(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】時間最適化された軌道を決定する方法と装置
(51)【国際特許分類】
B25J 9/10 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
B25J9/10 A
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024501163
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 AT2022060244
(87)【国際公開番号】W WO2023279132
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524010170
【氏名又は名称】シュティバ アーエムエス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ペーター シュタウファー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル パウディッツ
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707BS15
3C707LS15
3C707LU02
3C707LU04
(57)【要約】
本発明は、産業用ロボットが経路上で動作パラメータによって指定された動作を行うために、動作開始前に時間最適化された軌道を決定する方法、装置及びコンピュータプログラム製品に関する。方法は、軌道を1つ以上の部分経路に分割することと、各部分経路に対する時間最適化された軌道を計算するステップ、全ての部分経路に対する時間最適化された軌道を組み合わせるステップ、所定の制限値を超えていないか及び最速の動作が発見されたかチェックするステップ並びに1つ以上の動作パラメータを変化させるステップとを所定回数繰り返し実行することと、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用ロボット(100、200)が、少なくとも1つの始点(121、1010)と1つの終点(122、1040)と少なくとも1つの経路タイプとを含む経路パラメータによって定義された経路上で、動作パラメータによって指定された動作を行うために、所定の制限値を遵守しながら、動作開始前に時間最適化された軌道を決定するコンピュータ実装方法(1500、1600)であって、
前記経路を1つ以上の部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410;142、143、241、243、910、1420)に分割することと、
前記部分経路の少なくとも1つの経路タイプが空間において幾何学的に定義された部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410)である場合は、空間において幾何学的に定義された部分経路(141、141、144、242、1020、1030、1050、1410)を計算するための1つ以上の方法に従い、所定の制限値と該当する経路パラメータ及び動作パラメータを考慮して、空間において幾何学的に定義された部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410)の各々に対する時間最適化された軌道を計算し(1530、1630)、前記各部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410)に対する最良の移動結果を選択するステップ、
前記部分経路の少なくとも1つの経路タイプが空間において幾何学的に自由な部分経路(142、143、241、243、910、1420)である場合は、空間において幾何学的に自由な部分経路を計算するための1つ以上の方法に従い、所定の制限値と該当する経路パラメータ及び動作パラメータを考慮して、空間において幾何学的に自由な部分経路(142、143、241、243、910、1420)の各々に対する時間最適化された軌道を計算し(1540、1640)、前記各部分経路(142、143、241、243、910、1420)に対する最良の移動結果を選択するステップ、
全ての前記部分経路に対する時間最適化された軌道を全体軌道に組み合わせる(1550、1650)ステップ、
前記全体軌道が所定の制限を超えず、経路に沿ってこれまでで最速の動作を可能にするかチェックする(1550、1650)ステップ、並びに、
1つ以上の動作パラメータを変化させる(1520、1620)ステップを所定回数繰り返し実行することと、
所定回数の繰り返しが完了したら経路に沿って動作するための時間最適化された軌道として最速の全体軌道を出力することと、
を備える方法。
【請求項2】
空間において幾何学的に定義された部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410)を計算(1530、1630)するための方法は、時間範囲において変位パラメータ(1051、1052)を最適化するための方法及び速度範囲において変位パラメータ(1051、1052)を最適化するための方法からなる群から選択される、及び/又は
空間において幾何学的に自由な部分経路(142、143、241、243、910、1420)を計算する(1540、1640)ための方法は、バン・バン軌道、特に加速度における7相軌道及び平均値フィルタリングされた矩形軌道、並びに、同期軌道、特にスプライン経路及び多項式軌道からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410;142、143、241、243、910、1420)は、
空間において幾何学的に定義された少なくとも1つの部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410)、
空間において幾何学的に自由な少なくとも1つの部分経路(142、143、241、243、910、1420)、及び/又は、
空間において幾何学的に定義された少なくとも1つの部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410)と、空間において幾何学的に自由な少なくとも1つの部分経路(142、143、241、243、910、1420)を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記経路パラメータは、2つの部分経路の接続点又は1つ以上の経路内の点を表す格子点(131、132、133、213、232、1210、1310)を更に含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記動作パラメータは、速度値及び/又は加速度値を含む、及び/又は、前記動作パラメータは、格子点(131、132、133、213、232、1210、1310)、始点(121、1010)及び/又は終点(122、1040)で適用される値を含む、及び/又は、
前記経路パラメータは、1つ以上の格子点(131、132、133、213、232、1210、1310)、部分経路の別の経路タイプ及び部分経路上の最大速度を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法のステップを所定回数繰り返し実行することを2回実行することを備え、
1回目の実行では、1つ以上の動作パラメータを変化させる(1520)際に、速度の動作パラメータのみを変化させ、
2回目の実行では、1つ以上の動作パラメータを変化させる(1620)際に、加速度と速度の動作パラメータを変化させる、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記制限値は、産業用ロボット(100、200)の1つ以上の関節及び/又は駆動軸において超えてはならない又は下回ってはならない物理的制限を記述する、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記制限値は、以下の値:位置、加速度、ジャーク、軸ごとの軸速度、軸ごとのモータートルク、及び経路速度のうちの1つ以上を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
産業用ロボット(100、200)が、少なくとも1つの始点(121、1010)と1つの終点(122、1040)と少なくとも1つの経路タイプとを含む経路パラメータによって定義された経路上で、動作パラメータによって指定された動作を行うために、所定の制限値を遵守しながら、動作開始前に時間最適化された軌道を決定するための装置、好ましくはコンピュータであって、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法を実施するように設計されており、前記装置は計算ユニットを有しており、前記計算ユニットは、
前記経路を1つ以上の部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410;142、 143、 241、 243、 910、 1420) に分割し、
空間において幾何学的に定義された部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410)及び/又は空間において幾何学的に自由な部分経路(142、143、241、243、910、1420)を計算する方法を使用して、所定の制限値と該当する経路パラメータ及び動作パラメータを考慮して、前記各部分経路に対する時間最適化された軌道を計算し、
前記各部分経路に対する最良の結果を選択し、
全ての前記部分経路に対する時間最適化された軌道を全体軌道に組み合わせ、
全体軌道又は部分経路の軌道が所定の制限を超えているかチェックし、
求めた全体軌道が経路に沿ってこれまでで最速の動作を可能にするか確認し、
1つ以上の動作パラメータを変化させ、
経路に沿って動作するための時間最適化された軌道として最速の全体軌道を出力する、ように設計された、装置。
【請求項10】
データ処理装置用のプログラムを有するコンピュータプログラム製品であって、前記プログラムが前記データ処理装置上で実行されると、請求項1から8のいずれか1項に記載のステップを実行するソフトウェアコードセクションを含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項11】
前記コンピュータプログラム製品は、前記ソフトウェアコードセクションが記憶されたコンピュータ可読媒体を含み、前記プログラムは前記データ処理装置の内部メモリに直接ロード可能である、請求項10に記載のコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の制限値を遵守しながら産業用ロボットに対する時間最適化された軌道を決定することに関する。
【0002】
産業用ロボットは、直列運動学と平行運動学に分類され、これらは種々の数の駆動部若しくは関節を有し、いずれも回転型と直動型がある。このようなロボットは通常、エンドエフェクタの(デカルト)空間内の特徴的な点、たいていツール・センター・ポイント(TCP))、例えば、工具の中心が特定の経路を走行するように動作を実行する。しかも、種々の作業手順を実行する、例えば、それぞれ対応するストックから複数の部品を収集するロボットがあれば、加工タスクなどで常に同じ動作を実行するロボットもある。
【0003】
通常のVDIガイドラインによれば、産業用ロボットは「(...)複数の軸を有し、動作の順序及び距離若しくは角度が自由に(即ち機械的介入なしで)プログラム可能であり、場合によりセンサー誘導される汎用的に使用可能な自動動作機械。グリッパー、工具、その他の製造手段を装備することができ、操作タスク及び/又は製造タスクを実行できる」と定義されている。
【0004】
原則として効率と経済性の観点からできるだけ高速な処理が望まれるため、可能な限り最適な、即ち時間最適化された経路を走行することが望ましい。
【0005】
走行すべき経路には、空間において幾何学的に定義された経路と、空間において幾何学的に自由な経路の2種類ある。空間において幾何学的に定義された経路とは、一般に始点から終点に至る直線や円弧などの経路である。その際、境界点に加えて、空間内の経路の幾何学的形状もあらかじめ定義されている。このような経路は通常、CP経路(英語:continuous path)と呼ばれる。
【0006】
別の動作タイプにPTP経路(英語:point to point)があり、たいてい軸座標の開始点と目標点のみが定義され、TCPの空間内におけるデカルト経路そのものは定義されない。この動作の特徴は、目標点にできるだけ早く到達できることである。PTP経路は、境界点以外にも通過しなければならない格子点も有することがある。
【0007】
CPとPTPのいずれの経路タイプも、特定の制限値などの基本条件に従うが、これらはたいていロボット及び/又はペイロード若しくは工具を保護する働きをする。一方では、ロボットは、例えば、障害物や他のロボットの動作範囲を避けるために、特定の範囲ないでのみ動作することができ、他方では超えてはならないロボットの機械的負荷制限が存在する。接着や溶接の際の一定速度など、プロセス自体も制限値を必要とすることがある。走行すべき経路の精度(フライス加工など)に関しても、ダイナミクスに制限がある。
【0008】
従来技術により、例えば、速度データや加速度データなどの動作パラメータに基づいてロボット制御装置で経路を計算する方法が知られている。この場合は、たいてい最小移動時間に従って最適な結果を達成することよりも、計算の速度の方が重要である。他方、CP経路とPTP経路をそれぞれ個別に計算する方法が知られている。
【0009】
従来は、経路点(例えば、格子点)の変化に対応できるようにするために(例えば、ピックアップされる部品の位置が変化するので把持位置を変える)、通過すべき全体経路の各サンプリング時点における全ての関節角度の完全なリストという意味では、動作開始時に経路を完全に計算しない。これは「オンライン」計算法とも呼ばれる。一般的には、先行ポインタとプログラム実行ポインタのコンセプトが使用される。しかしこれは計算のために(実行時間の意味で)非常に高速な方法を利用できるようにしなければならないという大きな欠点がある。その結果、およそ与えられた計算時間内で結果を出すために準最適解に依拠せざるを得い。
【0010】
CP経路を決定する際は、通常は速度と加速度のみが最適化され、特別な場合には予想されるモータートルク(ロボットのダイナミクスモデルを介して表現できる)も最適化されるので、問題は最適化関数に関して数学的に凸のままであり、したがって計算が容易である。任意選択で、変位パラメータσの様々なフィルタリング(平均値フィルター、ベッセルフィルター又はこれに類するもの)を使用して、経路を「スムージング」することができ、これによりジャーク(加速度の時間微分)をある程度考慮して制限することができる。
【0011】
複合PTP経路、したがって通過すべき複数の格子点を有する経路の場合、又は一般的にCP経路とPTP経路を組み合わせる場合、従来はブレンドが使用されている。その際に全てのサブルートが個々に(速度がゼロであるという境界条件で)計算され、次にこれらのサブルートを離れることができる領域のデータ(例えば、ブレンド球の半径)によって中間部分(たいてい別のPTP経路)が挿入される。そうすることによって経路は計算しやすくなるが、最適ではなくなる。これはフライ・バイ・ポイントとも呼ばれる。
【0012】
したがって既知の方法の欠点は、結果が効率的でなく、このような混合経路を決定するために、移動時間という意味で時間最適化された移動が行われないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、従来技術の欠点を克服し、経路計画のための改良された方法、又は少なくとも代替となる方法を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題は、特許請求の範囲に記載された方法及び装置によって解決される。
【0015】
本発明をよりよく理解するために、以下の図を用いてより詳細に説明する。図は、それぞれ著しく簡略化された模式的表現で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、6軸多関節アームロボットにおける種々の経路セクションと格子点を有する経路を示す図である。
【
図2】
図2は、スカラロボットにおける種々の経路セクションを有する経路を示す図である。
【
図3】
図3は、7相軌道を用いて計算した軌道の例である。
【
図4】
図4は、矩形加速度曲線を有する軌道への移動平均値フィルターの適用を示す図である。
【
図5A】
図5Aは、7相軌道と移動平均値フィルターの適用の比較を示す図である。
【
図5B】
図5Bは、7相軌道と移動平均値フィルターの適用の比較を示す図である。
【
図6】
図6は、部分ごとに定義された3次多項式によって決定された経路の例示的なグラフである。
【
図7】
図7は、5次多項式で定義された経路による始点と終点の接続を示す図である。
【
図8】
図8は、7相軌道と同期軌道を用いてPTP経路を計算するためのフローチャートである。
【
図9】
図9は、位置制限のあるPTP経路の例である。
【
図10】
図10は、複合経路に基づく変位パラメータの座標xとyによるグラフである。
【
図11】
図11は、求めた速度と加速度とジャークを変位パラメータの関数として示すグラフである。
【
図12】
図12は、変位パラメータと時間の関係を示すグラフである。
【
図13】
図13は、変位パラメータσを用いたパラメータ化による相空間における最適化問題のグラフである。
【
図14】
図14は、格子点を有するCP経路とPTP経路の組み合わせを示す図である。
【
図17】
図17は、経路のジオメトリを適合させる際の方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
最初に確認しておくと、記載された異なる実施形態において同じ部材には同じ参照符号若しくは同じ部材名称を付す。この場合、説明全体に含まれている開示内容は同じ参照符号若しくは同じ部材名称を有する同じ部材に転用することができる。説明の中で選択された位置を表す言葉、例えば、上、下、横なども直接説明されている表示された図を基準としており、これらの位置を表す言葉は位置が変化した場合には新しい位置に準用される。
【0018】
図1は、6軸多関節アームロボット100における種々の経路セクションと格子点を有する経路を示す。ここでロボット100は、TCP110を始点121から終点122まで移動することになっている。その際に格子点131、132、133を通過する必要がある。始点と終点は、常に格子点として見なすこと若しくは扱うこともできる。
【0019】
格子点131、132、133によって、経路は部分経路141、142、143、144に分割できる。
【0020】
分割によって得られる部分経路は、例えば、ユーザーによって事前に定義することができる。即ち、それぞれ2つの格子点間の経路は、固有の部分経路として扱われるべきである。これは通常、次のように処理される。即ち、PTPセクションが相次いでいる場合は、常に2つの格子点の間に部分経路が設定される。CPセクションの場合は、部分経路は、直接相次いでいてCPタイプ(つまり「PTPによる中断なし」)として宣言された格子点によって定義される。
【0021】
しかしまた、分割は、単に開始点と目標点、並びに環境境界などその他の条件を指定することによって自動的に決定することもできる。したがって格子点は、PTP経路の場合のように部分経路間の追加の分離と見なすこともでき、又はCP部分経路上の中間点の場合のように、分割において無視することもできる。
【0022】
図1は、格子点が4つの部分経路に分離する例を示している。部分経路は、事前にCPタイプ又はPTPタイプで分類することができるが、経路を自動的に分析して、対応する部分経路にCPタイプ又はPTPタイプを割り当てることも可能である。部分経路141と144は、それぞれCPタイプの部分経路、ここでは特に直線であり、部分経路142と143は、それぞれPTPタイプの部分経路である。
【0023】
図1及び一部は他の図にも示されている経路は、本発明による方法の結果、特にPTP経路のデカルト・ジオメトリを表していることに留意すべきである。したがってロボットが走行する軌道は、事前に経路パラメータによって規定される。これらの経路パラメータは、格子点に関連する情報、即ち始点、終点、その他の格子点に関する情報を含むことができる。ここで留意すべきは、始点と終点は格子点として機能することもでき、又は格子点として解釈できることである。これらの他に部分経路の経路タイプも含めることができる。そして、経路パラメータは1つ以上の部分経路についても、それそれの部分経路を走行するための最大速度を含むことが可能である。経路パラメータに加えて、後で説明する許容ダイナミクスの制限値なども既知である。
【0024】
図2は、スカラロボット200における種々の経路セクションを有する経路を示す。スカラロボット(スカラは英語のSelective Compliance Assembly Robot Armの略称である)は、構造が人間の腕に似ている産業用ロボットの一種である。ロボット200のTCP210は、ここでは模式的にしか示されていないが、格子点231と232で部分経路241、242、及び243に分解できる経路上を走行する。ここでは、部分経路241及び243はPTPタイプであり、部分経路242はCPタイプである。PTP経路241及び243は、
図2では空間において予想されるジオメトリの意味で模式的にのみ示されている。
【0025】
更に、
図1及び
図2に示した6軸多関節アームロボットとスカラロボットは、可能な全ての産業用ロボットの例に過ぎないことに留意すべきである。本発明の方法は、本明細書で説明するように、経路計画の対象となる全ての産業用ロボットに使用することができる。その他の例として、デルタロボット及びガントリー駆動機構がある。
【0026】
本方法の課題は、産業用ロボット100、200のための時間最適化された動作経路を利用できるようにすることである。これは数学的に品質関数Jを用いた最適化法として表現される。
【数1】
【0027】
ここで、tは時間、TEは時間間隔若しくは達成された終了時間である。
【0028】
最適化の際には、各軸iの境界条件(ダイナミクスにおける制限値、リミットとも呼ばれ、min若しくはmaxで宣言される)若しくは付帯条件を遵守しなければならない。
【数2】
【0029】
ここで、qは軸角度、関節角度、ロボット座標若しくはロボット軸位置(回転と並進の両方が可能)、
【数3】
は速度、
【数4】
は加速度、
【数5】
はジャーク、τはモータートルク若しくは若干のロボットでは駆動力、sは経路距離である。
【0030】
これは、本方法がロボット軸ごとに関節空間における制限値を、位置レベル(但しPTPルートのみ。CPルートではオペレータの入力若しくはその結果のジオメトリが適用される)、速度(位置の時間微分)、加速度(速度の時間微分)に関して、及びジャーク(加速度の時間微分)においても満たしていることを意味する。
【0031】
CPルートにおいては、必要に応じて経路速度
【数6】
を追加的に制限することができ、必要があれば経路上の他の制限(経路加速度など)も設けることができる。更に、ロボットのダイナミクスモデル、即ち数学的モデルが存在する場合は、予想されるモータートルクτ
iを制限することも可能である。
【0032】
実際には、計算時間(つまり結果を出すためにプロセスが要する時間)も非常に重要である。有利には、運転開始時に計算は数ミリ秒ないし数秒を超えるべきではない。
【0033】
本方法は、完全に定義された経路の軌道を計算し、軌道は動作開始時に提供される。これは「オフライン」手法とも呼ばれる。このために端点及び格子点、経路タイプ、軸制限値、軌道制限値、動作パラメータ又は運動パラメータ、並びにサンプリング時間に関する情報を入力値として使用することができる。この場合、出力値は時間間隔(サンプリング時間)ごとの関節角度qi(t)であることができる。
【0034】
結果は、産業用ロボット100、200の(それぞれ関節若しくは軸の)関節角度が時間間隔ごとに指示されたマトリックス(又は表又はリスト)の形で表現することができる。この情報はロボット制御装置に提供される。この表は運動制御の意味でモーターベースの周期的な目標値指定として処理される。
【0035】
これにより、始点から終点への移動は、関連する関節角度及び対応する時点が保存されているマトリックスによって定義される。したがって、この表の周期的な目標値指定は、与えられた付帯条件を遵守した軌道の走行を実現する。
【0036】
動作パラメータ若しくは運動パラメータは、ロボット100、200のアーム長、質量、慣性、変速機情報、及び距離、質量、慣性などの工具パラメータなどのデータも含むことができる。
【0037】
上に示した計算法では、直接運動学とも呼ばれる順変換、又は逆運動学とも呼ばれる逆変換を使用することができる。
【0038】
順変換p=T(q)は、ポーズpの計算を関節角度q(ロボット座標)の関数として記述する。この変換は、直列運動学であれば数学的な意味で一義的である。平行運動学の場合、これは一般的に言うことはできない。
【0039】
逆変換q=T-1(p)は、関節角度qの計算を世界座標(即ちポーズp)の関数として記述する。この変換は、直列運動学については数学的な意味で一義的ではなく、種々の解から有効な解を決定するためには一般的に追加のパラメータを必要とする。平行運動学の場合は、しばしばより簡単に解ける問題につながる。関節座標はベクトルチェーンを介し三角関数を用いて決定することができる。
【0040】
より複雑な産業用ロボットの場合、(慣性フィードバック:コリオリ力、遠心力、摩擦力などによる)モータートルク制限は、加速制限若しくは減速制限によって十分表現することはできない。この要求を満たすためには、軸の位置q、速度
【数7】
、加速度
【数8】
に応じてモータートルクτを記述する運動学の数学的モデルが必要である。一般に、このようなモデルは次のような非線形形式で与えられる(M:質量マトリックス、C:コリオリ力と遠心力に関するマトリックス、F:クーロン摩擦のマトリックス、G:重量力及びその他の非線形性のベクトル)。
【数9】
【0041】
このモデルは多くのパラメータ(運動学的パラメータと力学的パラメータ)に依存しており、その全てが同定できるわけではない。ここではモデルをいわゆるベース・パラメータ表現に変換し、次いで同定可能なパラメータと同定不可能なパラメータに分解できるようにすることが必要である。更に、実際のパラメータを決定するために、同定走行を行う必要がある。ベース・パラメータ表現は以下の通りである(ここで、θは情報マトリックス、pはパラメータ・ベクトルである)。
【数10】
【0042】
これは従来、耐荷重計算若しくは実現可能性の計算で予想されるモータートルクとして使用されている。
【0043】
ポイント・ツー・ポイント経路(PTP経路)では、開始位置と終了位置は関節レベル(即ちロボット軸位置)で軸ごとに軌道(経路)を介して接続される。このことは逆に、(TCPにおける)空間内の幾何学的経路は計算において何の関連性もなく、したがってTCP110、210におけるジオメトリは軸のダイナミクス(速度と加速度とジャークの制限値/リミット)に起因して暗黙的に生じることを意味する。
【0044】
計算には種々の(軸ごとの)個別軌道が使用され、最も遅い移動時間に最適に同期させることができる。
【0045】
PTP経路における個別軌道として、又はCP経路における変位パラメータに対する軌道として使用できる7相軌道では、矩形形状のジャークが仮定される。他の記述的な経路パラメータ(加速度、速度、位置など)との関係は積分によって与えられる。それゆえ、このような軌道も、いわゆる「バン・バン」(Bang-Bang)軌道の群に入る。なぜなら、この群の軌道におけるジャークは、3つの値、即ち0、最大値、最小値しか取ることができないからである。ジャークの値が0の場合、加速度又は速度はそれに応じて最大となる。したがって、ジャークを確定する際に境界条件を考慮するならば、他の全ての経路パラメータ(例えば、セクションの持続時間など)を計算できることを意味する。
【0046】
7相軌道は、速度リミット、加速度リミット、及びジャークを制限するために、時間ベクトルにおいて可能な7つの相若しくはセクションからなる。この三重微分可能な軌道は、これらの制限により移動時間TEで可能な限り最速の軌道となる。
【0047】
図3は、7相軌道を用いて計算された軌道の例である。ジャークの選択と境界条件に基づき、積分により加速度と速度と位置が生じる。
図3で、軸は距離若しくは位置を表すs、速度を表すv、加速度を表すa、ジャークを表すj、時間を表すtで表記されている。これらの表記は、別途説明のない限り他の図でも適用される。
【0048】
位置の推移は左上に示されている。左下に速度の推移を示す。加速度曲線を右上に示す。ジャークの推移は右下に示されている。全ての部分において、横軸に時間がプロットされて、区画に分割されている。図では、これらの区画は等しい大きさ、即ち等距離であるが、これは分かりやすくするためであり、一般的にこのようなことはない。開始時点と終了時点が同じであるために、区画が見えないことすらある。
【0049】
各区画においていずれか1つの制限値(即ち速度と加速度とジャーク)が許容最大値に達していることが分かる。この許容最大値は、それぞれの図で、vmax、amax(縦軸に正と負の値がプロットされている)、及びjmax(縦軸に正と負の値がプロットされている)で見ることができる。
【0050】
この場合、始点と終点に加えて、速度境界条件(vS、vE)と加速度境界条件(aS、aE)も考慮される、ここで、インデックスSは始点における条件を表し、インデックスEは終点における条件を表す。
【0051】
特に境界条件(vS、vE、aS、aEの1つが0以外)で経路Tsync=k・TE(k>1)を伸長する場合、解が存在することは数学的に保証されていない。このような伸長の計算には種々の方法がある。
【0052】
代替的に、加速度において矩形経路を仮定し、続いて(時間を基準とする)フィルター幅tfiltを有する移動平均値フィルターを重ねることができ、これによりジャーク制限を考慮することができる。
【0053】
代替的に、軌道はシノイドプロファイル(sinoid profile)からなることもできる。別の代替例も考えられる。
【0054】
図4は、矩形加速度へのフィルターの適用を示す。参照符号410は、フィルターのインパルス応答を表し、その形状は加速度に決定的に影響する。この場合は、単純な平均値フィルターの応答として表現されている。
図4では、それぞれの軸に時間tと加速度aが示されている。
【0055】
7相軌道と、移動平均値フィルターを適用した矩形波形を比較すると、これらは
図5Aと
図5Bに見られるように多くの領域で同じである。
【0056】
図5Aと
図5Bは、それぞれ7相軌道とフィルター適用の比較を示している。
図5Aでは速度制限が有効であるが、
図5Bでは制限に達していない。更に、
図5Bでは速度制限に達していないため、7相軌道が「5相」軌道に減退していることに留意すべきである。
【0057】
ここでは、位置の推移は左上に示されている。左下にそれぞれ速度曲線を示す。右上にはそれぞれ加速度曲線が示されている。右下にそれぞれジャークの推移を示す。
【0058】
各々のグラフで、加速度に矩形を有する元の軌道を見ることができる。元の軌道は連続した線(-)で示されている。更に、フィルター適用後の軌道も示されている。これは線と点が交互に並んだ線(---)で示されている。最後に示す軌道は7相軌道である。この軌道は点線(......)で示されている。特に位置と速度のグラフでは、フィルタリングされた軌道と7相軌道の線は一致している。
図5Aに示す加速度とジャークのグラフにおいても同様である。
図5Bに示す加速度とジャークのグラフにおいてのみ、これら2つの線は、少なくとも部分的に互いに異なる互いに推移を示している。
【0059】
フィルターを適用した経路の利点は、計算がはるかに容易であり、与えられた境界条件(v
S、v
E、a
S、a
E)で経路を所望の時間に伸長する場合でも、常に保証された結果が得られることである。欠点は、制限値の特定の組み合わせいのいて(速度制限に達しない場合)、ジャークが(
図5B右下に示すように)十分に制限されないことである。即ち、ジャークは要求された値より2倍大きい。
【0060】
代替的に、速度プロファイル(例えば、矩形プロファイルとして実行される)を2回平均値フィルタリングしても同様の結果が得られる。
【0061】
スプライン経路は、例えば、7相が計算できない場合や、フィルタリングされた加速度矩形プロファイルがダイナミクス制限値を満たさない場合に、特に同期に使用することができる。スプライン又は多項式列の経路は、3次スプラインをベースとして、
図6に示すように3次多項式を有する4つのサブセクションからなる。これは、位置レベルでの3次多項式の例示的な表現を示している。位置は時間的に4つの部分に分割され、始点s
Sと終点s
Eを有する。
【0062】
2点を動的に結ぶ考えられる限り最も単純な軌道は、多項式軌道を生成することによって得られる。本発明では、角度と速度と加速度の他にジャークも考慮するため、a
iを多項式係数とする5次多項式を使用する。
【数11】
【0063】
図7は、始点と終点を5次多項式で結んだものである。対応する速度は1次微分によって得られる。この表現では、右方向に時間tがプロットされ、上方向に位置s又は速度vがプロットされている。
【0064】
この場合は制限値若しくはリミットは事前に考慮できないが、この軌道は動的に最もスムーズであり、即ちジャークが最小化されている。それゆえ、この軌道は特に同期化に使用される。これは「最小ジャーク軌道」としても知られている。
【0065】
与えられた境界条件と制限値でPTP経路を計算する方法を
図8に示す。ここでは、軸ごとに経路の始点と終点における境界条件、特にそれぞれの速度と加速度を考慮する必要がある。
【0066】
図8のステップ801で、例えば、ルートが始点から終点に至るべきであるというデータ、及び始点と終点における境界条件の入力から始まる。802は、例えば、軸ごとの最大加速度、最大速度、最大ジャークなどの制限値を表す。
【0067】
両者は803で処理されて、軸ごとに7相軌道が決定される。7相軌道の代わりに、軌道を計算するための他の手法、通常はバン・バン軌道、特に加速度における平均値フィルタリングされた矩形軌道を用いることができる。
【0068】
804では、最も遅い軸が求められ、若しくは暫定的なPTP移動時間Tsyncが決定される。
【0069】
次にステップ805では、残りの全ての軸が、Tsyncに同期化(伸張)する意味で別の7相軌道を介して伸張される。ここでも、上記のように他の軌道の1つを使用することができる。
【0070】
ステップ806では、同期化が首尾よく計算できたかどうかをチェックする。成功した場合はステップ808に進み、失敗した場合はステップ808に進む前にステップ807でスプライン経路が計算される。ここでも、任意の同期軌道を使用できることにも留意すべきである。
【0071】
ステップ808では、制限値が満たされているかどうかをチェックする。特に、PTP経路で軸位置制限値が所定の範囲内にあるか、軸ごとの加速度と速度とジャークが制限値内にあるかどうかをチェックする。
【0072】
ステップ808で、計算された経路が、動作時に値が制限値内に留まらないことが確認されたら、ステップ809で、相応の動作パラメータを用いるこの経路の計算が中止される。
【0073】
図8に示す方法は、動作パラメータの新しい値で再度開始することができる。
【0074】
ステップ808で制限値が満たされていることが確認されたら、ステップ810でダイナミクスの低減を実行することができる。ダイナミクス低減は、個々の動作の交換(例えば、加速度、スプライン、多項式経路などにおける平均値フィルタリングされた矩形、及び位置、速度、加速度、及びジャークの制限値が軸ごとに満たされているか再度チェックすること)によって達成される。
【0075】
次に、ステップ811で、産業用ロボット100、200の各モーターのモータートルク制限値が遵守されるかどうかをチェックする。遵守されていない場合、ステップ812で制限値が一時的に低減される。即ち、ダイナミクスモデルに基づいて低減されなければならない制限値(vmax及び/又はamax)が求められ、方法は新しい制限値で再びステップ803にジャンプし、最初に確定された制限値802の代わりに低減された制限値が使用される。
【0076】
ステップ811でモータートルク制限が満たされていることが確認された場合は、ステップ813で、本発明の枠内で全体経路の部分経路となり得るPTP経路の計算が終了する。
【0077】
ここでは、各軸若しくは関節の位置制限値は、ダイナミクスの低減により間接的にのみ考慮されることに留意すべきである。この方法により、TCPも(
図8には示されていない空間座標の拡張チェックを介して)ある作業範囲内で制限することができる。
【0078】
図9は、zに位置制限920を設けたPTP経路910のポータル操作(x、y、z方向に移動可能)の例を示している。この位置の制限値は、始点若しくは終点で速度と加速度、即ちv
S、a
S、v
E、a
Eが適合された場合にのみ遵守することができる。
【0079】
計算ステップの順序がサブステップの計算時間に基づきこの形で最適であるため、示された手順は特に有利である。
【0080】
境界条件が存在しない場合、即ち始点若しくは終点における速度及び加速度がゼロである場合(vS、vE、aS、aE=0)、必ず少なくとも1つの解が存在し、中止ステップはアクティブではない(即ちサブステップ809はアクティブではない)ことに留意すべきである。
【0081】
以下に、少なくとも1つの部分経路からなり、この部分経路がCP経路、PTP経路、又はそれらの組み合わせのいずれかである経路に対して、時間最適化された軌道を決定するために使用できる方法について詳述する。
【0082】
これらの方法において、中止基準は規定された反復回数によって決定される。以下、v反復とも呼ばれる速度を用いた反復方法を以下に説明する。この方法では、速度配列viterはn個の速度遷移でviter規定される(例:viter=[vmax,1,...,vmax,n]/Maxlter)。可能な速度がテストされ、全体経路で最短の移動時間を生成するエントリが「最良の」速度として使用される。
【0083】
例えば、v反復で少なくとも1つの遷移がある場合、以下の擬似コードを使用することができる。
【表1】
【0084】
ここで、準最適解しか発見できないことは全くあり得る。なぜなら、本来各速度遷移は他の全ての遷移と組み合わされなければならないからである(つまり全ての可能な解若しくはそれらの組み合わせを計算して解く)。しかし、それにもかかわらず速度を徐々に増加することにより、最適解を非常によく決定できることが示された。
【0085】
空間(例えば、世界座標)において幾何学的に定義された経路、つまりCP経路は、直線、円経路、スプライン経路、又は他の数学的関数(例えば、螺旋)、又はこれらの組み合わせであることができる。CP経路を辿る最適動作を計算するための最初のステップは、変位パラメータによるパラメータ化である。即ち、経路と関節角度のダイナミクス全体が変位パラメータの関数として定式化される。
【0086】
図10は、2本の直線と1本のスプライン曲線からなる世界座標x及びyにおける経路に基づく変位パラメータの表現を示す。経路上の位置は変位パラメータσによって一義的に定義されている。1010はが始点、1040は終点である。
【0087】
変位パラメータσは、実質的に経路距離から計算される。直線1020、1030上では、この変位パラメータは経路距離に正確に対応しており。簡略化のため、終値1040(目標)を1と定義することができる。円又は円の部分では、変位パラメータは角度であり、スプライン1050上では、格子点の直線接続1051、1052におけるルートセクションである。
【0088】
変位パラメータが定義されていると、
図11に見られるように、通過すべきルートの全ジオメトリを位置と向きでパラメータ化することができる。
図11は、左上に世界座標におけるxとyの位置を変位パラメータに対してプロットして示している。軌道の完全なパラメータ化は、変位パラメータに従って微分を繰り返すことによって得られる。右上には速度が変位パラメータの1次微分として、左下には加速度が変位パラメータの2次微分として、右下にはジャークが変位パラメータの3次微分として示されている。この場合、
【数12】
【0089】
この関係は、変換(直接運動学と間接運動学)を用いて更に進めることができる。ここで、既にポーズp=p(σ(t))の依存関係が、関節角度q=q(σ(t))の依存関係と同様に使用される。
【数13】
【0090】
ここで、関節速度とポーズの微分との関係を記述するヤコビ行列Jが使用される。
【数14】
【0091】
この関係は線形であり、ロボット工学では一般的に線形依存関係が該当するため重要な要素をなす。
【0092】
さて、関節角度は変位パラメータを介して、したがって時間ベクトルを介して定式化できる。
【数15】
【0093】
CP経路の場合、一方では時間範囲における方法を使用することができ、この方法はまたもや反復法であり、有効な開始解若しくは初期経路σStart(t)から、ダイナミクス制限を遵守しながら、それ以上の時間改善が不可能になるまで徐々に速度を増加する。この速度増加は、時間間隔T(i)を特定の時間デルタだけ短縮することによって生じる。
【0094】
これは、変位パラメータσ(t)と時間tの関係を示した
図12に見られる。最適経路の目標は、制限値などの付帯条件を遵守しながら、変位パラメータをσ(0)=0からσ(t
end)=1まで、即ち始点から終点まで最短時間で通過することである。ここで、1210は格子点若しくは格子点点を示し、経路1220は最初に想定された軌道であり、経路1230は計算のj回目の反復における経路を象徴的に表している。追加的に、
図12の右半分に経路パラメータ
【数16】
の時間微分が示されている。ここで、1250は初期経路であり、1260はj回目の反復における経路である。
【0095】
この計算の手順は、擬似コードで以下のように表すことができる。
【表2】
【0096】
ここで、外側ループ(ライン1~10)は、変数Maxlterで指定された頻度で変数jを実行する。即ち、Maxlterは手順の反復の最大回数を決定する。
【0097】
内側ループ(ライン2~9)は、経路上の格子点の数(変数NumOfKnots)で指定された頻度で実行される。
【0098】
ライン3で、現在のi、即ち格子点に依存した時間間隔T(i)と、その直ぐ隣のT(i-1)及びT(i+1)が、特定のデルタだけ短縮される。デルタは、例えば、サンプリング時間の分数として定義することができる。次に、ライン4の判定において、全ての制限値が遵守されるかどうかをチェックする。遵守される場合は、ライン5で事前の時間間隔の短縮が採用される。制限値を超えるか下回る場合は、ライン7で短縮が取り消されて、ライン9で内側ループが終了することにより、次の格子点を経由して次の反復に進む。
【0099】
ライン4で制限値の遵守をチェックする際に、全ての制限値、即ち関節レベルでの速度リミットと加速度リミットとジャークリミット、軸ごとのモータートルク、並びに以下のように計算される経路速度自体をチェックすることができる。
【数17】
【0100】
CP経路を計算するための別の方法は、相空間における方法である。この方法は、更に別の変換を前提とする。
【数18】
ここで、zは、変位パラメータσの時間微分の2乗で定義される速度である。
【0101】
この変換によって明示的な時間依存性が排除され、それによって極めて効率的な方法が得られる。即ち、離散化が、非等距離の時間ベクトルではなく、一定のσ
iステップに基づくようになったので、全てのパラメータ化を事前に決定することができる。これは
図13にも示されており、変換を適切に選択することにより、問題が新しい変数z(σ)を用いた一次元最適化問題に縮小されたことが分かる。ここでは格子点1310と、速度パラメータの2回の反復1330と1340によるz(σ)の展開が見られる。1350はzの制限曲線、即ち極限値の推移を表している。
【0102】
この計算の手順は、擬似コードで以下のように表すことができる。
【表3】
【0103】
ここで、外側ループ(ライン11~20)は、またもや変数Maxlterで指定された頻度で変数jを実行する。即ち、Maxlterは手順の反復の最大回数を決定する。
【0104】
内側ループ(ライン12~19)は、格子点の数(変数NumOfKnots)で指定された頻度で実行される。
【0105】
ライン13で、σi点でのziとその直ぐ隣の速度を増加する。この場合、増加は好適には制限速度の所定の分数だけ増加する。次に、ライン14の判定において、全ての制限値が遵守されるかどうかを再度チェックする。遵守される場合は、ライン15でz増加が採用される。制限値を超えるか下回る場合は、ライン17でz増加が取り消されて、ライン19で内側ループが終了することにより、次の格子点を経由して次の反復に進む。
【0106】
ライン14で制限値の遵守をチェックする際に、全ての制限値、即ち関節レベルでの速度リミットと加速度リミットとジャークリミット、軸ごとのモータートルク、並びに経路速度自体をチェックすることができる。
【0107】
この場合、相空間における経路速度は、以下のように定式化される。
【数19】
【0108】
モータートルクは既知の方法で定式化される。
【数20】
【0109】
【0110】
この方法の難点は、時間範囲への逆変換である。なぜなら、開始と終了、即ち始点と終点で、速度はゼロの値を取ることがあり、それゆえゼロによる除算が発生するからである。逆変換はこの規則に従って計算することができる。
【数22】
【0111】
しかしながら、この問題は境界における種々の近似によって取り除くことができる。
【0112】
これとは対照的に、従来の方法では、ジャークが考慮されることはない。なぜなら、ジャークなしで考察した場合、この方法はzとz′で線形であり、したがって従来の最適化法、例えば、ベルマン法又はこれに類する方法を適用できるからである。
【0113】
ここで記述するCP経路を決定する方法は、例示的に説明しているに過ぎない。時間範囲における変位パラメータで7相軌道や多項式軌道を決めるなど、他の方法を使用することもできる。その際、軌道のパラメータは、全ての制限値が満たされるまで増加される限り、例えば、多項式軌道の終了時間となる。
【0114】
好ましくは、上述の2つの方法は、種々の強みと弱みがあるため、常に純粋なCP経路で計算される。非常に長い経路の場合、相空間での計算の方が有利であり、即ち必要な計算時間という点では資源効率が良い。比較的短い軌道の場合、ゼロ除算による近似は常に悪影響を及ぼすため、むしろ時間範囲で計算する。
【0115】
ここで紹介するCP経路に対して最良の経路を決定するための方法では、中止基準は、全CP経路を通過する際に1回の速度増加(相空間におけるCPの場合)若しくは時間間隔短縮(時間範囲におけるCPの場合)が、格子点ではもはや実行できないことによって定義されている。なぜなら、それによってダイナミクス制限に違反し、したがって軌道は最後の反復と比較して変化していないからである。これにより最適値が決定され、反復を終了することができる。
【0116】
それにもかかわらず、ある格子点σiでダイナミック制限を超えるので、速度増加若しくは時間間隔短縮が取り消されることがある。但し、別の箇所σkで変更を実行できるならば、全CP経路で見て、移動時間は、CP経路による最後の有効な反復と比較して更に短縮できる。
【0117】
本発明による方法では、上記のPTP法を、時間範囲におけるCP法及び時間範囲におけるその他の方法(変位パラメータの時間プロファイルを7相、多項式経路などとして特徴付ける)と組み合わせて、遷移点において(移動時間の意味で)可能な限り最良の速度v及び加速度aを求める。
【0118】
機能の仕方を説明するための例を
図14に示す。図示の単純な経路は、CP経路であるCP部分経路1410とPTP部分経路1420を組み合わせたものである。
図14は、世界座標x、y、zで表現された経路を示している。P
1、P
2、P
3で表す点は格子点である。P
1は始点であり、P
3は終点である。P
2は、CP経路1410がPTP経路1420に遷移する点である。遷移速度v
jと加速度a
jは点P
2で決定する。
【0119】
図15及び
図16に示す本発明による方法は2回実行することができ、1回目1500では遷移速度v
jのみを求め、その際にa
jはゼロと仮定される。求めた遷移速度v
jは次に2回目の実行1600において開始値として使用でき、加速度も変化させることができる。但し、2回目の実行1600で、先に決定された遷移速度に最小限の変更を加えることもできる。
【0120】
2段階の処理によって計算時間が最適化され、両方の計算を含むようなネストされたループよりも速い結果が得られる。これは、遷移点での速度が全体経路の速い移動時間に対する決定的な要因をなすことによる。したがって、本方法の1回目の実行、即ち後述するv反復が決定的なものである。以下にv-a反復と呼ばれる2回目の実行は、それに続く微調整をなす。
【0121】
v反復は、
図15に示され、産業用ロボット100、200が、少なくとも1つの始点121、1010と1つの終点122、1040と少なくとも1つの経路タイプとを含む経路パラメータによって定義された経路上で、動作パラメータによって指定された動作を行うために、所定の制限値を遵守しながら、動作開始前に時間最適化された軌道を決定するコンピュータ実装方法を表している。
【0122】
ここで、反復はviter=vmin...vmaxにより、nをステップ数として行われる(vmin=0でCPからPTPへ遷移する場合)。これは、手順を実行するごとに速度が増加することを意味する。PTP部分経路から別のPTP部分経路への遷移が行われると、全ての軸で速度が許容vmaxまで変化する。その際、加速度はaj=0で一定のままである。
【0123】
詳細には、ステップ1510でvjとajはゼロとして初期化される、即ち、j=0の場合、vjとajは0に等しい。次にステップ1520で、vj(i)=j*viter(i)となるように速度を増加する。次にステップ1530で、上記方法に基づき、各CP部分経路141、144、242、1020、1030、1050、1410に対する最良の移動結果を求める。上記方法には、制限値を超えるか若しくは下回るかのチェックが既に含まれている。このチェックをまだ含んでいない方法を使用することになった場合は、このチェックをここで続けて実施することができる。チェックにおいて、それぞれの反復で適用される動作パラメータの下では制限値を遵守することができないと確認された場合は、速度を変更して、即ち増加して新しい反復を開始する。
【0124】
換言すれば、ステップ1530で、部分経路の少なくとも1つの経路タイプが空間において幾何学的に定義された部分経路141、144、242、1020、1030、1050、1410である場合は、空間において幾何学的に定義された部分経路を計算するための1つ以上の方法に従い、所定の制限値と該当する経路パラメータ及び動作パラメータを考慮して、空間において幾何学的に定義された各部分経路に対する時間最適化された軌道を計算し、各部分経路に対する最良の移動結果を選択する。
【0125】
続いてステップ1540で、上記方法に基づき、各PTP部分経路142、143、241、243、910、1420に対するそれぞれ最良の移動結果を求める。上記方法には、制限値を超えるか若しくは下回るかのチェックが既に含まれている。このチェックをまだ含んでいない方法を使用することになった場合はは、このチェックをここで続けて実施することができる。チェックにおいて、それぞれの反復で適用される動作パラメータの下では制限値を遵守することができないと確認された場合は、速度を変更、即ち増加して新しい反復を開始する。
【0126】
換言すれば、ステップ1540で、部分経路の少なくとも1つの経路タイプが空間において幾何学的に自由な部分経路142、143、241、243、910、1420である場合は、空間において幾何学的に自由な部分経路を計算するための1つ以上の方法に従って、所定の制限値と該当する経路パラメータ及び動作パラメータを考慮して、空間において幾何学的に自由な各部分経路に対する時間最適化された軌道を計算し、それぞれの部分経路に対する最良の移動結果を選択する。
【0127】
次にステップ1550で、ステップ1530及び1540で求めた部分経路の移動時間から構成される全体経路の移動時間が、これまでで最速の移動時間をなすかどうか確認する。現在の移動時間がこれまでで最速の移動時間であれば、この時間は、ステップ1560で経路の走行に必要な動作パラメータ及びそこから生じる産業用ロボット100、200に対する制御コマンドと共に記憶され又はその他の方法で記録される。更に、全体経路についても、全ての制限値が遵守されるかどうか確認される。その結果に応じて、次の反復は速度を増加して開始する。
【0128】
遅い移動時間は破棄され、それから直ちに速度を増加して新しい反復を開始する。
【0129】
換言すれば、ステップ1550で求めた全ての部分経路に対する時間最適化された軌道を全体軌道に組み合わせて、全体軌道が所定の制限値を超えず、経路に沿ってこれまでで最速の動作を可能にするかどうかチェックする。次に動作パラメータの1つを変更して、新しい反復を開始する。
【0130】
いずれかのステップで先に決定された最終速度vmaxに達したら、その後に新しい反復は開始されない。最後に最速の移動時間として求めた時間は、経路の走行に必要な動作パラメータ及びそこから生じる産業用ロボット100、200に対する制御コマンドと共に結果として、上述したように第2の実行1600に渡される。代替的に、結果を出力し、又は産業用ロボット100、200の制御ユニットに転送することもできる。
【0131】
換言すれば、所定回数の繰り返しが完了した後、最速の全体軌道が、経路に沿って動作するための時間最適化された軌道として出力される。
【0132】
第2の実行1600、即ちv-a反復は、既述のように
図16に示されており、産業用ロボット100、200が、少なくとも1つの始点121、1010と1つの終点122、1040と少なくとも1つの経路タイプとを含む経路パラメータによって定義された経路上で、所定の制限値を遵守しつつ、動作開始前に時間最適化された軌道を決定するためのコンピュータ実装方法を表している。
【0133】
1回目の実行1500の結果に基づいて、加速度aiter=amin...amaxを変化させる。そのとき速度vjも適合、即ち増加若しくは減少することができる。ここでも、nステップにわたって反復される。これは、手順を実行するたびに加速度ajの量を正負符号の意味で交互に増加することを意味する。
【0134】
詳細には、ステップ1610で、vjは1回目の実行1500の最良の結果に初期化され、ajはゼロとして初期化される。次にステップ1620で、加速度をaj=aiter(j)となるように増加する。必要に応じて、vjは特定のデルタdv(i)だけ増加若しくは減少する。例えば、1回目の実行で最良の移動時間に対して求めた速度の15~30パーセントの間の値で増加若しくは減少を行うことができる。次にステップ1630で、上記方法に基づき、各CP部分経路141、144、242、1020、1030、1050、1410に対するそれぞれ最良の移動結果を求める。上記方法には、制限値を超えるか若しくは下回るかのチェックが既に含まれている。このチェックをまだ含んでいない方法を使用することになった場合は、このチェックをここで続けて実施することができる。チェックにおいて、それぞれの反復で適用される動作パラメータの下では制限値を守ることができないと確認された場合は、加速度を変更、即ち増加して、必要であれば速度を修正して新しい反復を開始する。
【0135】
換言すれば、ステップ1630で、部分経路の少なくとも1つの経路タイプが空間において幾何学的に定義された部分経路141、144、242、1020、1030、1050、1410である場合は、空間において幾何学的に定義された部分経路を計算するための1つ以上の方法に従い、所定の制限値と該当する経路パラメータ及び動作パラメータを考慮して、空間において幾何学的に定義された各部分経路に対する時間最適化された軌道を計算し、各部分経路に対する最良の移動結果を選択する。
【0136】
続いてステップ1640で、上記方法に基づき、各PTP部分経路142、143、241、243、910、1420に対するそれぞれ最良の移動結果を求める。上記方法には、制限値を超えるか若しくは下回るかのチェックが既に含まれている。このチェックをまだ含んでいない方法を使用することになった場合は、このチェックをここで続けて実施することができる。チェックにおいて、それぞれの反復で適用される動作パラメータの下では制限値を守ることができないと確認された場合は、加速度を変更、即ち増加して、必要であれば速度を修正して新しい反復を開始する。
【0137】
換言すれば、ステップ1640で、部分経路の少なくとも1つの経路タイプが空間において幾何学的に自由な部分経路142、143、241、243、910、1420である場合は、空間において幾何学的に自由な部分経路を計算するための1つ以上の方法に従って、所定の制限値と該当する経路パラメータ及び動作パラメータを考慮して、空間において幾何学的に自由な各部分経路に対する時間最適化された軌道を計算し、それぞれの部分経路に対する最良の移動結果を選択する。
【0138】
次にステップ1650で、ステップ1630とステップ1640で求めた部分経路の移動時間から構成される全体経路の移動時間が、これまでで最速の移動時間をなすかどうか確認する。現在の移動時間がこれまでで最速の移動時間であれば、この時間は、ステップ1660で経路の走行に必要な動作パラメータ及びそこから生じる産業用ロボット100、200に対する制御コマンドと共に記憶され又はその他の方法で記録される。更に、全体経路についても、全ての制限値が遵守されるかどうか確認される。その結果に応じて、次の反復は加速度を増加し、必要であれば速度を変更して開始する。
【0139】
遅い移動時間は破棄され、それから直ちに速度を増加し、必要であれば速度を修正して新しい反復を開始する。
【0140】
換言すれば、ステップ1650で求めた全ての部分経路に対する時間最適化された軌道を全体軌道に組み合わせて、全体軌道が所定の制限値を超えず、経路に沿ってこれまでで最速の動作を可能にするかどうかチェックする。次に1つ以上の動作パラメータを変更して新しい反復を開始する。
【0141】
いずれかのステップで先に決定された最終加速度amaxに達したら、その後に新しい反復は開始されない。最後に最速の移動時間として求めた時間は、経路の走行に必要な動作パラメータ及びそこから生じる産業用ロボット100、200に対する制御コマンドと共に結果として出力されるか、又は産業用ロボット100、200の制御ユニットに転送される。
【0142】
換言すれば、所定回数の繰り返しが完了した後、最速の全体軌道が、経路に沿って動作するための時間最適化された軌道として出力される。
【0143】
前述した実行タイプ、即ちv反復及びv-a反復の各々について、空間において幾何学的に定義された部分経路141、144、242、1020、1030、1050、1410を計算する方法は、時間範囲における変位パラメータを最適化する方法と、速度範囲における変位パラメータを最適化する方法の群に由来することができる。
【0144】
同様に、空間において幾何学的に自由な部分経路142、143、241、243、910、1420を計算する方法は、バン・バン軌道、特に加速度における7相軌道と平均値フィルタリングされた矩形軌道、同期軌道、特にスプライン経路及び多項式軌道の群に由来することができる。
【0145】
既述のように、本発明による方法は、任意の全体経路に適用することができる。ここで、全体経路が、空間において幾何学的に定義された少なくとも1つの部分経路141、144、242、1020、1030、1050、1410、空間において幾何学的に自由な少なくとも1つの部分経路142、143、241、243、910、1420及び/又は空間において幾何学的に定義された少なくとも1つの部分経路141、144、242、1020、1030、1050、1410と空間において幾何学的に自由な1つの部分経路142、143、241、243、910、1420を有するかどうかは重要ではない。
【0146】
この場合、全体経路を定義する経路パラメータは、2つの部分経路の接続点又は1つ以上の経路内の点を表す格子点131、132、133、213、232、1210、1310を含むことができる。
【0147】
ここで、経路上のロボット100、200の動作を指定する動作パラメータは、速度値及び/又は加速度値を含むことができる。動作パラメータは、格子点131、132、133、213、232、1210、1310、始点121、1010及び/又は終点122、1040で適用される値も含むことができる。
【0148】
経路パラメータは更に、別の格子点131、132、133、213、232、1210、1310、別の経路タイプの部分経路、及び/又は部分経路の最大速度を含むことができる。
【0149】
上述したように、本発明による実施形態は、方法ステップの所定回数の繰り返しを2回実行することを含むことができる。この場合、1回目の実行で1つ以上の動作パラメータを変更させる際に、速度の動作パラメータのみを変化させることができ、2回目の実行で1つ以上の動作パラメータを変更する際に、加速度と速度の動作パラメータを変化させることができる。
【0150】
制限値は、例えば、産業用ロボット100、200の1つ以上の関節及び/又は駆動軸において超えてはならない又は下回ってはならない物理的制限を記述することができる。
【0151】
更に、制限値は位置制限値、即ちTCP110、210及び/又はロボット100、200のその他の部分が動作中に滞在することが許される領域を含むこともできる。制限値はロボット100、200の1つ以上の軸について、加速度値、ジャーク値、軸速度値及び/又はモータートルク値を含むこともできる。全体経路又は1つ以上の部分経路上の経路速度も、制限値として指定することができる。
【0152】
図17は、目標を変更した場合にジオメトリが適合される初期経路1710の処理の仕方を示している。いわゆるピック・アンド・プレース経路では、部品位置に基づき目標位置1730がシステムサイクルごとに変化し得るのが一般的である。即ち、ロボット100、200が各部品をわずかに異なる位置1730に置かなければならない。同様に、例えば、部品をピックアップする開始位置も、それに応じて変化し得る。位置の変更を実現するために、1つ(又は複数)の初期経路1710がメモリに格納される。次に、ジオメトリが変更されて、適合された経路1720が生じ、再び初期経路の時間情報が使用される。
図17には、2つの適合された経路1720が示されている。1つはx値を増加しなければならない経路であり、もう1つはx値を減少しなければならない経路である。
【0153】
本発明による別の実施形態は、産業用ロボット100、200が、少なくとも1つの始点121、1010と1つの終点122、1040と少なくとも1つの経路タイプとを含む経路パラメータによって定義された経路上で、動作パラメータによって設定された動作を行うために、所定の制限値を遵守しながら、動作開始前に時間最適化された軌道を決定するための装置、好ましくはコンピュータである。この装置は、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法を実施するように設計されて先行する特許請求の範囲の1つによる方法を実行するように設計されている。
【0154】
このために、上記装置は、経路を1つ以上の部分経路に分割するように設計された計算ユニットを備えている。
【0155】
更に、上記計算ユニットは、空間において幾何学的に定義された部分経路及び/又は自由な部分経路を計算する方法を使用して、所定の制限値と該当する経路パラメータ及び動作パラメータを考慮して、各部分経路に対する時間最適化された軌道を計算し、各部分経路に対する最良の結果を選択するように設計されている。
【0156】
計算ユニットは更に、全ての部分経路に対する時間最適化された軌道を全体軌道に組み合わせるように設計されている。
【0157】
計算ユニットは更に、全体軌道又は部分経路の軌道が所定の制限値を超えるかどうかをチェックし、求めた全体軌道がこれまでで最速の移動を可能にするか確認するように設計されている。
【0158】
計算ユニットは更に、1つ以上の動作パラメータを変化させるように設計されている。
【0159】
計算ユニットは更に、経路に沿って動作するための時間最適化された軌道として最速の全体軌道を出力するように設計されている。
【0160】
別の実施形態は、データ処理装置用のプログラムを有するコンピュータプログラム製品であって、プログラムがデータ処理装置上で実行されると、上記方法のステップを実行するソフトウェアコードセクションを含んでいる。このコンピュータプログラム製品は、ソフトウェアコードセクションが記憶されたコンピュータ可読媒体を含み、このプログラムはデータ処理装置の内部メモリに直接ロード可能である。
【0161】
実施例は可能な実施形態を示すものであり、この箇所で注記しておくと、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、個々の実施形態を互いに様々に組み合わせることも可能であり、本発明による技術的行為に関する教示に基づくこの変更の可能性は当該技術分野に従事する当業者の能力の範囲内にある。
【0162】
保護の範囲は特許請求項によって決定される。しかしながら、特許請求項を解釈するために、明細書と図面が援用される。
【0163】
図示及び説明された種々の実施例の個々の特徴や特徴の組み合せは、それ自体で独立した発明的解決策を構成することができる。これらの独立した発明的解決策の根底にある課題は、本明細書から読み取ることができる。
本発明の説明において値の範囲に関する全ての指示は、当該範囲内の全ての任意の部分範囲を含むものと理解すべきである。例えば、1~10という指示には、下限1を起点として上限10に至るまでの全ての部分範囲が含まれていると理解すべきである。即ち、全ての部分範囲は、例えば、1~1.7、又は3.2~8.1、又は5.5~10のように、下限の1又はそれ以上から始まって上限の10又はそれ以下で終わる。
【0164】
最後に形式的に指摘しておくと、構造を理解しやすくするために、部材は一部縮尺通りではなく、及び/又は拡大して、及び/又は縮小して表現された。
【符号の説明】
【0165】
100、200 ロボット
110、210 ツール・センター・ポイント
121、1010 始点
122、1040 終点
131、132、133、213、232、1210、1310 格子点
141、144、242、1020、1030、1050、1410 CPタイプ部分経路
142、143、241、243、910、1420 PTPタイプ部分経路
410 インパルス応答
801 データ入力
802 制限値指定
803 軸ごとに7相軌道の決定
804 最も遅い軸の決定
805 7相軌道を有する経路
806 チェック
807 スプライン経路の計算
808 制限値が満たされているかチェックする
809 中止
810 ダイナミクス低減
811 モータートルク制限値を満たしているかチェックする
812 制限値を低減する
813 計算の終了
920 位置制限
1051、 1052 変位パラメータ
1220、 1230 位置パラメータの反復
1250、 1260 速度パラメータの反復
1330、 1340 速度パラメータの反復
1350 速度パラメータの制限曲線
1500、 1600 1回目若しくは2回目の実行における本発明による方法
1510、 1610 スタート値の初期化
1520、 1620 動作パラメータを変化させる
1530、 1540、 1630、 1640 CP部分経路若しくはPTP部分経路に対する時間最適化された軌道を計算する
1550、 1650 軌道をつなぎ合せて制限値をチェックする
1560、 1660 最速の時間をチェックし、必要に応じて最速の結果を保存する
1710 初期経路
1720 適合された経路
1730 変更された目標位置
【手続補正書】
【提出日】2024-03-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0164
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0164】
最後に形式的に指摘しておくと、構造を理解しやすくするために、部材は一部縮尺通りではなく、及び/又は拡大して、及び/又は縮小して表現された。
本明細書に開示される発明は以下を含む。
[態様1]
産業用ロボット(100、200)が、少なくとも1つの始点(121、1010)と1つの終点(122、1040)と少なくとも1つの経路タイプとを含む経路パラメータによって定義された経路上で、動作パラメータによって指定された動作を行うために、所定の制限値を遵守しながら、動作開始前に時間最適化された軌道を決定するコンピュータ実装方法(1500、1600)であって、
前記経路を1つ以上の部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410;142、143、241、243、910、1420)に分割することと、
前記部分経路の少なくとも1つの経路タイプが空間において幾何学的に定義された部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410)である場合は、空間において幾何学的に定義された部分経路(141、141、144、242、1020、1030、1050、1410)を計算するための1つ以上の方法に従い、所定の制限値と該当する経路パラメータ及び動作パラメータを考慮して、空間において幾何学的に定義された部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410)の各々に対する時間最適化された軌道を計算し(1530、1630)、前記各部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410)に対する最良の移動結果を選択するステップ、
前記部分経路の少なくとも1つの経路タイプが空間において幾何学的に自由な部分経路(142、143、241、243、910、1420)である場合は、空間において幾何学的に自由な部分経路を計算するための1つ以上の方法に従い、所定の制限値と該当する経路パラメータ及び動作パラメータを考慮して、空間において幾何学的に自由な部分経路(142、143、241、243、910、1420)の各々に対する時間最適化された軌道を計算し(1540、1640)、前記各部分経路(142、143、241、243、910、1420)に対する最良の移動結果を選択するステップ、
全ての前記部分経路に対する時間最適化された軌道を全体軌道に組み合わせる(1550、1650)ステップ、
前記全体軌道が所定の制限を超えず、経路に沿ってこれまでで最速の動作を可能にするかチェックする(1550、1650)ステップ、並びに、
1つ以上の動作パラメータを変化させる(1520、1620)ステップを所定回数繰り返し実行することと、
所定回数の繰り返しが完了したら経路に沿って動作するための時間最適化された軌道として最速の全体軌道を出力することと、
を備える方法。
[態様2]
空間において幾何学的に定義された部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410)を計算(1530、1630)するための方法は、時間範囲において変位パラメータ(1051、1052)を最適化するための方法及び速度範囲において変位パラメータ(1051、1052)を最適化するための方法からなる群から選択される、及び/又は
空間において幾何学的に自由な部分経路(142、143、241、243、910、1420)を計算する(1540、1640)ための方法は、バン・バン軌道、特に加速度における7相軌道及び平均値フィルタリングされた矩形軌道、並びに、同期軌道、特にスプライン経路及び多項式軌道からなる群から選択される、態様1に記載の方法。
[態様3]
前記部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410;142、143、241、243、910、1420)は、
空間において幾何学的に定義された少なくとも1つの部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410)、
空間において幾何学的に自由な少なくとも1つの部分経路(142、143、241、243、910、1420)、及び/又は、
空間において幾何学的に定義された少なくとも1つの部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410)と、空間において幾何学的に自由な少なくとも1つの部分経路(142、143、241、243、910、1420)を含む、態様1又は2に記載の方法。
[態様4]
前記経路パラメータは、2つの部分経路の接続点又は1つ以上の経路内の点を表す格子点(131、132、133、213、232、1210、1310)を更に含む、態様1から3のいずれか1つに記載の方法。
[態様5]
前記動作パラメータは、速度値及び/又は加速度値を含む、及び/又は、前記動作パラメータは、格子点(131、132、133、213、232、1210、1310)、始点(121、1010)及び/又は終点(122、1040)で適用される値を含む、及び/又は、
前記経路パラメータは、1つ以上の格子点(131、132、133、213、232、1210、1310)、部分経路の別の経路タイプ及び部分経路上の最大速度を含む、態様1から4のいずれか1つに記載の方法。
[態様6]
前記方法のステップを所定回数繰り返し実行することを2回実行することを備え、
1回目の実行では、1つ以上の動作パラメータを変化させる(1520)際に、速度の動作パラメータのみを変化させ、
2回目の実行では、1つ以上の動作パラメータを変化させる(1620)際に、加速度と速度の動作パラメータを変化させる、態様1から5のいずれか1つに記載の方法。
[態様7]
前記制限値は、産業用ロボット(100、200)の1つ以上の関節及び/又は駆動軸において超えてはならない又は下回ってはならない物理的制限を記述する、態様1から6のいずれか1つに記載の方法。
[態様8]
前記制限値は、以下の値:位置、加速度、ジャーク、軸ごとの軸速度、軸ごとのモータートルク、及び経路速度のうちの1つ以上を含む、態様1から7のいずれか1つに記載の方法。
[態様9]
産業用ロボット(100、200)が、少なくとも1つの始点(121、1010)と1つの終点(122、1040)と少なくとも1つの経路タイプとを含む経路パラメータによって定義された経路上で、動作パラメータによって指定された動作を行うために、所定の制限値を遵守しながら、動作開始前に時間最適化された軌道を決定するための装置、好ましくはコンピュータであって、態様1から8のいずれか1つに記載の方法を実施するように設計されており、前記装置は計算ユニットを有しており、前記計算ユニットは、
前記経路を1つ以上の部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410;142、 143、 241、 243、 910、 1420) に分割し、
空間において幾何学的に定義された部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410)及び/又は空間において幾何学的に自由な部分経路(142、143、241、243、910、1420)を計算する方法を使用して、所定の制限値と該当する経路パラメータ及び動作パラメータを考慮して、前記各部分経路に対する時間最適化された軌道を計算し、
前記各部分経路に対する最良の結果を選択し、
全ての前記部分経路に対する時間最適化された軌道を全体軌道に組み合わせ、
全体軌道又は部分経路の軌道が所定の制限を超えているかチェックし、
求めた全体軌道が経路に沿ってこれまでで最速の動作を可能にするか確認し、
1つ以上の動作パラメータを変化させ、
経路に沿って動作するための時間最適化された軌道として最速の全体軌道を出力する、ように設計された、装置。
[態様10]
データ処理装置用のプログラムを有するコンピュータプログラム製品であって、前記プログラムが前記データ処理装置上で実行されると、態様1から8のいずれか1つに記載のステップを実行するソフトウェアコードセクションを含む、コンピュータプログラム製品。
[態様11]
前記コンピュータプログラム製品は、前記ソフトウェアコードセクションが記憶されたコンピュータ可読媒体を含み、前記プログラムは前記データ処理装置の内部メモリに直接ロード可能である、態様10に記載のコンピュータプログラム製品。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用ロボット(100、200)が、少なくとも1つの始点(121、1010)と1つの終点(122、1040)と少なくとも1つの経路タイプとを含む経路パラメータによって定義された経路上で、動作パラメータによって指定された動作を行うために、所定の制限値を遵守しながら、動作開始前に時間最適化された軌道を決定するコンピュータ実装方法(1500、1600)であって、
前記経路を1つ以上の部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410;142、143、241、243、910、1420)に分割することと、
前記部分経路の少なくとも1つの経路タイプが空間において幾何学的に定義された部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410)である場合は、空間において幾何学的に定義された部分経路(141、141、144、242、1020、1030、1050、1410)を計算するための1つ以上の方法に従い、所定の制限値と該当する経路パラメータ及び動作パラメータを考慮して、空間において幾何学的に定義された部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410)の各々に対する時間最適化された軌道を計算し(1530、1630)、前記各部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410)に対する最良の移動結果を選択するステップ、
前記部分経路の少なくとも1つの経路タイプが空間において幾何学的に自由な部分経路(142、143、241、243、910、1420)である場合は、空間において幾何学的に自由な部分経路を計算するための1つ以上の方法に従い、所定の制限値と該当する経路パラメータ及び動作パラメータを考慮して、空間において幾何学的に自由な部分経路(142、143、241、243、910、1420)の各々に対する時間最適化された軌道を計算し(1540、1640)、前記各部分経路(142、143、241、243、910、1420)に対する最良の移動結果を選択するステップ、
全ての前記部分経路に対する時間最適化された軌道を全体軌道に組み合わせる(1550、1650)ステップ、
前記全体軌道が所定の制限を超えず、経路に沿ってこれまでで最速の動作を可能にするかチェックする(1550、1650)ステップ、並びに、
1つ以上の動作パラメータを変化させる(1520、1620)ステップを所定回数繰り返し実行することと、
所定回数の繰り返しが完了したら経路に沿って動作するための時間最適化された軌道として最速の全体軌道を出力することと、
を備える方法。
【請求項2】
空間において幾何学的に定義された部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410)を計算(1530、1630)するための方法は、時間範囲において変位パラメータ(1051、1052)を最適化するための方法及び速度範囲において変位パラメータ(1051、1052)を最適化するための方法からなる群から選択される、及び/又は
空間において幾何学的に自由な部分経路(142、143、241、243、910、1420)を計算する(1540、1640)ための方法は、バン・バン軌道、特に加速度における7相軌道及び平均値フィルタリングされた矩形軌道、並びに、同期軌道、特にスプライン経路及び多項式軌道からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410;142、143、241、243、910、1420)は、
空間において幾何学的に定義された少なくとも1つの部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410)、
空間において幾何学的に自由な少なくとも1つの部分経路(142、143、241、243、910、1420)、及び/又は、
空間において幾何学的に定義された少なくとも1つの部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410)と、空間において幾何学的に自由な少なくとも1つの部分経路(142、143、241、243、910、1420)を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記経路パラメータは、2つの部分経路の接続点又は1つ以上の経路内の点を表す格子点(131、132、133、213、232、1210、1310)を更に含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
前記動作パラメータは、速度値及び/又は加速度値を含む、及び/又は、前記動作パラメータは、格子点(131、132、133、213、232、1210、1310)、始点(121、1010)及び/又は終点(122、1040)で適用される値を含む、及び/又は、
前記経路パラメータは、1つ以上の格子点(131、132、133、213、232、1210、1310)、部分経路の別の経路タイプ及び部分経路上の最大速度を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
前記方法のステップを所定回数繰り返し実行することを2回実行することを備え、
1回目の実行では、1つ以上の動作パラメータを変化させる(1520)際に、速度の動作パラメータのみを変化させ、
2回目の実行では、1つ以上の動作パラメータを変化させる(1620)際に、加速度と速度の動作パラメータを変化させる、請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
前記制限値は、産業用ロボット(100、200)の1つ以上の関節及び/又は駆動軸において超えてはならない又は下回ってはならない物理的制限を記述する、請求項
1に記載の方法。
【請求項8】
前記制限値は、以下の値:位置、加速度、ジャーク、軸ごとの軸速度、軸ごとのモータートルク、及び経路速度のうちの1つ以上を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項9】
産業用ロボット(100、200)が、少なくとも1つの始点(121、1010)と1つの終点(122、1040)と少なくとも1つの経路タイプとを含む経路パラメータによって定義された経路上で、動作パラメータによって指定された動作を行うために、所定の制限値を遵守しながら、動作開始前に時間最適化された軌道を決定するための装置、好ましくはコンピュータであって、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法を実施するように設計されており、前記装置は計算ユニットを有しており、前記計算ユニットは、
前記経路を1つ以上の部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410;142、 143、 241、 243、 910、 1420) に分割し、
空間において幾何学的に定義された部分経路(141、144、242、1020、1030、1050、1410)及び/又は空間において幾何学的に自由な部分経路(142、143、241、243、910、1420)を計算する方法を使用して、所定の制限値と該当する経路パラメータ及び動作パラメータを考慮して、前記各部分経路に対する時間最適化された軌道を計算し、
前記各部分経路に対する最良の結果を選択し、
全ての前記部分経路に対する時間最適化された軌道を全体軌道に組み合わせ、
全体軌道又は部分経路の軌道が所定の制限を超えているかチェックし、
求めた全体軌道が経路に沿ってこれまでで最速の動作を可能にするか確認し、
1つ以上の動作パラメータを変化させ、
経路に沿って動作するための時間最適化された軌道として最速の全体軌道を出力する、ように設計された、装置。
【請求項10】
データ処理装置用のプログラムを有するコンピュータプログラム製品であって、前記プログラムが前記データ処理装置上で実行されると、請求項1から8のいずれか1項に記載のステップを実行するソフトウェアコードセクションを含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項11】
前記コンピュータプログラム製品は、前記ソフトウェアコードセクションが記憶されたコンピュータ可読媒体を含み、前記プログラムは前記データ処理装置の内部メモリに直接ロード可能である、請求項10に記載のコンピュータプログラム製品。
【国際調査報告】