(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】樹脂組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20240711BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20240711BHJP
C08G 59/18 20060101ALI20240711BHJP
C09J 7/28 20180101ALI20240711BHJP
C09J 7/20 20180101ALI20240711BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20240711BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20240711BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20240711BHJP
B32B 15/20 20060101ALI20240711BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20240711BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K3/36
C08G59/18
C09J7/28
C09J7/20
C09J11/04
C09J201/00
B32B15/08 Q
B32B15/20
B32B27/20 Z
H05K1/03 610H
H05K1/03 610R
H05K1/03 630B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500494
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 CN2022108291
(87)【国際公開番号】W WO2023020226
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】202110935446.3
(32)【優先日】2021-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514309583
【氏名又は名称】廣東生益科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENGYI TECHNOLOGY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【氏名又は名称】小林 功
(72)【発明者】
【氏名】▲ショ▼乃東
(72)【発明者】
【氏名】劉潜発
(72)【発明者】
【氏名】黄増彪
(72)【発明者】
【氏名】許永静
(72)【発明者】
【氏名】柴頌剛
(72)【発明者】
【氏名】張艶華
【テーマコード(参考)】
4F100
4J002
4J004
4J036
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AA20A
4F100AB17B
4F100AB33B
4F100AH06A
4F100AK33A
4F100AK53A
4F100BA02
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100CA23A
4F100CB00A
4F100DE01A
4F100GB43
4F100JB13A
4F100JB15A
4F100JK02
4F100JK06
4F100JL11A
4F100YY00A
4J002AA021
4J002BG021
4J002BH021
4J002CC031
4J002CD021
4J002CD051
4J002CD061
4J002CD111
4J002CD201
4J002CE001
4J002CH071
4J002CM001
4J002CM021
4J002CM041
4J002CP031
4J002DJ016
4J002FD016
4J002GF00
4J002GJ01
4J004AA12
4J004AA13
4J004CA05
4J004CC02
4J004FA05
4J004FA08
4J036AD07
4J036AD08
4J036AF06
4J036AJ08
4J036FB08
4J036JA06
4J036JA08
4J040EB051
4J040EC061
4J040HA306
4J040KA03
4J040KA42
4J040LA09
4J040MA02
4J040MA10
4J040MB05
4J040MB09
4J040NA19
(57)【要約】
【課題】本発明は、樹脂組成物およびその使用を提供する。
【手段】前記樹脂組成物は、重量%で架橋性硬化樹脂15~39%およびフィラー61~85%を含み、前記フィラーは、有機ケイ素加水分解法により調製されたシリカであり、前記シリカの平均粒径D50は0.1~3μmであり、D100:D10の比は2.5以下であり、前記シリカの純度は99.9%よりも大きい。本発明の樹脂組成物により、調製された接着剤フィルムおよび樹脂付き銅箔は、高い引張強度および剥離強度を有することができ、ドリル加工性が良く、流動性が制御可能であり、接着剤充填能力が良く、電気的強度がより高く、より細い回路の加工能力を実現することができ、多層積層板のプリント配線板に適用できる材料、特に、細い回路の多層積層板のプリント配線板に適用できる材料である。
【選択図】無し
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量%で架橋性硬化樹脂15~39%およびフィラー61~85%を含み、前記フィラーは、有機ケイ素加水分解法により調製されたシリカであり、前記シリカの平均粒径D50は0.1~3μmであり、D100:D10の比≦2.5であり、前記シリカの純度は99.9%よりも大きい、
ことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
前記架橋性硬化樹脂は、熱硬化樹脂または光硬化樹脂であり、
好ましくは、前記架橋性硬化樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート、活性エステル、ポリフェニレンオキサイド樹脂、マレイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリイミド樹脂、炭化水素樹脂、またはアクリレート樹脂から選ばれるいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであり、エポキシ樹脂とフェノール樹脂との組み合わせであることが好ましく、
好ましくは、前記エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、MDI変性エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン含有エポキシ樹脂、または脂環族エポキシ樹脂の1種または少なくとも2種の組み合わせを含み、
好ましくは、前記フェノール樹脂は、ビスフェノールA型フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、またはナフタレン含有フェノール樹脂の1種または少なくとも2種の組み合わせを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記シリカは、有機ケイ素加水分解反応により初期生成物を取得し、前記初期生成物を焼成して得られたものであり、
好ましくは、前記焼成の温度は800~1300℃である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記有機ケイ素はアルコキシシランであり、
好ましくは、前記アルコキシシランは、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシランを含み、テトラエトキシシランであることが更に好ましい、
ことを特徴とする請求項3に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記シリカの平均粒径D50は0.3~1μmである、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
接着剤フィルムであって、
前記接着剤フィルムは、請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物を離型材に塗布した後、乾燥および/またはベークにより作製されたものであり、
好ましくは、前記接着剤フィルムの厚さは5~300μmであり、10~200μmであることが好ましく、10~100μmであることが更に好ましい、
ことを特徴とする接着剤フィルム。
【請求項7】
樹脂付き銅箔であって、
前記樹脂付き銅箔は、銅箔と、塗布されて乾燥した後に銅箔に付着された請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物とを含み、
好ましくは、前記樹脂付き銅箔の樹脂層の厚さは5~300μmであり、10~200μmであることが好ましく、10~100μmであることが更に好ましく、
好ましくは、前記樹脂付き銅箔の銅箔の厚さは1~105μmであり、3~35μmであることが好ましく、3~12μmであることが更に好ましい、
ことを特徴とする樹脂付き銅箔。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物をガラスクロスに浸漬してから乾燥することにより作製される、
ことを特徴とする半硬化接着シート。
【請求項9】
請求項6に記載の接着剤フィルム、請求項7に記載の樹脂付き銅箔、請求項8に記載の半硬化接着シートのうちの1種または少なくとも2種を使用する、
ことを特徴とする銅張積層板。
【請求項10】
請求項6に記載の接着剤フィルム、請求項7に記載の樹脂付き銅箔、請求項8に記載の半硬化接着シート、請求項9に記載の覆銅板積層板のうちの1種または少なくとも2種を使用する、
ことを特徴とする多層板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層板の技術分野に属し、樹脂組成物およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
電子情報製品の大量生産、および軽薄短小化、多機能になる設計傾向に伴い、電子部品の主な支持としてのプリント配線板もそれに伴って、高密度配線、薄形、微細孔径、高放熱性を提供するために、技術的に向上する。基板材料がプリント配線板の性能を大きく左右するため、次世代の基体材料の開発は差し迫って必要となる。
【0003】
補強材がない接着剤フィルムまたは樹脂付き銅箔は、より薄型化、高密度配線、微細孔径を実現することができるため、次世代の基体材料として開発されて適用される。補強材がないため、一般的には、接着剤フィルムの熱膨張係数、耐薬品性、機械的強度および加工性能等を改善するために、無機フィラーを加える。シリコン微粉末は、比較的理想的な無機フィラーであるが、一般的なシリコン微粉末の粒径分布が広く、硬度が大きいため、添加量が大きくなると、引張強度の向上が明らかではなく、流動性が悪く、加工しにくい等の問題が存在する。
【0004】
CN112526823Aは、(A)感光性樹脂、(B)シリカ、(C)光重合開始剤、(D)反応性希釈剤、および(E)エポキシ化合物を含む感光性樹脂組成物を開示し、前記(B)シリカの累積体積百分率は50体積%であり、粒径D50は0.50μm以上2.00μm以下である。D1.0は0.20μm以上0.54μm以下であり、D99は5.00μm以上8.40μm以下である。該発明の換算D99/D50は2.5よりも大きく、それとともにD100を限定せず、フィラー粒子は大きい。
【0005】
CN103467927Aは、20~70wt%の熱硬化性樹脂、1~30wt%の硬化剤、0~10wt%の促進剤、1~50wt%の平均粒径1~10μmの化学法で合成されたシリカのミクロンオーダー凝集体を含み、含浸方式によりプリプレグに、または塗布方式により塗布物に作製できる熱硬化性樹脂組成物を開示した。
【0006】
以上の従来技術では、いずれもD100が限定されず、大粒径のシリカに存在する欠陥があり、高い引張強度および剥離強度を取得することができず、細い回路の適用を満たすことができないため、本発明において、接着剤フィルムおよび樹脂付き銅箔が高い引張強度および剥離強度、良いドリル加工性を有することができ、流動性が制御可能であり、接着剤充填能力が良く、電気的強度がより高い樹脂組成物の開発は望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術の不足に対し、本発明の目的は、樹脂組成物およびその使用を提供することである。本発明の樹脂組成物により、調製された接着剤フィルムおよび樹脂付き銅箔は、高い引張強度および剥離強度を有することができ、ドリル加工性が良く、流動性が制御可能であり、接着剤充填能力が良く、電気的強度がより高く、より細い回路の加工能力を実現することができ、多層積層板のプリント配線板に適用できる材料、特に、細い回路の多層積層板のプリント配線板に適用できる材料である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明は、以下の技術案を採用する。
【0009】
一態様において、本発明は、重量%で架橋性硬化樹脂15~39%およびフィラー61~85%を含み、前記フィラーは有機ケイ素加水分解法により調製されたシリカであり、前記シリカの平均粒径D50は0.1~3μmであり、D100:D10の比≦2.5であり、前記シリカの純度は99.9%よりも大きい、樹脂組成物を提供する。
【0010】
本発明において、有機ケイ素加水分解法により得られたシリカをフィラーとして樹脂組成物に用い、その平均粒径D50が0.1~3μmであり、D100:D10の比≦2.5であり、含有量が99.9%よりも大きいことにより、組成物は、高い引張強度および剥離強度、良いドリル加工性を有し、電気的強度がより高くなることができる。
【0011】
本発明の前記樹脂組成物において、前記架橋性硬化樹脂の含有量が15~39%であることは、樹脂組成物全体の15~39%を占めることを意味し、例えば、15%、18%、20%、22%、25%、28%、30%、32%、34%、36%、38%または39%、および上記点値間の具体的な点値であってもよく、紙面の都合と簡明のために、本発明では前記範囲に含まれる具体的な点値は網羅的に例示されていない。
【0012】
本発明の前記樹脂組成物において、前記フィラーの含有量が61~85%であることは、樹脂組成物全体の61~85%を占めることを意味し、例えば、61%、63%、65%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%または85%、および上記点値間の具体的な点値であってもよく、紙面の都合と簡明のために、本発明では前記範囲に含まれる具体的な点値は網羅的に例示されていない。
【0013】
本発明において、フィラーの含有量が61%よりも小さいと、引張強度の向上は明らかではなく、フィラーの含有量が85%よりも大きいと、材料の脆性が大きいとともに、剥離強度が低下する。
【0014】
本発明において、前記シリカは、平均粒径D50が0.1~3μm(例えば、0.3μm、0.5μm、0.8μm、1μm、1.3μm、1.5μm、1.8μm、2μm、2.3μm、2.5μm、2.8μmまたは3μm)であり、D100:D10の比が2.5よりも小さい(例えば、2.4、2.3、2.2、2.0、1.8、1.7、1.5、1.3、1.0等であってもよい)、前記シリカの純度は99.9%よりも大きい(例えば、99.91%、99.93%、99.95%、99.97%、99.99%等)。本発明のシリカの粒径がより鋭く、純度がより高く、調製された接着剤フィルムおよび樹脂付き銅箔は、高い引張強度および剥離強度、良いドリル加工性を有することができ、流動性が制御可能であり、接着剤充填能力が良く、電気的強度がより高く、より細い回路の加工能力を実現することができる。
【0015】
本発明に係る粒径(例えば、D50、D10、D100等)は、いずれもレーザー回折法で測定され、測定機器は、マルバーンレーザー粒度分布測定装置であり、型番がMS3000である。本発明に係るシリカの純度は、誘導結合プラズマ発光分光分析装置ICP-AESで測定される。
【0016】
好ましくは、前記架橋性硬化樹脂は、熱硬化樹脂または光硬化樹脂である。
【0017】
好ましくは、前記架橋性硬化樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート、活性エステル、ポリフェニレンオキサイド樹脂、マレイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリイミド樹脂、炭化水素樹脂、またはアクリレート樹脂から選ばれるいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであり、エポキシ樹脂とフェノール樹脂との組み合わせであることが好ましい。エポキシ樹脂とフェノール樹脂との組み合わせであることが好ましくて、より優れた引張強度および剥離強度を取得することができる。
【0018】
好ましくは、前記エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、MDI変性エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン含有エポキシ樹脂、または脂環族エポキシ樹脂の1種または少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0019】
好ましくは、前記フェノール樹脂は、ビスフェノールA型フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、またはナフタレン含有フェノール樹脂の1種または少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0020】
好ましくは、前記シリカは、有機ケイ素加水分解反応により初期生成物を取得し、初期生成物を焼成して得られたものである。好ましくは、前記焼成の温度は800~1300℃であり、例えば、850℃、900℃、905℃、910℃、920℃、930℃、950℃、980℃、990℃、1000℃、1050℃、1100℃、1200℃、1250℃である。
【0021】
好ましくは、前記有機ケイ素はアルコキシシランである。
【0022】
好ましくは、前記アルコキシシランは、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシランを含み、テトラエトキシシランであることが更に好ましい。
【0023】
好ましくは、前記シリカの平均粒径D50は0.3~1μmである。
【0024】
別の態様において、本発明は、上記樹脂組成物を溶媒に溶解または分散して得られた樹脂接着剤液を提供する。
【0025】
本発明における溶媒としては、特に限定されず、具体例として、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコール-メチルエーテル、カルビトール、ブチルカルビトール等のエーテル類、アセトン、ブタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類、エトキシエチルアセタート、酢酸エチル等のエステル類、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等の窒素含有系溶媒が挙げられる。上記溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種または2種以上を混合して使用してもよく、好ましくは、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類溶媒と、アセトン、ブタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類溶媒とを混合して使用する。前記溶媒の使用量は、当業者が自分の経験に応じて選択することができ、得られた樹脂接着剤液が使用に適した粘度に達すれば良い。
【0026】
別の態様において、本発明は、上記いずれか1項に記載の樹脂組成物を離型材に塗布した後、乾燥および/またはベークにより作製されたものである、接着剤フィルムを提供する。
【0027】
好ましくは、前記接着剤フィルムは、樹脂組成物の他側に被覆する保護膜を更に含んでもよい。
【0028】
好ましくは、前記接着剤フィルムの厚さは5~300μmであり、例えば、8μm、10μm、15μm、20μm、30μm、50μm、80μm、100μm、120μm、150μm、180μm、200μm、250μm、280μm、300μmであり、10~200μmであることが好ましく、10~100μmであることが更に好ましい。
【0029】
別の態様において、本発明は、銅箔と、塗布されて乾燥した後に銅箔に付着された上記樹脂組成物とを含む、樹脂付き銅箔を提供する。
【0030】
好ましくは、前記樹脂付き銅箔は、樹脂組成物に被覆する保護膜を更に含む。
【0031】
好ましくは、前記樹脂付き銅箔の樹脂層(銅箔上の前記樹脂組成物で形成された樹脂層を意味する)の厚さは5~300μmで、例えば、8μm、10μm、15μm、20μm、30μm、50μm、80μm、100μm、120μm、150μm、180μm、200μm、250μm、280μm、300μmであり、10~200μmであることが好ましく、10~100umであることが更に好ましい。
【0032】
好ましくは、前記樹脂付き銅箔の銅箔の厚さは1~105μmで、例えば、3μm、5μm、8μm、10μm、20μm、30μm、50μm、80μm、100μm、104μm等であり、3~35μmであることが好ましく、3~12μmであることが更に好ましい。
【0033】
別の態様において、本発明は、上記樹脂組成物をガラスクロスに浸漬してから乾燥することにより作製される、半硬化接着シートを提供する。
【0034】
本発明において、前記ガラスクロスは、7628、2116、1131、1080、106、1027、1037、1078ガラスクロスを選択することができる。
【0035】
別の態様において、本発明は、上記接着剤フィルム、上記樹脂付き銅箔、上記半硬化接着シートのうちの1種または少なくとも2種を使用する、銅張積層板を提供する。
【0036】
別の態様において、本発明は、上記接着剤フィルム、上記樹脂付き銅箔、上記半硬化接着シート、上記銅張積層板のうちの1種または少なくとも2種を使用する、多層板を提供する。
【発明の効果】
【0037】
従来技術に対し、本発明は、以下の有益な効果を備える。
【0038】
本発明のシリカは、粒径均一性が良く、粒径分布がより鋭く、61~85%を加える場合に、作製された接着剤フィルムは一般的なシリカで作製された接着剤フィルムと比べ、より良い引張弾性率および剥離強度を取得することができる。本発明のシリカは、平均粒径が小さく、均一性が良く、薄い絶縁層の耐圧および細い回路の信頼性に対する大きな粒子の影響を回避でき、細い回路積層板により好適であり、本発明のシリカは純度が高く、電気特性(Df)がより優れている。
【0039】
本発明の樹脂組成物で調製された接着剤フィルムは、その引張強度が50~100Mpaに達し、剥離強度が7.0~9.0N/cmに達し、電気的強度が83~90kV/mmに達することができ、DKが2.95~3.32と低く、DFが0.004~0.014と低くなることができ、且つ、良好なドリル加工性および良好な接着剤充填能力を有し、総合性能が良好である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、具体的な実施形態により本発明の技術案について更に説明する。当業者であれば、前記実施例は、本発明を理解するためのものに過ぎず、本発明の具体的な制限と見なされるべきではないことを理解すべきである。
【0041】
以下の実施例および比較例に使用された原料は、以下のとおりである。
エポキシ樹脂:NC-3000H(日本化薬)。
フェノール樹脂:SN-485(日本新日本製鉄)。
活性エステル:HP-8000-65T(日本DIC)。
シアネート:XU-371(HUNTSMAN)。
炭化水素樹脂:B3000(日本曹達)。
ポリフェニレンオキサイド:MX9000(SABIC)。
有機ケイ素加水分解法により得られたシリカ1:D50は3.0μmであり、D100:D10は2.5であり、純度は99.98%であり、江蘇輝邁に由来する
有機ケイ素加水分解法により得られたシリカ2:D50は0.1μmであり、D100:D10は2.5であり、純度は99.90%であり、江蘇輝邁に由来する
有機ケイ素加水分解法により得られたシリカ3:D50は0.5μmであり、D100:D10は2.0であり、純度は99.90%であり、江蘇輝邁に由来する
有機ケイ素加水分解法により得られたシリカ4:D50は3.5μmであり、D100:D10は5.0であり、純度は99.90%であり、江蘇輝邁に由来する
有機ケイ素加水分解法により得られたシリカ5:D50は2.0μmであり、D100:D10は5.0であり、純度は99.00%であり、江蘇輝邁に由来する
【実施例1】
【0042】
まず、適量の溶媒を用いて28部のエポキシ樹脂(NC-3000H)および21部のフェノール樹脂(SN-485)を溶解し、2時間以上撹拌した。
【0043】
更に61%の有機ケイ素加水分解法により得られたシリカ3(D50は0.5μmであり、D100:D10は2.0であり、純度は99.90%である)を加え、4時間以上撹拌し続け、十分に均一に混合させ、固形分70%の溶液を形成した。
【0044】
上記溶液を離型フィルムに塗布し、乾燥した後、100℃のオーブンに入れて5分間ベークし、半硬化状態の樹脂層の接着剤フィルムを取得した。半硬化の接着剤フィルム(厚さ40μm)と褐色化後のPCB板とを圧着して硬化し、離型フィルムを剥がしてから表面処理を行い、銅電気メッキを行い、回路付き積層プリント配線板を形成した。
【実施例2】
【0045】
実施例1に使用される化学法で合成されたシリカの酸素の割合を変更したほか、実施例1と同じ方法で接着剤フィルムを製造した。
【0046】
まず、適量の溶媒を用いて28部のエポキシ樹脂(NC-3000H)および21部のフェノール樹脂(SN-485)を溶解し、2時間以上撹拌した。
【0047】
更に73%の有機ケイ素加水分解法により得られたシリカ3(D50は0.5μmであり、D100:D10は2.0であり、純度は99.90%である)を加え、4時間以上撹拌し続け、十分に均一に混合させ、固形分70%の溶液を形成した。
【0048】
上記溶液を離型フィルムに塗布し、乾燥した後、100℃のオーブンに入れて3分間ベークし、半硬化状態の樹脂層の接着剤フィルムを取得した。半硬化の接着剤フィルム(厚さ40μm)と褐色化後のPCB板とを圧着して硬化し、離型フィルムを剥がしてから表面処理を行い、銅電気メッキを行い、回路付き積層プリント配線板を形成した。
【実施例3】
【0049】
実施例1に使用された化学法で合成されたシリカの割合を変更したほか、実施例1と同じ方法で接着剤フィルムを製造した。
【0050】
まず、適量の溶媒を用いて28部のエポキシ樹脂(NC-3000H)および21部のフェノール樹脂(SN-485)を溶解し、2時間以上撹拌した。
【0051】
更に85%の有機ケイ素加水分解法により得られたシリカ3(D50は0.5μmであり、D100:D10は2.0であり、純度は99.90%である)を加え、4時間以上撹拌し続け、十分に均一に混合させ、固形分70%の溶液を形成した。
【0052】
上記溶液を離型フィルムに塗布し、乾燥した後、100℃のオーブンに入れて3分間ベークし、半硬化状態の樹脂層の接着剤フィルムを取得した。半硬化の接着剤フィルム(厚さ40μm)と褐色化後のPCB板とを圧着して硬化し、離型フィルムを剥がしてから表面処理を行い、銅電気メッキを行い、回路付き積層プリント配線板を形成した。
【実施例4】
【0053】
実施例1の樹脂組成物を用いて樹脂付き銅箔を製造した。
【0054】
まず、適量の溶媒を用いて28部のエポキシ樹脂(NC-3000H)および21部のフェノール樹脂(SN-485)を溶解し、2時間以上撹拌した。
【0055】
更に61%の有機ケイ素加水分解法により得られたシリカ3(D50は0.5μmであり、D100:D10は2.0であり、純度は99.90%である)を加え、4時間以上撹拌し続け、十分に均一に混合させ、固形分70%の溶液を形成した。
【0056】
上記溶液を銅箔に塗布し、乾燥した後、100℃のオーブンに入れて5分間ベークし、半硬化状態樹脂層の樹脂付き銅箔を取得した。樹脂付き銅箔(厚さ40μm)と褐色化後のPCB板とを圧着して硬化した後、エッチングおよび電気メッキを行って回路付き積層プリント配線板を取得した。
【実施例5】
【0057】
実施例1に使用された化学法で合成されたシリカを変更したほか、実施例1と同じ方法で接着剤フィルムを製造した。
【0058】
まず、適量の溶媒を用いて28部のエポキシ樹脂(NC-3000H)および21部のフェノール樹脂(SN-485)を溶解し、2時間以上撹拌した。
【0059】
更に61%の有機ケイ素加水分解法により得られたシリカ1(D50は3.0μmであり、D100:D10は2.5であり、純度は99.98%である)を加え、4時間以上撹拌し続け、十分に均一に混合させ、固形分70%の溶液を形成した。
【0060】
上記溶液を離型フィルムに塗布し、乾燥した後、100℃のオーブンに入れて3分間ベークし、半硬化状態の樹脂層の接着剤フィルムを取得した。半硬化の接着剤フィルム(厚さ40μm)と褐色化後のPCB板とを圧着して硬化し、離型フィルムを剥がしてから表面処理を行い、銅電気メッキを行い、回路付き積層プリント配線板を形成した。
【実施例6】
【0061】
実施例1に使用された化学法で合成されたシリカを変更したほか、実施例1と同じ方法で接着剤フィルムを製造した。
【0062】
まず、適量の溶媒を用いて28部のエポキシ樹脂(NC-3000H)および21部のフェノール樹脂(SN-485)を溶解し、2時間以上撹拌した。
【0063】
更に61%の有機ケイ素加水分解法により得られたシリカ2(D50は0.1μmであり、D100:D10は2.5であり、純度は99.90%である)を加え、4時間以上撹拌し続け、十分に均一に混合させ、固形分70%の溶液を形成した。
【0064】
上記溶液を離型フィルムに塗布し、乾燥した後、100℃のオーブンに入れて3分間ベークし、半硬化状態の樹脂層の接着剤フィルムを取得した。半硬化の接着剤フィルム(厚さ40μm)と褐色化後のPCB板とを圧着して硬化し、離型フィルムを剥がしてから表面処理を行い、銅電気メッキを行い、回路付き積層プリント配線板を形成した。
【実施例7】
【0065】
実施例1に使用された樹脂のタイプを変更したほか、実施例1と同じ方法で接着剤フィルムを製造した。
【0066】
まず、適量の溶媒を用いて20部のエポキシ樹脂(NC-3000H)、10部のシアネート(XU-371)、および10部の活性エステル(HP-8000-65T)を溶解し、2時間以上撹拌した。
【0067】
更に61%の有機ケイ素加水分解法により得られたシリカ3(D50は0.5μmであり、D100:D10は2.0であり、純度は99.90%である)を加え、4時間以上撹拌し続け、十分に均一に混合させ、固形分70%の溶液を形成した。
【0068】
上記溶液を離型フィルムに塗布し、乾燥した後、100℃のオーブンに入れて3分間ベークし、半硬化状態の樹脂層の接着剤フィルムを取得した。半硬化の接着剤フィルム(厚さ40μm)と褐色化後のPCB板とを圧着して硬化し、離型フィルムを剥がしてから表面処理を行い、銅電気メッキを行い、回路付き積層プリント配線板を形成した。
【実施例8】
【0069】
実施例1に使用された樹脂のタイプを変更したほか、実施例1と同じ方法で接着剤フィルムを製造した。
【0070】
まず、適量の溶媒を用いて20部の炭化水素樹脂(XU-371)、20部のポリフェニレンオキサイド樹脂(MX9000)、および5部の架橋助剤(DVB)を溶解し、2時間以上撹拌した。
【0071】
更に61%の有機ケイ素加水分解法により得られたシリカ3(D50は0.5μmであり、D100:D10は2.0であり、純度は99.90%である)を加え、4時間以上撹拌し続け、十分に均一に混合させ、固形分70%の溶液を形成した。
【0072】
上記溶液を離型フィルムに塗布し、乾燥した後、100℃のオーブンに入れて3分間ベークし、半硬化状態の樹脂層の接着剤フィルムを取得した。半硬化の接着剤フィルム(厚さ40μm)と褐色化後のPCB板とを圧着して硬化し、離型フィルムを剥がしてから表面処理を行い、銅電気メッキを行い、回路付き積層プリント配線板を形成した。
【実施例9】
【0073】
実施例7の樹脂組成物を用いて接着シートを製造した。
【0074】
まず、適量の溶媒を用いて20部のエポキシ樹脂(NC-3000H)、10部のシアネート(XU-371)、および10部の活性エステル(HP-8000-65T)を溶解し、2時間以上撹拌した。
【0075】
更に61%の有機ケイ素加水分解法により得られたシリカ3(D50は0.5μmであり、D100:D10は2.0であり、純度は99.90%である)を加え、4時間以上撹拌し続け、十分に均一に混合させ、固形分70%の溶液を形成した。
【0076】
上記溶液を用いてガラスクロスに接着剤をつけ、乾燥した後、100℃のオーブンに入れて5分間ベークし、半硬化状態の接着シートを取得した。複数枚の接着シートを積層し、上下に銅箔を付け、圧着して硬化し、銅張積層板を取得した。
【比較例1】
【0077】
実施例1に使用された化学法で合成されたシリカを変更したほか、実施例1と同じ方法で接着剤フィルムを製造した。
【0078】
まず、適量の溶媒を用いてエポキシ樹脂(NC-3000H)および21部のフェノール樹脂(SN-485)を溶解し、2時間以上撹拌した。
【0079】
更に61%の有機ケイ素加水分解法により得られたシリカ4(D50は3.5μmであり、D100:D10は5.0であり、純度は99.90%である)を加え、4時間以上撹拌し続け、十分に均一に混合させ、固形分70%の溶液を形成した。
【0080】
上記溶液を離型フィルムに塗布し、乾燥した後、100℃のオーブンに入れて3~5分間ベークし、半硬化状態の樹脂層の接着剤フィルムを取得した。半硬化の接着剤フィルム(厚さ40μm)と褐色化後のPCB板とを圧着して硬化し、離型フィルムを剥がしてから表面処理を行い、銅電気メッキを行い、回路付き積層プリント配線板を形成した。
【比較例2】
【0081】
実施例1に使用された化学法で合成されたシリカを変更したほか、実施例1と同じ方法で接着剤フィルムを製造した。
【0082】
まず、適量の溶媒を用いてエポキシ樹脂(NC-3000H)および21部のフェノール樹脂(SN-485)を溶解し、2時間以上撹拌した。
【0083】
更に61%の有機ケイ素加水分解法により得られたシリカ5(D50は2.0μmであり、D100:D10は5.0であり、純度は99.00%である)を加え、4時間以上撹拌し続け、十分に均一に混合させ、固形分70%の溶液を形成した。
【0084】
上記溶液を離型フィルムに塗布し、乾燥した後、100℃のオーブンに入れて3~5分間ベークし、半硬化状態の樹脂層の接着剤フィルムを取得した。半硬化の接着剤フィルム(厚さ40μm)と褐色化後のPCB板とを圧着して硬化し、離型フィルムを剥がしてから表面処理を行い、銅電気メッキを行い、回路付き積層プリント配線板を形成した。
【比較例3】
【0085】
実施例1における化学法で合成されたシリカの酸素をシリコン微粉末に変更し、実施例1と同じ方法で接着剤フィルムを製造した。
【0086】
まず、適量の溶媒を用いてエポキシ樹脂(NC-3000H)および21部のフェノール樹脂(SN-485)を溶解し、2時間以上撹拌した。
【0087】
更に61%のシリコン微粉末(SC2500-SQ)を加え、4時間以上撹拌し続け、十分に均一に混合させ、固形分70%の溶液を形成した。
【0088】
上記溶液を離型フィルムに塗布し、乾燥した後、100℃のオーブンに入れて3~5分間ベークし、半硬化状態の樹脂層の接着剤フィルムを取得した。半硬化の接着剤フィルム(厚さ40μm)と褐色化後のPCB板とを圧着して硬化し、離型フィルムを剥がしてから表面処理を行い、銅電気メッキを行い、回路付き積層プリント配線板を形成した。
【比較例4】
【0089】
実施例1に使用された化学法で合成されたシリカの割合を変更したほか、実施例1と同じ方法で接着剤フィルムを製造した。
【0090】
まず、適量の溶媒を用いて28部のエポキシ樹脂(NC-3000H)および21部のフェノール樹脂(SN-485)を溶解し、2時間以上撹拌した。
【0091】
更に55%の有機ケイ素加水分解法により得られたシリカ3(D50は0.5μmであり、D100:D10は2.0であり、純度は99.90%である)を加え、4時間以上撹拌し続け、十分に均一に混合させ、固形分70%の溶液を形成した。
【0092】
上記溶液を離型フィルムに塗布し、乾燥した後、100℃のオーブンに入れて3分間ベークし、半硬化状態の樹脂層の接着剤フィルムを取得した。半硬化の接着剤フィルム(厚さ40μm)と褐色化後のPCB板とを圧着して硬化し、離型フィルムを剥がしてから表面処理を行い、銅電気メッキを行い、回路付き積層プリント配線板を形成した。
【比較例5】
【0093】
実施例1に使用された化学法で合成されたシリカの割合を変更したほか、実施例1と同じ方法で接着剤フィルムを製造した。
【0094】
まず、適量の溶媒を用いて28部のエポキシ樹脂(NC-3000H)および21部のフェノール樹脂(SN-485)を溶解し、2時間以上撹拌した。
【0095】
更に90%の有機ケイ素加水分解法により得られたシリカ3(D50は0.5μmであり、D100:D10は2.0であり、純度は99.90%である)を加え、4時間以上撹拌し続け、十分に均一に混合させ、固形分70%の溶液を形成した。
【0096】
上記溶液を離型フィルムに塗布し、乾燥した後、100℃のオーブンに入れて3分間ベークし、半硬化状態の樹脂層の接着剤フィルムを取得した。半硬化の接着剤フィルム(厚さ40μm)と褐色化後のPCB板とを圧着して硬化し、離型フィルムを剥がしてから表面処理を行い、銅電気メッキを行い、回路付き積層プリント配線板を形成した。
【比較例6】
【0097】
実施例7に使用された化学法で合成されたシリカを変更したほか、実施例7と同じ方法で接着剤フィルムを製造した。
【0098】
まず、適量の溶媒を用いて20部のエポキシ樹脂(NC-3000H)、10部のシアネート(XU-371)、および10部の活性エステル(HP-8000-65T)を溶解し、2時間以上撹拌した。
【0099】
更に61%の有機ケイ素加水分解法により得られたシリカ4(D50は3.5μmであり、D100:D10は5.0であり、純度は99.90%である)を加え、4時間以上撹拌し続け、十分に均一に混合させ、固形分70%の溶液を形成した。
【0100】
上記溶液を離型フィルムに塗布し、乾燥した後、100℃のオーブンに入れて3~5分間ベークし、半硬化状態の樹脂層の接着剤フィルムを取得した。半硬化の接着剤フィルム(厚さ40μm)と褐色化後のPCB板とを圧着して硬化し、離型フィルムを剥がしてから表面処理を行い、銅電気メッキを行い、回路付き積層プリント配線板を形成した。
【比較例7】
【0101】
実施例7に使用された化学法で合成されたシリカを変更したほか、実施例7と同じ方法で接着剤フィルムを製造した。
【0102】
まず、適量の溶媒を用いて20部のエポキシ樹脂(NC-3000H)、10部のシアネート(XU-371)、および10部の活性エステル(HP-8000-65T)を溶解し、2時間以上撹拌した。
【0103】
更に61%の有機ケイ素加水分解法により得られたシリカ5(D50は2.0μmであり、D100:D10は5.0であり、純度は99.00%である)を加え、4時間以上撹拌し続け、十分に均一に混合させ、固形分70%の溶液を形成した。
【0104】
上記溶液を離型フィルムに塗布し、乾燥した後、100℃のオーブンに入れて3~5分間ベークし、半硬化状態の樹脂層の接着剤フィルムを取得した。半硬化の接着剤フィルム(厚さ40μm)と褐色化後のPCB板とを圧着して硬化し、離型フィルムを剥がしてから表面処理を行い、銅電気メッキを行い、回路付き積層プリント配線板を形成した。
【比較例8】
【0105】
実施例7における化学法で合成されたシリカの酸素をシリコン微粉末に変更し、実施例7と同じ方法で接着剤フィルムを製造した。
【0106】
まず、適量の溶媒を用いて20部のエポキシ樹脂(NC-3000H)、10部のシアネート(XU-371)、および10部の活性エステル(HP-8000-65T)を溶解し、2時間以上撹拌した。
【0107】
更に61%のシリコン微粉末(SC2500-SQ)を加え、4時間以上撹拌し続け、十分に均一に混合させ、固形分70%の溶液を形成した。
【0108】
上記溶液を離型フィルムに塗布し、乾燥した後、100℃のオーブンに入れて3~5分間ベークし、半硬化状態の樹脂層の接着剤フィルムを取得した。半硬化の接着剤フィルム(厚さ40μm)と褐色化後のPCB板とを圧着して硬化し、離型フィルムを剥がしてから表面処理を行い、銅電気メッキを行い、回路付き積層プリント配線板を形成した。
【比較例9】
【0109】
実施例7に使用された化学法で合成されたシリカの割合を変更したほか、実施例7と同じ方法で接着剤フィルムを製造した。
【0110】
まず、適量の溶媒を用いて20部のエポキシ樹脂(NC-3000H)、10部のシアネート(XU-371)、および10部の活性エステル(HP-8000-65T)を溶解し、2時間以上撹拌した。
【0111】
更に55%の有機ケイ素加水分解法により得られたシリカ3(D50は0.5μmであり、D100:D10は2.0であり、純度は99.90%である)を加え、4時間以上撹拌し続け、十分に均一に混合させ、固形分70%の溶液を形成した。
【0112】
上記溶液を離型フィルムに塗布し、乾燥した後、100℃のオーブンに入れて3分間ベークし、半硬化状態の樹脂層の接着剤フィルムを取得した。半硬化の接着剤フィルム(厚さ40μm)と褐色化後のPCB板とを圧着して硬化し、離型フィルムを剥がしてから表面処理を行い、銅電気メッキを行い、回路付き積層プリント配線板を形成した。
【比較例10】
【0113】
実施例8に使用された化学法で合成されたシリカを変更したほか、実施例8と同じ方法で接着剤フィルムを製造した。
【0114】
まず、適量の溶媒を用いて20部の炭化水素樹脂(XU-371)、20部のポリフェニレンオキサイド樹脂(MX9000)、および5部の架橋助剤(DVB)を溶解し、2時間以上撹拌した。
【0115】
更に61%の有機ケイ素加水分解法により得られたシリカ4(D50は3.5μmであり、D100:D10は5.0であり、純度は99.90%である)を加え、4時間以上撹拌し続け、十分に均一に混合させ、固形分70%の溶液を形成した。
【0116】
上記溶液を離型フィルムに塗布し、乾燥した後、100℃のオーブンに入れて3~5分間ベークし、半硬化状態の樹脂層の接着剤フィルムを取得した。半硬化の接着剤フィルム(厚さ40μm)と褐色化後のPCB板とを圧着して硬化し、離型フィルムを剥がしてから表面処理を行い、銅電気メッキを行い、回路付き積層プリント配線板を形成した。
【比較例11】
【0117】
実施例8に使用された化学法で合成されたシリカを変更したほか、実施例8と同じ方法で接着剤フィルムを製造した。
【0118】
まず、適量の溶媒を用いて20部の炭化水素樹脂(XU-371)、20部のポリフェニレンオキサイド樹脂(MX9000)、および5部の架橋助剤(DVB)を溶解し、2時間以上撹拌した。
【0119】
更に61%の有機ケイ素加水分解法により得られたシリカ5(D50は2.0μmであり、D100:D10は5.0であり、純度は99.00%である)を加え、4時間以上撹拌し続け、十分に均一に混合させ、固形分70%の溶液を形成した。
【0120】
上記溶液を離型フィルムに塗布し、乾燥した後、100℃のオーブンに入れて3~5分間ベークし、半硬化状態の樹脂層の接着剤フィルムを取得した。半硬化の接着剤フィルム(厚さ40μm)と褐色化後のPCB板とを圧着して硬化し、離型フィルムを剥がしてから表面処理を行い、銅電気メッキを行い、回路付き積層プリント配線板を形成した。
【比較例12】
【0121】
実施例8における化学法で合成されたシリカの酸素をシリコン微粉末に変更し、実施例8と同じ方法で接着剤フィルムを製造した。
【0122】
まず、適量の溶媒を用いて20部の炭化水素樹脂(XU-371)、20部のポリフェニレンオキサイド樹脂(MX9000)、および5部の架橋助剤(DVB)を溶解し、2時間以上撹拌した。
【0123】
更に61%のシリコン微粉末(SC2500-SQ)を加え、4時間以上撹拌し続け、十分に均一に混合させ、固形分70%の溶液を形成した。
【0124】
上記溶液を離型フィルムに塗布し、乾燥した後、100℃のオーブンに入れて3~5分間ベークし、半硬化状態の樹脂層の接着剤フィルムを取得した。半硬化の接着剤フィルム(厚さ40μm)と褐色化後のPCB板とを圧着して硬化し、離型フィルムを剥がしてから表面処理を行い、銅電気メッキを行い、回路付き積層プリント配線板を形成した。
【比較例13】
【0125】
実施例8に使用された化学法で合成されたシリカの割合を変更したほか、実施例8と同じ方法で接着剤フィルムを製造した。
【0126】
まず、適量の溶媒を用いて20部の炭化水素樹脂(XU-371)、20部のポリフェニレンオキサイド樹脂(MX9000)、および5部の架橋助剤(DVB)を溶解し、2時間以上撹拌した。
【0127】
更に55%の有機ケイ素加水分解法により得られたシリカ3(D50は0.5μmであり、D100:D10は2.0であり、純度は99.90%である)を加え、4時間以上撹拌し続け、十分に均一に混合させ、固形分70%の溶液を形成した。
【0128】
上記溶液を離型フィルムに塗布し、乾燥した後、100℃のオーブンに入れて3分間ベークし、半硬化状態の樹脂層の接着剤フィルムを取得した。半硬化の接着剤フィルム(厚さ40μm)と褐色化後のPCB板とを圧着して硬化し、離型フィルムを剥がしてから表面処理を行い、銅電気メッキを行い、回路付き積層プリント配線板を形成した。
【0129】
上記実施例および比較例の積層プリント配線板または銅張積層板に対して性能テストを行い、テストの項目および方法は、以下のとおりである。
【0130】
(1)引張強度(30℃):DMA方法により、30℃で5min恒温し、プレストレスが0.01Nで、3N/minから17.5N/minに上昇した。
【0131】
(2)剥離強度:IPC-TM-650 2.4.9方法でテストを行った。
【0132】
(3)ドリル加工性:レーザードリル後に、スライスして孔型直角度を観察し、直角度90~95度の場合は優で、96~100度の場合は良で、101~110度の場合は可で、>110度の場合は不可であった。
【0133】
(4)接着剤充填効果:接着剤フィルムで配線板をプレスした後、スライスし、配線間の接着剤充填状況を観察し、配線間の樹脂層に気泡がない場合は「優」であり、配線間の樹脂層に気泡があり、気泡の直径が1μmよりも小さい場合は「良」であり、配線間の樹脂層に気泡があり、気泡の直径が1μmよりも大きい場合は「不可」であった。
【0134】
(5)電気的強度:IPC-TM-650 2.5.6.2A方法でテストを行った。
【0135】
(6)実現可能な細い回路の能力:作製可能な最も小さいライン/スペースを測定した。
【0136】
(7)DK/DF:SPDR(Splite Post Dielectric Resonator)法でテストを行い、テスト条件はA状態であり、周波数は10GHzであった。
【0137】
性能テストの比較は、以下の表1~表4に示すとおりである。
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
【0142】
表1~表4から見られるように、実施例は、引張強度(50~100Mpa)および剥離強度(7.0~9.0N/cm)が高く、良好なドリル加工性を有し、接着剤充填能力が良く、電気的強度がより高く(83~90kV/mm)、およびDK/DFがより低く、DKは2.95~3.32まで、DFは0.004~0.014まで低くすることができ、より細い回路の加工能力を実現できるとともに、より優れた電気的特性を取得できる。
【0143】
実施例1と比べ、比較例1および比較例2では、粒径が発明の範囲内にない有機ケイ素加水分解法により得られたシリカを使用し、作製された接着剤フィルムの引張強度、剥離強度および電気的強度はいずれも低いとともに、ドリル加工性および接着剤充填能力が悪くなり、比較例3では、シリコン微粉末を使用し、作製された接着剤フィルムの引張強度および電気的強度の低下は明らかであるとともに、DK/DFも大きくなり、同時に、配線の加工能力も悪くなり、比較例4では、シリカの割合を55%に低減し、作製された接着剤フィルムの引張強度の低下は明らかであり、比較例5では、シリカの割合を90%に増加し、作製された接着剤フィルムの引張強度、電気的強度はいずれも低く、剥離強度の低下は明らかであるとともに、接着剤充填能力が悪くなった。
【0144】
実施例7と比べ、比較例6および比較例7では、粒径が発明の範囲内にない有機ケイ素加水分解法により得られたシリカを使用し、作製された接着剤フィルムの引張強度、剥離強度および電気的強度はいずれも低いとともに、ドリル加工性および接着剤充填能力が悪くなり、比較例8では、シリコン微粉末を使用し、作製された接着剤フィルムの引張強度および電気的強度の低下は明らかであるとともに、DK/DFも大きくなり、同時に、配線の加工能力も悪くなり、比較例9では、シリカの割合を55%に低減し、作製された接着剤フィルムの引張強度の低下は明らかであった。
【0145】
実施例8と比べ、比較例10および比較例11では、粒径が発明の範囲内にない有機ケイ素加水分解法により得られたシリカを使用し、作製された接着剤フィルムの引張強度、剥離強度および電気的強度はいずれも低いとともに、ドリル加工性および接着剤充填能力が悪くなり、比較例12では、シリコン微粉末を使用し、作製された接着剤フィルムの引張強度および電気的強度の低下は明らかであるとともに、DK/DFも大きくなり、同時に、配線の加工能力も悪くなり、比較例13では、シリカの割合を55%に低減し、作製された接着剤フィルムの引張強度の低下は明らかであった。
【0146】
本発明は、上記実施例により本発明の樹脂組成物およびその使用について説明したが、本発明は上記実施例に限定するものではなく、すなわち、本発明は上記実施例に依存して実施しなければならないことを意味するものではないことを、出願人より声明する。当業者であれば、本発明に対するいかなる改良、本発明の製品の原料に対する等価的な置換および補助成分の追加、具体的な形態の選択等は、全て本発明の保護範囲および開示範囲内に含まれることを理解すべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量%で架橋性硬化樹脂15~39%およびフィラー61~85%を含み、前記フィラーは、有機ケイ素加水分解法により調製されたシリカであり、前記シリカの平均粒径D50は0.1~3μmであり、D100:D10の比≦2.5であり、前記シリカの純度は99.9%よりも大きい、
ことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
前記架橋性硬化樹脂は、熱硬化樹脂または光硬化樹脂であり、
好ましくは、前記架橋性硬化樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート、活性エステル、ポリフェニレンオキサイド樹脂、マレイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリイミド樹脂、炭化水素樹脂、またはアクリレート樹脂から選ばれるいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであり、エポキシ樹脂とフェノール樹脂との組み合わせであることが好ましく、
好ましくは、前記エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、MDI変性エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン含有エポキシ樹脂、または脂環族エポキシ樹脂の1種または少なくとも2種の組み合わせを含み、
好ましくは、前記フェノール樹脂は、ビスフェノールA型フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、またはナフタレン含有フェノール樹脂の1種または少なくとも2種の組み合わせを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記シリカは、有機ケイ素加水分解反応により初期生成物を取得し、前記初期生成物を焼成して得られたものであり、
好ましくは、前記焼成の温度は800~1300℃である、
ことを特徴とする請求項
1に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記有機ケイ素はアルコキシシランであり、
好ましくは、前記アルコキシシランは、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシランを含み、テトラエトキシシランであることが更に好ましい、
ことを特徴とする請求項3に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記シリカの平均粒径D50は0.3~1μmである、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
接着剤フィルムであって、
前記接着剤フィルムは、請求項1~
4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を離型材に塗布した後、乾燥および/またはベークにより作製されたものであり、
好ましくは、前記接着剤フィルムの厚さは5~300μmであり、10~200μmであることが好ましく、10~100μmであることが更に好ましい、
ことを特徴とする接着剤フィルム。
【請求項7】
樹脂付き銅箔であって、
前記樹脂付き銅箔は、銅箔と、塗布されて乾燥した後に銅箔に付着された請求項1~
4のいずれか1項に記載の樹脂組成物とを含み、
好ましくは、前記樹脂付き銅箔の樹脂層の厚さは5~300μmであり、10~200μmであることが好ましく、10~100μmであることが更に好ましく、
好ましくは、前記樹脂付き銅箔の銅箔の厚さは1~105μmであり、3~35μmであることが好ましく、3~12μmであることが更に好ましい、
ことを特徴とする樹脂付き銅箔。
【請求項8】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の樹脂組成物をガラスクロスに浸漬してから乾燥することにより作製される、
ことを特徴とする半硬化接着シート。
【請求項9】
接着剤フィルム
、樹脂付き銅箔
、半硬化接着シートのうちの1種または少なくとも2種を使用
し、
前記接着剤フィルムは請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を離型材に塗布した後、乾燥および/またはベークにより作製されたものであり、前記樹脂付き銅箔は銅箔と、塗布されて乾燥した後に銅箔に付着された請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物とを含み、ならびに、前記半硬化接着シートは請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物をガラスクロスに浸漬してから乾燥することにより作製される、
ことを特徴とする銅張積層板。
【請求項10】
接着剤フィルム
、樹脂付き銅箔
、半硬化接着シート
、覆銅板積層板のうちの1種または少なくとも2種を使用
し、
前記接着剤フィルムは請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を離型材に塗布した後、乾燥および/またはベークにより作製されたものであり、前記樹脂付き銅箔は銅箔と、塗布されて乾燥した後に銅箔に付着された請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物とを含み、前記半硬化接着シートは請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物をガラスクロスに浸漬してから乾燥することにより作製され、ならびに、前記覆銅板積層板は前記接着剤フィルム、前記樹脂付き銅箔、前記半硬化接着シートのうちの1種または少なくとも2種を使用する、
ことを特徴とする多層板。
【国際調査報告】