(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】圧力交換器システムの制御
(51)【国際特許分類】
G05D 7/06 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
G05D7/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500255
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-02-21
(86)【国際出願番号】 US2022036570
(87)【国際公開番号】W WO2023283454
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516099646
【氏名又は名称】エナジー リカバリー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ エリオット マクリーン,ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】パトリック モーフュー
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ マイケル マルケッティ
(72)【発明者】
【氏名】チャン チョンユイ
(72)【発明者】
【氏名】チョウ トゥ
【テーマコード(参考)】
5H307
【Fターム(参考)】
5H307AA01
5H307BB01
5H307BB05
5H307BB13
5H307DD17
5H307EE01
5H307EE21
5H307FF01
5H307FF12
5H307HH04
5H307JJ01
(57)【要約】
本発明は、第1の入口を介して第1の流体を受け取り、かつ第2の入口を介して第2の流体を受け取るように構成された圧力交換器(PX)を備えるシステムに関する。上記のPXは、第1の流体と第2の流体の間で圧力を交換し、かつ、第1の流体を第1の出口で、かつ第2の流体を第2の出口で、供給するようになっている。このシステムは、第1の流体が第1の入口に入る前の、第1の流体に関連付けられた第1のセンサデータを提供する第1のセンサと、第2の流体が第2の入口に入る前の、第2の流体に関連付けられた第2のセンサデータを提供する第2のセンサと、をさらに備える。このシステムは、コントローラをさらに含み、該コントローラは、ユーザ入力を受け取り、かつ第1の入口に入る第1の流体の流量の第1の調節を引き起こし、かつ第2の入口に入る第2の流体の流量の第2の調節を引き起こす。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、前記システムは、
圧力交換器(PX)を備え、前記PXは、第1の流体を前記PXの第1の入口を介して受け取り、第2の流体を前記PXの第2の入口を介して受け取り、かつ前記第1の流体と前記第2の流体の間で圧力を交換するように構成され、前記第1の流体は、前記PXの第1の出口を介して前記PXを出るようになっており、かつ前記第2の流体は、前記PXの第2の出口を介して前記PXを出るようになっており、前記システムはさらに、
第1のセンサを備え、前記第1のセンサは、前記第1の流体が前記第1の入口に入る前の、前記第1の流体に関連付けられた第1のセンサデータを提供するように構成されており、前記システムはさらに、
第2のセンサを備え、前記第2のセンサは、前記第2の流体が前記第2の入口に入る前の、前記第2の流体に関連付けられた第2のセンサデータを提供するように構成されており、前記システムはさらに、
コントローラを備え、前記コントローラは、
-前記第1の入口に入る前記第1の流体の目標流量に関連付けられたユーザ入力を受け取り、
-前記ユーザ入力及び前記第1のセンサデータに基づき、前記第1の入口に入る前記第1の流体の第1の流量の第1の調節を引き起こし、かつ、
-前記第1のセンサデータ及び前記第2のセンサデータに基づき、前記第2の入口に入る前記第2の流体の第2の流量の第2の調節を引き起こす、ように構成されている、システム。
【請求項2】
前記第1の流体は、実質的に粒子非含有の流体であり、かつ前記第2の流体は、粒子含有流体である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の流体は、実質的に非苛性流体であり、かつ前記第2の流体は、苛性流体である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記第1の調節を、前記第1の入口の上流に配置された第1のバルブ、又は前記第1の流体を前記PXの前記第1の入口に供給するように構成された第1のポンプのうち1つ以上を介して引き起こすようになっている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記第2の調節を、前記第1の出口の下流に配置された第2のバルブ、又は前記第2の流体を前記PXの前記第2の入口に供給するように構成された第2のポンプのうち1つ以上を介して引き起こすようになっている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の流体は、前記第1の入口を介して第1の圧力で前記PXに入るようになっており、前記第1の圧力は、前記第2の入口を介して前記PXに入る前記第2の流体の第2の圧力よりも大きく、かつ、前記第1の流体は、前記第1の出口を介して第3の圧力で前記PXを出るようになっており、前記第3の圧力は、前記第2の出口を介して前記PXを出る前記第2の流体の第4の圧力よりも小さい、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記システムは、前記第1の出口を出た後の前記第1の流体に関連付けられた第3のセンサデータを提供するように構成された、第3のセンサをさらに備え、かつ前記コントローラは、前記第2のセンサデータと前記第3のセンサデータの差異に基づいた修正処置の実行をもたらすように構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムは、フィルタであって、前記PXの前記第1の出口に流体連通結合され、かつ前記PXの前記第1の出口より下流に配置されている、フィルタをさらに備え、前記フィルタは、前記第1の流体が前記第1の出口を出た後で、前記第1の流体を濾過するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記システムは、前記PXに結合されているモータをさらに備え、前記システムは、前記モータに関連付けられたモータデータを提供するように構成されたモータセンサをさらに備え、前記第1の流量の前記第1の調節又は前記第2の流量の前記第2の調節のうち少なくとも1つは、さらに前記モータデータにも基づく、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムは、
軸受バルブをさらに備え、前記軸受バルブは、前記PXの前記第1の入口の上流の第1の導管に流体連通結合された第1のポートと、前記PXのハウジングに流体連通結合された第2のポートと、前記第1の出口の下流の第2の導管に流体連通結合された第3のポートと、を備えており、前記コントローラはさらに、
-前記第1のポートを作動させ、前記第1の流体の第1の部分を前記第1の導管から受け取るための第1の開放位置に至らせ、かつ前記第2のポートを作動させ、前記第1の流体の前記第1の部分を前記PXの前記ハウジングに供給するための第2の開放位置に至らせるように構成されており、かつ、
-前記第1のポートを作動させて第1の閉鎖位置に至らせ、かつ前記第3のポートを作動させ、前記第1の流体の前記第1の部分が前記ハウジングから前記第1の出口の下流の前記第2の導管に向かって流れるようにするための第3の開放位置に至らせるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記システムは、前記第1の導管と前記第1のポートの間に配置された軸受フィルタをさらに備え、前記第1の流体の前記第1の部分は、前記軸受フィルタを通過し、かつ前記ハウジングに入って前記ハウジング内に配置された軸受をフラッシュ洗浄する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記コントローラは、前記第1の入口の上流にある第1のバルブ及び前記第1の出口の下流にある第2のバルブを制御して、前記PXを流れる前記第2の流体に対する前記第1の流体の流量の割合を制御するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記コントローラは、
過去のセンサデータ及び加工の実行データに基づいて生成されたルックアップテーブルを識別し、かつ、
前記第1のセンサデータ、前記第2のセンサデータ、モータデータ、及び前記第2の流体中の粒子濃度に基づき、前記ルックアップテーブルから前記第2の調節を決定するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記第2の調節は、前記第1の入口に入る前と前記第1の出口を出た後の間での、前記第1の流体の差圧にさらに基づく、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
方法であって、前記方法は、
第1の流体が圧力交換器(PX)の第1の入口に入る前の、前記第1の流体に関連付けられた第1のセンサデータを受け取ることであって、前記PXは、前記第1の流体を前記PXの前記第1の入口を介して受け取り、第2の流体を前記PXの第2の入口を介して受け取り、かつ前記第1の流体と前記第2の流体の間で圧力を交換するように構成され、前記第1の流体は、前記PXの第1の出口を介して前記PXを出るようになっており、かつ前記第2の流体は、前記PXの第2の出口を介して前記PXを出るようになっている、第1のセンサデータを受け取ることと、
前記第2の流体が前記PXの前記第2の入口に入る前の、前記第2の流体に関連付けられた第2のセンサデータを受け取ることと、
前記第1の入口に入る前記第1の流体の目標流量に関連付けられたユーザ入力を受け取ることと、
前記ユーザ入力及び前記第1のセンサデータに基づき、前記第1の入口に入る前記第1の流体の第1の流量の第1の調節を引き起こすことと、
前記第1のセンサデータ及び前記第2のセンサデータに基づき、前記第2の入口に入る前記第2の流体の第2の流量の第2の調節を引き起こすことと、を含む方法。
【請求項16】
前記第1の調節は、前記第1の入口の上流に配置された第1のバルブ、又は前記第1の流体を前記PXの前記第1の入口に供給するように構成された第1のポンプのうち1つ以上を介して引き起こされ、かつ、
前記第2の調節は、前記PXの前記第1の出口より下流に配置された第2のバルブ、又は前記第2の流体を前記PXの前記第2の入口に供給するように構成された第2のポンプのうち1つ以上を介して引き起こされる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は、
軸受バルブの第1のポートを作動させ、前記第1の流体の第1の部分を前記PXの前記第1の入口の上流にある第1の導管から受け取るための第1の開放位置に至らせること、及び前記PXのハウジングに流体連通結合された前記軸受バルブの第2のポートを作動させ、前記PXの前記ハウジングに前記第1の流体の前記第1の部分を供給するための第2の開放位置に至らせること、をさらに含み、かつ、
前記第1のポートを作動させて第1の閉鎖位置に至らせ、かつ前記第1の出口の下流にある第2の導管に流体連通結合された前記軸受バルブの第3のポートを作動させ、前記第1の流体の前記第1の部分が前記ハウジングから前記第1の出口の下流の前記第2の導管に向かって流れるようにするための第3の開放位置に至らせること、をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
コントローラであって、前記コントローラは、
メモリと、
前記メモリに結合された処理装置と、を備え、前記処理装置は、
-第1の流体が圧力交換器(PX)の第1の入口に入る前の、前記第1の流体に関連付けられた第1のセンサデータを受け取るようになっており、前記PXは、前記第1の流体を前記PXの前記第1の入口を介して受け取り、第2の流体を前記PXの第2の入口を介して受け取り、かつ前記第1の流体と前記第2の流体の間で圧力を交換するように構成され、前記第1の流体は、前記PXの第1の出口を介して前記PXを出るようになっており、かつ前記第2の流体は、前記PXの第2の出口を介して前記PXを出るようになっており、
-前記第2の流体が前記PXの前記第2の入口に入る前の、前記第2の流体に関連付けられた第2のセンサデータを受け取るようになっており、
-前記第1の入口に入る前記第1の流体の目標流量に関連付けられたユーザ入力を受け取るようになっており、
-前記ユーザ入力及び前記第1のセンサデータに基づき、前記第1の入口に入る前記第1の流体の第1の流量の第1の調節を引き起こすようになっており、かつ、
-前記第1のセンサデータ及び前記第2のセンサデータに基づき、前記第2の入口に入る前記第2の流体の第2の流量の第2の調節を引き起こすようになっている、コントローラ。
【請求項19】
前記第1の調節は、前記第1の入口の上流に配置された第1のバルブ、又は前記第1の流体を前記PXの前記第1の入口に供給するように構成された第1のポンプのうち1つ以上を介して引き起こされ、かつ、
前記第2の調節は、前記PXの前記第1の出口より下流に配置された第2のバルブ、又は前記第2の流体を前記PXの前記第2の入口に供給するように構成された第2のポンプのうち1つ以上を介して引き起こされる、請求項18に記載のコントローラ。
【請求項20】
前記処理装置はさらに、
軸受バルブの第1のポートを作動させ、前記第1の流体の第1の部分を前記PXの前記第1の入口の上流にある第1の導管から受け取るための第1の開放位置に至らせ、かつ前記PXのハウジングに流体連通結合された前記軸受バルブの第2のポートを作動させ、前記第1の流体の前記第1の部分を前記PXの前記ハウジングに供給するための第2の開放位置に至らせるようになっており、かつ、
前記第1のポートを作動させて第1の閉鎖位置に至らせ、かつ前記第1の出口の下流にある第2の導管に流体連通結合された前記軸受バルブの第3のポートを作動させ、前記第1の流体の前記第1の部分が前記ハウジングから前記第1の出口の下流の前記第2の導管に向かって流れるようにするための第3の開放位置に至らせるようになっている、請求項18に記載のコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、システムの制御に関する。より具体的には、圧力交換器システムの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
システムは、異なる圧力の流体を使用する。ポンプは、システムに用いられている流体の圧力を上昇させるように用いられ得る。
【0003】
本開示は、添付図面の図によって例示されるが、限定されるわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1A】
図1Aは、ある実施形態による、水圧エネルギー伝達システムを含む流体処理システムの概略図を示している。
【
図1B】
図1Bは、ある実施形態による、水圧エネルギー伝達システムを含む流体処理システムの概略図を示している。
【
図1C】
図1Cは、ある実施形態による、水圧エネルギー伝達システムを含む流体処理システムの概略図を示している。
【
図1D】
図1Dは、ある実施形態による、水圧エネルギー伝達システムを含む流体処理システムの概略図を示している。
【0005】
【
図2A】
図2Aは、ある実施形態による、圧力交換器(PX)の分解斜視図である。
【
図2B】
図2Bは、ある実施形態による、PXの分解斜視図である。
【
図2C】
図2Cは、ある実施形態による、PXの分解斜視図である。
【
図2D】
図2Dは、ある実施形態による、PXの分解斜視図である。
【
図2E】
図2Eは、ある実施形態による、PXの分解斜視図である。
【0006】
【
図3A】
図3Aは、ある実施形態による、PXを含む流体処理システムの概略図である。
【
図3B】
図3Bは、ある実施形態による、PXを含む流体処理システムの概略図である。
【
図3C】
図3Cは、ある実施形態による、PXを含む流体処理システムの概略図である。
【
図3D】
図3Dは、ある実施形態による、PXを含む流体処理システムの概略図である。
【0007】
【
図4】
図4は、ある実施形態による、流体処理システムを制御する方法を示すフロー図である。
【0008】
【
図5】
図5は、ある実施形態による、コンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載の実施形態は、圧力交換器システム(例:流体処理システム、圧力交換器を低圧スラリーポンプとして備えるシステム)の制御に関する。
【0010】
システムは、異なる圧力の流体を使用することが可能である。これらのシステムは、水圧破砕(例:フラッキング(fracking)又はフラッキング(fracing))システム、脱塩システム、冷凍システム、マッドポンプシステム、スラリーポンプシステム、工業用流体システム、廃液システム、流体輸送システム、等を含み得る。ポンプは、システムに用いられている流体の圧力を上昇させるように用いられ得る。
【0011】
従来では、システムは、ポンプを用いて、固体粒子を含む流体(例:粒子含有流体、スラリー流体)、化学物質を含む流体、及び/又は閾値を満たす粘性を有する流体の揚程(圧力)を上昇させている。従来では、固体粒子(例:砂、粉末、デブリ、セラミックス等)、化学物質、及び/又は粘性が、時間をかけてポンプを損傷し、その効率を低下させている。そのため、従来のシステムは、ポンプのメンテナンス、修理、及び交換を行うことができるよう、長いダウンタイムを経ている。
【0012】
幾つかの従来のシステムは、特殊化されたポンプを用いており、それらの特殊化されたポンプは、固体粒子(例:研磨材)、化学物質、及び/又は流体に関連付けられた粘性によってもたらされる損傷を低減するために、大きなクリアランスを有しており、高価な特殊材料又は硬化材料を使用する場合があり、かつ/又は、ゴムライニングされている場合がある。これらのポンプは非効率的であり、所望の揚程(圧力)を提供しようと試みるため、複数のポンプを直列で使用することが必要とされる場合がある。これらのポンプは、依然として摩耗及び浸食を受ける。従来のシステムで使用されているこれらのポンプは、材料費の増加、製造の複雑さの増加、及びシステム全体での効率の低下をもたらす場合がある。ポンプにおける浸食及び/又は摩耗は、例えば、寿命を縮め、効率を低くし、漏出を増やし、サービス間隔を長くし、部品交換を増やし、かつ(例えば、脱塩、フラッキング、冷凍、スラリーポンプの)収量を低くする。
【0013】
本開示のシステム、装置、及び方法は、圧力交換器システムの制御を提供する。幾つかの実施形態では、圧力交換器システムは、圧力交換器(PX)を備える。PXは、第1の入口(例:高圧入口)を介して第1の流体(例:実質的に粒子非含有の流体、第1の粘性閾値を満たす流体、特定の化学物質を実質的に非含有の流体、非苛性流体、非酸性流体等)を受け取るように構成され得る。PXは、第2の入口(例:低圧出口)を介して第2の流体(例:粒子含有流体、第1の粘性閾値よりも高い第2の粘性閾値を満たす流体、特定の化学物質を実質的に非含有の流体、苛性流体、酸性流体等)を受け取るように構成され得る。PXに入るとき、第1の流体は第2の流体よりも高い圧力を有し得る。PXは、第1の流体と第2の流体の間で圧力を交換するように構成され得る。第1の流体は、第1の出口(例:低圧出口)を介してPXを出ることができ、かつ第2の流体は第2の出口(例:高圧出口)を介してPXを出ることができる。PXを出るとき、第2の流体が第1の流体よりも大きな圧力を有し得る(例:第1の流体と第2の流体の間で圧力が交換される)。
【0014】
圧力交換器システムは、第1の流体がPXの第1の入口に入る前の、第1の流体に関連付けられた第1のセンサデータを提供するように構成された第1のセンサを、さらに備え得る。幾つかの実施形態では、第1のセンサは、第1の流体がPXに入る前の、第1の流体の圧力データを提供するように構成された圧力センサである。幾つかの実施形態では、第1のセンサは、第1の流体がPXに入る前の、第1の流体の流量データ(例:体積流量、質量流量等)を提供するように構成された流量センサである。幾つかの実施形態では、第1のセンサが速度センサ又は圧力センサである場合もある。
【0015】
圧力交換器システムは、第2の流体がPXの第2の入口に入る前の、第2の流体に関連付けられた第2のセンサデータを提供するように構成された第2のセンサを、さらに備え得る。幾つかの実施形態では、第2のセンサは、第2の流体がPXに入る前の、第2の流体の圧力データを提供するように構成された圧力センサである。幾つかの実施形態では、第2のセンサは、第2の流体がPXに入る前の、第2の流体の流量データを提供するように構成された流量センサである。
【0016】
幾つかの実施形態では、圧力交換器システムは、コントローラ(例:処理装置等)をさらに備える。このコントローラは、PXに入る第1の流体の目標流量に関連付けられたユーザ入力を受け取るように構成され得る。このユーザ入力は、ローカルでの要件(例:プラントでの要件、鉱山での要件、ポンピングでの要件等)に基づいてユーザ(例:技術者、オペレータ、エンジニア等)によって設定される所望の流量であり得る。コントローラは、ユーザ入力及び第1のセンサデータに基づき、PXの第1の入口に入る第1の流体の第1の流量の第1の調節を引き起こし得る。例えば、コントローラは、第1の流量がユーザ入力(例:目標流量)に合致するような第1の流量の調節を引き起こし得る。コントローラはまた、第1のセンサデータ及び第2のセンサデータに基づき、PXの第2の入口に入る第2の流体の第2の流量の第2の調節も引き起こし得る。幾つかの実施形態では、コントローラは、第1の調節及び/又は第2の調節を、1つ以上のバルブ(例:HPin流量バルブ及びLPout流量バルブ)を作動させることによって引き起こす。幾つかの実施形態では、コントローラは、第1の調節及び/又は第2の調節を、1つ以上の供給ポンプ(例:1つ以上の高圧流体ポンプ及び/又は1つ以上の低圧流体ポンプ)を制御することによって引き起こす。
【0017】
本開示のシステム、装置、及び方法は、従来の解決方法に対して有利な点を有する。本開示は、従来のシステムに対して、用いられる圧送能力の量を減少させる(例:より少ないポンプが使用される、より少ないエネルギーがポンプを駆動するために使用される)ことができる。これにより、本開示は、従来の解決方法に比べて高い効率を有し、かつメンテナンスの実施もより少なくてよい。用いられる圧送能力の減少(例:ポンプの量の減少)により、本開示は、従来のシステムに対して流体の揚程(圧力)を上昇させるためのエネルギーを減少させる。加えて、本開示は、従来のシステムと比較して、構成要素(例:ポンプ、バルブ、センサ)の摩耗を低減する。高圧ポンプを用いて、粒子含有流体、より高粘性の流体、特定の化学物質を含む流体等の揚程を直接的に上昇させていた従来の解決方法に対し、本開示は、実質的に粒子非含有の流体、より低い粘性を有する流体、特定の化学物質を含まない流体等の揚程(例:圧力)を上昇させるポンプ(例:高圧ポンプ)を用いて、粒子含有流体、より高粘性の流体、特定の化学物質を含む流体等の揚程(例:圧力)を上昇させる。粒子含有流体の流量を直接的に制御するのみである従来のシステムに対して、本開示は、実質的に粒子非含有の流体の流量を制御することを通じて粒子含有流体の流量を制御するように、バルブ及び/又はポンプを用いる。粒子含有流体のセンサデータを直接的に提供するセンサを有するのみだった従来の解決方法に対し、本開示は、実質的に粒子非含有の流体に関連付けられたセンサデータを提供させるようにセンサを用いる。これにより、本開示は、より高い信頼性を有し、構成要素のメンテナンスを減らし、構成要素のサービス寿命を延ばし、システムのダウンタイムを短くし、かつ(例えば、脱塩、フラッキング、冷凍、スラリーポンプ等の)収量を増やすことができる。本開示は、システムの構成要素の寿命を延ばすことができる圧力交換器であって、システムの効率を高め、エンドユーザがより広範な種類のポンプから選択することを可能にし、ポンプを整備するためのメンテナンス及びダウンタイムを減らし、新しい計装装置及び制御装置を許容する、圧力交換器を用いることができる。
【0018】
本開示の幾つかの実施形態は、圧力交換器、エネルギー回収装置、及び水圧エネルギー伝達システムに関連して記載されているが、本開示は他のシステム及び装置(例:等圧的でない圧力交換器、圧力交換器ではない回転要素、回転式ではない圧力交換器等)に対しても適用可能である。
【0019】
本開示の幾つかの実施形態は、フラッキングシステム、脱塩システム、スラリーポンプシステム、及び/又は冷却システムにおいて使用される流体同士の間での圧力交換に関連して記載されているが、本開示は、他の種類のシステムに対しても適用可能である。流体という語は、液体、気体、遷臨界流体、超臨界流体、亜臨界流体、及び/又はそれらの組み合わせ、を指し得る。
【0020】
本開示の幾つかの実施形態は、粒子含有流体及び実質的に粒子非含有の流体に関連して記述されているが、本開示は、例えば、高粘性流体及び低粘性流体、特定の化学物質を閾値よりも多い量だけ有している流体、ならびに特定の化学物質を閾値よりも少ない量だけ有している流体等の、他の種類の流体に対しても適用することができる。
【0021】
図1Aは、ある実施形態による、水圧エネルギー伝達システム110を含む流体処理システム100Aの概略図を示している。
【0022】
幾つかの実施形態では、水圧エネルギー伝達システム110は、圧力交換器(例:PX)を含む。水圧エネルギー伝達システム110(例:PX)は、低圧(LP)in流体120を、(例えば、低圧入口を介して)LPinシステム122から受け取る。水圧エネルギー伝達システム110はまた、高圧(HP)in流体130を、(例えば、高圧入口を介して)HPinシステム132から受け取りもする。HPin流体130の流れは、HPin流量バルブ131によって制御され得る。水圧エネルギー伝達システム110(例:PX)は、HPin流体130とLPin流体120の間で圧力を交換して、LPout流体140を(例えば、低圧出口を介して)LPout流体システム142に供給し、かつHPout流体150を(例えば、高圧出口を介して)HPout流体システム152に供給する。LPout流体140の流れは、LPout流量バルブ141によって制御され得る。コントローラ180は、それぞれHPin流量バルブ131とLPout流量バルブ141によって、HPin流体130及びLPout流体140の流量の調節をも引き起こし得る。コントローラ180は、HPin流量バルブ131及びLPout流量バルブ141が作動するようにすることができる。
【0023】
幾つかの実施形態では、水圧エネルギー伝達システム110は、HPin流体130とLPin流体120の間で圧力を交換するためのPXを備える。幾つかの実施形態では、このPXは、実質的又は部分的に等圧である(例:等圧圧力交換器(IPX)である)。このPXは、(例えば、遠心技術を利用することなく)約50%、60%、70%、80%、90%、又はそれより高い効率、を超える効率(例:実質的に等圧な、圧力伝達効率)でHPin流体130とLPin流体120の間で流体の圧力を交換する装置であり得る。高圧(例:HPin流体130、HPout流体150)とは、低圧(例:LPin流体120、LPout流体140)よりも大きな圧力を指す。PXのLPin流体120は、加圧され、高圧(例:LPin流体120の圧力よりも大きな圧力の、HPout流体150)でPXを出ていき得るのであって、かつHPin流体130は、減圧され、低圧(例:HPin流体130の圧力よりも小さな圧力の、LPout流体140)でPXを出ていき得る。PXは、LPin流体120を加圧すべく、HPin流体130を用いて直接力を加えるように動作することができ、これは流体間の流体セパレータの有無によらない。PXと共に用いられ得る流体セパレータの例には、ピストン、ブラダー(bladder)、ダイヤフラム(diaphragm)、及びそれらに類するものが含まれるが、それらに限定されるわけではない。幾つかの実施形態では、PXは回転式の装置であり得る。回転式PXは、例えばカリフォルニア州サンレアンドロ所在のEnergy Recovery Inc.が製造しているような回転式PXは、エンドカバーに対するロータの相対運動を介して効果的なバルブ作用が装置内部で達成されるので、別個のバルブを有さなくてもよい。回転式PXは、内部のピストンを動作させて流体を分離し、かつ入口流体流の混合を相当に少なくして圧力を伝達するように設計され得る。PXを往復させることは、流体流の間で圧力を伝達するために筒内で前後運動するピストンを含み得る。本開示では、例えば回転式PX、往復PX、又はそれらの任意の組み合わせ等、任意の1つ又は複数のPXが用いられ得るが、それらに限定されるわけではない。さらに、PXは、流体処理システム100の他の構成要素とは別個であるスキッド上に配置されてもよい(例えば、PXが既存の流体処理システムに追加される場合に)。例えば、PXは、ある位置から他の位置へと移動することができる構造に固定され得る。このPXは、現場で構築されたシステム(例:システムの配管等)に結合されてもよい。PXが固定される構造は、「スキッド」と呼称されることがある。
【0024】
幾つかの実施形態では、モータ160が、水圧エネルギー伝達システム110に(例:PXに)結合されている。幾つかの実施形態では、モータ160は、(例えば、HPout流体150の圧力を上昇させるように、HPout流体150の圧力を降下させるように)水圧エネルギー伝達システム110のロータの速度を制御する。幾つかの実施形態では、モータ160は、水圧エネルギー伝達システム110内での圧力交換に基づき、エネルギーを生成する(例:発電機として機能する)。
【0025】
水圧エネルギー伝達システム110は、他の流体との仕事及び/又は圧力の交換中における、固体粒子含有流体(例:フラッキング流体、スラリー流体)又は腐食性流体(例:苛性流体、酸性流体)と1つ以上の機器(例:水圧破砕機器、高圧ポンプ等)の接触を遮断又は制限できる、水圧保護システム(例:水圧緩衝システム、水圧分離システム)であり得る。1つ以上の機器(例:水圧破砕機器、高圧ポンプ等)と固体粒子含有流体又は腐食性流体の接触を遮断又は制限することにより、水圧エネルギー伝達システム110は、1つ以上の機器(例:水圧破砕機器、高圧流体ポンプ等)の摩耗及び損耗を低減しつつ、それらの寿命及び性能を向上させる。研磨性流体(例:フラッキング流体、スラリー流体、粒子含有流体、及び/又は腐食性流体等)用には設計されていない機器(例:高圧流体ポンプ)を使用することによって、より安価であり、公差の厳密性が低く、異なる材料で作製された機器を、流体処理システム100内で使用することができる。
【0026】
水圧エネルギー伝達システム110は、水圧ターボチャージャー又は水圧式圧力交換器等を含み、例えば、回転式PXである。PXは、第1の流体と第2の流体(例:気体、液体、多相流体)の間での圧力伝達を容易化するような、1つ以上の(例:1~100の)チャンバを含み得る。幾つかの実施形態では、PXは第1の流体(例:プロパント非含有流体、実質的にプロパント非含有の流体、低粘性の流体、閾値よりも少ない量の特定の化学物質を有する流体、非苛性流体、非酸性流体等の、圧力交換流体)と、第2の流体であって、高粘性を有し得る(例:非常に粘性であり得る)のであって、閾値を超える量の特定の化学物質を含み(例:苛性流体、酸性流体等)、かつ/又は固体粒子を含む(例:砂、プロパント、粉末、デブリ、セラミックス等を含むフラッキング流体)、第2の流体との間で圧力を交換することができる。第2の流体は、プロセスから取り除かれるべきデトリタス(例:廃棄物及び/又はデブリ)を含んでもよい。例えば、第2の流体が、チキン処理作業から取り除かれるべき、水中に漂う粉砕された鶏の骨を含む場合がある。
【0027】
流体処理システム100Aは、流体処理システム100Aの流体に関連付けられたセンサデータ(例:流量データ、圧力データ、速度データ等)を提供する、1つ以上のセンサをさらに備え得る。HPin流量バルブ131は、HPin流体130に関連付けられたセンサ(例:HPin流体130のパイピング内に配置されたセンサ)から受け取ったセンサデータに基づき、HPin流体130の流量を制御し得る。HPin流量バルブ131は、目標流量に基づき、HPin流体130の流量を制御し得る。目標流量は、ユーザ(例:技術者、オペレータ、エンジニア等)によるユーザ入力に基づき、コントローラ180によって決定され得る。LPout流量バルブ141は、1つ以上のセンサから受け取ったセンサデータに基づき、LPout流体140の流量を制御し得る。幾つかの実施形態では、コントローラ180は、HPin流量バルブ131及び/又はLPout流量バルブ141が、受け取ったセンサデータに基づいて作動するようにする。
【0028】
水圧エネルギー伝達システム110は、異なる種類のシステムで使用することができる。例えば、フラッキングシステム(例:
図1B参照)、脱塩システム(例:
図1C参照)、冷凍システム(例:
図1D参照)、スラリーポンプシステム、工業用流体システム、廃液システム、流体輸送システム等である。
【0029】
図1Bは、ある実施形態による、水圧エネルギー伝達システム110を含む流体処理システム100Bの概略図を示している。流体処理システム100Bは、フラッキングシステムであってよい。幾つかの実施形態では、流体処理システム100Bは、
図1Bに示されているものに対して、より多くの構成要素、より少ない構成要素、同じ作業工程(routing)、異なる作業工程、及び/又はそれに類するものを含む。
図1Aにあるのと同様の参照符号を有する
図1Bの幾つかの特徴は、
図1Aにあるのと同様の性質、機能、及び/又は構造を有し得る。
【0030】
LPin流体120及びHPout流体150は、フラッキング流体(例:固体粒子含有流体、プロパント含有流体等)であってよい。HPin流体130及びLPout流体140は、実質的に固体粒子非含有の流体(例:プロパント非含有流体、水、濾過された流体等)であり得る。
【0031】
LPinシステム122は、LPin流体120を水圧エネルギー伝達システム110(例:PX)に供給するような1つ以上の低圧流体ポンプを有し得る。HPinシステム132は、HPin流量バルブ131を介してHPin流体130を水圧エネルギー伝達システム110に供給するような1つ以上の高圧流体ポンプ134を含み得る。コントローラ180は、高圧流体ポンプ134、低圧流体ポンプ124、HPin流量バルブ131、及び/又はLPout流量バルブ141を制御し得る。
【0032】
水圧エネルギー伝達システム110は、LPin流体120(例:低圧フラッキング流体)とHPin流体130(例:高圧水)の間で圧力を交換して、HPout流体150(例:高圧フラッキング流体)をHPoutシステム152に供給し、かつLPout流量バルブ141を介してLPoutシステム142にLPout流体140(例:低圧水)を供給する。HPoutシステム152は、クラック156を含む岩層154(例:坑井)を含み得る。HPout流体150からの固体粒子(例:プロパント)が、岩層のクラック156の内部に供給され得る。
【0033】
幾つかの実施形態では、LPout流体140、LPout流量バルブ141、高圧流体ポンプ134、HPin流量バルブ131、及び高圧in流体130は、第1のループ(例:プロパント非含有流体のループ)の一部である。LPout流体140は、高圧流体ポンプ134に供給され、水圧エネルギー伝達システム110を出る際にLPout流体140になるHPin流体130を生成することができる。
【0034】
幾つかの実施形態では、LPin流体120、HPout流体150、及び低圧流体ポンプ124は、第2のループ(例:プロパント含有流体のループ)の一部である。HPout流体150は、岩層154に提供され、そして低圧流体ポンプ124によって岩層154から圧送され、LPin流体120を生成することができる。コントローラ180は、低圧流体ポンプ124を制御し得る。幾つかの実施形態では、コントローラ180は、HPin流量バルブ131及びLPout流量バルブ141を制御する。
【0035】
幾つかの実施形態では、流体処理システム100Bは、岩層154における石油及びガスの放出を増加させるための水圧破砕(例:フラッキング(fracking)、フラッキング(fracing))を実施するため、石油及びガス産業における坑井完成作業において用いられる。HPoutシステム152は、岩層154(例:坑井)を含み得る。水圧破砕は、水、化学物質、及び/又は固体粒子(例:砂、セラミックス、プロパント)の組み合わせを含むHPout流体150を、高圧で坑井(例:岩層154)内に圧送することを含み得る。LPin流体120及びHPout流体150は、岩層154中のクラック156を伝播させること及びそのサイズを増大させることによって岩層154中の石油及びガスの放出を増加させる、粒子含有流体を含み得る。高圧out流体150の高圧は、岩層154を貫くクラック156及び伝播を引き起こしかつそのサイズを増大させ、より多くの石油及びガスを放出させる。一方、その固体粒子(例:粉末、デブリ等)はクラック156に入り、クラック156を開いた状態に維持する(例:HPout流体150が減圧されたときにクラック156が閉じてしまうことを防ぐ)。
【0036】
この粒子含有流体を岩層154(例:坑井)内に圧送するために、流体処理システム100Bは、水圧エネルギー伝達システム110に結合された1つ以上の高圧流体ポンプ134及び/又は1つ以上の低圧流体ポンプ124を含み得る。例えば、水圧エネルギー伝達システム110は、水圧ターボチャージャー又はPX(例:回転式PX)であり得る。運転中には、水圧エネルギー伝達システム110は、高圧流体ポンプ134によって圧送された第1の流体(例:HPin流体130、プロパント非含有流体等)と第2の流体(例:LPin流体120、プロパント含有流体、フラッキング流体、低圧流体ポンプ124によって圧送された流体、重力供給された流体等)の間で、実質的な混合なくして、圧力を伝達する。このようにして、水圧エネルギー伝達システム110は、高圧流体ポンプ134の摩耗を阻止又は制限する一方、流体処理システム100Bが高圧フラッキング流体(例:HPout流体150)を岩層154内へと圧送し、石油及びガスを放出させることを可能にする。腐食性又は研磨性の環境で動作させるためには、水圧エネルギー伝達システム110は、第1の流体又は第2の流体のいずれかに含まれる腐食性又は研磨性の物質に耐性のある材料から形成されるのがよい。例えば、水圧エネルギー伝達システム110は、金属マトリックス(例:Co、Cr、又はNi、又はそれらの組み合わせ)内でセラミックス(例:アルミナや、炭化物、酸化物、窒化物、又はホウ化物の硬質相のサーメット等)から作製され得るのであって、例えば、CoCr、Ni、NiCr又はCoのマトリックス中のタングステンカーバイドであり得る。
【0037】
幾つかの実施形態では、水圧エネルギー伝達システム110は、PX(例:回転式PX)を含み、かつHPin流体130(例:第1の流体、高圧の固体粒子非含有流体等)は、PXの第1の入口を介して入り、そこでHPin流体130は、第2の入口を介してPXに入るLPin流体120(例:第2の流体、低圧フラッキング流体)と接触する。それらの流体同士の接触及び/又はそれらの流体とPXの構成要素(例:ピストン、タービンホイール、圧縮機ホイール等)の接触によって、HPin流体130は第2の流体(例:LPin流体120)の圧力を上昇させることができ、これによって、第2の流体(例:HPout流体150)はPXから排出され、そして破砕作業のために坑井(例:岩層154)を下降させられる。第1の流体(例:LPout流体140)は、同様にPXを出るが、しかしながら第2の流体と圧力を交換した後なので、低圧である。第2の流体は、研磨性粒子を含む場合がある低圧のフラッキング流体であり得る。
【0038】
流体処理システム100Bは、第1の流体及び第2の流体に関連付けられたセンサデータを提供するように構成された1つ以上のセンサをさらに含み得る。HPin流量バルブ131は、HPin流体130の流れに関連付けられたセンサデータを提供するセンサから受け取ったセンサデータに基づき、HPin流体130の流量を制御し得る。HPin流量バルブ131は、目標流量に基づき、HPin流体130の流量を制御し得る。該目標流量は、ユーザ(例:技術者、オペレータ、エンジニア等)によって提供されたユーザ入力に基づき、コントローラ108によって決定され得る。LPout流量バルブ141は、1つ以上のセンサから受け取ったセンサデータに基づき、LPout流体140の流量を制御し得る(例:LPin流体120の流量の制御をもたらす)。幾つかの実施形態では、コントローラ180は、HPin流量バルブ131及び/又はLPout流量バルブ141が、受け取ったセンサデータに基づいて作動するようにする。
【0039】
図1Cは、ある実施形態による、水圧エネルギー伝達システム110を含む流体処理システム100Cの概略図を示している。流体処理システム100Cは、(例えば、塩及び/又は他のミネラルを水から取り除く)脱塩システムであってよい。幾つかの実施形態では、流体処理システム100Cは、
図1Cに示されているものに対して、より多くの構成要素、より少ない構成要素、同じ作業工程、異なる作業工程、及び/又はそれに類するものを含む。
図1A及び/又は
図1Bにあるのと同様の参照符号を有する
図1Cの幾つかの特徴は、
図1A及び/又は
図1Bにあるのと同様の性質、機能、及び/又は構造を有し得る。
【0040】
LPinシステム122は、in海水170(例:リザバーから得たか又は海洋から直接得た供給水)を受け取り、かつLPin流体120(例:低圧の海水、供給水)を水圧エネルギー伝達システム110(例:PX)に供給する、供給ポンプ126(例:低圧流体ポンプ124)を含み得る。供給ポンプ126は、コントローラ180によって制御され得る。HPinシステム132は、HPin流量バルブ131を介してHPin流体130(例:高圧ブライン)を水圧エネルギー伝達システム110(例:PX)に供給するメンブレン136を備え得る。水圧エネルギー伝達システム110は、HPin流体130とLPin流体120の間で圧力を交換して、HPout流体150(例:高圧海水)をHPoutシステム152に供給し、かつLPout流量バルブ141を介してLPout流体140(例:低圧ブライン)をLPoutシステム142(例:地質学的塊(geological mass)、海洋、海、廃棄部等)に供給する。
【0041】
メンブレン136は、逆浸透膜等、膜を通る流体を分離させるように構成された膜分離装置であり得る。メンブレン136は、濃縮供給水又は濃縮液(例:ブライン)であるHPin流体130を水圧エネルギー伝達システム110に供給することができる。HPin流体130の圧力は、低圧供給水(例:LPin流体120)を圧縮して高圧供給水(例:HPout流体150)にするように用いられ得る。単純化及び説明の目的のため、供給水(feed water)という用語を用いている。しかしながら、水圧エネルギー伝達システム110において水以外の流体が使用されてもよい。
【0042】
循環ポンプ158(例:タービン)は、HPout流体150(例:高圧海水)をメンブレン136に供給する。循環ポンプ158は、コントローラ180によって制御され得る。メンブレン136は、HPout流体150を濾過して、LP飲料水172及び高圧in流体130(例:高圧ブライン)を提供する。LPoutシステム142は、outブライン174を(例:地質学的塊、海洋、海、棄部等に)供給する。
【0043】
幾つかの実施形態では、高圧流体ポンプ176が、供給ポンプ126とメンブレン136の間に配置されている。高圧流体ポンプ176は、低圧海水(例:高圧供給水を提供するLPin流体120)の圧力を上昇させ、循環ポンプ158によって供給された高圧海水と混合されるようにする。高圧流体ポンプ176は、コントローラ180によって制御され得る。
【0044】
幾つかの実施形態では、水圧エネルギー伝達システム110の使用により、高圧流体ポンプ176にかかる負荷が減少させられるのである。幾つかの実施形態では、流体処理システム100Cは、高圧流体ポンプ176を使用することなく、LP飲料水172を提供する。幾つかの実施形態では、流体処理システム100Cは、高圧流体ポンプ176を断続的に使用しつつ、LP飲料水172を提供する。
【0045】
幾つかの例では、水圧エネルギー伝達システム110(例:PX)は、LPin流体120(例:低圧供給水)を約2068hPa(約30PSI(重量ポンド/平方インチ))で受け取り、かつHPin流体130(例:高圧のブライン又は濃縮液)を約67568hPa(約980PSI)で受け取る。水圧エネルギー伝達システム110(例:PX)は、圧力を高圧濃縮液(例:HPin流体130)から低圧供給水(例:LPin流体120)に伝達する。水圧エネルギー伝達システム110(例:PX)は、HPout流体150(例:高圧(圧縮)供給水)を約66534hPa(約965PSI)で、かつLPout流体140(例:低圧濃縮液)を約1034hPa(約15PSI)で受け取る。このように、水圧エネルギー伝達システム110(例:PX)は、約97%の効率であり得る。というのも、水圧エネルギー伝達システム110(例:PX)の入力体積は、出力体積と実質的に等しく、かつ66534hPa(約965PSI)は実質的に67568(約980SPI)の97%であるからである。
【0046】
流体処理システム100Cは、第1の流体及び第2の流体に関連付けられたセンサデータを提供するように構成された1つ以上のセンサをさらに含み得る。HPin流量バルブ131は、HPin流体130の流れに関連付けられたセンサデータを提供するセンサから受け取ったセンサデータに基づき、HPin流体130の流量を制御し得る。HPin流量バルブ131は、目標流量に基づいて、HPin流体130の流量を制御してもよい。該目標流量は、ユーザ(例:技術者、オペレータ、エンジニア等)によって提供されたユーザ入力に基づき、コントローラ108によって決定され得る。LPout流量バルブ141は、1つ以上のセンサから受け取ったセンサデータに基づき、LPout流体140の流量を制御し得る(例:LPin流体120の流量の制御をもたらす)。幾つかの実施形態では、コントローラ180は、HPin流量バルブ131及び/又はLPout流量バルブ141が受け取ったセンサデータに基づいて作動するようにする。
【0047】
図1Dは、ある実施形態による、水圧エネルギー伝達システム110を含む流体処理システム100Dの概略図を示している。流体処理システム100Dは、冷凍システムであってよい。幾つかの実施形態では、流体処理システム100Dは、
図1Dに示されているものに対して、より多くの構成要素、より少ない構成要素、同じ作業工程、異なる作業工程、及び/又はそれに類するものを含む。
図1A、
図1B及び/又は
図1Bにあるのと同様の参照符号を有する
図1Dの幾つかの特徴は、
図1A、
図1B及び/又は
図1Cにあるのと同様の性質、機能、及び/又は構造を有し得る。
【0048】
水圧エネルギー伝達システム110(例:PX)は、LPin流体120をLPinシステム122(例:低圧リフト装置128、低圧流体ポンプ、低圧圧縮機等)から受け取ることができ、かつHPin流量バルブ131を介してHPin流体130をHPinシステム132(例:凝縮器138、ガスクーラー、熱交換器等)から受け取ることができる。水圧エネルギー伝達システム110(例:PX)は、LPin流体120とHPin流体130の間で圧力を交換して、HPout流体150をHPoutシステム152(例:高圧リフト装置159、高圧流体ポンプ、高圧圧縮機等)に供給し、かつLPout流量バルブ141を介してLPout流体140をLPoutシステム142(例:蒸発器144、熱交換器等)に供給することができる。蒸発器144は、流体を圧縮機178及び低圧リフト装置128に供給することができる。凝縮器138は、流体を圧縮機178及び高圧リフト装置159から受け取ることができる。コントローラ180は、流体処理システム100Dの1つ以上の構成要素を制御し得る。
【0049】
流体処理システム100Dは、閉鎖系であり得る。LPin流体120、HPin流体130、LPout流体140、及びHPout流体150は、すべて流体処理システム100Dの閉鎖系内部で循環させられる流体(例:冷媒、同一の流体)であり得る。
【0050】
幾つかの実施形態では、流体処理システム100Dの流体は、固体粒子を含み得る。例えば、パイピング、機器、接続部(例:パイプ溶接部、パイプはんだ付け部)等は、固体粒子(例:溶接部、はんだ付け部、及び/又は腐食部からの固体粒子)を流体処理システム100D内の流体に導入し得る。
【0051】
流体処理システム100Dは、流体に関連付けられたセンサデータを提供するように構成された1つ以上のセンサをさらに含み得る。HPin流量バルブ131は、HPin流体130の流れに関連付けられたセンサデータを提供するセンサから受け取ったセンサデータに基づき、HPin流体130の流量を制御し得る。HPin流量バルブ131は、目標流量に基づき、HPin流体130の流量を制御し得る。目標流量は、ユーザ(例:技術者、オペレータ、エンジニア等)によって提供されたユーザ入力に基づき、コントローラ108によって決定され得る。LPout流量バルブ141は、1つ以上のセンサから受け取ったセンサデータに基づき、LPout流体140の流量を制御し得る(例:LPin流体120の流量の制御をもたらす)。幾つかの実施形態では、コントローラ180は、HPin流量バルブ131及び/又はLPout流量バルブ141が、受け取ったセンサデータに基づいて作動するようにする。
【0052】
図2A-Eは、ある実施形態による、回転式PX40(例:回転式圧力交換器、回転式液体ピストン圧縮機(LPC))の分解斜視図である。
図2A-Eの1つ以上にある幾つかの特徴は、
図1A-Dの1つ以上にあるのと同様の性質、機能、及び/又は構造を有し得る。
【0053】
PX40は、第1の流体(例:粒子非含有流体、非苛性流体、非酸性流体、プロパント非含有流体又は超臨界二酸化炭素、HPin流体130)と第2の流体(例:スラリー流体、苛性流体、酸性流体、フラッキング流体又は過熱気体二酸化炭素、LPin流体120)の間で、最小限の流体混合でもって圧力及び/又は仕事を伝達するように構成されている。回転式PX40は、スリーブ44(例:ロータスリーブ)及びロータ46を含む、一般的には筒状体である部分42を含み得る。また、回転式PX40は、それぞれのマニホールド52及び54を含む2つのエンドキャップ48及び50も含み得る。マニホールド52は、それぞれ入口ポート56及び出口ポート58を含み、一方、マニホールド54は、それぞれ入口ポート60及び出口ポート62を含む。運転中は、これらの入口ポート56、60は、第1の流体及び第2の流体が回転式PX40に入って圧力を交換できるようにし、一方、出口ポート58、62は、その後で第1の流体及び第2の流体が回転式PX40を出ることができるようにする。運転中、入口ポート56は、高圧の第1の流体(例:HPin流体130)を受け入れ得るのであって、圧力交換後には、出口ポート58が、低圧の第1の流体(例:LPout流体140)を回転式PX40外へ向かわせるよう経路設定するように用いられ得る。同様にして、入口ポート60は、低圧の第2の流体(例:低圧スラリー流体、LPin流体120)を受け入れ、出口ポート62は、高圧の第2の流体(例:高圧スラリー流体、HPout流体150)を回転式PX40外へ向かわせるよう経路設定するように用いられ得る。エンドキャップ48及び50は、それぞれのマニホールド52及び54内に配置された、ロータ46と流体シールで接触することを可能にする、それぞれのエンドカバー64及び66(例:エンドプレート)を含む。
【0054】
ロータ46、エンドカバー64、及び/又はエンドカバー66等、PX40の1つ以上の構成要素は、事前決定された閾値よりも大きな硬度(例:ビッカース硬さ値で、少なくとも1000、1250、1500、1750、2000、2250、又はそれらより大きい)を有する、摩耗に耐性のある材料(例:カーバイド、超硬合金、シリコンカーバイド、タングステンカーバイド等)から構成されることができる。例えば、タングステンカーバイドは、アルミナ加工セラミックス等の他の材料と比べて、耐久性がより高くあり得るのであって、かつ研磨性流体に対するより高い摩耗耐性を提供し得る。加えて、幾つかの実施形態では、ロータ46、エンドカバー64、エンドカバー66、及び/又はPX40の他のシール表面等、PX40の1つ以上の構成要素は、インサートを有し得る。幾つかの実施形態では、該インサートは、摩耗耐性を高めるために、事前決定された閾値よりも大きな硬度(例:ビッカース硬さ値で、少なくとも1000、1250、1500、1750、2000、2250、又はそれらより大きい)を有する、1つ以上の摩耗に耐性のある材料(例:カーバイド、超硬合金、シリコンカーバイド、タングステンカーバイド等)から構成される場合がある。
【0055】
ロータ46は、筒状でありかつスリーブ44内に配置され、ロータ46が軸68を中心に回転することを可能にし得る。ロータ46は、複数のチャネル70(例:ダクト、ロータダクト)を有し得るのであって、それらのチャネル70は、長手方向軸68を中心に実質的に対称に配置された各端である開口72と74(例:ロータポート)を有するロータ46を貫く長手方向に実質的に延びている。ロータ46の開口72及び74は、回転の間、チャネル70が高圧の流体及び低圧の流体にさらされるようなやり方で、エンドカバー64及び66内の入口アパーチャ76と出口アパーチャ78(例:エンドカバー入口ポート及びエンドカバー出口ポート)の間の、及び入口アパーチャ80と出口アパーチャ82(例:エンドカバー入口ポート及びエンドカバー出口ポート)の間の、水圧的な連通のために配置されている。図示されているように、入口アパーチャ76及び出口アパーチャ78、ならびに80及び82は、円弧又は円のセグメント(例:C字形状)の形態で設計され得る。
【0056】
幾つかの実施形態では、センサフィードバック(例:タコメータ又は光学エンコーダを通じて計測された1分ごとの回転数、又は流量計を通じて計測された体積流量)を用いるコントローラ(例:
図1A-Dのコントローラ180)が、回転式PX40内における第1の流体と第2の流体の間の混合の程度を制御し、流体処理システム(例:
図1A-Dの流体処理システム100A-D)の操作性を向上させるように用いられ得る。例えば、回転式PX40に入る第1の流体及び/又は第2の流体の体積流量を(例えば、
図1A-DのHPin流量バルブ131及びLPout流量バルブ141によって)変化させることで、プラントのオペレータ(例:システムオペレータ)はPX40内での流体混合の量を制御することができる。さらに、ロータ46の回転速度を変化させることもまた、オペレータが混合を制御することを可能にする。混合に影響する回転式PX40の3つの特徴は、(1)ロータのチャネル70のアスペクト比、(2)第1の流体と第2の流体の接触持続時間、及び(3)ロータのチャネル70内での、第1の流体と第2の流体の間の流体隔壁(例:界面)形成、である。第1に、ロータのチャネル70(例:ダクト)は、一般的には長くかつ狭く、回転式PX40内の流れを安定化させる。加えて、第1の流体及び第2の流体は、最小限の軸方向の混合でもって、栓流の枠組みでチャネル70を通って移動し得る。第2に、ある実施形態では、ロータ46の速度は、第1の流体と第2の流体の間の接触を減少させる。例えば、ロータ46の速度(例:約1200RPM(1分あたり回転数)のロータ速度)は、第1の流体と第2の流体の間の接触時間を、約0.15秒、0.10秒、又は0.05秒未満まで減少させ得る。第3に、第1の流体と第2の流体の間の圧力交換に用いられるのは、ロータのチャネル70の小さな部分である。従って、流体の体積は、第1の流体と第2の流体の間の隔壁として、チャネル70内に残る。これらすべての機構は、回転式PX40内での混合を制限し得る。さらに、幾つかの実施形態では、回転式PX40は、圧力の伝達を可能にしつつ第1の流体と第2の流体を分離する、完全又は部分的な内部ピストン又は他の隔壁と共に動作するように設計され得る。
【0057】
図2B-2Eは、チャネル70が完全なサイクルを通じて回転する際の、ロータ46内の単一のロータのチャネル70の位置のシークエンスを例示する、回転式PX40の一実施形態の分解図である。
図2B-2Eは、回転式PX40の単純化であって、1つのロータのチャネル70を示しており、かつ、チャネル70は、円形の断面形状を有するように示されていることには、留意されたい。他の実施形態では、回転式PX40は、同一又は異なる断面形状(例:円形、楕円形、正方形、矩形、多角形等)を有する、複数のチャネル70を含んでよい。即ち、
図2B-2Eは、説明のための単純化であり、回転式PX40の他の実施形態は、
図2A-2Eに示されている構成とは異なる構成を有する場合がある。以下で詳細に述べられるように、回転式PX40は、第1の流体と第2の流体(例:粒子非含有流体及びスラリー流体)がロータ46の内部で互いにわずかに接触できるようにすることにより、第1の流体と第2の流体の間での圧力交換を容易化する。幾つかの実施形態では、このPXは、第1の流体及び第2の流体が隔壁(例:往復する隔壁、ピストン。図示されてはいない)の両側に接触できるようにすることにより、第1の流体と第2の流体の間の圧力交換を容易化する。ある実施形態では、この交換は、第1の流体と第2の流体の制限された混合をもたらすような速度で起きる。(チャネルがアパーチャ76に対して露出してすぐの)ロータのチャネル70を通過する圧力波の速度、流体の拡散の速度、及び/又はロータ46の回転速度によって、混合が発生するかどうか、及びどの程度起きるかは規定され得る。
【0058】
図2Bは、ある実施形態による、回転式PX40(例:回転式LPC)の一実施形態の分解斜視図である。
図2Bにおいては、チャネルの開口72は、最初の位置にある。この最初の位置では、チャネルの開口72は、エンドカバー64のアパーチャ78と、従ってマニホールド52と、流体連通しており、一方、反対側のチャネルの開口74は、エンドカバー66のアパーチャ82と、ひいてはマニホールド54と、水圧的に連通している。ロータ46は、矢印84で示される時計回りの方向に回転し得る。運転中、低圧の第2の流体86(例:低圧スラリー流体)は、エンドカバー66を通過し、チャネル70に入り、その中で第1の流体88と動的流体界面90で接触する。そして、第2の流体86は、第1の流体88をチャネル70から追い出し、エンドカバー64を通過させ、回転式PX40から追い出す。しかしながら、接触の持続時間は短いので、第2の流体86(例:スラリー流体)と第1の流体88(例:粒子非含有流体)の間での混合は最小限である。幾つかの実施形態では、低圧の第2の流体86は、チャネル70内に配置された隔壁(例:ピストン。図示されてはいない)の第1の側に接触する。ここで、第1の流体88が、その隔壁に(例:隔壁の反対の側に)接触している。第2の流体86は、隔壁を駆動し、第1の流体88をチャネル70外へと追い出す。そのような実施形態では、第2の流体86と第1の流体88の間の混合は無視できる。
【0059】
図2Cは、ある実施形態による、回転式PX40(例:回転式LPC)の一実施形態の分解斜視図である。
図2Cでは、チャネル70は、約90度の円弧を通って時計回りに回転している。この位置では、開口74(例:出口)はもはやエンドカバー66のアパーチャ80及び82と流体連通してはおらず、開口72はもはやエンドカバー64のアパーチャ76及び78と流体連通してはいない。従って、低圧の第2の流体86が一時的にチャネル70内に収容されている。
【0060】
図2Dは、ある実施形態による、回転式PX40(例:回転式LPC)の一実施形態の分解斜視図である。
図2Dでは、チャネル70は、
図2Bに示された位置から約60度の円弧を通って回転している。開口74は、ここではエンドカバー66のアパーチャ80と流体連通しており、チャネル70の開口72は、ここではエンドカバー64のアパーチャ76と流体連通している。この位置では、高圧の第1の流体88は低圧の第2の流体86に入りかつそれを加圧し、第2の流体86をロータのチャネル70から追い出して、アパーチャ80を通過させる。
【0061】
図2Eは、ある実施形態による、回転式PX(例:回転式LPC)の一実施形態の分解斜視図である。
図2Eでは、チャネル70は、
図2Bに示された位置から約270度の円弧を通って回転している。この位置では、開口74はもはやエンドカバー66のアパーチャ80及び82と流体連通してはおらず、開口72はもはやエンドカバー64のアパーチャ76及び78と流体連通してはいない。従って、第1の流体88はもはや加圧されておらず、かつ一時的にチャネル70内に収容されており、ロータ46がさらに90度回転すると、上記のサイクルが再び開始される。
【0062】
図3A-Dは、ある実施形態による、PXを含む流体処理システム300A-Dの概略図である。
図3A-Dの1つ以上にある幾つかの特徴は、
図1A-Dの1つ以上及び/又は
図2A-Eの1つ以上にあるのと同様の性質、機能、及び/又は構造を有し得る。
【0063】
図3Aは、ある実施形態による、圧力交換器(PX)を備える流体処理システム300Aの概略図である。幾つかの実施形態では、流体処理システムは、圧力交換器(PX)310を備える。PX310は、回転圧力交換器であり得る。幾つかの実施形態では、PX310は、等圧又は実質的に等圧の圧力交換器である。PX310は、第1の流体と第2の流体の間で圧力を交換するように構成され得る。幾つかの実施形態では、PX310はモータ390に結合されている(例えば、PX310のロータの回転は、モータ390によって制御される)。
【0064】
幾つかの実施形態では、流体処理システム300Aは、高圧(HP)供給源320(例:
図1A-Dの1つ以上のHPinシステム132)及び低圧(LP)供給源322(例:
図1A-Dの1つ以上のLPinシステム122)を含む。HP供給源320は、第1の流体の供給源であり得る。第1の流体は、粒子非含有流体(例:水、プロパント非含有流体、濾過された流体)であり得る。幾つかの実施形態では、第1の流体は、非苛性流体(例:非アルカリ流体、pHが約5~10の流体)である。幾つかの実施形態では、第1の流体は、非酸性流体である。HP供給源320は、高圧の第1の流体を供給するための1つ以上の高圧ポンプを備え得る。LP供給源322は、第2の流体の供給源であり得る。第2の流体は、粒子含有流体(例:スラリー流体、フラッキング流体等)であり得る。第2の流体は、研磨材及び/又は固体粒子を含んでよい。幾つかの実施形態では、第2の粒子は、苛性流体(例:強塩基性流体、pHが約10よりも大きい流体等)である。幾つかの実施形態では、第2の流体は、酸性流体(例:強酸性流体、pHが約5よりも小さい流体等)である。幾つかの実施形態では、第1の流体が粒子を含み、かつ第2の流体は実質的に粒子非含有の流体であるという場合がある。
【0065】
流体処理システム300Aは、コントローラ380(例:
図1A-Dのコントローラ180)を含み得る。コントローラ380は、システム300Aのポンプ及び/又はバルブを制御し得る。コントローラ380は、システム300Aの1つ以上のセンサからセンサデータを受け取り得る。幾つかの実施形態では、コントローラ380はモータ390を制御する。幾つかの実施形態では、コントローラ380は、モータ390に関連付けられた1つ以上のモータセンサからモータデータを受け取る。モータセンサから受け取ったモータデータは、現在のモータ速度(例:1分あたりの回転数)、モータの総駆動時間、メンテナンス作業間のモータ駆動時間、及び/又はモータの総回転数を含み得る。モータデータは、モータ390の実行状態を示し得る。
【0066】
幾つかの実施形態では、PX310は、高圧の第1の流体(例:
図1A-DのHPin流体130)を受け取るようになっている。PX310は、高圧入口を介して第1の流体を受け取り得る。幾つかの実施形態では、PX310は、低圧の第2の流体(例:
図1A-DのLPin流体120)を受け取るようになっている。PX310は、低圧入口を介して第2の流体を受け取り得る。「高圧」及び「低圧」という記載があるが、「高圧」及び「低圧」は、互いに対して相対的なものであり得るのであって、特定の圧力値を示唆していなくてもよい(例:HPin流体130の圧力は、LPin流体120の圧力よりも高い)。PX310は、第1の流体と第2の流体の間で圧力を交換し得る。PX310は、低圧出口を介して第1の流体を提供し(例:LPout流体140)、かつ高圧出口を介して第2の流体を提供する(例:HPout流体150)ことができる。幾つかの実施形態では、低圧出口を介して提供される第1の流体は低圧であり、かつ高圧出口を介して提供される第2の流体は高圧である。
【0067】
流体処理システム300Aは、1つ以上のバルブを備え得る。幾つかの実施形態では、流体処理システム300Aは、HPin流量バルブ332(例:
図1A-Dの1つ以上のHPin流量バルブ131)及びLPout流量バルブ334(例:
図1A-Dの1つ以上のLPout流量バルブ141)を備える。HPin流量バルブ332は、PX310の第1の入口(例:高圧入口)に流体連通結合され得る。HPin流量バルブ332は、HP供給源320に流体連通結合され得る。HPin流量バルブ332は、HP供給源320からの高圧の第1の流体を受け取り、そしてその高圧の第1の流体をPX310の高圧入口に供給し得る。HPin流量バルブ332は、PX310の高圧入口の上流に配置され得る。HPin流量バルブ332は、高圧入口を介してPX310に供給される高圧の第1の流体の流量を調整し得る。
【0068】
LPout流量バルブ334は、PX310の第1の出口(例:低圧出口)に流体連通結合され得る。LPout流量バルブ334は、低圧の第1の流体をPX310の低圧出口から受け取り、そしてその低圧の流体を清浄流体排出部に供給する。LPout流量バルブ334は、PX310の低圧出口の下流にあり得る。LPout流量バルブ334は、PX310の低圧出口からの第1の流体の流量を調整し得る。幾つかの実施形態では、圧力交換器システム(例:流体処理システム300A)の性質によってPX310の低圧出口からの低圧の第1の流体の流量を調整することは、PX310の低圧入口に入る低圧の第2の流体の流量を調整することでもある。
【0069】
流体処理システム300Aは、1つ以上のセンサを備え得る。幾つかの実施形態では、流体処理システム300Aは、1つ以上の流量センサ(例:体積流量センサ、質量流量センサ、速度センサ等)及び/又は圧力センサを備える。幾つかの実施形態では、流体処理システム300Aの流量センサは、HPin流量センサ342、LPout流量センサ344、及び/又はLPin流量センサ346を備える。HPin流量センサ342は、PX310の高圧入口に入る高圧の第1の流体の流量を検出し得る。LPin流量センサ346は、PX310の低圧入口に入る低圧の第2の流体の流量を検出し得る。LPout流量センサ344は、低圧の第1の流体がPX310の低圧出口を出た後の、低圧の第1の流体の流量を検出し得る。コントローラ380は、HPin流量センサ342、LPin流量センサ346、及び/又はLPout流量センサ344からセンサデータを受け取り得る。
【0070】
幾つかの実施形態では、流体処理システム300Aの圧力センサは、HPin圧力センサ352、LPin圧力センサ356、LPout圧力センサ354、及び/又はHPout圧力センサ358を備える。HPin圧力センサ352は、PX310の高圧入口に向かって流れる高圧の第1の流体の圧力を検出し得る。LPin圧力センサ356は、PX310の低圧入口に向かって流れる低圧の第2の流体の圧力を検出し得る。LPout圧力センサ354は、PX310の低圧出口から流れる低圧の第1の流体の圧力を検出し得る。HPout圧力センサ358は、PX310の高圧入口から流れる高圧の第2の流体の圧力を検出し得る。
【0071】
コントローラ380は、システムのセンサからセンサデータを受け取り得る。幾つかの実施形態では、コントローラ380は、高圧の第1の流体の目標流量に関連付けられたユーザ入力を受け取る。例えば、コントローラ380は、高圧の第1の流体の目標流量が毎分300ガロンであるべきであることを示すユーザ入力を(例えば、クライアントデバイスから、ユーザから)受け取り得る。
【0072】
第1の流体及び第2の流体のPXへの流量は、コントローラ380によって制御され得る。幾つかの実施形態では、コントローラ380は、PX310に流体連通結合された制御バルブ(例:HPin流量バルブ332及びLPout流量バルブ334)を作動させることによって第1の流体及び第2の流体の流量を制御するように構成されている。幾つかの実施形態では、コントローラ380は、第1の流体及び/又は第2の流体をPX310に供給するように構成された、1つ以上の対応する供給ポンプ(例:第1の流体を供給するためのHP供給源320の高圧ポンプ、及び/又は第2の流体を供給するためのLP供給源322の低圧ポンプ)を制御する。例えば、コントローラ380は、第1の流体を高圧入口に供給する高圧供給ポンプを制御し得る。コントローラ380は、第2の流体を低圧入口に供給する低圧供給ポンプを制御し得る。幾つかの実施形態では、コントローラ380は、HPin流量バルブ332を制御して、高圧入口に入る第1の流体の流れを調整する。幾つかの実施形態では、コントローラ380は、LPout流量バルブ334を制御して、PX310を出る第1の流体の流れを、かつ、PX310の性質により、低圧入口に入る第2の流体の流れを、調整する。
【0073】
コントローラ380は、高圧入口に入る第1の流体の目標流量に関連付けられたユーザ入力を受け取り得る。例えば、そのユーザ入力は、毎分300ガロンという第1の流体の目標流量を示している場合がある。ユーザ入力は、ユーザからであって(例:オペレータ、技術者、エンジニア等によって提供されて)よい。ユーザ入力は、コントローラ380と通信するコンピュータシステム(例:クライアントデバイス)のGUIを介してユーザによって提供され得る。
【0074】
コントローラ380は、ユーザ入力及びHPin圧力センサ352又はHPin流量センサ342の1つ以上からのセンサデータに基づき、高圧入口を介して供給される第1の流体の流量の調節を引き起こし得る。幾つかの実施形態では、コントローラ380は、HPin流量バルブ332が開閉するようにすることにより、上記の調節を引き起こす。一例として、HPin流量センサ342からのセンサデータが、第1の流体の高圧入口への流量は、ユーザ入力によって示される目標流量よりも小さいことを示していると、コントローラ380は、HPin流量バルブ332が開くようにするとよい。HPin流量バルブ332を開くことにより、第1の流体のPX310の高圧入口への流量を増加させることができる。HPin流量センサ342からのセンサデータが、第1の流体の高圧入口への流量がユーザ入力によって示された目標流量よりも大きいことを示している場合には、コントローラ380は、HPin流量バルブ332が閉まるようにするとよい。HPin流量バルブ332を閉じることにより、第1の流体のPX310の高圧入口への流量を減少させることができる。
【0075】
幾つかの実施形態では、コントローラ380は、高圧供給ポンプ(例:HP供給源320)の制御によって高圧の第1の流体の流量の調節を引き起こす。例えば、HPin流量センサ342から受け取ったセンサデータが、第1の流体の高圧入口への流量がユーザ入力によって示された目標流量よりも小さいことを示している場合、コントローラ380は、高圧供給ポンプが、高圧供給ポンプによって供給される第1の流体の圧力を上昇させるようにするとよい。第1の流体の圧力を上昇させる高圧供給ポンプは、PX310の高圧入口への第1の流体の流量を増加させ得る。HPin流量センサ342から受け取ったセンサデータが、第1の流体の高圧入口への流量がユーザ入力によって示された目標流量よりも大きいことを示している場合、コントローラ380は、高圧供給ポンプが、高圧供給ポンプによって供給される第1の流体の圧力を下降させるようにするとよい。第1の流体の圧力を下降させる高圧供給ポンプは、PX310の高圧入口への第1の流体の流量を減少させ得る。幾つかの実施形態では、高圧供給ポンプは遠心ポンプである。幾つかの実施形態では、高圧供給ポンプは容積式ポンプである。高圧供給ポンプは、高圧の第1の流体を出力するように構成され得る。
【0076】
コントローラ380は、HPin流量センサ342、HPin圧力センサ352、LPin圧力センサ356、及び/又はLPin流量センサ346のうち1つ以上から受け取ったセンサデータに基づき、PX310の低圧入口に供給される第2の流体の流量の調節を引き起こし得る。幾つかの実施形態では、コントローラ380は、高圧入口に供給された第1の流体の流量と低圧入口に供給された第2の流体の流量の割合に基づき、低圧入口に供給される第2の流体の流量の調節を引き起こし得る。割合が1よりも大きい(例:高圧入口に供給された第1の流体の流量が低圧入口に供給された第2の流体の流量よりも大きい)場合は、リード流(lead flow)と呼称される。割合が1よりも小さい(例:高圧入口に供給された第1の流体の流量が低圧入口に供給された第2の流体の流量よりも小さい)場合は、ラグ流(lag flow)と呼称される。割合が1に等しい(例:高圧入口に供給された第1の流体の流量が低圧入口に供給された第2の流体の流量と等しい)場合は、バランス流(balanced flow)と呼称される。
【0077】
幾つかの実施形態では、コントローラ380は、LPout流量バルブ334を開閉することによって、PX310の低圧入口への第2の流体の流量の調節を引き起こす。例えば、PX310の入口に向かう第2の流体の流量に対する第1の流体の流量の割合を上昇させるためには、コントローラ380はLPout流量バルブ334が閉まるようにするとよい。LPout流量バルブ334を閉めることは、PX310の低圧入口に供給される第2の流体の減少をもたらすことができ、このことによって、第2の流体の流量に対する第1の流体の流量の割合は上昇させられる。この割合を下降させるためには、コントローラ380はLPout流量バルブ334が開くようにするとよい。LPout流量バルブ334を開くことにより、低圧入口に供給される第2の流体の圧力(例:流量、量等)は上昇させられ得るのであり、このことによって、第2の流体の流量に対する第1の流体の流量の割合は下降させられる。コントローラ380は、PX310の低圧入口に向かう第2の流体の流量の調節を引き起こし、第2の流体の流量に対する第1の流体の流量の事前決定された割合を達成することができる。第2の流体の流量に対する第1の流体の流量の事前決定された割合は、第2の流体中の粒子、研磨材、汚染等の量及び/又は種類に基づき得る。リード流の状態でPX310を動作させることは、PX310の摩耗及び不適当な損傷の減少をもたらし得る。
【0078】
幾つかの実施形態では、コントローラ380は、(例えば、LP供給源322の)低圧供給ポンプを制御することにより、PX310の低圧入口に向かう第2の流体の流量の調節を引き起こす。例えば、PX310の入口に向かう第2の流体の流量に対する第1の流体の流量の割合を上昇させるために、コントローラ380は、低圧供給ポンプが第2の流体をより低い圧力(例:より少ない流量、より少ない量)で供給するようにすることができる。低圧供給ポンプがより低圧で第2の流体を出力することにより、PX310の低圧入口に供給される第2の流体の圧力は下降させられ、このことによって、第2の流体の流量に対する第1の流体の流量の割合は上昇させられる。第2の流体に対する第1の流体の流量の割合を下降させるために、コントローラ380は、低圧供給ポンプが第2の流体の圧力を上昇(例:流量を増加、量を増加)させるようにすることができる。低圧供給ポンプがより高圧で第2の流体を出力することにより、より高い圧力の第2の流体がPX310の低圧入口に供給され、このことによって、第2の流体の流量に対する第1の流体の流量の割合は上昇させられる。幾つかの実施形態では、低圧供給ポンプは、遠心ポンプである。
【0079】
コントローラ380は、センサデータ(例:LPout流量センサ344から受け取った流量データ、LPout圧力センサ354から受け取った圧力データ、及び/又はHPout圧力センサ358から受け取った圧力データのうち1つ以上)に基づいた修正処置の実行をもたらすように構成されてもよい。幾つかの実施形態では、修正処置の実行は、LPin流量センサ346から受け取ったセンサデータとLPout流量センサ344から受け取ったセンサデータの差異、及び/又はLPin圧力センサ356から受け取ったセンサデータとLPout圧力センサ354から受け取ったセンサデータの差異、に基づく。修正処置は、1つ以上のバルブ(例:HPin流量バルブ332及び/又はLPout流量バルブ334)の作動をもたらすこと(例:開閉を引き起こすこと)であり得る。幾つかの実施形態では、LPout流量センサ344及びLPout圧力センサ354からそれぞれ受け取った流量データ及び圧力データは、PX310の健全さを示す。例えば、LPout流量センサ344から受け取った流量データとLPin流量センサ346から受け取った流量データの差異が大きいことは、PX310に問題が生じていることを示し得る。このような問題は、PX310の構成要素の摩耗による場合もあれば、又はPX310の誤作動による場合もある。幾つかの例では、コントローラ380により、流体処理システム300Aの1つ以上の構成要素の(例:PX310の)メンテナンスが実行させられる(例:アラートを鳴らすことによって、動作を中断することによって、等)場合がある。HPout圧力センサ358から受け取った圧力データは、コントローラ380によって、流体処理システム300Aに関連付けられた1つ以上のポンプを制御するために用いられる場合がある。
【0080】
幾つかの実施形態では、LP供給源322は、重力供給方式によって、第2の流体をPX310の低圧入口に供給する。例えば、持ち上げられたリザバー(例:持ち上げられたタンク、PX310よりも高い高度にある池(pond))が、第2の流体の提供を担っている場合がある。重力の付勢により、第2の流体は、導管(例:パイプ等)を介して低圧入口に供給され得るのである。
【0081】
幾つかの実施形態では、PX310が第1の流体と第2の流体の間で圧力を交換し終えた後で、低圧の第1の流体が清浄流体排出部へと供給される場合がある。幾つかの実施形態では、この清浄流体排出部はリザバー(例:滞水池)である。幾つかの実施形態では、清浄流体排出部は、HP供給源320に流体連通されており、その際、第1の流体は、HP供給源320からPX310へ、清浄流体排出部へ、そしてHP供給源320に戻る、という閉ループを流れる。この閉ループは、PX310を出た後かつHP供給源320へと戻る前に、第1の流体を濾過するための1つ以上のフィルタを有してもよい。第1の流体と第2の流体の間で圧力を交換し終えた後で、高圧の第2の流体は、プロセス(例:フラッキングプロセス、スラリーポンププロセス等)に供給されてよい。
【0082】
一例として、スラリー流体(例:粒子含有流体、第2の流体)の圧力が上昇させられるようになっている。水(例:粒子非含有流体、第1の流体)が高圧でPX310によって受け取られる。スラリー流体は、低圧でPX310に受け取られる。PX310は、水とスラリー流体の間で圧力を交換し、これによってスラリー流体の圧力は上昇させられ、かつ水の圧力は下降させられる。低圧の水は池に供給され、高圧のスラリー流体はスラリーパイプラインプロセスに供給される。例えば、スラリーパイプラインプロセスは、パイプラインを介して固体粒子を輸送するためのプロセスであり得る。この固体粒子(例:砂等)は、液体(例:水等)中で懸濁し、パイプラインシステムを通じて圧送され得るスラリーを形成している。
【0083】
図3Bは、ある実施形態による、圧力交換器(PX)を備える流体処理システム300Bの概略図である。幾つかの実施形態では、他の図中の参照符号と同様の参照符号を有する特徴は、他の図中で記載されたのと同様の性質、構造、及び/又は機能を有する。幾つかの例では、流体処理システム300Bの特徴は、
図3Aの流体処理システム300Aと同様の性質、構造、及び/又は機能を有する。
【0084】
幾つかの実施形態では、流体処理システム300Bは、流体処理システム300Aには示されていない、1つ以上のバルブを備えている。流体処理システム300Bは、HP供給バルブ324を備え得る。HP供給バルブ324は、HP供給ポンプ(例:
図3AのHP供給源320)からの高圧の第1の流体の供給を調整し得る。システム300Bは、スラリー供給ポンプ(例:粒子含有流体供給ポンプ、苛性流体供給ポンプ、酸性流体供給ポンプ、
図3AのLP供給源322)からの低圧の第2の流体の供給を調整するためのLP供給バルブ328を備え得る。流体処理システム300Bは、PX300の高圧出口に流体連通されておりかつその下流に配置されている、HPoutチャッキバルブ338を備え得る。HPoutチャッキバルブ338は、高圧の第2の流体(例:流体処理システム300B中のスラリー流体、苛性流体、酸性流体等)が逆流する(例:HPout圧力センサ358、PX310等に戻る)のを防止し得る。高圧の第2の流体は、スラリーパイプライン(例:粒子含有流体パイプライン、苛性流体パイプライン、酸性流体パイプライン等)へと排出され得る。流体処理システム300Bは、PX310の低圧出口からの低圧の第1の流体の流れを調節(例:停止、開始、増加、減少)するためのLPout排出バルブ348を含み得る。第1の流体がLPout排出バルブ348を通過した後で、低圧の第1の流体は、清浄供給部(例:清浄な第1の流体のリザバー)へと排出され得る。LPout排出バルブ348は、流体処理システム300Bがメンテナンスのためにシャットダウンされるとき等に、ユーザ(例:オペレータ、技術者、エンジニア等)によって閉じられ得る。システム300Bは、軸受バルブ374及び軸受フラッシュ洗浄ラインバルブ376を備え得る。
【0085】
幾つかの実施形態では、流体処理システム300Bは、PX310の軸受に第1の流体を供給する。幾つかの実施形態では、流体処理システム300Bは、PX310の軸受を流体でフラッシュ洗浄するように構成された1つ以上の構成要素を備える。PX310の軸受に流体を供給するように使用される1つ以上の構成要素と、PX310の軸受を流体でフラッシュ洗浄するように使用される1つ以上の構成要素は、同じものであってもよい。幾つかの実施形態では、流体処理システム300Bは、軸受供給ライン371を備える。軸受供給ライン371は、PX310の高圧入口の上流で高圧の第1の流体の一部分を受け取るように構成された導管であり得る。幾つかの実施形態では、軸受供給ライン371は、HPin流量バルブ332の上流で高圧の第1の流体を受け取る。幾つかの実施形態では、軸受供給ライン371は、高圧の第1の流体を軸受フィルタ372に供給し得る。軸受フィルタ372は、高圧の第1の流体を濾過し得る。幾つかの実施形態では、軸受フィルタ372は、高圧の第1の流体から汚染(例:固体、粒子、研磨材)を濾過する。幾つかの実施形態では、軸受フィルタ372は、軸受供給ライン373を介して高圧の流体を受け取る。軸受供給ライン373は、PX310から排出された高圧の流体を受け取り得る。
【0086】
軸受供給ライン371からの高圧の第1の流体は、軸受バルブ374へと供給され得る。軸受バルブ374は、2つ以上のポートを備え得る。幾つかの実施形態では、軸受バルブ374は3つのポートを備える。コントローラ380は、軸受バルブ374のポートの作動を制御する(例:軸受バルブ374のどのポートが開いておりかつ/又は閉じられているかを制御する、軸受バルブ374のポートがどれほど開かれているか又は閉じられているかを制御する)ことができる。軸受バルブ374は、高圧の第1の流体の供給を受け取り、かつPX310の軸受をフラッシュ洗浄するために高圧の第1の流体をPX310のハウジングへ供給するように構成され得る。軸受バルブ374は、PX310のハウジングからフラッシュ洗浄流体を受け取り、かつそのフラッシュ洗浄流体を、PX310の低圧出口の下流に出口を有する軸受フラッシュ洗浄ドレーンライン378を通過するように向かわせるように構成され得る。
【0087】
PX310の動作中、コントローラ380は、軸受バルブ374の第1のポート381が作動させられて開放位置に至るようにすることができ、それにより、軸受バルブ374が濾過された高圧の第1の流体を軸受フィルタ372から受け取るようにすることができる。コントローラ380はさらに、軸受バルブ374の第2のポート382が作動させられて開放位置に至るようにすることができ(例えば、かつ、軸受バルブ374の第3のポート383が作動させられて閉鎖位置に至り)、それにより、濾過された高圧の第1の流体がPX310のハウジングに供給される(例えば、PX310をバイパスすることなく)ようにすることができる。濾過された高圧の第1の流体は、ハウジングを通じてPX310の1つ以上の軸受(例:軸受表面)へと供給され得る。濾過された高圧の第1の流体をPX310の軸受に供給することにより、軸受を潤滑化し、PX310の摩耗を低減し、メンテナンス作業間の時間を長くし、かつPX310のサービス寿命を長くすることができる。
【0088】
軸受フラッシュ洗浄の手順の間、コントローラ380は、第1のポート381が作動させられて閉鎖位置に至るようにすることができ、それにより、軸受フィルタ372からPX310に向かう高圧の第1の流体の流れを停止させることができる。軸受バルブ374は、開いている第2のポート382を介し、PX310のハウジングからフラッシュ洗浄流体を受け取り得る。コントローラ380は、軸受バルブ374の第3のポート383が作動させられて開放位置に至るようにすることができ、それにより、軸受フラッシュ洗浄ドレーンライン378を介して、フラッシュ洗浄流体を軸受フラッシュ洗浄ラインバルブ376へ向かわせる。軸受フラッシュ洗浄ラインバルブ376を軸受フラッシュ洗浄の手順の間に開放し、フラッシュ洗浄流体がPX310の低圧出口を出た低圧の第1の流体内に排出されるようにすることができる。フラッシュ洗浄流体は、PX310の軸受からのフラッシュ洗浄された粒子(例:固体、粒子、研磨材等)を含有し得る。PX310の軸受から粒子をフラッシュ洗浄することにより、摩耗を低減し、メンテナンス作業間の時間を長くし、かつPX310のサービス寿命を長くすることができる。
【0089】
幾つかの実施形態では、流体処理システム300Bは、清浄排出フィルタ360を備える。清浄排出フィルタ360は、PX310の低圧出口から出力された低圧の第1の流体を受け取り得る。清浄排出フィルタ360は、第1の流体がPX310を出た後に、低圧の第1の流体を濾過して汚染(例:粒子、固体、研磨材等)を低圧の第1の流体から取り除くように構成され得る。幾つかの実施形態では、清浄排出フィルタ360は、高圧の第1の流体の一部分を、フィルタフラッシュ洗浄ライン362を介して、フラッシュ洗浄流体として受け取り得る。フィルタフラッシュ洗浄ライン362は、PX310の高圧入口の上流で高圧の第1の流体の一部分を受け取るように構成された導管であり得る。フラッシュ洗浄流体として清浄排出フィルタ360に供給された高圧の第1の流体の一部分は、粒子等(例:清浄排出フィルタ360によって低圧の第1の流体から濾過された粒子)を清浄排出フィルタ360から取り除くように輸送し得る。幾つかの実施形態では、その粒子は、PX310の低圧入口へと供給されていく低圧の第2の流体へと輸送され得る。幾つかの実施形態では、清浄排出フィルタ360からの粒子は、低圧の第2の流体内に排出される。第1の流体が実質的に閉ループ(例:
図1B及び1D)を流れ、清浄排出フィルタ360を介して第1の流体が濾過されている実施形態では、HP供給ポンプの研磨粒子由来の摩耗が低減され得る。
【0090】
図3Cは、ある実施形態による、複数の圧力交換器(例:PX311、312、313)を含む流体処理システム300Cの概略図である。幾つかの実施形態では、他の図中の参照符号及び/又は名称と同様の参照符号及び/又は名称を有する特徴は、他の図中で記載されたのと同様の性質、構造、及び/又は機能を有する。幾つかの例では、流体処理システム300Cの特徴は、
図3Aの流体処理システム300A及び/又は
図3Bの流体処理システム300Bの特徴と同様の性質、構造、及び/又は機能を有する。
【0091】
幾つかの実施形態では、流体処理システム300Cは、2つ以上の圧力交換器を備える。幾つかの実施形態(例えば、
図3Cに示されているような)では、流体処理システム300Cは3つの圧力交換器を備える。流体処理システム300Cは、PX311、PX312、及びPX313を備え得る。幾つかの実施形態では、PX311、PX312、及びPX313は、互いに並列に動作する。幾つかの実施形態では、PX311、PX312、及びPX313が、互いに直列に動作する場合もある。
【0092】
幾つかの実施形態では、PX311、PX312、及びPX313の各々の対応する高圧入口は、HPinマニホールド385に流体連通結合されている。HPinマニホールド385は、高圧の第1の流体(例:HPin流体130)をHPin流量バルブ332から受け取り得る。PX311、PX312、及びPX313の各々の高圧入口は、高圧の第1の流体の一部分をHPinマニホールド385から受け取り得る。
【0093】
PX311、PX312、及びPX313の各々の低圧入口は、LPinマニホールド384に流体連通結合され得る。LPinマニホールド384は、低圧の第2の流体(例:LPin流体120)をLP供給源322から受け取り得る。PX311、PX312、及びPX313の各々の低圧入口は、LPinマニホールド385から低圧の第2の流体の一部を受け取り得る。
【0094】
PX311、PX312、及びPX313の各々は、高圧の第1の流体と低圧の第2の流体の間で圧力を交換し得る。低圧の第1の流体は、PX311、PX312、及びPX313の各々によって、PX311、PX312、及びPX313の各々の低圧出口を介して、LPoutマニホールド386へと出力され得る。LPoutマニホールド386は、低圧の第1の流体(例:LPout流体140)をLPout流量バルブ334に向かって向かわせることができる。高圧の第2の流体は、PX311、PX312、及びPX313の各々によって、PX311、PX312、及びPX313の各々の高圧出口を介して、HPoutマニホールド388へと出力され得る。HPoutマニホールドは、高圧の第2の流体(例:HPout流体150)をプロセス(例:フラッキングプロセス、スラリーポンププロセス)へと向かわせることができる。本開示の任意の実施形態は、複数のPXを備え得る(例えば、
図3Cに示されているように)。
【0095】
図3Dは、ある実施形態による、PX310を備える流体処理システム300Dの概略図である。幾つかの実施形態では、他の図中の参照符号及び/又は名称と同様の参照符号及び/又は名称を有する特徴は、他の図中で記載されたのと同様の性質及び/又は機能を有する。幾つかの例では、流体処理システム300Dは、
図3Aの流体処理システム300A、
図3Bの流体処理システム300B、及び/又は
図3Cの流体処理システム300Aが有する1つ以上の特徴と同様の性質、構造、及び/又は機能を有する。
【0096】
幾つかの実施形態では、流体処理システム300Dは、HP供給ポンプ323を備える。HP供給ポンプは、第1の流体を清浄流体リザバー335から受け取り得る。清浄流体リザバー335は、第1の流体を保持するためのリザバーであり得る。幾つかの実施形態では、清浄流体リザバー335は、池又はタンクである。HP供給ポンプ323は、圧力閾値を満たすように第1の流体の圧力を上昇させ得る。高圧の第1の流体は、HPin流量バルブ332を介してPX310の高圧入口へと供給される。圧力がPX310内で交換されると、第1の流体は低圧の第1の流体としてPX310を出る。低圧の第1の流体は、PX310の低圧出口から、LPout流量バルブ334を介して、清浄流体リザバー335に供給される。
【0097】
幾つかの実施形態では、流体処理システム300Dは、第2の流体を圧送するように構成された1つ以上のポンプステージ(例:1つ以上の異なるポンプ)を備える。幾つかの実施形態では、流体処理システム300Dは、第2の流体の低圧供給源からの第2の流体を圧送するためのポンプステージ321を備える。ポンプステージ321は、第1のポンプステージであり得る。ポンプステージ321は、遠心ポンプ又は容積式ポンプであり得る。ポンプステージ321は、低圧の第2の流体の一部分をPX310の低圧入口に供給し得る。PX310は、高圧の第1の流体と低圧の第2の流体の間で圧力を交換し得る。PX310は、高圧の第2の流体を高圧出口で供給し得る。この高圧の第2の流体は、プロセス(例:フラッキングプロセス、スラリーポンププロセス等)へと向かわせられ得る。
【0098】
幾つかの実施形態では、1つ以上のさらなるポンプステージ(例:ポンプステージ325及びポンプステージ327)が、第2の流体の一部分をポンプステージ321から受け取り、かつその第2の流体の一部分の圧力をさらに上昇させることができる。ポンプステージ325及び327が、PX310と並列して動作し得る。幾つかの実施形態では、流体処理システム300Dは、PX310と並列してはたらくポンプステージ325及び327に加えて、ポンプステージを備える。幾つかの実施形態では、流体処理システム300Dは、PX310と並列してはたらく単一のポンプステージを備える。幾つかの実施形態では、PX310は、1つ以上のポンプステージによって低圧供給源からプロセスへと圧送される第2の流体の流量を増補する。
【0099】
図4は、ある実施形態による、流体処理システム(例:
図3A-Dの流体処理システム300A-D)を制御するための方法400を示すフロー図である。幾つかの実施形態では、方法400は、ハードウェア(例:回路、専用ロジック、プログラマブルロジック、マイクロコード、処理装置等)、ソフトウェア(例:処理装置、汎用コンピュータシステム、又は専用マシン上を走る、命令)、ファームウェア、マイクロコード、又はそれらの組み合わせ、を含む処理ロジックによって実行される。幾つかの実施形態では、方法400は、少なくとも部分的には、コントローラ(例:
図1A-Dのコントローラ180、
図3A-Dのコントローラ380)によって実行される。幾つかの実施形態では、非一時的な記憶媒体は、命令であって、処理装置(例:
図1A-Dのコントローラ180、
図3A-Dのコントローラ380等)によって実行されたときに、処理装置が方法400を実行するようにする、命令を格納している。
【0100】
説明の単純性のため、方法400は、一連の動作として表現されかつ記述される。しかしながら、本開示による動作は、様々な順番で、かつ/又は本明細書には提示又は記載されていない動作と共に同時に、起こることができる。さらに、幾つかの実施形態では、説明された動作をすべて実行して本開示の主題による方法400を実施するわけではない。加えて、当業者であれば、方法400は、代替的に、状態図又はイベントを介して、一連の相互に関連した状態として表現されてもよいことを、理解及び了解するであろう。
【0101】
ブロック402では、処理ロジック(例:
図1A-Dのコントローラ180、
図3A-Dのコントローラ380)は、第1の流体がPXの第1の入口に入る前の、第1の流体に関連付けられた第1のセンサデータ(例:第1の入口より上流の第1の流体に関連付けられたセンサデータ)を受け取ることができる。幾つかの実施形態では、第1のセンサデータは、第1の流体がPXの第1の入口に入る前の、第1の流体の流量データ(例:体積流量データ、質量流量データ、速度データ等)を含む。幾つかの実施形態では、第1のセンサデータは、第1の流体がPXの第1の入口に入る前の、第1の流体の圧力データを含む。1つ以上の種類のデータが、1つ以上の種類の他のデータから算出されることができる(例:体積流量データは、圧力センサのデータに基づいて、処理ロジックによって算出され得る)。第1の流体は、実質的に粒子非含有の流体であってよい。第1の流体は、第2の圧力より高い圧力であり得る。第1の入口は、PXの高圧入口であり得る。PXは、高圧入口を介して第1の流体を、かつ第2の、低圧入口を介して第2の流体(例:第1の流体よりも低い圧力である第2の流体)を、受け取るように構成され得る。PXは、高圧の第1の流体と低圧の第2の流体の間で圧力を交換するように構成され得る。PXは、低圧出口を介して低圧の第1の流体を、高圧出口を介して第2の流体を、提供することができる。
【0102】
ブロック404では、処理ロジックは、第2の流体がPXの第2の入口に入る前の、第2の流体に関連付けられた第2のセンサデータ(例:第2の入口の上流の第2の流体に関連付けられたセンサデータ)を受け取ることができる。幾つかの実施形態では、第2のセンサデータは、第2の流体がPXの第2の入口に入る前の、第2の流体の流量データ(例:体積流量データ、質量流量データ、速度データ等)を含む。幾つかの実施形態では、第2のセンサデータは、第2の流体がPXの第2の入口に入る前の、第2の流体の圧力データを含む。第2の流体は、粒子含有流体(例:スラリー流体、フラッキング流体等)であり得る。PXの第2の入口は、低圧入口であり得る。
【0103】
ブロック406では、処理ロジックは、PXの第1の入口に入る第1の流体の目標流量に関連付けられたユーザ入力を受け取ることができる。ユーザ入力は、PXの高圧入口に入る高圧の第1の流体の目標流量を示し得る。ユーザ入力は、コントローラに関連付けられたGUIを介してユーザによって提供され得る。
【0104】
ブロック408では、処理ロジックは、ユーザ入力及び第1のセンサデータに基づき、第1の入口に入る第1の流体の第1の流量の第1の調節を引き起こすことができる。この第1の調節は、制御バルブ又は供給ポンプの1つ以上を介して引き起こされ得る。幾つかの実施形態では、処理ロジックは、高圧流量制御バルブ(例:
図1A-DのHPin流量バルブ131、
図3A-DのHPin流量バルブ332)又は高圧供給ポンプ(例:
図3DのHP供給ポンプ323)の1つ以上を介し、PXの高圧入口に供給される高圧の第1の流体の流量を調節し得る。処理ロジックは、第1の調節を引き起こし、高圧入口に供給される高圧の第1の流体の流量がユーザ入力により示された目標流量に実質的に一致するようにすることができる。
【0105】
ブロック410では、処理ロジックは、第1のセンサデータ及び第2のセンサデータに基づき、第2の入口に供給される第2の流体の第2の流量の第2の調節を引き起こすことができる。幾つかの実施形態では、処理ロジックは、低圧流量制御バルブ(例:
図1A-DのLPout流量バルブ141、
図3A-DのLPout流量バルブ334)又は低圧供給ポンプ(例:
図3Dのポンプステージ321)の1つ以上を介し、PXの低圧入口に供給される低圧の第2の流体の流量を調節し得る。処理ロジックは、第2の流体の流量に対する第1の流体の流量のある割合を達成するように、センサデータ(圧力データ及び/又は流量データ)に基づいて第2の調節を引き起こし得る(例えば、
図3Aの記述を参照)。第2の流体の流量に対する第1の流体の流量の割合は、少なくとも第2の流体の粒子濃度に基づき得る。幾つかの実施形態では、粒子濃度は、ユーザ入力によって提供され得る。幾つかの実施形態では、粒子濃度は、センサデータ(例:粒子カウンタ又は類似のセンサによって収集されたセンサデータ)に基づいて処理ロジックによって決定され得る。
【0106】
幾つかの実施形態では、処理ロジックは、ルックアップテーブルに基づいて第2の調節を引き起こし得る。このルックアップテーブルは、処理ロジックにアクセス可能なメモリ(例:処理装置のメモリ)内に格納され得る。ルックアップテーブルは、値の行列であり得る。ルックアップテーブルは、第1のセンサデータの値及び/又は第2のセンサデータの値を、対応する調節に対して対応付けることができる。例えば、ルックアップテーブルを参照することにより、処理ロジックは、第1のセンサデータの第1の与えられた入力及び第2のセンサデータの第2の与えられた入力を考慮して、処理ロジックが(例えば、ルックアップテーブルによって)示された第2の流体の流量に対する調節を実行すべきであることを、決定することができる。ルックアップテーブルは、システムの動作中に収集された過去のセンサデータから生成され得る。処理ロジックは、過去のセンサデータ(例:第1のセンサ及び第2のセンサからの過去のデータ)及び過去の実行データに基づき、ルックアップテーブルを識別してもよい。過去の実行データは、流体処理システムの実績(例:総流量、メンテナンスデータ、差圧等)に基づき得る。処理ロジックは、第1のセンサデータ、第2のセンサデータ、PXを駆動するモータからのモータデータ(例:1分あたりの回転数、総駆動時間、メンテナンス間の駆動時間、総回転数等)、及び第2の流体中の粒子濃度に基づき、ルックアップテーブルから第2の調節を決定してもよい。
【0107】
本開示は、研磨性のスラリーが、スラリーの圧送に用いられるポンプに損傷及び摩耗をもたらす、という課題を解決する。本開示は、圧力交換器(PX)を、ポンプがスラリーと接触しないよう保つためのポンプアイソレータとして用いることを含む。
【0108】
幾つかの実施形態では、HP入口流に関しては、清浄な原動流体を与えるために任意の種類のポンプを用いてよい。幾つかの実施形態では、LP入口流に関しては、使用済の清浄流体をダクト外へと排出し、かつそれを圧送されなければならないスラリーで満たすために必要な正の揚程を与えることができる、ポンプ又は任意のプロセスが用いられ得る。
【0109】
HP出口流は、処理中に移動又は加圧されなければならないスラリーであり得る。LP出口流は、以前は高圧の入口流であった清浄流体であり得る。
【0110】
本開示は、研磨材/固体を含有する流れを圧送するための方法を含む。
【0111】
幾つかの実施形態では、流れをスラリー供給部からPX内に向かわせるための流量制御バルブが、システムのLPout部上に存在する。
【0112】
HPin流は、適切なスラリー輸送を保証し、かつHPout部に向かう清浄流体の損失を最小化するように調整されるようになっている。幾つかの実施形態では、スキッドのHPin部への供給を行う容積式ポンプが存在する場合があり、又は(清浄供給ポンプが非容積式(dynamic)又は遠心式のポンプの場合には、)システムのHPin部上に、流れを清浄供給ポンプから出ていくように向けるための流量制御バルブが存在する場合がある。幾つかの実施形態では、圧力交換器を駆動するモータが存在し、流れがカートリッジ内で有する移動距離を定めることができる。
【0113】
幾つかの実施形態では、PXは、パイプラインを介した低圧の固体又は研磨材の輸送に用いられる。
【0114】
本開示は、排水処理、採鉱、浚渫、建築、鉱物処理、石油及びガス(O&G)上流作業、O&G下流作業、農業処理施設、食品処理、産業/生活廃棄物処理、及び/又はそれらに類するもの、のうち1つ以上で使用可能である。本開示は、研磨材又は固体が圧送又は輸送されるのであれば、多くの産業において使用可能である。本開示は、清浄流体と共に使用することができる。本開示は、スラリーと共に(例えば、砂鉱山(sand mine)で)使用することができる。
【0115】
図5は、ある実施形態による、コンピュータシステム500を示すブロック図である。幾つかの実施形態では、コンピュータシステム500はクライアントデバイスである。幾つかの実施形態では、コンピュータシステム500は、コントローラデバイス(例:サーバ、
図1A-Dのコントローラ180、
図3A-Dのコントローラ380)である。
【0116】
幾つかの実施形態では、コンピュータシステム500は、(例:ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、又はインターネット等のネットワークを介して)他のコンピュータシステムに接続されている。コンピュータシステム500は、クライアントサーバ環境ではサーバ又はクライアントコンピュータの能力で、又は、ピアツーピア又は分散ネットワーク環境では、ピアコンピュータとして、動作する。幾つかの実施形態では、コンピュータシステム500は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、ウェブアプライアンス、サーバ、ネットワークルータ、スイッチ又はブリッジ、又は、(シーケンシャルな、さもなければ)その装置がとるべきアクションを特定する1セットの命令を実行する能力を持つ任意の装置、によって提供される。さらに、「コンピュータ」という単語は、本明細書に記載の1つ以上の任意の方法を実施するための1セットの(又は複数セットの)命令を個別又は協働的に実行する、コンピュータの任意の集合体を含むものとする。
【0117】
幾つかの実施形態では、コンピュータシステム500は、バス508を介して相互に通信する、処理装置502、揮発性メモリ504(例:RAM(Random Access Memory))、不揮発性メモリ506(例:ROM(Read-Only Memory)又はEEPROM(Electrically-Erasable Programmable ROM))、及び/又はデータ記憶装置516、を含む。
【0118】
幾つかの実施形態では、処理装置502は、汎用プロセッサ等のプロセッサ(例:CISC(Complex Instruction Set Computing)マイクロプロセッサ、RISC(Reduced Instruction Set Computing)マイクロプロセッサ、VLIW(Very Long Instruction Word)マイクロプロセッサ、他の種類の命令のセットを実行するマイクロプロセッサ、又は複数の種類の命令のセットの組み合わせを実行するマイクロプロセッサ等)、又は特殊化されたプロセッサ(例:ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、又はネットワークプロセッサ等)、を1つ以上備えている。幾つかの実施形態では、処理装置502は、単一のプロセッサ、複数のプロセッサ、複数の処理コアを有する単一のプロセッサ、及び/又はそれらに類するもののうち1つ以上を備えている。
【0119】
幾つかの実施形態では、コンピュータシステム500は、(例えば、ネットワーク574に結合された)ネットワークインターフェースデバイス522をさらに備えている。幾つかの実施形態では、コンピュータシステム500は、1つ以上のI/O(input/output)デバイスを備えている。幾つかの実施形態では、コンピュータシステム500はまた、ビデオ表示ユニット510(例:液晶ディスプレイ(LCD))、英数字入力デバイス512(例:キーボード)、カーソル制御デバイス514(例:マウス)、及び/又は信号生成デバイス520、も含んでいる。
【0120】
幾つかの実施例では、データ記憶装置518(例:ディスクドライブストレージ、固定及び/又はリムーバブル記憶装置、固定ディスクドライブ、リムーバブルメモリーカード、光学ストレージ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、ならびに/又はストレージエリアネットワーク(SAN))は、本明細書に記載の方法又は機能のうちいずれか1つ以上をエンコードし、かつ本明細書に記載の方法を実施するためである命令526を格納する、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体524を備えている。
【0121】
幾つかの実施形態では、命令526はまた、コンピュータシステム500によるその実行中、揮発性メモリ504及び/又は処理装置502内に完全又は部分的に存在している。従って、揮発性メモリ504及び処理装置502も、幾つかの実施形態では、機械可読記憶媒体を構成する。
【0122】
コンピュータ可読記憶媒体524は、例示的な例においては単一の媒体として示されているが、「コンピュータ可読記憶媒体」という単語は、実行可能な命令のセットを1つ以上格納した、単一又は複数の媒体(例:集中型又は分散型のデータベース、及び/又は関連付けられたキャッシュ及びサーバ)を含むものとする。「コンピュータ可読記憶媒体」という単語はまた、コンピュータが本明細書に記載の方法を1つ以上実施するようにする、コンピュータによる実行の命令のセットを格納又はエンコードできる任意の有形媒体を含みもするものとする。「コンピュータ可読記録媒体」という単語はまた、ソリッドステートメモリ、光学媒体、及び磁気媒体を含むものとするが、それらに限定されるわけではない。
【0123】
本明細書で記述される方法、構成要素、及び特徴は、個別のハードウェア構成要素によって実行されてもよいし、又は、ASIC、FPGA、DSP、又は類似の装置等、他のハードウェア構成要素の機能に統合されてもよい。加えて、それらの方法、構成要素、及び特徴は、ハードウェアデバイス内のファームウェアモジュール又は機能回路によって実行されてもよい。さらに、それらの方法、構成要素、及び特徴は、ハードウェアとコンピュータプログラムコンポーネントの任意の組み合わせにおいて、又はコンピュータプログラムにおいて、実行され得る。
【0124】
特に断らない限り、「作動させる」「調節する」「引き起こす」「制御する」「決定する」「識別する」「提供する」「受信する」等の語、又はそれらに類する語は、コンピュータシステムのレジスタ又はメモリ内で物理量(電気量)として表現されるデータを操作及び変換し、コンピュータシステムのメモリ又はレジスタ内、又は他のそのような情報記憶装置、伝達装置、又は表示装置内で同様に物理量として表現される他のデータにする、コンピュータシステムによって実施又は実行されるアクション又はプロセスを指す。また、本明細書で用いられる「第1の」「第2の」「第3の」「第4の」等の語は、異なる要素を区別するためのラベルとして意味されており、それらの数値指定に従う序列的意味は有さなくてもよい。
【0125】
本明細書に記載の実施例は、本明細書に記載の方法を実施するための装置にも関する。この装置は、本明細書に記載される方法を実施するために特別に構成されたものであってもよいし、又はコンピュータシステム内に格納されたコンピュータプログラムによって選択的にプログラムされた汎用コンピュータシステムを含んでもよい。そのようなコンピュータプログラムは、コンピュータ可読有形記憶媒体に格納されていてもよい。
【0126】
本明細書で説明される方法及び例示的な例は、特定のコンピュータ又は他の装置に本質的に関連するものではない。様々な汎用システムが、本明細書に記載された教えに従って用いられることができ、又は本明細書に記載された方法及び/又はその個々の機能、ルーチン、サブルーチン、又は操作の各々を実施すべくより特殊化された装置を構築することが便利であることが判明する場合もある。このような様々なシステムの構造例は、上記の説明に記載されている。
【0127】
前述の説明では、本開示の幾つかの実施形態のよい理解を提供すべく、特定のシステム、構成要素、方法等の例等、多数の特定の詳細が示されている。しかしながら、当業者にとっては、本開示の少なくとも幾つかの実施形態はそれらの具体的な詳細なしで実施され得るということは明らかであろう。他の例では、本開示を不必要に不明瞭にすることを避けるべく、公知の構成要素又は方法は、詳細には記載されないか、又は単純なブロック図の形式で示されている。従って、上記の特定の詳細は、単に例示的なものである。特定の実装がこれらの例示的な詳細とは異なっていても、依然として本開示の範囲内であると考えられる。
【0128】
本明細書全体を通じて、「一実施形態」又は「ある実施形態」という参照は、その実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造、又は特徴が、少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。即ち、本明細書全体を通じて様々な場所で「一実施形態では」又は「ある実施形態では」といった表現が現れるが、必ずしもすべて同じ実施形態に言及しているというわけではない。加えて、「又は」という語は、排他的な「又は」ではなく包括的な「又は」を意味することが意図されている。本明細書で使用される「約」「実質的に」又は「おおよそ」という語が使用されているとき、これは、提示された公称値が、10%以内の精度であることを意味することが意図されている。また、本明細書で使用される「第1の」「第2の」「第3の」「第4の」等の語は、異なる要素を区別するためのラベルとして意味されており、必ずしもそれらの数値指定に従う序列的な意味を有さなくてもよい。
【0129】
本明細書で使用される「上方」「下方」「間」「~上に配置された」及び「上」という語は、1つの材料層又は構成要素の、他の層又は構成要素に対する相対的な位置を指す。例えば、他の層の上、上方、又は下に配置された1つの層は、当該他の層と直接接触している場合もあれば、又は1つ以上の介在層を有している場合もある。さらに、2つの層の間に配置された1つの層は、2つの層と直接接触している場合もあれば、又は1つ以上の介在層を有している場合もある。同様に、特に明示しない限り、2つの特徴の間に配置された1つの特徴は、隣接する特徴と直接接触している場合もあれば、又は1つ以上の介在層を有している場合もある。
【0130】
本明細書における方法の動作は、特定の順番で示されかつ記述されているが、各方法の動作の順番は、特定の動作が逆の順序で実施され得るように、又は特定の動作が少なくとも部分的に他の動作と同時に実行され得るように、変更されてもよい。他の実施形態では、別個の動作の命令又はサブ動作は、断続的かつ/又は交互であってもよい。一実施形態では、複数の金属接合動作が、単一のステップとして実行される。
【0131】
上記の説明は、例示を意図されており、制限的なものではないことは、理解されたい。上記の説明を読んで理解した当業者にとっては、他の多くの実施形態が明らかであろう。従って、本開示の範囲は、添付の請求項を参照しつつ、各請求項に与えられる均等物の全範囲と共に、決定されるべきである。
【国際調査報告】