(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】ミニカラム維持装置および使用方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/10 20060101AFI20240711BHJP
G01N 30/60 20060101ALI20240711BHJP
G01N 30/00 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
G01N35/10 A
G01N30/60 Q
G01N30/00 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501499
(86)(22)【出願日】2022-07-12
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 US2022073622
(87)【国際公開番号】W WO2023288208
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ルンメル, ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ドヴォルニッキー, ジェームズ
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CB15
2G058CF01
2G058EA02
2G058ED16
2G058GA14
(57)【要約】
クロマトグラフィミニカラム(100)を保持固定具に維持するためのシステム、デバイスおよび方法が本明細書で提供される。維持装置は、一対の横方向に離隔した直立支持体(410)と、直立支持体を横方向に離隔した関係で保持するために直立支持体間にまたがる水平梁(412)とを備え得る。維持装置は、ホルダプレートの周縁部に沿ってのみホルダプレート(419)に接触するように構成され得る。維持装置は、内部にミニカラムが挿入された後にホルダプレートに沿って摺動するように構成され、それによってホルダプレート内にミニカラムを維持するが、水平梁の垂直孔(422)を介してミニカラムにアクセスすることを可能にし得る。
【選択図】
図4D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホルダプレートにミニカラムを固定するように構成された維持装置であって、前記維持装置が、
横方向に離隔した一対の直立支持体であって、各直立支持体が、
ミニカラムホルダプレートの上面に摺動可能に載置されるように構成された下向き面と、
前記ホルダプレートの下面に摺動可能に接触するように構成された上向き面と
を備える、直立支持体と、
前記直立支持体の間にまたがり、それらを横方向に離隔した関係で保持する水平梁であって、前記水平梁が、その長さに沿って複数の垂直貫通孔を有し、前記垂直貫通孔が、吸引針よりも大きく且つミニカラムの上部の外径よりも小さい直径を有し、前記水平梁が、前記直立支持体の前記下向き面から離隔した底面を有し、前記底面が、ミニカラムがホルダプレートの上面から突出する量よりも大きい距離だけ前記下向き面から離隔している、水平梁と
を備え、
前記維持装置が、前記ホルダプレートの周縁部に沿ってのみ前記ホルダプレートに接触するように構成され、且つ、内部にミニカラムが挿入された後に前記ホルダプレートに沿って摺動するように構成され、それによって前記ホルダプレートに前記ミニカラムを維持するが、前記水平梁の前記垂直貫通孔を介して前記ミニカラムにアクセスすることを可能にする、装置。
【請求項2】
前記装置が、単一の材料片から一体的に形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記水平梁が、その長さに沿って単一列に配置された少なくとも3つの貫通孔を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記水平梁が、その長さに沿って単一列に配置された少なくとも8つの貫通孔を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記水平梁が、その長さに沿って配置された少なくとも2列の貫通孔を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記一対の直立支持体のそれぞれが、前記下向き面と前記上向き面の少なくとも2対を備え、それによって前記水平梁が、異なる長さのミニカラムを収容するために、前記ミニカラムホルダプレートの上方の少なくとも2つの異なる高さに位置決めされることを可能にする、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
各直立支持体の前記下向き面が、第1の内側に突出するフランジによって形成され、各直立支持体の前記上向き面が、第2の内側に突出するフランジによって形成され、前記第1の内側に突出するフランジおよび前記第2の内側に突出するフランジの各対が、それらの間に、前記ミニカラムホルダプレートの厚さよりも大きい厚さを有する間隙を形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
ミニカラムを定位置に固定するように構成された維持システムであって、前記システムが、
上側ホルダプレートであって、前記上側ホルダプレートが、少なくとも1つの列に配置された貫通する複数の垂直孔を有し、各孔が、ミニカラムを摺動可能に受け入れ、前記ミニカラムの上部の横方向の移動を拘束するように構成されている、上側ホルダプレートと、
維持装置であって、
横方向に離隔した一対の直立支持体であって、各直立支持体が、
前記上側ホルダプレートの上面に摺動可能に載置されるように構成された下向き面と、
前記上側ホルダプレートの下面に摺動可能に接触するように構成された上向き面と
を備える、直立支持体と、
前記直立支持体の間にまたがり、それらを横方向に離隔した関係で保持する水平梁であって、前記水平梁が、その長さに沿って複数の垂直貫通孔を有し、前記垂直貫通孔が、吸引針よりも大きく且つミニカラムの上部の外径よりも小さい直径を有し、前記水平梁が、前記直立支持体の前記下向き面から離隔した底面を有し、前記底面が、ミニカラムが前記上側ホルダプレートの上面から突出する量よりも大きい距離だけ前記下向き面から離隔している、水平梁と
を備え、
前記維持装置が、前記上側ホルダプレートの周縁部に沿ってのみ前記上側ホルダプレートに接触するように構成され、且つ、内部にミニカラムが挿入された後に前記上側ホルダプレートに沿って摺動するように構成され、それによって前記上側ホルダプレートに前記ミニカラムを維持するが、前記水平梁の前記垂直貫通孔を介して前記ミニカラムにアクセスすることを可能にする、維持装置と
を備える、維持システム。
【請求項9】
前記上側ホルダプレートを下側水平面の上方に所定の距離だけ位置決めするように構成されたスタンドオフをさらに備える、請求項8に記載の維持システム。
【請求項10】
前記下側水平面を形成する下側ホルダプレートをさらに備え、前記下側ホルダプレートが、前記上側ホルダプレートの各垂直孔の真下に凹部または孔を有し、各凹部または孔が、横方向の移動を拘束するためにミニカラムの底部を受け入れるように構成される、請求項9に記載の維持システム。
【請求項11】
複数のミニカラムをさらに備える、請求項10に記載の維持システム。
【請求項12】
前記維持装置が、単一の材料片から一体的に形成される、請求項8に記載の維持システム。
【請求項13】
前記水平梁が、その長さに沿って単一列に配置された少なくとも3つの貫通孔を有する、請求項8に記載の維持システム。
【請求項14】
前記水平梁が、その長さに沿って単一列に配置された少なくとも8つの貫通孔を有する、請求項8に記載の維持システム。
【請求項15】
前記水平梁が、その長さに沿って配置された少なくとも2列の貫通孔を有する、請求項8に記載の維持システム。
【請求項16】
前記一対の直立支持体のそれぞれが、前記下向き面と前記上向き面の少なくとも2対を備え、それによって前記水平梁が、異なる長さのミニカラムを収容するために、前記上側ホルダプレートの上方の少なくとも2つの異なる高さに位置決めされることを可能にする、請求項8に記載の維持システム。
【請求項17】
各直立支持体の前記下向き面が、第1の内側に突出するフランジによって形成され、各直立支持体の前記上向き面が、第2の内側に突出するフランジによって形成され、前記第1の内側に突出するフランジおよび前記第2の内側に突出するフランジの各対が、それらの間に、前記上側ホルダプレートの厚さよりも大きい厚さを有する間隙を形成する、請求項8に記載の維持システム。
【請求項18】
複数のミニカラムを維持する方法であって、前記方法が、
ホルダプレートであって、該ホルダプレートを貫通する複数の垂直孔を有するホルダプレートを提供することと、
前記複数のミニカラムの少なくとも一部が第1の列になるように、前記ホルダプレートの前記複数の垂直孔に前記複数のミニカラムを配置することと、
前記第1の列のミニカラムを覆うまで維持装置を前記ホルダプレートに沿って摺動させることであって、前記維持装置が、各々の前記ミニカラムの上方に貫通する垂直孔を有する、維持装置を前記ホルダプレートに沿って摺動させることと、
前記維持装置の前記垂直孔のうちの少なくとも1つを通って前記第1の列の前記ミニカラムのうちの少なくとも1つに吸引針を挿入することと、
前記維持装置内の少なくとも1つの前記ミニカラムおよび少なくとも1つの前記垂直孔から前記吸引針を引き抜くことと
を含み、
それによって、前記維持装置が、引き抜きステップ中に上昇する前記第1の列における前記ミニカラムのいずれかの上面に接触する下面を有し、前記下面が、上昇する前記ミニカラムを前記ホルダプレート内に維持する役割を果たす、方法。
【請求項19】
複数の吸引針が、前記維持装置の複数の垂直孔および前記第1の列の複数のミニカラムに同時に挿入され、前記維持装置の複数の垂直孔および前記第1の列の複数のミニカラムから同時に引き抜かれる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記吸引針が、ロボット液体ハンドリングワークステーションによって前記ミニカラムおよび前記垂直孔の中に垂直下方に自動的に移動され、次いで前記ミニカラムおよび前記垂直孔から上方に垂直に自動的に引き抜かれる、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記吸引針が、ロボット液体ハンドリングワークステーションによって前記第1の列のミニカラムから第2の列のミニカラムに水平方向に自動的に移動される、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
参照による組み込み
本明細書で述べられる全ての刊行物、および特許出願は、それぞれの個々の刊行物、または特許出願が参照によって組み込まれることが具体的且つ個別に示されるかのように、参照によってそれらの全体が同様に本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
バイオテクノロジーおよび製薬会社は、研究を推進するために高速なハイスループットスクリーニングプロセスに依存することが多い。特に、クロマトグラフィサンプルのアレイは、タンパク質の分離/精製、プロセス開発、方法の最適化およびパラメータスクリーニング、ならびにその後の分析の前のサンプル調製に使用されることが多い。これらのクロマトグラフィサンプルの一般的なフォーマットは、RoboColumnsまたはミニカラムと呼ばれることもある小型化されたクロマトグラフィカラムである。これらの小型化されたカラムは、特定の標的タンパク質の分離/精製に適した樹脂または他のクロマトグラフィ媒体が予め充填された市販のものである。小型化されたカラムは、用途の要件にしたがって、一般的に使用される96ウェルマイクロプレート上に個別に配置され得る。多くの用途では、スイスのマンネドルフに本社を置くTecan Groupから入手可能なFreedom Evo(商標)システムなどのロボット液体ハンドリングワークステーションが並列クロマトグラフィ分離に利用されている。
【0003】
小型化されたクロマトグラフィカラムのアレイとともにロボット液体ハンドリングワークステーションを使用するときに現れる1つの問題は、ロボット制御された針がカラムから引き抜かれているときに、カラムがそれらを保持するマイクロプレートから不用意に持ち上げられる場合があることである。これは、プロセスを停止させる可能性があり、サンプルが破壊される可能性があり、ロボットシステムがその後クラッシュした場合に重大な機器損傷を引き起こす可能性がある。
【0004】
したがって、必要とされ且つ従来技術によって提供されていないものは、ロボット液体ハンドリングシステムとともに使用されるときにマルチウェルマイクロプレート内の小型クロマトグラフィカラムを一時的に維持するための改良されたシステムおよび方法である。本明細書に記載の技術革新は、これらの満たされていないニーズを解決し、追加の利点を提供する。
【発明の概要】
【0005】
開示の概要
本開示の態様によれば、ホルダプレート内にミニカラムを固定するように構成された維持装置は、一対の横方向に離隔した直立支持体と、直立支持体を横方向に離隔した関係で保持する直立支持体間にまたがる水平梁とを備えてもよい。いくつかの実施形態では、直立支持体のそれぞれは、下向き面および上向き面を含む。これらの実施形態では、下向き面は、ミニカラムホルダプレートの上面に摺動可能に載置するように構成され、上向き面は、ホルダプレートの下面に摺動可能に接触するように構成される。水平梁は、その長さに沿って複数の垂直貫通孔を有し得る。いくつかの実施形態では、貫通孔は、吸引針よりも大きく、ミニカラムの上部の外径よりも小さい直径を有する。水平梁は、直立支持体の下向き面から、ミニカラムがホルダプレートの上面から突出する量よりも大きい距離だけ離隔され得る底面を有する。いくつかの実施形態では、装置は、ホルダプレートの周縁部に沿ってのみホルダプレートに接触するように構成され、且つ、内部にミニカラムが挿入された後にホルダプレートに沿って摺動し、それによってホルダプレートにミニカラムを維持するが、水平梁の垂直孔を介してミニカラムにアクセスすることを可能にするように構成される。
【0006】
上記の装置のいくつかの実施形態では、装置は、単一の材料片から一体的に形成される。水平梁は、その長さに沿って単一列に配置された少なくとも3つの貫通孔を有し得る。いくつかの実施形態では、水平梁は、その長さに沿って単一列に配置された少なくとも8つの貫通孔を有する。水平梁は、その長さに沿って配置された少なくとも2列の貫通孔を有し得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、一対の直立支持体は、それぞれ、下向き面と上向き面の少なくとも2対を備え、それによって水平梁が、異なる長さのミニカラムを収容するために、ミニカラムホルダプレートの上方の少なくとも2つの異なる高さに位置決めされることを可能にする。いくつかの実施形態では、各直立支持体の下向き面は、第1の内側に突出するフランジによって形成され、各直立支持体の上向き面は、第2の内側に突出するフランジによって形成される。これらの実施形態では、第1の内側に突出するフランジおよび第2の内側に突出するフランジの各対は、それらの間に、ミニカラムホルダプレートの厚さよりも大きい厚さを有する間隙を形成する。
【0008】
本開示の態様によれば、複数のミニカラムを維持する方法は、ホルダプレートであって、該ホルダプレートを貫通する複数の垂直孔を有するホルダプレートを提供することを含み得る。いくつかの実施形態では、複数のミニカラムは、少なくともいくつかのミニカラムが第1の列にあるように、ホルダプレートの複数の垂直孔に配置される。維持装置は、第1の列のミニカラムを覆うまでホルダプレートに沿って摺動され得る。維持装置は、各ミニカラムの上方に維持装置を貫通する垂直孔を有し得る。いくつかの実施形態では、吸引針は、維持装置の垂直孔のうちの少なくとも1つを通って第1の列のミニカラムのうちの少なくとも1つに挿入される。吸引針は、維持装置内の少なくとも1つのミニカラムおよび少なくとも1つの垂直孔から引き抜かれ得る。維持装置は、引き抜きステップ中に上昇する第1の列のミニカラムのいずれかの上面に接触する下面を備え得て、下面は、上昇するミニカラムをホルダプレート内に維持する役割を果たす。
【0009】
いくつかの実施形態では、複数の吸引針は、維持装置の複数の垂直孔および第1の列の複数のミニカラムに同時に挿入され、維持装置の複数の垂直孔および第1の列の複数のミニカラムから同時に引き抜かれる。吸引針は、ロボット液体ハンドリングワークステーションによって、ミニカラムおよび垂直孔の中に垂直下方に自動的に移動され、次いで、ミニカラムおよび垂直孔から垂直上方に自動的に引き抜かれ得る。いくつかの実施形態では、吸引針は、ロボット液体ハンドリングワークステーションによって、第1の列のミニカラムから第2の列のミニカラムに水平方向に自動的に移動される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の新規な特徴は、以下の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本開示の特徴および利点のより良い理解は、本開示の原理が利用される例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明、およびその添付の図面を参照することによって得られるであろう:
【0011】
【
図1】従来技術のクロマトグラフィミニカラムを示す側断面図である。
【0012】
【
図2】従来技術のミニカラムアレイを示す斜視図である。
【0013】
【
図3】従来技術のロボット液体ハンドリングワークステーションとともに使用される
図2のミニカラムアレイを示す斜視図である。
【0014】
【
図4A】本開示の態様にしたがって構成されたミニカラム維持デバイスの例示的な実施形態を示す上面図である。
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【
図5】本開示の態様にかかるロボット液体ハンドリングワークステーションとともに使用される
図4A~
図4Dのデバイスを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
本開示の態様によれば、本明細書に開示される維持デバイスは、吸引針がミニカラムから引き抜かれるときに、ミニカラムをホルダプレート内に維持するように構成される。
【0020】
図1を参照すると、例示的な従来技術の小型化されたクロマトグラフィカラム100(ミニカラムまたはRoboColumnとも呼ばれる)が示されている。この特定のミニカラムは、ドイツのBaden-Wuerttembergに本社を置くAtoll GmbHから入手可能である。ミニカラム100は、その上端付近に位置する針ポート112を有する細長カラムチューブ110を含む。針ポート112は、針116の遠位端がミニカラム100に挿入されて液体を送達および/または抽出するときに、吸引針116(部分的に図示)の外周に接触するように構成されたOリングシール114を含む。針116は、後により詳細に説明するように、手動で操作されてもよく、またはロボット制御されてもよい。
【0021】
ミニカラム100は、上部フィルタ122を介して樹脂チャンバ120と流体連通する入口毛細管118を含む。毛細管出口124もまた、図示のように底部フィルタ126を介して樹脂チャンバ120と流体連通している。ミニカラム100には、図示のようにその上端にフランジ128が設けられ得る。フランジ128は、厚さTと、カラムチューブ110の主要部分の直径よりも大きい直径Dとを有する。いくつかの実装では、ミニカラム100は、0.2mL、0.6mL、またはそれ以上もしくはそれ以下の体積を保持する。ミニカラム100は、典型的には、樹脂によって再充填されて販売される。
【0022】
図2を参照すると、ミニカラム100は、96カラムアレイ200において市販される。アレイ200は、図示のようにミニカラム100の底部を受け入れるための8×12個の止まり孔のアレイを有する下部ベースプレート210によって形成される。96個のミニカラム100の上部を封止するために、共通の上部シール212が設けられ得る。
【0023】
図3を参照すると、ロボット液体ハンドリングワークステーション300とともに使用されるミニカラム100のアレイ200が示されている。ワークステーション300は、単一列に配置され、アレイ200内のミニカラム100の時点で一列に下降され得るように離隔された8つの吸引針116の列を含む。このようにして、ワークステーション300は、8つのミニカラム100に液体を同時に挿入することができるか、または8つのミニカラム100から液体を同時に引き抜くことができる。針116がミニカラム100から完全に引き抜かれるように上昇すると、針116は、その後、8つのミニカラム100の異なるラインに導入され得るように、アレイ200に対して横方向に移動してもよい。
【0024】
針116がミニカラム100から引き抜かれているとき、Oリング114(
図1に示す)と針116との間の摩擦力は、時々、ミニカラム100の底部と下部ベースプレート210(
図2に示す)との間の摩擦力+ミニカラム100の重量よりも大きくなり得る。これは、ミニカラム210のうちの1つまたは複数を、ベースプレート210内のその入れ子から望ましくなく持ち上げさせる。持ち上げられたミニカラムは、針116に付着し続けることがあり、または望ましくない位置において脱落することがある。ミニカラム100のそのような移動は、関連するプロセスを遅延または破壊する可能性があり、または針116、ミニカラム100、またはロボットワークステーション300の他の構成要素を互いに衝突させ、機器に損傷を引き起こす可能性がある。後に説明するように、本開示の出願人は、ミニカラム100のこの望ましくない持ち上げの発生を防止するための方法および装置を発見した。
【0025】
図4A~
図4Dを参照すると、本開示の態様にしたがって構成されたミニカラム維持デバイス400の例示的な実施形態が提供される。この例示的な実施形態では、維持デバイス400は、ステンレス鋼、アルミニウム、または熱可塑性樹脂などの単一の一体材料片から形成される。デバイス400は、一対の横方向に離隔された直立支持体410を含む。直立支持体410は、直立支持体410の間にまたがる水平梁412によって横方向に離隔した関係で保持される。各直立支持体410は、一対の内側に突出するフランジ414、416を含む。上部フランジ414には、ミニカラムホルダプレート419(
図5に示す)の上面に摺動可能に載置されるように構成された下向き面418が設けられている。底部フランジ416には、ホルダプレート419の下面に摺動可能に接触するように構成された上向き面420が設けられている。内側に突出するフランジ414、416の各対は、それらの間にホルダプレート419の厚さよりも大きい厚さを有する間隙421を形成する。これらの表面および間隙の目的は、
図5を参照して後に説明する。
【0026】
代替の実施形態(図示せず)では、下向き面418および上向き面420は、
図4Bおよび
図4Dに示す内側に突出するフランジ414、416の対ではなく、直立支持体410内に延在するスロットの対向する面に形成され得る。
【0027】
水平梁412には、その長さに沿って複数の垂直貫通孔422が設けられ得る。この例示的な実施形態では、8つの孔422が設けられている。孔422は、水平梁412を通る8つの孔がアレイ200の一列の8つのミニカラム100の上部と整列するように、ミニカラム100間の間隔と同じ間隔(
図3に示す)を有する。孔422は、それぞれ、吸引針116の外径よりも大きい直径を有し、それによって針116(
図1および
図3に示す)が孔422を通過することを可能にする。孔422の直径もまた、ミニカラム100の上部の外径D(
図1に示す)よりも小さく、それによってミニカラム100が孔422を通過することを防止する。
【0028】
水平梁412は、使用中に不用意に持ち上げられている任意のミニカラム100の上面に接触するために使用される底面424を有する。底面424は、直立支持体410の下向き面418から、ミニカラム100がホルダプレート419(
図5に示す)の上面から突出する量よりも大きい距離d(
図4Bに示す)だけ離隔される。この配置は、ミニカラム100がそのように装備されている場合、フランジ128(
図1に示す)がデバイス400に当たることなくホルダプレート419の上方に延在するのに十分な空間を可能にする。いくつかの実施形態では、この距離dは、針の引き抜き中にミニカラム100が持ち上げられている場合に、底面424によって接触される前に少量しか上昇しないように、フランジ128の厚さT(
図1に示す)よりも僅かに大きいだけである。いくつかの実施形態では、距離dは、厚さTよりも2mm未満または1mm未満長い。
【0029】
図5を参照すると、ロボット液体ハンドリングワークステーション300および維持システム500を有する例示的な維持デバイス400の使用が示されて説明される。いくつかの実装では、上部ミニカラムホルダプレート419は、下部ベースプレート210の上方に設けられ、そこから4つのスタンドオフ510によって離隔され得る。ベースプレート210は、ミニカラムアレイ200(
図2に示す)が設けられた標準的なベースプレートであってもよく、内部に96個のウェルが設けられた特注のプレートであってもよく、または単に平板もしくはベンチトップであってもよい。ホルダプレート419は、締結具によってスタンドオフ510に取り付けられ、ミニカラム100を摺動可能に受け入れるように寸法決めされた、ホルダプレート419を貫通する8×12アレイの貫通孔が設けられ得る。ホルダプレート419の厚さは、間隙421(
図4Bに示す)の厚さよりも僅かに小さくてもよく、直立支持体410間の距離よりも僅かに小さい幅を有してもよく、それによってデバイス400は、結合することなく、過剰な遊びを有することなくホルダプレート419の縁部に沿って摺動することができる。
【0030】
使用時には、ベースプレート210、スタンドオフ510およびホルダプレート419を備えるミニカラムホルダ装置は、ロボット液体ハンドリングワークステーション300内に配置され、ワークステーションに対する移動を防止するためにそこに固定され得る。いくつかの実施形態では、位置および向きは、ロボット制御針116の動きに関して手動でまたは自動的に位置合わせされる。次いで、ミニカラム100は、ホルダ装置内に配置され得る。ホルダプレート419に装填されると、ミニカラム100の上部は、図示のように、プレートの上方に所定量だけ突出し得る。維持デバイス400は、ホルダプレート419上に摺動され、図示のように、ミニカラム100の上部を覆うように、ミニカラム100の列と位置合わせされ得る。次いで、ロボット制御プロセスが開始され得る。孔412(
図4Aおよび
図4Dに示す)は、針116が維持デバイス400を通過してミニカラム100に入ることを可能にする。針が上昇されているときにいずれかのミニカラム100が針116に付着すると、ミニカラムの上縁部は、底面424に接触し(
図4Bおよび
図4Dに示す)、維持デバイス400は、ミニカラムを定位置に維持する。ミニカラムアレイの複数の列が針116によってアクセスされている場合、維持デバイス400は、そのミニカラムを定位置に保持するために、ホルダプレート419に沿ってその列に手動でまたはロボット的に摺動され得る。
【0031】
代替の実施形態(図示せず)では、一度に複数列のミニカラムを維持するために、維持デバイス400には、複数列の孔が設けられてもよい。いくつかの実施形態では、維持デバイスは、アレイ全体を一度に覆い得る。クリップまたは他の締結デバイスが利用されて、維持デバイスをホルダプレートに取り外し可能に結合し得る。
【0032】
本開示の例示的な実施形態を本明細書に示し、説明してきたが、このような実施形態は例として提供されているに過ぎないことは当業者には明らかであろう。ここで、当業者は、本開示から逸脱することなく、多数の変化形、変更および置換に想到するであろう。本明細書に記載されている本開示の実施形態に対する様々な代替形態が、本開示を実施する際に使用され得ることが理解されるべきである。本明細書に記載の実施形態の多数の異なる組み合わせが可能であり、そのような組み合わせは本開示の一部と見なされる。さらに、本明細書の任意の1つの実施形態に関連して説明した全ての特徴は、本明細書の他の実施形態での使用に容易に適合させることができる。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、特許請求の範囲内の方法および構造、ならびにそれらの等価物を包含することが意図される。
【0033】
特徴または要素が本明細書で別の特徴または要素「上」にあると言及される場合、それは、他の特徴または要素上に直接存在し得、または介在する特徴および/または要素も存在してもよい。対照的に、特徴または要素が別の特徴または要素の「直接上に」あると言及される場合、介在する特徴または要素は存在しない。特徴または要素が別の特徴または要素に「接続され」、「取り付けられ」または「結合され」と言及される場合、それは他の特徴または要素に直接接続され、取り付けられ、または結合されることも可能であり、または介在する特徴または要素が存在し得ることも理解されよう。対照的に、特徴または要素が別の特徴または要素に「直接接続されている」、「直接接続されている」、または「直接結合されている」と言及される場合、介在する特徴または要素は存在しない。一実施形態に関して説明または示されているが、そのように説明または示されている特徴および要素は、他の実施形態に適用することができる。別の特徴に「隣接して」配置された構造または特徴への言及は、隣接する特徴と重複するか、またはその下にある部分を有し得ることも当業者にとって理解されるであろう。
【0034】
本明細書に使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本開示を限定することは意図されていない。例えば、本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。本明細書で使用される場合、「備える(comprises)」および/または「備える(comprising)」という用語は、記載された特徴、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことがさらに理解される。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連するリストされた項目の1つまたは複数のありとあらゆる組み合わせを含み、「/」と省略され得る。
【0035】
「下(under)」、「下(below)」、「下(lower)」、「上(over)」、「上(upper)」などのような空間的に相対的な用語は、説明を容易にするために、ある要素または特徴と別の要素または図に示されている特徴との関係を説明するために本明細書において使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示されている方向に加えて、使用中または動作中のデバイスの異なる方向を包含することを意図していることが理解されよう。例えば、図のデバイスが裏返されている場合、他の要素または特徴の「下(under)」または「下方(beneath)」として記述されている要素は、他の要素または特徴の「上方(over)」になる。したがって、「下(under)」という例示的な用語は、上と下の双方の方向を包含することができる。デバイスは、他の方法で方向付けられてもよく(例えば、90度回転または他の方向に)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子がそれに応じて解釈されてもよい。同様に、「上向き(upwardly)」、「下向き(downwardly)」、「垂直(vertical)」、「水平(horizontal)」などの用語は、特に明記しない限り、説明の目的でのみ本明細書で使用される。
【0036】
「第1」および「第2」という用語は、本明細書では様々な特徴/要素(ステップを含む)を説明するために使用され得るが、文脈が別段の指示をしない限り、これらの特徴/要素はこれらの用語によって制限されるべきではない。これらの用語は、ある特徴/要素を別の特徴/要素から区別するために使用される場合がある。したがって、以下に記載される第1の特徴/要素は、第2の特徴/要素と呼ぶことができ、同様に、以下に記載される第2の特徴/要素は、本開示の教示から逸脱することなく、第1の特徴/要素と呼ぶことができる。
【0037】
本明細書および以下の特許請求の範囲を通じて、文脈上別段の定めがない限り、「備える(comprise)」という語、および「備える(comprises)」および「備える(comprising)」などの変形は、様々な構成要素が方法および物品(例えば、組成物ならびにデバイスおよび方法を含む装置)において共同で使用され得ることを意味する。例えば、用語「備える(comprising)」は、ここに記されるいずれの要素またはステップを含むことを暗示するが、いずれの他の要素またはステップを除外することを含まない、と理解される。
【0038】
一般に、本明細書に記載の装置および/または方法のいずれも包括的であると理解されるべきであるが、構成要素および/またはステップの全てまたはサブセットは、代替的に排他的であってもよく、様々な構成要素、ステップ、サブ構成要素またはサブステップ「からなる(consisting of)」または代替的に「から本質的になる(consisting essentially of)」として表現されてもよい。
【0039】
実施例で使用されるものを含め、ここで本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、特に明示的に指定されない限り、全ての数は、その用語が明示的に表示されない場合であっても、「約」または「およそ」という語で始まるかのように読まれ得る。「約」または「およそ」という句は、説明される値および/または位置が値および/または位置の合理的な予想範囲内にあることを示すために、大きさおよび/または位置を説明するときに使用され得る。例えば、数値は、記載された値(または値の範囲)の+/-0.1%、記載された値(または値の範囲)の+/-1%、記載された値(または値の範囲)の+/-2%の値、記載された値(または値の範囲)の+/-5%、記載された値(または値の範囲)の+/-10%などを有し得る。本明細書で与えられる数値はまた、文脈が別段の指示をしない限り、約その値またはおよそその値を含むと理解されるべきである。例えば、値「10」が開示されている場合、「約10」も開示されている。本明細書に記載される任意の数値範囲は、そこに含まれる全てのサブ範囲を含むことを意図している。また、当業者が適切に理解するように、値が「以下」であると開示される場合、「値以上」および値間の可能な範囲も開示されることも理解される。例えば、値「X」が開示される場合、「X以下」ならびに「X以上」(例えば、Xが数値である場合)も開示される。また、本特許出願全体で、データは多くの様々な形式で提供され、このデータは、終了点と開始点、およびデータポイントの任意の組み合わせの範囲を表すことも理解される。例えば、特定のデータポイント「10」および特定のデータポイント「15」が開示される場合、10および15よりも大きい、それ以上、それよりも小さい、それ以下、およびそれに等しいことが、10から15の間とともに開示されていると見なされることが理解される。2つの特定のユニット間の各ユニットもまた開示されることも理解される。例えば、10と15が開示されている場合、11、12、13、および14も開示される。
【0040】
様々な例示的な実施形態が上に記載されているが、特許請求の範囲に記載されているように、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態にいくつかの変更を加えてもよい。例えば、記載された様々な方法ステップが実行される順序は、代替の実施形態ではしばしば変更されてもよく、他の代替の実施形態では、1つ以上の方法ステップが完全にスキップされてもよい。様々なデバイスおよびシステムの実施形態の任意の特徴は、いくつかの実施形態には含めてもよく、他の実施形態には含めなくてもよい。したがって、前述の説明は、主に例示的な目的で提供されており、特許請求の範囲に記載されているように、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。特徴が任意として記載されている場合、それは必ずしも任意として記載されていない他の特徴が必要であることを意味しない。
【0041】
本明細書に含まれる例および図は、限定ではなく例示として、主題が実施され得る特定の実施形態を示している。前述のように、他の実施形態を利用してそこから導き出してもよく、その結果、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的および論理的な置換および変更を行ってもよい。本発明の主題のそのような実施形態は、複数のものが実際に開示されている場合、単に便宜のために、そして本特許出願の範囲を任意の単一の発明または発明の概念に自発的に限定することを意図することなく、本明細書において個別にまたは集合的に「発明」という用語によって言及され得る。したがって、特定の実施形態が本明細書で例示および説明されてきたが、同じ目的を達成するために計算された任意の構成は、示された特定の実施形態の代わりに使用され得る。本開示は、様々な実施形態のありとあらゆる適応または変形を包含することを意図している。上記の実施形態、および本明細書に具体的に記載されていない他の実施形態の組み合わせは、上記の説明を検討すると、当業者にとって明らかであろう。
【国際調査報告】