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特表2024-526669推定過剰流体に基づく流体療法及び関連のシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】推定過剰流体に基づく流体療法及び関連のシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20240711BHJP
   A61M 5/172 20060101ALI20240711BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20240711BHJP
   G16H 40/00 20180101ALI20240711BHJP
【FI】
G16H20/10
A61M5/172 500
A61M5/142 530
G16H40/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500572
(86)(22)【出願日】2022-07-12
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 US2022073651
(87)【国際公開番号】W WO2023288228
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/220,880
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520452529
【氏名又は名称】リプリーヴ カーディオヴァスキュラー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】テスタニ ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ハルパート アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ルッピ ケネス ジョン
(72)【発明者】
【氏名】フィールズ アントニー ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】パシナ マーク リチャード
(72)【発明者】
【氏名】マリク アルスラン マザール
【テーマコード(参考)】
4C066
5L099
【Fターム(参考)】
4C066AA03
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD11
4C066QQ74
4C066QQ77
4C066QQ78
4C066QQ82
4C066QQ84
4C066QQ92
5L099AA25
(57)【要約】
本発明の技術は、患者の排尿を管理するためのデバイス、システム、及び方法を含む。一部の実施形態では、例示的方法は、患者に関する過剰流体の推定量を受信する段階と、患者の排尿速度を取得する段階と、患者の利尿薬投与速度を取得する段階と、(i)過剰流体の推定量に対する正味流体喪失の実際の量の百分率に対応する第1の入力及び/又は(ii)残存する流体の推定量に対応する第2の入力を取得する段階と、第1の入力及び/又は第2の入力に基づいて、流体療法を調節することに関連付けられた出力を提供する段階とを含む。出力を提供する段階は、追加の利尿薬を投与することによって及び/又は患者への補水流体の注入を増大することによって患者の排尿を増大するための命令を有する表示を提供する段階を含むことができる。
【選択図】 図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体療法を提供する方法であって、
患者に関する過剰流体の推定量を受信する段階と、
前記患者の排尿速度を繰り返し取得する段階と、
前記患者の利尿薬投与速度を繰り返し取得する段階と、
(i)第1の期間にわたる前記排尿速度が予め決められた排尿閾値よりも低いか否か、及び/又は(ii)第2の期間にわたる前記利尿薬投与速度が予め決められた利尿薬閾値に等しいか又はそれよりも高いか否かを判定する段階と、
(i)前記過剰流体の推定量に対する正味流体喪失の実際の量の百分率に対応する第1の入力、及び/又は(ii)残存する流体の推定量に対応する第2の入力を繰り返し取得する段階と、
前記排尿速度が前記予め決められた排尿閾値よりも低いか否か、及び/又は前記利尿薬投与速度が前記予め決められた利尿薬閾値に等しいか又はそれよりも高いか否かを判定した後に、前記第1の入力及び/又は前記第2の入力に基づいて前記流体療法を調節することに関連付けられた出力を提供する段階と、
を含む方法。
【請求項2】
前記出力を提供する段階は、異なる利尿薬を使用するための及び/又は前記患者に提供される補水流体の量を増大するための命令を有する表示を提供する段階を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記利尿薬投与速度は、第1の利尿薬に関するものであり、
前記出力を提供する段階は、前記患者に第2の利尿薬を提供するための命令を有する表示を提供する段階を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の利尿薬は、ブメタニド、エタクリン酸、フロセミド、及び/又はトルセミドを含み、
前記第2の利尿薬は、前記第1の利尿薬とは異なっており、かつブメタニド、エタクリン酸、フロセミド、トルセミド、チアジドタイプ利尿薬、クロロチアジド、メトラゾン、アミロリド、又はスピロノラクトンを含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記患者に補水流体を第1の速度で提供する段階を更に含み、
前記出力を提供する段階は、前記補水流体を前記患者に前記第1の速度よりも高い第2の速度で提供することを推奨する段階又は提供する段階を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の入力が予め決められた百分率閾値よりも高い時又は前記第2の入力が前記予め決められた流体閾値よりも低い時に、前記出力を提供する段階は、前記利尿薬投与速度及び/又は補水流体注入速度を低減するための命令を有する表示を提供する段階を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の期間は、少なくとも1時間であり、前記予め決められた排尿閾値は、少なくとも325ミリリットル/時間である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の期間は、少なくとも1時間であり、前記予め決められた利尿薬閾値は、少なくとも30ミリグラム/時間である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記出力を提供する段階は、前記第1の入力が第1の閾値よりも低く、かつ前記第2の入力が第2の閾値よりも高い場合にのみ起こる請求項1に記載の方法。
【請求項10】
流体療法システムであって、
患者からの排尿を予め決められた間隔で繰り返し測定するように構成された尿測定デバイスと、
前記患者に利尿薬を利尿薬投与速度で提供するように構成されたポンプと、
1又は2以上のプロセッサと、
前記1又は2以上のプロセッサによって実行された時に、
前記患者に関する過剰流体の推定量を受信する段階、
前記患者の排尿速度を取得する段階、
前記患者の利尿薬投与速度を取得する段階、
(i)前記過剰流体の推定量に対する正味流体喪失の実際の量の百分率に対応する第1の入力、及び/又は(ii)残存する流体の推定量に対応する第2の入力を取得する段階、及び
前記第1の入力及び/又は前記第2の入力に基づいて、前記流体療法を調節することに関連付けられた出力を提供する段階、
を含む作動を流体療法システムに実行させる命令を有する有形非一時的コンピュータ可読媒体と、
を含むシステム。
【請求項11】
前記出力を提供する段階は、異なる利尿薬を使用するための及び/又は前記患者に提供される補水流体の量を増大するための命令を提供する段階を含む請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記利尿薬は、第1の利尿薬であり、前記システムが、前記第1の利尿薬とは異なる第2の利尿薬を提供するように構成された第2のポンプを更に含み、
前記出力を提供する段階は、前記第2の利尿薬を前記第2のポンプを通じて前記患者に注入するための命令を提供する段階を含む、
請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記ポンプは、第1のポンプであり、前記システムが、前記患者に補水流体を第1の速度で注入するように構成された第2のポンプを更に含み、
前記出力を提供する段階は、前記補水流体を前記患者に前記第1の速度よりも高い第2の速度で注入するための命令を提供する段階を含む、
請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の入力が予め決められた百分率閾値よりも高い時又は前記第2の入力が前記予め決められた流体閾値よりも低い時に、前記出力を提供する段階は、前記利尿薬投与速度及び/又は補水流体注入速度を低減するための命令を提供する段階を含む請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
或る期間にわたる前記排尿速度が予め決められた排尿閾値よりも低いことを判定する段階を更に含み、
前記出力を提供する段階は、前記排尿速度が前記予め決められた排尿閾値よりも低いと判定した後に起こる、
請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記予め決められた排尿閾値は、少なくとも325ミリリットル/時間である請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
或る期間にわたる前記利尿薬投与速度が少なくとも30ミリグラム/時間の予め決められた利尿薬閾値に等しいか又はそれよりも高いことを判定する段階を更に含み、
前記出力を提供する段階は、前記排尿速度が前記予め決められた排尿閾値よりも低いと判定した後に起こる、
請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
1又は2以上のプロセッサによって実行された時に、
患者に関する過剰流体の推定量を受信する段階と、
第1の期間にわたる前記患者の排尿速度が予め決められた排尿閾値よりも低いか否かを判定する段階と、
第2の期間にわたる前記患者の利尿薬投与速度が予め決められた利尿薬閾値に等しいか又はそれよりも高いか否かを判定する段階と、
前記排尿速度が前記予め決められた排尿閾値にあるか又はそれよりも低く、かつ前記利尿薬投与速度が前記予め決められた利尿薬閾値にあるか又はそれよりも高い時に、前記患者への流体療法を調節することに関連付けられた出力を提供する段階であって、前記出力が(i)前記患者に追加の利尿薬を投与するための及び/又は(ii)前記患者への補水流体の注入を増大するための命令を含む、前記出力を提供する段階と、
を含む作動を流体療法システムに実行させる命令を有する有形非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記作動は、前記過剰流体の推定量に対する正味流体喪失の実際の量の百分率に対応する入力を取得する段階を更に含み、
前記出力を提供する段階は、前記入力に更に基づいている、
請求項18に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記作動は、前記患者に残存する流体の推定量に対応する入力を取得する段階を更に含み、
前記出力を提供する段階は、前記入力に更に基づいている、
請求項18に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項21】
前記作動は、(i)前記過剰流体の推定量に対する正味流体喪失の実際の量の百分率に対応する第1の入力、及び/又は(ii)残存する流体の推定量に対応する第2の入力を取得する段階を更に含み、
前記出力を提供する段階は、前記第1の入力及び前記第2の入力に更に基づいている、
請求項18に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項22】
前記出力を提供する段階は、前記第1の入力が第1の閾値よりも低く、かつ前記第2の入力が第2の閾値よりも高い場合にのみ起こる請求項21に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項23】
前記出力は、第1の出力であり、
前記コンピュータ可読媒体が、前記第1の入力が前記予め決められた百分率閾値よりも高い及び/又は前記第2の入力が前記予め決められた流体閾値よりも低い時に、前記利尿薬投与速度及び/又は補水流体注入速度を低減するための命令を含む第2の出力を提供する段階を更に含む、
請求項21に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項24】
前記第1の期間は、少なくとも1時間であり、前記予め決められた排尿閾値は、少なくとも325ミリリットル/時間である請求項18に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項25】
前記第2の期間は、少なくとも1時間であり、前記予め決められた利尿薬閾値は、少なくとも30ミリグラム/時間である請求項18に記載のコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
本出願は、2020年12月4日出願の米国特許出願第17/112,925号に関連し、かつ2021年7月12日出願の米国仮特許出願第63/220,880号に対する優先権を主張するものであり、これらの開示の各々は、その全てが引用によって本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明の開示は、一般的に医療デバイスに関連し、具体的には、流体療法を提供するためのシステム、及び関連の方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
人間の生理系は、流体摂取と流体排泄の間の均衡を自然に維持しようとする。流体摂取及び排泄速度の不均衡は、流体過負荷としても公知の過剰量の流体を身体に保持させる場合がある。流体過負荷は、急性非代償性心不全(ADHF)、慢性心不全(CHF)、又は排泄される流体が不十分である他の疾患によって引き起こされる可能性がある。流体過負荷を示す患者は、息切れ(呼吸困難)、水腫、高血圧、及び他の望ましくない病状に苦しむ場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第17/659,393号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
流体過負荷を治療するために、典型的には、尿生成を誘起する及び/又は増大する、すなわち、体内の流体及びナトリウムの量を低減する利尿薬が患者に投与される。排尿速度は、安全上の理由から、例えば、患者の腎臓に過度のストレスを掛けることを回避するために注意深くモニタされる及び/又は制御される場合がある。異なる患者は、治療に対して別様に反応する場合があり、そのために同じ利尿薬のタイプ及び/又は投与量が劇的に異なる排尿速度を生じる場合がある。しかし、流体過負荷を治療するための従来のシステム及び方法は、患者の排尿を正確にモニタすること及び/又は排尿の変化に応答することができない場合がある。これに加えて、従来の治療システム及びデバイスは、高い尿生成速度を誘起することができない場合がある。従って、改善された流体療法システム及び方法に対する必要性が存在する。
【0006】
本発明に開示する技術の特徴、態様、及び利点は、以下の図面を参照してより良く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】本発明の技術の実施形態に従って構成された流体管理システムの部分概略図である。
図1B】本発明の技術の実施形態に従って構成された流体管理システムの部分概略図である。
図2】本発明の技術の実施形態により患者を治療する方法の流れ図である。
図3A】本発明の技術の実施形態により患者のターゲット流体喪失に少なくとも部分的に基づいて患者の排尿を管理するための流れ図である。
図3B】本発明の技術の実施形態により患者のターゲット流体喪失に少なくとも部分的に基づいて患者の排尿を管理するための流れ図である。
図3C】本発明の技術の実施形態により患者のターゲット流体喪失に少なくとも部分的に基づいて患者の排尿を管理するための流れ図である。
図4】本発明の技術の実施形態により患者を治療する方法の流れ図である。
図5】本発明の技術の実施形態により患者を治療する別の方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
当業者は、図面に示す特徴が例示を目的とするものであり、かつ異なる及び/又は追加の特徴及びその配置を含む変形が可能であることを理解するであろう。
【0009】
本発明の技術は、患者の推定過剰流体の量に少なくとも部分的に基づいて患者の排尿を管理する(例えば、増大又は低減する)ためのシステム、デバイス、及び/又は方法に関連し、本発明の技術の実施形態は、利尿薬及び/又は補水流体を注入して患者からの排尿を増大する又は最適化することに関する。標準治療プロトコルは、殆どの患者に有効とすることができるが、一部の患者は、標準治療プロトコルに対して最適療法を阻止又は抑制する固有疾患及び/又は異常反応を有する可能性がある。一例として、ある一定の患者は、一部の利尿薬に反応しない場合があり、及び/又は彼らの排尿速度を制限する又は最大排尿速度を達成するための治療をより困難にする基礎疾患(例えば、低血圧又は高血圧)を有する場合がある。そのような患者に対して、排尿を増大して流体過負荷条件を緩和する追加のステップ又はプロトコルが必要である場合がある。
【0010】
本明細書に説明するように、本発明の技術の実施形態は、(i)患者に関する過剰流体の推定量(例えば、残存する及び/又は除去されることになる患者の過剰流体の推定量)に対する正味流体喪失の実際量の百分率に対応する第1の入力、及び/又は(ii)患者が保持する(すなわち、患者に残存する)過剰流体の推定量に対応する第2の入力に基づいて患者の流体療法及び排尿を管理することができる。第1の入力が予め決められた百分率閾値(例えば、60%、70%、又は80%)にあるか又はそれを上回った場合、又は第2の入力が予め決められた流体閾値(例えば、0.5リットル(L)、1.0L、1.5L、又は2L)にあるか又はそれを下回った場合に、システムは、患者に関する排尿及び/又は流体喪失が十分であり、療法を即座に又はある期間(例えば、1時間)の後に停止すべきである(例えば、自動的に停止すべきである)と決定することができる。これに代えて、第1の入力が予め決められた百分率閾値よりも低く、かつ第2の入力が予め決められた流体閾値よりも高い場合に、システムは、排尿及び/又は流体喪失が不十分であると決定することができ、流体療法を改善するためのステップを取ることができる。特定の例として、過剰流体の推定量の80%未満が除去され、流体の1Lよりも多くが患者から除去されるべく残っている場合に、システムは、療法を増強するためのステップを取ることができる。そのような実施形態では、システムは、既に注入中の第1の利尿薬に加えて第2の利尿薬を注入するステップ及び/又は補水流体注入の速度を増大するステップの出力又は推奨案を提供することができ(例えば、ソフトウエア、ラベリングなどを通じて)、そのステップの両方は、患者からの正味流体喪失を増大するか又は他の療法増強を行うように構成される。
【0011】
一部の実施形態では、システムは、単に患者の排尿が少ないと決定する及び/又はある一定の他の条件が同じく満足された場合に排尿を増大するためのアクションを引き起こす場合がある。例えば、システムは、(i)第1の期間にわたる排尿速度が予め決められた排尿閾値よりも低いか否か、及び/又は(ii)第2の期間にわたる利尿薬投与速度が予め決められた利尿薬閾値を上回ったか否かを決定することができる。両方の条件が満足された場合、すなわち、排尿速度が予め決められた排尿閾値よりも低く、かつ利尿薬投与速度が予め決められた利尿薬閾値よりも高い場合に、システムは、患者の流体療法を増強するか否かを例えば第1の入力と第2の入力とに基づいて決定することができる。
【0012】
上記を踏まえてかつ本明細書に説明するように、本発明の技術の実施形態は、患者の排尿が少ないか否かを有益に識別し、排尿を増大するように設計された方法で流体療法を増強することによってこの療法を改善するためのアクション(例えば、自動アクション、推奨案など)を講じることができる。より広く見れば、本発明の技術の実施形態は、十分な流体喪失の事例の場合に流体療法を中止することによって患者の排尿を管理し、不十分な流体喪失の事例の場合に排尿を増大することによって流体療法を改善することができる。
【0013】
本明細書に提供する表題は、単に便宜を目的とするものであり、本発明の技術の範囲又は主旨を限定又は解釈するように意図していない。
【0014】
I.流体管理システム及び方法
本発明の技術は、一般的に、患者の流体レベルを管理するためのシステム、デバイス、及び関連の方法に関する。一部の実施形態では、本明細書に説明するシステム、デバイス、及び方法は、流体過負荷に関して患者を治療するのに使用される。流体過負荷を治療するために、尿生成を誘起する及び/又は増大する利尿薬を患者に投与することができる。例えば、ループ利尿薬は、腎臓内のヘンレループの上行脚に作用する利尿薬であり、ブメタニド(Bumex(登録商標))、エタクリン酸(Edecrin(登録商標))、フロセミド(Lasix(登録商標))、トルセミド(Demadex(登録商標))、チアジド及びチアジド系の利尿薬(例えば、クロロチアジド、メトラゾン)、カリウム保持性利尿薬(例えば、アミロリド、スピロノラクトン)、炭酸脱水酵素抑制剤(例えば、アセタゾラミド)、及び浸透圧利尿薬(例えば、マンニトール)を含む。利尿薬は、錠剤として経口投与するか又は静脈内(IV)注射として投与することができる。IV利尿薬は、経口利尿薬がもはや有効ではない時及び/又は吸収不能である時に使用することができる。
【0015】
患者の尿生成に対する利尿薬の短期効果は、特に治療の早期には予想することが困難である場合がある。例えば、1人の患者は、所与の利尿薬投与量に関して予想されるものよりもかなり少ない尿のみを生成する場合があり、それに対して同じ投与量が投与された別の患者は、非常に大量の尿を生成する場合がある。低い尿生成は、治療時間を長引かせる及び/又は治療効果を低減する可能性があり、それに対して高い尿生成は、低血圧、血液量減少、電解質不均衡(例えば、低カリウム血)、及び/又は重要臓器の損傷の懸念を高める可能性がある。高投与量の利尿薬は、尿反応に関係なく聴器毒性に関する懸念を高める可能性もある。これらの不確実性に起因して、医師は、典型的には、最初に慎重な(例えば、低い)利尿薬投与量を処方し、数時間待った後に投与量を増大するか否かを考慮する。医師は、より高い利尿薬投与量を必要とすると決定した場合に、患者の排尿が望ましいレベル及び/又は速度を達成するまで投与量を徐々にかつ区分的に増大することができる。しかし、この手法は、患者が流体過負荷条件に留まる時間を長引かせる場合があり、それによって患者の基礎臨床状態が悪化する可能性がある。例えば、慎重な治療手順は、有意な流体喪失を引き起こして流体過負荷条件を緩和するほど患者の排尿が十分に高くなるまでに数時間又は数日さえも必要とする可能性がある。患者は、数日間(例えば、4~5日間)にわたって入院加療を受ける場合があり、それは高額なコストを要し、負担になる場合がある。これに加えて、長期治療効果は期間が限られる場合があり、従って、患者のうちのほぼ25%が流体過負荷に関して30日以内に再入院する。
【0016】
流体療法の有効性及び安全性も、患者重症度及び低血圧のリスクに基づいて変化する場合もある。例えば、患者は、(i)単一ループ利尿薬、(ii)ループ利尿薬とチアジド又はチアジド系の利尿薬との組合せ、(iii)ループ利尿薬と、1又は2以上のチアジド利尿薬(例えば、メトラゾン又はアミロリド)と、カリウム保持性利尿薬(例えば、スピロノラクトン、アミロリド)と、炭酸脱水酵素抑制薬(例えば、アセタゾラミド)と、SGLT2抑制剤(例えば、エンパグリフロジン)との組合せ、及び(iv)限外濾過を通じて治療することができる。理論に縛られることなく、この治療オプションリストは、(i)低血圧及び他の副作用リスクを高め、かつ(ii)有効性に関して患者重症度上限を高めるという順番にあり、例えば、単一ループ利尿薬は、低血圧及び他の副作用の比較的低いリスクのみを有し、更に有効性に関して比較的低い重症度上限のみを有し(例えば、ループ利尿薬は、非常に弱い腎機能のみを有する重症患者では限られた効果のみを有する可能性がある)、限外濾過は、比較的高い低血圧リスクを有し、有効性に関して比較的高い患者重症度上限を有する(例えば、限外濾過は、腎機能のない患者からさえも流体を除去する)。患者の基礎重症度及び利尿薬反応性に正確にアクセスすることが非常に困難な状況で低血圧及び他の副作用リスクを最小にする要望に鑑みて、最も有効な療法を決定して提供することは困難である。
【0017】
流体療法に関連付けられた上記及び他の課題を解消するために、本発明の技術は、副作用リスク(例えば、低血圧のリスクなど)を低減しながら患者の流体レベルを管理するためのシステム、デバイス、及び方法を提供する。一部の実施形態では、本発明の技術は、(i)流体管理治療の効果、安全性、及び品質を改善すること、(ii)病院及び他の臨床環境内のリソース管理を改善すること、(iii)患者が利尿薬抵抗性を有するか否かを迅速に評価すること、及び/又は(iv)利尿薬効率(静脈内注入利尿薬1mg毎の所与の時間にわたって得られる尿及び/又は排泄電解質(例えば、ナトリウム)の量)を高めることができる。本明細書に説明する実施形態は、流体及び/又は電解質(例えば、ナトリウム及び/又は塩化物)の正味除去量を増大することができ、かつ流体過負荷条件をより効率的な方法(例えば、より短い時間フレーム及び/又はより高い正味流体喪失)で治療することもできる。少なくとも一部の実施形態では、本発明の技術のシステム、デバイス、及び方法は、患者の排尿速度及び/又は正味流体喪失が予想通りであるか否かを決定し、予想通りでなかった場合に正味流体喪失を改善するための予め決められた指針に基づいて調節を行うことができる。一例として、本発明の技術の実施形態は、利尿薬(例えば、利尿薬のタイプ、複数の利尿薬の組合せ、利尿薬投与速度など)及び/又は患者の補水流体注入速度を患者の排尿及び/又は患者から除去される過剰流体の推定量に少なくとも部分的に基づいて調節するか又はこの調節を提案することができる。第2の又は異なる利尿薬を投与することにより、利尿薬抵抗性を有する可能性がある患者に関する正味流体喪失を改善し、それによって流体過負荷条件を軽減することができる。これに加えて又はこれに代えて、補水流体を徐々に高まる速度で注入することにより、療法中に患者が喪失する流体を置換し、患者がナトリウム欠乏状態になること、利尿薬抵抗性を有するようになること、及び/又は低血圧状態に陥ることを抑制又は防止することができる。従って、本発明の技術の実施形態は、利尿薬抵抗性又は低血圧の低いリスクしか伴わずに患者がより様々な治療オプションを達成することを可能にすることによって改善された流体療法を送出することができる。
【0018】
図1Aは、本発明の技術の実施形態により排尿をモニタすること及び/又は患者P内への流体注入を制御することを目的とする流体管理システム(「システム100」)の部分概略図である。システム100は、採尿及びモニタシステム110(「尿システム110」)と、自動補水流体注入システム120(「補水システム120」)と、自動利尿薬注入システム130(「利尿薬システム130」)と、コントローラ又は制御システム140(「コントローラ140」)と、ディスプレイ又は入力/出力ユニット150(「ディスプレイ150」)とを含む。コントローラ140は、尿システム110、補水システム120、利尿薬システム130、及び/又はディスプレイ150の各々と作動可能に結合することができる。システム100は、尿システム110、補水システム120、利尿薬システム130、コントローラ140、及び/又はディスプレイ150の全て又は一部分を組み込む、収容する、及び/又は他に支持するコンソール又は構造体105(「コンソール105」)を更に含むことができる。
【0019】
尿システム110は、患者Pから尿を採取する及び/又は患者の排尿(例えば、排尿の量及び/又は速度)をモニタするように構成される。尿システム110は、尿を保持するように構成された1又は2以上の採取容器112(「容器112」)、例えば、使い捨てバッグ又は他の採取デバイスを含むことができる。容器112は、流体ライン119(例えば、管類ライン)を通して患者Pに流体的に結合することができる。流体ライン119は、患者Pの膀胱に置かれた又は他にそれに接続された使い捨てカテーテル118(例えば、フォーリーカテーテル、テキサスコンドームカテーテル、ピュアウィックカテーテルなど)に接続可能とすることができる。
【0020】
一部の実施形態では、流体ライン119を通る尿流は、患者の尿生成、重力(例えば、患者Pの膀胱が容器112よりも高い場所に置かれる)、及び/又は患者の膀胱と容器112の間のサイフォン効果によって駆動される。他の実施形態では、尿システム110は、流体ライン119を通って容器112の中に入る尿流を作動するために流体ライン119と作動可能に結合されたポンプ(図示せず)を含むことができる。ポンプは、流体をポンピングするのに適切ないずれかのデバイス、例えば、蠕動ポンプとするか又はそれを含むことができる。ポンプを用いて、手順の開始時に患者の身体から尿流を開始することができる。ポンプは、治療手順中に尿流を望ましい流速に維持することができ、かつ連続的に及び/又は定期的に(例えば、予め決められた期間で)及び/又はユーザ入力及び/又は検出された問題(例えば、予想外の尿流の中断)に応答して作動させることができる。ポンプを用いて、流体ライン119からエアロック及び/又は他の障害を取り除くことができる。流体管路119に流体を初期注入すること、流体管路119を通して尿をポンピングすること、及び/又は流体管路119からエアロックを取り除くことに適するデバイスの追加の例は、2022年4月15日出願の米国特許出願第17/659,393号明細書に説明されており、この文献の全内容が引用によって本明細書に組み込まれている。
【0021】
尿システム110は、患者の排尿(例えば、排尿の量及び/又は速度)を検出するように構成された1又は2以上のセンサ114(「センサ114」)を含むことができる。センサ114は、コントローラ140と作動可能に結合することができ、従って、コントローラ140は、センサ114によって生成されたデータに基づいて患者の排尿をモニタ及び/又は計算することができる。排尿は、尿流量(例えば、流体ライン119を通る及び/又は容器112の中に入る)、容器112内の尿の量(例えば、容器112の重量、容器112内の尿のレベルなどに基づく)、及び/又は尿に関する他の性質などに基づく多くの異なる方法で決定することができる。センサ114は、流れセンサ、点滴カウンタ、流体重量センサ、流体レベルセンサ、フロートセンサ、光センサ、超音波センサ、及び/又は排尿の量及び/又は速度を測定するのに適する当業技術で公知の他のセンサのうちの1又は2以上を含むことができる。図1Aの実施形態では、センサ114は、コンソール105に位置決めされる。しかし、他の実施形態では、センサ114の一部又は全ては、ライン119上又は内、容器112上又は内、及び/又は患者P上又は内のようなシステム100内の異なる場所に存在することができる。
【0022】
一部の実施形態では、センサ114は、患者の排尿を検出するのに加えて、尿の1又は2以上の特性を測定するように構成された少なくとも1つのセンサを含むことができる。例えば、センサ114は、尿温、尿導電率、尿酸素飽和度、尿比重、及び/又は尿中の1又は2以上の検体(例えば、クレアチニン、ナトリウム、カリウムなど)の濃度を測定するように構成することができる。そのような特性は、例えば、特定の療法の効果を決定する及び/又は患者Pが重篤状態にあるか否か又はそれに近づいている可能性があると考えられるか否かを決定するのを補助することができる。例えば、尿導電率及び/又は尿中電解質(たとえナトリウム)は、患者が流体療法に良好に応答しているか否か、又は患者が重篤状態にあり、流体療法を中止するか否かを示すことができる。一部の実施形態では、尿導電率(単体で又は尿比重との組合せでの)は、尿中ナトリウム及び/又は他の尿中電解質の測定値の代用として使用され、例えば、より高い尿導電率は、より高い尿中ナトリウム濃度に相関することができ、より低い尿導電率は、より低い尿中ナトリウム濃度に相関することができる。別の例として、尿温測定(例えば、流体ライン119を通した熱損失に基づく)を用いて尿流を検出することができる。尿温は、患者の体温の代用として使用することができ、これは、次に、患者の現在の臨床状態と相関することができる。
【0023】
任意的に、センサ114は、採尿手順のステータス、例えば、採尿が正常に進行しているか否か、尿流に中断があるか否か、尿システム110内に閉塞又は漏出があるか否かなどをモニタするように構成された少なくとも1つのセンサを含むことができる。例えば、センサ114は、尿システム110内(例えば、流体ライン119、カテーテル118、及び/又は容器112又はその近く)に漏出が存在するか否かを検出するように構成された漏出センサを含むことができる。漏出は、尿流速度変化、圧力変化、湿気の存在、又はいずれかの他の適切なパラメータに基づいて検出することができる。一部の実施形態では、コントローラ140は、漏出センサ及び/又は他のセンサ114からのデータを解析して低い排尿速度と尿システム110内の漏出とを区別するように構成される。
【0024】
別の例として、センサ114は、流体ライン119内の流体圧力を測定するように構成された圧力センサを含むことができる。コントローラ140は、圧力測定値を用いて尿流のステータスをモニタし、任意的にいずれかの中断(例えば、減少、突然の停止)又は採尿に関連付けられた他の問題があるか否かを検出することができる。一部の実施形態では、コントローラ140は、圧力測定値を解析して中断が低尿流(例えば、患者の膀胱が空又はほぼ空であること)、流体ライン119内のエアロック又は他の障害、尿システム110内の漏出、及び/又は流体ライン119及び/又はカテーテル118の撚りのうちのいずれに起因するかを決定する。コントローラ140は、手動関与が有利であるか又は必要とされている場合に(例えば、障害を取り除くこと、漏出を修復すること、流体ライン119から撚りを除去することなどを目的とした)、ユーザに警告することができる。尿システム110がポンプを含む実施形態では、コントローラ140は、流体ライン119から障害を取り除くためにポンプを自動的に起動する及び/又はポンピング速度を増大することができる。
【0025】
補水システム120は、生理食塩水(例えば、事前混合された生理食塩水溶液)、乳酸リンゲル液、及び/又は患者P内への注入に適するいずれかの他の液体溶液のような補水流体を含む少なくとも1つの補水流体供給源122(「流体供給源122」、例えば、バッグ、瓶、リザーバなど)を含むことができる。補水流体は、例えば、患者の状態及び/又は他の治療要件に依存して等張性、高張性、又は低張性とすることができる。任意的に、治療手順中の患者の状態及び/又は予想又は計測の電解質損失に基づいて、補水流体の組成(例えば、ナトリウム、塩化物、カリウム、重炭酸塩など)を変更することができる。
【0026】
流体供給源122は、第1の流体ライン129a及び第2の流体ライン129bのような少なくとも1つの流体ライン(例えば、IVライン又は他の管類)を通して患者Pに接続することができる。流体供給源122は、補水流体の注入を作動する及び/又はモニタするための1又は2以上の補水流体構成要素124、例えば、補水流体ポンプ126及び/又は少なくとも1つの補水流体センサ128(「流体センサ128」)に第1及び第2の流体ライン129a~129bを通して作動可能に結合することができる。図示の実施形態では、流体供給源122は、第1の流体ライン129aを通じて補水流体ポンプ126に流体的に結合され、補水流体ポンプ126は、第2の流体ライン129bを通じて患者Pの中に補水流体をポンピングすることができる。補水流体ポンプ126は、蠕動ポンプ又は患者の身体の中に流体を注入するのに適する(例えば、IVルート又は別のルートを通じて)他のポンプとするか又はそれを含むことができる。
【0027】
流体センサ128は、流体供給源122から患者Pに向けて流れる補水流体の量及び/又は速度を決定するように構成することができ、流れセンサ、圧力センサ、及び/又はポンプ126からの流体排出を決定するように構成された他のセンサを含むことができる。これに代えて又は組合せで、流体センサ128は、ポンプ126のポンピング速度(例えば、1分当たりのポンプ126の回転数)を測定することによって補水注入速度をモニタすることができる。本明細書の他の箇所で議論するように、コントローラ140は、補水システム120と作動可能に結合することができ、流体センサ128からセンサデータを受信して補水流体注入速度を決定することができる。コントローラ140は、患者Pに供給される補水流体の量及び/又は速度を制御するようにポンプ126のポンピング速度を制御することができる。
【0028】
任意的に、流体供給源122内の補水流体の量は、例えば、重量、体積、流体レベル、流速などに基づいてモニタすることができる。そのような実施形態では、流体供給源122は、流体センサ128とは別個の追加のセンサ(図示せず)、例えば、流体レベルモニタ、フロートセンサ、重量センサ、光センサ、点滴カウンタ、又は流れ測定センサなどと作動可能に結合することができる。追加のセンサは、患者Pに供給されている補水流体の量及び/又は速度を決定及び/又は検証するための独立した測定データ供給源を提供することができ、このデータ供給源は、測定の精度を改善するのを補助することができる。
【0029】
一部の実施形態では、補水システム120は、流体供給源122の存在を検出するように構成された少なくとも1つのセンサ、例えば、場所センサ、光センサ、重量センサなどを含む。補水システム120は、センサデータを用いて流体供給源122が存在するか又は不在であるかを自動的に決定し、それによって例えばシステム100が流体療法の治療に着手する準備が整っているか否かを評価することができる。任意的に、例えば、空又はほぼ空の流体供給源122を新しい流体供給源122に切り換えるためにユーザが流体供給源122を取り外そうとうとするか否かを、センサデータを用いて治療手順中に検出することができる。そのような実施形態では、システム100は、流体供給源122を交換し終わるまで補水流体の注入を自動的に一時停止することができる。従って、ユーザは、システム100に通知する又は手順を手動で一時停止する必要なく流体供給源122を切り換えることができる。
【0030】
利尿薬システム130は、利尿薬を患者Pに自動的に供給するように構成することができる。利尿薬システム130は、各々を流体溶液(例えば、生理食塩水と利尿薬又は他の薬剤との混合物)の一部とすることができるブメタニド(Bumex(登録商標))、エタクリン酸(Edecrin(登録商標))、フロセミド(Lasix(登録商標))、トルセミド(Demadex(登録商標))、及び/又は当業技術で公知の他の利尿薬のような利尿薬を含む利尿薬供給源134(例えば、シリンジ、バッグ、リザーバなど)を含むことができる。一部の実施形態では、利尿薬の識別名及び/又は濃度は、ユーザ入力(例えば、ディスプレイ150を用いた)により、及び/又は利尿薬供給源134又は他の利尿薬容器のバーコードを走査することにより、及び/又はいずれかの他の適切な技術によってコントローラ140によって受信することができる。
【0031】
利尿薬供給源134は、流体ライン139(例えば、IVライン又は他の管類)を通じて患者Pに接続することができる。利尿薬供給源134は、流体ライン139を通じた利尿薬送出を作動する及び/又はモニタするための1又は2以上の利尿薬構成要素136と作動可能に結合することができる。例えば、利尿薬構成要素136は、流体ライン139を通じて患者Pに向けて利尿薬をポンピングするように構成された利尿薬ポンプを含むことができる。利尿薬ポンプは、蠕動ポンプ、シリンジポンプ、計量ポンプ、又は利尿薬を患者Pに複数の投与速度で送出するのに適する他のデバイスを含むことができる。利尿薬ポンプは、利尿薬をあらゆる適切な送出プロファイルに従って例えば制御式持続速度で及び/又は流体ライン139を通じて規則的な間隔で送出される制御式ボーラスで送出することができる。利尿薬送出プロファイルの追加の詳細は、下記で図2に関して提供する。
【0032】
一部の実施形態では、利尿薬ポンプは、コントローラ140が患者Pに利尿薬を移送するために注射器の移動を引き起こすようにコントローラ140と作動可能に結合された機械的注射器又はプランジャを有するシリンジポンプであるか又はそれを含む。シリンジポンプは、患者Pへの利尿薬の送出を制御するために注射器を機械的に駆動するアクチュエータを含む又はそれに結合することができる。例えば、アクチュエータは、注射器を駆動するためにネジを回転させるためのナットのような機械的アクチュエータとするか又はそれを含むことができる。シリンジポンプは、注射器の位置を検出するためのセンサを含む又はそれと作動可能に結合することができる。これに代えて又は組合せで、利尿薬ポンプは、他のタイプのポンプ及び/又はアクチュエータを含むことができる。例えば、利尿薬ポンプは、モータ、それと作動可能に接続されたギヤボックス、このモータの回転を測定するためのセンサ(例えば、回転速度計又は光学符号器)、及び/又はモータの作動を制御し、患者Pに送出される利尿薬の量をモニタするように構成されたマイクロコントローラを含むことができる。別の例として、利尿薬ポンプは、液体を利尿薬供給源134から患者Pに向けてライン139を通じて前進させるように構成された電気モータ、例えば、回転モータ、リニアモータ、及び/又は一連の電気作動式ソレノイドを含むことができる。
【0033】
一部の実施形態では、利尿薬構成要素136は、患者Pに向けて流れる利尿薬の量及び/又は速度を決定するように構成された1又は2以上の利尿薬センサを含む。1又は2以上の利尿薬センサは、例えば、流れセンサ、重量センサ、及び/又は利尿薬供給源134から送出される利尿薬の量及び/又は速度を決定するように構成された他のセンサタイプを含むことができる。任意的に、利尿薬センサは、利尿薬ポンプからの排出に基づいて、例えば、ポンピング速度(例えば、1分当たりの利尿薬ポンプの回転数、プランジャ位置など)をモニタすることによって利尿薬送出を測定することができる。利尿薬構成要素136は、例えば、正確な利尿薬注入を保証するために及び/又は注入ステータスをモニタするためにフィードバック信号をコントローラ140に供給するための追加の機能的構成要素、例えば、気泡検出器、圧力センサ、溢血センサ(例えば、ivWatchデバイス)、及び/又は他の埋め込み式電子機器を含むことができる。
【0034】
コントローラ140は、補水流体及び/又は利尿薬の注入を自動的に制御して(例えば、患者の排尿に少なくとも部分的に基づいて)患者Pの安全で有効な利尿を容易にするように構成される。コントローラ140は、1又は2以上のプロセッサと、プログラム可能命令を収容するように構成された有形非一時的メモリとを含むことができる。コントローラ140は、尿システム110、補水システム120、及び/又は利尿薬システム130と作動可能に結合され、これらのシステムの様々な構成要素からデータ(例えば、センサデータ)を受信すること及びこれらの構成要素にデータ(例えば、制御信号)を送信することができる。例えば、コントローラ140は、尿システム110から(例えば、センサ114から)センサデータを受信して患者の排尿を決定及び/又はモニタすることができる。排尿に基づいて、コントローラ140は、患者Pに投与するのに適切な利尿薬投与の量及び/又は速度を決定することができ、それに従って利尿薬システム130に利尿薬を送出させることができる。例えば、コントローラ140は、望ましい利尿薬送出プロファイルをもたらすための利尿薬ポンプのポンピング速度を決定することができる。同様に、コントローラ140は、患者Pに対して適切な補水流体注入速度を決定することができ(例えば、排尿及び/又は利尿薬投与速度に基づいて)、補水システム120に適切な量及び/又は速度の補水流体を送出させることができる。例えば、コントローラ140は、補水流体ポンプ126が望ましい補水流体注入速度を達成するためのポンピング速度を決定することができる。コントローラ140は、例えば、医師によって処方された及び/又はコントローラ140によって管理される適切な治療計画プロトコルに基づいて利尿薬投与速度及び/又は補水流体注入速度を調整することができる。
【0035】
手順中に、コントローラ140は、尿システム110、補水システム120、及び/又は利尿薬システム130の様々なセンサからセンサデータを受信して排尿、補水流体注入速度、及び/又は利尿薬投与速度をそれぞれモニタすることができる。コントローラ140は、患者のステータス及び/又はシステム100の作動ステータスをモニタするように構成された追加のセンサ、例えば、流体圧力センサ、血圧センサ、及び気泡検出器などからセンサデータを受信することができる。例えば、コントローラ140は、患者Pの中に埋め込まれた、取り付けられた、又は他に関連付けられた少なくとも1つのセンサと作動可能に結合することができる。センサは、患者パラメータ、すなわち、圧力レベル(例えば、肺動脈圧、左房圧)、生体電気測定値(例えば、生体インピーダンスベクトル解析値(BIVA))、ヘモグロビン測定値(例えば、非侵襲的ヘモグロビン測定値)、尿酸素飽和レベル、尿組成(例えば、クレアチニン、ナトリウム、カリウム、塩化物など)、尿温、体温(例えば、膀胱温)、及び経口流体摂取量などのうちのいずれかに関するデータを供給することができる。コントローラ140は、本明細書に説明するセンサのうちのいずれかからのデータを用いて治療経過(例えば、治療が完了したか否か)、患者のステータス(例えば、患者が治療に対して良好に反応しているか又は不十分にしか反応していないか)、及び/又は潜在的な安全上の懸念(例えば、利尿が過度に活発であるか否か、患者が副作用を見せているか否か)をモニタすることができる。コントローラ140は、センサデータに基づいて補水流体注入速度及び/又は利尿薬投与速度を調節することができる。更に、センサデータは、流体療法の効果を確認又は検証するためのフィードバックをコントローラ140に供給することができる。
【0036】
コントローラ140は、療法をモニタ及び/又は制御するためにシステム100に対する設定値、ユーザ入力、望ましい治療計画(例えば、プログラムされた利尿薬及び/又は補水流体の経時的流体送出プロファイル)を示すデータ、及び/又はコントローラ140によって収集又は算定された他のデータのような他のデータを使用することができる。一部の実施形態では、コントローラ140によって使用されるデータは、患者Pに送出される利尿薬投与量、排尿の体積又は速度、患者Pの中に注入される補水流体の量、利尿薬の注入中の様々な時点での患者Pの体重又は体重変化、患者の腎機能のインジケータ(例えば、推定糸球体濾過速度(eGFR))、及び/又は患者Pがシステム100を通じて治療された時間のような患者Pに関する現在及び/又は過去のデータを含む。
【0037】
ディスプレイ150(例えば、タッチ画面、モニタなど)は、ユーザから入力を受信し、出力をユーザに対して表示するように構成されたユーザインタフェースを含むことができる。一部の実施形態では、ディスプレイ150は、コントローラ140と作動可能に結合され、従って、ディスプレイ150を用いて排尿、補水流体注入、及び/又は利尿薬投与量に関するパラメータのような治療パラメータを示すユーザ入力を受信することができる。治療パラメータは、例えば、望ましい流体均衡レベル(例えば、正、負、又は中立の流体均衡)、ターゲット流体除去体積(例えば、除去される流体の最小及び/又は最大の量)、望ましい排尿レベル(例えば、全排尿量、最高、最低、及び/又は平均のターゲット排尿速度)、治療所要時間(例えば、治療手順の最長及び/又は最も短い所要時間、入力均衡レベル及び/又は排尿レベルの計画所要時間)、補水流体のタイプ、補水流体注入速度(例えば、最高、最低、及び/又は平均の注入速度)、補水流体注入プロファイル(例えば、補水流体注入の量及び/又は速度が経時的にどのように変えられるかを示す関数)、補水流体注入に関する時間制限(例えば、補水流体注入に関する最長及び/又は最短期間)、利尿薬のタイプ、利尿薬投与量(例えば、最大及び/又は最小の投与量)、利尿薬投与速度(例えば、最高、最低、及び/又は平均の投与速度)、利尿薬投与プロファイル(例えば、利尿薬の投与量及び/又は投与速度が経時的にどのように変えられるかを示す関数)、利尿薬送出に関する時間制限(例えば、利尿薬送出に関する最長及び/又は最短期間)、手順中に患者によって受け入れる他の流体(例えば、摂取流体体積、利尿薬及び/又は補水流体以外の他の医薬剤からの流体体積)、及び/又はこれらの適切な組合せを含むことができる。ディスプレイ150では他の患者関連入力を受信することができ、これらの入力は、例えば、患者の性別、体重(例えば、「ドライ」ウエイト)、年齢、民族性、臨床状態(例えば、腎機能パラメータ、血清塩化物濃度のような電解質濃度)、治療歴(例えば、過去の流体除去手順の結果)、診断(例えば、ADHF、CHF)、薬品(例えば、患者に利尿薬耐性の有無)、食事因子(例えば、患者が高塩分食又は低塩分食のいずれかを摂取しているか、経口流体摂取量)などを含むことができる。
【0038】
これに代えて又は組合せで、ディスプレイ150を通じたユーザ入力は、テーブル及び/又は他のデータ供給源から治療パラメータ(例えば、最大利尿薬投与量、最大持続利尿薬投与量、及び最低所望尿速)を取り出すようにコントローラ140に促すことができる。データ供給源は、システム100内(例えば、コントローラ140に関連付けられたメモリ内)に格納することができ、及び/又は別々のデバイス(例えば、リモートコンピュータデバイス)に格納することができる。一部の実施形態では、コントローラ140は、リモートのデータベース及び/又はサーバから通信ネットワーク(例えば、有線ネットワーク、無線ネットワーク、クラウドベースのネットワーク、インターネット、及び/又はそのあらゆる組合せ)を通じてデータを取り出す。そのような実施形態では、コントローラ140は、通信ネットワーク上でデータを送受信するように構成された通信デバイス及び/又はインタフェースと作動可能に結合することができる。
【0039】
コントローラ140は、精査及び/又はフィードバックの目的でディスプレイ150を通じて治療パラメータをユーザに対して出力することができる。例えば、ディスプレイ150は、利尿薬投与速度に関する推奨案(例えば、初期、最高、及び/又は最低の投与速度)、補水流体注入速度に関する推奨案(例えば、初期、最高、及び/又は最低の注入速度)、排尿速度に関する推奨案(例えば、最高及び/又は最低の排出速度)、治療所要時間に関する推奨案(例えば、利尿薬及び/又は補水流体の注入に関する最長期間、最長全治療所要時間)等々のような患者Pに関する推奨治療パラメータを示すことができる。別の例として、ディスプレイ150は、1又は2以上の予め決められた治療プログラムを出力することができ、従って、ユーザは、特定の患者Pに対して適切なプログラムを選択することができる。任意的に、ユーザは、表示された治療パラメータのうちのいずれかを必要に応じて修正することができる。
【0040】
治療手順中に、コントローラ140は、ディスプレイ150を通じて手順ステータスに関する情報をユーザに対して出力することができる。例えば、コントローラ140は、排尿(例えば、現在の排尿速度及び/又は排尿量、経時的な排尿速度及び/又は排尿量、これまでの全排尿量)、補水流体注入(例えば、現在の注入速度及び/又は注入量、経時的な注入速度及び/又は注入量、これまでに注入された全補水流体量)、利尿薬送出(例えば、現在の投与速度及び/又は投与量、経時的な投与速度及び/又は投与量、これまでに送出された全利尿薬量)、流体均衡(例えば、現在の流体均衡、経時的な流体均衡、これまでの正味流体除去)、システムステータス(例えば、流体供給源122内に残存している補水流体の量、利尿薬供給源134内に残存している利尿薬の量、容器112内の残存ストレージ容量)、治療時間(例えば、治療開始時間、予想及び/又は計画された治療終了時間、これまでの全治療所要時間)、通知(例えば、警告、警報、エラーメッセージ)のうちのいずれかに関する情報を表示することができる。ユーザは、表示された情報を精査し、適切な場合に、治療手順を調節、一時停止、及び/又は停止するようにコントローラ140に命令する入力を与えることができる。
【0041】
一部の実施形態では、システム100は、例えば、採尿容量を使い果たすこと、補水流体を使い果たすこと、及び/又は利尿薬を使い果たすことに起因する治療の中断を低減するか又は最小にするために尿システム110、補水システム120、及び/又は利尿薬システム130に冗長性を含む。例えば、システム100は、予め決められた場所(例えば、コンソール105又はシステム100の別の部分上又は内)に格納することができる冗長構成要素(例えば、容器112、流体供給源122、及び/又は利尿薬供給源134)を含むことができる。コントローラ140は、冗長構成要素の存在を検出するように構成することができ、かつこれらの構成要素の間で自動的又は半自動的に切り換えることができ、従って、治療手順は、不断又は実質的に不断に続行することができる。これに代えて又は組合せで、システム100は、採尿容量、補水流体レベル、及び/又は利尿薬レベルに関するユーザ警告のタイミングを冗長構成要素の利用可能性に基づいて調節することができる。例えば、冗長構成要素が利用可能な場合に、システム100は、冗長構成要素を使用する段階に自動的に切り換えることができ、又はユーザが別の場所から交換品を探し出さなければならないのではなくシステム100にローカルに予め格納された冗長構成要素を用いてこの切り換えを迅速に実施することができるので、より後の時点(例えば、容器112が満杯になると考えられる時、流体供給源122が空になると考えられる時、及び/又は利尿薬供給源134が空になると考えられる時に時間的に近い)に警告を発生することができる。
【0042】
流体療法での中断の欠如は、例えば、患者の流体過負荷条件を可能な限り迅速に安全に緩和することによって流体療法の効果を保証することを助けることができる。一部の実施形態では、利尿薬送出及び/又は補水流体注入の短い中断であっても、患者の排尿に有意に影響を及ぼす(例えば、排尿速度を降下させる)場合があり、それを通じて治療効果が妨げられ、治療時間が長引く場合がある。本明細書に説明する治療手順の一部の実施形態では、利尿薬及び/又は補水流体の予備供給に関して上述した懸念は、例えば、長期間にわたって利用される比較的大量の利尿薬及び/又は補水流体に起因して本発明の技術に対して独特のものである場合がある。すなわち、従来のシステム及び方法が、比較的少量の利尿薬及び/又は補水流体しか投与されないことで単一利尿薬供給源及び/又は単一補水流体供給源しか利用しない場合があるのに対して、本発明の技術は、複数の利尿薬供給源及び/又は補水流体供給源から利益を得て治療の継続性を保証することができる。同様に、本発明の技術の治療手順は、従来の手順と比較して大きい排尿体積及び/又は高い排尿速度を患者Pに生成することができ、従って、手順中にユーザが容器112を空にしなければならない回数及び/又は交換しなければならない回数を低減するのに複数の容器112を有益とすることができる。
【0043】
例えば、一部の実施形態では、尿システム110は、容器112が満杯であることに起因して流体療法を停止又は中断する必要はないことを保証するために2又は3以上の冗長容器112を含む。そのような実施形態では、尿システム110は、コントローラ140と作動可能に結合されて患者Pからの尿を容器112のうちの1又は2以上に選択的に向けるように構成された流れ制御アセンブリ116(例えば、バルブ及び/又は他の流れ制御構成要素)を含むことができる。流れ制御アセンブリ116は、患者Pから受け入れた尿を最初に第1の容器112に向けることができる。流れ制御アセンブリ116は、第1の容器が満杯又はほぼ満杯であることを検出又は決定した状態で(例えば、センサ114からのセンサデータに基づいて)、患者Pから受け入れた尿を第2の容器112に向け直すことができる。尿が第2の容器112に向けられている間に、ユーザは、第1の容器112を空にする又は第1の容器112を空の容器112と交換することができる。流れ制御アセンブリ116及び/又はコントローラ140は、第1の容器が満杯であり、交換するか又は空にする必要があることを示す警告をユーザに対して発生することができる。この処理は、容器112が満杯であること及び/又は尿システム110が排尿を受け入れることができないことに起因して流体管理療法が不用意に中断されることがないように繰り返すことができる。一部の実施形態では、本明細書に説明する治療手順は、比較的大量及び/又は高速(例えば、従来療法と比較して)の排尿をもたらし、従って、治療の中断を最小にするために複数の尿容器の間の自動切り換えが有利である。尿システム110及び複数の容器112、並びに関連のデバイス及び方法の追加の詳細に関して、全内容が引用によって本明細書に組み込まれている2022年4月15日出願の米国特許出願第17/659,393号明細書を参照して下記で説明する。
【0044】
別の例として、補水システム120は、例えば、診療を通じて補水流体注入を中断なく続行することができることを保証するために、及び/又は補水流体注入を中断させることなく複数の補水流体供給源122を切り換えるための追加の時間窓を設けるために複数の冗長補水流体供給源122を含むことができる。そのような実施形態では、補水システム120は、コントローラ140と作動可能に結合されて補水流体供給源を第1の流体供給源から第2の流体供給源に切り換えるように構成された補水制御アセンブリ(例えば、図示していないバルブ及び/又は他の流れ制御構成要素)を含むことができる。そのような実施形態では、補水制御アセンブリは、補水流体を最初に第1の流体供給源から患者Pに送出することができる。補水制御アセンブリは、第1の流体供給源が空である又はほぼ空であるか否かを例えば流体センサ128及び/又は補水システム120に関連付けられた他のセンサからのデータに基づいてモニタすることができる。補水制御アセンブリが、第1の流体供給源が空である又はほぼ空である(例えば、補水流体の残量が予め決められた閾値を下回った)ことを検出又は決定する状態で、補水制御アセンブリは、補水流体を第2の供給源から送出する段階に切り換えることができる。この切換処理は、流体供給源122が空であること及び/又は補水システム120が補水流体を供給することができないことに起因して流体療法が不用意に中断されることがないように繰り返すことができる。
【0045】
補水流体供給源122を切り換える処理は、自動、半自動、又は手動で実行することができる。一部の実施形態では、第1の流体供給源と第2の流体供給源の間の半自動又は手動の切り換えは、補水システム120が補水流体をユーザの確認なく自動的に注入しないことを保証するのを補助することができる。そのような実施形態では、補水制御アセンブリ及び/又はコントローラ140は、補水流体を第1の流体供給源から第2の流体供給源に切り換えるべきことを確かめる質問をユーザに出す警告を出力することができる。第2の流体供給源に切り換える時に、コントローラ140は、第1の流体供給源が空であり、かつ交換する必要があることを示す警告をユーザに対して発生することができる。任意的に、補水制御アセンブリ及び/又はコントローラ140は、補水システム120が指定体積の追加補水流体を自動的に注入することをユーザが可能にする事前承認手順を実施することができる。当該体積が患者Pに送出された状態で、更に別の自動補水流体注入の前にユーザが再承認を与えることを必要とする場合がある。
【0046】
一部の実施形態では、補水システム120の異なる流体供給源122は、各々が同じタイプの補水流体を供給する。しかし、他の実施形態では、流体供給源122の一部又は全ては、異なるタイプの補水流体を供給することができる。補水流体は、張度、組成、電解質含有量などに関して互いに異なることができる。利尿に対する患者の反応に依存して、補水システム120は、患者Pに複数の異なる補水流体を順次又は同時に送出することができる。例えば、患者Pが電解質の不均衡(例えば、正のナトリウム均衡)を有することを患者の排尿が示した場合に、補水システム120は、この不均衡に対処すると考えられる補水流体(例えば、より低いナトリウム含有量を有する補水流体)を送出する段階に切り換えることができる。この切り換えは、上述した技術及び/又はデバイスのうちのいずれかを用いて実行することができる。すなわち、患者Pに送出される特定の1又は複数の流体は、患者の特定の臨床状態及び/又は治療に対する反応に対して調整することができる。
【0047】
一部の実施形態では、利尿薬システム130は、予備シリンジポンプが使用に向けて利用可能であるか否かを検出するように構成された1又は2以上のセンサを含むことができる。更に別の例では、利尿薬システム130は、例えば、診療を通じて利尿薬送出を中断なく続行することができることを保証するために、及び/又は利尿薬送出を中断させることなく利尿薬供給源134を切り換えるための追加の時間窓を設けるために複数の冗長利尿薬供給源134を含むことができる。例えば、第1の利尿薬供給源134(例えば、第1のシリンジ又は容器)が使い尽くされた場合に、第2の利尿薬供給源134(例えば、第2のシリンジ又は容器)によって利尿薬を提供し続けることができる(例えば、実質的な中断なく)。第2の利尿薬供給源134は、コンソール105に接続することができ、かつ第2の利尿薬供給源134の存在を検出するように構成されたセンサ(例えば、場所センサ、光センサ、重量センサなど)と作動可能に結合することができる。すなわち、利尿薬システム130は、第1の利尿薬供給源134が空又はほぼ空であり、第2の利尿薬供給源134が存在する場合に、第2の利尿薬供給源134に切り換えることができる。
【0048】
一部の実施形態では、利尿薬システム130は、各々が独自の利尿薬供給源134を含む2つの独立した利尿薬ポンプを含む。例えば、利尿薬システム130は、各々が独自の利尿薬充填シリンジに流体的に結合されたシリンジポンプを含むことができる。一部の場合に、そのようなシリンジは、薬剤師又は他の医療従事者しか充填することができず、従って、ユーザが容易に交換する(例えば、数時間未満で)ことはできない。第1の利尿薬供給源134が空又はほぼ空である(例えば、予め決められた閾値を下回った)ことを利尿薬システム130及び/又はコントローラ140が検出すると、利尿薬供給を第2の利尿薬供給源134に切り換える(例えば、自動又は手動で)ことができる。切換処理は、第1のシリンジに流体的に結合された第1のシリンジポンプを停止する段階と、第2のシリンジに流体的に結合された第2のシリンジポンプを起動する段階とを含むことができる。他の実施形態では、利尿薬システム130は、利尿薬供給源134に接続された単一利尿薬ポンプ(例えば、シリンジポンプ)を含む。そのような実施形態では、第1の利尿薬供給源134と第2の利尿薬供給源134の間の状況切り換えは、利尿薬制御アセンブリ(例えば、バルブ及び/又は他の流れ制御構成要素)を用いて利尿薬ポンプを第1の利尿薬供給源134から利尿薬を送出する段階から第2の利尿薬供給源134から利尿薬を送出する段階に切り換える段階を含むことができる。この切換処理は、利尿薬供給源134が空であること及び/又は利尿薬システム130が利尿薬を提供することができないことに起因して流体療法が不用意に中断されることがないように繰り返すことができる。
【0049】
利尿薬供給源134を切り換える処理は、自動、半自動、又は手動で実行することができる。一部の実施形態では、第1の利尿薬供給源134と第2の利尿薬供給源134の間の手動又は半自動の切り換えは、利尿薬システム130が大量の利尿薬をユーザの確認なく自動的に注入しないことを保証することを補助することができる。そのような実施形態では、コントローラ140は、利尿薬を第1の利尿薬供給源134から第2の利尿薬供給源134に切り換えるべきことを確かめる質問をユーザに出す警告を出力することができる。第2の利尿薬供給源134に切り換える時に、コントローラ140は、第1の利尿薬供給源134が空であり、かつ交換する必要があることを示す警告をユーザに対して発生することができる。任意的に、コントローラ140は、第1の利尿薬供給源134が空になる時点及び/又は時間範囲を予想することができ(例えば、利尿薬投与速度に基づいて)、第1の利尿薬供給源134が使い果たされる前にユーザが交換のための利尿薬供給源134を注文するか又は他に提供することができるように通知を出力することができる。更に、利尿薬制御アセンブリ及び/又はコントローラ140は、利尿薬システム130が指定の追加投与量の利尿薬を自動的に送出することをユーザが可能にする事前承認手順を実施することができる。当該投与量が患者Pに送出された状態で、更に別の自動利尿薬送出の前にユーザが再承認を与えることを必要とする場合がある。
【0050】
一部の実施形態では、利尿薬システム130の異なる利尿薬供給源134は、各々が同じタイプの利尿薬を提供する。しかし、他の実施形態では、利尿薬供給源134の一部又は全ては、異なるタイプの利尿薬を提供することができる。利尿に対する患者の反応に依存して、利尿薬システム130は、患者Pに複数の異なる利尿薬を順次又は同時に送出することができる。例えば、利尿薬システム130は、患者Pに最初に利尿薬供給源134から第1の利尿薬を送出することができる。患者Pが第1の利尿薬に対して不十分にしか反応しなかった(例えば、排尿速度が増大しなかった又は非常に緩慢にしか増大しなかった)場合に、利尿薬システム130は、第2の利尿薬供給源134から第2の異なる利尿薬を送出する段階に切り換えることができる。利尿薬システム130は、第2の利尿薬と同時に第1の利尿薬を送出し続けることができ、又は第2の利尿薬が送出される時に第1の利尿薬の送出を中止することができる。この切り換えは、上述した技術及び/又はデバイスのうちのいずれかを用いて実行することができる。別の例として、患者Pが単一利尿薬に良好に反応しなかった場合に、利尿薬システム130は、患者Pに複数の利尿薬を同時に投与することができる。適切な排尿速度を誘起するために、異なる利尿薬の比を必要に応じて変更することができる。しかし、他の実施形態では、追加の利尿薬を自動的に投与するのではなく、利尿薬システム130は、ユーザが患者Pに異なる利尿薬を手動で投与することを推奨する通知、及び/又は患者の安全に対して有益とすることができる異なる利尿薬の投与をユーザが承認することを要求する通知を出力することができる。
【0051】
図1Aに示すシステム100は、多くの異なる方法を含むことができる。例えば、システム100の様々な構成要素の場所を変更することができ、例えば、尿システム110、補水システム120、及び/又は利尿薬システム130は、コンソール105内の異なる場所に存在することができる。別の例として、尿システム110、補水システム120、又は利尿薬システム130のいずれか1つは、別個のシステム又はデバイス(例えば、別個のコンソール)の一部とすることができるか又は完全に除外することができる。例えば、一部の実施形態では、尿システム110は、患者の排尿をモニタすることを目的とし、カテーテル118及び/又は採尿を必要としない機構、例えば、患者の膀胱体積を測定する超音波センサと交換される。超音波センサは、患者の身体に結合されるパッチ又は類似のデバイスとして実施することができる。コントローラ140は、超音波センサデータを処理して膀胱体積の変化を検出することができ、この膀胱体積に基づいて対応する排尿の量及び/又は速度を決定することができる。超音波センサのような非侵襲的尿モニタ機構の使用は、本明細書に説明する治療手順を外来患者環境及び/又は自宅環境で実行することを可能にすることができ、尿流又は尿体積の連続的及び/又は断続的な(例えば、1分置き、2分置きなど)測定を妨害することなく尿バッグを空にすることを可能にすると考えられる。
【0052】
別の例として、一部の実施形態では、補水システム120は除外され、従って、利尿は、補水流体注入を伴わずに実施されるか、又は補水流体は手動で注入される。補水流体注入を有する利尿は、低血清塩化物濃度を有する患者(例えば、低塩分食を摂っている患者)に対してより有益とすることができ、それに対して高血清塩化物濃度を有する患者(例えば、高塩分食を摂っている患者)は、補水流体注入を殆ど又は全く伴わない利尿に耐えることができる。任意的に、補水流体注入速度は、患者の血清塩化物濃度に少なくとも部分的に基づいて変更することができ、例えば、患者の血清塩化物濃度が高い(例えば、105mmol/Lよりも高いか又はそれに等しい)場合に、少なめの量及び/又はより低い速度の補水流体注入を使用することができる。
【0053】
更に別の例では、利尿薬システム130を除外することができ、従って、利尿は実行されないか又は手動で実行される。そのような実施形態では、システム100は、補水システム120によって自動流体交換を提供することができ、及び/又は尿システム110によって患者の排尿を自動的にモニタすることができるが、利尿薬は、医療従事者が当業者に公知の技術に従って手動で投与されると考えられる。
【0054】
図1Bは、本発明の技術の実施形態により排尿をモニタするための及び/又は患者P内への流体注入を制御するための別の流体管理システム160(「システム160」)の部分概略図である。図1Bに示すように、システム160は、コンソール165(例えば、コンソール105、図1A)と、排液バルブ113を有する容器112、カテーテル118、流体ライン119、及びコントローラ140を含む(先に図1Aを参照して上述したように)システム100と同じ特徴のうちの多くとを含むことができる。システム160は、流れ制御デバイス138(例えば、ピンチバルブ)と、尿生成をモニタするための複数のセンサとを更に含むことができ、これらのセンサのうちの一部は冗長センサとすることができる。流れ制御デバイス138は、コントローラ140と作動可能に結合され、かつ患者から容器112への流れを調整するように構成することができる。一部の実施形態では、流れ制御デバイス138は、流体ライン119を外部から締め付けることによって流れを調整するピンチバルブを含む。図1Bに示すように、流れ制御デバイス138は、第1のセンサ114aの上流に存在する。しかし、他の実施形態では、流れ制御デバイス138は、第1のセンサ114aの下流に存在することができる。
【0055】
センサ114は、(i)流体ライン119及びカテーテル118に結合(例えば、流体的に結合)されて患者Pからの尿流速を測定するように構成された第1のセンサ114a(例えば、流れセンサ、熱流センサ(例えば、Sensirion SLF3x液流センサ)、機械的外輪型流れセンサ、超音波流れセンサなど)、及び(ii)容器112に結合されて容器112の重量を測定するように構成された第2のセンサ114b(例えば、重量センサ)を含むことができる。第1及び第2のセンサ114a~114bは、コントローラ140と作動可能に結合することができる。第1のセンサ114aが超音波流れセンサを含む実施形態では、超音波流れセンサは、流体ライン119の外部に配置することができ、従って、流体ライン119内の流体に接触しない。
【0056】
本明細書の他の箇所に開示するように、患者からの尿生成に関する信号は、システムによって用いられ、例えば、どれほどの量の利尿薬及び/又は補水流体を投与されるかを決定することができる(例えば、利尿薬及び/又は補水流体の自動制御投与)。従って、正確で信頼性の高い排尿信号を取得することを有益とすることができる。そのような実施形態では、第1又は第2のセンサ114a~114bからの信号を第1又は第2のセンサ114a~114bの他方からの信号と比較して測定の精度を保証することができる。信号は、定期的な間隔(例えば、1秒置き、30秒置き、1分置き、2分置き、5分置き、10分置きなど)に取得することができ、これらの信号を用いて反復ベースで平均流速をもたらすことができ、又は所与の期間にわたる全尿体積を算定することができる。例えば、第1及び第2のセンサ114a~114bから得られる信号に基づいて、例えば、直前の1分に関して平均流速又は患者排尿速度を決定し、連続的に更新することができる。
【0057】
一部の実施形態では、第2のセンサ114bからの信号は、1次供給源又は入力として使用することができ、第1のセンサ114aからの信号は、予備又は2次信号源として使用することができる。これに代えて、第1のセンサ114aからの信号は、1次供給源として使用することができ、第2のセンサ114bからの信号は、2次信号源として使用することができる。1次供給源は、それとしての働きをしている現在のセンサが故障した又は利用可能ではないか、又は他の予め決められた条件が満足された場合に(例えば、その場合にのみ)、第のセンサ114aと第2のセンサ114bの間で切り換えを行うことができる。例えば、一部の実施形態では、(i)容器112の重量が予め決められた閾値よりも大きく、容器112がほぼ満杯であり、排液することを必要とすることのない限り及び/又はそうなるまで、(ii)容器112の重量が減少しており、容器112が排液されている可能性が高いことを示し、従って、正確な尿流測定値をもたらす第2のセンサ114bの機能を下げることのない限り又はそうなるまで、(iii)容器112の重量が予想よりも低い速度で増大しており、又は重量が減少しており、容器112が排液されていることを示し、従って、正確な尿流測定値をもたらす第2のセンサ114の機能を下げることのない限り及び/又はそうなるまで、及び/又は(iv)第1のセンサ114aの信号と第2のセンサ114bの信号の間に相違が存在し、容器112が排液されていること及び/又は信号の一方が正確でないことを示すことのない限り及び/又はそうなるまで、第2のセンサ114bからの信号を1次供給源として使用することができる。これらの条件のうちの1又は2以上が満足される場合に、システム160又はコントローラ140は、(i)センサの一方を他方よりも支配的に選択するように構成すること、及び/又は(ii)両方のセンサからの信号を解析して他の作動条件(例えば、直近に得られた排尿速度、平均排尿速度、利尿薬投与量、補水注入量など)に基づいて最も信頼性の高い信号を選択することができる。
【0058】
1次供給源として使用されるセンサが停止される実施形態では、別の条件が満足されるまでこのセンサが再起動されない場合がある。例えば、第2のセンサ114bからの信号が、例えば、容器112の重量の減少に起因して1次供給源であることで除外された場合に、第2のセンサ114bからの信号は、予め決められた条件(例えば、容器112の重量の増加)が発生するまで又はこの予め決められた条件の後のある時間(例えば、30秒、1分、2分など)が経過するまで1次供給源として再関与することができない。事前指定期間の後に予め決められた条件(例えば、容器の重量の増加)が満足されなかった場合に、予想外の条件に遭遇したことをユーザに対して示す警告、例えば、排液バルブ113が閉鎖されていなかった又は尿が漏れていることの表示を発生させることができる。
【0059】
一部の実施形態では、第1のセンサ114aと第2のセンサ114bの間で決定された相違は、システム内の潜在的な障害(例えば、不良センサ)を識別し、システム160に流体療法の全て又は一部を停止させること、及び/又はそのような相違が存在することをユーザに警告することができる。一部の実施形態では、第1又は第2のセンサ114a~114bのうちのいずれが及び/又はどれほど長くオフラインにあるか又は不正確であると決定されたかに依存して、システム160又はコントローラ140は、患者に施される療法の他の態様を修正することができる。例えば、患者に提供される利尿薬及び/又は補水流体の量は、維持するか又は低減することができる。一部の実施形態では、センサ114a~114bのうちのいずれかの故障が検出された場合、又は第1のセンサ114aの読取値と第2のセンサ114bの読取値の間に大きい相違がある場合に、療法の着手の前に警告を発して非機能状態でのシステム160の使用を防止することができるように、システム160の準備中に患者への接続に関して第1及び第2のセンサを試験することができる。
【0060】
一部の実施形態では、第1のセンサ114a(すなわち、流れセンサ)は除外され、患者からの尿流出力を供給するのに第2のセンサ114b(すなわち、重量センサ)に依存する。そのような実施形態では、第2のセンサ114bから得られたセンサデータを利用して、ある期間にわたる平均尿流速度は、例えば、容器112の重量の変化率に基づいて決定される。更に、そのような実施形態では、容器112の重量が減少しており又は予想速度で増加しておらず、それによって容器112が排液されていることを示すことができることをシステム160が第2のセンサ114bを通じて決定した時に、システムは、予め決められた期間(例えば、1分、2分、5分など)にわたって第2のセンサ114bからの信号を無視し、その後に、再度この信号に頼って尿流出力を供給することができる。この予め決められた期間中に、患者に提供される利尿薬及び/又は補水流体は、維持すること及び/又は低減することができる。
【0061】
有利なことに、本発明の技術のシステム160及び他の実施形態は、容器112が交換される時及び/又は空にされる時であっても作動状態に留まり、療法を提供することができる。例えば、第1のセンサ114aは容器112の上流にあり、容器の重量に依存しない流れセンサとすることができるので、容器が交換されている及び/又は空にされている間に患者の排尿をモニタすることができる。従って、容器112の重量を測定するように構成されたセンサのみを有し、従って、容器が交換されている時及び/又は空にされている時に正確な排尿測定を提供することができない他の実施形態とは異なり、本発明の技術の実施形態は、システム160が療法を不断に提供し続けることを可能にする。これに加えて又はこれに代えて、本発明の技術の実施形態は、禁止されている場合がある及び/又は不用意に患者の流体療法を中断させる結果を招く可能性がある容器112の排液(例えば、容器112の排液バルブ113を通じた)を医療従事者が(i)容器112を交換する又はシステムから容器112を取り外すことを強いられることなく、かつ(ii)システムのインタフェースを用いることなく行うことを可能にする。
【0062】
任意的に、システム100は、利尿薬及び補水流体以外の他の薬品及び/又は薬剤(例えば、心不全薬)を投与する機能、排尿以外の他の患者パラメータ(例えば、血圧、体重、心拍数、血液酸素飽和度、呼吸数、体温)をモニタする機能、及び/又は患者Pに対して流体除去手順と同時又は順番に他のタイプの医療手順(例えば、透析、限外濾過)を実施する機能のうちのいずれかを実行するように構成されたシステム又はデバイスのような追加のシステム又はデバイスを含む又はそれとの組合せで使用することができる。
【0063】
図2は、本発明の技術の実施形態により患者を治療する方法200の流れ図である。一部の実施形態では、方法200は、患者から流体を除去して負の流体均衡(正味流体喪失)をもたらすことによって患者を流体過負荷に関して治療するのに使用される。方法200(及び本明細書に説明する他の方法)は、1又は2以上の段階、ブロック、フェーズ、行為、部分、処理部分、又は作動などを含む。方法200は、図1Aのシステム100及び/又は図1Bのシステム160のような本明細書に説明するシステム及びデバイスのいずれかの実施形態によって実行することができる。一部の実施形態では、方法200の段階の一部又は全ては、1又は2以上のプロセッサと、それによって実行された時にシステム又はデバイスに本明細書に説明する段階のうちの1又は2以上を実行させる命令を格納するメモリとを含むシステム又はデバイスによって実行される。例えば、方法200は、図1Aのシステム100又は図1Bのシステム160のコントローラ140によって実行することができる。任意的に、方法200の段階の一部又は全ては、人間の関与を殆ど又は全く伴わずに自動的又は半自動的に実行することができる。
【0064】
方法200は、患者から排尿速度を取得する段階(処理部分202)を含むことができる。排尿速度は、患者に接続された尿モニタ及び/又は採尿システム、例えば、図1Aの尿システム110から取得することができる。システムは、1又は2以上のセンサ(例えば、図1A及び/又は図1Bのセンサ114)からのデータのような受信入力データに基づいて排尿速度を決定することができる。上述のように、センサは、流速、重量(例えば、図1A及び図1Bの容器112の)、体積、流体レベル、及び/又はいずれかの他の適切なパラメータに基づいて排尿速度を測定するように構成することができる。排尿速度は、例えば、センサと作動可能に結合されたコントローラ(例えば、図1A及び/又は図1Bのコントローラ140)によって受信入力に基づいて算定することができる。排尿速度は、現在の速度又は予め決められた期間(例えば、直前の5分又は10分)にわたって測定された平均速度とすることができる。排尿速度は、連続又は反復ベースで(例えば、30秒置き、1分置き、2分置きなど)更新することができる。一部の実施形態では、方法200を通じて連続的又は実質的に連続的な排尿モニタを提供するために、排尿速度は、方法200の他の処理部分204、206、208の一部又は全てと同時に得られる。
【0065】
方法200は、利尿薬を患者にある投与速度で提供するようにする段階(処理部分204)を含むことができる。利尿薬は、フロセミド、ブメタニド、エタクリン酸、トルセミド、その組合せ、及び/又は当業技術で公知の他の利尿薬とするか又はこれらを含むことができる。一部の実施形態では、利尿薬は、それと混合された生理食塩水又は他の補水流体を含む溶液の一部として送出される。利尿薬は、患者に接続された利尿薬システム、例えば、図1Aの利尿薬システム130によって自動的又は半自動的に供給することができる。利尿薬システムは、計画及び/又は事前プログラムされた治療手順に従って利尿薬送出を引き起こすためにコントローラ(例えば、図1A及び/又は図1Bのコントローラ140)と作動可能に結合することができる。
【0066】
一部の実施形態では、治療手順は、複数のフェーズを含み、各フェーズは、利尿薬に関する異なる送出プロファイルを有する。そのような実施形態では、処理部分204は、患者を治療するのに適する利尿薬投与速度を決定する初期フェーズ(「投与量決定フェーズ」としても公知)の一部として実行することができる。投与量決定フェーズでは、利尿薬は初期投与速度で注射され、次に、患者の排尿速度の増大を誘起するために投与速度を徐々に増大することができる。利尿薬投与速度は、連続関数、ステップ状関数、又はその組合せのような望ましい関数又は送出プロファイルに従って増大することができる。この関数は、多項式関数及び/又はいずれかの他の適切なランプ関数又はロファイルに従って線形的、指数関数的に投与速度を反復的に増大する段階を含む。一部の実施形態では、利尿薬は、その後の投与速度が、直近の投与速度よりも高い予め決められた百分率(例えば、少なくとも5%、10%、15%、25%など)であるような方式で送出される。予め決められた百分率は、例えば、望ましい流体療法及び/又は患者要件に依存して経時的に増大又は低減することができる。任意的に、利尿薬は、利尿薬投与速度又は利尿薬全量をある期間の範囲(例えば、10分、15分、20分、又は10~20分の範囲)で2倍にする方式で供給することができる。しかし、他の実施形態では、投与量決定フェーズは、利尿薬投与速度が増大しない及び/又は実質的に一定に保持される1又は2以上の期間を含むことができる。投与量決定フェーズは、患者の排尿が望ましい閾値速度に到達するか又はそれよりも高い時点まで及び/又は予め決められた期間が経過する時点まで続行することができ、これらの時点で利尿薬投与速度は、下記で処理部分208に関して説明するように調節することができる。
【0067】
方法200は、ある補水速度で補水流体を患者に提供するように引き起こす段階(処理部分206)を含むことができる。補水流体は、生理食塩水及び/又はナトリウムを有する他の流体を含むことができ、患者に接続された補水流体システム、例えば、図1Aの補水システム120が自動的又は半自動的に供給することができる。補水流体は、処理部分204で利尿薬を提供する前、最中、及び/又は供給した後(例えば、投与量決定フェーズの前、最中、及び/又は後)に供給することができる。電解質(例えば、ナトリウム及び/又は塩化物)を含有する補水流体の静脈内注入は、利尿効率を高めることができ、流体療法の目標は正味流体除去であることで反直観的である。補水流体は、利点内でも取りわけ、血管内枯渇を低減するか又は抑制すること、心拍出量の低下を低減するか又は抑制すること、及び/又は腎灌流の低下を低減するか又は抑制することができる。
【0068】
一部の実施形態では、補水流体は、例えば、患者からの正味流体喪失を推進させるために、対応する排尿速度に少なくとも部分的に基づいて患者に提供される。例えば、補水速度は、排尿速度よりも低くすることができる。一部の実施形態では、補水速度は、排尿速度の所与の範囲(例えば、0ml/hrから1000ml/hrまで)にわたって排尿速度のある百分率(例えば、排尿速度の90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、又は10%)である。任意的に、この百分率は、この範囲のある一定の部分にわたって(例えば、低血圧の可能性を低減するためにこの範囲の下端にわたって)高くし、及び/又はこの範囲の他の部分にわたって(例えば、正味流体喪失を増大するためにこの範囲の上端にわたって)低くすることができる。別の例として、補水速度は、患者による初期排尿量(例えば、少なくとも初期の150ml、200ml、又は250ml)にわたって、及び/又は初期期間(例えば、最初の1時間、2時間、又は3時間)にわたって、及び/又は患者の排尿速度が予め決められた閾値に到達するまで排尿速度に実質的に適合する(例えば、排尿速度の100%である)ことができる。その後に、補水速度を排尿速度未満に調節することができる。更に別の例では、補水速度は、排尿速度が1又は2以上の異なる閾値よりも高いか又は低いかに基づいて決定することができ、この場合に、排尿速度と補水流体速度の間の差は、排尿速度が増大する時に拡大する。そのような実施形態では、排尿速度と補水流体速度の間の差は、排尿速度が増大する時に拡大する可能性があり(この場合に、尿速は補水流体速度よりも高い)、従って、患者からの正味流体喪失は、排尿速度が増大する時に増大する可能性がある。
【0069】
方法200は、利尿薬の投与速度又は補水流体の補水速度のうちの少なくとも一方を調節し、それによって患者からの正味流体喪失を引き起こす段階(処理部分208)を含むことができる。例えば、(i)利尿薬投与速度は、調節することができ、(ii)補水速度は、調節することができ、又は(iii)利尿薬投与速度と補水速度は、両方とも調節することができる。一部の実施形態では、利尿薬投与速度は、治療手順の投与量決定フェーズが完了した後に調節される。処理部分204に関して上記で議論したように、投与量決定フェーズは、(i)初期利尿薬投与から予め決められた時間量が経過した時、及び/又は(ii)排尿速度が予め決められた閾値速度よりも高いか又はそれに等しいか又はそうなった時に終了することができる。次に、治療手順は、正味流体喪失を引き起こすために患者の排尿速度を望ましい排出速度又はそれよりも大きい速度に維持するように構成された投与速度まで利尿薬投与速度を調節するフェーズ(「連続送出フェーズ」又は「流体低減フェーズ」としても公知)に切り換えることができる。
【0070】
調節された利尿薬投与速度は、流体低減フェーズに対する初期投与速度とすることができ、多くの異なる方法で決定することができる。例えば、調節された利尿薬投与速度は、投与量決定フェーズの結果に基づくとすることができる。調節された利尿薬投与速度は、投与量決定フェーズの終了時の利尿薬投与速度(例えば、患者の排尿がターゲット閾値に到達するか又はそれよりも大きい時の投与速度)よりも低く又はそれに等しくすることができる。利尿薬投与速度を低減することにより、排尿速度の増大率を低減する(例えば、患者の排尿を一定又は実質的に一定の速度に近づけるようにする)ことができるが、排尿速度自体を実際に低減することなくそれを低減することができる。これに加えて又はこれに代えて、利尿薬投与速度の低下は、患者の排尿速度を予め決められた速度及び/又は予め決められた範囲(例えば、予め決められた速度から5%、10%、又は20%を超えない変化)内に維持することができる。
【0071】
一部の実施形態では、調節された利尿薬投与速度は、現在の投与速度(例えば、投与量決定フェーズの終了時の投与速度)の予め決められた百分率又は予め決められた分率又は蓄積利尿薬投与量(例えば、投与量決定フェーズ中に送出された蓄積量)の予め決められた百分率である。例えば、調節された投与速度は、当該時点で患者に送出される全利尿薬量の値の予め決められた百分率(例えば、10%、15%、20%、25%、30%、又は10~30%の範囲)とすることができる。例えば、全送出量が100mgであり、予め決められた百分率が25%である場合に、調節された投与速度は、25mg/hrとすることができる。一部の実施形態では、調節された利尿薬投与速度を算定するのに使用される百分率は、注入されている特定の利尿薬の薬物動態学的特性に基づくものである。例えば、この百分率は、フロセミドでは、50mgのフロセミドが60分以内に注入される場合に調節された利尿薬投与速度を10mg/hrとすることができるように20%とすることができる。
【0072】
一部の実施形態では、処理部分208は、流体低減フェーズが完了するまで、例えば、予め決められた期間が経過するまで、及び/又は患者から過剰流体の推定量が除去されるまで、及び/又は患者の尿速が予め決められた閾値よりも小さくなるまで降下し、患者から除去された全流体が過剰流体の推定量よりも大きくなるまで利尿薬を調節された利尿薬投与速度で送出する段階を含む。流体低減フェーズ中に、利尿薬投与速度は、一定又は実質的に一定(最初に決定された調節された利尿薬投与速度から5%、10%、又は20%を超えない変化で)とすることができる。しかし、他の実施形態では、処理部分208は、治療手順中に利尿薬投与速度に追加の調節を加える(例えば、利尿薬投与速度を増大及び/又は低減する)段階を含むことができる。これらの調節は、排尿速度が過度に高い及び/又は増大しているか否かのような予め決められた条件セットのうちの1又は2以上が満足されるか否かに基づくことができる。この条件セットは、(i)平均尿速がある期間にわたって予め決められた速度よりも高いこと、(ii)尿速の平均変化率が予め決められた変化率よりも大きいこと、及び/又は(iii)利尿薬投与速度が予め決められた投与速度よりも高いことを含むことができる。これらの条件のうちの一部(例えば、2つ)又は全てが満足される場合に、利尿薬投与速度を低減することができ(例えば、予め決められた量又は予め決められた百分率だけ)、本明細書ではこの低下を「下方滴定」とも呼ぶ。
【0073】
一部の実施形態では、下方滴定は、上述の条件のうちの全て又は大部分が満足された場合にのみ実行され、それによって利尿薬投与速度を不要に低減することを回避し、従って、排尿速度が高いままに留まり、治療手順の不要な中断を回避することができる。例えば、他の手法は、尿速が僅かでも過度に高い時に流体療法を中断させて利尿薬投与速度を低減する(例えば、ゼロmg/hrまで)場合があるのに対して、本明細書に説明する処理は、排尿速度が高く、それと共に増大し続ける時にしか投与速度を(例えば、非ゼロ又はゼロの投与速度まで)低減しない場合がある。言い換えれば、本明細書の処理は、尿速が一時的に高い(例えば、予め決められた速度よりも高い)が、下方に向いている時に利尿薬投与速度を不要に低減することを防止することができる。この手法は、過剰利尿、過度の流体喪失及び/又は電解質喪失を防止又は抑制し、並びに追加の利尿薬への患者の不要な露出を制限することができる。これに加えて、利尿薬を完全に停止するのではなく、利尿薬投与速度を下方滴定することができるので、流体療法は、手順を完全に再開する必要なく続行することができる(より低い排尿速度にも関わらず)。
【0074】
別の例として、処理部分208での利尿薬投与速度の追加の調節は、利尿薬投与速度を増大する段階を含むことができ、この増大を本明細書では「再ランプ」又は「上方滴定」とも呼ぶ。一部の実施形態では、再ランプは、条件セットに基づいて決定される排尿速度が過度に低い及び/又は低下している場合に実行される。条件セットは、(i)平均尿速が予め決められた期間にわたって予め決められた閾値速度を下回ったこと、及び/又は(ii)予め決められた量よりも大きい量の不足が予め決められた期間にわたって蓄積したことを含むことができる。「不足」は、プロット図上で排尿速度と設定速度(例えば、325ml/hr)の間の面積として定めることができ、排尿速度が設定速度をどれほどの量及びどれほど長い時間にわたって下回ったかを表すことができる。これらの条件の一部又は全てが満足された場合に、再ランプは、(i)予め決められた時間量が経過するまで、及び/又は(ii)排尿速度が予め決められた閾値速度よりも高く又はそれに等しくなるまで利尿薬投与速度を漸進的に増大することによって実行することができる。再ランプ処理は、処理部分204に関して上述した投与量決定処理と同一又はほぼ同様とすることができる。
【0075】
再ランプ処理は、自動、半自動、又は手動で実行することができる。一部の実施形態では、再ランプは、例えば、法規制及び/又は安全上の理由からユーザ承認を必要とする半自動処理又は手動処理である。そのような実施形態では、システムは、再ランプを始動されることを確認するようにユーザに命令する通知をユーザに対して出力することができる(例えば、図1Aのディスプレイ150を通じて)。任意的に、システムは、ユーザが、システムがある一定の条件の下で再ランプを自動的に実行する(例えば、最大利尿薬量及び/又は最高利尿薬投与速度などに関して予め決められた排尿体積及び/又は排尿速度を達成するまでの特定の期間内で)ことを可能にすることができる事前承認手順を実施することができる。この手法は、限られた状況下で自動再ランプを可能にすることができ、これは、治療手順中の人間の関与の量を低減し、患者の現在の状態に対するシステムの反応性を改善することができる。事前承認条件が経過すると、ユーザは、追加の自動再ランプが許可される前に再承認を与える必要がある場合がある。
【0076】
一部の実施形態では、処理部分208は、採尿システム内で検出された閉塞(例えば、流体ライン内のエアロック、撚りなど)に応答して利尿薬投与速度を調節する段階を更に含む。例えば、エアロックは、流体システムの中に閉じ込められたガス(例えば、空気)に起因する流体流れのいずれかの部分的又は完全な障害である場合がある。エアロックが発生する可能性がある状況の例は、2022年4月15日出願の米国特許出願第17/659,393号明細書に説明されており、この文献の全内容は、引用によって本明細書に組み込まれている。本明細書の他の箇所で説明するように、エアロックは、排尿速度の不自然な降下を生成する場合があり、この降下は、利尿薬投与速度の決定に影響を及ぼす(例えば、過度に高い利尿薬投与速度をもたらす)場合がある。一部の実施形態では、エアロックの存在は、排尿が殆ど又は全くない(エアロックが尿流を閉塞させることに起因して)期間に排尿の突然の大きいボーラスが続く(エアロックを取り除く流体ライン内の蓄積圧に起因して)ことに基づいて検出される。エアロック又は他の閉塞が存在していた又はしていることを検出した時に、システムは、エアロック又は他の閉塞が発生しなかった場合に使用されるはずであった投与速度まで利尿薬投与速度を調節することによって補償を行うことができる。適切な投与速度は、過去データ(例えば、エアロックが発生する前の利尿薬投与速度、エアロックが発生する前の患者の排尿速度から算定された利尿薬投与速度、エアロックが解消した時に測定された尿体積など)に基づいて決定することができる。
【0077】
これに代えて又は組合せで、処理部分208は、例えば、患者からの正味流体喪失を推進させるために患者の排尿速度に基づいて補水速度を増大又は低減することによって補水速度を調節する段階を含むことができる。例えば、上述のように、最初に補水速度は、初期条件セット(例えば、予め決められた期間、初期排尿量、及び/又は初期排尿速度)に関して患者の排尿速度に適合することができる。初期条件が経過すると、補水速度を排尿速度よりも低い速度(例えば、排尿速度のある百分率)に維持することができ、従って、患者は、流体低減フェーズ中に正味流体喪失を示す。補水速度は、患者の排尿速度の百分率又は分率、排尿速度がいくつかの異なる閾値よりも高いか又は低いかに基づくこと(例えば、排尿速度と補水速度の間の差は、排尿速度が増大する時に拡大する)、及び/又はいずれかの他の適切な手法のような様々な方法で決定することができる。
【0078】
任意的に、利尿薬投与速度及び/又は補水速度は、患者の排尿速度以外の因子に基づいて調節することができる。例えば、利尿薬投与速度及び/又は補水速度は、患者を低血圧状態にすることを回避するように患者の血圧に基づいて調節することができる。一部の実施形態では、患者の血圧レベルが過度に低い(例えば、閾値又は閾範囲よりも低い)場合に、システムは、利尿薬投与速度を増大することを回避することができ、及び/又は予め決められた期間にわたって利尿薬投与速度を低減することができる。これに代えて又は組合せで、システムは、低血圧レベルが検出された場合に予め決められた期間にわたって補水速度を増大することができる(例えば、最高許容補水速度まで、及び/又は望ましい流体交換プロファイル(例えば、患者の排尿速度への100%適合)を与えるように)。システムは、患者の血圧レベルが低いことを示す警告を出力することができ、従って、ユーザは、患者のステータスを検査することができる。任意的に、システムは、血圧レベルと排尿速度との両方を考慮に入れることができ、例えば、システムは、患者の血圧が低く、患者の排尿速度が降下した場合に警告を発生することができ、及び/又は利尿薬投与速度及び/又は補水速度を調節することができる。この手法は、患者の安全及び治療手順の制御を改善することができる。
【0079】
一部の実施形態では、方法200の処理部分の一部又は全ては、流体過負荷条件に関して患者を治療するための医療手順の一部として実行される。方法200は、流体過負荷を治療するための1次単独療法として使用することができ、又は他の療法との組合せで使用することができる(例えば、再入院加療の可能性を低減するための1次療法後の療法として)。方法200は、入院患者環境又は外来患者環境のようなあらゆる適切な環境で実行することができる。方法200が外来患者療法として実行される実施形態では、方法200の全所要時間を短縮することができる(例えば、10時間、5時間、4時間、3時間、2時間、又は1時間以下まで)。
【0080】
図2に示す方法200は、多くの異なる方法で修正することができる。例えば、処理部分204又は206のような方法200の処理部分のうちのいずれかは除外することができる。一部の実施形態では、処理部分204が除外され、従って、方法200は、補水流体注入を制御するが、利尿薬送出を制御せず、又はいずれの利尿薬送出も全く含まない。同様に、処理部分206を除外することができ、従って、方法200は、利尿薬送出を制御するが、補水流体注入を制御せず、又はいずれの補水流体注入も全く含まない。別の例として、方法200の処理部分のうちの一部(例えば、処理部分202、204、206、及び/又は208のうちのいずれか)又は全ては、異なる順序で実行する及び/又は繰り返すことができる。更に別の例では、方法200は、図2には示していない追加の処理部分(例えば、追加の薬品の送出を引き起こす段階、排尿速度以外のパラメータを取得する段階など)を含むことができる。
【0081】
本発明の技術は、流体過負荷を治療すること及び/又は患者の流体レベルを管理することに関して多くの利点を提供することができる。例えば、本発明の技術の実施形態は、患者内の流体体積を従来の治療システム及び治療法よりも迅速かつ安全に一貫して低減することが示されている。例えば、従来の方法は、典型的には、4~5Lの正味流体体積を除去するのに少なくとも5日を要する可能性があるが、本発明の技術の実施形態は、4~5リットルの正味流体体積を24時間以内に除去することが示されている。これに加えて、本発明の技術の実施形態は、患者からの高ナトリウム尿を通じて多大な量の塩分を除去することも示されている。この塩分除去は、退院後に患者が流体を再蓄積させる可能性を低減することができ、それによって再入院率の低下に至ることができる。更に、本発明の技術の実施形態は、治療手順中に排尿、補水流体注入、及び/又は利尿薬送出を自動的かつ連続的にモニタして患者の安全上の懸念(例えば、過剰利尿及び/又は低血圧)を軽減することができる。
【0082】
本発明の技術の実施形態は、(i)正味流体体積除去を最適化すること、(ii)医師が治療の早期に従来の治療と比較して高い利尿薬の投与量及び/又は投与速度を使用することを可能にすることによって望ましい正味流体除去をもたらすのに必要とされる時間を短縮すること、(iii)過剰利尿、脱水、及び/又は血管内枯渇のような有害事象のリスクを回避するか又は低減すること、(iv)患者が利尿薬耐性を有するか否かを迅速に評価すること、及び(v)治療データ記録を提供することのうちのいずれかのような様々な利益を提供することができる。本発明の技術の実施形態は、少なくとも225ml/hrの平均正味流体除去速度(例えば、平均排尿速度から平均補水流体注入速度を差し引いたもの)を取得することができ、それによって1日当たり2Lの流体の経口導入又はIV注入導入に基づいて1日当たり3.4Lの正味流体体積除去が施される。ナトリウムを置換しながらのこの流体除去速度は、全在院期間を短縮すること及び/又はうっ血解除の改善を可能とすることができる。
【0083】
II.推定過剰流体に基づく流体療法及び関連のシステム及び方法
図3A図3Cは、患者から除去される過剰流体の所望量及び/又は推定量に少なくとも部分的に基づいて患者の排尿を管理するためのシステム300の流れ図である。図3A図3Cで説明する実施形態の特徴は、図1Aのシステム100、図1Bのシステム160、及び/又は図2の方法200との併用に適している。図3A図3Cの実施形態の特徴のうちのいずれかを互いに組み合わせること、及び/又は本発明の技術の他の実施形態のうちのいずれかの中に組み込むことができる。これに加えて、システム300によって実行されるものとして説明するいずれのアクション又は処理も、システム300によって自動的に及び/又は例えばシステム300の出力に少なくとも部分的に基づくユーザからの1又は2以上の入力に応答して実行することができる。
【0084】
本明細書の他の箇所で説明するように、本発明の技術の実施形態は、患者からの排尿、従って、正味流体喪失を増大するか又は最適化するために利尿薬及び/又は補水流体を注入することに関連する。上述のように、標準治療プロトコルは、特異疾患(例えば、低血圧又は高血圧、利尿薬抵抗性)を有する一部の患者に対しては効果を持たない場合があり、それによって最高排尿速度が制限される可能性があり、及び/又は最高排尿速度を達成するための治療がより困難になる場合がある。そのような患者に対しては、排尿を増大して流体過負荷条件を緩和する際に異なる段階又はプロトコルが必要である場合がある。
【0085】
図3A図3Cを参照して示して説明する流れ図は、例えば、基礎疾患を有する上述した患者に適するように流体療法を改善するためのプロトコルを含む。本明細書の他の箇所に開示するように、本発明の技術の実施形態により流体療法を適切な利尿薬投与速度を決定する最初の「投与量決定フェーズ」で始めて、患者の排尿を望ましい排尿速度又はそれよりも大きい速度に維持するように投与速度を含む「連続送出フェーズ」によって続けることができる。図3A及び図3Bのシステム300は、連続送出フェーズに対応することができる。図3A及び図3Bを合わせて参照すると、療法の開始時に、推定過剰流体の量を入力するようにユーザ(例えば、臨床医、医療従事者、患者など)に促す(処理部分301)ことができ、それによって当該療法中の流体除去に関する最低目標を確立することができる。これに加えて又はこれに代えて、システム300は、患者の流体ステータスに関する1又は2以上の他の入力をユーザに促すことができる。例えば、システム300は、尿検体及び/又はその量、除去流体の量又は百分率、血圧、クレアチニン濃度及び/又はその変化、心不全に関する他の生理学的インジケータ及び/又は症状、及び/又は他の生理学的パラメータを入力するようにユーザに促すことができる。推定過剰流体の量及び/又は他の生理学的パラメータがシステム(例えば、システム100)によって受信された状態で、利尿薬及び/又は補水流体を投与することによって流体療法を始めることができる。一部の実施形態では、流体療法の始まりは、図1A及び図2を参照して上述した「投与量発見フェーズ」に対応する。流体療法を通じて入力された推定過剰流体の量を患者から除去された実際の流体と比較し、推定過剰流体の量のうちで達成された百分率及び所与の期間以内に目標が達成されることになるか否か及び/又は達成されることが予想されるか否かを決定することができる。本明細書の他の箇所で説明するように、この百分率は、達成された流体喪失が十分又は不十分のいずれかであったかを決定するのにシステムによって使用することができる。不十分な流体喪失及び/又は低排尿状態の事例では、システムは、より好ましい後続アクションのうちの1つを決定することができる。そのようなアクションは、第1の利尿薬に加えて第2の利尿薬を注入すること、及び/又は補水流体(例えば、生理食塩水)の注入量を増大することを推奨する段階を含むことができる。これに加えて又はこれに代えて、この百分率は、高ループ利尿薬投与量に到達した後の低排尿状態の取り扱いを案内するのにシステムによって使用することができる。推定過剰流体の量のうちの大きい除去百分率を達成する前の低排尿の事例では、システムは、排尿を増大することを目的として療法の増強を推奨及び/又は実施することができる。推定過剰流体の量のうちの大きい除去百分率を達成した後の低排尿の事例では、システムは、療法の停止を推奨及び/又は実施することができる。
【0086】
一部の実施形態では、システムは、患者から除去される過剰流体の最新の推定値を有するように予め決められた時間(例えば、12時間、18時間、24時間、26時間、29時間、30時間など)以内に推定過剰流体の量を更新するようにユーザに要求することができる。推定過剰流体の量に関する予め決められた時間が経過する前に、システムは、前回入力された推定過剰流体の量が間もなく満了することを示す警告を発し、推定過剰流体の量が更新されるまで繰り返し(例えば、1時間置きに)警告を発生することができる。推定過剰流体の量に関する予め決められた時間が経過した後に、システムは、推定過剰流体の量に間もなく到達することをユーザに警告することができる。システムは、推定過剰流体の量に関する予め決められた時間が経過したか否かをある期間の後に(例えば、5分置き、30分置き、1時間置き、2時間置きなどに)決定することができる。推定過剰流体の量が更新された状態で、最新の推定過剰流体の量を要求するためのタイマーがリセットされ、システムは、臨床医又は他のユーザが推定過剰流体の量を更新することを待ち続けることができる。任意的に、推定過剰流体の量が更新された状態で、患者の履歴(例えば、治療歴、流体喪失歴など)を表示することができる。ユーザ入力を要求するためのこれらの入力要求は、患者の流体ステータスに関する1又は2以上の他の入力にも適用することができる。例えば、システム300は、尿検体及び/又はその量、除去流体の量又は百分率、血圧、クレアチニン濃度及び/又はその変化、心不全に関する他の生理学的インジケータ及び/又は症状、及び/又は他の生理学的パラメータを自動的に測定する又はこれらを更新するようにユーザに促すことができる。
【0087】
システム300は、低尿速タイマー及び/又は尿不足(「不足」)の数量又はインジケータをリセットする(処理部分302)及び/又はシステム300に関するいずれかの測定値及び/又は算定値を更新する(処理部分304)ことができる(例えば、処理部分301で推定過剰流体の量が入力された後に)。先に列挙したように、不足は、プロット図上で排尿速度と設定速度の間の面積に対応することができ、排尿速度が設定速度をどれほどの量及びどれほど長い時間にわたって下回ったかを表すことができる。測定値/算定値を更新する段階は、患者の排尿速度、利尿薬投与速度、補水流体速度、及び/又は本明細書に説明する他のデータを取得する段階を含むことができる。システム300は、患者の療法の少なくとも一部分が停止されるように予定されているか否かを決定する(処理部分306)ことができる。システムが停止するように予定されている場合(処理部分306の「イエス」の場合)に、システム300は、患者の療法を予定時間に停止する(処理部分312)ことができる。予定時間では(処理部分312の「イエス」の場合)、システム300は、連続注入フェーズを終了すること及び/又は患者への利尿薬の送出を停止することができる。これに加えて又はこれに代えて、ユーザは、システム300に連続注入フェーズを終了させる及び/又は患者への利尿薬の送出を停止させる入力を与えることができる。予定時間ではない場合(処理部分312の「ノー」の場合)に、システム300は、予め決められた期間(例えば、少なくとも1分、2分、10分、15分など)にわたって待機し(処理部分324)、次に、いずれかの測定値及び/又は算定値を更新する(処理部分304)ことができる。
【0088】
患者の療法が停止されるように予定されていない場合(処理部分306の「ノー」の場合)に、システム300は、治療期間が低排尿検査時間よりも長いか又はそれに等しいか否かを決定する(処理部分308)ことができる。低排尿検査時間は、少なくとも5分、10分、15分、20分、30分、1時間、又は別の適切な時間とすることができる。治療期間が低排尿検査時間よりも短い場合(処理部分308の「ノー」の場合)に、システム300は、低尿速タイマーのリセット(例えば、処理部分302及び/又は340)からの時間を予め決められた尿速検査時間と比較し(例えば、処理部分316、下記でより詳細に説明する)、治療期間が低排尿検査時間よりも長いか又はそれに等しい場合(処理部分308の「イエス」の場合)に、システム300は、例えば、低尿速タイマーのリセットからの時間を予め決められた尿速検査時間と比較する(処理部分316)前に、直前の治療期間(例えば、処理部分308での治療期間の前の治療期間)にわたる排尿が低排尿閾値よりも多いか又はそれに等しいか否かを決定する(処理部分310)ことができる。低排尿閾値は、少なくとも5mL、10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、又は別の適切な排尿とすることができる。直前の治療期間の排尿が低排尿閾値よりも少ない場合に(例えば、直前の15分間の治療にわたる排尿が20mLよりも少ない場合)、システム300は、警告を提供する(処理部分314)ことができる(例えば、ユーザに対して、及び/又はシステム100のステータスメニュー又は表示により)。
【0089】
直前の治療期間の排尿が低排尿閾値よりも少ないか、多いか、又はそれに等しいかに関わらず、システム300は、低尿速タイマーのリセットからの時間を予め決められた尿速検査時間と比較する(処理部分316)ことができる。低尿速タイマーは、自動的にリセットされる(処理部分302及び/又は340)又はユーザによってリセットすることができる。予め決められた尿速検査時間は、少なくとも5分、30分、1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、これらの時間量の間のいずれかの時間量、又は別の適切な時間量とすることができる。低尿速時間のリセットからの時間が予め決められた尿速検査時間よりも短い場合に(処理部分316の「ノー」の場合)、システム300は、患者が1又は2以上の高排尿判断基準を満足するか否かを決定する(処理部分322)ことができる。高排尿判断基準は、排尿速度停止閾値(例えば、過去3時間又は別の期間に700mL/hr、800mL/hr、900mL/hr、1000mL/hr、1025mL/hr、1050mL/hr、1100mL/hrなどよりも高い)、排尿速度傾き閾値(例えば、過去2時間又は別の期間に5mL/hr2、10mL/hr2、20mL/hr2、30mL/hr2、40mL/hr2、50mL/hr2、60mL/hr2、70mL/hr2などよりも高い)、及び/又は利尿薬注入速度閾値(例えば、5mg/hr、10mg/hr、15mg/hr、20mg/hr、30mg/hr、40mg/hr、50mg/hrなどよりも高い)を含むことができる。患者が高排尿判断基準のうちの1又は2以上を満足しない場合に(処理部分322の「ノー」の場合)、システム300は、予め決められた期間にわたって待機する(処理部分324)、測定値及び/又は算定値のうちのいずれかを更新する(処理部分304)、及び/又は本明細書に説明する1又は2以上の処理部分を繰り返すことができる。患者が高排尿判断基準のうちの1又は2以上を満足する場合に(処理部分322の「イエス」の場合)、システム300は、患者の利尿薬注入速度を連続注入速度値のある割合(例えば、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%まで)に設定し(処理部分330)、連続注入を終了して下方滴定フェーズ又は本明細書で上述の(例えば、図2を参照して)他の処理に進行することができる。
【0090】
システム300は、低尿速時間のリセットからの時間が予め決められた尿速検査時間よりも長いか又はそれに等しい場合(処理部分316の「イエス」の場合)に患者の排尿速度、例えば、予め決められた時間(例えば、3時間)にわたる平均排尿速度を決定し(処理部分318)、排尿速度が予め決められた閾値(「予め決められた排尿速度閾値」)(例えば、少なくとも50mL/時間、100mL/時間、200mL/時間、300mL/時間、325mL/時間、400mL/時間など)を下回った場合(処理部分318の「イエス」の場合)に利尿薬注入速度が予め決められた閾値(「予め決められた利尿薬速度」)(例えば、少なくとも10mg/hr、20mg/hr、30mg/hr、40mg/hrなど)よりも低いか否かを決定する(処理部分326)ことができる。第1の利尿薬(例えば、Lasix)が予め決められた速度又は最高速度(「予め決められた利尿薬速度」)(例えば、30mg/時間)よりも小さい速度でしか注入されていない場合(処理部分326の「イエス」の場合)に、システム300は、患者のランプを再開する(例えば、再ランプを開始する)ことを推奨し(処理部分332)、システム300の1又は2以上の処理部分を繰り返す前に予め決められた期間にわたって待機する(処理部分324)ことができる。一部の実施形態では、患者のランプを再開する段階(処理部分332)は、例えば、利尿薬投与速度を連続利尿薬注入速度に対応するランプに設定することによって投与量発見を再開し、連続注入フェーズを出て投与量発見フェーズに進行する段階を含むことができる。投与量発見は、ユーザからの入力に応答して再開/再開始することができる。
【0091】
第1の利尿薬が予め決められた利尿薬速度又はそれよりも大きい速度で注入されている場合(処理部分326の「ノー」の場合)に、システム300は、現在の推定過剰流体の量のうちのどの程度の百分率が実際に除去されたかを決定する(処理部分334)ことができる。(i)推定過剰流体の量のうちで予め決められた百分率(例えば、60%、70%、80%、又は90%)よりも大きい百分率が除去された場合(例えば、実際の百分率正味流体喪失が予め決められた百分率よりも大きい場合)、又は(ii)予め決められた体積(「予め決められた流体閾値」)(例えば、0.5L、0.8L、0.9L、1L、1.1L、1.2L、又は1.5L)よりも小さい体積が患者内に残ることが予想される(例えば、残存するか又は除去される推定過剰流体の量が予め決められた流体閾値よりも多い)場合(処理部分334の「イエス」の場合)に、システム300は、事前にユーザによってアクションが講じられない場合は療法が予め決められた時間(例えば、1時間)以内に停止することになることを示す警告を発生する(処理部分342)ことができ、予め決められた期間にわたって待機する(処理部分324)及び/又はシステム300の1又は2以上の段階を繰り返す。この時点で、ユーザは、(i)療法を手動で停止することができ、(ii)推定過剰流体の量を増大されるか否かを決定することができ、又は(iii)治療をある期間にわたって(例えば、予め決められた尿速検査時間だけ)延長することができる。一部の実施形態では、治療は、例えばシステムによって測定された排尿が間違っているとユーザが考えた場合に延長することができる。ユーザが推定過剰流体の量を増大した場合又は療法を延長した場合に、(i)利尿薬が予め決められた時間にわたって予め決められた速度又はそれよりも大きい速度で注入されたか否か、及び/又は(ii)排尿速度が予め決められた尿速検査時間にわたって予め決められた排尿閾値を上回ったか否かを決定するためのタイマーがリセットされる。
【0092】
除去された推定過剰流体の量の百分率が予め決められた百分率よりも小さく(例えば、80%よりも小さく)、予め決められた流体体積よりも大きい体積が残っている(例えば、1Lよりも大きい体積が残っている)場合(処理部分334の「ノー」の場合)に、システム300は、患者の尿生成を安全で効率的な方法で改善しようと試みることができる(例えば、図3Cを参照して本明細書に説明するように)。例えば、システム300は、推定過剰流体の量が予め決められた時間(例えば、24時間、30時間)以内に更新されたか否かを決定する(処理部分336)ことができる。推定過剰流体の量が予め決められた時間以内に更新されなかった場合(処理部分336の「ノー」の場合)に、ユーザによって追加の入力を与える必要があること及び患者の排尿が少ないことを示す警告を発生する(処理部分338)ことができる。システム300は、低尿速タイマー及び尿不足をリセットすることによって続行する(処理部分340)ことができ、システム300の1又は2以上の処理部分を繰り返す。推定過剰流体の量が予め決められた時間以内に更新された場合(処理部分336の「イエス」の場合)に、患者の排尿が少ないことを示す警告を発生する(処理部分344)ことができ、システム300は、患者の排尿を調節することに関する推奨案を含む1又は2以上の出力を提示し、及び/又は患者の排尿を調節するように構成された1又は2以上のアクションを講じ(処理部分346、図3Cを参照してより詳細に説明する)、低尿速タイマー及び尿不足をリセットし(処理部分340)、システム300の1又は2以上の処理部分を繰り返す。
【0093】
排尿速度が予め決められた排尿速度閾値(例えば、325mL/時間)であるか又はそれよりも大きい場合(処理部分318の「ノー」の場合)に、システム300は、患者の尿不足が予め決められた閾値(「尿不足閾値」)(例えば、150mL)よりも多いか否か、例えば、予め決められた時間(例えば、3時間)にわたる患者の尿不足が尿不足閾値よりも少ないか否かを決定する(処理部分320)ことができる。患者の尿不足が尿不足閾値よりも少ないか又はそれに等しい場合(処理部分320の「ノー」の場合)に、システム300は、本明細書で上述したように患者が1又は2以上の高排尿判断基準を満足するか否かを決定する(処理部分322)ことができる。患者の尿不足が尿不足閾値よりも多い場合(処理部分320の「イエス」の場合)に、システム300は、利尿薬注入速度が予め決められた利尿薬速度よりも低いか否かを決定する(処理部分328)ことができ、この処理部分は、本明細書で上述の処理部分326と少なくともほぼ同様又は同一とすることができる。利尿薬注入速度が予め決められた利尿薬速度よりも低い場合(処理部分328の「イエス」の場合)に、システム300は、患者のランプを再開する(例えば、再ランプを開始する)ことを推奨する(処理部分332)ことができ、システム300の1又は2以上の処理部分を繰り返す前に予め決められた期間にわたって待機する(処理部分324)。利尿薬注入速度が予め決められた利尿薬速度に等しいか又はそれよりも高い場合(処理部分328の「ノー」の場合)に、システム300は、その1又は2以上の処理部分を繰り返す前に予め決められた期間にわたって待機する(処理部分324)ことができる。
【0094】
図3Cは、本発明の技術の実施形態により患者の排尿を調節する(処理部分346)ように構成された1又は2以上のアクション(例えば、システム300によって実行される)に関する流れ図である。システム300は、現在、第1の利尿薬に加えて第2の利尿薬(例えば、チアジド)が患者に投与されているか否かを決定する(処理部分350)ことができる。第2の利尿薬が投与されていない場合(処理部分350の「ノー」の場合)に、システム300は、例えば、ソフトウエア又はラベリングを通じて投与することを推奨する(処理部分354)ことができる。ユーザが第2の利尿薬を投与することに同意した場合(処理部分354の「イエス」の場合)に、システム300は、第2の利尿薬を第2の利尿薬注入速度で投与する(処理部分360)ことによって両方の利尿薬を投与し、低排尿警告をクリアし(処理部分364)、システム300の他の処理部分(例えば、処理部分340)に戻ることによって療法を続行する(例えば、自動的に及び/又はユーザ入力に応答して)ことができる。一部の実施形態では、システム300は、第2の利尿薬を自動的に投与する(処理部分360)ことができる。第2の利尿薬として説明したが、当業者は、これに加えて又はこれに代えて、処理部分360が1又は2以上の他の薬物、医薬品、及び/又は化合物を患者に投与する段階を含むことができることを理解するであろう。少なくとも一部の実施形態では、例えば、処理部分360は、第3の利尿薬(例えば、第1の利尿薬及び/又は第2の利尿薬とは異なる)を第3の投与速度で投与する段階、「ネフロン遮断薬(nephron bomb)」(例えば、ループ利尿薬、メトラゾン、スピロノラクトン、アセタゾラミド、アミロリド、及びSGLT2i)を投与する段階、限外濾過を実行する段階、連続的静静脈血液透析(CVVH)を実行する段階、及び/又は別の適切な治療関与を実行する段階を含む。これに代えて、例えば、患者が他の予め決められた停止判断基準(例えば、低血圧、電解質又はクレアチニンの濃度の有意な変化など)を満足したこと(処理部分356の「イエス」の場合)に起因してユーザが第2の利尿薬を投与することに同意しなかった場合(処理部分354の「ノー」の場合)に、ユーザに治療を停止することを推奨することができ、及び/又は療法を自動的に停止するか又は予め決められた期間が過ぎた後に自動的に停止することができる。
【0095】
患者に既に第2の利尿薬が投与されている場合(処理部分350の「イエス」の場合)に、システム300は、患者が増大流体マッチング上にあるか否かを決定する(処理部分352)ことができる。患者が増大流体マッチング上にない場合(処理部分352の「ノー」の場合)に、システム300は、排尿速度のより高い比率(例えば、少なくとも80%、90%、又は100%)に適合するように補水流体(例えば、生理食塩水)の注入を増大する(例えば、一時的に増大する)ことを推奨する(処理部分358)ことができる。ユーザが増大補水流体マッチに同意した場合(処理部分358の「イエス」の場合)に、システム300は、増大補水流体マッチ(処理部分362)で療法を続行することができ、低排尿警告をクリアし(処理部分364)、システム300(例えば、処理部分340)に戻る。一部の実施形態では、システム300は、増大補水流体マッチ(処理部分362)で療法を自動的に続行することができる。これら及び他の実施形態では、増大補水流体マッチは、(i)予め決められた体積(例えば、500mL)に適合するまで、(ii)予め決められた時間量(例えば、6時間)が経過するまで、又は(iii)排尿測定値が予め決められた閾値(例えば、525mL/時間)よりも大きくなるまで続行することができる。これに加えて又はこれに代えて、増大補水流体マッチ(処理部分362)は、1回の増加又は複数回の増加を含むことができる。例えば、補水流体マッチ(例えば、70%から80%まで)への初回の増加の後に、患者の排尿速度が低いままに留まった場合に、システム300は、補水流体マッチ(例えば、80%から90%まで)への2回目の増加を引き起こすことができる。ユーザが増大補水流体マッチに同意しなかった場合(処理部分358の「ノー」の場合)に、システム300は、例えば、患者が1又は2以上の停止判断基準を満足した時(処理部分356の「イエス」の場合)又は少ない排尿が間違っているとユーザが感じた場合に療法を停止することを推奨し、又は警告をクリアして現在の療法を続行することができる(処理部分358、「ノー」、処理部分356、「ノー」、及び処理部分364)。
【0096】
図3Cでは、システム300は、患者に第2の利尿薬を投与中であるか否かを決定した(処理部分350)後に患者が増大流体マッチング上にあるか否かを決定する(処理部分352)ものとして示されているが、他の実施形態では、これらの処理部分の順序を逆転させることができる。例えば、システム300は、患者に第2の利尿薬を投与中であるか否かを決定する(処理部分350)前に患者が増大流体マッチング上にあるか否かを決定し(処理部分352)、第2の利尿薬を投与する前に増大流体マッチングを提供しようと試みることができる。これに加えて又はこれに代えて、システム300は、第2の利尿薬を投与し(処理部分360)、同時に及び/又はそれとは独立に流体マッチングを高める(処理部分362)ように構成することができる。すなわち、処理部分360は、処理部分362が患者の排尿を変化させた又はいずれかの効果を有したか否かに依存せず、又はその逆も同様とすることができる。これに代えて、処理部分360は、処理部分362を実行した後にある程度の時間遅延(例えば、少なくとも1分、5分、10分、30分、1時間、2時間、3時間)をおいて実行され、又はその逆も同様とすることができる。例えば、システム300は、流体マッチングを高め(処理部分362)、その5分後に、例えば、患者の排尿及び/又は利尿薬投与速度に基づく決定を行うことなく第2の利尿薬を投与する(処理部分360)ことができる。
【0097】
図3A図3Cを参照して上述したように、本発明の技術の実施形態は、十分な流体喪失の場合に流体療法を中止し、不十分な流体喪失の場合に排尿を増大することによって患者の排尿を有利に管理することができる。更に、不十分な流体喪失の場合に、システムは、(i)ユーザによって入力された推定過剰流体の量と、(ii)推定過剰流体の量に対する実際の正味流体喪失の百分率と、(iii)患者内に残存する推定流体とを考慮した排尿を増大するためのアクションを推奨することができ、それによって流体療法を安全かつ実質的に改善することができる。
【0098】
図4は、患者に流体療法を提供する方法400の流れ図である。方法400の少なくとも一部の態様は、方法200の1又は2以上の態様とほぼ同様又は同一とすることができ、及び/又は本明細書に説明するシステム100、300のうちの一方又は両方によって実行することができる。方法400は、患者に関する推定過剰流体の量を受け入れる段階(処理部分402)を含むことができ、それにより、上述したようにこの療法中の流体除去に対する目標を設定することができる。推定過剰流体の量は、自動的に決定する(例えば、患者の人口統計学的情報、療法治療歴、現在の療法治療などに基づいて)ことができ、及び/又はユーザ(例えば、医師、臨床医、看護師など)が提供することができ、かつ処理部分301(図3A)を参照して説明した量に対応することができる。
【0099】
方法400は、患者の排尿速度を例えば1秒置き、5秒置き、30秒置き、1分置き、5分置き、30分置き、1時間置きなどで繰り返し取得する段階(処理部分404)を含むことができる。この処理部分は、システム300の処理部分304と少なくともほぼ同様又は同一とすることができる。患者の排尿速度は、図1Aのシステム100のコントローラ140及び/又は尿システム110を用いて取得することができる。一部の実施形態では、排尿速度に加えて又はその代わりに、他の入力を取得してそれを使用することができる。そのような入力は、尿検体(タイプ、濃度、濃度変化など)、血圧、クレアチニン(例えば、濃度、濃度変化など)、インピーダンス測定値、トレーサーの除去率、及び/又は心不全に関する他の生理学的症状を含むことができる。
【0100】
方法400は、患者の利尿薬投与速度を1秒置き、5秒置き、30秒置き、1分置き、5分置き、30分置き、1時間置きに繰り返し取得する段階(処理部分4)を含むことができる。この処理部分は、システム300の処理部分304と少なくともほぼ同様又は同一とすることができる。患者の利尿薬投与速度は、図1Aのシステム100のコントローラ140及び/又は利尿薬システム130を用いて取得することができる。一部の実施形態では、連続送出又は注入フェーズ中のように、利尿薬投与速度は、比較的一定にすることができる。
【0101】
方法400は、(i)推定過剰流体の量に対する実際の正味流体喪失の百分率に対応する第1の入力、及び/又は(ii)推定残存する流体量に対応する第2の入力を1秒置き、5秒置き、30秒置き、1分置き、5分置き、30分置き、1時間置きに繰り返し取得する段階(処理部分408)を含むことができる。この処理部分は、システム300の処理部分304と少なくともほぼ同様又は同一とすることができる。第1の入力及び/又は第2の入力は、図1Aのシステム100のコントローラ140及び/又は利尿薬システム130を用いて取得することができる。例えば、第1の入力は、正味流体喪失の実際の量を推定過剰流体の量で割り算することによって取得することができ、第2の入力は、除去流体の量と推定過剰流体の量の間の差に基づいて決定することができる。
【0102】
方法400は、流体療法を調節することに関連付けられた出力を第1の入力及び/又は第2の入力に基づいて提供する段階(処理部分410)を含むことができる。少なくとも一部の実施形態では、出力を提供する段階は、推奨案又は命令を有する表示をユーザに対して例えばディスプレイ(例えば、図1Aのディスプレイ150)を通じて提供する段階を含む。推奨案又は命令は、患者に対して異なる及び/又は追加の利尿薬を使用すること、及び/又は患者に対する補水流体注入を増大することとすることができる。
【0103】
一部の実施形態では、出力を提供する段階は、例えば、排尿速度、利尿薬投与速度、正味流体喪失の実際の量、及び/又は推定残存する流体量に少なくとも部分的に基づいて排尿速度を変更するように構成された1又は2以上のアクションを引き起こす段階を含むことができる。例えば、出力は、第1の入力が予め決められた百分率閾値を下回った場合、第2の入力が予め決められた流体閾値よりも高い場合、又はこれら両方の条件が満足される場合に排尿速度を増大するように構成することができる。処理部分410は、システム300の処理部分334及び/又は346と少なくともほぼ同様又は同一とすることができる。従って、予め決められた百分率閾値は、現在の推定過剰流体の量の少なくとも60%、70%、80%、又は90%とすることができ、予め決められた流体閾値は、0.5L、0.8L、0.9L、1L、1.1L、1.2L、又は1.5Lとすることができる。第1の入力又は推定過剰流体の量に対する正味流体喪失の実際の量の百分率が予め決められた百分率閾値よりも低く、かつ第2の入力又は推定残存する流体量が予め決められた流体閾値よりも高い時に、排尿速度を変更するように構成されたアクションは、(i)患者に第2の利尿薬を注入する及び/又は第2の利尿薬を自動的に注入することを推奨する段階、及び/又は(ii)流体マッチングを高める及び/又は患者に追加の流体を自動的に注入することを推奨する段階を含むことができる。第2の利尿薬を投与する段階は、システム300の処理部分334、354、及び/又は360と少なくともほぼ同様又は同一とすることができる。この処理部分は、システム300の処理部分358及び/又は362と少なくともほぼ同様又は同一とすることができる。一部の実施形態では、第2の利尿薬を注入することを推奨する段階は、適切な場合に増大流体マッチングを推奨する段階の前に行うことができる。これに代えて、第2の利尿薬を注入することを推奨する段階は、適切な場合に増大流体マッチングを推奨する段階の後に行うことができる。
【0104】
一部の実施形態では、第1の入力が予め決められた百分率閾値にあるか又はそれよりも大きい時、及び/又は第2の入力が予め決められた流体閾値よりも低い時などに、出力を提供する段階(処理部分410)は、患者の療法を停止することを推奨する段階、患者の療法が停止することになる時間を予定する段階、及び/又は患者の療法を自動的に停止する段階を含むことができる。この処理部分は、システム300の処理部分334及び/又は342と少なくともほぼ同様又は同一とすることができる。これに加えて又はこれに代えて、出力は、患者の排尿が少ないという警告(処理部分344)、療法が自動的に停止されることになるという警告(処理部分342)、及び/又は推定過剰流体が予め決められた更新時間で更新されなかった時(処理部分336の「ノー」の場合)などにユーザの入力を要求する警告(処理部分338)のようなユーザに示されている1又は2以上の警告又は通知を含むことができる。
【0105】
図5は、患者に流体療法を提供する方法500の流れ図である。方法500の少なくとも一部の態様は、方法200、400のうちの一方又は両方の1又は2以上の態様とほぼ同様又は同一とすることができ、及び/又は本明細書に説明するシステム100、300のうちの一方又は両方によって実行することができる。例えば、方法500は、方法400の処理部分402、404、406、及び/又は408を含むことができる。
【0106】
方法500は、(i)第1の期間にわたる排尿速度が予め決められた排尿閾値よりも低いか否か、及び/又は(ii)第2の期間にわたる利尿薬投与速度が予め決められた利尿薬閾値に等しいか又はそれよりも高いか否かを決定する段階を含むことができる。第1の期間にわたる排尿速度が予め決められた排尿閾値よりも低いか否かを決定する段階は、システム300の処理部分318と少なくともほぼ同様又は同一とすることができる。例えば、予め決められた排尿閾値は、少なくとも50mL/時間、100mL/時間、200mL/時間、300mL/時間、325mL/時間、400mL/時間とすることができ、及び/又は第1の期間は、過去1時間、2時間、又は3時間とすることができる。第2の期間にわたる利尿薬投与速度が予め決められた利尿薬閾値に等しいか又はそれよりも高いか否かを決定する段階は、システム300の処理部分326と少なくともほぼ同様又は同一とすることができる。例えば、予め決められた利尿薬閾値は、少なくとも10mg/hr、20mg/hr、30mg/hr、40mg/hrとすることができ、及び/又は第2の期間は、過去1時間、2時間、又は3時間とすることができる。
【0107】
方法500は、排尿速度が予め決められた排尿閾値よりも低いか否か、及び/又は利尿薬投与速度が予め決められた利尿薬閾値に等しいか又はそれよりも高いか否かを決定した(処理部分507)後に、流体療法を調節することに関連付けられた出力を第1の入力及び/又は第2の入力に基づいて提供する段階を含むことができる。出力を提供する段階は、システム400の処理部分410と少なくともほぼ同様又は同一とすることができる。例えば、出力を提供する段階は、患者の排尿を調節する段階(処理部分346)、1又は2以上の警告を提供する段階(処理部分344、338)、及び/又は患者の療法を停止することに関する出力を提供する段階(処理部分342)を含むことができる。一部の実施形態では、出力を提供する段階は、排尿速度が予め決められた排尿閾値よりも低く、かつ利尿薬投与速度が予め決められた利尿薬閾値にあるか又はそれよりも大きい場合及び/又は時にのみ行われる。そのような実施形態では、排尿速度が予め決められた排尿閾値を下回っていないか、又は利尿薬投与速度が予め決められた利尿薬閾値に等しくない又はそれを上回っていない場合に、出力は、提供されない場合がある。
【0108】
方法400及び500並びに本明細書の他の箇所で概説したように、本発明の技術の実施形態は、患者が不十分な流体喪失を受けているか否かを決定し、推奨を行う及び/又は流体療法を改善するアクションを講じることができる。そのような推奨及び/又はアクションを行う前に、いずれの推奨及び/又はアクションも安全で正当なものであることを保証するために患者の現在及び過去の療法の態様が考慮される。例えば、本明細書に説明するように、そのような考慮は、患者の(i)予め決められた排尿閾値に対する平均排尿速度、(ii)予め決められた利尿薬閾値に対する平均利尿薬投与速度、(iii)推定過剰流体の量に対する実際の正味流体喪失の百分率、及び/又は(iv)推定残存する流体量を含むことができる。有利なことに、本発明の技術の実施形態は、患者に対する低血圧のリスクのような他の安全性の懸念も考慮しながら流体療法を提供することができる。上述のように、低血圧のリスクは、治療効果に直接相関する可能性があり、従って、療法の調節が行われるか又は推奨される時に考慮されなければならない。上述の条件(i)~(iv)を考慮することにより、又はより具体的には、条件(i)~(iv)のうちのある一定のものが満足された後に初めてある一定のアクション(例えば、追加の利尿薬を投与すること及び/又は補水流体注入速度を増大すること)を推奨することにより、本発明の技術の実施形態は、治療を通じて安全性(例えば、低血圧のリスク)と効果との均衡を取ることができる。そうすることにより、患者に対してより最適な流体療法を提供することができる。
【0109】
III.結論
本発明の技術は、例えば下記で説明する様々な態様に従って例示される。本発明の技術の態様の様々な例を便宜上番号を振った例(1、2、3など)として説明する。これらの例は、一例として提供するものであり、本発明の技術を限定するわけではない。従属例のうちのいずれもあらゆる組合せで組み合わせてそれぞれの独立例の中に組み込むことができることに注意されたい。他の例は、類似の方式で提示することができる。
【0110】
例.
1.患者に関する過剰流体の推定量を受信する段階と、患者の排尿速度を繰り返し取得する段階と、患者の利尿薬投与速度を繰り返し取得する段階と、(i)第1の期間にわたる排尿速度が予め決められた排尿閾値よりも低いか否か、及び/又は(ii)第2の期間にわたる利尿薬投与速度が予め決められた利尿薬閾値を上回ったか否かを決定する段階と、(i)過剰流体の推定量に対する正味流体喪失の実際の量の百分率に対応する第1の入力、及び/又は(ii)残存する流体の推定量に対応する第2の入力を繰り返し取得する段階と、排尿速度が予め決められた排尿閾値よりも低いか否か、及び/又は利尿薬投与速度が予め決められた利尿薬閾値にあるか又はそれを上回ったか否かを決定した後に、流体療法を調節することに関連付けられた出力を第1の入力及び/又は第2の入力に基づいて提供する段階とを含む流体療法を提供する方法。
2.出力を提供する段階が、異なる利尿薬を使用するための命令及び/又は患者に提供される補水流体の量を増大するための命令を有する表示を提供する段階を含む例1の方法。
3.利尿薬投与速度が、第1の利尿薬に関するものであり、出力を提供する段階が、患者に第2の利尿薬を提供するための命令を有する表示を提供する段階を含む例1又は例2の方法。
4.第1の利尿薬が、ブメタニド、エタクリン酸、フロセミド、及び/又はトルセミドを含み、第2の利尿薬が、第1の利尿薬とは異なり、ブメタニド、エタクリン酸、フロセミド、トルセミド、チアジドタイプ利尿薬、クロロチアジド、メトラゾン、アミロリド、又はスピロノラクトンを含む例3の方法。
5.患者に補水流体を第1の速度で提供する段階を更に含み、出力を提供する段階が、補水流体を患者に第1の速度よりも高い第2の速度で提供することを推奨する段階を含む例1-4のいずれか1項の方法。
6.第1の入力が予め決められた百分率閾値よりも高い時、又は第2の入力が予め決められた流体閾値よりも低い時に、出力を提供する段階が、利尿薬投与速度及び/又は補水流体注入速度を低減するための命令を有する表示を提供する段階を含む例1-5のうちのいずれかの方法。
7.第1の期間が、少なくとも1時間であり、予め決められた排尿閾値が、少なくとも325ミリリットル/時間である例1-6のうちのいずれかの方法。
8.第2の期間が、少なくとも1時間であり、予め決められた利尿薬閾値が、少なくとも30ミリグラム/時間である例1-7のうちのいずれかの方法。
9.出力を提供する段階が、第1の入力が第1の閾値よりも低く、第2の入力が第2の閾値よりも高い場合にのみ起こる例1-8のうちのいずれかの方法。
10.患者からの排尿を予め決められた間隔で繰り返し測定するように構成された尿測定デバイスと、患者に利尿薬を利尿薬投与速度で提供するように構成されたポンプと、1又は2以上のプロセッサと、1又は2以上のプロセッサによって実行された時に、患者に関する過剰流体の推定量を受信する段階、患者の排尿速度を取得する段階と、患者の利尿薬投与速度を取得する段階、(i)過剰流体の推定量に対する正味流体喪失の実際の量の百分率に対応する第1の入力、及び/又は(ii)残存する流体の推定量に対応する第2の入力を取得する段階、及び第1の入力及び/又は第2の入力に基づいて流体療法を調節することに関連付けられた出力を提供する段階を含む作動を流体療法システムに実行させる命令を有する有形非一時的コンピュータ可読媒体とを含む流体療法システム。
11.出力を提供する段階が、異なる利尿薬を使用するための命令及び/又は患者に提供される補水流体の量を増大するための命令を提供する段階を含む例10のシステム。
12.利尿薬が、第1の利尿薬であり、システムが、第1の利尿薬とは異なる第2の利尿薬を提供するように構成された第2のポンプを更に含み、出力を提供する段階が、第2の利尿薬を第2のポンプを通じて患者に注入するための命令を提供する段階を含む例10又は例11のシステム。
13.ポンプが、第1のポンプであり、システムが、患者に補水流体を第1の速度で注入するように構成された第2のポンプを更に含み、出力を提供する段階が、補水流体を患者に第1の速度よりも高い第2の速度で注入するための命令を提供する段階を含む例10-12のうちのいずれかのシステム。
14.第1の入力が予め決められた百分率閾値よりも高い時、又は第2の入力が予め決められた流体閾値よりも低い時に、出力を提供する段階が、利尿薬投与速度及び/又は補水流体注入速度を低減するための命令を提供する段階を含む例10-13のうちのいずれかのシステム。
15.ある期間にわたる排尿速度が予め決められた排尿閾値よりも低いことを決定する段階を更に含み、出力を提供する段階が、排尿速度が予め決められた排尿閾値よりも低いと決定した後に起こる例10-14のうちのいずれかのシステム。
16.予め決められた排尿閾値が、少なくとも325ミリリットル/時間である例15のシステム。
17.ある期間にわたる利尿薬投与速度が予め決められた利尿薬閾値に等しいか又はそれよりも高いと決定する段階を更に含み、出力を提供する段階が、排尿速度が予め決められた排尿閾値よりも低いと決定した後に起こる例10-16のうちのいずれかのシステム。
18.予め決められた利尿薬閾値が、少なくとも30ミリグラム/時間である例17のシステム。
19.1又は2以上のプロセッサによって実行された時に、患者に関する過剰流体の推定量を受信する段階と、第1の期間にわたる患者の排尿速度が予め決められた排尿閾値よりも低いか否かを決定する段階と、第2の期間にわたる患者の利尿薬投与速度が予め決められた利尿薬閾値に等しいか又はそれよりも高いか否かを決定する段階と、排尿速度が予め決められた排尿閾値にあるか又はそれよりも低く、利尿薬投与速度が予め決められた利尿薬閾値にあるか又はそれよりも高い時に、患者への流体療法を調節することに関連付けられた出力であって、(i)患者に追加の利尿薬を投与するための命令、及び/又は(ii)患者への補水流体の注入を増大するための命令を含む上記出力を提供する段階とを含む作動を流体療法システムに実行させる命令を有する有形非一時的コンピュータ可読媒体。
20.作動が、過剰流体の推定量に対する正味流体喪失の実際の量の百分率に対応する入力を取得する段階を更に含み、出力を提供する段階が、入力に更に基づいている例19のコンピュータ可読媒体。
21.作動が、患者内に残存する流体の推定量に対応する入力を取得する段階を更に含み、出力を提供する段階が、入力に更に基づいている例19又は例20のコンピュータ可読媒体。
22.作動が、(i)過剰流体の推定量に対する正味流体喪失の実際の量の百分率に対応する第1の入力、及び/又は(ii)残存する流体の推定量に対応する第2の入力を取得する段階を更に含み、出力を提供する段階が、第1の入力及び第2の入力に更に基づいている例19-21のうちのいずれかのコンピュータ可読媒体。
23.出力を提供する段階が、第1の入力が第1の閾値よりも低く、かつ第2の入力が第2の閾値よりも高い場合にのみ起こる例22のコンピュータ可読媒体。
24.出力が、第1の出力であり、コンピュータ可読媒体が、第1の入力が予め決められた百分率閾値を上回った及び/又は第2の入力が予め決められた流体閾値よりも低い時に、利尿薬投与速度及び/又は補水流体注入速度を低減するための命令を含む第2の出力を提供する段階を更に含む例22又は例23のコンピュータ可読媒体。
25.第1の期間が、少なくとも1時間であり、予め決められた排尿閾値が、少なくとも325ミリリットル/時間である例19-24のうちのいずれかのコンピュータ可読媒体。
26.第2の期間が、少なくとも1時間であり、予め決められた利尿薬閾値が、少なくとも30ミリグラム/時間である例19-25のうちのいずれかのコンピュータ可読媒体。
27.患者に関する推定過剰流体の量を受け入れる段階と、患者の排尿速度を繰り返し取得する段階と、患者の利尿薬投与速度を繰り返し取得する段階と、推定過剰流体の量に対する正味流体喪失の実際の量の百分率を繰り返し取得する段階と、排尿速度、利尿薬投与速度、及び(i)予め決められた百分率閾値に対する百分率又は(ii)予め決められた流体閾値に対する推定残存する流体量の少なくとも一方に少なくとも部分的に基づいて排尿速度を変更するように構成されたアクションを引き起こす段階とを含む流体療法を提供する方法。
28.患者の排尿速度を繰り返し取得する段階が、患者の排尿速度を第1の予め決められた間隔で繰り返し取得する段階を含み、及び/又は患者の利尿薬投与速度を繰り返し取得する段階が、患者の利尿薬投与速度を第2の予め決められた間隔で繰り返し取得する段階を含む例27の方法。
29.第1の予め決められた間隔と第2の予め決められた間隔が、同じ予め決められた間隔である例28の方法。
30.利尿薬投与速度が、第1の利尿薬を患者の中に注入するためのものであり、百分率が予め決められた百分率閾値よりも低く、かつ推定残存過剰流体量が予め決められた流体閾値よりも高い時に、アクションが、第2の利尿薬が患者の中に注入されることを引き起こす段階を含む例27-29のうちのいずれかの方法。
31.第1の利尿薬が、ブメタニド、エタクリン酸、フロセミド、トルセミド、又はチアジドを含み、第2の利尿薬が、第1の利尿薬とは異なる例30の方法。
32.患者に補水流体を第1の速度で注入する段階を更に含み、百分率が予め決められた百分率閾値よりも低く、かつ推定残存過剰流体量が予め決められた流体閾値よりも高い時に、アクションが、補水流体が第1の速度よりも高い第2の速度で注入されることを引き起こす段階を含む例27-31のうちのいずれかの方法。
33.百分率が、予め決められた百分率閾値よりも低く、推定残存する流体量が、予め決められた流体閾値よりも大きく、利尿薬投与速度が、第1の利尿薬を患者の中に注入するためのものであり、アクションが、(i)患者の中に第2の利尿薬が注入され、(ii)患者への補水流体の注入が増大されることを引き起こす段階を含む例27-32のうちのいずれかの方法。
34.百分率が予め決められた百分率閾値よりも高い時、又は推定残存する流体量が予め決められた流体閾値よりも低い時に、アクションが、利尿薬又は補水流体の少なくとも一方を患者に送出することが停止されることを引き起こす段階を含む例27-33のうちのいずれかの方法。
35.アクションを引き起こす段階が、排尿速度が予め決められた排尿閾値よりも低いことに更に基づいている例27-34のうちのいずれかの方法。
36.排尿速度を予め決められた排尿閾値と比較する段階が、予め決められた尿速検査時間にわたる平均排尿速度を予め決められた排尿閾値と比較する段階を含む例35の方法。
37.予め決められた尿速検査時間が、少なくとも1時間であり、予め決められた排尿閾値が、少なくとも325ミリリットル/時間である例36の方法。
38.アクションを引き起こす段階が、利尿薬投与速度が予め決められた利尿薬投与速度にあるか又はそれよりも大きいことに更に基づいている例27-37のうちのいずれかの方法。
39.利尿薬投与速度を予め決められた利尿薬速度と比較する段階が、利尿薬投与速度を予め決められた尿速検査時間にわたる予め決められた利尿薬投与速度と比較する段階を含む例38の方法。
40.アクションを引き起こす段階が、利尿薬投与速度が予め決められた尿速検査時間にわたって予め決められた利尿薬投与速度にあるか又はそれよりも高い時にアクションを引き起こす段階を含む例39の方法。
41.予め決められた尿速検査時間が、少なくとも1時間であり、予め決められた利尿薬投与速度が、少なくとも30ミリグラム/時間である例39又は例40の方法。
42.(i)ターゲット正味流体喪失量に対する正味流体喪失の実際の量の百分率が予め決められた百分率を下回った時、及び/又は(ii)除去される流体の推定量が予め決められた流体閾値よりも低い時に利尿薬又は補水流体の少なくとも一方に関する送出停止時間を設定する段階を更に含む例27-41のうちのいずれかの方法。
43.患者からの排尿を予め決められた間隔で繰り返し測定するように構成された尿測定デバイスと、患者に利尿薬を利尿薬投与速度で提供するように構成されたポンプと、1又は2以上のプロセッサと、1又は2以上のプロセッサによって実行された時に、患者に関する推定過剰流体の量を受け入れる段階、推定過剰流体の量に対する正味流体喪失の実際の量の百分率を取得する段階、患者から推定残存する流体量を取得する段階、及び(i)予め決められた百分率閾値に対する百分率又は(ii)予め決められた流体閾値に対する推定残存する流体量の少なくとも一方に基づいて排尿速度を変更するように構成されたアクションを引き起こす段階を含む作動を流体療法システムに実行させる命令を有する有形非一時的コンピュータ可読媒体とを含む流体療法システム。
44.利尿薬投与速度が、第1の利尿薬を患者の中に注入するためのものであり、百分率が予め決められた百分率閾値よりも低く、かつ推定残存する流体量が予め決められた流体閾値よりも高い時に、アクションを引き起こす段階が、患者に第2の利尿薬が注入されることを引き起こす段階を含む例43のシステム。
45.作動が、患者の中に補水流体を注入する段階を更に含む例43又は例44のシステム。
46.補水流体が、患者の中に第1の速度で注入され、百分率が予め決められた百分率閾値よりも低く、かつ推定残存する流体量が予め決められた流体閾値よりも高い時に、アクションを引き起こす段階が、補水流体が第1の速度よりも高い第2の速度で注入されることを引き起こす段階を含む例45のシステム。
47.百分率が、予め決められた百分率閾値よりも低く、推定残存する流体量が、予め決められた流体閾値よりも大きく、利尿薬が第1の利尿薬であり、アクションを引き起こす段階が、(i)患者に第2の利尿薬が注入され、(ii)患者への補水流体の注入速度が増大されることを引き起こす段階を含む例43-46のうちのいずれかのシステム。
48.百分率が予め決められた百分率閾値よりも高い時、又は推定残存する流体量が予め決められた流体閾値よりも低い時に、アクションを引き起こす段階が、利尿薬又は補水流体の少なくとも一方を患者に送出することが停止されることを引き起こす段階を含む例43-47のうちのいずれかのシステム。
49.アクションを引き起こす段階が、排尿速度が予め決められた排尿閾値よりも低いことに更に基づいている例43-48のうちのいずれかのシステム。
50.作動が、予め決められた尿速検査時間にわたる平均排尿速度を予め決められた排尿閾値と比較する段階を更に含む例49のシステム。
51.予め決められた尿速検査時間が、少なくとも3時間であり、予め決められた排尿閾値が、少なくとも325ミリリットル/時間である例50のシステム。
52.アクションを引き起こす段階が、利尿薬投与速度が予め決められた利尿薬投与速度にあるか又はそれを上回ったことに更に基づいている例43-51のうちのいずれかのシステム。
53.作動が、予め決められた尿速検査時間にわたって利尿薬投与速度を予め決められた利尿薬投与速度と比較する段階を更に含む例52のシステム。
54.アクションを引き起こす段階が、利尿薬投与速度が予め決められた尿速検査時間にわたって予め決められた利尿薬投与速度にあるか又はそれよりも高い時にアクションを引き起こす段階を含む例53のシステム。
55.予め決められた尿速検査時間が、3時間であり、予め決められた利尿薬投与速度が、少なくとも30ミリグラム/時間である例53又は例54のシステム。
56.患者に関する低排尿表示を受信する段階であって、低排尿表示を受信する段階が、推定過剰流体の量に対する正味流体喪失の実際の量の百分率が予め決められた百分率を上回ったことを決定する段階、又は推定残存過剰流体量が予め決められた流体閾値を上回ったことを決定する段階のうちの少なくとも一方を含む上記受信する段階と、受信した低排尿表示に基づいて、利尿薬を患者にある利尿薬注入速度で投与すること及び/又は患者内への補水流体の注入を増大することによってアクションが患者の排尿を増大するように構成されることを引き起こす段階とを含む流体療法を提供する方法。
57.アクションを引き起こす段階が、患者への補水流体注入速度を増大する段階を含む例56の方法。
58.患者に第1の利尿薬を投与する段階を更に含み、アクションを引き起こす段階が、患者に第2の利尿薬を投与する段階を含む例56の方法。
59.予め決められた百分率が、少なくとも80%であり、予め決められた流体閾値が、少なくとも1リットルである例56-58のうちのいずれかの方法。
60.利尿薬を投与する段階が、利尿薬を患者に流体療法システムによって自動的に投与する段階を含む例56-59のうちのいずれかの方法。
61.補水流体の注入を増大する段階が、補水流体の注入を流体療法システムによって自動的に増大する段階を含む例56-60のうちのいずれかの方法。
62.患者に関する推定過剰流体の量を受信する段階と、推定過剰流体の量に対する正味流体喪失の実際の量の百分率を取得する段階と、除去される過剰流体の推定量を取得する段階と、(i)百分率が予め決められた百分率閾値を上回る又は(ii)流体の推定量が予め決められた流体閾値を上回ることの少なくとも一方に基づいてアクションが患者の排尿速度を変更するように構成されることを引き起こす段階とを含む流体療法を提供する方法。
【0111】
上述した実施形態の詳細に本発明の技術の基礎を構成する原理から逸脱することなく変更を加えることができることは当業者には明らかであろう。一部の場合に、本発明の技術の実施形態の説明を不要に不明瞭にすることを回避するために、公知の構造及び機能に対して詳細に示さない又は説明していない。本明細書では方法段階を特定の順序で提供する場合があるが、代替実施形態は、これらの段階を異なる順序で実施することができる。同様に、特定の実施形態の状況で開示する本発明の技術のある一定の態様は、他の実施形態で組み合わせるか又は排除することができる。更に、本発明の技術のある一定の実施形態に関連付けられた利点は、これらの実施形態の状況で開示する場合があるが、他の実施形態も、そのような利点を示すことができ、全ての実施形態が必ずしもそのような利点又は本発明の技術に収まる本明細書に開示する他の利点を示す必要はない。従って、本発明の開示及び関連の技術は、本明細書で明示的に示さないか又は説明しない他の実施形態を包含することができ、本発明は、特許請求の範囲によって限定される場合を除いては限定されない。
【0112】
本発明の開示を通じて状況が他に明確に示さない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」は、複数の命令物を含む。同様に、「又は」という用語は、2又は3以上の項目のリストに関して他の項目を含まない単一項目のみを意味することに明示的に限定しない限り、そのようなリストでの「又は」の使用は、(a)リスト内のいずれかの単一項目、(b)リスト内の項目の全て、又は(c)リスト内の項目のあらゆる組合せを含むものと解釈しなければならない。これに加えて、「備える」、「含む」、及び「有する」という用語は、少なくとも列挙する特徴を含み、従って、あらゆるより多くの個数の同じ特徴及び/又は追加のタイプの他の特徴が除外されないことを意味するように解釈されなければならない。
【0113】
本明細書での「一実施形態」、「実施形態」、「一部の実施形態」、又は類似の陳述への参照は、当該実施形態に関して説明する特定の特徴、構造、作動、又は特性を本発明の技術の少なくとも1つの実施形態内に含めることができることを意味する。従って、本明細書でのそのような語句又は陳述の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を参照しているとは限らない。更に、様々な特定の特徴、構造、作動、又は特性は、1又は2以上の実施形態にあらゆる適切な方法で組み合わせることができる。
【0114】
他に示さない限り、本明細書及び特許請求の範囲に使用する濃度、剪断強度、及び他の数値を表す全ての数字は、全ての事例で「約」という用語によって修飾されるものと理解しなければならない。従って、反意を示さない限り、本明細書及び特許請求の範囲に示す数値パラメータは、本発明の技術によって取得することを追求する望ましい性質に依存して変化する可能性がある近似値である。最低限でも、特許請求の範囲に対する均等論の適用を限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、公開する有効桁数を踏まえて通常の四捨五入技術を適用することによって解釈しなければならない。これに加えて、本明細書に開示する全ての範囲は、当該範囲に包含されるあらゆる全ての部分的範囲を含有することを理解しなければならない。例えば、「1から10まで」の範囲は、1という最小値と10という最大値の間にある(かつこれらの値を含む)あらゆる全ての部分範囲、従って、1に等しいか又はそれよりも大きい最小値と、10に等しいか又はそれよりも小さい最大値とを有するあらゆる全ての部分範囲、例えば、5.5から10までを含む。
【0115】
上記に示した本発明の開示は、いずれかの請求項が当該請求項で明示的に列挙するものよりも多い特徴を必要とするという意図を反映するものと解釈すべきではない。代わりに、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の態様は、いずれか1つの上述の開示実施形態の全ての特徴よりも少ないものの組合せに存する。従って、「発明を実施するための形態」に続く特許請求の範囲は、「発明を実施するための形態」の中に明示的に組み込まれており、各請求項は、別個の実施形態として独立に成り立つ。本発明の開示は、独立請求項とその従属請求項との全ての組み替えを含む。
【符号の説明】
【0116】
100 流体管理システム
110 尿システム
118 カテーテル
120 補水システム
130 利尿薬システム
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
【国際調査報告】