(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】体内の神経を遮断又は調節するための電極装置
(51)【国際特許分類】
A61B 18/00 20060101AFI20240711BHJP
【ＦＩ】
A61B18/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501505
(86)(22)【出願日】2021-07-16
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 KR2021009192
(87)【国際公開番号】W WO2023286892
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】10-2021-0091638
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522076206
【氏名又は名称】ディープキュア インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】ペク，ドゥ ジン
(72)【発明者】
【氏名】ジョ，ソク ヒョン
【テーマコード（参考）】
4C160
【Ｆターム（参考）】
4C160MM32
(57)【要約】
本発明に係る体内の神経を遮断又は調節するための電極装置は、シャフトを備える本体と、前記シャフトの一端部から引き出されるように形成され、前記体内の管の少なくとも一部の神経を遮断又は調節する電極ユニットと、複数の節部と前記複数の節部を互いに連結するワイヤとを備え、前記電極ユニットをガイドする電極ガイドと、前記本体の内部に位置し、前記節部及び前記ワイヤを前記シャフトの一端部から突出するように駆動させる駆動ユニットとを含み、前記駆動ユニットは、２つのピニオンギアのピッチ円直径の割合による２つのラックギアの間のギア比を利用して、前記節部及び前記ワイヤが互いに異なる変位に連動するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内の神経を遮断又は調節するための電極装置において、シャフトを備える本体と、
前記シャフトの一端部から引き出されるように形成され、前記体内の管の少なくとも一部の神経を遮断又は調節する電極ユニットと、
複数の節部と前記複数の節部を互いに連結するワイヤとを備え、前記電極ユニットをガイドする電極ガイドと、
前記本体の内部に位置し、前記節部及び前記ワイヤを前記シャフトの一端部から突出するように駆動させる駆動ユニットとを含み、
前記駆動ユニットは、２つのピニオンギアのピッチ円直径の割合による２つのラックギアの間のギア比を利用して、前記節部及び前記ワイヤが互いに異なる変位に連動するように構成されることを特徴とする、電極装置。
【請求項2】
前記駆動ユニットは、モータ部と、
一端部が前記節部に連結されるロッドを備え、前記モータ部によって前進及び後進するロッドブロックと、
前記ワイヤを支持し、前記ロッドブロックと並んで前進及び後進するワイヤブロックとを含み、
前記ワイヤブロックは、前記ロッドブロックの前進時に前記ロッドブロックとの距離が遠くなり、前記ロッドブロックの後進時に前記ロッドブロックとの距離が近くなることを特徴とする、請求項１に記載の電極装置。
【請求項3】
前記駆動ユニットは、一端部が前記節部に連結されて前進及び後進するロッドブロックと、
前記ワイヤを支持して前進及び後進するワイヤブロックと、
前記２つのピニオンギアと前記２つのピニオンギアに対応する前記２つのラックギアとを含んで、前記ロッドブロックと前記ワイヤブロックとを互いに連結し、前記ロッドブロックと前記ワイヤブロックとの間の距離を可変させるように構成される可変連結部とを含む、請求項１に記載の電極装置。
【請求項4】
前記２つのラックギアは、前記ロッドブロックに固定されるロッドラック及び前記ワイヤブロックに固定されるワイヤラックを含み、前記２つのピニオンギアは、前記ロッドラックの直線運動を回転運動に切り替えるロッドピニオン、及び前記ロッドピニオンと共に回転し、前記ワイヤラックの直線運動を形成するワイヤピニオンを含み、
前記ロッドピニオン及び前記ワイヤピニオンは、固定されたピニオン軸と同心で回転することを特徴とする、請求項３に記載の電極装置。
【請求項5】
前記ロッドピニオンのピッチ円直径は、前記ワイヤピニオンのピッチ円直径よりも大きいことを特徴とする、請求項４に記載の電極装置。
【請求項6】
前記ワイヤは、前記節部よりも前記シャフトの一端部から突出する変位が小さく形成されて、前記節部を前記管に巻き付けられる方向へ引っ張る力を提供することを特徴とする、請求項１に記載の電極装置。
【請求項7】
前記節部は、隣り合う節部と連結される長さ方向の片側又は両側に形成されるヒンジ部と、
前記ヒンジ部の回転中心から離隔する位置に前記ワイヤが挿入されるように形成されるワイヤ孔とを備える、請求項１に記載の電極装置。
【請求項8】
前記節部は、隣り合う関節部と連結される長さ方向の片側又は両側に形成されるヒンジ部と、
前記隣り合う関節部と支持されるように前記長さ方向の片側又は両側に形成されるワインディング支持部とを備え、
前記ワインディング支持部によって互いに隣り合う関節部が支持されることにより、前記複数の節部が前記管に巻き付けられる方向の逆方向へ支持される力が提供されることを特徴とする、請求項１に記載の電極装置。
【請求項9】
前記電極ガイドは、順次に連結された前記複数の節部の末端に連結され、前記電極ユニット及び前記ワイヤの端部とそれぞれ結合されるチップジョイントをさらに備える、請求項１に記載の電極装置。
【請求項10】
前記複数の節部は、弾性変形可能な材質を有して一体に形成され、前記電極ガイドの互いに隣り合う節部の間には、前記ワイヤの力によって少なくとも一部が閉鎖されるように変形されるワインディング支持溝が形成されていることを特徴とする、請求項１に記載の電極装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内の神経を遮断又は調節するための電極装置に関する。
【背景技術】
【0002】
神経遮断術は、非正常に過度に活性化された自律神経系を制御するために特定の神経を損傷させる施術のことを言う。例えば、腎臓神経遮断術は、腎臓に向かう腎臓交感神経を損傷させることで高血圧と心臓疾患を治療し、肺神経遮断術は、肺に向かう副交感神経を損傷させることで肺疾患を治療することができる。
【0003】
神経は、通常、血管、気管支などのような管の外壁に巻き付けられており、このような管の外壁に巻き付けられて神経の信号を測定したり、当該神経に電気刺激を伝達したり、様々なエネルギーを伝達して神経を損傷又は破壊させることが必要となることがある。
【0004】
例えば、腎動脈に施術を行う場合、施術対象となる主腎動脈（ｍａｉｎ ｒｅｎａｌ ａｒｔｅｒｙ）の直径は５～７ｍｍであり、直径が１～２ｍｍである副腎動脈（ａｃｃｅｓｓｏｒｙ ｒｅｎａｌ ａｒｔｅｒｙ）を対象にすることもある。また、神経が分布している管は人によってその大きさが様々であり、位置によってその大きさが変わる。
【0005】
このような施術を実施する場合において、カテーテルの末端に形成される電極を含む構成要素を、管の外壁に巻き付けられるように精巧に位置させることが重要である。具体的に、神経を効果的に遮断あるいは調節するためには、神経が分布している管の外壁を周方向に巻き付けなければならず、管に電極が形成された構成要素を巻き付ける状態で配置する動作が信頼性良く且つ迅速に行われる必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の１つの目的は、複数の単位要素を順次に突出させながら電極が体内の管の周りに巻き付けられるようにガイドする構成を有する電極装置を提供することである。
【0007】
本発明の他の１つの目的は、複数の単位要素を突出させる動作と、複数の単位要素の経路を設定する動作とが互いに連動するように構成される電極装置を提供することである。
【0008】
また、本発明の他の１つの目的は、複数の単位要素が連結された電極をガイドする構成が、組み立てなしに１つの部材に製造され得る電極装置を提供することである。
【0009】
但し、本実施例が解決しようとする技術的課題は、上記したような技術的課題に限定されるものではなく、また他の技術的課題が存在し得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した技術的課題を達成するための手段として、本発明の一実施例は、体内の神経を遮断又は調節するための電極装置において、シャフトを備える本体と、前記シャフトの一端部から引き出されるように形成され、前記体内の管の少なくとも一部の神経を遮断又は調節する電極ユニットと、複数の節部と前記複数の節部を互いに連結するワイヤとを備え、前記電極ユニットをガイドする電極ガイドと、前記本体の内部に位置し、前記節部及び前記ワイヤを前記シャフトの一端部から突出するように駆動させる駆動ユニットとを含み、前記駆動ユニットは、２つのピニオンギアのピッチ円直径の割合による２つのラックギアの間のギア比を利用して、前記節部及び前記ワイヤが互いに異なる変位に連動するように構成される。
【0011】
一実施例において、前記駆動ユニットは、モータ部と、一端部が前記節部に連結されるロッドを備え、前記モータ部によって前進及び後進するロッドブロックと、前記ワイヤを支持し、前記ロッドブロックと並んで前進及び後進するワイヤブロックとを含み、前記ワイヤブロックは、前記ロッドブロックの前進時に前記ロッドブロックとの距離が遠くなり、前記ロッドブロックの後進時に前記ロッドブロックとの距離が近くなる。
【0012】
一実施例において、前記駆動ユニットは、一端部が前記節部に連結されて前進及び後進するロッドブロックと、前記ワイヤを支持して前進及び後進するワイヤブロックと、前記２つのピニオンギアと前記２つのラックピニオンギアに対応する２つのラックギアとを含んで、前記ロッドブロックと前記ワイヤブロックとを互いに連結し、前記ロッドブロックと前記ワイヤブロックとの間の距離を可変させるように構成される可変連結部とを含む。
【0013】
一実施例において、前記２つのラックギアは、前記ロッドブロックに固定されるロッドラック及び前記ワイヤブロックに固定されるワイヤラックを含み、前記２つのピニオンギアは、前記ロッドラックの直線運動を回転運動に切り替えるロッドピニオン、及び前記ワイヤラックの直線運動を回転運動に切り替えるワイヤピニオンを含み、前記ロッドピニオン及び前記ワイヤピニオンは、固定されたピニオン軸と同心で回転する。
【0014】
一実施例において、前記ロッドピニオンのピッチ円直径は、前記ワイヤピニオンのピッチ円直径よりも大きい。
【0015】
一実施例において、前記ワイヤは、前記節部よりも前記シャフトの一端部から突出する変位が小さく形成されて、前記節部を前記管に巻き付けられる方向へ引っ張る力を提供する。
【0016】
一実施例において、前記節部は、隣り合う節部と連結される長さ方向の片側又は両側に形成されるヒンジ部と、前記ヒンジ部の回転中心から離隔する位置に前記ワイヤが挿入されるように形成されるワイヤ孔とを備える。
【0017】
一実施例において、前記節部は、隣り合う関節部と連結される長さ方向の片側又は両側に形成されるヒンジ部と、前記隣り合う関節部と支持されるように前記長さ方向の片側又は両側に形成されるワインディング支持部とを備え、前記ワインディング支持部によって互いに隣り合う関節部が支持されることにより、前記複数の節部が前記管に巻き付けられる方向の逆方向へ支持される力が提供される。
【0018】
一実施例において、前記電極ガイドは、順次に連結された前記複数の節部の末端に連結され、前記電極ユニット及び前記ワイヤの端部とそれぞれ結合されるチップジョイントをさらに備える。
【0019】
一実施例において、前記複数の節部は、弾性変形可能な材質を有して一体に形成され、前記電極ガイドの互いに隣り合う節部の間には、前記ワイヤの力によって少なくとも一部が閉鎖されるように変形されるワインディング支持溝が形成されている。
【0020】
上述した課題を解決するための手段は、単なる例示であり、本発明を制限する意図で解釈されてはならない。上述した例示的な実施例の他にも、図面及び発明の詳細な説明に記載された追加の実施例が存在し得る。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る電極装置によれば、駆動ユニットにより複数の節部及びワイヤが連動して動作することによって、電極ガイドがシャフトから突出しながら管に巻き付けられるように動作することができる。これにより、電極ガイドの動作する空間が最小化されることができ、狭小な空間でも安全で且つ正確に神経を遮断又は調節する動作が実施されることができる。駆動ユニットにより節部とは異なるようにワイヤの変位が生成されることによって、電極ガイドの引き出し及び位置変化を正確で且つ簡潔に具現することができる。
【0022】
さらに、本発明に係る電極装置によれば、モータ部及びロッドブロックによって節部が動作し、ロッドブロックと可変的に連結されたワイヤブロックによってワイヤが動作することができる。つまり、１つのモータ部によって電極ガイドを突出させる動作と電極ガイドの位置を制御する動作とが共に実行されることができるので、精密な動作を効率的に具現することができる。
【0023】
一方、本発明に係る電極装置によれば、複数の節部の駆動を具現しつつ、節部が一体からなる電極ガイドが形成されることによって、電極装置の製造プロセスの単純化及び製品の小型化が可能となり、製造コストを節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施例に係る電極装置の側面図である。
【図6a】本発明の一実施例に係る電極ガイドの動作過程を示す図である。
【図6b】本発明の一実施例に係る電極ガイドの動作過程を示す図である。
【図6c】本発明の一実施例に係る電極ガイドの動作過程を示す図である。
【図7a】本発明の一実施例に係る駆動ユニットの平面において動作過程を示す図である。
【図7b】本発明の一実施例に係る駆動ユニットの平面において動作過程を示す図である。
【図7c】本発明の一実施例に係る駆動ユニットの平面において動作過程を示す図である。
【図8】本発明の他の実施例に係る電極ガイドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、添付した図面を参照しながら、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例を詳しく説明する。ところが、本発明は様々な異なる形態に具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されるものではない。そして、図面において、本発明を明確に説明するために、説明とは関係ない部分は省略しており、明細書全体に亘って類似した部分に対しては類似した図面符号を付けている。
【0026】
明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているという場合、これは「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで「電気的に連結」されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味し、１つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部分品又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加可能性を予め排除するものではないと理解されなければならない。さらに、本願の明細書全体において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているという場合、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、両部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0027】
図１は、本発明の一実施例に係る電極装置１００の側面図である。図２は、図１に示す電極ガイド１３０が電極ユニット１２０をガイドして血管に巻き付けられるように位置した状態を示す図である。図３は、図２に示す領域Ａのシャフト１１１の内部の構成要素を示す図である。図４は、図２に示す節部１３１の一部の分解斜視図である。図５は、図１に示す本体１１０の内部に配置される駆動ユニット１４０の斜視図である。
【0028】
【0029】
図１を参照すると、本発明の一実施例に係る電極装置１００は、本体１１０と、電極ユニット１２０と、電極ガイド１３０と、駆動ユニット１４０とを含んでいても良い。
【0030】
本体１１０は、一方向に伸びるシャフト１１１と、シャフト１１１と連結されて施術者が把持できるように形成されるグリップ部１１２と、グリップ部１１２に形成されて電極ガイド１３０の動作を操作できるガイド操作部１１３と、グリップ部１１２に形成されて電極ユニット１２０へのエネルギー伝達を操作できる電極操作部１１４とを含んでいても良い。本体１１０の内部には電極ユニット１２０と電極ガイド１３０とを駆動且つ制御する要素が配置されても良い。
【0031】
電極ユニット１２０は、シャフト１１１の一端部から引き出されるように形成され、施術者の操作などによって体内の管を含む組織に分布している神経の少なくとも一部を遮断あるいは調節するように構成される。電極ユニット１２０は、シャフト１１１の内部に収容されていて、本発明の電極装置１００が作動する際に後述する電極ガイド１３０によって外部に引き出されても良い。
【0032】
図２を参照すると、電極ユニット１２０は、ベース部１２１と、電極部１２２と、センサ部１２３とを含んでいても良い。本発明に係る電極装置１００は、体内の管又は管状の組織Ｖの外面に電極が巻き付けられ、電極を介してエネルギーを伝達しても良く、そのために、ベース部１２１は、可撓性のフレキシブル回路基板（Ｆｌｅｘｉｂｌｅ ＰＣＢ）であっても良い。
【0033】
電極部１２２は、ベース部１２１上に形成されるものであり、図２の実施例において、電極部１２２は、ベース部１２１上で互いに平行に伸びる２つの電極により構成されても良い。本実施例において、ベース部１２１及び電極部１２２は、体内の管などに円周方向に伸びて巻き付けられるように構成されても良い。
【0034】
電極部１２２は、神経を遮断（ｂｌｏｃｋ ｏｒ ｄｅｎｅｒｖａｔｉｏｎ）あるいは調節（ｃｏｎｔｒｏｌ ｏｒ ｍｏｄｕｌａｔｉｏｎ）するために、例えば、ステンレス鋼、金などのように人体に無害で且つ電気を伝達できる素材からなっていても良い。また、電極部１２２は、エネルギーソース生成器からの様々なタイプのエネルギーを伝達しても良い。例えば、高周波エネルギー（ｒａｄｉｏ－ｆｒｅｑｕｅｎｃｙ（ＲＦ） ｅｎｅｒｇｙ）、電気エネルギー、レーザエネルギー、超音波エネルギー（ｕｌｔｒａｓｏｎｉｃ ｅｎｅｒｇｙ）、集束超音波エネルギー（ｈｉｇｈ－ｉｎｔｅｎｓｉｔｙ ｆｏｃｕｓｅｄ ｕｌｔｒａｓｏｕｎｄ ｅｎｅｒｇｙ）、極低温エネルギー（ｃｒｙｏｇｅｎｉｃ ｅｎｅｒｇｙ）、及びその他の熱エネルギーが利用されても良い。
【0035】
また、電極部１２２は、高周波エネルギーを伝達するためのフレキシブル回路基板（Ｆｌｅｘｉｂｌｅ ＰＣＢ）、超音波エネルギーを伝達するためのトランスデューサ、高い高電圧エネルギーを伝達するための金属電極などによって具現され、神経を損傷させるためのエネルギーを伝達しても良い。
【0036】
また、ベース部１２１上には、センサ部１２３が形成されても良い。一例として、センサ部１２３は、体内の管などに接触して温度を測定する熱電対（ｔｈｅｒｍｏｃｏｕｐｌｅ）であっても良く、本発明に係る電極装置１００によって神経切断術が施される際、センサ部１２３は、施術部位の温度をモニタリングしても良い。センサ部１２３は、例えば、銅（ｃｏｐｐｅｒ）及びコンスタンタン（ｃｏｎｓｔａｎｔａｎ）の対により構成された熱電対であっても良い。他の例として、センサ部１２３は、管の神経の信号を測定しても良い。
【0037】
電極ガイド１３０は、電極ユニット１２０を体内の管に接触させる機能を有する。電極ガイド１３０は、電極ユニット１２０を支持して電極ユニット１２０を体内の管に接触させるようにガイドする。
【0038】
図２乃至図４をさらに参照すると、本発明に備えられる電極ガイド１３０は、複数の節部１３１を備える。複数の節部１３１は、電極ユニット１２０を挟んで体内の管Ｖの周りに巻き付けられるように曲線のワインディング経路を形成しても良い。図２及び図６ｃに示された状態が曲線のワインディング経路に沿って複数の節部１３１が完全に引き出されて配置された状態であっても良い。
【0039】
また、電極ガイド１３０は、チップジョイント１３２と、ワイヤ１３３とをさらに含んでいても良い。チップジョイント１３２は、電極ユニット１２０を支持し、順次に連結された複数の節部１３１の末端に結合されても良い。チップジョイント１３２は、複数の節部１３１よりも先にシャフト１１１の一端部から引き出されても良い。図６ｃに示すように、チップジョイント１３２は、体内の管Ｖに近接して位置されても良く、電極ユニット１２０との干渉を防止したり、体内の管に巻き付けられる面を極大化したりするよう、末端に行くほど幅又は厚さが薄くなるテーパ形状を有しても良い。チップジョイント１３２には、電極ユニット１２０の端部が締結されて固定されても良い。
【0040】
ワイヤ１３３は、複数の節部１３１を順次に貫通するように形成されても良い。図３及び図４を参照すると、ワイヤ１３３を貫通するために、節部１３１には、長さ方向にワイヤ孔１３１ｃが形成されても良い。ワイヤ孔１３１ｃを順次に貫通したワイヤ１３３の端部は、チップジョイント１３２に結合されて固定されても良く、ワイヤ１３３は、ワイヤ孔１３１ｃ内において長さ方向に各節部１３１に対してスライド可能である。これにより、ワイヤ１３３は、複数の節部１３１及びチップジョイント１３２がワインディング経路上に配置されるようにガイドし、複数の節部１３１及びチップジョイント１３２を管Ｖに巻き付けられる方向へ引っ張る力を提供することができる。
【0041】
ワイヤ１３３は、複数の節部１３１と共にシャフト１１１の一端部から突出するように動作されても良い。そのとき、節部１３１が突出する量よりも、ワイヤ１３３が突出する量の方が小さくなるように設計されることができるので、これにより、ワイヤ１３３は、複数の節部１３１を曲線の経路を有するように引っ張る力を提供することができる。
【0042】
図４を参照すると、節部１３１は、ヒンジ部１３１ａと、ワインディング支持部１３１ｂとを備えても良い。ヒンジ部１３１ａは、隣り合う関節と回転可能に連結するための構成であり、節部１３１が並んで連結される長さ方向の片側又は両側に形成されても良い。図面に示すように、ヒンジ部１３１ａは、長さ方向と交差する方向に回転軸を形成し、隣り合う節部１３１のヒンジ部１３１ａと連結されても良い。各ヒンジ部１３１ａには、回転軸が形成される方向にヒンジピン（不図示）が挿入されることで締結されても良い。
【0043】
ワインディング支持部１３１ｂは、ワインディング経路上に複数の節部１３１を支持するための構成であり、隣り合う節部１３１と互いに支持されるよう長さ方向の片側又は両側に形成されても良い。図面に示すように、ワインディング支持部１３１ｂは、電極ガイド１３０の内側（節部１３１に巻き付けられる）方向へヒンジ部１３１ａと隣り合う位置に形成されても良い。ワインディング支持部１３１ｂは、例えば、予め設定された角度及び面積を有する面からなっていても良く、隣り合うワインディング支持部１３１ｂと面接触して支持されることにより、電極ガイド１３０のワインディングされた形態が固定されても良い。ワインディング支持部１３１ｂ及びワイヤ孔１３１ｃは、ヒンジ部１３１ａの回転中心から体内の管Ｖに向かう内側に離隔する位置に形成されても良い。
【0044】
電極ガイド１３０に比べて相対的にワイヤ１３３が後方へ引かれた場合（ワイヤ１３３がシャフト１１１から引き出される長さが節部１３１に比べて小さい場合）、ワイヤ１３３には、電極ガイド１３０をワインディングする方向へ張力が加えられても良い。それに対し、ワインディング支持部１３１ｂは、電極ガイド１３０がワインディングされることを抑制する方向に節部１３１の互いを支持する力を提供しても良い。ワイヤ１３３とワインディング支持部１３１ｂとが互いに逆方向へ力のバランスをなすことによって、電極ガイド１３０がワインディング経路上で固定されることができる。
【0045】
一方、図４に示すように、電極ガイド１３０は、第１の節群１３１ｘと、第２の節群１３１ｙとを含んでいても良い。つまり、複数の節部１３１は、互いに異なる長さを有する第１の節群１３１ｘと第２の節群１３１ｙとに分けられても良い。
【0046】
長さの違いにより、第１の節群１３１ｘは第１の曲率半径を形成し、第２の節群１３１ｙは第１の曲率半径よりも大きい第２の曲率半径を形成することができる。図６ｃから分かるように、相対的に短い長さを有する節部（第１の節群１３１ｘ）が小さい曲率半径を形成し、長い長さを有する節部（第２の節群１３１ｙ）が大きい曲率半径を形成することができる。
【0047】
チップジョイント１３２に近い側に配置された節部１３１によってより小さい曲率半径の経路を形成すれば、図６ｃに示すように、体内の管とシャフト１１１との間の空間にチップジョイント１３２が進入する経路を作ることができる。そして、節部１３１を含む電極ガイド１３０が全体的に螺旋状を有していても良い。
【0048】
以下では、本発明に係る電極装置１００の駆動ユニット１４０について説明する。
【0049】
駆動ユニット１４０は、２つのピニオンギアのピッチ円直径の割合による２つのラックギアの間のギア比を利用して節部１３１及びワイヤ１３３が互いに異なる変位に連動するように構成されても良い。仮に、ピッチ円直径が１である場合は、ピッチ円直径が２である場合より、ラックギアの移動距離が半分に減ったことを意味する。
【0050】
駆動ユニット１４０は、電極ガイド１３０の節部１３１及びワイヤ１３３をシャフトの一端部から突出するように駆動させ、節部１３１及びワイヤ１３３を互いに異なる変位を有するように連動させる。
【0051】
例えば、駆動ユニット１４０によって、節部１３１よりもワイヤ１３３の方がシャフト１１１の一端部からより小さい量（長さ）で突出しても良い。この突出量の差に対応する分だけ節部１３１はワイヤ１３３によって一方向（体内の管に巻き付けられる方向）に引っ張られ、曲線のワインディング経路を形成しながら突出しても良い。より具体的に、節部１３１が突出しながらワインディング支持部１３１ｂによって形成されるワインディング角度（例えば、３０度）ずつ回転する度に、ワイヤ１３３は、相対的により小さい量で突出しても良い。
【0052】
図６ａ乃至図６ｃを参照すると、電極ガイドは、電極ユニット１２０と共にシャフト１１１の内部に収容されていて、施術のために一端部から前進Ｆすることによって、曲線のワインディング経路を形成しながら突出しても良い。複数の節部１３１は、順次に引き出されながら、ワイヤ１３３との変位差によって、曲線のワインディング経路に沿って移動され、全体的に管Ｖに巻き付けられる状態になっても良い。さらに、電極ガイド１３０は管の外周面と離隔して位置し、電極ガイド１３０の巻き付けられた内側に配置される電極ユニット１２０が管Ｖの外周面に密着されても良い。
【0053】
本発明によれば、駆動ユニット１４０によって、複数の節部１３１は、シャフト１１１から引き出されながら管Ｖに巻き付けられる方向にワインディングされても良い。よって、電極ガイド１３０の動作する空間が最小化されることができ、狭小な空間でも安全で且つ正確に神経を遮断又は調節する動作が実施されることができる。
【0054】
また、駆動ユニット１４０が節部１３１とは異なるようにワイヤ１３３の変位を生成することによって、本発明に係る電極装置１００の電極ガイド１３０は、動作経路の精度と繰り返し再現性を確保することができる。
【0055】
以下では、駆動ユニット１４０の詳細な構成及び機能について説明する。
【0056】
駆動ユニット１４０は、フレーム１４１と、モータ部１４２と、ロッドブロック１４３と、ワイヤブロック１４４と、可変連結部１４５とを含んでいても良い。フレーム１４１は、本体の内部に固定されるように設けられても良く、前後方向に伸びるガイドスロット又はガイドシャフト１４１ａなどを備えても良い。モータ部１４２は、フレーム１４１に連結され、フレーム１４１に回転可能に支持される回転軸１４２ａを備えても良い。モータ部１４２は、例えば、電気エネルギーの伝達を受けて回転軸１４２ａを回転させても良い。
【0057】
ロッドブロック１４３の一端部は、節部１３１に連結されても良い。ロッドブロック１４３は、モータ部１４２によって前進及び後進しても良い。具体的に、ロッドブロック１４３は、前後方向に伸び、外周面にネジ山が形成された回転軸１４２ａと噛み合って前進及び後進しても良い。ロッドブロック１４３は、シャフト１１１の内部に配置され、一方向（前後方向）に伸びるように形成され、節部１３１を支持するロッド１４３ｂと結合され、フレーム１４１のガイドスロット又はガイドシャフト１４１ａなどにスライド可能に結合されても良い。
【0058】
上記した回転軸１４２ａ及びモータ部１４２の構成の他にも、本発明に係る駆動ユニット１４０は、様々なリニアアクチュエーション方式によってロッドブロック１４３を前後方向に移動させるように構成されても良い。例えば、駆動ユニット１４０は、空圧、油圧又は電動方式を含むシリンダ方式のリニアアクチュエータ、又はピエゾ／超音波方式のリニアアクチュエータなどを含んでいても良い。
【0059】
ワイヤブロック１４４は、ワイヤ１３３を支持するように形成され、ロッドブロック１４３と連動してロッドブロック１４３と並んで前進及び後進しても良い。
【0060】
可変連結部１４５は、ロッドブロック１４３とワイヤブロック１４４とを互いに連結し、ロッドブロック１４３とワイヤブロック１４４との間の距離を可変することができる。そのために、可変連結部１４５は、２つのラックギア１４５１と、これに対応する２つのピニオンギア１４５２が提供されても良い。
【0061】
図５を参照すると、２つのラックギア１４５１は、ロッドラック１４５１ａ及びワイヤラック１４５１ｂを含み、ロッドラック１４５１ａは、ロッドブロック１４３と一体に移動可能に結合され、ワイヤラック１４５１ｂは、ワイヤブロック１４４と一体に移動可能に結合されても良い。
【0062】
２つのピニオンギア１４５２は、ロッドピニオン１４５２ａ及びワイヤピニオン１４５２ｂを含み、ロッドピニオン１４５２ａ及びワイヤピニオン１４５２ｂは、本体の内部の片側に固定されたピニオン軸１４５２ｃと同心で回転することができる。
【0063】
ロッドラック１４５１ａはロッドピニオン１４５２ａに対応し、ワイヤラック１４５１ｂはワイヤピニオン１４５２ｂに対応するが、ロッドラック１４５１ａに形成された歯は、ロッドピニオン１４５２ａに形成された歯と噛み合い、ワイヤラック１４５１ｂに形成された歯は、ワイヤピニオン１４５２ｂに形成された歯と噛み合っても良い。
【0064】
ロッドピニオン１４５２ａのピッチ円直径は、ワイヤピニオン１４５２ｂのピッチ円直径よりも大きく形成されても良いが、その際、ロッドピニオン１４５２ａとワイヤピニオン１４５２ｂとが共に回転するとき、ロッドピニオン１４５２ａの回転によるロッドラック１４５１ａの移動距離は、ワイヤピニオン１４５２ｂの回転によるワイヤラック１４５１ｂの移動距離よりも大きいことがある。
【0065】
図５を参照した一実施例にてモータ部１４２における動力伝達を説明すると、モータ部１４２によって回転軸１４２ａが回転しながらロッドブロック１４３が回転軸１４２ａの外周面に形成されたネジ山に載ってガイドシャフト１４１ａに沿って移動することができる。ロッドブロック１４３が移動すると、ロッドブロック１４３に固定されたロッドラック１４５１ａが共に移動しながら、ロッドラック１４５１ａの直線運動がロッドピニオン１４５２ａの回転運動へと伝達され得る。ロッドピニオン１４５２ａが回転すれば、ピニオン軸１４５２ｃを中心にワイヤピニオン１４５２ｂが共に回転し、ワイヤピニオン１４５２ｂの回転運動がワイヤラック１４５１ｂへと伝達されて、ワイヤラック１４５１ｂに固定されたワイヤブロック１４４がロッドブロック１４３と並んで移動することができる。
【0066】
図７ａ乃至図７ｃのそれぞれは、図６ａ乃至図６ｃの状態に対応する状態を示すが、具体的に、電極ガイド１３０がシャフト１１１の内部に位置される図６ａの状態において、ロッドブロック１４３とワイヤブロック１４４とは、図７ａに示すように、それぞれモータ部１４２側の近くの予め設定された位置に配置されても良く（Ｏ１４３、Ｏ１４４）、このとき、ロッドブロック１４３とワイヤブロック１４４とは、互いに最も近接した状態であっても良い。
【0067】
モータ部１４２によって回転軸１４２ａが一方向に回転すると、図７ｂに示すように、これと噛み合っているロッドブロック１４３が前進Ｆする。電極ガイド１３０の節部１３１は、ロッドブロック１４３に連結されたロッドによって押し出され、図６ｂに示すように、シャフト１１１の一端部から突出しても良い。ロッドブロック１４３は、前進する方向にガイドされても良い。
【0068】
このとき、ワイヤブロック１４４は、可変連結部１４５によりロッドブロック１４３に追従して前進しても良い。ロッドブロック１４３が前進Ｆすることにより、ワイヤブロック１４４も前進するが、ロッドピニオン１４５２ａ及びワイヤピニオン１４５２ｂのピッチ円直径の割合によるロッドラック１４５１ａ及びワイヤラック１４５１ｂの間のギア比によって、ロッドブロック１４３とワイヤブロック１４４との間の距離は、次第に遠くなる。ワイヤブロック１４４は相対的にロッドブロック１４３に比べて後方に遅れるので、ワイヤ１３３は、節部１３１に比べてシャフト１１１の一端部から引き出される変位が小さくなる。よって、ワイヤ１３３により漸進的に節部１３１が一定の方向（体内の管に巻き付けられる方向）に引っ張られて曲げられる。
【0069】
図７ｃに示すように、ロッドブロック１４３が完全に前進すれば、図６ｃに示すように、節部１３１の引き出しが完了する。図７ｃを参照すると、ロッドブロック１４３及び節部１３１の移動距離ｄ１４３に比べて、ワイヤブロック１４４及びワイヤ１３３の移動距離ｄ１４４は予め設定された値ｄだけ小さい（ｄ＝ｄ１４３－ｄ１４４）。
【0070】
モータ部１４２の回転軸１４２ａが逆方向に回転すると、ロッドブロック１４３は後進Ｒする。ロッドブロック１４３が後進Ｒすることにより、ロッドブロック１４３とワイヤブロック１４４との間の距離は、次第に近くなる。
【0071】
このように、本発明の一実施例に係る可変連結部１４５によって、ワイヤブロック１４４は、ロッドブロック１４３との距離が可変されながら前進及び後進しても良い。つまり、ワイヤブロック１４４は、ロッドブロック１４３の前進時にロッドブロック１４３との距離が次第に遠くなり、ロッドブロック１４３の後進時にロッドブロック１４３との距離が近くなる。
【0072】
モータ部１４２及びロッドブロック１４３によって節部１３１が動作し、ロッドブロック１４３と連動したワイヤブロック１４４によってワイヤ１３３が動作することができる。つまり、１つのモータ部１４２によって電極ガイド１３０を突出させる動作と電極ガイド１３０を配置する動作とを行うことができるので、精密な動作が効果的に具現されることができる。
【0073】
一方、電極ガイド１３０が体内の管に完全に巻き付けられるように位置させることができるので、１回の施術で管の周りの神経を全体的に遮断又は調節することができ、施術効果を高めることができる。
【0074】
図８は、本発明の他の実施例に係る電極ガイド２３０の斜視図である。以下では、本発明の電極ガイド２３０の節部２３１が一体に形成される実施例について説明する。
【0075】
本発明の他の実施例に係る電極ガイド２３０の節部２３１は、弾性変形可能なポリマーなどの材質からなり、複数の節部２３１が一体に形成される、例えば、リビングヒンジ（ｌｉｖｉｎｇ ｈｉｎｇｅ）構造を有しても良い。
【0076】
図８に示すように、各節部２３１は、長さ方向に互いに隣り合う節部２３１と一体をなしても良く、互いに隣り合う節部２３１の間にはワインディング支持溝２３１ｂが形成されても良い。ワインディング支持溝２３１ｂは、節部２３１がワインディング経路上において位置されながら溝の空間の少なくとも一部が縮小又は閉鎖されても良い。
【0077】
具体的に、ワインディング支持溝２３１ｂは、電極ガイド２３０の内側面（電極ユニット１２０に向かう面）において楔状に切り欠かれるように形成されても良い。節部２３１が突出する際、楔状のワインディング支持溝２３１ｂは、側面が互いに接触して支持されても良い。
【0078】
また、本発明の他の実施例における電極ガイド２３０は、ワイヤ２３３をさらに含んでいても良い。ワイヤ２３３は、複数の節部２３１を順次に貫通するように形成されても良い。上述した実施例と同様に、ワイヤ２３３は、電極ガイド２３０に比べてシャフト１１１から短い距離に引き出されることで、電極ガイド２３０が管に巻き付けられる形状に変形することをガイドすることができ、ワインディング支持溝２３１ｂの少なくとも一部が閉鎖されて支持される力を提供することができる。
【0079】
本発明の他の実施例に係る電極ガイド２３０によれば、信頼性のある動作を保障する節部の駆動を具現しつつ、電極ガイド２３０を一体に製造することができる。関節要素を個別に製造してから組み立てる過程が不要となるので、製造プロセスの単純化、製品の小型化及び製造コストの節減が可能となる。
【0080】
上述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態に容易に変形可能であるということを理解できるはずである。それゆえ、上記した実施例は全ての面において例示的なものであり、限定的なものではないと理解すべきである。
【0081】
また、本発明の範囲は、上記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導出される全ての変更又は変形された形態が本発明の範囲に含まれると解釈されなければならない。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8】
【国際調査報告】