(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】位置決め補助部を備えた電気機構および製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/18 20060101AFI20240711BHJP
H05K 3/28 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
H05K1/18 K
H05K3/28 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579118
(86)(22)【出願日】2022-05-30
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 EP2022064639
(87)【国際公開番号】W WO2022268447
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】102021206587.2
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】キーンレ,ボルフラム
【テーマコード(参考)】
5E314
5E336
【Fターム(参考)】
5E314BB06
5E314BB12
5E314CC17
5E314FF02
5E314GG06
5E336AA04
5E336BB18
5E336BC32
5E336CC44
5E336CC60
5E336GG09
(57)【要約】
製造方法および電気機構(1)が提案される。電気機構(1)は、電気導体路(3)を備えたパワー基板(2)と、絶縁構造(4)と、板金製の導電構造(5)とを含み、導電構造(5)は、第1のコンタクト領域(6)と、端子領域(11)と、第1のコンタクト領域(6)と端子領域(11)の間の第1の結合領域(9)とを有し、コンタクト領域(6)は、電気導体路(3)と電気的に、とりわけ材料結合式に、絶縁構造(4)内の空所(12)内で結合されており、X方向に走るエッジ(7)に沿って角度を付けて結合領域(9)に移行しており、かつ導電構造(5)を位置決めするための旗状部(8)を有し、旗状部(8)は、エッジ(7)の仮想延長線を越えてY方向に延びている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 電気導体路(3)を備えたパワー基板(2)と、
- 絶縁構造(4)と、
- 板金製の導電構造(5)とを含み、前記導電構造(5)が、
- 第1のコンタクト領域(6)と、
- 端子領域(11)と、
- 前記第1のコンタクト領域(6)と前記端子領域(11)の間の第1の結合領域(9)とを有し、前記コンタクト領域(6)が、
- 前記電気導体路(3)と電気的に、とりわけ材料結合式に、前記絶縁構造(4)内の空所(12)内で結合されており、
- X方向に走るエッジ(7)に沿って角度を付けて前記結合領域(9)に移行しており、かつ
- 前記導電構造(5)を位置決めするための旗状部(8)を有し、前記旗状部(8)が、前記エッジ(7)の仮想延長線を越えてY方向に延びている、
電気機構(1)。
【請求項2】
前記旗状部(8)が前記コンタクト領域(6)と共通の平面内にある、請求項1に記載の電気機構。
【請求項3】
前記コンタクト領域(6)が、有限半径(R)で前記結合領域(9)に移行している、請求項1または2に記載の電気機構。
【請求項4】
前記旗状部(8)が、前記結合領域(9)よりY方向に少なくとも部分的に飛び出た先端領域を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の電気機構。
【請求項5】
前記導電構造(5)が、打ち抜かれたおよび/またはレーザを使って切断された板金を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の電気機構。
【請求項6】
前記導電構造(5)が、さらに
- 第2のコンタクト領域(16)および
- 前記第2のコンタクト領域(16)と前記端子領域(11)の間の第2の結合領域(19)を有し、
- 前記第2のコンタクト領域(16)も、前記第1のコンタクト領域(6)と前記第1の結合領域(9)の間の前記エッジ(7)と同一線上を走る、X方向に走る第2のエッジ(17)に沿って角度を付けて前記第2の結合領域(19)に移行している、
請求項1~5のいずれか一項に記載の電気機構。
【請求項7】
前記第1のコンタクト領域(6)が、前記旗状部(8)により、前記絶縁構造(4)内の空所(12)内で、前記パワー基板(2)上で位置決めされており、とりわけ複数の側で囲まれている、請求項1~6のいずれか一項に記載の電気機構。
【請求項8】
前記第1の結合領域(9)と前記絶縁構造(4)の間に、所定の、とりわけ2mm以上ある間隔(d)が存在している、請求項1~7のいずれか一項に記載の電気機構。
【請求項9】
前記旗状部(8)と前記エッジ(7)の間に湾状部(13)が設けられている、請求項1~8のいずれか一項に記載の電気機構。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の電気機構の製造方法であって、
- 前記パワー基板(2)上に絶縁構造(4)を施すステップ(100)と、
- 平らな板金から前記導電構造(5)を製造するステップ(200)と、
- 前記絶縁構造(4)内の空所に前記第1のコンタクト領域(6)を挿入するステップ(300)と、
- 前記第1のコンタクト領域(6)を前記パワー基板(2)の前記電気導体路(3)と材料結合式に結合するステップ(400)と、
を含む製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置決め補助部を備えた電気機構およびそのための製造方法に関する。本発明は、とりわけ、パワー基板上に盛り上がった絶縁構造を有する電気機構に関する。
【背景技術】
【0002】
今日のパワー基板は時として金属の上面および下面を有するセラミック構造をベースとする。この上にパワースイッチ(IGBT、MOSFETなど)が配置(装着)および配線される。基板の故に、分岐は2次元空間内でしか可能でない。外部接触としては、「リボン」および「ワイヤ」などとも呼ばれるボンディングが使われる。超音波またはレーザ溶接によって接触される打ち抜き部品も用いられる。パッケージングされた、つまり盛り上がった絶縁構造を備えたこの種類のパワー基板の場合、結合要素を、同じように一緒に位置決めすること、およびパッケージング縁より突き出させることも通例である。「パッケージング縁」とは、パワー基板のエッジを取り囲む絶縁構造のことである。この場合、突き出ている結合要素が、外部での電気接触に使用される。
【0003】
パワー基板の表面より上でパッケージング縁に接触することは、上面と下面の間の、絶縁構造の表面に沿った電流沿面距離の減少を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さらに、転流回路内のインダクタンスが可能な限り低い電気機構であって、製造に適し、公差の影響を受けにくく、低インダクタンス構造をもつ電子技術部品をもたらす電気機構への需要がある。同時に、工場側での組立ステップのためのロバスト性も可能にされるおよび保証されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明により、とりわけ電源回路内での使用に適した電気機構が提案される。このような電源回路は、例えば、オンボード貯蔵された直流電圧から、トラクション機械の動作に必要な交流電圧または多相電圧が生成されるべきエレクトロモビリティ分野で必要である。この電気機構は、電気導体路を備えたパワー基板を含み、絶縁構造を有する。絶縁構造は、例えばフォーム材の形態でパワー基板上に射出成形されてもよい。これにより、とりわけパワー基板の上面と下面の間の電気絶縁が、所定の沿面距離(電流沿面距離)で提供される。このために絶縁構造は、パワー基板上で、電気導体路と電気的に結合された幾つかのコンタクト面を露出させ得る。言い換えれば、絶縁構造がコンタクト面を取り囲むことができ、この場合、所定の位置に配置されるエッジを、コンタクト面の周りに(例えば窓または枠のように)もたらし得る。さらに、3次元形状を有する板金製の導電構造が設けられている。この導電構造は、パワー基板上のコンタクト面とガルバニック接続される第1のコンタクト領域を有する。導電構造はさらに、外部電気接触のための端子領域および第1のコンタクト領域と端子領域を結合する第1の結合領域を有する。この結合領域は、とりわけ、コンタクト領域と端子領域が同じ平面内には広がっていない場合にコンタクト領域と端子領域の間の電流伝達を保証し得る。コンタクト領域は、パワー基板のコンタクト面と、つまり電気導体路と電気的に、とりわけ材料結合式に結合され得る。このために絶縁構造は空所(窓/枠)を有し、空所内では導電構造のコンタクト領域がパワー基板上に平面的に載っている。コンタクト領域は、エッジに沿って角度を付けて曲げられており、または他のやり方で結合領域に移行する。導電構造板金のこのような変形は、時として公差の増大を伴い、かつエッジの領域では、このエッジが通常は類似的な半径/湾曲部を有するので、エッジを囲むような形状結合の明確に規定される可能性を提供しない。時として、第1のコンタクト領域の平面に対する結合領域の角度も、製造上の制約により、常には厳密になり得ない。それゆえ導電構造を位置決めするための旗状部が設けられ、この旗状部は、エッジの仮想延長線を越えて、エッジの方向に垂直な方向に延びている。エッジが第1のコンタクト領域を結合領域に移行させるのに対し、言い換えればエッジの隣で、旗状部は第1のコンタクト領域の平面内に留まり、とりわけ切断されたまたは打ち抜かれた先端エッジを有し、この先端エッジは、結合領域の空間位置より小さな公差を有する。とりわけ、結合領域が絶縁構造に接触せずに、絶縁構造内の窓から外に出され得るのに対し、旗状部は、第1のコンタクト領域とは反対側のエッジを絶縁構造内の窓に挿入し、とりわけ嵌め込み、好ましくは押し付けることで、絶縁構造内の窓により、第1のコンタクト領域、したがって導電構造を電気機構内で位置決めする。これにより、パワー基板上での、または絶縁構造に対する、導電構造の非常に厳密な位置決めが保証され得る一方で、絶縁構造に沿った沿面距離は非常に小さく、なぜなら旗状部が、パワー基板上に直に存在しており、絶縁構造の「より高い」位置に接触しないからである。
【0006】
引用形式請求項は本発明の好ましい変形形態を示している。
板金から導電構造を切り取った後、旗状部が、第1のコンタクト領域に対して変形されないことで、旗状部はコンタクト領域と共通の平面内にあってもよい。旗状部はいわば、導電構造の第1のコンタクト領域に付いている平らな舌であり、エッジの横で結合領域に対して張り出しており、つまりエッジを越えて結合領域に対して飛び出ている。こうすることで、結合領域が絶縁構造に対し、旗状部によって予め規定された間隔を有すること、および結合領域が、絶縁構造に沿った電流沿面距離を減少させないことが保証され得る。
【0007】
板金から導電構造を製造するための特に安価な可能性は、平らな導電構造の外形形状のレーザ切断または打ち抜きにつながることができ、その後、折り曲げ工程が、第1のコンタクト領域と第1の結合領域の間でX方向に走るエッジを生じさせる。任意選択で、外部接触のための端子領域と第1の結合領域の間にもエッジを設けることができ、これにより、パワー基板の表面に平行な方向で、導電構造が外部の電気周辺機器と結合される。プロセス上の制約により、本件ではエッジの領域で、導電構造の凸状側に半径が、詳しくは絶縁構造による、パワー基板近くに配置される位置決めに適していない半径が生じ得る。この場合、折り曲げ工程の際に除外される旗状部が役立つ。つまり旗状部の切断エッジが、結合領域と第1のコンタクト領域の間のエッジの向こう側で、つまり隣で、位置決め補助部として提供されている。
【0008】
電気機構が、さらなるコンタクト領域を、任意選択でさらなる結合領域も有することが好ましい。つまり、第2のコンタクト領域および第2のコンタクト領域と(上で既に述べた)端子領域の間の第2の結合領域が設けられ得る。第2のコンタクト領域も、X方向に走る第2のエッジに沿って角度を付けて第2の結合領域に移行し得る。とりわけ、第2のコンタクト領域と第2の結合領域の間のエッジは、第1のコンタクト領域と第1の結合領域の間のエッジと同一線上に形成される。第2のコンタクト領域は、第1のコンタクト領域に対応して、または同一に、またはミラー反転して形成され得る。したがって第2のコンタクト領域は、第1のコンタクト領域に対し、端子領域から見て同じ方向にあり、ただし並列している。基本的には、これらのコンタクト領域を1つの同じ結合領域を介して端子領域と接触させることも可能である。いずれにしても両方のコンタクト領域の旗状部が、絶縁構造のそれぞれの領域への、所定のライン状の当接をもたらすことができ、したがって導電構造の特に確実な位置決めを保証することができる。第1および第2のコンタクト領域は、絶縁構造の共通の空所内、つまり共通の窓/枠内で、パワー基板上に配置され得る。ただし両方のコンタクト領域の間に絶縁構造が設けられ得ることが好ましく、この絶縁構造は、X方向での位置決め補助部としても使用され得る。言い換えれば、この絶縁構造は、第1のコンタクト領域と第2のコンタクト領域の間のブリッジ部を形成し、このブリッジ部が、第1および第2のエッジの方向での位置ずれを防止する。このブリッジ部が、パワー基板の表面の方向に大きくなっていく厚さを有してもよく、これにより、導電構造が絶縁構造に接近していく過程で公差が次第に小さくなることで、導電構造の容易な位置決めが可能である。
【0009】
旗状部はそれ以外のコンタクト領域と関連して、旗状部の先端部がコンタクト領域の反対側のエッジと共に絶縁構造の空所に厳密に嵌め込まれるよう設計され得ることが好ましい。もう1つの第2のコンタクト領域が第2の旗状部を有して存在する場合には、第2の旗状部に上記のことが相応に適用され得る。とりわけ、X方向でのある特定の広がりをもつ少なくとも2つのコンタクト領域が存在する場合、X方向およびY方向での導電構造の正確な位置決めを保証でき、したがってZ軸を中心とした、パワー基板に対する導電構造の回転も防止され得る。
【0010】
旗状部と、結合領域と第1のコンタクト領域または第2の結合領域と第2のコンタクト領域の間に設けられたエッジとの間に、湾状部が設けられ得る。湾状部は例えば、0.2mm、好ましくは0.5mm、とりわけ好ましくは1mm、極めて好ましくは2mmの幅(つまりX方向の広がり)を有し得る。こうすることで、板金の切り取りの次にくる折り曲げ工程により、それぞれのコンタクト領域に対する旗状部の変形が誤って引き起こされないことが防止され得る。したがって、絶縁構造の窓内での導電構造の正確な位置決めは、常に基板近くで保証されている。
【0011】
言い換えれば、および添付の請求項を制限する性質なく、本発明は、基板ベースのパワースイッチ上のモジュール間の結合を直接的に可能にするというアイデアをベースとする。これは、モジュールのパッケージングハウジング(絶縁構造)内の露出部/空所を介して行われる。露出部/空所は、追加的な作りにくい繊細な幾何形状なく、パッケージング(絶縁)のハウジング形状に直接的に接して配置されるように形作られ得る。これにより電気機構(モジュール)の製造時に不良品が減少する。さらに、現況技術では時として後置されるパワー基板の表面露出プロセス(現況技術では時として、残ったままの絶縁構成要素を、その後、レーザで焼失させる)が削減され得る。位置決め旗状部を有する本発明によるコンタクト領域の平坦な構造により、空間距離および沿面距離の要求がより良く守られ得る。
【0012】
本発明による形態は、コンタクト領域の簡単で確実な接触を、溶接する目的での、パワー基板またはコンタクト面/電気導体路上への装入/載置によって可能にする。
本発明の第2の態様に基づき、上で詳細に説明した電気機構の製造方法が提案される。この方法は、パワー基板上に絶縁構造を施すことを含む。絶縁構造は、盛り上がっており、とりわけ、パワー基板の上面と下面の間の電流沿面距離を延長するために設けられている。絶縁構造は、導電構造が電気的に接触されるべき空所を有する。さらなるステップでは、導電構造が板金から切り取られて曲げられる。このときに、絶縁構造内での位置決めのための旗状部も生じる。続いてコンタクト領域が絶縁構造内の空所に入れられ、最後にパワー基板の電気導体路と材料結合式に結合される。パワー基板に対する導電構造の誤った位置合わせは、コンタクト領域および旗状部の構造に対して空所を厳密に合わせることで防止される。絶縁構造内の傾斜路状の急峻な壁は、コンタクト領域を入れる際に役立てることができ、パワー基板の装着時の操作用具を使った厳密な位置決めへの要求を軽減する。
【0013】
パワー基板に対するコンタクト領域または導電構造の組立プロセスは、これらの組立相手材の完璧な位置決めを必要とする。これにより、後続の結合プロセスのための面全体の載置も可能にされなければならない。これは、結合板金(導電構造)とパワー基板(パワースイッチ)の成形および造形の調和によって行われる。打ち抜き方向の設定が、組立時のひっかかりを防止する。言い換えれば、導電構造の形状を有するパンチが、後にパワー基板が存在する方向から板金に載せられ得る。これにより、ダイ側で板金に形成される鋭いエッジまたはバリは組立方向において後ろにあり、絶縁構造にひっかかる恐れがない。これら上記の組立相手材の、形状的に結合する幾何形状は、追加的な工具費用を必要とせずに、取付位置を保証する。
【0014】
以下に、添付の図面を参照しながら本発明の例示的実施形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の例示的実施形態に基づく電気機構の概略的な側面図である。
【
図2】本発明に基づく1つの例示的実施形態の透視図である。
【
図3】本発明に基づく電気機構の裏側の平面図である。
【
図4】沿面距離を具体的に示すための本発明に基づく電気機構の1つの例示的実施形態の側断面図である。
【
図5】電気機構の本発明による製造方法の1つの例示的実施形態のステップを具体的に説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明による電気機構1の1つの例示的実施形態の側面図を示しており、この電気機構1では、電気導体路3を備えたパワー基板2が、絶縁構造4および導電構造5を支持している。導電構造5のコンタクト領域6は、電気導体路3と材料結合式に結合している。電気接触を絶縁構造4より上で行えるように、X方向にあるエッジの領域が半径Rで第1の結合領域9に移行している。エッジ7に平行に走るエッジ10により、結合領域9が端子領域11に移行している。2つの、Y方向において互いに向かい合う絶縁体4のエッジが、絶縁構造4内の空所12を画定している。旗状部8は、第1のコンタクト領域6の延長部として、X方向に走るエッジを越えてY方向に飛び出ており、それにより、空所12内でのおよび電気導体路3上での、導電構造5のぴったり正確な位置決めおよび(暫定的な)固定をもたらす。そのうえ旗状部8は、結合領域9と絶縁構造4の間隔bを保証し、これにより、結合領域9による絶縁構造4への誤った接触が回避され、したがって電流沿面距離14の長さが維持され続ける。
【0017】
図2は電気機構1の透視図を示しており、この電気機構1では、導電構造5がブリッジ部15によってX方向にロックされている。旗状部8とエッジ7の間に湾状部13が設けられており、湾状部13は、折り曲げ時に旗状部8がコンタクト領域6に対して変形されるのを防止する。第2のコンタクト領域16は、第1のコンタクト領域6に対して鏡面対称的に配置および形成されている。旗状部8、18は、絶縁構造4の空所内でのコンタクト領域6、16の遊びを防止する。旗状部および湾状部のないさらなるコンタクト領域は、さらなる結合領域を介して共通の端子領域11に連結されており、この端子領域11を介して電気機構1の外部電気接触が行われる。
【0018】
図3は、本発明に基づく電気機構1の下側の平面図を示している。この図では、旗状部8、18の位置、およびこれら旗状部とそれぞれのエッジ7、17の間に配置された湾状部13が良く認識できる。
【0019】
図4では、
図2および
図3に示した電気機構1の断面図が示されている。絶縁体4は、パワー基板2のエッジを包囲しており、パワー基板2はその上面で第1の電気導体路3aおよびその下面で第2の電気導体路3bを有する。沿面距離14は、下の電気導体路3bと上の電気導体路3aの間をぐるりと周っている線として描き込まれている。第1のコンタクト領域6が全体的に平坦で平らに電気導体路3aに載っていることにより、沿面距離14が第1のコンタクト領域6によって減らされず、電気導体路3a、3bの間での所定の十分な電気絶縁が常に保証されている。
【0020】
図5は、上記の例示的実施形態に基づく電気機構の本発明による製造方法の1つの例示的実施形態のステップを示している。ステップ100では、絶縁構造がパワー基板上に施される。このために、パワー基板が型(Mold)に入れられ、パワー基板の表面が、相応の割合でその周囲に射出成形される。パワー基板上に配置された電気導体路の接触のため、所定の箇所の空所だけがブランクのまま残る。ステップ200では、導電構造が平らな板金から製造される。このために板金から導電構造が切り取られ、続いて上述のように曲げられる(折り曲げてエッジを付けられる)。ステップ300では、第1のコンタクト領域が絶縁構造4内の空所に入れられる。この場合、打ち抜き工程の際に生じる鋭いバリは上面に存在しており、パワー基板には向いていない。こうすることで、バリが絶縁構造に切れ目を入れる可能性はなく、位置決め工程を困難にする/挫折させる可能性がない。最後に、第1のコンタクト領域が電気導体路と溶接されることで、第1のコンタクト領域がパワー基板の電気導体路と材料結合式に結合される。この電気機構を続いてポッティングすることができ、かつ/またはハウジング内に取り付けることができる。プラグは、外部電気接触のための端子構造を含み得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 電気導体路(3)を備えたパワー基板(2)と、
- 絶縁構造(4)と、
- 板金製の導電構造(5)とを含み、前記導電構造(5)が、
- 第1のコンタクト領域(6)と、
- 端子領域(11)と、
- 前記第1のコンタクト領域(6)と前記端子領域(11)の間の第1の結合領域(9)とを有し、前記コンタクト領域(6)が、
- 前記電気導体路(3)と電気的に、とりわけ材料結合式に、前記絶縁構造(4)内の空所(12)内で結合されており、
- X方向に走るエッジ(7)に沿って角度を付けて前記結合領域(9)に移行しており、かつ
- 前記導電構造(5)を位置決めするための旗状部(8)を有し、前記旗状部(8)が、前記エッジ(7)の仮想延長線を越えてY方向に延びている、
電気機構(1)。
【請求項2】
前記旗状部(8)が前記コンタクト領域(6)と共通の平面内にある、請求項1に記載の電気機構。
【請求項3】
前記コンタクト領域(6)が、有限半径(R)で前記結合領域(9)に移行している、請求項1に記載の電気機構。
【請求項4】
前記旗状部(8)が、前記結合領域(9)よりY方向に少なくとも部分的に飛び出た先端領域を有する、請求項1に記載の電気機構。
【請求項5】
前記導電構造(5)が、打ち抜かれたおよび/またはレーザを使って切断された板金を含む、請求項1に記載の電気機構。
【請求項6】
前記導電構造(5)が、さらに
- 第2のコンタクト領域(16)および
- 前記第2のコンタクト領域(16)と前記端子領域(11)の間の第2の結合領域(19)を有し、
- 前記第2のコンタクト領域(16)も、前記第1のコンタクト領域(6)と前記第1の結合領域(9)の間の前記エッジ(7)と同一線上を走る、X方向に走る第2のエッジ(17)に沿って角度を付けて前記第2の結合領域(19)に移行している、
請求項1に記載の電気機構。
【請求項7】
前記第1のコンタクト領域(6)が、前記旗状部(8)により、前記絶縁構造(4)内の空所(12)内で、前記パワー基板(2)上で位置決めされており、とりわけ複数の側で囲まれている、請求項1に記載の電気機構。
【請求項8】
前記第1の結合領域(9)と前記絶縁構造(4)の間に、所定の、とりわけ2mm以上ある間隔(d)が存在している、請求項1に記載の電気機構。
【請求項9】
前記旗状部(8)と前記エッジ(7)の間に湾状部(13)が設けられている、請求項1に記載の電気機構。
【請求項10】
請求項1に記載の電気機構の製造方法であって、
- 前記パワー基板(2)上に絶縁構造(4)を施すステップ(100)と、
- 平らな板金から前記導電構造(5)を製造するステップ(200)と、
- 前記絶縁構造(4)内の空所に前記第1のコンタクト領域(6)を挿入するステップ(300)と、
- 前記第1のコンタクト領域(6)を前記パワー基板(2)の前記電気導体路(3)と材料結合式に結合するステップ(400)と、
を含む製造方法。
【国際調査報告】