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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】香味増強用ペプチド物質
(51)【国際特許分類】
   C07K 5/068 20060101AFI20240711BHJP
   A23L 27/00 20160101ALI20240711BHJP
   A23L 27/24 20160101ALI20240711BHJP
   A23L 27/21 20160101ALI20240711BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240711BHJP
   C07K 5/062 20060101ALI20240711BHJP
   C07K 5/078 20060101ALI20240711BHJP
   C07K 5/072 20060101ALI20240711BHJP
   C07K 5/065 20060101ALI20240711BHJP
   C07K 5/08 20060101ALI20240711BHJP
   C07K 5/10 20060101ALI20240711BHJP
   C07K 7/06 20060101ALI20240711BHJP
   C07K 5/06 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
C07K5/068
A23L27/00 Z
A23L27/24
A23L27/21 B
A23L5/00 J
C07K5/062 ZNA
C07K5/078
C07K5/072
C07K5/065
C07K5/08
C07K5/10
C07K7/06
C07K5/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580911
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 KR2022009262
(87)【国際公開番号】W WO2023277549
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】10-2021-0086643
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507406611
【氏名又は名称】シージェイ チェルジェダン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】カン,ジ・ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ミキョン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ユンヨン
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィド,コリンナ
(72)【発明者】
【氏名】ミッターマイアー・クレッシンガー,フェレナ・カロリン
(72)【発明者】
【氏名】ユンガー,マノン
【テーマコード(参考)】
4B035
4B047
4H045
【Fターム(参考)】
4B035LC01
4B035LG15
4B035LG32
4B035LG33
4B035LG34
4B035LG42
4B035LG48
4B035LP42
4B047LB07
4B047LB08
4B047LB09
4B047LF01
4B047LF02
4B047LF03
4B047LF04
4B047LF05
4B047LF07
4B047LF08
4B047LF09
4B047LF10
4B047LG16
4B047LG17
4B047LG59
4B047LG60
4B047LG61
4B047LP19
4B047LP20
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA11
4H045BA12
4H045BA13
4H045BA14
4H045EA01
4H045FA10
(57)【要約】
本発明は、韓国の発酵機術を基盤として味を増強させる効果がある味増強物質を新たに究明して、食品の味を増強させる効果に優れる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)(i)Arg-Ala、Ala-Arg、Arg-Asp、Asp-Arg、Arg-Gln、Gln-Arg、Arg-Gly、Gly-Arg、Arg-Leu、Leu-Arg、Arg-Lys、Lys-Arg、Arg-Pro、Pro-Arg、Arg-Ser、Ser-Arg、Arg-Val、およびVal-Argからなる群より選択される1種以上のアルギニル-ジペプチド、
(ii)Pro-Ala、Ala-Pro、Pro-Arg、Arg-Pro、Pro-Asn、Asn-Pro、Pro-Asp、Asp-Pro、Pro-Cys、Cys-Pro、Pro-Gln、Gln-Pro、Pro-Gly、Gly-Pro、Pro-His、His-Pro、Pro-Ile、Ile-Pro、Pro-Leu、Leu-Pro、Pro-Lys、Lys-Pro、Pro-Met、Met-Pro、Pro-Phe、Phe-Pro、Pro-Pro、Pro-Ser、Ser-Pro、Pro-Thr、Thr-Pro、Pro-Trp、Trp-Pro、Pro-Val、Val-Pro、Pro-Tyr、およびTyr-Proからなる群より選択される1種以上のプロリル-ジペプチド、または
(iii)これらの組み合わせ、
(2)ALDPLPT(配列番号1)、DGFP(配列番号2)、DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、DTDEPN(配列番号5)、EEL(配列番号6)、EEV(配列番号7)、EEY(配列番号8)、ESLPALP(配列番号9)、EVGYGY(配列番号10)、LDYY(配列番号11)、LPPP(配列番号12)、MTTFTW(配列番号13)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、GNPF(配列番号19)、EVLK(配列番号20)、FADSL(配列番号21)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、LLQ(配列番号24)、LPL(配列番号25)、PLL(配列番号26)、TPL(配列番号27)、およびVLL(配列番号28)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上、または、
(3)これらの組み合わせを含む、香味増強用組成物。
【請求項2】
(1)(i)Arg-GlyおよびGly-Argからなるアルギニル-ジペプチドの中から選択される1種以上、
(ii)Pro-Pro、Pro-Glu、Pro-Ala、Pro-Lys、Pro-Ser、Pro-Val、Arg-Pro、Lys-Pro、Ser-Pro、およびVal-Proからなるプロリル-ジペプチドの中から選択される1種以上、
(iii)またはこれらの組み合わせ、
(2)ALDPLPT(配列番号1)、DGFP(配列番号2)、DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、DTDEPN(配列番号5)、EEL(配列番号6)、EEV(配列番号7)、EEY(配列番号8)、ESLPALP(配列番号9)、EVGYGY(配列番号10)、LDYY(配列番号11)、LPPP(配列番号12)、MTTFTW(配列番号13)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、GNPF(配列番号19)、EVLK(配列番号20)、FADSL(配列番号21)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、LLQ(配列番号24)、LPL(配列番号25)、PLL(配列番号26)、TPL(配列番号27)、およびVLL(配列番号28)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上、または、
(3)これらの組み合わせを含む、請求項1に記載の香味増強用組成物。
【請求項3】
(1)Pro-Pro、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、およびGly-Argからなるジペプチドの中から選択される1種以上、
(2)DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、LPPP(配列番号12)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、PLL(配列番号26)、およびTPL(配列番号27)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上;または、
(3)これらの組み合わせを含む、請求項1に記載の香味増強用組成物。
【請求項4】
(1)Pro-Glu、Pro-Ala、Pro-Lys、Pro-Ser、およびLys-Proからなるジペプチドの中から選択される1種以上、
(2)ALDPLPT(配列番号1)、DGFP(配列番号2)、EEL(配列番号6)、EEV(配列番号7)、EEY(配列番号8)、ESLPALP(配列番号9)、EVGYGY(配列番号10)、LDYY(配列番号11)、MTTFTW(配列番号13)、EVLK(配列番号20)、FADSL(配列番号21)、LLQ(配列番号24)、LPL(配列番号25)、およびVLL(配列番号28)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上、または、
(3)これらの組み合わせをさらに含む、請求項3に記載の香味増強用組成物。
【請求項5】
(1)(1-i)Pro-Pro、Pro-Glu、Pro-Ser、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、およびGly-Argからなるジペプチドの中から選択される1種以上、
(1-ii)Pro-Pro、Pro-Ala、Pro-Lys、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、およびGly-Argからなるジペプチドの中から選択される1種以上、または、
(1-iii)Pro-Pro、Pro-Ala、Pro-Lys、Pro-Ser、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、およびGly-Argからなるジペプチドの中から選択される1種以上、
(2)(2-i)ALDPLPT(配列番号1)、DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、EEL(配列番号6)、EEV(配列番号7)、EEY(配列番号8)、ESLPALP(配列番号9)、EVGYGY(配列番号10)、LDYY(配列番号11)、LPPP(配列番号12)、MTTFTW(配列番号13)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、LLQ(配列番号24)、PLL(配列番号26)、およびTPL(配列番号27)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上、
(2-ii)ALDPLPT(配列番号1)、DGFP(配列番号2)、DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、EEL(配列番号6)、EEV(配列番号7)、EEY(配列番号8)、EVGYGY(配列番号10)、LDYY(配列番号11)、LPPP(配列番号12)、MTTFTW(配列番号13)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、PLL(配列番号26)、およびTPL(配列番号27)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上、
(2-iii)DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、LPPP(配列番号12)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、EVLK(配列番号20)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、LLQ(配列番号24)、LPL(配列番号25)、PLL(配列番号26)、TPL(配列番号27)、およびVLL(配列番号28)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上;または、
(2-iv)DGFP(配列番号2)、DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、LDYY(配列番号11)、LPPP(配列番号12)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、EVLK(配列番号20)、FADSL(配列番号21)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、LLQ(配列番号24)、LPL(配列番号25)、PLL(配列番号26)、TPL(配列番号27)、およびVLL(配列番号28)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上、または、
(3)これらの組み合わせを含む、請求項1に記載の香味増強用組成物。
【請求項6】
グルタミル-ジペプチドをさらに含む、請求項1に記載の香味増強用組成物。
【請求項7】
前記香味増強用組成物は、
γ-Glu-Gly、γ-Glu-Glu、γ-Glu-Gln、γ-Glu-Leu、γ-Glu-Met、γ-Glu-His、γ-Glu-Ala、pyroGlu-Pro、pyroGlu-Glu、pyroGlu-Gln、およびpyroGlu-Serからなるグルタミル-ジペプチドの中から選択される1種以上をさらに含む、請求項6に記載の香味増強用組成物。
【請求項8】
前記香味増強用組成物は、
γ-Glu-Gly、γ-Glu-Leu、γ-Glu-Met、γ-Glu-His、pyroGlu-Glu、およびpyroGlu-Glnからなるジペプチドの中から選択される1種以上をさらに含む、請求項6に記載の香味増強用組成物。
【請求項9】
前記香味増強用組成物は、
γ-Glu-Glu、γ-Glu-Gln、γ-Glu-Ala、pyroGlu-Pro、およびpyroGlu-Serからなるジペプチドの中から選択される1種以上をさらに含む、請求項8に記載の香味増強用組成物。
【請求項10】
前記香味増強用組成物は、
(i)γ-Glu-Gly、γ-Glu-Glu、γ-Glu-Gln、γ-Glu-Leu、γ-Glu-Met、γ-Glu-His、γ-Glu-Ala、pyroGlu-Pro、pyroGlu-Glu、およびpyroGlu-Glnからなる群より選択される1種以上を含むか、または
(ii)γ-Glu-Gly、γ-Glu-Leu、γ-Glu-Met、γ-Glu-His、pyroGlu-Glu、pyroGlu-Gln、およびpyroGlu-Serからなる群より選択される1種以上を含む、請求項6に記載の香味増強用組成物。
【請求項11】
前記香味増強用組成物は、
(1)Pro-Pro、Pro-Glu、Pro-Ser、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、Gly-Arg、γ-Glu-Gly、γ-Glu-Glu、γ-Glu-Gln、γ-Glu-Leu、γ-Glu-Met、γ-Glu-His、γ-Glu-Ala、pyroGlu-Pro、pyroGlu-Glu、pyroGlu-Gln、ALDPLPT(配列番号1)、DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、EEL(配列番号6)、EEV(配列番号7)、EEY(配列番号8)、ESLPALP(配列番号9)、EVGYGY(配列番号10)、LDYY(配列番号11)、LPPP(配列番号12)、MTTFTW(配列番号13)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、LLQ(配列番号24)、PLL(配列番号26)、およびTPL(配列番号27)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチド、
(2)Pro-Pro、Pro-Glu、Pro-Ser、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、Gly-Arg、γ-Glu-Gly、γ-Glu-Glu、γ-Glu-Gln、γ-Glu-Leu、γ-Glu-Met、γ-Glu-His、γ-Glu-Ala、pyroGlu-Pro、pyroGlu-Glu、pyroGlu-Gln、ALDPLPT(配列番号1)、DGFP(配列番号2)、DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、EEL(配列番号6)、EEV(配列番号7)、EEY(配列番号8)、EVGYGY(配列番号10)、LDYY(配列番号11)、LPPP(配列番号12)、MTTFTW(配列番号13)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、PLL(配列番号26)、およびTPL(配列番号27)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチド、
(3)Pro-Pro、Pro-Ala、Pro-Lys、Pro-Ser、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、Gly-Arg、γ-Glu-Gly、γ-Glu-Leu、γ-Glu-Met、γ-Glu-His、pyroGlu-Glu、pyroGlu-Gln、DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、LPPP(配列番号12)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、EVLK(配列番号20)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、LLQ(配列番号24)、LPL(配列番号25)、PLL(配列番号26)、TPL(配列番号27)、およびVLL(配列番号28)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチド、または、
(4)Pro-Pro、Pro-Ala、Pro-Lys、Pro-Ser、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、Gly-Arg、γ-Glu-Gly、γ-Glu-Leu、γ-Glu-Met、γ-Glu-His、pyroGlu-Glu、pyroGlu-Gln、pyroGlu-Ser、DGFP(配列番号2)、DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、LDYY(配列番号11)、LPPP(配列番号12)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、EVLK(配列番号20)、FADSL(配列番号21)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、LLQ(配列番号24)、LPL(配列番号25)、PLL(配列番号26)、TPL(配列番号27)、およびVLL(配列番号28)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドを含む、請求項6に記載の香味増強用組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の香味増強用組成物を含む、食品組成物。
【請求項13】
上記食品組成物は、発酵食品である、請求項12に記載の食品組成物。
【請求項14】
前記発酵食品は米発酵物、大豆発酵物、小麦発酵物、醤油、キムチ、味噌、または塩辛である、請求項13に記載の食品組成物。
【請求項15】
請求項1~11のいずれか一項に記載の香味増強用組成物を食品に適用する段階を含む、香味増強方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年7月1日付の韓国特許出願第10-2021-0086643号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、香味増強のためのペプチド物質に関する。
【背景技術】
【0003】
食品分野では、味は通常、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の5つの基本味で表される。このような基本味を有する物質やこれらのうち特定の味を増強させる物質が調味料として幅広く利用されている。
【0004】
一方、唐辛子味噌(コチュジャン)、味噌(テンジャン)、醤油(カンジャン)などの韓国の発酵食品は自然な風味増強剤で、コクに優れ、長い間固有の調味料として使用されてきた。このような発酵食品は栄養的に優れ、血圧調節、心血管疾患、癌、炎症、糖尿病などの改善効果があることが知られている。しかし、発酵食品内に塩化ナトリウムなどの無機塩は塩分誘発物質で、近来、消費者らは食塩の過剰摂取が血圧上昇、心臓疾患などの疾患誘発と大きな相関関係があることを認識しており、低塩製品が好まれる傾向にあるが、塩化ナトリウムの量が減少すると、必然的に塩味の低下が引き起こされる。
【0005】
様々な製品で食塩の代わりに醤油を添加することで、全般的な味の強度を失わずに食塩を低減できることが立証され、そこで醤油などの発酵食品で塩味とコクを誘導するペプチドを究明して、発酵製品の全般的な味に寄与するための研究が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許2015-0282506A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ジペプチド、長鎖ペプチド、またはこれらの組み合わせを含む香味増強用組成物を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、前記香味増強用組成物を含む食品組成物、または食品添加剤組成物を提供することにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、ジペプチド、長鎖ペプチド、またはこれらの組み合わせを食品に適用する段階を含む、香味増強方法を提供することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、ジペプチド、長鎖ペプチド、またはこれらの組み合わせの香味増強に用いるための用途を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、ジペプチド、長鎖ペプチド、またはこれらの組み合わせの香味増強用組成物の製造に用いるための用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、韓国の発酵機術を基盤として味を増強させる効果がある味増強物質を新たに究明して、これに基づいて新規な物質、およびその味の増強用途を提供する。
【0013】
用語の整理
香味は、食品の味と香りから感じる感覚を意味し、食品などに添加して香味を出すために使われる物質を香味料(または香料、着香料)という。風味は、食品の高尚な味を意味する。甘味は、砂糖や蜂蜜などの糖分があるものから感じる味を意味し、甘味料は甘味が出る物質を意味する。甘味料は、食品に甘美を付与する目的で添加する食品または食品添加物であり得る。調味は、食品の味をよくすることを意味し、食品の味を適切に調整することを意味する。
【0014】
本明細書で味は、甘味(sweet)、酸味(sour)、塩味(salty)、苦味(bitter)、コク(umami、うま味)、および深い味(kokumi、コク味)の6つの基本味を意味する。食物の成分が水または唾液に溶けて舌の味蕾の受容体に接したとき、前記受容体が感じる感覚を味覚といい、味覚、嗅覚、口の中で感じる触覚、痛覚などが統合され、食物の味を決定する。渋味(astringent)は、味覚に相当しないが、舌にある柔らかく、粘り気のある膜が縮みながら感じられる食感で、圧覚に相当する。
【0015】
本明細書で味を増強させるとは、食品が本来有している基本味を強化させるか、または食品には持っていない味に新たな味を付与することを意味する。一例として、味増強は、コクおよび/または深い味を強化させることを意味する。
【0016】
本明細書において、アミノ酸はアルギニン(Arginine、Arg、R)、ヒスチジン(Histidine、His、H)、リシン(Lysine、Lys、K)、アスパラギン酸(Asparticacid、Asp、D)、グルタミン酸(Glutamicacid、Glu、E)、セリン(Serine、Ser、S)、トレオニン(Threonine、Thr、T)、アスパラギン(Aspargine、Asn、N)、グルタミン(Glutamine、Gln、Q)、システイン(Cysteine、Cys、C)、グリシン(Glycine、Gly、G)、プロリン(Proline、Pro、P)、アラニン(Alanine、Ala、A)、バリン(Valine、Val、V)、イソロイシン(Isoleucine、Ile、I)、ロイシン(Leucine、Leu、L)、メチオニン(Methionine、Met、M)、フェニルアラニン(Phenylalanine、Phe、F)、チロシン(Tyrosine、Tyr、Y)、またはトリプトファン(Tryptophan、Trp、W)を意味する。
【0017】
本明細書において、前記アミノ酸は、L-アミノ酸(アミノ酸の立体構造がL体)またはD-アミノ酸(アミノ酸の立体構造がD体)であり得る。一例として、立体構造がL体であるプロリンはL-Pro、立体構造がD体であるプロリンはD-Proと表記することができる。本明細書で特に明記しない限り、アミノ酸はL-アミノ酸を意味する。
【0018】
前記アミノ酸のうちのグルタミン酸またはグルタミンは、側鎖基がアミノ基と反応して環状のアミドを形成し、下記化学式1のようなピログルタミン酸(pyroglutamic acid、pyroGlu、PCA、5-oxoproline、またはpidolic acid)を形成することができる。以下、本明細書で用語「アミノ酸」は、ピログルタミン酸を含むと解釈される。前記ピログルタミン酸は、RまたはS鏡像異性体を有することができる。
【化1】
【0019】
用語「ジペプチド(dipeptide)」は、2つのアミノ酸がペプチド結合で結合した分子を意味する。ペプチド結合は、1つのアミノ酸の側鎖ではなく、カルボキシル基が他のアミノ酸の側鎖ではないアミノ基と結合して、1つの水分子を失い、2つのアミノ酸が「-CO-NH-」に連結されることを意味する。アミノ酸でアミノ基が結合した炭素をアルファ炭素(α炭素)という。
【0020】
アミノ酸のうちのグルタミン酸のように側鎖にカルボキシル基を含むアミノ酸は、側鎖のカルボキシル基が他のアミノ酸の側鎖ではなくアミノ基と結合して、1つの水分子を失い、2つのアミノ酸が「-CO-NH-」に連結される。このような形態の結合もペプチド結合に含まれる。例えば、グルタミン酸の場合、減摩炭素(γ炭素)にカルボキシル基が結合しているので、グルタミン酸の側鎖のカルボキシル基が他のアミノ酸の側鎖ではなくアミノ基と結合してジペプチドを形成する場合、ジペプチドの前に「γ」を表記し、側鎖ではないカルボキシル基が他のアミノ酸の側鎖ではないアミノ基と結合してジペプチドを形成する場合、ジペプチドの前に「α」を表記して区別することができる。上記のように、特に「γ」または「α」を表記しない形態のジペプチドは、一般的なペプチド結合である、1つのアミノ酸の側鎖ではなくカルボキシル基が他のアミノ酸の側鎖ではなくアミノ基と結合するα形態のジペプチドである。
【0021】
一例として、グルタミン酸のアルファ炭素に結合されたカルボキシル基とアラニンのアミノ基が結合する場合「α-Glu-Ala」、グルタミン酸のγ炭素に結合されたカルボキシル基とアラニンのアミノ基が結合する場合「γ-Glu-Ala」と表記して区別することができる。
【0022】
アミノ酸のうちのピログルタミン酸が他のアミノ酸とペプチド結合によりジペプチドを形成することができる。つまり、ピログルタミン酸のカルボキシル基が他のアミノ酸の側鎖ではなくアミノ基とペプチド結合を形成してジペプチドとなり得る。例えば、ピログルタミン酸とプロリン、ピログルタミン酸とグルタミン酸、ピログルタミン酸とグルタミン、ピログルタミン酸とセリンがペプチド結合を形成してジペプチドとなり、それぞれpyroGlu-Pro、pyroGlu-Glu、pyroGlu-Gln、pyroGlu-Serと表記することができる。
【0023】
用語「長鎖ペプチド(long chain peptide)」は、3つ以上のアミノ酸がペプチド結合で結合した分子を意味する。
【0024】
一例として、アミノ酸のうちのプロリン、アルギニン、グルタミン酸などのアミノ酸を含むジペプチドまたは長鎖ペプチドの場合、それぞれプロリン、アルギニン、グルタミン酸が含まれているという意味で、プロリルペプチド(prolyl peptides)、アルギニルペプチド(arginyl peptides)、グルタミルペプチド(glutamyl peptides)(α-Glutamyl peptidesまたはγ-Glutamyl peptides)と表記することができる。他のアミノ酸の場合も同様である。
【0025】
ジペプチド
本発明者らはアルギニンおよび/またはプロリンを含むジペプチド物質の優れた香味増強効果を発見して以下のような発明を完成した。
【0026】
したがって、一態様は、ジペプチドを含む香味増強用組成物を提供する。他の態様は、ジペプチドの香味増強に用いるための用途を提供する。他の態様は、ジペプチドの香味増強用組成物の製造に用いるための用途を提供する。前記香味増強用組成物は、味増強用組成物、風味増強用組成物、甘美用組成物、香味料製造用組成物などで表される。
【0027】
前記ジペプチドは、
(i)アルギニン(Arg)を含むジペプチド(アルギニル-ジペプチド、例えば、Arg-X、またはX-Arg、前記Xは、上記で定義したアミノ酸の中から選択されるいずれか1つのアミノ酸である。)の中から選択される1種以上(例えば、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、13種、14種、15種、16種、17種、18種、19種、または20種全て)、
(ii)プロリン(Pro)を含むジペプチド(プロリル-ジペプチド、例えば、Pro-X、またはX-Pro、前記Xは、上記で定義した通りである。)の中から選択される1種以上(例えば、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、13種、14種、15種、16種、17種、18種、19種、または20種全て)、または
(iii)これらの組み合わせであり得る。
【0028】
一例として、前記ジペプチドは、
(i)Arg-Ala、Ala-Arg、Arg-Arg、Arg-Asn、Asn-Arg、Arg-Asp、Asp-Arg、Arg-Cys、Cys-Arg、Arg-Gln、Gln-Arg、Arg-Glu、Glu-Arg、Arg-Gly、Gly-Arg、Arg-His、His-Arg、Arg-Ile、Ile-Arg、Arg-Leu、Leu-Arg、Arg-Lys、Lys-Arg、Arg-Met、Met-Arg、Arg-Phe、Phe-Arg、Arg-Pro、Pro-Arg、Arg-Ser、Ser-Arg、Arg-Thr、Thr-Arg、Arg-Trp、Trp-Arg、Arg-Val、Val-Arg、Arg-Tyr、およびTyr-Argからなるアルギニル-ジペプチドの中から選択される1種以上、
(ii)Pro-Ala、Ala-Pro、Pro-Arg、Arg-Pro、Pro-Asn、Asn-Pro、Pro-Asp、Asp-Pro、Pro-Cys、Cys-Pro、Pro-Gln、Gln-Pro、Pro-Glu、Glu-Pro、Pro-Gly、Gly-Pro、Pro-His、His-Pro、Pro-Ile、Ile-Pro、Pro-Leu、Leu-Pro、Pro-Lys、Lys-Pro、Pro-Met、Met-Pro、Pro-Phe、Phe-Pro、Pro-Pro、Pro-Ser、Ser-Pro、Pro-Thr、Thr-Pro、Pro-Trp、Trp-Pro、Pro-Val、Val-Pro、Pro-Tyr、およびTyr-Proからなるプロリル-ジペプチドの中から選択される1種以上、または
(iii)これらの組み合わせであり得る。
【0029】
一例として、前記ジペプチドは、
(i)Arg-Ala、Ala-Arg、Arg-Asp、Asp-Arg、Arg-Gln、Gln-Arg、Arg-Glu、Glu-Arg、Arg-Gly、Gly-Arg、Arg-Leu、Leu-Arg、Arg-Lys、Lys-Arg、Arg-Pro、Pro-Arg、Arg-Ser、Ser-Arg、Arg-Val、およびVal-Argからなるアルギニル-ジペプチドの中から選択される1種以上、
(ii)Pro-Ala、Ala-Pro、Pro-Arg、Arg-Pro、Pro-Asn、Asn-Pro、Pro-Asp、Asp-Pro、Pro-Cys、Cys-Pro、Pro-Gln、Gln-Pro、Pro-Glu、Glu-Pro、Pro-Gly、Gly-Pro、Pro-His、His-Pro、Pro-Ile、Ile-Pro、Pro-Leu、Leu-Pro、Pro-Lys、Lys-Pro、Pro-Met、Met-Pro、Pro-Phe、Phe-Pro、Pro-Pro、Pro-Ser、Ser-Pro、Pro-Thr、Thr-Pro、Pro-Trp、Trp-Pro、Pro-Val、Val-Pro、Pro-Tyr、およびTyr-Proからなるプロリル-ジペプチドの中から選択される1種以上、
(iii)またはこれらの組み合わせであり得る。
【0030】
一実施形態において、前記ジペプチドは、
(i)Arg-GlyおよびGly-Argからなるアルギニル-ジペプチドの中から選択される1種以上、
(ii)Pro-Pro、Pro-Glu、Pro-Ala、Pro-Lys、Pro-Ser、Pro-Val、Arg-Pro、Lys-Pro、Ser-Pro、およびVal-Proからなるプロリル-ジペプチドの中から選択される1種以上、
(iii)またはこれらの組み合わせであり得る。
【0031】
一例として、前記香味増強用組成物は、
Pro-Pro、Pro-Glu、Pro-Ala、Pro-Lys、Pro-Ser、Pro-Val、Arg-Pro、Lys-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、およびGly-Argからなるジペプチドの中から選択される1種以上を含むことができ、
具体的には、
Pro-Pro、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、およびGly-Argからなるジペプチドの中から選択される1種以上を含み、
Pro-Glu、Pro-Ala、Pro-Lys、Pro-Ser、およびLys-Proからなるジペプチドの中から選択される1種以上をさらに含むことができる。
【0032】
一例として、前記香味増強用組成物は、
(i)Pro-Pro、Pro-Glu、Pro-Ser、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、およびGly-Argからなるジペプチドの中から選択される1種以上;
(ii)Pro-Pro、Pro-Ala、Pro-Lys、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、およびGly-Argからなるジペプチドの中から選択される1種以上;または
(iii)Pro-Pro、Pro-Ala、Pro-Lys、Pro-Ser、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、およびGly-Argからなるジペプチドの中から選択される1種以上を含むことができる。
【0033】
前記香味増強用組成物は、グルタミン酸(Glu)を含むジペプチド(グルタミル-ジペプチド、例えば、Glu-X、またはX-Glu、前記Xは、上記で定義した通りである。)の中から選択される1種以上をさらに含むことができる。
【0034】
一例として、前記香味増強用組成物は、Glu-Ala、Ala-Glu、Glu-Arg、Arg-Glu、Glu-Asn、Asn-Glu、Glu-Asp、Asp-Glu、Glu-Cys、Cys-Glu、Glu-Gln、Gln-Glu、Glu-Glu、Glu-Gly、Gly-Glu、Glu-His、His-Glu、Glu-Ile、Ile-Glu、Glu-Leu、Leu-Glu、Glu-Lys、Lys-Glu、Glu-Met、Met-Glu、Glu-Phe、Phe-Glu、Glu-Pro、Pro-Glu、Glu-Ser、Ser-Glu、Glu-Thr、Thr-Glu、Glu-Trp、Trp-Glu、Glu-Val、Val-Glu、Glu-Tyr、およびTyr-Gluからなるグルタミル-ジペプチドの中から選択される1種以上(つまり、グルタミル-ジペプチドの中から選択される1種以上)をさらに含むことができる。
【0035】
上述のように、前記香味増強用組成物に含まれるアミノ酸は、L-アミノ酸またはD-アミノ酸(例えば、D-Pro-L-Proなど)であり得る。前記香味増強用組成物に含まれるグルタミン酸は、ピログルタミン酸形態(例えば、pyroGlu-Pro、pyroGlu-Glu、pyroGlu-Gln、pyroGlu-Serなど)であり得る。前記香味増強用組成物に含まれるグルタミル-ジペプチドは、α形態またはγ形態であり得る。
【0036】
一実施形態で、前記香味増強用組成物は、α-Glu-Ala、α-Glu-Gly、α-Glu-Ser、α-Glu-Val、α-Glu-The、α-Glu-Pro、α-Glu-Leu、α-Glu-Ile、α-Glu-Lys、α-Glu-Glu、α-Glu-Gin、α-Glu-His、α-Glu-Phe、α-Glu-Tyr、α-Glu-Asp、α-Glu-Arg、α-Glu-Trp、γ-Glu-Gly、γ-Glu-Ala、γ-Glu-Pro、γ-Glu-Val、γ-Glu-Ser、γ-Glu-Ile、γ-Glu-Thr、γ-Glu-Leu、γ-Glu-Asn、γ-Glu-Lys、γ-Glu-Glu、γ-Glu-His、γ-Glu-Trp、γ-Glu-Asp、γ-Glu-Tyr、γ-Glu-Arg、Ala-Glu、Asn-Glu、His-Glu、Asp-Glu、Phe-Glu、Tyr-Glu、Ile-Glu、Val-Glu、Ser-Glu、Pro-Glu、Thr-Glu、Met-Glu、およびLeu-Gluからなるグルタミル-ジペプチドの中から選択される1種以上をさらに含むことができる。
【0037】
一例として、前記香味増強用組成物は、γ-Glu-Gly、γ-Glu-Glu、γ-Glu-Gln、γ-Glu-Leu、γ-Glu-Met、γ-Glu-His、γ-Glu-Ala、pyroGlu-Pro、pyroGlu-Glu、pyroGlu-Gln、およびpyroGlu-Serからなるグルタミル-ジペプチドの中から選択される1種以上をさらに含むことができ、
具体的には、
γ-Glu-Gly、γ-Glu-Leu、γ-Glu-Met、γ-Glu-His、pyroGlu-Glu、およびpyroGlu-Glnからなるグルタミル-ジペプチドの中から選択される1種以上をさらに含み、
γ-Glu-Glu、γ-Glu-Gln、γ-Glu-Ala、pyroGlu-Pro、およびpyroGlu-Serからなるグルタミル-ジペプチドの中から選択される1種以上をさらに含むことができる。
【0038】
一例として、前記香味増強用組成物は、
(i)γ-Glu-Gly、γ-Glu-Glu、γ-Glu-Gln、γ-Glu-Leu、γ-Glu-Met、γ-Glu-His、γ-Glu-Ala、pyroGlu-Pro、pyroGlu-Glu、およびpyroGlu-Glnからなるグルタミル-ジペプチドの中から選択される1種以上をさらに含むか、または、
(ii)γ-Glu-Gly、γ-Glu-Leu、γ-Glu-Met、γ-Glu-His、pyroGlu-Glu、pyroGlu-Gln、およびpyroGlu-Serからなるグルタミル-ジペプチドの中から選択される1種以上をさらに含むことができる。
【0039】
一例として、前記香味増強用組成物は、pyroGlu-Serグルタミル-ジペプチドをさらに含むことができる。
【0040】
一例として、前記香味増強用組成物は、
Pro-Pro、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、Gly-Arg、γ-Glu-Gly、γ-Glu-Leu、γ-Glu-Met、γ-Glu-His、pyroGlu-Glu、およびpyroGlu-Glnからなるジペプチドの中から選択される1種以上(例えば、7種以上、8種以上、9種以上など)を含み、
Pro-Glu、Pro-Ala、Pro-Lys、Pro-Ser、Lys-Pro、γ-Glu-Glu、γ-Glu-Gln、γ-Glu-Ala、pyroGlu-Pro、pyroGlu-Serからなるジペプチドの中から選択される1種以上をさらに含むことができる。
【0041】
一例として、前記香味増強用組成物は、
(i)Pro-Pro、Pro-Glu、Pro-Ser、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、Gly-Arg、γ-Glu-Gly、γ-Glu-Glu、γ-Glu-Gln、γ-Glu-Leu、γ-Glu-Met、γ-Glu-His、γ-Glu-Ala、pyroGlu-Pro、pyroGlu-Glu、およびpyroGlu-Glnからなる群より選択される1種以上、
(ii)Pro-Pro、Pro-Ala、Pro-Lys、Pro-Ser、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、Gly-Arg、γ-Glu-Gly、γ-Glu-Leu、γ-Glu-Met、γ-Glu-His、pyroGlu-Glu、およびpyroGlu-Glnからなる群より選択される1種以上、または
(iii)Pro-Pro、Pro-Ala、Pro-Lys、Pro-Ser、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、Gly-Arg、γ-Glu-Gly、γ-Glu-Leu、γ-Glu-Met、γ-Glu-His、pyroGlu-Glu、pyroGlu-Gln、およびpyroGlu-Serからなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0042】
長鎖ペプチド
他の態様は、長鎖ペプチドを含む香味増強用組成物を提供する。他の態様は、長鎖ペプチドの香味増強に用いるための用途を提供する。他の態様は、長鎖ペプチドの香味増強用組成物の製造に用いるための用途を提供する。
【0043】
前記長鎖ペプチドは、ALDPLPT(配列番号1)、DGFP(配列番号2)、DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、DTDEPN(配列番号5)、EEL(配列番号6)、EEV(配列番号7)、EEY(配列番号8)、ESLPALP(配列番号9)、EVGYGY(配列番号10)、LDYY(配列番号11)、LPPP(配列番号12)、MTTFTW(配列番号13)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、GNPF(配列番号19)、EVLK(配列番号20)、FADSL(配列番号21)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、LLQ(配列番号24)、LPL(配列番号25)、PLL(配列番号26)、TPL(配列番号27)、およびVLL(配列番号28)のアミノ酸配列を含むポリペプチドの中から選択される1種以上であり得る。
【0044】
前記香味増強用組成物は、DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、LPPP(配列番号12)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、PLL(配列番号26)、およびTPL(配列番号27)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上を含み、
ALDPLPT(配列番号1)、DGFP(配列番号2)、EEL(配列番号6)、EEV(配列番号7)、EEY(配列番号8)、ESLPALP(配列番号9)、EVGYGY(配列番号10)、LDYY(配列番号11)、MTTFTW(配列番号13)、EVLK(配列番号20)、FADSL(配列番号21)、LLQ(配列番号24)、LPL(配列番号25)、およびVLL(配列番号28)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上をさらに含むことができる。
【0045】
一例として、前記香味増強用組成物は、
(i)ALDPLPT(配列番号1)、DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、EEL(配列番号6)、EEV(配列番号7)、EEY(配列番号8)、ESLPALP(配列番号9)、EVGYGY(配列番号10)、LDYY(配列番号11)、LPPP(配列番号12)、MTTFTW(配列番号13)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、LLQ(配列番号24)、PLL(配列番号26)、およびTPL(配列番号27)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上;
(ii)ALDPLPT(配列番号1)、DGFP(配列番号2)、DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、EEL(配列番号6)、EEV(配列番号7)、EEY(配列番号8)、EVGYGY(配列番号10)、LDYY(配列番号11)、LPPP(配列番号12)、MTTFTW(配列番号13)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、PLL(配列番号26)、およびTPL(配列番号27)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上、
(iii)DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、LPPP(配列番号12)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、EVLK(配列番号20)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、LLQ(配列番号24)、LPL(配列番号25)、PLL(配列番号26)、TPL(配列番号27)、およびVLL(配列番号28)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上;または
(iv)DGFP(配列番号2)、DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、LDYY(配列番号11)、LPPP(配列番号12)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、EVLK(配列番号20)、FADSL(配列番号21)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、LLQ(配列番号24)、LPL(配列番号25)、PLL(配列番号26)、TPL(配列番号27)、およびVLL(配列番号28)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上を含むことができる。
【0046】
ジペプチドおよび長鎖ペプチドの組み合わせ
他の態様は、前記ジペプチドおよび前記長鎖ペプチドを含む、香味増強用組成物を提供する。他の態様は、前記ジペプチドおよび前記長鎖ペプチドの香味増強に用いるための用途を提供する。他の態様は、前記ジペプチドおよび前記長鎖ペプチドの香味増強用組成物の製造に用いるための用途を提供する。
【0047】
一例として、前記香味増強用組成物は、
下記表1のジペプチドの中から選択される1種以上、および、
下記表2の長鎖ペプチドの中から選択される1種以上の組み合わせを含み得る。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
一例として、前記香味増強用組成物は、
下記表3のジペプチドの中から選択される1種以上、および、
下記表4の長鎖ペプチドの中から選択される1種以上の組み合わせを含み得る:
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
上述のように、前記香味増強用組成物に含まれる前記ジペプチドはグルタミル-ジペプチド、具体的には、α-Glu-Ala、α-Glu-Gly、α-Glu-Ser、α-Glu-Val、α-Glu-The、α-Glu-Pro、α-Glu-Leu、α-Glu-Ile、α-Glu-Lys、α-Glu-Glu、α-Glu-Gin、α-Glu-His、α-Glu-Phe、α-Glu-Tyr、α-Glu-Asp、α-Glu-Arg、α-Glu-Trp、γ-Glu-Gly、γ-Glu-Ala、γ-Glu-Pro、γ-Glu-Val、γ-Glu-Ser、γ-Glu-Ile、γ-Glu-Thr、γ-Glu-Leu、γ-Glu-Asn、γ-Glu-Lys、γ-Glu-Glu、γ-Glu-His、γ-Glu-Trp、γ-Glu-Asp、γ-Glu-Tyr、γ-Glu-Arg、Ala-Glu、Asn-Glu、His-Glu、Asp-Glu、Phe-Glu、Tyr-Glu、Ile-Glu、Val-Glu、Ser-Glu、Pro-Glu、Thr-Glu、Met-Glu、およびLeu-Gluからなるグルタミル-ジペプチドの中から選択される1種以上をさらに含むことができる。グルタミル-ジペプチドに関する説明は、上述した通りである。
【0054】
一例として、前記香味増強用組成物は、
(i)Pro-Pro、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、Gly-Arg、γ-Glu-Gly、γ-Glu-Leu、γ-Glu-Met、γ-Glu-His、pyroGlu-Glu、およびpyroGlu-Glnからなるジペプチドの中から選択される1種以上(例えば、7種以上、8種以上、9種以上など)を含むジペプチド;および、
(ii)DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、LPPP(配列番号12)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、PLL(配列番号26)、およびTPL(配列番号27)のアミノ酸配列を含むポリペプチドの中から選択される1種以上を含む長鎖ペプチドを含むことができる。
【0055】
一例として、前記香味増強用組成物は、
(i)Pro-Glu、Pro-Ala、Pro-Lys、Pro-Ser、Lys-Pro、γ-Glu-Glu、γ-Glu-Gln、γ-Glu-Ala、pyroGlu-Pro、pyroGlu-Serからなるジペプチドの中から選択される1種以上を含むジペプチド;および/または、
ALDPLPT(配列番号1)、DGFP(配列番号2)、EEL(配列番号6)、EEV(配列番号7)、EEY(配列番号8)、ESLPALP(配列番号9)、EVGYGY(配列番号10)、LDYY(配列番号11)、MTTFTW(配列番号13)、EVLK(配列番号20)、FADSL(配列番号21)、LLQ(配列番号24)、LPL(配列番号25)、およびVLL(配列番号28)のアミノ酸配列を含むポリペプチドの中から選択される1種以上を含む長鎖ペプチドをさらに含むことができる。
【0056】
つまり、一例として、前記香味増強用組成物は、
(i)Arg-Ala、Ala-Arg、Arg-Asp、Asp-Arg、Arg-Gln、Gln-Arg、Arg-Gly、Gly-Arg、Arg-Leu、Leu-Arg、Arg-Lys、Lys-Arg、Arg-Pro、Pro-Arg、Arg-Ser、Ser-Arg、Arg-Val、Val-Arg、Pro-Ala、Ala-Pro、Pro-Arg、Arg-Pro、Pro-Asn、Asn-Pro、Pro-Asp、Asp-Pro、Pro-Cys、Cys-Pro、Pro-Gln、Gln-Pro、Pro-Gly、Gly-Pro、Pro-His、His-Pro、Pro-Ile、Ile-Pro、Pro-Leu、Leu-Pro、Pro-Lys、Lys-Pro、Pro-Met、Met-Pro、Pro-Phe、Phe-Pro、Pro-Pro、Pro-Ser、Ser-Pro、Pro-Thr、Thr-Pro、Pro-Trp、Trp-Pro、Pro-Val、Val-Pro、Pro-Tyr、およびTyr-Proからなる群より選択される1種以上のジペプチド、および/または、
(ii)ALDPLPT(配列番号1)、DGFP(配列番号2)、DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、DTDEPN(配列番号5)、EEL(配列番号6)、EEV(配列番号7)、EEY(配列番号8)、ESLPALP(配列番号9)、EVGYGY(配列番号10)、LDYY(配列番号11)、LPPP(配列番号12)、MTTFTW(配列番号13)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、GNPF(配列番号19)、EVLK(配列番号20)、FADSL(配列番号21)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、LLQ(配列番号24)、LPL(配列番号25)、PLL(配列番号26)、TPL(配列番号27)、およびVLL(配列番号28)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上を含むことができる。
【0057】
一例として、前記香味増強用組成物は、
(i)Arg-Gly、Gly-Arg、Pro-Pro、Pro-Glu、Pro-Ala、Pro-Lys、Pro-Ser、Pro-Val、Arg-Pro、Lys-Pro、Ser-Pro、およびVal-Proからなる群より選択される1種以上のジペプチド、および/または
(ii)ALDPLPT(配列番号1)、DGFP(配列番号2)、DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、EEL(配列番号6)、EEV(配列番号7)、EEY(配列番号8)、ESLPALP(配列番号9)、EVGYGY(配列番号10)、LDYY(配列番号11)、LPPP(配列番号12)、MTTFTW(配列番号13)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、EVLK(配列番号20)、FADSL(配列番号21)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、LLQ(配列番号24)、LPL(配列番号25)、PLL(配列番号26)、TPL(配列番号27)、およびVLL(配列番号28)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上を含むことができる。
【0058】
一例として、前記香味増強用組成物は、
(i)Pro-Pro、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、およびGly-Argからなるジペプチドの中から選択される1種以上、および/または
(ii)DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、LPPP(配列番号12)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、PLL(配列番号26)、およびTPL(配列番号27)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上を含むことができる。
【0059】
一例として、前記香味増強用組成物は、
(i)Pro-Glu、Pro-Ala、Pro-Lys、Pro-Ser、およびLys-Proからなるジペプチドの中から選択される1種以上、および/または
(ii)ALDPLPT(配列番号1)、DGFP(配列番号2)、EEL(配列番号6)、EEV(配列番号7)、EEY(配列番号8)、ESLPALP(配列番号9)、EVGYGY(配列番号10)、LDYY(配列番号11)、MTTFTW(配列番号13)、EVLK(配列番号20)、FADSL(配列番号21)、LLQ(配列番号24)、LPL(配列番号25)、およびVLL(配列番号28)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上をさらに含むことができる。
【0060】
一例として、前記香味増強用組成物は、
(1)(i)Pro-Pro、Pro-Glu、Pro-Ser、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、およびGly-Argからなるジペプチドの中から選択される1種以上、および(ii)ALDPLPT(配列番号1)、DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、EEL(配列番号6)、EEV(配列番号7)、EEY(配列番号8)、ESLPALP(配列番号9)、EVGYGY(配列番号10)、LDYY(配列番号11)、LPPP(配列番号12)、MTTFTW(配列番号13)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、LLQ(配列番号24)、PLL(配列番号26)、およびTPL(配列番号27)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上;
(2)(i)Pro-Pro、Pro-Glu、Pro-Ser、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、およびGly-Argからなるジペプチドの中から選択される1種以上、および(ii)ALDPLPT(配列番号1)、DGFP(配列番号2)、DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、EEL(配列番号6)、EEV(配列番号7)、EEY(配列番号8)、EVGYGY(配列番号10)、LDYY(配列番号11)、LPPP(配列番号12)、MTTFTW(配列番号13)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、PLL(配列番号26)、およびTPL(配列番号27)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上;
(3)(i)Pro-Pro、Pro-Ala、Pro-Lys、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、およびGly-Argからなるジペプチドの中から選択される1種以上、および(ii)DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、LPPP(配列番号12)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、EVLK(配列番号20)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、LLQ(配列番号24)、LPL(配列番号25)、PLL(配列番号26)、TPL(配列番号27)、およびVLL(配列番号28)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上;または
(4)(i)Pro-Pro、Pro-Ala、Pro-Lys、Pro-Ser、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、およびGly-Argからなるジペプチドの中から選択される1種以上、および(ii)DGFP(配列番号2)、DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、LDYY(配列番号11)、LPPP(配列番号12)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、EVLK(配列番号20)、FADSL(配列番号21)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、LLQ(配列番号24)、LPL(配列番号25)、PLL(配列番号26)、TPL(配列番号27)、およびVLL(配列番号28)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上を含むことができる。
【0061】
一実施形態で、前記香味増強用組成物は、
(1)Pro-Pro、Pro-Glu、Pro-Ser、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、Gly-Arg、γ-Glu-Gly、γ-Glu-Glu、γ-Glu-Gln、γ-Glu-Leu、γ-Glu-Met、γ-Glu-His、γ-Glu-Ala、pyroGlu-Pro、pyroGlu-Glu、pyroGlu-Gln、およびALDPLPT(配列番号1)、DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、EEL(配列番号6)、EEV(配列番号7)、EEY(配列番号8)、ESLPALP(配列番号9)、EVGYGY(配列番号10)、LDYY(配列番号11)、LPPP(配列番号12)、MTTFTW(配列番号13)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、LLQ(配列番号24)、PLL(配列番号26)、およびTPL(配列番号27)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチド;
(2)Pro-Pro、Pro-Glu、Pro-Ser、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、Gly-Arg、γ-Glu-Gly、γ-Glu-Glu、γ-Glu-Gln、γ-Glu-Leu、γ-Glu-Met、γ-Glu-His、γ-Glu-Ala、pyroGlu-Pro、pyroGlu-Glu、pyroGlu-Gln、およびALDPLPT(配列番号1)、DGFP(配列番号2)、DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、EEL(配列番号6)、EEV(配列番号7)、EEY(配列番号8)、EVGYGY(配列番号10)、LDYY(配列番号11)、LPPP(配列番号12)、MTTFTW(配列番号13)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、PLL(配列番号26)、およびTPL(配列番号27)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチド;
(3)Pro-Pro、Pro-Ala、Pro-Lys、Pro-Ser、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、Gly-Arg、γ-Glu-Gly、γ-Glu-Leu、γ-Glu-Met、γ-Glu-His、pyroGlu-Glu、pyroGlu-Gln、およびDGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、LPPP(配列番号12)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、EVLK(配列番号20)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、LLQ(配列番号24)、LPL(配列番号25)、PLL(配列番号26)、TPL(配列番号27)、およびVLL(配列番号28)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチド;または
(4)Pro-Pro、Pro-Ala、Pro-Lys、Pro-Ser、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、Gly-Arg、γ-Glu-Gly、γ-Glu-Leu、γ-Glu-Met、γ-Glu-His、pyroGlu-Glu、pyroGlu-Gln、pyroGlu-Ser、およびDGFP(配列番号2)、DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、LDYY(配列番号11)、LPPP(配列番号12)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、EVLK(配列番号20)、FADSL(配列番号21)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、LLQ(配列番号24)、LPL(配列番号25)、PLL(配列番号26)、TPL(配列番号27)、およびVLL(配列番号28)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドを含むことができる。
【0062】
本明細書において、ジペプチド、長鎖ペプチド、およびこれらの組み合わせを2種以上混合して使用する場合、それぞれの混合比(例えば、モル比)は、所望する目的に応じて適切に混合して使用することができる。
【0063】
一実施形態で、前記ジペプチド物質を2種以上組合わせて使用する場合、ジペプチド物質間の比率は、ジペプチドγ-Glu-Metのモル濃度を1としたとき、表5に記載の通りであるが、これらに限定されるものではない。
【0064】
一実施形態で、前記長鎖ペプチド物質を2種以上組合わせて使用する場合、長鎖ペプチド物質間の比率は、長鎖ペプチドLLL(配列番号23)のモル濃度を1としたとき、下記表6に記載の通りであるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
【表5】
【0066】
【表6】
【0067】
一例として、前記香味増強用組成物は、
1)下記表7のジペプチドから選択される1種以上(例えば、11種以上、12種以上、または全てなど)、下記表8の長鎖ペプチドから選択される1種以上、またはこれらの組み合わせを含むか、
2)下記表9のジペプチドから選択される1種以上(例えば、11種以上、12種以上、または全てなど)、下記表10の長鎖ペプチドから選択される1種以上、またはこれらの組み合わせを含むか、
3)下記表11のジペプチドから選択される1種以上(例えば、7種以上、8種以上、または全てなど)、下記表12の長鎖ペプチドから選択される1種以上、またはこれらの組み合わせを含むか、または
4)下記表13のジペプチドから選択される1種以上(例えば、8種以上、9種以上、または全てなど)、下記表14の長鎖ペプチドから選択される1種以上、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0068】
一例として、前記1)~4)のうちのいずれか1つで前記ジペプチド物質を2種以上組合わせて使用する場合、ジペプチド物質間の比率は、ジペプチドγ-Glu-Metのモル濃度を1としたとき、それぞれ表7、表9、表11、または表13に記載の通りであるが、これらに限定されるものではない。
【0069】
一例として、前記1)~4)のうちのいずれか1つで前記長鎖ペプチド物質を2種以上組合わせて使用する場合、長鎖ペプチド物質間の比率は、長鎖ペプチドLLLのモル濃度を1としたとき、下記表8、表10、表12、または表14に記載の通りであるが、これらに限定されるものではない。
【0070】
【表7】
【0071】
【表8】
【0072】
【表9】
【0073】
【表10】
【0074】
【表11】
【0075】
【表12】
【0076】
【表13】
【表14】
【0077】
一例として、前記香味増強用組成物は、
(1)(i)Arg-Ala、Ala-Arg、Arg-Asp、Asp-Arg、Arg-Gln、Gln-Arg、Arg-Gly、Gly-Arg、Arg-Leu、Leu-Arg、Arg-Lys、Lys-Arg、Arg-Pro、Pro-Arg、Arg-Ser、Ser-Arg、Arg-Val、およびVal-Argからなる群より選択される1種以上のアルギニル-ジペプチド、
(ii)Pro-Ala、Ala-Pro、Pro-Arg、Arg-Pro、Pro-Asn、Asn-Pro、Pro-Asp、Asp-Pro、Pro-Cys、Cys-Pro、Pro-Gln、Gln-Pro、Pro-Gly、Gly-Pro、Pro-His、His-Pro、Pro-Ile、Ile-Pro、Pro-Leu、Leu-Pro、Pro-Lys、Lys-Pro、Pro-Met、Met-Pro、Pro-Phe、Phe-Pro、Pro-Pro、Pro-Ser、Ser-Pro、Pro-Thr、Thr-Pro、Pro-Trp、Trp-Pro、Pro-Val、Val-Pro、Pro-Tyr、およびTyr-Proからなる群より選択される1種以上のプロリル-ジペプチド、または
(iii)これらの組み合わせ;
(2)ALDPLPT(配列番号1)、DGFP(配列番号2)、DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、DTDEPN(配列番号5)、EEL(配列番号6)、EEV(配列番号7)、EEY(配列番号8)、ESLPALP(配列番号9)、EVGYGY(配列番号10)、LDYY(配列番号11)、LPPP(配列番号12)、MTTFTW(配列番号13)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、GNPF(配列番号19)、EVLK(配列番号20)、FADSL(配列番号21)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、LLQ(配列番号24)、LPL(配列番号25)、PLL(配列番号26)、TPL(配列番号27)、およびVLL(配列番号28)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上;または
(3)これらの組み合わせを含むことができる。
【0078】
一例として、前記香味増強用組成物は、
(1)(i)Arg-GlyおよびGly-Argからなるアルギニル-ジペプチドの中から選択される1種以上、
(ii)Pro-Pro、Pro-Glu、Pro-Ala、Pro-Lys、Pro-Ser、Pro-Val、Arg-Pro、Lys-Pro、Ser-Pro、およびVal-Proからなるプロリル-ジペプチドの中から選択される1種以上、
(iii)またはこれらの組み合わせ;
(2)ALDPLPT(配列番号1)、DGFP(配列番号2)、DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、DTDEPN(配列番号5)、EEL(配列番号6)、EEV(配列番号7)、EEY(配列番号8)、ESLPALP(配列番号9)、EVGYGY(配列番号10)、LDYY(配列番号11)、LPPP(配列番号12)、MTTFTW(配列番号13)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、GNPF(配列番号19)、EVLK(配列番号20)、FADSL(配列番号21)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、LLQ(配列番号24)、LPL(配列番号25)、PLL(配列番号26)、TPL(配列番号27)、およびVLL(配列番号28)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上;または
(3)これらの組み合わせを含むことができる。
【0079】
一例として、前記香味増強用組成物は、
(1)Pro-Pro、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、およびGly-Argからなるジペプチドの中から選択される1種以上;
(2)DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、LPPP(配列番号12)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、PLL(配列番号26)、およびTPL(配列番号27)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上;または
(3)これらの組み合わせを含むことができる。
【0080】
一例として、前記香味増強用組成物は、
(1)Pro-Glu、Pro-Ala、Pro-Lys、Pro-Ser、およびLys-Proからなるジペプチドの中から選択される1種以上;
(2)ALDPLPT(配列番号1)、DGFP(配列番号2)、EEL(配列番号6)、EEV(配列番号7)、EEY(配列番号8)、ESLPALP(配列番号9)、EVGYGY(配列番号10)、LDYY(配列番号11)、MTTFTW(配列番号13)、EVLK(配列番号20)、FADSL(配列番号21)、LLQ(配列番号24)、LPL(配列番号25)、およびVLL(配列番号28)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上;または
(3)これらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0081】
一例として、前記香味増強用組成物は、
(1)(1-i)Pro-Pro、Pro-Glu、Pro-Ser、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、およびGly-Argからなるジペプチドの中から選択される1種以上;
(1-ii)Pro-Pro、Pro-Ala、Pro-Lys、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、およびGly-Argからなるジペプチドの中から選択される1種以上;または
(1-iii)Pro-Pro、Pro-Ala、Pro-Lys、Pro-Ser、Pro-Val、Arg-Pro、Ser-Pro、Val-Pro、Arg-Gly、およびGly-Argからなるジペプチドの中から選択される1種以上;
(2)(2-i)ALDPLPT(配列番号1)、DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、EEL(配列番号6)、EEV(配列番号7)、EEY(配列番号8)、ESLPALP(配列番号9)、EVGYGY(配列番号10)、LDYY(配列番号11)、LPPP(配列番号12)、MTTFTW(配列番号13)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、LLQ(配列番号24)、PLL(配列番号26)、およびTPL(配列番号27)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上;
(2-ii)ALDPLPT(配列番号1)、DGFP(配列番号2)、DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、EEL(配列番号6)、EEV(配列番号7)、EEY(配列番号8)、EVGYGY(配列番号10)、LDYY(配列番号11)、LPPP(配列番号12)、MTTFTW(配列番号13)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、PLL(配列番号26)、およびTPL(配列番号27)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上、
(2-iii)DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、LPPP(配列番号12)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、EVLK(配列番号20)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、LLQ(配列番号24)、LPL(配列番号25)、PLL(配列番号26)、TPL(配列番号27)、およびVLL(配列番号28)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上;または
(2-iv)DGFP(配列番号2)、DGML(配列番号3)、DNEDTP(配列番号4)、LDYY(配列番号11)、LPPP(配列番号12)、PPPP(配列番号14)、PPPPP(配列番号15)、DAPL(配列番号16)、DVL(配列番号17)、GGPF(配列番号18)、EVLK(配列番号20)、FADSL(配列番号21)、LAL(配列番号22)、LLL(配列番号23)、LLQ(配列番号24)、LPL(配列番号25)、PLL(配列番号26)、TPL(配列番号27)、およびVLL(配列番号28)のアミノ酸配列を含む長鎖ペプチドの中から選択される1種以上;または
(3)これらの組み合わせを含むことができる。
【0082】
前記香味増強用組成物は、前記ジペプチドおよび/または前記長鎖ペプチドを含むことによって、対照群(例えば、前記ジペプチドおよび/または前記長鎖ペプチドを含まない組成物)と比較して香味をさらに増強させる効果(例えば、コク(うま味、またはコク味など)増強効果など)を達成することができる。
【0083】
本明細書で香味を増強させるとは、食品が本来有している味(例えば、甘味、酸味、苦味、コク味、塩味、うま味、深い味、コク、またはこれらの組み合わせ、特にコク味またはうま味などのコク)をさらに強化させるか、またはこのような味成分を示さない食品にこのような味を示す効果などを示すことを意味する。
【0084】
前記香味増強用組成物内に含まれるジペプチド物質および/または長鎖ペプチド物質は、発酵食品に由来するものであり得る。前記発酵食品は、肉(例えば、牛肉、豚肉、鶏肉など)、魚(例えば、カタクチイワシ、エビなど)、野菜(例えば、白菜、キャベツ、大根、ニンニク、玉ねぎ、唐辛子など)、穀物(例えば、米、小麦、大豆、味噌など)などを発酵させた発酵食品であり得る。発酵食品の一例として、米発酵物、大豆発酵物、小麦発酵物、醤油、キムチ、テンジャン(味噌)、塩辛、みそ(miso)、納豆(natto)、テンペ(tempeh)、ザワークラウト(sauerkraut)、サラミ(salami)、ハモン(jamon)、ヌクナム(nuocmam)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0085】
他の態様は、前記ジペプチド、前記長鎖ペプチド、またはこれらの組み合わせの食品の香味増強に用いるための用途を提供する。
【0086】
他の態様は、前記ジペプチド、前記長鎖ペプチド、またはこれらの組み合わせの香味増強用組成物の製造に用いるための用途を提供する。
【0087】
食品組成物
他の態様は、
前記香味増強用組成物を含む、食品組成物または食品添加剤組成物に関する。
【0088】
前記香味増強用組成物は食品組成物に含まれ、香味を増強させる効果を達成することができる。香味を増強させるとは、上述したように、食品組成物が本来有している基本味を強化させることなどを意味し、例えば、食品組成物のコクおよび/または深い味などを強化させることであり得る。
【0089】
上記食品組成物は、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディ類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む乳製品、各種スープ、飲料水、茶、ドリンク剤、アルコール飲料、ビタミン複合剤、健康機能食品、および健康食品などを意味し、通常の意味での食品を全て含むことができる。
【0090】
一例として、上記食品組成物は、発酵食品であり得る。前記発酵食品は、上述した通りである。
【0091】
前記食品組成物は、組換えによって製造されたものであり得る。
【0092】
つまり、上記食品組成物は、食品組成物に含まれる味成分を構成する物質(例えば、アミノ酸、糖類、核酸など)を組換えによって製造したものであり得る。
【0093】
一例として、前記組換えによって製造した食品組成物は、以下の物質を含むことができるが、これらに限定されるものではない:
アルギニン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、システイン、グリシン、プロリン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンからなる群より選択される1種以上のアミノ酸;ベタイン(Betaine、CAS No.107-43-7)などのアミノ酸誘導体;コハク酸(Succinic acid)、酢酸(Acetic acid)、乳酸(Lactic acid)、クエン酸、リンゴ酸などの有機酸;グルコース、ガラクトース、マンノースなどの単糖類;イノシン、デオキシイノシン、アデノシン、デオキシアデノシン、グアノシン、デオキシグアノシン、5-メチルウリジン、デオキシチミジン、ウリジン、デオキシウリジン、シチジン、デオキシシチジンなどのヌクレオシド;イノシン一リン酸、デオキシイノシン一リン酸、アデノシン一リン酸、デオキシアデノシン一リン酸、グアノシン一リン酸、デオキシグアノシン一リン酸、5-メチルウリジン一リン酸、デオキシチミジン一リン酸、ウリジン一リン酸、デオキシウリジン一リン酸、シチジン一リン酸、デオキシシチジン一リン酸などのヌクレオチド;ヒポキサンチン(Hypoxanthine)、キサンチン(Xanthine)、プリン、アデニン、グアニン、テオフィリン、テオブロミン、カフェイン、尿酸、イソグアニンなどのプリン塩基;アンモニウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、塩素など。
【0094】
上記のように組換えによって製造した食品組成物は、食品本来が持っている基本味を実現することが難しいという問題があるが、前記香味増強用組成物を含む食品組成物は香味が増強され、食品本来が持っている基本味に優れるように具現できるという長所がある。
【0095】
前記香味増強用組成物は、前記ジペプチド物質を含むことで食品組成物に適用されたとき、対照群(例えば、前記ジペプチド物質を含まない香味増強用組成物を適用した場合)と比較して香味をさらに増強させるか、食品本来が持っている味に優れるように具現できる効果を達成することができる。
【0096】
前記香味増強用組成物は、前記長鎖ペプチド物質を含むことで食品組成物に適用されたとき、対照群(例えば、前記長鎖ペプチド物質を含まない香味増強用組成物を適用した場合)と比較して香味をさらに増強させるか、食品本来が持っている味に優れるように具現できる効果を達成することができる。
【0097】
上記食品組成物内に含まれる香味増強用組成物の比率は、組成物に含まれる全体成分のモル濃度に対する香味増強用組成物のモル濃度を基準として、0.0001~2%、0.0001~1.875%、0.0001~1.75%、0.0001~1.625%、0.0001~1.5%、0.0001~1.375%、0.0001~1.25%、0.0001~1.125%、0.0001~1%、0.0001~0.875%、0.0001~0.75%、0.0001~0.5%、0.0005~2%、0.0005~1.875%、0.0005~1.75%、0.0005~1.625%、0.0005~1.5%、0.0005~1.375%、0.0005~1.25%、0.0005~1.125%、0.0005~1%、0.0005~0.875%、0.0005~0.75%、0.0005~0.5%、0.001~2%、0.001~1.875%、0.001~1.75%、0.001~1.625%、0.001~1.5%、0.001~1.375%、0.001~1.25%、0.001~1.125%、0.001~1%、0.001~0.875%、0.001~0.75%、0.001~0.5%、0.005~2%、0.005~1.875%、0.005~1.75%、0.005~1.625%、0.005~1.5%、0.005~1.375%、0.005~1.25%、0.005~1.125%、0.005~1%、0.005~0.875%、0.005~0.75、0.005~0.5%、0.01~2%、0.01~1.875%、0.01~1.75%、0.01~1.625%、0.01~1.5%、0.01~1.375%、0.01~1.25%、0.01~1.125%、0.01~1%、0.01~0.875%、0.01~0.75%、0.01~0.5%、0.02~2%、0.02~1.875%、0.02~1.75%、0.02~1.625%、0.02~1.5%、0.02~1.375%、0.02~1.25%、0.02~1.125%、0.02~1%、0.02~0.875%、0.02~0.75%、または0.02~0.5%であり得るが、これらに限定されず、例えば、0.010%、0.012%、0.280%、または0.518%であり得る。
【0098】
他の態様は、前記ジペプチド、前記長鎖ペプチド、またはこれらの組み合わせの香味増強用組成物の製造に用いるための用途を提供する。
【0099】
他の態様は、前記ジペプチド、前記長鎖ペプチド、またはこれらの組み合わせ;または前記香味増強用組成物を食品に適用する段階を含む、香味増強方法(例えば、食品の香味を増強させる方法)を提供する。
【発明の効果】
【0100】
本発明は、発酵機術基盤の韓食で味を増強させる効果がある味増強物質を新たに究明し、本発明のジペプチド、および/または長鎖ペプチドは、食品の味を増強させる効果に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0101】
図1】韓国の発酵食品の官能評価のために脱塩工程および官能評価用サンプルの製造方法を示す概略図である。
図2a】25個のサンプルに含まれている様々な味成分の濃度(μmol/L)をlog10で表し、これを図式化した結果である。
図2b】25個のサンプルに含まれている様々な味成分の濃度(μmol/L)をlog10で表し、これを図式化した結果である。
図2c】25個のサンプルに含まれている様々な味成分の濃度(μmol/L)をlog10で表し、これを図式化した結果である。
図2d】25個のサンプルに含まれている様々な味成分の濃度(μmol/L)をlog10で表し、これを図式化した結果である。
図3】醤油サンプル(SS5、SS6)および組換え醤油サンプル(Recombinant)の官能評価の結果を示す図である。
図4】米発酵物サンプル(FRP2、FRP3)および組換え米発酵物サンプル(Recombinant)の官能評価の結果を示す図である。
図5】醤油サンプル(SS5、SS6)を様々な濃度のメタノール水溶液に分離/分画し、その味の特徴を確認した実験結果を示す図である。
図6】米発酵物サンプル(FRP2、FRP3)を様々な濃度のメタノール水溶液に分離/分画し、その味の特徴を確認した実験結果を示す図である。
図7】醤油サンプル(SS5、SS6)および醤油組換えサンプル1(R1)の官能評価の結果を示す図である。
図8】米発酵物サンプル(FRP2、FRP3)および米発酵物組換えサンプル1(R1)の官能評価の結果を示す図である。
図9】長鎖ペプチド物質が官能的に感じられる濃度の限界値を確認して示すグラフである。
図10】長鎖ペプチド物質が官能的に感じられる濃度の限界値を確認して示すグラフである。
図11】組換えサンプル1の4種(SS5-R1、SS6-R1、FRP2-R1、FRP3-R1)の官能評価の結果と組換えサンプル2(SS5-R2、SS6-R2、FRP2-R2、FRP3-R2)の官能評価を比較した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0102】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。しかし、これらは本発明を例示したものに過ぎず、本発明の範囲がこれらによって限定されるものではない。
【0103】
実施例1.韓国の多様な発酵食品の官能評価
【0104】
韓国の多様な発酵食品25種(米発酵物3種(fermented rice paste;FRP)、大豆発酵物5種(fermented soy bean paste;FSP)、小麦発酵物2種(fermented wheat paste;FWP)、塩辛6種(fish sauce;FS)、液状キムチ1種(liquid kimchi;LK)、醤油6種(soy sauce;SS)、酵母エキス2種(yeast extract;YE))のサンプルを準備して官能評価を実施した。上記食品サンプルはCJ第一製糖から入手するか、または直接製造して使用した。
【0105】
客観的な味の評価のためにすべてのサンプルは同じ脱塩工程を行い、脱塩工程および官能評価用サンプルの製造方法の概略図は図1に示す通りである。
【0106】
具体的には、サンプルを均質化した後、80~100℃で熱水抽出した後、凍結乾燥(Lyophilization)した。その後、70%(v/v)のメタノール溶液で脱塩(Desalination)した後、メタノール溶液を除去し、再び凍結乾燥して脱塩された官能評価用サンプルを製造した。
【0107】
上記で製造した官能評価用サンプルは全て同じ濃度の液体サンプル(つまり、サンプル:水=1:3の重量比で混合)で製造し、官能評価条件は下記表15の通りである。
【0108】
【表15】
【0109】
このような方法で行われたサンプル25種の官能評価の結果は下記表16に示す。それぞれのサンプルの6つの味の属性(甘味、酸味、苦味、コク味、塩味、うま味)を5点スケール(scale)で表した。
【0110】
【表16】
【0111】
実施例2.韓国の発酵食品の分画物の官能評価
【0112】
官能評価
韓国の発酵食品に包含されているが、知られていない味の成分物質を究明するために韓国の発酵食品の分画物を官能評価した。
【0113】
分画物の官能評価は、食品サンプルの分画物を継続的に希釈して味の最小認知濃度を確認する実験であり、このような実験はTaste Dilution Analysis(TDA)、Comparative Taste Dilution Analysis(cTDA)として知られている(J.Agric.Food Chem.2003,51,1035-1041)。分画されたサンプルは、SPE(Solid Phase Extraction)を用いて前処理し、稀釈時に基本味物質成分を用いて組換え体を利用した。それぞれのサンプルは、官能評価項目の6種類を全て評価し、稀釈時に既存の濃度サンプルに1:2(体積比)比率で希釈した。最初の濃度は1mmol/Lから始まり、最小認知濃度を確認するためにTDA、cTDA方法を使用した。すべてのサンプルはpH5.4でformic acid 1%(v/v)溶液を用いて補正し、稀釈時に段階的に1:2の比率で希釈した。
【0114】
定量分析
実施例1の韓国の発酵食品25種のサンプルに含まれている味成分の定量分析を行った。味成分の項目は、イオン(陽イオン、陰イオン)、遊離アミノ酸、核酸、有機酸、糖類(単糖類、二糖類)、ジペプチドである。定量分析のためのサンプルは、全て実施例1と同様の方法で脱塩工程を行い、凍結乾燥した。
【0115】
イオン(陽イオン、陰イオン)分析は、高速イオンクロマトグラフィー(high performance ion chromatography(HP-IC))を用いて外部標準物を基準として分析した。
【0116】
遊離アミノ酸、核酸、およびジペプチドは、液体クロマトグラフィー/質量分析(liquid chromatography-mass/mass spectrometer(LC-MS/MS))を用いて分析し、全て同位元素標識された(isotopically labeled)内部標準物質を用いて定量分析した。
【0117】
有機酸および糖類は、定量核磁気共鳴スペクトル測定(quantitative nuclear magnetic resonance spectroscopy(q-NMR))を用いて内部分析データベースを活用して分析した。
【0118】
詳しい分析項目、分析設備、および条件は下記表17に記載した。
【0119】
【表17】
【0120】
25個のサンプルの味の成分分析の結果を図式化して図2a~図2dに示す。
【0121】
つまり、図2a~図2dは、25個のサンプルに含まれている様々な味成分の濃度(μmol/L)をlog10で表し、これを図式化した結果である。
【0122】
実施例3.醤油および米発酵物組換えサンプルの官能評価
【0123】
サンプルの味成分の定量分析により確認した物質を用いて、醤油(soy sauce;SS)2種および米発酵物(fermented rice paste;FRP)2種に対する組換えサンプルを製造した(醤油組換えサンプル:SS5-BR、SS6-BR、米発酵物組換えサンプル:FRP2-BR、FRP3-BR)。
【0124】
下記表18に組換えサンプルの味成分の組成を示す。単位はgで表し、組換えサンプルの全体重量に対する味成分の比率を括弧内に%(w/w)で表した。
【0125】
【表18】
【0126】
前記組換えサンプル4種の官能評価を実施例1と同様の方法で行い、実施例1の醤油サンプル(SS5、SS6)および米発酵物サンプル(FRP2、FRP3)の官能評価の結果と組換えサンプルの官能評価の結果を比較した結果を図3および図4に示す。
【0127】
図3(醤油サンプルおよび組換え醤油サンプルの官能評価の結果)、および図4(米発酵物サンプルおよび組換え米発酵物サンプルの官能評価の結果)から確認できるように、醤油および米発酵物サンプルとそれぞれの組換えサンプルは互いに異なる官能評価の結果を示した。
【0128】
このような結果は、醤油および米発酵物サンプルの味を実現するために、醤油および米発酵物の組換えサンプルに含まれている味成分以外に、他の味成分がさらに必要であることを示す。
【0129】
実施例4.醤油および米発酵物サンプル内味成分物質の分析I
【0130】
実施例3で醤油および米発酵物サンプルと組換えサンプルの官能評価の結果が異なることを確認したので、醤油および米発酵物サンプルから特別なコク増強効果を有する物質を究明するための追加実験を行った。醤油および米発酵物サンプル4種(醤油サンプル:表18中のSS5、SS6、米発酵物サンプル:表18中のFRP2、FRP3)を脱塩工程を経た後、クロマトグラフィー方法(固相抽出、Solid-Phase Extraction、SPE)を用いて分離、分画して、各分離された区域別に官能的特徴を確認した。このようなクロマトグラフィーはSPEだけでなく、MPLC(Medium pressure liquid chromatography)、FPLC(Fast protein liquid chromatography)など多様な方法を活用して行うことができる。
【0131】
具体的には、SPEクロマトグラフィーは以下の工程で行った。
【0132】
SPEのカートリッジ(cartridge)を活性化するために、60~70mLのメタノール(methanol)を流した。その後、2~3回蒸留水で洗浄した後、準備されたサンプルをローディング(loading)した。サンプルのローディング(loading)完了後、液体がすべて抽出され、カートリッジ(cartridge)にサンプルをよく吸着した後、適切な溶媒を用いて抽出した。本発明で用いた溶媒は以下の通りであり、メタノール(Methanol)、エタノール(Ethanol)、水(Water)を多様な組成比(v/v)で使用した。
【0133】
醤油サンプル(SS5、SS6)に対する分離/分画および味の特徴を確認した実験結果は図5に示し、米発酵物サンプル(FRP2、FRP3)に対する分離/分画および味の特徴を確認した実験結果は図6に示す。
【0134】
上記で得られた醤油および米発酵物サンプル4種の分画物に含まれている味成分物質を分析した。韓国の発酵食品内に知られていないコク増強効果を有する物質を究明するために、分画物の微量成分分析実験を行った。分画物に含まれているペプチド分析のために、LC-QTrap-MSを用いてペプチド分析を行った。具体的な実験方法は、下記表19の通りである。
【0135】
【表19】
【0136】
ペプチド分析の結果、分画物からの主要検出物質はジペプチド物質(プロリルペプチド(prolyl peptides)およびアルギニルペプチド(arginyl peptides))であり、具体的に検出されたジペプチド物質を下記表20に記載した。
【0137】
【表20】
【0138】
醤油および米発酵物サンプルから新たに分析されたジペプチド物質それぞれの味の特徴をTaste Dilution Analysis(TDA)、Comparative Taste Dilution Analysis(cTDA)実験により確認し、前記ジペプチドは、塩味およびコクを増大させる効果があることを確認した。
【0139】
実施例5.新たに究明されたジペプチドを含む醤油および米発酵物組換えサンプルの官能評価
【0140】
実施例3で製造した組換えサンプルに表20の新たに究明されたジペプチド物質などを追加して、醤油および米発酵物の組換えサンプル1(R1-recombinant1を製造した。下記表21~表29に醤油および米発酵物の組換えサンプル1の組成を示す。表21~表29の値は各成分の濃度(μmol/L)を意味し、数値の後ろに相対標準偏差(RSD(%))を記載した。組換えサンプル1の製造時、定量分析結果と各成分の認知限界濃度を確認した後、DoT(Does of Threshold)を考慮して、Dot factor(サンプルに存在する各成分をDoTで割って計算した値)>0.1基準によって選択された物質で製造した。
【0141】
【表21】
【0142】
【表22】
【0143】
【表23】
【0144】
【表24】
【0145】
【表25】
【0146】
【表26】
【0147】
【表27】
【0148】
【表28】
【0149】
【表29】
【0150】
前記組換えサンプル14種(SS5-R1、SS6-R1、FRP2-R1、FRP3-R1)の官能評価を実施例1と同様の方法で行い、実施例1の醤油サンプル(SS5、SS6)および米発酵物サンプル(FRP2、FRP3)の官能評価の結果と組換えサンプル1の官能評価の結果を比較した結果を図7および図8に示す。
【0151】
図7(醤油サンプルおよび醤油組換えサンプル1の官能評価の結果)、および図8(米発酵物サンプルおよび米発酵物組換えサンプル1の官能評価の結果)から確認できるように、新たに究明されたジペプチド物質をさらに含む組換えサンプル1は、既存のサンプルの味の特徴と類似した味の特徴を示すことを確認し、ジペプチド物質を含まない組換えサンプル(図3および図4)と比較して顕著に優れた香味増強効果があることを確認した。
【0152】
実施例6.醤油および米発酵物サンプルの味成分物質の分析II
【0153】
醤油および米発酵物サンプルでコク(うま味、コク味)、およびコクに影響を多く及ぼす塩味などに関する追加の味成分があると予想され、未知の物質に対する追加検証実験を行った。
【0154】
ジペプチドより長鎖の味活性を有するペプチド物質を見つけるために、sensoproteomics接近方式を活用した。このような方法は、未知の微量物質を究明するために、生命科学分野で多く使用するproteomics技法に味の特徴を確認するための官能評価方法を組み合わせた方法である(J.Agric.Food Chem.2018,66,42,11092-11104)。
【0155】
未知の長鎖ペプチド物質を究明するために、Ultra-High Performance Liquid Chromatography-Time-Of-Flight-Mass Spectrometry(UHPLC-Tof-MS)とDe Novo Sequencingを用いて分析した。具体的な実験方法は下記表30に記載した。
【0156】
【表30】
【0157】
分析の結果、新たに究明された長鎖ペプチドは下記表31に記載した。
【0158】
【表31】
【0159】
醤油および米発酵物サンプルから新たに分析された長鎖ペプチド物質それぞれの味の特徴をTaste Dilution Analysis(TDA)、Comparative Taste Dilution Analysis(cTDA)実験により確認し、殆どがコクに関するうま味、コク味、塩味を向上させることを確認した。各長鎖ペプチド物質の官能的に感じられる限界値を確認して、その結果を図9(醤油サンプルでの結果)および図10(米発酵物サンプルでの結果)に示す。
【0160】
図9および図10は、それぞれの長鎖ペプチド物質が有している多様な味特性の最小認知濃度を示す図であり、それぞれの長鎖ペプチド物質は苦味(bitter)、渋味(astringent)などは最小認知濃度が高いが、うま味(umami)、コク味(kokumi)のようにコクに関する味は最小認知濃度が低いため、前記長鎖ペプチド物質は香味を増強させることを確認することができた。
【0161】
図9および図10において、iTCおよびmTCは味を感じる最小濃度を意味し、iTCはそれぞれの長鎖ペプチドが水に含まれているときに味を感じる最小濃度、mTCはそれぞれの長鎖ペプチドが組換えサンプル(醤油サンプル、米発酵物サンプル)に含まれているときに味を感じる最小濃度を示す。図9および図10に示す長鎖ペプチドは全て水に含まれているときには(iTC)渋味、苦味を示し、うま味、コク味、塩味などの香味増強に関する味を示さないが、前記長鎖ペプチドが他の味成分が含まれている組換えサンプルに含まれているときには(mTC)むしろうま味、コク味などの香味増強に関する味を示すことを確認した。
【0162】
また、このような味を感じられる最小濃度(Threshold)は、長鎖ペプチドが他の味成分が含まれている組換えサンプルに含まれている場合(mTC)、水に含まれている場合(iTC)よりもさらに低いので、長鎖ペプチドが、他の味成分が含まれている組換えサンプルに含まれる場合、少量含まれていても香味増強に関する味を示すことができることを確認した。
【0163】
実施例7.新たに究明されたジペプチドおよび長鎖ペプチドを含む醤油および米発酵物組換えサンプルの官能評価
【0164】
実施例3で製造した組換えサンプルに表20の新たに究明されたジペプチド物質、表31の新たに究明された長鎖ペプチド物質を追加して、醤油および米発酵物の組換えサンプル2(R1-recombinant2)を製造した。つまり、以下の醤油および米発酵物の組換えサンプル2は、表21~表29の組成を有する組換えサンプル1に、下記表32の長鎖ペプチド物質をさらに含む。表32の値は、各成分の濃度(μmol/L)を意味し、数値の後ろに相対標準偏差(RSD(%))を記載した。
【0165】
【表32】
【0166】
前記組換えサンプル2の4種(SS5-R2、SS6-R2、FRP2-R2、FRP3-R2)の官能評価を実施例1と同様の方法で行い、実施例5の組換えサンプル1の4種(SS5-R1、SS6-R1、FRP2-R1、FRP3-R1)の官能評価の結果と組換えサンプル2の官能評価の結果を比較した結果を図11に示す。
【0167】
醤油および米発酵物サンプル(SS5、SS6、FRP2、FRP3、それぞれの対照群1~対照群4)とそれぞれの組換えサンプル(実施例3、SS5-BR、SS6-BR、FRP2-BR、FRP3-BR、それぞれの実験群1-1、2-1、3-1、4-1)、組換えサンプル1(実施例5、SS5-R1、SS6-R1、FRP2-R1、FR3-R1、それぞれの実験群1-2、2-2、3-2、4-2)、組換えサンプル2(実施例7、SS5-R2、SS6-R2、FRP2-R2、FRP3-R2、それぞれの実験群1-3、2-3、3-3、4-3)の官能評価の結果を下記表33~表36に整理した。6つの味の属性(酸味、塩味、甘味、苦味、うま味、コク味)を5点指標で測定した値を記載し、それぞれの実験群値の後に丸括弧で実験群値と対照群値との差を記載した。
【0168】
【表33】
【0169】
【表34】
【0170】
【表35】
【0171】
【表36】
【0172】
前記表33~表36で確認できるように、6つの味の属性を比較したとき、食品サンプルの味成分の殆ど(95%以上)を占める一般の味成分物質を含むサンプル(実験群1-1、2-1、3-1、4-1)は、食品サンプル(対照群1、2、3、4)との官能評価の結果に非常に大きな差があった。
【0173】
全体の味成分の中で微量物質(ジペプチド物質、またはジペプチド物質および長鎖ペプチド物質)を添加したときに食品サンプルと味の特徴が類似していることを確認し、このような微量成分が醤油および米発酵物でコクを示す重要な成分であることを確認した。
【0174】
新たに究明されたジペプチドおよび長鎖ペプチド物質
本発明で新たに究明した味活性物質(taste active compounds)および味調節物質(taste modulation compounds)を下記表37に整理し、総127個の物質を新たに究明した。
【0175】
【表37】
【0176】
以上の説明から、本発明の属する技術分野の当業者は、本発明がその技術的思想や必須的特徴を変更せずに他の具体的な形態で実施できることを理解できるであろう。これに関連して、以上で説明した実施例は全ての面において例示的なものであり、限定的ではないことを理解しなければならない。本発明の範囲は、前記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲の意味および範囲、そして、その等価概念から導出される全ての変更または改変された形態が本発明の範囲に含まれると解釈されなければならない。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【配列表】
2024526622000001.app
【国際調査報告】