(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】ベントガス混合物を処理する方法および装置
(51)【国際特許分類】
F02M 25/08 20060101AFI20240711BHJP
F23K 5/00 20060101ALI20240711BHJP
F23G 7/00 20060101ALI20240711BHJP
F02M 25/00 20060101ALI20240711BHJP
B63H 21/38 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
F02M25/08 B
F23K5/00 307Z
F23G7/00 Z ZAB
F02M25/00 M
F02M25/08 H
F02M25/08 E
B63H21/38 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579584
(86)(22)【出願日】2022-06-13
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 EP2022066023
(87)【国際公開番号】W WO2022268557
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509005513
【氏名又は名称】アルファ-ラヴァル・コーポレート・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トーベン・マアク・セーレンセン
(72)【発明者】
【氏名】セレン・メルガード
(72)【発明者】
【氏名】ラース・ボ・アンデルセン
【テーマコード(参考)】
3G144
3K068
3K161
【Fターム(参考)】
3G144BA22
3G144BA27
3G144EA02
3G144EA05
3G144EA08
3G144EA10
3G144EA23
3G144FA04
3G144FA15
3G144FA23
3G144FA25
3G144GA10
3K068AA18
3K068AB12
3K068CB01
3K161AA06
3K161CA01
3K161DB32
3K161EA50
3K161JA11
(57)【要約】
燃料の燃料蒸気と不活性ガスとを含むベントガス混合物を処理するための方法(200)であって、該ベントガス混合物は燃料システム(120)から生じ、該方法(200)は、該燃料システム(120)からのベントガス混合物をコンデンサ(131)へ方向付けるステップ(S202)であり、該コンデンサ(131)は、ベントガス混合物が液体燃料と不活性ガスとを含むように、燃料蒸気の少なくとも大部分を液体燃料に凝縮する、方向付けるステップ(S202)と、コンデンサ(131)からのベントガス混合物の液体燃料と不活性ガスとを蒸気-液体分離器(133)内で分離するステップ(S204)と、ボイラシステム(110)が高温条件にありかつベントガス混合物の液体燃料を受容し燃焼させる用意ができている場合、該蒸気-液体分離器(133)からの液体燃料をボイラシステム(110)へ選択的に方向付けるステップ(S206)、またはボイラシステム(110)が高温条件にありかつベントガス混合物の液体燃料を受容し燃焼させる用意ができるまで、液体燃料を、蒸気-液体分離器(133)内にかつ/または別個の貯蔵タンク(135)内に貯蔵するステップ(208)とを含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料の燃料蒸気と不活性ガスとを含むベントガス混合物を処理するための方法(200)であって、前記ベントガス混合物は燃料システム(120)から生じ、前記方法(200)は、
前記燃料システム(120)からの前記ベントガス混合物をコンデンサ(131)へ方向付けるステップ(S202)であり、前記コンデンサ(131)は、前記ベントガス混合物が液体燃料および前記不活性ガスを含むように、前記燃料蒸気の少なくとも大部分を前記液体燃料に凝縮する、方向付けるステップ(S202)と、
蒸気-液体分離器(133)内で、前記コンデンサ(131)からの前記ベントガス混合物の前記液体燃料と前記不活性ガスとを分離するステップ(S204)と、
ボイラシステム(110)が高温条件にありかつ前記ベントガス混合物の前記液体燃料を受容し燃焼させる用意ができている場合、前記蒸気-液体分離器(133)からの前記液体燃料を前記ボイラシステム(110)へ選択的に方向付けるステップ(S206)、又は、
ボイラシステム(110)が前記高温条件にありかつ前記ベントガス混合物の前記液体燃料を受容し燃焼させる用意ができるまで、前記蒸気-液体分離器(133)内でかつ/または別個の貯蔵タンク(135)内で、前記液体燃料を貯蔵するステップ(208)と、
を含む、方法(200)。
【請求項2】
前記燃料はアルコール、好ましくはメタノールである、請求項1に記載の方法(200)。
【請求項3】
前記蒸気-液体分離器(133)からの前記ベントガス混合物の前記不活性ガスを大気へ方向付けるステップをさらに含む、請求項1または2に記載の方法(200)。
【請求項4】
前記ベントガス混合物は前記燃料システム(120)の燃料タンク(121)から生じる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法(200)。
【請求項5】
前記ベントガス混合物は、燃料タンク(121)を空にする動作に応答して、前記燃料システム(120)から前記コンデンサ(131)へ方向付けられ、前記動作は、前記不活性ガスと共に、前記燃料タンク(121)から前記燃料蒸気を放出することを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法(200)。
【請求項6】
前記ベントガス混合物は、前記燃料タンク(121)へ前記燃料を満たす動作に応答した圧力上昇に応答して、前記燃料システム(120)から前記コンデンサ(131)へ方向付けられる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法(200)。
【請求項7】
前記ベントガス混合物は、前記燃料システム(120)内での漏出に応答して、前記燃料システム(120)から前記コンデンサ(131)へ方向付けられる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法(200)。
【請求項8】
前記ベントガス混合物の前記液体燃料の自立火炎に点火するステップをさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法(200)。
【請求項9】
サポート火炎に点火し、前記サポート火炎を使用して、前記ベントガス混合物の前記液体燃料を燃焼させるステップ、又は
前記ボイラシステムの一次火炎を前記サポート火炎として使用して、前記ベントガス混合物の前記液体燃料を燃焼させるステップ
をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法(200)。
【請求項10】
前記ボイラシステム(110)が高温条件にありかつ前記ベントガス混合物を受容し燃焼させる用意ができている場合、前記燃料システム(120)からの前記ベントガス混合物を前記ボイラシステム(110)へ方向付ける、好ましくは選択的に方向付けることによって、前記コンデンサ(131)および前記蒸気-液体分離器(133)を迂回するステップをさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法(200)。
【請求項11】
前記コンデンサ(131)および前記蒸気-液体分離器(133)を迂回する前記ステップは、前記燃料システム(120)からの前記ベントガス混合物を、熱交換器(141)およびガスバルブトレイン(143)経由で、前記ボイラシステム(110)へ方向付けるステップを含み、前記熱交換器(141)は、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、前記ベントガス混合物のいかなる液相も蒸発させる、請求項10に記載の方法(200)。
【請求項12】
前記不活性ガスは窒素である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法(200)。
【請求項13】
燃料の燃料蒸気と不活性ガスとを含むベントガス混合物を処理するための装置(100)であって、前記ベントガス混合物は燃料システム(120)から生じ、前記装置は、
ボイラシステム(110)と、
ベントガス処理システム(130)と、
を含み、
前記ボイラシステム(110)は、
バーナ(113)、および
燃料を選択的に供給し、それにより、前記ボイラシステム(110)内での熱および/または蒸気の生成のために、前記バーナ(113)内で一次火炎を選択的に持続するように構成されている燃料入口(114)と、
を含み、
前記ベントガス処理システム(130)は、
気相中の前記燃料蒸気を液体燃料に凝縮するためのコンデンサ(131)、および
前記液体燃料と前記不活性ガスとを分離するための蒸気-液体分離器(133)
を含み、
前記装置(100)は、
前記ベントガス混合物が液体燃料と不活性ガスとを含むように、前記燃料システム(120)からの前記ベントガス混合物を、前記燃料蒸気を液体燃料に凝縮する前記コンデンサ(131)へ方向付けるように、かつ
前記コンデンサ(131)からの前記ベントガス混合物を、前記液体燃料と前記不活性ガスとを分離する前記蒸気-液体分離器(133)へ方向付けるように、
前記ボイラシステム(110)が高温条件にありかつ前記ベントガス混合物の前記液体燃料を受容し燃焼させる用意ができている場合、前記蒸気-液体分離器(133)からの前記液体燃料を前記ボイラシステム(110)へ選択的に方向付けるように、又は
前記ボイラシステム(110)が前記高温条件にありかつ前記ベントガス混合物の前記液体燃料を受容し燃焼させる用意ができるまで、前記液体燃料を、前記蒸気-液体分離器(133)内にかつ/または別個の貯蔵タンク(135)内に、貯蔵するように
構成されている導管をさらに含む、
装置(100)。
【請求項14】
前記燃料入口(114)は、燃料供給ライン(116)を介して、燃料源(151)に接続されており、前記燃料源(151)は一次火炎用の燃料を供給するように構成されており、前記燃料は、液体天然ガス(LNG)、留出燃料および残留燃料から成る群から選択される、請求項13に記載の装置(100)。
【請求項15】
前記ボイラシステム(110)は前記ベントガス混合物の前記液体燃料の自立火炎に点火するように構成されている、請求項13または14に記載の装置(100)。
【請求項16】
前記ボイラシステム(110)は、
サポート火炎に点火し、前記サポート火炎を使用して、前記ベントガス混合物の前記液体燃料を燃焼させるように、又は
一次火炎を前記サポート火炎として使用して、前記ベントガス混合物の前記液体燃料を燃焼させるように
構成されている、請求項13または14に記載の装置(100)。
【請求項17】
前記バーナ(113)は、
少なくとも2つの異なる燃料、好ましくは1度に1つを燃やすように、又は
1つまたは複数の気体燃料を燃やすことと組み合わせて、1つまたは複数の液体燃料を燃やすように、
構成されている、多種燃料バーナシステムであり、
ここで、前記1つまたは複数の液体燃料、好ましくは1度に1つの液体燃料は、前記1つまたは複数の気体燃料、好ましくは1度に1つの気体燃料が燃やされるのと同時に燃やされる、請求項13から16のいずれか一項に記載の装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料の燃料蒸気と不活性ガスとを含みかつ燃料システムから生じるベントガス混合物を処理する方法に関する。これに関連して、燃料は、船舶を推進させる機関内の燃料として使用される燃料である可能性があること、および/または燃料は、貨物として貯蔵されかつ船舶によって輸送される燃料である可能性があることが留意され得る。また、本発明は、そのようなベントガス混合物を処理するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オイルまたはガスによって動力を供給される船舶用機関が、当該技術分野において周知である。船舶用蒸気の生成のためのオイルおよびガスを燃料とするボイラ(Oil and gas fired boiler)も、当該技術分野において周知である。通常、ボイラ動作用の燃料の選択は、船舶用機関の動作のために選択される燃料に関連して行われる。したがって、船舶用機関がオイルによって動力を供給される場合、ボイラは同様にオイルによって動力を供給されることが多い。しかし、船舶用機関とボイラとは異なる燃料によって動力を供給されてもよい。
【0003】
今日の船舶用機関の殆どに関する1つの欠点が海洋大気汚染であり、特に、推進力を供給する時に船舶用機関から排出される二酸化炭素(CO2)である。CO2排出および他の温室効果ガス排出は、環境側面の観点から減少されなければならないことが、一般的に認められている。解決策として、代替燃料が海洋産業において勢いを増している。これは、メタノール、水素、アンモニア、または生体材料の転換のような燃料を含む。しかし、代替燃料を導入することによって、他の問題が生じる可能性がある。
【0004】
例えば、メタノールを燃料としてかつ/または貨物として取り扱う場合、メタノール蒸気に関連するいくつかの問題が起こる。検査などのためにタンクが空にされた場合、タンク内のメタノール蒸気は、窒素などの不活性ガスを使用して放出される。該メタノール蒸気が除去されたら、タンクは、検査が実施され得るように、空気で満たされる。タンクがメタノールで満たされる時、該空気は、窒素などの不活性ガスを使用して除去され、酸素が除去された後、メタノールがタンク内へ満たされ得る。メタノールがタンク内へ満たされる時、不活性ガスおよびメタノール蒸気の圧力が上昇し、ベントガスとして放出される必要がある。この圧力上昇は、例えばバンカーリング中または燃料補給中などの、追加量のメタノールが既に部分的に満たされたタンク内へ満たされる時にも起こる。
【0005】
したがって、温室効果ガス排出に関して、従来の燃料と比較して、代替燃料がより環境に優しい可能性があるが、例えばベントガスを処分する効率的で環境に優しい方法などの、克服される必要があるさらに他の問題が存在する。
【0006】
特に揮発性有機化合物(VOC)の状況における、ベントガスを処分するいくつかの異なるアプローチおよび試みが存在する。
【0007】
米国特許第7,032,390(B2)号において、VOCガスの圧縮に使用される1つまたは複数の圧縮機の動作に、生成された蒸気が使用される蒸気システム用の燃料として、回収された圧縮VOCガスが使用される複雑なシステムが開示されている。
【0008】
国際公開第2019/017796号が、揮発性有機化合物の余剰を燃料とする低排出オイルタンカーを開示している。該タンカーは、VOCガスを排出する積載貨物を運搬するように適合されている積載タンクと、前記積載貨物から排出されるVOCの少なくとも第1の部分を捕捉するようになされているVOC捕捉回収デバイスとを含み、VOCの少なくとも第1の部分の少なくとも第2のVOC部分を回収し、第1の出力において液化VOC(LVOC)として出力するように、かつ第2の出力において余剰VOC(SVOC)を出力するようになされているVOC処理デバイスを含む。タンカーは、燃料ガス入力部を備えたガス燃料高出力オットーモータ式推進機関と、LNG貯蔵手段、LNG気化器、気化LNGを燃料ガス入力部へ供給するようになされている気化器出力部、および該気化器出力部と該燃料ガス入力部との間に配置されている燃料ガス混合器を含む機関燃料供給装置(engine fuelling arrangement)とをさらに含む。該ガス燃料混合器は、ガス燃料混合器内へのSVOCの導入のために、ガス捕捉回収デバイスの第2の出力部と連通している混合器入力部を有する。
【0009】
国際公開第2012/165968号が、原油タンクおよび石油製品タンクからの貨物蒸気を処理する方法およびシステムを開示しており、該貨物蒸気は液体VOCと余剰VOCとに分離される。本文献は、圧縮空気、余剰VOC、およびLVOCが燃焼室へ供給されることをさらに開示している。該LVOCはパイロット燃料として燃焼室へ供給され、該圧縮空気、該余剰VOC、およびLVOCは、次いで、該燃焼室内で燃焼させられる。該燃焼は、発電機を作動させて電力を発生させるために使用される。
【0010】
米国特許第2012/0291879(A1)号が、不活性ブランケットガスで覆われた炭化水素の貨物を含有する貯蔵所からのベントガスを処理する方法および装置を開示している。本文献において、貯蔵タンク内への原油の積載が、該タンクから放出されるVOCと不活性ガスとの混合物を含むベントガスを生じさせることが開示されている。該ベントガスは圧縮され、ボイラのバーナに送達される。該バーナは、安定した燃焼をもたらすサポート燃料としてのオイルの供給も受け、該オイルの供給は、ウォッベ指数およびベントガスの流量に従って自動的に調節される。燃料の燃焼によりボイラ内で発生した蒸気が、ぬめりに対抗するために、または他の目的のために、オイルを加熱するのに使用される。
【0011】
しかし、下記において明らかになるように、それらのどれも適切な解決策を提供しない。特に、それらのどれも、アルコールベースの燃料などの代替燃料の使用に関係があるベントガスの効率的で環境に優しい処分に関する、適切な解決策を提供しない。解決策は、好ましくは、ロバストで、それが関連システムの設計に至る場合、最小限の設計検討を必要とするものであるべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第7,032,390(B2)号
【特許文献2】国際公開第2019/017796号
【特許文献3】国際公開第2012/165968号
【特許文献4】米国特許第2012/0291879(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、ベントガスを処分する環境に優しい方法をそれが提供するべきであり、それがロバストであるべきであり、かつそれが関連システムの最小限の設計変更を必要とするべきであるという設計基準の少なくともいくつかに対処する解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本目的は、燃料の燃料蒸気と不活性ガスとを含むベントガス混合物を処理する方法によって達成されており、該ベントガス混合物は燃料システムから生じ、該方法は、
該燃料システムからのベントガス混合物をコンデンサへ方向付けるステップであり、該コンデンサは、ベントガス混合物が液体燃料および不活性ガスを含むように、該燃料蒸気の少なくとも大部分を該液体燃料に凝縮する、方向付けるステップと、
蒸気-液体分離器内で、コンデンサからのベントガス混合物の液体燃料と不活性ガスとを分離するステップと、
ボイラシステムが高温条件にありかつベントガス混合物の液体燃料を受容し燃焼させる用意ができている場合、該蒸気-液体分離器からの液体燃料を該ボイラシステムへ選択的に方向付けるステップ、または
ボイラシステムが該高温条件にありかつベントガス混合物の液体燃料を受容し燃焼させる用意ができるまで、蒸気-液体分離器内にかつ/または別個の貯蔵タンク内に、液体燃料を貯蔵するステップと
を含む。
【0015】
ベントガス混合物を、ベントガス混合物が液体燃料と不活性ガスとを含むように、燃料蒸気を液体燃料に凝縮するコンデンサへ方向付けること、および該コンデンサからの該ベントガス混合物の該液体燃料と該不活性ガスとを蒸気-液体分離器内で分離することによって、不活性ガスを別個に処分すること、およびロバストで効率的な方法で、現在の液体燃料をさらに処理することが可能である。コンデンサは燃料蒸気の全てを液体燃料に凝縮し得るか、または燃料蒸気の留分を液体燃料に代替的に凝縮し得ることに留意すべきであり、この場合、該留分は燃料蒸気の大部分を構成する。留分のサイズは、例えば、燃料蒸気がコンデンサ内に存在する時間および/または凝縮過程において使用される冷却媒体の温度に左右される。好ましくは、可能な限り多くの燃料蒸気を凝縮するために、冷却媒体の温度は、燃料蒸気が生じるタンクおよび/または導管内の燃料の温度よりも大幅に低い必要がある。やはりベントガス混合物から分離された現在の液体燃料は、気体ベントガス混合物と比較して、極めてより小さい体積を占め、扱い易く、貯蔵し易い。現在の液体燃料は、ボイラシステムへ移され、液体燃料のノズルによって、バーナへ導入され得る。それにより、ボイラシステムが高温条件にありかつベントガス混合物の液体燃料を受容し燃焼させる用意ができている場合、またはボイラシステムが高温条件にありかつベントガス混合物の液体燃料を受容し燃焼させる用意ができるまで、液体燃料を蒸気-液体分離器内にかつ/もしくは別個の貯蔵タンク内に貯蔵する用意ができている場合、蒸気-液体分離器からの液体燃料をボイラシステムへ選択的に方向付けることが容易になる。
【0016】
ベントガス混合物の液体燃料は容易に貯蔵され得るので、ボイラシステムが、熱および/または蒸気の必要性に基づいて、多かれ少なかれ単独で動作することを可能にすることができ、ボイラシステムの通常の動作条件が液体燃料の燃焼を可能にするまで、液体燃料の燃焼に関して待機することが可能である。さらに、殆どのボイラシステムおよびバーナが、液体として供給された燃料を、自立火炎としてまたはパイロット火炎もしくは一次火炎によりのどちらかで、燃焼させることができるので、燃料が液体燃料用のノズルによってボイラシステムのバーナへ移され、導入されることは、該装置を汎用的にし、殆どの場合、単に、ボイラシステムのバーナへの液体燃料の適正な導入のための適切なノズルを選択するという問題に過ぎない。不活性ガスが燃料蒸気から分離されているので、不活性ガスを大気へ簡単に放出することが可能であることが多い。
【0017】
この場合、燃料は、船舶を推進させる機関内で燃料として使用される燃料であり得ることが留意され得る。燃料システムは、そのような場合、タンクと、該タンクを満たすために使用される、タンクへの導管と、燃料をタンクから機関へ供給するために使用される、タンクからの導管とを含み得る。該充填動作はバンカーリングと呼ばれる場合もある。あるいは、燃料は、貨物として貯蔵されかつ船舶によって輸送される燃料であり得る。燃料システムは、そのような場合、タンクと、タンクを満たしかつ空にするのに使用される、タンクへのかつタンクからの導管とを含む。また、船舶を推進させる機関内の燃料として使用される燃料は、貨物として貯蔵されかつ船舶によって輸送される同一の燃料であり得るか、またはあるいは異なる燃料であり得ることが留意され得る。同一の燃料が、船舶を推進させる機関用の燃料としてかつ船舶によって貨物として輸送されている燃料としての両方で使用される場合、推進剤としての燃料に関連する燃料システムからのかつ貨物としての燃料に関連する燃料システムへの、ベントガス混合物を処理する単一の装置を有することが考えられる。また、燃料が類似した特性を有する限り、該燃料が異なっているとしても、推進剤としての燃料に関連する燃料システムからのかつ貨物としての燃料に関連する燃料システムへの両方で、ベントガス混合物を処理する単一の装置を有することが考えられる。この後者は、例えば、推進剤燃料がメタノールなどの第1のアルコールであり、かつ貨物が別のアルコールであるかもしくはアルコールベースの製品である場合である可能性がある。また、それぞれの装置のいくつかの部分が両装置に共通であり、かついくつかの他の部分がそれぞれの装置に関して別々であり固有であるハイブリッド装置であることが考えられる。ベントガスは、二次障壁として機能し燃料タンクの周囲に全体的にまたは部分的に延在する所謂コファダム構造物からも生じる可能性がある。該コファダムへの燃料タンクからの燃料蒸気のいかなる漏出も、不活性ガスを使用して放出されることが可能であり、それにより、燃料の燃料蒸気と不活性ガスとを含むベントガス混合物が存在する。また、本方法は、漏れているタンク、燃料システム等からの、または燃料蒸気が不活性ガスを使用して放出される多種の意図的なもしくは偶然の動作からの、燃料の燃料蒸気と不活性ガスとを含む多種のベントガスを処理するのにも使用され得ることが留意され得る。また、ベントガス混合物は、例えばガス中に留められている燃料の液滴などの、液体の留分も含み得ることが留意され得る。コンデンサは、熱交換器内の燃料蒸気が液体に凝縮するように、熱を環境へ放散するように構成されている熱交換器であるとも言われる。
【0018】
好適な実施形態が従属クレームおよび本文中に出現する。
【0019】
燃料はアルコールであることが好ましい。燃料はメタノールであることが最も好ましい。
【0020】
本方法は、蒸気-液体分離器からのベントガス混合物の不活性ガスを大気へ方向付けるステップをさらに含み得る。燃料蒸気は、コンデンサおよび蒸気-液体分離器によって、不活性ガスから効率的に分離されているので、これは、不活性ガスを処分する都合の良い方法であり、それは環境に優しいアプローチである。しかし、不活性ガスを大気へ放出することは、十分に大きい、コンデンサ内で凝縮された燃料蒸気の留分に左右されること、または言い換えれば、依然として存在する燃料蒸気の量は、ガスの留分が大気中に放出されることを可能にするように十分に小さい必要があることに留意すべきである。
【0021】
しかし、本発明のコンセプトは、不活性ガスが、大気へ放出される代わりに、異なる方法で処理されることを除外しない。いずれにしても、前段で検討されている凝縮および液体-蒸気分離は、ベントガス混合物中の燃料内容物の処理を容易にし、それはガス留分の処理を容易にする。
【0022】
好適な実施形態では、ベントガス混合物は燃料システムの燃料タンクから生じる。
【0023】
1つの好適な実施形態では、ベントガス混合物は、燃料タンクを空にする動作に応答して、燃料システムからコンデンサへ方向付けられ、該動作は、前記不活性ガスと共に、タンクから燃料蒸気を放出することを含む。燃料タンク検査のような手続きの前に、または別の燃料が燃料タンク内へ満たされる場合、該燃料タンクは燃料を空にされなければならず、燃料蒸気は不活性ガスと共に放出され、それは燃料の燃料蒸気と不活性ガスとのベントガス混合物をもたらす。
【0024】
一実施形態では、ベントガス混合物は、燃料タンクに燃料を満たす動作に応答した圧力上昇に応答して、燃料システムからコンデンサへ方向付けられる。例えば燃料タンク検査または燃料の変更の後、燃料タンクが燃料で満たされる場合、タンクは最初に不活性ガスで満たされる。タンク内に酸素が存在しない場合、タンク内へ燃料が満たされるかまたは積み込まれる。タンク内に燃料を満たすかまたは積み込む場合、圧力上昇が起こる。これに関連して、燃料蒸気と不活性ガスとの混合物が放出され、それによりベントガス混合物の形成を可能にすることによって、該圧力上昇は解除される。これに関連して、充填が、以前に空にされたタンクの第1の充填を指す可能性があるか、またはあるいは、既に部分的に燃料で満たされているタンクへの、燃料の追加量の充填を指す可能性がある。タンクへ燃料を満たす動作は、いくつかの場合には、バンカーリングと呼ばれることがある。
【0025】
一実施形態では、ベントガス混合物は、燃料システム内での漏出に応答して、燃料システムからコンデンサへ方向付けられる。これは、燃料システムのための安全システムを可能にするという点において有利であり、燃料システム内の漏出が起こった場合、該ベントガス混合物はボイラシステムへ処分される。該漏出は、例えば、1つまたは複数のタンクから起こる可能性がある。該1つまたは複数のタンクは、コファダムによって部分的にまたは全体的に取り囲まれている可能性がある。該コファダムは、可能性のある漏出を封入する目的で第2の障壁として機能することができ、ベントガス混合物は、例えば、タンクからコファダムへの燃料または燃料蒸気の漏出に応答して、コファダムから放出されるガスである可能性がある。
【0026】
本方法は、ベントガス混合物の液体燃料の自立火炎に点火するステップをさらに含み得る。この火炎は、火花点火によってかつ/またはパイロット火炎の使用で点火され得る。これは、ベントガス混合物の火炎が自立的である場合に使用され得る。これは、例えば、問題のベントガス混合物が液相に関係がある場合、かつ該液相自体が火炎を持続させることができる場合、または除去混合物の液相と二次燃料との、結果として得られる混合物が火炎を持続させることができるようになるような量で、アルコール、好ましくは同じアルコールなどの二次燃料が添加された時に、該液相が火炎を持続させることができる場合、適用可能であり得る。
【0027】
本方法は、
サポート火炎に点火し、該サポート火炎を使用して、ベントガス混合物の液体燃料を燃焼させるステップ、または
ボイラシステムの一次火炎をサポート火炎として使用して、ベントガス混合物の液体燃料を燃焼させるステップ
をさらに含み得る。
【0028】
サポート火炎または一次火炎は、例えば、水素、メタン、メタノール、アンモニア、またはISO8217適合燃料を燃やすことによって、達成され得る。
【0029】
ベントガス混合物の火炎が自立的でない場合、ある種のサポート火炎を供給する必要がある。これは独立したサポート火炎である可能性があるか、またはあるいは一次火炎がサポート火炎として使用される可能性がある。ボイラシステムは、パイロット火炎を最初に点火し、次いで該パイロット火炎からサポート火炎に点火することによって、サポート火炎に点火するように、またはパイロット火炎が持続されている場合、該パイロットからサポート火炎に直接点火するように構成されている。除去混合物の火炎が自立的である場合でも、サポート火炎を供給することは有用であり得る。
【0030】
本方法は、ボイラシステムが高温条件にありかつベントガス混合物を受容し燃焼させる用意ができている場合、燃料システムからのベントガス混合物をボイラシステムへ方向付けること、好ましくは選択的に方向付けることによって、コンデンサおよび蒸気-液体分離器を迂回させるステップをさらに含み得る。これは、ボイラシステムが高温条件にありかつベントガス混合物を受容し燃焼させる用意ができているような場合、ベントガス混合物の迅速な処分を可能にする。
【0031】
コンデンサおよび蒸気-液体分離器を迂回させるステップは、燃料システムからのベントガス混合物を、熱交換器およびガスバルブトレイン経由で、ボイラシステムへ方向付けるステップを含んでいてもよく、該熱交換器は、ベントガス混合物のいかなる液相も完全に蒸発させる。熱交換器はベントガス混合物のいかなる液相も完全に蒸発させて、ベントガス混合物が、ボイラシステムへ供給された時、純粋に気相状態にあることを確実にすることが好適である。それにより、ベントガス混合物は効率的に燃焼させられることが可能である。
【0032】
不活性ガスは窒素であることが好ましい。
【0033】
また、上記の目的は、燃料の燃料蒸気と不活性ガスとを含むベントガス混合物を処理するための装置であって、該ベントガス混合物は燃料システムから生じ、該装置は、
ボイラシステムと、
ベントガス処理システムと
を含み、
該ボイラシステムは、
バーナ、および
燃料を選択的に供給し、それにより、ボイラシステム内での熱および/または蒸気の生成のために、該バーナ内で一次火炎を選択的に持続するように構成されている燃料入口と
を含み、
該ベントガス処理システムは、
気相中の燃料蒸気を液体燃料に凝縮するためのコンデンサ、
液体燃料と不活性ガスとを分離するための蒸気-液体分離器
を含み、
該装置は、
ベントガス混合物が液体燃料と不活性ガスとを含むように、燃料システムからのベントガス混合物を、燃料蒸気を液体燃料に凝縮するコンデンサへ方向付けるように、
該コンデンサからのベントガス混合物を、液体燃料と活性ガスとを分離する蒸気-液体分離器へ方向付けるように、
ボイラシステムが高温条件にありかつベントガス混合物の液体燃料を受容し燃焼させる用意ができている場合、蒸気-液体分離器からの液体燃料を該ボイラシステムへ選択的に方向付けるように、または
ボイラシステムが高温条件にありかつベントガス混合物の液体燃料を受容し燃焼させる用意ができるまで、該液体燃料を、蒸気-液体分離器内にかつ/または別個の貯蔵タンク内に貯蔵するように
構成されている導管をさらに含む、
装置、によって達成されている。
【0034】
前段で、様々な特徴と関係がある利点が本方法に関して検討されており、それらの利点は装置に等しく当てはまる。
【0035】
燃料入口は、燃料供給ラインを介して、燃料源へ接続されていてもよい。該燃料源は、一次火炎用の燃料を供給するように構成されていることが好ましい。燃料は、液化天然ガス(LNG)、留出燃料および残留燃料から成る群から選択されることが好ましい。
【0036】
一実施形態では、ボイラシステムは、ベントガス混合物の液体燃料の自立火炎に点火するように構成されている。
【0037】
一実施形態では、ボイラシステムは、
サポート火炎に点火し、前記サポート火炎を使用して、ベントガス混合物の液体燃料を燃焼させるように、
一次火炎をサポート火炎として使用して、ベントガス混合物の液体燃料を燃焼させるように
構成されている。
【0038】
バーナは、
少なくとも2つの異なる燃料、好ましくは1度に1つを燃やすように、
1つまたは複数の気体燃料を燃やすことと組み合わせて、1つまたは複数の液体燃料を燃やすように、ここで、1つまたは複数の液体燃料、好ましくは1度に1つの液体燃料が、1つまたは複数の気体燃料、好ましくは1度に1つの気体燃料と同時に燃やされる、
構成されている、多燃料バーナシステムであり得る。
【0039】
一般に、本明細書において明示的に別段の定義がない限り、特許請求の範囲において使用されている全ての用語が、技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。a/an/the[要素、デバイス、構成要素、手段、ステップ等]に対する全ての言及が、明示的に別段の断りがない限り、前記要素、デバイス、構成要素、手段、ステップ等の少なくとも1つの例に対する言及と同様に、オープンに解釈されるべきである。本明細書において開示されている任意の方法のステップは、明示的に断りがない限り、開示されたまさにその順序で実施されなければならない訳ではない。
【0040】
本発明を、本発明の現在好適な実施形態を示す添付の概略的図面を参照して、例としてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】ベントガス混合物を処理するための装置を概略的に開示している図であり、燃料の燃料蒸気と不活性ガスとを含む図である。
【
図2】ベントガス混合物を処理する方法を概略的に開示している図であり、燃料の燃料蒸気と不活性ガスとを含む図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
ここで、本開示を、本開示の現在好適な実施形態が示されている添付の図面を参照して、以下により十分に説明する。しかし、本開示は多くの様々な形態で具現化されてもよく、本明細書に記載された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、これらの実施形態は完璧さおよび完全性のために与えられ、本開示の範囲を当業者に十分に伝える。
【0043】
図1を参照すると、燃料の燃料蒸気と不活性ガスとを含むベントガス混合物を処理するための装置100が開示されている。該燃料はアルコールまたはアルコールベースの燃料であり得る。燃料はメタノールであることが好ましい。燃料は、船舶を推進させる機関内の燃料として使用され得る。あるいは、燃料は、貨物として貯蔵されかつ船舶によって輸送される燃料である可能性がある。しかし、同様に他の燃料が使用され得ることに留意すべきである。不活性ガスは窒素である可能性がある。不活性ガスは、同様に任意の他の不活性ガスまたは不活性ガスの混合物である可能性があることに留意すべきである。
【0044】
装置100は、ボイラシステム110と、燃料システムと、ベントガス処理システム130とを含む。ベントガス混合物は該燃料システム120から生じる。
【0045】
ボイラシステム110は、ボイラ111と、バーナ113と、燃料入口114とを含む。該燃料入口114は、該ボイラシステム110内での熱および/または蒸気の生成用の、該バーナ113内の一次火炎を選択的に持続させるように構成され得る。燃料入口114は、燃料供給ライン116を介して、燃料源151に接続されている。該燃料源151は、バーナ113内の一次火炎用の燃料を供給するように構成され得る。該一次火炎用の燃料は、液化天然ガス(LNG)、留出燃料および残留燃料であり得る。しかし、燃料は、同様に他の燃料である可能性があることに留意すべきである。燃料には1種または複数種の燃料が含まれ得る。燃料源151は、さらなる燃料供給ライン154およびポンプ153経由で、ボイラシステム110へ燃料を供給するように構成され得る。ボイラシステム110はさらなる燃料入口112を含む。該さらなる燃料入口112は、導管118を介して、ベントガス処理システム130に接続されている。
【0046】
ボイラシステム110のバーナ113は、少なくとも2つの異なる燃料を燃やすように構成されている多燃料バーナシステムであり得る。該バーナ113は、一度に該少なくとも2つの異なる燃料の1つを燃やすように構成され得る。バーナ113は、1つまたは複数の気体燃料を燃やすことと組み合わせて、1つまたは複数の液体燃料を燃やすように構成され得る。該1つまたは複数の液体燃料は、1つまたは複数の気体燃料が燃やされると同時に燃やされ得る。好ましくは、1つまたは複数の液体燃料のうちの1つの液体燃料が、1つまたは複数の気体燃料のうちの1つの気体燃料と同時に燃やされる。
【0047】
燃料システム120は燃料タンク121を含む。
図1に描写されているように、燃料システム120はコファダム構造物123をさらに含む。該コファダム構造物は二次障壁として機能することができ、燃料タンク121の周囲に全体的にまたは部分的に延在する。コファダム構造物123は、燃料タンク121内の可能性のある漏出を封入する目的を有し得る。燃料タンク121および/またはコファダム123は、供給ライン122を介して、燃料システム120の機関125に接続されている。図示されていないが、燃料システム120は2つ以上の燃料タンク121を含み得る。
【0048】
ベントガス処理システム130は、気相中の燃料蒸気を液相に凝縮するためのコンデンサ131を含む。また、該ベントガス処理システム130は、液体燃料と不活性ガスとを分離するための蒸気-液体分離器133を含む。
【0049】
ベントガス処理システム130は、導管139を介して、燃料システムに接続され、導管118を介して、ボイラシステム110に接続されている。該導管139は、燃料システム120からのベントガス混合物をベントガス処理システム130へ方向付けるように構成されている。より詳細には、導管139は、燃料システム120からのベントガス混合物をベントガス処理システム130のコンデンサ131へ方向付けるように構成されている。該コンデンサ131は、ベントガス混合物が液体燃料と不活性ガスとを含むように、燃料蒸気の少なくとも大部分を液体燃料に凝縮するように構成されている。コンデンサ131は、導管132を介して、蒸気-液体分離器133に接続されている。したがって、該導管132は、コンデンサ131からのベントガス混合物を該蒸気-液体分離器133へ方向付けるように構成されている。蒸気-液体分離器133は、液体燃料と不活性ガスとを分離するように構成されている。蒸気-液体分離器133は、導管134を介して、貯蔵タンク135に接続されており、導管138を介して、ポンプ137に接続されている。該貯蔵タンク135は、導管136を介して、1つまたは複数の燃料ポンプ137に接続されている。
【0050】
蒸気-液体分離器133は、液体燃料を、ポンプ137へかつ導管118経由で、ボイラシステム110へ選択的に方向付けるように構成され得る。このことは、ボイラシステム110が高温条件にありかつベントガス混合物の液体燃料を受容し燃焼させる用意ができている場合、特に関連がある。
【0051】
ボイラシステム110が高温条件にない場合、蒸気-液体分離器133は、ボイラシステム110が高温条件になるまで、液体燃料を貯蔵するように構成され得る。あるいは、または組み合わせて、蒸気-液体分離器133は、液体燃料を別個の貯蔵タンク135へ供給し、かつボイラシステム110が高温条件になるまで、別個の貯蔵タンク135内に同を貯蔵するように構成され得る。前述のように、ボイラシステム110が高温条件にある場合、該ボイラシステムは、ベントガス混合物の液体燃料を受容し燃焼させる用意ができている。
【0052】
図示されていないが、液体燃料と不活性ガスとが分離された場合、蒸気-液体分離器133は、ベントガス混合物の不活性ガスを大気へ方向付けるように構成され得る。
【0053】
ベントガス混合物は、燃料システム120内の燃料タンク121を空にする動作に応答して、燃料システム120からコンデンサ131へ方向付けられ得る。該動作は、不活性ガスと共に、燃料タンク121から燃料蒸気を放出することを含むことが好ましい。あるいは、ベントガス混合物は、燃料タンク121に燃料を満たす動作に応答した圧力上昇に応答して、燃料システム120からコンデンサ131へ方向付けられ得る。あるいは、ベントガス混合物は、燃料システム120内の漏出に応答して、燃料システム120からコンデンサ131へ方向付けられ得る。
【0054】
ボイラシステム110に戻って参照すると、該ボイラシステムは、ベントガス混合物の液体燃料の自立火炎に点火するようにさらに構成され得る。したがって、ボイラシステム110は、サポート火炎に点火するように、かつ該サポート火炎を使用して、ベントガス混合物の液体燃料を燃焼させるように構成され得るか、または一次火炎をサポート火炎として使用して、ベントガス混合物の液体燃料を燃焼させるように構成され得る。
【0055】
図1にさらに描写されているように、燃料システム120は、導管142を介して、熱交換器141に接続され得る。該熱交換器141は、ベントガス混合物のいかなる液相も完全に蒸発させるように構成されている。該蒸発器141は、導管144を介して、ガスバルブトレイン143に接続されている。該ガスバルブトレイン143は、導管146を介して、ボイラシステム110に接続されている。したがって、装置100は、ベントガス処理システム130を迂回させることによって、燃料システム120からのベントガス混合物をボイラシステム110へ方向付けるように構成され得る。該ベントガス処理システム130は、燃料システム120からのベントガス混合物をボイラシステム110へ、好ましくは選択的に方向付けることによって、迂回される。これは、ボイラシステム110が高温条件にありかつ受容し燃焼させる用意ができている場合、可能であり得る。
【0056】
熱交換器141およびガスバルブトレイン143は
図1に描写されているが、それらは、燃料システム120が導管を介してボイラシステム110に接続されているように、装置100から省略されてもよい。この場合、ベントガス混合物は、燃料システム120からボイラシステム110へ、直接、好ましくはポンプにより、導入される。
【0057】
図2を参照すると、燃料の燃料蒸気と不活性ガスとを含むベントガス混合物を処理する方法を示す流れ
図200が、例として示されている。
【0058】
一般に、方法200の第1のステップS202が、燃料システム120からのベントガス混合物を、燃料蒸気の少なくとも大部分を液体燃料に凝縮するように構成されているコンデンサ131へ方向付けることであってもよい。それにより、ベントガス混合物は液体燃料と不活性ガスとを含む。第2のステップS204では、ベントガス混合物の液体燃料と不活性ガスとは、蒸気-液体分離器133内で分離され得る。
【0059】
その後、本方法200は、ボイラシステム110が高温条件にあるか否かに応じて、第3のステップS206または第4のステップS208を提供する。該第3のステップS206では、ボイラシステム110が高温条件にありかつベントガス混合物の液体燃料を受容し燃焼させる用意ができている場合、該液体燃料は、蒸気-液体分離器133からボイラシステム110へ選択的に方向付けられる。または、液体燃料は、ボイラシステム110が高温条件にありかつベントガス混合物の液体燃料を受容し燃焼させる用意ができるまで、蒸気-液体分離器133内にかつ/またはベントガス処理システム130の別個の貯蔵タンク135内に貯蔵される。
【0060】
本開示が前述されている好適な実施形態に決して限定されないことを、当業者は認識する。逆に、添付の特許請求の範囲の範囲内で、多くの修正形態および変形形態が可能である。
【符号の説明】
【0061】
100 装置
110 ボイラシステム
111 ボイラ
112 さらなる燃料入口
114 燃料入口
113 バーナ
116、154 燃料供給ライン
118、132、134、136、138、139、142、144、146 導管
120 燃料システム
121 燃料タンク
122 供給ライン
123 コファダム構造物、コファダム
125 機関
130 ベントガス処理システム
131 コンデンサ
133 蒸気-液体分離器
135 貯蔵タンク、別個の貯蔵タンク
137 ポンプ、燃料ポンプ
141 熱交換器、蒸発器
143 ガスバルブトレイン
151 燃料源
153 ポンプ
200 流れ図、方法
S202 第1のステップ
S204 第2のステップ
S206 第3のステップ
S208 第4のステップ
【手続補正書】
【提出日】2024-02-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料の燃料蒸気と不活性ガスとを含むベントガス混合物を処理するための方法(200)であって、前記ベントガス混合物は燃料システム(120)から生じ、前記方法(200)は、
前記燃料システム(120)からの前記ベントガス混合物をコンデンサ(131)へ方向付けるステップ(S202)であり、前記コンデンサ(131)は、前記ベントガス混合物が液体燃料および前記不活性ガスを含むように、前記燃料蒸気の少なくとも大部分を前記液体燃料に凝縮する、方向付けるステップ(S202)と、
蒸気-液体分離器(133)内で、前記コンデンサ(131)からの前記ベントガス混合物の前記液体燃料と前記不活性ガスとを分離するステップ(S204)と、
ボイラシステム(110)が高温条件にありかつ前記ベントガス混合物の前記液体燃料を受容し燃焼させる用意ができている場合、前記蒸気-液体分離器(133)からの前記液体燃料を前記ボイラシステム(110)へ選択的に方向付けるステップ(S206)、又は、
ボイラシステム(110)が前記高温条件にありかつ前記ベントガス混合物の前記液体燃料を受容し燃焼させる用意ができるまで、前記蒸気-液体分離器(133)内でかつ/または別個の貯蔵タンク(135)内で、前記液体燃料を貯蔵するステップ(208)と、
を含む、方法(200)。
【請求項2】
前記燃料はアルコール、好ましくはメタノールである、請求項1に記載の方法(200)。
【請求項3】
前記蒸気-液体分離器(133)からの前記ベントガス混合物の前記不活性ガスを大気へ方向付けるステップをさらに含む、請求項1または2に記載の方法(200)。
【請求項4】
前記ベントガス混合物は前記燃料システム(120)の燃料タンク(121)から生じる、請求項1
または2に記載の方法(200)。
【請求項5】
前記ベントガス混合物は、燃料タンク(121)を空にする動作に応答して、前記燃料システム(120)から前記コンデンサ(131)へ方向付けられ、前記動作は、前記不活性ガスと共に、前記燃料タンク(121)から前記燃料蒸気を放出することを含む、請求項
4に記載の方法(200)。
【請求項6】
前記ベントガス混合物は、前記燃料タンク(121)へ前記燃料を満たす動作に応答した圧力上昇に応答して、前記燃料システム(120)から前記コンデンサ(131)へ方向付けられる、請求項
4に記載の方法(200)。
【請求項7】
前記ベントガス混合物は、前記燃料システム(120)内での漏出に応答して、前記燃料システム(120)から前記コンデンサ(131)へ方向付けられる、請求項1
または2に記載の方法(200)。
【請求項8】
前記ベントガス混合物の前記液体燃料の自立火炎に点火するステップをさらに含む、請求項1
または2に記載の方法(200)。
【請求項9】
サポート火炎に点火し、前記サポート火炎を使用して、前記ベントガス混合物の前記液体燃料を燃焼させるステップ、又は
前記ボイラシステムの一次火炎を前記サポート火炎として使用して、前記ベントガス混合物の前記液体燃料を燃焼させるステップ
をさらに含む、請求項1
または2に記載の方法(200)。
【請求項10】
前記ボイラシステム(110)が高温条件にありかつ前記ベントガス混合物を受容し燃焼させる用意ができている場合、前記燃料システム(120)からの前記ベントガス混合物を前記ボイラシステム(110)へ方向付ける、好ましくは選択的に方向付けることによって、前記コンデンサ(131)および前記蒸気-液体分離器(133)を迂回するステップをさらに含む、請求項1
または2に記載の方法(200)。
【請求項11】
前記コンデンサ(131)および前記蒸気-液体分離器(133)を迂回する前記ステップは、前記燃料システム(120)からの前記ベントガス混合物を、熱交換器(141)およびガスバルブトレイン(143)経由で、前記ボイラシステム(110)へ方向付けるステップを含み、前記熱交換器(141)は、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、前記ベントガス混合物のいかなる液相も蒸発させる、請求項10に記載の方法(200)。
【請求項12】
前記不活性ガスは窒素である、請求項1
または2に記載の方法(200)。
【請求項13】
燃料の燃料蒸気と不活性ガスとを含むベントガス混合物を処理するための装置(100)であって、前記ベントガス混合物は燃料システム(120)から生じ、前記装置は、
ボイラシステム(110)と、
ベントガス処理システム(130)と、
を含み、
前記ボイラシステム(110)は、
バーナ(113)、および
燃料を選択的に供給し、それにより、前記ボイラシステム(110)内での熱および/または蒸気の生成のために、前記バーナ(113)内で一次火炎を選択的に持続するように構成されている燃料入口(114)と、
を含み、
前記ベントガス処理システム(130)は、
気相中の前記燃料蒸気を液体燃料に凝縮するためのコンデンサ(131)、および
前記液体燃料と前記不活性ガスとを分離するための蒸気-液体分離器(133)
を含み、
前記装置(100)は、
前記ベントガス混合物が液体燃料と不活性ガスとを含むように、前記燃料システム(120)からの前記ベントガス混合物を、前記燃料蒸気を液体燃料に凝縮する前記コンデンサ(131)へ方向付けるように、かつ
前記コンデンサ(131)からの前記ベントガス混合物を、前記液体燃料と前記不活性ガスとを分離する前記蒸気-液体分離器(133)へ方向付けるように、
前記ボイラシステム(110)が高温条件にありかつ前記ベントガス混合物の前記液体燃料を受容し燃焼させる用意ができている場合、前記蒸気-液体分離器(133)からの前記液体燃料を前記ボイラシステム(110)へ選択的に方向付けるように、又は
前記ボイラシステム(110)が前記高温条件にありかつ前記ベントガス混合物の前記液体燃料を受容し燃焼させる用意ができるまで、前記液体燃料を、前記蒸気-液体分離器(133)内にかつ/または別個の貯蔵タンク(135)内に、貯蔵するように
構成されている導管をさらに含む、
装置(100)。
【請求項14】
前記燃料入口(114)は、燃料供給ライン(116)を介して、燃料源(151)に接続されており、前記燃料源(151)は一次火炎用の燃料を供給するように構成されており、前記燃料は、液体天然ガス(LNG)、留出燃料および残留燃料から成る群から選択される、請求項13に記載の装置(100)。
【請求項15】
前記ボイラシステム(110)は前記ベントガス混合物の前記液体燃料の自立火炎に点火するように構成されている、請求項13または14に記載の装置(100)。
【請求項16】
前記ボイラシステム(110)は、
サポート火炎に点火し、前記サポート火炎を使用して、前記ベントガス混合物の前記液体燃料を燃焼させるように、又は
一次火炎を前記サポート火炎として使用して、前記ベントガス混合物の前記液体燃料を燃焼させるように
構成されている、請求項13または14に記載の装置(100)。
【請求項17】
前記バーナ(113)は、
少なくとも2つの異なる燃料、好ましくは1度に1つを燃やすように、又は
1つまたは複数の気体燃料を燃やすことと組み合わせて、1つまたは複数の液体燃料を燃やすように、
構成されている、多種燃料バーナシステムであり、
ここで、前記1つまたは複数の液体燃料、好ましくは1度に1つの液体燃料は、前記1つまたは複数の気体燃料、好ましくは1度に1つの気体燃料が燃やされるのと同時に燃やされる、請求項13
または14に記載の装置(100)。
【国際調査報告】