(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】酸素移送強化のための高効率配水プレート設計
(51)【国際特許分類】
B01F 23/231 20220101AFI20240711BHJP
B01F 25/21 20220101ALI20240711BHJP
B01F 25/30 20220101ALI20240711BHJP
B01F 35/71 20220101ALI20240711BHJP
B01F 23/232 20220101ALI20240711BHJP
【FI】
B01F23/231
B01F25/21
B01F25/30
B01F35/71
B01F23/232
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500648
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2024-02-02
(86)【国際出願番号】 US2022035985
(87)【国際公開番号】W WO2023283140
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524008867
【氏名又は名称】イノバシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワッテン、バーナビー・ジュード
【テーマコード(参考)】
4G035
4G037
【Fターム(参考)】
4G035AB08
4G035AC15
4G035AC22
4G035AE13
4G037AA01
4G037EA01
(57)【要約】
低ヘッド型酸素付加システムは、1つ以上のチャンバであって、1つ以上のチャンバの各々は、開放された上部を有する、1つ以上のチャンバと、1つ以上の分配プレートであって、各分配プレートは、1つ以上のチャンバのうちの対応する1つの開放された上部の上に配置されている、1つ以上の分配プレートと、を含む。1つ以上の分配プレートの各々は、それぞれの分配プレートの1つ以上のゾーン内に分配された所定の数のオリフィスを有し、それぞれの分配プレートの少なくとも1つの残りのゾーン内にはオリフィスを有しない。酸素付加システムは、1つ以上の分配プレートの上に配置されており、容器内に含まれた液体が、1つ以上の分配プレートのオリフィスを通って1つ以上のチャンバに流れることを可能にするように構成された容器(例えば、トラフ)を更に含む。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低ヘッド型酸素付加システムであって、
1つ以上のチャンバであって、前記1つ以上のチャンバの各々は、開放された上部を有する、1つ以上のチャンバと、
1つ以上の分配プレートであって、各分配プレートは、前記1つ以上のチャンバのうちの1つ以上の対応するチャンバの前記開放された上部の上に配置されており、前記1つ以上の分配プレートの各々は、それぞれの前記分配プレートの1つ以上のゾーン内に分配された所定の数のオリフィスを有し、前記それぞれの分配プレートの少なくとも1つの残りのゾーン内にはオリフィスを有しない、1つ以上の分配プレートと、
容器であって、前記1つ以上の分配プレートの上に配置されており、前記容器内に含まれた液体が、前記1つ以上の分配プレートの前記オリフィスを通って前記1つ以上のチャンバ内に流れることを可能にするように構成されている、容器と、
前記1つ以上のチャンバの各々へのガス入力であって、前記ガス入力は、前記それぞれのチャンバへのガスを受けるように構成されている、ガス入力と、
前記1つ以上のチャンバの各々からのガス出力であって、前記ガス出力は、前記それぞれのチャンバから前記ガスを放出するように構成されている、ガス出力と、を備え、
前記液体は、前記所定の数のオリフィスを通って流れて、ジェットを生成し、
前記ジェットは、前記オリフィスを有する前記1つ以上の分配プレートの前記1つ以上のゾーンの直下に配置された1つ以上の領域で、前記1つ以上のチャンバの各々内に保持された液体に侵入して、気泡の1つ以上の循環セルを生成する、低ヘッド型酸素付加システム。
【請求項2】
各分配プレートの前記所定の数のオリフィスを有する前記1つ以上のゾーンは、前記1つ以上の対応するチャンバの少なくとも1つの壁の近くに位置する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1つ以上のチャンバのうちの少なくとも1つのチャンバは、前記それぞれのチャンバの壁に取り付けられた少なくとも1つの実質的に垂直なバッフルを更に備え、前記バッフルは、前記ジェットの浸透深さよりも下に延在しており、
オリフィスを有しない各分配プレートの前記少なくとも1つの残りのゾーンは、前記それぞれの分配プレートの2つの端部ゾーンと、前記それぞれの分配プレートの前記2つの端部ゾーンの間の1つ以上の中央ゾーンと、を含み、
各実質的に垂直なバッフルは、前記対応する分配プレートのオリフィスを有しない前記1つ以上の中央ゾーンのうちの少なくとも1つの下に位置する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つ以上のチャンバのうちの少なくとも1つのチャンバは、前記それぞれのチャンバ内に保持された前記液体中に完全に浸漬されており、前記それぞれのチャンバの少なくとも1つの壁に取り付けられた少なくとも1つの実質的に水平なバッフルを更に備え、前記少なくとも1つの実質的に水平なバッフルは、前記1つ以上の循環セル内の前記気泡を、前記それぞれのチャンバ内に保持されており、前記ジェットにさらされた前記液体の領域から、前記それぞれのチャンバ内に保持されており、前記ジェットにさらされていない前記液体の領域に向かって誘導するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つ以上のチャンバのうちの少なくとも1つのチャンバは、前記それぞれのチャンバ内に保持された前記液体中に完全に浸漬されており、前記それぞれのチャンバの少なくとも1つの壁に取り付けられた少なくとも1つの実質的に垂直なバッフルを更に備え、前記少なくとも1つの実質的に垂直なバッフルは、前記1つ以上の循環セル内の下向きに流れる気泡を、前記1つ以上の循環セル内の上向きに流れる気泡から分離するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つ以上のチャンバのうちの少なくとも1つのチャンバは、
前記それぞれのチャンバ内に保持された前記液体中に完全に浸漬されており、前記それぞれのチャンバの少なくとも1つの壁に取り付けられた少なくとも1つの実質的に水平なバッフルであって、前記少なくとも1つの実質的に水平なバッフルは、前記1つ以上の循環セル内の前記気泡を、前記それぞれのチャンバ内に保持されており、前記ジェットにさらされた前記液体の領域から、前記それぞれのチャンバ内に保持されており、前記ジェットにさらされていない前記液体の領域に向かって誘導するように構成されている、少なくとも1つの実質的に水平なバッフルと、
前記それぞれのチャンバ内に保持された前記液体中に完全に浸漬されており、前記それぞれのチャンバの少なくとも1つの壁に取り付けられた少なくとも1つの実質的に垂直なバッフルであって、前記少なくとも1つの実質的に垂直なバッフルは、前記1つ以上の循環セル内の下向きに流れる気泡を、前記1つ以上の循環セル内の上向きに流れる気泡から分離するように構成されている、少なくとも1つの実質的に垂直なバッフルと、を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記1つ以上のチャンバの各々は、前記それぞれのチャンバの底部に位置する吐出スロットを更に備え、前記吐出スロットは、前記それぞれのチャンバ内に保持された前記液体を吐出することによって、スプレー落下高さを維持するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記容器は円形であり、前記容器の下に位置する前記1つ以上のチャンバの各々は、前記容器のセクタの形状を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記容器は長方形であり、前記容器の下に位置する前記1つ以上のチャンバの各々は、前記容器の正方形又は長方形の部分の形状を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記1つ以上の分配プレートのうちのある分配プレート内の前記所定の数のオリフィスにおけるオリフィスの総数は、前記1つ以上のチャンバのうちの1つ以上の対応するチャンバの幾何学形状に基づく、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記所定の数のオリフィスを有する前記1つ以上の分配プレートの各分配プレートの前記1つ以上のゾーンの位置は、前記1つ以上のチャンバのうちの1つ以上の対応するチャンバの幾何学形状に基づく、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記オリフィスは、前記1つ以上の分配プレートの各分配プレートの前記1つ以上のゾーン内で1つ以上の行に均一に配列されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
1つ以上のチャンバと、1つ以上の対応するチャンバの上に配置された1つ以上の分配プレートと、前記1つ以上の分配プレートの上に配置された容器と、前記1つ以上のチャンバの各々へのガス入力とを含む低ヘッド型酸素付加システムを使用して高効率酸素付加を実施する方法であって、前記方法は、
液体を、前記液体が前記1つ以上の分配プレート内のオリフィスを通って前記1つ以上のチャンバ内に流れるように前記容器内に提供することであって、前記1つ以上の分配プレートの各々は、それぞれの分配プレートの1つ以上のゾーン内に分配された所定の数のオリフィスを有し、前記それぞれの分配プレートの少なくとも1つの残りのゾーン内にはオリフィスを有しない、提供することと、
前記ガス入力を通って前記1つ以上のチャンバの各々にガスを提供し、前記ガスを、前記1つ以上のチャンバの各々のヘッド空間部分を通って、前記1つ以上のチャンバ内に貯蔵された液体の上に流すことと、を含み、
前記1つ以上の分配プレート内の前記オリフィスを通って流れる前記液体は、ジェットを生成し、前記ジェットは、それぞれのチャンバの前記ヘッド空間部分内の前記ガスと接触し、次に、前記オリフィスを有する対応する分配プレートの前記1つ以上のゾーンの直下に配置された領域で、前記それぞれのチャンバ内に保持された前記液体に侵入して、前記それぞれのチャンバ内に保持された前記液体中に気泡の1つ以上の循環セルを生成する、方法。
【請求項14】
各分配プレートの前記所定の数のオリフィスを有する前記1つ以上のゾーンは、前記1つ以上の対応するチャンバの少なくとも1つの壁の近くに位置する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上のチャンバのうちの少なくとも1つのチャンバは、前記それぞれのチャンバの壁に取り付けられた少なくとも1つの実質的に垂直なバッフルであって、前記バッフルは、前記ジェットの浸透深さよりも下に延在する、少なくとも1つの実質的に垂直なバッフルを更に備え、
オリフィスを有しない各分配プレートの前記少なくとも1つの残りのゾーンは、前記それぞれの分配プレートの2つの端部ゾーンと、前記それぞれの分配プレートの前記2つの端部ゾーンの間の1つ以上の中央ゾーンと、を含み、
各実質的に垂直なバッフルは、前記対応する分配プレートのオリフィスを有しない前記1つ以上の中央ゾーンのうちの少なくとも1つの下に位置する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記1つ以上のチャンバのうちの少なくとも1つのチャンバは、前記それぞれのチャンバ内に保持された前記液体中に完全に浸漬されており、前記それぞれのチャンバの少なくとも1つの壁に取り付けられた少なくとも1つの実質的に水平なバッフルを更に備え、前記少なくとも1つの実質的に水平なバッフルは、前記1つ以上の循環セル内の前記気泡を、前記それぞれのチャンバ内に保持されており、前記ジェットにさらされた前記液体の領域から、前記それぞれのチャンバ内に保持されており、前記ジェットにさらされていない前記液体の領域に向かって誘導するように構成されている、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
分配プレートシステムであって、
前記分配プレートの1つ以上のゾーンに位置する所定の数のオリフィスと、
オリフィスを有しない前記分配プレートの少なくとも1つの残りのゾーンと、を備え、
前記分配プレートは、チャンバ壁及び垂直バッフルのうちの少なくとも1つを有するチャンバの上に設置されるように構成されており、
前記分配プレートの上に分配された液体が、1つ以上の前記チャンバ壁及び前記垂直バッフルのうちの少なくとも1つに隣接する前記所定の数のオリフィスを通って落下して、気泡の1つ以上の循環セルを生成するように構成されている、分配プレートシステム。
【請求項18】
前記分配プレートは、少なくとも1つの湾曲した側面を有する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記所定の数のオリフィスは、流量及びシステム圧力降下のうちの少なくとも1つに基づく、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記所定の数のオリフィスにおけるオリフィスの分配は、
前記1つ以上のチャンバ壁の位置、
前記垂直バッフルの位置、
前記オリフィスの直径、及び
スプレー落下高さのうちの少なくとも1つに基づく、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本国際出願は、2021年12月14日に出願された米国出願第17/549,957号の優先権を主張し、これは、2021年7月29日に出願された仮出願第63/227,105号及び2021年7月7日に出願された米国仮特許出願第63/219,113号の優先権を主張する。全ての先行出願の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
水産養殖業界は、天然魚資源によって提供される供給を超える水産物の世界的な需要に応えて急速に成長している。循環型水産養殖システム(RAS)技術などの生産方法の強化は、水資源への依存度の低下を考慮すると、魅力的である。ここでの生産能力は、ほとんどの場合、溶存酸素(DO、mg/l)の供給制限によって制限されている。DO補給は、多くの場合、大きな気液界面領域を提供するように設計された装置内で、酸素濃縮ガスと水とを接触させることによって達成される。これらのシステムは、DOを有する過飽和水の独自の能力を提供し、所与の酸素需要を満たすために処理する必要のある水の量を大幅に減少させる。水の流量が低減すると、その結果、水のポンプ輸送、並びに水力負荷に基づくマイクロスクリーンなどの付随処理ユニットのサイズが最小限に抑えられることにより、生産コストが削減される。空気接触システムとは異なり、酸素吸収装置は、気泡疾患を制御する目的で、溶存窒素(DN、mg/l)の飽和レベル未満までのストリッピングを提供する。DNストリッピング又はDO吸収の程度は、ガス流量及び/又はシステム動作圧力を調整することによって簡単に調節される。この性能の柔軟性により、水処理コストが更に節約される。バルク液体で購入された商業用酸素、又は圧力変動吸収装置を使用して現場で生産された商業用酸素には、大きな価値がある。したがって、酸素付加装置の設計は、合理的なエネルギー入力(TE、kgO2/kWhr)で高い酸素利用効率(AE、%)を提供する必要がある。更に、酸素付加装置は、生命維持の役割で魚の養殖に使用されるため、採用される設計は、電気的又は機械的故障のリスクを低減する必要がある。
【0003】
水産養殖における酸素付加のための一般的なシステム/方法には、U字管、ダウンフロー気泡接触器、側流酸素注入、密閉スプレータワー、密閉パックカラム、密閉表面攪拌、無充填(標準)多段式LHO、及び拡散酸素付加が含まれ、これらは全て、水産養殖への適用を制限する独自の問題を有している。これらには、生物付着に対する感受性(例えば、充填カラム)、過度のメンテナンス要件(例えば、拡散酸素付加)、高いポンプ輸送コスト(例えば、側流酸素付加)、及び地域の地質に依存する資本コスト要件(例えば、u字管酸素付加)が含まれる。
【0004】
前述の「背景技術」の説明は、本開示の文脈を一般的に提示することを目的としている。発明者らの研究は、本背景技術項目に記載されている範囲内で、出願時点で従来技術として適格ではない場合もある記載の態様と同様に、本開示に対する従来技術として明示的にも又は黙示的にも認められていない。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、低ヘッド型酸素付加システムに関し、このシステムは、1つ以上のチャンバであって、1つ以上のチャンバの各々が開放された上部を有する、1つ以上のチャンバと、1つ以上の分配プレートであって、1つ以上のチャンバのうちの対応する1つの開放された上部の上に配置され、1つ以上の分配プレートの各々が、それぞれの分配プレートの1つ以上のゾーン内に均一に分配された所定の数のオリフィスを有し、それぞれの分配プレートの少なくとも1つの残りのゾーン内にはオリフィスを有しない、1つ以上の分配プレートと、容器(例えば、トラフ)であって、1つ以上の分配プレートの上に配置され、1つ以上の分配プレートのオリフィスを介して1つ以上のチャンバ内に、容器内に含まれた液体が流れることを可能にするように構成された、容器と、1つ以上のチャンバの各々内へのガス入力であって、それぞれのチャンバ内にガスを受け入れるように構成された、ガス入力と、1つ以上のチャンバの各々からのガス出力であって、それぞれのチャンバからガスを放出するように構成された、ガス出力と、を備え、液体は、所定の数のオリフィスを通って流れてジェットを生成し、ジェットは、オリフィスを有する1つ以上の分配プレートの1つ以上のゾーンの直下に配置された1つ以上の領域で、1つ以上のチャンバの各々内に保持された液体に侵入して、気泡の1つ以上の循環セルを生成する。
【0006】
本開示はまた、1つ以上のチャンバと、対応するチャンバ上に配置された1つ以上の分配プレートと、1つ以上の分配プレート上に配置された容器と、1つ以上のチャンバの各々へのガス入力を含む低ヘッド型酸素付加システムを使用して高効率酸素付加を実施する方法に関し、この方法は、液体が1つ以上の分配プレート内のオリフィスを通って1つ以上のチャンバ内に流れるように、容器内に液体を提供することであって、1つ以上の分配プレートの各々は、それぞれの分配プレートの1つ以上のゾーン内に均一に分配された所定の数のオリフィスを有し、それぞれの分配プレートの少なくとも1つの残りのゾーン内にはオリフィスを有しない、提供することと、1つ以上のチャンバの各々にガス入力を通ってガスを提供し、ガスを、1つ以上のチャンバの各々のヘッド空間部分を通って、1つ以上のチャンバ内に貯蔵された液体の上に流すことと、を含み、1つ以上の分配プレート内のオリフィスを通って流れる液体は、各チャンバのヘッド空間部分内のガスと接触し、次いで、オリフィスを有する対応する分配プレートの1つ以上のゾーンの直下に配置された領域で対応するチャンバ内に保持された液体に侵入して、対応するチャンバ内に保持された液体内に気泡の1つ以上の循環セルを生成するジェットを生成する。
【0007】
本開示はまた、分配プレートシステムに関し、このシステムは、分配プレートの1つ以上のゾーンに位置する所定の数のオリフィスと、オリフィスを有しない分配プレートの少なくとも1つの残りのゾーンと、を備え、分配プレートは、チャンバ壁及び垂直バッフルのうちの少なくとも1つを有するチャンバの上に設置されるように構成され、分配プレート上に分配された液体は、1つ以上のチャンバ壁及び垂直バッフルのうちの少なくとも1つに隣接する所定の数のオリフィスを通って落下して、気泡の1つ以上の循環セルを生成するように構成される。前述の段落は、一般的な導入のために提供したものであり、以下の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。記載した実施形態は、添付の図面と併せた以下の詳細な説明を参照することによって、更なる利点としてともに、最もよく理解されるであろう。
【0008】
以下の詳細な説明を添付の図面と関連させて考察することにより、本開示がよりよく理解されるようになるにつれて、本開示のより完全な理解、及び本開示に付随する多くの利点が容易に得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1a】標準分配プレートの上面図、及び関連する分配プレートを使用した、バルクフローを示すLHO単一チャンバの側面図を示す。
【
図1b】本開示の例示的な実施形態による、側流分配プレートの上面図、及び側流分配プレートを使用した、バルクフローを示すLHO単一チャンバの側面図を示す。
【
図2a】本開示の例示的な実施形態による、6つのチャンバを有するLHO酸素付加システムの上に設置された側流分配プレートの上面図を示す。
【
図2b】本開示の例示的な実施形態による、6つのチャンバを有するLHO酸素付加システムを通るヘッド空間ガス移動の上面図を示す。
【
図2c】本開示の例示的な実施形態による、6つのチャンバの各々についての気泡巻き込みゾーン内に2つの反転循環セルを有するLHO酸素付加システムの側面図を示す。
【
図3】本開示の例示的な実施形態による、静止ゾーン幅にわたって均一に気泡放出を促進するために、側流分配プレート、及び垂直及び水平バッフルを使用する単一のLHOチャンバの側面図を示す。
【
図4】本開示の例示的な実施形態による、2セットのオリフィスを有する分配プレートの上面図、及び分配プレートを使用してチャンバ壁の2つの端部に沿ってジェットを生成するLHOチャンバの側面図を示す。
【
図5】本開示の例示的な実施形態による、4セットのオリフィス及びオリフィス間の3つの中空領域を有する分配プレートの上面図、並びに分配プレートを使用して、チャンバ壁の2つの端部に沿った2セットのジェット、及び垂直バッフルに沿った2セットのジェットを生成するLHOチャンバの側面図を示す。
【
図6a】本開示の例示的な実施形態による、6つのチャンバを有する円形LHO酸素付加システムを通るヘッド空間ガス移動の上面図、及び各チャンバに使用することができる分配プレート部分の上面図を示す。
【
図6b】本開示の例示的な実施形態による、6つのチャンバを有する円形LHO酸素付加システムを通るヘッド空間ガス移動の上面図、及び各チャンバが反転循環セルを生成するために使用することができる分配プレートの上面図を示す。
【
図7a】本開示の例示的な実施形態による、10個のチャンバを有する円形LHO酸素付加システムを通るヘッド空間ガス移動の上面図、及びシステムとともに使用することができる分配プレートの上面図を示す。
【
図7b】本開示の例示的な実施形態による、6つのチャンバを有する円形LHO酸素付加システムを通るヘッド空間ガス移動の上面図、及びシステムとともに使用することができる分配プレートの上面図を示す。
【
図8】本開示の例示的な実施形態による、方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で使用される用語「a」又は「an」は、1つ又は2つ以上と定義される。本明細書で使用される用語「複数」は、2つ又は3つ以上として定義される。本明細書で使用される用語「別の(another)」は、少なくとも2番目以降と定義される。本明細書で使用される用語「含む(including)」及び/又は「有する(having)」は、備える(comprising)(すなわち、オープン言語)と定義される。本書全体を通して「一実施形態」、「特定の実施形態」、「実施形態」、「実装形態」、「実施例」又は同様の用語の参照は、実施形態に関連して説明する特定の特徴、構造、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。それ故に、このようなフレーズ又は本明細書中の様々な場所での出現は、必ずしも全てが同じ実施形態に言及しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、限定されることなく、1つ以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わされ得る。
【0011】
本開示は、チャンバ断面の限られた領域にわたってジェット運動エネルギーを集中させるように作用し、それによって局所乱流を増加させ、プレートの水力負荷基準を超えることなくガス移送を強化するように新しい流体(ガス及び水)循環セルを確立する新しい分配プレート設計を対象とする。新しい構成は、LHO機器のAE及びTEを改善する。これには、正のゲージ圧で動作する単段及び多段側流酸素付加装置(O2需要ピークサポート)、並びに負のゲージ圧で動作するシステム(DN脱着)が含まれる。
【0012】
本明細書に記載のシステム及び方法は、商業用酸素で水産養殖水を経済的かつ効果的に処理することを可能にし、気泡疾患も回避しながら生産能力を向上させるようにする。
【0013】
本明細書で説明されるLHO分配プレート設計の利点は、既存又は選択されたスプレー落下高さに対するガス移送を強化する、又は目標DO補給速度に必要なスプレー落下高さを低減するその独自の能力にある。どちらの対応も、水処理コストを削減するように作用する。更に、新しいプレート設計は、最小限の労力でチャンバを変更する可能性を広げて、同時DCストリッピングを可能にする。繰り返しになるが、(1)現在使用されているLHO装置の改造、(2)新規の又は提案されたLHO設計、及び(3)正又は負のゲージ圧で動作することを意図した新しいチャンバに、適用の機会が存在する。本出願の焦点は、水生培養用途にあるが、記載された酸素移送システムの利点は、都市又は工業排水処理などの他の酸素付加用途にも拡大するであろう。
【0014】
本開示は、追加のエネルギー入力(ポンプ輸送)なしで標準的なLHO性能を拡張するように設計された、新しいLHO給水分配プレート及びLHO構造について説明する。本明細書に記載のプレート設計及び独自の適用方法は、運動量移送の局所的な増加を提供し、それによってせん断力が高まり、LHOチャンバ内の明確に画定された循環セルの発達を促進し、(1)気泡群の垂直変位の加速、(2)浸透深さ(Hp)の増加、(3)給水ジェットを受け入れないプールの領域全体にわたる気泡の上昇、及び(4)強化された混合を介したジェットの作用に対するチャンバ内に存在する水の再曝露の促進を引き起こす。物理的変化1~4を組み合わせると、既存又は選択されたスプレー落下高さ(LO)に対するガス移送速度が向上し、又は所望のDO補給速度に対するLO要件が減少する。
【0015】
本明細書で説明される用途では、パッキンは個々のチャンバには存在せず、したがって、配水プレートによって発達した水ジェットにのみ依存し、必要とされる気液界面領域を提供する。後者は、ジェット表面並びにチャンバ内の水の自由表面へのジェットの衝撃によって提供される。一実施形態によれば、ガスの巻き込みは、乱流条件下で、最大0.5mの深さまで押し込まれる気泡を伴う衝撃部位で生じる。気泡サイズ、巻き込み深さ、及び結果として生じる物質移送可能性は、給水分配プレート上の水の塩分濃度、ジェット直径、ジェット速度、スプレー落下高さ、温度、及び表面水力負荷に関連している。淡水用途における分配プレート上の表面水力負荷は、約68kg/m2/秒に制限され、これは、LHOチャンバの静止ゾーンにおけるダウンフロー水速度6.8cm/秒に相関している。約46cmの静止ゾーン深さで、この臨界速度を上回って動作すると、巻き込まれたガスがLHOチャンバの吐出端から掃除され、酸素濃縮ガスが浪費され、したがってAEが低減される。
【0016】
標準的なLHOは、パッキンなしで、有孔水分配プレートによって発達した水ジェットに依存して、ガス移送に必要な気液界面領域を提供する。これまでに使用されたプレートは、ジェット位置をチャンバの断面上に均一に配置している。本開示は、チャンバ断面の限られた領域にわたるジェット作用に焦点を当てる新しい、より効率的な分配プレート設計について説明している。ここでは、ジェットの数は固定され、標準的なプレート要件に等しくなるが、ジェット間の間隔は最大80%削減されている。更に、生成されたジェット群は、標準的な長方形のLHO接触チャンバの一方の側面に沿って、又はその端部に戦略的に位置決めされ、壁効果が、チャンバのヘッド空間領域に向かって上昇する前に、一定の深さで、水及び巻き込まれた気泡をチャンバの自由表面に平行に流れるように誘導することができる。その結果は、水力負荷(例えば、68kg/m2/秒)のために確立された基準に準拠しながら、局所的な乱流及びガスの滞留を増やすことになる。乱流及びガスの滞留は、次に、溶存ガス欠損(C*-C)とともにガス移送速度を支配する全体的な物質移送係数(KLa)に影響を及ぼす。微分形式では、関係は、次のように表される。
【0017】
【0018】
係数KLaは、特定の気液接触システムに存在する状態を反映している。この係数は、2つの比率(D/Lf)及び(Af/Vol)の積によって定義され、Dは、拡散係数であり、Lfは、液膜厚さであり、Afは、処理される水の単位体積(Vol)当たりのガスが拡散する面積である。KLaの値は、以下の式によって記述されるように、D、Lf及びAfに対する粘度の影響を考慮して、温度(℃)とともに増加する。
【0019】
【0020】
接触システム内の各ガス種は、KLaの一意の値を有するが、特定のガスペアの相対値は、それらの分子直径に反比例する。
【0021】
【0022】
式(3)は、純粋な酸素吸収装置で同時に起こるDOの添加、DN及び溶存二酸化炭素(DC)のストリッピングなどの多成分ガス移送プロセスをモデル化する便利な手段を提供する。ここで、ガス吸収及び脱着速度を促進する溶存ガス欠損(C*-C)は、酸素のモル分率Xを局所大気(0.20946)のモル分率を上回って上昇させることによって、気密チャンバの境界内で操作される。すなわち、溶液中のガスの飽和濃度(C*)は、ヘンリーの法則に関連する気相(Pi)、液体温度及び液体組成におけるその分圧によって決定される。式の形式では以下のようになる。
【0023】
【0024】
式中、Bは、ブンゼン溶解度係数であり、Kは、分子体積に対する分子量の比であり、PH2Oは、水蒸気圧である。分圧(Pi)は、以下のドルトンの法則に従って、全圧(PT)と気相モル分率Xとの積を表す。
【0025】
【0026】
XO2、場合によっては、PTの上昇によって達成されるC*
O2の増加は、ガス移送速度を加速し、したがって、装置の規模を最小限に抑え、局所的な空気飽和濃度を超える流出液DOレベルを提供する。微量ガス種の影響を無視すると、XO2の増加は、同時にモル分率を減少させ、したがって、関係XN2=1-XO2に従って、DNのC*を減少させる。多くの場合、結果として生じる負の溶存ガス欠損は、DNストリッピングを提供する。気泡疾患の可能性を考慮すると、DO及びDNの変化の正味の影響により、局所気圧(Bp)を超える総溶存ガス圧(TGP)に魚がさらされることになってはいけない。すなわち、Delta Pは、BP以下である必要があり、ここで、Delta P=TGP-BPである。ここでのTGPは、存在する全てのガス種(i)についての溶存ガス張力(GT、mmHg)の合計を表す。GTiは、積(Ci)(760/1000Ki)(Bi)として定義される。
【0027】
突入液体ジェットの空気巻き込みは、速度に依存する以下のFroude数で増加する。FR=V2/(gd)であり、式中、gは、重力であり、dは、ノズル直径である。LHO分配プレートから出るジェットの速度(Vo)は、圧力降下を最小限に抑える必要性を考慮すると、設計により、比較的遅い。しかしながら、衝突点におけるジェット速度は、次の関係式で記述されるように、Voと重力からの速度利得との合計を表す。Vj=(Vo
2+2gL)0.5であり、式中、Lは、ノズル吐出からジェットを受ける自由表面までの高度変化である。LHOでは、Vjに対する重力の影響が著しい。例えば、LHO設計で一般的な、オリフィス全体で15.2cm H2Oの圧力降下では、Voは、1.38m/秒であるが、Lがわずか0.609mである場合、Vjは、2.64倍増加して、3.65m/秒になる。KLaを促進する上で重要なジェットの正味出力(Nj)は、以下のように、所与の体積流量Qで、Vjの2乗で増加する。Nj=0.5QpVj2であり、式中、Njは、ワット単位であり、pは、液体密度である。
【0028】
KLaに対するNjのプラスの効果は、巻き込まれたガスの体積及び浸透深さが増加するジェットからの運動量移送の強化、並びに気泡の直径及び関連する液膜の厚さを減少させるように作用する乱流/せん断力によるものである(Lf、式1)。小さな気泡は、大きな気泡よりも、表面積(A)が大きくなるだけでなく、受け入れプールにおける上昇曝露が長くなる。以前のLHO用途でのNjは、(1)流出液中の気泡キャリーオーバを排除するように設計された68kg/m2/秒の水力負荷率基準、及び(2)分配プレートでの給水ヘッド要件を最小限に抑える必要性によって制限されていた。上記の制限1及び2を超えることなく、Njを増加させることで説明した利点を提供する、より効率的な分配プレート設計が必要である。本開示は、オリフィスのプレート孔スケジュールの操作、及び個々のLHO反応チャンバの独自の幾何学形状を利用することによって、この必要性に対処している。
【0029】
ここで図面を参照すると、
図1aは、標準的なLHOチャンバ200で使用される標準的な分配プレート201を示し、標準的なLHOチャンバ200のより短い寸法にわたる幅は、D
1で表される。標準分配プレート201は、全体に分配されたオリフィス108を有する領域(ハッシュ線により表される)を含む。液体134がトラフ132に含まれる場合、液体134は、オリフィス108を通って流れ、ジェット114を形成する。ジェット114は、ガスポート112を使用して入力/出力することができるガス(例えば、酸素)を含むスプレー落下ゾーン118を通って落下する。ジェット114が自由水面116に接触すると、特定の深さまで水を貫通し、気泡巻き込みゾーン120を生成する。また、
図1aには、静止ゾーン124、吐出スロット126、及び支持脚128も示されている。例示的な本実施形態は、トラフ132を含むが、他のシステム構成は、真空チャンバなどのトラフ132の代わりに異なる容器を使用してもよい。更に、吐出スロット126は、任意選択である。例えば、LHOチャンバ200が真空である場合、吐出スロット126を取り外すことができる。真空脱気装置又は中圧酸素付加装置の例示的な実施形態は、本開示の別の部分でより詳細に説明される。
【0030】
実際の値を使用する例では、標準分配プレート201は、12.7cm×35.6cmの寸法の断面を有する単一のLHOチャンバ200上に29個のジェットオリフィス108(d=9.53mm)の均一な分配を有する。使用中、ジェット衝突は、巻き込みヘッド空間ガスの点源を提供する。気泡巻き込みゾーン120内に形成された気泡は、半径方向に拡散しながら、垂直に下流に運ばれる。深さをもって気泡群が半径方向に拡大することで、局所的な乱流及び下向きの速度が減少し、隣接するジェット間の開放領域での気泡の放出及び上昇が可能になる。したがって、気泡巻き込みゾーン120は、ガスが両垂直方向に移動しながら動的であり、一方、バルク液体は、ある程度の分散を伴って、チャンバの下部吐出端に向かって安定して流れる。Q=170.3l/分の場合、Q/Aジェットに基づくVoは、1.37m/秒である。この例では、0.308mVjのLは、2.803m/秒に上昇し、11ワットのジェットの合計にNjを提供する。単位断面当たりに加えられる対応する力は、243.4ワット/m2である。
【0031】
一方、
図1bは、本開示の実施形態による、LHOチャンバ232で使用される側流分配プレート202を示す。側流分配プレート202の第1のゾーンは、オリフィス108を有し、第2のゾーンは、オリフィスのない中空領域109である。LHOチャンバ232で使用される、トラフ132内の液体134は、オリフィス108を通って落下し、チャンバ壁122aに沿って、又はそれに隣接して、ジェット114を生成するが、チャンバ壁122bには隣接しない。側流分配プレート202の中空領域109が液体134の流れを防ぐため、ジェット114は、チャンバ壁122bに沿っていない。言い換えると、自由水面116にはジェット114にさらされる部分がある一方、自由水面116の他の部分はジェット114にさらされない。ジェット114がスプレー落下ゾーン118を通過し、自由水面116に接触すると、水を貫通して、
図1aのLHOチャンバ200に生成された気泡巻き込みゾーン120よりも深い気泡巻き込みゾーン121を生成する。
【0032】
一実施形態では、
図1bは、側流分配プレート202上のジェットオリフィス108の新しい分配を示す。側流分配プレート202は、
図1aの標準分配プレート201と同じ寸法及び同じ数のオリフィスを有するが、オリフィスは、側流分配プレートのサブ領域に位置する。ジェット114は、チャンバの一方の側面(すなわち、チャンバ壁122a)の長さに沿って、又はそれに隣接して、2つの平行な列で生成され、利用可能な領域のわずか31.5%にわたってNjを集中させる。総印加ジェット出力Njは標準設計と同じであるが、単位断面(有効面積)当たりに加えられる力は、3.18倍の774ワット/m
2に増加する。ここで確立された二相流状態は、標準的な設計とはかなり異なっており、限られたジェット衝撃ゾーンに加えられたNjの増加は、チャンバ壁122aの近く、又はそれに隣接するジェット114の位置決めと合わせて、運動量移送の局所的な増加を提供し、せん断力を高めるとともに、気泡群の垂直変位を加速する明確に定義された循環セルの発達を促進する。これにより、ノズル位置に隣接する壁が、発散する気泡群の半径方向の拡大を抑制し、LHOチャンバ232の短い寸法D
1にわたって一定の深さで気泡を放出させるため、より大きな浸透深さHpがもたらされる。これにより、給水ジェット114を受けないプールの領域全体にわたって気泡が上昇することになる。上記の例の条件下での側流分配プレート202の実施試験は、チャンバの流出液中の気泡キャリーオーバを元に戻すことなく、標準的な分配プレート201設計と比較して、Hpが34.5%増加することを実証している。更に、気泡巻き込みゾーン121内に発達した気泡の循環セルは、LHOチャンバ232内に存在する給水が、ジェット114の作用に再びさらされる可能性を増大させる。
【0033】
システム設計の流量及び圧力降下により、特定の分配プレート用途に必要なオリフィスの数が決まる。オリフィスの形状や直径は様々であり得る。一実施形態では、形状は、0.25~0.5インチの範囲の直径を有する円形である。単一のオリフィスの流動可能性Q1は、以下のエネルギー式から導き出すことができる。
【0034】
【0035】
式中、Q1は、
【0036】
【0037】
の流量であり、dは、フィート単位のオリフィス直径であり、Gは、重力
【0038】
【0039】
であり、Hは、給水中のオリフィス全体の圧力損失であり、CLは、オリフィス幾何学形状固有損失係数であり、これは一実施形態において、約0.6から0.9まで変化し得る。CLは、分配プレート厚が大きくなると低下する。直径の小さいオリフィスは、直径の大きい孔よりも固形物による汚れや物理的な閉塞が発生しやすくなるが、KLaは通常、オリフィス直径が大きくなるにつれて減少することになる。次に、必要なオリフィスの総数は
【0040】
【0041】
であり、ここで、Q目標は、
【0042】
【0043】
で処置される総流量である。
【0044】
一実施形態では、オリフィスのない分配プレートの面積は、総分配プレート面積の65~80%を表すことができる。オリフィスは、ジェット衝突を妨げることになる壁に付着する流れを回避するように選択されたオリフィス位置とチャンバ壁との間の最小間隔に応じて、間隔を置くことができる。このオフセットは、一実施形態では0.5~1.5インチであり得るが、オリフィス直径及びスプレー落下高さによって変化し得る。更に、オリフィス間隔は、チャンバのスプレーゾーン又はヘッド空間におけるジェット間の相互作用を回避するように設計され得る。
【0045】
当然ながら、上記の例は、1つの実施形態のみを示すものであり、多くの変形が存在し得る。例えば、
図2aは、一実施形態による、6つのチャンバ101、102、103、104、105、106を有するLHO100に取り付けられた分配プレート110の断面上面図を示す。6つのチャンバ101、102、103、104、105、106の各々のより短い寸法にわたる幅は、D
2であり、ここで、D
2=2*D
1である。分配プレート110は、オリフィス108の複数の領域、並びにオリフィス108の領域間の1つ以上の中空領域109を有する。一実施形態では、単一の分配プレートは、LHOを構成する複数のチャンバに設置することができる。あるいは、一実施形態では、対応する分配プレートを、LHOを構成する各チャンバ上に設置することができる。
【0046】
図2bは、6つのチャンバ101、102、103、104、105、106を有するLHO100の断面上面図を示し、各チャンバは、チャンバ壁を有する。例えば、チャンバ101は、チャンバ壁122a及び122bを有する。ガスポート112もまた示され、これは、ガスが各チャンバのヘッド空間領域を通って流れることを可能にする。ガスポート112は、オフガス口及び/又はガス供給源であり得る。隣接するガスポート112は、互いにオフセットされ、ガスがそれぞれのチャンバ全体を移送することを可能にすることに留意されたい。簡略化のために、チャンバ102、103、104、105、106のためのチャンバ壁及びガスポートは、ラベル付けされていないが、それらが存在することを理解されたい。
【0047】
図2cは、LHO100の側面図を示す。チャンバ101では、ジェット114は、両側のチャンバ壁122a、122bに沿って落下し、チャンバ101内の自由水面116の内側部分をジェット114にさらされないままにし、それによって、気泡巻き込みゾーン120内に2つの反転循環セルを生成する。チャンバ101に関して説明されたこのシナリオは、LHO100内の他方のチャンバ102、103、104、105、106についても生じる。
【0048】
一実施形態では、
図2a、
図2b、及び
図2cに示される設計は、約2044l/分の総流量を有する6つの同一のチャンバ101、102、103、104、105、106(すなわち、反応器段)を組み込んでいる。LHO100全体の総ヘッドロスはわずか0.74mである。液体134(例えば、水)は、重力によって入口トラフ132に流入し、次いで、分配プレート110を介して、各チャンバ101、102、103、104、105、106についての個々のチャンバ壁の両側に沿って分配される。
【0049】
一実施形態では、
図2aを参照すると、分配プレート110が取り付けられたLHO100の上面図は、各チャンバの幅(25.4cm)の15.9%を表す領域にわたって2列に分配された、すなわち、第1列及び第2列は、それぞれ、チャンバ壁から2.4及び3.6cmである、チャンバ壁当たり29ジェットの分配プレート110上のオリフィス位置を提供する。オリフィス108の有効直径は、9.53mmである。入口トラフ132の水位は、約12.7cmである。発達したジェット114は、静止ゾーンの自由水面116に衝突する前に、各チャンバ101、102、103、104、105、106のヘッド空間領域230を通して61cm落下する。処理された水は、吐出スロット126を介して、受け入れサンプの床より10.2cm上にある個々のチャンバ下部開放端から出る。
【0050】
一実施形態では、分配プレート110が設置されていない状態で示される
図2bの上面図はまた、直径1.9cmのオフガス口から出る前に、ガスがガスポート112を介してチャンバ101、102、103、104、105、106を通って直列に移動する際のガスの流れ方向を示す。ガスは、酸素供給源によって発生した圧力差によって移動する。
【0051】
一実施形態では、
図2cの端面図は、静止ゾーンの自由水面116の高度を上回る高度で、チャンバ101のためのチャンバ壁122aに固定された供給ガス入口ポート112(直径0.64cm)の位置を示す。内部チャンバ壁(例えば、チャンバ壁122b)は、この同じ高さで単一の直径1.9cmのガスポートを有する。これらのポートは、後壁の5cm前方、又は前壁の5cm後方の位置間において互い違いになるようにして、示されている曲がりくねった経路(ガス流)を確立する。
【0052】
もちろん、LHOチャンバは、幾何学形状並びにスケールにおいて変化し得る。ほとんどの設計は、
図1a、
図1b、
図2a、
図2b、及び
図2cに示されるもののような入れ子にされた長方形の寸法を組み込むが、いくつかは、円形断面を有するLHOの細分化を収容するようにくさび形状である。記載された循環セルのような水力のFroudeベースのスケーリングは、重力が優勢であり、自由表面が関与するこれらの場合に有効である。ここでは、スケールアップされた幾何学的類似性は、受け入れプールで同じ深さ対幅の比率を必要とする。上記の例では、Hpを深さとして使用し、チャンバの短い寸法を幅D
1として使用すると、深さと幅の比R
Lが1.75になる。L
o及びチャンバの数がそれぞれ、0.308m及び6に固定された新しい設計でQ
Lを増やすには、表面負荷率基準及びチャンバ当たりのジェット数の増加に対応するように、より広いチャンバが必要になる。HpがL
oに関して固定されていると仮定される場合、チャンバ幅を増加させるとR
Lが減少し、これは、スケールアップにより好ましい接触状態が変化することを示す。これは実験室試験で確認されている。試験は、ジェット衝突ゾーンの外側に存在するプール容積内の均一な分配なしに、一定の深さでプールの表面に上昇するジェット後流から変位した気泡プルームを示しており、チャンバ容積はここで十分に利用されていない。
【0053】
図3は、1.75未満のR
Lの減少が制限されている場合に、チャンバ容積の完全な利用を回復しようとするLHOチャンバ232の変形を示す。垂直バッフル301は、ジェット114の流束を拘束し、下向き及び上向きの流体流の相互作用を制限して、抗力を低減し、ジェット後流領域305におけるより高い気泡プルームの加速を可能にする。水平バッフル303は、チャンバ壁122aから反対側のチャンバ壁122bに向かってこの加速された流れを誘導して、チャンバ断面307にわたる気泡のより完全な分配を提供する。断面307、水平バッフル303、及びチャンバ壁122a、122bに対する垂直バッフル301の位置は、L
o、Vj、ジェット位置及び所望の処理効果に関連し得る。垂直バッフル301は、背面チャンバ壁に取り付けられていることに留意されたい。更に、垂直バッフル301は、水没したままであり、したがって、プール表面水のジェット後流領域305への移動を妨げないで、所望の循環セルの完了を可能にする。流体流に垂直な断面307の壁からの水平バッフル303の延長は、結果として生じるスロット開放領域309にわたる圧力降下を最小限に抑えるように制限される。バッフル301、303は、RLの1.75からの逸脱又は特定の設計目的に基づいて、一緒に又は個別に使用され得る。
【0054】
チャンバ幅の増加が大幅であるこれらの場合には、ジェットの追加のセットを加えることで、性能目標を満たすことができる。例えば、
図4は、チャンバのセル幅が(LHOチャンバ232と比較して)12.7から25.4cmの2倍になり、R
Lがここで0.875になった場合の例示的な構成を示す。また、分配プレート401は、2つの側面に沿ってオリフィス108を有し、その間に中空領域109を有することが示されている。給水流量Q
Lは、衝突ジェットの総数(2×29)と同様に、前の例(2×170.3l/分)の流量の2倍である。この新しい構成では、チャンバ境界D
2の中点で相互作用を有する2つの反転循環セルが確立される。図示されていないが、
図3に提示されたバッフル301、303は、ペアで適用して性能を向上させることができる。
【0055】
R=0.875のセル歪みを回避するためにここで使用される戦略は、(1)チャンバ幅D1がD2寸法の増分で増加し、(2)QL/m2チャンバ断面が一定のままである場合、RLの更なる低減が必要な場合に適用することができる。例えば、D3は、50.8cm(RL=0.438)、101.6cm(RL=0.219)、152.4cm(RL=0.109)などであり得る。
【0056】
図5は、チャンバ幅D
3が、2D
2又は50.8cmに等しく設定された場合の結果を示している。ここでのQ
Lは、4×170.3l/分であり、4×29の衝突ジェット114は、チャンバ壁122a、122b、及びバッフル503に隣接する位置505a、505bに沿って、D
3にわたって4点で力を加える
。後者の2つの点は、プールの自由水面116の上方の位置からH
pを超える水中レベルまで延びる共有垂直バッフル503の両側に隣接している。新しい構成の正味の結果は、R
L=0.438にもかかわらず、
図3に示された気液接触状態を再現するように設計された2対の反転セルの確立である。
図5はまた、チャンバ壁122a、122bからオフセットされた2つの群のジェット、並びにバッフル503の両側が、自由水面116の上のこれらの構成要素のジェット114の流れとの接触を最小限に抑える、分配プレート501のための結果として生じるオリフィス108のスケジュールを示す。同様のオフセットは、
図1a~
図1b及び
図3に示される構成、並びに
図6a及び
図6bに示されるような円形LHOシステムの例示的なプレート設計で使用される。
【0057】
図6a及び
図6bは、くさび形状のチャンバの2つの選択肢を提供する。
図6a及び
図6bは、8つのくさび形状のチャンバからなる円形LHO605の断面上面図を示し、各チャンバは、チャンバ壁602によって分割される。ここで、くさび(θ
w)の中心角度は、典型的には1ラジアン(57.3
o)未満と小さくすることができ、したがって、ジェット位置の均一な分配は、セクタ半径(r
max)に沿うくさび断面によって提供される相対面積に基づくことができる。例えば、
図6a及び
図6bは、0.785のθ
w及び1/2r
2
maxθのチャンバ断面積を提供する、等しい面積の8つの連結されたくさびによって細分化された円形LHO605を示す。
【0058】
図2に示されるように、利用可能領域の31.5%を表す領域にわたってオリフィス108の分配を例えば均一に固定すると、
図6aに示される分配プレート601によって示されるように、(θ
w)(0.315)、又は0.247ラジアン(14.18
o)に等しいオリフィス108配置の角度制限が設定される。残念ながら、rがゼロ(r
min)に近づくにつれてジェット後流拘束のレベルが増加することを考えると、所望の循環セルのいくらかの歪みが生じることになる。
【0059】
この同じ制限は、
図6bの分配プレート603によって示される第2の選択肢に適用され、これは、r
maxでのセクタ弧近くのゾーン、並びにθの原点(r
min)の近くのゾーンに沿ってジェット運動量を均一に加えることによって、
図3に示される2つの反転セルを再現しようと試みている。
図6bは、この例では、両方のゾーンに関連付けられた有効領域が等しい、すなわち((1/2)(R
2
max)(θ
w)(0.315))/2であることを示す。
【0060】
図7aに示される代替構成は、
図3、
図4、又は
図5に関連する長方形セクションR
Lをまねた平行な仕切りの群を確立することによって、くさび形状のチャンバの使用を回避している。LHO706は、チャンバ壁701によって画定される10個のチャンバで構成からなる。分配プレート702の上面図もまた、
図7aに示され、これは、チャンバ壁701の上部に設置され得る。
【0061】
同様に、
図7bに示される構成は、6つのチャンバを有するLHO708内の同心チャンバ壁703の群によって生成された環状空間内にこれらの同じR
L値を確立する。LHO708で使用することができる分配プレート704の例もまた、
図7bに示される。
【0062】
一実施形態では、任意の水密隔壁710、711、712、713、714が、
図7a及び
図7bに示される代替設計の両方に含まれ、LHOシステム境界内のチャンバの数を増加させ、したがって、AE及びTEを改善することができる。一実施形態では、水密隔壁710、711、712、713、714は、気密性がある(1つのチャンバから次のチャンバへのガス移動を可能にするガスポートを除いたもの)。
【0063】
図8は、本開示の一実施形態による、1つ以上のチャンバ、対応するチャンバ上に配置された1つ以上の分配プレート、1つ以上の分配プレート上に配置されたトラフ、及び1つ以上のチャンバの各々へのガス入力を含む低ヘッド型酸素付加システムを使用して高効率酸素付加を実施する方法800を示す。
【0064】
ステップ801は、液体が1つ以上の分配プレート内のオリフィスを通って1つ以上のチャンバ内に流れるように、トラフ内に液体を提供しており、1つ以上の分配プレートの各々は、それぞれの分配プレートの又は1つ以上の多くのゾーン内に分配される所定の数のオリフィスを有し、それぞれの分配プレートの少なくとも1つの残りのゾーン内にはオリフィスを有しない。液体は、1つ以上の分配プレートのオリフィスを通って流れ、ジェットを生成する。本明細書で説明される分配プレートのいずれか、及びその変形を使用することができる。本明細書で説明される側流技術を採用する分配プレートは、LHOシステムの幾何学形状(例えば、チャンバ壁の位置、スプレー落下高さ、チャンバの数、及び各チャンバのサイズ)を収容するように調整されるべきである。
【0065】
ステップ803は、1つ以上のチャンバの各々にガス入力を通ってガスを提供し、ガスを、1つ以上のチャンバの各々のヘッド空間部分を通って、1つ以上のチャンバ内に貯蔵された液体の上に流すことである。ステップ801で形成されたジェットは、各チャンバのヘッド空間部分内のガスと接触し、次に、オリフィスを有する対応する分配プレートの1つ以上のゾーンの直下に配置された領域で対応するチャンバ内の液体に侵入し、対応するチャンバ内に保持された液体内に気泡の1つ以上の循環セルを生成する。一実施形態では、液体内に完全に浸漬された水平及び/又は垂直バッフルをチャンバの壁に取り付けることができ、これは、気泡の1つ以上の循環セルの形成を容易にするのに役立ち得る。
【0066】
図1bに関して説明された側流分配プレート202、並びにいくつかの追加の構成を用いて試験を実施し、典型的な現場条件下での相対的な性能を評価した。具体的には、選択されたスプレー落下高さ(L
O)におけるHp及び酸素移送係数Gの両方を定量化した。Gは、式(1)の積分から得られ、以下のように定義されている。G=ln((C
*-DO
in)/(C
*-DO
out))であり、式中、DO
in及びDO
outは、それぞれ、チャンバ流入及び流出液のDO濃度である。測定されたG値を、式(2)に基づいて20Cに補正し、その後、これまでに使用された標準プレート設計(オリフィスの均一分配)について以前に確立されたG
20Cと比較して、LHO装置を設計した。次いで、LHOに特有であり、入力としてG
20Cを必要とする多成分ガス移送モデルを使用して、両方の構成の相対的な性能(AE、TEなど)を予測した。試験用側流分配プレートを、高さ1.219m×幅0.508m×厚さ0.127mの寸法の長方形のLHOチャンバに12.7cmの深さで設置した。プレートの上に生成された領域は、遠心ポンプによって供給される隣接する静止ゾーンから水を受ける場合に給水トラフとして機能した。スロットルバルブによって調節され、Signet型パドルホイール流量センサで測定されたポンプ流量は、157l/minであった。チャンバの側面と端部に設置された窓は、ジェット、ジェット衝撃ゾーン(H
p)及び静止ゾーンの観察を可能にした。チャンバを、追加の窓と、プール表面の変化を介してLoを調節するために使用される排水バルブと、を備えたサンプタンクに設置した。作動中、水は入口トラフに侵入し、重力によって衝撃ゾーン内に落下し、次にチャンバの下部開放端から出て行く間に、酸素は、0.65~0.75の範囲内にX
O2を上昇させる速度でヘッド空間領域に向けられた。酸素流量を、Cole-Palmer可変面積流量計及びその一体型スロットルバルブによって固定した。X
O2を、分配プレートの中点を通って、トラフ水の自由表面の上に延びる1.9cmのライザを介して連続的に排出されたチャンバオフガス中で測定した。X
O2を、Oxyguard Polaris TGPメータとQuantek Model 201酸素分析器との両方で測定した。DO及びX
O2が安定したら、システム全体のDOの変化を、入口トラフのDO及びサンプ流出水のDOを測定することによって決定した。DO測定を、水温と局所気圧も提供するYSI Prosolo発光プローブで行った。次いで、Lo及びHpを巻き尺で測定した。Loの試験範囲は、20.3~67.3cmであった。得られたG
20値を計算するために必要なC
*は、水温及び局所気圧に基づいていた。
【0067】
側流分配プレートの試験は、G20によって示されるように、改善されたHp、明確に画定された循環セルの発達、及び強化されたガス移送可能性の予測を検証するのに役立った。ガスの巻き込みについては、Lo=30.48cm及び60.86cmで実施した側流プレートの試験では、それぞれ、標準プレート設計で達成したものよりもHpが34.6%及び28.6%高いことが実証された。Hpは、Hp対Loの最小二乗回帰によって示されるように、Loでほとんど変化しなかった(N=29)。Loの変化に伴うHpの非感受性は、LHOプールの深さの設計を簡素化し、装置の規模を決定するのに重要な表面負荷基準の増加を提供し得る。側流分配プレートでの定常状態走行中に確立されたG20値も、回帰分析に基づいてLoと相関していた(r2=0.9516)。このモデルは、標準プレート設計(配水プレート上のジェットの均一な分配)によって提供され、LHO装置の設計に現在使用されているG20用に以前に開発された回帰式の形式に類似している。両方の回帰モデルの検査は、Loが15cmを超えると、側流G20が標準G20を超えることを明らかにする。パーセントとしての改善は顕著であり、実験室試験のLo限界(67.3cm)までLoを増加させると上昇し、例えば、Lo=35.6、50.8、及び67.3cmの場合、標準設計に対するG20のパーセントの改善は、それぞれ、38.1%、57.5%、及び73.3%である。G20は、関数:%除去=(1-e-G20)100によって、溶存ガス欠損(C*-C)の除去の程度に関連する対数関数である。Lo=67.3cmでは、G20に基づく欠陥除去は、標準プレート設計で44.97%、側流ケースでは64.65%となり、ここでは43.76%の改善となる。側流構成のプラスの効果を更に定量化するために、前述の多成分ガス移送モデルを使用してLHO性能をシミュレートした。性能は、ステージの数が6個に固定された標準的な動作条件(15C;DOin=8mg/l)下で予測された。予測されたAEが、70、75、80、85、及び90%の目標AE値と一致するまで、酸素供給速度を調整した。表1は、Loが45.72cmであった場合の性能予測の例(20のうちの8)をまとめている。以下の変数には、必要な酸素供給速度(水流の%)、DOout(mg/l)、酸素移送速度(lb’s/日)、TE(lb’s/hp.hr)、及び窒素移送速度(lb’s/日)が含まれた。
【0068】
【0069】
選択されたAEの場合、側流構成を組み込んだLHOは、より高い酸素供給速度で動作することができ、これにより、全ての性能インジケータが増加することに留意されたい。例えば、1日当たりの酸素移送速度は、標準プレート設計で予測される酸素移送速度よりも平均して35.9%増加した。Loを76.2cmまで上昇させたとき、表1に示される利点は更に改善した。この場合、1日当たりの酸素移送は、標準プレート適用よりも46.8%高かった。シミュレーションデータを組み合わせると、側流プレート設計は、選択されたDOoutに必要な水力ヘッドを削減するか、又はこれを使用してLoが固定されている既存のLHOの性能を向上させることができることを示す。側流設計はまた、強化された窒素除去能力を提供する。
【0070】
上記の説明は、非加圧LHO設計に焦点を当てているが、本明細書で説明するシステム及び方法は、真空脱気装置又は中圧(側流)酸素付加装置として実装することができる。側流分配プレートは、カラムの真空要件を低減することによってAE及びTEを改善することができ、それによって運用コストを削減し、酸素供給要件の節約を提供することができる。
【0071】
一実施形態では、側流分配プレートで動作する真空脱気装置は、水を保持する容器及び分配プレートが大気から隔離されている分配プレート上に水をあふれさせることができる(例えば、トラフの開放された上部を覆うブラインドフランジによって)。分配プレートによって生成された給水ジェットは、チャンバの静止ゾーンに落下し、次に、チャンバの底部に接続されたフランジ付きパイプを介してチャンバから水ポンプに出ることができる。静止ゾーンの自由表面は、水ジェット排気装置をチャンバの底部フランジプレートの上の適切な高度に配置することによって、目標Loを提供するレベルに維持することができ、底部フランジプレートは、吐出スロットを有していない。排気装置は、多段式反応器の最後のチャンバからオフガスを引き出すことができ、したがって、個々のチャンバガスポートを介して、酸素導入点(すなわち、第1のチャンバ)から最後のチャンバまで、逐次的にヘッド空間ガス移動を引き起こす。これらのポートは、静止ゾーンの自由表面の上に位置することができる。
【0072】
水ジェット排気装置の性能は、浸水により低下し、ガス又は給水速度の調整により、静止ゾーンの自由表面が変化しないようにする。排気装置は、最後のチャンバからオフガスを抽出して排出するために必要なエネルギーを移送する高圧水の専用の流れによって供給される。チャンバ内の高真空レベルは、下部カラム吐出フランジと結合された水ポンプによって発生させることができる。チャンバの内部自由表面が水ジェット排気装置によって固定されているため、ポンプは、空気を巻き込むことなく入口スロットルバルブから水を引き出すことができる。水ポンプはまた、その使用ポイントに処理された水を送達するために必要な吐出圧力を提供することができる。真空及び水の流量は、入口とポンプ吐出スロットルバルブの両方の変化によって調整され得る。反応器のチャンバのこの構成、並びに所望のLoを提供するちょうど高度ポイントでの水ジェット排気装置の位置決めにより、ポンピング前の下流オフガスセパレータが不要になる。
【0073】
本明細書で説明されるシステム及び方法はまた、側流分配プレートを使用する加圧多段式酸素付加装置(NIIO)で具現化され得る。水は、ポンプ作用を介して、密封されたカラムの浸水した分配プレートゾーン(すなわち、側流分配プレートの上方)に強制的に侵入することができ、その後、ジェットとして静止ゾーンの自由表面に落下することができる。水は、バルブ付き吐出ポートを介して水を放出する前に、気泡水を分離するために必要な静止状態を提供する。このバルブを部分的に制限すると、給水ポンプによって提供されるように、カラムゲージ圧力が目標レベルに上昇することができる。酸素は、マルチチャンバシステムの第1のチャンバに計量することができる。オフガスは、最終チャンバに結合されたフロートバルブを介してシステムから出ることができる。バルブ位置は、酸素吸収速度を超える酸素供給速度によって引き起こされる静止ゾーン深さの減少に基づいて、オフガスの放出を調節することができる。真空脱気装置の場合と同様に、ガス放出は、静止ゾーンの自由表面の上のチャンバ壁に位置決めされた個々のガスポートを介して、第1のチャンバから最後のチャンバへのガス移動を順次開始する。チャンバ壁は、気泡巻き込みゾーンよりもはるかに下に延びて、気泡が個々のチャンバの境界から逃げないようにすることができる。チャンバ壁は、チャンバ壁が配水プレートの下側並びにシステムシェルと交差する場所でも気密性がある。
【0074】
明らかに、上記の教示に照らして、多数の修正及び変形が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本開示の実施形態は、本明細書に具体的に記載される以外の方法で実施され得ることが理解されるべきである。
【0075】
したがって、前述の記載は、本開示の単なる例示的な実施形態を開示し、説明する。当業者によって理解されるように、本開示は、その趣旨から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化され得る。したがって、本開示の開示は、例示的であることが意図されるが、本開示の範囲、並びに他の特許請求の範囲の限定ではない。本明細書の教示の容易に認識可能な変形態様を含み、本開示は、一部では、前述の特許請求の用語の範囲を、発明の主題が公衆に捧げられることがないように定義している。
【国際調査報告】