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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】ロック式灌注弁
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/018 20060101AFI20240711BHJP
   A61B 1/307 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
A61B1/018 515
A61B1/307
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500332
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 US2022036198
(87)【国際公開番号】W WO2023283230
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】63/219,092
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518220969
【氏名又は名称】プロデオン・メディカル・コーポレイション
【住所又は居所原語表記】116 Hougang Street 7F, Taipei, 11170 Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】ジェン・ジミー
(72)【発明者】
【氏名】ザレツカ・ゲーリー・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】チャン・ケネス・チー-ピン
(72)【発明者】
【氏名】リー・ポ-ファ
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA15
4C161GG15
4C161HH08
(57)【要約】
内腔を有する弁本体と、内腔と流体連通している灌注ポートと、内腔が膀胱鏡の作業チャネルと整列するように膀胱鏡と連結するように構成されたコネクタと、圧縮可能な内側ボアを有するコレットと、コレットと係合して内側ボアを圧縮するように構成されたロックと、を特徴とする、ロック式灌注弁が開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロック式灌注弁であって、
内腔を有する弁本体と、
前記内腔と流体連通している灌注ポートと、
前記内腔が膀胱鏡の作業チャネルと整列するように前記膀胱鏡と連結するように構成されたコネクタと、
圧縮可能な内側ボアを有するコレットと、
前記コレットと係合して前記内側ボアを圧縮するように構成されたロックと、
を含む、ロック式灌注弁。
【請求項2】
前記ロックは、レバーによって作動される、請求項1に記載の弁。
【請求項3】
前記コレットは、テーパー状の外部プロファイルを有し、相補的な内部ウェッジを有するキャップが、コレット上に配置され、前記レバーを作動させると、前記内側ボアを圧縮する、前記キャップの軸方向移動がもたらされる、請求項2に記載の弁。
【請求項4】
前記キャップは、前記レバーのカムスロットに係合するピンによって駆動される、請求項3に記載の弁。
【請求項5】
前記コレットは、圧縮されたときに摩擦を増加させるように構成された、テクスチャ加工された内面を有する、請求項2に記載の弁。
【請求項6】
前記レバーは、複数の別々のクランプ位置を有する、請求項2に記載の弁。
【請求項7】
前記レバーは、前記弁本体の前記内腔から前記コレット内への灌注流体の漏れを抑制するためのシールを有する、請求項1に記載の弁。
【請求項8】
前記コレットは、前記レバーの作動によって係合されるように構成された複数の偏向可能なアームを含む、請求項2に記載の弁。
【請求項9】
前記レバーの内側プロファイルは、前記レバーが回転されると前記偏向可能なアームに係合するように構成されている、請求項8に記載の弁。
【請求項10】
前記内側プロファイルは、前記内側プロファイルの凹部内における突出部を含む、請求項9に記載の弁。
【請求項11】
弁を通して膀胱鏡の作業チャネル内に前進させた細長い装置を選択的に固定する方法であって、
内腔を備えた弁本体と、前記内腔と整列した圧縮可能な内側ボアを有するコレットとを有するロック式灌注弁を提供することと、
前記内腔が前記膀胱鏡の前記作業チャネルと整列するように前記ロック式灌注弁を前記膀胱鏡に連結することと、
前記内側ボアを通して前記細長い装置を前進させることと、
前記内側ボアを圧縮して前記細長い装置を固定するために前記コレットをロックと係合させることと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記コレットを係合させることは、レバーを作動させることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記レバーを作動させることにより、前記コレット上に配置されたキャップの軸方向移動を引き起こし、前記コレットはテーパー状の外部プロファイルを有し、前記キャップは相補的な内部ウェッジを有し、前記内側ボアを圧縮する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記レバーを作動させることにより、前記レバーの内側プロファイルは、前記レバーが回転されて前記内側ボアを圧縮する際に前記コレットのアームに係合してそれらを内側に偏向させる、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記コレットを前記ロックと係合させる前または後に、前記灌注ポートを通して流体を導入することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記細長い装置は、把持具である、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記コレットを前記ロックと係合させる前に、前記把持具を使用して異物を固定することと、
その後、前記膀胱鏡および前記把持具を単一のユニットとして操作することにより前記異物を除去することと、
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願〕
本出願は、2021年7月7日に出願された米国仮出願第63/219,092号の優先権を主張する。本出願の優先権は明示的に主張され、開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔本開示の分野〕
本開示は、尿道を閉塞する前立腺葉組織などの中空体腔を閉塞する身体組織を管理または治療するための装置に関し、より具体的には、診断および治療用途のための膀胱鏡の使用を容易にするための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
前立腺は、尿が膀胱から排出されるときに通過する尿道を包み込むクルミ状の腺であり、男性の生殖系において重要な役割を果たす。この腺は最初は小さいが、男性の加齢とともに大きくなる傾向がある。過度に肥大した前立腺は、良性前立腺肥大症(BPH)として知られる疾患をもたらす。良性前立腺肥大症(BPH)は、老齢の男性において非常に一般的に観察される、前立腺の異常であるが非悪性(非癌性)の成長を指す。BPHは慢性疾患であり、前立腺部尿道における尿流出路閉塞または管腔狭窄の発症と関連している。膀胱下尿道閉塞(BOO)とは、尿道への尿の流れを減少または停止させる、膀胱底部における閉塞を指し、BPHに続発することがある。前立腺の異常な成長が拡大し進行するにつれて悪化する、性機能障害、頻尿、排尿困難、尿閉、尿漏れ、ならびに、尿路感染症および膀胱感染症を含む、下部尿路症状(LUTS)と総称される一連の関連する病気が、生じ得る。
【0004】
膀胱鏡は、上述のような病気に関連する診断または治療処置に使用される重要なツールであり、外科的技法であれ、低侵襲性の技法であれ、尿道の直径を大きくするように設計された装置を前立腺部尿道内に植え込むことを含む。したがって、膀胱鏡は尿路を検査するために使用され、尿路の問題を診断し修正するための簡単な処置を行うことが多い。膀胱鏡は、光源を備えたハンドピース、および、直接観察用の光ファイバー/レンズ、または装置の端部にあるカメラを含むかもしくはこれに接続されるシステムで構成されている。膀胱鏡は、剛性または可撓性であってよく、可撓性バージョンは、ハンドル上の制御装置を介した先端部の操作を可能にすることにより、患者にさらに快適さを提供する。また、膀胱鏡は灌注機能性を含むことが多く、作業チャネルを通した生理食塩水または他の適切な流体の送達は、カメラの視野から破片/血液を取り除くことにより、観察および撮像を容易にする。処置は、膀胱鏡を用いて、細長いツールまたは器具を、作業チャネルを通して前進させることによって行うことができる。このツールは、単純な把持具もしくはバスケットであってもよいし、より複雑な装置送達および回収ツールであってもよいが、一般に、灌注ポートチャネルに適合しなければならない。
【0005】
泌尿器内視鏡手術処置および血管内処置で使用される弁を通して導入される把持具または他の医療器具もしくは装置をしっかりと固定するための装置および方法を提供することは有益であろう。血管内処置で使用される回転止血弁、および泌尿器内視鏡手術処置で使用される灌注弁などの現在の弁は、内腔を通して導入される装置を正しい位置にしっかりと保持することができない。例えば、尿路からの異物回収中には、膀胱鏡に対する泌尿器科器具(把持具など)の位置を固定することが望ましい。把持具の長さは、通常、膀胱鏡の作業チャネルよりも長い。回収処置中、ユーザーが把持具で異物を固定した後、膀胱鏡および把持具は、通常、システムとして同時に尿道から取り外される。把持具の長さが長いため、膀胱鏡が把持具よりもかなり早く尿道から取り外される可能性がある。ユーザーは、回収中に異物を視認できなくなり、患者の安全を危険にさらす可能性がある。また、回収処置中に異物を紛失(または閉塞)する可能性もある。これに対応して、把持具または他の医療器具もしくは装置をしっかりと固定するロック式灌注弁を提供し、弁が灌注流体を供給できる状態を維持することが望ましい。本開示は、明細書および図面に詳述されているように、これらのニーズおよび他のニーズを満たす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、内腔を有する弁本体と、内腔と流体連通している灌注ポートと、内腔が膀胱鏡の作業チャネルと整列するように膀胱鏡と連結するように構成されたコネクタと、圧縮可能な内側ボアを有するコレットと、コレットと係合して内側ボアを圧縮するように構成されたロックと、を備えたロック式灌注弁に向けられている。
【0007】
一態様では、ロックはレバーにより作動され得る。
【0008】
一態様では、コレットはテーパー状の外部プロファイルを有し得、相補的な内部ウェッジを有するキャップがコレット上に配置され、レバーを作動させると、内側ボアを圧縮する、キャップの軸方向移動がもたらされる。キャップは、レバーのカムスロットに係合するピンによって駆動され得る。
【0009】
一態様では、コレットは、圧縮されたときに摩擦を増加させるように構成された、テクスチャ加工された内面を有することができる。
【0010】
一態様では、レバーは複数の別々のクランプ位置を有することができる。
【0011】
一態様では、レバーは、弁本体の内腔からコレット内への灌注流体の漏れを抑制するためのシールを有することができる。
【0012】
一態様では、コレットは、レバーの作動によって係合されるように構成された複数の偏向可能なアームを有し得る。レバーの内側プロファイルは、レバーが回転されると偏向可能なアームに係合するように構成され得る。内側プロファイルは、内側プロファイルの凹部内における突出部を特徴とし得る。
【0013】
本開示はまた、弁を通して膀胱鏡の作業チャネル内に前進させた細長い装置を選択的に固定する方法を含む。この方法は、内腔を備えた弁本体と、内腔と整列した圧縮可能な内側ボアを有するコレットとを有するロック式灌注弁を提供することと、内腔が膀胱鏡の作業チャネルと整列するようにロック式灌注弁を膀胱鏡に連結することと、内側ボアを通して細長い装置を前進させることと、内側ボアを圧縮して細長い装置を固定するためにコレットをロックと係合させることと、を含み得る。
【0014】
一態様では、コレットを係合させることは、レバーを作動させることを含み得る。
【0015】
一態様では、レバーを作動させることにより、コレット上に配置されたキャップの軸方向移動を引き起こすことができ、コレットはテーパー状の外部プロファイルを有し、キャップは相補的な内部ウェッジを有し、内側ボアを圧縮する。
【0016】
一態様では、レバーを作動させることにより、レバーの内側プロファイルは、レバーが回転されて内側ボアを圧縮する際にコレットのアームに係合してそれらを内側に偏向させることができる。
【0017】
一態様では、コレットをロックと係合させる前または後に、流体が灌注ポートを通して導入され得る。
【0018】
一態様では、細長い装置は把持具とすることができる。したがって、この方法は、コレットをロックと係合させる前に、把持具を使用して異物を固定することと、その後、膀胱鏡および把持具を単一のユニットとして操作することにより異物を除去することと、を含み得る。
【0019】
さらなる特徴および利点は、添付の図面に図示されるような、本開示の好ましい実施形態に関する以下の、より具体的な説明から明らかになるであろう。添付の図面では、同様の参照符号が概して図全体を通して同じ部品または要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一実施形態によるロック式灌注弁の側面図を概略的に示す。
図2】一実施形態による図1の弁の断面図を概略的に示す。
図3】一実施形態による図1の弁の等角図を概略的に示す。
図4】一実施形態によるYアーム構成を有するロック式灌注弁の側面図を概略的に示す。
図5】一実施形態による図4の弁のコレットの細部の側面図を概略的に示す。
図6】一実施形態による図4の弁のコレットの細部の等角図を概略的に示す。
図7】一実施形態によるロックアームを備えた図4の弁のコレットの細部の側面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
はじめに、本開示は、具体的に例示した材料、アーキテクチャ、ルーチン、方法、または構造に限定されず、それらは様々であってよいことを理解されたい。よって、本明細書に記載されるものと類似または同等のいくつかのそのようなオプションが、本開示の実施または実施形態において使用され得るが、好ましい材料および方法が本明細書に記載される。
【0022】
また、本明細書で使用される用語は、本開示の特定の実施形態を説明するためだけのものであり、限定することを意図したものではないことを理解されたい。
【0023】
添付の図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、本開示の例示的な実施形態の説明として意図されており、本開示が実施され得る単に例示的な実施形態を代表することを意図していない。本明細書を通じて使用される「例示的」という用語は、「例、実例、または説明として役立つ」ことを意味し、必ずしも他の例示的な実施形態よりも好ましい、または有利であると解釈されるべきではない。詳細な説明には、本明細書の例示的な実施形態の完全な理解を提供する目的で、具体的な詳細が含まれる。本明細書の例示的な実施形態は、これらの具体的な詳細がなくても実施され得ることは当業者には明らかであろう。
【0024】
便宜上および明確性のみを目的として、上部(top)、底部(bottom)、左、右、上(up)、下(down)、上(over)、上方(above)、下方(below)、下方(beneath)、後方、後ろ、前などの方向を示す用語が、添付図面に関して使用され得る。これらおよび類似の方向を示す用語は、いかなる方法によっても本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0025】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、内容に明確な規定のない限り、複数の指示物を含む。
【0026】
本明細書に記載される様々な構造および解剖学的基準の向きに関して、用語「近位」および「遠位」は、本明細書に記載されるインプラントを配備するために本開示の送達システムを操作している泌尿器科医などの医療専門家の視点に対して相対的なものである。したがって、泌尿器科医の手によって保持される送達システムのそれらの特徴は、「近位」端部にあり、組み立てられたシステム、および最初は圧縮された構成にあるインプラントは、送達システムの「遠位」端部に位置する。
【0027】
上述のように、本開示の技術は、自動ロック機能を有する把持具を特徴とする。ハンドルは、装置の遠位端部にあるジョーに把持力を自動的に加えるための自己作動機構を含み、先行技術の把持具に特徴的である上述の一定の前方への圧力をユーザーが加える必要性を低減または排除する。特に、本開示の特徴を具現化する把持具は、遠位ジョーを閉じ、閉鎖を維持するために、自己作動機構を採用する。
【0028】
以下の議論において詳述されるように、本開示の技術は、膀胱鏡の作業チャネルに導入された細長い装置の位置を固定するロック式灌注弁に向けられている。例えば、細長い装置は、異物回収中に使用される把持具または別の一般的な泌尿器科器具であってもよい。しかしながら、これらの技術は、医療装置が弁を通して導入される他の処置にも適用され得ることも理解されるべきである。尿路からの異物の除去の文脈において、本開示の態様は、いくつかの利点を提供する。特に、本開示によるロック式弁は、把持具もしくは器具シャフト、または弁開口部を通して導入される他の医療装置と適合性がある。弁はまた、異物の回収中に膀胱鏡チャネルの作業チャネル内の固定位置に細長い装置を固定するために十分な力を及ぼすように構成されたロック機能を特徴とする一方で、ユーザーによっていつでもロック解除される能力を有する。さらに、この弁は、必要に応じて、弁と膀胱鏡器具チャネルを通した、流体の灌注または注入を可能にする。ロック式灌注弁は、把持具または器具が存在しないときは、通常の弁としても機能する。
【0029】
本開示の態様を説明するのを助けるために、ロック式灌注弁10の側面図、断面図および等角図が、図1図3にそれぞれ示されている。弁10の本体12は、複数の長手方向カーフによって形成され、カーフ部分においてテーパー状である外側プロファイルを有する、近位端部のコレット14を特徴とする。以下に詳述するように、コレット14の内側ボア16は、弁10を通して配備された器具に把持力またはクランプ力を与えるために、その公称直径から圧縮可能である。これに対応して、コレットキャップ18が、相補的な内部ウェッジプロファイルを有し、本体12の長手方向軸に沿ったキャップ18の軸方向移動がコレット14を圧縮し、その内径を減少させる。所望により、コレット14の内面は、コレット14を通って前進した細長い装置のシャフトとの係合を強化するために、隆起するかまたは別様にテクスチャ加工されたプロファイル20を特徴とすることができる。弁10の近位端部には、軸24上で枢動するロックレバー22が設けられている。レバー22の対向する部分は、キャップ16から突出するピン28を受容するカムスロット26を有する。理解されるように、カムスロット26は、レバー22が開いた構成から閉じた構成に枢動されるにつれて、ピン28を遠位に付勢するように構成され得る。したがって、キャップ18は遠位に駆動され、コレット14およびキャップ18の相補的なテーパーは、上述したようにコレット14を圧縮して、ボア16内に所望のクランプ力を発生させ、ボア内に位置付けられた細長い医療装置をロックする。図示のように、カムスロット26は、クランプ力の様々な程度に対応する様々な別々の位置にレバー22を維持するために、ピン28の移動範囲に沿った戻り止め30を特徴とし得る。
【0030】
ロックリング34を有するルアーコネクタ32が、当技術分野で既知のように採用されて、膀胱鏡の作業チャネルと整列されるそれぞれのコネクタへの連結を可能にする。灌注ポート36が、内腔38と流体連通している。内腔38は、コレット14の内側ボア16と整列して、細長い装置のシャフトは、コレット14および内腔38を順次通って前進させられて膀胱鏡の作業チャネルに入ることができる。これに対応して、灌注流体は、コレット14の状態に関係なく、処置の間いつでも、ポート36を通って膀胱鏡の作業チャネルに導入され得る。ルアーコネクタ32上の外部テーパーは、膀胱鏡接合部における内腔38からの流体の漏れを抑制し、シール40も同様に、コレット14から近位への流体の漏れを抑制する。
【0031】
例示的な方法では、ルアーコネクタ32は、ロックリング34に係合することによって弁10を膀胱鏡に固定するのに使用され得る。次いで、ユーザーは、灌注ラインをポート36に接続し、把持具または他の適切な細長い医療装置を、コレット14および内腔38を通して前進させて膀胱鏡の作業チャネルに入れることができる。やはり異物回収の情況で、把持具は、除去に備えて異物を把持し固定するために使用され得る。その後、ユーザーはレバー22を枢動させてコレット14を圧縮し、把持具または他の細長い装置のシャフト上にロックする。その後、膀胱鏡、弁10、および把持具または他の装置を単一のユニットとして引き出して、異物の除去を達成することができる。処置中または処置後のいつでも、レバー22を反対方向に枢動させることができ、そのため、カムスロット2がピン28に係合してキャップ18を近位に駆動し、コレット14がその公称直径に戻り、把持具または他の装置を解放することを可能にする。
【0032】
本開示の技術の別の例示的説明として、ロック式灌注弁50が代替的な実施形態として図4に示されている。ここで、弁50は、標準的な止血用Yコネクタ本体として構成されており、その遠位端部にルアーコネクタ52およびロックリング54を有し、サイドアーム58に灌注ポート56を有し、これらは全て上述したものと同様の機能性を有する。弁50の近位端部は、上述したのと同様の方法で把持具または他の細長い医療装置のシャフトに係合するのに使用され得るロックレバー62を備えたコレット60を有する。図5および図6は、明瞭にするためにレバー62が取り外されたコレット60の詳細な等角図および端面図をそれぞれ示す。特に、レバー62の係合がなければ、コレット60は、公称直径の内側ボア64を有する。2つ以上のアーム66がボア64の周りに設けられている。アーム66は、偏向可能であり、外側に付勢されているが、内側に可動性を有するので、レバー62の回転により、アーム66がボア64の公称直径内に押されて圧縮され、把持具シャフトまたは他の細長い医療装置を弁50にロックするのに十分な摩擦を生じる。特に図7を参照すると、レバー62は、コレット60を取り囲むものとして描かれており、この実施形態では凹部70内に形成された突出部68として示されている、アーム66に係合するように構成された内側プロファイルを有する。したがって、凹部70がアーム66の上に位置付けられるようにレバー62が回転されると、ボア64はその公称直径を有し、突出部66がアーム66に係合するようにレバー62が回転されると、それらは内側に駆動され、内側ボアを圧縮することによって、指摘されたクランプ力を発生させる。ここでも、結果として、把持具または他の器具が膀胱鏡に連結され、両者が一緒に動くようになる。
【0033】
上記の議論および図から理解されるように、ロック式灌注弁は、他の好適な用途に加えて、前立腺部尿道、膀胱、尿管、腎臓尿路または泌尿器系から、ステント、エキスパンダーもしくは他のインプラントを含む異物、または石もしくは結石などの自然に発生する沈殿物を回収する間に、把持具と共に使用され得る。本開示の技術を採用することにより、このような弁は、限定するものではないが、以下を含む、いくつかくの有益な特性を示すことができる:
- 把持具もしくは器具シャフト、または弁開口部を通して導入される他の医療装置と適合性がある;
- 異物を回収するのに十分な力で把持具または器具シャフトにロックできる;
- ユーザーによりいつでもロック解除可能である;
- 必要に応じて、弁およびスコープ器具チャネルを通した、流体の灌注または注入を可能にする;
- 膀胱鏡器具または作業チャネルに固定できる;
- 把持具または器具が存在ないときは、通常の弁として機能する。
【0034】
上記に開示された例示的な実施形態は、単に本開示の様々な有用性を説明することを意図している。上記の教示に照らして、本開示の機能的要素および特徴の多数の修正、変形および組み合わせが可能であり、したがって、添付の特許請求の範囲内において、本開示は、具体的に開示された以外の方法で実施され得、本開示の原理は、他の用途への適切な修正により容易に拡張され得ることが理解される。
【0035】
すべての特許および刊行物は、個々の各刊行物が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように同じ程度に、参照のため本明細書に組み込まれる。本開示は、好ましい実施形態およびオプションの特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示された概念の修正および変形は、当業者によって行われ得、そのような修正および変形は、本開示の範囲内であるとみなされることが理解されるべきである。
【0036】
〔実施の態様〕
(1) ロック式灌注弁であって、
内腔を有する弁本体と、
前記内腔と流体連通している灌注ポートと、
前記内腔が膀胱鏡の作業チャネルと整列するように前記膀胱鏡と連結するように構成されたコネクタと、
圧縮可能な内側ボアを有するコレットと、
前記コレットと係合して前記内側ボアを圧縮するように構成されたロックと、
を含む、ロック式灌注弁。
(2) 前記ロックは、レバーによって作動される、実施態様1に記載の弁。
(3) 前記コレットは、テーパー状の外部プロファイルを有し、相補的な内部ウェッジを有するキャップが、コレット上に配置され、前記レバーを作動させると、前記内側ボアを圧縮する、前記キャップの軸方向移動がもたらされる、実施態様2に記載の弁。
(4) 前記キャップは、前記レバーのカムスロットに係合するピンによって駆動される、実施態様3に記載の弁。
(5) 前記コレットは、圧縮されたときに摩擦を増加させるように構成された、テクスチャ加工された内面を有する、実施態様2に記載の弁。
【0037】
(6) 前記レバーは、複数の別々のクランプ位置を有する、実施態様2に記載の弁。
(7) 前記レバーは、前記弁本体の前記内腔から前記コレット内への灌注流体の漏れを抑制するためのシールを有する、実施態様1に記載の弁。
(8) 前記コレットは、前記レバーの作動によって係合されるように構成された複数の偏向可能なアームを含む、実施態様2に記載の弁。
(9) 前記レバーの内側プロファイルは、前記レバーが回転されると前記偏向可能なアームに係合するように構成されている、実施態様8に記載の弁。
(10) 前記内側プロファイルは、前記内側プロファイルの凹部内における突出部を含む、実施態様9に記載の弁。
【0038】
(11) 弁を通して膀胱鏡の作業チャネル内に前進させた細長い装置を選択的に固定する方法であって、
内腔を備えた弁本体と、前記内腔と整列した圧縮可能な内側ボアを有するコレットとを有するロック式灌注弁を提供することと、
前記内腔が前記膀胱鏡の前記作業チャネルと整列するように前記ロック式灌注弁を前記膀胱鏡に連結することと、
前記内側ボアを通して前記細長い装置を前進させることと、
前記内側ボアを圧縮して前記細長い装置を固定するために前記コレットをロックと係合させることと、
を含む、方法。
(12) 前記コレットを係合させることは、レバーを作動させることを含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記レバーを作動させることにより、前記コレット上に配置されたキャップの軸方向移動を引き起こし、前記コレットはテーパー状の外部プロファイルを有し、前記キャップは相補的な内部ウェッジを有し、前記内側ボアを圧縮する、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記レバーを作動させることにより、前記レバーの内側プロファイルは、前記レバーが回転されて前記内側ボアを圧縮する際に前記コレットのアームに係合してそれらを内側に偏向させる、実施態様12に記載の方法。
(15) 前記コレットを前記ロックと係合させる前または後に、前記灌注ポートを通して流体を導入することをさらに含む、実施態様11に記載の方法。
【0039】
(16) 前記細長い装置は、把持具である、実施態様11に記載の方法。
(17) 前記コレットを前記ロックと係合させる前に、前記把持具を使用して異物を固定することと、
その後、前記膀胱鏡および前記把持具を単一のユニットとして操作することにより前記異物を除去することと、
をさらに含む、実施態様16に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】