(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】Y-Netに基づく電子透かしの方法、装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/10 20130101AFI20240711BHJP
H04N 1/32 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
G06F21/10
H04N1/32 144
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579570
(86)(22)【出願日】2021-07-16
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 CN2021106681
(87)【国際公開番号】W WO2023283914
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】202110786024.4
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523483913
【氏名又は名称】南京信息工程大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】胡 欣▲ジュエ▼
(72)【発明者】
【氏名】梁 秀健
(72)【発明者】
【氏名】付 章杰
(57)【要約】
本発明は、Y-Netに基づく電子透かしの方法、装置及びシステムを開示する。前記方法は、キャリア画像及び透かし画像をY-Net生成ネットワークに入力し、透かし入り画像を生成するステップ、透かし入り画像を事前にトレーニングされたJPEG圧縮損失模擬ネットワークに入力して、模擬圧縮透かし入り画像を得るステップ、事前にトレーニングされた判別ネットワークを用いて模擬圧縮透かし入り画像を判別し、透判別結果を得るステップ、模擬圧縮透かし入り画像を抽出ネットワークに入力して、透かし入りの再構成画像を得るステップ、前記透かし入り画像、透かし入りの再構成画像及び判別ネットワークの結果に基づいて、透かしネットワーク全体の総損失関数を計算し、損失関数を最小化することを目標として透かしネットワークを最適化し、損失が減少し、安定した状態が維持される時、トレーニングが終了したと見なされるステップを含む。トレーニングプロセス中、判別ネットワーク及び圧縮損失模擬ネットワークの重みが固定され、本発明は従来のアルゴリズムと比較して高い透かし容量、高い隠蔽性、高い安全性及び強い頑健性を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Y-Netに基づく電子透かし方法であって、
キャリア画像及び透かし画像をY-Net生成ネットワークに入力し、前記透かし画像が埋め込まれた透かし入り画像を得るステップ、
前記透かし入り画像を事前にトレーニングされた圧縮損失模擬ネットワークに入力して、模擬圧縮透かし入り画像を得るステップ、
事前にトレーニングされた判別ネットワークを用いて前記模擬圧縮透かし入り画像を判別し、前記透かし入り画像を前記キャリア画像又は前記透かし入り画像として識別することを含む判別結果を得るステップ、
前記模擬圧縮透かし入り画像を抽出ネットワークに入力して、透かし入りの再構成画像を得るステップ、
前記透かし入り画像、前記透かし入りの再構成画像及び前記判別ネットワークの結果に基づいて、透かしネットワーク全体の総損失関数を計算し、損失関数を最小化することを目標として前記透かしネットワークを最適化し、損失が減少し、安定した状態が維持される時、トレーニングが終了したと見なされるステップであって、前記透かしネットワークには、前記Y-Net生成ネットワーク、前記圧縮損失模擬ネットワーク、前記判別ネットワーク及び前記抽出ネットワークが含まれ、最適化プロセス中、前記判別ネットワークと前記圧縮損失模擬ネットワークの重みは固定される、ステップ、及び
トレーニング済み透かしネットワークを使用して、前記キャリア画像及び前記透かし画像に基づいて前記透かし入り画像を生成し、前記透かし入り画像を圧縮し、圧縮後の前記透かし入り画像から前記透かし画像を再構築するステップ、
を含むことを特徴とする、Y-Netに基づく電子透かし方法。
【請求項2】
前記Y-Net生成ネットワークは、スキップ接続構造であり、キャリアの第1畳み込み操作グループ、キャリアの第2畳み込み操作グループ、キャリアの第3畳み込み操作グループ、キャリアの第4畳み込み操作グループ、キャリアの第5畳み込み操作グループ、キャリアの第6畳み込み操作グループ、透かしの第1畳み込み操作グループ、透かしの第2畳み込み操作グループ、透かしの第3畳み込み操作グループ、透かしの第4畳み込み操作グループ、透かしの第5畳み込み操作グループ、透かしの第6畳み込み操作グループ、第7畳み込み操作グループ、第1逆畳み込み操作グループ、第2逆畳み込み操作グループ、第3逆畳み込み操作グループ、第4逆畳み込み操作グループ、第5逆畳み込み操作グループ、第6逆畳み込み操作グループ、第7逆畳み込み操作グループ、及び第8畳み込み操作グループを含み、
前記キャリアの第6畳み込み操作グループ及び前記透かしの第6畳み込み操作グループの出力は、前記第1逆畳み込み操作グループの出力と融合され、
前記キャリアの第5畳み込み操作グループ及び前記透かしの第5畳み込み操作グループの出力は、前記第2逆畳み込み操作グループの出力と融合され、
前記キャリアの第4畳み込み操作グループ及び前記透かしの第4畳み込み操作グループの出力は、前記第3逆畳み込み操作グループの出力と融合され、
前記キャリアの第3畳み込み操作グループ及び前記透かしの第3畳み込み操作グループの出力は、前記第4逆畳み込み操作グループの出力と融合され、
前記キャリアの第2畳み込み操作グループ及び前記透かしの第2畳み込み操作グループの出力は、前記第5逆畳み込み操作グループの出力と融合され、
前記キャリアの第1畳み込み操作グループ及び前記透かしの第1畳み込み操作グループの出力は、前記第6逆畳み込み操作グループの出力と融合され、
前記キャリアの第6畳み込み操作グループと前記透かしの第6畳み込み操作グループは、チャンネルステッチングを行った後前記第7畳み込み操作グループに入力され、前記第7畳み込み操作グループの出力端は前記第1逆畳み込み操作グループに接続され、
前記第6逆畳み込み操作グループ、前記キャリアの第1畳み込み操作グループ、前記透かしの第1畳み込み操作グループのスキップ接続後の結果は、前記第7逆畳み込み操作グループに入力され、
前記第8畳み込み操作グループの入力端は、前記第7逆畳み込み操作グループに入力され、出力は前記透かし入り画像であり、
1つの畳み込み操作グループは、順次に設けられた畳み込み層、活性化層、及びバッチ正規化層を含み、1つの逆畳み込み操作グループは順次に設けられた逆畳み込み層、活性化層、及びバッチ正規化層を含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載のY-Netに基づく電子透かし方法。
【請求項3】
前記判別ネットワークは、
複数の画像サンプルを収集し、各前記サンプル画像のラベルを決定するステップであって、前記ラベルは対応する前記サンプル画像に含まれる前記透かし画像の確率を含む、ステップ、及び
各前記画像サンプルを入力として、各前記画像サンプルのラベルを出力としてZhu-Netをトレーニングし、前記判別ネットワークを得るステップ、
のトレーニングステップを通じて取得されることを特徴とする、請求項1に記載のY-Netに基づく電子透かし方法。
【請求項4】
前記圧縮損失模擬ネットワークは、U-Netネットワークであることを特徴とする、請求項1に記載のY-Netに基づく電子透かし方法。
【請求項5】
前記抽出ネットワークは、U-Net++ネットワークであることを特徴とする、請求項1に記載のY-Netに基づく電子透かし方法。
【請求項6】
前記判別ネットワークは、判別器であり、前記判別器にはsoftmax関数が含まれることを特徴とする、請求項1に記載のY-Netに基づく電子透かし方法。
【請求項7】
前記透かしネットワークの総損失関数は、
【数1】
[式中、L
cは、Y-Net生成ネットワーク損失、L
sは抽出ネットワーク損失、L
dは判別ネットワーク損失、α、β、δはY-Net生成ネットワーク損失、抽出ネットワーク損失及び判別ネットワーク損失を制御するための重みである。]のようになることを特徴とする、請求項1に記載のY-Netに基づく電子透かし方法。
【請求項8】
前記Y-Net生成ネットワーク損失の計算式:
【数2】
[式中、nは、画像の総画素数、c
iは原キャリア画像、
【数3】
は透かし入り画像を表す。]
前記抽出ネットワーク損失L
sの計算式:
【数4】
[式中、s
iは、原透かし画像、
【数5】
は透かしの再構成画像を表す。]
前記判別ネットワーク損失L
dの計算式:
【数6】
[式中、y
i′は、真実ラベル、すなわち判別ネットワークに入力された画像がキャリア画像であるか透かし入り画像であるかの真実の結果を表し、y
iは判別ネットワークの出力を表す。]
になることを特徴とする、請求項7に記載のY-Netに基づく電子透かし方法。
【請求項9】
Y-Netに基づく強いロバストな電子透かし装置であって、
キャリア画像及び透かし画像をY-Net生成ネットワークに入力し、前記透かし画像が埋め込まれた透かし入り画像を得るための第1処理ユニットと、
前記透かし入り画像を事前にトレーニングされた圧縮損失模擬ネットワークに入力して、模擬圧縮透かし入り画像を得るための第2処理ユニットと、
事前にトレーニングされた判別ネットワークを用いて前記模擬圧縮透かし入り画像を判別し、前記透かし入り画像を前記キャリア画像又は前記透かし入り画像として識別することを含む判別結果を得るための判別ユニットと、
前記模擬圧縮透かし入り画像を抽出ネットワークに入力して、透かし入りの再構成画像を得るための再構成ユニットと、
前記透かし入り画像、前記透かし入りの再構成画像及び前記判別ネットワークの結果に基づいて、透かしネットワークの総損失関数を計算し、損失関数を最小化することを目標として前記透かしネットワークを最適化し、損失が減少し、安定した状態が維持される時、トレーニングが終了したと見なされる(前記透かしネットワークには、前記Y-Net生成ネットワーク、前記圧縮損失模擬ネットワーク、前記判別ネットワーク及び前記抽出ネットワークが含まれ、最適化プロセス中、前記判別ネットワークと前記圧縮損失模擬ネットワークの重みは固定される)ためのトレーニングユニットと、
トレーニング済み透かしネットワークを使用して、前記キャリア画像及び前記透かし画像に基づいて前記透かし入り画像を生成し、前記透かし入り画像を圧縮し、圧縮後の前記透かし入り画像から前記透かし画像を再構築するための透かしユニットと、
を含むことを特徴とする、Y-Netに基づく強いロバストな電子透かし装置。
【請求項10】
Y-Netに基づく強いロバストな電子透かしシステムであって、記憶媒体と、プロセッサとを備え、
前記記憶媒体は、命令を保存するために用いられ、
前記プロセッサは、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法を実行するため、前記命令に従い動作するために用いられる、
ことを特徴とする、Y-Netに基づく強いロバストな電子透かしシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子透かしの技術分野に属し、特に、Y-Netに基づく電子透かしの方法、装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット技術の急速な発展により、より多くのデジタル作品がネットワーク上で流布されるようになっていた。交流を容易にする一方、作品のオリジナリティも試され、著作権保護は人々にとって非常に重要視される問題となっている。
【0003】
電子透かし技術は、作品自体の特性に応じて作品のオリジナリティを保護することができる。近年、深層学習に基づく各種電子透かしモデルが多数登場しており、透かし容量を拡張できるだけでなく、伝送の安全性を効果的に向上させることもできる。しかし、これらの方法では、透かし入り画像の画質及び耐解析セキュリティが十分ではないこと、JPEG圧縮攻撃に耐える頑健性が弱いなどの課題が残されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題点に着目して、高い透かし容量、高い隠蔽性、高い安全性、及び強い頑健性を有するY-Netに基づく電子透かしの方法、装置及びシステムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の技術的目的を達成し、上記の技術的効果を奏するため、本発明は以下の技術的手段を通じて実現される。
【0006】
第1の態様において、本発明は、
キャリア画像及び透かし画像をY-Net生成ネットワークに入力し、透かし画像が埋め込まれた透かし入り画像を得るステップ、
前記透かし入り画像を事前にトレーニングされた圧縮損失模擬ネットワークに入力して、模擬圧縮透かし入り画像を得るステップ、
事前にトレーニングされた判別ネットワークを用いて前記模擬圧縮透かし入り画像を判別し、透かし入り画像をキャリア画像又は透かし入り画像として識別することを含む判別結果を得るステップ、
前記模擬圧縮透かし入り画像を抽出ネットワークに入力して、透かし入りの再構成画像を得るステップ、
前記透かし入り画像、透かし入りの再構成画像及び判別ネットワークの結果に基づいて、透かしネットワーク全体の総損失関数を計算し、損失関数を最小化することを目標として前記透かしネットワークを最適化し、損失が減少し、安定した状態が維持される時、トレーニングが終了したと見なされるステップであって、前記透かしネットワークには、Y-Net生成ネットワーク、圧縮損失模擬ネットワーク、判別ネットワーク及び抽出ネットワークが含まれ、最適化プロセス中、前記判別ネットワークと圧縮損失模擬ネットワークの重みは固定される、ステップ、及び
トレーニング済み透かしネットワークを使用して、キャリア画像及び透かし画像に基づいて透かし入り画像を生成し、透かし入り画像を圧縮し、圧縮後の透かし入り画像から透かし画像を再構築するステップ
を含むY-Netに基づく電子透かし方法を提案する。
【0007】
代替的に、前記Y-Net生成ネットワークは、スキップ接続構造であり、キャリアの第1畳み込み操作グループ、キャリアの第2畳み込み操作グループ、キャリアの第3畳み込み操作グループ、キャリアの第4畳み込み操作グループ、キャリアの第5畳み込み操作グループ、キャリアの第6畳み込み操作グループ、透かしの第1畳み込み操作グループ、透かしの第2畳み込み操作グループ、透かしの第3畳み込み操作グループ、透かしの第4畳み込み操作グループ、透かしの第5畳み込み操作グループ、透かしの第6畳み込み操作グループ、第7畳み込み操作グループ、第1逆畳み込み操作グループ、第2逆畳み込み操作グループ、第3逆畳み込み操作グループ、第4逆畳み込み操作グループ、第5逆畳み込み操作グループ、第6逆畳み込み操作グループ、第7逆畳み込み操作グループ、及び第8畳み込み操作グループを含み、
前記キャリアの第6畳み込み操作グループ及び透かしの第6畳み込み操作グループの出力は、第1逆畳み込み操作グループの出力と融合され、
前記キャリアの第5畳み込み操作グループ及び透かしの第5畳み込み操作グループの出力は、第2逆畳み込み操作グループの出力と融合され、
前記キャリアの第4畳み込み操作グループ及び透かしの第4畳み込み操作グループの出力は、第3逆畳み込み操作グループの出力と融合され、
前記キャリアの第3畳み込み操作グループ及び透かしの第3畳み込み操作グループの出力は、第4逆畳み込み操作グループの出力と融合され、
前記キャリアの第2畳み込み操作グループ及び透かしの第2畳み込み操作グループの出力は、第5逆畳み込み操作グループの出力と融合され、
前記キャリアの第1畳み込み操作グループ及び透かしの第1畳み込み操作グループの出力は、第6逆畳み込み操作グループの出力と融合され、
前記キャリアの第6畳み込み操作グループと透かしの第6畳み込み操作グループは、チャンネルステッチングを行った後第7畳み込み操作グループに入力され、前記第7畳み込み操作グループの出力端は前記第1逆畳み込み操作グループに接続され、
前記第6逆畳み込み操作グループ、キャリアの第1畳み込み操作グループ、透かしの第1畳み込み操作グループのスキップ接続後の結果は、第7逆畳み込み操作グループに入力され、
前記第8畳み込み操作グループの入力端は、前記第7逆畳み込み操作グループに入力され、出力は透かし入り画像であり、
1つの畳み込み操作グループは、順次に設けられた畳み込み層、活性化層、及びバッチ正規化層を含み、1つの逆畳み込み操作グループは順次に設けられた逆畳み込み層、活性化層、及びバッチ正規化層を含む。
【0008】
代替的に、前記判別ネットワークは、次のトレーニングステップを通じて取得される:
複数の画像サンプルを収集し、各サンプル画像のラベルを決定するステップであって、前記ラベルは対応するサンプル画像に含まれる透かし画像の確率を含む、ステップ、
各画像サンプルを入力として、各画像サンプルのラベルを出力としてZhu-Netをトレーニングし、判別ネットワークを得るステップ。
【0009】
代替的に、前記圧縮損失模擬ネットワークは、U-Netネットワークである。
【0010】
代替的に、前記抽出ネットワークは、U-Net++ネットワークである。
【0011】
代替的に、前記判別ネットワークは、判別器であり、前記判別器にはsoftmax関数が含まれる。
【0012】
代替的に、前記透かしネットワークの総損失関数は、次のようになる。
【0013】
【数1】
[式中、L
cは、Y-Net生成ネットワーク損失、L
sは抽出ネットワーク損失、L
dは判別ネットワーク損失、α、β、δはY-Net生成ネットワーク損失、抽出ネットワーク損失及び判別ネットワーク損失を制御するための重みである。]
【0014】
代替的に、前記Y-Net生成ネットワーク損失の計算式は、次のようになる。
【0015】
【数2】
[式中、nは、画像の総画素数、c
iは原キャリア画像、
【数3】
は透かし入り画像を表す。]
【0016】
前記抽出ネットワーク損失Lsの計算式は、次のようになる。
【0017】
【数4】
[式中、s
iは、原透かし画像、
【数5】
は透かしの再構成画像を表す。]
【0018】
前記判別ネットワーク損失Ldの計算式は、次のようになる。
【0019】
【数6】
[式中、y
i′は、真実ラベル、すなわち判別ネットワークに入力された画像がキャリア画像であるか透かし入り画像であるかの真実の結果を表し、y
iは判別ネットワークの出力を表す。]
【0020】
第2の態様において、本発明は、
キャリア画像及び透かし画像をY-Net生成ネットワークに入力し、透かし画像が埋め込まれた透かし入り画像を得るための第1処理ユニットと、
前記透かし入り画像を事前にトレーニングされた圧縮損失模擬ネットワークに入力して、模擬圧縮透かし入り画像を得るための第2処理ユニットと、
事前にトレーニングされた判別ネットワークを用いて前記模擬圧縮透かし入り画像を判別し、透かし入り画像をキャリア画像又は透かし入り画像として識別することを含む判別結果を得るための判別ユニットと、
前記模擬圧縮透かし入り画像を抽出ネットワークに入力して、透かし入りの再構成画像を得るための再構成ユニットと、
前記透かし入り画像、透かし入りの再構成画像及び判別ネットワークの結果に基づいて、透かしネットワークの総損失関数を計算し、損失関数を最小化することを目標として前記透かしネットワークを最適化し、損失が減少し、安定した状態が維持される時、トレーニングが終了したと見なされる(前記透かしネットワークには、Y-Net生成ネットワーク、圧縮損失模擬ネットワーク、判別ネットワーク及び抽出ネットワークが含まれ、最適化プロセス中、前記判別ネットワークと圧縮損失模擬ネットワークの重みは固定される)ためのトレーニングユニットと、
トレーニング済み透かしネットワークを使用して、キャリア画像及び透かし画像に基づいて透かし入り画像を生成し、透かし入り画像を圧縮し、圧縮後の透かし入り画像から透かし画像を再構築するための透かしユニットと
を備えたY-Netに基づく強いロバストな電子透かし装置を提供する。
【0021】
第3の態様において、本発明は、記憶媒体と、プロセッサとを備えたY-Netに基づく強いロバストな電子透かしシステムを提供し、
前記記憶媒体は、命令を保存するために用いられ、
前記プロセッサは、第1態様のいずれか一項に記載の方法を実行するため、前記命令に従い動作するために用いられる。
【発明の効果】
【0022】
従来技術と比較して、本発明の有利な効果としては、
本発明は、特徴豊富なブランチ生成ネットワークであるY-Netを設計して、透かし入り画像の視覚的品質を向上させ、
初めてU-Net++構造を画像電子透かしの分野に引用し、抽出ネットワークとして透かしの再構成画像の視覚的品質を向上させ、
ネットワーク伝送時JPEG圧縮からもたらす画質損失を考慮し、U-Net構造ネットワークを使用してJPEG圧縮損失を模擬し、透かしネットワークのJPEG圧縮に対する耐性を向上させ、
Zhu-Netネットワーク構造を判別ネットワークとして使用し、透かし入り画像の安全性をリアルタイムで監視し、
透かしネットワークをトレーニングする際、判別ネットワーク及び圧縮損失模擬ネットワークの重みを固定し、一方向敵対的トレーニング方法を用い、透かしネットワークの収束速度を加速し、画質が向上するだけでなく、透かし入り画像の安全性も確保する。
【0023】
以下、本発明の内容を明確に理解しやすくするため、具体的実施形態に基づいて、図面と併せて本発明をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】一実施形態に係るY-Netに基づく電子透かし方法のフローチャートである。
【
図2】一実施形態に係るY-Net生成ネットワークの概略構成図である。
【
図3】一実施形態に係る圧縮損失模擬ネットワークの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本出願の目的、技術的手段及び利点をより明確にするため、以下に図面及び実施形態を参照しつつ本出願をさらに詳細に説明する。ここで描写される具体的実施形態は、本出願を解釈することだけに使われており、本出願を限定するものではないことが理解され得る。
【0026】
本明細書で言及される「実施形態」は、実施形態で描写される特定の特徴、構造、又は特性を組み合わせて、本出願の少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを意味する。本明細書の様々な場所に語句「一実施形態において」が現れることは、必ずしもすべてが同じ実施形態に言及するとは限らず、また別個の又は代替の実施形態は、他の実施形態と必ずしも相互排他的であるとは限らない。当業者は、本明細書に描写されている実施形態が他の実施形態と組み合わせることができることを明示かつ暗黙的に理解している。
【0027】
以下、図面を参照しつつ本発明の使用原理を詳細に描写する。
【0028】
(第1の実施形態)
本発明の実施形態は、
図1に示すように、Y-Netに基づく電子透かし方法を提供し、具体的には次のステップを含む。
【0029】
S10:キャリア画像及び透かし画像をY-Net生成ネットワークに入力し、透かし画像が埋め込まれた透かし入り画像を得、すなわち、透かし画像をキャリア画像に埋め込み、透かし入り画像を生成するステップ;
本発明の実施形態の具体的な実施態様において、
図3に示すように、前記Y-Net生成ネットワークは、スキップ接続構造であり、キャリアの第1畳み込み操作グループConv1_c、キャリアの第2畳み込み操作グループConv2_c、キャリアの第3畳み込み操作グループConv3_c、キャリアの第4畳み込み操作グループConv4_c、キャリアの第5畳み込み操作グループConv5_c、キャリアの第6畳み込み操作グループConv6_c、透かしの第1畳み込み操作グループConv1_s、透かしの第2畳み込み操作グループConv2_s、透かしの第3畳み込み操作グループConv3_s、透かしの第4畳み込み操作グループConv4_s、透かしの第5畳み込み操作グループConv5_s、透かしの第6畳み込み操作グループConv6_s、第7畳み込み操作グループConv7、第1逆畳み込み操作グループConvT1、第2逆畳み込み操作グループConvT2、第3逆畳み込み操作グループConvT3、第4逆畳み込み操作グループConvT4、第5逆畳み込み操作グループConvT5、第6逆畳み込み操作グループConvT6、第7逆畳み込み操作グループConvT7、及び第8畳み込み操作グループConv8を含み、
前記キャリアの第6畳み込み操作グループ及び透かしの第6畳み込み操作グループの出力は、第1逆畳み込み操作グループの出力と融合され、
前記キャリアの第5畳み込み操作グループ及び透かしの第5畳み込み操作グループの出力は、第2逆畳み込み操作グループの出力と融合され、
前記キャリアの第4畳み込み操作グループ及び透かしの第4畳み込み操作グループの出力は、第3逆畳み込み操作グループの出力と融合され、
前記キャリアの第3畳み込み操作グループ及び透かしの第3畳み込み操作グループの出力は、第4逆畳み込み操作グループの出力と融合され、
前記キャリアの第2畳み込み操作グループ及び透かしの第2畳み込み操作グループの出力は、第5逆畳み込み操作グループの出力と融合され、
前記キャリアの第1畳み込み操作グループ及び透かしの第1畳み込み操作グループの出力は、第6逆畳み込み操作グループの出力と融合され、
前記キャリアの第6畳み込み操作グループと透かしの第6畳み込み操作グループは、チャンネルステッチングを行った後第7畳み込み操作グループに入力され、前記第7畳み込み操作グループの出力端は前記第1逆畳み込み操作グループに接続され、
前記第6逆畳み込み操作グループ、キャリアの第1畳み込み操作グループ、透かしの第1畳み込み操作グループのスキップ接続後の結果は、第7逆畳み込み操作グループに入力され、
前記第8畳み込み操作グループの入力端は、前記第7逆畳み込み操作グループに入力され、出力は透かし入り画像であり、
1つの畳み込み操作グループは、順次に設けられた畳み込み層Conv、活性化層LeakyReLu、及びバッチ正規化層BNを含み、1つの逆畳み込み操作グループは順次に設けられた逆畳み込み層ConvT、活性化層LeakyReLu、及びバッチ正規化層BNを含む。
【0030】
前記Y-Net生成ネットワークは、全てのキャリア畳み込み操作グループを使用してキャリア画像の特徴を抽出し、全ての透かし畳み込み操作グループを使用して透かし画像の特徴を抽出し、キャリア画像及び透かし画像の特徴をそれぞれ独立して抽出するための2つの分岐の操作により、2種類の画像の特徴の混同を効果的に防止できることが分かる。なお、その後の逆畳み込みプロセスにおいて、透かし入り画像ができるだけ多くの原画像情報を留保できるように、初期で抽出された多次元特徴を融合するためのスキップ接続構造を設け、その後の透かしの画像再構成作業に非常に便利である。
【0031】
S20:前記透かし入り画像を事前にトレーニングされた圧縮損失模擬ネットワークに入力して、模擬圧縮透かし入り画像を得るステップ;
具体的実施プロセスにおいて、ネットワーク伝送中に伝送レートを向上させるため、通常、画像に対してJPEG圧縮操作を行う。JPEG圧縮は、画像の高周波成分の情報を削ることで高周波成分に埋め込まれた透かし画像が深刻なダメージを受けて再構成できなくなる。このためJPEG圧縮損失を透かしネットワークに導入する必要があるが、JPEG圧縮の量子化操作は不連続であり、ネットワークの逆伝播プロセスに参加できない。このため本発明の実施底における圧縮損失模擬ネットワークは、JPEG圧縮損失の模擬として使用し、透かしの再構成画像の画質を効果的に向上するためのU-Netネットワークを選択することができる。
【0032】
本発明の実施形態の具体的な実施態様において、前記U-Net圧縮損失模擬ネットワークは、スキップ接続構造であり、第1畳み込み操作グループ、第2畳み込み操作グループ、第3畳み込み操作グループ、第4畳み込み操作グループ、第1逆畳み込み操作グループ、第2逆畳み込み操作グループ、第3逆畳み込み操作グループ及び第5畳み込み操作グループを含み、
前記第3畳み込み操作グループの出力は、第1逆畳み込み操作グループの出力と融合され、
前記第2畳み込み操作グループの出力は、第2逆畳み込み操作グループの出力と融合され、
前記第1畳み込み操作グループの出力は、第3逆畳み込み操作グループの出力と融合され、
1つの畳み込み操作グループは、順次に設定された畳み込み層、活性化層、及びバッチ正規化層を含み、1つの逆畳み込み操作グループは順次に設定された逆畳み込み層、活性化層、及びバッチ正規化層を含む。
【0033】
前記U-Net圧縮損失模擬ネットワークは、
図3に示され、第1畳み込み操作グループ、第2畳み込み操作グループ、第3畳み込み操作グループ、第4畳み込み操作グループ、第1逆畳み込み操作グループ、第2逆畳み込み操作グループ、第3逆畳み込み操作グループ和第5畳み込み操作グループは、
図3に示すConv1、Conv2、Conv3、Conv4、ConvT1、ConvT2、ConvT3、Conv5に対応する。畳み込み層、活性化層、バッチ正規化層、逆畳み込み層は、
図3のConv、LeakyReLU、BN、ConvTに順に対応する。
【0034】
前記透かし入り画像を前記圧縮損失模擬ネットワークに入力してJPEG圧縮過程中の画質損失模擬を行い、模擬圧縮後の透かし入り画像、すなわち模擬圧縮透かし入り画像を出力する。
【0035】
S30:事前にトレーニングされた判別ネットワークを用いて前記模擬圧縮透かし入り画像を判別し、透かし入り画像をキャリア画像又は透かし入り画像として識別することを含む判別結果を得るステップ;
模擬圧縮透かし入り画像を得た後、安全性を向上させ、透かし画像の埋め込み位置が妥当であるかどうかを判断するため、最適なステガナリシス装置であるZhu-Netを判別器として選択した場合、模擬圧縮透かし入り画像及びキャリア画像を効果的に区別できる。このため具体的実施プロセス中において、前記判別ネットワークは、Zhu-Netネットワークを選択して、S-UNIWARD、HUGOなどの異なる空間領域における透かしアルゴリズムにおり生成された透かし入り画像を学習でき、前記圧縮模擬透かし入り画像を判別ネットワークに入力して判別し、二項分類結果を出力し、すなわち透かし入り画像をキャリア画像又は透かし入り画像として識別する。
【0036】
本発明の実施形態の具体的な実施態様において、前記判別ネットワークは、次のトレーニングステップを通じて取得される:
複数の画像サンプルを収集し、各サンプル画像のラベルを決定するステップ(前記ラベルは対応するサンプル画像に含まれる透かし画像の確率を含む)、
各画像サンプルを入力として、各画像サンプルのラベルを出力としてZhu-Netをトレーニングし、判別ネットワークを得るステップ。
【0037】
S40:前記模擬圧縮透かし入り画像を抽出ネットワークに入力して、透かし入りの再構成画像を得るステップ;
具体的な実施プロセスにおいて、前記抽出ネットワークは、U-Net++ネットワークを選択して、前記圧縮模擬透かし入り画像を抽出ネットワークに入力し、透かしの再構成画像を出力できる。U-Net++ネットワーク構造で構築された抽出ネットワークは、一連のネストされたジャンプ接続操作を通じて、特徴マップの異なるレベルの特徴を捕捉し、透かし画像抽出の高精度を確保できる。
【0038】
S50:前記透かし入り画像、透かし入りの再構成画像及び判別ネットワークの結果に基づき、透かしネットワークの総損失関数を計算し、損失関数を最小化することを目標として前記透かしネットワークを最適化し、損失が減少し、安定した状態が維持される時、トレーニングが終了したと見なされる(前記透かしネットワークには、Y-Net生成ネットワーク、圧縮損失模擬ネットワーク、判別ネットワーク及び抽出ネットワークが含まれ、最適化プロセス中、前記判別ネットワークと圧縮損失模擬ネットワークの重みは固定される)ステップ;
一方向敵対的トレーニング方法を用いて、事前にトレーニングされた圧縮損失模擬ネットワーク及び判別ネットワークを透かしネットワークに追加し、圧縮損失模擬ネットワーク、判別ネットワークの重みを固定し、ネットワークトレーニングプロセスでは、Y-Net生成ネットワーク、及び抽出ネットワークのみを継続的に変更することでネットワークの安定性が大幅に向上し、収束速度を加速し、画像透かしの安全性を確保しながら画質が向上する。
【0039】
本発明の実施形態の具体的な実施態様において、前記透かしネットワークの総損失関数は、次のようになった。
【0040】
【数7】
[式中、L
cは、Y-Net生成ネットワーク損失、L
sは抽出ネットワーク損失、L
dは判別ネットワーク損失、α、β、δはY-Net生成ネットワーク損失、抽出ネットワーク損失及び判別ネットワーク損失を制御するための重みである。]
【0041】
前記Y-Net生成ネットワーク損失(すなわち、透かし入り画像の画質損失)の計算式は、次のようになった。
【0042】
【数8】
[式中、nは、画像の総画素数、c
iは原キャリア画像、
【数9】
は透かし入り画像を表す。]
【0043】
前記抽出ネットワーク損失(すなわち、透かしの再構成画像の画質損失)Lsの計算式は、次のようになった。
【0044】
【数10】
[式中、s
iは、原透かし画像、
【数11】
は透かしの再構成画像を表す。]
【0045】
前記判別ネットワーク損失Ldの計算式は、次のようになった。
【0046】
【数12】
[式中、y
i′は、真実ラベル、すなわち判別ネットワークに入力された画像がキャリア画像であるか透かし入り画像であるかの真実の結果を表し、y
iは判別ネットワークの出力(すなわち、判別器のsoftmax関数の出力)を表す。]
【0047】
透かしネットワークのトレーニングプロセス中、事前トレーニング済みの圧縮損失ネットワーク及び判別ネットワークの重みを固定し、生成ネットワーク、抽出ネットワークの重みクのみを継続的に変更することでネットワークトレーニングの安定性が効果的に向上する。
【0048】
S60:トレーニング済み透かしネットワークを使用して、キャリア画像及び透かし画像に基づいて透かし入り画像を生成し、透かし入り画像をJPEG圧縮し、圧縮後の透かし入り画像から透かし画像を再構築するステップ;
実際の応用において、キャリア画像及び透かし画像をトレーニング済みのY-Net生成ネットワークに入力して高品質の透かし入り画像を得、透かし入り画像をトレーニング済みの圧縮損失模擬ネットワークに入力して模擬されたJPEG圧縮透かし入り画像を得、圧縮後の透かし入り画像をトレーニング済みの抽出ネットワークに入力して透かし入り画像に隠された透かし画像を抽出する。
【0049】
要するに、本発明の実施形態におけるY-Netに基づく電子透かし方法は、キャリア画像及び透かし画像をY-Net生成ネットワークに入力し、透かし入り画像を得、透かし入り画像を事前にトレーニングされた圧縮損失模擬ネットワークに入力して、模擬圧縮透かし入り画像を得、事前にトレーニングされた判別ネットワークを用いて前記模擬圧縮透かし入り画像に透かし画像を隠しているかどうかを判別し、同時に模擬圧縮透かし入り画像を抽出ネットワークに入力して透かし入りの再構成画像を得るため、高い隠蔽性、高い安全性及び強い頑健性を有する。
【0050】
本発明の効果を検証するため、まず公開データセットPASCAL-VOC200に基づいて提案された透かしモデルをトレーニングし、公開データセットPASCAL-VOC2012上でテストした。画質に関する実驗結果を表1に示す。この中でU-Net[Duan X T,Jia K,Li B X,et al.Reversible image steganography schemebased on a U-Net structure[J]. IEEE Access, 2019,2019(7): 9314-9323]モデルは、現在透透かし入り画像の生成及び透かし画像の再構成に最適なモデルである。ISGAN[Zhang R,Dong SQ,Liu JY. Invisible steganography via generative adversarial networks. Multimedia Tools and Applications,2019,78(7): 8559-8575]は、グレースケール透かしの埋め込み面に関して透かし入り画像の生成及び透かし画像の再構成に最適なモデルである。安全性に関する実驗結果を表2に示す。SRNet[Boroumand M,Chen M, Fridrich J.Deep residual network for steganalysis of digital images[J].IEEE Transactions on Information Forensics and Security,2018,14(5):1181-1193]及びZhu-Net[Zhang R,Zhu F, Liu J,et al.Depth-wise separable convolutions and multi-level pooling for an efficient spatial CNN-based steganalysis[J]. IEEE Transactions on Information Forensics and Security,2019,2019(15):1138-1150]は、現在効果がより良い2つのステガナリシスモデルである。
【0051】
【0052】
【0053】
(第2の実施形態)
第1の実施形態と同じ発明の技術的思想に基づいて、本発明の実施形態は、
キャリア画像及び透かし画像をY-Net生成ネットワークに入力し、透かし画像が埋め込まれた透かし入り画像を得るための第1処理ユニットと、
前記透かし入り画像を事前にトレーニングされた圧縮損失模擬ネットワークに入力して、模擬圧縮透かし入り画像を得るための第2処理ユニットと、
事前にトレーニングされた判別ネットワークを用いて前記模擬圧縮透かし入り画像を判別し、透かし入り画像をキャリア画像又は透かし入り画像として識別することを含む判別結果を得るための判別ユニットと、
前記模擬圧縮透かし入り画像を抽出ネットワークに入力して、透かし入りの再構成画像を得るための再構成ユニットと、
前記透かし入り画像、透かし入りの再構成画像及び判別ネットワークの結果に基づいて、透かしネットワークの総損失関数を計算し、損失関数を最小化することを目標として前記透かしネットワークを最適化し、損失が減少し、安定した状態が維持される時、トレーニングが終了したと見なされる(前記透かしネットワークには、Y-Net生成ネットワーク、圧縮損失模擬ネットワーク、判別ネットワーク及び抽出ネットワークが含まれ、最適化プロセス中、前記判別ネットワークと圧縮損失模擬ネットワークの重みは固定される)ためのトレーニングユニットと、
トレーニング済み透かしネットワークを使用して、キャリア画像及び透かし画像に基づいて透かし入り画像を生成し、透かし入り画像を圧縮し、圧縮後の透かし入り画像から透かし画像を再構築するための透かしユニットと
を備えたY-Netに基づく強いロバストな電子透かし装置を提供した。
【0054】
その他の部分は、第1の実施形態と同じである。
【0055】
(第3の実施形態)
第1の実施形態と同じ発明の技術的思想に基づいて、本発明の実施形態は、記憶媒体と、プロセッサとを備えたY-Netに基づく強いロバストな電子透かしシステムを提供し、
前記記憶媒体は、命令を保存するために用いられ、
前記プロセッサは、第1の実施形態のいずれか一項に記載の方法を実行するため、前記命令に従い動作するために用いられる。
【0056】
当業者によって理解されるように、本出願の実施形態は、システム、方法又はコンピュータプログラム製品として具現化されてもよい。故に本出願は、全体的にハードウェアである実施形態、全体的にソフトウェアである実施形態或いはソフトウェアとハードウェアの側面を組み合わせる実施形態の形態をとってもよい。さらに、本出願は、コンピュータ可読プログラムコードを有する1つ以上のコンピュータ可読記録媒体(磁気ディスク記憶装置、CD-ROM、光メモリなどを含むが、これらに限定されない)内で具体化されるコンピュータプログラム製品の形態をとってもよい。
【0057】
本出願は、本出願の実施形態による方法、装置(システム)及びコンピュータプログラム製品のフローチャートならびに/もしくはブロック図を参照して説明される。フローチャート及び/又はブロック図における各フロー及び/又はブロックならびにフローチャート図及び/又はブロック図におけるフロー及び/又はブロックの組み合わせが、コンピュータプログラム命令によって実装されることができる。これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャートのフロー又は複数のフローならびに/もしくはブロック図のブロック又は複数のブロックに規定された機能を実装するための手段を生成するように、マシンを生産するため汎用コンピュータ、専用コンピュータ、もしくは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供されてもよい。
【0058】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ可読メモリ内に記憶される命令が、フローチャートのフロー又は複数のフローならびに/もしくはブロック図のブロック或いは複数のブロックに規定された機能を実装する命令を含む製造品を生産するように、特定の様式で機能するようにコンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他のデバイスに指図し得る、コンピュータ可読メモリ内に記憶されてもよい。
【0059】
コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ又は他のプログラマブル装置上で実行される命令が、フローチャートのフロー又は複数のフローならびに/もしくはブロック図のブロック或いは複数のブロック内に規定された機能を実装するためのプロセスを提供するように、一連の動作ステップをコンピュータ又は他のプログラマブル装置上で実施させ、コンピュータ実装プロセスを生産するためコンピュータ、又は他のプログラマブルデータ処理装置上にロードされてもよい。
【0060】
最後に、上記実施形態は、あくまでも本発明の技術的手段を明らかにするものであって、本発明はこれら実施形態により何ら限定されるものではないに留意されたい。本発明は、前述の実施形態を参照して詳細に説明されたが、本発明の具体的実施態様を修正する又は均等物で置き換えることができ、本発明の精神及び範囲から逸脱しないあらゆる修正又は置換が本発明の特許請求の範囲に収まるべきであることは、当業者によって理解されるだろう。
【0061】
(付記)
(付記1)
Y-Netに基づく電子透かし方法であって、
キャリア画像及び透かし画像をY-Net生成ネットワークに入力し、前記透かし画像が埋め込まれた透かし入り画像を得るステップ、
前記透かし入り画像を事前にトレーニングされた圧縮損失模擬ネットワークに入力して、模擬圧縮透かし入り画像を得るステップ、
事前にトレーニングされた判別ネットワークを用いて前記模擬圧縮透かし入り画像を判別し、前記透かし入り画像を前記キャリア画像又は前記透かし入り画像として識別することを含む判別結果を得るステップ、
前記模擬圧縮透かし入り画像を抽出ネットワークに入力して、透かし入りの再構成画像を得るステップ、
前記透かし入り画像、前記透かし入りの再構成画像及び前記判別ネットワークの結果に基づいて、透かしネットワーク全体の総損失関数を計算し、損失関数を最小化することを目標として前記透かしネットワークを最適化し、損失が減少し、安定した状態が維持される時、トレーニングが終了したと見なされるステップであって、前記透かしネットワークには、前記Y-Net生成ネットワーク、前記圧縮損失模擬ネットワーク、前記判別ネットワーク及び前記抽出ネットワークが含まれ、最適化プロセス中、前記判別ネットワークと前記圧縮損失模擬ネットワークの重みは固定される、ステップ、及び
トレーニング済み透かしネットワークを使用して、前記キャリア画像及び前記透かし画像に基づいて前記透かし入り画像を生成し、前記透かし入り画像を圧縮し、圧縮後の前記透かし入り画像から前記透かし画像を再構築するステップ、
を含むことを特徴とする、Y-Netに基づく電子透かし方法。
【0062】
(付記2)
前記Y-Net生成ネットワークは、スキップ接続構造であり、キャリアの第1畳み込み操作グループ、キャリアの第2畳み込み操作グループ、キャリアの第3畳み込み操作グループ、キャリアの第4畳み込み操作グループ、キャリアの第5畳み込み操作グループ、キャリアの第6畳み込み操作グループ、透かしの第1畳み込み操作グループ、透かしの第2畳み込み操作グループ、透かしの第3畳み込み操作グループ、透かしの第4畳み込み操作グループ、透かしの第5畳み込み操作グループ、透かしの第6畳み込み操作グループ、第7畳み込み操作グループ、第1逆畳み込み操作グループ、第2逆畳み込み操作グループ、第3逆畳み込み操作グループ、第4逆畳み込み操作グループ、第5逆畳み込み操作グループ、第6逆畳み込み操作グループ、第7逆畳み込み操作グループ、及び第8畳み込み操作グループを含み、
前記キャリアの第6畳み込み操作グループ及び前記透かしの第6畳み込み操作グループの出力は、前記第1逆畳み込み操作グループの出力と融合され、
前記キャリアの第5畳み込み操作グループ及び前記透かしの第5畳み込み操作グループの出力は、前記第2逆畳み込み操作グループの出力と融合され、
前記キャリアの第4畳み込み操作グループ及び前記透かしの第4畳み込み操作グループの出力は、前記第3逆畳み込み操作グループの出力と融合され、
前記キャリアの第3畳み込み操作グループ及び前記透かしの第3畳み込み操作グループの出力は、前記第4逆畳み込み操作グループの出力と融合され、
前記キャリアの第2畳み込み操作グループ及び前記透かしの第2畳み込み操作グループの出力は、前記第5逆畳み込み操作グループの出力と融合され、
前記キャリアの第1畳み込み操作グループ及び前記透かしの第1畳み込み操作グループの出力は、前記第6逆畳み込み操作グループの出力と融合され、
前記キャリアの第6畳み込み操作グループと前記透かしの第6畳み込み操作グループは、チャンネルステッチングを行った後前記第7畳み込み操作グループに入力され、前記第7畳み込み操作グループの出力端は前記第1逆畳み込み操作グループに接続され、
前記第6逆畳み込み操作グループ、前記キャリアの第1畳み込み操作グループ、前記透かしの第1畳み込み操作グループのスキップ接続後の結果は、前記第7逆畳み込み操作グループに入力され、
前記第8畳み込み操作グループの入力端は、前記第7逆畳み込み操作グループに入力され、出力は前記透かし入り画像であり、
1つの畳み込み操作グループは、順次に設けられた畳み込み層、活性化層、及びバッチ正規化層を含み、1つの逆畳み込み操作グループは順次に設けられた逆畳み込み層、活性化層、及びバッチ正規化層を含む、
ことを特徴とする、付記1に記載のY-Netに基づく電子透かし方法。
【0063】
(付記3)
前記判別ネットワークは、
複数の画像サンプルを収集し、各前記サンプル画像のラベルを決定するステップであって、前記ラベルは対応する前記サンプル画像に含まれる前記透かし画像の確率を含む、ステップ、及び
各前記画像サンプルを入力として、各前記画像サンプルのラベルを出力としてZhu-Netをトレーニングし、前記判別ネットワークを得るステップ、
のトレーニングステップを通じて取得されることを特徴とする、付記1に記載のY-Netに基づく電子透かし方法。
【0064】
(付記4)
前記圧縮損失模擬ネットワークは、U-Netネットワークであることを特徴とする、付記1に記載のY-Netに基づく電子透かし方法。
【0065】
(付記5)
前記抽出ネットワークは、U-Net++ネットワークであることを特徴とする、付記1に記載のY-Netに基づく電子透かし方法。
【0066】
(付記6)
前記判別ネットワークは、判別器であり、前記判別器にはsoftmax関数が含まれることを特徴とする、付記1に記載のY-Netに基づく電子透かし方法。
【0067】
(付記7)
前記透かしネットワークの総損失関数は、
【数13】
[式中、L
cは、Y-Net生成ネットワーク損失、L
sは抽出ネットワーク損失、L
dは判別ネットワーク損失、α、β、δはY-Net生成ネットワーク損失、抽出ネットワーク損失及び判別ネットワーク損失を制御するための重みである。]のようになることを特徴とする、付記1に記載のY-Netに基づく電子透かし方法。
【0068】
(付記8)
前記Y-Net生成ネットワーク損失の計算式:
【数14】
[式中、nは、画像の総画素数、c
iは原キャリア画像、
【数15】
は透かし入り画像を表す。]
前記抽出ネットワーク損失L
sの計算式:
【数16】
[式中、s
iは、原透かし画像、
【数17】
は透かしの再構成画像を表す。]
前記判別ネットワーク損失L
dの計算式:
【数18】
[式中、y
i′は、真実ラベル、すなわち判別ネットワークに入力された画像がキャリア画像であるか透かし入り画像であるかの真実の結果を表し、y
iは判別ネットワークの出力を表す。]
になることを特徴とする、付記7に記載のY-Netに基づく電子透かし方法。
【0069】
(付記9)
Y-Netに基づく強いロバストな電子透かし装置であって、
キャリア画像及び透かし画像をY-Net生成ネットワークに入力し、前記透かし画像が埋め込まれた透かし入り画像を得るための第1処理ユニットと、
前記透かし入り画像を事前にトレーニングされた圧縮損失模擬ネットワークに入力して、模擬圧縮透かし入り画像を得るための第2処理ユニットと、
事前にトレーニングされた判別ネットワークを用いて前記模擬圧縮透かし入り画像を判別し、前記透かし入り画像を前記キャリア画像又は前記透かし入り画像として識別することを含む判別結果を得るための判別ユニットと、
前記模擬圧縮透かし入り画像を抽出ネットワークに入力して、透かし入りの再構成画像を得るための再構成ユニットと、
前記透かし入り画像、前記透かし入りの再構成画像及び前記判別ネットワークの結果に基づいて、透かしネットワークの総損失関数を計算し、損失関数を最小化することを目標として前記透かしネットワークを最適化し、損失が減少し、安定した状態が維持される時、トレーニングが終了したと見なされる(前記透かしネットワークには、前記Y-Net生成ネットワーク、前記圧縮損失模擬ネットワーク、前記判別ネットワーク及び前記抽出ネットワークが含まれ、最適化プロセス中、前記判別ネットワークと前記圧縮損失模擬ネットワークの重みは固定される)ためのトレーニングユニットと、
トレーニング済み透かしネットワークを使用して、前記キャリア画像及び前記透かし画像に基づいて前記透かし入り画像を生成し、前記透かし入り画像を圧縮し、圧縮後の前記透かし入り画像から前記透かし画像を再構築するための透かしユニットと、
を含むことを特徴とする、Y-Netに基づく強いロバストな電子透かし装置。
【0070】
(付記10)
Y-Netに基づく強いロバストな電子透かしシステムであって、記憶媒体と、プロセッサとを備え、
前記記憶媒体は、命令を保存するために用いられ、
前記プロセッサは、付記1~8のいずれか一つに記載の方法を実行するため、前記命令に従い動作するために用いられる、
ことを特徴とする、Y-Netに基づく強いロバストな電子透かしシステム。
【国際調査報告】