(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】モバイル電子識別送信機によって自動車へのアクセスを許可する方法及びアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B60R 25/24 20130101AFI20240711BHJP
G01S 13/74 20060101ALI20240711BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20240711BHJP
H04M 1/72412 20210101ALI20240711BHJP
【FI】
B60R25/24
G01S13/74
E05B49/00 K
H04M1/72412
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501491
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 EP2022065538
(87)【国際公開番号】W WO2023285036
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】102021003616.6
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100176946
【氏名又は名称】加藤 智恵
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベッツ コンラッド
(72)【発明者】
【氏名】ラインハルト マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ライト マルコ
【テーマコード(参考)】
2E250
5J070
5K127
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB08
2E250DD06
2E250FF25
2E250FF27
2E250FF36
2E250HH01
2E250JJ03
5J070AC02
5J070AE09
5J070AF03
5K127BA03
5K127GD18
(57)【要約】
本発明は、モバイル電子識別送信機(2)によってロック解除できる自動車(1)へのアクセスを、この識別送信機(2)によって許可する方法に関し、識別送信機(2)は、UWB規格で動作する第1のワイヤレス通信接続(3a)及びBLE規格で動作する第2のワイヤレス通信接続(3b)の両方によって自動車(1)とデータ伝送するように通信することができ、第1の通信接続の最大通信距離(RM1)が第2の通信接続(3b)の最大距離(RM2)より小さく、本方法は、識別送信機(2)が自動車(1)から移動して離れ、それにより自動車(1)と識別送信機(2)との間の距離(A)が増加する間、第2の通信接続(3b)の信号強度(S)の低下を監視する手段a)と、自動車(1)と識別送信機(2)との間の第1の通信接続(3a)が非アクティブ化/中断されると直ちに、第2の通信接続(3b)の瞬時信号強度(S)を基準値として記憶する手段b)と、識別送信機(2)が再び自動車(1)に向かって移動する場合に自動車(1)と識別送信機(2)との間の距離(A)が減少することに基づいて第2の通信接続(3b)の信号強度(S)が、記憶された基準値を超えると直ちに、第1の通信接続(3a)を再アクティブ化する手段c)とを包含する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイル電子識別送信機(2)によってロック解除できる自動車(1)へのアクセスを、前記識別送信機(2)によって許可する方法であって、前記識別送信機(2)は、UWB規格で動作する第1のワイヤレス通信接続(3a)及びBLE規格で動作する第2のワイヤレス通信接続(3b)の両方によって前記自動車(1)とデータ伝送するように通信することができ、前記第1の通信接続(3a)の最大通信距離(RM1)が前記第2の通信接続(3b)の最大通信距離(RM2)よりも小さく、
前記方法が、以下の手段、
a)前記識別送信機(2)が前記自動車(1)から離れ、それにより前記自動車(1)と前記識別送信機(2)との間の距離(A)が増加する間、前記第2の通信接続(3b)の信号強度(S)の低下を監視する手段と、
b)前記自動車(1)と前記識別送信機(2)との間の前記第1の通信接続(3a)が非アクティブ化/中断されると直ちに、前記第2の通信接続(3b)の瞬時信号強度(S)を基準値として記憶する手段と、
c)前記識別送信機(2)が再び前記自動車(1)に向かって移動する場合に前記自動車(1)と前記識別送信機(2)との間の前記距離(A)が減少することに基づいて前記第2の通信接続(3b)の前記信号強度(S)が前記記憶された基準値を超えると直ちに、前記第1の通信接続(3a)を再アクティブ化する手段と、
を包含する
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記識別送信機(2)が前記自動車(1)から離れるときに、前記第1の通信接続(3a)の前記最大通信距離(RM1)を超えると、前記第1の通信接続が非アクティブ化される
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記手段c)において実行された前記第1の通信接続(3a)の前記再アクティブ化の後に、前記手段c)に続く手段d)において、前記第1の通信接続(3a)によって前記識別送信機(2)と前記自動車(1)との間の前記瞬時距離(A)が特定される
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記手段d)において特定された前記距離(A)が所定の最小値(AMIN)を下回ると直ちに、前記第2の通信接続(3b)によって許可データが前記識別送信機(3)から前記自動車(11)に伝送される
ことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記手段d)において特定された前記距離(A)が前記所定の最小値(AMIN)を下回ると直ちに、前記自動車(1)により、少なくとも1つの予め定められたアクションが実行され、殊に前記少なくとも1つの予め定められたアクションは、前記自動車(1)の少なくとも1つの車両ドア(4)のロック解除を含む、又はロック解除である
ことを特徴とする、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記手段b)において、前記基準値は、予め定められた時間にわたる前記信号強度(S)の平均値算出によって定められる
ことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記予め定められた時間は、1秒~5秒、殊に約4.5秒である
ことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記電子識別送信機(2)がスマートフォン(11)の一部である
ことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
アセンブリ(20)であって、
-自動車(1)と、
-UWB規格による第1のワイヤレス通信接続(3a)及びBLE規格による第2のワイヤレス通信接続(3b)によって前記自動車と通信することができる、又は通信するモバイル電子識別送信機(2)と、
-先行する請求項1~8のいずれか一項に記載の方法を実行するように設定/プログラミングされた、前記自動車(1)に存在する制御/調整装置(10)と、
を備える
ことを特徴とする、アセンブリ(20)。
【請求項10】
前記電子識別送信機(2)がスマートフォン(11)の一部であるか、又はスマートフォン(11)によって形成されている
ことを特徴とする、請求項9に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイル電子識別送信機によって自動車へのアクセスを許可する方法、並びにこの方法を実行するように設定/プログラミングされた自動車と識別送信機とからなるアセンブリに関する。
【0002】
モバイル電子識別送信機は、機械式車両キーの代わりに、自動車へのアクセスを許可することを可能にするために使用される。通常、識別送信機と自動車の通信には、低周波数帯域の無線システムが使用される。これによって、認証データをワイヤレスで伝送することができる。このことを背景として、いわゆるUWB規格による無線接続の使用が知られている。UWB規格によるこのような通信接続によって、識別送信機と自動車との間でデータを伝送することが可能なだけではない。このようなUWB接続は、識別送信機と自動車との瞬時距離(瞬時の間隔、瞬間距離、現在の距離)を比較的高い精度で算出し、それを自動車に伝送することも可能にする。
【0003】
このために、例えば「ピンポン」法、又はいわゆる「ポーリング」法などの方法を適用することができる。これらの方法は、識別送信機と自動車との間で伝送される信号に必要な信号伝送継続時間を特定すること、及びこの伝送継続時間から求められる自動車と識別送信機との間の距離を計算することに基づいている。
【0004】
しかし、このようなUWB接続の欠点として、比較的短い通信距離で比較的多くの電力を必要とすることが明らかになっている。
【0005】
このことを背景として、モバイル識別送信機によってアクセスが許可され得る従来の自動車は、UWB接続に加えて、いわゆるBLE規格(「Bluetooth (登録商標) Low Energy Standard」)による別の無線接続によって許可情報のワイヤレス伝送を実装することが知られている。BLE規格による通信接続は、UWB規格による通信接続と比較して、通信距離が大きくなると同時に、必要な電力が少なくなるという利点を有する。ただし、BLE接続では、UWB接続とは異なり、自動車に対する識別送信機の位置若しくは距離を正確に特定できない。
【背景技術】
【0006】
BLE接続のこれらの特性は、米国特許出願公開第20190263356号明細書に記載されている許可方法において利用される。それによれば、識別送信機が自動車に近づくと、BTE通信接続によってUWB通信接続がアクティブ化される。このために、自動車と識別送信機との間のBLE接続の信号強度が評価され、信号強度の特定の閾値を超える場合にUWB接続がアクティブ化される。次いで、上記のUWB接続によって、自動車と識別送信機との間の距離が計算され、それにより特定の最小距離を下回る場合に自動車において特定のアクションを引き起こすことができる。
【0007】
ただし、BLE接続の信号強度は様々な周囲条件に大きく左右される可能性があるため、実際には、この方法でBLE接続の信号強度の適切な基準値を決めることには問題があることが明らかになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、上記の問題を考慮したモバイル電子識別送信機によって自動車へのアクセスを許可する改良された方法を提供することである。
【0009】
上記目的は、独立請求項の主題により解決される。好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の基本的な考え方は、識別送信機が自動車から離れる間にBLE接続の信号強度の低下を監視すること、及びUWB接続が最大通信距離を上回り、それによりUWB接続が中断される、すなわち非アクティブ化されるときに、瞬時に測定された信号強度を基準値として記憶することである。その場合、通信距離がより大きいため、BLE接続はアクティブなままである。
【0011】
後の時点で識別送信機が自動車に再び近づくと、まず、より大きい通信距離を有するBLE接続がアクティブになり、識別送信機と自動車との距離が小さくなるため、BLE接続の増加する信号強度が監視される。信号強度がその前に記憶された基準値に達するかそれを超える場合、第1の通信接続、すなわちUWB接続が再びアクティブ化され、この接続によって、許可過程の一部として、識別送信機と自動車の瞬時距離を特定(決定)することができる。
【0012】
本発明による方法は、モバイル電子識別送信機によって自動車へのアクセスを許可するために使用され、この識別送信機によって自動車をロック解除することができる。識別送信機は、UWB規格で動作する第1のワイヤレス通信接続及びBLE規格で動作する第2のワイヤレス通信接続の両方によって、データ伝送可能に、又はデータ伝送するように自動車に接続される。その場合、第1のワイヤレス通信接続は、この通信接続によって識別送信機と自動車との間の瞬時距離を算出できるように形成されている。このために、当該分野の当業者に知られている一般的な方法、例えば、いわゆる「ピンポン」法又はいわゆるポーリング法を適用することができる。これらの方法は、識別送信機から自動車へ、又はその逆に自動車から識別送信機へ伝送される信号の信号伝搬時間を特定することによって識別送信機と自動車との瞬時距離が計算されることに基づいている。
【0013】
その場合、自動車から測定される第1の通信接続の最大通信距離は、同様に自動車から測定される第2の通信接続の最大通信距離よりも小さい。
【0014】
本発明による方法は、3つの手段a)、b)及びc)を包含する。手段a)によれば、識別送信機が自動車から離れ、それにより自動車と識別送信機との間の距離が増加する間に第2の通信接続の信号強度の低下が、好ましくは自動車によって監視される。実際には、これは、例えば自動車の運転者など、識別送信機を携行している人が、駐車後に自動車を離れ、自動車から遠ざかる場合に当てはまる。その場合、信号強度の監視は、自動車又は識別送信機で行うことができる。次の手段b)によれば、自動車と識別送信機との間の第1の通信接続が非アクティブ化又は中断されると直ちに、第2の通信接続の瞬時信号強度が基準値として記憶される。これは、典型的には、自動車と識別送信機との間の距離が第1の通信接続の最大通信距離を超えた場合に当てはまる。第2の通信接続の最大通信距離がより大きいため、この通信接続は、第1の通信接続の非アクティブ化若しくは中断の時点で典型的には維持され、それにより第2の通信接続の信号強度をこの時点で問題なく測定することができる。
【0015】
後の時点で識別送信機が自動車に向かって再び移動する場合、これは、典型的には、自動車を駐車した運転者がこの自動車で出発しようとする場合に当てはまるが、本発明によれば、識別送信機が再び自動車に向かって移動する場合に自動車と識別送信機との間の距離が小さくなることにより、第2の通信接続の信号強度が記憶された基準値を超えると直ちに、非アクティブ化された第1の通信接続が再びアクティブ化される。基準値のそのような超過は、識別送信機が第1の通信接続の通信距離内にあり、それにより再び自動車と識別送信機との間の距離を算出するために、自動車へのアクセス許可の一部として第1の通信接続が再び利用可能になることを示す。
【0016】
合目的的には、識別送信機が自動車から離れるときに、第1の通信接続の最大通信距離を超えると、第1の通信接続が非アクティブ化される。しかし、例えば第1の通信接続を行えるようにするために必要な識別送信機の電力消費量が非常に高いため、第1の通信接続が早い期の時点ですでに非アクティブ化されることも考えられる。したがって、識別送信機に存在する電気エネルギー蓄積器、典型的には再充電可能な電気バッテリが完全に放電されるのを防ぐために、最大通信距離に達する前に、第1の通信接続をすでに非アクティブ化することが有意義であり得る。しかしこの場合も、手段b)及びc)に従って進めることができる。
【0017】
特に好ましくは、手段c)において実行された第1の通信接続の再アクティブ化の後に、手段c)に続く手段d)において、第1の通信接続によって、識別送信機を携行している人の自動車へのアクセスの許可の一部として、識別送信機と自動車との瞬時距離が特定される。これは、算出された距離に応じて自動車において様々なアクションを引き起こすことを可能にする。
【0018】
有利な発展形態によれば、手段d)において算出された距離が所定の最小値を下回ると直ちに、第2の通信接続によって許可データを識別送信機から自動車に伝送することができる。
【0019】
すなわち、特に好ましくは、手段d)において算出された距離が予め定められた最小値を下回るか若しくは超えると直ちに、自動車内または自動車上で予め定められたアクションを実行することができる。この変形形態の発展形態では、2つ以上のそのようなアクションを実行することもでき、それぞれ個々のアクションに、個別の距離の最小値を割り当てることが考えられる。したがって、種々の実施形態が可能になる。
【0020】
特に好ましくは、予め定められたアクションは、自動車の少なくとも1つの車両ドアのロック解除を含むか、又はロック解除であり得る。このことは、識別送信機を携行している人がまだロックされている自動車に乗ろうとする場合に、快適性を大幅に向上させる。なぜなら、その人が自動車の車両ドアに到達するより前に、この自動車はより快適に自動でロック解除できるからである。
【0021】
合目的的には、手段b)において、予め定められた時間にわたる信号強度の平均値算出(平均化)によって基準値を定めることができる。このことは、測定された信号強度における時間的又は空間的な局所的変動をローパスの仕方で補償するために有利であることがわかる。
【0022】
予め定められた時間の値は1秒~5秒、殊に約4.5秒であることが特に合目的的であることがわかった。
【0023】
特に好ましくは、電子識別送信機はスマートフォンの一部であり得る。最新のスマートフォンは、多くの場合、すでにBLE規格とUWB規格の両方によってデータ伝送するように形成されているため、したがって、市販のスマートフォンをそのハードウェアを拡張することなく本発明による方法を実行するために使用することができる。
【0024】
本発明は更に、自動車と、UWB規格による第1のワイヤレス通信接続とBLE規格による第2のワイヤレス通信接続とによって自動車と通信することができる、又は通信するモバイル電子識別送信機とのアセンブリに関する。
【0025】
その場合、第1のワイヤレス通信接続は、この通信接続によって識別送信機と自動車との間の瞬時距離を算出できるように形成されている。このために、例えばいわゆるポーリング法などの一般的な方法を適用することができる。この方法は、識別送信機から自動車へ、又は逆に自動車から識別送信機へ送信される信号の信号伝搬時間を特定することによって識別送信機と自動車の瞬時距離が計算されることに基づいている。アセンブリは、上述した本発明による方法を実行するように設定/プログラミングされた自動車に存在する制御/調整装置を更に含む。したがって、本発明による方法の上述した利点が本発明によるアセンブリにも適用される。
【0026】
このアセンブリの好ましい実施形態によれば、電子識別送信機はスマートフォンの一部であるか、又はそのようなスマートフォンによって形成される。最新のスマートフォンは、多くの場合、BLE規格とUWB規格の両方を使用してデータ送信するように形成されているため、市販のスマートフォンを、ハードウェアを拡張することなく本発明による方法を実行するために使用することができる。
【0027】
本発明の他の重要な特徴及び利点は、従属請求項、図面、及び図面をもとにした関連する図の説明から明らかになる。
【0028】
上記に挙げた特徴、及び以下において更に説明する特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれ示された組み合わせにおいてのみ使用されるのではなく、他の組み合わせにおいても又は単独でも使用可能であると解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明によるアセンブリの一例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の好ましい実施形態を図面に示し、以下の記載において詳しく説明するが、同一の参照符号は、同一若しくは類似の、又は機能的に同一の部品を表す。
【0031】
唯一の
図1は、本発明によるアセンブリ20の一例を上面図で示す。アセンブリ20は、車両ドア4を備えた自動車1を含み、車両ドア4を介して、自動車1の車両内部空間へのアクセスが可能である。自動車1は、本発明による方法を実行するように設定/プログラミングされた制御/調整装置10を含む。制御/調整装置10は、LINバス又はCANバスなどの自動車1に存在するフィールドバスに接続される制御装置(制御ユニット)であり得る。アセンブリ20は、モバイル電子識別送信機2を更に含む。電子識別送信機2は、スマートフォン11の一部であってもよいし、スマートフォン11によって形成されてもよい。識別送信機2は、識別送信機2が自動車1に近づく過程で自動車1へのアクセスを自動で許可することを可能にする。
【0032】
モバイル電子識別送信機2は、UWB規格による第1のワイヤレス通信接続3aとBLE規格による第2のワイヤレス通信接続3bとによって自動車1の制御/調整装置10と通信することができる。このために、対応する第1の送受信装置6aを自動車1に設けることができ、この第1の送受信装置は、制御/調整装置10にデータ伝送するように接続され、第1の通信接続3aを介して、識別送信機2に存在する対応する第1の送受信装置7aとデータ伝送するように通信することができる。したがって、自動車1に第2の送受信装置6bを設けることができ、この第2の送受信装置は、制御/調整装置とデータ伝送するように接続され、第2の通信接続3bを介して、識別送信機2に存在する対応する第2の送受信装置7bとデータ伝送するように通信することができる。自動車1から測定された、自動車1から識別送信機2までの第1の通信接続3aの第1の最大通信距離RM1は、同様に自動車1から測定された、自動車1からの、第2の通信接続3bの第2の最大通信距離RM2よりも小さい。第1の最大通信距離RM1及び第2の最大通信距離RM2は、
図1に破線で示されている。示される通信距離RM1及びRM2は、縮尺どおりに示されていない。
【0033】
本発明による方法を、
図1を参照して以下に例示的に説明する。
【0034】
方法は3つの手段a)、b)、c)を包含する。
【0035】
手段a)によれば、識別送信機2が自動車1から離れ、それにより自動車1と識別送信機2との間の距離Aが増加する間、第2の通信接続3bの信号強度の低下が監視される。手段b)において、識別送信機2が自動車1から離れるときに、第1の通信接続3aの最大通信距離RM1を超えると直ちに、第2の通信接続3bの瞬時信号強度が基準値として記憶される。この場合、自動車1と識別送信機2との間の第1の通信接続3aが非アクティブ化され、これに対して、第2の通信接続3bは維持される。基準値は、予め定められた時間にわたる信号強度の平均値算出によって定めることができる。この予め定められた時間は、例えば、1秒~5秒、特に約4.5秒であり得る。手段c)によれば、識別送信機2が再び自動車に向かって移動する場合に、自動車と識別送信機との間の距離が減少することに基づいて第2の通信接続の信号強度が記憶された基準値を再び超えると直ちに、非アクティブ化された第1の通信接続3aが再びアクティブ化される。
【0036】
手段c)において実行された第1の通信接続3aの再アクティブ化の後に、手段c)に続く手段d)において、第1の通信接続3aによって識別送信機2と自動車1の現在の距離Aを特定することができる。その場合、手段d)において算出された距離Aが所定の最小値(AMIN)を下回ると直ちに、識別送信機3から第2の通信接続3bによって、許可データを殊に暗号化して自動車1に伝送することができる。同様に、手段d)において算出された距離Aが所定の最小値AMIN(
図1を参照)を下回ると直ちに、自動車1において予め定められたアクションを実行することができる。この所定のアクションは、例えば自動車1の車両ドア4のロック解除であり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【特許文献1】米国特許出願公開第20190263356号明細書
【手続補正書】
【提出日】2024-03-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイル電子識別送信機(2)によってロック解除できる自動車(1)へのアクセスを、前記識別送信機(2)によって許可する方法であって、前記識別送信機(2)は、UWB規格で動作する第1のワイヤレス通信接続(3a)及びBLE規格で動作する第2のワイヤレス通信接続(3b)の両方によって前記自動車(1)とデータ伝送するように通信することができ、前記第1の通信接続(3a)の最大通信距離(RM1)が前記第2の通信接続(3b)の最大通信距離(RM2)よりも小さく、
前記方法が、以下の手段、
a)前記識別送信機(2)が前記自動車(1)から離れ、それにより前記自動車(1)と前記識別送信機(2)との間の距離(A)が増加する間、前記第2の通信接続(3b)の信号強度(S)の低下を監視する手段と、
b)前記自動車(1)と前記識別送信機(2)との間の前記第1の通信接続(3a)が非アクティブ化/中断されると直ちに、前記第2の通信接続(3b)の瞬時信号強度(S)を基準値として記憶する手段と、
c)前記識別送信機(2)が再び前記自動車(1)に向かって移動する場合に前記自動車(1)と前記識別送信機(2)との間の前記距離(A)が減少することに基づいて前記第2の通信接続(3b)の前記信号強度(S)が前記記憶された基準値を超えると直ちに、前記第1の通信接続(3a)を再アクティブ化する手段と、
を包含する
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記識別送信機(2)が前記自動車(1)から離れるときに、前記第1の通信接続(3a)の前記最大通信距離(RM1)を超えると、前記第1の通信接続が非アクティブ化される
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記手段c)において実行された前記第1の通信接続(3a)の前記再アクティブ化の後に、前記手段c)に続く手段d)において、前記第1の通信接続(3a)によって前記識別送信機(2)と前記自動車(1)との間の前記瞬時距離(A)が特定される
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記手段d)において特定された前記距離(A)が所定の最小値(AMIN)を下回ると直ちに、前記第2の通信接続(3b)によって許可データが前記識別送信機(
2)から前記自動車(11)に伝送される
ことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記手段d)において特定された前記距離(A)
が所定の最小値(AMIN)を下回ると直ちに、前記自動車(1)により、少なくとも1つの予め定められたアクションが実行され、殊に前記少なくとも1つの予め定められたアクションは、前記自動車(1)の少なくとも1つの車両ドア(4)のロック解除を含む、又はロック解除である
ことを特徴とする、請求項
3に記載の方法。
【請求項6】
前記手段b)において、前記基準値は、予め定められた時間にわたる前記信号強度(S)の平均値算出によって定められる
ことを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
前記予め定められた時間は、1秒~5秒、殊に約4.5秒である
ことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記電子識別送信機(2)がスマートフォン(11)の一部である
ことを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項9】
アセンブリ(20)であって、
-自動車(1)と、
-UWB規格による第1のワイヤレス通信接続(3a)及びBLE規格による第2のワイヤレス通信接続(3b)によって前記自動車と通信することができる、又は通信するモバイル電子識別送信機(2)と、
-先行する請求項
1に記載の方法を実行するように設定/プログラミングされた、前記自動車(1)に存在する制御/調整装置(10)と、
を備える
ことを特徴とする、アセンブリ(20)。
【請求項10】
前記電子識別送信機(2)がスマートフォン(11)の一部であるか、又はスマートフォン(11)によって形成されている
ことを特徴とする、請求項9に記載のアセンブリ。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
BLE接続のこれらの特性は、米国特許出願公開第20190263356号明細書に記載されている許可方法において利用される。それによれば、識別送信機が自動車に近づくと、BLE通信接続によってUWB通信接続がアクティブ化される。このために、自動車と識別送信機との間のBLE接続の信号強度が評価され、信号強度の特定の閾値を超える場合にUWB接続がアクティブ化される。次いで、上記のUWB接続によって、自動車と識別送信機との間の距離が計算され、それにより特定の最小距離を下回る場合に自動車において特定のアクションを引き起こすことができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
手段c)において実行された第1の通信接続3aの再アクティブ化の後に、手段c)に続く手段d)において、第1の通信接続3aによって識別送信機2と自動車1の現在の距離Aを特定することができる。その場合、手段d)において算出された距離Aが所定の最小値(AMIN)を下回ると直ちに、識別送信機
2から第2の通信接続3bによって、許可データを殊に暗号化して自動車1に伝送することができる。同様に、手段d)において算出された距離Aが所定の最小値AMIN(
図1を参照)を下回ると直ちに、自動車1において予め定められたアクションを実行することができる。この所定のアクションは、例えば自動車1の車両ドア4のロック解除であり得る。
【国際調査報告】