(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】薄膜ベースのアセンブリ
(51)【国際特許分類】
G01N 23/04 20180101AFI20240711BHJP
G01N 1/28 20060101ALI20240711BHJP
H01J 37/20 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
G01N23/04 330
G01N1/28 F
H01J37/20 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024501206
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 NL2022050400
(87)【国際公開番号】W WO2023282753
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524011546
【氏名又は名称】ヴィトロテム ベー.ヴェー
【氏名又は名称原語表記】VITROTEM B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【氏名又は名称】藤野 香子
(72)【発明者】
【氏名】ファン・デールセン,パウリーネ マルタ ヘラルディナ
【テーマコード(参考)】
2G001
2G052
5C101
【Fターム(参考)】
2G001AA03
2G001BA11
2G001CA03
2G001GA06
2G001HA13
2G001LA01
2G001MA04
2G001QA02
2G001SA10
2G052AD26
2G052DA07
2G052GA34
5C101AA04
5C101FF05
5C101FF36
5C101FF46
(57)【要約】
薄膜ベースのアセンブリ(100)は、支持ベース(101)と、支持ベース(101)上に配置された薄膜(102)とを含む。薄膜(102)は、例えばグラフェン膜のような10nm未満の厚さを有する。薄膜(102)と支持ベース(101)との間には、1つ以上の球状ナノ粒子(106)が含まれている。球状ナノ粒子(106)は、薄膜(102)と支持ベース(101)との間のスペーサーを機能的に構成している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜ベースのアセンブリ(100;401、402)であって、
支持ベース(101;404)と、
前記支持ベースの上に配置された、厚さが10nm未満の薄膜(102;403)と、を含み、前記薄膜ベースのアセンブリは、
前記薄膜と前記支持ベースとの間に含まれ、前記薄膜と前記支持ベースとの間のスペーサーを機能的に構成している、少なくとも1つの球状ナノ粒子(106;408)を含む、薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの球状ナノ粒子(106;408)は、1ナノメートルと1マイクロメートルとの間の範囲の直径を有する、請求項1に記載の薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項3】
複数の球状ナノ粒子(106;408)が、前記薄膜(102;403)と前記支持ベース(101;404)との間の空間(104;406)の少なくとも一部において50%から90%を占める、請求項1または2に記載の薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項4】
前記支持ベース(101)と局所的に接触している前記薄膜(102)によって形成された周縁部(103)を有するセルを含み、前記少なくとも1つの球状ナノ粒子(106)が前記セルの厚さを画定する、請求項1~3のいずれか1項に記載の薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項5】
前記セルは、横方向寸法が10ナノメートルから50マイクロメートルの範囲にある、請求項4に記載の薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項6】
前記セルは、液体(105)を含む、請求項4または5に記載の薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項7】
前記セルは、分析対象の試料を含む、請求項4~6のいずれか1項に記載の薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項8】
前記支持ベース(101;404)がさらなる薄膜を含み、前記少なくとも1つの球状ナノ粒子(106;408)が前記薄膜(102;403)と前記さらなる薄膜との間のスペーサーを機能的に構成する、請求項1~7のいずれか1項に記載の薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの球状ナノ粒子(106;408)は、無機材料の本体を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項10】
前記無機材料は、ポリマー、金属、金属酸化物、ケイ酸塩、およびセラミックのうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの球状ナノ粒子(106;408)は、前記本体の上の被覆を含む、請求項9または10に記載の薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項12】
前記被覆は、有機材料を含む、請求項11に記載の薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項13】
前記有機材料は、前記セル内に含まれている前記試料に対して親和性を有し、該親和性は、前記セル内の前記試料に対して固定効果を有する、請求項7および12に記載の薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項14】
前記有機材料は、抗体およびタンパク質のうちの少なくとも1つを含む、請求項13に記載の薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項15】
前記薄膜(102;403)は、グラフェンを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項16】
前記セル内に含まれている前記試料を分析するための請求項7に記載の薄膜ベースのアセンブリの使用。
【請求項17】
球状ナノ粒子(106;408)を支持ベース(101、404)の上に配置するステップと、
前記支持ベースの上に薄膜(102;403)を配置するステップであって、前記薄膜は、10nm未満の厚さを有し、前記薄膜は、少なくとも1つの球状ナノ粒子が前記薄膜と前記支持ベースとの間に含まれるように前記支持ベースの上に配置され、これにより、前記少なくとも1つの球状ナノ粒子が前記薄膜と前記支持ベースとの間のスペーサーを機能的に構成するように、前記支持ベースの上に薄膜を配置するステップと、を含む、薄膜ベースのアセンブリの形成方法。
【請求項18】
前記薄膜(102)を前記支持ベース(101)と局所的に接触させることによりセルを形成し、少なくとも1つの球状ナノ粒子(106)が前記セルの厚さを画定する、請求項17に記載の薄膜ベースのアセンブリの形成方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの球状ナノ粒子(106;408)は、分析対象の試料とともに前記支持ベース(101、404)の上に配置され、これにより、前記少なくとも1つの球状ナノ粒子と前記試料とが1つの媒体(105、407)中に含まれるようにする、請求項17または18に記載の薄膜ベースのアセンブリの形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、支持ベース上に配置された薄膜を含む薄膜ベースのアセンブリに関する。薄膜ベースのアセンブリは、例えば、グラフェン液体セルの調製物であってもよい。本発明の他の態様は、薄膜ベースのアセンブリの使用、および薄膜ベースのアセンブリの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばグラフェン膜のような、厚さ10nm未満の薄膜は、幅広い用途で使用されている。薄膜は支持ベース上に配置され、薄膜アセンブリを形成する。薄膜と支持ベースとは共同で空間を画定し、その空間は物質を封入したり、別の機能を持ったりする。薄膜は比較的高い透明性を提供するため、この空間の内部に何があるのか、空間の内部で何が起こっているのかを比較的正確に分析することができる。支持ベース自体が薄膜で構成されていてもよい。これにより、一方と他方との薄膜を通って空間を横断する放射線によって、比較的精密な分析が可能になる。薄膜はこの横断する放射線に比較的弱い影響しか与えない。
【0003】
グラフェン液体セルの調製物は、本明細書で前述したような薄膜ベースのアセンブリの一例である。このような調製物は、主要なベースとしてTEM支持体を用いて得ることができる。TEM支持体は、通常は、比較的小さな開口部を備えたグリッドを有する金属板の形態である。金属板の厚さは数ミリメートルである。グリッドの間隔は通常0.01μmと0.5μmとの間にある。あるいは、TEM支持体は、開口部または開口部のアレイを備えた酸化シリコンまたは窒化シリコンのディスクを含むこともできる。TEM支持体には、下部グラフェン膜が設けられている。TEM支持体は、下部グラフェン膜を支持する多孔質薄膜で被覆されていてもよい。TEM支持体上に存在する下部グラフェン層の上に、分析対象の1つまたは複数の試料を含む液体を堆積させる。
【0004】
上部グラフェン膜は、TEM支持体上に存在する下部グラフェン膜の上に配置される。これにより、1つまたは複数の試料を含む液体は、これらのグラフェン膜の間に挟まれる。過剰量の液体は、例えば吸収シートによって除去することができる。上部グラフェン膜は下部グラフェン膜と接触する。ナノスケールの液体ポケットが形成され、分析対象の1つまたは複数の試料を含むナノスケールの体積の液体が、前述の2つのグラフェン膜の間にしっかりと封入される。このような液体ポケットがグラフェン液体セルであり、TEM支持体のかなりの面積にわたって形成することができる。通常、グラフェン液体セルはTEM支持体上に数百個形成され得る。グラフェン液体セルの大きさは変化する可能性があり、通常は、横方向寸法である長さおよび幅が0.01μmと5μmとの間、厚さが1ナノメートルと100ナノメートルとの間にある。
【0005】
このようにして得られたグラフェン液体セルの調製物は、透過型電子顕微鏡を用いて、その中に含まれる試料を画像化するために使用することができる。画像化する試料を含む液体は、2枚のグラフェン膜の間にしっかりと封入されているため、グラフェン液体セルの調製物を透過型電子顕微鏡の真空カラムに挿入することができる。グラフェン液体セルは薄いため、試料の高分解能画像化が可能である。電子ビームは、TEM支持体の開口部を通ってグラフェン液体セルを横断することができる。2枚のグラフェン膜は非常に薄いため、電子ビームがグラフェン膜の影響を大きく受けることがない。
【0006】
国際公開第2021/123458号には、室温での透過型電子顕微鏡観察に適した薄膜液体セルを以下のように作製することが記載されている。液体に浮いた薄膜を調整する。薄膜が浮いている液体の液滴を、ループを使って支持体に移す。この移送の間に、ループは液滴を運び、液滴は薄膜を運ぶ。支持体上の液滴から十分な量の液体が除去され、薄膜液体セルが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【0008】
薄膜と支持ベースとの間の空間が、望ましい特性をよりよく近似することができる薄膜ベースのアセンブリが必要とされている。
【0009】
本発明は以下のことを考慮に入れている。薄膜を支持ベース上に配置する場合、これら2つの実体の間に、ある所望の特性を有するか、少なくともこれらの特性を十分に近似した空間を得ることが困難な場合がある。これは主に、薄膜の取り扱いがデリケートで困難であるという事実によるものであり、薄膜の厚さは10nm未満である。
【0010】
例えば、前述したグラフェン液体セルの調製物の作成では、グラフェン液体セルのサイズが比較的大きく変化し得る。分析対象の試料に対して適切なサイズを有するグラフェン液体セルは比較的少ない可能性がある。つまり、大きすぎたり小さすぎたり、あるいはその両方であるものが比較的多い可能性がある。また、適切な大きさを有するグラフェン液体セルの密度が相対的に低くなり、対象の分析に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0011】
請求項1に画定される本発明の一態様は、薄膜ベースのアセンブリに関する。薄膜ベースのアセンブリは、
支持ベースと、
前記支持ベースの上に配置された、厚さが10nm未満の薄膜と、を含み、
前記薄膜ベースのアセンブリは、
前記薄膜と前記支持ベースとの間に含まれ、前記薄膜と前記支持ベースとの間のスペーサーを機能的に構成している、少なくとも1つの球状ナノ粒子を含む。
【0012】
請求項16に画定される本発明のさらなる態様は、本明細書で画定される薄膜ベースのアセンブリの使用に関する。
【0013】
請求項17に画定される本発明のさらに別の態様は、薄膜ベースのアセンブリの形成方法に関する。該方法は、
球状ナノ粒子を支持ベースの上に配置するステップと、
前記支持ベースの上に薄膜を配置するステップであって、前記薄膜は、10nm未満の厚さを有し、前記薄膜は、少なくとも1つの球状ナノ粒子が前記薄膜と前記支持ベースとの間に含まれるように前記支持ベースの上に配置され、これにより、前記少なくとも1つの球状ナノ粒子が前記薄膜と前記支持ベースとの間のスペーサーを機能的に構成するように、前記支持ベースの上に薄膜を配置するステップと、を含む。
【0014】
これらの各態様において、球状ナノ粒子は、支持ベースとその上に配置された薄膜との間に、特定の所望の特性をよりよく近似することができる空間が得られることを可能にする。これは、球状ナノ粒子が前述の空間を画定する役割を果たすスペーサーを構成するためである。従って、球状ナノ粒子は、支持ベースと薄膜との間に形成される空間に対する制御の一形態を提供する。この制御は、球状ナノ粒子の適切なサイズ、またはサイズ分布、および適切な密度、または密度分布によって行われる。例えば、グラフェン液体セルの調製物において、試料を含む液体に添加されるナノ粒子は、これらのセルに封入される試料に対して適切なサイズを有するグラフェン液体セルの高い収率を提供することができる。さらに、ナノ粒子はグラフェン液体セルの形成にも寄与するため、調製物中で比較的高密度のグラフェン液体セルを得ることができる。
【0015】
本発明に従って薄膜ベースのアセンブリを形成する際、球状ナノ粒子は自由に集合することができる。球状ナノ粒子の密度が比較的高い場合、その結果、特定の領域で密に充填される可能性がある。このような領域では、球状ナノ粒子の間に、その直径によって決まる寸法の凹三角形状の空間が形成されることがある。逆に、球状ナノ粒子の密度が比較的低い場合、球状ナノ粒子は支持ベース上にランダムに分布する可能性が高い。その結果、1つの球状ナノ粒子によってそれぞれが「支えられている」「テントのような」封入が生じることがある。このような封入の高さおよび横方向の大きさは、やはり球状ナノ粒子の直径によって決まる。
【0016】
球状ナノ粒子は、バルクで製造され、液体中に分散されるか、または空気中で自由に保たれる。このように、球状ナノ粒子は、通常は、本発明に従って薄膜ベースのアセンブリを形成する前に、支持ベース、または薄膜に本質的に固定されない。薄膜ベースのアセンブリを形成する際、球状ナノ粒子をアセンブリ内に固定することができる。固定される前の球状ナノ粒子の自由な動きは、球状ナノ粒子の大きな配列を支持ベースに付加することを容易にする。その結果、巨視的な面積に多数のセルが形成される。
【0017】
説明のために、本発明のいくつかの実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。この説明において、追加の特徴が提示され、その一部は従属請求項に定義され、利点が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、スペーサーを機能的に構成する球状ナノ粒子を含むグラフェン液体セルの概略断面図である。
【
図2】
図2は、グラフェン液体セルの調製物の一部を示す上面写真である。
【
図3】
図3は、グラフェン液体セルの調製物のごく一部を高倍率で撮影した上面写真である。
【
図4】
図4は、微細加工ベースに支持されたグラフェン液体セルの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、グラフェン液体セル100を概略的に示す。
図1は、グラフェン液体セル100の概略断面図を提供する。
図1に示すグラフェン液体セル100は、グラフェン液体セルの調製物の一部を形成し得る。グラフェン液体セルの調製物は、透過型電子顕微鏡を用いてその中に含まれる試料を画像化するために使用することができる。この調製物は、グラフェン液体セル100を載せるTEM支持体をさらに含んでいてもよく、TEMとは透過型電子顕微鏡の略語である。このようなTEM支持体は、簡略化のために
図1には表されていない。
【0020】
グラフェン液体セル100は、下部グラフェン膜101と上部グラフェン膜102とを含む。グラフェン液体セル100は、上部グラフェン膜102が下部グラフェン膜101と局所的に接触することによって形成される周縁部103を有する。上部グラフェン膜102と下部グラフェン膜101とは、共同でグラフェン液体セル100の境界を形成する。このように、上部グラフェン膜102と下部グラフェン膜101とは、グラフェン液体セル100の内部空間104を共同で区画する。内部空間104は、目的の試料を含む液体105で満たされる。これらの目的の試料には、例えば、ナノ粒子、生体分子、高分子集合体、またはこれらの任意の組み合わせが含まれ得る。
【0021】
上部グラフェン膜102と下部グラフェン膜101との間には、複数の球状のナノ粒子106が含まれている。球状ナノ粒子106は、このようにグラフェン液体セル100の内部空間104内に存在する。球状ナノ粒子106は単層に配置されている。したがって、球状ナノ粒子106は、前述のグラフェン膜101、102間のスペーサーを機能的に構成する。
【0022】
球状ナノ粒子106は、グラフェン液体セル100の厚さ、特に最大厚さを画定する上で主要な役割を果たす。したがって、グラフェン液体セル100の厚さは、適切な直径を有する球状ナノ粒子106を使用することにより、目的の試料に適合させることができる。目的の試料に応じて、球状ナノ粒子106は、1ナノメートルと10マイクロメートルとの間の範囲の直径を有し得る。より具体的には、球状ナノ粒子106は、3マイクロメートル未満、さらには1マイクロメートル未満の直径を有し得る。さらに具体的には、球状ナノ粒子106は100nm未満の直径を有し得る。その場合、国際標準化機構(ISO)による、ナノ粒子とは、3つの直交次元がすべて100nm未満である離散的なナノ物体である、との定義に整合する。しかし、厚さ約800nmの球状ナノ粒子は、
図1に示したグラフェン液体セル100のようなグラフェン液体セルを得る上で満足のいく結果をもたらしている。したがって、ナノ粒子という用語は、本出願の文脈においては、広く解釈され得る。
【0023】
球状ナノ粒子106は、グラフェン液体セル100の長さおよび幅を含む横方向寸法を画定する役割を果たすこともある。球状ナノ粒子106が比較的高密度である場合、
図1に示されるように、上部グラフェン膜102は、いわば複数の球状ナノ粒子106に広がっている可能性がある。そのため、グラフェン液体セル100の内部空間104の少なくとも一部において、球状ナノ粒子106が50%から90%を占める場合がある。
【0024】
したがって、
図1に示したグラフェン液体セル100は、その中に球状ナノ粒子を含まずに形成された従来のグラフェン液体セルよりも、横方向寸法が著しく大きい場合がある。このような大きな横方向寸法は、グラフェン液体セル100内の試料の移動、歪み、凝集のための空間を残すことができる。このため、透過型電子顕微鏡やその他の画像化技術によって、このような動的なプロセスを画像化することができる。グラフェン液体セル100の横方向寸法は、10ナノメートルと50マイクロメートルとの間の範囲となり得る。
【0025】
このように、
図1に示されるグラフェン液体セル100においてスペーサーを機能的に構成する球状ナノ粒子106は、いくつかの利点を提供する。まず、球状ナノ粒子106はグラフェン液体セル100の厚みを制御する。さらに、球状ナノ粒子106により、従来のグラフェン液体セルと比較してグラフェン液体セル100の横方向寸法を大きくすることができる。最後に、球状ナノ粒子106は、グラフェン液体セルの製造工程において、適切なグラフェン液体セルの高い収率に寄与する可能性があることも判明している。全体として、球状ナノ粒子106はグラフェン液体セル100に対する制御を可能にするので、セルは、その中に含まれている試料に関してよりよく適合させることができる。
【0026】
例えば、目的の試料には、ナノメートルサイズ、通常は1nm未満の個々のタンパク質が含まれると仮定する。このような試料の場合、グラフェン液体セル100の適切なサイズは100nm×100nm×10nmの桁であり、100×100nmは横方向寸法、10nmは厚さである。別の例として、目的の試料には小胞やウイルスが含まれることがあり、これらの試料のサイズは数十ナノメートルの桁、例えば50nmと100nmとの間にある。このような試料の場合、グラフェン液体セル100の適切なサイズは300nm×300nm×100nmの桁であり、300nm×300nmは横方向寸法であり、100nmは厚さである。さらに別の例として、目的の試料には、異なる部分を有する生物学的細胞全体または複雑な試料が含まれる場合がある。このような試料の場合、グラフェン液体セル100の適切なサイズは1000nm×1000nm×500nmの桁であり、1000nm×1000nmは横方向寸法、500nmは厚さである。
【0027】
図2は、グラフェン液体セル200の調製物を示す図である。
図2は、グラフェン液体セル200の調製物の一部の上面写真を提供する。この部分は、比較的大きな複数のグラフェン液体セルからなる。グラフェン液体セルは、
図1に概略的に示され、本明細書で前述したグラフェン液体セル100と対応する構造を有し得る。
【0028】
図3は、グラフェン液体セル200の調製物のごく一部をより詳細に示している。
図3は、高倍率で撮影されたこの小さい部分の上面写真を提供する。同様の小さい部分は、
図2において白線の長方形によって示されている。
図3のクローズアップ写真は、比較的明るい丸い領域を示している。これらは球状のナノ粒子に対応する。暗い領域は、球状ナノ粒子の間に存在する液体に対応する。
【0029】
図2および
図3に示されるようなグラフェン液体セル200の調製物は、以下のようにして得ることができる。目的の試料を含む液体がすでに調製されているものと仮定し、以下、これを試料含有液と呼ぶ。さらに、TEM支持体は、まず多孔性支持体薄膜で被覆され、次に下部グラフェン膜が設けられているものとする。
【0030】
乾燥していてもよい球状ナノ粒子を試料含有液に添加し、混合することができる。従って、試料含有液中の球状ナノ粒子の分散液が得られ、以下、試料-ナノ粒子分散液と呼ぶ。先に説明したように、球状ナノ粒子は、形成対象のグラフェン液体セルの所望の厚さに依存する直径を有する。所望の厚さは、通常、目的の試料に関連する。球状ナノ粒子は、試料-ナノ粒子分散液中の球状ナノ粒子が適切な密度を有するように、試料含有液に添加される。先に説明したように、適切な密度は、形成対象のグラフェン液体セルの所望の横方向寸法に依存する。また、所望の横方向寸法は、通常は、目的の試料に関連する。
【0031】
別の実施形態では、まず、液体の球状ナノ粒子の分散液を別々に調製してもよい。次いで、この分散液を試料含有液に添加し、これらを互いに混合してもよい。球状ナノ粒子の適切な密度は、以下の要因を考慮して求めることができる。第1の要因は、最初に調製された分散液中の球状ナノ粒子の濃度に関する。第二の要因は、この分散液と、互いに混合される試料含有液との体積比に関する。これにより、球状ナノ粒子の濃度が、試料-ナノ粒子分散液中でどの程度希釈されるかが決定される。
【0032】
試料-ナノ粒子分散液は、TEM支持体上に存在する最下層のグラフェン膜上に堆積される。そのためには、国際公開第2021/123458号に記載されている技術を使用することができる。この技術によれば、試料-ナノ粒子分散液の液滴は、上部グラフェン膜を担持する。したがって、液滴をTEMグリッド上に存在する下部グラフェン膜上に堆積させると、液滴の少なくとも一部が上部グラフェン膜と下部グラフェン膜との間に挟まれる。その後、過剰量の試料-ナノ粒子分散液を、例えば吸収シートによって除去することができる。上部グラフェン膜と下部グラフェン膜が接触する。試料-ナノ粒子分散液のナノスケールのポケットが形成され、ナノスケールの体積の試料-ナノ粒子分散液が前述の2つのグラフェン膜の間にしっかりと封入される。これらのポケットはグラフェン液体セルを構成し、球状ナノ粒子は、
図1に示され、本明細書で前述したように、上部グラフェン膜と下部グラフェン膜との間のスペーサーを機能的に構成する。
【0033】
本明細書で前述した球状ナノ粒子は、例えば、物質のろ過や精製など、全く異なる目的のために開発された球状ナノ粒子であってもよい。球状ナノ粒子は、比較的高い表面積対体積比を有する。すなわち、球状ナノ粒子は、その体積に対して比較的大きい表面積を有する。実際、球形の直径を小さくすると、その表面積は体積に対して指数関数的に増大する。例えば、6mlのティースプーンを満たす直径10nmの量の球状ナノ粒子は、ダブルサイズのテニスコートの1ダースよりも表面積が大きい。表面積対体積比が比較的高いことから、球状ナノ粒子は物質のろ過や精製に特に適しており、医薬品有効成分としても適している。球状ナノ粒子は比較的大きな表面積を持つため、ろ過や精製に重要な周囲の物質との広範な相互作用が可能になり、また医薬品有効成分として望まれる高い溶解速度も可能になる。
【0034】
球状ナノ粒子は、無機材料の本体を有していてもよい。無機材料は、ポリマー、金属、金属酸化物、ケイ酸塩、およびセラミックから選択される少なくとも1つを含んでもよい。ポリマーとしては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、またはこれらの組み合わせが挙げられる。金属は、例えば、金、プラチナ、または合金である。
【0035】
球状ナノ粒子は、本体上に被覆を含んでもよい。被覆は有機材料を含んでもよい。有機材料は、グラフェン液体セル内に含まれる試料の少なくとも一部に対して親和性を有する。この親和性により、グラフェン液体セル内の液体中に試料が自由に浮遊するのではなく、これらの試料に固定効果を与えることができる。この固定効果により、試料が液体セル壁と相互作用して、例えばグラフェンに付着することを防ぐことができる。抗体やタンパク質は、このような固定効果をもたらす有機材料の一例であり、球状ナノ粒子の本体上の被覆に含まれ得る。
【0036】
図4は、微細加工ベース402によって支持されたグラフェン液体セル401を概略的に示している。
図4は、微細加工ベース402によって支持されたグラフェン液体セル401の概略断面図を提供する。微細加工ベース402は、例えば、電子ビームリソグラフィ、フォトリソグラフィおよび集束イオンビームミリングのうちの少なくとも1つの技術によって微細加工されたシリコンベースのチップの形態とすることができる。微細加工ベース402は、例えば、TEM画像化プラットフォーム、ラボオンチップデバイス、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)、ならびに他のタイプのナノデバイスおよびマイクロデバイスの一部を形成することができる。
【0037】
本実施形態では、上部グラフェン膜403が、この薄膜の縁部において微細加工ベース402によって支持されている。同様に、下部グラフェン膜404は、この薄膜の縁部において微細加工ベース402によって支持されている。前述の2つのグラフェン薄膜403、404はそれぞれ、グラフェン液体セル401の上部シールおよび下部シールを形成しており、グラフェン液体セルは微細加工ベース402の側縁部405によってさらに区切ることができる。前述の実体により、グラフェン液体セル401の内部空間406が画定される。
図1に例示したグラフェン液体セル100と同様に、この内部空間406は、目的の試料を含む液体407で満たすことができる。側縁部405は、内部空間406への流体の流入、または流体の流出、あるいはその両方を可能にする少なくとも1つのオリフィスを提供することができる。
【0038】
本実施形態においても、上部グラフェン膜403と下部グラフェン膜404との間に複数の球状ナノ粒子408が含まれている。球状ナノ粒子408は前述のグラフェン膜403、404間のスペーサーを機能的に構成する。球状ナノ粒子408はまた、
図4に示されるグラフェン液体セル401の厚さを画定する主要な役割を果たすことができる。球状ナノ粒子408はさらに、グラフェン液体セル401の形状を画定する上で主要な役割を果たすことができる。したがって、球状ナノ粒子408は、微細加工ベース402によって支持されるグラフェン液体セル401の厚みに対する制御を提供するとともに、グラフェン液体セル401の形態に対する制御を提供することができる。
【0039】
(注意事項)
図面を参照して前述した実施形態は、例示のために提示されたものである。本発明は、多数の異なる方法で実施することができる。これを説明するために、いくつかの選択肢を簡単に示す。
【0040】
本発明は、薄膜ベースのアセンブリに関連する数多くの種類の製品または方法に適用することができる。提示した実施形態では、薄膜ベースのアセンブリは、薄膜がグラフェンからなるグラフェン液体セルの形態である。他の実施形態では、薄膜は、別の材料、例えば、他のいわゆる二次元材料、例えば、六方晶窒化ホウ素、二次元材料の複数の層のスタック、または窒化ケイ素膜もしくはアモルファス炭素膜のような他の薄い(10nmまで)材料を含んでもよい。薄膜の厚さは10nm未満、より具体的には5nm未満、さらに具体的には2nm未満、さらに具体的には1nm未満である。薄膜は無孔質であってもよい。
【0041】
本発明による薄膜ベースのアセンブリは、試料分析、より具体的には透過型電子顕微鏡による試料分析を含むものの、これらに限定されない多数の異なる目的に役立てることができる。例えば、本発明による薄膜ベースのアセンブリは、気体または液体であってもよい流体が流れる2つの薄膜表面の間の空間を画定するために使用することができる。薄膜ベースのアセンブリがセルを含む実施形態では、これらは、例示のために説明してきたグラフェン液体セル以外のものであってもよい。
【0042】
薄膜ベースのアセンブリでは、少なくとも1つのナノ粒子がスペーサーを機能的に構成するが、これは、試料が1つまたは複数のナノ粒子と共同でスペーサーを機能的に構成する実施形態を排除するものではない。これは特に、例えば本明細書で前述したように、異なる部分を有する生物細胞全体または複雑な試料など、試料が比較的大きい実施形態に適用される。例えば、約5マイクロメートルの横方向寸法と約1マイクロメートルの高さとを有する生物学的細胞は、約1マイクロメートルの厚さを有する数個のナノ粒子によって取り囲むことができる。これらは共同して、グラフェン液体セルまたは別の形態の薄膜ベースのアセンブリにおけるスペーサーを機能的に構成することができる。
【0043】
本発明に従って薄膜ベースのアセンブリを実施する多数の異なる方法が存在する。本明細書に提示された実施形態では、薄膜ベースのアセンブリは、薄膜によって封入された液体と、さらなる薄膜を含むことができる支持ベースとを含む。他の実施形態では、薄膜ベースのアセンブリは、例えば、支持ベース上の薄膜の広がりを容易にするために球状ナノ粒子が採用されるので、液体を含む必要がない。このような実施形態では、例えば、測定に影響を与える可能性のある薄膜と接触している基板を必要とせずに、薄膜の導電率を測定することができる。薄膜は、支持ベースと接触しているのではなく、スペーサーを機能的に構成する球状ナノ粒子と接触しているため、より真に近い測定を行うことができる。すなわち、球状ナノ粒子は、薄膜の電気的特性だけでなく、他の特性にも、支持ベースが接触している場合よりもかなり少ない程度しか影響を与えないことが可能である。この例はまた、薄膜ベースのアセンブリにおいて、支持ベースがさらなる薄膜を含む必要がないことも示している。
【0044】
本発明に従って薄膜ベースのアセンブリを形成する多数の異なる方法が存在する。前述したように、液体の球状ナノ粒子の分散液を支持ベースに添加してもよい。別の例として、球状ナノ粒子を支持ベース上に噴霧してもよい。これらの球状ナノ粒子は乾燥していてもよい。支持ベースの表面特性をパターン化することは、支持ベース上の球状ナノ粒子の特定の分布を得るのに役立つ可能性がある。
【0045】
ナノ粒子の形容詞として用いられる「球状」という用語は、広く解釈されるべきである。この用語は、薄膜ベースのアセンブリが画定的に形成される前に、ナノ粒子が支持ベース上でいわば転動することを可能にするあらゆる形状を包含する。例えば、
図3に示した写真は、球状のナノ粒子が完全な球状である必要はなく、ほぼ完全な球状である必要もないことを示している。
【0046】
本明細書で述べたことは、図面を参照して説明した実施形態が、本発明を限定するのではなく、本発明を説明するものであることを示している。本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲内にある多数の代替的な方法で実施することができる。特許請求の範囲の同等の意味および範囲内に入るすべての変更は、その範囲内に包含される。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。特許請求の範囲における動詞「含む(comprise)」は、特許請求の範囲に記載された要素以外の他の要素や他のステップの存在を排除するものではない。「含む(include)」や「含む(contain)」などの類似の動詞についても同様である。製品に係るクレームにおいて単数形の要素を記載することは、製品が複数の当該要素を含む可能性を排除するものではない。同様に、方法に係る請求項においてステップを単数形で記載することは、当該方法がそのような複数のステップを含む可能性を排除するものではない。それぞれの従属請求項がそれぞれの追加的特徴を画定しているという単なる事実は、請求項に反映されている以外の追加的特徴の組み合わせを排除するものではない。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜ベースのアセンブリ(100;401、402)であって、
支持ベース(101;404)と、
前記支持ベースの上に配置された、厚さが10nm未満の薄膜(102;403)と、を含み、前記薄膜ベースのアセンブリは、
前記薄膜と前記支持ベースとの間に含まれ
る少なくとも1つの球状ナノ粒子(106;408)であって、前記少なくとも1つの球状ナノ粒子は、前記薄膜ベースのアセンブリが画定的に形成される前に前記支持ベースの上で転動することが可能な形状を有するとともに、前記薄膜と前記支持ベースとの間のスペーサーを機能的に構成している、少なくとも1つの球状ナノ粒子(106;408)を含む、薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの球状ナノ粒子(106;408)は、1ナノメートルと1マイクロメートルとの間の範囲の直径を有する、請求項1に記載の薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項3】
複数の球状ナノ粒子(106;408)が、前記薄膜(102;403)と前記支持ベース(101;404)との間の空間(104;406)の少なくとも一部において50%から90%を占める、請求項1または2に記載の薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項4】
前記支持ベース(101)と局所的に接触している前記薄膜(102)によって形成された周縁部(103)を有するセルを含み、前記少なくとも1つの球状ナノ粒子(106)が前記セルの厚さを画定する、請求項1~3のいずれか1項に記載の薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項5】
前記セルは、横方向寸法が10ナノメートルから50マイクロメートルの範囲にある、請求項4に記載の薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項6】
前記セルは、液体(105)を含む、請求項4または5に記載の薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項7】
前記セルは、分析対象の試料を含む、請求項4~6のいずれか1項に記載の薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項8】
前記支持ベース(101;404)がさらなる薄膜を含み、前記少なくとも1つの球状ナノ粒子(106;408)が前記薄膜(102;403)と前記さらなる薄膜との間のスペーサーを機能的に構成する、請求項1~7のいずれか1項に記載の薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの球状ナノ粒子(106;408)は、無機材料の本体を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項10】
前記無機材料は、ポリマー、金属、金属酸化物、ケイ酸塩、およびセラミックのうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの球状ナノ粒子(106;408)は、前記本体の上の被覆を含む、請求項9または10に記載の薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項12】
前記被覆は、有機材料を含む、請求項11に記載の薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項13】
前記有機材料は、前記セル内に含まれている前記試料に対して親和性を有し、該親和性は、前記セル内の前記試料に対して固定効果を有する、請求項7および12に記載の薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項14】
前記有機材料は、抗体およびタンパク質のうちの少なくとも1つを含む、請求項13に記載の薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項15】
前記薄膜(102;403)は、グラフェンを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の薄膜ベースのアセンブリ。
【請求項16】
前記セル内に含まれている前記試料を分析するための請求項7に記載の薄膜ベースのアセンブリの使用。
【請求項17】
支持ベースの上で転動することが可能な形状を有する、球状ナノ粒子(106;408)を
前記支持ベース(101、404)の上に配置するステップと、
前記支持ベースの上に薄膜(102;403)を配置するステップであって、前記薄膜は、10nm未満の厚さを有し、前記薄膜は、少なくとも1つの球状ナノ粒子が前記薄膜と前記支持ベースとの間に含まれるように前記支持ベースの上に配置され、これにより、前記少なくとも1つの球状ナノ粒子が前記薄膜と前記支持ベースとの間のスペーサーを機能的に構成するように、前記支持ベースの上に薄膜を配置するステップと、を含む、薄膜ベースのアセンブリの形成方法。
【請求項18】
前記薄膜(102)を前記支持ベース(101)と局所的に接触させることによりセルを形成し、少なくとも1つの球状ナノ粒子(106)が前記セルの厚さを画定する、請求項17に記載の薄膜ベースのアセンブリの形成方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの球状ナノ粒子(106;408)は、分析対象の試料とともに前記支持ベース(101、404)の上に配置され、これにより、前記少なくとも1つの球状ナノ粒子と前記試料とが1つの媒体(105、407)中に含まれるようにする、請求項17または18に記載の薄膜ベースのアセンブリの形成方法。
【国際調査報告】