(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】バッテリーハウジング
(51)【国際特許分類】
H01M 50/342 20210101AFI20240711BHJP
F16B 37/00 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
H01M50/342 101
F16B37/00 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500340
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 EP2022085040
(87)【国際公開番号】W WO2023110636
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】102021006213.2
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】アンドレーアス・シュルツ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・リードリンガー
【テーマコード(参考)】
5H012
【Fターム(参考)】
5H012BB02
5H012EE01
5H012EE04
(57)【要約】
本発明は、複数のねじ(5)によって互いに接続されている第1のハウジング部品(2)と第2のハウジング部品(3)とを備えるバッテリーハウジング(1)に関し、第2のハウジング部品(3)は、ねじ(5)のための貫通孔を有し、他方のハウジング部品(2)は、ねじ山を有する。本発明に基づくバッテリーハウジングは、ねじ山がねじ込みブッシュ(7)の形で形成されており、ねじ込みブッシュ(7)は、一方のハウジング部品(2)とねじ止めまたは形状結合によって接続され、かつねじ(5)を収容するためのねじ山(9)を有するものであり、ねじ込みブッシュ(7)は、熱的事象が発生した際に溶融、軟化または分解する材料(10)から少なくとも部分的に形成されていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のねじ(5)によって互いに接続されている第1のハウジング部品(2)と第2のハウジング部品(3)とを備えるバッテリーハウジング(1)であって、前記第2のハウジング部品(3)は、前記ねじ(5)のための貫通孔を有し、他方の前記ハウジング部品(2)は、ねじ山を有する、前記バッテリーハウジング(1)において、
前記ねじ山は、ねじ込みブッシュ(7)の形に構成されており、前記ねじ込みブッシュ(7)は、一方の前記ハウジング部品(2)とねじ止めまたは形状結合によって接続され、かつ前記ねじ(5)を収容するためのねじ山(9)を有するものであり、前記ねじ込みブッシュ(7)は、熱的事象が発生した際に溶融、軟化または分解する材料(10)から少なくとも部分的に形成されていることを特徴とする、前記バッテリーハウジング(1)。
【請求項2】
前記ねじ込みブッシュ(7)は、金属材料(9)と熱可塑性材料(10)とを同心配置で有していることを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーハウジング(1)。
【請求項3】
前記金属材料は、前記ねじ(5)用の前記ねじ山(9)を備え、前記熱可塑性材料は、前記ハウジング部品(2)への接続部を形成することを特徴とする、請求項2に記載のバッテリーハウジング(1)。
【請求項4】
前記接続部は、形状結合による接続部として構成されていることを特徴とする、請求項3に記載のバッテリーハウジング(1)。
【請求項5】
前記接続部は、ねじ山(11)として構成されていることを特徴とする、請求項3に記載のバッテリーハウジング(1)。
【請求項6】
前記ねじ(5)は、前記貫通孔(4)を有する前記ハウジング部品(3)に対する封印ねじ(5)として構成されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のバッテリーハウジング(1)。
【請求項7】
前記ねじ込みブッシュ(7)と、前記貫通孔(4)を備える前記ハウジング部品(3)との間には、前記貫通孔(4)を取り囲む形で耐熱性材料からなるシール(12)が配置されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のバッテリーハウジング(1)。
【請求項8】
前記ねじ込みブッシュ(7)は、前記貫通孔(4)を備える前記ハウジング部品(3)に対面する側にフランジ(13)を有していることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のバッテリーハウジング(1)。
【請求項9】
前記貫通孔(4)を有する前記ハウジング部品(3)は、ハウジングカバー(3)として構成されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のバッテリーハウジング(1)。
【請求項10】
前記ねじ山(11)を有する前記ハウジング部品(3)は、ハウジング下部(2)を形成することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のバッテリーハウジング(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に詳しく定義されている形式の、ハウジング下部とハウジングカバーとを備えるバッテリーハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも部分的に電気駆動される車両に電気的駆動力を提供するトラクションバッテリー用のバッテリーハウジングは、基本的に先行技術から周知である。バッテリーハウジングの内部にあるバッテリーの保守を可能にするため、これらのバッテリーハウジングは、通常、少なくとも2つのハウジング部品から構成されており、それら2つのハウジング部品は互いにねじで接続され、そのために一方のハウジング部品には貫通孔が形成され、他方のハウジング部品にはねじ山が形成されており、例えばハウジングカバーをハウジング下部と、または間接的にハウジング下部に接続されている構成部品と適宜ねじ止めするようになっている。
【0003】
そのようなハウジングでは、常に、バッテリーに対する安全性が重要な役割を果たしている。例えば、バッテリーハウジング内の1つまたは複数のバッテリーシングルセルが過熱し、その結果、高温ガスおよび/または可燃性粒子が噴出する、いわゆる熱的事象が生じた場合、例えば破裂板または逃し弁などによってバッテリーハウジング内の過圧力を逃がすことができるようにしなければならない。この関連では、純粋に例として、特許文献1を参照することができ、ここでは、逃し弁と共にバッテリーハウジングをガス抜きするためのダイヤフラムが示されている。一般的に、発生する高温ガスは、この逃し弁を介して、僅かな損傷しか起こらない領域に適切に誘導される。熱暴走とも呼ばれる熱的事象におけるこの過程全体は、一般に、ガスを排出するための排気(Venting)という用語で呼ばれる。
【0004】
ねじ止めされたバッテリーハウジングの場合は、ハウジング部品のねじ接続部がそのような熱的事象において緩み、その結果、ガスが制御されずに周辺に放出されるという問題が生じる可能性がある。このことは、特に、例えばバッテリーカバーを表面全体にわたり安定させるために、バッテリーカバーをバッテリーハウジング内部の対応する要素とねじ止めするねじ接続部に該当する。極端な過圧力が発生した場合、ねじ接続部は破壊されるおそれがあり、それに伴って、一般には封印ねじが使用されていても、貫通孔の領域に漏れが生じる。ここでガス、特に可燃性ガスが流出すると、最悪の場合、該当する貫通孔の破裂がさらに進むか、または熱の影響で貫通孔がさらに開き、ここにおいてさらに多くのガスが制御されずに周辺に到達する。このことは回避しなければならない。
さらに、別の先行技術については、特許文献2を参照することができ、これは、任意のねじ接続部に使用できる、2つの部分からなる熱可塑性ねじ込みブッシュを示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE102019100094A1
【特許文献2】DE102007060081B4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、安全性の向上を保証し、特に、ねじ接続部の領域における潜在的漏れに関して上述の欠点を防止する、請求項1の上位概念に基づくバッテリーハウジングを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に基づき、この課題は、請求項1の特徴、およびここでは特に請求項1の特徴部に記載の特徴を持つバッテリーハウジングによって解決される。これに依拠している従属請求項から、有利な実施形態及び発展形態が明らかになる。
【0008】
本発明に基づくバッテリーハウジングには、複数のねじによって互いに接続されている2つのハウジング部品が含まれている。これらのハウジング部品は、例えばハウジング下部、およびこれにねじ止めされているハウジングカバーであってよい。一方のハウジング部品、特に前述の実施例でのハウジング下部は、他方のハウジング部品、すなわちここでは特にハウジングカバーの貫通孔から突出するねじを収容するためにねじ山を有している。本発明に基づき、これらのねじ山は、ねじ込みブッシュの形に構成されている。これらのねじ込みブッシュは、一方のハウジング部品とねじ止めまたは形状結合によって接続され、ねじを収容するためのねじ山を有してる。このとき、ねじ込みブッシュは、空間的近傍で熱的事象が発生した際に溶融または分解する材料から少なくとも部分的に形成されている。すなわち、ねじ込みブッシュの材料は、ねじ接続部に空間的近傍で熱的事象が発生した場合、一貫してまたは少なくとも部分的に、このねじ接続部が破断するように構成することができる。これにより、目標破断箇所が作られるので、ねじ接続部はそれらのねじ山から切り離されるが、貫通孔およびねじ接続部に影響が及ぶことはない。これにより、カバーは全体として、特に中央の領域において他方のハウジング部品から外れるが、ねじ接続部はそれ以上動くことはないため、貫通開口部は閉じられた状態のままという状況を作ることができる。これにより、バッテリーハウジングは全体として密閉性を保つことができる。幾つかのねじによる中心部の固定が失われ、隆起することもある、一方のハウジング部品としてのハウジングカバーは、このとき、その結果生じるバッテリーハウジングの内部容積の増加によってバッテリーハウジング内の圧力上昇を緩和するのにも役立つので、排気チャネルにガスを適切に誘導するための破裂板などの該当する安全要素は、反応するために十分な時間を確保することができる。
【0009】
このとき、ねじ込みブッシュ自体は、好ましくは2つの材料から形成されていてよく、本発明に基づくバッテリーハウジングの非常に有利な発展形態によれば、ねじ込みブッシュは、金属材料と熱可塑性材料を有している。金属と、例えば熱可塑性ポリマーなどの熱可塑性樹脂とのこの組み合わせにより、例えば金属製ねじ込みブッシュの内側部分を射出成形機に装填し、ねじ込みブッシュのその他の部分によって適宜オーバーモールドすることで、簡単かつ効率的な製造が可能である。熱的事象が生じた場合、熱可塑性材料は、それに応じて分解または溶融するか、あるいは少なくとも、ねじ込みブッシュのこの部分が力に耐えられなくなり、ねじ接続部が目標破断箇所として望ましい形で破断する程度にまで軟化する。
【0010】
ここで、本発明に基づくバッテリーハウジングの非常に有利な発展形態によれば、金属材料がねじ用のねじ山を備え、熱可塑性材料が他方のハウジング部品への接続部を備えることができる。この構造は特に効率的である。ねじは、ねじ込みブッシュの金属部分に係合することができ、それによって、ねじと、場合によってはねじ込みブッシュとねじの間にあるシールと、またはねじ頭部とハウジング部品の間にあるシールとを所定の位置に留まらせるようにすることができる。すなわち、ねじ込みブッシュの金属部分に対するねじの相対位置は、目標破断箇所が反応した場合でも変化しないため、ハウジング部品の貫通孔はねじによって確実に塞がれたままである。熱可塑性材料は、金属材料のように大きな力を吸収できず、高温にも耐えられないため、熱可塑性材料を介する他方のハウジング部品への接続部は、特定の温度および/または特定の圧力以上になると破断する。従って、目標破断箇所を、直接第2のハウジング部品との接合領域に移動させることができるため、正確に望ましい領域で破断が発生する。
【0011】
この場合、ねじ込みブッシュと第2のハウジング部品との接続部は形状結合によって行うことができるので、ねじ込みブッシュは、いわゆるハウジング部品の中に組み込まれており、対応する形状結合で2つの要素の間を通る熱可塑性材料等からなるビードによって、このハウジング部品の中に保持される。このことは、通常動作で発生する力を伝達するには十分であり、熱的事象の際の目標破断箇所として、該当する望ましい破断を引き起こす。
【0012】
この代替として、本発明に基づくバッテリーハウジングのさらなる実施形態によれば、接続部がねじ山としても構成されていてよい。これには、バッテリーハウジングの下部または第2の部品とは無関係にねじ込みブッシュを製造できるという利点がある。これにより、ねじ込みブッシュをこの第2のハウジング部品のねじ山にねじ込んでから、他方のハウジング部品を載置し、ねじ込みブッシュおよび従って間接的に他方のハウジング部品にねじによってねじ止めすることができる。
【0013】
このとき、本発明に基づくバッテリーハウジングの非常に有利な発展形態によれば、ねじ自体は、すでに上述したように、貫通孔を備えるハウジング部品に対する封印ねじとして構成されていてよい。これに対する補足として、または原則的に代替として、本発明に基づくバッテリーハウジングでは、さらに、ねじとねじ込みブッシュとの間にシールを設けることができ、このシールは熱耐性の材料からなるため、熱的事象の際にもその機能を維持することができ、溶融または分解されることはない。
【0014】
本発明に基づくバッテリーハウジングのさらなる極めて好適な実施形態は、ねじ込みブッシュのフランジが貫通孔に対面する側に形成されるように設けることができる。前述した実施形態に基づいて説明されたシールが存在している場合、このシールは、ハウジング部品とこのフランジとの間に収容することができ、構造を確実にシールする。さらに、ねじ込みブッシュの金属材料がねじ用のねじ山を備えるようにねじ込みブッシュが形成されている場合、この部分にはフランジも適宜含まれるため、そのようなシールは、目標破断箇所が反応した際にも確実にハウジング部品とねじ込みブッシュとの間に保持され、従って、目標破断箇所が反応した際にも貫通孔を確実にシールする。
【0015】
このとき、貫通孔を備えるハウジング部品は、必須ではないが、好ましくはハウジングカバーであってよく、ねじ山を備えるハウジング部品は、ハウジング下部として形成されていてよく、このハウジング下部は、例えばフランジの外周に、またはねじ山下部の表面に対して該当する引張アンカーの中央にこのねじ山を有しており、引張アンカーは、バッテリーハウジング内のバッテリーモジュールを貫通して突き出しているか、またはそのようなバッテリーモジュールによって少なくとも間接的に保持されている。
【0016】
本発明に基づくバッテリーハウジングのさらなる有利な実施形態は、以下に図を用いて詳しく説明されている実施例からも明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に基づく実施形態におけるバッテリーハウジングのハウジング部品間のねじ接続部の図である。
【
図2】熱的事象発生後における
図1に基づくねじ接続部の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1には、本発明に基づく可能な実施形態におけるバッテリーハウジング1の本発明に関連する断面図が示されている。このとき、バッテリーハウジング1は、ハウジング下部として構成されている第1のハウジング部品2と、ここではハウジングカバー3として実現されている第2のハウジング部品3を備えている。ハウジングカバー3は、ハウジングカバー3をハウジング下部2にねじ止めするためのねじ5に用いる貫通孔4を有している。このとき、ねじ5は、いわゆる封印ねじとして構成されており、この封印ねじは、外周シール6によって、ねじ頭部とハウジングカバー3との間にある貫通孔4の密閉性を保証するものである。
【0019】
ねじ5をハウジング下部2に固定するためのねじ山は、ねじ込みブッシュ7の形に構成されている。このねじ込みブッシュ7は、ここに図示されている実施例では、貫通ドリル穴を持つ金属材料製の内側部分8と、ここでは符号9が付されているねじ山とからなり、これによって、ねじ5またはねじ5のねじ山を収容する。
【0020】
さらに、ねじ込みブッシュ7は、符号10が付されている外側部分も備え、この外側部分は熱可塑性樹脂から製造されており、例えばねじ込みブッシュ7の内側部分8を熱可塑性樹脂でオーバーモールドすることによって作製される。ここでは、熱可塑性樹脂の内側部分8への接着を、純粋に粘着または接着によって行うことができる。しかしながら、ここでは図示されていないが、形状結合の接続要素も一緒に設けられていてもよいであろう。熱可塑性樹脂製の外側部分10の外周には、ねじ山11が形成されており、これは、第2のハウジング部品2のねじ山に適宜ねじ込まれている。この構造により、優れた密閉性と同時に、ハウジング下部2に対するハウジングカバー3の十分な固定が実現される。
【0021】
貫通孔4に対する密閉性もより一層改善するため、さらにこの領域を密閉するシール12を設けることもでき、このとき、好ましくは、シール12がハウジングカバー3とねじ込みブッシュ7のフランジ13との間に挟み込まれ、このフランジ13は、好ましくはねじ込みブッシュ7の内側部分8の一部として、従って金属材料から形成されている。
【0022】
バッテリーハウジング1内において、説明したねじ接続部の周辺で熱的事象が生じた場合、バッテリーハウジング1では、一方で圧力が上昇し、他方では温度が上昇する。一定時間の経過後、または一定の限界圧力以降、一般には破裂板などが開くことにより、過圧力および有害な、場合により燃焼性のガスは、周辺の選択された領域に適切に排出される。特にバッテリーカバー3内の貫通孔4を介して望ましくないガスの流出が生じるのを防ぐため、ねじ込みブッシュ7の説明した構造が設けられている。ねじ込みブッシュ7の熱可塑性材料10は、特に熱的事象による高温との組み合わせで生じる過圧力の際に、いわゆる目標破断箇所となる。熱可塑性材料10は溶融または分解するか、あるいは軟化する。次に、溶融または軟化した材料は、バッテリー下部2とバッテリーカバー3との間の圧力にそれ以上耐えられなくなり、ねじ込みブッシュ7の外側領域が破断し、ねじ込みブッシュ7はハウジング下部2から外れる。
図2には、ねじ込みブッシュ7の熱可塑性樹脂材料10のそのような破断時における
図1に示された構造が図示されている。これによりバッテリーカバー3が僅かに隆起し、それによってバッテリーハウジング1の内部の容積が増加し、圧力上昇を緩和することができる。しかし、特に、そのような熱的事象および/または過圧力の発生に対して、ねじ込みブッシュ7の領域における適切な破断により、ねじ5は確実にカバー3の上に位置しており、従って貫通孔4も確実に密閉された状態で留まっているので、ここでガスが流出することはできない。
【0023】
シール12は、ねじ込みブッシュ7の耐熱性の内側部分8のフランジ13と、ハウジングカバー3との間に挟まれた状態のままであり、ねじ5は所定の位置に留まっているため、シール12に加えてシール6により貫通孔4を確実に密閉することができる。しかし、ハウジングカバー3全体は、ねじ込みブッシュ7の熱可塑性材料10の破断により、ハウジング下部から持ち上げられる。これらのねじ接続部が、例えばカバープレートで使用されると、カバープレートが隆起し、すでに上述した効果が達成される。従って、あらゆるケースにおいて、特殊なねじ込みブッシュ7によるこのような種類のねじ接続により、ねじ接続部の貫通孔4を介する望ましくないガスの流出ならびに場合によっては火炎の流出を阻止することができるようになる。
【0024】
このとき、
図2の構成部品に付けられている符号は、
図1で同一の構成部品に付けられている符号と同じである。ハウジング下部2に対して、カバー3、内側部分8、ねじ込みブッシュ7、ねじ5からなる構造の上昇は、矢印によって相応に示されている。ねじ込みブッシュ7の熱可塑性樹脂材料10は、部分的にまだねじ込みブッシュの内側部分8に接着しており、部分的にまだねじ山11の領域に残っている。この場合、分かりやすくするため、この熱可塑性材料は、両方の位置において符号10が付けられている。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のねじ(5)によって互いに接続されている第1のハウジング部品(2)と第2のハウジング部品(3)とを備えるバッテリーハウジング(1)であって、前記第2のハウジング部品(3)は、前記ねじ(5)のための貫通孔を有し、他方の前記ハウジング部品(2)は、ねじ山を有する、前記バッテリーハウジング(1)において、
前記ねじ山は、ねじ込みブッシュ(7)の形に構成されており、前記ねじ込みブッシュ(7)は、一方の前記ハウジング部品(2)とねじ止めまたは形状結合によって接続され、かつ前記ねじ(5)を収容するためのねじ山(9)を有するものであり、前記ねじ込みブッシュ(7)は、熱的事象が発生した際に溶融、軟化または分解する材料(10)から少なくとも部分的に形成されていることを特徴とする、前記バッテリーハウジング(1)。
【請求項2】
前記ねじ込みブッシュ(7)は、金属材料(9)と熱可塑性材料(10)とを同心配置で有していることを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーハウジング(1)。
【請求項3】
前記金属材料は、前記ねじ(5)用の前記ねじ山(9)を備え、前記熱可塑性材料は、前記ハウジング部品(2)への接続部を形成することを特徴とする、請求項2に記載のバッテリーハウジング(1)。
【請求項4】
前記接続部は、形状結合による接続部として構成されていることを特徴とする、請求項3に記載のバッテリーハウジング(1)。
【請求項5】
前記接続部は、ねじ山(11)として構成されていることを特徴とする、請求項3に記載のバッテリーハウジング(1)。
【請求項6】
前記ねじ(5)は、前記貫通孔(4)を有する前記ハウジング部品(3)に対する封印ねじ(5)として構成されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のバッテリーハウジング(1)。
【請求項7】
前記ねじ込みブッシュ(7)と、前記貫通孔(4)を
有する前記ハウジング部品(3)との間には、前記貫通孔(4)を取り囲む形で耐熱性材料からなるシール(12)が配置されていることを特徴とする、請求項1から
5のいずれか一項に記載のバッテリーハウジング(1)。
【請求項8】
前記ねじ込みブッシュ(7)は、前記貫通孔(4)を
有する前記ハウジング部品(3)に対面する側にフランジ(13)を有していることを特徴とする、請求項1から
5のいずれか一項に記載のバッテリーハウジング(1)。
【請求項9】
前記貫通孔(4)を有する前記ハウジング部品(3)は、ハウジングカバー(3)として構成されていることを特徴とする、請求項1から
5のいずれか一項に記載のバッテリーハウジング(1)。
【請求項10】
前記ねじ山(11)を有する前記ハウジング部品(
2)は、ハウジング下部(2)を形成することを特徴とする、請求項1から
5のいずれか一項に記載のバッテリーハウジング(1)。
【国際調査報告】