(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】ガス吸着分離システム
(51)【国際特許分類】
B01D 53/04 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
B01D53/04 220
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501488
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 CN2022120437
(87)【国際公開番号】W WO2023124291
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111611555.6
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519323403
【氏名又は名称】サザン・ユニバーシティ・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー
【氏名又は名称原語表記】Southern University of Science and Technology
(74)【代理人】
【識別番号】100104226
【氏名又は名称】須原 誠
(72)【発明者】
【氏名】リィゥ ウェイシュ
(72)【発明者】
【氏名】ヂュ カン
(72)【発明者】
【氏名】ドン ビャォ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ユーポン
【テーマコード(参考)】
4D012
【Fターム(参考)】
4D012BA01
4D012BA03
4D012CA03
4D012CA07
4D012CB16
4D012CD04
4D012CG01
4D012CH10
4D012CK02
(57)【要約】
少なくとも2つの吸着機構10、少なくとも1つの熱電変換器20、少なくとも2つの供給機構及び少なくとも2つの排出機構を備えたガス吸着分離システムであって、各吸着機構10は2つずつ隣接して配置されており、隣接する2つの吸着機構10はそれぞれ吸着段階及び再生段階に交互に存在することができる。熱電変換器は、隣接する2つの吸着機構の間に配置されており、電流の流れ方向を変えることによって吸着段階における吸着機構から熱を取り出して、再生段階における吸着機構に熱を伝達するために用いられる。供給機構は、混合ガスを吸着機構に供給するために用いられる。排出機構は、再生段階における吸着機構によって排出された吸着質を排出するため、及び、吸着段階における吸着機構によって排出された混合ガス中の、吸着質を除いた残留ガスを排出するために用いられる。熱電変換器を介して隣接する2つの吸着機構の間の熱結合を実現することにより、再生段階で必要な熱が2つの吸着機構の間を往復し、熱の多重利用が実現され、エネルギー消費が削減される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの吸着機構、少なくとも1つの熱電変換器、少なくとも2つの供給機構及び少なくとも2つの排出機構を備えたガス吸着分離システムであって、
少なくとも2つの前記吸着機構は2つずつ隣接して配置されており、隣接する2つの前記吸着機構はそれぞれ吸着段階及び再生段階に交互に存在することができ、前記吸着機構は、吸着段階において混合ガス中の吸着質を吸着し、再生段階において吸着された吸着質を脱着し、
前記熱電変換器は、隣接する2つの前記吸着機構の間に配置されており、電流の流れ方向を変えることによって吸着段階における吸着機構から熱を取り出して、再生段階における吸着機構に熱を伝達するために用いられ、
前記供給機構は、混合ガスを前記吸着機構に供給するために用いられ、
前記排出機構は、再生段階における吸着機構によって排出された吸着質を排出するため、及び、吸着段階における吸着機構によって排出された混合ガス中の、吸着質を除いた残留ガスを排出するために用いられることを特徴とするガス吸着分離システム。
【請求項2】
前記吸着機構は、供給端、第1排出端及び第2排出端を有し、前記供給機構は、前記供給端に接続されており、混合ガスを前記吸着機構に供給するための供給バルブを含み、前記排出機構は、第1排出バルブ及び第2排出バルブを含み、前記第1排出バルブは、前記第1排出端に接続されており、再生段階における吸着機構によって排出された吸着質を排出するために用いられ、前記第2排出バルブは、前記第2排出端に接続されており、吸着段階における吸着機構によって排出された混合ガス中の、吸着質を除いた残留ガスを排出するために用いられることを特徴とする請求項1に記載のガス吸着分離システム。
【請求項3】
前記吸着段階では、前記供給バルブ及び前記第2排出バルブが開いており、前記第1排出バルブが閉じており、前記再生段階では、前記供給バルブ及び前記第2排出バルブが閉じており、前記第1排出バルブが開いていることを特徴とする請求項2に記載のガス吸着分離システム。
【請求項4】
隣接する2つの吸着機構のうち、一方の前記吸着機構の吸着段階の吸着時間が他方の前記吸着機構の再生段階の再生時間より長い場合には、他方の前記吸着機構の再生段階の前に加熱段階が追加され、且つ、他方の前記吸着機構の再生段階の再生時間と追加された加熱段階の加熱時間との和が、一方の前記吸着機構の吸着段階の吸着時間と等しくなるようにされ、一方の前記吸着機構の吸着段階では、当該一方の前記吸着機構に対応する前記供給バルブ及び前記第2排出バルブが開いた状態に維持され、前記第1排出バルブが閉じた状態に維持され、他方の前記吸着機構の再生段階の前に追加された加熱段階では、当該他方の前記吸着機構に対応する供給バルブ、第1排出バルブ及び第2排出バルブが閉じた状態に維持され、
隣接する2つの吸着機構のうち、一方の前記吸着機構の再生段階の再生時間が他方の前記吸着機構の吸着段階の吸着時間より長い場合には、他方の前記吸着機構の吸着段階の前に冷却段階が追加され、且つ、他方の前記吸着機構の吸着段階の吸着時間と追加された冷却段階の冷却時間との和が、一方の前記吸着機構の再生段階の再生時間と等しくなるようにされ、一方の前記吸着機構の再生段階では、当該一方の前記吸着機構に対応する前記供給バルブ及び前記第2排出バルブが閉じた状態に維持され、前記第1排出バルブが開いた状態に維持され、他方の前記吸着機構の吸着段階の前に追加された冷却段階では、当該他方の前記吸着機構に対応する供給バルブ、第1排出バルブ及び第2排出バルブが閉じた状態に維持されることを特徴とする請求項2に記載のガス吸着分離システム。
【請求項5】
前記吸着機構及び前記熱電変換器はそれぞれ3つあり、3つの前記吸着機構は円周状に配置されており、3つの前記熱電変換器はそれぞれ隣接する2つの前記吸着機構の間に配置されており、
3つの前記吸着機構は、時計回りに吸着段階、冷却段階及び再生段階に順に存在し、再生段階以外にある2つの吸着機構の熱が、再生段階にある吸着機構と隣接する2つの熱電変換器によって取り出されて当該再生段階にある吸着機構に伝達される、
又は、
3つの前記吸着機構は、時計回りに吸着段階、加熱段階及び再生段階に順に存在し、吸着段階にある吸着機構の熱が、吸着段階にある吸着機構と隣接する2つの熱電変換器によって取り出されて残りの2つの吸着機構にそれぞれ伝達されることを特徴とする請求項1に記載のガス吸着分離システム。
【請求項6】
前記吸着機構及び前記熱電変換器はそれぞれ4つあり、吸着段階にある吸着機構の吸着温度と再生段階にある吸着機構の再生温度との差が予め設定された温度差範囲より大きい場合には、前記吸着段階が吸着前期段階及び吸着後期段階に分けられ、前記再生段階が再生前期段階及び再生後期段階に分けられ、4つの前記吸着機構は、円周状に配置されており、それぞれ円周方向に沿って吸着前期段階、再生前期段階、吸着後期段階及び再生後期段階に交互に存在することができ、吸着前期段階にある吸着機構の熱が、吸着前期段階にある吸着機構と再生後期段階にある吸着機構との間の前記熱電変換器によって取り出されて再生後期段階にある吸着機構に伝達され、吸着後期段階にある吸着機構の熱が、吸着後期段階にある吸着機構と再生前期段階にある吸着機構との間の前記熱電変換器によって取り出されて再生前期段階にある吸着機構に伝達されることを特徴とする請求項1に記載のガス吸着分離システム。
【請求項7】
前記吸着機構は平板形吸着機構又は環状吸着機構であり、前記熱電変換器は平板形熱電変換器又は環状熱電変換器であることを特徴とする請求項1に記載のガス吸着分離システム。
【請求項8】
前記吸着機構は、吸着床、及び、前記吸着床の内部に挿入された熱交換器を含み、前記熱交換器と前記熱電変換器とが熱的接触を保たれていることを特徴とする請求項1に記載のガス吸着分離システム。
【請求項9】
前記熱電変換器は、第1基底部、第2基底部及び熱電ユニットを含み、前記第1基底部及び前記第2基底部は、熱電ユニットを絶縁するために、前記熱電ユニットの両側に配置されており、また、隣接する2つの前記吸着機構に対して熱を伝達するために、前記吸着床と熱的接触を保たれており、前記熱電ユニットは、複数のP型熱電ユニット及び複数のN型熱電ユニットを含み、複数の前記P型熱電ユニットと複数の前記N型熱電ユニットとが交互に直列接続されていることを特徴とする請求項1に記載のガス吸着分離システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー化学工学プロセスにおけるガス分離及び熱電変換の技術分野に関し、特にガス吸着分離システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガス吸着分離技術は、異なるガスに対する吸着剤の吸着能力の違いを利用して混合ガスを分離する技術であり、低濃度ガスやバイオガスなどの天然ガスの精製、産業排ガスから二酸化炭素の回収及び空気浄化(揮発性有機化合物の除去)などのプロセスにおいて幅広く使用されている。制御条件の違いによって、ガス吸着プロセスは、温度スイング吸着(Temperature Swing Adsorption、略称TSA)、圧力スイング吸着(Pressure Swing Adsorption、略称PSA)及び真空スイング吸着(Vacuum Swing Adsorption、略称VSA)などの方式に分けられ得る。完全な吸着分離周期には、吸着と脱着(再生)との2つの段階が含まれるが、一部のより複雑な吸着プロセスでは、冷却や加熱などの追加段階も含まれる。バイオガス精製の温度スイング吸着プロセスを例とすると(
図1及び
図2に示す)、吸着床1の温度の周期的振動と、入口バルブ3、第1出口バルブ4及び第2出口バルブ5の対応する動作とを制御することにより、混合ガスの周期的な分離及び精製を実現することができる。利用可能な廃熱がある場合は、再生段階では高温ガス吹き込みや熱交換器の間接加熱などの方法で吸着床に対する加熱昇温を行い、吸着段階(又は冷却段階)では冷ガス吹き込みの方法で吸着床に対する冷却を行うことができる。利用可能な廃熱がない場合は、電気加熱(電熱線2)やガス加熱などの能動的エネルギー消費方法によって再生プロセスを促進する必要がある。
【0003】
温度スイング吸着のプロセスにおいて、各脱着段階で吸着床に対する加熱昇温を行う必要があり、各再生段階で吸着床を冷却する必要があるが、これによって次の2つの問題が生じる。
(1)再生段階で吸着床に供給された熱は、次の吸着段階で環境中に直接放散されるため、多大なエネルギー損失が発生し、吸着分離プロセスがエネルギー多消費のプロセスとなる。
(2)吸着剤は伝熱性能が低い多孔質媒体であるため、熱が素早く出入りすることが困難であり、その結果、再生段階が過度に長く、吸着段階のデューティサイクルが低くなり、そのため、混合ガスの平均分離速度が低くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的問題は、エネルギー消費を削減できるガス吸着分離システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願は、少なくとも2つの吸着機構、少なくとも1つの熱電変換器、少なくとも2つの供給機構及び少なくとも2つの排出機構を備えたガス吸着分離システムを提供する。
【0006】
少なくとも2つの前記吸着機構は2つずつ隣接して配置されており、隣接する2つの前記吸着機構はそれぞれ吸着段階及び再生段階に交互に存在することができる。前記吸着機構は、吸着段階において混合ガス中の吸着質を吸着し、再生段階において吸着された吸着質を脱着する。
【0007】
前記熱電変換器は、隣接する2つの前記吸着機構の間に配置されており、電流の流れ方向を変えることによって吸着段階における吸着機構から熱を取り出して、再生段階における吸着機構に熱を伝達するために用いられる。
【0008】
前記供給機構は、混合ガスを前記吸着機構に供給するために用いられる。
【0009】
前記排出機構は、再生段階における吸着機構によって排出された吸着質を排出するため、及び、吸着段階における吸着機構によって排出された混合ガス中の、吸着質を除いた残留ガスを排出するために用いられる。
【発明の効果】
【0010】
上記実施形態のガス吸着分離システムによれば、吸着段階における吸着機構の熱が熱電変換器によって再生段階における吸着機構に伝達されることで、ガスの吸着分離プロセスを実現することができる。また、熱電変換器を介して2つの吸着機構の間の熱結合を実現することにより、再生段階で必要な熱が2つの吸着機構の間を往復し、これによって、熱の多重利用が実現され、吸着分離プロセスにおけるエネルギー消費が削減される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】従来技術におけるガス吸着分離装置の概略構成図である。
【
図2】従来技術におけるガス吸着分離装置の吸着等温線である。
【
図3】実施形態1におけるガス吸着分離システムの概略構成図である。
【
図4】実施形態1におけるガス吸着分離システムの吸着等温線である。
【
図5】実施形態2におけるガス吸着分離システムの概略構成図である。
【
図6】実施形態2におけるガス吸着分離システムの吸着等温線である。
【
図7】実施形態3におけるガス吸着分離システムの概略構成図である。
【
図8】実施形態3におけるガス吸着分離システムの吸着等温線である。
【
図9】本実施形態に係るガス吸着分離システムの1つの実施形態における吸着機構の概略構成図である。
【
図10】本実施形態に係るガス吸着分離システムの1つの実施形態における熱電変換器の概略構成図である。
【
図11】本実施形態に係るガス吸着分離システムのもう1つの実施形態における吸着機構の概略構成図である。
【
図12】本実施形態に係るガス吸着分離システムのもう1つの実施形態における熱電変換器の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、具体的な実施形態を通じて図面とともに本発明をさらに詳細に説明する。異なる実施形態における類似の部品に関しては、関連する類似の部品符号が採用されている。以下の実施形態における多くの詳細な説明は、本発明をよりよく理解できるためのものである。しかしながら、当業者は、特徴の一部について異なる状況で省略できること、又は他の部品、材料及び方法によって置換できることを容易に認識することができる。本発明のコアな部分が過剰な記載によって埋もれてしまうことを回避するために、本発明に係る一部の操作について明細書に示していない、又は説明していない場合がある。当業者にとって、これらの関連する操作について詳細に説明する必要がなく、当業者は、本明細書の記載及び当該分野における一般的な技術知識に従って、関連する操作を十分に理解することができる。
【0013】
なお、本明細書に記載の特性、操作又は特徴については、任意の適切な方法で組み合わせて様々な実施形態を形成することができる。また、方法の記載における各ステップ又は動作についても、当業者にとって自明な方法で順序交替又は調整することができる。従って、明細書及び図面における各順序は、1つの実施形態を明確に説明するためだけにすぎず、特定の順序に従わなければならないことを特に明記していない限り、必須の順序を意味するものではない。
【0014】
「第1」、「第2」などのような本明細書における部品の番号自体は、記載の対象を区別するためにのみ使用されており、いかなる順序又は技術的な意味を有さない。なお、本発明に記載の「接続」は、特別な説明がない限り、直接的及び間接的な接続を含む。
【0015】
本発明の実施形態では、熱電変換器の熱電変換技術が採用され、熱電変換技術とガス吸着分離技術とが連結されている。熱電変換技術は、固体媒体において熱エネルギーと電気エネルギーとの直接変換を実現する技術であり、一定の温度差又は入力電流の作用において、電荷担体(電子又は正孔)の特定方向への移動により、発電及び冷却(ヒートポンプ)の機能がそれぞれ実現され得る。従来の熱機関と比較すると、熱電システムにおける電荷担体の移動は、従来の発電又は冷却(ヒートポンプ)システムにおける作動媒体(水蒸気や冷媒など)の流れと同等であり、圧縮機や液体ポンプなどの可動部品が必要でないため、長サイクル寿命、低メンテナンスコスト、ゼロエミッション、動作時の騒音や振動がないなどの利点がある。発電の分野では、熱電変換技術が20世紀60年代以来、宇宙探査ミッションにおける唯一の長サイクル寿命の給電ソリューションとして使用されてきた。近年、熱電材料の性能が向上し、世界のエネルギー・環境情勢が日々厳しさを増す中、学術界及び産業界では自動車の排気ガスや産業システムの廃熱回収などの場面における熱電変換技術の使用が模索され始めている。ヒートポンプ(冷却)の分野では、熱電変換技術は、チップの放熱、赤外線イメージング、科学機器の温度制御及び小型移動式冷却装置などにおいて大きな応用価値を示しており、熱電冷却素子の需要は年間1.8億台に達している。熱電素子は小型で応答が速いという特徴を有するため、ヒートポンプとして使用されるときに、給電電流の流れる方向を切り替えることで熱の逆流を迅速に実現することができる。従って、熱電素子は、周期的な温度変動特性を有する産業プロセスにおいてエネルギー管理ソリューションとして省エネ・コスト削減を実現できる。
【0016】
<実施形態1>
図3及び
図4を参照されたい。実施形態1は、少なくとも2つの吸着機構10、少なくとも1つの熱電変換器20、少なくとも2つの供給機構及び少なくとも2つの排出機構を備えたガス吸着分離システムを提供する。
【0017】
各吸着機構10は2つずつ隣接して配置されており、隣接する2つの吸着機構10はそれぞれ吸着段階及び再生段階に交互に存在することができる。
図4に示すように、隣接する2つの吸着機構10のうち、一方の吸着機構10が吸着段階にある場合には他方の吸着機構10は再生段階にあり、一方の吸着機構10が再生段階にある場合には他方の吸着機構10は吸着段階にある。
図4に示す再生段階と吸着段階との継続時間は同じである。
【0018】
各吸着機構10は、1つの供給機構及び1つの排出機構に対応している。実施形態1では、各吸着機構10は吸着段階において混合ガス中の吸着質を吸着することができ、各吸着機構10は再生段階において吸着された吸着質を脱着することができる。供給機構は、対応する吸着機構10に混合ガスを供給するために用いられる。当該混合ガスには、吸着機構10によって吸着可能な吸着質と、混合ガス中の、吸着質を除いた他のガスとが含まれる。排出機構は、再生段階における吸着機構10によって排出された吸着質を排出するため、及び、吸着段階における吸着機構10によって排出された混合ガス中の、吸着質を除いた残留ガスを排出するために用いられる。
【0019】
吸着段階における吸着機構10が吸着質を吸着するプロセスにおいて、吸着機構10を冷却する必要がある。そのためには、外部からの冷却や送風の方法を利用するのが一般的である。再生段階における吸着機構10が吸着質を脱着するプロセスにおいて、吸着機構10を加熱する必要がある。そのためには、廃熱又は能動的加熱の方法を利用するのが一般的である。エネルギー消費を節約するという目的を達成するために、実施形態1では熱電変換技術が採用されている。熱電変換器20内の電流の流れによって熱が奪われる原理を利用して、吸着段階における吸着機構10から熱を取り出して、再生段階における吸着機構10に当該熱を伝達することにより、吸着段階における吸着機構10を冷却し、再生段階における吸着機構10を加熱するという目的が達成され、各吸着段階及び各再生段階での無駄なエネルギー損失問題が回避され、エネルギー消費が削減される。また、当該熱電変換技術により、熱伝達率も向上し、さらに、吸着段階のデューティサイクルが増加する。
【0020】
一部の実施形態では、吸着機構10の内部には、吸着剤が充填されている。当該吸着剤としては、固体吸着剤が好ましく、通常、シリカゲル、活性炭、モレキュラーシーブ等がより好ましい。気体分子が固体吸着剤の表面に移動すると、固体吸着剤表面の原子の残留引力の作用により、気体中の吸着質分子は一時的に固定吸着剤の表面に留まり、温度が低下するにつれて、固体吸着剤の表面上にあるこれらの分子は、濃度が増加することで吸固体吸着剤に吸着される。この過程が吸着機構10の吸着段階となる。逆に、温度が上昇すると、吸着質分子は固体吸着剤の表面から脱着して析出する。この過程が吸着機構10の再生段階となる。
【0021】
以下の実施形態における混合ガスについてバイオガスを例として、吸着剤としてPEI SiO2を採用して説明する。また、以下の実施形態では、2つの吸着機構10及び1つの熱電変換器20が配置されており、各吸着機構10には1つの供給機構及び1つの排出機構が配置されている。
【0022】
バイオガスには主にメタン及び二酸化炭素が含まれており、吸着機構10は、主に二酸化炭素を吸着し、吸着過程でメタンを排出してメタンと二酸化炭素とを分離する。まず、一方の供給機構は対応する吸着機構10にバイオガスを供給する。バイオガス中の二酸化炭素が吸着機構10によって吸着され、吸着機構10が飽和状態に達して再生段階に移行できるようになるときに、他方の供給機構は対応する吸着機構10にバイオガスを供給する。バイオガス中の二酸化炭素が他方の吸着機構10によって吸着されるプロセスにおいて、他方の吸着機構10の熱は、熱電変換器20によって取り出されて一方の吸着機構10に伝達される。すなわち、吸着段階における吸着機構10の熱が再生段階における吸着機構10に伝達され、このとき、一方の吸着機構が再生段階となり、他方の吸着機構が吸着段階となる。プロセスの進行につれて、他方の吸着機構10が飽和状態に達して再生段階に移行できるようになるときに、一方の吸着機構10が吸着質を完全に脱着して吸着段階に移行できるようになり、上記のプロセスが繰り返される。このように往復サイクルが行われると、エネルギーの無駄が回避され、熱伝達率が向上し、吸着段階のデューティサイクルが増加する。
【0023】
引き続き
図1を参照されたい。各吸着機構10は、供給端、第1排出端及び第2排出端を有する。各供給機構は、吸着機構10の供給端に接続されており、吸着機構10に混合ガスを供給するための供給バルブ31を含む。排出機構は、第1排出バルブ41及び第2排出バルブ42を含む。第1排出バルブ41は、吸着機構10の第1排出端に接続されており、再生段階における吸着機構10によって排出された吸着質を排出するために用いられる。第2排出バルブ42は、吸着機構10の第2排出端に接続されており、吸着段階における吸着機構10によって排出された混合ガス中の、吸着質を除いた残留ガスを排出するために用いられる。
【0024】
実施形態1では、2つの供給バルブ31は、1つの供給管310を共用しており、2つの供給バルブ31が開閉することにより対応する吸着機構10にガスを供給することができる。2つの第1排出バルブ41は、1つの第1排出管410を共用しており、2つの第1排出バルブ41が開閉することにより対応する吸着機構10によって排出された吸着質を排出することができる。2つの第2排出バルブ42は、1つの第2排出管420を共用しており、2つの第2排出バルブ42が開閉することにより対応する吸着機構10によって排出された残留ガスを排出することができる。
【0025】
吸着機構10が吸着段階にあるとき、吸着機構10に対応する供給バルブ31及び第2排出バルブ42は開いた状態にあり、これにより、混合ガスが供給バルブ31を介して吸着機構10に提供され、残留ガスが第2排出バルブ42を介して排出される。吸着質が吸着機構10によって吸着されるように、吸着機構10に対応する第1排出バルブ41は閉じた状態となる。吸着機構10が吸着段階から再生段階に切り替わる際には、吸着機構に対応する供給バルブ31及び第2排出バルブ42が閉じて、吸着機構10への混合ガスの供給を停止するとともに、吸着機構10から脱着された吸着質の、第2排出バルブ42からの排出を防止する。吸着機構10から脱着された吸着質が第1排出バルブ41から排出されるように、吸着機構10に対応する第1排出バルブ41が開く。
【0026】
吸着段階の吸着時間と再生段階の再生時間とが異なる場合には、吸着段階と再生段階とは良好にマッチすることができない。そのため、2つの吸着機構の冷却時間の合計と加熱昇温時間の合計とが等しくなるように、吸着段階の前に冷却段階を追加する、又は、再生段階の前に加熱段階を追加することで補うことができる。
【0027】
図3に示すように、隣接する2つの吸着機構10のうち、一方の吸着機構10の吸着段階の吸着時間が他方の吸着機構10の再生段階の再生時間より長い場合には、他方の吸着機構10の再生段階の前に加熱段階が適宜追加され、且つ、他方の吸着機構10の再生段階の再生時間と追加された加熱段階の加熱時間との和が、一方の吸着機構10の吸着段階の吸着時間と等しくなるようにされる。他方の吸着機構10の再生段階の前に追加される加熱段階のプロセスにおいて、他方の吸着機構10に対応する供給バルブ31、第1排出バルブ41、第2排出バルブ42は閉状態に維持される。一方では、上述した一方の吸着機構10の吸着段階全体において、一方の吸着機構10に対応する供給バルブ31及び第2排出バルブ42は開状態に維持され、第1排出バルブ41は閉状態に維持される。このように、一方の吸着機構10の熱が熱電変換器20によって取り出されて他方の吸着機構10に伝達され、さらに、他方の吸着機構10の再生段階の前に加熱段階が追加され、他方の吸着機構10が加熱されて温度上昇する。
【0028】
引き続き
図3を参照されたい。隣接する2つの吸着機構10のうち、一方の吸着機構10の再生段階の再生時間が他方の吸着機構10の吸着段階の吸着時間より長い場合には、他方の吸着機構10の吸着段階の前に冷却段階が追加され、且つ、他方の吸着機構10の吸着段階の吸着時間と追加された冷却段階の冷却時間との和が、一方の吸着機構10の再生段階の再生時間と等しくなるようにされる。他方の吸着機構10の吸着段階の前に追加される冷却段階のプロセスにおいて、他方の吸着機構10に対応する供給バルブ31、第1排出バルブ41、第2排出バルブ42は閉状態に維持される。一方では、上述した一方の吸着機構10の再生段階全体において、一方の吸着機構10に対応する供給バルブ31及び第2排出バルブ42は閉状態に維持され、第1排出バルブ41は開状態に維持される。このように、他方の吸着機構10の熱が熱電変換器20によって取り出されて一方の吸着機構10に伝達され、さらに、他方の吸着機構10の吸着段階の前に冷却段階が追加され、他方の吸着機構10が冷却される。
【0029】
図9及び
図11を参照されたい。吸着機構10は、平板形吸着機構であってもよく、環状吸着機構であってもよい。平板形吸着機構は円周状又は2つずつ隣接して配置されてよく、環状吸着機構は同軸上に配置されてよい。
図10及び
図12を参照されたい。熱電変換器20は、平板形熱電変換器であってもよく、環状熱電変換器であってもよい。平板形熱電変換器は、隣接する2つの平板形吸着機構の間に配置され、環状熱電変換器は、同軸上に且つ隣接する2つの環状吸着機構の間に配置されている。
【0030】
各吸着機構10は、内部に吸着剤が充填された吸着床18,及び熱交換器19を含む。熱交換器19は、フィン式熱交換器19であることが好ましく、フィンが吸着床18の内部に挿入されており、熱交換器19と熱電変換器20とが接触している。
【0031】
平板形吸着機構の場合には、吸着床18及び熱交換器19は両方とも平板形構造であり、環状吸着機構の場合には、吸着床18及び熱交換器19は両方とも環状構造であることが理解できる。
【0032】
図10及び
図12に示すように、2つの熱電変換器20は、ともに対応する、第1基底部211、第2基底部212及び熱電ユニットを含む。第1基底部211及び第2基底部212は、熱電ユニットを絶縁するために、熱電ユニットの両側に配置されており、また、隣接する2つの吸着機構に対して熱を伝達するために、吸着床18と接触している。ここで、熱電ユニットは、複数のP型熱電ユニット213、複数のN型熱電ユニット214、複数の第1電極215及び複数の第2電極216を含む。各P型熱電ユニット213と各N型熱電ユニット214とは交互に直列接続されており、第1電極215は隣接するP型熱電ユニット213とN型熱電ユニット214との頂部に接続されており、第2電極216は、隣接するP型熱電ユニット213とN型熱電ユニット214の底部に接続されている。
【0033】
<実施形態2>
吸着機構が再生段階を終了した後、当該吸着機構全体の温度が比較的高いため、吸着質の吸着に寄与できず、このとき、吸着段階に直接切り替わると、吸着の初期段階の吸着能力が比較的弱い。実施形態2では、吸着段階の前に冷却段階が追加され、再生段階を終了して吸着段階に切り替わろうとする吸着機構を冷却することで、当該吸着機構の吸着能力が向上する。同様に、再生段階では高温条件が必要であり、吸着機構が吸着段階を終了すると、吸着機構全体の温度が比較的低く、このとき、再生段階に直接切り替わると、再生の初期段階の再生能力が比較的弱い。実施形態2では、吸着段階の前に加熱段階が追加され、吸着段階を終了して再生段階に切り替わろうとする吸着機構を加熱することで、当該吸着機構の再生能力が向上する。
【0034】
図5及び
図6を参照されたい。説明を容易にするために、
図5には3つの吸着機構及び3つの熱電変換器が示されている。ほかの実施形態と区別するために、3つの吸着機構は、第1吸着機構11、第2吸着機構12及び第3吸着機構13とそれぞれ定義され、3つの熱電変換器は、第1熱電変換器21、第2熱電変換器22及び第3熱電変換器23とそれぞれ定義される。第1熱電変換器21は、第1吸着機構11と第2吸着機構12との間に位置し、第2熱電変換器22は、第2吸着機構12と第3吸着機構13との間に位置し、第3熱電変換器23は、第3吸着機構13と第1吸着機構11との間に位置する。
【0035】
実施形態2では、第1吸着機構11、第2吸着機構12及び第3吸着機構13はそれぞれ、順に吸着段階、冷却段階及び再生段階にあり、第3熱電変換器23によって取り出された第1吸着機構11の熱、及び、第2熱電変換器22によって取り出された第2吸着機構12の熱が、第3吸着機構13に伝達される。第1吸着機構11及び第2吸着機構12を冷却するとともに、第3吸着機構13を加熱することにより、第3吸着機構の吸着能力が向上する。
【0036】
もう1つの実施形態では、第1吸着機構11、第2吸着機構12及び第3吸着機構13はそれぞれ、順に吸着段階、冷却段階及び再生段階にあり、第1熱電変換器21によって取り出された第1吸着機構11の熱が第2吸着機構12に伝達され、第3熱電変換器23によって取り出された第2吸着機構11の熱が、第3吸着機構13に伝達される。第2吸着機構12及び第3吸着機構13を加熱するとともに、第1吸着機構11を冷却することにより、第1吸着機構の再生能力が向上する。
【0037】
実施形態2で用いる3つの吸着機構は、実施形態1における2つの吸着機構と比較すれば、吸着段階の前に冷却段階又は加熱段階が追加されているため、吸着段階の温度が比較的低く、高い吸着能力を維持し、各吸着サイクルで吸着質への吸着量を増加させることができる。また、再生段階の温度が比較的高く、高い再生能力を維持し、各吸着サイクルで吸着質への脱着量を増加させることができる。
【0038】
<実施形態3>
実施形態3では、吸着機構10は、吸着段階では吸着温度が発生し、再生段階では再生温度が発生するが、通常、吸着温度と再生温度との差は予め設定された温度範囲内にあり、例えば、設定温度の範囲は30℃~60℃である。吸着温度と再生温度との差が予め設定された温度範囲よりも大きい場合、例えば、吸着温度と再生温度との温度差が100℃~200℃の範囲である場合、2つの吸着機構10の間にある熱電変換器20は、より大きな温度差下で温度差に抗した熱流動を行う必要があるが、熱電変換器による熱流量が小さいため、温度差範囲が大きい吸着温度及び再生温度に適応することが困難である。熱電変換器が能動的熱制御タスクを確実に完了できることを確保するために、吸着プロセス中の温度変化特性に基づいて、大きな温度差範囲を2つの比較的小さい温度差範囲に分割してよい。このため、実施形態3では、4つの吸着機構及び4つの熱電変換器が採用されている。
【0039】
具体的には、吸着段階における吸着機構10の吸着温度と再生段階における吸着機構10の再生温度との差が予め設定された温度差範囲より大きい場合には、吸着段階が吸着前期段階及び吸着後期段階に分けられ、再生段階が再生前期段階及び再生後期段階に分けられる。4つの吸着機構は、円周状に配置されており、それぞれ吸着前期段階、再生前期段階、吸着後期段階及び再生後期段階に交互に存在することができ、4つの吸着機構はそれぞれ、時計回りに且つ円周方向に沿って吸着前期段階、再生前期段階、吸着後期段階及び再生後期段階に存在する。吸着前期段階にある吸着機構の熱が、吸着前期段階にある吸着機構と再生後期段階にある吸着機構との間の熱電変換器によって取り出されて再生後期段階にある吸着機構に伝達される。吸着後期段階にある吸着機構の熱が、吸着後期段階にある吸着機構と再生前期段階にある吸着機構との間の熱電変換器によって取り出されて再生前期段階にある吸着機構に伝達される。上記の動作により、熱電変換器は吸着温度と再生温度との差の半分の温度差で動作するだけでよく、温度差に抗した熱電変換装置の熱伝達能力の要件が軽減される。
【0040】
図7及び
図8に示すように、吸着段階における吸着機構10の吸着温度と再生段階における吸着機構10の再生温度との差が予め設定された温度差範囲より大きい場合には、吸着段階が吸着前期段階及び吸着後期段階に分けられ、再生段階が再生前期段階及び再生後期段階に分けられる。ここで、吸着前期段階及び再生後期段階の2つの段階の温度が比較的高く、吸着後期段階及び再生前期段階の2つの段階の温度が比較的低い。前述した実施形態と区別するために、吸着前期段階にある吸着機構は第4吸着機構14、再生前期段階にある吸着機構は第5吸着機構15、吸着後期段階にある吸着機構は第6吸着機構16、再生後期段階にある吸着機構は第7吸着機構17と定義される。第4吸着機構14、第5吸着機構15、第6吸着機構16及び第7吸着機構17は、時計回りに且つ円周方向に沿って配置されている。第4吸着機構14と第5吸着機構15との間の熱電変換器は第4熱電変換器24と定義され、第5吸着機構15と第6吸着機構16との間の熱電変換器は第5熱電変換器25と定義され、第6吸着機構16と第7吸着機構17との間の熱電変換器は第6熱電変換器26と定義され、第7吸着機構17と第4吸着機構14との間の熱電変換器は第7熱電変換器27と定義される。第4吸着機構14の熱が第4熱電変換器24によって取り出されて第7吸着機構17に伝達され、第6吸着機構16の熱が第5熱電変換器25によって取り出されて第5吸着機構15に伝達される。
【0041】
上記に鑑みて、単一の吸着機構と比較すれば、本出願で提供される2つの吸着機構又は複数の吸着機構が熱電変換器と連結されたシステムには、以下の利点がある。
(1)まず、2つ又は複数の吸着機構は交互に動作し、常に1つの吸着機構が吸着段階にあるため、連続的なガス分離プロセスが実現できる。
(2)次に、熱電変換器を介して隣接する2つの吸着機構の間の熱結合を実現することにより、再生プロセスに必要な熱が2つの吸着機構の間を往復し、熱の多重利用が実現され、それによって吸着分離プロセスにおけるエネルギー消費が削減される。一般的には、ガス吸着分離システムのエネルギー消費原単位は、システム規模の増大につれて減少するが、小型システムではエネルギー消費原単位が相対的に高いため、省エネの余地が大きいことも意味する。従って、実施形態3で提供されるガス吸着分離システムは、小型吸着分離システムの省エネ化のために実現可能な解決手段を提供する。
(3)さらに、現在、熱回収技術を用いた複数の吸着機構を備えたガス吸着分離装置では、熱媒体として液体の水や水蒸気などの作動媒体が使用されることが多く、熱媒体を吸着機構間で流動させるために、液体ポンプ、圧縮機及び電磁弁などの機器が必要であり、システムが複雑になる。また、このような受動的熱回収は、正の温度差下でのみ実行できるため、熱回収率が低い。本発明が提案するガス吸着分離システムでは、電流が媒体として使用され、上述の支援設備を必要とせず、負の温度差下でも能動的な熱調節を行うことができる。従って、当該システムによって十分な熱回収を実現できるだけでなく、システムのコンパクト化も実現できる。
(4)最後に、熱電変換器の迅速な能動的熱制御能力により、吸着機構間の熱伝達が高速化され、サイクルタイムが短縮される。大型システムに比べて小型システムの顕著な特徴は、その迅速な投入及び稼働能力であり、従って、実施形態3で提供されるガス吸着分離システムの速度の優越性は、小型吸着分離システムにとって特に重要である。
【0042】
以上、具体的な例を用いて本発明について詳述したが、上記の実施形態は、本発明の理解を深めるためのものにすぎず、本発明を限定するものではない。本発明が属する分野の当業者は、本発明の趣旨に基づいて、ほかの複数の簡単な演繹、変形又は置換を行うことができる。
【符号の説明】
【0043】
10 吸着機構
11 第1吸着機構
12 第2吸着機構
13 第3吸着機構
14 第4吸着機構
15 第5吸着機構
16 第6吸着機構
17 第7吸着機構
18 吸着床
19 熱交換器
20 熱電変換器
21 第1熱電変換器
22 第2熱電変換器
23 第3熱電変換器
24 第4熱電変換器
25 第5熱電変換器
26 第6熱電変換器
27第7熱電変換器
211 第1基底部
212 第2基底部
213 P型熱電ユニット
214 N型熱電ユニット
215 第1電極
216 第2電極
31 供給バルブ
310 供給管
41 第1排出バルブ
410 第1排出管
42 第2排出バルブ
420第2排出管
【手続補正書】
【提出日】2024-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円周状に配置された3つの吸着機構、
3つの熱電変換器
、供給機構及
び排出機構を備えたガス吸着分離システムであって、
3つの前記熱電変換器は
それぞれ、隣接する2つの前記吸着機構の間に配置されており、電流の流れ方向を変えることによって吸着段階における吸着機構から熱を取り出して、再生段階における吸着機構に熱を伝達するために用いられ、
3つの前記吸着機構は時計回りに吸着段階、冷却段階及び再生段階に順に存在し、再生段階以外にある2つの吸着機構の熱が、再生段階にある吸着機構と隣接する2つの熱電変換器によって取り出されて当該再生段階にある吸着機構に伝達され、又は、3つの前記吸着機構は時計回りに吸着段階、加熱段階及び再生段階に順に存在し、吸着段階にある吸着機構の熱が、吸着段階にある吸着機構と隣接する2つの熱電変換器によって取り出されて残りの2つの吸着機構にそれぞれ伝達され、前記吸着機構は、吸着段階において混合ガス中の吸着質を吸着し、再生段階において吸着された吸着質を脱着し、
前記供給機構は、混合ガスを前記吸着機構に供給するために用いられ、
前記排出機構は、再生段階における吸着機構によって排出された吸着質を排出するため、及び、吸着段階における吸着機構によって排出された混合ガス中の、吸着質を除いた残留ガスを排出するために用いられることを特徴とするガス吸着分離システム。
【請求項2】
4つの吸着機構、4つの熱電変換器、供給機構及び排出機構を備えたガス吸着分離システムであって、4つの前記吸着機構は円周状に配置されており、4つの前記熱電変換器はそれぞれ隣接する2つの前記吸着機構の間に配置されており、吸着段階にある吸着機構の吸着温度と再生段階にある吸着機構の再生温度との差が予め設定された温度差範囲より大きい場合には、前記吸着段階が吸着前期段階及び吸着後期段階に分けられ、前記再生段階が再生前期段階及び再生後期段階に分けられ、4つの前記吸着機構は、円周状に配置されており、それぞれ円周方向に沿って吸着前期段階、再生前期段階、吸着後期段階及び再生後期段階に交互に存在することができ、吸着前期段階にある吸着機構の熱が、吸着前期段階にある吸着機構と再生後期段階にある吸着機構との間の前記熱電変換器によって取り出されて再生後期段階にある吸着機構に伝達され、吸着後期段階にある吸着機構の熱が、吸着後期段階にある吸着機構と再生前期段階にある吸着機構との間の前記熱電変換器によって取り出されて再生前期段階にある吸着機構に伝達され、
前記供給機構は、混合ガスを前記吸着機構に供給するために用いられ、
前記排出機構は、再生段階における吸着機構によって排出された吸着質を排出するため、及び、吸着段階における吸着機構によって排出された混合ガス中の、吸着質を除いた残留ガスを排出するために用いられることを特徴とするガス吸着分離システム。
【請求項3】
前記吸着機構は、供給端、第1排出端及び第2排出端を有し、前記供給機構は、前記供給端に接続されており、混合ガスを前記吸着機構に供給するための供給バルブを含み、前記排出機構は、第1排出バルブ及び第2排出バルブを含み、前記第1排出バルブは、前記第1排出端に接続されており、再生段階における吸着機構によって排出された吸着質を排出するために用いられ、前記第2排出バルブは、前記第2排出端に接続されており、吸着段階における吸着機構によって排出された混合ガス中の、吸着質を除いた残留ガスを排出するために用いられることを特徴とする請求項1
又は2に記載のガス吸着分離システム。
【請求項4】
前記吸着段階では、前記供給バルブ及び前記第2排出バルブが開いており、前記第1排出バルブが閉じており、前記再生段階では、前記供給バルブ及び前記第2排出バルブが閉じており、前記第1排出バルブが開いていることを特徴とする請求項
3に記載のガス吸着分離システム。
【請求項5】
前記吸着機構は、吸着床、及び、前記吸着床の内部に挿入された熱交換器を含み、前記熱交換器と前記熱電変換器とが熱的接触を保たれていることを特徴とする請求項1
又は2に記載のガス吸着分離システム。
【請求項6】
前記熱電変換器は、第1基底部、第2基底部及び熱電ユニットを含み、前記第1基底部及び前記第2基底部は、熱電ユニットを絶縁するために、前記熱電ユニットの両側に配置されており、また、隣接する2つの前記吸着機構に対して熱を伝達するために、前記吸着床と熱的接触を保たれており、前記熱電ユニットは、複数のP型熱電ユニット及び複数のN型熱電ユニットを含み、複数の前記P型熱電ユニットと複数の前記N型熱電ユニットとが交互に直列接続されていることを特徴とする請求項1
又は2に記載のガス吸着分離システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】