、任意の銅粉末が本発明での使用に好適である。
【0011】
好ましい実施形態では、銅粉末は、懸濁媒体として水を使用し、レーザー回折によって測定した場合、0.8~2.5μm、より好ましくは0.9~2.5μm、より特に好ましくは1.0~2.4μmのD50を有する。
【0012】
好ましい実施形態では、銅粉末は、水を懸濁媒体として使用し、レーザー回折によって測定した場合、1~2.6μmの平均粒径を有する。粒径の測定方法は、銅粉末のD50を決定するために上述したのと同じである。
【0013】
別の好ましい実施形態では、銅粉末は、懸濁媒体として水を使用し、レーザー回折によって測定した場合、1μm未満のサイズを有する粒子を2.9~39.8%有する。
別の好ましい実施形態では、銅粉末は、懸濁媒体として水を使用し、レーザー回折によって測定した場合、2μm未満のサイズを有する粒子を36~98%有する。
【0014】
好ましい実施形態では、銅粉末は、1μm未満のサイズを有する粒子を50%未満有する。
別の好ましい実施形態では、銅粉末は、2μm未満のサイズを有する粒子を32%を超えて有する。
【0015】
別の好ましい実施形態では、銅粉末は、懸濁媒体として水を使用し、レーザー回折によって測定した場合、0.5~1.0μmのDを有する。
別の好ましい実施形態では、銅粉末は、懸濁媒体として水を使用し、レーザー回折によって測定した場合、0.6~1.2μmのD10を有する。
【0016】
別の好ましい実施形態では、銅粉末は、懸濁媒体として水を使用し、レーザー回折によって測定した場合、1.2~4.5μm、好ましくは1.5~4.3μmのD90を有する。
【0017】
別の好ましい実施形態では、銅粉末は、懸濁媒体として水を使用し、レーザー回折によって測定した場合、1.5~5.5μm、好ましくは1.7~5.1μmのD95を有する。
【0018】
別の好ましい実施形態では、銅粉末は、1.0~2.6μmの平均粒径を有する。
特に好ましい実施形態では、銅粉末は、懸濁媒体として水を使用してレーザー回折によって測定した場合に0.8~2.6μmのD50を有し、そして1μm未満のサイズを有する粒子を50%未満有する。
【0019】
別の特に好ましい実施形態では、銅粉末は、懸濁媒体として水を使用してレーザー回折によって測定した場合に0.8~2.6μmのD50を有し、そして2μm未満のサイズを有する粒子を32%を超えて有する。
【0020】
別の特に好ましい実施形態では、銅粉末は、懸濁媒体として水を使用してレーザー回折によって測定した場合に0.8~2.6μmのD50を有し、1μm未満のサイズを有する粒子を50%未満有し、そして2μm未満のサイズを有する粒子を32%を超えて有する。
【0021】
特に好ましい実施形態では、銅粉末は、懸濁媒体として水を使用し、レーザー回折によって測定した場合、0.8~2.6μmのD50および1.2~4.5μmのD90を有する。
【0022】
別の好ましい実施形態では、銅粉末は、懸濁媒体として水を使用し、レーザー回折によって測定した場合、0.5~1.0μmのDおよび1.0~2.4μmのD50を有する。
【0023】
別の好ましい実施形態では、銅粉末は、懸濁媒体として水を使用し、レーザー回折によって測定した場合、0.6~1.2μmのD10および1.0~2.4μmのD50を有する。
【0024】
別の好ましい実施形態では、銅粉末は、懸濁媒体として水を使用し、レーザー回折によって測定した場合、1.5~4.3μmのD90および1.0~2.4μmのD50を有する。
【0025】
別の好ましい実施形態では、銅粉末は、懸濁媒体として水を使用し、レーザー回折によって測定した場合、1.7~5.1μmのD95および1.0~2.4μmのD50を有する。
【0026】
別の好ましい実施形態では、銅粉末は、懸濁媒体として水を使用し、レーザー回折によって測定した場合、0.5~1.0μmのD、0.6~1.2μmのD10、および1.0~2.4μmのD50、1.5~4.3μmのD90、1.7~5.1μmのD95および1.0~2.4μmのD50を有する。
【0027】
銅粉粒子の形状は特に限定されないが、球状の粒子が好ましい。球状とは、倍率400~5500倍、好ましくは倍率5000倍の走査型電子顕微鏡下で大体等長に見える(すなわち、どの軸においてもおよそ同じ寸法を有する)粒子を意味する。好ましくは、粒子はまた、1対1.2、より好ましくは1対1.1のアスペクト比を有する。
【0028】
銅粉末の比表面積(SA)は、好ましくは0.1~8.0m/g、より好ましくは0.3~4.0m/g、特に好ましくは0.5~2.0m/gである。比表面積は、Quantachrome Instruments Corporation製のMonosorb(商標)などの装置を用いて、ASTM B922-22などのBET法によって測定することができる。
【0029】
銅の粒径が小さすぎると、焼成プロセス中の焼結が速すぎてクラックが発生しやすくなる。クラックがひどい場合、焼結銅膜が剥離するか、または導電率が大幅に低下する場合がある。銅の粒径が大きすぎると、焼結が十分に行われず、銅焼結膜の導電性が十分に達成されない場合があるか、または銅焼結膜は内部にボイドが発生して導電性が妨害されてしまう場合がある。
【0030】
銅粉末は、導電性ペーストの重量に基づいて、好ましくは40~95重量パーセント(wt%)、より好ましくは52~93wt%、特に好ましくは65~92wt%で使用される。
【0031】
好適な銅粉末は、多くの周知の供給業者から市販されている。
ガラスフリット
ガラスフリットは、焼結された導電性ペーストのセラミック基体への接着性を高めるように機能する。この機能を果たす任意のガラスが、本明細書に記載の導電性ペーストでの使用に好適である。その化学組成は、別様には限定されない。
【0032】
一実施形態では、ガラスフリットは、酸化ビスマス(Bi)、酸化ホウ素(B)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ケイ素(SiO)およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される金属酸化物から製造される。
【0033】
別の実施形態では、ガラスフリットは、Si-B-Znガラス、Bi-B-Znガラス、またはそれらの混合物である。
一実施形態では、鉛(Pb)も酸化鉛もガラスフリットに意図的に添加されない。別の実施形態では、ガラスフリットは、100ppm未満、50ppm未満、5ppm未満、または1ppm未満の鉛を含む。
【0034】
ガラスフリットの軟化点は、好ましくは少なくとも約350℃、400℃、450℃、500℃、または550℃である。加えて、ガラスフリットの軟化点は、好ましくは約900℃以下、約875℃以下、約850℃以下、約750℃以下、または約700℃以下である。一部の好ましい実施形態では、ガラスフリットの軟化点は、約524℃である。
【0035】
好ましい実施形態では、ガラスフリットは、SiO、B、Al、Bi、CaOおよびZnOを含む混合物から調製される。
特に好ましい実施形態では、ガラスフリットは、ガラスフリットの総重量に基づいて、5~9wt%のSiO、5~12wt%のB、1~3wt%のAl、65~75wt%のBi、0.1~1wt%のCaO、および8~16wt%のZnOを含む混合物から調製される。より好ましい実施形態では、ガラスフリットは、ガラスフリットの総重量に基づいて、7.1wt%のSiO、8.4wt%のB、2.1wt%のAl、69.8wt%のBi、0.5wt%のCaO、および12.0wt%のZnOを含む混合物から調製される。ガラスフリットを製造する成分の重量パーセンテージの合計は100wt%である。
【0036】
ガラスフリットの粒径(D50)は、好ましくは0.1~15μm、より好ましくは0.5~11μm、より特に好ましくは1.0~6.8μm、および別の実施形態では1.5~4.5μmである。粒径(D50)は、懸濁媒体として水を使用し、例えば、MicrotracモデルS-3500を使用したレーザー散乱法によって測定することができる。粒径の測定方法は、銅粉末のD50を決定するために上述したのと同じである。
【0037】
ガラスフリットは、導電性ペーストの総重量に基づいて、好ましくは0.5~2wt%、より好ましくは0.7~1.8wt%、特に好ましくは0.8~1.5wt%のレベルで導電性ペースト中に使用される。
【0038】
好適なガラスフリットは、当技術分野で周知の方法、例えば、Jacob Hormadalyにより発行された米国特許第5,439,852号に記載されている方法によって調製することができる。本明細書に記載されるガラスフリットのすべてではないが、一部は、周知の供給業者から市販されている場合がある。
【0039】
有機ビヒクル
導電性粉末およびガラスフリットを有機ビヒクル中に分散させて導電性ペーストを形成する。好ましくは、導電性ペーストは、例えばスクリーン印刷、スプレーまたは浸漬などの従来の手段によって基体に適用するのに好適な粘度を有する。
【0040】
有機ビヒクルは、好ましくは、有機ポリマーおよび溶媒、または少なくとも1種の有機ポリマーおよび少なくとも1種の有機溶媒を含む。ある特定の実施形態では、有機ポリマーは、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ウッドロジン、フェノール樹脂、低級(C1~6)アルコールのポリメタクリレート、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択することができる。
【0041】
有機ポリマーは、有機ビヒクルの重量に基づいて、好ましくは0.1~50wt%、0.5~42wt%、1~35wt%、2~27wt%、および特に好ましくは3~15wt%のレベルで使用される。
【0042】
溶媒は、好ましくは、テキサノール(2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート)、エステルアルコール、テルピネオール、ケロシン、フタル酸ジブチル、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、ジブチルカルビトール、ヘキシレングリコール、二塩基性エステル、およびそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。溶媒は、有機ポリマーがそこで容易に溶解するように選択される。
【0043】
有機ポリマーは、有機ビヒクルの重量に基づいて、50~99.9wt%、48~99.5wt%、65~99wt%、73~98wt%、好ましくは75~95wt%、より好ましくは80~93wt%、より特に好ましくは85~93または97wt%のレベルで使用される。
【0044】
好ましい実施形態では、有機ビヒクルは、エチルセルロースとテキサノールの混合物を含む。特に好ましくは、有機ビヒクルは、有機ビヒクルの重量に基づいて、3~15wt%のエチルセルロースおよび85~93または97wt%のテキサノールを含む。
【0045】
有機ビヒクルは、任意選択で有機添加剤を含んでもよい。有機添加剤は、一実施形態における、増粘剤、安定剤、粘度調整剤、界面活性剤、およびチキソトロピー剤のうちの1種または複数であり得る。有機添加剤の量は、得られる導電性ペーストの所望の特性に依存する。
【0046】
存在する場合、任意選択の有機添加剤は、有機ビヒクルの総重量に基づいて、好ましくは、最大25wt%、最大10wt%、最大5wt%、最大2wt%、または最大1wt%のレベルで使用される。有機ポリマー、溶媒、および存在する場合には任意選択の有機添加剤の重量パーセンテージの合計は、有機ビヒクルの総重量に基づいて100wt%である。
【0047】
有機ビヒクルは、導電性ペーストの重量に基づいて、好ましくは5~30wt%、より好ましくは6~15wt%、特に好ましくは7~10wt%のレベルで使用される。
他の成分
導電性ペーストは、1つまたは複数の他の成分をさらに含んでもよい。他の成分として使用するのに好適な材料および他の成分の好適な量は、Yusuke Tachibanaによって発行された米国特許第11,228,080号に記載されている。簡単に説明すると、他の成分には有機材料および無機添加剤が含まれる。好ましい有機材料としては、増粘剤、安定剤、粘度調整剤、界面活性剤、およびチキソトロピー剤が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい無機添加剤としては、酸化銅(CuO、Cu2O)、酸化鉄(FeO、Fe2O3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO2)、リチウムルテニウム酸化物(Li2RuO3)、およびこれらの酸化物のうちの2種以上の組み合わせ、からなる群から選択される金属酸化物が挙げられるが、これらに限定されない。また好ましくは、金属酸化物は、0.1~10μmのD50を有する粉末である。
【0048】
導電性ペーストの製造方法
本発明の導電性ペーストは、銅粉末、ガラスフリット、および存在する場合には他の成分を、分散機などのミキサー内の有機ビヒクル中に分散させ、例えば3本ロールミルを使用して混合物を均質化することによって製造する。
【0049】
電子部品およびその製造方法
本発明はまた、電子部品を製造する方法であって、(a)セラミック基体を準備するステップと、(b)セラミック基体上に導電性ペーストを適用するステップであり、導電性ペーストが、(i)0.8~2.6μmのD50を有する銅粉末、(ii)ガラスフリット、および(iii)有機ビヒクルを含む、ステップと、(c)セラミックを、適用された導電性ペーストと共に焼成するステップとを含む、方法を提供する。
【0050】
セラミック基体は、好ましくは9~50であり、より好ましくは15~45であり、特に好ましくは20~40の誘電率、εγを有する。セラミック基体の誘電率は、公知の方法、例えば5GHzにおけるASTM規格D2520(2013)の方法により測定することができる。このようなセラミック基体は、例えば無線周波数範囲で使用されるセラミックフィルタに好適である。より具体的には、このようなセラミック基体は、1GHz~10GHzの範囲での使用に好適である。
【0051】
好ましいセラミック基体には、ある特定の金属酸化物成分で作製されたものが含まれる。
セラミック基体の金属成分は、例えば、Al、Ba、Ca、La、Mg、Mn、Nb、Nd、Ni、Pb、Sm、Sn、Sr、Ta、Ti、Zn、Zr、およびこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。一部の実施形態では、セラミック基体は、少なくとも60mol%、少なくとも70mol%、少なくとも80mol%、少なくとも90mol%、少なくとも95mol%、または100mol%の、この群から選択される1つ又は複数の金属成分を含む。一実施形態では、セラミック基体の金属成分に他の金属が含まれる。
【0052】
セラミック基体としては、特に限定されないが、例えば、Al、BaTi、BaTi20、BaSnO、BaMgO、BaTaO、BaZrO、Ba(ZrTi)O、Ba(NiTa)O、Ba(ZrZnTa)O、Ba(Mg1/3Ta2/3)O、Ba(Mg1/3Nb2/3)O、Ba(Zn1/3Ta2/3)O、Ba(Zn1/3Nb2/3)O、Ba(Mn1/3Ta2/3)O、CaTiO、(CaSrBa)ZrO、MgTiO、(Mg0.95Ca0.05)TiO、SrZrO、Sr(Zn1/3Nb2/3)O、Sr(Zn1/3Ta2/3)O、ZrTiO、(Zr0.8Sn0.2)TiO、およびそれらの2種以上の混合物、から選択してもよい。好ましい実施形態では、セラミック基体は、Al、MgTiO、(Mg0.95Ca0.05)TiO、Ba(Mg1/3Ta2/3)O、BaTi、BaTi20、Ba(Zn1/3Ta2/3)O、およびBa(Zn1/3Nb2/3)O、(Zr0.8Sn0.2)TiO、からなる群から選択される。
【0053】
セラミック基体は、表面処理されていてもよい。例えば、平滑化されていてもよいし、粗面化されていてもよい。プライマー層を使用することもできる。プライマー層は、例えば、化学蒸着またはメッキによって形成することができる。
【0054】
本発明の導電性ペーストは、セラミック基体上に適用する。導電性ペーストは、例えば、スクリーン印刷、スプレーまたは浸漬によって適用することができる。別の実施形態では、導電性ペーストは、スクリーン印刷によって適用する。
【0055】
導電性ペーストは、セラミック基体の表面全体に適用しても、表面の一部に適用してもよい。
導電性ペーストの粘度は、選択した適用方法に好適であるように調整することができる。粘度を調整するための好適な方法には、導電性ペースト中の有機ビヒクルの量を調整すること、有機ビヒクル中の溶媒と有機ポリマーの比率を調整すること、有機ポリマーの分子量を調整すること、別の有機ポリマーを選択すること、または別の溶媒を選択すること、が含まれる。これらの方法のうちの2つ以上を組み合わせて使用してもよい。
【0056】
印刷による適用の場合、好ましい粘度範囲は200~450Pa・sである。浸漬による適用の場合、好ましくは、粘度は4~10Pa・sの範囲である。スプレーによる適用の場合、好ましい粘度範囲は0.5~4Pa・sである。
【0057】
好ましくは、導電性ペーストの粘度は、10rpmでスピンドルSC4-14を使用するBrookfield HBT、10rpmでスピンドルSC4-14を使用するRVT、または10rpmでスピンドルSC4-14を使用するLVTによって測定して、0.5~450Pa・s、別の実施形態では1~400Pa・s、別の実施形態では5~350Pa・s、別の実施形態では10~300Pa・sである。
【0058】
導電性ペーストは、典型的には、一実施形態では5~40μmの厚さ、別の実施形態では7~30μmの厚さ、別の実施形態では10~20μmの厚さ、または別の実施形態では7~16μmの厚さで適用する。厚さが5μmより大幅に小さい場合、品質係数は低下する。厚さが40μmを大幅に超えると、剥離が問題になる場合がある。
【0059】
導電性ペーストは、セラミック基体に適用した後、焼成ステップ前に任意選択で乾燥させてもよい。典型的な乾燥条件は、3~30分間、50~250°C、または100~150°Cである。乾燥は、揮発性要素を除去し、導電層を改善するのに役立つ。乾燥せずに焼成すると、膨れまたはボイドの形成がもたらされる場合がある。
【0060】
導電性ペーストが適用されたセラミック基体を焼成して、基体上でペーストを焼結させる。このプロセスにより、電子部品を製造する。焼成プロセス中、ガラスフリットは温度の上昇とともに徐々に軟化し、最終的には流動する。同時に、プロセス中にガラスフリットが銅粉末の焼結を促進し、それにより導電層が形成される。さらに、融解したガラスは、セラミック基体と反応する。このように、ガラス層は、セラミック基体と焼結した導電性ペーストの銅金属が豊富な上層との間に形成される。
【0061】
焼成ピーク温度は、好ましくは600~1100℃、別の実施形態では650~1050℃、別の実施形態では800~1000℃である。ピーク温度での焼成時間は、好ましくは3~30分、5~20分、または7~15分である。焼成は、好ましくは、酸素不足条件下、例えば、窒素もしくはアルゴンのブランケット下、または真空下で実行する。
【0062】
電子部品は、例えば無線周波数範囲で使用される。より具体的には、電子部品は、1GHz~10GHzで使用されるフィルタに好適である。好ましい実施形態では、電子部品は、誘電体フィルタである。
【0063】
セラミック基体がAlであり、品質係数を実施例で使用される方法に従って2.7GHzで測定する場合、品質係数は、好ましくは2,550超、より好ましくは2,600超、より特に好ましくは2,750超、または2,800超である。
【0064】
セラミック基体がMg0.95Ca0.05TiOであり、品質係数を実施例で使用される方法に従って2.6GHzで測定する場合、品質係数は、好ましくは2,200超、より好ましくは2,300超である。
【0065】
特に好ましい実施形態
1.導電性ペーストであって、(i)0.8~2.6μmのD50を有するCu粉末、(ii)ガラスフリット、および(iii)有機ビヒクルを含む、前記導電性ペースト。
2.電子部品を製造する方法であって、(a)セラミック基体を準備するステップと、(b)セラミック基体上に導電性ペーストを適用するステップであり、導電性ペーストが、(i)0.8~2.6μmのD50を有するCu粉末、(ii)ガラスフリット、および(iii)有機ビヒクルを含む、ステップと、(c)適用された導電性ペーストを焼成するステップとを含む、方法。
3.銅粉末が、1μm未満のサイズを有する粒子を50%未満有する、実施形態1または2。
4.銅粉末が、2μm未満のサイズを有する粒子を32%を超えて有する、実施形態1、2または3。
5.銅粉末が1.2~4.5μmのD90を有する、いずれか1つの先行する実施形態。
6.銅粉末が1.5~5.5μmのD95を有する、いずれか1つの先行する実施形態。
7.銅粉末が、0.8~2.8μmの平均粒径を有する、いずれか1つの先行する実施形態。
8.銅粉末が、懸濁媒体として水を使用してレーザー回折によって測定した場合に0.8~2.6μmのD50を有し、そして1μm未満のサイズを有する粒子を50%未満有する、いずれか1つの先行する実施形態。
9.銅粉末が、懸濁媒体として水を使用し、レーザー回折によって測定した場合、0.5~1.0μmのDを有する、いずれか1つの先行する実施形態。
10.銅粉末が、懸濁媒体として水を使用し、レーザー回折によって測定した場合、0.6~1.2μmのD10を有する、いずれか1つの先行する実施形態。
11.銅粉末が、懸濁媒体として水を使用し、レーザー回折によって測定した場合、1.2~4.5μm、好ましくは1.5~4.3μmのD90を有する、いずれか1つの先行する実施形態。
12.銅粉末が、懸濁媒体として水を使用し、レーザー回折によって測定した場合、1.5~5.5μm、好ましくは1.7~5.1μmのD95を有する、いずれか1つの先行する実施形態。
9.銅粉末が、懸濁媒体として水を使用し、レーザー回折によって測定した場合、0.5~1.0μmのDおよび1.0~2.4μmのD50を有する、いずれか1つの先行する実施形態。
10.銅粉末が、懸濁媒体として水を使用し、レーザー回折によって測定した場合、0.6~1.2μmのD10および1.0~2.4μmのD50を有する、いずれか1つの先行する実施形態。
11.銅粉末が、懸濁媒体として水を使用し、レーザー回折によって測定した場合、1.5~4.3μmのD90および1.0~2.4μmのD50を有する、いずれか1つの先行する実施形態。
12.銅粉末が、懸濁媒体として水を使用し、レーザー回折によって測定した場合、1.7~5.1μmのD95および1.0~2.4μmのD50を有する、いずれか1つの先行する実施形態。
13.銅粉末が、懸濁媒体として水を使用し、レーザー回折によって測定した場合、0.5~1.0μmのD、0.6~1.2μmのD10、および1.0~2.4μmのD50、1.5~4.3μmのD90、1.7~5.1μmのD95および1.0~2.4μmのD50を有する、いずれか1つの先行する実施形態。
14.銅粉末が球状の粒子を有する、いずれか1つの先行する実施形態。
15.銅粒子が、1対1.2、好ましくは1対1.1のアスペクト比を有する、いずれか1つの先行する実施形態。
16.銅粉末の比表面積が、0.1~8.0m/g、より好ましくは0.3~4.0m/g、特に好ましくは0.5~2.0m/gである、いずれか1つの先行する実施形態。
17.銅粉末が、導電性ペーストの重量に基づいて、40~95重量パーセント(wt%)、より好ましくは52~93wt%、特に好ましくは65~92wt%で使用される、いずれか1つの先行する実施形態。
18.ガラスフリットが、酸化ビスマス(Bi)、酸化ホウ素(B)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ケイ素(SiO)およびそれらの混合物からなる群から選択される金属酸化物を含む、いずれか1つの先行する実施形態。
19.ガラスフリットが、Si-B-Znガラス、Bi-B-Znガラス、またはそれらの混合物である、いずれか1つの先行する実施形態。
20.ガラスフリットが鉛を含まない、いずれか1つの先行する実施形態。
21.ガラスフリットが、少なくとも約350℃、400℃、450℃、500℃、または550℃の軟化点を有する、いずれか1つの先行する実施形態。加えて、ガラスフリットの軟化点は、好ましくは約900℃以下、約875℃以下、約850℃以下、約750℃以下、または約700℃以下である。一部の好ましい実施形態では、ガラスフリットの軟化点は、約524℃である。
22.ガラスフリットが、SiO、B、Al、Bi、CaOおよびZnOを含む、いずれか1つの先行する実施形態。
23.ガラスフリットが、5~9wt%のSiO、5~12wt%のB、1~3wt%のAl、65~75wt%のBi、0.1~1wt%のCaO、および8~16wt%のZnOを含む、いずれか1つの先行する実施形態。
24.ガラスフリットが、7.1wt%のSiO、8.4wt%のB、2.1wt%のAl、69.8wt%のBi、0.5wt%のCaO、および12.0wt%のZnOを含む、いずれか1つの先行する実施形態。ガラスフリットは、524℃の軟化点を有する。
28.ガラスフリットの粒径(D50)が、0.1~15μm、より好ましくは0.5~11μm、より特に好ましくは1.0~6.8μm、および1.5~4.5μmである、いずれか1つの先行する実施形態。
29.ガラスフリットが、導電性ペーストの総重量に基づいて、0.5~2wt%、より好ましくは0.7~1.8wt%、特に好ましくは0.8~1.5wt%で導電性ペースト中に使用される、いずれか1つの先行する実施形態。
30.有機ビヒクルが、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ウッドロジン、フェノール樹脂、低級(C1~6)アルコールのポリメタクリレート、およびそれらの混合物からなる群から選択される有機ポリマーを含む、いずれか1つの先行する実施形態。
31.有機ポリマーが、有機ビヒクルの重量に基づいて、好ましくは0.1~50wt%、0.5~42wt%、1~35wt%、2~27wt%、および特に好ましくは3~15wt%で使用される、実施形態30。
32.有機ビヒクルが、テキサノール(2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート)、エステルアルコール、テルピネオール、ケロシン、フタル酸ジブチル、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、ジブチルカルビトール、ヘキシレングリコール、二塩基性エステル、およびそれらの混合物からなる群から選択される溶媒を含む、いずれか1つの先行する実施形態。
33.溶媒が、有機ビヒクルの重量に基づいて、75~95wt%、より好ましくは80~93wt%、より特に好ましくは85~93wt%で使用される、実施形態32。
34.有機ビヒクルが、エチルセルロースとテキサノールの混合物を含む、いずれか1つの先行する実施形態。
35.有機ビヒクルが、有機ビヒクルの重量に基づいて、3~15wt%のエチルセルロースおよび85~93wt%のテキサノールを含む、いずれか1つの先行する実施形態。
36.有機ビヒクルが、導電性ペーストの重量に基づいて、5~30wt%、より好ましくは6~15wt%、特に好ましくは7~10wt%で使用される、いずれか1つの先行する実施形態。
37.セラミック基体が、9~50、より好ましくは15~45、特に好ましくは20~40の誘電率、εγを有する、実施形態2、および実施形態2に関するいずれか1つの先行する実施形態。
38.セラミック基体が、Al、BaTi、BaTi20、BaSnO、BaMgO、BaTaO、BaZrO、Ba(ZrTi)O、Ba(NiTa)O、Ba(ZrZnTa)O、Ba(Mg1/3Ta2/3)O、Ba(Mg1/3Nb2/3)O、Ba(Zn1/3Ta2/3)O、Ba(Zn1/3Nb2/3)O、Ba(Mn1/3Ta2/3)O、CaTiO、(CaSrBa)ZrO、MgTiO、(Mg0.95Ca0.05)TiO、SrZrO、Sr(Zn1/3Nb2/3)O、Sr(Zn1/3Ta2/3)O、ZrTiO、(Zr0.8Sn0.2)TiO、およびそれらの混合物、から選択される、実施形態2、および実施形態2に関するいずれか1つの先行する実施形態。
39.セラミック基体が、Al、MgTiO、(Mg0.95Ca0.05)TiO、Ba(Mg1/3Ta2/3)O、BaTi、BaTi20、Ba(Zn1/3Ta2/3)O、およびBa(Zn1/3Nb2/3)O、(Zr0.8Sn0.2)TiO、からなる群から選択される、実施形態2、および実施形態2に関するいずれか1つの先行する実施形態。
40.導電性ペーストを、スクリーン印刷、スプレーまたは浸漬によって適用する、実施形態2、および実施形態2に関するいずれか1つの先行する実施形態。
41.導電性ペーストを、焼成ステップの前に乾燥させる、実施形態2、および実施形態2に関するいずれか1つの先行する実施形態。
42.焼成ステップを、600~1100℃、別の実施形態では650~1050℃、800~1000℃で実行する、実施形態2、および実施形態2に関するいずれか1つの先行する実施形態。
43.焼成ステップを、窒素、アルゴン、または真空下などの酸素不足雰囲気下で実行する、実施形態2、および実施形態2に関するいずれか1つの先行する実施形態。
44.焼成を、3~30分、5~20分、または7~15分間実行する、実施形態2、および実施形態2に関するいずれか1つの先行する実施形態。
45.電子部品が誘電体フィルタである、実施形態2、および実施形態2に関するいずれか1つの先行する実施形態。
【実施例
【0066】
以下の実施例は、本発明をさらに詳細に説明するために提供される。これらの実施例は、本発明を実行するために現在企図されている好ましい様式を説明するものであり、本発明を例示することを意図しており、限定することを意図するものではない。
【0067】
100重量部のCu粉末および1.6重量部のガラスフリットをミキサー中で10重量部の有機ビヒクルに分散させ、3本ロールミルで均質化した。
種々のCu粉末の粒度分布を、表1に示す。
【0068】
ガラスフリットは、上で引用した、米国特許第5,439,852号に記載された方法によって調製した。ガラスフリットを調製する混合物の組成は、7.1wt%のSiO、8.4wt%のB、2.1wt%のAl、69.8wt%のBi、0.5wt%のCaO、および12.0wt%のZnOであった。ガラスフリットは、524℃の軟化点を有していた。
【0069】
有機ビヒクルは、有機ビヒクルの重量に基づいて、6wt%の有機ポリマー、91wt%の溶媒、および34wt%の有機添加剤の混合物であった。
ペースト粘度は、10rpmでスピンドルSC4-14を使用して、Brookfield HBTによって測定すると、約250~400Pa・sであった。
【0070】
導電性ペーストを、AlおよびMg0.95Ca0.05TiO基体(長さ25mm、幅25mm、厚さ0.6mm)上にリングパターン(幅2.5mm、厚さ10μm、円形長さ80mm)でスクリーン印刷した。
【0071】
基体の誘電率は、Alについては9.6、Mg0.95Ca0.05TiOについては21であった。電極は、150℃で10分間乾燥させた後、N下で900℃のピーク温度で10分間リングパターンを焼成することによって形成した。
【0072】
結果を表2に示す。D50が0.8~2.6μmのCu粉末を含む導電性ペーストは、より高い品質係数Qを示す。品質係数Qは、上で引用した米国特許第11,228,080号に記載されている方法に従って決定した。簡単に説明すると、焼成した基体上に形成されたリングパターンを、ネットワークアナライザー(Keysight、E5063A)に接続した。Q値およびそれに関連する周波数を測定し、記録した。
【0073】
上記において、ある特定の本発明の好ましい実施形態を説明し、具体的に例示したが、これは、本発明がそのような実施形態に限定されることを意図したものではない。以下の特許請求の範囲に記載されているように、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、種々の修正を行うことができる。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【国際調査報告】