(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】第一のリフトモードと第二のリフトモード間の動的移行
(51)【国際特許分類】
F15B 11/028 20060101AFI20240711BHJP
E02F 9/22 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
F15B11/028 G
E02F9/22 Q
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580441
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-01-22
(86)【国際出願番号】 US2022037529
(87)【国際公開番号】W WO2023003836
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベル、ジェイソン ディー.
【テーマコード(参考)】
2D003
3H089
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB03
2D003AB04
2D003BA07
2D003BA08
2D003CA02
2D003DA04
2D003DB02
3H089AA02
3H089BB17
3H089CC01
3H089DA02
3H089EE36
3H089FF08
3H089FF23
3H089GG02
3H089JJ02
(57)【要約】
コントローラは、機械がリフト動作を実行していることを示す第一の入力を受信し得る。コントローラは、リフト動作中に、機械が第一のリフト能力に関連付けられた第一のリフトモードで動作していると判定し得る。第一のリフトモードでは、機械の油圧ポンプの圧力は、第一の値と、第一の値を超える第二の値との間にある。コントローラは、リフト動作中に、圧力の現在値を示すセンサデータを受信してもよい。コントローラは、現在値が第二の値に近づいていると判定し得る。コントローラは、機械がリフト動作の実行を続けていることを示す第二の入力を受信してもよい。コントローラは、第二の入力に基づいて、機械を第一のリフトモードでの動作から、第二のリフト能力に関連付けられた第二のリフトモードでの動作へと移行させてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械(100)のコントローラ(145)によって実行される方法であって、前記方法が、
前記機械(100)がリフト動作を実行していることを示す第一の入力を受信することと、
前記リフト動作中に、前記機械(100)が第一のリフト能力に関連付けられた第一のリフトモードで動作していると判定することであって、
前記第一のリフトモードでは、前記機械(100)の油圧ポンプ(155)の圧力が、第一の値と、前記第一の値を超える第二の値との間にある、判定することと、
前記リフト動作中に、センサ装置(210)から、前記油圧ポンプ(155)の前記圧力の現在値を示すセンサデータを受信することと、
前記現在値が前記第二の値に近づいていると判定することと、
前記現在値が前記第二の値に近づいていると判定した後に、前記機械(100)が前記リフト動作の実行を続けていることを示す第二の入力を受信することと、
前記第二の入力に基づいて、前記機械(100)を前記第一のリフトモードでの動作から、第二のリフト能力に関連付けられた第二のリフトモードでの動作へと移行させることであって、
前記第二のリフト能力が、前記第一のリフト能力を超える、移行させることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記機械(100)を前記第一のリフトモードでの動作から前記第二のリフトモードでの動作へと移行させることが、
前記機械(100)を前記第一のリフトモードでの動作から前記第二のリフトモードでの動作へと移行させて、前記圧力の前記現在値が前記第二の値を超える値に増加することを可能にすることであって、
前記第二のリフトモードでは、前記機械(100)の前記油圧ポンプ(155)の前記圧力が、第三の値と、前記第三の値を超える第四の値との間にあり、
前記第三の値が、前記第二の値を超える、移行させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記機械(100)を前記第一のリフトモードでの動作から前記第二のリフトモードでの動作へと移行させることが、
前記圧力が前記第二の値に達する前に、前記機械(100)を前記第一のリフトモードでの動作から前記第二のリフトモードでの動作へと移行させることを含む、請求項1および2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記機械(100)を前記第一のリフトモードでの動作から前記第二のリフトモードでの動作へと移行させることが、
前記現在値の前記圧力が前記第二の値に近づいていると判定した後に、前記第二の入力が、前記機械(100)が前記リフト動作の実行を続けていることを示すことに基づいて、前記リフト動作に対して追加のリフト能力を提供するべきであると判定することと、
前記リフト動作に対して前記追加のリフト能力を提供するべきであると判定することに基づいて、前記機械(100)を前記第一のリフトモードでの動作から前記第二のリフトモードでの動作へと移行させることと、を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記機械(100)を前記第一のリフトモードでの動作から前記第二のリフトモードでの動作へと移行させることが、
前記現在値が閾値を満たすと判定することであって、
前記閾値が、前記第一の値と前記第二の値との間にある、判定することと、
前記現在値が前記閾値を満たすと判定することに基づいて、前記機械(100)を前記第一のリフトモードでの動作から前記第二のリフトモードでの動作へと移行させることと、を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
機械のセンサ装置(210)と、
前記センサ装置に接続された、前記機械(100)のコントローラ(145)であって、
前記機械(100)がリフト動作を実行することを示す入力を受信することと、
前記入力の受信に基づいて、前記機械(100)を第一のリフト能力に関連付けられた第一のリフトモードで動作させることであって、
前記第一のリフトモードでは、前記機械(100)の油圧ポンプ(155)の圧力が、第一の値と、前記第一の値を超える第二の値との間にある、動作させることと、
前記リフト動作中に、前記センサ装置(210)から、前記油圧ポンプ(155)の前記圧力の現在値を示すセンサデータを受信することと、
前記現在値が、前記第一の値と前記第二の値との間の閾値を満たすと判定することと、
前記現在値が前記閾値を満たすと判定した後に、前記機械(100)が前記リフト動作の実行を続けていると判定することと、
前記現在値が前記第二の値に達する前に、前記機械(100)が前記リフト動作の実行を続けていると判定することに基づいて、前記機械(100)を前記第一のリフトモードでの動作から、第二のリフト能力に関連付けられた第二のリフトモードでの動作へと移行させることであって、
前記第二のリフト能力が、前記第一のリフト能力を超える、移行させることとと、を行うように構成された、コントローラ(145)と、を備える、システム。
【請求項7】
前記機械(100)を前記第一のリフトモードでの動作から前記第二のリフトモードでの動作へと移行させるために、前記コントローラ(145)が、
前記機械(100)が前記リフト動作の実行を続けていると判定した後に、前記油圧ポンプ(155)の前記圧力が増加するにつれて、前記油圧ポンプに関連付けられたポンプ流を減少させるように構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記機械(100)が前記リフト動作を実行することを示す前記入力が、第一の入力であり、
前記コントローラ(145)が、
前記リフト動作が完了したことを示す第二の入力を受信することと、
前記機械(100)が静止状態にあることを示す第三の入力を受信することと、
前記第二の入力または前記第三の入力のうちの少なくとも一つに基づいて、前記機械(100)を前記第二のリフトモードでの動作から前記第一のリフトモードでの動作へと移行させることと、を行うように構成される、請求項6および7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記機械(100)を前記第一のリフトモードでの動作から前記第二のリフトモードでの動作へと移行させるために、前記コントローラ(145)が、
前記現在値が前記閾値を満たしていると判定した後に、前記機械(100)が前記リフト動作の実行を続けていると判定することに基づいて、前記リフト動作に対して追加のリフト能力を作動させるべきであると判定することと、
前記リフト動作に対して追加のリフト能力を作動させるべきであると判定することに基づいて、前記機械(100)を前記第一のリフトモードでの動作から前記第二のリフトモードでの動作へと移行させることと、を行うように構成される、請求項6~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記コントローラ(145)がさらに、
前記機械(100)が、前記第一のリフトモードでの動作から前記第二のリフトモードでの動作へと移行したことを示す通知を提供するように構成される、請求項6~9のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概してリフト動作の実行、および例えば、リフト動作中のリフトモード間の動的移行に関する。
【背景技術】
【0002】
ショベルは、油圧システムを使用して、物体をリフトするためにリフト動作を実行し得る。リフト動作は、標準リフトモード、または標準リフトモードに対して追加のリフト能力を提供するヘビーリフトモードで実行され得る。典型的には、オペレータは、リフト動作を実行するために、手動で標準リフトモードまたはヘビーリフトモードを選択する。オペレータは、とりわけ、物体の推定サイズ、ショベルと物体との間の推定距離、機械に関連付けられた平面に対する物体の位置(例えば、地表面の上方または地表面の下方)に基づいて、標準リフトモードまたはヘビーリフトモードを選択する。
【0003】
一部の例では、オペレータが不適切なリフトモード(例えば、最適ではないリフトモード)を選択する場合がある。例えば、リフト動作としてヘビーリフトモードがより適切であるときに、オペレータが標準リフトモードを選択する場合がある。不適切なリフトモードの選択により、リフト動作を実行するために使用される構成要素(機械の)の意図しない動作が引き起こされ得る。例えば、不適切なリフトモードを選択することにより、油圧ポンプ(油圧システムの)の圧力の値が標準リフトモードに関連付けられた最大値に達すると、構成要素の移動が停止(または失速)し得る。このようにして構成要素の移動が停止することは、失速状態と呼ばれ得る。
【0004】
構成要素の移動は、最大値に関連付けられた圧力が物体のさらなるリフトを可能にするには不十分であるため、停止し得る。構成要素の移動がこのようにして停止する場合、機械の生産性に悪影響が及び得る。構成要素の移動が停止することに追加的に、または代替的に、不適切なリフトモードを選択することにより、油圧システムおよび/または機械の様々な構成要素に過度の負担がかかる場合がある。過度の負担がかかる結果として、油圧システムおよび/または様々な構成要素の摩耗および引裂きが加速し得る。一部の例では、(リフト動作として標準リフトがより適切である場合に)ヘビーリフトモードを選択することは、最大シリンダ速度を低減させ、これにより機械の生産性が低減し得る。
【0005】
米国特許第9,435,105号(‘105特許)は、第一の動作モードに従って機械を選択的に動作させることを開示しており、第一の動作モードでは、油圧ポンプは、第一の圧力と第二の圧力との間の流体圧力を生成するように動作可能に制御される。‘105特許はさらに、第二の圧力よりも大きい流体圧力に対する要求に対応する信号をコントローラに送信することを開示する。‘105特許は、第一の動作モードから第二の動作モードへと移行すること、および移行中に流体圧力を第二の圧力から第三の圧力に増加させることを開示する。
【0006】
‘105特許は、第一の動作モードから第二の動作モードへの移行を開示する一方で、‘105特許は、第二の動作モードを、作動または起動させるのにオペレータ入力を必要とするソフトウェア対応特徴として構成することができることを開示する。しかしながら、‘105特許はまた、他の態様では、第二の動作モードを、失速状態が検出された場合に、コントローラが機械を第二の動作モードへと自動的に移行させるように構成することができることを開示する。
【0007】
本開示は、上述の問題および/または当技術分野における他の問題のうちの一つ以上を解決する。
【発明の概要】
【0008】
一部の実装では、機械のコントローラによって実行される方法は、機械がリフト動作を実行していることを示す第一の入力を受信することと、リフト動作中に、機械が第一のリフト能力に関連付けられた第一のリフトモードで動作していると判定することであって、第一のリフトモードでは、機械の油圧ポンプの圧力が、第一の値と、第一の値を超える第二の値との間にある、判定することと、リフト動作中に、センサ装置から、油圧ポンプの圧力の現在値を示すセンサデータを受信することと、現在値が第二の値に近づいていると判定することと、現在値が第二の値に近づいていると判定した後に、機械がリフト動作の実行を続けていることを示す第二の入力を受信することと、第二の入力に基づいて、機械を第一のリフトモードでの動作から、第二のリフト能力に関連付けられた第二のリフトモードでの動作へと移行させることであって、第二のリフト能力は、第一のリフト能力を超える、移行させることとを含む。
【0009】
一部の実装では、システムは、機械のセンサ装置と、センサ装置に接続された、機械のコントローラであって、機械がリフト動作を実行していることを示す入力を受信することと、入力の受信に基づいて、機械を第一のリフト能力に関連付けられた第一のリフトモードで動作させることであって、第一のリフトモードでは、機械の油圧ポンプの圧力が、第一の値と、第一の値を超える第二の値との間にある、動作させることと、リフト動作中に、センサ装置から、油圧ポンプの圧力の現在値を示すセンサデータを受信することと、現在値が、第一の値と第二の値との間の閾値を満たすと判定することと、現在値が閾値を満たすと判定した後に、機械がリフト動作の実行を続けていると判定することと、現在値が第二の値に達する前に、機械がリフト動作の実行を続けていると判定することに基づいて、機械を第一のリフトモードでの動作から、第二のリフト能力に関連付けられた第二のリフトモードでの動作へと移行させることであって、第二のリフト能力が、第一のリフト能力を超える、移行させることとを行うように構成された、コントローラとを備える。
【0010】
一部の実装では、機械は、油圧ポンプと、センサ装置と、コントローラであって、リフト動作中に、センサ装置から、油圧ポンプの圧力の現在値を示すセンサデータを受信することであって、機械は、リフト動作中に第一のリフトモードで動作しており、第一のリフト動作では、油圧ポンプの圧力は、第一の値と、第一の値を超える第二の値との間にある、受信することと、現在値が、第一の値と第二の値との間にある閾値を満たすと判定することと、現在値が閾値を満たすと判定した後に、機械がリフト動作の実行を続けていると判定することと、現在値が閾値を満たすと判定した後に、機械がリフト動作の実行を続けていると判定することに基づいて、リフト動作に対して追加のリフト能力を作動させるべきであると判定することと、リフト動作に対して追加のリフト能力を作動させるべきであると判定することに基づいて、機械を第一のリフトモードでの動作から、第二のリフト能力に関連付けられた第二のリフトモードでの動作へと移行させることであって、第二のリフト能力は、第一のリフト能力を超える、移行させることとを行うように構成された、コントローラとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本明細書に記載の例示的な機械の図である。
【
図2】
図2は、本明細書に記載の例示的なシステムの図である。
【
図3】
図3は、リフトモード間の動的移行に関する例示的なプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、二つのリフトモード間の動的移行を対象とする。例えば、機械のコントローラは、機械がリフト動作を実行していることを示す入力を受信し得る。一部の状況では、入力は、機械の一つ以上のオペレータコントロールから受信され得る。
【0013】
リフト動作は、機械の油圧ポンプによって供給される流体(例えば、油圧ポンプによって加圧される油圧流体)に基づいて実行され得る。リフト動作は、物体の移動を引き起こす機械の一つ以上の構成要素の移動に基づいて実行されてもよい。例えば、リフト動作は、機械のブームの移動、機械のスティックの移動、および/または機械の機械作業ツール(例えば、バケット)の移動に基づいて実行されてもよい。例えば、リフト動作は、とりわけ、物体の垂直リフト(例えば、ブームの垂直移動)、物体のリフトおよび引き込み(例えば、ブームの垂直移動およびスティックの内向き移動)を含み得る。
【0014】
一部の実施例では、リフト動作は、最初は、第一のリフト能力に関連付けられた第一のリフトモードで実行され得る。第一のリフトモードでは、油圧ポンプによって供給される圧力(流体の)は、第一の値と、第一の値を超える第二の値との間にあり得る。コントローラは、リフト動作中に、センサ装置から、油圧ポンプの圧力の現在値を示すセンサデータを受信し、現在値が第一の値と第二の値との間の閾値を満たすと判定し得る。現在値が閾値を満たすと判定することに基づいて、コントローラは、現在値が増加して第二の値に近づいていると判定し得る。
【0015】
コントローラは、現在値が閾値を満たすと判定した後、機械がリフト動作の実行を続けているかどうかを判定し得る。コントローラが、機械がリフト動作の実行を続けていると判定する場合、コントローラは、現在値が第二の値を超える可能性が高いと判定し得る。したがって、コントローラは、現在値が第二の値に達する前に、機械を第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作へと移行させ得る。第二のリフトモードは、第一のリフト能力を超える第二のリフト能力と関連付けられ得る。例えば、第二のリフトモードでは、機械の油圧ポンプの圧力は、第三の値と、第三の値を超える第四の値との間にあり得る。第三の値(例えば、第二のリフトモードにおける圧力の最小値)は、第二の値(例えば、第一のリフトモードにおける圧力の最大値)を超えてもよい。第二のリフトモードで動作する場合、圧力は、リフト動作の力学(例えば、他の例の中でも、リフト速度、物体を解放するために瞬間的に克服する摩擦/吸引など)に基づいて、第三の値と第四の値との間で瞬間的であり得る。
【0016】
このようにして、機械を第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作へと移行させることによって、コントローラは、リフト動作中の機械の構成要素(例えば、ブーム、スティック、および機械作業ツール)の意図しない動作を防止し、とりわけ、構成要素の摩耗および引裂きの加速を防止する。一部の実施例では、コントローラは、機械が第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作へと移行したことを示す通知を提供し得る。通知は、機械のオペレータキャビンを介して提供される、バックオフィスシステムに提供される、および/または機械の遠隔オペレータの装置に提供されてもよい。
【0017】
「機械」という用語は、例えば、鉱業、建設、農業、輸送、または別の産業などの産業に関連する動作を実行する任意の機械を指し得る。さらに、一つ以上の器具が、機械に接続され得る。一例として、機械は、建設車両、作業車両、または上述の産業に関連する類似の車両を含み得る。
【0018】
図1は、本明細書に記載の例示的な機械100の図である。
図1に示すように、機械100は、ショベルなどの土工機械として具体化される。別の方法として、機械100は、ドーザなどの別のタイプの機械であってもよい。
【0019】
図1に示すように、機械100は、接地係合部材110、機械本体115、およびオペレータキャビン120を含む。接地係合部材110は、機械100を前進させるための、トラック(
図1に示すように)、ホイール、ローラ、および/または類似のものを含み得る。接地係合部材110は、回転フレーム(図示せず)に取り付けられ、一つ以上のエンジンおよびドライブトレイン(図示せず)によって駆動される。機械本体115は、回転フレーム(図示せず)上に取り付けられる。オペレータキャビン120は、回転フレーム上に取り付けられた機械本体115によって支持される。オペレータキャビン120は、統合されたディスプレイ(図示せず)、および例えば、統合されたジョイスティックなどのオペレータコントロール125を含む。オペレータコントロール125は、一つ以上の入力構成要素を含み得る。一部の実施例では、コントローラは、機械が第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作へと移行したことを示す通知を提供し得る。
【0020】
自律型機械の場合、オペレータコントロール125は、オペレータが使用するために設計されなくてもよく、むしろ、オペレータから独立して動作するように設計されてもよい。この場合、例えば、オペレータコントロール125は、いずれのオペレータ入力もなく別の構成要素によって使用するための入力信号を提供する、一つ以上の入力構成要素を含み得る。旋回要素125は、回転フレーム(および機械本体115)が回転する(または旋回する)ことを可能にする一つ以上の構成要素を含み得る。例えば、旋回要素125は、回転フレーム(および機械本体115)が接地係合部材110に対して回転(または旋回)することを可能にし得る。
【0021】
図1に示すように、機械100は、ブーム130、スティック135、および機械作業ツール140を含む。ブーム130は、機械本体115の近位端に枢動可能に取り付けられ、一つ以上の流体作動シリンダ(例えば、油圧または空気シリンダ)、電気モータ、および/または他の電気機械構成要素によって機械本体115に対して関節接合される。スティック135は、ブーム130の遠位端に枢動可能に取り付けられ、一つ以上の流体作動シリンダ、電気モータ、および/または他の電気機械構成要素によってブーム130に対して関節接合される。ブーム130および/またはスティック135は、リンク機構と呼ばれ得る。機械作業ツール140は、スティック135の遠位端に取り付けられ、一つ以上の流体作動シリンダ、電気モータ、および/または他の電気機械構成要素によってスティック135に対して関節接合されてもよい。機械作業ツール140は、バケット(
図1に示すように)、またはスティック135上に取り付けられ得る別のタイプのツールまたは器具であってもよい。機械作業ツール140は、器具と呼ばれ得る。
【0022】
図1に示すように、機械100は、コントローラ145(例えば、とりわけ、電子制御モジュール(ECM)、コンピュータビジョンコントローラ、自律型コントローラ)、一つ以上の慣性測定ユニット(IMU)150(本明細書では、個別に「IMU150」と言及され、集合的に「IMUs150」と言及される)、油圧ポンプ155、油圧センサシステム160、および一つ以上の油圧シリンダ165を含む。コントローラ145は、機械100の動作を制御および/または監視し得る。例えば、コントローラ145は、オペレータコントロール125からの信号、IMU150からの信号、および/または油圧センサシステム160からの信号に基づいて、機械100の動作を制御および/または監視し得る。
【0023】
図1に示すように、IMU150は、例えば、機械本体115、ブーム130、スティック135、および機械作業ツール140など、機械100の構成要素または一部分上の異なる位置に設置される。IMU150は、IMU150が設置される機械100の構成要素の位置および配向を示す信号を受信、生成、格納、処理、および/または提供することができる一つ以上の装置を含む。例えば、IMU150は、一つ以上の加速度計および/または一つ以上のジャイロスコープを含みうる。一つ以上の加速度計および/または一つ以上のジャイロスコープは、座標系に対するIMU150の位置および配向を決定するのに使用されうる信号を生成し、それに応じて、構成要素の位置および配向を提供する。本明細書で論じる実施例はIMU150に言及するが、本開示は、機械100の構成要素の位置および配向を決定するために使用され得る、一つ以上の他のタイプのセンサ装置の使用に適用可能である。
【0024】
油圧ポンプ155は、上述のように、一つ以上の流体作動シリンダ(例えば、一つ以上の油圧シリンダ165)をブーム130、スティック135、および/または機械作業ツール140に関節接合するように、流体(例えば、油圧ポンプ155によって加圧される油圧流体)を提供するように構成され得る。油圧センサシステム160は、機械100の一つ以上の構成要素に関する信号を生成、格納、処理、および/または提供するように構成された一つ以上のセンサ装置を含み得る。例えば、一つ以上のセンサ装置は、一つ以上の圧力センサ装置を含み得る。一つ以上のセンサ装置は、油圧ポンプ155の圧力を識別するセンサデータ、ブーム130の移動に関連する圧力(例えば、油圧流体の)を識別するセンサデータ、スティック135の移動に関連する圧力(例えば、油圧流体の)を識別するセンサデータ、および/または機械作業ツール140の移動に関連する圧力(例えば、油圧流体の)を識別するセンサデータを生成するように構成され得る。
【0025】
上述のように、
図1は、一例として提供される。他の例は、
図1に関連して記載されたものと異なってもよい。
【0026】
図2は、本明細書に記載の例示的なシステム200の図である。
図2に示すように、システム200は、コントローラ145、および油圧センサシステム160を含む。油圧センサシステム160は、上記で説明するように、機械100の一つ以上の構成要素に関する信号を生成、格納、処理、および/または提供するように構成された一つ以上のセンサ装置を含み得る。
図2に示すように、油圧センサシステム160は、第一のセンサ装置210、第二のセンサ装置220、第三のセンサ装置230、および第四のセンサ装置240を含み得る。
【0027】
第一のセンサ装置210は、油圧ポンプ155の圧力(例えば、油圧ポンプ155によって供給される油圧流体の圧力)の値を識別する第一のセンサデータを生成するように構成され得る。第二のセンサ装置220は、ブーム130の動きに関連する(例えば、油圧流体の)圧力(例えば、一つ以上の油圧シリンダをブーム130に関節接合する油圧流体の圧力)の値を識別する第二のセンサデータを生成するように構成され得る。第三のセンサ装置230は、スティック135の動きに関連する(例えば、油圧流体の)圧力(例えば、一つ以上の油圧シリンダをスティック135に関節接合する油圧流体の圧力)の値を識別する第三のセンサデータを生成するように構成され得る。第四のセンサ装置240は、機械作業ツール140の動きに関連する(例えば、油圧流体の)圧力(例えば、一つ以上の油圧シリンダを機械作業ツール140に関節接合する油圧流体の圧力)の値を識別する第四のセンサデータを生成するように構成され得る。
【0028】
ブーム130、スティック135、および機械作業ツール140は、機械100のリフト機構の構成要素であり得る。一部の状況では、リフト機構は、ブーム130、スティック135、および機械作業ツール140とは異なる構成要素、追加の構成要素、またはより少ない構成要素を含み得る。第一のセンサデータ、第二のセンサデータ、第三のセンサデータ、および/または第四のセンサデータは、集合的に「センサデータ」と呼ばれ得る。
【0029】
第一のセンサ装置210、第二のセンサ装置220、第三のセンサ装置230、および/または第四のセンサ装置240は、定期的に(例えば、とりわけ、5秒毎、10秒毎)、および/またはトリガイベントに基づいて(例えば、とりわけ、コントローラ145からの要求に基づいて、機械100がリフト動作を実行しているとの表示に基づいて、ブーム130、スティック135、および/または機械作業ツール140の移動の表示に基づいて)、センサデータをコントローラ145に提供してもよい。
【0030】
コントローラ145は、オペレータコントロール125からの入力に基づいて、および/または第一のセンサ装置210、第二のセンサ装置220、第三のセンサ装置230、および/または第四のセンサ装置240からのセンサデータに基づいて、リフト動作中に、機械100を第一のリフトモードと第二のリフトモードとの間で動的に移行させるように構成され得る。例えば、コントローラ145は、機械100がリフト動作を実行していることを示す入力を受信し得る。一部の状況では、入力は、オペレータコントロール125から受信され得る。入力は、リフト動作を実行するためにオペレータコントロール125が作動する結果として、オペレータコントロール125によって生成されてもよい。一部の実施例では、機械100は、機械100に対して遠隔に位置する装置によって動作されてもよい。こうした実施例では、コントローラ145は、装置から入力を受信し得る。装置からの入力は、リフト動作を実行するよう機械100を制御するための命令(またはコマンド)の一部として生成されてもよい。
【0031】
一部の例では、コントローラ145は、第二のセンサ装置220、第三のセンサ装置230、および/または第四のセンサ装置240によって提供されるセンサデータに基づいて、機械100がリフト動作を実行していると判定し得る。例えば、第二のセンサ装置220によって提供される第二のセンサデータは、ブーム130がリフト動作を実行するために使用されていることを示し得る。例えば、第二のセンサデータは、圧力(ブーム130の移動に関連する)がブーム圧力閾値を満たすことを示し得る。
【0032】
同様に、第三のセンサ装置230によって提供される第三のセンサデータは、スティック135がリフト動作を実行するために使用されていることを示し得る。例えば、第三のセンサデータは、圧力(スティック135の移動に関連する)がスティック圧力閾値を満たすことを示し得る。同様に、第四のセンサ装置240によって提供される第四のセンサデータは、機械作業ツール140がリフト動作を実行するために使用されていることを示し得る。例えば、第二のセンサデータは、圧力(機械作業ツール140の移動に関連する)がツール圧力閾値を満たすことを示し得る。
【0033】
一部の実装では、機械100は、デフォルト構成として第一のリフトモードで動作するように構成されてもよい。言い換えれば、機械100は、第一のリフトモードでリフト動作を開始するように構成されてもよい。これに関して、機械100がリフト動作を実行していると判定した後に、コントローラ145が機械100を第一のリフトモードで動作させてもよい。第一のリフトモードでは、機械100は、機械100に対する特定の動作範囲内でリフト動作を実行する能力を有し得るため、機械100はこのように構成され得る。例えば、第一のリフトモードでは、機械100は、地面から、地面から特定の垂直距離内、または機械100から特定の水平距離内の特定の位置まで物体をリフトすることができ、第二のリフトモードでは、機械100は、同じ動作ができないか、またはそれらの動作を同じ速度で、または同じ距離にわたって実行することができない場合がある。したがって、機械100は、リフト動作が第一のリフトモードで実行され得る場合、機械100を第二のリフトモードで動作させることを可能にするために割り当てられたであろう機械100のリソースを保存するために、第一のリフトモードでリフト動作を開始するように構成されてもよい。
【0034】
第一のリフトモードは、第一のリフト能力と関連付けられ得る。第二のリフトモードは、第一のリフト能力を超える第二のリフト能力と関連付けられ得る。第一のリフトモードでは、油圧ポンプ155の圧力(例えば、油圧ポンプ155によって供給される油圧流体の圧力)は、第一の値と、第一の値を超える第二の値との間にあり得る。第二の値は、第一のリフトモードにおける油圧ポンプ155の圧力の最大値であり得る。第二のリフトモードでは、油圧ポンプ155の圧力は、第三の値と、第三の値を超える第四の値との間にあり得る。第四の値は、第二のリフトモードにおける油圧ポンプ155の圧力の最大値であり得る。第三の値は、第二の値を超えてもよい。
【0035】
以下でより詳細に説明するように、リフト動作が第一のリフトモードで開始された後に、コントローラ145は、リフト動作に対して追加のリフト能力を作動させるべきかどうかを判定し得る。コントローラ145が、リフト動作に対して追加のリフト能力を作動させるべきであると判定する場合、コントローラ145は、機械100を第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作へと移行させ得る。以下で詳細に説明するように、第一のリフトモードから第二のリフトモードへのこうした移行は、オペレータコントロール125へのオペレータの入力を考慮して、コントローラ145によって自動的に実行することができ、これは、リフトモードを変更するために、オペレータが特に機械100にコマンドする(例えば、ボタンを押す)必要がないことを意味する。
【0036】
一部の実装では、機械100は、デフォルト構成で構成(例えば、第一のリフトモードでリフト動作を開始するように構成)されなくてもよい。これに関して、機械100がリフト動作を実行していると判定した後に、コントローラ145は、リフト動作中に機械100が第一のリフトモードまたは第二のリフトモードで動作しているかどうかを判定し得る。例えば、機械100がリフト動作を実行していると判定することに基づいて、コントローラ145は、機械100の現在のリフトモードを識別するリフトモード情報を取得し得る(例えば、機械100のメモリから)。コントローラ145は、リフトモード情報に基づいて、機械100が第一のリフトモードまたは第二のリフトモードで動作しているかどうかを判定し得る。
【0037】
一部の実施例では、リフトモード情報は、第一のリフトモードまたは第二のリフトモードの選択(例えば、オペレータによる)に基づいて更新されてもよい。一部の実施例では、コントローラ145が機械100を第一のリフトモードと第二のリフトモードとの間で移行させる場合に、リフトモード情報が更新されてもよい(例えば、コントローラ145によって)。こうした移行は、オペレータコントロール125へのオペレータの入力を考慮してコントローラ145によって自動的に実行することができ、これは、以下に詳細に説明するように、リフトモードを変更するために、オペレータが特に機械100にコマンドする(例えば、ボタンを押す)必要がないことを意味する。
【0038】
コントローラ145は、機械100が第一のリフトモードで動作していると判定すると仮定する(例えば、デフォルト構成に基づいて、および/または機械100が第一のリフトモードで動作していることを示すリフトモード情報に基づいて)。機械100が第一のリフトモードでリフト動作を実行していると判定した後、コントローラ145は、油圧ポンプ155の圧力を監視して、機械100がリフト動作の実行を続ける場合に、リフト動作に対して追加のリフト能力を作動させるべきかどうかを判定し得る。コントローラ145は、以下でより詳細に説明するように、リフト動作に対して追加のリフト能力を作動させるべきであると判定することに基づいて、機械100を第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作へと移行させてもよい。
【0039】
一部の実施例では、コントローラ145は、第一のセンサ装置210から第一のセンサデータを受信してもよい。第一のセンサデータは、油圧ポンプ155の圧力の現在値を示し得る。コントローラ145は、上記で説明するように、定期的に、および/またはトリガイベントに基づいて、第一のセンサデータを受信し得る。コントローラ145は、現在値と閾値を比較してもよく、機械100を第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作へと移行させるかどうかを判定してもよい。コントローラ145は、閾値を識別する情報で事前構成されてもよく、とりわけ、機械100のオペレータの装置から閾値を識別する情報を受信してもよく、および/または、バックオフィスシステムから閾値を識別する情報を受信してもよい。
【0040】
閾値は、機械100が第一のリフトモードで動作している場合の油圧ポンプ155の圧力の第一の値と第二の値との間の値であり得る。閾値は、第一の値よりも第二の値に近くてもよい。閾値は、現在値がこれを満たすときに、リフト動作に対して追加のリフト能力を作動させるべきであることを示す値に対応し得る。言い換えれば、閾値は、現在値がこれを満たすときに、第二の値を超える可能性が高いことを示す値であってもよい。
【0041】
現在値が閾値を満たさない場合、コントローラ145は、油圧ポンプ155の圧力の監視を続けてもよく、機械100を第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作へと移行させることに関して、何のアクションも取らない場合がある。
【0042】
現在値が閾値を満たすと仮定する。これに関して、コントローラ145は、機械100がリフト動作の実行を続けているかどうかを判定し得る。例えば、コントローラ145は、オペレータコントロール125から入力を受信してもよく、入力が、機械100がリフト動作の実行を続けていることを示すかどうかを判定してもよい。例えば、コントローラ145は、入力が、オペレータコントロール125がリフト動作を実行するために起動していることを示しているかどうかを判定し得る。追加的に、または代替的に、オペレータコントロール125から入力を受信するために、機械100は、機械100に対して遠隔に位置する装置(例えば、機械100の遠隔制御装置)から入力を受信してもよく、入力が、機械100がリフト動作の実行を続けるよう装置が命令(またはコマンド)を提供していることを示すかどうかを判定してもよい。
【0043】
追加的に、または代替的に、機械100は、第二のセンサ装置220、第三のセンサ装置230、および/または第四のセンサ装置240からセンサデータを受信してもよく、センサデータが、機械100がリフト動作の実行を続けていることを示すかどうかを判定してもよい。例えば、コントローラ145は、第二のセンサデータが、圧力(ブーム130の移動に関連する)がブーム圧力閾値を満たすことを示す場合、第三のセンサデータが、圧力(スティック135の移動に関連する)がスティック圧力閾値を満たすことを示す場合、および/または第四のセンサデータが、圧力(機械作業ツール140の移動に関連する)がツール圧力閾値を満たすことを示す場合に、機械100がリフト動作の実行を続けていると判定してもよい。コントローラ145は、上記の閾値を識別する情報で事前構成されてもよく、とりわけ、機械100のオペレータの装置から上記の閾値を識別する情報を受信してもよく、バックオフィスシステムから上記の閾値を識別する情報を受信してもよい。
【0044】
コントローラ145が、機械100がリフト動作の実行を続けていないと判定する場合、コントローラ145は、機械100を第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作へと移行させることに関して、いかなるアクションも取らない場合がある。追加的に、または代替的に、コントローラ145は、油圧ポンプ155の圧力の監視を続けてもよい。
【0045】
コントローラ145が、機械100がリフト動作の実行を続けていると判定する場合、コントローラ145は、油圧ポンプ155の圧力が増加し続け、第二の値を超える可能性が高いと判定し得る。油圧ポンプ155の圧力が増加し続け、第二の値を超える可能性が高いと判定することに基づいて、コントローラ145は、リフト動作に対して追加のリフト能力を作動させるべきであると判定し得る(例えば、失速状態を防止するために)。したがって、コントローラ145は、機械100を第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作へと移行させ得る。例えば、コントローラ145は、圧力が第二の値に達する前に、機械100を第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作へと移行させてもよい。
【0046】
機械100をこのように移行させることによって(例えば、圧力が第二の値に達する前に)、コントローラ145は、リフト動作中の、オペレータの配慮を必要とし、それによって機械100のオペレータ制御に影響を及ぼす可能性がある、ブーム130、スティック135、および機械作業ツール140の意図しない動作を防止し得る。例えば、コントローラ145は、リフト動作中の失速状態(例えば、一時的な失速状態)を防止し得る。失速状態とは、圧力が物体をリフトするには不十分であるために、リフト動作中にブーム130、スティック135、および機械作業ツール140の移動が停止することを指し得る。追加的に、または代替的に、このようにして機械100を移行させることによって(例えば、圧力が第二の値に達する前に)、コントローラ145は、ブーム130、スティック135、機械作業ツール140、および/または機械100の他の構成要素に負担がかかることを防止し、それによって、摩耗および引裂きの加速を防止し得る。
【0047】
一部の実施例では、コントローラ145は、油圧ポンプ155に関連付けられた一つ以上の弁が、油圧ポンプ155が圧力(油圧流体の)を第二の値(第一のリフトモードの)を超える値に増加させることを可能にするように調整されるように構成され得る。例えば、コントローラ145は、油圧ポンプ155が圧力(油圧流体の)を第三の値(第二のリフトモードの)と第四の値(第二のリフトモードの)との間の値に増加させることを可能にし得る。一部の例では、コントローラ145は、油圧ポンプ155が、電子制御される圧力調節弁(例えば、二段階圧力調節弁)を使用して圧力を増加させることを可能にし得る。
【0048】
一部の実施例では、コントローラ145は、機械100を第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作へと移行させることの一部として、油圧ポンプ155に関連付けられたポンプ流を調整してもよい。例えば、コントローラ145は、圧力が増加するにつれて、油圧ポンプ155に関連付けられたポンプ流を減少させ得る。機械100は、機械100が第二のリフトモードでの動作から第一のリフトモードでの動作へと移行するまで、減少されたポンプ流で動作する。一部の例では、ポンプ流を減少させることは、リフト動作の実行に関連する油圧シリンダ(例えば、油圧シリンダ165)の速度の減少をもたらし得る。油圧シリンダの速度は、ポンプ流が減少することに起因して、シリンダ流(油圧シリンダと関連)が低減する場合に減少し得る。例えば、第一のリフトモードでは、油圧シリンダの速度は第一の速度であり得る。これに関して、機械100を第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作へと移行させるとき、コントローラ145は、油圧ポンプの圧力が増加するにつれて、油圧シリンダの速度を第二の速度に向かって(または第二の速度に)減少(または低減)させ得る。一部の例では、コントローラ145は、油圧ポンプの圧力が増加する速度に基づく(例えば、比例する)速度で、油圧シリンダの速度を減少させ得る。
【0049】
一部の例では、機械100が第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作へと移行した後に、コントローラ145は、一つ以上のアクションを実行し得る。例えば、コントローラ145は、機械100が第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作へと移行したことを示す通知を提供してもよい。通知は、オペレータキャビン120を介して(例えば、統合ディスプレイを介して)提供されてもよく、バックオフィスシステムに提供されてもよく、および/または機械100の遠隔オペレータの装置に提供されてもよい。
【0050】
通知を提供することに追加的に、または代替的に、コントローラ145は、機械100を第二のリフトモードでの動作から第一のリフトモードでの動作へと移行させるかどうかを判定し得る。例えば、コントローラ145は、上述の方法と類似した方法で、機械100がリフト動作の実行を続けているかどうかを判定し得る。追加的に、または代替的に、コントローラ145は、機械100が静止状態であるかどうかを判定してもよい。例えば、コントローラ145は、IMU150からのデータに基づいて、および/または機械100の一つ以上の他の装置からのデータ(例えば、とりわけ、速度計からのデータ、動きセンサ装置からのデータ)に基づいて、機械100が静止状態にあるかどうかを判定し得る。
【0051】
コントローラ145が、機械100がもはやリフト動作を実行していないことを示す入力(例えば、リフト動作が完了したことを示す入力)を受信する、および/またはコントローラ145が、機械100が静止状態にあることを示す入力を受信する場合、コントローラ145は、第二の入力および/または第三の入力に基づいて、機械100を第二のリフトモードでの動作から第一のリフトモードでの動作へと移行させ得る。機械100を第二のリフトモードでの動作から第一のリフトモードでの動作へと移行させることによって、コントローラ145は、機械100が第二のリフトモードで動作することを可能にするために割り当てられたであろう機械100のリソースを保存し得る。
【0052】
前述の実施例は、リフト動作の実行に関して説明されてきたが、本開示は、他の動作、例えば、掘削動作などの他の物体移動動作に適用可能である。さらに、前述の実施例は、第一のリフトモードおよび第二のリフトモードに関して説明されてきたが、本開示は、三つ以上のリフトモードに適用可能であり得る。一部の実施例では、比例圧力調節弁が使用されてもよく、第一のリフトモードと第二のリフトモードの圧力間の多数のリリーフ圧力が可能になり得る。
【0053】
図2に示す装置の数および配置は一例として提供されている。実際には、
図2に示されるものよりも、追加の装置、より少ない装置、異なる装置、または異なる配置の装置があり得る。さらに、
図2に示す二つ以上の装置は、単一の装置内に実装されてもよく、または
図2に示す単一の装置は、複数の分散装置として実装されてもよい。追加的に、または代替的に、システム200の装置のセット(例えば、一つ以上の装置)は、システム200の装置の別のセットによって実行されると記述された一つ以上の機能を実行し得る。
【0054】
図3は、リフトモード間の動的移行に関する例示的なプロセス300のフローチャートである。一部の実装形態では、
図3の一つ以上のプロセスブロックは、コントローラ(例えば、コントローラ145)によって実施されてもよい。一部の実装では、
図3の一つ以上のプロセスブロックは、別の装置、またはオペレータコントロール(例えば、オペレータコントロール125)、第一のセンサ装置(例えば、第一のセンサ装置210)、第二のセンサ装置(例えば、第二のセンサ装置220)、第三のセンサ装置(例えば、第三のセンサ装置230)、および/または第四のセンサ装置(例えば、第四のセンサ装置240)などのコントローラとは別個の、またはこれを含む装置の群によって実行されてもよい。
【0055】
図3に示すように、プロセス300は、機械がリフト動作を実行していることを示す第一の入力を受信することを含み得る(ブロック310)。例えば、コントローラが、上述のように、機械がリフト動作を実行していることを示す第一の入力を受信してもよい。
【0056】
第一の入力を受信することは、機械の一つ以上のオペレータコントロールから第一の入力を受信することを含む。リフト動作は、機械のブーム、機械のスティック、または機械の機械作業ツールのうちの少なくとも一つを使用して実行される。
【0057】
図3にさらに示すように、プロセス300は、リフト動作中に、機械が第一のリフト能力に関連付けられた第一のリフトモードで動作していると判定することを含んでもよく、第一のリフトモードでは、機械の油圧ポンプの圧力は、第一の値と、第一の値を超える第二の値との間にある(ブロック320)。例えば、コントローラが、上述のように、リフト動作中に、機械が第一のリフト能力に関連付けられた第一のリフトモードで動作していると判定してもよく、第一のリフトモードでは、機械の油圧ポンプの圧力は、第一の値と、第一の値を超える第二の値との間にある。
【0058】
図3にさらに示すように、プロセス300は、リフト動作中に、センサ装置から、油圧ポンプの圧力の現在値を示すセンサデータを受信することを含み得る(ブロック330)。例えば、コントローラが、上述のように、リフト動作中に、センサ装置から、油圧ポンプの圧力の現在値を示すセンサデータを受信してもよい。
【0059】
図3にさらに示すように、プロセス300は、現在値が第二の値に近づいていると判定することを含み得る(ブロック340)。例えば、コントローラが、上述のように、現在値が第二の値に近づいていると判定してもよい。
【0060】
図3にさらに示すように、プロセス300は、現在値が第二の値に近づいていると判定した後に、機械がリフト動作の実行を続けていることを示す第二の入力を受信することを含み得る(ブロック350)。例えば、コントローラが、上述のように、現在値が第二の値に近づいていると判定した後に、機械がリフト動作の実行を続けていることを示す第二の入力を受信してもよい。第二の入力を受信することは、機械の一つ以上のオペレータコントロールから第二の入力を受信することを含む。
【0061】
図3にさらに示すように、プロセス300は、第二の入力に基づいて、機械を第一のリフトモードでの動作から、第二のリフト能力に関連付けられた第二のリフトモードでの動作へと移行させることを含んでもよく、第二のリフト能力は、第一のリフト能力を超える(ブロック360)。例えば、コントローラが、上述のように、第二の入力に基づいて、機械を第一のリフトモードでの動作から、第二のリフト能力に関連付けられた第二のリフトモードでの動作へと移行させてもよく、第二のリフト能力は、第一のリフト能力を超える。一部の実装では、第二のリフト能力は、第一のリフト能力を超える。
【0062】
機械を第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作へと移行させることは、機械を第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作へと移行させて、圧力の現在値が第二の値を超える値に増加することを可能にすることを含み、第二のリフトモードでは、機械の油圧ポンプの圧力は、第三の値と、第三の値を超える第四の値との間にあり、第三の値は、第二の値を超える。
【0063】
機械を第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作へと移行させることは、圧力が第二の値に達する前に、機械を第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作へと移行させることを含む。
【0064】
機械を第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作へと移行させることは、現在値の圧力が第二の値に近づいていると判定した後に、第二の入力が、機械がリフト動作の実行を続けていることを示すことに基づいて、リフト動作に対して追加のリフト能力を提供するべきであると判定することと、リフト動作に対して追加のリフト能力が提供されるべきであると判定することに基づいて、機械を第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作へと移行させることとを含む。
【0065】
機械を第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作へと移行させることは、現在値が閾値を満たすと判定することであって、閾値は、第一の値と第二の値との間にある、判定することと、現在値が閾値を満たすと判定することに基づいて、機械を第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作へと移行させることとを含む。
【0066】
機械を第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作へと移行させることは、油圧シリンダの速度を第一の速度から、第二のリフトモードに関連付けられた第二の速度に減少させることを含む。
【0067】
機械を第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作へと移行させることは、機械がリフト動作の実行を続けていると判定した後に、油圧ポンプの圧力が増加するにつれて、油圧ポンプに関連付けられたポンプ流を減少させることを含む。
【0068】
図3にさらに示すように、プロセス300は、機械が第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作へと移行したことを示す通知を提供することを含み得る(ブロック370)。例えば、コントローラは、機械が第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作へと移行したことを示す通知を提供し得る。
【0069】
図3は、プロセス300の例示的なブロックを示すが、一部の実装形態では、プロセス300は、
図3に描写したものよりも、追加のブロック、より少ないブロック、異なるブロック、または異なる配置のブロックを含み得る。追加的に、または代替的に、プロセス300のブロックのうちの二つ以上が並列に実行されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本開示は、機械のリフト動作中の、第一のリフトモードと第二のリフトモードとの間の動的かつ自動的な移行を対象とする。第一のリフトモードは、第一のリフト能力と関連付けられてもよく、第二のリフトモードは、第一のリフト能力を超える第二のリフト能力と関連付けられてもよい。第一のリフトモードでは、油圧ポンプ(機械の)によって供給される圧力(流体の)は、第一の値と、第一の値を超える第二の値との間にあり得る。第二のリフトモードでは、圧力は、第三の値と、第三の値を超える第四の値との間にあり得る。第三の値は、第二の値を超える。
【0071】
機械のコントローラは、コントローラが、圧力の現在値が閾値を満たすと判定した後に、コントローラが、機械がリフト動作の実行を続けていると判定する場合、オペレータの介入なしに、機械を第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作へと移行させてもよい。コントローラは、現在値が第一のリフトモードの第二の値に達する前に(例えば、圧力の現在値が第一のリフトモードの圧力の最大値に達する前に)、機械を移行させてもよい。
【0072】
典型的には、オペレータがリフト動作のためのリフトモードを選択する。しかしながら、オペレータは、不適切なリフトモードを選択する場合がある。不適切なリフトモードを選択すると、リフト動作を実行するために使用される構成要素(機械の)の意図しない動作が引き起こされ得る。例えば、不適切なリフトモードを選択することにより、油圧システムの圧力の値が、標準リフトモードに関連付けられた最大値に達すると、構成要素の移動が停止(または失速)し得る。追加的に、または代替的に、不適切なリフトモードを選択することは、機械の様々な構成要素に負担がかかる可能性がある。負担がかかる結果として、様々な構成要素の摩耗および引裂きが加速し得る。
【0073】
本開示は、圧力の現在値が第一のリフトモードにおける圧力の最大値に達する前に、オペレータの介入を必要とせずに、機械を第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作に自動的に移行させることによって、これらの問題を解決する。このようにして、機械を第一のリフトモードでの動作から第二のリフトモードでの動作へと移行させることによって、コントローラは、リフト動作中に使用される機械の構成要素(例えば、ブーム、スティック、および機械作業ツール)の意図しない動作を防止し、とりわけ、構成要素の摩耗および引裂きの加速を防止し得る。
【0074】
前述の開示は、例示および説明を提供するが、網羅的であることを意図しておらず、または当該実装形態を開示される正確な形態に限定することを意図するものではない。修正および変形は、上記開示に照らして行われ得、実装態様の実施から取得され得る。さらに、前述の開示が一つまたは複数の実装形態を組み合わせることができない理由を明確に示さない限り、本明細書に記載される実装形態のいずれかを組み合わせることができる。特徴の特定の組み合わせが特許請求の範囲に記載され、かつ/または本明細書に開示されるが、これらの組み合わせは、さまざまな実装形態の開示を限定することを意図しない。以下に列挙される各従属請求項は、一つの請求項のみに直接従属し得るが、さまざまな実装態様の開示は、一連の請求項内の他の全ての請求項と組み合わせて、各従属請求項を含む。
【0075】
本明細書で使用される「a(一つの)」および「an(一つの)」および「set(セット)」は、一つまたは複数の品目を含むことが意図されており、「one or more(一つまたは複数)」と交換可能に使用され得る。さらに、本明細書で使用される場合、冠詞「the」は、冠詞「the」に関連して参照される一つまたは複数の項目を含むことが意図されており、「the one or more(一つまたは複数)」と交換可能に使用することができる。さらに、「based on(に基づく)」という語句は、別段の明示がない限り、「based,at least in part,on(少なくとも部分的に基づく)」を意味することを意図する。また、本明細書で使用される場合、用語「or(または)」は、一連の使用時に包括的であることが意図され、別段の明示的な記載がない限り(例えば、「either(いずれか)」またはonly one of(いずれか一つ)と組み合わせて使用される場合)、「and/or(および/または)」と互換的に使用され得る。さらに、図に示すように、一つの要素または別の要素に対する特徴の関係を記述するために、説明を容易にするために、空間的に相対的な用語、例えば、「below(下)」、「lower(下方)」、「above(上方)」、「upper(上部)」、および類似のものを本明細書で使用し得る。空間的に相対的な用語は、図に示される配向に加えて、使用または動作中の機器、装置、および/または要素の異なる配向を包含することが意図される。機器は、その他の方法で、配向されてもよく(90度回転または他の配向で)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は、同様にそれに応じて解釈されることができる。
【国際調査報告】