(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】環境較正のためのテープ順応の加速
(51)【国際特許分類】
G11B 5/584 20060101AFI20240711BHJP
G11B 21/10 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
G11B5/584
G11B21/10 W
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500538
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 IB2022056134
(87)【国際公開番号】W WO2023002281
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャッド、ケヴィン、ブルース
(72)【発明者】
【氏名】小倉 英司
(57)【要約】
方法は、テープの先頭(BOT)からテープの末尾(EOT)まで、基準サーボ・バンド差(SBD)を測定することと、基準SBD測定結果の値をメモリに格納することとを含む。テープの全長未満の、より短い長さのテープが、より短い長さのテープを順応させるように複数回循環される。より短い長さのテープの循環後のSBDが決定され、より短い長さの基準SBDとより短い長さの循環後のSBDの間の差である、より短い長さのテープの順応変化量が決定される。この方法は、決定された順応変化量に基づいて、基準SBD値を調整することをさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
テープの先頭(BOT)から前記テープの末尾(EOT)まで基準サーボ・バンド差(SBD)を測定することと、
前記基準SBD測定結果の値をメモリに格納することと、
前記テープの全長未満の、より短い長さの前記テープを複数回循環させて、前記より短い長さの前記テープを順応させることと、
前記より短い長さの前記テープの循環後のSBDを決定することと、
前記より短い長さの前記基準SBDと前記より短い長さの前記循環後のSBDの間の差である、前記より短い長さの前記テープの順応変化量を決定することと、
前記決定された順応変化量に基づいて、前記基準SBD値を調整することとを含む、方法。
【請求項2】
前記方法が、前記テープのテープ・カートリッジを初めて装着することに応答して実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、フォーマット要求を受信することに応答して実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記より短い長さが、前記テープの全長の約50%未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記より短い長さが、前記テープの全長の約5%未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記より短い長さの前記テープが循環される回数が事前に決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記より短い長さの前記テープが循環される回数が少なくとも15である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
現在のSBD測定結果と以前のSBD測定結果の間の差がしきい値量を下回るということの決定に応答して、前記循環が停止される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記より短い長さの前記テープの順応変化量を決定することが、前記より短い長さの前記基準SBD値を前記より短い長さの循環後のSBD値と比較し、前記値の前記差の平均値を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
システムであって、
プロセッサと、
前記プロセッサと統合されたか、前記プロセッサによって実行可能であるか、または前記プロセッサと統合され、前記プロセッサによって実行可能である論理とを備えているシステムであり、前記論理が、前記プロセッサに、
テープの先頭(BOT)から前記テープの末尾(EOT)まで基準サーボ・バンド差(SBD)を測定することと、
前記基準SBD測定結果の値をメモリに格納することと、
前記テープの全長未満の、より短い長さの前記テープを複数回循環させて、前記より短い長さの前記テープを順応させることと、
前記より短い長さの前記テープの循環後のSBDを決定することと、
前記より短い長さの前記基準SBDと前記より短い長さの前記循環後のSBDの間の差である、前記より短い長さの前記テープの順応変化量を決定することと、
前記決定された順応変化量に基づいて、前記基準SBD値を調整することとを含む動作を実行させるように構成される、システム。
【請求項11】
前記動作が、前記テープのテープ・カートリッジを初めて装着することに応答して実行される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記動作が、フォーマット要求を受信することに応答して実行される、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記より短い長さが、前記テープの全長の約50%未満である、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記より短い長さが、前記テープの全長の約5%未満である、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記より短い長さの前記テープが循環される回数が事前に決定される、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記より短い長さの前記テープが循環される回数が少なくとも15である、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
現在のSBD測定結果と以前のSBD測定結果の間の差がしきい値量を下回るということの決定に応答して、前記循環が停止される、請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
前記より短い長さの前記テープの順応変化量を決定することが、前記より短い長さの前記基準SBD値を前記より短い長さの循環後のSBD値と比較し、前記値の前記差の平均値を決定することを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項19】
プログラム命令が具現化されているコンピュータ可読ストレージ媒体を備えているコンピュータ・プログラム製品であって、前記プログラム命令が、コントローラによって読み取り可能または実行可能あるいはその両方であり、前記コントローラに、
前記コントローラによって、テープの先頭(BOT)から前記テープの末尾(EOT)まで基準サーボ・バンド差(SBD)を測定することと、
前記コントローラによって、前記基準SBD測定結果の値をメモリに格納することと、
前記コントローラによって、前記テープの全長未満の、より短い長さの前記テープを複数回循環させて、前記より短い長さの前記テープを順応させることと、
前記コントローラによって、前記より短い長さの前記テープの循環後のSBDを決定することと、
前記コントローラによって、前記より短い長さの前記基準SBDと前記より短い長さの前記循環後のSBDの間の差である、前記より短い長さの前記テープの順応変化量を決定することと、
前記コントローラによって、前記決定された順応変化量に基づいて、前記基準SBD値を調整することとを含む動作を実行させる、コンピュータ・プログラム製品。
【請求項20】
前記動作が、前記テープのテープ・カートリッジを初めて装着することに応答して実行される、請求項19に記載のコンピュータ・プログラム製品。
【請求項21】
前記動作が、フォーマット要求を受信することに応答して実行される、請求項19に記載のコンピュータ・プログラム製品。
【請求項22】
前記より短い長さが、前記テープの全長の約50%未満である、請求項19に記載のコンピュータ・プログラム製品。
【請求項23】
前記より短い長さが、前記テープの全長の約5%未満である、請求項19に記載のコンピュータ・プログラム製品。
【請求項24】
前記より短い長さの前記テープが循環される回数が事前に決定される、請求項19に記載のコンピュータ・プログラム製品。
【請求項25】
前記より短い長さの前記テープが循環される回数が少なくとも15である、請求項19に記載のコンピュータ・プログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接するサーボ・パターンの位置測定結果における差(サーボ・バンド差(SBD:Servo Band Difference)としても知られている)を計算することによって観測される磁気記録テープの横の寸法安定性に関連しており、より詳細には、本発明は、磁気記録テープの環境順応に基づく寸法変化の測定を加速することに関連している。
【背景技術】
【0002】
磁気ストレージ・システムでは、磁気変換器が磁気記録媒体からデータを読み取り、磁気記録媒体にデータを書き込む。データが格納される媒体上の位置に磁気記録変換器を移動することによって、データが磁気記録媒体に書き込まれる。次に、磁気記録変換器が、データを磁気媒体にエンコードする磁場を生成する。同様に磁気読み取り変換器を配置してから、磁気媒体の磁場を感知することによって、データが媒体から読み取られる。読み取り動作および書き込み動作は、媒体上の望ましい位置からデータを読み取ることができること、および媒体上の望ましい位置にデータを書き込むことができることを保証するために、独立して、媒体の動きと同期されることがある。
【0003】
データ・ストレージ業界における重要な継続している目標は、媒体に格納されるデータの密度を増やすことである。テープ・ストレージ・システムの場合、この目標は、記録テープ上のトラックおよび線形ビットの密度を増やし、磁気テープ媒体の厚さを減らすことにつながった。しかし、小さい設置面積、より高い性能のテープ・ドライブ・システムの開発は、そのようなシステムにおいて使用するためのテープ・ヘッド・アセンブリの設計から、テープの寸法不安定性への対処にわたる、さまざまな課題を引き起こした。
【0004】
テープ・ドライブは、複数のデータ・トラックを同時に書き込み、読み取る。その後の読み出し中の適切な動作のためには、すべてのデータ・トラックが正しい位置に書き込まれることが、極めて重要である。温度または他の要因に起因して、ヘッドの寸法が変化する場合、あるいは製造の変動に起因して、ヘッド上の変換器が適切な設計によって指定された位置に配置されない場合、データ・トラックは、正しくない位置に書き込まれ/読み取られる。同様に、媒体が寸法において一貫していない場合、データ・トラックは、書き込み後に移動し、テープが読み取られるときに同じ位置に存在しない。いずれの場合も、データの正常な読み出しが損なわれる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の1つの態様に従う方法は、テープの先頭(BOT:beginning of a tape)からテープの末尾(EOT:end of the tape)まで、基準サーボ・バンド差(SBD)を測定することと、基準SBD測定結果の値をメモリに格納することとを含む。テープの全長未満の、より短い長さのテープが、より短い長さのテープを順応させるように複数回循環される。より短い長さのテープの循環後のSBDが決定され、より短い長さの基準SBDとより短い長さの循環後のSBDの間の差である、より短い長さのテープの順応変化量(acclimation change amount)が決定される。この方法は、決定された順応変化量に基づいて、基準SBD値を調整することをさらに含む。
【0006】
別の態様に従うシステムは、プロセッサ、およびプロセッサに統合された論理、プロセッサによって実行可能な論理、またはプロセッサに統合され、プロセッサによって実行可能な論理を含む。この論理は、プロセッサに前述の方法の動作を実行させるように構成される。
【0007】
別の態様に従うコンピュータ・プログラム製品は、プログラム命令が具現化されているコンピュータ可読ストレージ媒体を含む。これらのプログラム命令は、コントローラに前述の方法の動作を実行させるために、コントローラによって読み取り可能または実行可能あるいはその両方である。
【0008】
本発明の他の態様および実施形態は、本発明の原理を図面と併せて例として説明する、以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】1つの実施形態に従ってネットワーク・ストレージ・システムを示す図である。
【
図2】1つの実施形態に従って、テープベースのデータ・ストレージ・システムの簡略化されたテープ・ドライブを示す図である。
【
図3】1つの実施形態に従って、テープ・レイアウトを示す図である。
【
図4A】1つの実施形態に従って、テープ媒体の専用領域に書き込まれたハイブリッド・サーボ・パターンを示す図である。
【
図4B】1つの実施形態に従って、TBSパターンの部分的な詳細を示す図である。
【
図4C】1つの実施形態に従って、
図4BのTBSパターンの振幅に対してサンプルをプロットするグラフを示す図である。
【
図5A】1つの実施形態に従って、高密度(HD:High Density)パターンを示す図である。
【
図5B】
図5Aのリーダの読み出しエネルギーと周波数をプロットするグラフの図である。
【
図5C】1つの実施形態に従って、HDパターンを示す図である。
【
図5D】
図5Cのリーダの読み出しエネルギーと周波数をプロットするグラフの図である。
【
図6】従来技術に従って、HDパターンの検出器のブロック図を示す図である。
【
図7】1つの実施形態に従って、HDパターンの検出器のブロック図を示す図である。
【
図8】テープ・カートリッジの磁気記録テープを特徴付けるためのプロセスのフローチャートの図である。
【
図9】1つの例示的な手法におけるテープ・カートリッジの磁気記録テープを特徴付けるためのプロセスのフローチャートの図である。
【
図10】
図8のプロセスの実行中に収集されたテープの先頭(BOT)からテープの末尾(EOT)までの例示的なサンプルのSBD参照値を示す図である。
【
図11】1つの実施形態に従って、方法のフローチャートを示す図である。
【
図12】テープ・カートリッジの磁気記録テープへの書き込みを制御するためのプロセスのフローチャートを示す図である。
【
図13】書き込み中の1つの例示的な使用モードのプロセスのフローチャートを示す図である。
【
図14】テープ・カートリッジの磁気記録テープへの書き込みを制御するためのプロセスのフローチャートを示す図である。
【
図15】読み取り中の1つの例示的な使用モードのプロセスのフローチャートを示す図である。
【
図16】テープ・カートリッジのテープの前の状態を基準にしてテープ・カートリッジのテープの現在の状態を特徴付けるためのプロセスのフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明は、本発明の一般的原理を説明する目的で行われるのであり、本明細書において請求される本発明の概念を制限するよう意図されていない。さらに、本明細書に記載された特定の特徴を、さまざまな可能な組み合わせおよび並べ替えの各々において、他の説明された特徴と組み合わせて使用することができる。
【0011】
本明細書では、特に具体的に定義されない限り、すべての用語には、本明細書から暗示される意味、および当業者によって理解される意味、または辞書、論文などにおいて定義された意味、あるいはその両方を含む、最も広い可能な解釈が与えられる。
【0012】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」が、特に規定されない限り、複数の指示対象を含むということにも注意しなければならない。
【0013】
以下の説明は、磁気記録テープの部分的な長さに対する順応の影響を決定し、テープの部分的な長さに対して観測された順応変化に基づいてテープの少なくとも一部の基準SBD値を調整するための、磁気ストレージ・システム、ならびにその動作または構成部品あるいはその両方の複数の好ましい実施形態を開示する。
【0014】
1つの一般的な実施形態では、方法が、テープの先頭(BOT)からテープの末尾(EOT)まで、基準サーボ・バンド差(SBD)を測定することと、基準SBD測定結果の値をメモリに格納することとを含む。テープの全長未満の、より短い長さのテープが、より短い長さのテープを順応させるように複数回循環される。より短い長さのテープの循環後のSBDが決定され、より短い長さの基準SBDとより短い長さの循環後のSBDの間の差である、より短い長さのテープの順応変化量が決定される。この方法は、決定された順応変化量に基づいて、基準SBD値を調整することをさらに含む。
【0015】
別の一般的な実施形態では、システムは、プロセッサ、およびプロセッサと統合された論理、プロセッサによって実行可能な論理、またはプロセッサと統合され、プロセッサによって実行可能な論理を含む。この論理は、プロセッサに前述の方法の動作を実行させるように構成される。
【0016】
別の一般的な実施形態では、コンピュータ・プログラム製品は、プログラム命令が具現化されているコンピュータ可読ストレージ媒体を含む。これらのプログラム命令は、コントローラに前述の方法の動作を実行させるために、コントローラによって読み取り可能または実行可能あるいはその両方である。
【0017】
ここで
図1を参照すると、1つの実施形態に従ってネットワーク・ストレージ・システム10の概略図が示されている。ネットワーク・ストレージ・システム10は、適切なストレージ・システムの一例に過ぎず、本明細書に記載された本発明の実施形態の使用または機能の範囲に関して、いかなる制限を示唆することも意図されていない。いずれにせよ、ネットワーク・ストレージ・システム10は、本明細書において示された機能のいずれかを実装すること、または実行すること、あるいはその両方を行うことができる。
【0018】
ネットワーク・ストレージ・システム10内には、他の多数の汎用または専用のコンピューティング・システム環境または構成で運用できるコンピュータ・システム/サーバ12が存在する。コンピュータ・システム/サーバ12での使用に適し得る周知のコンピューティング・システム、環境、または構成、あるいはその組み合わせの例は、パーソナル・コンピュータ・システム、サーバ・コンピュータ・システム、シン・クライアント、シック・クライアント、ハンドヘルドまたはラップトップ・デバイス、マルチプロセッサ・システム、マイクロプロセッサベース・システム、セット・トップ・ボックス、プログラマブル・コンシューマ・エレクトロニクス、ネットワークPC、マイクロコンピュータ・システム、メインフレーム・コンピュータ・システム、およびこれらの任意のシステムまたはデバイスを含む分散クラウド・コンピューティング環境などを含むが、これらに限定されない。
【0019】
コンピュータ・システム/サーバ12は、コンピュータ・システムによって実行されているプログラム・モジュールなどの、コンピュータ・システムによって実行可能な命令との一般的な関連において説明されてよい。通常、プログラム・モジュールは、特定のタスクを実行するか、または特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、論理、データ構造などを含んでよい。コンピュータ・システム/サーバ12は、通信ネットワークを介してリンクされたリモート処理デバイスによってタスクが実行される、分散クラウド・コンピューティング環境内で実践されてよい。分散クラウド・コンピューティング環境において、プログラム・モジュールは、メモリ・ストレージ・デバイスを含む、ローカルおよびリモートの両方のコンピュータ・システム・ストレージ媒体に配置されてよい。
【0020】
図1に示されているように、ネットワーク・ストレージ・システム10内のコンピュータ・システム/サーバ12は、汎用コンピューティング・デバイスの形態で示されている。コンピュータ・システム/サーバ12のコンポーネントは、1つまたは複数のプロセッサまたはプロセッシング・ユニット16、システム・メモリ28、およびプロセッサ16に結合されたシステム・メモリ28を含むさまざまなシステム・コンポーネントを結合するバス18を含んでよいが、これらに限定されない。
【0021】
バス18は、メモリ・バスまたはメモリ・コントローラ、ペリフェラル・バス、アクセラレーテッド・グラフィックス・ポート、さまざまなバス・アーキテクチャのいずれかを使用するプロセッサまたはローカル・バスなどを含む、複数の種類のバス構造のいずれかのうちの1つまたは複数を表す。本発明を制限するよう全く意図されていない例として、そのようなアーキテクチャは、ISA(Industry Standard Architecture)バス、MCA(Micro Channel Architecture)バス、EISA(Enhanced ISA)バス、VESA(Video Electronics Standards Association)ローカル・バス、およびPCI(Peripheral Component Interconnects)バスを含む。
【0022】
コンピュータ・システム/サーバ12は、通常、さまざまなコンピュータ・システム可読媒体を含む。そのような媒体は、コンピュータ・システム/サーバ12によってアクセスできる任意の使用可能な媒体であってよく、揮発性および不揮発性媒体、取り外し可能および取り外し不可の媒体を含んでよい。
【0023】
システム・メモリ28は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random access memory)30またはキャッシュ・メモリ32あるいはその両方などの揮発性メモリの形態で、コンピュータ・システム可読媒体を含んでよい。コンピュータ・システム/サーバ12は、他の取り外し可能/取り外し不可、揮発性/不揮発性のコンピュータ・システム・ストレージ媒体をさらに含んでよい。単に例として、取り外し不可、不揮発性の磁気媒体(図示されておらず、通常は「ハード・ディスク」と呼ばれ、ハード・ディスク・ドライブ(HDD:hard disk drive)内で動作できる)に対する読み取りと書き込みを行うために、ストレージ・システム34が提供されてよい。図示されていないが、取り外し可能、不揮発性の磁気ディスク(例えば、「フロッピー(R)・ディスク」)に対する読み取りと書き込みを行うための磁気ディスク・ドライブ、およびコンパクト・ディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM:compact disc read-only memory)、デジタル・バーサタイル・ディスク読み取り専用メモリ(DVD-ROM:digital versatile disc-read only memory)、または他の光媒体などの取り外し可能、不揮発性の光ディスクに対する読み取りまたは書き込みを行うための光ディスク・ドライブが、提供されてよい。そのような例では、各ディスク・ドライブが、1つまたは複数のデータ媒体インターフェイスによってバス18に接続されてよい。下で詳細に示され、説明されているように、メモリ28は、本明細書に記載された実施形態の機能を実行するように構成された一連の(例えば、少なくとも1つの)プログラム・モジュールを備える少なくとも1つのプログラム製品を含んでよい。
【0024】
例えば、一連の(少なくとも1つの)プログラム・モジュール42を含んでいるプログラム/ユーティリティ40がメモリ28に格納されてよいが、これに限定されず、オペレーティング・システム、1つまたは複数のアプリケーション・プログラム、他のプログラム・モジュール、プログラム・データなども格納されてよい。オペレーティング・システム、1つまたは複数のアプリケーション・プログラム、他のプログラム・モジュール、およびプログラム・データ、またはこれらの組み合わせの各々は、ネットワーク環境の実装を含んでよい。プログラム・モジュール42が、通常、本明細書に記載された本発明の実施形態の機能または方法あるいはその両方を実行するために使用されてよいということにも注意するべきである。
【0025】
コンピュータ・システム/サーバ12は、キーボード、ポインティング・デバイス、ディスプレイ24などの1つまたは複数の外部デバイス14、ユーザがコンピュータ・システム/サーバ12と情報をやりとりできるようにする1つまたは複数のデバイス、またはコンピュータ・システム/サーバ12が1つまたは複数の他のコンピューティング・デバイスと通信できるようにする任意のデバイス(例えば、ネットワーク・カード、モデムなど)、あるいはその組み合わせと通信してもよい。そのような通信は、入出力(I/O:Input/Output)インターフェイス22を介して発生してよい。さらに、コンピュータ・システム/サーバ12は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN:local area network)、一般的な広域ネットワーク(WAN:wide area network)、またはパブリック・ネットワーク(例えば、インターネット)、あるいはその組み合わせなどの1つまたは複数のネットワークと、ネットワーク・アダプタ20を介して通信してよい。図示されているように、ネットワーク・アダプタ20は、バス18を介してコンピュータ・システム/サーバ12の他のコンポーネントと通信する。図示されていないが、他のハードウェア・コンポーネントまたはソフトウェア・コンポーネントあるいはその両方を、コンピュータ・システム/サーバ12と併用できるということが理解されるべきである。その例として、マイクロコード、デバイス・ドライバ、冗長プロセッシング・ユニット、外部ディスク・ドライブ・アレイ、新磁気ディスク制御機構(RAID:redundant array of independent disks)システム、テープ・ドライブ、データ・アーカイブ・ストレージ・システムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
図2を参照すると、テープ122を支えるために、テープ供給カートリッジ120および巻き取りリール121が提供される。リールのうちの1つまたは複数は、取り外し可能なカートリッジの一部を形成してよく、必ずしもテープ・ドライブ100の一部ではない。例えば
図2に示されているようなテープ・ドライブは、テープ122を任意の種類のテープ・ヘッド126の上で移動するために、テープ供給カートリッジ120および巻き取りリール121を駆動するための駆動モータをさらに含んでよい。そのようなヘッドは、リーダ、ライタ、またはその両方のアレイを含んでよい。
【0027】
ガイド125は、テープ・ヘッド126を横切ってテープ122を誘導する。次に、そのようなテープ・ヘッド126は、ケーブル130を介してコントローラ128に結合される。コントローラ128は、ドライブ100の任意のサブシステムを制御するためのプロセッサまたは任意の論理あるいはその両方であるか、またはこれらを含んでよい。例えば、コントローラ128は、データ書き込み、データ読み取りなどに従って、サーボなどのヘッド機能を制御してよい。コントローラ128は、少なくとも1つのサーボ・チャネルおよび少なくとも1つのデータ・チャネルを含んでよく、これらのチャネルの各々は、テープ122への書き込みまたはテープ122からの読み取りあるいはその両方が行われる情報を処理するか、または格納するか、あるいはその両方を行うように構成されたデータ・フロー処理論理を含む。コントローラ128は、従来技術において知られた論理、および本明細書で開示された任意の論理の下で動作してよく、したがって、さまざまな実施形態に従って、本明細書に含まれているテープ・ドライブの説明のいずれかに関して、プロセッサと見なされてよい。コントローラ128は、コントローラ128によって実行可能な命令を格納できる任意の既知の種類のメモリ136に結合されてよい。さらに、コントローラ128は、本明細書において提示された方法の一部またはすべてを実行または制御するように、構成されるか、またはプログラム可能であるか、あるいはその両方であってよい。したがって、コントローラ128は、1つまたは複数のチップ、モジュール、またはブロック、あるいはその組み合わせにプログラムされた論理、1つまたは複数のプロセッサで使用可能なソフトウェア、ファームウェア、または他の命令、あるいはその組み合わせなど、およびこれらの組み合わせとして、さまざまな動作を実行するように構成されると考えられてよい。
【0028】
ケーブル130は、テープ122上に記録されるデータをヘッド126に送信するため、およびヘッド126によってテープ122から読み取られたデータを受信するために、読み取り/書き込み回路を含んでよい。アクチュエータ132は、テープ122と相対的なヘッド126の位置を制御する。
【0029】
インターフェイス134は、当業者によってすべて理解されるであろうように、テープ・ドライブ100と(内部または外部の)ホストの間でデータを送受信する通信のため、ならびにテープ・ドライブ100の動作を制御するため、およびテープ・ドライブ100の状態をホストに伝達するために、提供されてもよい。
【0030】
図3を一時的に参照すると、1つの実施形態に従って例示的なテープ・レイアウトが示されている。図に示されているように、テープ300は、LTO形式およびIBM(R)Enterprise形式で指定された通りに、5つのサーボ・バンド(サーボ・バンド0~サーボ・バンド4)および4つのデータ・バンド(データ・バンド0~データ・バンド3)を実装するテープ・レイアウトを有している。サーボ・バンドの各々の高さHが、テープ300の長さLに対してほぼ直角な、トラックと交差する方向304で測定される。例によれば、サーボ・バンドの各々の高さHは、LTO形式に従って約186ミクロンであってよい。さらに、図に示されているサーボ・バンド間のピッチβは、やはりLTO形式に従って、約2859ミクロンであってよい。
【0031】
例示的なテープ・ヘッド302も、1つの手法に従って、2つのモジュールを含み、テープ300の一部の上に配置されているように示されている。本明細書に記載された手法のいずれかに従って、読み取り変換器または書き込み変換器あるいはその両方が、テープ・ヘッド302のいずれかのモジュールに配置されてよく、データをデータ・バンドから読み取るため、またはデータをデータ・バンドに書き込むため、あるいはその両方のために、使用されてよい。さらに、テープ・ヘッド302はサーボ・リーダを含んでよく、サーボ・リーダは、本明細書に記載された手法のいずれかに従って、サーボ・バンド内のサーボ・パターンを読み取るために使用されてよい。
図3に含まれているさまざまなコンポーネントの寸法が単に例として提示されており、制限するよう全く意図されていないということにも、注意するべきである。
【0032】
一部のテープ・ドライブは、低いテープ速度で、またはナノメートルのヘッド位置設定で、あるいはその両方で動作するように構成されてよい。これらのテープ・ドライブは、バリウム・フェライト(BaFe)テープ媒体、4~8本のデータ・バンド、32または64データ・チャネル動作を対象にするサーボ形式を使用して、非常に低い速度の動作を許容し、広帯域幅のアクチュエータの動作をサポートし、位置誤差信号(PES:position error signal)の標準偏差を最小限に抑えるようにパラメータ推定を改善することができ、したがって、100TB以上のテープ・カートリッジ容量のためのトラック密度のスケーリングを可能にする。
【0033】
しかし、一部の実施形態によれば、磁気テープは、追加機能を提供する特徴を追加してさらに拡張されてよい。それに応じて、例えば
図3に示されているような標準的なTBSサーボ・パターンの代わりに、HDサーボ・パターンが実装されてよい。HDサーボ・パターンは、トラック追従性能を改善するために使用されてよい。
【0034】
さらなる実施形態では、標準的なTBSサーボ・パターン(例えば、
図3に示されている)が、1つまたは複数のHDサーボ・パターン(例えば、下の
図4Aを参照)と組み合わせて実装されてよい。1つの実装はハイブリッド・サーボ・パターン方式を含み、この方式では、標準的なTBSパターンが保持され、テープ媒体の専用の、好ましくは現在使用されていない領域内で、追加のHDパターンが提供される。この種のパターンは、一部の方法では、データ・チャネルの数を16から32に増やし、TBSパターンの幅を186ミクロンから93ミクロンに減らすことによって実装されてよい。
【0035】
テープ媒体408のサーボ・バンドに書き込まれた標準的なTBSパターン402およびHDバンド(例えば、専用領域)に書き込まれたHDパターン404を含んでいるハイブリッド・サーボ・パターン410が、
図4Aに示されている。さらに、各HDパターン404は、複数のHDトラックを含んでおり、HDトラックの各々は、例えば下の
図5Aおよび5Cに示されているように、各周期波形を含んでいる。一部の手法では、複数のサーボ・ストライプを含んでいる4つのサーボ・バーストを含むサーボ・フレーム構造などの、元のTBSパターン402の有意な特徴が保持され、隣接するサーボ・バーストのサーボ・ストライプが、交互の方位角で書き込まれる。サーボ・パターンの高さおよび他の幾何学的寸法、ならびにバーストごとのサーボ・ストライプ数などの、従来のサーボ・パターンの他のパラメータが、必要に応じて変更されてよい。
【0036】
HDパターン404は、テープの縦軸に沿って長さ方向Lに交互に書き込まれたさまざまな周波数の周期波形を含んでよい。標準的なTBSパターン402は、サーボ・バンドの初期識別(例えば、サーボ・バンドIDを提供することによる)、適切なサーボ位置上のヘッド406の初期位置決め、テープ速度、横方向のヘッド位置、ヘッドとテープの間のゆがみ、縦方向位置(LPOS:longitudinal position)などの初期サーボ・チャネル・パラメータの取得などを行うために、使用されてよい。さらに、HDパターン404は、より正確で頻繁なサーボ・チャネル・パラメータの推定を可能にしてよく、それによって、非常に広い範囲のテープ速度での改善されたヘッドの位置決め、および広帯域幅のヘッド動作のサポートを実現する。そのため、非常に大きいカートリッジ容量のため、およびより広い速度範囲のサポートを通じたホスト・コンピュータの要件に伴う改善されたデータ速度のスケーリングのために、トラック密度のスケーリングが可能にされてよい。
【0037】
HDパターンを形成する周期波形の検出は、複雑なアルゴリズム的変換(例えば、離散フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier Transform)、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)など)を実装する検出器によって得られてよい。しかし、この実装の複雑さは、サーボ・リーダの横方向位置の推定値の生成速度と、推定誤差の標準偏差の間のトレードオフにおける柔軟性を低下させることがある。したがって、HDパターンから得られた信号の処理時間を減らすために、高スループットのコンポーネント(例えば、コントローラ)が、それらの信号の処理に使用されるのが望ましい。
【0038】
1つの実施形態では、TBSパターンおよびHDパターンのハイブリッドを読み取ることができる検出器が実装されてよい。ハイブリッド検出器は、HDパターンからの読み出し信号における関連するスペクトル周波数成分のエネルギーの推定値を取得すると同時に、DFTもFFTも適用せずに、これらのエネルギーに基づいてヘッドの横方向位置の推定値も計算するように、構成されてよい。
【0039】
スペクトル推定を実行するコンポーネントの入力で提供されるサンプルは、1つの実施形態では固定クロック周波数で、または別の実施形態では可変クロック周波数で、アナログ/デジタル(A/D:analog-to-digital)コンバータからの読み出しHDサーボ信号サンプルのシーケンスを補間することによって、適切なサンプリングの瞬間に取得されてよい。補間器の時間基準は、下でさらに詳細に説明されるように、一部の実施形態では、HD検出器と並行して動作するTBSチャネルによって提供されるテープ速度の推定値から導き出されてよい。
【0040】
サーボ・リーダの横方向位置の推定値が取得されるスペクトル推定値の生成速度と、推定誤差の標準偏差との間のさまざまなトレードオフが、可能である。しかし、DFTベースの実装またはFFTベースの実装と比較して複雑さを大幅に軽減して、適切な好ましい実装が実現されてよい。具体的には、1つの実施形態では、少数のスペクトル推定値のみが計算され、DFTまたはFFTによって計算された固定された数の等間隔のスペクトル成分と比較される。さらに、積分間隔が自由に調整されてよく、一方、DFT/FFTベースの解決策は、積分間隔がDFT/FFTサイズの倍数になることを含む。
【0041】
HDサーボ・パターンが多数のトーン周波数を使用する場合でも、提案された検出器によって計算されるスペクトル推定値の最大数は、任意の時点でHDサーボ・リーダが同時に読み取るトラックの最大数に対応してよい。また、提案された検出器は、TBSチャネルからの粗い位置決め情報に基づいて、現在読み取られているトラックに対応するスペクトル推定値を提供するように再構成されてよい。
【0042】
1つの実施形態に従ってハイブリッド・サーボ・パターン410を含むテープ・レイアウト400を示している
図4Aを再び参照すると、ハイブリッド・サーボ・パターン410では、HDパターン404が、標準的なTBSパターン402に隣接する空間内に書き込まれる。本実施形態によれば、TBSパターン402を使用するため、直角位相シーケンスが含まれず、これは、ハードディスク・ドライブにおいてサーボ機能を実装する製品とは反対である。
【0043】
図4Bを一時的に参照すると、実施形態例に従って、TBSパターン402(例えば、TBSフレーム)の部分的な詳細図が示されている。図に示されているように、複数のサーボ・ストライプ412が共に、サーボ・バースト414を形成し、一方、サーボ・バースト414の対応する対がサーボ・サブフレームを形成する。したがって、示されたTBSフレームは、4つのサーボ・バースト414および2つのサーボ・サブフレームを含む。本実施形態では、左のサーボ・サブフレームに含まれているサーボ・バースト414が、5つのサーボ・ストライプ412をそれぞれ含んでおり、一方、右のサーボ・サブフレームに含まれているサーボ・バースト414が、4つのサーボ・ストライプ412をそれぞれ含んでいる。特定のサーボ・バースト414に含まれているサーボ・ストライプ412は、角度αで表される同じ方位角傾斜を有するように、方向付けられる。さらに、サーボ・バースト414の対応する対は、反対の方位角傾斜を有しており、それによって山形パターンを形成する。サーボ・ストライプ412の高さHおよび厚さtは、TBSパターン402の書き込みに使用されるサーボ・ライタに応じて変化してよい。本発明を制限するよう全く意図されていない例示的な手法によれば、高さHは約186μmであってよく、角度αは約6°であってよく、厚さtは約2.1μmである。さらに、サーボ・ストライプ412の各々の間の間隔Sまたは同じ方位角傾斜を有するサーボ・バースト414の間の距離dあるいはその両方は、望ましい実施形態に応じて変化してよい。本発明を制限するよう全く意図されていない例示的な手法によれば、間隔Sは約5μmであってよく、距離dは約100μmである。前述したように、
図4Bに示されている遷移などのパターン形成された遷移は、サーボ・ストライプ412がサーボ・リーダの上を通るときに、サーボ・バースト414のサーボ・ストライプ412を読み取っているサーボ・リーダによって生成されたパルスの相対的タイミングを評価することによって、ヘッドの横方向位置の推定値を決定できるようにする。
【0044】
図4Aを再び参照すると、HDパターン404は、隣接するトラックに書き込まれた周期波形を含んでよい。例えば、2つの異なる空間周波数(低周波数f
1および高周波数f
2)によって特徴付けられた2つの周期波形であり、f
2>f
1である。しかし、さらに広い範囲のヘッドの横変位が望ましい。したがって、横変位の決定における曖昧さを回避するために、HDパターンの異なる構成が使用されてよい。
【0045】
図4Cは、読み出し中にサーボ読み出し信号416として検出された、
図4BのTBSパターン402の振幅に対してサンプルをプロットするグラフ418を示している。サーボ・チャネルは、TBSパターン402を読み取っている磁気テープ・ヘッドのサーボ・リーダから受信された読み出し信号をデコードしてよい。例えば、TBSパターン402のサーボ・ストライプ412が、サーボ・センサを横切って通過するときに、読み出し信号416の二重パルス部分420(正のピークおよび負のピークを含んでいる)が生成される(例えば、例示の目的で、読み出し信号416の二重パルス部分がサーボ・ストライプの読み取り位置にどのように対応するかを示している横方向の破線を参照する)。したがって、二重パルス部分およびそれらに関連付けられたタイミングのうちの2つ以上が、横方向位置(y位置)推定値の計算において使用されてよい。
【0046】
1つの手法では、サーボ・チャネルが、y位置推定値をトラック追従制御システムに提供してよく、例えば、そのようなy位置推定値は、次の方程式1を使用して計算される。
【0047】
【0048】
上で示されているように、方程式1の横方向のy位置推定値
【数2】
は、距離d、サーボ・ストライプ412の方位角傾斜(角度α)、2つの異なるサブフレームからの同じ方位角を有する対応するサーボ・ストライプの対(例えば、平行なストライプ//または\\)の間の測定された時間B
i、および、同じサブフレームからの反対の方位角を有する対応するサーボ・ストライプの対(例えば、ストライプ/\)の間の測定された時間A
iを組み込んでよい。
【0049】
例えば、
図4Cの5-5-4-4パターンでは、
図4BのTBSパターン402のサーボ・サブフレームごとに、A
iの4つの測定(i=0、1、2、3)およびB
iの4つの測定(i=0、1、2、3)が実行される。一部の手法では、距離dは、「サブフレーム長」と呼ばれることがある。
【0050】
HDサーボ・パターンは、横方向(トラックと交差する方向)に交互に書き込まれた異なる周波数の周期波形を含むのが好ましい。したがって、HDサーボ・パターンは、本明細書に記載されたさまざまな実施形態に従って、サーボ・チャネル・パラメータのより正確な推定またはより頻繁な推定あるいはその両方を望ましく提供することができてよい。
図5A~5Dを参照すると、2つの周期波形のみを含んでいる、2つの異なる空間周波数によって特徴付けられたHDパターンに関連するヘッドの横変位の制限された範囲を克服するHDパターン500が示されている。
図5Aおよび5Cに示されているように、少なくとも3つの周波数が、隣接するトラック内のHDパターン500に使用されており、HDパターンが書き込まれているバンドにわたって周期的に繰り返されている。
図5Aおよび5Cの実施形態では、サーボ・リーダ(「R」のラベル付きのブロックによって示されている)が、サーボ・リーダRがHDパターン500に重なる特定の時間に、任意の読み取り条件下で少なくとも2つのトーン/周波数が検出されるように、単一のトラックより広くトラックと交差する方向502に広がる。具体的に
図5Aを参照すると、リーダRが、HDパターン500の下部508および中央部506の両方にわたって広がっている。
図5Cは、サーボ・リーダRの別の位置を示しており、リーダRが、HDパターン500の上部504および中央部506にわたって広がっている。
【0051】
周期波形の3つの部分508、506、504は、3つの異なる周波数f1、f2、およびf3によって特徴付けられ、それぞれf3>f2>f1である。さまざまな手法によれば、各波形は、既定の間隔内で、30周期、50周期、75周期、100周期などの、約25~約200の範囲内の周期数を有しているとして特徴付けられてよい。既定の間隔は、手法に応じて、約60μm、約75μm、約100μmなどの、約50μm~約150μmの範囲内であることができるのがさらに好ましい。さらに、シンボルの長さは、例えば約1.0μm、約1.5μm、約2.0μmなどの、約0.5μm~約3.0μmの範囲内であってよい。
【0052】
したがって、引き続き
図5A~5Dを参照すると、HDパターン500の部分のうちの1つのエッジが、別の部分のエッジと区別されてよい。具体的に
図5Aを参照すると、両方の部分506、508に重なるサーボ・リーダRによって読み取られた信号を評価することによって、中央部506のエッジが、下部508のエッジと区別されてよい。
図5Bのグラフ510は、サーボ・リーダRからの読み出し信号におけるさまざまな周波数、および
図5Aに示されたサーボ・リーダRの位置の各周波数の各々に対応するエネルギー・レベルを識別する。エネルギー値は、一部の手法では、特定の時間(またはテープに沿った距離)にわたって積分することによって決定されてよい。グラフ510に示されているように、中央部の周波数f
2に加えて、下部の周波数f
1がサーボ・リーダRの読み出し信号に存在しており、そのため、スペクトル解析によって検出されてよい。さらに、スペクトル成分f
1およびf
2のエネルギー値は、中央部506および下部508に重なっているサーボ・リーダRの関係を表す。周波数f
1のスペクトル成分のエネルギー値が第2の周波数f
2のスペクトル成分のエネルギー値より小さいということを仮定すると、それに従って、サーボ・リーダRが、下部508との重なりよりも多く中央部506に重なっているということが決定され得る。さらに、磁気テープに対するサーボ・リーダRの微細な位置を決定するために、対応するエネルギーの比較が使用されてよい。
【0053】
同様に、
図5Dのグラフ520は、
図5Cに示されているように配置されたサーボ・リーダRからの読み出し信号における周波数、および各周波数の各々に対応するエネルギー・レベルを識別する。図に示されているように、周波数f
2およびf
3がサーボ・リーダRの読み出し信号に存在しており、スペクトル解析によって検出されてよい。この場合も、周波数f
2およびf
3のスペクトル成分のエネルギーは、サーボ・リーダRが上部504および中央部506の上に配置されているということを示している。周波数f
3のスペクトル成分のエネルギーが周波数f
2のスペクトル成分のエネルギーより小さいということを仮定すると、それに従って、サーボ・リーダRが、上部504との重なりよりも多く中央部506に重なっている。さらに、磁気テープに対するサーボ・リーダRの微細な位置を決定するために、対応するエネルギー値の比較が使用されてよい。
【0054】
特定の積分間隔に最小数のスペクトル・ビンを使用するDFT/FFTベースの検出器によるスペクトル推定が採用される場合、3つの周波数の波形の周期が、1/Tに比例する最高の空間周波数に対応する周期T(例えば、T=241.3nm)の整数倍であってよいということに注意する。
【0055】
図6は、周期波形を含んでいるHDサーボ・パターンからのPESの計算用に構成されたDFT/FFTベースの検出器600のブロック図を示している。同期サーボ・チャネル606からのタイミング情報と共にサーボ信号補間器604を使用して、サーボ・リーダ602からのサーボ信号が補間される。次に、補間された信号サンプルが、周波数f
1およびf
2で信号エネルギー値を推定するDFTベースまたはFFTベースのいずれか(DFT/FFTベース)の検出器608によって処理される。DFT/FFTベースの検出器608の出力がPES計算ユニット610に入力され、PES計算ユニット610は、信号エネルギー値の差を取ることによって、PESの推定値を決定する。
【0056】
理想的には、DFT/FFTベースの検出器608によって推定されるエネルギーを有する2つの周期波形は、周波数f1およびf2での正弦波形である。しかし、DFT/FFTベースの検出器608は、HDパターンに使用される場合、エネルギーの推定値が提供されるスペクトル成分の数がDFT(またはFFT)計算の積分間隔によって決まり、積分間隔が基本周波数の複数の周期にわたって広がる場合に、それらのスペクトル成分の数が非常に多くなることがあるという固有の欠点を持っており、これは通常、低ノイズの推定プロセスが使用される場合に当てはまる。
【0057】
HDパターンの読み出し信号を形成する周期波形成分の数が、通常、特定の横方向位置に対して2つまたは3つに制限されるため、検出器の低複雑度の実装を用いることは有利であり、それによって、HDパターンの読み出し信号における2つまたは3つの周波数での関連するスペクトル成分のエネルギーの推定のみが効率的に計算される。
【0058】
ここで
図7を参照すると、1つの実施形態に従ってHDパターンの検出器700が示されている。検出器700は、例えば1つの実施形態に従って
図5A~5Bに示されているように、任意の時点で3つの周波数によって特徴付けられるHDパターンの読み出し信号の成分に対応する周期波形を使用して動作するように、構成されている。引き続き
図7を参照すると、検出器700は、低複雑度の実装を有する3つデジタル・フィルタ702、704、706を含んでおり、各デジタル・フィルタは、ゲーツェル・アルゴリズムに従う特定の周波数での読み出しHDサーボ信号のエネルギーの推定のために、二次無限インパルス応答(IIR:infinite impulse response)段と、それに続く2タップ有限インパルス応答(FIR:finite impulse response)段とを備えている。当業者が本説明を読むときに理解するであろうように、他の構成およびコンポーネントが、3つのデジタル・フィルタ702、704、706に使用されてよい。3つの周波数に対応する波形の周期(nm単位)は、基本周期Tの整数倍であると仮定されてよい。
【0059】
有限の積分間隔内の3つの周期波形成分のエネルギーの正確な推定のために、周期波形成分の周波数が、ω
0/2Π、ω
1/2Π、およびω
2/2Πによってそれぞれ示される3つのデジタル・フィルタ702、704、706の特性周波数に一致することが好ましい。一致が不可能である場合、周波数が、3つのデジタル・フィルタ702、704、706に対して設定された周波数の約0.001%~1.0%の範囲内であることが好ましく、差が約0.1%未満であることがさらに好ましい。これは、
図7に示されているように、適切な時刻に、アナログ/デジタル・コンバータ(ADC:analog-to-digital converter)708の出力シーケンスをリサンプリングすることによって実現されてよく、このリサンプリングは、テープ速度から取得された時間基準および特定の補間距離ΔX
HDを使用して、補間器710によって行われてよい。クロック718の周波数f
sが、検出器700のADC708、カウンタ720、およびデジタル回路への入力として使用される。さらに、クロック718の周波数f
sは、固定周波数または可変周波数のいずれかであってよい。
【0060】
1つの実施形態では、補間器710は、線形補間器より小さい信号ひずみを実現するために、立方ラグランジュ補間器であってよい。当然ながら、当業者によって理解されるであろうように、任意の適切な補間器が使用されてよい。テープ速度とは無関係に、ΔXHDに等しいステップ補間距離によって分離されたテープ上の各点で受け取られたHDサーボ信号サンプルと一致する補間器710の出力信号サンプルが、取得される。ΔXHDは、テープ速度とは無関係に、条件T/ΔXHD=Kが満たされるように選択されるのが好ましく、Kは正の整数である。補間器の出力サンプルの生成のための時間基準は、ADCの出力シーケンスのリサンプリングが発生する時刻{tn}のシーケンスを生成する補間時間計算ユニット712によって、提供されてよい。時刻{tn}は、さらに、循環バッファ722に提供されてよい。
【0061】
図7に示されている検出器700は、特定の数のサンプルがクロック間隔T
S=1/f
S内で補間器710によって計算されるように、構成されてよい。しかし、そのように構成することは、検出器700が動作できる最大テープ速度(2ΔX
HD/T
Sによって表される最大テープ速度)に対して、制限を設定することがある。単一のクロック間隔内で補間器710によってより多くのサンプルを計算できるようにすることによって、検出器700によってサポートされる最大テープ速度が増やされてよいが、そのようにすることは、計算複雑性も増やす。
【0062】
固定テープ速度の場合、時刻{tn}の間隔がTi秒だけ均一に空けられてよく、Tiは、テープがステップ補間距離ΔXHDに等しい距離を移動するのにかかる時間間隔を示す。時間間隔Tiの推定は、Ti=ΔXHD/Vest(すなわち、ΔXHDと、瞬間的なテープ速度Vestの推定値との間の比率であり、1つの方法ではTBSチャネルから取得できる)を計算するステップ補間時間計算ユニット714によって実行される。TBSチャネルは、1つの実施形態によれば、同期TBSチャネルとして動作してよい。ADCのクロック間隔ごとに生成される補間された信号サンプルの平均数は、比率Ti/TSによって与えられ、TS=1/fSはクロック間隔を示す。ADCのクロック周波数fSは、1つの手法では固定周波数であるか、または別の手法では可変周波数であってよい。
【0063】
1つの実施形態では、HD検出器700は、磁気テープ媒体のサーボ・バンドに書き込まれたTBSパターンを処理するように構成されたテープ・ドライブのTBSチャネルの出力に基づいて、フィルタリング要素としてゲーツェル・アルゴリズムに入力する補完された信号サンプルを取得する時刻を決定するためのテープ速度を推定するように、構成されてよい。
【0064】
別の実施形態では、HD検出器700は、テープ・ドライブのTBSチャネルの出力に基づくサーボ・リーダの粗い位置決めのために、ヘッドの横方向位置の推定値を計算するように構成されてよい。また、HD検出器700は、ヘッドの横方向位置の推定値に基づいて推定されたHDサーボ信号の波形の周波数成分に従って、少なくとも1つのデジタル・フィルタの設定を調整するように構成されてよい。例えば、i番目のデジタル・フィルタの設定ωiは、粗い位置推定値およびその推定された(粗い)横方向位置にあるHDパターンの既知の周波数ωi=2Πfiに基づいて、調整されてよい。別の例では、i番目のデジタル・フィルタの設定は、粗い位置推定値およびその推定された(粗い)横方向位置にあるHDパターンのシンボルの長さ、積分間隔などの組み合わせに基づいて、調整されてよい。
【0065】
HD検出器700は、3つの特性周波数{ω0,ω1,ω2}(ωi=2Πfi)の値を入力として受信し、これらの値からデジタル・フィルタ702、704、706の係数が取得される。これらの周波数は、前述したように、1つの実施形態では、TBSチャネルによって提供されるサーボ・リーダの横方向位置の知識から取得されてよい。数「Q」が、周期波形のエネルギーの推定値が計算されるサンプルの数を表すと仮定すると、Qは、積分間隔の長さを決定してよく、したがって、空間周波数分解能を決定してもよい。Qの値が偶数であると仮定すると、Q/2は、Q個のサンプルにわたって動作するDFT/FFTベースのHD検出器によってエネルギー推定値が提供される、周波数の数を表す。Qは、1つの実施形態では、テープ・ドライブのメモリから取得されてよい。さらに、Qは、通常、約100以上である。
【0066】
読み出しHDサーボ信号が異なる周波数で発生することがある異なる減衰を補正するために、利得係数gi(i=0,1,2)との3つのエネルギー推定値の乗算が提供され、正規化g1=1が仮定されてよい。したがって、HDサーボ・リーダ716の横方向位置の推定値、およびしたがって、対象のヘッド位置の知識からの位置誤差信号が、3つのエネルギー推定値の線形結合によって取得されてよい。任意の時点で計算されるスペクトル推定値の最大数が、HDサーボ・パターン内のトーンの総数(3より大きいことがある)によってではなく、HDサーボ・リーダ716によって読み取ることができるトラックの最大数(一部の手法では、3に等しいことがある)によって決定されるということに、注意する。トーンの数が3より大きい場合、前述したように、HD検出器700に提供される3つの特性周波数{ω0,ω1,ω2}の値は、TBSチャネルから取得された横方向位置の推定値の知識から得られてよい。
【0067】
別の実施形態では、HD検出器700は、補間器710を含まず、磁気テープ媒体から読み取られたHDサーボ信号の波形の空間周波数成分およびテープ速度に従って設定を調整するように構成可能なデジタル・フィルタを使用して、実装されてよい。デジタル・フィルタの設定の調整は、粗いヘッドの横方向位置の推定値、またはテープ・ドライブのTBSチャネルの出力に基づいて計算されたテープ速度の推定値、あるいはその両方に基づいてよい。
【0068】
代替の実施形態では、HD検出器は、HDサーボ・リーダ716によって同時に読み取られているトラックに書き込まれたパターンに対応する周波数でエネルギーを推定するために使用されるデジタル・フィルタに加えて、追加のデジタル・フィルタを実装してよい。1つまたは複数の追加のデジタル・フィルタは、対象の横方向位置が変化するとき、したがって、周波数{ωX}の入力値が動的に変化するときに、検出器の再構成を簡略化するために使用されてよい。
【0069】
さらなる実施形態では、1つまたは複数の追加のデジタル・フィルタは、少数のスペクトル成分/ラインによって特徴付けられたHDパターンを、広帯域ノイズまたはデータ信号あるいはその両方と区別するために使用されてよい。これは、HDパターンによって使用されていない周波数でスペクトル成分を測定するように、追加のデジタル・フィルタの特性周波数ωiを選択することによって、実現されてよい。
【0070】
3つのデジタル・フィルタ702、704、706からの出力|Xi,t|2は、特定の時間tで位置誤差推定値(εt)を提供するPES計算ユニット724に提供される。
【0071】
HD検出器700の他のコンポーネントは、当業者によって知られているように動作してよく、説明される実施形態を明確にするために、本明細書では省略される。
【0072】
本明細書の他の場所で述べたように、磁気ストレージ・システムでは、磁気変換器が磁気記録媒体からデータを読み取り、磁気記録媒体にデータを書き込む。データが格納される媒体上の位置に磁気記録変換器を移動することによって、データが磁気記録媒体に書き込まれる。次に、磁気記録変換器が、データを磁気媒体にエンコードする磁場を生成する。同様に磁気読み取り変換器を配置してから、磁気媒体の磁場を感知することによって、データが媒体から読み取られる。読み取り動作および書き込み動作は、媒体上の望ましい位置からデータを読み取ることができること、および媒体上の望ましい位置にデータを書き込むことができることを保証するために、独立して、媒体の動きと同期されることがある。
【0073】
データ・ストレージ業界における重要な継続している目標は、媒体に格納されるデータの密度を増やすことである。テープ・ストレージ・システムの場合、この目標は、記録テープ上のトラックおよび線形ビットの密度を増やし、磁気テープ媒体の厚さを減らすことにつながった。しかし、小さい設置面積、より高い性能のテープ・ドライブ・システムの開発は、そのようなシステムにおいて使用するためのテープ・ヘッド・アセンブリの設計から、テープの寸法不安定性への対処にわたる、さまざまな課題を引き起こした。
【0074】
テープ・ドライブは、複数のデータ・トラックを同時に書き込み、読み取る。その後の読み出し中の適切な動作のためには、すべてのデータ・トラックが正しい位置に書き込まれることが、極めて重要である。温度または他の要因に起因して、ヘッドの寸法が変化する場合、あるいは製造の変動に起因して、ヘッド上の変換器が適切な設計によって指定された位置に配置されない場合、データ・トラックは、正しくない位置に書き込まれ/読み取られる。同様に、媒体が、寸法において一貫していない場合、データ・トラックは、書き込み後に移動し、テープが読み取られるときに同じ位置に存在しない。いずれの場合も、データの正常な読み出しが損なわれる。
【0075】
幸い、ヘッド、媒体、またはその両方の寸法における変化は、サーボ・リーダの測定結果における差を比較することによって検出され得る。サーボ・リーダからのこの測定結果は、ヘッドおよび媒体における変動を決定するために使用され得る1つの方法であり、本明細書ではSBDと呼ばれてよい。手法に応じて、SBD情報は、SBD測定結果自体、またはSBD測定結果から導き出された情報、あるいはその両方を含んでよい。
【0076】
テープ・ドライブでは、通常、テープ寸法安定性(TDS:tape dimensional stability)が管理され得るように、参照SBDを決定するためにカートリッジが較正される。例えば、この較正は、新しいカートリッジごとに実行されてよい。下で説明されるように(例えば、方法800を参照)、カートリッジが最初に装着されたときに、テープ・ドライブは、途中で参照値として格納される定期的な測定を行いながら、磁気記録テープの末尾に進んでよい。本明細書に記載されたさまざまな実施形態および手法では、寸法安定性問題に対処するためのさまざまな手法が提示される。
【0077】
SBDを測定するために、同じモジュール上のサーボ・リーダが、媒体上の各サーボ・パターンを読み取る。理想的な事例では、両方のサーボ・リーダが、それらと関係のあるサーボ・パターン上の同じ位置を測定する。しかし、媒体およびヘッドは、めったに理想的ではなく、したがって、2つのサーボ・チャネルからの位置測定結果を比較することによって、この理想的な事例からのずれが決定され得る。SBDが大きくなった場合、これは、テープが横方向に縮小したこと、またはヘッドが拡大したこと、あるいはその両方を意味する。同様に、SBDが小さくなった場合、これは、テープが横方向に拡大したこと、またはヘッドが収縮したこと、あるいはその両方を意味する。
【0078】
SBD測定結果は、磁気記録テープを特徴付けるために使用されてよい。
図8を参照すると、テープ・カートリッジの磁気記録テープを特徴付けるための方法800のフローチャートが示されている。方法800は、さまざまな手法において、特に
図1~16に示された環境のいずれかにおいて本発明に従って実行されてよい。当然、当業者が本説明を読むときに理解するであろうように、
図8において具体的に説明された動作よりも多いか、または少ない動作が方法800に含まれてよい。
【0079】
方法800のステップの各々は、動作環境の任意の適切なコンポーネントによって実行されてよい。例えば、さまざまな実施形態では、方法800は、テープ・ドライブ、または1つまたは複数のプロセッサを含んでいる他のデバイスによって、部分的に、または全体的に実行されてよい。ハードウェアまたはソフトウェアあるいはその両方において実装され、好ましくは少なくとも1つのハードウェア・コンポーネントを含んでいるプロセッサ(例えば、処理回路、チップ、またはモジュール、あるいはその組み合わせ)が、方法800の1つまたは複数のステップを実行するために任意のデバイス内で利用されてよい。プロセッサの例としては、中央処理装置(CPU:central processing unit)、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:field programmable gate array)など、これらの組み合わせ、または従来技術において知られた任意の他の適切なコンピューティング・デバイスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
このプロセスは、新しいテープが最初の使用のために準備されているときに実行されてよい。例えば、このプロセスは、従来のカートリッジ初期化プロセスに追加されてよい。このプロセスは、使用済みテープ上の1つまたは複数のデータ・バンドが、上書きする準備ができている場合に、実行されてもよい。
【0081】
方法800の動作802は、既知のピッチのサーボ・リーダを含んでいる磁気ヘッドを使用して、磁気記録テープの長さに沿ったさまざまな位置でSBD測定を行うことを含む。テープの長さに沿って、間隔が通常は一定でないため、テープがBOTからEOTに向かって移動するときに観測されたSBD測定結果は、通常、異なっている。どの理論に束縛されることも望まないが、この変化は、カートリッジに格納されるときにテープに転嫁されるパックの応力に少なくとも部分的に起因すると考えられる。SBD測定結果は、テープ上のデータ・バンドの一部について受け取られてよく、データ・バンドの各々について受け取られるのが好ましい。SBD測定結果は、磁気記録テープのほぼ全長に沿ったさまざまな位置で受け取られるのが好ましいが、一部の手法では、テープの長さの一部のみが特徴付けられる。テープは、理想的には、張力によって引き起こされるテープの寸法変化を最小限に抑えるために、SBDの測定中にほぼ一定の張力に維持される。一定の張力は、磁気テープ上の読み取り動作または書き込み動作あるいはその両方にとって好ましい張力に類似するのが好ましい。
【0082】
1つの手法では、テープ・ドライブは、SBDの測定を行っているときに、テープの張力をほぼ固定された状態に保ちながら、テープをBOTからEOTに移動する。SBDが、BOTからEOTにかけて変化する傾向があるため、複数の測定が行われるのが好ましい。一般に、任意の粒度の測定間隔が適用されることが可能であり、SBD測定結果の数が多いほど、後で使用するためのより多くの情報がもたらされる。一部の好ましい手法では、データ・バンドごとにBOTとEOTの間で少なくとも100個のSBD測定結果が受け取られ、データ・バンドごとにBOTとEOTの間で少なくとも200個のSBD測定結果が受け取られ得るのがより好ましいが、一部の手法では、100個未満の測定結果が受け取られてよい。
【0083】
ヘッドごとにサーボ・リーダのピッチが変化し、したがって、未加工のSBD測定結果が、通常は実際のサーボ・トラック間隔を反映しないということに注意する。言い換えると、仮定されるピッチより広いか、または狭いヘッド上のサーボ・ピッチは、現在の媒体の間隔値の測定に誤差を引き起こす。したがって、SBD値が実際の媒体の間隔特性をより正確に反映するように、このプロセスの間に、ヘッド上のサーボ・リーダのピッチが知られ、SBD値を調整する(補正する)ために使用されるのが好ましい。サーボ・リーダのピッチは、互いに相対的なサーボ・リーダの間隔に直接対応し、中心間のピッチ、エッジ間のピッチなどであってよい。
【0084】
サーボ・リーダのピッチは、任意の適切な既知の方法で導き出されるか、または取得されてよい。通常、この値は、ドライブの製造中に、各ドライブのメモリに格納される。1つの手法では、このピッチは、製造時にドライブごとに測定され、重要プロダクト・データ(VPD:vital product data)などと共に、ドライブのメモリの不揮発性領域に配置される。ヘッドの較正は、複数の段階で原子間力顕微鏡(AFM:atomic force microscope)を使用する測定、既知の間隔のサーボ・トラックを含んでいる参照テープの使用、または他の変換器と相対的な変換器の測定を提供する任意の他の方法などの、複数の方法で実行され得る。別の手法では、このピッチは、ドライブが構築された後に、任意選択的に使用中に、ドライブに対して測定される。好ましい手法では、参照テープが使用されてよい。
【0085】
VPDに格納されたピッチ値を使用することによって、プロセス800を使用してテープが特徴付けられる場合、観測された測定結果は、VPDに格納されたヘッドの間隔値に従って補正されることが可能であり、このようにして、受け取られた測定結果、およびカートリッジ・メモリ(CM:cartridge memory)に最終的に書き込まれた対応する値が、カートリッジを表し、測定を行っているヘッドによる影響を過度に受けないことを保証する。
【0086】
さらに、ドライブ内の温度センサまたは湿度センサあるいはその両方(またはドライブに伝達される情報を含む外部センサ)を使用することによって、局所的な温度または湿度あるいはその両方の影響も補正され得る。例えば、湿度が高い場合、テープが拡大し、この高い湿度条件でカートリッジが初期化される。格納されたSBD値が、ヘッドの間隔、温度、および湿度における公称条件を表すのが望ましい。
【0087】
動作804で、SBD測定結果またはその派生情報あるいはその両方(本明細書では、「SBD情報」と総称される)が、テープ・カートリッジに関連して格納される。SBD情報は、対応するSBD測定結果に関連して、各SBD測定結果が受け取られたテープに沿った位置を含むのが好ましい。例えば、各SBD測定結果に関連して、リニア・テープ・オープン(LTO:linear tape open)の線形位置決め(LPOS:linear positioning)情報が格納されてよい。したがって、方法800を実行する時点での媒体の間隔特性の表現が、後で使用するために格納される。
【0088】
未加工の点の格納、関数(線形、多項式、スプラインなど)への測定結果のフィッティング、およびその後の係数または記述変数の格納などの、複数の格納技術のいずれかが、SBD情報を格納するために使用されてよい。SBD情報は、後で参照され得る任意の適切な位置に格納され得る。SBD情報は、カートリッジのCMに書き込まれるのが好ましい。SBD情報の格納のための他の位置は、テープ自体(例えば、ヘッダー情報内)、カートリッジの取り外し可能なストレージ・デバイス(例えば、SDカード)上、テープ・カートリッジに関する情報のデータベース(例えば、ライブラリ・データベース)内、クラウドベースのストレージ内などを含む。
【0089】
方法800は、カートリッジ初期化手順の一部として実行されてよい。例えば、新品のカートリッジの最初の装着中に従来の特殊な動作を実行することに加えて、カートリッジ初期化プロセスの間に、方法800の動作が実行されてよい。
【0090】
方法800は、最初の装着以外の時点で呼び出されてもよい。例えば、方法800を実行するためのタイミングは、テープのフォーマットの変更、ガベージ・コレクション・プロセスがテープ上のすべてのデータを削除された状態にした後などの、他の動作に対応してよい。最初の装着以外の時点でテープを特徴付けるか、または再び特徴付けることは、以前の初期化以後に媒体に発生したクリープを考慮するように、SBD情報をリセットすることに役立つことがある。フォーマット・コマンドのような、完全に破壊的な動作などの他の動作は、カートリッジ初期化を再発行するための適切な時点と見なされてよい。
【0091】
図9は、1つの例示的な手法におけるテープ・カートリッジの磁気記録テープを特徴付けるための方法900のフローチャートである。方法900は、さまざまな手法において、特に
図1~16に示された環境のいずれかにおいて本発明に従って実行されてよい。当然、当業者が本説明を読むときに理解するであろうように、
図9において具体的に説明された動作よりも多いか、または少ない動作が方法900に含まれてよい。
【0092】
方法900のステップの各々は、動作環境の任意の適切なコンポーネントによって実行されてよい。例えば、さまざまな実施形態では、方法900は、テープ・ドライブ、または1つまたは複数のプロセッサを含んでいる他のデバイスによって、部分的に、または全体的に実行されてよい。ハードウェアまたはソフトウェアあるいはその両方において実装され、好ましくは少なくとも1つのハードウェア・コンポーネントを含んでいるプロセッサ(例えば、処理回路、チップ、またはモジュール、あるいはその組み合わせ)が、方法900の1つまたは複数のステップを実行するために任意のデバイス内で利用されてよい。プロセッサの例としては、中央処理装置(CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)など、これらの組み合わせ、または従来技術において知られた任意の他の適切なコンピューティング・デバイスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
方法900の動作902は、カートリッジをテープ・ドライブに装着することを含む。判定904で、例えば
図8の方法800を使用して、テープが初期化されており、テープに関するSBD情報が使用可能であるかどうかに関する判定が行われる。SBD情報が使用可能である場合、このカートリッジは、読み取り動作または書き込み動作あるいはその両方の準備ができていると見なされる。動作906を参照する。SBD情報が使用可能でない場合、方法900は動作908に進み、動作908で、ほぼ一定の張力を使用して、テープの複数の位置でSBDが測定される。動作910で、さまざまなパラメータのいずれかに関して、測定結果が補正される。例えば、ヘッドの寸法、およびすなわち、サーボ・リーダのピッチからの測定バイアスに起因して、測定結果が補正されてよい。この補正は、温度成分または湿度成分あるいはその両方も含むか、または代替として含むか、あるいはその両方であってよい。動作912で、SBD情報が、好ましくはカートリッジのCMに格納されるが、媒体自体、SDカードなどの、カートリッジに結合された取り外し可能なメモリ内などの、他の位置にあってよい。このカートリッジは、読み取り動作または書き込み動作あるいはその両方の準備ができていると見なされる。動作914を参照する。
【0094】
図10は、
図8の方法800の実行中に収集されたBOTからEOTまでの例示的なサンプルのSBD参照値を示すチャート1000である。図に示されているように、SBD測定結果は、BOTで最も高く、EOTまでに、わずかに負に変わる。前述したように、SBDが大きくなった場合、これは、サーボ・トラックが書き込まれた後に、テープが横方向に縮小したことを意味する。同様に、SBDが小さくなった場合、これは、テープが横方向に拡大したことを意味する。
【0095】
前述のさまざまな実施形態および手法は、テープ・ドライブが磁気記録テープの末尾に進み、途中で参照値として格納される定期的な測定を行うことを詳述する。これは、フォーマット・コマンドなどの何かのコマンドに応答することに加えて、磁気記録テープが初めて装着された後に、実行されてよい。しかし、ドライブの現在の環境が、カートリッジが製造された環境とは異なることがあるということに注意することは、重要である。その結果、新しい環境がテープ・パック全体に拡散されていない可能性が高い。例えば、カートリッジ・リールに巻き付けられたテープ・パックが完全に順応するのに(例えば、テープ・パック全体の水分含量がほぼ均一になるのに)数か月また数年さえ要することがある。SBD値が単に、順応していないテープから計算された場合、SBD値は、テープが順応するにつれて変化し、正しくない基準SBD値をもたらす可能性が高い。1つの可能性のある解決策は、テープをBOTからEOTまで、EOTからBOTまで複数回循環させて順応を引き起こすことによって、SBD値を測定する前にテープ全体を順応させることである。しかし、これは比較的時間のかかるプロセスである。背景として、テープ・ドライブが従来の磁気記録テープに対してそのような循環を実行するための予想される待ち時間は、1回の循環につき約6分以上になることがある。これは、利用者が無視できる待ち時間を期待するデータ・ストレージの分野では、かなり時間がかかることである。
【0096】
テープの順応に起因するテープの幅の変化を補正するために、基準SBD値の測定を可能にし、時間効率の良い方法でこれらの変化を考慮するようにSBD値を調整するために、テープの全長未満の、より短い長さのテープを複数回循環させること、およびテープ全体の基準SBD値に適用するためにより短い長さのテープの順応変化量を決定することを含む、本明細書に記載されたさまざまな実施形態および手法が、実施されてよい。テープのこのより短い部分は、環境に順応し、テープの順応した部分のSBD値を再び測定することによって、修正係数が決定され、例えば、テープの全長の基準SBD値の一部またはすべてに適用され得る。このプロセスは、他の方法ではテープをBOTからEOTまで、EOTからBOTまで継続的に複数回循環させることによってテープを順応させることにおいて消費される非常に長い待ち時間が、単により小さい局所的領域のみを循環させることによって軽減されるため、順応したパックのテープ全体のSBDプロファイル(SBD profile)がどのようなものであるかについて、比較的迅速かつ極めて正確な決定を可能にする。
【0097】
ここで
図11を参照すると、1つの実施形態に従って、方法1100のフローチャートが示されている。方法1100は、さまざまな実施形態において、特に
図1~16に示された環境のいずれかにおいて本発明に従って実行されてよい。当然、当業者が本説明を読むときに理解するであろうように、
図11において具体的に説明された動作よりも多いか、または少ない動作が方法1100に含まれてよい。
【0098】
方法1100のステップの各々は、動作環境の任意の適切なコンポーネントによって実行されてよい。例えば、さまざまな実施形態では、方法1100は、コントローラ、または1つまたは複数のプロセッサを含んでいる他のデバイスによって、部分的に、または全体的に実行されてよい。ハードウェアまたはソフトウェアあるいはその両方において実装され、好ましくは少なくとも1つのハードウェア・コンポーネントを含んでいるプロセッサ(例えば、処理回路、チップ、またはモジュール、あるいはその組み合わせ)が、方法1100の1つまたは複数のステップを実行するために任意のデバイス内で利用されてよい。プロセッサの例としては、中央処理装置(CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)など、これらの組み合わせ、または従来技術において知られた任意の他の適切なコンピューティング・デバイスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
方法1100が、通常はテープ・ドライブ(例えば、磁気記録テープ・ドライブ)によって、またはテープ・ドライブを使用して、あるいはその両方で実行され得るということが、前置きされてよい。方法1100は、追加または代替あるいはその両方として、コンピュータによって実行されてよい。さらに、背景として、方法1100は、テープ・カートリッジ内の磁気記録テープのより小さい部分の順応変化を決定するため、およびその情報を使用して、例えば、テープの全長のSBD値の一部またはすべてを調整し、テープの順応を補正するために、実行されてよい。
【0100】
動作1102は、テープを含んでいるテープ・カートリッジをテープ・ドライブに装着することを含む。テープ・カートリッジは、一部の手法では、例えば、データを書き込むことの要求、テープ・カートリッジのテープをフォーマットすることの要求、ストレージ・システムのストレージ消費量が既定のしきい値を超えることに応答する追加のテープ・カートリッジの要求などの、要求を受信することに応答して、テープ・ドライブに装着されてよい。一部の他の手法では、テープ・カートリッジは、要求を受信せずにテープ・ドライブに装着されてよい。テープ・カートリッジは、一部の他の手法では、テープ・ドライブにすでに装着されていてよく、したがって、そのような手法のうちの1つまたは複数では、動作1102は、方法1100の任意選択的なステップであってよい。テープ・カートリッジは、一部の手法では、テープ・カートリッジが製造される場所でテープ・ドライブに装着されてよいが、好ましい手法では、テープを含んでいるテープ・カートリッジが、テープが読み取り動作または書き込み動作あるいはその両方に使用される場所でテープ・ドライブに装着されるということに、注意するべきである。これは、テープ・カートリッジが製造業者のとろにまだある間に受け取られたSBD測定結果が、最終的な使用時の場所と異なる環境条件(例えば、温度の変化、湿度の変化など)を反映することがあるためである。
【0101】
動作1104は、(少なくとも、テープの長さの大部分に沿って)BOTからEOTまで、または同等に、EOTからBOTまで、基準SBDを測定することを含む。本明細書の他の場所で説明されたSBD測定技術(例えば、方法800の動作802および関連する説明を参照)に類似するSBD測定技術が、BOTからEOTまで基準SBDを測定するために利用されてよい。BOTからEOTまで測定された基準SBDは、テープの長さに沿ったテープの初期寸法評価を提供する。基準SBDの測定は、テープに沿った異なる点にそれぞれ対応するSBD値の作成を可能にする。
【0102】
一部の好ましい手法では、BOTからEOTまで基準SBDを測定することなどの、方法1100の1つまたは複数の動作は、テープのテープ・カートリッジが、例えば、製造所、エンド・ユーザの場所などで、テープ・ドライブに初めて装着されることに応答して実行されてよい。別の手法では、BOTからEOTまで基準SBDを測定することなどの、方法1100の1つまたは複数の動作は、追加または代替あるいはその両方として、テープをフォーマットするためのフォーマット要求を受信することに応答して実行されてよい。背景として、テープ・カートリッジが製造されたか、または新しい場所に移動された直後に計算された基準SBD値は、テープに現在の環境に順応する時間があった後に計算されたSBD値と異なることがある。例えば、2つの環境は、異なる相対湿度、異なる相対温度などの有することがある。相対的環境条件におけるこれらの差は、テープの全長にわたって、例えばテープの幅などの寸法安定性に影響を与えることがあり、前述したように、テープが順応するにつれて、テープの横方向の寸法をゆっくりと変えることがある。
【0103】
動作1106で、基準SBD測定結果の値がメモリに格納される。基準SBD測定結果の値が格納されるメモリは、手法に依存してよく、例えば、ドライブのメモリ、テープ・カートリッジのメモリ、テープ、ドライブから遠く離れたデータベースなどのうちのいずれか1つまたは複数を含んでよい。
【0104】
前述したように、テープが現在の環境に順応しておらず、テープが順応するにつれてテープの横方向の寸法が変化する場合、基準SBD測定結果に対応する値は、正確でない可能性が高い。これは特に、テープ・カートリッジが、製造された直後である、パッケージから取り出された直後である、新しい場所に最近移動した、などであり、完全に順応する時間が与えられていない場合に起こり得る。上でも述べたように、テープは、例えば、テープの調整と呼ばれることがある、BOTとEOTの間で1回または複数回循環されることによって、順応に向かうことを強いられ得る。しかし、テープ全体を調整することは、長時間を要し、SBD測定の前のテープの調整の実行を実現困難にする。
【0105】
つまり、動作1108~1116を参照して下でさらに詳細に説明されるように、順応に起因するテープの横方向の寸法(幅)における変化の補正を反映するように、上で計算されたSBD値が調整される。具体的には、上で計算されたSBD値が、順応後のテープの状態をより反映するようにするために、(テープの全長未満の)より短い長さのテープが、より短い長さを順応させるように複数回循環される。次に、順応したより短い長さに沿って、新しいSBD測定結果が受け取られ、より短い長さのテープに対する順応の影響を決定するために使用される。テープ全体は、より短い長さと実質的に類似する方法で順応するはずであり、したがって、より短い長さのテープを順応させることから導き出された知識、および新しいSBD測定結果を受け取ることは、テープの一部またはすべての基準SBD値を調整することに使用され得る。その後、結果として得られる調整されたSBD値は、格納され、例えば本明細書の他の場所で述べられた方法で、読み取りまたは書き込みあるいはその両方に使用される。
【0106】
動作1108を参照すると、テープの全長未満の、より短い長さのテープが、より短い長さ(例えば、局所的領域)のテープを順応させるように複数回循環される。背景として、「循環される」および「循環する」という用語は、本明細書では、テープを、例えばテープの意図された移動方向に沿って、より短い長さの第1の端部からより短い長さの第2の端部まで巻き取り、より短い長さの第1の端部まで巻き戻すことを指す。この循環は、テープが順応するにつれて、テープの1つまたは複数の寸法が変化することを引き起こす可能性が高い。例えば、トラックと交差する寸法に関するテープの幅が増加することがある、トラックと交差する寸法に関するテープの幅が減少することがある、テープの長さが増加することがある、テープの長さが減少することがある、などである。例えば、熱力学的にテープ自体に変換されるテープ・ドライブの温度の変化、周囲湿度の変化などに応答して、テープの正常動作中に、ある程度の追加の寸法変化が発生することが予想されるということに、注意するべきである。しかし、テープが、静止しているときよりも、カートリッジ・リールと巻き取りリールの間で前進しているときに、湿度などの条件への順応により良く反応するため、前述の循環が、テープを順応させることにおいて非常に良い働きをするということが見いだされた。
【0107】
一般に、より短い長さが短いほど、循環がより迅速に実行され得る。しかし、より短い長さが長いほど、より多くのテープが考慮されるため、結果がより正確になる。したがって、より短い長さのテープの長さは、手法に応じて、テープの全長未満の任意の望ましい長さであってよい。例えば、一部の手法では、より短い長さは、テープの全長の約50%未満である。さらなる例によれば、より短い長さは、例えば、テープの全長の約30%未満、テープの全長の約15%未満、テープの全長の約10%未満などであってよい。別の例によれば、1つの好ましい手法では、より短い長さは、テープの全長の約5%未満である。本発明者は、テープの全長の約0.5%より長く、かつ5%未満のより短い長さが、十分に正確な結果をもたらすということを見いだした。
【0108】
一部の他の手法では、より短い長さのテープは、BOTからEOTまでの基準SBDを取得するために前に測定された領域の一部(例えば、既定の数またはパーセンテージ)によって定義されてよい。例えば、基準SBDを取得するために100個の領域が測定される1つの手法では、既定の数は5つの領域であってよい。したがって、より短い長さのテープは、テープ上で隣接している(より短い循環時間のために好ましい)か、一部分において隣接しているか、または間隔を空けられていてよい、5つの領域を含んでよい。別の例では、基準SBDを取得するために、100個の領域が測定されてよく、既定の数が3つの領域であってよい。それに応じて、より短い長さのテープは、3つの領域を含んでよい。基準SBDを取得するために200個の領域が測定される別の手法では、既定のパーセンテージは5%であってよく、したがって、より短い長さのテープは10個の領域を含んでよい。一部の手法では、領域が、例えば領域50~52、領域1~3、領域98~100などのように、すべて互いに隣接しており、一方、一部の他の手法では、例えば領域1、3、および5、領域2、10、および11、領域90、91、および100などのように、領域の少なくとも一部が互いに隣接していないということに注意する。
【0109】
より短い長さのテープが循環される回数は、少なくともテープの横方向の寸法に関して、テープを周囲条件への完全な順応の90%以内に順応させるのに十分であるべきである。しかし、一部の好ましい手法では、循環の後に、テープの任意の追加の循環が、テープ・ドライブの現在の環境内で最小限の環境に基づく寸法変化をもたらすように、より短い長さのテープが複数回循環される。このようにして、基準SBD値に対して行われる任意の調整は、他の方法で、テープを順応させるプロセス中にテープの状態を単に反映するのとは対照的に、テープを使用するときに予想される動作条件を反映する。一部の手法では、より短い長さのテープが循環される回数は、事前に決定される。一部のさらに具体的な手法によれば、より短い長さのテープが循環される回数は、例えば、少なくとも15サイクル、少なくとも20サイクル、少なくとも50サイクル、少なくとも100サイクルなどを含んでよい。1つの好ましい手法では、より短い長さのテープが循環される回数は、約15~約45サイクルであり、例えば約30サイクルである。より短い長さのテープが循環される回数は、一部の手法では、例えば、テープの既定のパーセンテージが既定の回数循環される場合など、テープの全長に依存してよい。より短い長さのテープが循環される回数は、一部の手法では、追加または代替あるいはその両方として、例えば、より短い長さのテープが、より短い長さのテープに対して循環が実行される既定の時間量以内に、最大の回数循環される場合など、時間的制約に依存してよい。別の手法によれば、例えば、異なる循環動作中にSBD測定結果を受け取ることによって、現在のSBD測定結果と以前のSBD測定結果の間の差が既定のしきい値量を下回るということの決定に応答して、循環が停止されてよい。現在のSBD測定結果と以前のSBD測定結果の間の差が既定のしきい値量を下回るということの決定に応答して循環を停止することは、テープ・ドライブの現在の環境条件が、カートリッジが製造された環境に類似している場合に、より高速な較正という恩恵をもたらすことができる。これは、少なくとも部分的に、テープ・ドライブの現在の環境条件が、カートリッジが製造された環境に比較的類似しているためであってよく、その場合、テープは、テープ・ドライブの現在の環境条件が、カートリッジが製造された環境に相対的にあまり類似していない場合に、他の方法でテープを順応させるために実行される循環の反復よりも、相対的に少ない循環の反復で、順応することができる。例えば、より短い長さのテープが、製造後に比較的乾燥しており、比較的暑いか、または乾燥しているか、あるいはその両方である周囲条件で循環された場合、現在のSBD測定結果と以前のSBD測定結果の間の差は、より短い長さのテープが製造後に比較的湿ったままであり、比較的暑いか、または乾燥しているか、あるいはその両方であるテープ・ドライブの条件で循環され場合の差よりも、相対的に小さくなる可能性が高い。既定のしきい値量の使用は、例えば、その後のテープの使用が、テープの継続的な順応に基づいて、テープの寸法が許容量を超えて変化することを引き起こす可能性が高い場合に、テープの循環が通常より早く停止されないということをさらに保証することができる。この手法の寸法変化の「許容量」が、測定された場合に、既定のしきい値量以上の現在のSBD測定結果と以前のSBD測定結果の間の差を有するテープの寸法の変化に基づいて決定されるのが好ましいということに注意する。別の手法によれば、現在のSBD測定結果と以前のSBD測定結果の間の差が、既定のサイクル数の間、既定のしきい値量を下回るということの決定に応答して、循環が停止されてよい。
【0110】
より短い長さのテープが、例えば、BOT、EOT、テープの中央部、テープの複数の部分などの、テープの任意の部分に位置してよいということに、注意するべきである。しかし、より短い長さのテープがテープの複数の異なる部分を含んでいる場合、それらの部分は、BOTおよびEOTの両方を含まないのが好ましく、そうしないと、循環がテープをBOTからEOTへ、EOTからBOTへ前進させることを含むため、より短い長さのテープを順応させることから生じる処理時間の改善が失われるということに注意するべきである。1つの好ましい手法では、より短い長さのテープは、テープ・カートリッジがテープ・ドライブに装着されるときに、循環の間に、素早くアクセスできるテープの部分、例えば、BOTなどに位置する。言い換えると、そうしないと、テープを調整されるテープ上の位置に前進させるために駆動モータを使用するテープ・ドライブが、より短い長さのテープを順応させることにおいて消費される時間量を最終的に増やすため、一部の好ましい手法では、より短い長さのテープは、テープ・カートリッジがテープ・ドライブに装着されるときに、テープ・ドライブのテープ・ヘッドの最も近くに位置するテープの部分から始まる。
【0111】
より短い長さのテープの循環後のSBDが決定される(例えば、動作1110を参照)。本明細書の他の場所で説明されたSBD測定技術(例えば、方法800の動作802を参照)に類似するSBD測定技術が、SBD測定を実行するために利用されてよいが、本明細書の他の場所で説明されるように、BOTからEOTまでのSBDを測定するのとは対照的に、より短い長さのテープの循環後のSBDが測定されるということが述べられるべきである。新しいSBD測定が完了した後に、より短い長さのテープにおいて最初に測定された基準SBDが、より短い長さのテープにおける循環後のSBDと比較される(例えば、動作1112を参照)。一部の手法では、この比較は、より短い長さのテープにおいて測定された基準SBD値を、より短い長さのテープにおける循環後のSBD値と比較することを含み、比較される値の各関連付けられた対は、より短い長さのテープ内のほぼ同じ相対的位置で測定される。
【0112】
より短い長さのテープにおいて最初に測定された基準SBDおよびより短い長さのテープにおける循環後のSBDの比較に基づいて、より短い長さのテープの順応変化量が決定される(例えば、動作1114を参照)。一部の好ましい手法では、より短い長さのテープの順応変化量を決定することは、より短い長さの基準SBD値をより短い長さの循環後のSBD値と比較することを含む。さらに、例えば、より短い長さのテープの測定された循環前の基準SBD値およびより短い長さの循環後のSBD値の全体的な差分の特徴付けを反映するために、これらの値の差の平均値が決定されてよい。文脈的例の目的で、基準SBD値を取得するために、テープの100個の既定の領域が測定されること、ならびにより短い長さのテープが、テープの領域1、2、および3に対応し、テープが循環される前に、基準SBD値1、2、および3が測定されるということが仮定されてよい。例えば、方法1100の動作1108などに従って、より短い長さのテープに対して循環が実行された後に、テープが循環される前に基準SBD値1、2、および3が前に測定された位置とほぼ同じ位置で、循環後のSBD値1、2、および3が測定されてよい。循環後のSBD値1、2、および3が基準SBD値1、2、および3と比較されてよく、循環後のSBD値1、2、および3と基準SBD値1、2、および3の差が決定されてよい。一部の手法では、単一の順応変化量を取得するために、これらの差の平均値が求められてよい。さらに、差または値あるいはその両方の外れ値(例えば、最も大きい差または最も小さい差あるいはその両方、平均SBD値と著しく異なるSBD値など)が、平均値を求めることから除外されてよい。
【0113】
順応変化量は、他の方法でテープの全長を循環させて順応させることによって生じる大きいタイム・ペナルティが発生せずに、より短い長さのテープではなく、テープ全体が循環されて順応した場合に発生するであろう変化の計算された推定値を提供する。したがって、決定された順応変化量に基づいて、基準SBD値の一部またはすべてが調整されてよい(例えば、動作1116を参照)。決定された順応変化量は、テープ・カートリッジのより短い長さのテープの順応変化量を基準SBDに加算するか、または基準SBDから減算することによって、テープ・カートリッジ全体の順応量として機能してよい。背景として、上記の例を続けて、基準SBD値1、2、および3が(それぞれ)100、101、および102であると仮定し、ほぼ同じ位置での循環後のSBD値が(それぞれ)95、94、および97であると仮定すると、循環後のSBD値1、2、および3と基準SBD値1、2、および3の差は、(それぞれ)5、7、および5であると決定されてよい。これらの値5、7、および5の平均値は、約5.67、例えば、(5+7+5)/3≒5.67であると決定されてよい。したがって、順応変化量は、5.67であると決定されてよく、次に、この値が、基準SBD値から減算されてよく、それによって、テープ・カートリッジ全体の順応を推定する。
【0114】
一部の手法では、より短い長さの基準SBD値を調整するのではなく、より短い長さのテープの循環後のSBD値が、より短い長さのテープのSBD値として任意選択的に使用されてよい。これは、循環後のSBD値がより短い長さのテープから直接測定され、したがって、これらの値自体が、テープの順応した状態を反映することがあるためである。
【0115】
一部の手法では、調整された基準SBD値が、メモリ、例えば、ドライブのメモリまたはカートリッジのメモリあるいはその両方に格納されてよい。そのような手法のうちの1つまたは複数では、その後、読み取り動作または書き込み動作あるいはその両方を実行するときに、テープ全体にわたってSBDを補正するために、調整された基準SBD値がアクセスされてよい。一部の他の手法では、読み取り動作または書き込み動作あるいはその両方の実行中に、基準SBD値の調整が実行されてよい。例えば、テープに対して実行される読み取り動作中に、テープ・ドライブのコントローラは、決定された順応変化量にアクセスし、テープを読み取る間に、決定された順応変化量を基準SBD値に加算するか、または基準SBD値から減算し、SBDを補正してよい。次に、基準SBD値に対する順応変化量の加算または減算の結果が、読み取り動作を実行する間に実行されるトラック追従動作に組み込まれてよい。
【0116】
順応変化量は、テープに対して1回だけ決定されるのが好ましいが、一部の手法では、方法1100は、異なる部分、例えば、テープの全長未満である、異なるより短い長さのテープに対して実行されてよい。1つの手法では、この再計算は、最初に決定された順応変化量に基づいて実行されたデータの読み取り動作または書き込み動作あるいはその両方の精度が、既定のしきい値未満である(例えば、読み取り動作中に既定の数より多い隣接するトラックが読み取られた)ということの決定に応答して実行されてよい。言い換えると、一部の手法では、最初のより短い長さのテープの循環後のSBDが、テープの残りの部分のSBDを不正確に反映していることがあり、したがって、基準SBD値の少なくとも一部を調整するのに使用された、決定された順応変化量が、そのような不正確さを引き継いでいることがある。別の手法では、この再計算は、追加または代替あるいはその両方として、現在の順応変化量が決定されてから既定の時間量が経過したということの決定に応答して実行されてよい。別の手法では、この再計算は、追加または代替あるいはその両方として、既定の量の粘弾性クリープがテープに発生したということの決定に応答して実行されてよい。さらに別の手法では、この再計算は、追加または代替あるいはその両方として、テープ・カートリッジが少なくとも既定の時間量の間位置していた環境条件が既定の量だけ変化した、例えば、テープ・ドライブの湿度センサによって測定された湿度が既定の量だけ増加した、テープ・ドライブの湿度センサによって測定された湿度が既定の量だけ減少した、テープ・ドライブの温度センサによって測定された温度が既定の量だけ増加した、テープ・ドライブの温度センサによって測定された温度が既定の量だけ減少した、などということの決定に応答して実行されてよい。そのような手法では、方法1100のさまざまな動作は、相対的により正確な読み取り動作または書き込み動作あるいはその両方を実現するために、基準SBD値の少なくとも一部を調整するための順応変化量を決定しようとする試みにおいて、テープの異なる部分に対して実行されてよい。一部の他の手法では、順応変化量の再計算は、同じより短い長さのテープに対して実行されてよい。しかし、順応変化量の再計算が、テープに記録されているデータを正確に読み出す能力を損なうことがあるということに注意するべきである。したがって、そのような手法の一部では、順応変化量の再計算は、テープ全体が上書きされる予定である場合にのみ実行されるのが好ましい。
【0117】
例えば方法1100などの、本明細書に記載された1つまたは複数の技術が実装されたデータ・ストレージ・システムに生じる、数多くの利点があるということに注意するべきである。例えば、テープ・ドライブを利用するデータ・ストレージ・システムの性能が、以前はSBDに関して分析されなかったテープ・カートリッジのテープのSBDを分析または補正することにおいて消費される時間量に関して向上する。これは、テープの全長を順応させるためにテープの全長が循環される代わりに、テープの全長の基準SBD値の一部またはすべてを調整する量を決定するために、より短い長さのテープのみが循環されるからである。本明細書の他の場所で述べたように、テープの全長を循環させてテープの全長を順応させることは、1サイクルにつき平均6分以上を消費することがある。例示の目的で、より短い長さのテープが、テープの全長の約5%未満である場合、方法1100で説明された技術を使用して、テープの全循環時間の95%、例えば、1サイクルにつき約5分42秒以上が防がれる。したがって、テープの全長にわたるテープの順応に起因するSBDの変化を補正する方法を決定するために、より短い長さのテープを循環させることに関して本明細書において開示された本発明の発見は、従来の見識に反して進む。さらに、より短い長さのテープのみが循環されるにもかかわらず、より短い長さのテープ内のSBDの特徴付けに関する結論が、テープの残りの長さに適用されるため、テープの全長に沿ったSBDが最終的に修正される。テープの残りの長さへのより短い長さのテープのSBDの特徴付けの適用は、その後、テープの残りの長さが、動作1108で実行された循環の間により短い長さのテープが順応した方法に類似する方法で最終的に順応するということを期待して可能にされる。
【0118】
より短い長さのテープの決定された順応変化量、または例えば、基準SBD値、より短い長さのテープの循環後のSBDなどの、方法1100で決定された他の情報、あるいはその両方が、以下では「SBD情報」と呼ばれることがあるということに注意するべきである。テープおよびそのカートリッジに関連して格納されたSBD情報は、次に、読み取りおよび書き込みなどの他のことに使用され得る。
【0119】
書き込み中に、格納されたSBD情報が、例えばCMから取り出され、現在の書き込み動作のための望ましいSBDの参照値として使用するために、ドライブのメモリに読み込まれてよい。ほとんどのテープ・フォーマットがシングリングを利用するため、現在のトラックは、前に書き込まれたトラックを部分的に上書きする。シングリングの量は正確に制御されなければならず、そうしないと、過剰な量の前のトラックが上書きされ、それらの前のトラックに書き込まれたデータが、読み取り不可能になり、データが復元できないように失われる。テープおよびヘッドの寸法変化が、書き込まれるトラックの位置に影響を与えるため、現在の書き込み動作が前に書き込まれたデータを過剰に切り取らず、減らさないことが、極めて重要である。
【0120】
図12は、テープ・カートリッジの磁気記録テープへの書き込みを制御するための方法1200のフローチャートである。方法1200は、さまざまな手法において、特に
図1~16に示された環境のいずれかにおいて本発明に従って実行されてよい。当然、当業者が本説明を読むときに理解するであろうように、
図12において具体的に説明された動作よりも多いか、または少ない動作が方法1200に含まれてよい。
【0121】
方法1200のステップの各々は、動作環境の任意の適切なコンポーネントによって実行されてよい。例えば、さまざまな実施形態では、方法1200は、テープ・ドライブ、または1つまたは複数のプロセッサを含んでいる他のデバイスによって、部分的に、または全体的に実行されてよい。ハードウェアまたはソフトウェアあるいはその両方において実装され、好ましくは少なくとも1つのハードウェア・コンポーネントを含んでいるプロセッサ(例えば、処理回路、チップ、またはモジュール、あるいはその組み合わせ)が、方法1200の1つまたは複数のステップを実行するために任意のデバイス内で利用されてよい。プロセッサの例としては、中央処理装置(CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)など、これらの組み合わせ、または従来技術において知られた任意の他の適切なコンピューティング・デバイスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
方法1200は、テープ・カートリッジのテープに書き込むことの要求を受信することに応答して実行されてよい。以下のステップに加えて、テープをテープ・ドライブに装着すること、テープをマウントすること、テープを書き込むための適切な位置まで巻き取ること、テープ上のデータに関するインデックス情報を処理することなどを含む従来の動作が、通常は実行される。
【0123】
動作1202は、テープ・カートリッジに関するサーボ・バンド差情報を取り出すことを含む。やはり、サーボ・バンド差情報は、カートリッジのCM、テープ自体、リモートのデータベースなどの任意のソースから取り出されてよい。
【0124】
動作1204は、テープ・ドライブの磁気ヘッドのサーボ・リーダを使用して、テープ・カートリッジの磁気記録テープの長さに沿ったさまざまな位置でサーボ・バンド差を測定することを含む。例えば、サーボ・バンド差測定結果は、テープが書き込み位置にインデックス付けされるときに受け取られてよい。別の手法では、書き込みの前に、テープ全体に沿った点、またはそのうちの選択された部分で、測定結果が受け取られてよい。書き込み動作中に、測定の少なくとも一部が実行されるのが好ましい。
【0125】
動作1206は、サーボ・バンド差測定結果またはその派生情報あるいはその両方を、取り出されたSBD情報(SBD情報内の値またはSBD情報から導き出された値あるいはその両方など)と比較することを含む。例えば、現在の測定結果が、CMに記録されたSBD値と比較されてよい。
【0126】
動作1208は、比較の結果に少なくとも部分的に基づいて書き込み動作を制御することを含む。動作1208では、書き込み動作に関連する任意のパラメータが制御されてよく、動作1206がトラック外の書き込みの可能性を示している場合に、比較の結果に応答して、書き込みを一時停止するか、または取り消すか、あるいはその両方を実行する、テープの張力を調整するか、またはテープを加熱もしくは冷却するか、あるいはその両方を実行することにより、テープの幅を変更すること、例えば、統合加熱デバイス(integrated heating device)を使用してヘッドの熱膨張を引き起こすこと、圧電デバイスを使用してヘッドの膨張または収縮を引き起こすことなどにより、磁気ヘッドの変換器間のピッチを調整することなどによって、トラック外の書き込みの発生を減らすために、テープ・ドライブの動作条件を調整する、テープの移動方向に対する直角から離れて変換器のアレイの軸を傾ける、などが行われてよい。
【0127】
書き込みの前に動作1208の比較が実行される場合、比較の結果がトラック外の書き込みの可能性を示していることに応答して、書き込み動作が一時停止されてよく、例えば、開始されなくてよく、比較の結果を改善しようとする試みにおいて、書き込み条件が調整されてよい。比較の結果が、トラック外の書き込みが必ず発生することを示す事前に定義された範囲内である場合、書き込み動作全体が取り消されてよい。比較の結果が、テープの一部のみが書き込みに適さないことを示す場合、その部分から離れたテープの領域で書き込みが実行されてよい。
【0128】
書き込み中に比較が実行される場合、比較の結果がトラック外の書き込みの可能性(実際のトラック外の書き込みを含む)を示していることに応答して、書き込み動作が一時停止されてよい。
【0129】
1つの手法では、現在のSBD情報と格納されたSBD情報の間の差が、使用されているフォーマットによって許容され得る量より小さい場合に、書き込みを続行することが許可される。この差がこの量より大きい場合、隣接するトラックの上書きを防ぐために、書き込みが停止される。この状況は、過剰な位置誤差信号(PES)の場合に、隣接するトラックの上書きを防ぐために書き込みが停止される状況に類似している。SBDが、使用されている特定のフォーマットに対して設定されたしきい値を超える場合、複数の選択肢が使用可能である。1つの選択肢は、単に書き込みを停止することであり、書き込み停止距離(stop writing distance)が十分に長い場合に、書き込み動作が、永続的エラーを伴って停止してよい。さまざまな手法では、このエラーは、書き込みが停止することを引き起こすが、前に書き込まれたデータを保護し、そうしないと、書き込み停止条件でない場合に、前に書き込まれたデータが上書きされる。
【0130】
前述したように、書き込み動作を制御するための別の選択肢は、テープの張力を変えることなどの、SBDを調整するための方式を利用することである。SBDを調整するための任意の他の技術も利用されるか、または代替として利用されるか、あるいはその両方が可能であるということに注意する。1つの手法では、CMの参照値と相対的なSBDに関わらず、張力が継続的に調整される。別の手法では、SBDが参照値からのしきい値を超える場合にのみ、張力が調整される。SBDがしきい値を超えるまで張力の調整を待つことの可能性のある利点は、張力を利用することに、より高い応力値を有するテープ・パックを作り出すなどの、マイナスの副作用があることである。張力が確実に必要とされるまで、張力の使用を遅らせることによって、必要になるまでマイナスの副作用が延期され得る。
【0131】
動作1204で作成されたSBD測定結果またはその派生情報あるいはその両方は、テープ・カートリッジ、例えば、DSIT、CM、またはテープ、あるいはその組み合わせに格納されるのが好ましい。
【0132】
好ましい手法では、書き込み中に受け取られる測定結果(書き込みの前または後、ただし、テープが装着された後に、テープが取り外される前に、受け取られた測定結果を含むか、またはそのような測定結果であるか、あるいはその両方であってよい)の場合、書き込みの時点でのSBDの実際の測定結果またはその派生情報あるいはその両方が、テープに書き込まれたデータに関する詳細と共に、DSITに記録される。現在のSBD情報は、CMに書き込まれた値に関わらず、格納されるのが好ましい。最初のカートリッジの特徴付けと使用データの実際の書き込みの間には、通常、SBDにおけるある程度の差が存在するため、DSITに記録された現在のSBD情報は、カートリッジの初期化中にCMに書き込まれたSBD情報と異なってよい。書き込み中に測定されたSBDが、VPDからのいずれかの既知のヘッド・パラメータまたは温度/湿度の影響あるいはその両方によって変更されるべきでないということに注意することは重要である。前に格納されたヘッドの間隔値は、カートリッジの正確な測定結果をCMに取得するために、カートリッジの較正中に役立つが、書き込み中のSBDの測定結果が、書き込み時のヘッドおよび媒体の状態の記述であるため、これらの値は、書き込み中に記録されるべきではない。例えば、カートリッジの初期化中に理想的なサーボ間隔より広い「幅広の」ヘッドが使用された場合、測定に関して幅広のヘッドが有するバイアスを除去するのが望ましい。しかし、実際の書き込みプロセス中に、この幅広のヘッドは、遠くに離れた位置でトラックを書き込み、ドライブは、この挙動に適したアクションを実行するべきである。CMは、理想的なライタが書き込む中に観測する参照位置を保持し、一方、DSITは、書き込み中に観測される実際の条件に関する情報を含む。
【0133】
図13は、1つの例示的な使用モードの方法1300のフローチャートである。方法1300は、さまざまな手法において、特に
図1~16に示された環境のいずれかにおいて本発明に従って実行されてよい。当然、当業者が本説明を読むときに理解するであろうように、
図13において具体的に説明された動作よりも多いか、または少ない動作が方法1300に含まれてよい。
【0134】
方法1300のステップの各々は、動作環境の任意の適切なコンポーネントによって実行されてよい。例えば、さまざまな実施形態では、方法1300は、テープ・ドライブ、または1つまたは複数のプロセッサを含んでいる他のデバイスによって、部分的に、または全体的に実行されてよい。ハードウェアまたはソフトウェアあるいはその両方において実装され、好ましくは少なくとも1つのハードウェア・コンポーネントを含んでいるプロセッサ(例えば、処理回路、チップ、またはモジュール、あるいはその組み合わせ)が、方法1300の1つまたは複数のステップを実行するために任意のデバイス内で利用されてよい。プロセッサの例としては、中央処理装置(CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)など、これらの組み合わせ、または従来技術において知られた任意の他の適切なコンピューティング・デバイスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0135】
動作1302で、書き込みの前、または書き込み中、あるいはその両方で、書き込みヘッドによって現在のSBDが測定される。判定1304は、張力が変化することができるかどうかを示す。張力が変化することができる場合、テープ上のこの特定の位置に関して、現在のSBDをCMに格納されている参照SBDに向かって進めるように、張力が調節される。動作1306を参照する。張力が変化することができない場合、単にSBDが観測される。動作1308を参照する。判定1310で、現在のSBDが、特定の量、例えば、トラック外の書き込みの可能性を示す事前に定義された量を超える量だけ、CMに格納されている参照SBDと異なるかどうかに関する判定が行われる。現在のSBDが、少なくとも特定の量だけ、参照SBDと異ならない場合、動作1312で書き込みが続行する。現在のSBDは、DSITに格納されてもよい。現在のSBDが、少なくとも特定の量だけ、参照SBDと異なる場合、トラック外の書き込みまたはトラックの切り取りあるいはその両方を防ぐために、動作1314で書き込みが中断される。
【0136】
ここで、読み取り動作中にSBD情報を使用することについて説明する。読み取り中に、書き込み中に観測されたSBDの値などの、書き込み中に格納されたSBD情報が、例えばDSIT情報から読み取られる。可能な最良の読み取りを実現するために、リーダのすべてが、テープ上の各トラックの上の中心に配置されるのが望ましい。これは、読み取り中に観測されたSBDが、例えば、書き込み中にDSITに格納された値に一致する場合に、最も良く実現される。リーダのすべてが、テープ上の各トラックの上の中心に配置された場合、エラー率が低くなり、エラー訂正符号(ECC:Error Correction Code)処理などの、必要とされるエラー訂正処理が少なくなる。したがって、エラー処理機能は、より多くのリソースを、電子ノイズ、媒体の欠陥などに対処することなどの他の動作に割り当てることができる。読み取り動作は、書き込みを一時停止すること、データが書き込まれたときに格納されたSBD情報からのSBDに一致しようとする試みにおいて、読み取り中にSBDを変更することなどのために、制御されてよい。
【0137】
図14は、テープ・カートリッジの磁気記録テープへの書き込みを制御するための方法1400のフローチャートである。方法1400は、さまざまな手法において、特に
図1~16に示された環境のいずれかにおいて本発明に従って実行されてよい。当然、当業者が本説明を読むときに理解するであろうように、
図14において具体的に説明された動作よりも多いか、または少ない動作が方法1400に含まれてよい。
【0138】
方法1400のステップの各々は、動作環境の任意の適切なコンポーネントによって実行されてよい。例えば、さまざまな実施形態では、方法1400は、テープ・ドライブ、または1つまたは複数のプロセッサを含んでいる他のデバイスによって、部分的に、または全体的に実行されてよい。ハードウェアまたはソフトウェアあるいはその両方において実装され、好ましくは少なくとも1つのハードウェア・コンポーネントを含んでいるプロセッサ(例えば、処理回路、チップ、またはモジュール、あるいはその組み合わせ)が、方法1400の1つまたは複数のステップを実行するために任意のデバイス内で利用されてよい。プロセッサの例としては、中央処理装置(CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)など、これらの組み合わせ、または従来技術において知られた任意の他の適切なコンピューティング・デバイスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0139】
方法1400は、テープ・カートリッジのテープから読み取ることの要求を受信することに応答して実行されてよい。以下のステップに加えて、テープをテープ・ドライブに装着すること、テープをマウントすること、テープ上のデータに関するインデックス情報を処理すること、テープを読み取るための適切な位置まで巻き取ることなどを含む従来の動作が、通常は実行される。
【0140】
動作1402は、テープ・カートリッジに関するサーボ・バンド差情報を取り出すことを含む。やはり、SBD情報は、カートリッジのCM、テープ自体、リモートのデータベースなどの任意のソースから取り出されてよい。ここで、取り出されたSBD情報は、読み取られるデータの書き込みと同時に、すなわち、書き込み動作のための装着と、その後のテープ・カートリッジの取り外しとの間のある期間に測定されるときに、磁気記録テープの状態を示すのが好ましい。例えば、必要に応じて書き込み動作が制御され得るように、データを書き込む前に(または同等に、データを書き込んだ後に)収集されたSBD情報が取り出されてよい。
【0141】
動作1404は、読み取り動作を実行するテープ・ドライブの磁気ヘッドのサーボ・リーダを使用して、テープ・カートリッジの磁気記録テープの長さに沿ったさまざまな位置でサーボ・バンド差を測定することを含む。例えば、サーボ・バンド差測定結果は、テープが読み取り位置にインデックス付けされるときに受け取られてよい。別の手法では、読み取りの前に、テープ全体に沿った点、またはそのうちの選択された部分で、測定結果が受け取られてよい。読み取り動作中に、測定の少なくとも一部が実行されるのが好ましい。
【0142】
動作1406は、SBD測定結果またはその派生情報あるいはその両方を、取り出されたSBD情報(取り出されたSBD情報内の値またはSBD情報から導き出された値あるいはその両方など)と比較することを含む。例えば、現在の測定結果が、読み取られるデータがテープに書き込まれたときにDSITに記録されたSBD情報と比較されてよい。
【0143】
動作1408は、比較の結果に少なくとも部分的に基づいて読み取り動作を制御することを含む。動作1408では、読み取り動作に関連する任意のパラメータが制御されてよく、動作1406がトラック外の読み取りの可能性を示している場合に、比較の結果に応答して、読み取りを一時停止するか、または取り消すか、あるいはその両方を実行する、動作1406がトラック外の読み取りの可能性を示している場合に、比較の結果に応答して、エラー回復を実行する、テープの張力を調整するか、またはテープを加熱もしくは冷却するか、あるいはその両方を実行することにより、テープの幅を変更すること、例えば、統合加熱デバイスを使用してヘッドの熱膨張を引き起こすことにより、磁気ヘッドの変換器間のピッチを調整することなどによって、トラック外の読み取りの発生を減らすために、テープ・ドライブの動作条件を調整する、などが行われてよい。
【0144】
前述したように、DSITに書き込まれたSBDに一致するように、読み取り中にSBDを変更するために、張力または他の技術が使用されてよい。しかし、詰め込まれたテープの応力を変更しないことが望ましい場合、張力を変更しないことが望ましいことがあり、張力の変更は、永続的な読み取りエラーを引き起こす可能性がある。現在のSBDとDSITに記録されたSBDの間で大きい差が観測された場合、張力の範囲を増やすこと(または初期設定が張力を固定されたままにしていた場合でも、張力の調節を利用すること)などの、一時的なエラー回復が実行されてよい。通常、エラー回復動作は、エラー状態より好ましい。しかし、異なるリーダ・ヘッドの間隔値(ピッチ)を有する他のドライブ、あるいは他の温度条件もしくは湿度条件またはその両方が、リーダを各トラックにより厳密に揃えることができる読み取り中の明白な間隔を変更してもよい。
【0145】
図15は、1つの例示的な使用モードの方法1500のフローチャートである。方法1500は、さまざまな手法において、特に
図1~16に示された環境のいずれかにおいて本発明に従って実行されてよい。当然、当業者が本説明を読むときに理解するであろうように、
図15において具体的に説明された動作よりも多いか、または少ない動作が方法1500に含まれてよい。
【0146】
方法1500のステップの各々は、動作環境の任意の適切なコンポーネントによって実行されてよい。例えば、さまざまな実施形態では、方法1500は、テープ・ドライブ、または1つまたは複数のプロセッサを含んでいる他のデバイスによって、部分的に、または全体的に実行されてよい。ハードウェアまたはソフトウェアあるいはその両方において実装され、好ましくは少なくとも1つのハードウェア・コンポーネントを含んでいるプロセッサ(例えば、処理回路、チップ、またはモジュール、あるいはその組み合わせ)が、方法1500の1つまたは複数のステップを実行するために任意のデバイス内で利用されてよい。プロセッサの例としては、中央処理装置(CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)など、これらの組み合わせ、または従来技術において知られた任意の他の適切なコンピューティング・デバイスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0147】
動作1502で、読み取りの前、または読み取り中、あるいはその両方で、読み取りヘッドによって現在のSBDが測定される。判定1504は、張力が変化することができるかどうかを判定する。張力が変化することができる場合、テープ上のこの特定の位置に関して、現在のSBDをDSITに格納されている参照SBDに向かって進めるように、張力が調節される。動作1506を参照する。張力が変化することができない場合、単にSBDが観測される。動作1508を参照する。判定1510で、現在のSBDが、特定の量、例えば、トラック外の読み取りの可能性を示す事前に定義された量を超える量だけ、DSITに格納されている参照SBDと異なるかどうかに関する判定が行われる。現在のSBDが、少なくとも特定の量だけ、参照SBDと異ならない場合、動作1512で読み取りが続行する。現在のSBDが、少なくとも特定の量だけ、参照SBDと異なる場合、動作1514で、張力の範囲を増やすようなエラー回復を実行することなどの、改善策が実行される。顧客に対する警告も出力されてよく、または代替として出力されてよい。
【0148】
上で詳細に説明されたようなSBDデータの生成および使用に加えて、1つのさらなる利点は、例えば、カートリッジの初期化中にCMに格納されたSBD情報が、テープ・カートリッジに発生したクリープの量を測定するための参照値として使用されてよいということである。例えば、データがテープ・カートリッジのテープに格納され、その5年後に、ユーザが、クリープの程度に関してテープの状態を知りたくなったと仮定して、このテープは、ドライブに装着されてよく、例えば、最初のカートリッジ初期化と同様の運動中に、SBDが、BOTからEOTまで、またはBOTとEOTの間のある長さについて、測定されてよい。この特定のテープ・カートリッジの初期化に使用されたドライブと異なるドライブに対してこの検証が実行された場合でも、両方のドライブがそれぞれヘッドの間隔値を持っているため、現在の測定結果が補正され得る。さらに、公称状態でのテープの間隔条件をより厳密に近似するために、温度または湿度あるいはその両方の補正が適用されてもよい。残る課題は、初期化中のヘッドもしくは検証中のヘッドの変化、または他の環境変化、あるいはその組み合わせに影響されない、現在の状態との初期化時のテープの状態の比較である。テープの初期化以後に発生したクリープの量、環境の違いの量、またはこれらの両方の組み合わせを定量化することが、望ましいことがある。最初のヘッドの距離、温度、および湿度と共に、最初のSBD測定結果を記録することによって、これらの差が取得され得る。クリープまたは他の変化を定量化するこの能力は、クリープ速度が予想どおりであることを確認するために、テープを定期的に測定するのが望ましい、大きいテープ・ライブラリの設置に役立つ特徴である。特定のテープが望ましい量より大きく変形したかどうかを検出するための判定が行われてもよく、これらのテープは、過剰なクリープがこれらのテープを読み取り不可能にする前に、代替のテープにコピーするためにマーク付けされ得る。データを代替のテープにコピーした後に、これらのクリープが大きいテープは、再初期化/再フォーマットされてよく、これによって、CM内の参照値をリセットし、すでに発生した経年劣化/クリープを無関係にする。
【0149】
図16は、テープ・カートリッジのテープの前の状態を基準にしてテープ・カートリッジのテープの現在の状態を特徴付けるための方法1600のフローチャートである。このプロセス1600は、テープの経年劣化の影響、テープに対する環境条件の現在の影響などの決定を可能にする。方法1600は、さまざまな手法において、特に
図1~16に示された環境のいずれかにおいて本発明に従って実行されてよい。当然、当業者が本説明を読むときに理解するであろうように、
図16において具体的に説明された動作よりも多いか、または少ない動作が方法1600に含まれてよい。
【0150】
方法1600のステップの各々は、動作環境の任意の適切なコンポーネントによって実行されてよい。例えば、さまざまな実施形態では、方法1600は、テープ・ドライブ、または1つまたは複数のプロセッサを含んでいる他のデバイスによって、部分的に、または全体的に実行されてよい。ハードウェアまたはソフトウェアあるいはその両方において実装され、好ましくは少なくとも1つのハードウェア・コンポーネントを含んでいるプロセッサ(例えば、処理回路、チップ、またはモジュール、あるいはその組み合わせ)が、方法1600の1つまたは複数のステップを実行するために任意のデバイス内で利用されてよい。プロセッサの例としては、中央処理装置(CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)など、これらの組み合わせ、または従来技術において知られた任意の他の適切なコンピューティング・デバイスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0151】
方法1600は、テープ・カートリッジのテープから読み取ること、またはテープに書き込むこと、あるいはその両方の要求を受信することに応答して実行されてよい。この要求は、正常性チェックを含んでよい。方法1600は、ドライブ、ライブラリ、またはユーザ、あるいはその組み合わせが、読み取り動作または書き込み動作あるいはその両方が成功するか、あるいは変換器とデータ・トラックの間の位置ずれに起因して、過剰な上書きもしくは読み取りエラーまたはその両方を引き起こすかを判定することを可能にする。別の手法では、方法1600は、単に正常性チェックを実行することの要求を受信することに応答して実行されてよい。さらに別の手法では、方法1600の動作のうちのいくつかは、例えば、テープが既定の時間量を超えて書き込まれなかったということの決定、読み取り時のエラーの検出などに応答して、正常性チェックの要求を受信せずに自動的に実行されてよい。
【0152】
以下のステップに加えて、テープをテープ・ドライブに装着すること、テープをマウントすること、テープ上のデータに関するインデックス情報を処理することなどを含む従来の動作が、通常は実行される。
【0153】
動作1602は、初期化されたカートリッジをドライブに装着することを含む。判定1604は、このカートリッジに対して正常性チェックが要求されたかどうかを判定する。正常性チェックが要求されていない場合、このカートリッジは、読み取り動作または書き込み動作あるいはその両方の準備ができていると見なされる。動作1606を参照する。正常性チェックが要求された場合、動作1608で、一定の張力を使用して、テープに沿った複数の位置でSBDが測定される。この張力は、初期化中に使用された張力とほぼ同じであるのが好ましい。動作1610で、さまざまなパラメータのいずれかに関して、測定結果が補正される。例えば、ドライブ情報を使用して決定された実際のヘッドの寸法に関して、測定結果が補正されてよい。望ましい正常性チェックの種類に応じて、温度または湿度あるいはその両方も補正することが、有利であることがある。動作1612で、テープのSBDの現在の特徴付けが、初期化中に作成されたカートリッジのCM内の参照値と比較される。クリープの程度などの経年劣化の影響が、この比較に基づいて特徴付けられてよく、この特徴付けは、このSBD測定結果ごとに実行されるのが好ましいが、SBD測定結果のサブセットに対して実行されてよい。そのような特徴付けの任意の種類の指示または値が使用されてよい。比較がデータ損失の可能性を示しており、ユーザがデータの移行を検討するべきであるか、またはデータを移行するべきであるということなどを示すために、警告が出力されてよい。
【0154】
示された例では、CM内の参照値と現在のSBD測定結果の間の差の絶対値が、値Xを下回るなどの、ある範囲内である場合、クリープは、最小である(例えば、グリーン・ステータス)として特徴付けられてよい。動作1614を参照する。CM内の参照値と現在のSBD測定結果の間の差の絶対値が、値Xを上回るなどの、別の範囲内である場合、クリープは、読み取り動作/書き込み動作に影響を与える可能性がある(例えば、イエロー・ステータス)として特徴付けられてよい。動作1616を参照する。CM内の参照値と現在のSBD測定結果の間の差の絶対値が、事前に定義された量だけ値Xを上回るなどの、第3の範囲内である場合、クリープは、読み取り動作/書き込み動作に影響を与える可能性が極めて高い(例えば、レッド・ステータス)として特徴付けられてよい。動作1618を参照する。ステータスに基づいて、前述のアクションなどのアクションが実行されてよい。
【0155】
このプロセス1600は、特に、必要に応じて改善策が実行され、それによって、データ損失の可能性を最小限に抑えることができるように、テープの経年劣化の特徴付けを可能にする。例えば、カートリッジにレッド・ステータスが割り当てられた場合、データが異なるカートリッジに移動されてよい。データが移動され、テープが消去されることが可能になった後に、カートリッジは、再初期化されて、通常どおり使用され得る。テープが現在の状態で特徴付けられているため、クリープは、問題と見なされなくなる。
【0156】
本発明は、任意の可能な統合の技術的詳細レベルで、システム、方法、またはコンピュータ・プログラム製品、あるいはその組み合わせであってよい。コンピュータ・プログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を含んでいる1つまたは複数のコンピュータ可読ストレージ媒体を含んでよい。
【0157】
コンピュータ可読ストレージ媒体は、命令実行デバイスによって使用するための命令を保持および格納できる有形のデバイスであることができる。コンピュータ可読ストレージ媒体は、例えば、電子ストレージ・デバイス、磁気ストレージ・デバイス、光ストレージ・デバイス、電磁ストレージ・デバイス、半導体ストレージ・デバイス、またはこれらの任意の適切な組み合わせであってよいが、これらに限定されない。コンピュータ可読ストレージ媒体のさらに具体的な例の非網羅的リストは、ポータブル・フロッピー(R)・ディスク、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM:read-only memory)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM:erasable programmable read-only memoryまたはフラッシュ・メモリ)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM:static random access memory)、ポータブル・コンパクト・ディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD:digital versatile disk)、メモリ・スティック、フロッピー(R)・ディスク、命令が記録されているパンチカードまたは溝の中の隆起構造などの機械的にエンコードされるデバイス、およびこれらの任意の適切な組み合わせを含む。本明細書において使用されるとき、コンピュータ可読ストレージ媒体は、電波または他の自由に伝搬する電磁波、導波管または他の送信媒体を伝搬する電磁波(例えば、光ファイバ・ケーブルを通過する光パルス)、あるいはワイヤを介して送信される電気信号などの、それ自体が一過性の信号であると解釈されるべきではない。
【0158】
本明細書に記載されたコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読ストレージ媒体から各コンピューティング・デバイス/処理デバイスへ、またはネットワーク(例えば、インターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、広域ネットワーク、またはワイヤレス・ネットワーク、あるいはその組み合わせ)を介して外部コンピュータまたは外部ストレージ・デバイスへダウンロードされ得る。このネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、ワイヤレス送信、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイ・コンピュータ、またはエッジ・サーバ、あるいはその組み合わせを備えてよい。各コンピューティング・デバイス/処理デバイス内のネットワーク・アダプタ・カードまたはネットワーク・インターフェイスは、コンピュータ可読プログラム命令をネットワークから受信し、それらのコンピュータ可読プログラム命令を各コンピューティング・デバイス/処理デバイス内のコンピュータ可読ストレージ媒体に格納するために転送する。
【0159】
本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セット・アーキテクチャ(ISA:instruction-set-architecture)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路のための構成データ、あるいはSmalltalk(R)、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語などの手続き型プログラミング言語を含む1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソース・コードまたはオブジェクト・コードであってよい。コンピュータ可読プログラム命令は、ユーザのコンピュータ上で全体的に実行すること、ユーザのコンピュータ上でスタンドアロン・ソフトウェア・パッケージとして部分的に実行すること、ユーザのコンピュータ上およびリモート・コンピュータ上でそれぞれ部分的に実行すること、あるいはリモート・コンピュータ上またはサーバ上で全体的に実行することができる。後者のシナリオでは、リモート・コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されてよく、または接続は、(例えば、インターネット・サービス・プロバイダを使用してインターネットを介して)外部コンピュータに対して行われてよい。一部の実施形態では、本発明の態様を実行するために、例えばプログラマブル・ロジック回路、フィールドプログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、またはプログラマブル・ロジック・アレイ(PLA:programmable logic arrays)を含む電子回路は、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用することによって、電子回路をカスタマイズするためのコンピュータ可読プログラム命令を実行してよい。
【0160】
本発明の態様は、本明細書において、本発明の実施形態に従って、方法、装置(システム)、およびコンピュータ・プログラム製品のフローチャート図またはブロック図あるいはその両方を参照して説明される。フローチャート図またはブロック図あるいはその両方の各ブロック、ならびにフローチャート図またはブロック図あるいはその両方に含まれるブロックの組み合わせが、コンピュータ可読プログラム命令によって実装され得るということが理解されるであろう。
【0161】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックに指定される機能/動作を実施する手段を作り出すべく、コンピュータ、または他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供されてマシンを作り出すものであってよい。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、命令が格納されたコンピュータ可読ストレージ媒体がフローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックに指定される機能/動作の態様を実施する命令を含んでいる製品を備えるように、コンピュータ可読ストレージ媒体に格納され、コンピュータ、プログラム可能なデータ処理装置、または他のデバイス、あるいはその組み合わせに特定の方式で機能するように指示できるものであってもよい。
【0162】
コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ上、他のプログラム可能な装置上、または他のデバイス上で実行される命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックに指定される機能/動作を実施するように、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、または他のデバイスに読み込まれてもよく、それによって、一連の動作可能なステップを、コンピュータ上、他のプログラム可能な装置上、またはコンピュータ実装プロセスを生成する他のデバイス上で実行させる。
【0163】
図内のフローチャートおよびブロック図は、本発明のさまざまな実施形態に従って、システム、方法、およびコンピュータ・プログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能、および動作を示す。これに関連して、フローチャートまたはブロック図内の各ブロックは、規定された論理機能を実装するための1つまたは複数の実行可能な命令を備える、命令のモジュール、セグメント、または部分を表してよい。一部の代替の実装では、ブロックに示された機能は、図に示された順序とは異なる順序で発生してよい。例えば、連続して示された2つのブロックは、実際には、含まれている機能に応じて、1つのステップとして実現されるか、同時に実行されるか、時間的に部分的または完全に重複する方法で実質的に同時に実行されるか、あるいは場合によっては逆の順序で実行されてよい。ブロック図またはフローチャート図あるいはその両方の各ブロック、ならびにブロック図またはフローチャート図あるいはその両方に含まれるブロックの組み合わせは、規定された機能または動作を実行するか、あるいは専用ハードウェアとコンピュータ命令の組み合わせを実行する専用ハードウェアベースのシステムによって実装され得るということにも注意する。
【0164】
さらに、さまざまな実施形態に従うシステムは、プロセッサ、およびプロセッサに統合された論理またはプロセッサによって実行可能な論理あるいはその両方を含んでよく、この論理は、本明細書において列挙された処理ステップのうちの1つまたは複数を実行するように構成される。プロセッサは、処理ハードウェア、メモリ、I/Oインターフェイスなどの多くのコンポーネントを含んでいる、個別のプロセッサまたは処理回路などの、本明細書に記載されているような任意の構成であってよい。統合されるということは、つまり、プロセッサに論理が、特定用途向け集積回路(ASIC)、FPGAなどのハードウェア論理として組み込まれるということである。プロセッサによって実行可能であるということは、つまり、論理が、プロセッサによってアクセス可能なハードウェア論理、ソフトウェア論理(ファームウェア、オペレーティング・システムの一部、アプリケーション・プログラムの一部など)など、またはハードウェア論理とソフトウェア論理の何らかの組み合わせであり、プロセッサによって実行されたときに何らかの機能をプロセッサに実行させるように構成されているということである。ソフトウェア論理は、従来技術において知られた任意のメモリ・タイプの、ローカルまたはリモートあるいはその両方のメモリに格納されてよい。ASIC、FPGA、中央処理装置(CPU)、集積回路(IC:integrated circuit)、グラフィック処理装置(GPU:graphicsprocessing unit)といった、ソフトウェア・プロセッサ・モジュールまたはハードウェア・プロセッサあるいはその両方などの、従来技術において知られた任意のプロセッサが使用されてよい。
【0165】
本発明のさまざまな実施形態の説明は、例示の目的で提示されているが、網羅的であることは意図されておらず、開示された実施形態に制限されない。説明された実施形態の範囲および思想から逸脱しない多くの変更および変形が、当業者にとって明らかであろう。本明細書で使用された用語は、実施形態の原理、実際の適用、または市場で見られる技術を超える技術的改良を最も適切に説明するため、あるいは他の当業者が本明細書で開示された実施形態を理解できるようにするために選択されている。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
テープの先頭(BOT)から前記テープの末尾(EOT)まで基準サーボ・バンド差(SBD)を測定することと、
前記基準SBD測定結果の値をメモリに格納することと、
前記テープの全長未満の、より短い長さの前記テープを複数回循環させて、前記より短い長さの前記テープを順応させることと、
前記より短い長さの前記テープの循環後のSBDを決定することと、
前記より短い長さの前記基準SBDと前記より短い長さの前記循環後のSBDの間の差である、前記より短い長さの前記テープの順応変化量を決定することと、
前記決定された順応変化量に基づいて、前記基準SBD値を調整することとを含む、方法。
【請求項2】
前記方法が、前記テープのテープ・カートリッジを初めて装着することに応答して実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、フォーマット要求を受信することに応答して実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記より短い長さが、前記テープの全長の約50%未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記より短い長さが、前記テープの全長の約5%未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記より短い長さの前記テープが循環される回数が事前に決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記より短い長さの前記テープが循環される回数が少なくとも15である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
現在のSBD測定結果と以前のSBD測定結果の間の差がしきい値量を下回るということの決定に応答して、前記循環が停止される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記より短い長さの前記テープの順応変化量を決定することが、前記より短い長さの前記基準SBD値を前記より短い長さの循環後のSBD値と比較し、前記値の前記差の平均値を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
システムであって、
プロセッサと、
前記プロセッサと統合されたか、前記プロセッサによって実行可能であるか、または前記プロセッサと統合され、前記プロセッサによって実行可能である論理とを備えているシステムであり、前記論理が、前記プロセッサに、
テープの先頭(BOT)から前記テープの末尾(EOT)まで基準サーボ・バンド差(SBD)を測定することと、
前記基準SBD測定結果の値をメモリに格納することと、
前記テープの全長未満の、より短い長さの前記テープを複数回循環させて、前記より短い長さの前記テープを順応させることと、
前記より短い長さの前記テープの循環後のSBDを決定することと、
前記より短い長さの前記基準SBDと前記より短い長さの前記循環後のSBDの間の差である、前記より短い長さの前記テープの順応変化量を決定することと、
前記決定された順応変化量に基づいて、前記基準SBD値を調整することとを含む動作を実行させるように構成される、システム。
【請求項11】
前記動作が、前記テープのテープ・カートリッジを初めて装着することに応答して実行される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記動作が、フォーマット要求を受信することに応答して実行される、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記より短い長さが、前記テープの全長の約50%未満である、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記より短い長さが、前記テープの全長の約5%未満である、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記より短い長さの前記テープが循環される回数が事前に決定される、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記より短い長さの前記テープが循環される回数が少なくとも15である、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
現在のSBD測定結果と以前のSBD測定結果の間の差がしきい値量を下回るということの決定に応答して、前記循環が停止される、請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
前記より短い長さの前記テープの順応変化量を決定することが、前記より短い長さの前記基準SBD値を前記より短い長さの循環後のSBD値と比較し、前記値の前記差の平均値を決定することを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項19】
コンピュータ・プログラムであって、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の方法をコンピュータに実行させるための、コンピュータ・プログラム。
【請求項20】
請求項19に記載のコンピュータ・プログラムを記録した、コンピュータ可読ストレージ媒体。
【国際調査報告】