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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】正電極及び電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/13 20100101AFI20240711BHJP
   H01M 4/131 20100101ALI20240711BHJP
   H01M 4/136 20100101ALI20240711BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20240711BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20240711BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20240711BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/131
H01M4/136
H01M4/525
H01M4/58
H01M4/62 Z
H01M4/36 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580868
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-02-27
(86)【国際出願番号】 CN2022108338
(87)【国際公開番号】W WO2023005988
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】202110858947.6
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】袁▲暁▼涛
(72)【発明者】
【氏名】▲許▼占
(72)【発明者】
【氏名】▲鮑▼春▲暁▼
(72)【発明者】
【氏名】葛立萍
(72)【発明者】
【氏名】何科峰
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA08
5H050AA12
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050DA02
5H050DA10
5H050FA18
5H050HA01
5H050HA04
5H050HA05
(57)【要約】
正電極及び電池を開示し、前記正電極は、集電体層及び活物質層を含み、前記活物質層が前記集電体層の少なくとも1つの表面に被覆され、前記活物質層は、活物質及び導電性成分を含み、前記導電性成分は、1次元導電性材料、0次元導電性材料及び2次元導電性材料のうちの少なくとも1種を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体層(1)及び活物質層(2)を含む正電極であって、前記活物質層(2)が前記集電体層(1)の少なくとも1つの表面に被覆され、前記活物質層(2)は、活物質及び導電性成分を含み、前記活物質の質量は、m+m(単位g)であり、前記導電性成分は、1次元導電性材料、0次元導電性材料及び2次元導電性材料のうちの少なくとも1種を含み、前記1次元導電性材料、0次元導電性材料及び2次元導電性材料の質量は、順にm、m及びm(単位g)であり、mは、表面に2次元導電性材料が被覆された活物質の質量であり、mは、表面に1次元導電性材料又は0次元導電性材料が被覆された活物質の質量であり、下式を満たし、
20*3.14*d*m/[ρ*4/3*3.14(d/2)]≦m/(2.2*3.14*(d/2)*L)*L+10*m/(2.2*4/3*3.14*(d/2))*d≦[30*3.14*d]*m/[ρ*4/3*3.14(d/2)](1)
3.14*(d/2)*m/[ρ*4/3*3.14(d/2)]≦m/[(2.2*a*b*c)]*a*b≦1.5*3.14*(d/2)*m/[ρ*4/3*3.14*(d/2)](2)
式中、d(単位μm)は、前記活物質の直径であり、ρは、前記活物質の真密度であり、d(単位μm)は、前記1次元導電性材料の直径であり、L(単位μm)は、前記1次元導電性材料の長さであり、d(単位μm)は、前記0次元導電性材料の直径であり、a(単位μm)、b(単位μm)、c(単位μm)は、順に前記2次元導電性材料の幅、長さ及び厚さである、ことを特徴とする正電極。
【請求項2】
前記導電性成分は、前記1次元導電性材料を含み、前記1次元導電性材料と前記活物質の質量比は、(0.1~1.0):100である、ことを特徴とする請求項1に記載の正電極。
【請求項3】
前記1次元導電性材料の直径は、2~60nmであり、前記1次元導電性材料の長さは、2~15μmである、ことを特徴とする請求項2に記載の正電極。
【請求項4】
前記導電性成分は、前記0次元導電性材料を含み、前記0次元導電性材料と前記活物質の質量比は、(0.1~3.0):100である、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の正電極。
【請求項5】
前記0次元導電性材料の直径は、20~100nmである、ことを特徴とする請求項4に記載の正電極。
【請求項6】
前記導電性成分は、前記2次元導電性材料を含み、前記2次元導電性材料と活物質の質量比は、(0.1~1.5):100である、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の正電極。
【請求項7】
前記2次元導電性材料の厚さは、1~20nmであり、前記2次元導電性材料の長さ及び幅は、0.2~10μmである、ことを特徴とする請求項6に記載の正電極。
【請求項8】
前記2次元導電性材料の前記導電性成分における質量分率は、30%以下である、ことを特徴とする請求項6又は7に記載の正電極。
【請求項9】
前記活物質層(2)は、単層又は多層である、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の正電極。
【請求項10】
前記導電性成分は、1次元導電性材料を含み、正電極は、n層の活物質層(2)を含み、前記集電体層(1)を被覆する活物質層(2)を第1層とし、
第i層の活物質層(2)における1次元導電性材料の質量M=M*(1-i/n)であり、
式中、Mは、第1層の前記活物質層(2)における1次元導電性材料の質量であり、nは、2以上の自然数であり、iは、2以上かつn以下の自然数である、ことを特徴とする請求項9に記載の正電極。
【請求項11】
前記導電性成分は、0次元導電性材料を含み、第1層の前記活物質層(2)における0次元導電性材料の質量は、Nであり、
第i層の活物質層(2)における0次元導電性材料の質量N=N*i/nである、ことを特徴とする請求項10に記載の正電極。
【請求項12】
前記活物質は、リン酸鉄リチウム、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム及びニッケルコバルトマンガン三元系材料のうちの1種、又は2種以上の組み合わせを含む、ことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の正電極。
【請求項13】
負電極、セパレータ及び請求項1~12のいずれか一項に記載の正電極を含み、
前記負電極と正電極は、それぞれ前記セパレータの両側に設けられる、ことを特徴とする電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、ビーワイディーカンパニーリミテッドが2021年7月28日に提出した、出願名称が「正電極及び電池」である中国特許出願第「202110858947.6」号の優先権を主張するものである。
【0002】
本願は、電池材料の技術分野に関し、特に、正電極及び電池に関する。
【背景技術】
【0003】
リチウムイオン電池は、新たな再生可能エネルギーとして、容量が高く、電圧が高く、小型軽量で、サイクル寿命が長く、動作範囲が広く、安全性に優れ、メモリー効果がないなどの利点を有するため、近年、急速に発展している。リチウムイオン電池の大規模な適用の需要に直面して、リチウムイオン電池の性能を向上させ、コストを削減することは、重要であり、正負極材料の出力密度、エネルギー密度をさらに向上させ、サイクル性能及び安全性能を改善することは、発展のポイントとなっている。
【0004】
リチウムイオン電池の正極材料の導電性を向上させて電池の性能を向上させることを例とすると、現在、リチウムイオン電池の正極ペーストの製造に用いられる導電剤は、カーボンブラック、アセチレンブラック、導電性グラファイト、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーなどであり、導電剤が単一で使用されることが多く、同じ導電剤は、常に異なる電極に適用され、正極材料の種類に応じて導電剤の選択を行うことができず、導電剤の性能の発揮に不利となり、リチウムイオン電池のエネルギー密度及びサイクル性能が制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、関連技術における技術的課題の1つを少なくともある程度解決しようとする。
【0006】
本願の実施例は、正電極及び電池の新たな技術手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の実施例の第1態様に係る正電極は、集電体層及び活物質層を含み、前記活物質層が前記集電体層の少なくとも1つの表面に被覆され、前記活物質層は、
活物質及び導電性成分を含み、前記活物質の質量は、m+m(単位g)であり、前記導電性成分は、1次元導電性材料、0次元導電性材料及び2次元導電性材料のうちの少なくとも1種を含み、前記1次元導電性材料、0次元導電性材料及び2次元導電性材料の質量は、順にm、m及びm(単位g)であり、mは、表面に2次元導電性材料が被覆された活物質の質量であり、mは、表面に1次元導電性材料及び/又は0次元導電性材料が被覆された活物質の質量であり、下式を満たし、
20*3.14*d*m/[ρ*4/3*3.14(d/2)]≦m/(2.2*3.14*(d/2)*L)*L+10*m/(2.2*4/3*3.14*(d/2))*d≦[30*3.14*d]*m/[ρ*4/3*3.14(d/2)](1)
3.14*(d/2)*m/[ρ*4/3*3.14(d/2)]≦m/[(2.2*a*b*c)]*a*b≦1.5*3.14*(d/2)*m/[ρ*4/3*3.14*(d/2)](2)
式中、d(単位μm)は、前記活物質の直径であり、ρは、前記活物質の真密度であり、d(単位μm)は、前記1次元導電性材料の直径であり、L(単位μm)は、前記1次元導電性材料の長さであり、d(単位μm)は、前記0次元導電性材料の直径であり、a(単位μm)、b(単位μm)、c(単位μm)は、順に前記2次元導電性材料の幅、長さ及び厚さである。
【0008】
好ましくは、前記導電性成分は、前記1次元導電性材料を含み、前記1次元導電性材料と前記活物質の質量比は、(0.1~1.0):100である。
【0009】
好ましくは、前記1次元導電性材料の直径は、2~60nmであり、前記1次元導電性材料の長さは、2~15μmである。
【0010】
好ましくは、前記導電性成分は、前記0次元導電性材料を含み、前記0次元導電性材料と前記活物質の質量比は、(0.1~3):100である。
【0011】
好ましくは、前記0次元導電性材料の直径は、20~100nmである。
【0012】
好ましくは、前記導電性成分は、前記2次元導電性材料を含み、前記2次元導電性材料と活物質の質量比は、(0.1~1.5):100である。
【0013】
好ましくは、前記2次元導電性材料の厚さは、1~20nmであり、前記2次元導電性材料の長さ及び幅は、0.2~10μmである。
【0014】
好ましくは、2次元導電性材料の前記導電性成分における質量分率は、30%以下である。
【0015】
好ましくは、前記活物質層は、単層又は多層である。
【0016】
好ましくは、前記導電性成分は、1次元導電性材料を含み、前記活物質層は、n層であり、前記集電体層を被覆した前記活物質層を第1層とし、
第i層の活物質層における1次元導電性材料の質量M=M*(1-i/n)であり、
式中、Mは、第1層の前記活物質層における1次元導電性材料の質量であり、nは、2以上の自然数であり、iは、2以上かつn以下の自然数である。
【0017】
好ましくは、前記導電性成分は、0次元導電性材料を含み、第1層の前記活物質層における0次元導電性材料の質量は、Nであり、
第i層の活物質層における0次元導電性材料の質量N=N*i/nである。
【0018】
好ましくは、前記活物質は、リン酸鉄リチウム、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム及びニッケルコバルトマンガン三元系材料のうちの1種以上の組み合わせを含む。
【0019】
本願の実施例の第2態様に係る電池は、負電極、セパレータ及び第1態様に記載の正電極を含み、
前記負電極と正電極は、それぞれ前記セパレータの両側に設けられる。
【発明の効果】
【0020】
本願の実施例の技術的効果は、以下のとおりである。
【0021】
本願の実施例に係る正電極は、集電体層及び活物質層を含む。本願の前記正電極の活物質層は、導電性成分を含み、前記導電性成分は、1次元導電性材料、0次元導電性材料及び2次元導電性材料のうちの1種以上を組み合わせた導電剤を利用して、異なる寸法及び含有量パラメータの導電剤と、異なる活物質と組み合わせることにより、効率的な導電性ネットワークを構築し、前記正電極の導電性能及び容量性能を向上させ、前記正電極のエネルギー密度を保証することができる。
【0022】
本願の追加の態様及び利点について、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか又は本願の実施により理解される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本願の上記及び/又は追加の様態及び利点は、以下の図面を参照して実施例を説明することにより、明らかになり、理解されやすくなる。
【0024】
図1】本願の実施例に係る正電極の概略構成図である。
図2】本願の実施例に係る正電極における1次元導電性材料の含有量と正電極の抵抗率の浸透曲線である。
図3】本願の実施例に係る正電極における0次元導電性材料の含有量と正電極の抵抗率の浸透曲線である。
図4】本願の実施例に係る正電極における2次元導電性材料の含有量と正電極の抵抗率の浸透曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本願の様々な例示的な実施例を詳細に説明する。なお、特に断らない限り、これらの実施例において記載された部材及びステップの相対的な配置、数字表現式及び数値は、本願の範囲を限定しない。
【0026】
以下、少なくとも1つの例示的な実施例についての説明は、本質的に例示的なものに過ぎず、本願及びその適用又は使用を限定することは決して意図されていない。
【0027】
当業者が知っている技術、方法及び装置について詳細に検討していないが、適切な場合には、上記技術、方法及び装置は、明細書の一部と見なされるべきである。
【0028】
ここで示され検討された全ての例では、いかなる具体的な値は、例示的なものに過ぎず、限定的なものではないと解釈されるべきである。したがって、例示的な実施例の他の例は、異なる値を有してもよい。
【0029】
なお、類似した符号及びアルファベットが以下の図面において類似したものを表すため、あるものが1つの図面において定義されれば、後の図面においてさらに検討する必要がない。
【0030】
図1に示すように、本願の実施例に係る正電極は、集電体層1及び活物質層2を含み、上記活物質層2が上記集電体層1の少なくとも1つの表面に被覆され、上記活物質層2は、
活物質及び導電性成分を含み、上記活物質の質量は、m+mであり、上記導電性成分は、1次元導電性材料、0次元導電性材料及び2次元導電性材料のうちの少なくとも1種を含み、上記1次元導電性材料、0次元導電性材料及び2次元導電性材料の質量は、順にm、m及びmであり、下式を満たし、
20*3.14*d*m/[ρ*4/3*3.14(d/2)]≦m/(2.2*3.14*(d/2)*L)*L+10*m/(2.2*4/3*3.14*(d/2))*d≦[30*3.14*d]*m/[ρ*4/3*3.14(d/2)](1)
3.14*(d/2)*m/[ρ*4/3*3.14(d/2)]≦m/[(2.2*a*b*c)]*a*b≦1.5*3.14*(d/2)*m/[ρ*4/3*3.14*(d/2)](2)
式中、dは、上記活物質の直径であり、ρは、上記活物質の真密度であり、dは、上記1次元導電性材料の直径であり、Lは、上記1次元導電性材料の長さであり、dは、上記0次元導電性材料の直径であり、a、b、cは、順に上記2次元導電性材料の幅、長さ及び厚さである。
【0031】
具体的には、上記0次元導電性材料は、カーボンブラックであってもよく、上記1次元導電性材料は、カーボンナノチューブ、金属ナノワイヤー及び1次元導電性ポリマーのうちの少なくとも1種であってもよく、上記2次元導電性材料は、グラフェン、2次元導電性金属有機骨格(2DECMOFs)及び導電性2次元炭化モリブデン(MXene)のうちの少なくとも1種であってもよい。具体的には、式1と式2における1次元導電性材料、0次元導電性材料及び2次元導電性材料の寸法パラメータは、いずれも単一の1次元導電性材料、0次元導電性材料及び2次元導電性材料の粒子の寸法パラメータである。上記導電性成分は、1次元導電性材料、0次元導電性材料及び2次元導電性材料のうちの1種を含んでもよく、1次元導電性材料、0次元導電性材料及び2次元導電性材料のうちの複数種の組み合わせを含んでもよい。
【0032】
式1には、上記活物質層2における1次元導電性材料及び0次元導電性材料に対する導電性成分の含有量の要求が開示されている。上記導電性成分が不活性物質であるため、上記導電性成分の前記活物質層2における含有量が高すぎると、上記正電極の電極容量を顕著に低下させる。上記正電極の導電性を保証するために、単一の活物質粒子に分配された導電性成分の長さは、少なくとも20倍の活物質粒子の周長であり、つまり、単一の活物質粒子は、20個の導電性成分によって被覆されて、完全な導電性ネットワークを構築することができ、導電性成分の全長は、最大で粒子周長の30倍であり、上記導電性成分の全長が長すぎると、上記正電極の導電性の向上には限界があるが、上記正電極の電極容量を顕著に低下させる。
【0033】
図2に示す1次元導電性材料の含有量と電極の抵抗率の浸透曲線から分かるように、正電極における1次元導電性材料の含有量が増加するとき、正電極の抵抗率が明らかに低下するが、1次元導電性材料の含有量がある程度まで増加した後、例えば、図2中の1次元導電性材料の含有量が0.6%に達した後、1次元導電性材料の含有量による正電極の抵抗率への影響が小さくなり、類似して、図3に示す0次元導電性材料の含有量と正電極の抵抗率の浸透曲線から分かるように、正電極における0次元導電性材料の含有量が増加するとき、正電極の抵抗率が明らかに低下するが、0次元導電性材料の含有量がある程度まで増加した後、例えば、図3中の0次元導電性材料の含有量が2%に達した後、0次元導電性材料の含有量による正電極の抵抗率への影響が小さくなる。
【0034】
式2には、上記活物質層2における2次元導電性材料に対する導電性成分の含有量の要求が開示されている。2次元導電性材料が活物質粒子を被覆して効果的な導電性ネットワークを形成することを保証するために、2次元導電性材料の添加量は、式2の条件を満たす必要がある。図4に示す2次元導電性材料の含有量と正電極の抵抗率の浸透曲線から分かるように、正電極における2次元導電性材料の含有量が増加するとき、正電極の抵抗率が明らかに低下するが、2次元導電性材料の含有量がある程度まで増加した後、例えば、図4中の2次元導電性材料の含有量が0.8%に達した後、2次元導電性材料の含有量による正電極の抵抗率への影響が小さくなる。
【0035】
本願の上記正電極の活物質層2は、導電性成分を含み、上記導電性成分は、1次元導電性材料、0次元導電性材料及び2次元導電性材料のうちの1種以上を組み合わせた導電剤を利用して、異なる寸法及び含有量パラメータの導電剤と、異なる活物質とを組み合わせることにより、効率的な導電性ネットワークを構築し、上記正電極の導電性能及び容量性能を向上させ、上記正電極のエネルギー密度を保証することができる。上記活物質層2の導電性成分が1次元導電性材料、0次元導電性材料及び2次元導電性材料の3者を含む場合に、上記導電性成分は、点、線、面の多次元で効率的な導電性ネットワークを構築し、導電性成分の長さ、面積及び活物質の粒度分布を組み合わせて、上記導電性成分の導電性ネットワークの合理的な設計を実現する。好ましくは、上記導電性成分は、上記1次元導電性材料を含み、上記1次元導電性材料と上記活物質の質量比は、(0.1~1.0):100であり、好ましくは、(0.5~0.75):100である。
【0036】
具体的には、上記活物質は、リン酸鉄リチウムであってもよい。100gのリン酸鉄リチウムを例とすると、炭素の真密度は、2.2g/cmであり、リン酸鉄リチウムの真密度は、3.6g/cmであり、dは、リン酸鉄リチウムの直径を表し、真密度(TrueDensity)は、材料が絶対緻密な状態で単位体積当たりの固体物質の実際の質量であり、すなわち、内部空隙又は粒子間の空隙を除去した後の密度である。1次元導電性材料を代表とする導電性成分がリン酸鉄リチウム粒子を代表とする活物質を被覆し、かつ正電極において効果的な導電性ネットワークを形成することを保証するために、式1と組み合わせて、上記1次元導電性材料の添加量は、
20*3.14*d*100/[3.6*4/3*3.14*(d/2)]≦m/(2.2*3.14*(d/2)*L)*L≦30*3.14*d*100/[3.6*4/3*3.14*(d/2)を満たす必要がある。
【0037】
上記1次元導電性材料の直径は、2~60nmであり、好ましくは、5~15nmであり、上記1次元導電性材料の長さは、2~15μmであり、好ましくは、5~10μmである。上記直径範囲及び長さ範囲にある上記1次元導電性材料を例とすると、100gのリン酸鉄リチウム活物質を含む上記活物質層2における1次元導電性材料の質量を制御することにより、1次元導電性材料の質量を0.5~0.75gの範囲にする。1次元導電性材料の質量が大きすぎる場合、例えば、1次元導電性材料が太すぎるか又は長すぎる場合、1次元導電性材料が分散しにくいため、1次元導電性材料が凝集しやすく、1次元導電性材料の質量が小さすぎる場合、1次元導電性材料同士が架橋結合して導電性ネットワークを形成することに不利となる。
【0038】
好ましくは、上記導電性成分は、上記0次元導電性材料を含み、上記0次元導電性材料と上記活物質の質量比は、(0.1~3.0):100であり、好ましくは、(1.918~2.7):100である。
【0039】
具体的には、上記活物質は、リン酸鉄リチウムであってもよい。100gのリン酸鉄リチウムを例とすると、0次元導電性材料を代表とする導電性成分がリン酸鉄リチウム粒子を代表とする活物質を被覆し、かつ正電極において効果的な導電性ネットワークを形成することを保証するために、式1と組み合わせて、上記0次元導電性材料の添加量は、
20*3.14*d*100/[3.6*4/3*3.14(d/2)]≦10*m/[(2.2*4/3*3.14*(d/2))]*d≦30*3.14*d*100/[3.6*4/3*3.14(d/2)を満たす必要がある。
【0040】
上記0次元導電性材料の直径は、20~100nmであり、好ましくは、30~50nmである。上記直径範囲にある上記0次元導電性材料を例とすると、100gのリン酸鉄リチウム活物質を含む上記活物質層2における0次元導電性材料の質量を制御することにより、0次元導電性材料の質量を1.918~2.7gの範囲にする。0次元導電性材料の質量が大きすぎる場合、例えば、0次元導電性材料の直径が大きすぎる場合、0次元導電性材料が凝集しやすいため、上記導電性成分の導電効率を低下させ、0次元導電性材料の質量が小さすぎる場合、0次元導電性材料同士が架橋結合するか又は0次元導電性材料が他の導電剤と架橋結合して導電性ネットワークを形成することに不利となる。
【0041】
好ましくは、上記導電性成分は、上記2次元導電性材料を含み、上記2次元導電性材料と活物質の質量比は、(0.1~1.5):100であり、好ましくは、(0.8~1.2):100である。
【0042】
具体的には、上記活物質は、リン酸鉄リチウムであってもよい。100gのリン酸鉄リチウムを例とすると、2次元導電性材料を代表とする導電性成分がリン酸鉄リチウム粒子を代表とする活物質を被覆し、かつ正電極において効果的な導電性ネットワークを形成することを保証するために、式2と組み合わせて、上記2次元導電性材料の添加量は、
3.14*(d/2)*100/[3.6*4/3*3.14(d/2)]≦m/[(2.2*a*b*c)]*a*b≦1.5*3.14*(d/2)*100/[3.6*4/3*3.14*(d/2)]を満たす必要がある。
【0043】
上記2次元導電性材料の厚さは、1~20nmであり、上記2次元導電性材料の長さ及び幅は、いずれも0.2~10μmである。上記長さ範囲、幅範囲及び厚さ範囲にある上記2次元導電性材料を例とすると、100gのリン酸鉄リチウム活物質を含む上記活物質層2における2次元導電性材料の質量を制御することにより、2次元導電性材料の質量を0.8~1.2gの範囲にする。上記2次元導電性材料の質量が多すぎる場合、上記正電極のインピーダンスを低減することができるが、上記活物質層2のコストを増加させ、2次元導電性材料を代表とする導電剤は、不活性物質であり、充放電容量を与えることができないため、2次元導電性材料を代表とする導電剤の添加量が多すぎると、上記正電極の容量を顕著に低下させる。
【0044】
好ましくは、2次元導電性材料の上記導電性成分における質量分率は、30%以下である。
【0045】
具体的には、上記導電性成分は、2次元導電性材料を含むことを基に、1次元導電性材料、0次元導電性材料などの導電剤をさらに含む場合、2次元導電性材料が多すぎると、2次元導電性材料の層同士の凝集を引き起こし、上記導電性成分の導電効率を低下させ、そして、シート状の2次元導電性材料は、リチウムイオンの正電極における拡散に不利となり、正電極のエネルギー密度及び充放電容量が制限される。
【0046】
好ましくは、上記活物質層2は、単層又は多層である。
【0047】
具体的には、上記活物質層2は、塗布によって上記集電体層1の少なくとも1つの表面に被覆され、かつ上記活物質層2の塗布は、1回塗布により完了することができ、つまり、単層で塗布し、単層塗布は、上記正電極の製造プロセスを簡略化し、上記正電極の製造コストを削減することができる。上記活物質層2の塗布は、複数回塗布により完了することができ、つまり、多層で塗布し、多層塗布は、各層の活物質層における活物質と導電性成分との成分割合を制御することにより、上記正電極のエネルギー密度と導電性能の優れた組み合わせを達成することができる。
【0048】
好ましくは、上記導電性成分は、1次元導電性材料を含み、上記活物質層2は、n層であり、nが2以上の自然数であり、上記活物質層において、上記集電体層に貼り合せられた層を第1層とし、上記活物質層において、第1層から離れて順に第2層、第3層、第4層…第n層であり、つまり、第n層は、第1層から離れた活物質層であり、第n層をセパレータ層に近接させ、
上記集電体層を被覆した上記活物質層を第1層とし、
第i層の活物質層における1次元導電性材料の質量M=M*(1-i/n)であり、
式中、Mは、第1層の上記活物質層における1次元導電性材料の質量であり、nは、2以上の自然数であり、iは、2以上かつn以下の自然数である。
【0049】
具体的には、第1層における1次元導電性材料の質量は、上記式1に基づいて決定することができ、1次元導電性材料は、高い電子導電率を有するため、上記活物質層2における活物質及び導電性成分と集電体層1との結合強度及び電子伝達効率を向上させるように、上記集電体層1に近接するほど、上記活物質層2における1次元導電性材料を多くしてもよい。例えば、上記活物質層2は、4層であり、4層の上記活物質層2が積層して設けられるとともに、各層の面積及び厚さがいずれも同じである場合に、第1層における1次元導電性材料の質量は、Mであり、第2層における1次元導電性材料の質量M=M*(1-2/4)=M*1/2であり、第3層における1次元導電性材料の質量M=M*(1-3/4)=M*1/4であり、第4層における1次元導電性材料の質量M=M*(1-4/4)=0である。多層の上記活物質層2における1次元導電性材料の質量を段階的に分布させ、上記活物質層2の導電効率を保証する。
【0050】
好ましくは、上記活物質層2は、n層であり、上記導電性成分は、0次元導電性材料を含み、第1層の上記活物質層における0次元導電性材料の質量は、Nであり、
第i層の活物質層における0次元導電性材料の質量N=N*i/nであり、iは、2以上の整数である。
【0051】
具体的には、第1層における0次元導電性材料の質量は、上記式1に基づいて決定することができ、0次元導電性材料は、高い保液性を有するため、リチウムイオンの正電極における拡散過程に有利となり、上記集電体層1から離れるほど、上記活物質層2における0次元導電性材料は多くてもよく、上記正電極における電解液の保持率を保証することを基に、1次元導電性材料と0次元導電性材料との結合は、多層塗布された活物質層2系において良好な導電性ネットワークを構築することに有利となる。例えば、上記活物質層2は、4層であり、4層の上記活物質層2が積層して設けられるとともに、各層の面積及び厚さがいずれも同じである場合に、第1層における0次元導電性材料の質量は、Nであり、第2層における0次元導電性材料の質量は、N*2/4=N*1/2であり、第3層における0次元導電性材料の質量は、N*3/4であり、第4層における0次元導電性材料の質量は、N*4/4=Nであり、多層の上記活物質層2における0次元導電性材料の質量を段階的に分布させる。
【0052】
好ましくは、上記活物質は、リン酸鉄リチウム、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム及びニッケルコバルトマンガン三元系材料のうちの1種以上の組み合わせを含む。
【0053】
具体的には、上記活物質の種類は、様々であってもよく、例えば、リン酸鉄リチウム(LiFePO)を活物質として選択する場合、リン酸鉄リチウム材料は、充放電過程において構造が安定するため、上記正電極の安全性能及び耐用年数を保証することができ、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)及びニッケルコバルトマンガン三元系材料(LiNiCoMn1-x-y)などの活物質の組み合わせは、上記正電極のエネルギー密度を向上させることができる。
【0054】
本願の実施例に係る電池は、負電極、セパレータ及び正電極を含み、
上記負電極と正電極は、それぞれ上記セパレータの両側に設けられる。
【0055】
具体的には、上記電池の正電極の活物質層2は、導電性成分を含み、上記導電性成分は、1次元導電性材料、0次元導電性材料及び2次元導電性材料のうちの1種以上を組み合わせた導電剤を利用して、異なる寸法及び含有量パラメータの導電剤と、異なる活物質を組み合わせることにより、効率的な導電性ネットワークを構築し、上記正電極の導電性能及び容量性能を向上させ、上記電池のエネルギー密度を保証することができる。上記活物質層2の導電性成分が1次元導電性材料、0次元導電性材料及び2次元導電性材料の3者を含む場合に、上記導電性成分は、点、線、面の多次元で効率的な導電性ネットワークを構築し、導電性成分の長さ、面積及び活物質の粒度分布を組み合わせて、上記導電性成分の導電性ネットワークの合理的な設計を実現し、上記電池の容量の発揮を保証することができる。
【0056】
以下、実施例及び比較例を参照しながら、本願に係る正電極を詳細に説明する。
【0057】
以下の実施例及び比較例における正電極は、集電体層及び活物質層を含み、集電体層は、アルミニウム箔であり、活物質層は、リン酸鉄リチウム、バインダー、N-メチルピロリドン、1次元導電性材料、0次元導電性材料及び2次元導電性材料のうちの1種以上を含み、
実施例及び比較例における正電極の製造方法は、いずれも
活物質層の各成分を混合してペーストを製造し、上記ペーストをアルミニウム箔に塗布し、その後に焼付し、ロールプレスして正電極を得るステップを含む。
【0058】
正電極と対応する負電極とを組み立てて電池を得て、電池の設計容量を1.8Ahとする。
【実施例1】
【0059】
活物質は、リン酸鉄リチウムを含み、
導電性成分は、カーボンナノチューブを含む。
【0060】
100gのリン酸鉄リチウムを選択し、リン酸鉄リチウムの平均粒径をD50=1.30μm(d)とし、カーボンナノチューブの平均直径を11nmとし、カーボンナノチューブの平均長さを8μmとし、上記式1に従って、カーボンナノチューブの添加量は、0.6gである。
【実施例2】
【0061】
活物質は、リン酸鉄リチウムを含み、
導電性成分は、カーボンブラックを含む。
【0062】
100gのリン酸鉄リチウムを選択し、リン酸鉄リチウムの平均粒径をD50=1.30μm(d)とし、カーボンブラックの平均直径を60nmとし、上記式1に従って、カーボンブラックの添加量は、2.2gである。
【実施例3】
【0063】
活物質は、リン酸鉄リチウムを含み、
導電性成分は、グラフェンを含む。
【0064】
100gのリン酸鉄リチウムを選択し、リン酸鉄リチウムの平均粒径をD50=1.30μm(d)とし、グラフェンの平均長さを4.2μmとし、グラフェンの平均幅を2.45μmとし、グラフェンの平均厚さを14nmとし、上記式2に従って、グラフェンの添加量は、1.0gである。
【実施例4】
【0065】
活物質は、リン酸鉄リチウムを含み、
導電性成分は、カーボンナノチューブ及びカーボンブラックを含む。
【0066】
100gのリン酸鉄リチウムを選択し、リン酸鉄リチウムの平均粒径をD50=1.30μm(d)とし、カーボンナノチューブの平均直径を11nmとし、カーボンナノチューブの平均長さを8μmとし、カーボンブラックの平均直径を60nmとし、上記式1に従って、カーボンナノチューブの添加量は、0.3gであり、カーボンブラックの添加量は、0.9gである。
(比較例1)
【0067】
実施例1と同じように材料を選択し、カーボンナノチューブの添加量を0.3gに変更した。
(比較例2)
【0068】
実施例1と同じように材料を選択し、カーボンナノチューブの添加量を1.0gに変更した。
(比較例3)
【0069】
実施例2と同じように材料を選択し、カーボンブラックの添加量を1.4gに変更した。
(比較例4)
【0070】
実施例2と同じように材料を選択し、カーボンブラックの添加量を3gに変更した。
(比較例5)
【0071】
実施例3と同じように材料を選択し、グラフェンの添加量を0.5gに変更した。
(比較例6)
【0072】
実施例3と同じように材料を選択し、グラフェンの添加量を1.6gに変更した。
【0073】
上記実施例及び比較例の正電極に対して抵抗率測定を行い、正電極で製造された電池に対して混合ペーストの単位質量あたりの容量の測定及び直流内部抵抗測定を行った。
【0074】
実施例及び比較例の正電極の測定結果を表1に示す。
【表1】
【0075】
表1の正電極縦方向抵抗率から分かるように、本願の実施例に係る正電極は、いずれも低い抵抗率を有し、各実施例における正電極の抵抗率は、いずれも32Ω*cmであり、実施例1と比較例1と、実施例2と比較例3と、実施例3と比較例5とを比較すると、導電性成分の使用量が低すぎる場合、正電極の抵抗率は、明らかに向上し、比較例1、比較例3及び比較例5における正電極の抵抗率は、いずれも50Ω*cmよりも大きい。
【0076】
表1の0.33Cでの混合ペーストの単位質量あたりの容量(すなわち、0.33Cの放電レートで1グラムあたりの電極の活物質層による容量である)において、本願の実施例に係る正電極で製造された電池の混合ペーストの単位質量あたりの容量は、いずれも137.0mAh/gよりも大きく、実施例1、2、3と比較例1、3、5とを比較すると、導電性成分の含有量が低すぎる場合、電池の混合ペーストの単位質量あたりの容量は、明らかに低下し、いずれも135.2mAh/gよりも低く、実施例1、2、3と比較例2、4、6とを比較する場合に、導電性成分の含有量を向上させた後、正電極の抵抗率がわずかに低下するが、導電性成分が多すぎて不活性物質の含有量が向上するため、正電極で製造された電池の混合ペーストの単位質量あたりの容量が低下し、比較例2、4、6の正電極で製造された電池の混合ペーストの単位質量あたりの容量は、いずれも136.7mAh/gであり、最後に電池のエネルギー密度を低下させる。
【0077】
表1の50%SOC直流内部抵抗から分かるように、本願の実施例に係る正電極で製造された電池の直流内部抵抗は、いずれも56.5mΩよりも小さく、比較例1、比較例3及び比較例5における正電極の導電性成分の含有量が不十分であるため、正電極の抵抗率が向上し、電池の直流内部抵抗(DCIR)は、いずれも58.9mΩよりも大きく、電池の動力学的性能に深刻な影響を与えた。
【0078】
例を挙げて本願のいくつかの特定の実施例を詳細に説明したが、当業者であれば、以上の例が説明するためのものに過ぎず、本願の範囲を限定するものではないことを理解されたい。当業者であれば、本願の範囲及び趣旨から逸脱しない場合に、以上の実施例を修正できることを理解されたい。本願の範囲は、添付した特許請求の範囲によって限定される。
【符号の説明】
【0079】
1 集電体層
2 活物質層
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-02-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体層(1)及び活物質層(2)を含む正電極であって、前記活物質層(2)が前記集電体層(1)の少なくとも1つの表面に被覆され、前記活物質層(2)は、活物質及び導電性成分を含み、前記活物質の質量は、m+m(単位g)であり、前記導電性成分は、1次元導電性材料、0次元導電性材料及び2次元導電性材料のうちの少なくとも1種を含み、前記1次元導電性材料、0次元導電性材料及び2次元導電性材料の質量は、順にm、m及びm(単位g)であり、mは、表面に2次元導電性材料が被覆された活物質の質量であり、mは、表面に1次元導電性材料又は0次元導電性材料が被覆された活物質の質量であり、下式を満たし、
20*3.14*d*m/[ρ*4/3*3.14(d/2)]≦m/(2.2*3.14*(d/2)*L)*L+10*m/(2.2*4/3*3.14*(d/2))*d≦[30*3.14*d]*m/[ρ*4/3*3.14(d/2)](1)
3.14*(d/2)*m/[ρ*4/3*3.14(d/2)]≦m/[(2.2*a*b*c)]*a*b≦1.5*3.14*(d/2)*m/[ρ*4/3*3.14*(d/2)](2)
式中、d(単位μm)は、前記活物質の直径であり、ρ (単位g/cm は、前記活物質の真密度であり、d(単位μm)は、前記1次元導電性材料の直径であり、L(単位μm)は、前記1次元導電性材料の長さであり、d(単位μm)は、前記0次元導電性材料の直径であり、a(単位μm)、b(単位μm)、c(単位μm)は、順に前記2次元導電性材料の幅、長さ及び厚さである、ことを特徴とする正電極。
【請求項2】
前記導電性成分は、前記1次元導電性材料を含み、前記1次元導電性材料と前記活物質の質量比は、(0.1~1.0):100である、ことを特徴とする請求項1に記載の正電極。
【請求項3】
前記1次元導電性材料の直径は、2~60nmであり、前記1次元導電性材料の長さは、2~15μmである、ことを特徴とする請求項2に記載の正電極。
【請求項4】
前記導電性成分は、前記0次元導電性材料を含み、前記0次元導電性材料と前記活物質の質量比は、(0.1~3.0):100である、ことを特徴とする請求項に記載の正電極。
【請求項5】
前記0次元導電性材料の直径は、20~100nmである、ことを特徴とする請求項に記載の正電極。
【請求項6】
前記導電性成分は、前記2次元導電性材料を含み、前記2次元導電性材料と活物質の質量比は、(0.1~1.5):100である、ことを特徴とする請求項に記載の正電極。
【請求項7】
前記2次元導電性材料の厚さは、1~20nmであり、前記2次元導電性材料の長さ及び幅は、0.2~10μmである、ことを特徴とする請求項6に記載の正電極。
【請求項8】
前記2次元導電性材料の前記導電性成分における質量分率は、30%以下である、ことを特徴とする請求項に記載の正電極。
【請求項9】
前記活物質層(2)は、単層又は多層である、ことを特徴とする請求項に記載の正電極。
【請求項10】
前記導電性成分は、1次元導電性材料を含み、正電極は、n層の活物質層(2)を含み、前記集電体層(1)を被覆する活物質層(2)を第1層とし、
第i層の活物質層(2)における1次元導電性材料の質量M=M*(1-i/n)であり、
式中、Mは、第1層の前記活物質層(2)における1次元導電性材料の質量であり、nは、2以上の自然数であり、iは、2以上かつn以下の自然数である、ことを特徴とする請求項9に記載の正電極。
【請求項11】
前記導電性成分は、0次元導電性材料を含み、第1層の前記活物質層(2)における0次元導電性材料の質量は、Nであり、
第i層の活物質層(2)における0次元導電性材料の質量N=N*i/nである、ことを特徴とする請求項10に記載の正電極。
【請求項12】
前記活物質は、リン酸鉄リチウム、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム及びニッケルコバルトマンガン三元系材料のうちの1種、又は2種以上の組み合わせを含む、ことを特徴とする請求項に記載の正電極。
【請求項13】
負電極、セパレータ及び請求項1~12のいずれか一項に記載の正電極を含み、
前記負電極と正電極は、それぞれ前記セパレータの両側に設けられる、ことを特徴とする電池。
【国際調査報告】