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特表2024-526717ギャザー付き材料の製造方法及びギャザー付き材料
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  • 特表-ギャザー付き材料の製造方法及びギャザー付き材料 図1
  • 特表-ギャザー付き材料の製造方法及びギャザー付き材料 図2a
  • 特表-ギャザー付き材料の製造方法及びギャザー付き材料 図2b
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】ギャザー付き材料の製造方法及びギャザー付き材料
(51)【国際特許分類】
   A41H 43/00 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
A41H43/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501530
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 EP2022056234
(87)【国際公開番号】W WO2023285004
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】102021118030.9
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021118046.5
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520062177
【氏名又は名称】ヘルマン ウルトラシャルテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ラケール ロウッセル-ガルシア
(72)【発明者】
【氏名】ロビン アレクサンダー ボーデ
(57)【要約】
本発明は、ギャザー付き材料又はギャザー付け可能な材料(10)を製造するための方法に関するものであり、以下の工程、すなわち、
a.2つの材料ウェブ部分(11、12)と、材料ウェブ部分(11、12)の間に配置される糸(13)とを提供する工程と、
b.シーリング面(2)を有する工具(1)と、対向シーリング面を有する対向工具とを含む加工装置を提供する工程であって、工具(1)と対向工具とは、シーリング面(2)と対向シーリング面との間に間隙が形成されるように相対的に配置され、工具(1)及び/又は対向工具は、糸(13)を受け入れるための少なくとも1つの溝(3)を有する工程と、
c.2つの材料ウェブ部分(11、12)及び糸(13)を、送り方向に、工具(1)のシーリング面(2)と対向面との間の間隙を通過させる工程であって、糸(13)が、シーリング面(2)及び/又は対向工具の溝(3)を通って導かれ、2つの材料ウェブ部分(11、12)が2つの接続面上で互いに溶着される工程と、
を含み、糸(13)は、第1の方向及びそれに直交する第2の方向において、糸(13)と材料ウェブ部分(11、12)との間で形状に適合した接続が生じるように、2つの接続面の間に配置される。加工中の溝(3)の断面に対する糸(13)の断面は、工程cの間に、糸(13)の外側の断面も材料ウェブ部分(11、12)に溶着され、糸(13)の外側の断面が2つの材料ウェブ部分(11、12)に強固に接続されるように、選択される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギャザー付き材料又はギャザー付け可能な材料(10)を製造する方法であって、前記方法は、下記工程、すなわち、
a.少なくとも2つの材料ウェブ部分(11、12)と、前記材料ウェブ部分(11、12)の間に配置される少なくとも1つの糸(13)とを提供する工程
b.シーリング面(2)を有する工具(1)と、対向シーリング面を有する対向工具とを有する加工装置であって、前記工具(1)及び前記対向工具が、前記シーリング面(2)と前記対向シーリング面との間に間隙が形成されるように相対的に配置され、前記工具(1)及び/又は前記対向工具が、少なくとも前記少なくとも1つの糸(13)を部分的に受容するための少なくとも1つの溝(3)を有する、加工装置を提供する工程
c.前記少なくとも2つの材料ウェブ部分(11、12)及び前記少なくとも1つの糸(13)を、送り方向に、前記工具(1)の前記シーリング面(2)と前記対向シーリング面との間の前記間隙を通過させる工程であって、前記糸(13)が、前記シーリング面(2)及び/又は前記対向工具の前記少なくとも1つの溝(3)を通して導かれる工程
であって、
それにより、前記2つの材料ウェブ部分(11、12)は、少なくとも2つの接続面で溶着され、前記糸(13)は、第1及び第2の方向に前記糸(13)と前記材料ウェブ部分(11、12)との間で嵌合接続があるように前記2つの接続面の間に配置され、前記2つの方向は、互いに垂直に整列され、
前記溝(3)の断面に対する前記糸(13)の断面が、工程cの間に前記2つの材料ウェブ部分(11、12)が溶着されると共に前記糸(13)の外側部位が前記材料ウェブ部分(11、12)に溶着され、前記糸の前記外側部位が前記2つの材料ウェブ部分(11、12)に強固に接続されるように、加工中に選択されることを特徴とする、
工程を含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの糸を受容するための前記溝、及び前記糸の前記断面は、工程cの間に前記糸の前記断面が前記溝の形状に適合するように、選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記糸(13)の前記断面は、前記糸(13)に張力がかけられた状態における前記糸(13)の前記断面が前記溝(3)の深さよりも大きくなるように、選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程cにおいて前記工具(1)が超音波振動で励振されることにより、前記2つの材料ウェブ部分が前記少なくとも2つの接続面で超音波加工される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程cにおいて前記工具(1)が加熱されることにより、前記2つの材料ウェブ部分が前記少なくとも2つの接続面で融合する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記溝(3)は前記送り方向に配向しており、前記溝(3)は前記シーリング面(2)と前記対向シーリング面とをそれぞれ部分シーリング面(7)に分割しており、前記溝(3)は溝底(4)と、前記溝底に隣接する2つの側壁(5、6)とを有しており、前記側壁(5、6)は、前記溝底(4)を前記部分シーリング面(7)に接続しており、前記部分シーリング面(7)の少なくとも1つは、前記送り方向に垂直な断面視において、前記溝底(4)に向かって傾斜する少なくとも1つのフランク(8)を有しており、前記フランク(8)は、好ましくは、前記送り方向に垂直な断面視において、半径Rで凸状に湾曲している、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記溝底(4)は凹状に湾曲しており、前記凹状に湾曲した溝底(4)は、好ましくは前記部分シーリング面(7)の前記好ましくは凸状に湾曲したフランク(8)に直接隣接していることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの溝(3)は、前記工具(1)の前記シーリング面(2)に配置されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記シーリング面(2)及び/又は前記対向シーリング面は、前記少なくとも1つの糸(13)を少なくとも部分的に受容するための、前記送り方向に配向された複数の溝(3)を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの溝(3)は、0.05mmから0.8mmの間の深さを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
溶着中の前記少なくとも2つの接続面の間の距離は、i)弛緩状態の前記糸の直径に対応するか、又はii)弛緩状態の前記糸の直径よりも大きいことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記強固な接続は、前記糸の方向に垂直な断面視において、前記糸が、前記材料ウェブ部分に対し、円周方向における部分においてのみ、強固に接続される方法でなされ、前記強固な接続は、好ましくは、前記糸の方向に垂直な断面視において、前記糸が、前記材料ウェブ部分に対し、円周方向において、相互に離間する2つの部分において、強固に接続される方法でなされることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも2つの材料ウェブ部分(11、12)と、前記材料ウェブ部分(11、12)の間に配置された少なくとも1つの糸(13)と、からなるギャザー付け可能な材料又はギャザー付き材料であって、前記2つの材料ウェブ部分(11、12)は互いに少なくとも2つの接続面で溶着されており、前記糸(13)は、第1及び第2の方向において前記糸(13)と前記材料ウェブ部分(11、12)との間で嵌合接続するように前記2つの接続面の間に配置されており、前記2つの方向は、互いに垂直に整列されており、前記糸(13)は、前記2つの材料ウェブ部分(11、12)に強固に接続されていることを特徴とする、ギャザー付け可能な材料又はギャザー付き材料。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法により製造されたことを特徴とする、請求項13に記載のギャザー付け可能な材料又はギャザー付き材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ギャザー付き又はギャザー付け可能な材料を製造する方法に関する。さらに、本発明は、対応するギャザー付き材料に関する。
【発明の概要】
【0002】
ギャザー付き又はギャザー付け可能な材料は、少なくとも2つの材料ウェブ部分と、材料ウェブ部分の間に配置される少なくとも1つの糸とから構成される。当該方法によれば、2つの材料ウェブ部分は、少なくとも2つの接続面で互いに接続される。糸は、材料ウェブ部分の間及び2つの接続面の間に配置され、糸と材料ウェブ部分との間に、第1の方向及び第1の方向に対して垂直な第2の方向に嵌合接続があるように、糸が材料ウェブ部分の間に固定される。
【0003】
2つの材料ウェブ部分は、接続面を介して接続される2つの材料ウェブによって実現することができる。しかし、材料ウェブの第1の材料ウェブ部分が同じ材料ウェブの第2の材料ウェブ部分に対向するように材料ウェブを折り畳み、糸を第1の材料ウェブ部分と第2の材料ウェブ部分の間に配置することも可能である。
【0004】
この方法を実施するために、シーリング面を有するツール及び対向シーリング面を有する対向ツールが提供され、ツール及び対向ツールは、ギャザー付き又はギャザー付け可能な材料を製造するために、材料ウェブ部分及び糸が、シーリング面及び対向シーリング面によって形成される間隙を通って送り方向に送られるように、互いに相対的な加工位置に配置される。
【0005】
さらに、工具及び/又は対向工具は、少なくとも1つの糸を少なくとも部分的に受容するための少なくとも1つの溝を有し、溝は、送り方向に向いており、シーリング面及び対向シーリング面をそれぞれ部分シーリング面に分割する。さらに、溝は、溝底と、溝底に隣接する2つの側壁とを有し、側壁は、溝底を部分シーリング面に接続している。
【0006】
対応する工具を用いた、ギャザー付き又はギャザー付け可能な材料を製造するための対応する方法は、従来技術から既知である。工具は、例えば、超音波加工装置のソノトロード又は熱的に加熱されるローラーである。以下の説明は、超音波加工工程に基づいている。しかし、本発明による方法は、超音波を用いない他の工具の操作にも使用できる。
【0007】
材料を超音波で加工するために、装置のソノトロードなどの工具を超音波振動状態にする。その結果、シーリング面と対向シーリング面の間の間隙にある材料が局所的に加熱される。そして、局所的な加熱により、間隙に配置された材料の異なる層が融合し、非破壊的に分離できない強固な結合が形成される。
【0008】
局所的に加熱される超音波加工とは対照的に、加熱ローラーは広い面積で材料を熱的に加熱する。しかし、その他の動作原理は同様である。
【0009】
ギャザー付け可能な又はギャザー付き材料を製造するためには、加工作業において弾性の異なる材料同士を組み合わせる必要がある。この目的のために、例えば、2つの材料ウェブ部分の間に、材料ウェブ部分自体よりも著しく弾性の高い糸を配置する。加工工程中、材料ウェブ部分同士を融着することにより、少なくとも2つの空間方向において、材料ウェブ部分の間で、糸は張力をかけられ、クランプされる。
【0010】
この目的のために、従来技術から既知の工程では、糸が配置されていない材料ウェブ部分の領域のみが溶着される。換言すれば、材料ウェブ部分のみが溶着され、糸は材料ウェブ部分とは溶着されない。張力がかけられた状態でも、糸は材料ウェブ部分によって囲まれた空洞内で自由に動くことができる。
【0011】
加工された材料が装置から取り出され、糸が解放されると、例えば、糸と材料ウェブの間の摩擦力によって、材料が寄せ集められる。あるいは、その後の作業工程で材料を寄せ集め、それに応じて糸を短くすることもできる。このようなギャザー付き又はギャザー付け可能な材料の典型的な用途は、例えば、おむつのような衛生用品に見出すことができる。
【0012】
従って、材料のギャザー付け特性は、糸と材料ウェブ部分との間の摩擦特性によって大きく左右され、この摩擦特性は、使用される材料自体の特性に関係するが、加工作業中の糸の張力にも関係する。
【0013】
そのため、材料の十分なギャザー付けを達成するためには、工程は、使用される材料に個別に合わせなければならない。これには多大な時間を要する。それにもかかわらず、摩擦が十分でない場合、材料はまだ広がる可能性がある。従って、既知の方法は、特定の弾性糸にしか使用できない。
【0014】
従って、本発明は、再現可能で信頼性の高いギャザー付きの材料が製造される、ギャザー付き又はギャザー付け可能な材料を製造する方法を提供するという課題に基づく。ギャザー付き材料に関しては、本発明は、容易に製造することができ、信頼性の高いギャザーを示すギャザー付け可能な又はギャザー付き材料を提供するという課題に基づく。
【0015】
本発明によれば、この課題は、冒頭に述べた種類のギャザー付き又はギャザー付け可能な材料を製造する方法によって解決され、この方法は、以下の工程、すなわち、
a)少なくとも2つの材料ウェブ部分と、材料ウェブ部分の間に配置される少なくとも1つの糸を提供する工程
b)シーリング面を有する工具と、対向シーリング面を有する対向工具とを有する加工装置であって、工具と対向工具とは、シーリング面と対向シーリング面との間に間隙が形成されるように相対的に配置され、工具及び/又は対向工具は、少なくとも1つの糸を少なくとも部分的に受容するための少なくとも1つの溝を有する、加工装置を提供する工程
c)少なくとも2つの材料ウェブ部分と少なくとも1つの糸を、工具のシーリング面と対向シーリング面との間の間隙を送り方向に通過させる工程であって、糸はシーリング面又は対向工具の少なくとも1つの溝を通して導かれる工程
を含み、2つの材料ウェブ部分は少なくとも2つの接続面で溶着され、糸は、糸と材料ウェブ部分との間に第1方向及び第2方向に嵌合接続があるように、2つの接続面の間に配置され、2つの方向は互いに垂直に整列され、溝の断面に対する糸の断面が、工程cの間に2つの材料ウェブ部分が溶着されると共に、糸の外側部位が材料ウェブ部分に溶着し、それにより糸の外側部位が2つの材料ウェブ部分に強固に接続されるように、加工中に選択される。
【0016】
糸は、材料結合によって、又は糸の少なくとも1つの部分又は糸の少なくとも1つの単繊維を材料ウェブ部分の材料に埋め込むことによって、材料ウェブ部分に強固に接続することができる。例えば、材料ウェブ部分の材料を溶着中に溶融させ、糸の部分又は糸の単繊維を溶融物中に埋め込み、溶融物を再び固化させることができる。従って、強固な接続は、切り離すことができず、又は、材料ウェブの材料が再加熱された場合にのみ、解除することができる。単繊維と材料ウェブの間の単繊維方向への相対移動は、強固な接続によって阻止される。
【0017】
この目的のために、工具は、例えば工程cの間、超音波振動が施され又は熱的に加熱され、被加工材に押し付けられ、それにより、被加工材の材料ウェブ部分と糸の外側部位が融合、すなわち強固に結合する。この接続は、材料結合とすることができる。本出願の目的上、材料結合とは、加工される材料が少なくとも分子レベルの所々で互いに結合を形成することを意味し、これは非破壊的に解除することはできない。
【0018】
強固に接続された領域の糸は、材料ウェブ部分と一緒にしか動かせないことが重要である。cの加工中に糸に張力がかかり、加工後に糸が解放されると、糸が再び収縮するにつれて材料ウェブ部分が寄り集まる。
【0019】
好ましい実施形態では、接続は、糸方向に対して垂直な断面視において、糸が円周方向における部分においてのみ材料ウェブ部分に接続されるように行われ、好ましくは、接続は、糸方向に対して垂直な断面視において、糸が円周方向における2つの別々の部分において材料ウェブ部分に接続されるように行われる。従って、糸は、円周方向において材料ウェブ部分に連続的に接続されていない。また、糸を長手方向に材料ウェブ部分に連続的に接続する必要もない。その代わりに、好ましい実施形態では、接続はまた、長手方向すなわち糸の方向における区分においてのみ行われる。
【0020】
従って、本発明による方法を用いてギャザー付き材料を製造する場合、糸は材料ウェブ部分の間で自由に移動可能ではなく、材料ウェブ部分に対して送り方向にも固定される。このようにして、材料ウェブ部分における糸の位置を特に正確に決定することができる。連結される材料の弾性が異なることと、溶着時の糸の張力により、材料が寄せ集められる。この工程で作られる製品は、糸が材料ウェブ部分の間の一定の位置に確実に配置されるため、高い精度と再現性のある品質を備えている。
【0021】
一実施形態では、少なくとも1つの糸を保持するための溝、及び糸の断面は、工程cの間に糸の断面が溝の形状に適合するように選択される。従って、糸は通常の円形断面を保持せず、溝の形状に適合する。
【0022】
さらなる実施形態において、糸の断面は、張力がかけられた状態における糸の断面が溝の深さよりも大きくなるように選択される。換言すれば、糸は溝を越えて突出し、その結果、少なくとも外側部位において、材料ウェブ部分と融合するように工具によって加工される。
【0023】
さらなる実施形態では、工具は、工程cにおいて、超音波振動によって励振される。従って、工具は、材料に超音波振動を伝達するソノトロードである。
【0024】
さらなる実施形態では、工具は、材料ウェブ部分が、工具のシーリング面と接触する領域において溶融し、これらの接続面において連結するように、工程c中に加熱される。
【0025】
さらなる実施形態では、溝は、シーリング面及び対向シーリング面をそれぞれ部分シーリング面に分割し、溝は、溝底と、溝底に隣接する2つの側壁とを有し、側壁は、溝底を部分シーリング面に接続し、部分シーリング面の少なくとも1つは、送り方向に垂直な断面視において、溝底に向かって傾斜する少なくとも1つのフランク(flank)を有し、フランクは、好ましくは、送り方向に垂直な断面視において、半径Rで凸状に湾曲している。
【0026】
換言すれば、部分的なシーリング面と溝との間の移行部は、溝と溝の間の糸の交換を困難にしたり、糸を損傷したりする可能性のある鋭利なエッジが存在しないように設計されていることが好ましい。
【0027】
本発明による溝間の部分的なシーリング面の設計は、一方では、糸への損傷を低減し、従って糸が破損する確率を低減し、他方では、個々の溝内に糸を配置することを容易にする。糸がフランクを介して溝内により容易に摺動するため、部分的なシーリング面の領域に糸が配置されることが少なくなり、糸が意図せずに溶着する危険性が減少する。実際に、糸が所望の位置で材料ウェブ部分に溶着される信頼性が高まる。
【0028】
好ましい実施形態では、半径Rは、0.01mmから0.5mmの間、特に好ましくは0.05mmから0.2mmの間である。
【0029】
フランクを凸状曲面に設計することで、部分シーリング面と溝の側壁との間にエッジがなくなり、部分シーリング面が均一な曲率で溝の側壁に合流するという利点がある。糸が角で傾き、誤った位置でシールされることはない。
【0030】
さらなる実施形態では、溝底は凹状に湾曲しており、凹状に湾曲した溝底は、好ましくは部分シーリング面の凸状に湾曲した側面に直接隣接している。
【0031】
本発明の目的上、凸状という用語は、凸状に湾曲した表面の任意に選択可能な2点間の直線が、工具又は対向ツール本体内に完全に延びていることを意味する。一方、凹状という用語は、表面の任意に選択可能な2点間の直線が完全に本体の外側に延びていることを意味する。
【0032】
溝底部の凹状の湾曲、特に凹状に湾曲した溝底部の凸状に湾曲したフランクへの直接的な移行は、本発明による装置の溝には、加工される材料の繊維が蓄積したり、糸が引っ掛かったりする可能性のある角やエッジが存在しないという利点を提供する。このため、溝の目詰まりが防止され、その結果、糸の案内が不十分になったり、不要な場所に糸が溶着したりすることがない。
【0033】
さらなる実施形態では、溝底部は、送り方向に垂直な断面視において、半径Rで凹状に湾曲しており、好ましくは5R>R>0.5R、特に好ましくは2.5R>R>0.8Rである。溝底の曲率半径Rは、フランクの曲率半径Rに対して、部分シーリング面が十分な幅を持つように、すなわち先細状にならないように選択される。これにより、部分シーリング面の摩耗が低減される。
【0034】
さらなる実施形態では、少なくとも1つの溝は、工具のシーリング面に配置される。これは、対向ツールが平滑な対向シーリング面を備えることができるという利点を提供し、対向ツールを非常にコスト効率よく製造できることを意味する。
【0035】
さらなる実施形態では、対向ツールは円筒形であり、第1の円筒軸を中心に回転可能であり、対向ツールは、対向シーリング面が配置される側面を有し、第1の円筒軸は、送り方向が側面に対して接線方向になるように配向される。円筒形の対向ツールを選択することで、加工される材料が対向ツール上を転がることにより、送り方向に対向ツール上を移動できるという利点が得られる。従って、被加工材に損傷を与える可能性のある鋭いエッジを回避できる。さらに、磨耗が減少することで、工具部品に堆積し装置の寿命を短くするおそれのある繊維が少なくなる。
【0036】
本発明のさらなる実施形態では、工具のシーリング面は、送り方向において本質的に平坦である。その結果、工具によって被加工材料系に加えられる力を均等に分散させることができる。
【0037】
しかし、材料の送りによっては、シーリング面が、少なくとも材料が導入される導入方向において、送り方向と平行な断面視において丸みを帯びたエッジを有すると有利であり、これにより、工具の間隙に入る被加工材料も、工具の鋭利なエッジによって損傷を受けない。これによって、糸の断裂が最小限に抑えられ、溝への繊維の堆積も少なくなる。
【0038】
さらなる実施形態では、溝は、送り方向において、シーリング面及び/又は対向シーリング面の延長上に完全に延在する。これは、糸が本発明による装置の加工幅全体にわたって特に安定した態様で案内され、加工装置による糸の意図しない加工がいかなる点においても生じないようにするために必要である。
【0039】
さらなる実施形態では、工具は円筒形であり、工具は第2の円筒軸を中心に回転可能であり、シーリング面が配置される側面を有し、好ましくは、少なくとも1つの溝は工具の側面の周りを円形に延びる。円筒形の対向工具と同様に、円筒形の工具は、材料の損傷が防止され、材料が工具上を転がることができるという利点を提供する。
【0040】
さらなる実施形態では、シーリング面及び/又は対向シーリング面は、少なくとも1つの糸を少なくとも部分的に受容するために、送り方向に配向された複数の溝を有し、溝は、好ましくは0.1mmから10mmの間、特に好ましくは0.4から2.5mmの間の間隔を有する。2つの溝間の距離は、1つの溝の中心からすぐ隣の溝の中心までとして定義される。
【0041】
ツールのシーリング面又は対向シーリング面に複数の溝を設けることで、材料ウェブ間に複数の糸を同時に配置することができ、材料のギャザー付け特性が向上する。さらに、このようにして所望の材料幅にわたって均一なギャザーを作ることができる。ギャザー付けの強さは、特に、張力のない状態での復元力によって材料ウェブ部分に力を及ぼす糸の数によって決定される。
【0042】
さらなる実施形態では、複数の溝が溝パケットに組み合わされ、溝パケットの溝は、好ましくは0.1から1mmの間の間隔を有し、溝パケットは、好ましくは互いに5から300mmの間の間隔を有する。溝間の距離と同様に、溝パケット間の距離も、1つの溝パケットの中心から隣接する溝パケットの中心までとして定義される。
【0043】
さらなる実施形態では、少なくとも1つの溝は0.05mmから0.8mmの間の深さを有する。この深さであれば、糸を十分な精度で案内することができ、同時に、製造の観点から溝を比較的容易に作ることができる。溝が深いと、工具が不安定になる可能性があり、特に、溝と溝の間の距離が小さく、狭い部分的なシーリング面しか残らないが、これが溝底から比較的離れて配置されている場合である。溝底とフランクの両方が湾曲している場合、溝の深さは、好ましくは、フランクの半径Rと溝底の半径Rの和によって決定される。
【0044】
さらなる実施形態では、部分シーリング面は、送り方向に垂直な断面視において、曲率半径Rで凸状に湾曲しており、好ましくは、部分シーリング面は、フランクに合流し、好ましくは、R=Rである。換言すれば、部分シーリング面は、好ましくはフランクの曲率半径に対応する曲率半径を有する凸状の曲面を提供する。従って、部分シーリング面はもはや平坦な面を持たず、あらゆる点で湾曲している。このようにして、材料ウェブの線状シーリングのみが送り方向に行われる。これは特に、糸の不要な加工を防ぐために効果的である。
【0045】
ギャザー付け可能な又はギャザー付き材料に関して、冒頭で述べた問題は、少なくとも2つの材料ウェブ部分と、材料ウェブ部分の間に配置される少なくとも1つの糸とからなるギャザー付け可能な又はギャザー付き材料であって、2つの材料ウェブ部分は、少なくとも2つの接続面で互いに溶着されており、糸は、糸と材料ウェブ部分との間に第1方向及び第2方向において嵌合接続があるように2つの接続面の間に配置されており、2つの方向は互いに垂直に整列されており、糸が、2つの材料ウェブ部分に強固に接続されていることを特徴とする、ギャザー付け可能な又はギャザー付き材料によって解決される。
【0046】
糸の単繊維のみが材料ウェブ部分に強固に接続していれば十分である。
【0047】
好ましくは、ギャザー付け可能な又はギャザー付き材料は、記載された工程を用いて製造される。
【0048】
さらなる利点、特徴及び可能な用途は、以下の実施形態の記載及び関連する図から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1図1は、本発明の方法を用いて操作される工具の一部を示す断面視である。
図2a図2aは、従来技術から公知の方法を用いた溶着後の材料ウェブ間の糸の配置を模式的に示す図である。
図2b図2bは、本発明による方法の一実施形態による糸の配置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1に示す本発明による装置の実施形態によれば、糸13を受けるための溝3は、ソノトロード1のソノトロードシーリング面2に配置されている。溝3は、図1に示す断面視においてシート平面に延びる送り方向に延びている。さらに、溝3は、ソノトロードシーリング面2を複数の部分シーリング面7に分割する。
【0051】
溝3は、溝底部4と、溝底部に隣接する2つの側壁5、6とを有し、側壁5、6は溝底部4と部分シーリング面7とを接続している。
【0052】
図1に示す断面視において、部分シーリング面7はそれぞれ、送り方向に対して垂直に溝底4に向かって傾斜する2つのフランク8を有する。
【0053】
傾斜するフランク8は半径Rで凸状に湾曲しており、それにより、部分シーリング面7の全体は、半径R=Rで凸状に湾曲している。さらに、溝底4も、半径Rで凹状に湾曲しており、凸状に湾曲する部分シーリング面7のフランクに直接隣接する。湾曲する部分シーリング面7の半径Rは、凹状に湾曲する溝底4の半径Rに対応し、0.1mmである。
【0054】
溝の幅Bも0.22mmで、この幅は凹状に湾曲する溝底4と凸状に湾曲するフランク8の2つの移行点の間で測定される。
【0055】
さらに、溝3の深さTは0.21mmである。溝3の深さTは、溝底4の最も深い点と部分シーリング面7の最も高い点との間で画定される。2つの溝間の距離Aは0.42mmであり、距離Aは溝底4の最も深い位置で測定される。
【0056】
ギャザー付け可能な又はギャザー付き材料10を製造するために、2つの材料ウェブ11、12が、ソノトロード1のソノトロードシーリング面2と対向ツール(図示せず)の対向シーリング面との間に配置され、その間に糸13が配置される。糸13は溝3内を通るように案内される。材料ウェブ部分11、12の超音波加工は、部分シーリング面7の領域でのみ行われる。
【0057】
従来技術から既知の方法では、糸に張力がかけられた状態での糸13の直径は、溝3の深さよりも小さくなるように選択される。これは、糸13がソノトロード1によって加工されないことを意味する。
【0058】
先行技術から既知の装置、すなわち溝が鋭利なエッジを持つ装置によるそのような加工の結果を図2aに示す。糸13は、材料10の材料ウェブ部分11、12の間の空洞にクランプされるが、材料ウェブ部分11、12に対して送り方向に移動することができる。下側の材料ウェブ部分12は溝の形状を有しており、溝は、ソノトロード又は対向ツール、あるいはその両方に配置することができる。
【0059】
本発明による方法によれば、糸13の断面は、張力がかけられた状態でも溝3の深さより大きくなるように選択される。本発明による方法の結果を図2bに示す。糸13のより大きな断面を選択することにより、糸13は部分シーリング面7の領域で溶着される。その結果、糸13もまた材料ウェブ部分11、12に取り付けられ、送り方向に移動することができない。糸13の当初円形であった断面も、溝3の形状に適合している。
【0060】
さらに、好ましい実施形態では、溶着中の少なくとも2つの接続面の間の距離は、この距離がi)弛緩状態の糸13の直径に対応するか、又はii)弛緩状態の糸13の直径よりも大きくなるように、選択することができる。従って、本発明による強固な接続により、材料ウェブ部分11と糸13との間の摩擦を実現するために、弛緩状態における糸13の直径を大きく選択する必要はない。
【0061】
このようにして、糸が常に同じ位置に配置されたギャザー付き又はギャザー付け可能な材料を製造することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 ソノトロード
2 ソノトロードシーリング面
3 溝
4 溝底
5、6 側壁
7 部分シーリング領域
8 フランク
10 ギャザー付き又はギャザー付け可能な材料
11、12 材料ウェブ部分
13 糸
図1
図2a
図2b
【国際調査報告】