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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】調整可能なライトを有するシステム
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/076 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
B60Q1/076
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501139
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 US2022036262
(87)【国際公開番号】W WO2023287625
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/220,918
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/825,495
(32)【優先日】2022-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121979
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 吉信
(72)【発明者】
【氏名】マズイール クラリッセ
(72)【発明者】
【氏名】チャイルド クリストファー ピー
(72)【発明者】
【氏名】タン シャオフェン
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339CA01
3K339DA01
3K339EA01
3K339EA02
3K339EA06
3K339EA09
3K339GB01
3K339HA30
3K339JA21
3K339KA09
3K339LA06
3K339LA21
3K339MA01
3K339MA03
3K339MA04
3K339MA05
3K339MA07
3K339MA10
3K339MB04
3K339MB05
3K339MC13
3K339MC21
3K339MC39
(57)【要約】
車両(10)は、ヘッドライト(16)、及び車両照明を提供するための他の車両用ライトなどのライトを有することができる。ライトは、照明(20)の色及びパターンを変えることができるように、電気的に調整可能であってもよい。センサデータ及び/又は他のデータを使用して、照明をどのように調整するかを決定することができる。ヘッドライト(16)などのライトは、白色光源又は多色光源などの光源(32)と、光源(32)から光を受け取る光コリメータ(36)と、光コリメータ(36)から平行光を受け取り、対応する調整可能な車両照明(20)を出力する調整可能なレンズアレイ(42)と、を有することができる。調整可能なレンズアレイ(42)は、固定及び/又は調整可能なレンズ素子(100)と、対応する電気的に調整可能な光変調素子(54E)と、を有することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両であって、
車両本体と、
前記車両本体に支持され、調整可能にヘッドライト照明を生成するように構成されたヘッドライトと、を備え、前記ヘッドライトは、
光源と、
前記光源からの光を受け取り、対応するヘッドライト照明を提供するように構成された調整可能なレンズアレイと、を備える、車両。
【請求項2】
前記光源と前記調整可能なレンズアレイとの間に、前記光源からの光が前記調整可能なレンズアレイによって受け取られる前に前記光源からの前記光を平行にする光コリメータを更に備え、前記調整可能なレンズアレイは、レンズ素子のアレイと、対応する光変調素子のアレイと、を備える、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記光源は、前記光変調素子のアレイに対して対応する調整が行われている間に連続してパルス化されるように構成された異なる色の発光デバイスを備える、請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記光変調素子のアレイは、ゲストホスト光変調素子の2次元アレイを含む、請求項2に記載の車両。
【請求項5】
前記光変調素子のアレイは、液晶光変調素子の2次元アレイを含む、請求項2に記載の車両。
【請求項6】
前記光変調素子のアレイは、エレクトロクロミック光変調素子の2次元アレイを含む、請求項2に記載の車両。
【請求項7】
前記調整可能なレンズアレイは、
レンズ素子の第1のアレイと、
レンズ素子の第2のアレイと、
光変調素子のアレイであって、前記光変調素子の各々が、前記レンズ素子の第1のアレイ内の前記レンズ素子のうちのそれぞれの1つと、前記レンズ素子の第2のアレイ内の前記レンズ素子のうちのそれぞれの1つとの間に位置する、光変調素子のアレイと、を備える、請求項1に記載の車両。
【請求項8】
開口部を有するマスクを更に備え、前記開口部の各々は、前記光変調素子のそれぞれの1つと位置合わせされている、請求項7に記載の車両。
【請求項9】
前記調整可能なレンズアレイは、光変調素子のアレイを含む、請求項1に記載の車両。
【請求項10】
前記光源は、白色光源を含む、請求項1に記載の車両。
【請求項11】
前記光源は、様々な色の複数の発光デバイスを含む、請求項1に記載の車両。
【請求項12】
前記調整可能なレンズアレイは、光変調素子の複数の層を備え、前記光変調素子の各々は、異なる色の光に対する光透過を修正するように構成されている、請求項1に記載の車両。
【請求項13】
前記調整可能なレンズアレイは、屈折率の調整可能なレンズ素子のアレイを含む、請求項1に記載の車両。
【請求項14】
前記屈折率の調整可能なレンズ素子は、電気的に調整可能な焦点距離によって特徴付けられている、請求項13に記載の車両。
【請求項15】
前記ヘッドライト照明は照明パターンを有し、前記車両は、前記調整可能なレンズアレイを制御して、前記ヘッドライト照明の前記照明パターンを調整するように構成された制御回路を更に備える、請求項1に記載の車両。
【請求項16】
車両用ライトであって、
光源と、
前記光源から光を受け取り、対応する平行光を提供するように構成された光コリメータと、
前記コリメートされた光を受け取り、対応する車両照明を調整可能なパターンで提供するように構成された調整可能なレンズアレイと、を備え、前記調整可能なレンズアレイは、
第1のレンズアレイと、
各々が前記第1のレンズアレイ内のレンズのそれぞれの1つと位置合わせされた第2のレンズアレイと、
電気的に調整可能な光変調素子のアレイであって、前記光変調素子の各々が、前記第1のアレイ内の前記レンズのうちの1つと前記第2のアレイ内の前記レンズのうちのそれぞれの1つとの間にある、光変調素子のアレイと、を備える、車両用ライト。
【請求項17】
前記電気的に調整可能な光変調素子のアレイは、ゲストホスト光変調素子、液晶光変調素子、及びエレクトロクロミック光変調素子からなる群から選択される電気的に調整可能な光変調素子を含む、請求項16に記載の車両用ライト。
【請求項18】
車両用ライトであって、
光源と、
前記光源からの光を受け取るように構成された光コリメータと、
開口部のアレイを有するマスクと、
前記開口部のアレイ内の前記開口部のそれぞれの1つと各々が位置合わせされたレンズ素子の2次元アレイであって、前記開口部を通じて前記光コリメータからの平行光を集束させるように構成されている、レンズ素子の2次元アレイと、
電気的に調整可能な光変調素子のアレイであって、前記光変調素子の各々が前記開口部のそれぞれの1つと位置合わせされ、前記開口部を通過する光に対して調整可能な光透過量を示すように構成されている、電気的に調整可能な光変調素子のアレイと、を備える、車両用ライト。
【請求項19】
レンズ素子の追加のアレイを更に備え、前記レンズ素子の各々が、前記電気的に調整可能な光変調素子のうちの対応する1つからの光を受け取る、請求項18に記載の車両用ライト。
【請求項20】
前記光源は、白色光源を含む、請求項18に記載の車両用ライト。
【請求項21】
前記光源は、様々な色の発光ダイオードを含む、請求項18に記載の車両用ライト。
【請求項22】
前記光源は、赤外光発光ダイオードを含む、請求項18に記載の車両用ライト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、車両などのシステムに関し、より詳細には、ライトを有する車両に関する。
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年5月26日に出願された米国特許出願第17/825,495号、及び2021年7月12日に出願された米国仮特許出願第63/220,918号に対する優先権を主張するものであり、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
自動車及び他の車両は、ヘッドライトなどのライトを有する。異なる運転条件に対応するために、ヘッドライトには、ロービーム設定及びハイビーム設定などの調整可能な設定が設けられることがある。
【発明の概要】
【0003】
車両は、車両照明を提供するためのヘッドライト及び他の車両用ライトなどのライトを有することができる。ライトは、照明の色及びパターンを変えることができるように、電気的に調整可能であってもよい。車両内の制御回路は、センサデータ、ユーザ入力、及び他の基準に基づいてライトを調整することができる。
【0004】
ヘッドライトなどのライトは、白色光源又は多色光源などの光源と、光源から光を受け取る光コリメータと、光コリメータから平行光を受け取り、対応する調整可能な車両照明を出力する調整可能なレンズアレイと、を有することができる。
【0005】
調整可能なレンズアレイは、互いに位置合わせされたレンズ素子の第1及び第2のアレイを有することができる。調整可能なレンズアレイは、第1のレンズ素子アレイと第2のレンズ素子アレイとの間に配置された電気的に調整可能な光変調器を有することができる。マスクは、調整可能な光変調器内のそれぞれの調整可能な光変調素子と位置合わせされた開口部を有することができる。
【0006】
レンズ素子の第1のアレイは、光コリメータから平行光を受け取ることができる。第1のレンズ素子の各々は、マスク内のそれぞれの開口部を通して、及び調整可能な光変調素子のうちの対応する1つを通して、光を集束させることができる。各調整可能な光変調素子を出る光は、平行又はほぼ平行な出力光線を形成するように平行にすることができる。
【0007】
動作中、調整可能なレンズアレイ内の光変調素子は個々に調整することができ、光源は調整することができる。これにより、光が所望のビームパターン及び色を有する出力照明を生成することが可能になる。出力照明は、ヘッドライト照明又は他の車両照明として機能することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態による、例示的な車両及び車両の前方の構造の側面図である。
【0009】
図2】一実施形態による、例示的な車両用ライトの側断面図である。
【0010】
図3】一実施形態による、車両用ライトの調整可能なレンズアレイの側断面図である。
【0011】
図4】一実施形態による、調整可能な車両用ライトで照らされた例示的な表面の図である。
【0012】
図5】一実施形態による、反射層を有するゲストホスト液晶層に基づく例示的な光変調アレイの側断面図である。
【0013】
図6】一実施形態による、例示的な液晶光変調アレイの側断面図である。
【0014】
図7】一実施形態による、例示的なエレクトロクロミック光変調アレイの側断面図である。
【0015】
図8】一実施形態による、電気的に調整可能なレンズ素子を有する例示的なレンズアレイの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
車両又は他のシステムなどのシステムは、ヘッドライト及び他のライトなどの光を発する構成要素を有することができる。ヘッドライトは、車両の近傍の車道及び他の物体を照明するために使用され得る。ヘッドライトによって提供される照明は、車両の乗員が夜間又は他の薄暗い周囲照明条件で物体を見ることを可能にし、センサの動作を容易にする。例えば、可視及び/又は赤外線波長でのヘッドライト照明は、自律運転システム又は運転者支援システムによって使用される画像センサに照明を提供するために使用されてもよい。
【0017】
ヘッドライトによって放出される照明は、調整することができる。例えば、ヘッドライトは、ヘッドライトによって放射される照明のパターンが調整されることを可能にする、調整可能なレンズアレイ及び他の調整可能な構成要素を有することができる。ヘッドライトは、一例として、ヘッドライトビームを狭く又は広くするように、及び/又はヘッドライト照明パターンの形状を他の方法で調整するように調整することができる。所望に応じて、放出される光の色は変更することができる。ヘッドライトビーム調整は、ハイビームモードとロービームモードとの間でヘッドライトを切り替える、ヘッドライトビームを左右に操作する(例えば、道路のカーブに対応する)、目的対象にスポットライトを当てる、特定の気象条件又は他の動作条件下でヘッドライト性能を向上させる、歩行者又は他者に警告を提供する、及び/又はヘッドライト出力の特性を別様に変化させるために使用され得る。
【0018】
図1は、例示的な車両の一部の側面図である。図1の例では、車両10は、乗客を搬送し得るタイプの車両(例えば、自動車、トラック、又は他の自動車両)である。車両10がロボット(例えば、自律ロボット)、又は人間の乗客を搬送しない他の車両である構成もまた使用することができる。本明細書では、自動車などの車両が一例として説明される場合がある。図1に示すように、車両10は、車道14などの道路上で動作することができる。物体26などの物体は、車道14などの車両10の近傍の他の構造物上又はその近くに位置する場合がある。
【0019】
車両10は、(例えば、人間の運転者によって)手動で運転されてもよく、遠隔制御を介して操作されてもよく、及び/又は(例えば、自律運転システム若しくは他の自律推進システムによって)自律的に操作されてもよい。ライダー、レーダ、可視及び/又は赤外線カメラ(例えば、2次元及び/又は3次元カメラ)、近接(距離)センサ、及び/又は他のセンサなどの車両センサを使用して、車両10内の自律運転システム及び/又は運転者支援システムは、歩行者、無生物、及び/又は車道14上の例示的な障害物26などの他の外部構造物を回避するのを助けるために、自動制動、操舵、及び/又は他の動作を実施することができる。
【0020】
車両10は、車両本体12などの本体を含むことができる。本体12は、金属及び/又は他の材料から形成された本体パネルなどの車両構造を含むことができ、ドア18、フード、トランク、フェンダー、車輪が取り付けられるシャーシ、ルーフなどを含むことができる。ドア18及び車両本体12の他の部分(例えば、車両本体12の側部、車両10のルーフ、及び/又は車両10の他の部分)に窓を形成することができる。窓、ドア18、及び本体12の他の部分は、車両10の内部を、車両10を取り囲む外部環境から分離することができる。ドア18は、人々が車両10に出入りすることを可能にするために開閉することができる。シート及び他の構造が、車両本体12の内部に形成されてもよい。
【0021】
車両10は、1つ以上のヘッドライト(ヘッドランプと称されることもある)、ドライビングライト、フォグライト、デイタイムランニングライト、ターンシグナル、ブレーキライト、及び/又は他のライトなどの自動車用照明を有することができる。図1に示すように、例えば、車両10は、ライト16などのライトを有することができる。概して、ライト16は、車両10の前部F、車両10の対向する後部、車両10の左側部及び/又は右側部、及び/又は本体12の他の部分に取り付けることができる。本明細書で一例として説明され得る例示的な構成では、ライト16はヘッドライトであり、本体12の前部Fに取り付けられる。一例として、前方方向(例えば、図1の例において車両10が前方に駆動されたときに移動する+X方向)に照明20を提供するために、車両10の左右にそれぞれ位置する左右のヘッドライト16があってもよい。車両10の前方の車道14及び物体26などの外部表面28にヘッドライト16を照射することによって、車両10の乗員は、薄暗い周囲照明条件(例えば、夜間、又は天候、トンネル、時刻などに起因する低照度の状況)であっても表面28を見ることができる。画像センサ及び光を使用する他のセンサなどの車両10内のセンサの動作は、表面28に照明を設けることによってサポートすることもできる。
【0022】
所望に応じて、ヘッドライト又は他の車両用ライトは、車両10に接近している車両10のユーザを支援するために使用することができる、及び/又は近くの歩行者又は他の人と通信するために使用することができる。一例として、ユーザが車両10に近づいていることを車両10内のセンサが検出したときはいつでも、ヘッドライト又は他の車両用ライトを使用して、車両10の周囲の領域を照明20で照らすことができる。このようにして、ユーザは、車両の近くの障害物をより良く見ることができ、そのような障害物の周りを歩くことができる。別の例として、歩行者は、車両10が横断歩道で停止した後に車両10の前を横断するために待機している場合がある。横断することが安全であることを歩行者に知らせるのを助けるために、車両10は、横断歩道を照らすようにヘッドライト又は他の車両用ライトを調整することができる。所与の色の光(例えば、安全な横断条件のための緑色光又はその他の赤色光)、特定のパターンの光(例えば、横断歩道又は一時停止標識に沿って向けられた矢印)、時間変化する光特性(例えば、1Hzでゆっくりと点滅する、追跡光パターンなど)、及び/又は照明20の任意の他の適切な態様を使用して、いつ道路を横断することが安全であるかを歩行者に知らせる、及び/又は車両10の近傍にいる人々に別様に情報を提供することができる。
【0023】
車両10は、構成要素24を有することができる。構成要素24は、推進及びステアリングシステム(例えば、本体12に結合された車輪、ステアリング制御、車輪を駆動するための1つ以上のモータなどを有する手動調整運転システム及び/又は自律運転システム)、及び他の車両システムを含むことができる。構成要素24は、制御回路及び入出力デバイスを含むことができる。構成要素24内の制御回路は、自律運転アプリケーション、ナビゲーションアプリケーション(例えば、ディスプレイ上にマップを表示するためのアプリケーション)、並びに車両環境制御デバイス、照明、メディア再生、窓移動、ドア動作、センサ動作、及び/又は他の車両動作を制御するためのソフトウェアを実行するように構成することができる。例えば、制御システムは、センサデータなどのデータを使用して、車道14などの車道上で車両10を自律的に運転する自律運転システムの一部を形成してもよい。制御回路は、処理回路及び記憶装置を含むことができ、ハードウェア(例えば、専用ハードウェア又は回路)、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを使用して車両10内の動作を実行するように構成され得る。車両10内で動作を実施するためのソフトウェアコード及び他のデータは、制御回路内の非一時的コンピュータ可読記憶媒体(例えば、有形コンピュータ可読記憶媒体)上に記憶される。ソフトウェアコードは、ソフトウェア、データ、プログラム命令、コンピュータ命令、命令、又はコードと呼ばれることもあり得る。非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、不揮発性ランダムアクセスメモリ、1つ以上のハードドライブ(例えば、磁気ドライブ若しくはソリッドステートドライブ)、1つ以上のリムーバブルフラッシュドライブ又は他のリムーバブルメディア、又は他の記憶装置などの不揮発性メモリを含むことができる。非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶されたソフトウェアは、構成要素24の処理回路上で実行されてもよい。処理回路は、処理回路を有する特定用途向け集積回路、1つ以上のマイクロプロセッサ、中央処理装置(Central Processing Unit、CPU)、又は他の処理回路を含むことができる。
【0024】
構成要素24の入出力デバイスは、ディスプレイ、発光ダイオード及び他の発光デバイス、触覚デバイス、スピーカ、及び/又は出力を提供するための他のデバイスを含むことができる。構成要素24の出力デバイスは、例えば、車両乗員などに触覚出力、オーディオ出力、視覚出力(例えば、表示されたコンテンツ、光など)、及び/又は他の適切な出力を提供するために使用することができる。構成要素24の入出力デバイスはまた、ユーザ入力を収集するため、環境測定値を収集するため、車両動作に関する情報を収集するため、及び/又は他の情報を収集するためのボタン、センサ、及び他のデバイスなどの入力デバイスも含むことができる。構成要素24内のセンサは、周囲光センサ、タッチセンサ、力センサ、近接センサ、可視、赤外線、及び/又は紫外線波長で動作するカメラ(例えば、魚眼カメラ、2次元カメラ、3次元カメラ、及び/又は他のカメラ)などの光学センサ、容量センサ、抵抗センサ、超音波センサ(例えば、超音波距離センサ)、マイクロフォン、レーダセンサ、ライダー(光検出及び測距)センサなどの無線周波数センサ、ドア開閉センサ、シート圧力センサ及び他の車両乗員センサ、窓センサ、ロケーション、向き、かつ移動を監視するためのポジションセンサ、速度計、衛星測位システムセンサ、及び/又は他のセンサを含むことができる。
【0025】
動作中、構成要素24の制御回路は、ライダーデータ、カメラデータ(例えば、2次元画像)、レーダデータ、及び/又は他のセンサデータなどの情報をセンサ及び/又は他の入出力デバイスから収集することができる。この情報は、車両10内の自律運転システム及び/又は運転者支援システムによって使用することができる。この情報は、道路14の形状、物体26などの物体の位置、及び/又は表面28の他の特性を判定する際に使用することもできる。これらの測定値、ユーザ入力、又は他の情報に基づいて、車両10はヘッドライト16を調整することができる。例えば、ビーム形状は、近づいてくるヘッドライトが検出されたときに調整することができ、ビーム方向は、道路14における検出されたカーブに適応するように調整することができ、ビーム形状は、雨又は他の気象条件における視認性を向上させるのに役立つように調整することができ、ビーム形状は、物体26などの検出された物体にスポットライトを当てるように調整することができ、適切なパターン及び/又は色の照明は、ヘッドライト16及び/又は他の車両照明を使用して近くの歩行者又は他の人に出力を提供することが望ましいときに出力することができ、出力光は、ユーザが夜間に車両10に向かって歩くときに車両10の近くに照明を提供するように調整することができる。
【0026】
車両10の車両乗員又は他のユーザは、車両10の制御回路にユーザ入力を提供することができる。カメラ、タッチセンサ、物理的制御、及び他の入力デバイスが、ユーザ入力を収集するために使用され得る。車両10との無線通信を使用して、遠隔データソースは、構成要素24の制御回路にデータベース情報を提供してもよい。所望に応じて、ヘッドライト16及び/又は他の車両用ライトは、ユーザ入力及び/又は遠隔データソースからの情報に基づいて調整することができる。例えば、道路条件(例えば、道路サイズ、道路タイプ、道路形状、路面など)に関する情報は、遠隔データベースに記憶されてもよく、この情報は、無線通信リンクを介して車両10に提供されてもよい。動作中、車両10は、道路状況情報に基づいてヘッドライト16を調整することができる。
【0027】
ヘッドライト16は、構成要素の2次元アレイを有してもよい。ヘッドライト16は、例えば、発光ダイオード及び/又は他の光源のアレイと、ヘッドライトから光が放射される方向を制御する対応するレンズのアレイ(マイクロレンズアレイ又はレンズアレイと称されることもある)と、を有することができる。ヘッドライト16はまた、光変調アレイ(例えば、対応するレンズを通過する光の量を調整する個々に調整可能な光変調素子のアレイ)を有することができる。所望に応じて、レンズ素子は、レンズ素子焦点距離及び/又は他のレンズ素子光学特性を変更するように調整することができる光学特性(例えば、電気的に調整可能な屈折率値)を有する液晶材料及び/又は他の材料から形成することができる。
【0028】
ヘッドライト16内の構成要素のアレイは、行及び列を有する2次元アレイを形成するように配置することができる、又は他の2次元レイアウトで配置することができる。レンズ及び/又は光変調素子などのアレイ構成要素は、矩形の輪郭又は他の適切な形状(例えば、六角形のフットプリントなど)を有することができる。本明細書で一例として説明されることがある例示的な構成では、レンズ及び光変調素子は、矩形形状を有し、2次元アレイ(例えば、N×Mアレイ、ここで、N及び/又はMの値は、少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、50未満、20未満、15未満、及び/又は10未満である)内の行及び列に配置される。
【0029】
図2は、車両10用の例示的なヘッドライトの側断面図である。図2のヘッドライト16は、本体12に取り付けることができる。本体12は、ヘッドライト16を受け入れるキャビティを有してもよく、ヘッドライト16は、本体12の外面に取り付けられてもよく、かつ/又はヘッドライト16は、本体12によって他の方法で支持されてもよい。図2に示すように、ヘッドライト16は、ヘッドライトハウジング30を含むことができる。光は、光源32によって生成することができる。光源32は、発光ダイオード、レーザ、ランプなどの複数の発光デバイス34を有することができる。発光デバイス34は、一例として、白色発光ダイオードなどの発光ダイオードであってもよい。所望に応じて、発光デバイス34は、赤外光を放射するように構成された赤外発光ダイオードを含むことができる、着色発光ダイオード(例えば、赤色、黄色、青色、及び/又は緑色発光ダイオード)を含むことができる、及び/又は他の発光構成要素を含むことができる。光源32が様々なる色のデバイス34を含む構成では、デバイス34を選択的に作動及び停止させることによって光の色を調整することができる。
【0030】
光源32は、ハウジング30の内部を図2の+X方向に進行する光を放射することができる。ヘッドライト16は、光源32によって放射された光を平行にするのを助ける光コリメータ36などの集光構成要素を含むことができる。光コリメータ36は、例示的なコリメートレンズ40及び/又は円錐ミラー38などの光源32からの光を集光するのを助ける反射構造などの1つ以上の光学構成要素から形成することができる。光コリメータ36によって部分的に又は完全に平行にされた光源32からの光は、ヘッドライト照明20(例えば、表面28上に照明を生成することができるヘッドライトビーム)として放射される前に、調整可能なレンズアレイ42を通過する。
【0031】
図3は、一実施形態による、ヘッドライト16の例示的な調整可能なレンズアレイの側断面図である。図3に示すように、調整可能なレンズアレイ42は、レンズアレイ50及びレンズアレイ58などのレンズ素子の1つ以上のアレイを有することができる。アレイ50及び58のレンズは、行及び列又は他の適切なパターン(例えば、図3の例では、列がZ軸に平行に延び、行がY軸に平行に延びる)で編成することができる。アレイ50の各レンズは、アレイ58のそれぞれのレンズと位置合わせすることができる。
【0032】
光変調アレイ54のような光変調素子のアレイは、レンズアレイ50とレンズアレイ58との間に挿入することができる。アレイ54は、光変調アレイ54とアレイ50との間の空隙又は間隙52及び/又は56によってレンズアレイ50及び58から分離することができる、及び/又はアレイ58は、透明ポリマー又は他の透明材料で充填することができる。光変調アレイ54は、個々に制御され得る電気的に調整可能な光変調素子54Eのアレイを有することができる(例えば、素子54Eは、図3のZ軸に平行な列を有し、図3のY軸に平行な行を有する2次元アレイ状に配置することができる)。各光変調素子54Eを通過する光の量を調整することによって、レンズアレイ42を通過する光のパターンを制御して、ヘッドライト16によって放射されるヘッドライトビームパターンを調整することができる。
【0033】
所望であれば、アレイ54にマスキンググリッドを設けることができる。例えば、各素子54Eは、不透明マスク64の一部によって覆われた光変調セル62Eを有することができる。マスク64は、各光変調セル62Eの中心と位置合わせされたマスク開口部60が存在するように構成することができる。マスク64は、迷光を遮断するのに役立ち、それによって、隣接するセル62E間の境界における構造を通過する光線を低減又は排除することができ、したがって、各光変調素子54Eを通過する光が、その素子の所望の活性領域を通過することを確実にするのを助けることができる。マスク64のようなマスクは、アレイ54の入射面及び/又は出射面に設けることができる、及び/又は別様にアレイ54に組み込むことができる。
【0034】
車両10は、アレイ42をどのように調整するかを決定する際に、センサ入力、ユーザ入力、又は他の情報を使用することができる。一実施例として、図4の構成を考える。図4に示すように、ヘッドライト16は、物体26の表面及び/又は車道14の表面など、車両10の前方の表面28を照らすことができる。車両10の動作中(例えば、車両10が車道14に沿って運転されている間)、車両10は、ヘッドライト16の出力がハイビームモードで提供されるべきであると決定することができ、したがって、アレイ42を調整してハイビームパターン80で照明を生成することができる。接近するヘッドライトが検出されたとき、又は雨が感知されたときなどの他の条件では、車両10は、ヘッドライト16の出力がロービームモードで提供されるべきであると決定することができ、したがって、アレイ42を調整してロービームパターン82で照明を生成することができる。他の状況では、ヘッドライト16によって出力されるビームは、例示的なパターン84、例示的なパターン88、及び/又は車両10の近傍の表面の所望の1つ以上の部分(例えば、不連続部分)を照らす任意の他の適切なパターンなどのパターンを有するように調整することができる。これらのようなパターンは、(例えば、スポット照明で物体を強調することによって)ユーザが目的の物体を見るのを支援することができ、困難な照明条件においてユーザを支援するのに使用することができる(例えば、照明属性は、ビーム方向、強度、色、及び/又は他の要因が可視性を低下させる傾向がある悪天候中に、照明20を下方に傾けることによって、照明20の色を調整することによって、及び照明20の強度を増加させることによって、道路及び障害物の可視性を高めるように調整することができる)。所望に応じて、ヘッドライト16は、車両10の近傍にいる歩行者及び他者に、車両状態、計画された車両動作、及び/又は他の車両属性に関する情報を提供するように調整することができる。一例として、照明20は、赤色及び点滅であってもよく、車両10が移動している又は移動しようとしていることを車両10の近くの人々に知らせるためにパターン84又は80で提供することができる。一般に、ヘッドライト16からの照明は、任意の適切な形状(円形、楕円形、長方形など)を有するように制御されてもよく、上/下及び/又は左/右に操作されてもよい。所望であれば、放射される光のパターンは、近くの観察者に情報を伝えることができる。例えば、特定のタイプの照明(例えば、垂直又は水平のストライプ、スポット、アイコン形状、及び/又は照明の他のパターン、所与の色の照明、及び/又は所与の時変強度によって特徴付けられる照明)は、車両10が方向転換、減速、停止、又は加速しようとしていることのインジケータとして機能する、歩行者又は他の人が車両10によって認識されたことのインジケータとして機能する、車両10が自律的又は手動で運転していることのインジケータとして機能する、及び/又は他の条件が存在することのインジケータとして機能することができる。
【0035】
図5図6、及び図7は、調整可能なレンズアレイ42の例示的な光変調アレイの側断面図である。
【0036】
図5の例では、光変調アレイ54は、ゲストホスト液晶変調デバイスに基づく個々に調整可能な光変調素子54Eのアレイを有する。アレイ54は、一例として、透明光変調電極92(例えば、インジウムスズ酸化物などの透明導電性材料から形成された電極)のそれぞれのセットを備えた第1及び第2の透明基板90を有することができる。図5の例における各素子54Eは、第1及び第2のそれぞれの電極を有する。所望に応じて、共有接地電極が複数の素子54Eにまたがっていてもよい。各素子54Eに対して一対の素子固有電極が使用される図5図6及び図7の構成は例示的なものである。
【0037】
図5に示すように、ゲストホスト液晶層94は、基板90の間に挿入することができる。所望の(及び潜在的に異なる)電圧を各素子54Eの電極92に供給することによって、ゲストホスト液晶層94にわたる電界の大きさは、アレイ54内の位置の関数として調整することができる(例えば、光透過量は、各光変調素子54Eに対して所望に応じて個々に変更することができる)。各素子54Eは、一例として、不透明状態、透明状態、又は素子が不透明状態レベルと透明状態レベルとの間の中間の光透過量によって特徴付けられる1つ以上の中間透過状態に置くことができる。アレイ54内の光変調素子54Eの各々をこのように調整することによって、ヘッドライト16によって放射される光のパターンが図4の例に関連して説明したように制御されるように、各素子54Eから出力される光の量を調整することができる。
【0038】
例示的な一構成において、ゲストホスト液晶層94は、素子54Eが無彩色の透過を示すように黒色吸収染料を有する。素子54Eは、例えば、透明、灰色、又は黒色に見えてもよく、光源32が白色光照明を放射するときにヘッドライト照明20が色かぶりのない無彩色に見えることを可能にする。アレイ54の送信ダイナミックレンジは、一例として、1:20であってもよく、アレイ54はミリ秒程度の応答時間を有してもよい。
【0039】
他の例示的な構成では、アレイ54内に複数のゲストホスト液晶層及び関連する基板が存在する。例えば、複数のゲストホスト液晶光変調構造を互いに積み重ねてアレイ54を形成することができる。このタイプの積層構成における各ゲストホスト液晶光変調層は、異なる色の光を通過させるように構成された二色性染料又は他のゲスト材料を有することができる。例えば、第1の層は、選択された量の赤色光を通過させる赤色ゲストホスト液晶光変調素子のアレイを有することができ、第2の層は、選択された量の緑色光を通過させる緑色ゲストホスト液晶光変調素子のアレイを有することができ、第3の層は、選択された量の青色光を通過させる青色ゲストホスト液晶光変調素子のアレイを有することができる。
【0040】
動作中、光コリメータ36を通過した光源32からの白色光照明は、この積層構造に供給することができる。図3のマスク64のような開口部のアレイを有するマスキング層は、各積層構造(層)に関連付けることができる。各マスク内の開口部及び積層構造の対応する各層内の素子54Eのレイアウトは、層間の干渉を回避するように構成することができる。一例として、緑色層及び青色層は、赤色層からの赤色光が赤色光変調素子によって強度が調整された後に通過することを可能にする開口部を有することができ、赤色層は、白色光がそれぞれの層内の緑色光変調素子及び青色光変調素子に到達することを可能にする開口部を有することができる。
【0041】
アレイ54の積層内の赤色、緑色、及び青色光変調素子の設定に応じて、赤色、緑色、及び青色光の所望のパターンをヘッドライト16から放射することができる。赤色、緑色、及び青色の光は、表面28上に投影されたときに結合することができ、したがって、各色によって寄与される相対強度は、ヘッドライト照明の結果として生じる色に影響を及ぼす。放射された赤色光、緑色光、及び青色光を混合することによって、ヘッドライトビームの異なる非中間色を生成することができる、及び/又はヘッドライトビームの異なる部分に異なる色を提供することができる。着色光はまた、異なるアレイ素子の出力間に重複がある場所で混合されることによって、混合色領域及び/又は白色光領域を形成することができる。
【0042】
所望であれば、光源32は、異なる色の複数の発光デバイス34を有することができる。光源32は、例えば、赤色、緑色、及び青色発光ダイオード、又は他の無彩色以外の色の発光デバイスを含むことができる。このタイプの構成では、光変調素子54Eの単一層を使用して、ヘッドライト16に着色出力を提供することができる。赤色光、緑色光、及び青色光は、一連の離散パルス(例えば、目に見えるフリッカ効果を回避するために、1/60秒未満又は他の短い期間のパルス)で提供することができる。光変調アレイ54は、赤色光源がアクティブであるときに第1の光パターンを通過させ、緑色光がアクティブであるときに第2の光パターンを通過させ、青色光がアクティブであるときに第3の光パターンを通過させるように構成することができる。このようにして、所望のパターン及び色を有するヘッドライトビームを生成することができる。一例として、赤色光出力が所望される場合、青色及び緑色光源は、オフにすることができ、白色光出力が所望される場合、赤色、青色、及び緑色光源は全て、起動させることができる。これらのタイプの構成及び/又は他の構成は、使用される光変調素子54Eのタイプにかかわらず、ヘッドライト16に有色光照明を生成する能力を提供するために使用することができる。必要に応じて、光源30は、1つ以上の赤外線発光デバイス34を含んでもよい。これにより、赤外光の所望のパターンを放射することが可能になる(例えば、アレイ54の光変調素子は、放射された赤色光、青色光、及び緑色光のパターンを修正することに加えて、放射された赤外光のパターンを修正するためにも使用することができる)。
【0043】
色は、ゲストホスト液晶層内の着色染料を使用してアレイ54を通過する白色光に付与することができる、又は他の色フィルタ構成を使用して提供することができる。例えば、液晶光変調又はエレクトロクロミック変調に基づく光変調アレイでは、バンドパス薄膜干渉フィルタ及び/又は着色インク構造などの色フィルタ構造を使用して、赤色、緑色、及び青色を変調素子の異なる層に付与することができる。
【0044】
図6の例では、光変調アレイ54は、液晶変調セルに基づく光変調素子54Eのアレイを有する。図6の基板90は、偏光子94の間に挟まれている。電極92は、基板90内に形成することができる。液晶層96は、基板90と電極92との間に挿入することができる。各素子54E内の一対の電極92に印加される電圧は、その素子54Eに関連する液晶層96の部分にわたって印加される電界の量を制御する。次に、各素子54Eの液晶層における電界の量は、その素子における液晶分子回転量、その素子によって示される対応する偏光回転量、したがって、その素子を通る光透過量を制御する。このタイプの光変調アレイにおける透過ダイナミックレンジ、一例として、1:200であってもよい。応答時間は、ミリ秒又はそれより速い程度であってもよい。所望であれば、2つ以上の液晶光変調構造(例えば、2つ以上の液晶層96及び関連する基板90、偏光子94、及び電極92)は、図5の例示的な積層変調構成に関連して説明したように、互いに積み重ねることができる。各積層構造は、それぞれのマスク64を有することができる、又は単一のマスクが積層内の層の間で共有することができる。
【0045】
例示的なエレクトロクロミック光変調アレイを図7に示す。図7のエレクトロクロミック光変調アレイ54は、エレクトロクロミック光変調素子54Eのアレイを有する。アレイ54は、基板90の間にエレクトロクロミック構造98の層を有する。各素子54Eに関連付けられた電極92には、構造98内のイオンの移動を調整するために所望の電圧を個別に供給することができる。各素子54Eにおけるイオンの移動は、その素子を通る光透過を調整する。このタイプの変調の応答時間は、動作温度に応じて、約1秒から数分であり得る。所望に応じて、2つ以上のエレクトロクロミック変調層(及び関連するマスク64)を積層して、エレクトロクロミック光変調アレイ54を形成することができる。
【0046】
図3に示されるタイプのレンズアレイ構成では、入力レンズアレイ50内のレンズ素子の各々は、集束された光が対応する変調セル62E(及び対応する位置合わせされたマスク開口部60)を通過するように、平行にされた光を集束する。素子54Eを通過した後、入力レンズ素子によって集束された光は、出力レンズアレイ58内の対応する出力レンズ素子によって平行又はほぼ平行な出力を形成するように平行にされる。アレイ50及び58のレンズ素子は、例として、それらの平面が互いに向かって配向された平凸レンズ素子であってもよい。所望であれば、他の種類の形状を使用することもできる。
【0047】
いくつかの例示的な構成では、レンズアレイ42内のレンズの光学特性を電気的に調整することができる。一例として、図8の二次元レンズアレイの調整可能なレンズ素子100を考える。レンズ素子(レンズ)100は、第1及び第2の透明基板104の間に位置する、屈折率が電気的に調整可能な液晶材料102又は他の材料から形成することができる。液晶材料102に電界を印加することによって、各レンズ素子100内の材料102の複屈折を個々に調整することができる。光源32からの光を、この光が各レンズ素子100内の材料102を通過する前に偏光させるために偏光子を使用することができ、その結果、調整可能な複屈折が、その素子100を通過する光の屈折率の所望の調整値をもたらす。
【0048】
レンズ素子100は、透明電極106に印加される信号を使用して調整することができる。各レンズ素子100内の一対の透明電極106には、例えば、潜在的に異なる所望の電圧が供給することによって、そのレンズ素子100の液晶材料にわたる電界を制御することができる。このようにして、各レンズ素子100の液晶材料内の電界強度は、その材料の屈折率を調整し、それによって、そのレンズの焦点距離及び/又は他の屈折光学特性を変化させる。レンズ素子100は、任意の適切な形状を有することができる(例えば、レンズの入力面及び出力面は、凹レンズ面及び/又は凸レンズ面を含むことができ、球面、平面、及び/又は非球面を含むことができ、レンズは、矩形輪郭、円形輪郭、六角形輪郭、及び/又はレンズを所望のアレイに詰め込むことを可能にする他の輪郭を有することができる、など)。レンズ100の屈折光学特性を電気的に調整することによって、光は、ヘッドライト16によって提供される照明のパターン(例えば、図4の調整可能な照明パターンを参照)を調整するように、集束及び/又は脱焦させる、操作する、及び/又は別様に制御することができる。
【0049】
図8の調整可能なレンズ素子100のアレイは、調整可能なレンズアレイ42として機能することができる(例えば、光変調アレイ54はアレイ42から省略されてもよい)、又は図8の調整可能なレンズ素子100のアレイは、調整可能なレンズアレイ42の一部を形成することができる。例えば、図3のレンズアレイ50及び/又はレンズアレイ58の代わりに、調整可能なレンズ素子100の行及び列の2次元アレイを使用することができる。このタイプの構成では、ヘッドライト16の出力に対する調整は、レンズ100を調整することによって、光変調アレイ54を調整することによって、及び/又は光源32を調整することによって行うことができる。
【0050】
一実施形態によれば、車体と、車体によって支持され、調整可能なヘッドライト照明を生成するように構成されたヘッドライトと、を含む車両が提供され、ヘッドライトは、光源と、光源からの光を受け取り、対応するヘッドライト照明を提供するように構成された調整可能なレンズアレイと、を含む。
【0051】
別の実施形態によれば、車両は、光源と調整可能なレンズアレイとの間に、光源からの光が調整可能なレンズアレイによって受け取られる前に光源からの光を平行にする光コリメータを含み、調整可能なレンズアレイは、レンズ素子のアレイと、光変調素子の対応するアレイと、を含む。
【0052】
別の実施形態によれば、光源は、光変調素子のアレイに対して対応する調整が行われている間に連続してパルス化されるように構成された異なる色の発光デバイスを含む。
【0053】
別の実施形態によれば、光変調素子のアレイは、ゲストホスト光変調素子の2次元アレイを含む。
【0054】
別の実施形態によれば、光変調素子のアレイは、液晶光変調素子の2次元アレイを含む。
【0055】
別の実施形態によれば、光変調素子のアレイは、エレクトロクロミック光変調素子の2次元アレイを含む。
【0056】
別の実施形態によれば、調整可能なレンズアレイは、レンズ素子の第1のアレイと、レンズ素子の第2のアレイと、光変調素子のアレイとを含み、光変調素子の各々は、レンズ素子の第1のアレイ内のレンズ素子のそれぞれの1つとレンズ素子の第2のアレイ内のレンズ素子のそれぞれの1つとの間に配置される。
【0057】
別の実施形態によれば、車両は、開口部を有するマスクを含み、各開口部は、光変調素子のそれぞれの1つと位置合わせされる。
【0058】
別の実施形態によれば、調整可能なレンズアレイは、光変調素子のアレイを含む。
【0059】
別の実施形態によれば、光源は、白色光源を含む。
【0060】
別の実施形態によれば、光源は、様々な色の複数の発光ダイオードを含む。
【0061】
別の実施形態によれば、調整可能なレンズアレイは、光変調素子の複数の層を含み、光変調素子の各々は、異なる色の光の光透過を修正するように構成されている。
【0062】
別の実施形態によれば、調整可能なレンズアレイは、屈折率の調整可能なレンズ素子のアレイを含む。
【0063】
別の実施形態によれば、屈折率の調整可能なレンズ素子は、電気的に調整可能な焦点距離によって特徴付けられている。
【0064】
別の実施形態によれば、ヘッドライト照明は照明パターンを有し、車両は、調整可能なレンズアレイを制御して、ヘッドライト照明の照明パターンを調整するように構成された制御回路を含む。
【0065】
一実施形態によれば、光源と、光源からの光を受け取り、対応する平行光を提供するように構成された光コリメータと、平行光を受け取り、対応する車両照明を調整可能なパターンで提供するように構成された調整可能なレンズアレイと、を含む車両用ライトが提供され、調整可能なレンズアレイは、レンズの第1のアレイと、レンズの第1のアレイ内のレンズのそれぞれの1つと各々が位置合わせされたレンズの第2のアレイと、電気的に調整可能な光変調素子のアレイと、を含み、各光変調素子は、第1のアレイ内のレンズの1つと第2のアレイ内のレンズのそれぞれの1つとの間にある。
【0066】
別の実施形態によれば、電気的に調整可能な光変調素子のアレイは、ゲストホスト光変調素子、液晶光変調素子、及びエレクトロクロミック光変調素子からなる群から選択される電気的に調整可能な光変調素子を含む。
【0067】
一実施形態によれば、光源と、光源からの光を受け取るように構成された光コリメータと、開口部のアレイを有するマスクと、開口部のアレイ内の開口部のそれぞれの1つと各々が位置合わせされたレンズ素子の2次元アレイであって、開口部を通じて光コリメータからの平行光を集束させるように構成されている、レンズ素子の2次元アレイと、電気的に調整可能な光変調素子のアレイであって、光変調素子の各々が開口部のそれぞれの1つと位置合わせされ、開口部を通過する光に対して調整可能な光透過量を示すように構成されている、電気的に調整可能な光変調素子のアレイと、含む車両用ライトが提供される。
【0068】
別の実施形態によれば、車両用ライトは、レンズ素子の追加のアレイを含み、各レンズ素子は、電気的に調整可能な光変調素子のうちの対応する光変調素子から光を受け取る。
【0069】
別の実施形態によれば、光源は、白色光源を含む。
【0070】
別の実施形態によれば、光源は、様々な色の発光ダイオードを含む。
【0071】
別の実施形態によれば、光源は、赤外光発光ダイオードを含む。
【0072】
上記は、単に例示に過ぎず、様々な修正を記載の実施形態に行ってもよい。上記の実施形態は、個々に又は任意の組み合わせで実装されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両であって、
車両本体と、
前記車両本体に支持され、調整可能にヘッドライト照明を生成するように構成されたヘッドライトと、を備え、前記ヘッドライトは、
光源と、
前記光源からの光を受け取り、対応するヘッドライト照明を提供するように構成された調整可能なレンズアレイと、を備える、車両。
【請求項2】
前記光源と前記調整可能なレンズアレイとの間に、前記光源からの光が前記調整可能なレンズアレイによって受け取られる前に前記光源からの前記光を平行にする光コリメータを更に備え、前記調整可能なレンズアレイは、レンズ素子のアレイと、対応する光変調素子のアレイと、を備える、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記光源は、前記光変調素子のアレイに対して対応する調整が行われている間に連続してパルス化されるように構成された異なる色の発光デバイスを備える、請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記光変調素子のアレイは、ゲストホスト光変調素子の2次元アレイを含む、請求項2に記載の車両。
【請求項5】
前記光変調素子のアレイは、液晶光変調素子の2次元アレイを含む、請求項2に記載の車両。
【請求項6】
前記光変調素子のアレイは、エレクトロクロミック光変調素子の2次元アレイを含む、請求項2に記載の車両。
【請求項7】
前記調整可能なレンズアレイは、
レンズ素子の第1のアレイと、
レンズ素子の第2のアレイと、
光変調素子のアレイであって、前記光変調素子の各々が、前記レンズ素子の第1のアレイ内の前記レンズ素子のうちのそれぞれの1つと、前記レンズ素子の第2のアレイ内の前記レンズ素子のうちのそれぞれの1つとの間に位置する、光変調素子のアレイと、を備える、請求項1に記載の車両。
【請求項8】
開口部を有するマスクを更に備え、前記開口部の各々は、前記光変調素子のそれぞれの1つと位置合わせされている、請求項7に記載の車両。
【請求項9】
前記調整可能なレンズアレイは、光変調素子のアレイを含む、請求項1に記載の車両。
【請求項10】
前記光源は、白色光源を含む、請求項1に記載の車両。
【請求項11】
前記光源は、様々な色の複数の発光デバイスを含む、請求項1に記載の車両。
【請求項12】
前記調整可能なレンズアレイは、光変調素子の複数の層を備え、前記光変調素子の各々は、異なる色の光に対する光透過を修正するように構成されている、請求項1に記載の車両。
【請求項13】
前記調整可能なレンズアレイは、屈折率の調整可能なレンズ素子のアレイを含む、請求項1に記載の車両。
【請求項14】
前記屈折率の調整可能なレンズ素子は、電気的に調整可能な焦点距離によって特徴付けられている、請求項13に記載の車両。
【請求項15】
前記ヘッドライト照明は照明パターンを有し、前記車両は、前記調整可能なレンズアレイを制御して、前記ヘッドライト照明の前記照明パターンを調整するように構成された制御回路を更に備える、請求項1に記載の車両。
【請求項16】
車両用ライトであって、
光源と、
前記光源から光を受け取り、対応する平行光を提供するように構成された光コリメータと、
前記コリメートされた光を受け取り、対応する車両照明を調整可能なパターンで提供するように構成された調整可能なレンズアレイと、を備え、前記調整可能なレンズアレイは、
第1のレンズアレイと、
各々が前記第1のレンズアレイ内のレンズのそれぞれの1つと位置合わせされた第2のレンズアレイと、
電気的に調整可能な光変調素子のアレイであって、前記光変調素子の各々が、前記第1のアレイ内の前記レンズのうちの1つと前記第2のアレイ内の前記レンズのうちのそれぞれの1つとの間にある、光変調素子のアレイと、を備える、車両用ライト。
【請求項17】
前記電気的に調整可能な光変調素子のアレイは、ゲストホスト光変調素子、液晶光変調素子、及びエレクトロクロミック光変調素子からなる群から選択される電気的に調整可能な光変調素子を含む、請求項16に記載の車両用ライト。
【請求項18】
車両用ライトであって、
光源と、
前記光源からの光を受け取るように構成された光コリメータと、
開口部のアレイを有するマスクと、
前記開口部のアレイ内の前記開口部のそれぞれの1つと各々が位置合わせされたレンズ素子の2次元アレイであって、前記開口部を通じて前記光コリメータからの平行光を集束させるように構成されている、レンズ素子の2次元アレイと、
電気的に調整可能な光変調素子のアレイであって、前記光変調素子の各々が前記開口部のそれぞれの1つと位置合わせされ、前記開口部を通過する光に対して調整可能な光透過量を示すように構成されている、電気的に調整可能な光変調素子のアレイと、を備える、車両用ライト。
【請求項19】
レンズ素子の追加のアレイを更に備え、前記レンズ素子の各々が、前記電気的に調整可能な光変調素子のうちの対応する1つからの光を受け取る、請求項18に記載の車両用ライト。
【請求項20】
前記光源は、赤外光発光ダイオードを含む、請求項18に記載の車両用ライト。
【国際調査報告】