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特表2024-526715ヨウ素(I2)含有種の溶媒和及び除去のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】ヨウ素(I2)含有種の溶媒和及び除去のための方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 51/64 20060101AFI20240711BHJP
   C07C 53/48 20060101ALI20240711BHJP
   B01D 15/00 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
C07C51/64
C07C53/48
B01D15/00 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501520
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 US2022073600
(87)【国際公開番号】W WO2023288198
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/222,811
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】コプカリ、ハルク
(72)【発明者】
【氏名】マーケル、ダニエル シー.
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ハイユー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、テリス
(72)【発明者】
【氏名】ウィルコックス、リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ワン、タオ
(72)【発明者】
【氏名】マクレイン、ジェニファー ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】トウラー、ギャビン
(72)【発明者】
【氏名】ナイル、ハリダサン ケイ.
【テーマコード(参考)】
4D017
4H006
【Fターム(参考)】
4D017AA03
4D017AA04
4D017BA04
4D017CA11
4D017DA03
4D017EA05
4H006AA02
4H006AB84
4H006AD17
4H006EA02
(57)【要約】
本開示は、トリフルオロヨードメタン(CFI)を生成するためのプロセスからヨウ素(I)及びヨウ素含有種を除去する方法を提供する。本開示は、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)からヨウ素及びヨウ素含有種を除去する別の方法を更に提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヨウ素(I)含有種の溶媒和及び除去のための方法であって、
ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)及び前記ヨウ素(I)含有種を含む供給原料を提供する工程と、
溶媒を前記供給原料の流れに添加して、前記溶媒、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)、及び前記ヨウ素(I)含有種を含む混合物を提供する工程と、
前記混合物を1つ以上のカラムに送って、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)を含む精製された流れを得る工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記溶媒が、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン(1,3,5-トリメチルベンゼン)、エチルベンゼン、アルキル化ベンゼン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、イミダゾリウム塩、及び硫酸水素カプロラクタムのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶媒が、トルエンを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記混合物を第1のカラムに送って、第1のオーバーヘッド生成物と、前記溶媒、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)、並びにHI及びヨウ素(I)から選択される少なくともヨウ素(I)含有種を含む第1の底部生成物と、を提供することと、
前記第1の底部生成物を第2のカラムに送って、精製されたヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)を含む第2のオーバーヘッド生成物と、前記溶媒、並びにHI及びヨウ素(I)から選択される少なくともヨウ素(I)含有種を含む第2の底部生成物と、を提供することと、前記第2の底部生成物を第3のカラムに送って、前記溶媒を含む第3のオーバーヘッドと、ヨウ素(I)及び前記溶媒を含む第3の底部生成物と、を提供することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記精製されたトリフルオロアセチル(TFAI)が、2000ppm未満のヨウ素(I)を含有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記溶媒をリサイクルすることを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記混合物を第1のカラムに送って、第1のオーバーヘッド生成物と、前記溶媒、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)、トリフルオロ酢酸(TFA)、並びにHI及びヨウ素(I)から選択される少なくともヨウ素(I)含有種を含む第1の底部生成物と、を提供することと、
前記第1の底部生成物を第2のカラムに送って、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)を含む第2のオーバーヘッド生成物と、前記溶媒、トリフルオロ酢酸(TFA)、高沸点不純物、並びにHI及びヨウ素(I)から選択される少なくともヨウ素(I)含有種を含む第2の底部生成物と、を提供することと、
前記第2の底部生成物を第3のカラムに送って、前記溶媒、トリフルオロ酢酸(TFA)、及び高沸点不純物を含む第3のオーバーヘッド生成物と、ヨウ素(I)を含む第3の底部生成物と、を提供することと、
前記第3のオーバーヘッド生成物を第4のカラムに送って、第4のオーバーヘッド生成物と、第4の底部生成物と、を提供することと、
前記第4のオーバーヘッド生成物をパージすることと、
前記第4の底部生成物を前記第2のカラムにリサイクルすることと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記精製されたトリフルオロアセチル(TFAI)が、2000ppm未満のヨウ素(I)を含有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記溶媒をリサイクルすることを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)と、ヨウ素(I2)及びHI3から選択される少なくともヨウ素(I2)含有種と、を含む流れから、ヨウ素(I)を除去する方法であって、
供給の流れ、溶媒、並びにヨウ素(I2)及びHI3から選択される少なくともヨウ素(I2)含有種を提供することと、
前記供給の流れを1つ以上のカラムに送って、精製されたヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)生成物の流れを提供することと、を含む、方法。
【請求項11】
前記溶媒が、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン(1,3,5-トリメチルベンゼン)、エチルベンゼン、アルキル化ベンゼン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、イミダゾリウム塩、及び硫酸水素カプロラクタムのうちの1つ以上を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記溶媒が、トルエンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記精製されたトリフルオロアセチル(TFAI)が、2000ppm未満のヨウ素(I)を含有する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
第1のカラムが、冷却器及び精留セクションを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)からヨウ素(I)を除去するための方法であって、
第3の成分をヨウ素(I)とヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)との混合物に添加することであって、前記第3の成分が、ヨウ素と不混和性又はほぼ不混和性である、添加することと、
前記混合物を加熱して、前記ヨウ素(I)を溶融させることと、
前記混合物を2層に沈殿させることと、
前記層を上層及び下層に分離することと、を含み、前記上層が、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)を含み、前記下層が、液体ヨウ素(I)を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年7月16日に出願された、特許仮出願第63/222,811号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、トリフルオロヨードメタン(CFI)を生成するためのプロセスに関する。具体的には、本開示は、ヨウ化トリフルオロアセチル(trifluoroacetyl iodide、TFAI)からトリフルオロヨードメタンを生成するためのプロセスを改善するために、トリフルオロヨードメタンを生成するために使用されるヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)供給原料から、かつ反応器流出物の流れからヨウ素(I)含有種を除去するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
トリフルオロヨードメタン(CFI)は、ヨウ化パーフルオロメチル、ヨウ化トリフルオロメチル、又はヨードトリフルオロメタンとしても知られているが、例えば、冷媒又は消火剤としての商業用途において有用な化合物である。トリフルオロヨードメタン(CFI)は、低い地球温暖化係数及び低いオゾン破壊係数を有する、環境的に許容可能な化合物である。トリフルオロヨードメタン(CFI)は、環境的により害のある材料を置き換え得る。
【0004】
トリフルオロヨードメタンの調製方法は既知である。例えば、米国特許第7,132,578号(Mukhopadhyayら)もまた、トリフルオロアセチルクロリドからトリフルオロヨードメタンを生成するための、触媒による一工程プロセスを開示している。しかしながら、ヨウ素源は、フッ化ヨウ素(iodine fluoride、IF)である。ヨウ素は、相対的に不安定であり、0℃を超えるとI及びIFに分解する。フッ化ヨウ素はまた、商業的に有用な量で入手可能ではない場合がある。
【0005】
別の例では、米国特許第7,196,236号(Mukhopadhyayら)は、ヨウ化水素などのヨウ素源、少なくとも化学量論量の酸素、及び反応物CFRを含む反応物を使用してトリフルオロヨードメタンを生成するための触媒プロセスを開示しており、式中、Rは、-COOH、-COX、-CHO、-COOR、及び-SOXからなるグループから選択され、Rは、アルキル基であり、Xは塩素、臭素、又はヨウ素である。反応によって生成され得るヨウ化水素は、少なくとも化学量論量の酸素によって酸化され、経済的なリサイクルために水及びヨウ素を生成する。いくつかの他のプロセスが、蒸気相反応においてトリフルオロアセチルクロリドからヨウ化水素を用いてトリフルオロヨードメタン(CFI)を作製するための文献において参照されている(例えば、米国特許第10,752,565号)。
【0006】
更に別の例では、米国特許出願第16/549,412号(米国特許第10,954,177号として発行)は、トリフルオロアセチルクロリドからトリフルオロヨードメタンを生成するための2段階プロセスを開示している。本プロセスは、
【0007】
【化1】

の反応を介してヨウ化トリフルオロアセチルを作製する第1の工程、及び
【0008】
【化2】

の反応を介してトリフルオロヨードメタンを作製する第2の工程からなる。本プロセスは、他のものよりもトリフルオロヨードメタン(CFI)へのより高い選択性を提供する。
【0009】
プロセスを開発する間に、精製されたヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)供給材料でさえ、I及びHIなどの他のヨウ素(I)含有種を含有することが見出された。ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)のトリフルオロヨードメタン(CFI)への変換工程中に、この反応中に形成される追加のIと共に、I及びHIなどのヨウ素(I)含有種の存在、並びにトリフルオロアセチルクロリド(trifluoroacetyl chloride、TFAC)及びヨウ化水素(hydrogen iodide、HI)からヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)を生成する反応は、機器の腐食の増加、並びに/又は流量、圧力制御、及び目詰まりの問題を含む動作上の困難を引き起こした。これらの結果は、所望の生成物の生産性の低減及び動作コストの増加の観点から不利である。したがって、トリフルオロヨードメタン(CFI)を形成する反応の前及び/又は後に、I及びHIを含むヨウ素(I)含有種を除去するための手段に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0010】
本開示は、ヨウ素(I)含有種の溶媒和及び除去のための方法であって、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)及びヨウ素(I)含有種を含む供給原料を提供する工程と、トルエンなどの溶媒を供給原料の流れに添加して、溶媒、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)、及びヨウ素(I)含有種を含む混合物を提供する工程と、混合物を1つ以上のカラムに送って、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)を含む精製された流れを得る工程と、を含む、方法を提供する。
【0011】
本開示は、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)と、ヨウ素(I)及びHIから選択される少なくともヨウ素(I)含有種と、を含む流れから、ヨウ素(I)を除去する方法を更に提供する。本方法は、供給の流れ、トルエンなどの溶媒、並びにヨウ素(I)及びHIから選択される少なくともヨウ素(I)含有種を提供することと、供給の流れを1つ以上のカラムに送って、精製されたヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)生成物の流れを提供することと、を含む。
【0012】
本開示はまた、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)からヨウ素(I)を除去するための方法であって、トリフルオロ酢酸などの第3の成分を、ヨウ素(I)とヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)との混合物に添加することであって、第3の成分が、ヨウ素(I)と不混和性又はほぼ不混和性である、添加することと、混合物を加熱して、ヨウ素(I)を溶融させることと、混合物を2層に沈殿させることと、層を上層及び下層に分離することと、を含み、上層が、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)を含み、下層が、液体ヨウ素(I)を含む、方法も提供する。
【0013】
本開示の上記及びその他の特徴、並びにそれらを実現する方式は、以下の記載を参照することによってより明白になり、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】トリフルオロヨードメタン(CFI)からヨウ素(I)を溶媒和及び除去するための概略図を示す。
図2】トリフルオロヨードメタン(CFI)からヨウ素(I)を溶媒和及び除去するための代替的な方法についての概略図を示す。
図3】ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)からヨウ素(I)を除去するための概略図を示す。
図4】実施例7に記載されるように、相分離を介してヨウ素(I)を除去するための概略図を示す。
図5】実施例1に記載される実験設定を示す。
図6】実施例4に記載されるように、ヨウ素(I)及びトルエンを80℃まで24時間加熱した後のGC/MSスキャンを示す。
図7】実施例4に記載されるように、ヨウ素(I)及びトルエンを250℃まで2週間加熱した後のGC/MSスキャンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)のトリフルオロヨードメタン(CFI)への変換中に、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)供給原料から、かつ反応器流出物の流れから、ヨウ素(I)含有種を除去するための方法を提供する。
【0016】
トリフルオロヨードメタン(CFI)は、以下に示される反応に従って生成され得る。第1の工程では、ヨウ化水素(HI)が、以下の式1に従って生成される:
【0017】
【化3】
【0018】
本プロセスの一例では、反応物の流れは、反応器内に含有される触媒の存在下で反応して、上記の式1に従ってヨウ化水素を含む生成物の流れを生成する。反応器は、触媒を含有する管を含む、固定床管状反応器などの加熱管反応器であり得る。管は、ステンレス鋼、ニッケル、及び/又はニッケル合金、例えば、ニッケル-クロム方金、ニッケル-モリブデン合金、ニッケル-クロム-モリブデン合金、ニッケル-鉄-クロム合金、又はニッケル-銅合金などの金属から作製され得る。管状反応器は加熱され得る、したがって、触媒又は供給材料も加熱され得、反応器に入る前に予熱され得る。代替的に、反応器は、任意のタイプの充填反応器であり得る。
【0019】
触媒は、担体上のニッケル、コバルト、鉄、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化鉄、ヨウ化ニッケル、ヨウ化コバルト、及び/又はヨウ化鉄触媒であり得る。したがって、触媒は、ニッケル、コバルト、鉄、酸化ニッケル、ヨウ化ニッケル、酸化コバルト、ヨウ化コバルト、酸化鉄、及びヨウ化鉄の群から選択される少なくとも1つを含み、触媒は、担体上に担持されている。担体は、活性炭、シリカゲル、ゼオライト、炭化ケイ素、金属酸化物、及びこれらの組み合わせの群から選択され得る。金属酸化物の非排他的な例としては、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ジルコニア、クロミア、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0020】
反応の前に、触媒は、約150℃以上、約200℃以上、約250℃以上、約280℃以上、約290℃以上、約300℃以上、約310℃以上、若しくは約320℃以上、約330℃以下、約340℃以下、約350℃以下、約360℃以下、約380℃以下、約400℃以下、約450℃以下、約500℃以下、約550℃以下、約600℃以下、又はこれらの終点によって包含される任意の値の反応温度まで加熱され得る。
【0021】
反応物の流れは、約0.1秒以上、約2秒以上、約4秒以上、約6秒以上、約8秒以上、約10秒以上、約15秒以上、約20秒以上、約25秒以上、約30秒以上、約40秒以下、約50秒以下、約60秒以下、約70秒以下、約80秒以下、約100秒以下、約120秒以下、又は約1,800秒以下の接触時間、触媒と接触し得る。
【0022】
好適な動作圧力範囲は、約0psig以上、約10psig以上、約20psig以上、約50psig以上、約75psig以上、約100psig以上、約120psig以下、約150psig以下、約250psig以下、約350psig以下、約450psig以下、約600psig以下、又はこれらの終点によって包含される任意の値であり得る。
【0023】
反応物の流れ中、H/Iのモル比は、約1:1、約1.5:1、約2:1、約2.5:1、約2.7:1、若しくは約3:1のように低くあり得るか、又は約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1、若しくは約10:1のように高くあり得るか、又は前述の値のうちのいずれか2つの間に定義される任意の範囲内であり得る。
【0024】
第2の工程では、ヨウ化水素(HI)は、以下の式2に従って、トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)をヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)に変換するために使用される:
【0025】
【化4】
【0026】
本プロセスの一例では、反応は、炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル、及び/又はニッケル-クロム合金、ニッケル-モリブデン合金、ニッケル-クロム-モリブデン合金、若しくはニッケル-銅合金などのニッケル合金などの金属から作製された管を含む加熱管状反応器などの反応器内で実行され得る。反応器は、ガラス、又はポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(perfluoroalkoxy alkane、PFA)、フッ素化エチレンプロピレン(fluorinated ethylene propylene、FEP)、及び他のフルオロポリマーなどのポリマーで裏打ちされた金属から構成され得る。反応器内の管は、加熱され得、又は供給材料は、反応器に入る前に予熱され得る。反応器は、任意のタイプの装填された床反応器であり得る。
【0027】
反応物の流れ中のヨウ化水素及びトリフルオロアセチルクロリドは、反応器内に含有される触媒の存在下で反応する。触媒は、活性炭、メソカーボン、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル-クロム合金、ニッケル-クロム-モリブデン合金、ニッケル-銅合金、銅、アルミナ、白金、パラジウム、若しくは炭化鉄、炭化モリブデン及び炭化ニッケルなどの金属炭化物、並びに炭化ケイ素などの非金属炭化物などの炭化物、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0028】
反応物の流れは、約0.1秒以上、約0.5秒以上、約1秒以上、約2秒以上、約3秒以上、約5秒以上、約8秒以上、約10秒以上、約12秒以上、若しくは約15秒以上、約18秒以上、約20秒以下、約25秒以下、約30秒以下、約35秒以下、約40秒以下、約50秒以下、約60秒以下、約80秒以下、若しくは約300秒以下、若しくは約1800秒以下、又はこれらの終点によって包含される任意の値の接触時間、触媒と接触し得る。
【0029】
反応温度は、約0℃以上、約25℃以上、約35℃以上、約40℃以上、約50℃以上、約60℃以下、約90℃以下、約120℃以下、約150℃以下、約200℃以下、約250℃以下、又はこれらの終点によって包含される任意の値であり得る。
【0030】
圧力は、約0psig以上、約25psig以上、約5psig以上、約50psig以上、約100psig以上、約150psig以上、約200psig以上、約250psig以上、約300psig以下、約350psig以下、約400psig以下、約450psig以下、約500psig以下、又はこれらの終点によって包含される任意の値であり得る。
【0031】
TFAC/HIのモル比は、約1:10、約1:5、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1のように低くあり得るか、又は約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1、若しくは約10:1のように高くあり得るか、又は前述の値のうちのいずれか2つの間に定義される任意の範囲内であり得る。好ましくは、TFAC/HIのモル比は、1:2~2:1である。より好ましくは、TFAC/HIのモル比は、1:1~2:1である。
【0032】
最後に、米国特許出願第16/549,412号に開示されている第3の工程では、トリフルオロヨードメタン(CFI)は、以下の式3に従って、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)の分解を介して形成され得る:
【0033】
【化5】
【0034】
反応は、加熱された管状反応器又は電気加熱器反応器内で行われ得る。電気加熱反応器は、低電圧の交流電流を利用して、加熱器管壁を直接通る電流を有するインピーダンス管状反応器であり得る。代替的に、電気加熱器反応器は、浸漬タイプの電気加熱器であり得る。この新規な浸漬タイプの電気加熱器は、加熱媒体として電気を使用するシステムであり得、反応は、加熱素子の外側で起こる。反応器は、圧縮された酸化マグネシウム(magnesium oxide、MgO)粉末内にニクロム加熱素子を封入する金属合金を含み得る。
【0035】
反応器は、例えば、Inconel(登録商標)600、Inconel(登録商標)625、Incoloy(登録商標)800、及びIncoloy(登録商標)825などの金属合金を含み得る。
【0036】
加熱器表面は、触媒表面又は非触媒表面であり得る。好適な金属表面としては、無電解ニッケル、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケル-銅合金、ニッケル-クロム-鉄合金、ニッケル-クロム合金、ニッケル-クロム-モリブデン合金、又はこれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0037】
反応は、ステンレス鋼、ニッケル、及び/又はニッケル-クロム合金、ニッケル-モリブデン合金、ニッケル-クロム-モリブデン合金、若しくはニッケル-銅合金などのニッケル合金などの金属で作製された管を含む加熱管状反応器内で行われ得る。反応器内の管は、加熱され得る。反応器はまた、任意のタイプの充填された床反応器を含み得る。充填物は、熱伝達を改善し、反応物と生成物との混合を促進する触媒又は不活性材料であり得る。
【0038】
反応は、約200℃以上、約250℃以上、約300℃以上、約350℃以上、約400℃以下、約450℃以下、約500℃以下、約550℃以下、約600℃以下、又はこれらの終点を包含する任意の範囲内の温度で実行され得る。好ましくは、反応は、約300℃~約500℃の温度で実行され得る。より好ましくは、反応は、約300℃~約400℃の温度で実行され得る。
【0039】
反応は、約0psig以上、約5psig以上、約20psig以上、約50psig以上、約70psig以上、約100psig以上、約150psig以下、約200psig以下、約225psig以下、約250psig以下、約275psig以下、約300psig、又はこれらの終点を包含する任意の範囲内の圧力で実行され得る。
【0040】
反応の接触時間は、約0.1秒以上、約1秒以上、約5秒以上、約10秒以上、約60秒以上、約100秒以下、約150秒以下、約200秒以下、約250秒以下、約300秒以下、約600秒以下、又はこれらの終点を包含する任意の範囲内であり得る。
【0041】
反応は、触媒の存在下で実行され得る。触媒は、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル-クロム合金、ニッケル-クロム-モリブデン合金、ニッケル-銅合金、銅、アルミナ、炭化ケイ素、白金、パラジウム、レニウム、活性炭(Norit PK3-5、Calgon、又はShirasagi炭素など)、又はこれらの組み合わせを含み得る。代替的に、反応は、触媒の不在下で実行され得る。
【0042】
ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)中のヨウ素(I)含有種の存在は、所望の生成物の生産性の低減及び動作コストの増加の観点から欠点であり得る。ヨウ素(I)含有種は、ヨウ素(I)、HI、又はこれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。
【0043】
及びHIなどのヨウ素(I)含有種の存在は、反応中に形成される追加のIと共に、機器の腐食の増加、並びに/又は流量、圧力制御、及び目詰まりの問題を含む動作上の困難を引き起こし得る。追加的に、これらのヨウ化種の存在は、HI及びHIなどの水素含有種の存在に起因して、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)のトリフルオロヨードメタン(CFI)への変換工程中に形成され得る、トリフルオロメタン及びヨウ素(I)などの不要な副生成物の形成を増加させ得、それによって、全体的なプロセス収率が低下し、トリフルオロヨードメタン(CFI)最終生成物の精製が困難になる可能性がある。
【0044】
本開示は、少なくとも溶媒を使用して、スライドヨウ素(I)の形成を防止する方法を提供する。本開示は、少なくとも1つのカラムを使用して、ヨウ素(I)含有種を除去する方法を更に提供する。このカラムは、上記の式3に示されるように、HI及びIなどのヨウ素(I)含有種が、トリフルオロヨードメタン(CFI)生成物の流れから、又はヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)原材料の流れから除去され得るように配置され得る。例えば、ヨウ素(I)の溶媒和によって、固体ヨウ素(I)の形成を防止するために、溶媒が反応器流出物に添加され得る。理論に束縛されるものではないが、ヨウ素(I)固体の形成を限定することは、目詰まり及び腐食、並びに望ましくない副生成物形成などの動作上の問題を引き起こし得る。
【0045】
好適な溶媒は、ベンゼン及びアルキル置換ベンゼンなどの高いヨウ素(I)溶解度を有するものである。溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン(1,3,5-トリメチルベンゼン)、エチルベンゼンなど、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide、DMF)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)、及び例えば、イミダゾリウム塩及び硫酸水素カプロラクタミウムなどのイオン性液体、並びにこれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0046】
例えば、トルエンは、高いヨウ素(I)溶解度及び低い毒性に起因して、好適な溶媒であり得る。更なる利点としては、システム中のヨウ素(I)、HI、並びに他の成分に対するトルエンの反応性の欠如、及びヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)からのトルエンの分離の容易さが挙げられ得る。
【0047】
ヨウ素(I)含有種は、図1に示される方法を使用して、トリフルオロヨードメタン(CFI)生成物の流れから除去され得る。ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)を含む供給の流れを反応器10に通して、トリフルオロヨードメタン(CFI)、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)、一酸化炭素(carbon monoxide、CO)、並びにHI及びヨウ素(I)から選択される少なくともヨウ素(I)含有種を含む生成物の流れ12を提供する。トルエンなどの溶媒14を反応器10の出口ラインに添加して、流れ16中での固体ヨウ素の形成を防止し得る。任意選択的に、粗ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)、並びにHI及びヨウ素(I)から選択される少なくともヨウ素(I)含有種を含む、反応の前工程に由来する流れ18は、当該流れが第1のカラム20に搬送される前に、流れ16と組み合わされ得る。第1のカラム20からの第1のオーバーヘッド生成物22は、トリフルオロヨードメタン(CFI)、一酸化炭素(CO)、及び少量の低沸点不純物を含む。第1のオーバーヘッド生成物22を更に処理して、冷媒グレードのトリフルオロヨードメタン(CFI)を提供し得る。第1の底部生成物24は、溶媒、未反応のヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)、HI及びヨウ素(I)から選択される少なくともヨウ素(I)含有種、並びに高沸点成分を含む。任意選択的に、トルエンなどの溶媒、未反応のヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)、並びにHI及びヨウ素(I)から選択される少なくともヨウ素(I)含有種を含む流れ26は、流れ24と組み合わされ得る。トルエンなどの追加の溶媒28は、第2のカラム30に搬送される前に流れに添加され得る。第2のカラム30の第2のオーバーヘッド生成物32は、精製されたヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)を含み得る。第2のカラム30の第2の底部生成物34は、トルエンなどの溶媒、並びにHI及びヨウ素(I)から選択される少なくともヨウ素(I)含有種を含み得る。溶媒は、流れ34が第3のカラム36に搬送される際に、固体ヨウ素(I)が堆積するのを防止する。トルエンなどの溶媒を含む第3のカラム36の第3のオーバーヘッド生成物38は、反応器10の出口ラインに、第2のカラム30に、又は流れ18と組み合わされてリサイクルされ得る。第3の底部生成物40は、精製されたヨウ素(I)及び溶媒を含む。精製されたヨウ素(I)は、式1に示される反応のための供給の流れとしてリサイクルされ得るか、又は代替使用のために貯蔵され得る。
【0048】
上に記載される例などの本開示のプロセスは、連続プロセスとして実行され得るか、又は間欠プロセスとして実行され得る。
【0049】
カラムは、オーバーヘッド温度が底部温度と異なるような方式で動作し得る。以下に記載される再沸器温度は、カラムの底部温度を指す。
【0050】
最初の2つのカラムの再沸器温度は、概して、約150℃未満、例えば、約150℃以下、約140℃以下、約130℃以下、約120℃以下、約110℃以下、又は約100℃以下の温度に維持され得る。
【0051】
第3のカラムの再沸器温度は、約250℃未満、例えば、約250℃以下、約240℃以下、約230℃以下、約220℃以下、約210℃以下、約200℃以下、約190℃以下、約180℃以下、又は約170℃以下の温度で維持され得る。
【0052】
カラム内の圧力は、重要ではない。3つのカラムは、約0psig以上、約10psig以上、約25psig以上、約50psig以上、約75psig以上、約100psig以上、約125psig以上、約150psig以上、約175psig以下、約200psig以下、約225psig以下、約250psig以下、約275psig以下、約300psig以下、又はこれらの終点によって包含される任意の値の圧力で動作し得る。
【0053】
代替的に、ヨウ素(I)含有種は、図2に示される方法を使用して、トリフルオロヨードメタン(CFI)生成物の流れから除去され得る。ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)を含む供給の流れを反応器50に通して、トリフルオロヨードメタン(CFI)、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)、一酸化炭素(CO)、並びにHI及びヨウ素(I)から選択される少なくともヨウ素(I)含有種を含む生成物の流れ52を提供する。トルエンなどの溶媒54を反応器50の出口ラインに添加して、流れ56中での固体ヨウ素の形成を防止し得る。任意選択的に、粗ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)、並びにHI及びヨウ素(I)から選択される少なくともヨウ素(I)含有種を含む、反応の前工程に由来する流れ58は、当該流れが第1のカラム60に搬送される前に、流れ56と組み合わされ得る。第1のカラム60からの第1のオーバーヘッド生成物62は、トリフルオロヨードメタン(CFI)、一酸化炭素(CO)、及び少量の低沸点不純物を含む。第1のオーバーヘッド生成物62を更に処理して、冷媒グレードのトリフルオロヨードメタン(CFI)を提供し得る。第1の底部生成物64は、溶媒、未反応のヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)、トリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid、TFA)、HI及びヨウ素(I)から選択される少なくともヨウ素(I)含有種、並びに高沸点成分を含む。粗ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)、並びにHI及びヨウ素(I)から選択される少なくともヨウ素(I)含有種を含む、反応の前工程に由来する流れ66は、流れ64と組み合わされ得る。トルエンなどの追加の溶媒68は、第2のカラム70に搬送される前に流れに添加され得る。第2のカラム70の第2のオーバーヘッド生成物72は、精製されたヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)を含み得、それは、反応器50にリサイクルされ得る。第2のカラム70の第2の底部生成物74は、トルエンなどの溶媒、トリフルオロ酢酸(TFA)、高沸点不純物、並びにHI及びヨウ素(I)から選択される少なくともヨウ素(I)含有種を含み得る。溶媒は、流れ74が第3のカラム76に搬送される際に、固体ヨウ素(I)が堆積するのを防止する。トルエンなどの溶媒、トリフルオロ酢酸(TFA)、及び高沸点不純物を含む、第3のカラム76の第3のオーバーヘッド生成物78は、第4のカラム82に搬送され得、一方、精製されたヨウ素(I)、HI、及び微量溶媒を含む第3の底部生成物80が収集され得る。第4のカラム80からの第4のオーバーヘッド生成物84は、パージされ得、一方、第4のカラム82からのトルエンなどの溶媒を含む第4の底部生成物86は、第2のカラム70にリサイクルされ得る。
【0054】
上に記載されるプロセスでは、精製されたヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)は、本質的にヨウ素(I)を含まない場合がある。本明細書で使用される場合、「本質的にヨウ素(I)を含まない」という句は、2000ppm未満、好ましくは1000ppm未満、より好ましくは500ppm未満、最も好ましくは200ppm未満のヨウ素の濃度として定義される。
【0055】
蒸気/液体接触カラムを使用して、供給の流れからI及びHIなどのヨウ素(I)含有種を除去するための別の代替が図3に示される。本プロセスでは、ヨウ素(I)は、液体として回収され得、これは、いかなる機器からも溶融除去する必要がなく、目詰まりなどの問題を引き起こさないので、固体ヨウ素の回収を超える有利さを提供する。
【0056】
図3に示されるように、例えば、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)及びトリフルオロ酢酸などの、回収される成分を含む供給の流れ90は、溶媒と共に第1のカラム92に供給される。第1のカラム92は、還流を可能にするための冷却器及び精留セクションを含む。任意選択的に、第1のカラム92は、再沸器及びストリッピングセクションを含む。第1のオーバーヘッド蒸気生成物94は、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)などの、回収される成分を含有する。第1の底部生成物96は、溶媒及びヨウ素(I)を含み得る。第1底部生成物96は、第2カラム98に搬送される。第2のカラム98は、再沸器及びストリッピングセクションを含む。任意選択的に、第2のカラム98は、冷却器及び精留セクションを含む。第2のオーバーヘッド生成物100は、蒸気又は液体の形態の溶媒を含み得る。オーバーヘッド生成物100は、第1のカラム92にリサイクルされ得る。任意選択的に、新鮮な溶媒が、流れ100(図示せず)に添加され得る。第2のカラム98からの第2の底部生成物102は、液体ヨウ素(I)を含み得る。
【0057】
任意選択的に、更なるカラムが、部分的な分離を実行するために含まれ得る。
【0058】
上に記載される方法における溶媒は、高いヨウ素(I)の溶解度を有する溶媒であり得る。溶媒は、ヨウ素(I)の蒸気圧よりも高い蒸気圧を有し得るが、気体の流れ中で回収される成分の蒸気圧よりも低い蒸気圧を有し得る。好適な溶媒としては、例えば、ベンゼン、パラキシレン、メタキシレンなどのキシレン、並びにメシチレン(1,3,5-トリメチルベンゼン)及びトルエンなどのアルキル化ベンゼン、ジメチルホルムアミド(DMF)、並びにジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられ得る。
【0059】
溶媒のタイプ、溶媒循環速度、第1のカラム圧力、及び第1のカラムの再沸器熱入力は、ヨウ素(I)が固相を形成しないように選択される。例えば、温度は、ヨウ素(I)の融点である114℃を超える場合がある。これは、ヨウ素が溶媒中に溶解し、第1のカラムの底部生成物中に存在するので、第1のオーバーヘッド生成物がヨウ素(I)を実質的に含まないことを可能にする。
【0060】
溶媒のタイプ、溶媒循環速度、第2のカラム圧力、及び第2のカラムの再沸器熱入力は、ヨウ素(I)が固相を形成しないように選択される。例えば、温度は、ヨウ素(I)の融点である114℃を超える場合がある。これは、ヨウ素が液体として存在し、底部生成物として第2のカラムから出るので、第2のオーバーヘッド生成物がヨウ素(I)を実質的に含まないことを可能にする。第2のカラムの動作圧力は、第1のカラムの動作圧力より低い場合がある。
【0061】
更に別の代替として、抽出及び相分離を使用して液体の流れからヨウ素(I)を除去することが図4に示される。液体ヨウ素(I)は、溶媒などの別個の成分の添加、後続の相分離によって、供給の流れから回収され得る。好適な成分は、反応及び回収プロセスに適合し得、存在する有機成分と混和性であり得、ヨウ素(I)と実質的に不混和性であり得る。このような成分の1つは、トリフルオロ酢酸(TFA)である。
【0062】
図4に示されるように、例えば、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)、及びトリフルオロ酢酸などの、回収される成分を含む供給の流れ110は、実質的にTFAである別の供給の流れ112と組み合わされ、混合デバイス114を通して供給される。組み合わされた流れ116は、加熱器118に搬送され、ヨウ素の融点を超える温度まで加熱される。加熱された混合物120は、相分離器に供給され、相分離器122に供給されて、TFAI、TFAC、及びTFAを含む有機層124、並びにヨウ素(I)層126を、2つの液体層に分離させることを可能にする。上部有機層からの流れ128をデカントして、所望の生成物を回収し得る。好ましくは、TFAは、蒸留又は一連の蒸留工程によって分離され、流れ112を介してリサイクルされる。下層からの流れ130は、固体ヨウ素(I)を本質的に含まない液体ヨウ素(I)を含み、これは次いで、式1に示される反応のための供給の流れとしてリサイクルされ得るか、又は代替使用のために貯蔵され得る。
【0063】
温度は、約114℃以上、約115℃以上、約120℃以上、約125℃以下、約130℃以下、約135℃以下、約140℃以下、又はこれらの終点によって包含される任意の値であり得る。
【0064】
上に記載されるプロセスでは、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)などの回収される成分は、本質的にヨウ素(I)を含まない場合がある。本明細書で使用される場合、「本質的にヨウ素(I)を含まない」という句は、2000ppm未満、好ましくは1000ppm未満、より好ましくは500ppm未満、最も好ましくは200ppm未満のヨウ素の濃度として定義される。
【0065】
本明細書で使用する場合、「前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内」という句は、それらの値が列挙のより低い部分にあるか又は列挙のより高い部分にあるかにかかわらず、任意の範囲がそのような句の前に列挙された値のうちのいずれか2つから選択され得ることを意味する。例えば、一対の値は、2つのより低い値、2つのより高い値、又はより低い値及びより高い値から選択され得る。
【0066】
本明細書で使用するとき、量に関連して使用される「約」という修飾語は、記述された値を含み、文脈によって規定される意味を有する(例えば、それは、特定の量の測定に関連する誤差の程度を少なくとも含む)。ある範囲の文脈で使用される場合、「約」という修飾語はまた、2つの端点の絶対値によって定義される範囲を開示するとも考えられる。
【0067】
以下の非限定的な実施例は、本開示を例解することに役立つ。
【実施例
【0068】
実施例1:ヨウ素(I)のトルエンへの吸収
トルエンを溶媒として使用したヨウ素(I)吸収に関する6つの研究を実行した。各研究を、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)のCFI及びCOへの分解のための異なる連続実行中に定常状態反応器条件に到達した後に実行し、その間、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)の平均変換率は、約65%であり、反応圧力は、25psigであった。
【0069】
各場合では、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)反応器流出物の流れを、トルエンを含有する950mlの高圧Fisher-Porter(F-P)管(すなわち、トルエンバブラ)、後続の第2の950mlの高圧F-P管ドライアイストラップからなる収集システムに導いた。各実験では、950mlのトルエンバブラを最初に300グラムのトルエンで充填し、電気加熱テープをバブラの周囲に緩く巻き付けることによって45~50℃まで加熱した。950mlのドライアイストラップを、-81℃のアセトン/ドライアイススラッシュを含有するデュアー瓶に入れた。反応器流出物を、浸漬管を通して950mlのF-P管トルエンバブラに供給した。次いで、トルエンは、ヨウ素(I)の大部分を吸収し、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)の大部分が凝縮した。
【0070】
バブラの上部から出る流れは、ヨウ素(I)を実質的に含まなかった。ヨウ素濃度は、滴定によって判定され得る。本方法の一例は、既知量の試料を36グラムの脱イオン水に添加し、混合し、4.0グラムのヨウ化カリウム(potassium iodide、KI)を添加し、混合物をチオ硫酸ナトリウムで滴定することである。この本質的にヨウ素(I)を含まない流れを、第2の950mlのF-P管ドライアイストラップに供給し、そこでトリフルオロヨードメタン(CFI)、残留未反応ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)、及び副生成物を収集した(同伴又は揮発トルエンを含む)。次いで、ドライアイストラップからの出口の流れを、トリフルオロヨードメタン(CFI)粗カラムに約16時間導いて、反応の過程で生成された一酸化炭素(CO)を排出させ、実験装置において25psigを超える圧力上昇を回避した。図5は、これらの反応のための実験設定を示す。
【0071】
ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)供給シリンダーの初期及び最終重量を記録し、バブラ及びドライアイストラップ内に収集された材料の総量を記録した。バブラ内に残っているトルエン及び追加の材料、並びにドライアイストラップ内に収集された材料をサンプリングし、各々のヨウ素(I)濃度を滴定によって判定した。実験の各々のデータを以下の表1に示し、表中、バブラの正味重量は、実行の開始時に充填した300gのトルエンを含む。表1に示されるように、トルエンバブラは、反応器流出物の流れ中のヨウ素(I)の93.85%~98.45%を吸収した。
【0072】
試料をガスクロマトグラフィ/質量分析(chromatography/mass spectrometry、GC/MS)によっても分析し、トルエンと反応器流出物材料との間の反応がほとんど起こっていないことが確認された(トルエンとの反応の可能性に起因する副生成物が1桁ppmレベルしか検出されなかった)。
【0073】
【表1】
【0074】
実施例2:トルエンの回収
トルエンを、実施例1に記載されたものと同様の実験において、トルエンバブラから収集された材料から回収した。回収実験を、磁気スプリッタを装備する20段のOldershawガラス製蒸留カラムで実行した。トルエンバブラ材料(526g)を、1Lのガラス製丸底フラスコ再沸器に充填した。再沸器を電気加熱マントル内に置き、穏やかに加熱して、非凝縮物及び「軽質物」を除去した。ヘッド温度が25℃~29℃である場合、還流が観察された。この温度で蒸気ラインを通って生成物受け器内に収集された材料を軽質留分として指定した。材料は、ピンク色であり、およそ30mlの体積を有すると推定され、更なる定量化はしなかった。
【0075】
ヘッド温度が30℃に達し、強い還流が存在した場合、10秒の還流から1秒の取り出しまでのスプリッタタイマを用いて留出物留分を採取し、これを主留分#1として指定した。全ての材料を、30℃~35℃のヘッド温度で留出物受け器内に収集した。合計157.3グラムのピンク色液体を収集した。ガスクロマトグラフィ(GC)分析は、材料が、98.3%のヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)からなり、トリフルオロヨードメタン(CFI)、トリフルオロ酢酸(TFA)、及びトルエンも少量存在していたことを示した。滴定によって判定されたヨウ素(I)の濃度は378ppmであった。この結果は、溶解したIの大部分を後に残しながら、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)がトルエンから首尾よく回収され得ることを示した。
【0076】
次に、同じスプリッタ設定を使って、35℃~110℃のヘッド温度で収集されたものから材料の中間留分を採取した。暗紫色材料(28.1g)を留出物受け器内に収集した。GC分析は、材料が、いくらかのヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)及びトリフルオロ酢酸(TFA)を含む99.6%のトルエンからなることを示した。ヨウ素(I)濃度は、判定されなかった。
【0077】
ヘッド温度が110℃において安定しており、強い還流を伴う場合、第2の主留出物留分を収集し、主留分#2として指定した。同じスプリッタ設定を使用した。再沸器温度が117℃に達するまで、留分を約12時間にわたって収集した。合計115.1グラムの橙色液体を収集した。この留分中の再沸器温度は、112.5℃~117℃であり、ヘッド温度は、110℃~110.5℃の範囲であった。GC分析は、材料が99.9%を超えるトルエンからなることを示した。滴定によって判定されたヨウ素(I)濃度は、564ppmであった。この結果は、溶解したヨウ化物(I)の大部分を後に残しながら、トルエンがトルエン/I混合物から首尾よく回収され得ることを示した。
【0078】
再沸器残留物をフラスコから排出し、94.5gに達した。材料に対してGC分析を実行しなかったが、滴定によってヨウ素(I)濃度について分析したところ、11,049ppmのヨウ素(I)が示された。表2は、トルエン回収実験についての関連データを示す。
【0079】
【表2】
【0080】
実施例3:トルエンの回収
第2の実験を、実施例1で使用されたトルエンバブラのうちの1つから収集された材料からトルエンを回収するために実行した。実施例2と同様に、同じバッチガラス製蒸留装置を使用した。実施例1の実行2において収集されたトルエンバブラ材料(558.1g)を、1Lのガラス製丸底フラスコ再沸器からなるトルエン回収装置に充填した。ヨウ素(I)濃度は、14,304ppmであった。再沸器を電気加熱マントル内に置き、穏やかに加熱して、非凝縮物及び「軽質物」を除去した。短時間後、還流が25℃~29℃のヘッド温度で観察された。非常に少量の材料(0.9グラム)を、蒸気ラインを通して生成物受け器内に収集し、「軽質留分」として指定した。軽質留分をシリンダーに移動させる試みは成功しなかった。したがって、この留分については分析を実行しなかった。
【0081】
ヘッド温度が30℃に達し、強い還流を伴う場合、10秒の還流から1秒の取り出しまでのスプリッタタイマを用いて留出物留分を採取し、これを主留分#1として指定した。材料を、30℃~32℃のヘッド温度範囲で蒸留物受け器内に収集した。わずかにピンク色を有する合計208.4グラムの液体を収集した。滴定によって判定されたヨウ素(I)濃度は、153ppmであった。ガスクロマトグラフィ(GC)分析は、97.17%のヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)、1.38%のトルエン、1.12%のトリフルオロヨードメタン(CFI)、及び0.19%のトリフルオロ酢酸(TFA)を示した。
【0082】
次に、32℃~110℃のヘッド温度で同じスプリッタ設定を用いて、材料の中間留分を収集した。珊瑚色液体(57.3g)を留出物受け器内に収集した。滴定によって判定されたヨウ素(I)濃度は、451ppmであった。GC分析は、99.61%のトルエン、0.23%のヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)、及び0.11%のトリフルオロ酢酸(TFA)を示した。
【0083】
ヘッド温度が110℃において安定しており、強い還流を伴う場合、第2の主留出物留分を収集し、主留分#2として指定した。同じスプリッタ設定を使用した。この留分中、ヘッド温度は、110℃~110.5℃の範囲であり、再沸器温度は、112.5℃~200℃の範囲であった。薄いピンク色液体(196.1g)を留出物受け器内に収集した。滴定によって判定されたヨウ素(I)濃度は、202ppmであった。GC分析は、99.996%のトルエンを示した。これらの結果は、溶解したヨウ素(I)の大部分を後に残しながら、トルエンがトルエン/I混合物から首尾よく回収され得ることを示した。
【0084】
再沸器中の暗紫色残留物のGC分析を試みた。しかしながら、ヨウ素(I)の濃度は、固体結晶が再沸器内で視覚的に観察され得るほど十分に高く、トルエンの更なる添加は、それら全てを除去するのに十分ではなかった。大量のヨウ素(I)の存在に起因して、GC分析を完了させることができなかった。
【0085】
表3は、このトルエン回収実験のデータを示す。
【0086】
【表3】
【0087】
実施例4:80℃及び250℃でのトルエン及びヨウ素(I)の反応性
10重量%のヨウ素(I)及び90重量%のトルエンの混合物を、600mlのオートクレーブに充填し、混合し、80℃まで24時間かけて加熱した。次いで、浸漬管を介して液体をサンプリングし、H NMR及びガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)によって分析して、ヨウ素含有化合物が存在するかどうかを判定した。
【0088】
第2の実行では、10重量%のヨウ素(I)及び90重量%のトルエンの混合物を、600mlのオートクレーブに再び充填し、混合し、250℃まで2週間かけて加熱し、その後、圧力の増加は観察されなかった。次いで、浸漬管を介して液体をサンプリングし、H NMR及びGC/MSによって分析して、ヨウ素含有化合物が存在するかどうかを調べた。
【0089】
実験データは、以下の表4に見出され得る。
【0090】
【表4】
【0091】
1H NMR及びGC/MSに基づいて、24時間後に80℃でも、2週間後に250℃でも、トルエンとヨウ素(I)との間で反応(no reaction、NR)が起こらないと結論付けられた。ヨウ化トルエン種又は他のヨウ素含有種は、250℃で2週間後にGC/MSによって検出はされなかったが、少量(0.5%未満)のベンゼン、キシレン、p-キシレンが検出された。両方の実行についてのGC/MSスキャンを図6及び図7に示す。
【0092】
実施例5:トリフルオロヨードメタン(CFI)からのトルエン及びヨウ素(I)の回収
ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)を反応器に通して、トリフルオロヨードメタン(CFI)、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)、一酸化炭素(CO)、ヨウ化水素(HI)、HI、及びヨウ素(I)を含む生成物の流れを提供する。トルエンを添加して、固体ヨウ素の形成を防止し、流れを第1のカラムに搬送する。トリフルオロヨードメタン(CFI)、一酸化炭素(CO)、及び少量の低沸点不純物を含む第1のオーバーヘッド生成物を収集する。未反応のヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)、ヨウ素(I)、HI、及び高沸点成分を含む第1の底部生成物は、第2のカラムに搬送される。200ppm未満のヨウ素(I)を有するヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)を含む第2のオーバーヘッド生成物を収集する。トルエン及びヨウ素(I)を含む第2の底部生成物は、第3のカラムに搬送される。トルエンを含む第3のオーバーヘッド生成物は、第2のカラムにリサイクルされ、ヨウ素(I)及び溶媒を含む第3の底部生成物が収集される。
【0093】
実施例6:ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)からのヨウ素(I)の回収
ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)、溶媒、及び2000ppmを超えるヨウ素(I)を含む供給の流れは、還流を可能にするための冷却器及び精留セクションを装備する第1のカラムに搬送される。第1のオーバーヘッド蒸気生成物は、200ppm未満のヨウ素(I)を有するヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)を含む。溶媒及びヨウ素(I)を含む第1の底部生成物は、再沸器及びストリッピングセクションを装備する第2のカラムに搬送される。第2のオーバーヘッド生成物は、溶媒を含み、第1のカラムにリサイクルされる。第2のカラムからの第2の底部生成物は、液体ヨウ素(I)を含む。
【0094】
実施例7:トリフルオロ酢酸(TFA)からのヨウ素(I)の回収
TFAI、及び2000ppmを超えるヨウ素(I)を含む混合物を、トリフルオロ酢酸(TFA)と混合し、130℃まで加熱し、2つの不混和性層を形成するように沈殿させる。混合物を室温まで冷却させる。200ppm未満のヨウ素(I)を有する上部有機層をデカントする。装置を再加熱して、ヨウ素層を再溶融して、液体ヨウ素(I)を含む下層を収集する。実験設定の概略図を図4に示す。
【0095】
態様
態様1は、ヨウ素(I)含有種の溶媒和及び除去のための方法であって、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)及びヨウ素(I)含有種を含む供給原料を提供する工程と、溶媒を供給原料の流れに添加して、溶媒、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)、及びヨウ素(I)含有種を含む混合物を提供する工程と、混合物を1つ以上のカラムに送って、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)を含む精製された流れを得る工程と、を含む、方法である。
【0096】
態様2は、溶媒が、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン(1,3,5-トリメチルベンゼン)、エチルベンゼン、アルキル化ベンゼン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、イミダゾリウム塩、及び硫酸水素カプロラクタムのうちの1つ以上を含む、態様1に記載の方法である。
【0097】
態様3は、溶媒が、トルエンを含む、態様2に記載の方法である。
【0098】
態様4は、混合物を第1のカラムに送って、第1のオーバーヘッド生成物と、溶媒、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)、並びにHI及びヨウ素(I)から選択される少なくともヨウ素(I)含有種を含む第1の底部生成物と、を提供することと、第1の底部生成物を第2のカラムに送って、精製されたヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)を含む第2のオーバーヘッド生成物と、溶媒、並びにHI及びヨウ素(I)から選択される少なくともヨウ素(I)含有種を含む第2の底部生成物と、を提供することと、第2の底部生成物を第3のカラムに送って、溶媒を含む第3のオーバーヘッドと、ヨウ素(I)及び溶媒を含む第3の底部生成物と、を提供することと、を更に含む、態様1~3のいずれか1つに記載の方法である。
【0099】
態様5は、精製されたトリフルオロアセチル(TFAI)が、2000ppm未満のヨウ素(I)を含有する、態様4に記載の方法である。
【0100】
態様6は、溶媒をリサイクルすることを更に含む、態様1~5のいずれか1つに記載の方法である。
【0101】
態様7は、混合物を第1のカラムに送って、第1のオーバーヘッド生成物と、溶媒、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)、トリフルオロ酢酸(TFA)、並びにHI及びヨウ素(I)から選択される少なくともヨウ素(I)含有種を含む第1の底部生成物と、を提供することと、第1の底部生成物を第2のカラムに送って、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)を含む第2のオーバーヘッド生成物と、溶媒、トリフルオロ酢酸(TFA)、高沸点不純物、並びにHI及びヨウ素(I)から選択される少なくともヨウ素(I)含有種を含む第2の底部生成物と、を提供することと、第2の底部生成物を第3のカラムに送って、溶媒、トリフルオロ酢酸(TFA)、及び高沸点不純物を含む第3のオーバーヘッド生成物と、ヨウ素(I)を含む第3の底部生成物と、を提供することと、第3のオーバーヘッド生成物を第4のカラムに送って、第4のオーバーヘッド生成物と、第4の底部生成物と、を提供することと、第4のオーバーヘッド生成物をパージすることと、第4の底部生成物を第2のカラムにリサイクルすることと、を更に含む、態様1~6のいずれか1つに記載の方法である。
【0102】
態様8は、精製されたトリフルオロアセチル(TFAI)が、2000ppm未満のヨウ素(I)を含有する、態様1~7のいずれか1つに記載の方法である。
【0103】
態様9は、溶媒をリサイクルすることを更に含む、態様1~8のいずれか1つに記載の方法である。
【0104】
態様10は、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)と、ヨウ素(I)及びHIから選択される少なくともヨウ素(I)含有種と、を含む流れから、ヨウ素(I)を除去する方法であって、供給の流れ、溶媒、並びにヨウ素(I)及びHIから選択される少なくともヨウ素(I)含有種を提供することと、供給の流れを1つ以上のカラムに送って、精製されたヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)生成物の流れを提供することと、を含む、方法である。
【0105】
態様11は、溶媒が、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン(1,3,5-トリメチルベンゼン)、エチルベンゼン、アルキル化ベンゼン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、イミダゾリウム塩、及び硫酸水素カプロラクタムのうちの1つ以上を含む、態様10に記載の方法である。
【0106】
態様12は、溶媒が、トルエンを含む、態様10又は11に記載の方法である。
【0107】
態様13は、精製されたトリフルオロアセチル(TFAI)が、2000ppm未満のヨウ素(I)を含有する、態様10~12のいずれか1つに記載の方法である。
【0108】
態様14は、第1のカラムが、冷却器及び精留セクションを含む、態様10~13のいずれか1つに記載の方法である。
【0109】
態様15は、第1のカラムが、再沸器及びストリッピングセクションを含む、態様14に記載の方法である。
【0110】
態様16は、第2のカラムが、再沸器及びストリッピングセクションを含む、態様10~15のいずれか1つに記載の方法である。
【0111】
態様17は、溶媒が、供給の流れにリサイクルされ得る、態様10~16のいずれか1つに記載の方法である。
【0112】
態様18は、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)からヨウ素(I)を除去するための方法であって、第3の成分をヨウ素(I)とヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)との混合物に添加することであって、第3の成分が、ヨウ素(I)と不混和性又はほぼ不混和性である、添加することと、混合物を加熱して、ヨウ素(I)を溶融させることと、混合物を2層に沈殿させることと、層を上層及び下層に分離することと、を含み、上層が、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)を含み、下層が、液体ヨウ素(I)を含む、方法である。
【0113】
態様19は、第3の成分が、トリフルオロ酢酸を含む、態様18に記載の方法である。
【0114】
態様20は、混合物が、110℃~130℃まで加熱される、態様18又は19に記載の方法である。
【0115】
態様21は、液体ヨウ素(I)を固化することを更に含む、態様18~20のいずれか1つに記載の方法である。
【0116】
態様22は、トリフルオロアセチル(TFAI)が、2000ppm未満のヨウ素(I)を含有する、態様18~21のいずれか1つに記載の方法である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-01-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヨウ素(I)含有種の溶媒和及び除去のための方法であって、
ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)及び前記ヨウ素(I)含有種を含む供給原料を提供する工程と、
溶媒を前記供給原料の流れに添加して、前記溶媒、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)、及び前記ヨウ素(I)含有種を含む混合物を提供する工程と、
前記混合物を1つ以上のカラムに送って、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)を含む精製された流れを得る工程と、を含む、方法。
【請求項2】
ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)と、ヨウ素(I2)及びHI3から選択される少なくともヨウ素(I2)含有種と、を含む流れから、ヨウ素(I)を除去する方法であって、
供給の流れ、溶媒、並びにヨウ素(I2)及びHI3から選択される少なくともヨウ素(I2)含有種を提供することと、
前記供給の流れを1つ以上のカラムに送って、精製されたヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)生成物の流れを提供することと、を含む、方法。
【請求項3】
ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)からヨウ素(I)を除去するための方法であって、
第3の成分をヨウ素(I)とヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)との混合物に添加することであって、前記第3の成分が、ヨウ素と不混和性又はほぼ不混和性である、添加することと、
前記混合物を加熱して、前記ヨウ素(I)を溶融させることと、
前記混合物を2層に沈殿させることと、
前記層を上層及び下層に分離することと、を含み、前記上層が、ヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)を含み、前記下層が、液体ヨウ素(I)を含む、方法。
【国際調査報告】