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特表2024-526632強化EUVフォトレジストおよびその使用方法
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  • 特表-強化EUVフォトレジストおよびその使用方法 図1
  • 特表-強化EUVフォトレジストおよびその使用方法 図2
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  • 特表-強化EUVフォトレジストおよびその使用方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】強化EUVフォトレジストおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20240711BHJP
   G03F 7/038 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
G03F7/004 501
G03F7/004 503
G03F7/004 503A
G03F7/038
G03F7/038 601
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023581008
(86)(22)【出願日】2022-07-05
(85)【翻訳文提出日】2024-02-27
(86)【国際出願番号】 US2022036121
(87)【国際公開番号】W WO2023283189
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】63/218,351
(32)【優先日】2021-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519298329
【氏名又は名称】ロビンソン,アレックス,ピー.ジー.
【氏名又は名称原語表記】ROBINSON,Alex,P.G.
【住所又は居所原語表記】117 Bunbury Road,Northfield,Birmingham B31 2NB(GB)
(71)【出願人】
【識別番号】518413055
【氏名又は名称】ジャクソン,エドワード,エイ.
【氏名又は名称原語表記】JACKSON,Edward,A.
(71)【出願人】
【識別番号】518413033
【氏名又は名称】ロス,ジョン,エル.
【氏名又は名称原語表記】ROTH,John,L.
(71)【出願人】
【識別番号】516151542
【氏名又は名称】ラダ,トーマス
【氏名又は名称原語表記】LADA,Thomas
(71)【出願人】
【識別番号】524002980
【氏名又は名称】オカラガン,グレッグ
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン,アレックス,ピー.ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン,エドワード,エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ロス,ジョン,エル.
(72)【発明者】
【氏名】ラダ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】オカラガン,グレッグ
【テーマコード(参考)】
2H225
【Fターム(参考)】
2H225AC11
2H225AE14P
2H225AF24P
2H225AF43P
2H225AF78P
2H225AN51P
2H225AN56P
2H225AN57P
2H225AN82P
2H225BA13P
2H225BA26P
2H225CA12
2H225CB18
2H225CC01
2H225CC12
2H225CC17
2H225CD05
(57)【要約】
本特許出願は、溶媒と、(I)から選択した化学構造を有するエステルと、を含み、XとYは同一または異なり、X、YおよびR~Rは、分枝または非分枝の、鎖中に0~16個のヘテロ原子が置換された炭素原子数1~24の置換または非置換のアルキル鎖であり、置換または非置換のフェニル基、ヘテロ芳香族基、または縮合芳香族基もしくは縮合ヘテロ芳香族基、またはこれらの組み合わせである、物質組成物を開示する。
【化1】



【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒と、化学構造(I)、
【化1】


を有するエステルと、を含み、
式中、X、YおよびR~Rは、分枝または非分枝の、鎖中に0~16個のヘテロ原子が置換された炭素原子数1~24の置換または非置換のアルキル鎖であり、置換または非置換のフェニル基、ヘテロ芳香族基、または縮合芳香族基もしくは縮合ヘテロ芳香族基、またはこれらの組み合わせである、物質組成物。
【請求項2】
スルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホンイミド、ハロゲン含有化合物、スルホン化合物、エステルスルホン酸塩化合物、ジアゾメタン化合物、ジカルボキシイミジルスルホン酸エステル、イリデンアミノオキシスルホン酸エステル、スルファニルジアゾメタン、またはこれらの混合物から選択される1種以上の光酸発生剤を、混和物にてさらに含む、請求項1に記載の物質組成物。
【請求項3】
少なくとも1つの架橋剤をさらに含み、前記少なくとも1つの架橋剤が酸感受性モノマーまたはポリマーを含み、前記少なくとも1つの架橋剤が、グリシジルエーテル、ノボラック樹脂のグリシジルエーテル、グリシジルエステル、グリシジルアミン、メトキシメチル基、エトキシメチル基、ブトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジブトキシメチル基、ジメチロールアミノメチル基、ジエチロールアミノメチル基、ジブチロールアミノメチル基、モルホリノメチル基、アセトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ホルミル基、アセチル基、ビニル基またはイソプロペニル基を含む、請求項2に記載の物質組成物。
【請求項4】
前記組成物が、紫外線(UV)、深UV、真空UV、極端UV、EUVを超える紫外線(BEUV)、X線、電子線およびイオン線に対して感光性を有するフォトレジストである、請求項3に記載の物質組成物。
【請求項5】
溶媒と、(IV):
【化2】


から選択される化学構造を有するエステルと、を含み、
式中、m=1~4、n=1~4であり、XおよびYは同一または異なり、分枝または非分枝の、鎖中に0~16個のヘテロ原子が置換された炭素原子数1~24の置換または非置換のアルキル鎖であり、置換または非置換のフェニル基、ヘテロ芳香族基、または縮合芳香族基もしくは縮合ヘテロ芳香族基、または両者の組み合わせである、物質組成物。
【請求項6】
m=2およびn=3である、請求項5に記載の物質組成物。
【請求項7】
スルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホンイミド、ハロゲン含有化合物、スルホン化合物、エステルスルホン酸塩化合物、ジアゾメタン化合物、ジカルボキシイミジルスルホン酸エステル、イリデンアミノオキシスルホン酸エステル、スルファニルジアゾメタン、またはこれらの混合物から選択される1種以上の光酸発生剤を、混和物にてさらに含む、請求項6に記載の物質組成物。
【請求項8】
少なくとも1つの架橋剤をさらに含み、前記少なくとも1つの架橋剤が酸感受性モノマーまたはポリマーを含み、前記少なくとも1つの架橋剤が、グリシジルエーテル、ノボラック樹脂のグリシジルエーテル、グリシジルエステル、グリシジルアミン、メトキシメチル基、エトキシメチル基、ブトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジブトキシメチル基、ジメチロールアミノメチル基、ジエチロールアミノメチル基、ジブチロールアミノメチル基、モルホリノメチル基、アセトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ホルミル基、アセチル基、ビニル基またはイソプロペニル基を含む、請求項7に記載の物質組成物。
【請求項9】
前記組成物が、紫外線(UV)、深UV、真空UV、極端UV、X線、電子線およびイオン線に感光性を有するフォトレジストである、請求項8に記載の物質組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術の出願の参照
本出願は、2021年07月04日に出願された「Enhanced EUV Photoresists and Methods of Their Use」と題する米国特許出願番号63/218351の一部継続出願であり、その35 U.S.C.§120に基づく利益を主張するものであり、この出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本特許出願は、ナノリソグラフィ材料の分野におけるものであり、より具体的には、双性イオン性材料を含有する分子ガラスフォトレジスト、その配合物およびその使用の分野におけるものである。
【背景技術】
【0003】
周知のように、ICやLSIなどの各種電子デバイスまたは半導体デバイスの製造工程では、半導体シリコンウェハなどの基材の表面にレジスト層をファインパターンニングする。このファインパターニングプロセスは、従来、基板表面にポジ型またはネガ型の感光性組成物を均一に塗布して薄層を形成し、透過型または反射型のマスクを介して選択的に化学線(紫外線(UV)、深UV、真空UV、極端UV、X線、電子線、イオン線など)を照射し、次いで現像処理を施して、塗布された感光性層を露光または未露光の領域でそれぞれ選択的に溶解除去し、基板表面にパターン化されたレジスト層を残すフォトリソグラフィ法によって行われてきた。こうして得られたパターン化されたレジスト層は、その後のエッチングなどの基板表面の処理においてマスクとして利用することができる。量子閉じ込め効果のような新しい現象を利用した電子デバイスおよび光デバイスの実現が可能になり、また部品の充填密度を高めることができるため、ナノメートルオーダーの寸法を持つ構造の製造は、非常に関心の高い分野である。その結果、レジストパターンはますます微細化することが求められており、これは、従来の紫外線光よりも波長の短い化学線を使用することによって達成することができる。そのため、短波長の化学線として、従来の紫外線光に代わり、電子線(eビーム)、エキシマレーザー光、EUV、BEUV、X線などが使われるようになった。言うまでもなく、得られる最小サイズは、レジスト材料の性能と、一部は化学線の波長によって決まる。適切なレジスト材料として様々な材料が提案されている。例えば、ポリマー架橋に基づくネガ型トーンレジストの場合、ポリマー1分子のおおよその半径である約10nmという固有の解像度の限界がある。
【0004】
また、レジスト材料に「化学増幅」と呼ばれる技術を応用することも知られている。化学増幅型レジスト材料は、一般に、酸に不安定な基や光酸発生剤(PAG)で保護されたポリヒドロキシスチレン(PHOST)樹脂などの主ポリマー成分であることが多いマトリックス材料と、レジストに所望の特性を付与する1つ以上の追加成分が存在する多成分配合物である。マトリックス材料は、エッチング耐性や機械的安定性などの特性に寄与する。定義によれば、化学増幅はPAGが関与する触媒プロセスによって起こり、その結果、1回の照射で複数のレジスト分子が変質する。PAGによって生成された酸はポリマーと触媒的に反応し、官能基を失わせるか、または代替的に架橋現象を引き起こす。反応速度は、例えば、レジスト膜を加熱することで速めることができる。こうすることで、少ない照射回数で多くの溶解度変化現象が生じるため、材料の化学線に対する感度が大幅に向上する。上述したように、化学増幅型レジストは、ポジ型またはネガ型であり得る。
【0005】
ある特定の化学増幅型レジストは、大きなポリマーを使わない。ナノメートルスケールのパターニングが望まれる場合、低分子量ポリマー、あるいは低分子をレジストマトリックス材料として使用することができる。これらは「分子ガラス」レジスト(MGR)と呼ばれることがあり、この例では、オリゴマー、多芳香族炭化水素誘導体、ディスコティック液体結晶、フラーレン、マクロサイクル、低分子アモルファス、その他の低分子量レジストなどの分子を含むものとする。MGRは、高分子化学増幅型レジストと比較して多くの潜在的利点を提供し得るが、このクラスの材料には、潜在的に課題となりうることがまだいくつかある。ポジ型トーンモレキュラーレジストにおける保護基の除去とその後の揮発は、レジストの質量の最大約50%の損失を引き起こす可能性があり、潜在的にパターン品質の損失につながる可能性がある。分子レジスト化合物のサイズが小さく、それに応じてガラス転移温度が低いことが多いため、材料の完全性を回復することもできるが、パターン品質を損なう可能性がある。
【0006】
形状の要求が、例えば、20nm未満と小さくなり続けるにつれて、ネガ型システムでは、カチオン重合、および/または架橋を制御する必要がある。ポジ型システムのような酸触媒による脱保護に基づくフォトレジストは、脱保護を望まない領域への光酸の移動を制御する塩基性クエンチャーを利用する。一般的なエポキシ系ネガ型フォトレジストは、光によって発生する酸によって開始されるが、活性な重合種や架橋種は光酸ではない。(図1参照)。エポキシ基、または例えば酸に不安定な保護基などの他の基を最初に反応させた後、エポキシ酸素を光酸でプロトン化し、エポキソニウム中間体を生成することが容易に見て取れよう。しかし、この開始段階の後、中性エポキシ基の酸素によるエポキソニウム中間体の攻撃によって反応は継続する。その後、伝搬、重合、および/または架橋が、終了するまで続く。このようなフォトパターンプロセスでは、線の成長、または先鋭化、および望ましくない領域でのポリマーの成長を防ぐためには、重合および/または架橋を制御することが重要になる。このような従来のフォトパターニングプロセスの望ましくない特徴には、ラインエッジの粗さ、ラインのうねり、その他の望ましいとは言えないパターン形状が含まれる。これらの特徴は、20nm未満下のラインやスペースでは特に重要である。したがって、光化学系における重合および/または架橋を制御して、例えばEUV露光時など、望ましくない形状が少なくなるような方法は、いずれも非常に望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】エポキシ材料の酸に対する、開始と伝搬を含む反応を示す図である。
図2】本開示で開示され特許請求されている材料の双性イオン部分を示す図である。
図3】本開示の材料が、それらが配合されるフォトレジストのナノサイズのラインとスペースを最小のライン幅の粗さで得るのに有益であると考えられる経路を示している。
図4】本開示の双性イオンを含有するフォトレジストから得られる形状とラインエッジの粗さのSEMを示す。
図5】本開示の他の双性イオンを含有するフォトレジストから得られる形状とラインエッジの粗さのSEMを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で使用される場合、接続詞「および」は包括的であることを意図しており、接続詞「または」は、文脈上別段の指示または要求がない限り、排他的であることを意図するものではない。例えば、「または、代替的に」という表現は、排他的であることを意図している。本明細書で使用される場合、「例示的」という用語は、一例を説明することを意図しており、嗜好性を示すことを意図していない。本明細書で使用される場合、「エネルギー的に利用可能な」という用語は、化学反応によって熱力学的または動力学的に利用可能であり得る生成物を表すために使用される。
【0009】
本明細書で使用される場合、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「含む(including)」、「含む(comprising)」などの用語は、記載された要素または特徴の存在を示すオープンエンド用語であるが、追加の要素または特徴を排除するものではない。「a」、「an」、「the」の冠詞は、文脈上明らかにそう示されている場合を除き、単数形だけでなく複数形も含むものとする。
【0010】
我々は、驚くべきことに、ある特定の安定した双極子材料をポジ型レジストまたはネガ型レジストに添加することで、EUV露光および処理後のラインおよびスペースの形状および完全性が改善される、例えば、ラインエッジの粗さ、ラインのうねり、アンダーカット、ブリッジング、ライン崩壊などが改善されることを発見した。
【0011】
本明細書で使用される場合、「双極子」という用語は、同一分子上に正電荷中心と負電荷中心の両方を含む分子を意味し、これら中心は、分子内で互いにアルファ位置にあるか、または、さらに離れた位置にある。さらに、本明細書で使用される場合、「双極子」という用語は、双性イオン、ベタイン、イリド、および後述のメソイオン化合物を指し、特定の分子を意味するのではなく、その基の代表的な分子を意味する。
【0012】
双性イオン(分子内塩とも呼ばれる)は、プラスとマイナスに帯電した官能基を同数含む分子である。アミノ酸は、親分子と双性イオンとの間に化学的平衡が存在する場合の一例である。
【0013】
以下に示す双性イオン化合物(I)を含有するフォトリソグラフィ組成物が開示され、特許請求される。
【0014】
前述したように、塩基性クエンチャーの使用は、開始と伝搬が光発生酸に依存するポジ型システムで使用されてきた。本開示のネガ型システムにおいて、光発生酸は硬化プロセスを開始させる働きをするが、さらなる重合および/または架橋は酸に依存しない。したがって、塩基性クエンチャーは現在のシステムでは非常に限られた効果しかない。
【0015】
我々は「分子スイッチ」として機能する物質群を発見した。
【0016】
理論に拘束されるものではないが、本開示の双性イオン性化合物は、ネガ型フォトレジストにおいて重合の迷走伝搬に干渉し、その結果、所望のレジスト形状の構造的完全性が改善されると考えられ、ポジ型フォトレジストにおいて、本開示の双性イオン性化合物は、無関係な脱保護プロセスに干渉して、現像液の攻撃を防止すると考えられる。これらの安定したアニオンは、酸クエンチャーとして作用すると、pKaが約13のプロトン酸種になる。そのため、一般的なプロトン化第二級アミンに比べ、酸性度は約2桁、または100倍も低い。
【0017】
さらに、理論に拘束されるわけではないが、本開示の双性イオン性材料は、光/放射線強度の高い領域において酸緩衝剤として作用すると考えられる。本明細書で使用される緩衝という用語は、ベタインまたはイリド添加剤の光発生酸との相互作用を指す。
【0018】
多くのH+原子が(光電子生成によって)生成される極端紫外線に基づく露光では、このような緩衝が、フォトリソグラフィで作成されたパターンの構造、定義、完全性を向上させるようである。
【0019】
露光量が多い領域では、フォトレジストの本開示の成分の双性イオン性材料が高レベルの光発生酸と反応し、それがレジストの重合および/または架橋成分、この例ではエポキシ成分と反応すると考えられる。
【0020】
低露光の領域、または酸の移動がある領域、低レベルの光発生酸が起きる領域では、本開示の化学成分のうち、双性イオン性材料は、クエンチャーとして作用し、重合および/または架橋が未露光領域に移動するのを阻止し、望ましくない光パターン構造を防止する(図3)。
【0021】
研究により、フォトレジスト、特にEUVレジストの成分としての本開示の双性イオン性材料は、そのクエンチ特性によりコントラストを高め、LERを低減することが示されている。我々は、本開示の双性イオン性材料は、感光性組成物の重合中に連鎖移動剤として作用すると考えている。さらに我々は、本開示の双性イオン性材料は、感光性組成物の重合が未露光領域に移行するのを阻止するクエンチャーとして作用すると考えている。
【0022】
高光強度領域では、既に緩衝剤として使用されている本開示の双性イオン性材料は、もはやクエンチャーとして機能することができない。本開示の双性イオン性材料がすでに緩衝剤として使用されている場合、伝搬または連鎖移動(重合のメカニズム)は所望のように進行する。本開示の双性イオン性材料は、非常に効果的な分子スイッチとして作用し得る。
【0023】
本開示では、分子スイッチとして作用する他の添加剤も企図されており、この場合、スイッチを化学線に露光すると、分子の構成、電子構造、または緩衝、連鎖伝搬、終結を可能にし得る他の特性に変化が生じる。
【0024】
本開示の様々な態様において、双性イオン合成物である添加剤が企図されている。フォトリソグラフィ配合物中に存在するこれらのシントンが、例えばI線またはEUVなどの放射線に曝されると、緩衝剤、連鎖伝搬剤、連鎖移動剤、および/または分子スイッチとして有用な双性イオンとなる。
【0025】
本明細書において開示され、請求されるのは、エステルを含む物質組成物であって、そのエステルは、適切なハロゲンドナーまたは擬ハロゲンドナーの存在下での、マロン酸エステルとイミダミドとの間の化学反応の生成物である、物質組成物である。
【化1】


式中、XおよびYは、同一または異なり、X、YおよびR~Rは、分枝または非分枝の、0~16個のヘテロ原子が鎖中に置換された1~24個の炭素原子の置換または非置換のアルキル鎖であり、置換または非置換のフェニル基、ヘテロ芳香族基、または縮合芳香族基もしくは縮合ヘテロ芳香族基、またはその両方の組み合わせである。
【0026】
本明細書でさらに開示されるのは、上記の化学反応によって製造される物質組成物であって、RおよびRが化学結合によって結合して、5~8員を有する環構造を形成し、RおよびRが化学結合によって結合して、5~8員を有する環構造を形成する。
【0027】
本明細書ではさらに、イミダミドが図示のような縮合環構造を含む、物質組成物を開示する。
【化2】


式中、m=1~4、n=1~4である。
【0028】
本明細書でさらに開示されるのは、溶媒と、化学構造(I):
【化3】


を有するエステルと、を含む物質組成物であり、
式中、XおよびYは、同一または異なり、X、YおよびR~Rは、分枝または非分枝の、0~16個のヘテロ原子が鎖中に置換された1~24個の炭素原子の置換または非置換のアルキル鎖であり、置換または非置換のフェニル基、ヘテロ芳香族基、または縮合芳香族基もしくは縮合ヘテロ芳香族基、またはその両方の組み合わせである。
【0029】
本明細書においてさらに開示されるのは、溶媒と、(XII)
【化4】


から選択される化学構造を有するエステルと、を含む物質組成物であり、
式中、XおよびYは、同一または異なり、X、YおよびR~Rは、分枝または非分枝の、鎖中に0~16個のヘテロ原子が置換された炭素原子数1~24の置換または非置換のアルキル鎖であり、置換または非置換のフェニル基、ヘテロ芳香族基、または縮合芳香族基もしくは縮合ヘテロ芳香族基、または両者の組み合わせである。
【0030】
上記の開示された構造において、互変異性体や他の共鳴構造もエネルギー的に利用可能であり得ることも企図されている。したがって、上に開示した構造は、互変異性体や他の共鳴構造を含むことを意図している。例えば、
【化5】


であり、式中、XおよびYは、同一または異なり、X、YおよびR~Rは、分枝または非分枝の、鎖中に0~16個のヘテロ原子が置換された炭素原子数1~24の置換または非置換のアルキル鎖であり、置換または非置換のフェニル基、ヘテロ芳香族基、または縮合芳香族基もしくは縮合ヘテロ芳香族基、または両者の組み合わせである。
【0031】
さらに、XおよびYは、例えば、限定されないが、エクステンダー鎖を含まないこともあり得るが、あるいは、-アルキル-、-アリール-、-アルキル-アリール-、-アリール-アルキル-、-アルコキシ-、-アルコキシ-アリール-、-アリール-アルコキシ-、-アルキル-アルコキシ-、-アルコキシ-アルキル-またはこれらの組み合わせからなる、2価のエクステンダー鎖を含み得る。
【0032】
より具体的には、上記の-アルキル-基は、例えば、-CH2-、-CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、ブチレン異性体、およびヘキサデシレンまでの、およびヘキサデシレンを含むより高次の類似体、ならびにそれらの異性体のような、鎖中にヘテロ原子が置換されているかまたは置換されていない、炭素数1~16の分枝または非分枝の二価アルキル鎖であり得る。本明細書で使用する-アルキル-には、例えば-CH=CH-などのオレフィン基、またはアルキニル基などの鎖中の不飽和基も含まれる。前述のように、-アルキル-基は、O、N、S、S=0またはS02などのヘテロ原子が鎖の一部または鎖中に置換されていてもよく、例えば、-(CH2CH2-0)Z-(zは約1~約16の間である)、または-(CH2CH2NH)W-(wは約1~約16の間である)などが挙げられる。上記の説明に従って、-アルコキシ-という基は、酸素原子によって分離された、-エトキシ-、-プロポキシ-または-イソプロポキシ-基のような、1つ以上の分枝または非分枝アルキル基を含み得る。また、、例えば-(CH2CH2NR”)v-のような、環中にヘテロ原子を含む分岐アルキル基も含まれ、ここでR”は、R”鎖に置換されたヘテロ原子を有するかまたは有さない炭素数1~16の分枝状または非分枝状の二価アルキル鎖であり得る。
【0033】
上記の-アリール-は、置換または非置換の2価の芳香族基であり、このような芳香族基は、例えば、フェニレン(-C6H4-)、例えば、ナフチレン(-C10H6-)、アントラセニレン(-C14H8-)等のような縮合2価芳香族基、並びに、例えば、ピリジン、キノリン、ピロール、インドール、ピラゾール、トリアジンなどのような窒素含有芳香族複素環、および当技術分野で周知のその他の窒素複素環のようなヘテロ芳香族基、並びに、フラン、オキサゾールおよびその他の酸素含有芳香族複素環などの酸素含有芳香族複素環、並びに、チオフェンなどの硫黄含有芳香族複素環などを含む。
【0034】
フォトレジスト材料は、従来のフォトレジストの樹脂の少なくとも一部を代替する(I)~(II)のようなエステル材料と、光酸発生剤とを含む。この目的のために有用な光酸発生剤については後述する。
【0035】
上記の物質組成物は、混和物にて、光酸発生剤をさらに含み得る。限定されないが、これらには、スルホニウム塩、ホスホニウム塩またはヨードニウム塩などのオニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、スルホン化合物、エステルスルホネート化合物、キノンジアジド化合物、ジアゾメタン化合物、ジカルボキシイミジルスルホン酸エステル、イリデンアミノオキシスルホン酸エステル、スルファニルジアゾメタン、またはこれらの混合物、および当技術分野で周知の他の光酸発生剤が含まれ得る。
【0036】
ネガ型材料は架橋剤を含み得る。本開示に好適な架橋剤は、上記開示のエステルが脱保護された後に架橋できる化合物を含むが、いずれにせよ、XまたはYのいずれかが架橋剤と反応できる官能基を含む。これらの反応性官能基の中には、アルコール、フェノール、プロトン性アミド、カルボン酸などがある。脱保護反応が起こる前に、反応性官能基の少なくとも一部は上記の酸不安定基で保護される。脱保護反応が起こると、架橋剤は脱保護された官能基と反応し得る。理論に拘束されるものではないが、光発生酸は上記開示のエステルの酸に不安定な基と反応するだけでなく、架橋剤とそれ自体およびエステルとの反応を助けると考えられている。架橋剤の例としては、脱保護されたエステル上のフェノールまたは類似の基と架橋反応性を有する少なくとも一種の置換基を含む化合物が挙げられる。この架橋基の具体例としては、特に限定されないが、エポキシ基、グリシジルエーテル基、オキセタン基、グリシジルエステル基、グリシジルアミノ基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジメチロールアミノメチル基、ジエチロールアミノメチル基、モルホリノメチル基、アセトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ホルミル基、アセチル基、ビニル基、イソプロペニル基を含有するポリマー、オリゴマー、およびモノマー材料を含む。
【0037】
前述の架橋性置換基を有する化合物の非限定的な例としては、ビスフェノールA系エポキシ化合物、ビスフェノールF系エポキシ化合物、ビスフェノールS系エポキシ化合物、ノボラック樹脂系エポキシ化合物、レゾール樹脂系エポキシ化合物、ポリ(ヒドロキシスチレン)系エポキシ化合物、オハイオ州、ウェストジェファーソンの東亞合成アメリカがそれぞれ、OXT-101、OXT-121、OXT-221およびPNOX1009として販売する(3-エチルオキセタン-3-イル)メタノール、1,3-ビス(((3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ)メチル)ベンゼン、3,3’-オキシビス(メチレン)ビス(3-エチルオキセタン)、およびフェノールノボラックオキセタン、メチロール基含有メラミン化合物、メチロール基含有ベンゾグアナミン化合物、メチロール基含有尿素化合物、メチロール基含有フェノール化合物、アルコキシアルキル基含有メラミン化合物、アルコキシアルキル基含有ベンゾグアナミン化合物、アルコキシアルキル基含有尿素化合物、アルコキシアルキル基含有フェノール化合物、カルボキシメチル基含有メラミン樹脂、カルボキシメチル基含有ベンゾグアナミン樹脂、カルボキシメチル基含有尿素樹脂、カルボキシメチル基含有フェノール樹脂、カルボキシメチル基含有メラミン化合物、カルボキシメチル基含有ベンゾグアナミン化合物、カルボキシメチル基含有尿素化合物、カルボキシメチル基含有フェノール化合物、メチロール基含有フェノール化合物、メトキシメチル基含有メラミン化合物、メトキシメチル基含有フェノール化合物、メトキシメチル基含有グリコールウリル化合物、メトキシメチル基含有尿素化合物、およびアセトキシメチル基含有フェノール化合物を含む。メトキシメチル基含有メラミン化合物は、例えば、CYMEL300、CYMEL301、CYMEL303、CYMEL305(三井サイアナミド社製)として、市販されており、メトキシメチル基含有グリコールウリル化合物は、例えば、CYMEL117 4(三井サイアナミッド社製)として、メトキシメチル基含有尿素化合物は、例えば、MX290(三和ケミカルズ社製)として市販されている。
【0038】
上記の物質組成物を含む感光性組成物は、半導体、プロセス中の他のデバイス、または他のワークピースへのスピンコーティングを可能にするために、溶媒をさらに含み得る。適切な溶剤としては、エーテル、エステル、エーテルエステル、ケトンおよびケトンエステルおよび、より具体的には、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、アニソールのようなアルキルフェニルエーテル、酢酸エステル、ヒドロキシ酢酸エステル、乳酸エチル、乳酸メチル、乳酸プロピル、乳酸ブチルのような乳酸エステル、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルコキシ酢酸エステル、(非)環状ケトン、アセト酢酸エステル、ピルビン酸エステルおよびプロピオン酸エステルが挙げられる。これらの溶剤の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、酢酸イソプロペニル、プロピオン酸イソプロペニル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルメチルブチレート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピオン酸3-メチル-3-メトキシブチル、3-メチル-3-メトキシブチルブチレート、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、および3-エトキシプロピオン酸エチルが挙げられる。前述の溶媒は、単独で用いてもよいし、あるいは、2種類またはそれ以上の混合物として用いてもよい。さらに、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロンカプロン酸、カプリン酸1-オクタノール1-ノナノールベンジルアルコール酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチルγ-ブチロラクトン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、およびフェニルセロソルブアセテートなどのような高沸点溶剤の少なくとも1種類を前述の溶媒に加えてもよい。他の適切な溶媒としては、ハロゲン溶媒がある。
【0039】
例えば、酸がコーティングの未露光領域に移行するのを遅らせるための酸拡散制御剤、基材へのコーティングを改善するための界面活性剤およびレベリング剤、基板へのコーティングの接着を改善するための接着促進剤、および光露光中の感光性組成物コーティングの感光性を改善するための増感剤、ならびに消泡剤および空気放出剤、ならびにコーティング業界でよく知られている他の材料のような、感光性組成物のある特定の望ましい特徴を提供するために、様々な添加剤をフォトレジスト配合物に添加してもよい。
【0040】
フォトレジストによっては、前述の物質組成物、光酸発生剤および溶媒に加えて、さらに1つ以上の任意の成分または添加剤を含み得る。このような成分には、塩基性クエンチャーが含まれる。適切な塩基性クエンチャーとしては、これらに限定されないが、水酸化テトラメチルアンモニウム、トリエタノールアミン、トリイソプロピルアミン、N-メチルピロリドン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス-7-エン(DBU)、l,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ(4.4.0)デカ-5-エン、キヌクリジン、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムラクテート、テトラメチルアンモニウムプロパノエートなどのカルボン酸塩などが挙げられる。
【0041】
感光性組成物は、シリコンウェハ、または二酸化ケイ素、アルミニウム、酸化アルミニウム、銅、ニッケル、任意の数の半導体材料もしくは窒化物のいずれかでコーティングされたウェハ、または半導体業界で周知の他の基板ウェハなどの基板、または例えば、下層反射防止膜などの有機膜をその上に有する基板上に塗布することができる。フォトレジスト組成物は、スピンコーティング、カーテンコーティング、スロットコーティング、ディップコーティング、ローラーコーティング、ブレードコーティング、超音波コーティング、蒸気コーティングなどのプロセスによって塗布される。コーティング後、必要に応じて、コーティングが適切に露光、焼成、現像ができるレベルまで溶剤を除去する。場合によっては、5%の溶剤がコーティングに残留することもあり得るが、1%未満で済むこともある。乾燥は、ホットプレート加熱、対流加熱、赤外線加熱などによって行うことができる。その後、コーティングは、所望のパターンを含むマークを通して画像毎に露光されるか、またはフラッド露光される。
【0042】
記載の感光性組成物に好適な放射線としては、例えば、水銀ランプの輝線スペクトル(254nm)、KrFエキシマレーザー(248nm)、およびArFエキシマレーザー(193nm)などの紫外線(UV)、Fエキシマレーザー(157nm)、例えばプラズマ放電やシンクロトロン光源からの13.5nmの極端紫外線(EUV)、6.7nmへの露光などの超極端紫外線(BEUV)、シンクロトロン放射などのX線などが挙げられる。イオンビームリソグラフィや、電子ビームなどの荷電粒子線も使用できる。
【0043】
露光後、露光され、コーティングされた基板を、発生した光酸の反応を促進するために、例えば、約30~約350℃で約10~約600秒間の加熱など、任意に露光後焼成してもよい。これは、ホットプレート加熱、対流加熱、赤外線加熱などによって行うことができる。また、加熱は、例えばCO2レーザーパルスによる約2~約5ミリ秒の加熱のようなレーザー加熱プロセスによって行うこともできる。両方の加熱工程を併用してもよい。
【0044】
パターン露光の後、さらに硬化を促進するためにフラッド露光を行ってもよい。その結果、フラッド露光により、ネガトーンレジスト現像後のパターン倒れが減少または解消され、ラインエッジの粗さも減少することが示された。例えば、532nmの連続波レーザーで、先に露光したレジストを1~2秒間露光し、その後ウェット現像を行う。浸水工程の後に加熱工程が続く場合もあれば、そうでない場合もある。
【0045】
露光されたフィルムは、適切な現像液を使って現像される。このような現像剤には、有機溶媒のほか、当該技術分野で知られているアルカリ水溶液のような水溶液も含まれる。未露光領域を除去するために有機溶媒を使用する場合、一般に、その溶媒はフォトレジスト組成物を調製する際に使用した溶媒よりも攻撃性が低い。アルカリ水性現像液の例としては、例えば、アルカリ金属水酸化物、アンモニア水、アルキルアミン、アルカノールアミン、複素環アミン、水酸化テトラメチルアンモニウム等の水酸化テトラアルキルアンモニウム、コリン類、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデカン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネンを、約1~約10重量%、例えば約2~約5重量%の濃度で含む、アルカリ性化合物の少なくとも一種が挙げられる。メタノールやエタノールなどの水溶性有機溶媒や界面活性剤も、所望の現像特徴やプロセスパラメーターに応じて、アルカリ性水溶液に適量添加することができる。
【0046】
現像後、露光され現像されたパターンの硬化をさらに促進するために、最終的な焼成ステップも含まれ得る。加熱工程は、例えば、約30~約350℃、約10~約120秒間とすることができ、ホットプレート加熱、対流加熱、赤外線加熱などによって行うことができる。
【実施例
【0047】
1)合成例1:
【化6】


テトラブロモメタン(4.05g,12.2mmol)と3(2.07g,11.0mmol)を500mL丸底フラスコに加えた。トルエン(240mL)を加え、混合物を窒素下で1時間撹拌した。1,8-ジアザビシクロ[S.4.0]ウンデス-7-エン(DBU,7.3g,48.2mmol)を滴下した。反応混合物を窒素下で18時間撹拌した後、ろ過した。得られた混合物を、トルエンに続き、酢酸エチル、そして20%から50%のイソプロパノール/酢酸エチルの勾配を用いてシリカゲルカラムで精製した。生成物分画を回収し、溶媒を除去して、最終生成物を収率72%の濃厚な赤褐色オイルを得た。生成物は1H NMRによって化合物4として特徴付けられた。
【0048】
2)合成例2:
【化7】


テトラブロモメタン(4.05g,12.2mmol)と5(4.27g、11.0mmol)を500mL丸底フラスコに加えた。トルエン(240mL)を加え、混合物を窒素下で1時間撹拌した。1,8-ジアザビシクロ[S.4.0]ウンデス-7-エン(DBU,7.3g,48.2mmol)を滴下した。反応混合物を窒素下で18時間撹拌した後、ろ過した。得られた混合物を、トルエンに続き、酢酸エチル、そして20%から50%のイソプロパノール/酢酸エチルの勾配を用いてシリカゲルカラムで精製した。生成物分画を回収し、溶媒を除去して最終生成物を収率63%の黄色固体として得た。生成物は1H NMRによって化合物6として特徴付けられた。
【0049】
3)合成例3:
【化8】


テトラブロモメタン(4.05g,12.2mmol)と1(3.74g,11.0mmol)を500mL丸底フラスコに加えた。トルエン(240mL)を加え、混合物を窒素下で1時間撹拌した。1,8-ジアザビシクロ[S.4.0]ウンデス-7-エン(DBU,7.3g,48.2mmol)を滴下した。反応混合物を窒素下で18時間撹拌した後、ろ過した。得られた混合物を、トルエンに続き、酢酸エチル、そして20%から50%のイソプロパノール/酢酸エチルの勾配を用いてシリカゲルカラムで精製した。生成物画分を回収し、溶媒を除去すると、最終生成物が75.6%の収率で濃厚な赤褐色のオイルとして得られた。生成物は1H NMRによって化合物2として特徴付けられた。
【0050】
4)配合例1:
乳酸エチル100mLに4、(上記生成物合成例1)0.128g、ポリ[(0-クレジルグリシジルエーテル)-コ-ホルムアルデヒド(Mn=1270)l.00g、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩0.461g、およびトリフェニルスルホニウムトシル酸塩0.09gを加え、室温で1時間撹拌し、15g./リットルの溶液を得た。この組成物を、Optistack AL412下地層が20nm厚になるように調製されたシリコンウェハに塗布した)。下地層は2000rpmで回転させ、205℃で30秒間焼成した)。この組成物を、500rpmで5秒間、次いで1500rpmで90秒間、アンダーコート付きウェハ上にスピンコートした。その後、コーティングされたウェハをホットプレート上で60℃、3分間加熱し、厚さ約20nmのフィルムを得た。ウェハを、44nmピッチのパターンを含有するマスクを通して、様々な漸増ドーズ量で電子ビームに対して画像毎に露光し、露光後60℃で1分間焼成した。未露光領域は、酢酸n-ブチル中で30秒間液滴現像し、その後メチルイソブチルケトンリンスで除去した。この配合の結果を図4に示す。
【0051】
SEMおよび以下の表1からわかるように、各臨界寸法に対して適切な露光を行うことで、線幅の粗さを低減することができる。
【表1】
【0052】
5)配合例2:
乳酸エチル100mLに、6(上記生成物合成例2)0.15g、ポリ[(0-クレジルグリシジルエーテル)-コ-ホルムアルデヒド](Mn=1270)1.17g、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩0.54g、およびトリフェニルスルホニウムトシル酸塩0.10gを加え、室温で1時間撹拌し、17.5g./リットルの溶液を得た。この組成物を、OptistAck AL412下地層が20nmとなるように調製したシリコンウェハに塗布した。(下地層は2000rpmで回転させ、205℃で30秒間焼成した)。この組成物を、500rpmで5秒間、次いで2500rpmで90秒間、アンダーコート付きウェハ上にスピンコートした。コーティングされたウェハを65℃のホットプレート上で3分間加熱し、厚さ約17nmのフィルムを得た。ウェハを、44nmピッチのパターンを含有するマスクを通して、様々な漸増ドーズ量でシリコンウェハ露光し、露光後65℃で1分間焼成した。未露光領域は、酢酸ブチル中で60秒間液滴現像して除去した。この配合の結果を図5の上段と以下の表2に示す。
【表2】
【0053】
6)配合例3:
乳酸エチル100mLに2,(上記合成例3の生成物)0.128g、ポリ[(0-クレジルグリシジルエーテル)-コ-ホルムアルデヒド](Mn=1270)1.00g、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩0.50g、トリフェニルスルホニウムトシル酸塩0.09gを加え、室温で1時間攪拌し、15.0g./リットルの溶液を得た。この組成物を、OptistAck AL412下地層が20nmとなるように調製したシリコンウェハに塗布した。(下地層は2000rpmで回転させ、205℃で30秒間焼成した)。この組成物を、500rpmで5秒間、次いで2500rpmで90秒間、アンダーコート付きウェハ上にスピンコートした。コーティングされたウェハを65℃のホットプレート上で3分間加熱し、厚さ約16nmのフィルムを得た。ウェハを、44nmピッチのパターンを含有するマスクを通して、様々な漸増ドーズ量で画像毎に電子ビーム露光し、露光後65℃で1分間焼成した。未露光領域は、酢酸n-ブチル中の液滴現像で秒間除去した。この配合の結果を図5の下、表3に示す。
【表3】

図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】