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特表2024-526668プラスチック供給原料の熱分解のための装置および方法
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  • 特表-プラスチック供給原料の熱分解のための装置および方法 図1
  • 特表-プラスチック供給原料の熱分解のための装置および方法 図2A
  • 特表-プラスチック供給原料の熱分解のための装置および方法 図2B
  • 特表-プラスチック供給原料の熱分解のための装置および方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】プラスチック供給原料の熱分解のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   C10G 1/10 20060101AFI20240711BHJP
   C08J 11/12 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
C10G1/10
C08J11/12 ZAB
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500545
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 US2022073246
(87)【国際公開番号】W WO2023279016
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/217,051
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/698,174
(32)【優先日】2022-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524007147
【氏名又は名称】イーツー テクノロジーズ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】バディオラ, カルロ
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ソン
(72)【発明者】
【氏名】カーリ, エス.ビー. レディ
(72)【発明者】
【氏名】フィンドレー, ジョン
【テーマコード(参考)】
4F401
4H129
【Fターム(参考)】
4F401AA09
4F401AA10
4F401AA11
4F401AA13
4F401AA22
4F401AA27
4F401BA06
4F401CA22
4F401CA58
4F401CA67
4F401CA70
4F401CA87
4F401CB14
4F401CB34
4F401CB35
4F401DA12
4F401DA13
4F401EA11
4F401EA77
4F401FA01Z
4F401FA02Z
4F401FA03Z
4F401FA20Z
4H129AA01
4H129BA04
4H129BB04
4H129BC13
4H129BC18
4H129BC26
4H129KC13X
4H129NA26
4H129NA27
(57)【要約】
本開示は、プラスチック供給原料のような供給原料を熱分解するための装置および方法に関する。少なくとも1つの実施形態において、方法は、プラスチック成分を有するプラスチック溶融物を、反応器に連結されたノズルを介して反応器に導入することを含む。本方法は、反応器とライザーまたは再生器とを連結している第1の導管を介して反応器に触媒を導入することを含む。本方法は、プラスチック成分を熱分解して熱分解生成物を形成することを含む。本方法は、反応器の上部1/2の高さに配置された第2の導管を介して反応器から熱分解生成物を取り出すことを含む。本方法は、反応器の下部1/2の高さに配置された第3の導管を介して反応器から触媒を取り出すことを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック成分を含むプラスチック溶融物を、反応器に連結されたノズルを介して反応器に導入すること;
反応器とライザーまたは再生器とを連結している第1の導管を介して反応器に触媒を導入すること;
プラスチック成分を熱分解して熱分解生成物を形成すること;
反応器の上部1/2の高さに配置された第2の導管を介して反応器から熱分解生成物を取り出すこと;
反応器の下部1/2の高さに配置された第3の導管を介して反応器から触媒を取り出すことであって、反応器から取り出された触媒が灰を含む、反応器から触媒を取り出すこと;および
触媒を第3の導管から分離器に導入し、分離器において触媒リッチ相および灰リッチ相を形成すること
を含む、方法。
【請求項2】
第3の導管が、分離器の実質的に垂直な側面に対して約30°~約90°の角度で配置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第3の導管にガスを導入することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
分離器に導入される触媒が、分離器に導入されるときに約950°F~約1,050°Fの温度を有し、約130万lb/hr~約170万lb/hrの速度で分離器に導入される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
第3の導管が、分離器内に配置された端部を有し、端部が複数の出口を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第3の導管の端部が、分離器の1/4~3/4の高さに配置されている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
第4の導管を介して、約0.3ft/s~約0.7ft/sの速度で分離器にガスを導入することをさらに含み、ガスが約150°F~約1050°Fの温度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
分離器内で触媒リッチ相および灰リッチ相を形成することが、約25psig~約40psigの圧力および約850°F~約1050°Fの温度で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
反応器から触媒を取り出すことであって、触媒が灰を含む、反応器から触媒を取り出すこと;
導管を介して触媒を分離器に導入し、分離器において触媒リッチ相および灰リッチ相を形成すること;
触媒リッチ相を再生器に導入して再生触媒を形成すること
を含む方法であって、
導管が、分離器の1/4~3/4の高さにおいて分離器内に配置された端部を有し、端部が複数の出口を備える、方法。
【請求項10】
導管が、分離器の実質的に垂直な側面に対して約30°~約90°の角度で配置されている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
分離器に導入される触媒が、分離器に導入されるときに約950°F~約1,050°Fの温度を有し、約130万lb/hr~約170万lb/hrの速度で分離器に導入される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
第2の導管を介して、約0.3ft/s~約0.7ft/sの速度で分離器にガスを導入することをさらに含み、ガスが約150°F~約1050°Fの温度を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
分離器内で触媒リッチ相および灰リッチ相を形成することが、約25psig~約40psigの圧力および約850°F~約1050°Fの温度で実行される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
プラスチック成分を含むプラスチック溶融物を、反応器に連結されたノズルを介して反応器に導入すること;
反応器とライザーまたは再生器とを連結している第1の導管を介して反応器に触媒を導入すること;
プラスチック成分を熱分解して熱分解生成物を形成すること;
反応器の上部1/2の高さに配置された第2の導管を介して反応器から熱分解生成物を取り出すこと;および
反応器の下部1/2の高さに配置された第3の導管を介して反応器から触媒を取り出すことを含む、方法。
【請求項15】
プラスチック成分を含む梱を複数の部分に選別することをさらに含み、部分のうちの少なくとも1つがプラスチック成分を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
反応器が気泡層反応器であり、プラスチック溶融物を反応器に導入する間、プラスチック溶融物が約900°F~約1,100°Fの温度を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
プラスチック成分が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、およびそれらの組み合わせ(複数可)からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
熱分解生成物が、エチレン、プロピレン、ブテン、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびそれらの組み合わせ(複数可)からなる群から選択される有機化合物を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
反応器に共注入粒子を導入することをさらに含む方法であって、共注入粒子が酸化カルシウムであり、第2の導管を介して反応器から塩化カルシウムを取り出すことを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
触媒が、約500ミクロン~約600ミクロンの平均直径を有するゼオライトである、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年3月18日に出願された米国特許非仮出願第17/698,174号の優先権を主張するものであり、該出願は、2021年6月30日に出願され、本出願の譲受人に譲渡された米国特許仮出願第63/217,051号の利益および優先権を主張するものであり、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、プラスチック供給原料のような供給原料を熱分解するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
廃プラスチックは、大部分が埋立地に回されるか、または焼却され、リサイクルに回される割合は小さい。しかし、年を追って、埋立地に対する規制や処理費用(levy)の増加に伴い、ポストコンシューマー廃棄物のうち、リサイクルまたはエネルギー回収のために焼却される割合が徐々に増加している。
【0004】
ガスオイルのような石油由来の供給原料の分解に使用される従来の分解装置を使用し、プラスチックを分解して有用な生成物にする試みがなされてきた。例えば、粉末状またはペレット状のプラスチック供給原料が流動接触分解反応器に導入されている。この反応器は、プラスチック供給原料については高温を必要とする。
【0005】
加えて、廃プラスチック(例えば、ポリ塩化ビニル)中に塩素が存在することで、反応器内部の腐食が促進され、脱塩素化生成物が反応器および装置の他の構成要素に導入され得る前に、別個の脱塩素化プロセスが必要となる。このような追加の脱塩素化工程(および脱塩素化のための反応器)により、スループットおよび所望の分解生成物の収率が低下する。
【0006】
スループットおよび収率をさらに低下させるのは、使用済み触媒(熱分解中に熱分解反応器内で形成される)である。使用済み触媒は、従来の再生器で再生することができるが、再生量は、特に塩素および微量金属を含有するプラスチック供給原料を使用している場合には不十分である。
【0007】
高収率で炭化水素生成物を形成するために、熱分解および触媒を用いたアップグレードによって変換され得るプラスチック供給原料のような供給原料の高いスループットをもたらす装置および方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、プラスチック供給原料のような供給原料を熱分解するための装置および方法に関する。
【0009】
少なくとも1つの実施形態において、方法は、プラスチック成分を含むプラスチック溶融物を、反応器に連結されたノズルを介して反応器に導入することを含む。本方法は、反応器とライザー、スタンドパイプ、または再生器とを連結している第1の導管を介して反応器に触媒を導入することを含む。本方法は、プラスチック成分を熱分解して熱分解生成物を形成することを含む。本方法は、反応器の上部1/2の高さに配置された第2の導管を介して反応器から熱分解生成物を取り出すことを含む。本方法は、反応器の下部1/2の高さに配置された第3の導管を介して反応器から触媒を取り出すことであって、反応器から取り出された触媒が灰を含む、反応器から触媒を取り出すことを含む。本方法は、触媒を第3の導管から分離器に導入し、分離器において触媒リッチ相および灰リッチ相を形成することを含む。
【0010】
少なくとも1つの実施形態において、方法は、反応器から触媒を取り出すことであって、触媒が灰を含む、反応器から触媒を取り出すことを含む。本方法は、導管を介して触媒を分離器に導入し、分離器において触媒リッチ相および灰リッチ相を形成することを含む。本方法は、触媒リッチ相を再生器に導入して再生触媒を形成することを含む。導管は、分離器の1/4~3/4の高さにおいて分離器内に配置された端部を有し、端部は複数の出口を備える。
【0011】
少なくとも1つの実施形態において、方法は、プラスチック成分を有するプラスチック溶融物を、反応器に連結されたノズルを介して反応器に導入することを含む。本方法は、反応器とライザーまたは再生器とを連結している第1の導管を介して反応器に触媒を導入することを含む。本方法は、プラスチック成分を熱分解して熱分解生成物を形成することを含む。本方法は、反応器の上部1/2の高さに配置された第2の導管を介して反応器から熱分解生成物を取り出すことを含む。本方法は、反応器の下部1/2の高さに配置された第3の導管を介して反応器から触媒を取り出すことを含む。
【0012】
本開示の実施形態のこれらおよび他の特徴および属性、ならびにそれらの有利な用途および/または使用は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0013】
本開示の上述した特徴が詳細に理解され得るように、添付の図面にその一部が図示されている態様を参照することによって、上で簡単に要約された本開示のより詳細な説明を得ることができる。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な態様を図示するのみであり、したがって、本開示は、他の同様に有効な態様を認め得るため、その範囲を限定するものとは考えられないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態による、プラスチック供給原料を熱分解するための装置およびプロセスフローを示す図である。
図2A】一実施形態によるノズルを示す図である。
図2B】一実施形態によるノズルを示す図である。
図3】一実施形態による分離器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
理解を容易にするために、図に共通する同一の要素を指定するために、可能な限り同一の参照符号が使用されている。図は縮尺通りに描かれておらず、明瞭化のために簡略化されている場合がある。ある態様の要素および特徴が、追加の説明なしに他の態様に有益に組み込まれ得ることが企図される。
【0016】
本開示は、プラスチック供給原料のような供給原料を熱分解するための装置および方法に関する。
【0017】
いくつかの実施形態において、プラスチック成分を含むプラスチック溶融物を、反応器に連結された1つまたは複数のノズルを介して反応器に導入することを含む方法が提供される。本方法は、サイクロン、スタンドパイプ、または容器-ディプレグシステムを介して反応器と連結した再生触媒の希薄相空気輸送を使用して、触媒を反応器に導入することを含む。本方法は、プラスチック成分を熱分解して熱分解生成物を形成することを含む。本方法は、反応器の上部1/2の高さに配置された第2の導管を介して反応器から熱分解生成物を取り出すことを含む。本方法は、反応器の下部1/2の高さに配置された第3の導管を介して反応器から触媒を取り出すことであって、反応器から取り出された触媒が灰を含む、反応器から触媒を取り出すことを含む。本方法は、触媒を第3の導管から分離器に導入し、分離器において触媒リッチ相および灰リッチ相を形成することを含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、反応器に連結された1つまたは複数のノズルを含む装置が提供される。ノズルは、ノズル内に配置された水平導管に対して実質的に垂直に配置された注入口を含む。装置は、反応器に連結されたライザーを含む。装置は、反応器の上部1/2の高さに配置された第1の出口導管を含む。第1の出口導管は、サイクロン分離器に連結されている。装置は、反応器の下部1/2の高さに配置された第2の出口導管を含む。第2の出口導管は、第2の分離器に連結されている。装置は、第2の分離器およびライザーに連結された再生器を含む。
【0019】
本開示の装置および方法は、プラスチックの熱分解を使用して形成される熱分解生成物の高いスループットをもたらす。方法は、廃プラスチックを処理するための従来の方法よりも高い収率をもたらす、単一段階の方法として実行することができる。本開示の装置および方法は、使用済み触媒を容易に再生することができるように、チャー、チャーアッシュ、摩耗した触媒(attrited catalyst)、および共注入材料の飛び出しをもたらし、反応器へ向かう再生触媒のより高い純度に加えて、熱分解生成物のスループットの改善をもたらす。加えて、共注入材料よりも狭い粒度分布と大きな平均直径を有する触媒を使用することにより、反応器内で触媒から共注入材料を飛び出させることができる。加えて、気泡制御をもたらすように構成された反応器に加えて、大きな平均直径を有する触媒を使用することにより、容器導管、バルブ、および他の装置構成要素の詰まりおよび摩耗が低減し、本開示の装置の健全性の維持、およびより長いライフサイクルがもたらされる。
【0020】
加えて、本開示の分離器を使用することにより、灰のような成分からの使用済み触媒の分離が改善されるため、熱分解生成物のスループットの改善がもたらされる。特に、分離器を使用することにより、触媒の活性を維持する(例えば、触媒が再生される)ことができるので、装置が停止する時間間隔を長くすることができるため、スループットが改善される。本開示の分離器はまた、(灰が分離器内で取り出されるため)使用済み触媒の再生に改善をもたらすことができ、これにより、スループットおよび熱分解生成物の収率がさらに改善される。
【0021】
反応器条件
いくつかの実施形態において、プラスチック成分を含むプラスチック溶融物を、反応器に連結された1つまたは複数のノズルを介して反応器に導入することを含む方法が提供される。本方法は、反応器とライザーとを連結している第1の導管を介した空気輸送によって触媒を反応器に導入することを含む。例えば、本方法は、サイクロン-ディプレグシステムを介して反応器と連結した再生触媒の希薄相空気輸送を使用して、触媒を反応器に導入することを含んでもよい。本方法は、プラスチック成分を熱分解して熱分解生成物を形成することを含む。本方法は、反応器の上部1/2の高さに配置された第2の導管を介して反応器から熱分解生成物を取り出すこと、および反応器の下部1/2の高さに配置された第3の導管を介して反応器から触媒を取り出すことを含む。
【0022】
装置およびプロセスフロー
図1は、一実施形態による、プラスチック供給原料を熱分解するための装置100およびプロセスフローである。装置100は、熱分解反応器102、ライザー102a、第1の分離器104、第2の分離器106、および再生器108を含む。
【0023】
プラスチック溶融物は、ノズル110を介して熱分解反応器102に導入される。プラスチック溶融物は、プラスチックスクラップ、自動車プラスチック廃棄物、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、またはそれらの組み合わせ(複数可)のような、任意の好適なプラスチック材料を含むことができる。プラスチック溶融物は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルのような1種または複数のプラスチック、またはそれらの組み合わせ(複数可)を含むことができる。プラスチックはリサイクル可能なプラスチックから得ることができる。例えば、プラスチックを含む梱(bale)は、複数の部分に選別することができ、部分のうちの少なくとも1つは、1種または複数のプラスチックを含む。いくつかの実施形態において、プラスチック溶融物は、約60,000lb/hr~約100,000lb/hr、例えば約75,000lb/hr~約85,000lb/hr、あるいは約30,000lb/hr~約50,000lb/hrの速度で反応器に導入される。プラスチック溶融物は、プラスチックに熱を供給してプラスチック溶融物を形成させるように構成され得るプラスチック溶融物源(図示せず)によってノズル110に供給され得る。いくつかの実施形態において、プラスチック溶融物は、反応器に導入される際、反応器102への導入時に約20重量%以下、例えば約15重量%以下、例えば約10重量%以下、例えば約5重量%以下、例えば約1重量%以下の固形分(例えば、チャー)含有量を有する。
【0024】
プラスチック溶融物は、粘度低下剤をさらに含んでもよい。例えば、粘度低下剤は、有機化合物(例えば、芳香族またはモノオレフィン)などの熱分解生成物の再生部分、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、ベンゼン、トルエン、キシレン、またはそれらの組み合わせ(複数可)であることができる。粘度低下剤は、加えて、またはあるいは、C~C100パラフィン、例えばC~C50パラフィン、例えばC10~C30パラフィンなどのパラフィン系有機化合物を含んでもよい。粘度低下剤は、プラスチック溶融物源(図示せず)またはノズル110においてプラスチック溶融物に導入することができる。いくつかの実施形態において、粘度低下剤に対するプラスチックの重量比(反応器への導入時)は、約0.5:1~約1.5:1、例えば約1:1である。プラスチック溶融物が粘度低下剤を含むいくつかの実施形態において、プラスチック溶融物は、約60,000lb/hr~約200,000lb/hr、例えば約120,000lb/hr~約200,000lb/hr、例えば約148,000lb/hr~約172,000lb/hrの速度で反応器に導入される。
【0025】
触媒は、第1の導管112を介して熱分解反応器102に導入することができる。導管112は、反応器102をライザー102aに連結する。導管112は、(図1に示されるように)反応器の上部1/2の高さに配置されてもよく、あるいは、第1の端部でライザー102aに連結され、ディプレグリターン(導管112)の第2の端部が反応器の下部1/2の高さに配置されるように、第2の端部で反応器102に連結されたディプレグリターンとすることができる。
【0026】
反応器102内のプラスチック溶融物および触媒により、プラスチック(複数可)を熱分解して熱分解生成物を形成する。いくつかの実施形態において、触媒は、約5.5トン/分~約13.8トン/分、例えば約7.5トン/分~約12.4トン/分、あるいは約2.5トン/分~約8.8トン/分の触媒流量で、第1の導管112を介して反応器102に導入される。いくつかの実施形態において、ライザー102aに配置された触媒は、約0.4ft/sec~約0.6ft/secの最小ガス流動化速度を有する。いくつかの実施形態において、反応器102中の供給原料(例えば、粘度低下剤を含むか、または含まないプラスチック溶融物)に対する触媒の重量比は、約15:1~約5:1、例えば約11:1~約7:1、例えば約9:1である。
【0027】
熱分解生成物は、反応器の上部1/2の高さに配置された第2の導管114を介して反応器102から取り出される。触媒は、反応器の下部1/2の高さに配置された第3の導管116を介して反応器102から取り出される。例えば、触媒は第3の導管116を介して反応器から取り出されてもよく、第3の導管116は反応器102の底面に配置されている。
【0028】
いくつかの実施形態において、反応器102は、気泡層反応器である。あるいは、流動層反応器、スラリー反応器、ロータリーキルン反応器、または充填層反応器が使用されてもよい。プラスチック溶融物(例えば、粘度低下剤なし)は、プラスチック溶融物を反応器に導入する間、約900°F~約1,100°F、例えば約1,000°F~約1,050°F、あるいは約900°F~約1,020°Fの温度を有し得る。あるいは、プラスチック溶融物(例えば、粘度低下剤を含む)は、プラスチック溶融物を反応器に導入する間、約300°F~約700°F、例えば、約350°F~約665°Fの温度を有し得る。
【0029】
いくつかの実施形態において、プラスチック溶融物の熱分解中における反応器温度は、約900°F~約1,100°F、例えば約1,000°F~約1,050°F、あるいは約900°F~約1,020°Fである。例えば、プラスチックの熱分解は、約900°F~約1,100°F、例えば約1,000°F~約1,050°Fの反応器温度、および/または約20psig~約40psig、例えば約27psig~約33psigの反応器圧力で実行することができる。
【0030】
本開示の熱分解は、熱分解生成物が、ベンゼン、トルエン、キシレン、またはそれらの組み合わせ(複数可)などの軽質ガスオレフィンおよび芳香族の貴重なモノマーを含むように、熱分解生成物をもたらすことができる。プロセス収率は、触媒、反応器の設定、およびプロセス操作条件の組み合わせを使用することにより、オレフィンおよび芳香族の所望の収率に調整可能である。熱分解生成物は、C~C12炭化水素などの有機化合物を含むことができる。いくつかの実施形態において、熱分解生成物は、エチレン、プロピレン、およびそれらの組み合わせ(複数可)からなる群から選択される有機化合物を含む。いくつかの実施形態において、熱分解生成物は、エチレン、プロピレン、ブテン、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびそれらの組み合わせ(複数可)からなる群から選択される有機化合物を含む。
【0031】
いくつかの実施形態において、触媒に加えて、共注入粒子が反応器102に導入される。例えば、共注入粒子は、約1,000lb/hr~約3,000lb/hrの速度でノズル110を介して反応器102に導入されてもよい。いくつかの実施形態において、共注入粒子は、ハロゲン(例えば、プラスチック溶融物のポリマーまたは夾雑物中に存在するフッ素、塩素、臭素またはヨウ素)をトラップするように構成された粒子である。熱分解プロセス中、このようなハロゲンは、所望の熱分解生成物中における不要な夾雑物として生じるか、または熱分解触媒成分に堆積するか、もしくは熱分解触媒成分と反応し、それにより活性および所望の熱分解生成物に対する選択性のような望ましい触媒特性が低下することがある。さらに、このようなハロゲンは、熱分解システムの機械的構成要素に堆積するか、または機械的構成要素と反応して、損傷、効率低下、機械的故障を引き起こすことがある。さらに、このようなハロゲンは、有害ガスとして、または熱分解システムの出口からの流出液中に生じることがある。ハロゲンをトラップまたは隔離するように構成された共注入粒子としては、酸化物、炭酸塩、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、石灰石、金属酸化物、混合金属酸化物、粘土、砂、土、ゼオライト、または可逆的または不可逆的な方法で1種または複数のハロゲンと結合またはハロゲンを隔離することができる任意の他の材料、または材料の組み合わせ、を挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、それによって所望の熱分解生成物からハロゲンを低減もしくは排除する、または、熱分解触媒成分へのハロゲンの有害な堆積もしくは熱分解触媒成分とハロゲンとの有害な反応を低減もしくは排除する、または、熱分解システムの機械的構成要素へのハロゲンの有害な堆積、もしくは機械的構成要素とハロゲンとの有害な反応を低減もしくは排除する、または、有害ガスもしくは熱分解システムの出口からの流出液中のハロゲンの出現を低減または排除する。例えば、共注入粒子は、酸化物、炭酸塩、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、石灰石、金属酸化物、混合金属酸化物、粘土、砂、土、ゼオライト、またはハロゲンと結合およびそれらを隔離することができる任意の他の材料、または材料の組み合わせ(複数可)とすることができる。
【0032】
いくつかの実施形態において、共注入粒子は、プラスチック溶融物中に存在し得る金属および半金属をトラップまたは隔離するように構成された材料、または材料の組み合わせを含む。さまざまな金属および半金属が、プラスチック廃棄物、特にポストコンシューマープラスチック廃棄物中に存在することがある。これらの金属および半金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、レアアース、鉄、銀、銅、亜鉛、灰色スズ、鉛、リンおよびアルミニウムを挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、遊離元素として存在してもよいし、無機または有機または有機金属分子、化合物、凝集体、混合物または他の組み合わせ(複数可)として存在してもよい。熱分解プロセス中、このような金属および半金属は、所望の熱分解生成物中における不要な夾雑物として生じるか、または熱分解触媒成分に堆積するか、もしくは熱分解触媒成分と反応し、それにより活性および所望の熱分解生成物に対する選択性のような望ましい触媒特性が低下することがある。さらに、このような金属および半金属は、熱分解システムの機械的構成要素に堆積するか、または機械的構成要素と反応して、損傷、効率低下、機械的故障を引き起こすことがある。金属および半金属をトラップまたは隔離するように構成された共注入粒子としては、酸化物、炭酸塩、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、石灰石、金属酸化物、混合金属酸化物、粘土、砂、土、ゼオライト、または可逆的もしくは不可逆的な方法で1種または複数の金属および半金属と結合またはそれらを隔離することができる任意の他の材料、または材料の組み合わせ、を挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、それによって所望の熱分解生成物から金属および半金属を低減もしくは排除する、または、熱分解触媒成分への金属および半金属の有害な堆積もしくは熱分解触媒成分と金属および半金属との有害な反応を低減もしくは排除する、または、熱分解システムの機械的構成要素への金属および半金属の有害な堆積、もしくは機械的構成要素と金属および半金属との有害な反応を低減もしくは排除する。
【0033】
「4Aゼオライト」(LTAゼオライトとも称される)とは、約4オングストロームの細孔開口部を有するゼオライトを意味し、「5Aゼオライト」という用語は、約5オングストロームの細孔開口部を有するゼオライトを意味する。
【0034】
4Aゼオライト(NaO・Al・2SiO・9/2HO)は、直径約7Åの大きな「ケージ」に加えて、直径約4オングストロームであるチャネルの連続的な三次元ネットワークを有する。4Aゼオライトは、以下のうちの1つまたは複数の特性を有してもよい。(1)約3ミクロンの平均粒径、および/または(2)約1のケイ素:アルミニウム比。
【0035】
5Aゼオライト(3/4CaO・1/4NaO・Al・2SiO・9/2HO)の細孔構造は、交差するチャネルの三次元ネットワークである。チャネルへの進入は、チャネルを形成する8個の酸素原子(直径約3~5Å)によって制御される。チャネルが交差する部分では、直径11.4Åの大きな細孔またはケージが形成される。5Aゼオライトは、約0.7g/cm~約0.75g/cm、例えば約0.72g/cmのかさ密度を有してもよい。
【0036】
酸化カルシウムが使用される場合、酸化カルシウムはポリマー溶融物の塩素分と反応して塩化カルシウムおよび二酸化炭素のようなガス生成物(複数可)を形成することができる。いくつかの実施形態において、反応器102中の共注入粒子に対する触媒の重量比は、約10:1~約30:1、例えば約15:1~約25:1、例えば約20:1である。
【0037】
1種もしくは複数のハロゲンの隔離後、または1種もしくは複数の金属もしくは半金属の隔離後、または1種もしくは複数のハロゲン、金属もしくは半金属の組み合わせの隔離後、共注入粒子、またはその生成物は、第2の導管114を介して反応器から取り出され、熱分解生成物と共に第1の分離器104に導入され得る。
【0038】
いくつかの実施形態において、共注入粒子は、熱分解触媒の平均直径よりも小さい平均直径を有する。このような実施形態において、熱分解反応器102の他のパラメータと組み合わせて、共注入粒子、もしくはその反応生成物(ならびに/またはチャーおよび摩耗した触媒)は、反応器102から(反応器の上部1/2の高さに配置された導管を介して)第1の分離器104へと取り出されてもよく、一方、より大きな触媒粒子は、反応器の下部1/2の高さに配置された第3の導管116を介して反応器102から取り出される。いくつかの実施形態において、共注入粒子は、400ミクロン未満、例えば200ミクロン未満、例えば約50ミクロン~約400ミクロン、例えば約75ミクロン~約200ミクロンの平均直径を有し、および/または触媒は、約500ミクロン~約600ミクロンの平均直径を有し、および/または狭い粒度分布を有する。例えば、触媒は、約400ミクロンのD1%値および約700ミクロンのD99%値を有してもよい。
【0039】
第1の分離器104は、熱分解生成物から共注入粒子またはその生成物を分離するように構成されたサイクロン分離器であることができる。共注入粒子またはその生成物は、保管またはさらなる処理(例えば、廃棄または再生)のために、第5の導管120を介して第1の分離器104から取り出される。熱分解生成物は、保管またはさらなる処理(例えば、生成物の追加のサイクロン分離および/または蒸留)のために、導管118を介して第1の分離器104から取り出される。例えば、分離効率を高めるために、二次的な除去のため、サイクロン(複数可)の第2の段階を使用することができる。熱分解生成物から固体およびガスを分離するための後続のデバイスとしては、サイクロン、ホットガスフィルタ、ボルテックス分離器、静電分離、またはそれらの組み合わせ(複数可)を挙げることができ、所望の固体除去効率を達成するために、これらのデバイスをさらに追加することができる。
【0040】
反応器102からの触媒(例えば、使用済み触媒)は、分離器106に導入される。いくつかの実施形態において、分離器106は固体-固体分離器である。熱分解生成物からの共注入粒子、またはその生成物も、第6の導管122を介して分離器106から取り出されてもよい。
【0041】
使用済み触媒および灰は、分離器106の中間部分に入る。使用済み触媒および灰は、反応器102において触媒/灰から分離されなかった任意の残留共注入粒子をさらに含んでもよい。図3は、本開示の分離器106である。図3に示されるように、第3の導管116の第2の端部は、第3の導管116を介した分離器106への、使用済み触媒および灰の混合物の重量による流れを促進するために、約60°以上の角度で配置される。図示される角度は約60°であるが、約10°~約90°(垂直注入口)、約30°~約75°、約45°~約60°など、任意の好適な角度を使用することができる。加えて、またはあるいは、ガスを第3の導管116に導入して、第3の導管116内および分離器106への、使用済み触媒および灰の混合物の流れを促進することができる。
【0042】
いくつかの実施形態において、反応器106に入る使用済み触媒および灰の混合物は、約90重量%以上の使用済み触媒および約10重量%以下の灰、例えば約0.5重量%~約4重量%の灰および約96重量%~約99.9重量%の使用済み触媒を含む。使用済み触媒および灰は、約800°F~約1,200°F、例えば約950°F~約1,050°Fの温度で分離器106に導入される。いくつかの実施形態において、使用済み触媒および灰は、約100万lb/hr~約200万lb/hr、例えば約130万lb/hr~約170万lb/hr、例えば約140万lb/hr~約170万lb/hrの速度で分離器106に導入される。
【0043】
第3の導管116は、(図1の)反応器102に連結された第1の端部と、分離器106に連結された第2の端部とを有する。図3に示されるように、第3の導管116の第2の端部は、使用済み触媒および灰の混合物を分離器106に供給するための複数の出口310a、310b、310cを有する。図3には3つの出口310a~310cが示されているが、第3の導管116の第2の端部は、単一の出口、または約2~約20の出口、例えば約3~約10の出口、例えば約4~約6の出口など、任意の好適な数の出口を有してもよい。出口は、分離器に対して完全にまたは部分的に開いていることができる。第3の導管116の第2の端部に配置された複数の出口は、使用済み触媒および灰の混合物の、分離器106への均一な分配を促進し、これは、分離器106における1つまたは複数の他の特徴と組み合わせて、使用済み触媒の灰からの分離を促進する。さらに、使用中、第3の導管116の第2の端部は、灰リッチ相304に配置され(例えば、第2の端部は、分離器の1/4~3/4の高さに配置されるなど、分離器106の中間部分に配置される)、これは、灰からの使用済み触媒の分離に続いて使用済み触媒の沈降を可能にすることにより、出口310a~cを介して分離器106に導入される混合物の灰からの、使用済み触媒の分離を促進する。分離器106に導入されると、灰は使用済み触媒から分離し、灰は沈降して灰リッチ相304を形成する。同様に、使用済み触媒は灰から分離され、使用済み触媒は分離器106の中間部分から分離器106の下部分に向かって沈降し、触媒リッチ相302を形成する。「触媒リッチ相」は、使用済み触媒に富み、任意選択で、使用済みでない触媒を一定量含むことができる。
【0044】
使用済み触媒および灰の混合物を流動化させるために、ガスが第7の導管306を介して分離器106に導入される。ガスは、約0.1ft/s~約1.5ft/s、例えば約0.3ft/s~約0.7ft/s、例えば約0.5ft/sの速度で供給することができる。ガスは、約150°F~約1050°Fの温度を有してもよい。ガスは、ガスが使用済み触媒および灰の冷却を促進し得るように、第3の導管116を介して分離器106に入る使用済み触媒および灰よりも低い温度を有してもよい。いくつかの実施形態において、導入されたガスは、再生器燃焼システムへの導入の前に、トラップされた反応器ガスの存在を置換することができる。第7の導管306を介して分離器106に導入されるガスの速度は、使用済み触媒の灰からの分離を促進するガスの能力と、使用済み触媒が灰から重量により分離/沈降する能力との間の絶妙なバランスに到達するような速度であることができる。分離器106内のガスは、第6の導管122および/またはディプレグ導管308を介して分離器106から出すことができる。灰リッチ相304の灰は、ディプレグ出口308を介して分離器106から取り出される。
【0045】
図3に示されるように、触媒リッチ相302は、図3の実施形態において、使用済み触媒が灰リッチ相304の灰よりも高い密度および/または大きい粒径を有するため、灰リッチ相304の下方にある下相として図示されている。代替実施形態において、触媒リッチ相302は、灰リッチ相304よりも低い密度および/または小さい粒径を有することができ、触媒リッチ相302は、分離器106において灰リッチ相304の上方にあることができる。このような実施形態において、触媒リッチ相302は、分離器106の中間部分に配置された導管(図示せず)を介して分離器106から取り出され、導管(図示せず)によって取り出された使用済み触媒は、図1の再生器108に供給される。さらに、このような実施形態において、灰リッチ相302の灰は、分離器106の下部分に向かい、灰は、廃棄またはさらなる処理のために、分離器106の下部分に配置された導管(図示せず)によって分離器106から取り出される。
【0046】
複数の相を形成するために分離器106で実施される分離は、任意の好適な圧力および温度で実行することができる。いくつかの実施形態において、分離器106内の圧力は、約20psig~約50psig、例えば約25psig~約40psig、例えば約30psig~約35psigである。いくつかの実施形態において、分離器106内の温度は、約700°F~約1,200°F、例えば約850°F~約1,050°F、例えば約950°F~約1,000°Fである。
【0047】
いくつかの実施形態において、分離器106から得られる使用済み触媒は、分離器106に導入された使用済み触媒および灰の混合物に対して約90重量%以上、例えば約96重量%~約99.9重量%の使用済み触媒である。同様に、分離器106から得られる灰は、分離器106に導入された使用済み触媒および灰の混合物に対して、約10重量%以下、例えば約0.5重量%~約4重量%の灰である。
【0048】
触媒に加えて砂も反応器102で使用される実施形態において、砂は分離器106で分離することができる(例えば、触媒リッチ相の一部として、または触媒リッチ相および灰リッチ相に加えて第3の相として)。例えば、砂は、触媒リッチ相302の上方または下方に配置された砂リッチ相内に配置されてもよく、砂リッチ相は、灰リッチ相304の下方に配置されてもよい。このような実施形態において、砂リッチ相は、灰リッチ相304の下方に配置された導管(図示せず)を介して分離器106から取り出され、砂リッチ相の砂は、分離器106から灰を取り除いた導管の下方に配置された導管(図示せず)を介して分離器106から取り出される。
【0049】
加えて、またはあるいは、微量金属(クロムなど)が分離器106内の使用済み触媒から分離される実施形態において。微量金属は使用済み触媒よりも密度が高いため、微量金属は使用済み触媒から分離され、触媒リッチ相302の下方に配置される金属リッチ相として分離器106内に沈降することができる。このような実施形態において、金属リッチ相は、触媒リッチ相302の下方に配置された導管(図示せず)を介して分離器106から取り出され、触媒リッチ相302の使用済み触媒は、分離器106から微量金属を取り除いた導管の上方に配置された導管(図示せず)を介して分離器106から取り出される。
【0050】
いくつかの実施形態において、分離器から灰リッチ相を取り出すために使用される導管は、連続的または段階的に機能する別の分離器または分割された壁(divided walls)に向かうことができる。各連続的または段階的な形状は、複数の分かれた容器、または1つの容器に統合された別々のチャンバとなるように構成することができる。ガスは、約0.05ft/s~約1.5ft/s、例えば約0.1ft/s~約0.3ft/s、例えば約0.1ft/sの速度で供給することができ、触媒リッチ相からの分離効率を高めるために、灰リッチ相内における第3の相または第4の相の分離を達成することができる。
【0051】
触媒(例えば、使用済み触媒)は、分離器106から導管140を介して、再生触媒を形成するように構成された再生器108に導入される。使用済み触媒を再生し、材料(例えば、触媒の上方に配置された灰のような炭素質材料)を燃焼させるために、空気などの酸素運搬ガスを再生器108に導入することができる。いくつかの実施形態において、空気は、約107,000lb/hr~約165,000lb/hr、例えば約133,000lb/hr~約151,000lb/hr、例えば約145,000lb/hrの速度で再生器108に導入される。
【0052】
再生器108で形成された再生触媒は、次いでライザー102aに導入される。
【0053】
いくつかの実施形態において、プラスチック溶融物はライザー102aに導入されない。パイガス、生成物ガス、反応物ガス、リサイクルガス、またはそれらの組み合わせ(複数可)などのガスが、注入口132を介してライザー102aに導入される。例えば、ガスは、約18,000lb/hr~約23,000lb/hr、例えば約21,000lb/hr~約22,000lb/hrの速度でライザー102aに導入される。
【0054】
いくつかの実施形態において、ガスは注入口130を介して反応器102に導入される。例えば、ガスは、約3,000lb/hr~約12,000lb/hr、例えば約7,750lb/hr~約10,250lb/hrの速度で、ノズルを介して反応器102に導入することができる。ノズルは、約6mm~約20mm、例えば約13mmの直径を有する出口を有してもよい。
【0055】
ライザー102aおよび/または反応器102に導入されるガスは、精製、生成物再生流体(例えば、ガスまたは液体)とすることができる。ガスは、反応器102内の流動化媒体をもたらし、また反応器供給原料から熱分解生成物への変換/収率に改善をもたらす。例えば、ガスが再生流体である実施形態において、再生流体は、熱分解生成物、例えば芳香族への変換をもたらし、目標生成物収率を増加させるオレフィン材料を含有してもよい。
【0056】
いくつかの実施形態において、ガス(および/または共注入材料および/またはリサイクルオイル)は、ノズル110の注入口を介して間接的に反応器に導入され、ノズル110は、(図2Bに示されるように)ノズル内径よりも小さい出口直径を有する。例えば、ノズルは、約10mm~約20mm、例えば約15mmの最大内径を有することができ、ノズルは、約4mm~約12mm、例えば約8mmの直径を有する出口を有してもよい。ノズルの注入口に注入されるガス(リサイクルオイルとの組み合わせ)は、プラスチック溶融物を微細な液滴にする初期せん断を助ける。狭い出口は、材料を再び微細な液滴、例えば70~80ミクロンにせん断し、液滴を分散させる。微細な液滴は、熱分解のために材料を迅速に加熱することを可能にする(反応器内で必要な滞留時間が短縮されるため、望ましくない副生成物の形成が少なくなる)。
【0057】
使用中、反応器102内の触媒粒子はエマルジョン相中にあることができる。ガスがライザー102aを通って反応器102に導入され、化学反応流出液に導入されるため、気泡が反応器102内に形成され得る。反応器102は、反応器102内に形成される気泡を破壊するように構成されてもよい。反応器102内で気泡を破壊することにより、プラスチック溶融物の、触媒への物質移動が促進される。例えば、熱分解されたプラスチックの分子が触媒の細孔に入り込むことが促進され、これにより、プラスチックから熱分解生成物(複数可)へのより良好な変換が促進される。加えて、大きな気泡の形成は反応器内の機械的振動を促進するため、気泡を破壊することによって、大きな気泡により促進される機械的振動の発生を低減または排除することができる。
【0058】
いくつかの実施形態において、反応器102は、反応器内に配置された複数のプレート、メッシュ、または構造格子シェッド(図示せず)を有する。例えば、複数のプレート、メッシュ、または構造格子は、プレート、メッシュ、または構造格子の第1の列および第2の列の配置であって、第1の列は、第2の列から水平方向にオフセットされている、配置を有してもよい。いくつかの実施形態において、メッシュまたは格子シェッドのうちの1つまたは複数は、垂直方向に角張った上部カバー(angular apex cover)を有し、カバーに沿って1つまたは複数の開口部を有する。
【0059】
触媒
プラスチック溶融物の熱分解に使用される触媒(複数可)は、任意の好適な熱分解触媒であり得る。いくつかの実施形態において、触媒は、複数の成分を有する複合体である。これらの成分は、反応器供給原料中のプラスチックから所望の熱分解生成物への変換において触媒的に活性である1種または複数の材料を含み得る。これらの成分としては、例えば、ゼオライト、粘土、酸含浸粘土、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、使用済みFCC触媒、平衡FCC触媒、金属酸化物、混合金属酸化物、またはそれらの組み合わせ(複数可)を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。触媒成分はまた、触媒成分を結合させて物理的強度を向上させるための1種または複数の材料を含んでもよい。このようなバインダー材料としては、例えば、種々のアルミナ、シリカ、マグネシア、粘土、その他の土および鉱物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。触媒成分はまた、触媒複合体の他の側面、例えば密度、空隙率および細孔分布を改質するための1種または複数の材料を含んでもよい。このような改質材料としては、種々のアルミニウム酸化物、アルミニウム水酸化物、アルミニウムオキシ水酸化物、粘土、土、充填剤、またはそれらの組み合わせ(複数可)を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。さらに、このような改質材料は、硬化剤、緻密化剤、気孔率を高めるためのバーンアウト材料、安定剤、希釈剤、活性促進剤、活性安定剤、またはそれらの組み合わせ(複数可)として機能することができる。さらに、このような改質材料は、金属、半金属またはハロゲンのような、供給原料夾雑物を隔離するための1種または複数の成分を含んでもよい。さらに、このような改質材料は、熱分解システムからの硫黄酸化物、窒素酸化物、または酸性ガスの排出を低減するための1種または複数の成分を含んでもよい。さらに、そのような改質材料は、炭素の燃焼および熱分解システム再生器からの炭素酸化物の排出を制御および調節するための1種または複数の成分を含んでもよい。いくつかの実施形態において、添加材料は、活性材料、例えば活性アルミナ材料(非晶質または結晶質)、バインダー材料(例えば、アルミナまたはシリカ)、不活性充填剤(例えば、カオリン)、またはそれらの組み合わせ(複数可)から形成されるマトリックスである。例えば、触媒は、マトリックス中に配置されたゼオライト材料を含むことができる。
【0060】
いくつかの実施形態において、種々の触媒成分は、1種の均質な組成物の物体中にある。他の実施形態において、種々の成分は、種々の個々の成分全体における所望の量を達成するために物理的に混合され得る2つ以上の物体の間に分散されている。
【0061】
いくつかの実施形態において、触媒は、第VIII族金属もしくはその化合物、第VIB族金属もしくはその金属化合物、第VIIB族金属もしくはその金属化合物、または第IIB族金属もしくはその金属化合物、またはそれらの組み合わせ(複数可)である。例えば、第VIB族金属またはその化合物としては、モリブデンおよび/またはタングステンを挙げることができる。第VIII族金属またはその化合物としては、ニッケルおよび/またはコバルトを挙げることができる。第VIIB族金属またはその化合物としては、マンガンおよび/またはレニウムを挙げることができる。第IIB族金属またはその化合物としては、亜鉛および/またはカドミウムを挙げることができる。いくつかの実施形態において、触媒は硫化触媒である。いくつかの実施形態において、触媒は、コバルト-モリブデン触媒、ニッケル-モリブデン触媒、タングステン-モリブデン触媒、それらの硫化物(複数可)、またはそれらの組み合わせ(複数可)である。いくつかの実施形態において、触媒は、白金-モリブデン触媒、スズ-白金触媒、白金ガリウム触媒、白金-クロム触媒、白金-レニウム、またはそれらの組み合わせ(複数可)である。いくつかの実施形態において、触媒としては、コバルトおよびモリブデン、ニッケルおよびモリブデン、鉄およびモリブデン、パラジウムおよびモリブデン、白金およびモリブデン、またはニッケルおよび白金が挙げられる。第IIIB族金属またはその化合物としては、ランタンおよび/またはセリウムを挙げることができる。
【0062】
いくつかの実施形態において、触媒活性成分は、1種または複数のゼオライトを含んでもよく、ゼオライトは、X型、Y型、モルデナイトを含んでもよいが、これらに限定されるものではなく、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、USY型ゼオライト、モルデナイト、フォージャサイト、ナノ結晶ゼオライト、MCMメソポーラス材料、SBA-15、シリコアルミノホスフェート、ガロホスフェート(gallophosphate)、チタノホスフェート(titanophosphate)であってもよい。いくつかの実施形態において、触媒は、1種または複数のゼオライト(または金属担持ゼオライト)を含んでもよい。いくつかの実施形態において、ゼオライトは、ZSM-5、ZSM-11、アルミノシリケートゼオライト、フェリエライト、ヒューランダイト、ゼオライトA、エリオナイト、チャバザイト、またはそれらの組み合わせ(複数可)である。
【0063】
いくつかの実施形態において、触媒活性成分は、ゼオライト、例えば、ZSM-5ゼオライトのような中細孔ゼオライトである。ZSM-5ゼオライトは、10員酸素含有環を有する交差二次元細孔構造を有する多孔質材料である分子ふるいである。このような10員酸素環細孔構造を有するゼオライト材料は、多くの場合中細孔ゼオライトとして分類される。このような中細孔ゼオライトは、通常5.0オングストローム(Å)~7.0Åの細孔直径を有する。ZSM-5ゼオライトは、約5.1Å~約5.6Åの細孔直径を有する中細孔ゼオライトである。
【0064】
ZSM-5ゼオライトの他の特性としては、以下のうちの1つまたは複数を挙げることができる:(1)SiO/Alモル比が約20~約600、例えば約30;(2)Brunauer-Emmett-Teller(BET)表面積(m/g)が約320以上、例えば約340以上、例えば約320~約380、例えば約340;および/または(3)水素またはアンモニウムイオン交換形態。
【0065】
本開示の触媒は、(1)極端な流速を必要とせずに反応器および再生器での均質な流動化を可能にする、(2)供給原料(例えば、プラスチック溶融物、リサイクルパイガスなど)に対する触媒の良好な接触をもたらし、外部拡散障壁を低減/最小化する、(3)粒子が大きすぎる場合に生じ得るホットスポットを伴わずに円滑な再生を可能にする、ならびに/または(4)大きいガス流速を必要とせずに円滑な空気輸送を可能にするのに十分小さい粒径を有してもよい。本開示の触媒は、(1)熱分解中の供給原料に対する触媒の高い比率を可能にする、(2)エントレインメントを最小限に抑えながらより高い空間速度(スループット)を可能にする、(3)反応器下部および再生器下部からの触媒の良好な分離および排出を可能にする、ならびに/または(4)分離器が使用される場合、より軽い、より小さい灰または分離可能な相(チャー、共注入材料などの非触媒固体)からの効率的な分離を可能にするのに十分大きい粒径および密度を有してもよい。いくつかの実施形態において、触媒は、約450ミクロン~約650ミクロン、例えば約500ミクロン~約600ミクロン、例えば約540ミクロン~約560ミクロンの平均直径を有する。
【0066】
いくつかの実施形態において、触媒は狭い直径分布を有してもよい。例えば、触媒は、触媒の平均直径の約±200ミクロン、例えば約±150ミクロン、例えば約±75ミクロンの直径分布を有してもよい。いくつかの実施形態において、触媒は、約380ミクロン~約420ミクロン、例えば約400ミクロンのD1%値を有する。D1%は、触媒の99重量%がD1%値より大きい直径を有するような触媒の直径である。いくつかの実施形態において、触媒は、約680ミクロン~約720ミクロン、例えば約700ミクロンのD99%値を有する。D99%は、触媒の99重量%がD99%値未満の直径を有するような触媒の直径である。触媒の狭い粒度(例えば、直径)分布は、(1)反応器および再生器における濃厚相分離を低減または最小化することができる、(2)高い供給または再生器空気速度における選択的輸送および希薄相輸送を低減または最小化することができる、および/または(3)容器吐出口、スライドバルブ、Yジョイントなどにおける詰まりを低減または最小化することができる。
【0067】
いくつかの実施形態において、触媒は、約300g/l~約1,200g/l、例えば約500g/l~約1,000g/l、例えば約600g/l~約800g/lの平均粒子密度を有する。
【0068】
いくつかの実施形態において、触媒は、約0.9以上、例えば約0.95以上、例えば約0.99以上の球形度を有する。
【0069】
いくつかの実施形態において、触媒は、約50重量%以上、例えば約60重量%以上、例えば約75重量%以上、例えば約85重量%以上の活性触媒(例えば、ゼオライト)担持量を有し、触媒の残部は添加材料を含む。例えば、添加材料としては、任意の好適なバインダー材料を挙げることができる。
【0070】
本開示の触媒は、200ft/secの空気噴流速度においてジェットカップ装置で測定した場合、10未満の耐摩耗性指数(attrition resistance index)として表される耐摩耗性を有してもよい。
【0071】
本開示の触媒は、単一ビードアンビル(single bead anvil)試験装置で測定した場合に1ニュートンより大きい圧壊強度、例えば5ニュートンより大きい圧壊強度を有してもよい。
【0072】
いくつかの実施形態において、触媒は、顆粒、ペレット、押出成形物、切断押出成形物、連結押出成形物、ビーズ、タブレット、球体、またはそれらの組み合わせ(複数可)の形態である。
【0073】
本開示の触媒は、任意の好適な方法(噴霧乾燥など)によって得ることができ、および/または市販の供給源から得ることができる。例えば、触媒は、噴霧乾燥、プリリング、油滴下、水滴下、造粒、流動層凝集、スプレーコーティング打錠、押出し、またはそれらの任意の組み合わせ(複数可)によって形成することができる。触媒は、任意の好適な粒度(例えば、直径)分布をもたらすために、切断、破砕、粉砕、またはスクリーニングすることができる。触媒は、回転パン、回転ドラムなどで研磨、緻密化、球状化することによってさらに準備することができる。
【0074】
2種以上の触媒を反応器102に導入してもよい。例えば、第1の触媒が導管によって反応器102に導入され、第2の触媒が別の導管によって反応器102に導入される。第1の触媒および第2の触媒は、任意の所与の時間に反応器102内の触媒の相対量を制御するために、同じまたは異なる流量で反応器102に導入することができる。第1の触媒および/または第2の触媒の残部は、バインダー材料のような添加材料を含むことができる。
【0075】
加えて、またはあるいは、第1の触媒および第2の触媒は、単一の導管を介して(触媒混合物として)反応器102に導入される。例えば、触媒混合物は、2種の触媒を含む単体触媒であり得る。単体触媒の残部は、バインダー材料のような添加材料を含むことができる。
【0076】
いくつかの実施形態において、密度が約1450g/l~約1680g/lの砂を触媒と混合することができる。砂の例としては、石英砂、ケイ砂、金属または金属酸化物を含有する砂、またはそれらの組み合わせ(複数可)が挙げられる。砂の使用により、熱分解中に生成する夾雑物による触媒のファウリングを抑制することができる。砂はまた、反応器内で起こる熱分解の熱および触媒活性の制御をもたらすことができる。砂は、砂+触媒の総量を基準にして、最大で約99重量%の量で使用することができる。
【0077】
追加の態様
本開示は、特に、以下の態様を提供し、これらの各態様は、任意の代替態様を任意選択で含むと考えることができる。
条項1
プラスチック成分を含むプラスチック溶融物を、反応器に連結されたノズルを介して反応器に導入すること;
反応器とライザーまたは再生器とを連結している第1の導管を介して反応器に触媒を導入すること;
プラスチック成分を熱分解して熱分解生成物を形成すること;
反応器の上部1/2の高さに配置された第2の導管を介して反応器から熱分解生成物を取り出すこと;
反応器の下部1/2の高さに配置された第3の導管を介して反応器から触媒を取り出すことであって、反応器から取り出された触媒が灰を含む、反応器から触媒を取り出すこと;および
触媒を第3の導管から分離器に導入し、分離器において触媒リッチ相および灰リッチ相を形成すること
を含む、方法。
条項2
第3の導管が、分離器の実質的に垂直な側面に対して約30°~約90°の角度で配置されている、条項1に記載の方法。
条項3
第3の導管にガスを導入することをさらに含む、条項1または2に記載の方法。
条項4
分離器に導入される触媒が、分離器に導入されるときに約950°F~約1,050°Fの温度を有し、約130万lb/hr~約170万lb/hrの速度で分離器に導入される、条項1から3のいずれか一項に記載の方法。
条項5
第3の導管が、分離器内に配置された端部を有し、端部が複数の出口を備える、条項1から4のいずれか一項に記載の方法。
条項6
第3の導管の端部が、分離器の1/4~3/4の高さに配置されている、条項1から5のいずれか一項に記載の方法。
条項7
第4の導管を介して、約0.3ft/s~約0.7ft/sの速度で分離器にガスを導入することをさらに含み、ガスが約150°F~約1050°Fの温度を有する、条項1から6のいずれか一項に記載の方法。
条項8
分離器内で触媒リッチ相および灰リッチ相を形成することが、約25psig~約40psigの圧力および約850°F~約1050°Fの温度で実行される、条項1から7のいずれか一項に記載の方法。
条項9
触媒リッチ相を再生器に導入することをさらに含む、条項1から8のいずれか一項に記載の方法。
条項10
反応器に導入される触媒がゼオライトおよび砂を含み、第3の導管から分離器に導入される触媒がゼオライト、砂および灰を含む、条項1から9のいずれか一項に記載の方法。
条項11
触媒を第3の導管から分離器に導入することにより、分離器中に砂リッチ相をさらに形成し、方法が、第4の導管を介して分離器から砂リッチ相を取り出すことをさらに含む、条項1から10のいずれか一項に記載の方法。
条項12
プラスチック成分を含む梱を複数の部分に選別することをさらに含み、部分のうちの少なくとも1つがプラスチック成分を含む、条項1から11のいずれか一項に記載の方法。
条項13
反応器が気泡層反応器であり、プラスチック溶融物を反応器に導入する間、プラスチック溶融物が約900°F~約1,100°Fの温度を有する、条項1から12のいずれか一項に記載の方法。
条項14
プラスチック成分が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、およびそれらの組み合わせ(複数可)からなる群から選択される、条項1から14のいずれか一項に記載の方法。
条項15
熱分解生成物が、エチレン、プロピレン、ブテン、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびそれらの組み合わせ(複数可)からなる群から選択される有機化合物を含む、条項1から14のいずれか一項に記載の方法。
条項16
反応器に共注入粒子を導入することをさらに含む、条項1から15のいずれか一項に記載の方法。
条項17
共注入粒子が、約1,000lb/hr~約3,000lb/hrの速度でノズルを介して反応器に導入される、条項1から16のいずれか一項に記載の方法。
条項18
共注入粒子またはその生成物を、第2の導管を介して反応器から取り出すことをさらに含む、条項1から17のいずれか一項に記載の方法。
条項19
共注入粒子が酸化カルシウムであり、第2の導管を介して反応器から塩化カルシウムを取り出すことを含む、条項1から18のいずれか一項に記載の方法。
条項20
共注入粒子が、4Aゼオライト、5Aゼオライト、およびそれらの組み合わせ(複数可)からなる群から選択されるゼオライトである、条項1から19のいずれか一項に記載の方法。
条項21
共注入粒子が、400ミクロン未満の平均直径を有する、条項1から20のいずれか一項に記載の方法。
条項22
共注入粒子が、200ミクロン未満の平均直径を有する、条項1から21のいずれか一項に記載の方法。
条項23
共注入粒子またはその生成物を、第2の導管を介してサイクロン分離器に導入すること;
サイクロン分離器を使用して、熱分解生成物から共注入粒子またはその生成物を分離すること;
熱分解生成物を、第4の導管を介してサイクロンから取り出すこと;および
第5の導管を介してサイクロンから共注入粒子またはその生成物を取り出すことをさらに含む、条項1から22のいずれか一項に記載の方法。
条項24
パイガスを反応器に導入することをさらに含む、条項1から23のいずれか一項に記載の方法。
条項25
パイガスを反応器に導入することが、約6,000lb/hr~約12,000lb/hrの速度でノズルを介して実行される、条項1から24のいずれか一項に記載の方法。
条項26
プラスチック溶融物を反応器に導入することが、約60,000lb/hr~約100,000lb/hrの速度で実行される、条項1から25のいずれか一項に記載の方法。
条項27
反応器から触媒を取り出すことが、反応器の底面に配置された第3の導管を介して反応器から触媒を取り出すことを含む、条項1から26のいずれか一項に記載の方法。
条項28
触媒を反応器から分離器および再生器に導入して再生触媒を形成することをさらに含む、条項1から27のいずれか一項に記載の方法。
条項29
再生触媒をライザーまたは容器に導入することをさらに含む、条項1から28のいずれか一項に記載の方法。
条項30
プラスチック溶融物をライザーに導入しない、条項1から29のいずれか一項に記載の方法。
条項31
ガスをライザーに導入することをさらに含む、条項1から30のいずれか一項に記載の方法。
条項32
パイガスが、約9,000lb/hr~約11,500lb/hrの速度でライザーに導入される、条項1から31のいずれか一項に記載の方法。
条項33
反応器に連結されたノズルがプラスチック溶融物源とさらに連結されており、プラスチック溶融物源がライザーではない、条項1から32のいずれか一項に記載の方法。
条項34
プラスチック溶融物が粘度低下剤をさらに含む、条項1から33のいずれか一項に記載の方法。
条項35
粘度低下剤が、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびそれらの組み合わせ(複数可)からなる群から選択される芳香族液体を含む、条項1から34のいずれか一項に記載の方法。
条項36
プラスチック成分の熱分解が、約900°F~約1,100°Fの反応器温度、および約20psig~約40psigの反応器圧力で実行される、条項1から35のいずれか一項に記載の方法。
条項37
パイガスが、ノズルを介して反応器に導入され、ノズルが、ノズル内径よりも小さい出口直径を有する、条項1から36のいずれか一項に記載の方法。
条項38
第1の導管を介して反応器に触媒を導入することが、約5.5トン/分~約13.8トン/分の触媒流量で実行される、条項1から37のいずれか一項に記載の方法。
条項39
第1の導管を介して反応器に触媒を導入することが、約7.5トン/分~約12.4トン/分の触媒流量で実行される、条項1から38のいずれか一項に記載の方法。
条項40
触媒が、反応器に導入される前にライザーに配置され、触媒が、約0.4ft/sec~約0.6ft/secの最小ガス流動化速度を有する、条項1から39のいずれか一項に記載の方法。
条項41
触媒がゼオライトである、条項1から40のいずれか一項に記載の方法。
条項42
ゼオライトがZSM-5ゼオライトである、条項1から41のいずれか一項に記載の方法。
条項43
触媒が、約500ミクロン~約600ミクロンの平均直径を有する、条項1から42のいずれか一項に記載の方法。
条項44
触媒が、約400ミクロンのD1%値および約700ミクロンのD99%値を有する、条項1から43のいずれか一項に記載の方法。
条項45
触媒が約600g/l~約800g/lの密度を有する、条項1から44のいずれか一項に記載の方法。
条項46
触媒が約0.95以上の球形度を有する、条項1から45のいずれか一項に記載の方法。
条項47
触媒が約50重量%以上のゼオライト担持量を有し、触媒の残部が添加材料を含む、条項1から46のいずれか一項に記載の方法。
条項48
触媒が約75重量%以上のゼオライト担持量を有する、条項1から47のいずれか一項に記載の方法。
条項49
添加材料がバインダー材料を含む、条項1から48のいずれか一項に記載の方法。
条項50
反応器が、プレート、メッシュ、または正方形格子の第1の列と、プレート、メッシュ、または正方形格子の第2の列とを備える複数のプレート、メッシュ、または正方形格子を備え、第1の列が第2の列から水平方向にオフセットされている、条項1から49のいずれか一項に記載の方法。
条項51
複数のプレート、メッシュ、または正方形格子の各プレート、メッシュ、または正方形が、垂直方向に角張ったテント状の上部カバーを有し、カバーに沿って1つまたは複数の開口部を有する、条項1から50のいずれか一項に記載の方法。
条項52
プラスチック溶融物が、約10重量%以下の固形分含有量を有する、条項1から51のいずれか一項に記載の方法。
条項53
反応器に連結されたノズルであって、ノズル内に配置された水平導管に対して実質的に垂直に配置された注入口を備える、ノズルと;
反応器に連結されたライザーと;
反応器の上部1/2の高さに配置された第1の出口導管であって、サイクロン分離器に連結された第1の出口導管と;
反応器の下部1/2の高さに配置された第2の出口導管であって、第2の分離器に連結されている、第2の出口導管と;
第2の分離器およびライザーに連結された再生器とを備える、装置。
条項54
反応器が、プレート、メッシュ、または正方形格子の第1の列および第2の列を備える複数のプレート、メッシュ、または正方形格子を備え、第1の列が第2の列から水平方向にオフセットされている、条項53に記載の装置。
条項55
第2の出口導管が反応器の底面に配置されている、条項53または54に記載の装置。
条項56
反応器から触媒を取り出すことであって、触媒が灰を含む、反応器から触媒を取り出すこと;
導管を介して触媒を分離器に導入し、分離器において触媒リッチ相および灰リッチ相を形成すること;
触媒リッチ相を再生器に導入して再生触媒を形成すること
を含む方法であって、
導管が、分離器の1/4~3/4の高さにおいて分離器内に配置された端部を有し、端部が複数の出口を備える、方法。
条項57
導管が、分離器の実質的に垂直な側面に対して約30°~約90°の角度で配置されている、条項1から52、または56のいずれか一項に記載の方法。
条項58
導管にガスを導入することをさらに含む、条項1から52、56、または57のいずれか一項に記載の方法。
条項59
分離器に導入される触媒が、分離器に導入されるときに約950°F~約1,050°Fの温度を有し、約130万lb/hr~約170万lb/hrの速度で分離器に導入される、条項1から52、または56から58のいずれか一項に記載の方法。
条項60
第2の導管を介して、約0.3ft/s~約0.7ft/sの速度で分離器にガスを導入することをさらに含み、ガスが約150°F~約1050°Fの温度を有する、条項1から52、または56から59のいずれか一項に記載の方法。
条項61
分離器内で触媒リッチ相および灰リッチ相を形成することが、約25psig~約40psigの圧力および約850°F~約1050°Fの温度で実行される、条項1から52、または56から60のいずれか一項に記載の方法。
条項62
反応器に導入される触媒がゼオライトおよび砂を含み、導管から分離器に導入される触媒がゼオライト、砂および灰を含む、条項1から52、または56から61のいずれか一項に記載の方法。
条項63
触媒を導管から分離器に導入することにより、分離器中に砂リッチ相をさらに形成し、方法が、第2の導管を介して分離器から砂リッチ相を取り出すことをさらに含む、条項1から52、または56から62のいずれか一項に記載の方法。
条項64
灰リッチ相を第2の分離器に導入して、第2の触媒リッチ相および第2の灰リッチ相を形成することをさらに含む、条項1から52または56から63のいずれか一項に記載の方法。
条項65
第2の分離器が、第1の分離器内の段容積(stage volume)である、条項64に記載の方法。
条項66
プラスチック成分を含むプラスチック溶融物を、反応器に連結されたノズルを介して反応器に導入すること;
反応器とライザーまたは再生器とを連結している第1の導管を介して反応器に触媒を導入すること;
プラスチック成分を熱分解して熱分解生成物を形成すること;
反応器の上部1/2の高さに配置された第2の導管を介して反応器から熱分解生成物を取り出すこと;および
反応器の下部1/2の高さに配置された第3の導管を介して反応器から触媒を取り出すことを含む、方法。
条項67
プラスチック成分を含む梱を複数の部分に選別することをさらに含み、部分のうちの少なくとも1つがプラスチック成分を含む、条項66に記載の方法。
条項68
反応器が気泡層反応器であり、プラスチック溶融物を反応器に導入する間、プラスチック溶融物が約900°F~約1,100°Fの温度を有する、条項66または67に記載の方法。
条項69
プラスチック成分が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、およびそれらの組み合わせ(複数可)からなる群から選択される、条項66から68のいずれか一項に記載の方法。
条項70
熱分解生成物が、エチレン、プロピレン、ブテン、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびそれらの組み合わせ(複数可)からなる群から選択される有機化合物を含む、条項66から69のいずれか一項に記載の方法。
条項71
反応器に共注入粒子を導入することをさらに含む、条項66から70のいずれか一項に記載の方法。
条項72
共注入粒子が、約1,000lb/hr~約3,000lb/hrの速度でノズルを介して反応器に導入される、条項66から71のいずれか一項に記載の方法。
条項73
共注入粒子またはその生成物を、第2の導管を介して反応器から取り出すことをさらに含む、条項66から72のいずれか一項に記載の方法。
条項74
共注入粒子が酸化カルシウムであり、方法が、第2の導管を介して反応器から塩化カルシウムを取り出すことを含む、条項66から73のいずれか一項に記載の方法。
条項75
共注入粒子が、4Aゼオライト、5Aゼオライト、およびそれらの組み合わせ(複数可)からなる群から選択されるゼオライトである、条項66から74のいずれか一項に記載の方法。
条項76
共注入粒子が、400ミクロン未満の平均直径を有する、条項66から75のいずれか一項に記載の方法。
条項77
共注入粒子が、200ミクロン未満の平均直径を有する、条項66から76のいずれか一項に記載の方法。
条項78
共注入粒子またはその生成物を、第2の導管を介してサイクロン分離器に導入すること;
サイクロン分離器を使用して、熱分解生成物から共注入粒子またはその生成物を分離すること;
熱分解生成物を、第4の導管を介してサイクロンから取り出すこと;および
第5の導管を介してサイクロンから共注入粒子またはその生成物を取り出すことをさらに含む、条項66から77のいずれか一項に記載の方法。
条項79
パイガスを反応器に導入することをさらに含む、条項66から78のいずれか一項に記載の方法。
条項80
パイガスを反応器に導入することが、約3,000lb/hr~約5,000lb/hrの速度でノズルを介して実行される、条項66から79のいずれか一項に記載の方法。
条項81
プラスチック溶融物を反応器に導入することが、約30,000lb/hr~約50,000lb/hrの速度で実行される、条項66から80のいずれか一項に記載の方法。
条項82
反応器から触媒を取り出すことが、反応器の底面に配置された第3の導管を介して反応器から触媒を取り出すことを含む、条項66から81のいずれか一項に記載の方法。
条項83
触媒を反応器から分離器および再生器に導入して再生触媒を形成することをさらに含む、条項66から82のいずれか一項に記載の方法。
条項84
再生触媒をライザーまたは容器に導入することをさらに含む、条項66から83のいずれか一項に記載の方法。
条項85
プラスチック溶融物をライザーに導入しない、条項66から84のいずれか一項に記載の方法。
条項86
ガスをライザーに導入することをさらに含む、条項66から85のいずれか一項に記載の方法。
条項87
パイガスが、約9,000lb/hr~約11,500lb/hrの速度でライザーに導入される、条項66から86のいずれか一項に記載の方法。
条項88
反応器に連結されたノズルがプラスチック溶融物源とさらに連結されており、プラスチック溶融物源がライザーではない、条項66から87のいずれか一項に記載の方法。
条項89
プラスチック溶融物が粘度低下剤をさらに含む、条項66から88のいずれか一項に記載の方法。
条項90
粘度低下剤が、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびそれらの組み合わせ(複数可)からなる群から選択される芳香族液体を含む、条項66から89のいずれか一項に記載の方法。
条項91
プラスチック成分の熱分解が、約900°F~約1,100°Fの反応器温度、および約20psig~約40psigの反応器圧力で実行される、条項66から25のいずれか一項に記載の方法。
条項92
パイガスが、ノズルを介して反応器に導入され、ノズルが、ノズル内径よりも小さい出口直径を有する、条項66から91のいずれか一項に記載の方法。
条項93
第1の導管を介して反応器に触媒を導入することが、約2.5トン/分~約8.8トン/分の触媒流量で実行される、条項66から92のいずれか一項に記載の方法。
条項94
第1の導管を介して反応器に触媒を導入することが、約3.5トン/分~約4.4トン/分の触媒流量で実行される、条項66から93のいずれか一項に記載の方法。
条項95
ライザーに配置された触媒が、約0.4ft/sec~約0.6ft/secの最小ガス流動化速度を有する、条項66から94のいずれか一項に記載の方法。
条項96
触媒がゼオライトである、条項66から95のいずれか一項に記載の方法。
条項97
ゼオライトがZSM-5ゼオライトである、条項66から96のいずれか一項に記載の方法。
条項98
触媒が、約500ミクロン~約600ミクロンの平均直径を有する、条項66から97のいずれか一項に記載の方法。
条項99
触媒が、約400ミクロンのD1%値および約700ミクロンのD99%値を有する、条項66から98のいずれか一項に記載の方法。
条項100
触媒が約600g/l~約800g/lの密度を有する、条項66から99のいずれか一項に記載の方法。
条項101
触媒が約0.95以上の球形度を有する、条項66から100のいずれか一項に記載の方法。
条項102
触媒が約50重量%以上のゼオライト担持量を有し、触媒の残部が添加材料を含む、条項66から101のいずれか一項に記載の方法。
条項103
触媒が約75重量%以上のゼオライト担持量を有する、条項66から102のいずれか一項に記載の方法。
条項104
添加材料がバインダー材料を含む、条項66から103のいずれか一項に記載の方法。
条項105
反応器が、プレート、メッシュ、または正方形格子の第1の列と、プレート、メッシュ、または正方形格子の第2の列とを備える複数のプレート、メッシュ、または正方形格子を備え、第1の列が第2の列から水平方向にオフセットされている、条項66から104のいずれか一項に記載の方法。
条項106
複数のプレート、メッシュ、または正方形格子の各プレート、メッシュ、または正方形が、垂直方向に角張ったテント状の上部カバーを有し、カバーに沿って1つまたは複数の開口部を有する、条項66から105のいずれか一項に記載の方法。
条項107
プラスチック溶融物が、約10重量%以下の固形分含有量を有する、条項66から106のいずれか一項に記載の方法。
【0078】
全体として、本開示の装置および方法は、熱分解生成物を形成するためのプラスチック熱分解のような熱分解の、高いスループットをもたらす。方法は、廃プラスチックを処理するための従来の方法よりも高い収率をもたらす、単一段階の方法として実行することができる。本開示の装置および方法は、使用済み触媒を容易に再生することができるように、チャー、摩耗した触媒、および共注入材料の飛び出しをもたらし、反応器に向かう再生触媒のより高い純度に加えて、プラスチック熱分解のスループットの改善をもたらす。加えて、共注入材料よりも狭い粒度分布と大きな平均直径を有する触媒を使用することにより、共注入材料を飛び出させることができる。加えて、気泡制御をもたらすように構成された反応器に加えて、大きな平均直径を有する触媒を使用することにより、容器導管、バルブ、および他の装置構成要素の詰まりおよび摩耗が低減し、本開示の装置の健全性の維持、およびより長いライフサイクルがもたらされる。加えて、本開示の分離器を使用することにより、灰のような成分からの使用済み触媒の分離が改善されるため、熱分解生成物のスループットの改善がもたらされる。特に、分離器を使用することにより、触媒の活性を維持する(例えば、触媒が再生される)ことができるので、装置が停止する時間間隔を長くすることができるため、スループットが改善される。本開示の分離器はまた、(灰が分離器内で取り出されるため)使用済み触媒の再生に改善をもたらすことができ、これにより、スループットおよび熱分解生成物の収率がさらに改善される。
【0079】
「熱分解」という用語は、分子を(i)原子、および/または(ii)分子量の小さい分子、および/または任意選択で(iii)分子量の大きい分子に変換するための平均(on-average)吸熱反応、例えば、エチレン、プロピレン、アセチレン、ベンゼン、トルエン、キシレン、またはそれらの組み合わせ(複数可)などのC~C12不飽和化合物を形成するプロセスを含む。
【0080】
「触媒活性」という用語は、触媒重量当たりの、所定時間において変換された揮発性物質の重量を含む。
【0081】
「使用済み触媒」という用語は、同じ反応条件(例えば、温度、圧力、注入口流量)において、触媒が最初にプロセスにさらされたときに有していた活性よりも低い活性を有する任意の触媒を含む。これには多くの理由があり得るが、触媒失活の原因の、いくつかの非限定的な例としては、コーキングもしくはチャー収着もしくは蓄積、金属の収着もしくは蓄積、摩耗、細孔径の変化を含む形態学的変化、陽イオンもしくは陰イオンの置換、および/または化学的もしくは組成的変化が挙げられる。使用済み触媒は、使用済みの触媒に加えて、使用済みでない(例えば、失活していない)触媒を一定量含むことができる。
【0082】
「再生触媒」という用語には、上記で定義したように使用済みとなり、その後、上記で定義したように、活性を使用済み触媒としての活性よりも高いレベルまで増加させるプロセスに供された触媒が含まれる。プロセスには、例えば、逆変換(reversing transformation)、または活性低下の可能性のある原因として上記で概説した夾雑物の除去が含まれる。再生触媒は、フレッシュ触媒(本明細書では、特に断りのない限り、通常、「触媒」と称する)以上の活性を有することもあるが、通常、再生触媒は、使用済み触媒とフレッシュ触媒との中間の活性を有する。
【0083】
「パイガス」という用語は、廃プラスチック材料に由来する炭化水素流体(ガスまたは液体)を含む。パイガスは、反応器からの未加工の流出流、または反応器システムにおける流動化もしくはさらなる変換に使用するためにリサイクル流を介してリサイクルされた精製材料のいずれかとして存在することができる。
【0084】
「灰」という用語は、反応器から取り出され、他の材料から分離された灰を含む。灰は、装置内を循環している触媒の粒度画分の一部ではないと考えられる固体相である。灰は、摩耗した触媒微粉末、プラスチック由来のチャー、および/または金属酸化物、もしくは材料による触媒であり得る共注入材料であり得る。
【0085】
本開示の実施形態は、プラスチック供給原料の熱分解について記載されているが、本開示の実施形態は、適用可能な場合、任意の他の好適な装置または方法において使用されてもよい。例えば、本開示の分離器(例えば、分離器106)は、粗油状物の流動接触分解などのような従来の石油化学プロセスに組み込まれた固体-固体分離のような、任意の好適な装置または方法において利用されてもよい。
【0086】
別段の指定がない限り、「から本質的になる(consists essentially of)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」という語句は、本明細書において詳細に言及されているか否かにかかわらず、そのような工程、要素、または材料が本開示の基本的かつ新規な特性に影響を与えない限り、他の工程、要素、または材料の存在を除外するものではなく、加えて、使用される要素および材料に通常伴う不純物および差異を除外するものではない。
【0087】
簡略化のため、本明細書では特定の範囲のみを明示的に開示する。しかし、任意の下限値からの範囲を任意の上限値と組み合わせて、明示的に記述されていない範囲を記述することもでき、同様に、任意の下限値からの範囲を任意の他の下限値と組み合わせて、明示的に記述されていない範囲を記述することもでき、同様に、任意の上限値からの範囲を任意の他の上限値と組み合わせて、明示的に記述されていない範囲を記述することもできる。加えて、範囲内には、明示的に記述されていなくても、その端点間におけるすべての点または個々の値が含まれる。したがって、すべての点または個々の値は、任意の他の点または個々の値、あるいは任意の他の下限値または上限値と組み合わされて、それ自体の下限値または上限値として機能し、明示的に記述されていない範囲を記述することができる。
【0088】
本明細書の詳細な説明中におけるすべての数値は、「約」指示された値によって修正され、当業者によって予想される実験誤差および変動を考慮に入れている。
【0089】
本明細書に記載されたすべての文書は、本明細書と矛盾しない範囲で、優先権書類および/または試験手順を含め、参照により本明細書に組み込まれる。前述の一般的な説明および詳細な実施形態から明らかなように、本開示の形態が図示および説明されているが、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更を行うことができる。したがって、本開示がその図示および説明によって限定されることは意図されない。同様に、「含む(comprising)」という用語は、米国法の目的上、「含む(including)」という用語と同義であると考えられる。同様に、組成物、要素、または要素の群の前に転換語「を含む(comprising)」が付される場合は常に、組成物、要素、または要素の群が記述される前に転換語「から本質的になる(consisting essentially of)」、「からなる(consisting of)」、「からなる群から選択される(selected from the group of consisting of)」、または「である(is)」が付された同じ組成物または要素の群も企図するものと理解され、その逆もまた同様である。
【0090】
本開示は、多数の実施形態および実施例に関して記載されているが、本開示の利益を有する当業者は、本開示の範囲および趣旨から逸脱しない他の実施形態が考案され得ることを理解するであろう。
図1
図2A
図2B
図3
【国際調査報告】