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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】除害装置
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/44 20060101AFI20240711BHJP
   F23G 7/06 20060101ALN20240711BHJP
【FI】
F23G5/44 D
F23G7/06 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501522
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 GB2022051744
(87)【国際公開番号】W WO2023285778
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】2110047.4
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507261364
【氏名又は名称】エドワーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【弁理士】
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】シーリー アンドリュー ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】バーツ デヴィッド フレドリック
(72)【発明者】
【氏名】シルベスタイン マイケル ジェイ
【テーマコード(参考)】
3K065
3K078
【Fターム(参考)】
3K065AA18
3K065AB01
3K065AC19
3K065FA04
3K065FA15
3K065FA21
3K078BA20
3K078BA21
(57)【要約】
除害装置及び除害方法が開示される。除害装置は、半導体プロセスツールからの排出流を除害するためのものであり、燃焼室を備えており、燃焼室は、排出流を処理するための燃焼室の上流側部分を画定する有孔スリーブであって、燃焼室の上流側部分が排出流を受け入れるための入口を有する有孔スリーブと;燃焼室の下流側部分を画定する、有孔スリーブと流体的に結合された濡れスリーブと;によって形成され、有孔スリーブは、燃焼室の下流側部分の方へ下流側に向く有孔軸方向面を提供するように構成されている。このように、有孔面は、燃焼室の上流側部分の方へ内方に向くだけでなく、燃焼室の下流側部分の方へ下流側にも向く。これは、燃焼室の上流側部分と燃焼室の下流側部分の両方に向かう、有孔スリーブ表面での燃焼を促進する。これは、有孔スリーブの吐出領域付近の温度を維持するのを助け、これは、この領域で発生する粒子状物質の堆積を防止し、橋絡又は閉塞を引き起こす可能性がある微粒子、粉末、凝縮物の堆積を防止するのを助ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理ツールからの排出流を除害するための除害装置であって、
前記除害装置は、燃焼室を備え、
前記燃焼室は、
前記排出流を処理するための前記燃焼室の上流側部分を画定する有孔スリーブであって、前記燃焼室の前記上流側部分は、前記排出流を受け入れるための入口を有する、有孔スリーブと、
前記燃焼室の下流側部分を画定する、前記有孔スリーブと流体的に結合された濡れスリーブと、
によって形成され、
前記有孔スリーブは、前記燃焼室の前記下流側部分の方へ下流側に向く有孔軸方向面を備えるように構成されている、除害装置。
【請求項2】
前記有孔軸方向面は、前記濡れスリーブに直交している、請求項1に記載の除害装置。
【請求項3】
前記有孔スリーブは、前記燃焼室の前記上流側部分を画定する少なくとも1つの内方に向く表面を有し、前記有孔軸方向面は、少なくとも部分的に上流側部分出口を画定する、請求項1又は2に記載の除害装置。
【請求項4】
前記有孔軸方向面の少なくとも一部は、前記内方に向く表面と直交している、請求項3に記載の除害装置。
【請求項5】
前記内方に向く表面は、前記燃焼室内の前記排出流の流れの主方向に略平行になるように配向され、前記有孔軸方向面の少なくとも一部は、前記排出流の流れの前記主方向に略直交するように配向されている、請求項3又は4に記載の除害装置。
【請求項6】
前記有孔軸方向面は、平面及び曲面のうちの少なくとも1つである、請求項1から5のいずれか1項に記載の除害装置。
【請求項7】
前記燃焼室は、管状である、請求項1から6のいずれか1項に記載の除害装置。
【請求項8】
前記燃焼室は、円筒形状及び立方体状のうちの1つであり、前記有孔軸方向面は、環状及び環状四辺形状のうちの1つである、請求項1から7のいずれか1項に記載の除害装置。
【請求項9】
前記有孔スリーブは、前記有孔スリーブの軸方向長さに沿って少なくとも部分的に延びる半径方向のアウタースリーブの中に少なくとも部分的に収容され、前記有孔スリーブ上での燃焼のために前記有孔スリーブを通って運ばれる燃焼材料の送給のためのプレナムを画定するようになっている、請求項1から8のいずれか1項に記載の除害装置。
【請求項10】
前記アウタースリーブは、前記有孔軸方向面上の燃焼を助けるための前記有孔軸方向面の少なくとも半径方向外縁を露出させるために、前記有孔軸方向面まで延びていない、請求項9に記載の除害装置。
【請求項11】
前記アウタースリーブは、前記有孔軸方向面上の燃焼を助けるための前記有孔軸方向面の半径方向外輪を露出させるために、前記有孔軸方向面まで延びていない、請求項9又は10に記載の除害装置。
【請求項12】
前記濡れスリーブは、濡れスリーブハウジング内に収容され、前記有孔軸方向面は、前記濡れスリーブハウジングの上流側表面と少なくとも同一平面に位置付けられている、請求項1から11のいずれか1項に記載の除害装置。
【請求項13】
前記上流側表面は、前記上流側表面から垂下する偏向リップを有し、前記有孔軸方向面は、前記偏向リップの縁部と少なくとも同一平面に位置付けられている、請求項12に記載の除害装置。
【請求項14】
前記有孔スリーブは、前記濡れスリーブの中に延びるように位置付けられ、前記有孔軸方向面を前記上流側表面の下方に位置付けるようになっている、請求項12又は13に記載の除害装置。
【請求項15】
前記濡れスリーブの中に延びる前記有孔スリーブの露出した半径方向外面にパージガスを送給するように構成されたパージ導管を備える、請求項1から14のいずれか1項に記載の除害装置。
【請求項16】
少なくとも前記有孔軸方向面に広がるように構成された複数の直立部を備える、請求項1から15のいずれか1項に記載の除害装置。
【請求項17】
有孔スリーブによって、排出流を処理するための燃焼室の上流側部分を画定するステップと、
前記有孔スリーブと流体的に結合された濡れスリーブによって、前記燃焼室の下流側部分を画定するステップと、
前記燃焼室の前記下流側部分の方へ下流側に向かう有孔軸方向面を提供するように前記有孔スリーブを構成するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、除害装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放射バーナー又は他の形式の除害装置などの除害装置が知られており、典型的には、例えば、半導体業界又はフラットパネルディスプレイ製造業界において使用される製造処理ツールからの排出ガス流を処理するために使用される。このような製造中、残留ペルフルオロ化合物(PFC)及び他の化合物が、処理ツールから圧送された排出ガス流に存在する。PFCは、排出ガスから除去し難く、環境への放出は、比較的高い温室効果作用を有することが知られているために望ましくない。
【0003】
公知の放射バーナーは、欧州公開第0,694,735号に記載されているものなど、燃焼を使用して、PFC及び他の化合物を排出ガス流から除去する。典型的には、排出ガス流は、PFC及び他の化合物を含有する窒素流である。排出ガス流は、有孔ガスバーナーの出口面によって横方向に取り囲まれた燃焼室へ運ばれる。場合によっては、燃料ガスなどの処理材料は、燃焼室に入る前に排出ガス流と混合させることができる。燃料ガス及び空気は、出口面で燃焼に影響を与えるために有孔バーナーに同時に供給される。有孔バーナーからの燃焼生成物は、排出流の化合物を燃焼させるために排出流混合物と反応する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州公開第0,694,735号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
除害装置の構成は存在するが、各々がそれ自体の欠点を有する。従って、除害装置のための改良された構成を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、半導体プロセスツールからの排出流を除害するための除害装置が提供され、除害装置は、燃焼室を備え、燃焼室は、排出流を処理するための燃焼室の上流側部分を画定する有孔スリーブであって、燃焼室の上流側部分は、排出流を受け入れるための入口を有する、有孔スリーブと;燃焼室の下流側部分を画定する、有孔スリーブと流体的に結合された濡れスリーブと;によって形成され、有孔スリーブは、燃焼室の下流側部分の方へ下流側に向く有孔軸方向面を提供するように構成されている。
【0007】
第1の態様は、有孔スリーブを有する既存の燃焼室に関連する問題が、詳細には有孔スリーブと下流側の濡れスリーブとの間のインターフェース部で、微粒子、粉末又は凝縮物が形成される又は堆積する可能性があることを認識している。これは、濡れスリーブが有孔スリーブの吐出領域の表面を冷却し、加えて、微粒子、粉体又は凝縮物の堆積を防止するのを助けることができる有孔スリーブから流出する流体が、半径方向にしか発生しないためであり、これは、その吐出領域で処理された排出流の中の微粒子、粉体又は凝縮物の堆積をもたらし、これは、その堆積した材料による橋絡又は閉塞を引き起こす可能性がある。また、濡れスリーブからの流体が不必要に有孔スリーブに運ばれる可能性があるため、有孔スリーブの吐出領域の表面が露出するのを回避するのを助けるように有孔スリーブに対して濡れスリーブを当接させることは困難であり、また、分離ガスケットが使用される場合、ガスケットは、同様にその上に微粒子、粉体又は凝縮物の堆積を引き起こす可能性がある。従って、除害装置が提供される。除害装置は、排出流を除害するためのものとすることができる。排出流は、半導体プロセスツールからのものとすることができる。除害装置は、燃焼室を備えることができる。燃焼室は、有孔スリーブ及び濡れスリーブによって形成することができる。有孔スリーブは、排出流を処理するための燃焼室の上流側部分を画定することができる。燃焼室の上流側部分は、排出流を受け入れるための入口を有することができる。濡れスリーブは、有孔スリーブと流体的に結合することができる。濡れスリーブは、燃焼室の下流側部分を画定することができる。有孔スリーブは、燃焼室の下流側部分の方へ下流側に向く有孔軸方向面を備えるように構成、形成、又は配置することができる。このように、有孔面は、燃焼室の上流側部分の方へ内方に向くだけでなく、燃焼室の下流側部分の方へ下流側にも向く。これは、燃焼室の上流側部分及び燃焼室の下流側部分の両方に向かう、有孔スリーブ面での燃焼を促進する。これは、有孔スリーブの吐出領域付近の温度を維持し、この領域での流体流れ(パージを提供する)をもたらし、有孔スリーブと濡れスリーブを当接する必要性を回避し、これは、この領域で発生する粒子状物質の凝縮を防止し、橋絡又は閉塞を引き起こす場合がある微粒子、粉末、又は凝縮物の堆積を防止するのを助ける。
【0008】
有孔軸方向面は、濡れスリーブに直交する又はそれを横切ることができる。
【0009】
有孔スリーブは、燃焼室の上流側部分を画定する少なくとも1つの内方に向く表面を有することができる。有孔軸方向面は、少なくとも部分的に上流側部分出口を画定することができる。
【0010】
有孔軸方向面の少なくとも一部は、内方に向く表面に直交する又はそれを横切ることができる。
【0011】
内方に向く表面は、燃焼室内又は燃焼室を通る排出流の主方向に略平行になるように配向することができる。有孔軸方向面の少なくとも一部は、排出流の流れの主方向に略直交する又はそれを横切るように配向することができる。
【0012】
内方に向く表面及び有孔軸方向面は、ロフト式移行部を有することができる。これは、さもなければ排出流の流れを妨げる及び/又は微粒子、粉末又は凝縮物の捕捉部として機能する可能性がある、何らかの不連続部の存在を低減するのを助ける。
【0013】
有孔軸方向面は、平面及び/又は曲面とすることができる。
【0014】
燃焼室は、管状とすることができる。このような管状の燃焼室は、円筒形である必要はなく、他の管状形状とすることができることを理解されたい。
【0015】
燃焼室は、円筒形とすることができ、有孔軸方向面は、環状とすることができる。
【0016】
燃焼室は、立方体状とすることができる。有孔軸方向面は、環状四辺形状とすることができる。
【0017】
有孔スリーブは、有孔スリーブの軸方向長さに沿って少なくとも部分的に延びる半径方向のアウタースリーブ内に少なくとも部分的に収容することができ、有孔スリーブ上での燃焼のために有孔スリーブを通って運ばれる又は供給される燃焼材料を送給するためのプレナムを画定するようになっている。
【0018】
有孔スリーブは、有孔軸方向面上での燃焼のための燃焼材料を有孔軸方向面に運ぶように構成することができる。従って、燃焼材料は、温度を維持し、この領域における微粒子、粉末又は凝縮物の堆積を防止するのを助けるために、有孔軸方向面上で燃焼することができる。
【0019】
アウタースリーブは、有孔軸方向面上の燃焼を助けるため、有孔軸方向面の少なくとも半径方向外縁を露出又は露呈させるために、有孔軸方向面まで延びていない場合がある。従って、燃焼は、濡れスリーブの方を向く有孔スリーブの外面で発生し、この領域での微粒子、粉体又は凝縮物の堆積を防ぐのを助けることができる。
【0020】
濡れスリーブは、濡れスリーブハウジング内に収容することができる。有孔軸方向面は、濡れスリーブハウジングの上流側表面と少なくとも同一平面に位置付けることができる。従って、有孔軸方向面は、濡れスリーブハウジングの上流側表面又はその下流側に位置付けることができる。
【0021】
上流側表面は、上流側表面から垂下する又はそこから延びる偏向リップを有することができる。有孔軸方向面は、偏向リップの縁部と少なくとも同一平面に位置付けることができる。
【0022】
有孔スリーブは、濡れスリーブの中に延びるように位置付けることができ、有孔軸方向面を上流側表面の下方に位置付けるようになっている。
【0023】
濡れスリーブは、有孔スリーブの少なくとも一部を同心円状に取り囲むことができる。
【0024】
除害装置は、濡れスリーブ内に延びる有孔スリーブの露出した半径方向外面にパージガスを送給又は運ぶように構成又は配置されたパージ導管を備えることができる。従って、濡れスリーブ内に延びる有孔スリーブの該当部分は、パージガスでパージして、この領域での微粒子、粉末又は凝縮物の堆積をさらに防止するのを助けることができる。
【0025】
除害装置は、少なくとも有孔軸方向面に広がるように構成された複数の直立部を備えることができる。これは、除害装置の組み立て時に有孔軸方向面を損傷から保護するのを助ける。
【0026】
第2の態様によれば、有孔スリーブによって、排出流を処理するための燃焼室の上流側部分を画定するステップと;有孔スリーブと流体的に結合された濡れスリーブによって、燃焼室の下流側部分を画定するステップと;燃焼室の下流側部分の方へ下流側に向かう有孔軸方向面を提供するように有孔スリーブを構成するステップと;を含む方法が提供される。
【0027】
本方法は、有孔軸方向面を、濡れスリーブに直交するように配向することを含むことができる。
【0028】
本方法は、燃焼室の上流側部分を画定する少なくとも1つの内方に向く表面で有孔スリーブを形成すること、及び、少なくとも部分的に上流側部分の出口を有孔軸方向面で画定することを含むことができる。
【0029】
本方法は、有孔軸方向面の少なくとも一部を内方に向く表面と直交するように配向させることを含むことができる。
【0030】
本方法は、内方に向く表面を、燃焼室内の排出流の流れの主方向に略平行になるように配向させること、及び、有孔軸方向面の少なくとも一部を、排出流の流れの主方向に略直交するように配向させることを含むことができる。
【0031】
本方法は、内方に向く表面と有孔軸方向面との間にロフト式移行部を形成することを含むことができる。
【0032】
本方法は、有孔軸方向面を、平面及び曲面の少なくとも一方で形成することを含むことができる。
【0033】
本方法は、燃焼室を、管状に形成することを含むことができる。
【0034】
本方法は、燃焼室を円筒形に形成すること、及び、有孔軸方向面を環状に形成することを含むことができる。
【0035】
本方法は、燃焼室を立方体状に形成すること、及び、有孔軸方向面を環状四辺形状に形成することを含むことができる。
【0036】
本方法は、有孔スリーブの軸方向の長さに沿って少なくとも部分的に延びる半径方向のアウタースリーブの中に有孔スリーブを少なくとも部分的に収容して、有孔スリーブ上での燃焼のために有孔スリーブを通って運ばれる燃焼材料の送給のためのプレナムを画定することを含むことができる。
【0037】
本方法は、燃焼材料を有孔軸方向面上での燃焼のために有孔軸方向面に運ぶように有孔スリーブを構成することを含むことができる。
【0038】
本方法は、有孔軸方向面上の燃焼を助けるための有孔軸方向面の少なくとも半径方向外縁を露出させるために、アウタースリーブを、有孔軸方向面まで延びないように構成することを含むことができる。
【0039】
本方法は、有孔軸方向面上の燃焼を助けるための有孔軸方向面の半径方向外輪を露出させるために、アウタースリーブを、有孔軸方向面まで延びないように構成することを含むことができる。
【0040】
本方法は、濡れスリーブを濡れスリーブハウジング内に収容すること、及び、有孔軸方向面を少なくとも濡れスリーブハウジングの上流側表面と同一平面になるように位置付けることを含むことができる。
【0041】
本方法は、上流側表面から垂下する偏向リップを上流側表面に形成すること、及び、有孔軸方向面を偏向リップの縁部と少なくとも同一平面になるように位置付けることを含むことができる。
【0042】
本方法は、有孔スリーブを濡れスリーブ内に延びるように位置付けて、有孔軸方向面を上流側表面の下方に位置付けることを含むことができる。
【0043】
本方法は、濡れスリーブと同心円状に有孔スリーブの少なくとも一部を取り囲むことを含むことができる。
【0044】
本方法は、パージ導管を、濡れスリーブの中に延びる有孔スリーブの露出した半径方向外面にパージガスを送給するように構成することを含むことができる。
【0045】
本方法は、少なくとも有孔軸方向面に延びるように複数の直立部を構成することを含むことができる。
【0046】
さらなる特定の好ましい態様は、添付の独立請求項及び従属請求項に記載されている。従属請求項の特徴は、適宜、及び、特許請求の範囲に明示的に記載される以外の組み合わせで独立請求項の特徴と組み合わせることができる。
【0047】
装置の特徴が、ある機能をもたらすように動作可能であると記載される場合、これは、その機能をもたらすか、又は、その機能をもたらすように適合又は構成されている装置の特徴を含むことを理解されたい。
【0048】
ここで、本発明の実施形態を、添付図面を参照しながらさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】1つの実施形態による除害装置の一部の断面図を示す。
図2】1つの実施形態による除害装置の断面図を示す。
図3】1つの実施形態による有孔スリーブを示す。
図4】1つの実施形態による有孔スリーブを示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
実施形態をさらに詳細に説明する前に、まず概要を説明する。いくつかの実施形態は、排出流の処理のための燃焼室を加熱するために、燃焼反応物の燃焼を助ける内方に向く表面を有する有孔スリーブによって少なくとも部分的に形成された、除害装置のための燃焼室を提供する。内方に向く表面に加え、有孔スリーブは、少なくとも部分的に軸方向に向く表面を有し、軸方向に向く表面は、熱を供給して、有孔スリーブの微粒子、粉末、又は凝縮物の堆積を低減するために、この領域での有孔スリーブの過度の冷却を防止する有孔スリーブの軸方向吐出領域付近のパージ流を供給するために(さもなければ除害装置の性能に影響を及ぼす及び/又は橋絡又は閉塞を引き起こす可能性がある)、同様にその上での燃焼を助ける。いくつかの実施形態では、有孔スリーブは、下流側の濡れスリーブの中に延びており、濡れスリーブに向く有孔スリーブの半径方向外面の少なくとも該当部分は、その上での燃焼を助けるように露出している。これは、同様にこの領域内で有孔スリーブの過度の冷却を防止する熱を供給するのを助け、さもなければ濡れスリーブに橋絡して潜在的に閉塞を引き起こす可能性がある、微粒子、粉末又は凝縮物の堆積を防止する。いくつかの実施形態では、その領域での連続的な加熱を可能にし、さもなければ微粒子、粉末又は凝縮物の堆積を促進する可能性がある何らかの急激な移行を回避するために、有孔スリーブの内方に向く表面は、下流側に向く軸方向面へ連続的に移行する。
【0051】
除害装置(第1の構成)
図1は、1つの実施形態による除害装置10の一部を示す。除害装置の他の構成要素は、明瞭にするために省略されている。燃焼室モジュール30が設けられており、燃焼室モジュール30は、燃焼室120の上流側部分120Aを画定する、有孔スリーブ90を収容するハウジング40を備える。この構成では、有孔スリーブ90は、テーパ付けされた立方体状であるが、他の形状のスリーブも可能である。燃焼室120の上流側には、処理される排出流を供給する入口ノズル60が設けられている。入口ノズル60は、有孔スリーブ90の上流側表面を貫通してハウジング40の中に延びている。
【0052】
有孔スリーブ90の下流側には、燃焼室120の下流側部分120Bを画定する堰の濡れ壁1020が備えられている。濡れ壁1020は、概して有孔スリーブ90の下流側で、有孔スリーブ90と同軸に位置決めされている。水などの流体は、ジャケット1040から供給され、濡れ壁1020から溢れ出て内方に向く表面を流れ落ちる。
【0053】
プレナム100は、有孔スリーブ90の外面とハウジング40内に収容されたアウタースリーブ1050の内面との間に画定される。プレナム100の上流側には、燃焼反応物をプレナム100に運ぶ燃焼反応物入口50が設けられている。プレナム100は、燃焼室120の上部120Aを画定する有孔スリーブ90の内方に向く表面1000上での燃焼のために、有孔スリーブ90を通って燃焼反応物を供給する。有孔スリーブ90の内方に向く表面1000で起こる燃焼に加えて、燃焼は、有孔スリーブの軸方向面1010でも起こり、これは、濡れスリーブ1020によって画定された燃焼室120の下流側部分120Bの方に下流側に向いている。さらに、有孔スリーブ90の湾曲面1030は、内方に向く表面1000と、軸方向面1010との間の移行を可能にし、その上でも燃焼を助ける。従って、燃焼は、内方に向く表面1000で起こるだけでなく、軸方向面1010及び湾曲面1030でも起こる。これは、燃焼室120の上流側部分120Aの排気又は放出領域での強化された加熱を可能にし、さもなければ燃焼室120は濡れ壁1020によって冷却され、さもなければこの領域での微粒子、粉末又は凝縮物の堆積につながることになる。
【0054】
さらに、アウタースリーブ1050は、軸方向面1010に向かって延びるが、半径方向外面1060を露出させるように軸方向面1010の手前で止まり、この半径方向外面1060は、濡れ壁1020の方に向き、その上での燃焼反応物の燃焼を助ける。この場合も、これは、この表面上に微粒子、粉末又は凝縮物が堆積するのを防ぐのを助け、さもなければ、これは濡れ壁1020に向かって成長するか又は橋絡することになる。
【0055】
ハウジング40と外壁1050の間には、追加的なプレナム1070が設けられており、このプレナム1070には、環状パージガス出口1080から出て、燃焼室モジュール30の吐出端の外向きの表面を覆い、同様にその上に微粒子、粉末、凝縮物が堆積するのを防ぐのを助けるパージガスが供給される。
【0056】
除害装置(第2の構成)
図2は、1つの実施形態による除害装置10Aを示す。この実施形態は、上述の図1に記載されたものと同様であるが、燃焼室120の上流側部分120Aは、有孔スリーブ90が濡れ壁1020の上流側に完全に位置付けられるように、濡れ壁1020のさらに上流側に位置付けられる。この実施形態では、ジャケット1040の天井は、あらゆる流体を有孔壁90から偏向させるのを助ける下向きにテーパ付けされた突出部1090を有する。
【0057】
有孔スリーブ(第2の構成)
図3は、1つの実施形態による有孔スリーブ90Aを示す。この実施形態では、有孔スリーブ90Aは、図1及び2に示されるような立方体形状ではなく、円筒形である。
【0058】
図4に示すように、一対の有孔スリーブ90Aは、同じ場所に配置することができ、各々は、燃焼室の下流側部分に向かって下流側に向きを定める軸方向面1010Aを有する。
【0059】
従って、いくつかの実施形態は、バーナーの基部でのライナー又は有孔スリーブの濡れ及び固体堆積の問題に対処するために、改良されたプレナム/堰又は濡れ壁構造を提供する。矩形バーナー要素又は有孔スリーブは、ベルマウス形態(bell-mouth form)で構成される、すなわち、燃焼を助ける有孔材料の吐出端は、半径方向及び軸方向の両方の点火面を与えるために後縁の周りに形成される。細長い高速プレナムは、設置面積を最小限に抑える。この細長いプレナムは、堰又は濡れ壁セクションの中に下方に延び、オーバーフローする水面は、バーナーと堰との間の半径方向の最小限の隙間で、軸方向点火面の上流側の有意な距離から始まる。この領域には、停滞を避けるために、トリクルパージ、空気又は窒素を供給することができる。バーナー又は有孔スリーブは、平行な壁を有することができる。これは、好ましくは入口から出口まで直径が増加する、テーパ付けされた壁を有することができる。テーパ半角(taper half-angle)は、好ましくは約2から5度、より好ましくは約3から3.5度である。バーナーは、有孔形成物に接触して鋳造された金属及びセラミック繊維の未焼結付着物として構築することができる。堰セクションの中へのバーナーリップの延長部は、燃焼器から放出される何らかの粉体からバーナー-堰のインターフェース部を効果的に覆い隠す。これは、インターフェース部での固形物の堆積、及びそれに続く堆積物を横切る水移送に起因するライナーの損傷を防止する。いくつかの実施形態は、ガス/空気プレナムが底部で有孔材料によって囲まれおり、結果として下部シール面の必要性がなくなるという特徴を備える。このいくつかの実施形態は、サービス間の平均時間への改善をもたらし、バーナーライナー交換の費用負担を低減する。
【0060】
いくつかの実施形態は、バーナー表面を半径方向から軸方向の流れ方向に移行させるためのバーナー出口でのセクションを有する、実質的に内方に向く壁を備えた表面バーナー又は有孔スリーブを提供する。これは、ガスケット及びフランジのような非パージ表面を取り除くことで、バーナーの出口セクションでの性能を改善する。複数のバーナーシステムに関して、これは信頼性の高いクロス点火(cross ignition)を可能にし、実装密度(packing density)を改善する。
【0061】
いくつかの実施形態は、円筒形の内向き点火バーナー又は有孔スリーブを提供する。燃料及び空気は、入口に導入され、燃料及び空気は、円筒形のプレナム領域を通って伝播する。このプレナムは、外側が非透過性バーナー壁で囲まれており、内側が透過性バーナー材料で囲まれている。燃料及び空気は、バーナー壁を伝って移動し、燃焼室領域で燃焼することになる。この領域での流れ方向は、半径方向となる。バーナー上部は、バーナーガスが下向きにのみ流出することを保証する。バーナーのさらに下方で、バーナーセクションは、バーナー材料を実質的に半径方向の内方に向くバーナーから軸方向に向くバーナーへと移行させる。1つのバーナーセクションは、完全に軸方向に向いている。これは、それらの燃焼室領域での流れ場を、半径方向から軸方向へと移行させる。外方に向くバーナー表面は離隔部(standoff)で保護することができる。これらは、必須ではないが、バーナー壁の延長部とすることができる。離隔部は、バーナー材料の縁部まで延びている。これにより、取り扱い時の偶発的な接触から材料を保護し、これを平らな面に置くことができる。離隔部は、バーナーの外周をすべて覆う必要はない。離隔部のない領域を有することは有益である。これらの領域は、バーナー材料で覆うことができ、これはバーナー表面の縁部である。これは、燃焼ゾーンの非パージ領域を低減し、これは固形物堆積及びバーナー腐食を低減する。
【0062】
いくつかの実施形態では、プロセスガスは入口に導入することができる。プロセスガスは、下向きに移動し、バーナー材料からのガスと接触する。移行ゾーン及び軸方向流れゾーンは、プロセスガスが、バーナーの中心に留まることを保証することになり、バーナー表面への固形物の堆積を防止することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、上記のように、同じ円筒形のバーナーは、複数のバーナーシステムで使用するために、同一のバーナーと横並びに配置される。これらのバーナーは、燃焼空間を共有する。バーナーセクションは、1つバーナーから別のバーナーへの早急かつ信頼性の高い点火を可能にするために、互いに直接隣接している。これは、複数のバーナーシステムに必要なパイロットバーナーの数を低減するのを助ける。また、軸方向面は、通常、インターフェース部で必要となる場合がある非パージ面を取り除くことで、2つのバーナー間のインターフェース部を最適化する。これは、固形粒子の凝集を低減し、バーナーの寿命及び効率を改善する。
【0064】
従って、いくつかの実施形態は、ガスケット及びフランジのような非パージ面を取り除くことによって、バーナー出口での性能を改善すること;複数のバーナーシステムでの異なるバーナーモジュール間の信頼できる点火を可能にすること;バーナー出口からガスケット及びフランジを取り除くことによって、複数のバーナーシステムでのバーナーモジュールの実装密度を改善すること;内向き点火バーナーの後縁に軸方向に向くバーナー表面を提供すること;を助けることが分かる。
【0065】
バーナー形状は様々とすることができる;外方に向くバーナーセクションに損傷を与えることを防止するためにバーナー基部に離隔部を設けることができる;バーナー移行セクションは、形状及び規模の点で様々とすることができる;軸方向に向くバーナー面に対する半径方向に向くバーナー面の比率は、様々とすることができる、ことを理解されたい。
【0066】
本明細書では、添付の図面を参照して本発明の例示的な実施形態を詳細に開示してきたが、本発明は、正確な実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって様々な変更及び修正を行なうことができることが理解される。
【符号の説明】
【0067】
10 除害装置
30 燃焼室モジュール
40 ハウジング
50 燃焼反応物入口
60 入口ノズル
90;90a 有孔スリーブ
100;1070 プレナム
120 燃焼室
120a 上流側部分
120b 下流側部分
1000 内方に向く表面
1010 軸方向面
1020 濡れ壁
1030 湾曲面
1040 ジャケット
1050 アウタースリーブ
1060 外面
1080 パージガス出口
1090 突起部
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理ツールからの排出流を除害するための除害装置であって、
前記除害装置は、燃焼室を備え、
前記燃焼室は、
前記排出流を処理するための前記燃焼室の上流側部分を画定する有孔スリーブであって、前記燃焼室の前記上流側部分は、前記排出流を受け入れるための入口を有する、有孔スリーブと、
前記燃焼室の下流側部分を画定する、前記有孔スリーブと流体的に結合された濡れスリーブと、
によって形成され、
前記有孔スリーブは、前記燃焼室の前記下流側部分の方へ下流側に向く有孔軸方向面を備えるように構成されている、除害装置。
【請求項2】
前記有孔軸方向面は、前記濡れスリーブに直交している、請求項1に記載の除害装置。
【請求項3】
前記有孔スリーブは、前記燃焼室の前記上流側部分を画定する少なくとも1つの内方に向く表面を有し、前記有孔軸方向面は、少なくとも部分的に上流側部分出口を画定する、請求項1に記載の除害装置。
【請求項4】
前記有孔軸方向面の少なくとも一部は、前記内方に向く表面と直交している、請求項3に記載の除害装置。
【請求項5】
前記内方に向く表面は、前記燃焼室内の前記排出流の流れの主方向に略平行になるように配向され、前記有孔軸方向面の少なくとも一部は、前記排出流の流れの前記主方向に略直交するように配向されている、請求項3に記載の除害装置。
【請求項6】
前記有孔軸方向面は、平面及び曲面のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の除害装置。
【請求項7】
前記燃焼室は、管状である、請求項1に記載の除害装置。
【請求項8】
前記燃焼室は、円筒形状及び立方体状のうちの1つであり、前記有孔軸方向面は、環状及び環状四辺形状のうちの1つである、請求項1に記載の除害装置。
【請求項9】
前記有孔スリーブは、前記有孔スリーブの軸方向長さに沿って少なくとも部分的に延びる半径方向のアウタースリーブの中に少なくとも部分的に収容され、前記有孔スリーブ上での燃焼のために前記有孔スリーブを通って運ばれる燃焼材料の送給のためのプレナムを画定するようになっている、請求項1に記載の除害装置。
【請求項10】
前記アウタースリーブは、前記有孔軸方向面上の燃焼を助けるための前記有孔軸方向面の少なくとも半径方向外縁を露出させるために、前記有孔軸方向面まで延びていない、請求項9に記載の除害装置。
【請求項11】
前記アウタースリーブは、前記有孔軸方向面上の燃焼を助けるための前記有孔軸方向面の半径方向外輪を露出させるために、前記有孔軸方向面まで延びていない、請求項9に記載の除害装置。
【請求項12】
前記濡れスリーブは、濡れスリーブハウジング内に収容され、前記有孔軸方向面は、前記濡れスリーブハウジングの上流側表面と少なくとも同一平面に位置付けられている、請求項1に記載の除害装置。
【請求項13】
前記上流側表面は、前記上流側表面から垂下する偏向リップを有し、前記有孔軸方向面は、前記偏向リップの縁部と少なくとも同一平面に位置付けられている、請求項12に記載の除害装置。
【請求項14】
前記有孔スリーブは、前記濡れスリーブの中に延びるように位置付けられ、前記有孔軸方向面を前記上流側表面の下方に位置付けるようになっている、請求項12に記載の除害装置。
【請求項15】
前記濡れスリーブの中に延びる前記有孔スリーブの露出した半径方向外面にパージガスを送給するように構成されたパージ導管を備える、請求項1に記載の除害装置。
【請求項16】
少なくとも前記有孔軸方向面に広がるように構成された複数の直立部を備える、請求項1に記載の除害装置。
【請求項17】
有孔スリーブによって、排出流を処理するための燃焼室の上流側部分を画定するステップと、
前記有孔スリーブと流体的に結合された濡れスリーブによって、前記燃焼室の下流側部分を画定するステップと、
前記燃焼室の前記下流側部分の方へ下流側に向かう有孔軸方向面を提供するように前記有孔スリーブを構成するステップと、
を含む方法。
【国際調査報告】