(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】電気車両における動的流体加熱のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B60L 3/00 20190101AFI20240711BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20240711BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240711BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20240711BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20240711BHJP
H05B 3/40 20060101ALI20240711BHJP
B60H 1/22 20060101ALI20240711BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240711BHJP
B60L 58/27 20190101ALI20240711BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20240711BHJP
【FI】
B60L3/00 N
H01M10/615
H01M10/625
H01M10/6556
B60K1/04 Z ZHV
H05B3/40 A
B60H1/22 611C
B60H1/22 671
B60H1/22 611D
B60L50/60
B60L58/27
B60L53/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580981
(86)(22)【出願日】2022-04-08
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 AU2022050316
(87)【国際公開番号】W WO2023272334
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524002038
【氏名又は名称】マイクロヒート テクノロジーズ プロプライエトリー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MICROHEAT TECHNOLOGIES PTY LTD
【住所又は居所原語表記】20 Pickering Road, Mulgrave, Victoria 3170 Australia
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イスラエルソーン, セドリック
(72)【発明者】
【氏名】ヘルナディ, ブレット
(72)【発明者】
【氏名】テイグ, イアン, ウィリアム
【テーマコード(参考)】
3D235
3K092
3L211
5H031
5H125
【Fターム(参考)】
3D235BB36
3D235BB45
3D235CC12
3D235CC13
3D235CC15
3D235FF32
3D235FF38
3K092PP15
3L211AA10
3L211AA11
3L211BA02
3L211DA50
3L211EA50
3L211GA49
5H031KK08
5H125AA01
5H125AB01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC19
5H125CD09
5H125EE25
5H125FF27
(57)【要約】
車両のコンポーネントを加熱するためのシステム及び方法が提供され、流体を保持するための1つ以上のセルを備え、各セルは、その中に配置された1つ以上の電極対を含む。前記1つ以上のセルは、前記1つ以上のセルへの入口及び前記1つ以上のセルからの出口を含む流路に沿って配列される。コントローラは、前記入口から前記1つ以上のセルへの前記流体の流れを調整し、前記1つ以上のセルにおいて、前記流体の電気伝導率又は特異的コンダクタンスを決定し、前記流体の前記電気伝導率又は特異的コンダクタンスから、前記1つ以上の電極対にわたって、その中の前記流体を加熱するのに十分な電流で、高電圧バッテリー、又は、前記車両の外側に配置された外部電源から印加する電圧を決定し、前記1つ以上の電極対から前記流体に前記電流を流して加熱流体を生成し、前記加熱流体は、前記出口を介して、1つ以上の車両のコンポーネントに熱を伝達する、ように構成されて提供される。
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のコンポーネントを加熱するためのシステムであって、
流体を保持するための1つ以上のセルであって、各セルは、その中に配置された1つ以上の電極対を含むことと、
前記1つ以上のセルへの入口及び前記1つ以上のセルからの出口を含む流路に沿って配列された前記1つ以上のセルと、
前記入口から前記1つ以上のセルへの前記流体の流れを調整し、
前記1つ以上のセルにおいて、前記流体の電気伝導率又は特異的コンダクタンスを決定し、
前記流体の前記電気伝導率又は特異的コンダクタンスから、前記1つ以上の電極対にわたって、その中の前記流体を加熱するのに十分な電流で、高電圧バッテリー、又は、前記車両の外側に配置された外部電源から印加する電圧を決定し、
前記1つ以上の電極対から前記流体に前記電流を流して加熱流体を生成し、前記加熱流体は、前記出口を介して、1つ以上の車両のコンポーネントに熱を伝達する、
ように構成されたコントローラと、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記流体を保持するための前記1つ以上のセルは、前記1つ以上の車両のコンポーネントに近接している、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1つ以上の車両のコンポーネントは、前記高電圧バッテリー、DCモータ、トランスミッション、暖房、換気及び空調(HVAC)システム、及び、ドライブエレクトロニクスのうちの1つ以上を含む、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記流体の前記特異的コンダクタンスは、水の特異的コンダクタンスよりも大きい、請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記流体の前記特異的コンダクタンスは、約2,500から5,000μS/cmの範囲にある、請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記流体は、水とエチレングリコールの混合物を含む、請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、エチレングリコールの品質、又は、水とエチレングリコールの混合物の濃度を含む前記混合物の特性を監視する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記混合物によって引き出される前記電流を計測することによって、エチレングリコールの品質、又は、水とエチレングリコールの混合物の濃度を含む前記混合物の特性を監視する、請求項6又は7に記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記混合物の所望の熱伝導率を維持するために、エチレングリコールの品質、又は、水とエチレングリコールの混合物の濃度を含む前記混合物の特性を監視する、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記コントローラは、前記エチレングリコールの品質、及び、前記水とエチレングリコールの混合物の濃度を監視することによって、前記混合物の熱伝導率を管理するように構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラは、前記混合物の熱伝導率を管理するように構成され、それによって、前記1つ以上の車両のコンポーネントの最適動作温度が維持されることを保証する、ことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項12】
前記高電圧バッテリーは、ハイブリッド車両又はバッテリー電気車両(BEV)において、車両推進に使用されるリチウムイオンバッテリーである、請求項1乃至11のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記コントローラは、前記流体の前記電気伝導率又は特異的コンダクタンスを決定するように構成され、それによって、前記1つ以上の電極対にわたって連続的に印加する前記電圧を決定する、請求項1乃至12のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記1つ以上の電極対は、2つ以上のセグメントにセグメント化され、各セグメントは、前記コントローラによって電圧を個別に印加するように構成される、請求項1乃至13のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記2つ以上のセグメントにわたって前記電圧を個別に印加することは、電極表面積に応じて前記流体によって引き出される実効電流を増加又は減少させる、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記2つ以上のセグメントは、均一なサイズである、請求項14又は15に記載のシステム。
【請求項17】
前記2つ以上のセグメントは、異なるサイズである、請求項14又は15に記載のシステム。
【請求項18】
前記1つ以上の電極対は、それぞれが1:2:・・・:2
(n-1)の比率の実効表面積を有するn個のセグメメントにセグメント化される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記1つ以上の電極対は、実質的に、平行であり、前記流路に対してほぼ水平面内に配置される、請求項1乃至18のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
前記1つ以上の電極対は、実質的に、垂直であり、前記流路に対してほぼ垂直面内に配置される、請求項1乃至19のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
前記1つ以上の電極対は、不活性導電性材料、又は、導電性プラスチック材料、炭素含浸材料及びそれらの組み合わせを含む非金属導電性材料で少なくとも部分的に被覆される、請求項1乃至20のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記1つ以上の電極対は、金属又は非金属導電性材料からなるグループから選択される材料から少なくとも部分的に形成される、請求項1乃至21のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
前記1つ以上の電極対は、グラファイト、炭素及びそれらの組み合わせを含む導電性の不活性材料から形成される、請求項1乃至22のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項24】
前記コントローラは、前記流路を流れる前記流体の流量を計測するように更に構成される、請求項1乃至23のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項25】
前記コントローラは、前記1つ以上のセルにおける前記流体の滞留時間を調整するために、前記流路を通過して流れる前記流体の流量を増加又は減少させるように更に構成される、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記コントローラは、前記流路を通過して流れる前記流体の温度を計測するように更に構成される、請求項1乃至24のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項27】
前記コントローラは、
前記入口及び前記出口における前記流体の前記温度を計測するように更に構成され、
前記流体の加熱を増加又は減少させるように構成された温度コントローラに対するフィードバックとして前記温度を提供する、
請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記1つ以上のセルは、前記流路に沿って直列に配列される、請求項1乃至27のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項29】
前記コントローラは、前記流体の電気伝導率又は特異的コンダクタンスが所定の範囲外にある場合、前記1つ以上の電極対にわたって前記電圧を印加しないように更に構成される、請求項1乃至28のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項30】
前記入口及び前記出口は、実質的に、互いに180度で延在する、請求項1乃至29のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項31】
前記1つ以上の車両のコンポーネントと熱連通する加圧流体を提供するポンプを更に含む、請求項1乃至30のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項32】
前記コントローラは、他の車両システムと通信する車両バスを含む、請求項1乃至31のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項33】
前記電圧は、約250~約450VDCの範囲にある、請求項1乃至32のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項34】
流体を保持するための前記1つ以上のセルは、非導電性の軽量プラスチック材料から作製される、請求項1乃至33のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項35】
前記システムは、約9kWまで動作可能であると定格される、請求項1乃至34のうちいずれか1項に記載のシステム。
【請求項36】
車両のコンポーネントを加熱するための方法であって、
少なくとも部分的に車両推進に使用される高電圧バッテリーに電気的接続を提供するステップと、
流体を保持するための1つ以上のセルを提供するステップであって、各セルは、その中に配置された1つ以上の電極対を含むことと、
前記1つ以上のセルを流路に沿って配列するステップであって、前記流路は、前記1つ以上のセルへの入口及び前記1つ以上のセルからの出口を含むことと、
前記1つ以上のセルにおいて、前記流体の電気伝導率又は特異的コンダクタンスを決定する工程と、
前記流体の前記電気伝導率又は特異的コンダクタンスから、前記1つ以上の電極対にわたって、その中の前記流体を加熱するのに十分な電流で、前記高電圧バッテリー、又は、前記車両の外側に配置された外部電源から印加する電圧を決定するステップと、
前記1つ以上の電極対から前記流体に前記電流を流して加熱流体を生成するステップであって、前記加熱流体は、前記出口を介して、1つ以上の車両のコンポーネントに熱を伝達することと、
を備える方法。
【請求項37】
前記流体を保持するための前記1つ以上のセルは、前記1つ以上の車両のコンポーネントに近接して提供される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記1つ以上の車両のコンポーネントは、前記高電圧バッテリー、DCモータ、暖房、換気及び空調(HVAC)システム、及び、ドライブエレクトロニクスのうちの1つ以上を含む、請求項36又は37に記載の方法。
【請求項39】
前記流体の前記特異的コンダクタンスは、水の特異的コンダクタンスよりも大きい、請求項36乃至38のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記流体の前記特異的コンダクタンスは、約2,500から5,000μS/cmの範囲にある、請求項36乃至39のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記流体は、水とエチレングリコールの混合物を含む、請求項36乃至40のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
エチレングリコールの品質、又は、水とエチレングリコールの混合物の濃度を含む前記混合物の特性を監視するステップを更に備える、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記高電圧バッテリーは、ハイブリッド車両又はバッテリー電気車両(BEV)において、車両推進に使用されるリチウムイオンバッテリーである、請求項36乃至42のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記流体の前記電気伝導率又は特異的コンダクタンスを決定するステップ、及び、前記1つ以上の電極対にわたって印加する前記電圧を決定するステップは、前記流路に沿って連続的に行われる、請求項36乃至43のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記1つ以上の電極対は、2つ以上のセグメントにセグメント化され、各セグメントは、前記流体に電圧を個別に印加するように構成される、請求項36乃至44のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記2つ以上のセグメントにわたって前記電圧を個別に印加することは、電極表面積に応じて前記流体によって引き出される実効電流を増加又は減少させる、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記2つ以上のセグメントは、均一なサイズである、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項48】
前記2つ以上のセグメントは、異なるサイズである、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項49】
前記1つ以上の電極対は、それぞれが1:2:・・・:2
(n-1)の比率の実効表面積を有するn個のセグメメントにセグメント化される、請求項50に記載の方法。
【請求項50】
前記1つ以上の電極対は、実質的に、平行であり、前記流路に対してほぼ水平面内に配置される、請求項36乃至49のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記1つ以上の電極対は、実質的に、垂直であり、前記流路に対してほぼ垂直面内に配置される、請求項36乃至49のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記1つ以上の電極対は、不活性導電性材料、又は、導電性プラスチック材料、炭素含浸材料及びそれらの組み合わせを含む非金属導電性材料で少なくとも部分的に被覆される、請求項36乃至51のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記1つ以上の電極対は、金属又は非金属導電性材料からなるグループから選択される材料から少なくとも部分的に形成される、請求項36乃至51のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記1つ以上の電極対は、グラファイト、炭素及びそれらの組み合わせを含む導電性の不活性材料から形成される、請求項36乃至53のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記流路を流れる前記流体の流量を計測するステップを更に備える、請求項36乃至54のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記1つ以上のセルにおける前記流体の滞留時間を調整するために、前記流路を通過して流れる前記流体の流量を増加又は減少させるステップを更に備える、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記流路を通過して流れる前記流体の温度を計測するステップを更に備える、請求項36乃至56のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記入口及び前記出口における前記流体の前記温度を計測するステップを更に備え、
前記流体の加熱を増加又は減少させるように構成された温度コントローラに対するフィードバックとして前記温度を提供する、
請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記1つ以上のセルは、前記流路に沿って直列に配列される、請求項36乃至58のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記流体の電気伝導率又は特異的コンダクタンスが所定の範囲外にある場合、前記1つ以上の電極対にわたって前記電圧を印加しない、又は、変化させないステップを更に備える、請求項36乃至59のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記入口及び前記出口は、実質的に、互いに180度で延在する、請求項36乃至60のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記1つ以上の車両のコンポーネントと熱連通する加圧流体を提供するポンプを提供することを更に含む、請求項36乃至61のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
他の車両システムと通信する車両バスに接続を提供することを更に含む、請求項36乃至62のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記電圧は、約250~約450VDCの範囲にある、請求項36乃至63のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
流体を保持するための前記1つ以上のセルは、非導電性の軽量プラスチック材料から作製される、請求項36乃至64のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記1つ以上の電極対は、約9kWまで動作可能であると定格される、請求項36乃至65のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
車両のコンポーネントを加熱するための方法であって、
入口から出口に流路に沿って流体を通過させるステップであって、前記流路は、第1セルを通過する前記流体が続いて第2セルを通過するように、前記流路に沿って配置された少なくとも第1セル及び第2セルを含み、各セルは、少なくとも1つの電極対を含み、その間で前記流体に電流が流れ、前記流体が前記流路に沿って通過する間に前記流体内に熱を生成し、前記セルのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのセグメント電極を含み、前記セグメント電極は、電気的に分離可能な複数のセグメントを備え、前記セグメントを選択的に活性化することによって前記セグメント電極の実効表面積を制御することを可能とし、その結果、前記活性化された電極セグメントに電圧を印加すると、引き出される電流は、前記実効表面積に部分的に依存するステップと、
前記入口における前記流体の伝導率又は特異的コンダクタンスを決定するステップと、
計測された流体の伝導率又は特異的コンダクタンスから、その中の前記流体の温度を第1量だけ上昇させるために前記第1セルによって前記流体に供給すべき必要な電圧及び電流を決定するステップと、
加熱された流体の伝導率、又は、前記第1セルの動作から生じる特異的コンダクタンスを決定するステップと、
前記加熱された流体の伝導率又は特異的コンダクタンスから、その中の前記流体の温度を第2量だけ上昇させるために前記第2セルによって前記流体に供給すべき必要な電圧及び電流を決定するステップと、
前記セグメント電極によって所望の電流及び電圧の供給をもたらすように、前記セグメント電極のセグメントを活性化するステップと、
前記加熱された流体から、前記出口を介して、1つ以上の車両のコンポーネントに熱を伝達するステップと、
を備える方法。
【請求項68】
前記出口は、前記車両内の熱交換システムに結合される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記熱交換システムは、前記1つ以上の車両のコンポーネントの間で熱エネルギーを分配するための複数のバルブを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記1つ以上の車両のコンポーネントは、ハイブリッド車両又はバッテリー電気車両(BEV)において、車両推進に使用される高電圧バッテリーを含む、請求項67乃至69のうちいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を加熱するための方法及びデバイスに関し、より詳細には、車両における熱伝導性混合物を加熱することに関する。
【背景技術】
【0002】
電気車両及びハイブリッド電気車両は、車両の所有者にとって、ますます望ましいものとなっている。電気車両の使用の最も顕著な利点の1つは、内燃機関によって排出される潜在的に有害な温室効果ガスの排出を排除することを含む。更に、バッテリー技術は、合理的なサイズのバッテリーパックが大部分のドライバーに許容可能な十分なレンジ及び加速度を提供することができるように、進歩している。使用可能な電気車両を提供するために、バッテリーパックは、効率的に(理想的には、可能な限り迅速に)充電され、何度も放電されなければならない。
【0003】
電気車両の設計者が直面する1つの課題は、温度に対する、高電圧バッテリーを含む主要な電気車両のコンポーネントの感度を含む。より具体的には、バッテリーの最大充電電流及び最大放電電流が、特に、バッテリーの温度に基づいて変化する。バッテリーの温度は、バッテリー内で起こる化学反応や車両が置かれている環境の周囲温度により、動作中に変化することがある。例えば、バッテリーの温度が所定の限界を下回っているときに充電が行われると、バッテリーの最大充電電流及び動作寿命が著しく低下することがある。バッテリーの温度が所定の動作限界を上回る場合、バッテリーの充電及び放電効率、並びに、バッテリーの動作寿命も最適ではなくなることがある。主要な電気車両のコンポーネントを最適な動作温度に維持することは不可欠であり、効果的な温度管理によって実現することができる。効果的な温度管理は、主要なコンポーネントの動作性能及び寿命を改善することができる。
【0004】
更に、車両の燃焼機関のための既存のヒータは、電気車両のバッテリーパックを温めるのに適していない場合がある。多くの既存のエンジンブロックヒータは、12V又は24Vの電源によって作動する。加熱要素のワット密度は、それに応じて定義される。これらのヒータは所望の機能を実行するが、約450VDCの範囲の高電圧電源を備えた電気車両内に単純に設置することはできない。また、高電圧回路に関連するヒータを制御することは、主要な車両のコンポーネントの過熱状態が回避されることを保証するために、非常に重要になる。従って、主要な電気車両のコンポーネントのそれぞれ、より具体的には、高電圧バッテリーに対して所望の最適温度を維持することができる温度制御システムを提供することは有益である。
【0005】
加熱される流体として液体冷却剤を利用し、液体冷却剤に伝達されなければならない熱を発生させるための加熱要素を有するヒータが知られている。液体冷却剤は、これらのタイプの液体が通常使用される液体であり、高い温度及び非常に低い温度に耐え、必要な温度管理を実現するために良好な熱容量及び熱伝導率を有し、添加剤を含むように配合されているため、加熱される液体として識別され、必要なレベルの熱伝導率を維持し、また、それが循環する導管を良好な状態に保つ。それにもかかわらず、加熱される液体は、以下、一般的に、流体又は熱流体と称される。
【0006】
既知のヒータの例は、米国特許出願公開第2012/0295141号に示されている。この文献は、ハウジングと、加熱要素と、サーミスタと、を含む冷却剤ヒータを記載している。ヒータは、電気車両のバッテリーを加熱するのに適している。この要素は、ケトルと同様に、ハウジング内に保持された冷却剤と熱伝達関係にある。この要素は、所望のワット密度(この場合、平方センチメートルあたり約30ワット、殆どの車両用途において、必要な5000ワット以上を実現するために、比較的大きい)を提供するために、特定の形状で製造された抵抗加熱要素である。理想的には、冷却剤ヒータは、可能な限り小さく、可能な限り軽くしなければならず、設置の最適化を可能にするために、可能な限り小さいスペースを占めるように設計され、また、かかるスペースの節約は、バッテリーストレージなどの他の要素のために使用することができる。
【0007】
冷却剤を加熱するために、電力は、パルス幅変調を用いて、要素に選択的に供給される(及び供給されない)。そのような制御ストラテジーは、長時間の動作期間にわたって、要素に提供されるエネルギーの総量を低減することができ、サーミスタによって提供される信号に基づいて、ヒータ機能の閉ループ制御を提供することができる。しかしながら、パルス幅変調によって要素を加熱することは、全体的な設計と共に、ヒータを熱慣性の影響を受けやすくし、適切でない温度管理ストラテジーを実現する冷却剤回路の温度を、動的、且つ、正確に制御することを非常に困難にする。更に、ハウジングの表面温度は、冷却剤とハウジングとの間に著しい熱交換が存在するため、非常に高温(+300℃のオーダー)になり、損傷を引き起こすことがある車両内の特定の場所、例えば、敏感な電子コンポーネント、実際には、バッテリー自体の近くには不適切である。
【0008】
これらの欠点の一部を解決し、それによって、厚膜加熱要素、例えば、ポリマーPTC加熱要素を使用することによって、全体的な温度管理効率を改善する試みがなされてきた。しかしながら、そのような設計による熱慣性の問題は改善されるが、それは、依然として、レスポンシブなエネルギー及び効果的な冷却剤の温度管理に対して主要な問題である。
【0009】
加熱要素が水に接触する場合(両方の概念の場合と同様)、要素がスケールの形成を防止する材料で被覆されない限り、及び/又は、水が濾過されない限り、スケールが要素上に形成される傾向があることも知られている。スケールが加熱要素上に形成されると、要素は、ヒータとして効率が低下し、加熱要素に永久的な損傷を与えることがある。
【0010】
上記の問題の1つ以上を改善する、又は、少なくとも軽減するシステム及び方法を提供すること、或いは、代替手段を提供することが望ましい。
【0011】
また、既知の車両流体加熱システム及び方法、特に、電気車両の1つ以上の欠点又は不都合を改善又は克服するシステム及び方法を提供することが望ましい。
【0012】
先行技術として与えられる特許文献又は他の事項に対する、ここでの言及は、その文献又は事項が知られていたこと、又は、それが含む情報が請求項のいずれかの優先日における共通の一般的知識の一部であることの承認又は示唆として解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一側面によれば、車両のコンポーネントを加熱するためのシステムであって、流体を保持するための1つ以上のセルであって、各セルは、その中に配置された1つ以上の電極対を含むことと、前記1つ以上のセルへの入口及び前記1つ以上のセルからの出口を含む流路に沿って配列された前記1つ以上のセルと、前記入口から前記1つ以上のセルへの前記流体の流れを調整し、前記1つ以上のセルにおいて、前記流体の電気伝導率又は特異的コンダクタンスを決定し、前記流体の前記電気伝導率又は特異的コンダクタンスから、前記1つ以上の電極対にわたって、その中の前記流体を加熱するのに十分な電流で、高電圧バッテリー、又は、前記車両の外側に配置された外部電源から印加する電圧を決定し、前記1つ以上の電極対から前記流体に前記電流を流して加熱流体を生成し、前記加熱流体は、前記出口を介して、1つ以上の車両のコンポーネントに熱を伝達する、ように構成されたコントローラと、を備えるシステムが提供される。1つ以上の加熱セルは、前記流体を保持するだけでなく、前記流体の流通を促進することもできる。前記1つ以上の電力対は、単一の電極対を複数の電極セクション対又はセグメントに分割することによって形成してもよく、各セグメントは、それ自体の実効表面積を有する。前記実効表面積は、同一のサイズであってもよいし、異なるサイズであってもよい。
【0014】
有利には、前記システムは、前記1つ以上の電極対から前記流体に電流を流すことによって、流体を加熱するのに好適である。前記システムは、動的であり、熱慣性を受けにくく、それにより、冷却された流体を通過させるのに好適である。例えば、冷却剤(即ち、熱伝達媒体)を含む冷却剤ループに結合されたバッテリー冷却サブシステムから。即ち、冷却ループは、システムに熱的に結合し、それにより、前記バッテリーの温度が、周囲の温度にかかわらず、その好ましい動作範囲内に維持することができることを保証する。
【0015】
電極に印加される電圧は、直流(DC)であってもよい。いずれの場合において、電源は、バッテリーによって供給されてもよい。しかしながら、交流(AC)は、幾つかの実施形態において使用され、それにより、電力は、車両の外部の単相又は三相電源によって供給されてもよい。様々な電子コンポーネントは、電源を切り替えるために設けてもよい。
【0016】
1つ以上の実施形態において、前記流体を保持するための前記1つ以上のセルは、前記1つ以上の車両のコンポーネントに近接している。水とエチレングリコールの混合物の典型的な冷却剤の溶液の高い動作電圧及び比較的高い導電率に起因して、システムは、非常にコンパクトで軽量なフォームファクタを有することができ、長く複雑な熱回路又はループを作動させることなく、温度に敏感なコンポーネントに対して非常に近くに配置することが可能である。
【0017】
1つ以上の実施形態において、前記1つ以上の車両のコンポーネントは、前記高電圧バッテリー、DCモータ、暖房、換気及び空調(HVAC)システム、及び、ドライブエレクトロニクスのうちの1つ以上を含む。システムは、サーマルジャケット、特別に設計された流体通路を含むサーマルプレート、ヒートシンク、ラジエータ、フィン付きインサートなどを含む、当技術分野で知られている熱交換の様々な可能な構成に結合されてもよいことが理解されるであろう。
【0018】
1つ以上の実施形態において、前記流体の前記特異的コンダクタンスは、水の特異的コンダクタンスよりも大きい。有利には、これは、より小さな電極、よりコンパクトなシステム全体をもたらす。前記流体の前記特異的コンダクタンスは、約2,500から5,000μS/cmの範囲にあってもよく、水とエチレングリコールの混合物を含む。
【0019】
1つ以上の実施形態において、コントローラは、エチレングリコールの品質、又は、エチレングリコールの混合物の濃度を含む前記混合物の特性を監視する。これは、前記混合物によって引き出される電流を計測することによって行うことができる。有利には、特性は、オンボード診断(OBD)ポート又は(例えば、様々なタイプの無線通信技術を用いた)無線を通じて、高度な診断フィーチャを提供することができる。特性は、エチレングリコールの混合物の品質及び濃度に関連する。
【0020】
1つ以上の実施形態において、前記コントローラは、前記混合物の所望の熱伝導率を維持するために、エチレングリコールの品質、又は、エチレングリコールの混合物の濃度を監視する。
【0021】
1つ以上の実施形態において、前記コントローラは、前記エチレングリコールの混合物の特異的コンダクタンスを監視することによって、前記混合物の前記熱伝導率を管理するように構成される。前記コントローラは、前記混合物の動的、且つ、有効な温度管理を提供するように構成されてもよく、それにより、前記1つ以上の車両のコンポーネントの最適な動作温度が維持されることを保証する。
【0022】
1つ以上の実施形態において、前記コントローラは、前記混合物の前記熱伝導率を管理するように構成され、それにより、前記1つ以上の車両のコンポーネントの最適な動作温度が維持されることを保証する。
【0023】
1つ以上の実施形態において、前記高電圧バッテリーは、ハイブリッド車両又はバッテリー電気車両(BEV)において、車両推進に使用されるリチウムイオンバッテリーである。電気車両のリチウムイオン(Li-ion)バッテリーセルの充電は、バッテリーの性能又は劣化に関連する制約に起因して困難である。例えば、幾つかの条件(例えば、特定の温度)下において、Li-ionバッテリーの充電は、バッテリーのアノード上のリチウムの堆積を引き起こすかもしれない。アノード上のリチウムの堆積は、より短い充電サイクル、より短いバッテリー寿命、又は、セルの内部短絡などの性能劣化の原因となる。セルの内部短絡は、バッテリーセルの故障を引き起こす発熱の原因となる。
【0024】
1つ以上の実施形態において、前記コントローラは、前記流体の前記電気伝導率又は特異的コンダクタンスを決定するように構成され、それによって、前記1つ以上の電極対にわたって連続的に印加する前記電圧を決定する。コントローラは、流体の電気伝導率又は特異的コンダクタンスを決定することによって、必要とされる動的温度管理を提供するように更に構成され、1つ以上の電極対にわたって連続的に印加され、動的、且つ、有効な温度管理を提供するための電圧を決定する。
【0025】
1つ以上の実施形態において、前記1つ以上の電極対は、2つ以上のセグメントにセグメント化され、各構成セグメントは、個別に電気的に通電されるように、コントローラによって選択される。2つ以上のセグメントにわたって電圧を個別に印加することは、1つ以上の電極対の実効表面積を増加又は減少させる。有利には、導電率又は特異的コンダクタンス勾配は、それによって管理される。セグメント電極の個々のセグメントを活性化することによって、セグメント電極によって、所望の電流及び電圧の非常に正確な供給を実現する方法で行うことができる。各セグメント電極は、所望の実効面積の選択の精度を高めるために選択されるセグメントの組み合せを可能にするために、様々なサイズのセグメントに分割されてもよい。例えば、セグメント電極が3つのセグメントに分割される場合、セグメントは、1:2:4の比の相対実効面積を有してもよく、即ち、セグメントは、それぞれ、全ての実効電極面積の7分の4、7分の2、及び、7分の1を構成することが好ましい。そのような実施形態において、3つの電極セグメントの適切な活性化は、7つの利用可能な実効面積のうちのいずれか1つの選択を可能にする。代替的なセグメント面積比及びセグメントの数が提供されてもよい。例えば、1つ以上の電極対は、それぞれが1:2:・・・:2(n-1)の比率の実効表面積を有するn個のセグメントにセグメント化される。
【0026】
1つ以上の実施形態において、2つ以上のセグメントにわたる電圧は、電極表面積に応じて流体によって引き出される実効電流を増加又は減少させる。初期電圧は、1つ以上の電極対にわたって電圧が印加されたときに流体によって引き出される電流が、電極対に電圧を供給する、電源のピーク電流定格又は電源制御デバイスのピーク電流定格を超えないように決定されてもよい。ピーク電流定格は、トリップしたり、損傷又は不可逆的な損傷を受けたりすることなく、電源が処理することができる最大電流であってもよい。有利には、これは、電極対に電圧を供給する、電源(高価であり、車両において潜在的に可燃性である)、及び、電源制御デバイスを保護する。
【0027】
1つ以上の実施形態において、2つ以上のセグメントは、均一なサイズである。
【0028】
1つ以上の実施形態において、2つ以上のセグメントは、異なるサイズである。
【0029】
1つ以上の実施形態において、前記1つ以上の電極対は、それぞれが1:2:・・・:2(n-1)の比率の実効表面積を有するn個のセグメメントにセグメント化される。
【0030】
1つの実施形態において、前記1つ以上の電極対は、実質的に、平行であり、前記流路に対してほぼ水平面内に配置される。
【0031】
1つの実施形態において、前記1つ以上の電極対は、実質的に、垂直であり、前記流路に対してほぼ垂直面内に配置される。
【0032】
1つ以上の実施形態において、前記1つ以上の電極対は、不活性導電性材料、又は、導電性プラスチック材料、炭素含浸材料及びそれらの組み合わせを含む非金属導電性材料で少なくとも部分的に被覆される。有利には、材料は、スケールの蓄積又は腐食なしに、エチレングリコールと水の混合物への長期の曝露に耐えることができる。
【0033】
1つ以上の実施形態において、前記1つ以上の電極対は、金属又は非金属導電性材料からなるグループから選択される材料から少なくとも部分的に形成される。材料は、層状構造を含んでもよく、様々な結合材料を含んでもよい。
【0034】
1つの実施形態において、前記1つ以上の電極対は、グラファイト、炭素及びそれらの組み合わせを含む導電性の不活性材料から形成される。
【0035】
1つの実施形態において、前記コントローラは、前記流路を流れる前記流体の流量を計測するように更に構成される。
【0036】
1つの実施形態において、前記コントローラは、前記1つ以上のセルにおける前記流体の滞留時間を調整するために、前記流路を通過して流れる前記流体の流量を増加又は減少させるように更に構成される。所与の体積の流体が電極から電力を受け取る滞留時間は、通路を通過する流体の流量を計測することによって決定することができる。流量は、流量、及び/又は、流体のポンピング又は調整に関連する1つ以上の閾値によって制限されてもよい。
【0037】
1つの実施形態において、前記コントローラは、前記流路を通過して流れる前記流体の温度を計測するように更に構成される。前記コントローラは、前記出口における前記流体の前記温度を計測するように更に構成され、前記流体の加熱を増加又は減少させるように構成された温度コントローラに対するフィードバックとして前記温度を提供する。
【0038】
1つ以上の実施形態において、前記1つ以上のセルは、前記流路に沿って直列に配列される。
【0039】
1つ以上の実施形態において、前記コントローラは、前記流体の電気伝導率又は特異的コンダクタンスが所定の範囲外にある場合、前記1つ以上の電極対にわたって前記電圧を印加しないように更に構成される。有利には、これは、電極対に電圧を供給する電源及び電力制御デバイスに対する保護を提供する。
【0040】
1つ以上の実施形態において、前記入口及び前記出口は、実質的に、互いに90度で延在する。
【0041】
1つ以上の実施形態において、前記システムは、前記1つ以上の車両のコンポーネントと熱連通する加圧流体を提供するポンプを更に含む。
【0042】
1つ以上の実施形態において、前記コントローラは、他の車両システムと通信する車両バスを含む。車両バスは、LIN(Local Interconnect Network)と、非常に低いコストの車両サブネットワークと、を含んでもよい。
【0043】
1つ以上の実施形態において、前記バッテリーの電圧は、約250~約450VDCの範囲にある。有利には、高電圧は、車両に搭載する必要があるワイヤのゲージを低減し、重量及び省スペースの利点を有し、コンパクト、且つ、軽量な設計に更に寄与する。
【0044】
1つ以上の実施形態において、流体を保持するための前記1つ以上のセルは、非導電性の軽量プラスチック材料から作製される。有利には、軽量プラスチック材料は、システムの全体重量を低減する。また、プラスチックが絶縁体であることは、任意のハウジングの表面温度があまり高温にならないことを意味する。即ち、僅かな熱交換が流体とハウジングとの間に存在し、損傷を引き起こさない、車両内の特定の場所、例えば、敏感な電子コンポーネント、実際には、バッテリー自体の近くに適している。
【0045】
1つ以上の実施形態において、前記システムは、約9kWまで動作可能であると定格される。
【0046】
本発明の別の側面によれば、車両のコンポーネントを加熱するための方法であって、少なくとも部分的に車両推進に使用される高電圧バッテリーに電気的接続を提供するステップと、流体を保持するための1つ以上のセルを提供するステップであって、各セルは、その中に配置された1つ以上の電極対を含むことと、前記1つ以上のセルを流路に沿って配列するステップであって、前記流路は、前記1つ以上のセルへの入口及び前記1つ以上のセルからの出口を含むことと、前記1つ以上のセルにおいて、前記流体の電気伝導率又は特異的コンダクタンスを決定する工程と、前記流体の前記電気伝導率又は特異的コンダクタンスから、前記1つ以上の電極対にわたって、その中の前記流体を加熱するのに十分な電流で、前記高電圧バッテリー、又は、前記車両の外側に配置された外部電源から印加する電圧を決定するステップと、前記1つ以上の電極対から前記流体に前記電流を流して加熱流体を生成するステップであって、前記加熱流体は、前記出口を介して、1つ以上の車両のコンポーネントに熱を伝達することと、を備える方法が提供される。
【0047】
1つ以上の実施形態において、前記流体を保持するための前記1つ以上のセルは、前記1つ以上の車両のコンポーネントに近接して提供される。
【0048】
1つ以上の実施形態において、前記1つ以上の車両のコンポーネントは、前記高電圧バッテリー、DCモータ、暖房、換気及び空調(HVAC)システム、及び、ドライブエレクトロニクスのうちの1つ以上を含む。
【0049】
1つ以上の実施形態において、前記流体の前記特異的コンダクタンスは、水の特異的コンダクタンスよりも大きい。
【0050】
1つ以上の実施形態において、前記流体の前記特異的コンダクタンスは、約2,500から5,000μS/cmの範囲にある。
【0051】
1つ以上の実施形態において、前記流体は、水とエチレングリコールの混合物を含む。
【0052】
1つ以上の実施形態において、前記方法は、エチレングリコールの品質、又は、水とエチレングリコールの混合物の濃度を含む前記混合物の特性を監視するステップを更に備える。
【0053】
1つ以上の実施形態において、前記高電圧バッテリーは、ハイブリッド車両又はバッテリー電気車両(BEV)において、車両推進に使用されるリチウムイオンバッテリーである。
【0054】
1つ以上の実施形態において、前記流体の前記電気伝導率又は特異的コンダクタンスを決定するステップ、及び、前記1つ以上の電極対にわたって印加する前記電圧を決定するステップは、前記流路に沿って連続的に行われる。
【0055】
1つ以上の実施形態において、前記1つ以上の電極対は、2つ以上のセグメントにセグメント化され、各セグメントは、前記流体に電圧を個別に印加するように構成される。
【0056】
1つ以上の実施形態において、前記2つ以上のセグメントにわたって前記電圧を個別に印加することは、電極表面積に応じて前記流体によって引き出される実効電流を増加又は減少させる。
【0057】
1つ以上の実施形態において、前記2つ以上のセグメントは、均一なサイズである。
【0058】
1つ以上の実施形態において、前記2つ以上のセグメントは、異なるサイズである。
【0059】
1つ以上の実施形態において、前記1つ以上の電極対は、それぞれが1:2:・・・:2(n-1)の比率の実効表面積を有するn個のセグメメントにセグメント化される。
【0060】
1つ以上の実施形態において、前記1つ以上の電極対は、実質的に、平行であり、前記流路に対してほぼ水平面内に配置される。
【0061】
1つ以上の実施形態において、前記1つ以上の電極対は、実質的に、垂直であり、前記流路に対してほぼ垂直面内に配置される。
【0062】
1つ以上の実施形態において、前記1つ以上の電極対は、不活性導電性材料、又は、導電性プラスチック材料、炭素含浸材料及びそれらの組み合わせを含む非金属導電性材料で少なくとも部分的に被覆される。
【0063】
1つ以上の実施形態において、前記1つ以上の電極対は、金属又は非金属導電性材料からなるグループから選択される材料から少なくとも部分的に形成される。
【0064】
1つ以上の実施形態において、前記1つ以上の電極対は、グラファイト、炭素及びそれらの組み合わせを含む導電性の不活性材料から形成される
1つ以上の実施形態において、前記方法は、前記流路を流れる前記流体の流量を計測するステップを更に備える。
【0065】
1つ以上の実施形態において、前記方法は、前記1つ以上のセルにおける前記流体の滞留時間を調整するために、前記流路を通過して流れる前記流体の流量を増加又は減少させるステップを更に備える。
【0066】
1つ以上の実施形態において、前記方法は、前記流路を通過して流れる前記流体の温度を計測するステップを更に備える。
【0067】
1つ以上の実施形態において、前記方法は、前記出口における前記流体の前記温度を計測するステップを更に備え、前記流体の加熱を増加又は減少させるように構成された温度コントローラに対するフィードバックとして前記温度を提供する。
【0068】
1つの実施形態において、前記1つ以上のセルは、前記流路に沿って直列に配列される。
【0069】
1つ以上の実施形態において、前記方法は、前記流体の電気伝導率又は特異的コンダクタンスが所定の範囲外にある場合、前記1つ以上の電極対にわたって前記電圧を印加しない、又は、変化させないステップを更に備える。
【0070】
1つ以上の実施形態において、前記入口及び前記出口は、実質的に、互いに90度で延在する。
【0071】
1つ以上の実施形態において、前記方法は、前記1つ以上の車両のコンポーネントと熱連通する加圧流体を提供するポンプを提供することを更に含む。
【0072】
1つ以上の実施形態において、前記方法は、他の車両システムと通信する車両バスに接続を提供することを更に含む。車両バスは、LIN(Local Interconnect Network)と、非常に低いコストの車両サブネットワークと、を含んでもよい。
【0073】
1つ以上の実施形態において、前記バッテリーの電圧は、約250~約450VDCの範囲にある。
【0074】
1つ以上の実施形態において、流体を保持するための前記1つ以上のセルは、非導電性の軽量プラスチック材料から作製される。
【0075】
1つ以上の実施形態において、前記1つ以上の電極対は、約9kWまで動作可能であると定格される。
【0076】
本発明の別の側面によれば、車両のコンポーネントを加熱するための方法であって、入口から出口に流路に沿って流体を通過させるステップであって、前記流路は、第1セルを通過する前記流体が続いて第2セルを通過するように、前記流路に沿って配置された少なくとも第1セル及び第2セルを含み、各セルは、少なくとも1つの電極対を含み、その間で前記流体に電流が流れ、前記流体が前記流路に沿って通過する間に前記流体内に熱を生成し、前記セルのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのセグメント電極を含み、前記セグメント電極は、電気的に分離可能な複数のセグメントを備え、前記セグメントを選択的に活性化することによって前記セグメント電極の実効表面積を制御することを可能とし、その結果、前記活性化された電極セグメントに電圧を印加すると、引き出される電流は、前記実効表面積に部分的に依存するステップと、前記入口における前記流体の伝導率又は特異的コンダクタンスを決定するステップと、計測された流体の伝導率又は特異的コンダクタンスから、その中の前記流体の温度を第1量だけ上昇させるために前記第1セルによって前記流体に供給すべき必要な電圧及び電流を決定するステップと、加熱された流体の伝導率、又は、前記第1セルの動作から生じる特異的コンダクタンスを決定するステップと、前記加熱された流体の伝導率又は特異的コンダクタンスから、その中の前記流体の温度を第2量だけ上昇させるために前記第2セルによって前記流体に供給すべき必要な電圧及び電流を決定するステップと、前記セグメント電極によって所望の電流及び電圧の供給をもたらすように、前記セグメント電極のセグメントを活性化するステップと、前記加熱された流体から、前記出口を介して、1つ以上の車両のコンポーネントに熱を伝達するステップと、を備える方法、が提供される。
【0077】
1つ以上の実施形態において、前記出口は、前記車両内の熱交換システムに結合される。
【0078】
1つ以上の実施形態において、前記熱交換システムは、前記1つ以上の車両のコンポーネントの間で熱エネルギーを分配するための複数のバルブを含む。
【0079】
1つ以上の実施形態において、前記1つ以上の車両のコンポーネントは、ハイブリッド車両又はバッテリー電気車両(BEV)において、車両推進に使用される高電圧バッテリーを含む。
【図面の簡単な説明】
【0080】
以下、添付図面を参照して、本発明が更に詳細に説明される。図面の詳細は、本発明の前述の説明の一般性に取って代わるものではないことを理解されたい。
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に従って、主要な車両のコンポーネントを加熱するための流体ヒータを取り付けたプラグイン電気車両のブロック図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に従って、n個の加熱セルを通過する車両のコンポーネントを加熱するためのシステムの簡略化されたブロック図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に従って、n個の加熱セルを通過する流体で車両のコンポーネントを加熱するための方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0081】
本発明は、電気車両又は「EV」に好適であり、その例示的であるが非限定的な用途に関連して本発明を説明する。
【0082】
図1は、本発明の実施形態におけるプラグイン電気車両102の全体ブロック
図100を示す。車両102は、潜在的には、幾つかの追加の駆動コンポーネント108を介して、DCモータ110によって駆動される4つの車輪104を含む。DCモータは、内部電源120によって電力供給される。図示の実施形態において、内部電源120は、充電式DC電源であり、DCモータドライブエレクトロニクスと、例えば、リチウムイオンバッテリーなどのバッテリーとの組合せで形成される。内部電源120の電圧は、例えば、約250~450VDCである。内部電源120は、充電ポート118aを介して、外部電源116を介して、充電される。充電ポート118bは、車両102の外部の外部電源116から電力を受け取るための電力インタフェースである。充電時において、充電ケーブル126のコネクタ118aは、充電ポート118bに接続される。
【0083】
充電ポート118bは、内部電源に電気的に接続される。コネクタ118aが充電ポート118bに接続されると、様々な相互接続された電子システムは、外部電源116から供給される電力を、内部電源120によって必要とされる電力に変換し、それを充電する。当業者は、上述した充電機能、例えば、1つ以上のバッテリー充電器、コンバータ(DC/DC、AC/DC、及び/又は、DC/AC)、及び/又はインバータなどを提供するたえの適切な設計を認識するであろう。
【0084】
また、車両102は、当技術分野で周知のように、ヒータ及び/又は空調機器124、電子制御ユニット(ECU)122、インバータ、コンバータ、及び、パワーステアリングモータ又はポンプ(不図示)などのコンポーネントを含むことができる。近代的車両は、エンジン、パワートレイン、トランスミッション、ブレーキ、サスペンション、オンボードエンターテインメントシステム、通信システムなどのコンポーネントの動作を制御するために、多くのECUを利用する。ECUは、パワーステアリングからブレーキング、加速まで、近代的車両の基本的な動作を制御する。また、幾つかの自動車は、オンボード診断(OBD)ポート又は(例えば、様々なタイプのワイヤレス通信技術を用いた)無線を通じて、高度な診断フィーチャを提供するように構成されたECUを装備することができる。図示の実施形態において、ECU122は、それらの上述の目的の少なくとも幾つかを提供するために、バス112を介して、幾つかの車両のコンポーネントに電気的に接続される。過度に複雑な図面を回避するために、バス112は、全ての車両のコンポーネントに接続されているようには示されていない。しかしながら、近代的車両において、ドライブトレインを含む他のコンポーネントは、OBDポートに接続される可能性がある。
【0085】
車両の各コンポーネント108、110、120、122及び124に近接して、1つ以上の流体ヒータ106がある。ヒータ106は、熱交換器114を介して、車両の各コンポーネント108、110、120、122及び124に熱的に結合される。熱交換器114の様々な可能な構成は、当技術分野で知られている。
【0086】
図1の実施形態は、複雑な熱ループ又は熱回路及び前記ループに関連する関連熱放散を伴わずに、熱交換器114を介して加熱される車両のコンポーネントに効果的に結合される小型流体ヒータ106を提供する。例えば、熱伝達経路及びパターンは、望ましくない熱損失を低減するために、包括的に設計する必要があり、そのために、熱源を、加熱されるコンポーネントのすぐ近くに配置することを含む、熱科学からの理論及び方法論に基づいて、幾つかの改善を行うことができ、それによって、長い伝導経路又は対流経路上の熱損失を回避する。
【0087】
しかしながら、6個未満の流体ヒータが使用されてもよく、その場合、循環流体、1つ以上のポンプ、1つ以上の熱交換器、及び、任意選択的に、流れを制御するためのバルブを含む熱ループ又は熱回路が使用されてもよいことが理解されるであろう。幾つかの例において、熱ループは、任意選択的に、流体でループを充填するためのポートを含み、また、任意選択的に、リザーバタンクを含む。熱ループは、車両のコンポーネントに又はから、特に、バッテリーに対して熱を輸送及び誘導し、必要に応じて、この熱を別のループに、又は、周囲の空気に直接的に再誘導するように機能する。
【0088】
流体ヒータ106は、小型ポンプを用いて、流体ヒータ106と、それらのそれぞれの熱交換器114との間で循環される流体を加熱するために使用される。熱交換器114は、加熱されている車両のコンポーネントに、熱を伝達するために使用される。伝達される熱のレベルは、流体ヒータ106及びコントローラによって制御され、
図2及び
図3を参照して、より詳細に説明される。
【0089】
この又は同様の実施形態において、流体ヒータ106は、複数の電極セクションを使用し、電子制御下において、電気エネルギーを流体に直接印加して流体を加熱し、流体自体内に加熱を引き起こす。
【0090】
流体ヒータの電圧は、内部電源120又は外部電源116によって提供され、設定流体流量及び流体伝導率の変化を管理する。
流体ヒータ106は、閉ループ連続流流体ヒータであり、流体の流れがポンプを介して促進されるため、温度及び導電率の変動の制約された範囲内で動作する。外部の温度に応じて、車両のコンポーネントは、車両が充電のために外部電源116に接続されるときに、特定の温度レベルに事前に調整されてもよい。内部は、外部電源116から独立して事前調整することができる。
【0091】
図2は、本発明の実施形態における、流体200を加熱するためのシステムの簡略化されたブロック図を示す。流体は、流路208に沿って配列された3つの加熱セル202、204及び206を通って流れるようにされる。流路208は、加熱セル202、204及び206への入口210と、加熱セル202、204及び206からの出口212と、を含む。入口及び出口は、実質的に、互いに180度で延在するが、他の構成も考えられる。加熱セル202、204及び206は、流路を、それが通過するときに保持し、当業者は、上述の機能を提供するための適切な設計、例えば、チューブ又はパイプを認識するであろう。
【0092】
1つ以上の実施形態において、加熱セル202、204及び206は、本体214に収容される、又は、一体化される。本体214は、好ましくは、合成プラスチック材料などの非導電性、且つ、軽量な材料から作製される。有利には、これは、自動車用途において望ましいシステムを非常に軽量(1.7kgのオーダー)にする。しかしながら、本体214は、導電性である銅パイプ又はニップルなどの金属固定具に接続されてもよい。従って、
図2に示すアース接続216は、システム200に接続される任意の金属チューブを電気的にアースするために、本体214の入口210及び出口212に含まれる。アース接続216は、理想的には、実施形態の加熱システムが設置された車両の電気アースに接続される。アース接続216は、電極の電圧によって、システム200を通過する水を通して電流を引き込むことができるため、漏電保護のアクティベーションが生じる。システム200は、漏電保護回路を含む。当業者によって理解されるように、漏電保護回路は、最小限の漏電電流を検出し、更に、これらの電流から人員又は機器を保護するために、下流の回路から電源を切断するように設計される。
【0093】
自動車用途において、システム200は、電気車両に含まれる電気システムが絶縁抵抗試験を受けることを要求するISO 16750-2:2010(E)を含む様々な安全規格に準拠することが要求されることが理解されるであろう。例えば、システム200は、直流的に絶縁された回路間の電流を回避するために必要とされる最小値のオーム抵抗を保証する試験をパスする必要があり、この場合、絶縁は、誘導又は容量手段のいずれか、及び、システム200の導電性パーツによって実現される。そのような試験は、本体214の材料を含む絶縁システムの相対的な品質の指標を与えることができる。非導電性プラスチック材料から本体214を製造することができることは、背景技術の欄に記載された従来技術のヒータに大きな利点を提供する。
【0094】
図示の実施形態において、流路208は、電極対202a、204a及び206aのそれぞれのセットを含む3つの加熱セル202、204及び206を備える。しかしながら、追加の又はより少ない加熱セルを使用することができることも理解されるであろう。電極は、金属であってもよいし、或いは、導電性プラスチック材料、炭素、炭素含浸材料などの非金属導電性材料であってもよい。
【0095】
電極基板及びコーティングは、水、エチレングリコールの混合物を加熱しながら、化学反応及び/又は電気分解を最小限に抑えるために、導電性材料(又は材料の組み合わせ)のグループから選択されることが重要である。
【0096】
また、電極対は、グラファイト、炭素、及び、それらの組合せなどの導電性の不活性材料から製造されてもよい。また、それらは、異なる電極に区分されるが、共通の基板などを共有するように製造されてもよい。
【0097】
1つ以上の実施形態において、各電極対202a、204a及び206aのうちの1つの電極は、2つ以上のセグメントにセグメント化され、各セグメントは、電圧を個別に印加するように構成される。各電極対202a、204a及び206aのセグメント電極は、別個の電圧供給電力制御デバイスQ1、Q2、・・・、Qnを介して、共通のスイッチ電気供給経路218に接続され、一方、各電極対202b、204b及び206bのうちの他方は、それぞれ、入力DC電圧供給源220に接続される。別個の電圧供給電力制御デバイスQ1、Q2、・・・、Qnは、コントローラ222によって提供される電力管理制御に従って、共通の電力供給を切り替える。コントローラ222は、システム200の他のコンポーネントと相互作用して、流体の流量を調整又は計測し、漏電を検出し、入口210及び/又は出口212における(又は流路208に沿った他の位置における)温度を計測し、及び/又は、加熱セル202、204及び206における(又は流路208に沿った他の位置における)流体によって引き出される電流224を計測するマイクロプロセッサを含んでもよい。
【0098】
加熱セル204及び206にも供給される加熱セル202に供給される電流は、電流計測デバイス224によって計測される。1つの電流計測デバイス224のみが示されている。しかしながら、各加熱セル202、204及び206における電流は、個々の電流計測デバイス224によって計測されてもよいことが理解されるであろう。例えば、電力制御デバイスQ1、Q2、・・・、Qnの出力に電気的に接続されたホール電流センサによって行われた電流計測値は、電力管理コントローラ222に通信される。
【0099】
1つ以上の実施形態において、電流計測デバイス224は、流体によってDC電源220から引き出されている電流を決定するように動作可能であるように、電力制御デバイスQ1、Q2、・・・、Qnに結合される。電流計測デバイス224の出力信号を増幅するために、電流増幅器が使用されてもよい。次いで、増幅された信号は、コントローラ222によって受け取られ、閾値レベルと比較される。計算された電流閾値レベルは、典型的には、アンペアの範囲として設定され、その結果、流体によって引き出される電流は、流体が流路208を通って流れるときにのみ、閾値レベルに等しい、又は、ほぼ等しいままである。システム200が使用されている間、コントローラ222は、電流計測デバイス224の出力を閾値レベルと比較し、電極対の組合せの選択に対して適切な調整を行うとともに、電極対202a、204a及び206aに供給される電圧に対して適切な調整を行って、流体を加熱するために、実質的に、一定の電流を維持し、一方、電源の電流処理能力が超えられないことを一貫して保証する。しかしながら、システム200が、スタンバイモードに入るなど、非使用状態に入ると、コントローラ222は、それに応じて、加熱セル202、204及び206に印加される電圧を除去する。
【0100】
非限定的な例として、電流計測デバイス224は、流体を加熱するために電極対202a、204a及び206aにわたって印加する理想的な電圧を決定するように、流体を通る電流の検出された流れの僅かな増加を感知することが可能である。即ち、電流計測値は、入力インタフェース224を介して、電源コントローラとして機能するコントローラ222に、入力信号として供給される。
【0101】
1つ以上の実施形態において、コントローラ222は、入力インタフェース224を介して、本体214への入口210の近くに位置する流量制限226を組み込んだ流量計測デバイス又は流量スイッチから、信号を受け取ることもできる。電極202a、204a及び206aの任意のセット間を通過する流体の体積は、流量を計測することによって正確に決定することが可能である。同様に、所与の体積の流体が電極から電力を受け取る滞留時間は、通路を通る流体の流量を計測することによって決定することができる。流量は、流体の流量及び/又はポンピング又は調整に関連する1つ以上の閾値によって制限されることが理解されるであろう。
【0102】
流体の加熱は、それが、加熱セルにおいて、(上述したように)電極に曝されることに起因する。加熱は、流体によって引き出される必要な電流を提供することによって促進される。この用途において、流体(例えば、水とエチレングリコールの混合物)の特定コンダクタンスは、約2,500~5,000μS/cmの範囲、即ち、水よりも著しく大きい。これは、電極が水を加熱するために使用されるそれらよりも著しく小さくなることを意味し、これは、電気車両が約250~約450VDCの非常に高いDC電圧で動作することを考慮すると、非常に高い電源電圧によって悪化する。プロピレングリコール、並びに、グリセロール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどを含むグリコールの他の混合物も適切であることが理解されるであろう。
【0103】
従って、流体を流れる電流は、その流体の電気伝導率又は特異的コンダクタンスの尺度として使用することができるため、印加電圧の必要な変化、及び、引き出された電流を加熱し、その熱を極めて効率的に維持するために必要とされる選択された電極の組み合わせの決定を可能にする。
【0104】
流体の電気伝導率及び特異的コンダクタンスは、温度の上昇とともに変化し、従って、流体の流れ208の経路に沿って特異的コンダクタンスの勾配を生じさせる。1つ以上の実施形態において、コントローラ222は、入口210における流体の温度を計測するために、信号入力インタフェース224を介して、入力温度計測デバイス228から、信号を受け取る。入口212における流体の温度を計測するために、出力温度計測デバイス230が設けられていてもよい。入力温度計測装置228及び出力温度計測装置230からの信号は、コントローラ222に対してフィードバックとして提供され、流体の温度を正確に計算し、また、継続的に監視することを可能にする。
【0105】
本実施形態のシステム200は、更に、システムが設置される特定の場所から生じるか、或いは、単一の場所で時間ごとに生じる、又は、流体の温度の変化によって生じるかにかかわらず、流体の伝導率又は特異的コンダクタンスの変化に適応することができる。この点に関して、流体の伝導率又は特異的コンダクタンスは、加熱セル202、204及び206を通って流れる流体によって引き出される電流に正比例するものとして決定される。有利には、これらの変化は、コントローラ222によって解釈され、診断目的のために使用されることもできる。例えば、水とエチレングリコールの混合物の予想される導電率よりも低いことは、不良品質のエチレングリコール又は同様のものを示す。これの指示は、コントローラ222によって、OBDポート又は無線(例えば、様々なタイプの無線通信技術を用いて)234を介して、高度な診断フィーチャを提供するように構成されたECUに送られる。他の診断情報もこの方法で送ることが可能であり、入口温度、出口温度、電力使用率、流体の品質及び導電率の増加又は劣化、電力消費、電圧、流量、エラーコード及び他の診断情報などを含むが、これらに限定されない。同様に、コントローラ222は、限定はしないが、最大印加電力レベルの設定、他のデバイスとの協調電力消費、最大及び最小流体温度限界の設定、動作中又は待機中の変化温度設定、エラー及び故障管理情報、オン又はオフメッセージを含む、車両からの情報を受け取る。
【0106】
流体の導電率又は特異的コンダクタンスの変動は、所与の印加電圧に対して各電極によって引き出される電流の量の変化を引き起こす。この実施形態は、そのような変動を監視し、システム200が、決定された導電率又は特異的コンダクタンス値を用いて、システムが動作することを可能にする前に、電極セグメントの相応の組み合わせを初期に選択することで、所望のレベルの電流を引き出すことを保証する。202a、204a、206aによって表される電極は、多数の電極セグメント202ai及び202aii、204ai、204aii、206ai及び206aiiにセグメント化される。
【0107】
それぞれの電極について、aiセグメントは、典型的には、電極の活性領域の約3分の1又は3分の2を形成するように製造され、aiiセグメントは、典型的には、電極の活性領域の約3分の2又は3分の1を形成するように製造される。従って、適切なセグメント又はセグメントの適切な組み合わせの選択は、電極の実効面積が電極面積に対して3つの利用可能な値のうちのいずれか1つになることを可能にする。その結果として、高導電率の流体では、流体を加熱するために引き出される必要な電流を維持しながら、所与の電圧に対して、電極によって引き出される電流が所望の又は安全なレベルを超えて上昇することを防止するように、より小さい電極面積が選択される。一方、不十分な導電率の流体では、所望の加熱に影響を与えるために、必要な電流が引き出されるように、より大きな電極面積が選択される。セグメントの選択は、必要に応じて、電力スイッチデバイスQ1、・・・、Qnを作動又は非作動にすることによって簡単に行うことができる。
【0108】
特に、選択された電極セグメントの合計表面積は、電源システムの定格最大電流値を超えないことを保証するために特別に計算される。
【0109】
1つ以上の実施形態において、コントローラ222は、様々な監視された入力を受け取り、流路208を通って流れる流体を加熱するために、電極の活性領域の選択、所望の電極対の電圧及び電流に関して必要な計算を行う。コントローラ222は、電極部202、204及び206のそれぞれに接続された内部DC電源又は外部電源(
図1を参照して説明したように)のいずれかからの電圧の供給を制御する。
【0110】
電圧供給は、コントローラ222から電力スイッチデバイスQ1、・・・、Qnへの別個の制御信号によって別個に制御される。従って、コントローラ222が代表的な入力信号を受け取る様々なパラメータに基づいて、コントローラ222内のソフトウェアプログラム又はファームウェアの制御下の計算手段は、
図3を参照して説明するように、流路208を流れる流体の所望の温度を与えるために必要な電圧を供給するために、電力スイッチデバイスによって必要とされる制御パルスを計算することが理解されるであろう。パルス幅変調(PWM)制御は必要ではないが、コントローラ222は、変調された信号を受け入れるように構成される。これは、システム200が車両の制御システムによって決定される要件に基づいて熱伝導方程式を本質的に適用するからである。そして、このシステム200は、バッテリー、ドライブエレクトロニクス、駆動モータ、キャビン冷却剤加熱システムなどの熱力学的負荷に従って、要件を動的に変更することができる。
【0111】
幾つかの実施形態において、コントローラ222は、電流計測デバイス224、温度センサ228及び230、流量制限226を組み込んだ流量計測デバイス又は流量スイッチ、電力スイッチデバイスQ1、・・・、Qnなどからの読み取り値をデジタル値に変換し、これらのデジタル値に基づいて、メッセージをデジタル通信デバイス232に通信する。また、限定はしないが、移動平均フィルタ、均等な加重移動平均フィルタなど、又は、ファームウェアでの実装に特に適している、これらのフィルタの組み合わせなどのフィルタリング方法も使用されることを理解されたい。そして、メッセージは、限定はしないが、車両バス技術、イーサネット(登録商標)、RS485などのハードワイヤードデジタル通信サービス、又は、アプリケーション234又はクラウドコンピューティングプラットフォームによる処理のための802.11 Wi-Fiネットワーク又はBluetooth(商標)などのワイヤレス接続を介して、他のデバイス(例えば、コンピュータシステムの他の形態のうちのコンピュータ、スマートフォン、タブレット、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、サーバコンピュータ)に送ることができる。有利には、これは、システム200の遠隔監視及び/又は構成を提供することができ、オペレータが、加熱される流体の特性に基づいて、流量又は電力などのパラメータを変更することを便利にする。例えば、溶液の伝導率が低い場合、流量を減少させること、及び/又は、温度を上昇させることである。また、システムの保守管理は、採用したデジタル通信方法を介して、容易にすることができる。
【0112】
様々な制御実装が可能であることが理解されるであろう。例えば、システム200は、幾つかの実施形態において、部分的にクラウドベースのサービスを使用することができる人工知能ベースの制御メカニズムを含むことができる。上述したように、流量を増加又は減少させる(即ち、流体が加熱セルに滞留する滞留時間を増加又は減少させる)、又は、電圧(及びその後の引き出される電流)を決定することは、コントローラ222(又はワイヤレストランシーバ232を介して別のプラットフォーム)に提供される、インタフェース224を介した多数のセンサ入力に基づいてもよい。この通信及び計算の調整は、コントローラ222内、アプリケーション234内又はクラウドでホストされるアプリケーション内で自動的に行われてもよい。更に、コントローラ222は、入力データに基づいて機械学習を実行してもよい。この情報に基づいて、システム200は、流量、電圧、温度などを先制的に変更してもよい。
【0113】
通信は、
これらに限定されないが、AFDX、ARINC 492、Byteflight、CAN(Controller Area Network) 自動車のコンポーネントを相互接続するための安価な低速シリアスバス、D2B(Domestic Digital Bus) 高速マルチメディアインタフェース、FlexRay セーフティクリティカルな汎用高速プロトコル、IDB-1394、IEBus、I2C、ISO 9141-1/-2、J1708及びJ1587、J1850、J1939及びISO 11783 商用(J1939)車両及び農業用(ISO11783)車両のためのCANの適応、キーワードプロトコル2000(KWP2000) 自動車診断デバイスのためのプロトコル(シリアルライン又はCAN経由)、LIN(ローカル相互接続ネットワーク) 非常に低コストの車載サブネットワーク、SMARTwireX、SPI、VAN(車両エリアネットワーク)、UAVCAN(Uncomplicated Application-level Vehicular Communication And Networking)、Wi-Fi 802.11、6LowPan/ZIGBEE(商標)802.15、Ethernet 802.3、Ethernet 802.11及び802.15.4、及び、RS485を含む、任意の適切なデジタル通信プロトコルを用いて実行されることが理解されるであろう。それは、バス、ケーブル、ワイヤレス通信チャネル、無線ベースの通信チャネル、インターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、セルラー通信ネットワーク、又は、任意のインターネットプロトコル(IP)ベースの通信ネットワークなどを含む。好ましい実施形態において、通信は、LINバスを用いて実行される。LINバスは、安価なシリアル通信プロトコルであり、車のネットワーク内のリモートアプリケーションを効果的にサポートする。これは、特に、分散型自動車用途におけるメカトロニクスノードを対象とするが、産業用途にも同様に適している。これは、車内の階層ネットワークにつながる既存のCANネットワークを補完することを意図している。
【0114】
また、ワイヤレストランシーバ232は、リモートファームウェアアップデートメカニズムとコントローラ222との間の通信を容易にするように適合されてもよい。当業者によって理解されるように、リモートファームウェアアップデートメカニズムは、コントローラ222とともに、リモートリポジトリからのアップデートを定期的にチェックし、ファームウェアアップデートをダウンロードし、ダウンロードされたファームウェアを既存のファームウェアと比較して、ダウンロードされたファームウェアをインストールする必要性などを決定するように適合されてもよい。
【0115】
図3は、
図2を参照して説明した実施形態を含む、本発明の実施形態における流体を加熱するための方法のフローチャートを示す。
【0116】
方法300は、開始ブロック302で開始し、ステップ304では、第1電極対を含む第1加熱セルへの入口において、流体の電気伝導率又は特異的コンダクタンスが決定される。1つ以上の実施形態において、電気伝導率又は特異的コンダクタンスは、初期電圧が電圧供給電力制御デバイス(即ち、
図1を参照して説明したQ1)から第1電極対にわたって印加されている間に、流体によって引き出される電流の量によって決定される。
【0117】
ステップ306において、流体の電気伝導率又は特異的コンダクタンスから、流体を設定温度まで加熱するのに十分な電流で第1電極対にわたって印加する電圧が決定される。ステップ308において、電極セグメントの組み合わせが決定される。例えば、セグメント電極が3つのセグメントに分割される場合、セグメントは、1:2:4の比率の相対実効面積を有し、即ち、セグメントは、好ましくは、それぞれ、全実効電極面積の7分の4、7分の2及び7分の1を構成する。1つ以上の実施形態において、セグメントの全ては、相対的に低い導電率又は特異的コンダクタンスである流体に対して活性化し、1つ以上のセグメントは、相対的に高い伝導率又は特異的コンダクタンスである流体に対して活性化してもよい。
【0118】
印加電圧及び電極セグメントの組み合わせが決定されると、ステップ310において、流体によって引き出される電流が計測される。
【0119】
ステップ312において、システムの電流制限を超えているかどうかが判定される。システムの電流制限が制限を超えていれば、プロセスは、ステップ318で終了する。システムの電流限界が限界を超えていなければ、ステップ314において、流体を設定温度まで加熱するのに十分な電流が存在するかどうかが判定される。
【0120】
1つ以上の実施形態において、方法は、ステップ316に戻り、電気伝導率又は特異的コンダクタンスが連続的に決定され、全ての加熱セル202、204及び206における供給電圧及び電極セグメントの組み合わせに対する適切な調整が、流体を設定温度に維持するために、実質的に、一定の電流を維持するように行われる。有利には、ステップ316に戻ることによって、方法は、エチレングリコールと水の混合物の濃度、又は、時々又は特定の場所に基づいて生じるエチレングリコールの特定の品質の変化から生じる流体の導電率又は特異的コンダクタンスの変化に適応することができる。
【0121】
1つ以上の実施形態において、ステップ310~316は、方法がステップ318で終了するまで、n個の加熱セルに対して繰り返されてもよい。
【0122】
幾つかの実施形態は、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、カスタマイズされたプロセッサ及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの1つ以上の汎用又は特殊化されたコントローラ又はプロセッサ(又は「処理デバイス」)と、本明細書で説明する方法及び/又は装置の機能の幾つか、殆ど又は全てを、特定の非プロセッサ回路とあわせて実装するように1つ以上のプロセッサを制御する一意の記憶されたプログラム命令(ソフトウェア及びファームウェアの両方を含む)とから構成されてもよいことが理解されるであろう。代替として、幾つか又は全ての機構は、記憶されたプログラム命令を有さないステートマシーンによって、又は、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)において実装され、各機能又は特定の機能の幾つかの組み合わせは、カスタムロジックとして実装される。勿論、2つのアプローチの組み合わせを使用することができる。
【0123】
「被覆された」という用語は、「被覆された電極」に関して本明細書で使用される場合、別の材料の外表面上への材料の取り付けを指してもよい。取り付けは、他の材料の外表面の部分的又は全体的なカバレッジであってもよく、任意の機械的、化学的、他の力又は結合によるものであってもよい。
【0124】
「製造された」という用語は、グラファイト、炭素、及び、それらの組み合わせなどの導電性不活性材料から製造される1つ以上の電極対の製造を指してもよい。
【0125】
「熱交換器」という用語は、本明細書で使用される場合、1つの媒体から別の媒体に熱を伝達するためのデバイスを指してもよい。熱交換器の例は、コイル、プレート、フィン、パイプ、及び、これらの組み合わせを含むことができる放熱器を含む。
【0126】
「流体」という用語は、本明細書で使用される場合、気体、液体、ゲル、及び、それらの組み合わせを指してもよい。冷却流体又は冷却剤は、熱回路内で熱を伝達するのを補助する。幾つかの例において、熱伝達流体の代わりに、固体導体が使用されてもよい。
【0127】
「熱的に結合された」という用語は、本明細書で使用される場合、2つ以上のコンポーネント又はデバイスの間で熱を交換する(即ち、受け取る又は放散する)ことができるように、連通する2つ以上のコンポーネント又はデバイスを指してもよい。熱的に結合されたデバイスは、熱を伝達又は交換するためのパイプ又は他の媒体によって近接又は分離されてもよい。
【0128】
「熱ループ」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも、循環流体、1つ以上のポンプ、熱交換器、任意選択的な電気流体加熱器、及び、任意選択的な流量を制御するバルブを含む回路を指してもよい。幾つかの例において、熱ループは、流体でループを充填するためのポートを任意選択的に含み、リザーバタンクも任意選択的に含む。熱ループは、バッテリーに熱を輸送し、バッテリーから熱を導き、必要に応じて、この熱を別のループ又は周囲空気に直接的に排除するように機能する。
【0129】
「パワートレイン」という用語は、本明細書で使用される場合、エンジン、バッテリー、電気モータ、モータパワーエレクトロニクス、バッテリー電力エレクトロニクス、搭載バッテリー充電器、及び、DC-DCコンバータのうちの1つ以上を指してもよい。
【0130】
「ドライブトレイン」は、本明細書で使用される場合、トランスミッションを駆動軸に接続する、自動車両におけるシステムを指す。ハイブリッド車両は、例えば、電動ドライブトレインを含むことができる。
【0131】
用語「備える(comprise)」、「備える(comprises)」、「備えた(comprised)」又は「備えている(comprising)」という用語が本明細書(特許請求の範囲を含む)において使用される場合、それらは、説明したフィーチャ、整数、ステップ又はコンポーネントの存在を特定するが、1つ以上の他のフィーチャ、整数、ステップ又はコンポーネント、又は、それらのグループの存在を排除するものではない。
【0132】
限られた数の実施形態とあわせて本発明を説明してきたが、上述の説明を参照して多くの代替的な修正及び変形が可能であることが、当業者によって理解されるであろう。従って、本発明は、本発明の精神及び範囲に含まれる、全てのそのような代替形態、修正形態及び変形形態を、閉じたものとして包含することを意図する。
【国際調査報告】