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特表2024-526599モノリシック集積化したトップゲート型薄膜トランジスタおよび発光ダイオードならびに製造方法
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  • 特表-モノリシック集積化したトップゲート型薄膜トランジスタおよび発光ダイオードならびに製造方法 図1A
  • 特表-モノリシック集積化したトップゲート型薄膜トランジスタおよび発光ダイオードならびに製造方法 図1B
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  • 特表-モノリシック集積化したトップゲート型薄膜トランジスタおよび発光ダイオードならびに製造方法 図3A
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  • 特表-モノリシック集積化したトップゲート型薄膜トランジスタおよび発光ダイオードならびに製造方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】モノリシック集積化したトップゲート型薄膜トランジスタおよび発光ダイオードならびに製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/33 20060101AFI20240711BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240711BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240711BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20240711BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20240711BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20240711BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
G09F9/33
G09F9/30 338
G09F9/00 338
G09F9/30 348A
H01L33/00 L
H01L33/62
H01L29/78 617K
H01L29/78 626C
H01L29/78 627A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579809
(86)(22)【出願日】2022-06-27
(85)【翻訳文提出日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 US2022035149
(87)【国際公開番号】W WO2023278339
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/215,776
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/850,301
(32)【優先日】2022-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517381843
【氏名又は名称】イーマジン・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ソンキ・キム
(72)【発明者】
【氏名】アマルクマール・ピー・ゴーシュ
【テーマコード(参考)】
5C094
5F110
5F142
5G435
【Fターム(参考)】
5C094AA42
5C094AA43
5C094AA44
5C094AA45
5C094BA03
5C094BA26
5C094CA19
5C094DA15
5C094DB04
5C094EB10
5C094FA01
5C094FA02
5C094FB16
5C094FB19
5C094GB10
5F110BB01
5F110BB11
5F110CC05
5F110DD04
5F110DD13
5F110DD24
5F110EE04
5F110FF02
5F110GG01
5F110NN71
5F110NN72
5F110QQ19
5F142AA86
5F142BA32
5F142CB14
5F142CD16
5F142CG07
5F142CG27
5F142DB24
5F142GA01
5G435AA17
5G435BB04
5G435CC09
5G435KK05
(57)【要約】
高密度ディスプレイに好適な画素およびサブピクセルが開示される。発光ダイオード(LED)の上にトップゲート型薄膜トランジスタ(TFT)を直接形成し、それにより、必要な実装面積を縮小させることによって、高密度が実現される。スタック構造を可能にするために、平坦化層は、その上面が、LEDの上部電極の上面と同一平面であるように形成される。次いで、TFTのソースおよびドレインが、LEDとTFTとの間の電気的な接触が行われるように、平坦化層および電極上で形成される。いくつかの実施形態では、その製造は、その上面がTFTのゲートの上面と同一平面である、追加の平坦化層の堆積を含む。これによって、TFT/LEDスタック上に平行板コンデンサを形成し、それにより、画素の占有面積をさらに減少させることが可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画素(P1)を備えるディスプレイであって、前記第1の画素(P1)が、
第1のカソード(116)および第1のアノード(118)を含む第1の発光ダイオード(LED)(102R)と、
前記第1のLED上に配設される第1の薄膜トランジスタ(TFT)(104R)であって、第1のソース(126R)、第1のドレイン(124R)、および基板(106)に対して遠位にある第1のゲート(122R)を含む、第1のTFT(104R)と
を含み、
前記第1のLEDおよび前記第1のTFTが、前記第1のカソードと前記第1のアノードのうちの1つが前記第1のソースと前記第1のドレインのうちの1つと電気的に結合されるように、前記基板上でモノリシック集積化される、ディスプレイ。
【請求項2】
前記第1のアノードが、上面(S1)を有し、前記第1の画素が、誘電体材料を含む平坦化層(120)であって、前記上面と同一平面である第1の面(S2)を有する平坦化層(120)を含み、さらに、前記第1のソースと前記第1のドレインのうちの1つが、前記第1の面上に配設される、請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項3】
前記第1のアノードが、前記第1のドレインと電気的に接続される、請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項4】
前記第1のアノードと前記第1のドレインとが、直接物理的に接触する、請求項3に記載のディスプレイ。
【請求項5】
前記第1のアノードが、前記第1のドレインである、請求項3に記載のディスプレイ。
【請求項6】
前記第1の画素が、第1のプレート(C1)、第2のプレート(C2)、および前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間に配設される誘電体層(604)を有する平行板コンデンサ(602)をさらに備え、前記第1のプレートが、前記第1のゲートと電気的に結合され、前記第1のプレートが、前記第1のゲート上に配設されて前記第1のゲートと物理的に接触する、請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項7】
前記第1のプレートが、前記第1のゲートである、請求項6に記載のディスプレイ。
【請求項8】
前記第1の画素が、
第2のカソード(116)および第2のアノード(118)を含む第2のLED(102G)と、
前記第2のLED上に配設される第2のTFT(104G)であって、第2のソース(126G)、第2のドレイン(124G)、および前記基板に対して遠位にある第2のゲート(122G)を含む、第2のTFT(104G)と
を備える、第2のサブピクセル(100G)をさらに含み、
前記第2のLEDおよび前記第2のTFTが、前記第2のカソードと前記第2のアノードのうちの1つが前記第2のソースと前記第2のドレインのうちの1つと電気的に結合されるように、前記基板上でモノリシック集積化される、請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項9】
複数の画素(P1)を含むディスプレイを形成するための方法であって、
基板上に複数の発光ダイオード(LED)(102)を形成するステップであって、前記複数のLEDのうちの各LEDが、カソード(116)およびアノード(118)を含み、前記カソードと前記アノードのうちの1つが、前記基板に対して遠位にある第1の面(S1)を有する、ステップと、
誘電体材料を含む平坦化層(120)を形成するステップであって、前記平坦化層が、前記複数の第1の面と同一平面である第2の面(S2)を有する、ステップと、
複数の薄膜トランジスタ(TFT)(104)の各TFTが前記複数のLEDのうちの異なるLED上に配設されるように前記複数のTFT(104)を形成するステップであって、前記複数のTFTの各TFTが、ソース(126)、ドレイン(124)、および前記基板に対して遠位にあるゲート(122)を含む、ステップと
を含み、
(1)前記第1のソースおよび前記第1のドレインのうちの一方が、そのそれぞれのLEDの前記第1のアノードおよび前記第1のカソードのうちの1つの上に配設されて電気的に接続され、(2)前記ソースおよび前記ドレインのうちの他方が、前記第2の面上に配設されるように、各TFTが形成される、方法。
【請求項10】
前記複数の画素のうちの各画素において、前記アノードおよび前記ドレインは、前記アノードと前記ドレインとが、直接物理的に接触し、電気的に接続されるように形成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の画素のうちの各画素において、前記アノードは、前記アノードが前記ドレインであるように形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
複数の平行板コンデンサ(602)を形成するステップであって、各コンデンサが、第1のプレート(C1)、第2のプレート(C2)、および前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間に配設される誘電体層(604)を有し、前記複数の画素のうちの各画素において、前記第1のプレートが、そのそれぞれのTFTの前記ゲートと電気的に結合され、前記第1のプレートが、前記ゲート上に配設されて前記ゲートと物理的に接触する、ステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のプレートが、前記ゲートである、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本案件は、2021年6月28日に出願された、「Monolithically Integrated Top-Gate Thin-Film Transistor and LED」という名称の米国仮特許出願第63/215,776号(代理人整理番号6494-236PR1)の優先権を主張し、この米国仮特許出願は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれている。本出願と、参照によって組み込まれている案件のうちの1つまたは複数との間に、本案件の特許請求の範囲の解釈に影響をおよぼす可能性がある何らかの文言上の矛盾または不整合がある場合、本案件における特許請求の範囲は、本案件における文言と整合するように解釈するべきである。
【0002】
本開示は、画像表示技術に関し、より詳細には、LEDベースのマイクロディスプレイに関する。
【背景技術】
【0003】
無機発光ダイオード(LED)は、堅牢であり、長い寿命を有し、有機発光ダイオード(OLED)など他のタイプのLEDよりも明るい光を放出することができる。結果として、無機発光ダイオードは、発光ディスプレイおよびマイクロディスプレイ中の画素要素として使用するのに魅力的である。
【0004】
しかし、歴史的に、無機LEDをディスプレイのバックプレーン中の画素駆動回路と集積化することは困難であった。無機LEDは、一般的に、たとえばガリウム窒化物(GaN)といったIII-V族材料またはII-VI族材料を含む化合物半導体材料でできている。化合物半導体材料は、処理するために非常に高い温度を必要とする(>700C)。化合物半導体技術を使用して作られたドライバは、単結晶シリコンを有する相補型金属酸化物半導体(CMOS)またはアモルファスシリコン(aSi)もしくは多結晶シリコン(ポリSi)を使用する薄膜トランジスタ(TFT)などの標準的シリコン技術と比較して著しく高い電圧を呈する。結果として、単にGaNを使用する実用的な表示デバイスの製造は困難であった。
【0005】
ディスプレイを実現するため、無機LEDと標準的シリコンベーストランジスタ技術をモノリシックに組み合わせる試みがあったが、それらは概して不成功であった。たとえば、Hartensveldは、参照によって本明細書に組み込まれる、2021年5月17~21日にオンラインで行われ、Society for Information Displayによって発行された、「Fully Monolithic GaN μLED Display System」、Proceedings of Display Week 2021、文書61-5においてシリコン基板上のGaNベースマイクロLEDのヘテロエピタキシャル集積化を開示した。不幸なことに、そのようなモノリシック集積化技術の費用および複雑さは、多くの用途でそれを使用するには論外である。
【0006】
無機LEDとシリコンベース電子回路の異種集積化は、モノリシック集積化の代替手法を提供する。そのような手法は、ピックアンドプレース技術を採用して、バルクLED基板から、以前に形成されたシリコントランジスタ回路を含む受取基板に完全に形成されたLEDの配列を搬送する。ここで、半田バンプボンディングまたは導電粒子を含む熱硬化樹脂が使用されてLEDと回路を動作可能に結合する。不幸なことに、長期の信頼性および生産収率の問題は、克服するのが困難なままである。
【0007】
より最近では、TFT回路とモノリシック集積化した無機LEDが呈示されている。たとえば、無機LEDとボトムゲートTFT回路の集積化を成功させたことが、参照によって本明細書に組み込まれる、2017年10月17日発行の米国特許第9,793,252号にGoshによって開示された。不幸なことに、そのような構造の複雑な層のスタック構造は、多くの用途がこの技術を採用するのを妨げ続ける、難しい製造上の問題をもたらす。
【0008】
実用的かつ費用効果的な方法でモノリシック集積化される、無機LEDとTFTトランジスタベースの回路は、従来技術に対して著しい進歩を表すことになろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第9,793,252号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Society for Information Displayによって発行された、「Fully Monolithic GaN μLED Display System」、Proceedings of Display Week 2021、文書61-5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本開示は、トップゲート型TFT回路および無機LEDのモノリシック集積化を対象とする。本開示による実施形態は、ディスプレイ、マイクロディスプレイ、拡張現実システム、および仮想現実システムで使用するのに特に好適である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
その画素が直接LED上に配設されるトップゲート型アーキテクチャを有するTFTを含み、デバイスの層構造が組み合わされるディスプレイを形成することによって、従来技術を超えた進歩が実現される。結果として、回路とLEDの組み合わされた層構造が著しく簡略化され、製造するのがより簡単であり、それによって、製造コストを減少させて歩留りの改善をもたらす。
【0013】
例示的な実施形態は、無機LED構造の頂部上に直接形成されるトップゲート型TFTを備える。TFTとLEDがサファイア基板上にモノリシック集積化される。LEDの頂部上のTFTの形成を可能にするために、LEDのトポグラフィは、誘電体材料を含む平坦化層の封入によって調整される。平坦化層はLED構造を覆って形成されて研磨され、その結果、その上面は、同時に露出されるLEDのアノードの上面と同一平面になる。一旦、平坦化層が形成され、アノードの上面が露出されると、ドレインがアノード上にありそれらが電気的に連通するように、TFTのソースおよびドレインが形成される。次いで、トランジスタ構造は、TFTのチャネル領域およびゲート誘電体を画定する半導体および誘電体材料の共形な層の堆積によって完成される。次いでゲート電極がゲート誘電体の頂部に形成され、TFTおよびLEDのモノリシック集積化構造を完成させる。
【0014】
TFTは、そのドレインが、下にあるLEDのアノード上に配設されてアノードと物理的に接触するように形成され、本開示による画素およびサブピクセルは、これまで従来技術の手法を使用して不可能であったサイズへとスケールダウンすることができる。画素およびサブピクセルを極度に小さい寸法にスケーリングすることによって、大判ディスプレイ、標準解像度ディスプレイ、またはニアアイディスプレイで使用することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、LEDのアノードおよびTFTのドレインまたはソースのうちの1つは、同じ層から形成される。いくつかの実施形態では、LEDのアノードは、TFTのドレインまたはソースとして機能する。
【0016】
いくつかの実施形態では、格納コンデンサは、それをTFTのゲートの直接上に形成することによって、TFTおよびLED構造とやはりモノリシック集積化される。いくつかの実施形態では、TFTのゲートは、格納コンデンサの1つのプレートとして機能する。
【0017】
本開示による実施形態は、第1の画素を含むディスプレイであって、第1の画素は、第1のカソードおよび第1のアノードを含む第1の発光ダイオード(LED)と、第1のLED上に配設される第1の薄膜トランジスタ(TFT)であって、第1のソース、第1のドレイン、および基板に対して遠位にある第1のゲートを含む、第1のTFTとを含み、第1のLEDおよび第1のTFTは、第1のカソードと第1のアノードのうちの1つが第1のソースと第1のドレインのうちの1つと電気的に結合されるように、基板上でモノリシック集積化される、ディスプレイである。
【0018】
本開示による別の実施形態は、複数の画素を備えるディスプレイであり、複数の画素のうちの各画素が、カソードおよびアノードを含む発光ダイオード(LED)であって、基板上に配設され、カソードとアノードのうちの1つが基板に対して遠位にある第1の面を有するLEDと、第1の面と同一平面である第2の面を有する平坦化層であって、誘電体材料を含む平坦化層と、LEDおよび平坦化層の上に配設される薄膜トランジスタ(TFT)であって、TFTがソース、ドレイン、および基板に対して遠位にあるゲートを含み、ソースとドレインのうちの一方がアノードとカソードのうちの1つと電気的に結合され、さらに、ソースとドレインのうちの他方が平坦化層の上に配設されるTFTとを含み、複数のLEDおよび複数のTFTが基板上でモノリシック集積化される。
【0019】
本開示によるさらに別の実施形態は、複数の画素を含むディスプレイを形成するための方法であり、方法は、基板上に複数の発光ダイオード(LED)を形成するステップであって、複数のLEDのうちの各LEDがカソードおよびアノードを含み、カソードとアノードのうちの1つが基板に対して遠位にある第1の面を有する、ステップと、誘電体材料を含む平坦化層を形成するステップであって、平坦化層が複数の第1の面と同一平面である第2の面を有する、ステップと、複数の薄膜トランジスタ(TFT)の各TFTが複数のLEDのうちの異なるLED上に配設されるように複数のTFTを形成するステップであって、複数のTFTの各TFTがソース、ドレイン、および基板に対して遠位にあるゲートを含む、ステップとを含み、(1)第1のソースおよび第1のドレインのうちの一方が、そのそれぞれのLEDの第1のアノードおよび第1のカソードのうちの1つの上に配設されて電気的に接続され、(2)ソースおよびドレインのうちの他方が第2の面上に配設されるように各TFTが形成される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】本開示による発光ディスプレイで使用するのに好適な画素の一部の概略斜視図である。
図1B】本開示による発光ディスプレイで使用するのに好適な画素の一部の概略断面図である。
図2】本開示によるディスプレイの画素のサブピクセルを形成するのに好適な方法の動作を描く図である。
図3A】LED102の完成後の初期サブピクセル100’の概略断面図である。
図3B】平坦化層120の完成後の初期サブピクセル100’の概略断面図である。
図3C】TFT104の完成後の初期サブピクセル100’の概略断面図である。
図4A】本開示による、赤、緑、および青のサブピクセルを含む画素である、ディスプレイの画素の電気的な配置の概略図である。
図4B】サブピクセル100R、100G、および100Bの電気的バス領域の層構造の概略断面図である。
図5】回路部400の層構造のより詳細な概略斜視図である。
図6】本開示によるモノリシック集積化された格納コンデンサを含むサブピクセルの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下は、単に、本開示の原理を図示する。したがって、本明細書に明示的に記載または示されないが、本開示の原理を具体化し、その精神および範囲に含まれる様々な配置構成を当業者ならば考案できることが理解されよう。
【0022】
さらに、本明細書において言及されるすべての例および条件付けの言葉は、読者が本開示の原理および本発明者によってもたらされた概念を理解して技術を向上させるのを助ける教育的目的のためだけであるように明白に主に意図されており、そのように具体的に言及される例および条件に限定することのないものであるとみなすべきである。
【0023】
さらに、本明細書で、本開示の原理、態様、および実施形態、ならびにそれらの具体的な例に言及するすべての記述は、それらの構造的均等物と機能的均等物の両方を包含することが意図される。加えて、そのような均等物が、現在知られている均等物ならびに将来に開発される均等物、すなわち構造にかかわらず同じ機能を実施する開発される任意の要素の両方を含むことが意図される。
【0024】
したがって、たとえば、本明細書の任意のブロック図は、本開示の原理を具体化する例示的な回路の概念図を表すことが、当業者には理解されよう。同様に、任意のフローチャート、流れ図、状態遷移図、擬似コードなどが、実質的にコンピュータ可読媒体中で表され、コンピュータまたはプロセッサが明示的に示されるか否かに関係なく、そのようなコンピュータまたはプロセッサがそのように実行することができる様々なプロセスを表すことを理解されよう。
【0025】
「プロセッサ」とラベルづけされる場合がある任意の機能ブロックを含む、図に示される様々な要素の機能は、専用ハードウェアならびに適切なソフトウェアに関連するソフトウェアを実行することが可能なハードウェアの使用を通して実現することができる。プロセッサによって実現されるとき、機能は、単一の専用プロセッサ、単一の共用プロセッサ、またはその一部を共用することができる複数の個別プロセッサによって実現することができる。さらに、「プロセッサ」または「コントローラ」という用語の明示的な使用は、もっぱらソフトウェアを実行することができるハードウェアのことを呼ぶと解釈するべきでなく、限定しないが、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラム可能ゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを記憶するための読取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性記憶装置を暗黙の内に含むことができる。通常型および/または特別注文の他のハードウェア、も含むことができる。
【0026】
ソフトウェアモジュールまたはソフトウェアであると暗示される単なるモジュールは、本明細書では、プロセスステップの性能および/またはテキスト記述を示すフローチャート要素または他の要素の何らかの組合せとして表すことができる。そのようなモジュールは、明示的または暗示的に示されるハードウェアによって実行することができる。
【0027】
本明細書で明記されない限り、図を含む図面は原寸に比例しない。
【0028】
上述したように、ディスプレイおよびマイクロディスプレイ用途で使用するための、トップゲート型TFT回路と無機LEDのモノリシック集積化によって、従来技術を超えるかなりの利点を有する本開示による実施形態がもたらされる。第1に、回路とLEDの組み合わせた層構造は、著しく簡略化される。第2に、そのような設計は、製造するのが著しく簡単であり、製造コストを減少させてシステム歩留りの改善をもたらす。第3にTFTとLEDの層スタックは、互いにほぼ独立している。結果として、どちらも他方を含むことに起因して妥協した処理をする必要がない。
【0029】
図1A図1Bは、本開示による発光ディスプレイで使用するのに好適な画素の一部の斜視および断面の概略図を描く。サブピクセル100は、基板106上でモノリシック集積化されるLED102およびTFT104を含む。
【0030】
添付の特許請求の範囲を含む本明細書のために、「モノリシック集積化」という用語は、基板の本体中で、典型的には基板へのエッチングによる、または、基板の表面上で、典型的には表面上に配設された層をパターン形成することによる、のいずれかで形成されると規定される。モノリシック集積化という用語は、接着、半田バンプボンディングなどといったプロセスを使用して完全に形成されたデバイスを接合することなどのハイブリッド集積化方法を使用して集積化されたシステム/デバイスを明示的に除外する。
【0031】
図2は、本開示によるディスプレイの画素のサブピクセルを形成するのに好適な方法の動作を描く。方法200は、動作201で始まり、ここで、LED102が基板106上に形成される。
【0032】
基板106は、プレーナプロセス製造方法で使用するのに好適な基板である。好ましくは、基板106は、LED102が放出する光にとってほぼ透過性である。描かれる例では、基板106はサファイア基板であるが、本開示にしたがって使用するのに好適な他の基板は、本明細書を読んだ後ならば、当業者には明らかとなろう。
【0033】
LED102は、基板106上でエピタキシャル成長される無機LED構造である。LED102は、層の中でもとりわけ、半導体(SC)層108、ゲイン層110、SC層112、カソード116、およびアノード118を備える。典型的には、LED102の半導体およびゲイン層は、有機金属化学気相堆積(MOCVD)を使用してエピタキシャル成長されるが、原子層エピタキシー(ALE)、分子線エピタキシー(MBE)などを含む、LED102の層を形成するために、任意の好適な成長方法を使用することができる。
【0034】
LED102の形成は、基板106上のn型半導体(SC)層108のエピタキシャル成長で開始する。SC層108は、カソード116への電気的な接続を可能にする導電層として機能する。SC層108は、ゲイン層110のための、下部光閉込め層としても機能する。描かれる例では、SC層108は、約2ミクロンの厚さを有するn型ドープガリウム窒化物(GaN)の層であるが、いくつかの実施形態では、SC層108は、異なる化合物半導体材料および/または厚さを含む。
【0035】
次いで、ゲイン層110がSC層108上で成長される。ゲイン層110は、LED102の構造内で光学的ゲインを実現するのに好適な化合物半導体材料の1つまたは複数の層を備える。描かれる例では、ゲイン層110は、約150nmの全体としての厚みを有するインジウムガリウム窒化物(InGaN)とガリウム窒化物(GaN)の交互の層を備える多重量子井戸(MQW)層であるが、いくつかの実施形態では、ゲイン層110は、少なくとも1つの異なる化合物半導体材料を含み、および/または、異なる厚さを有する。
【0036】
次いで、LED102の形成は、ゲイン層110上のSC層112のエピタキシャル成長で続けられる。SC層112は、LED102のための上部接点として、および、ゲイン層のための上部光閉込め層として機能する。描かれる例では、SC層112は、約250nmの厚さを有するp型ドープGaNの層であるが、いくつかの実施形態では、SC層112は、異なる化合物半導体含み、および/または異なる厚さを有する。
【0037】
次いで、ゲイン層110およびSC層112は、メサ114を画定するためにパターン形成され、このことによって、カソード116の形成のための準備で、SC層108の領域が露出される。
【0038】
カソード116は、カソードがSC層108を通してゲイン層110と電気的に結合されるように、SC層108上に形成される。描かれる例では、カソード116は、約50nmの厚さを有するモリブデン(Mo)の層である。典型的には、カソード116は、シャドーマスクを通してスパッタをすることによる直接パターン形成によって形成されるが、カソード116を形成するため、任意の好適な堆積ならびに/または堆積およびパターン形成方法を使用することができる。
【0039】
次いで、同様の方式で、アノード118は、アノードがSC層112を通してゲイン層110と電気的に結合されるように、SC層112上に形成される。描かれる例では、アノード118は、約20nmの厚さを有するモリブデン(Mo)の層である。
【0040】
図3Aは、LED102の完成後の初期サブピクセル100’の断面の概略図を描く。
【0041】
一旦LED102が完成すると、方法200は動作202を続け、ここで平坦化層120がLED構造を覆って形成される。平坦化層120は、メサ114を囲む領域を満たす誘電体材料の層である。描かれる例では、平坦化層120は、LED102のトポグラフィを覆って気相堆積される二酸化ケイ素を含む。いくつかの実施形態では、平坦化層120は、スピンコーティング、スプレーコーティングなどといった、気相堆積以外の方式で堆積される。
【0042】
動作203で、平坦化層120は、アノード118の上面(すなわち、表面S1)を露出させるため薄くされる。結果として、表面S2(すなわち、平坦化層120の上面)は、表面S1とほぼ同一平面であり、プレーナプロセス技術を使用するTFT104の層の形成に好適な平面を画定する。描かれる例では、平坦化層120は、化学機械研磨(CMP)を介して薄くされ平坦化されるが、本開示の範囲を逸脱することなく任意の好適な方法を使用することができる。
【0043】
図3Bは、平坦化層120の完成後の初期サブピクセル100’の断面の概略図を描く。
【0044】
動作204で、TFT104が基板106上に形成される。
【0045】
TFT104は、そのゲートがLED102に対して遠位にあるように構成されるFETトランジスタ構造である。TFT104は、ゲート122、ドレイン124、ソース126、半導体層128、およびゲート誘電体130を含む。
【0046】
TFT104の形成は、アノード118上のドレイン124および平坦化層120の上面上のソース126の形成で開始する。典型的には、ドレイン124およびソース126は、上でカソード116の形成に関して記載されたものと類似の方法を使用する同じ動作で形成される。描かれる例では、ドレイン124とソース126の各々は、約20nmの厚さを有するモリブデンの層である。
【0047】
ドレイン124およびソース126の画定後、その材料がソースとドレインとの間にあるように共形堆積方法を使用して、SC層128が、それらを覆って堆積される。描かれる例では、SC層128は、約40nmの厚さを有するインジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)の層である。
【0048】
次いで、ゲート誘電体130がSC層128上に形成される。描かれる例では、ゲート誘電体130は、約150nmの厚さを有する二酸化ケイ素の層である。
【0049】
TFT104の形成は、ゲート誘電体130の上面上のゲート122の画定で完了される。描かれる例では、ゲート122は、約20nmの厚さを有するモリブデンの層を含む。
【0050】
しかし、本明細書を読んだ後、当業者には明らかとなるように、本開示の範囲から逸脱することなく、TFT104の構成要素の層/構造のいずれかについて、任意の好適な厚さおよび/または材料を使用することができる。
【0051】
当業者にはやはり明らかなように、いくつかの実施形態では、サブピクセル100は、典型的には、追加半導体層(たとえば、バッファ層、接点拡張層など)、ならびに、他のサブピクセル、制御回路、駆動回路などへのその電気的な接続を可能にするバイア、ボンディングパッド、および電気的トレースなどの追加の特徴を含む。見やすいように、これらの層/特徴は、描かれる例では示されない。
【0052】
図3Cは、TFT104の完成後の初期サブピクセル100’の断面の概略図を描く。
【0053】
動作205で、LED102およびTFT104を電気的に不動態化するためパッシベーション層132が形成され、それによって、サブピクセル100が完成する。
【0054】
サブピクセル100が完成すると、TFT104およびLED102は、ドレインがアノードと物理的に接触するように形成されるドレイン124およびアノード118を介して電気的に結合される。いくつかの実施形態では、アノード118およびドレイン124は、TFT104の構造内の単一の要素によって画定される。
【0055】
図4Aは、本開示による、赤、緑、および青のサブピクセルを含む画素である、ディスプレイの画素の電気的な配置の概略図を示す。ディスプレイ部400は、複数の実質的に同一の画素を備えるディスプレイの1つの画素である画素P1を描く。画素P1は、3つのサブピクセル100R、100G、および100B、バス402、ならびにバス404を含む。
【0056】
図4Bは、サブピクセル100R、100G、および100Bの電気的バス領域の層構造の断面の概略図を示す。層構造406は、単にバス402およびバス404、ならびに、それらの間にあり電気的な絶縁を実現する層間誘電体を描く。
【0057】
サブピクセル100R、100G、および100Bの各々は、回路要素の中でもとりわけ、そのサブピクセルの所望の色を放出するように構成されるLED102、ならびに、上および図1A図1Bに関して議論されたように電気的に接続されるTFT104を含む。言い換えると、サブピクセル100R、100G、および100Bは、それぞれLED102R、104G、および104Bを含み、ここで、LED102Rが赤色光を放出し、LED102Gが緑色光を放出し、LED102Bが青色光を放出する。
【0058】
サブピクセル100R、100G、および100Bの各々で、LEDカソード116は、共通のVSS電圧レベルに保持される電気的バス402に電気的に接続される。同様の方式で、各サブピクセルで、そのそれぞれの駆動トランジスタ104のソースは、共通のELVDD電圧レベルに保持される電気的バス404に電気的に接続される。
【0059】
描かれる例では、バス402はカソード116と同時に形成されるが、本開示の範囲から逸脱することなく、バス402を別個のプロセスで形成することができる。
【0060】
同様の方式で、描かれる例では、バス404はドレイン124およびソース126と同時に形成されるが、本開示の範囲から逸脱することなく、バス404を別個のプロセスで形成することができる。
【0061】
バス402は、層間誘電体として機能する平坦化層120の一部によってバス404から電気的に分離される。いくつかの実施形態では、バス402とバス404を電気的に分離するため、異なる誘電体層が含まれる。
【0062】
図5は、回路部400の層構造のより詳細な斜視の概略図を示す。ほとんどのLEDベースのディスプレイに共通であるように、データ線データR、データG、およびデータBは、ディスプレイの同じ行中の画素の全部に共通である。典型的には、各サブピクセルのデータ線およびゲートは、電気絶縁体(すなわち、絶縁体504)の厚い層によって分離される。いくつかの実施形態では、絶縁体504は、パッシベーション層132を含む。
【0063】
従来技術では、各画素(または、サブピクセル)は、典型的には、トランジスタおよびLEDに隣接して位置決めされる格納コンデンサを含む。言い換えると、画素駆動回路に含まれる回路要素は水平に配置される。結果として、各回路要素は、各画素をどれだけ小さくすることができるかに下限(および画素密度に見合った上限)が置かれる、かなりの大きさのチップ実装面積を必要とする。
【0064】
しかし、格納コンデンサをTFTの頂部上に形成して、要素の垂直配置を実現し、それによって、所与の画素駆動回路に必要な実装面積を減少させることができることが、本開示の態様である。
【0065】
図6は、本開示によるモノリシック集積化された格納コンデンサを含むサブピクセルの概略図を描く。サブピクセル600は、サブピクセル100およびコンデンサ602を備える。
【0066】
コンデンサ602は、誘電体604の両側に位置決めされるコンデンサプレートC1およびC2を含む、平行板コンデンサである。コンデンサ602は、プレートC1がゲート122と物理的および電気的に接触するように、サブピクセル100上に形成される。
【0067】
コンデンサプレートC1およびC2の各々は、上述されたカソード116に類似する。描かれる例では、各コンデンサプレートは、約50nmの厚さを有するモリブデンの層である。
【0068】
誘電体604は、上述されたゲート誘電体130に類似する。描かれる例では、誘電体604は、約150nmの厚さを有する二酸化ケイ素の層である。
【0069】
描かれないが、典型的には、平坦化層120に類似する平坦化層が、プレートC1の形成以前にサブピクセル100を覆って形成される。
【0070】
コンデンサ602がTFT104の頂部上に配設されるようにサブピクセル600を形成することによって、本開示による実施形態により、以下を含む、従来技術を超えたかなりの利点がもたらされる。
i. 回路に必要な画素面積の低減、または
ii. 画素密度の向上、または
iii. 画素密度を犠牲にすることのない回路の複雑さの向上、または
iv. より良好な格納性能を実現するより大きいコンデンサ、または
v. i、ii、iii、ivの任意の組合せ
【0071】
本開示は例示的な実施形態のいくつかの例を教示しており、当業者は、本開示を読んだ後に、本発明の多くのバリエーションを簡単に考え出すことができることを理解されたい。
【符号の説明】
【0072】
100 サブピクセル
100’ 初期サブピクセル
100B 青のサブピクセル
100G 緑のサブピクセル、第2のサブピクセル
100R 赤のサブピクセル
102 発光ダイオード、LED
102G 第2のLED
102R 第1の発光ダイオード、LED
104 TFT
104G 第2のTFT
104R 第1の薄膜トランジスタ、TFT
106 基板
108 n型SC層、半導体層
110 ゲイン層
112 p型SC層
114 メサ
116 第1のカソード、第2のカソード
118 第1のアノード、第2のアノード
120 平坦化層
122 ゲート
122G 第2のゲート
122R 第1のゲート
124 ドレイン
124G 第2のドレイン
124R 第1のドレイン
126 ソース
126G 第2のソース
126R 第1のソース
128 SC層、半導体層
130 ゲート誘電体
132 パッシベーション層
400 ディスプレイ部、回路部
402 バス
404 バス
406 層構造
504 絶縁体
600 サブピクセル
602 平行板コンデンサ
604 誘電体
C1 第1のプレート
C2 第2のプレート
P1 第1の画素
S1 表面、上面
S2 表面、第1の面
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6
【国際調査報告】