(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】放射線不透過性組成物
(51)【国際特許分類】
A61L 31/04 20060101AFI20240711BHJP
A61L 31/02 20060101ALI20240711BHJP
A61L 31/10 20060101ALI20240711BHJP
A61L 31/18 20060101ALI20240711BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240711BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240711BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240711BHJP
【FI】
A61L31/04 110
A61L31/02
A61L31/10
A61L31/18
A61K9/08
A61K47/02
A61K47/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501567
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 US2022036730
(87)【国際公開番号】W WO2023287727
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】バーネット、デイビッド エル.
(72)【発明者】
【氏名】ウィリス、ショーン エル.
(72)【発明者】
【氏名】パリージ、クリスチャン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA12
4C076BB11
4C076DD21
4C076EE06
4C076EE30
4C076FF70
4C081AC10
4C081BB02
4C081CA05
4C081CD01
4C081CG08
4C081DA15
(57)【要約】
いくつかの実施形態では、本開示は、(a)ポリマー、モノマー、マクロモノマー、又はこれらの任意の2つ又は3つすべての組み合わせ、及び(b)球状金属粒子であって、例えば、タンタル、タングステン、レニウム、ニオブ、モリブデン、及びこれらの合金を含み得る球状金属粒子を含む、医療用の液体組成物に関する。いくつかの実施形態では、本開示は、そのような液体組成物を患者に投与することを含む医療方法に関する。いくつかの実施形態では、本開示は、液体塞栓物質、基準マーカー、組織を隔てる材料、又は治療薬デポとしてのそのような液体組成物の使用に関する。いくつかの実施形態では、本開示は、そのような液体組成物から形成されたコーティングを含む医療装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリマー、モノマー、マクロモノマー、又はこれらの任意の2つ又は3つすべての組み合わせ、及び(b)球状金属粒子を含む医療用の液体組成物。
【請求項2】
前記球状金属粒子は、タンタル、タングステン、レニウム、ニオブ、モリブデン、及びこれらの合金から選択される、請求項1に記載の液体組成物。
【請求項3】
前記球状金属粒子は、以下の1つ、2つ、又は3つすべての特徴:(a)1.0~1.25の範囲の平均アスペクト比、(b)中央値直径の50%以内のD10値及びD90値、(c)1~10μmの範囲の中央粒径、を有する請求項1又は2に記載の液体組成物。
【請求項4】
0.1~0.9g/mlの前記球状金属粒子を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項5】
前記液体組成物は、対象に注入されるとその場で固化する無菌の注入可能な液体組成物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項6】
前記液体組成物は注射筒に入った状態で提供される、請求項5に記載の液体組成物。
【請求項7】
前記液体組成物は、前記球状金属粒子、前記モノマー及び/又は前記マクロモノマー、及び任意選択で担体溶液を含む重合性液体組成物であり、前記モノマー及び/又は前記マクロモノマーは重合開始剤と接触すると重合するものである、請求項5又は6に記載の液体組成物。
【請求項8】
前記液体組成物は、前記球状金属粒子、前記ポリマー、及び前記ポリマーが溶解している水混和性有機溶媒を含む担体溶媒を含む沈殿性液体組成物である、請求項5又は6に記載の液体組成物。
【請求項9】
前記液体組成物は、前記球状金属粒子、前記ポリマー、及び前記ポリマーが溶解している水性又は水混和性有機溶媒を含む担体溶媒を含むゲル化液体組成物である、請求項5又は6に記載の液体組成物。
【請求項10】
前記ポリマーの少なくとも一部は、ビニルアルコールホモポリマー又はコポリマーを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項11】
前記ポリマーの少なくとも一部は、多糖を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項12】
前記ポリマーの少なくとも一部は、ペンダントヨウ素含有基を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項13】
前記マクロマーの少なくとも一部は、ビニルアルコールホモポリマー又はコポリマーを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項14】
前記マクロマーの少なくとも一部は、ペンダントヨウ素含有基を含む、請求項1~7及び13のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項15】
液体塞栓物質、基準マーカー、組織を隔てる材料、又は治療薬デポとしての請求項1~14のいずれか一項に記載の液体組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリマー及び球状金属粒子を含む放射線不透過性組成物、特に治療的塞栓術を含む医療方法及び医療装置の製造におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
球状タンタル粒子は、球状タンタル粉末又はタンタルミクロスフェアとも呼ばれ、粉砕(angular)タンタル粉末や凝集(nodular)タンタル粉末などの通常のタンタル粒子のプラズマ不活性ガス噴霧によって製造される。球状タンタルの既存の用途には、スパッタリングターゲット、高温又は耐食性のコーティング、合金添加剤などがある。インプラントなどの物品は3Dプリントされたタンタルから完全に作成することができ、これは優れた生体適合性を有し、骨の内部成長の促進を助ける。
【0003】
治療的塞栓術は、血流を遅らせたり止めたり、あるいは動脈瘤などの空間を埋めるために、血管に材料を導入することで閉塞を形成する低侵襲処置である。この手法は、胃腸出血、動静脈奇形、血管過多腫瘍、子宮筋腫などの良性腫瘍、及び前立腺肥大症(BPH)などの症状の治療に有用である。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの実施形態では、本開示は、(a)ポリマー、モノマー、マクロモノマー、又はこれらの任意の2つ又は3つすべての組み合わせ、及び(b)球状金属粒子を含む医療用の液体組成物に関する。(球状金属粒子は、本明細書では球状金属粉末又は金属ミクロスフェアと呼ばれることもある。)
これらの実施形態のいくつかでは、前記球状金属粒子は、タンタル、タングステン、レニウム、ニオブ、モリブデン、及びこれらの合金から選択される。
【0005】
上記の実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができるいくつかの実施形態では、前記球状金属粒子は、1~10μmの範囲の中央粒径を有する。
上記の実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができるいくつかの実施形態では、前記球状金属粒子は、1.0~1.25の範囲の平均アスペクト比を有する。
【0006】
上記の実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができるいくつかの実施形態では、前記球状金属粒子は、中央値直径の50%以内のD10値及びD90値を有する。
上記の実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができるいくつかの実施形態では、前記球状金属粒子は、1~10μmの範囲の中央粒径を有する。
【0007】
いくつかの実施形態では、前記液体組成物は、0.1g/ml以下~0.9g/ml以上、例えば、0.1g/ml~0.2g/ml~0.3g/ml~0.4g/ml~0.5g/ml~0.6g/ml~0.7g/ml~0.8g/ml~0.9g/mlの範囲の前記球状金属粒子を含有し得る(言い換えると、前述の値のいずれか2つの間の範囲)。
【0008】
上記の実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができるいくつかの実施形態では、前記液体組成物は、対象に注入されるとその場で固化する無菌の注入可能な液体組成物である。
【0009】
上記の実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができるいくつかの実施形態では、前記液体組成物は注射筒に入った状態で提供され得る。
上記の実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができるいくつかの実施形態では、前記液体組成物は、前記球状金属粒子、前記ポリマー、及び前記ポリマーが溶解した水混和性有機溶媒を含む担体溶媒を含む沈殿性液体組成物である。
【0010】
上記の実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができるいくつかの実施形態では、前記液体組成物は、前記球状金属粒子、前記ポリマー、及び前記ポリマーが溶解した担体溶媒を含むゲル化液体組成物である。前記担体溶媒は、水性溶媒又は水混和性有機溶媒であり得る。いくつかの実施形態では、前記ゲル化液体組成物中のポリマーは、ゲル化剤と接触してゲルを形成する。いくつかの実施形態では、前記ゲル化剤は架橋剤である。これらの実施形態のいくつかでは、前記ゲル化剤は体液中に自然に存在する。いくつかの実施形態では、重合性液体組成物は、前記ゲル化剤を含む追加の液体組成物を含む系の一部である。
【0011】
上記の実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができるいくつかの実施形態では、前記液体組成物は、前記球状金属粒子、前記モノマー及び/又は前記マクロモノマー、及び任意選択で担体溶液を含む重合性液体組成物である。これらの実施形態では、前記モノマー及び/又は前記マクロモノマーは、前記重合開始剤と接触すると重合する。これらの実施形態のいくつかでは、前記重合開始剤は体液中に自然に存在する。これらの実施形態のいくつかでは、前記重合性液体組成物は、前記重合開始剤を含む追加の液体組成物を含む系の一部である。
【0012】
上記の実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができるいくつかの実施形態では、前記液体組成物は、温度、イオン強度、及び/又はpHを含む生体内条件に応じてゾルゲル相転移が可能なポリマー組成物である。この組成物は、前記球状金属粒子、ゾルゲル相転移が可能な前記ポリマー、及び任意選択で担体溶液を含む。これらの実施形態において、前記ポリマーは、典型的には、少なくともAブロック及びBブロックを含むブロックコポリマーである。そのようなポリマーの例は、米国特許第6562362号、米国特許第6660247号、米国特許第6784266号、米国特許第7485317号及び米国特許第7025990号に記載されている。
【0013】
上記の実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができるいくつかの実施形態では、前記ポリマーは親水性ポリマー又は疎水性ポリマーである。いくつかの実施形態では、前記ポリマーの少なくとも一部は、ビニルアルコールホモポリマー又はコポリマーを含む。
【0014】
上記の実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができるいくつかの実施形態では、前記マクロマーは、親水性マクロマー又は疎水性マクロマーである。いくつかの実施形態では、前記マクロマーの少なくとも一部は、ビニルアルコールのホモポリマー又はコポリマーを含む。
【0015】
上記の実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができるいくつかの実施形態では、前記ポリマーの少なくとも一部はペンダントヨウ素含有基を含む。
上記の実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができるいくつかの実施形態では、前記マクロマーの少なくとも一部はペンダントヨウ素含有基を含む。
【0016】
上記の実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができるいくつかの実施形態では、前記液体組成物は治療薬をさらに含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、組織の栄養血管内に上記実施形態のいずれかの液体組成物を送達することを含む、組織塞栓形成の方法に関する。
【0017】
いくつかの実施形態では、本開示は、上記実施形態のいずれかの液体組成物を患者の腫瘍内に送達することを含む治療方法に関し、前記治療薬が前記腫瘍内に放出される。
いくつかの実施形態では、本開示は、上記実施形態のいずれかの液体組成物を、それを必要とする患者に送達することを含む、局所的又は全身的な治療薬放出方法に関する。
【0018】
いくつかの実施形態では、本開示は、第1の組織と第2の組織との間に上記実施形態のいずれかの液体組成物を送達することを含む、第1の組織を第2の組織から隔てる方法に関する。
【0019】
いくつかの実施形態では、本開示は、液体塞栓物質、基準マーカー、組織を隔てる材料、又は治療薬デポとしての上記実施形態のいずれかの液体組成物の使用に関する。
いくつかの実施形態では、本開示は、上記実施形態のいずれかの液体組成物から形成されたコーティングを含む医療装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1Aは、引張試験のセットアップにおけるストリングを示す画像である。
図1Bは、球状Ta粒子の均一な分布を顕微鏡レベルで示す画像である。
【
図2A】Ta粒子を含まないストリングの顕微鏡画像である(引張試験装置を挿入図に示す)。
【
図2B】球状Ta粒子を有するストリングの顕微鏡画像である。
【
図2C】凝集Ta粒子を有するストリングの顕微鏡画像である。
【
図3A】球状及び凝集Ta粒子を含むサンプルのマイクロコンピュータ断層撮影(μCT)画像を、グレースケール及びハウンズフィールド単位で報告された値とともに示す。
【
図3B】粉砕Ta粒子を含むサンプルのマイクロコンピュータ断層撮影(μCT)画像を、グレースケール及びハウンズフィールド単位で報告された値とともに示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
様々な態様において、本開示は、(a)ポリマー、モノマー、マクロモノマー、又はそれらの組み合わせ、及び(b)球状金属粒子を含む医療用途のための液体組成物に関する。いくつかの実施形態では、球状金属粒子は、1~10μmの範囲の中央粒径を有する。
【0022】
本開示で使用するための球状金属粒子には、タンタル、タングステン、レニウム、ニオブ、モリブデン、及びそれらの合金から形成される球状金属粒子が含まれる。特定の実施形態では、球状金属粒子はタンタル又はタンタル合金から形成される。
【0023】
本開示で使用するための球状金属粒子は、概して球状の形状を有し、球、扁円楕円体、及び長楕円体を含む。中央粒径及び粒度分布は、レーザー回折法によって測定でき、粒径(横軸)対体積百分率(縦軸)として表される。ここで、D10は、この値を下回る直径を有する粒子が全体の10体積%となるときの直径であり、D50は、この値よりも小さい直径を有する粒子及び大きい直径を有する粒子がそれぞれ全体の50体積%となるときの直径(本明細書では中央値直径とも呼ばれる)であり、D90は、この値よりも小さい直径を有する粒子が全体の90体積%となるときの直径である。より具体的には、レーザー回折は、レーザービームが分散した粒子サンプルを通過する際に散乱される光の強度の角度変化を測定することによって粒度分布を測定する。大きい粒子はレーザービームに対して小さい角度で光を散乱し、小さい粒子は大きい角度で光を散乱する。次に、角度散乱強度データが分析され、光散乱のミー理論を使用して、散乱パターンの作成に関与する粒子のサイズが計算される。粒径は体積等価球の直径として報告される。
【0024】
いくつかの実施形態では、球状金属粒子のD10及び/又はD90は、中央値直径(D50)の50%以内、40%以内、30%以内、25%以内、20%以内、15%以内、10%以内、又は5%以内であり得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、本開示の球状金属粒子は、平均アスペクト比によって定義することができる。球状金属粒子の平均アスペクト比は、本明細書では、50個又は100個の粒子をランダムに測定すること、又は球状金属粒子のバッチの約1重量%~約2重量%をランダムに測定することに基づいた、球状金属粒子の最小直線寸法に対する同じ球状金属粒子(すなわち、タンタル粉末)の最大直線寸法の比として定義される。球状金属粒子の測定は、走査型電子顕微鏡(SEM)画像を使用して行われる。真球粒子は1.0のアスペクト比を有する。様々な実施形態において、球状金属粒子は、1.0~1.25、1.0~1.15、又は1.0~1.1の範囲の平均アスペクト比を有する。
【0026】
本開示の液体組成物には、体内への注入に適した液体組成物が含まれる。様々な実施形態において、そのような液体組成物は、体内への注入後にその場で固体材料を形成する。例えば、これらの液体組成物の一部は重合又はゲル形成に依存してその場で固体材料を形成するが、他の液体組成物は有機溶媒などの担体中のポリマー材料の送達に依存し、担体が体内で放散したあとに固体材料が残る。
【0027】
本開示の組成物は金属粒子を含むため、それらは強化された放射線不透過性の特性を有し、X線下でそれらを可視化する(又はより視認性を高める)ことができる。
いくつかの実施形態では、液体組成物は、0.1~0.9g/mlの球状金属粒子を含有することができる。
【0028】
本開示の液体組成物は、液体塞栓組成物、基準マーカー、組織を隔てる材料、及び、治療薬を含むデポであって、そこから治療薬が周囲の組織に溶出するデポとしての使用を含む、多くの用途で使用することができる。本開示の液体組成物は、医療装置用のコーティングを形成するために使用することもできる。
【0029】
本開示の液体組成物が対象の体内に注入される実施形態では、液体組成物は、好ましくは手動圧力により、注入に使用される特定の送達デバイスを通過するように適合され得る。望ましい粘度レベルは通常、手順及び送達方法によって異なる。針と注射器による直接注射の場合、必要な圧力の量は、例えば針のゲージによって異なる。同様に、カテーテルを介した注入の場合、必要な圧力の量は、例えばカテーテルの内径によって異なる。様々な実施形態において、液体組成物の粘度は、25℃で100mPa・s以下~20,000mPa・s以上の範囲、例えば、25℃で100mPa・s~200mPa・s~500mPa・s~1000mPa・s~2000mPa・s~5000mPa・s~10000mPa・s~20000mPa・s、より典型的には25℃で100~5000mPa・sの範囲である。
【0030】
本開示の液体組成物は、滅菌形態で提供され得る。
既に示したように、本開示の組成物中の球状金属粒子の存在は、その粒子が介入処置中及び体内への埋め込み後にそのような組成物をより放射線不透過性にするという点で有利である。
【0031】
本開示の液体組成物中に球状金属粒子が存在することは、液体組成物の加工性が向上するという点でも有利である。例えば、粒子は超音波処理を必要とせずに容易に分散でき、安定した予測可能な沈降時間を有する。したがって、使用時の液体組成物の配合が改善される。
【0032】
粒子の球状の性質により、液体組成物及びそれから形成される固体組成物の両方において粒子の凝集を減少させることもできる。凝集が減少する結果、液体組成物は改善された流動特性を有するため、所与の送達デバイスの中をより容易に流れ、注入力を減少させ、送達デバイス内での詰まりの可能性を低下させる。改善された流れにより、液体組成物が注入される体腔内にさらに容易に流れ込み、その後体腔を満たして適合することも可能になる。さらに、均一な粒度分布を有する球状金属粒子を選択することにより、組成物がその場で固化した後、粒子はより緊密かつ均一に充填されるため、得られるインプラントに改善された機械的特性と強化された放射線不透過性を提供するだけでなく、得られるインプラントから生じるX線アーチファクトの潜在的な減少も提供する(凝集は、X線の集中やストリークアーチファクトを発生させ得る)。
【0033】
上述したように、本開示の液体組成物には、体内に注入されると、その場で沈殿、ゲル化及び/又は重合する液体組成物を含む、様々なプロセスによってその場で固化するものが含まれる。
【0034】
いくつかの実施形態では、本開示の液体組成物は、上述の球状金属粒子、少なくとも1つのポリマー、及び前記少なくとも1つのポリマーが溶解している1つ以上の有機溶媒を含む担体溶媒を含む沈殿性液体組成物である。いくつかの実施形態では、1つ以上の有機溶媒は水混和性有機溶媒である。水混和性とは、0.5mlの溶媒が20℃で1リットルのリン酸緩衝生理食塩水(137mM NaCl、2.7mM KCl、10mM Na2HPO4、及び1.8mM KH2PO4)に完全に溶解することを意味する。適切な有機溶媒の例としては、生体適合性極性非プロトン性溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N,N’-ジメチルプロピレン尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、グリセロール、乳酸エチル、N-メチル-2-ピロリドン、及び2-(オキソラン-2-イルメトキシ)エタノールが挙げられる。1つ以上の溶媒は、典型的には、ジメチルスルホキシド及びN-メチル-2-ピロリドンから選択され、より典型的には、ジメチルスルホキシドである。いくつかの実施形態では、担体溶媒は、1つ以上の有機溶媒に加えて、水(例えば、最大80%v/vの水)を含み得る。他の実施形態では、担体溶媒は水を含まない。典型的には、沈殿性液体組成物は、溶媒に溶解した少なくとも1つのポリマーを2%wt/wt以下~50%wt/wt以上含み、例えば、溶媒に溶解した少なくとも1つのポリマーを2%wt/wt~5%wt/wt~10%wt/wt~25%wt/wt~50%wt/wt、より典型的には、溶媒に溶解した少なくとも1つのポリマーを3~35%wt/wt含む。
【0035】
本開示の沈殿性液体組成物が、沈殿を刺激する環境、例えば生理学的流体と接触すると、以前に溶解したポリマーの沈殿が起こり、その場で固体が形成される。固化中に、沈殿性液体組成物から担体溶媒が拡散する。さらに、体からの沈殿種(例えば、非溶媒水又はイオン)の拡散が、沈殿性液体組成物中に拡散し得る。沈殿性液体組成物は、生理学的液体によってもたらされる沈殿性刺激と接触した場合にのみ固化するという利点を提供し、したがって、送達デバイスの詰まりの危険性をもたらす送達デバイス内での凝固の問題を回避する。塞栓形成の場合、この特性により、例えば非標的血管への物質の流入を防ぎ、より良い制御を可能にするために、処置中に送達を一時停止することができる。
【0036】
様々な実施形態において、上記の沈殿性液体組成物を含む本開示の液体組成物に使用されるポリマーは、様々な合成、天然、又は合成-天然ハイブリッドの親水性又は疎水性ポリマーから選択され得る。ポリマーの例としては、例えば、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)及びエチレン-ビニルアルコール(EVA)を含むビニルアルコールホモポリマー及びコポリマー、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)及びポリ(エチレンオキシド-co-プロピレンオキシド)を含むアルキレンオキシドホモポリマー及びコポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)を含むビニルピロリドンポリマー及びコポリマー、ポリ(アリルアルコール)を含むアリルアルコールホモポリマー及びコポリマー、ポリ(エチレンイミン)を含むエチレンイミンホモポリマー及びコポリマー、ポリ(アリルアミン)を含むアリルアミンホモポリマー及びコポリマー、ポリ(ビニルアミン)を含むビニルアミンホモポリマー及びコポリマー、ポリ(2-アルキル-2-オキサゾリン)、例えばポリ(2-メチル-2-オキサゾリン)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)及びポリ(2-プロピル-2-オキサゾリン)を含むオキサゾリンホモポリマー及びコポリマー、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)及びポリアクリルアミド(PAM)を含むアクリルアミドホモポリマー及びコポリマー、アクリレートホモポリマー及びコポリマー(アクリル酸ヒドロキシアルキル(例えば、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなど)ホモポリマー及びコポリマー及びアクリル酸のホモポリマー及びコポリマーを含む)、メタクリレートホモポリマー及びコポリマー(メタクリル酸ヒドロキシアルキル(例えば、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルなど)ホモポリマー及びコポリマーならびにメタクリル酸ホモポリマー及びコポリマーを含む)、アミノ酸ホモポリマー及びコポリマー、糖類ホモポリマー及びコポリマー、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。様々な実施形態において、本開示の液体組成物に使用されるポリマーは生体安定性である。
【0037】
ある特定の実施形態では、本開示の沈殿性液体組成物に使用されるポリマーは、メタクリル酸ヒドロキシエチルのホモポリマー及びコポリマーを含む。
ある特定の実施形態では、本開示の沈殿性液体組成物に使用されるポリマーは、ポリ(ビニルアルコール)及びポリ(エチレン-ビニルアルコール)を含む、ビニルアルコールホモポリマー及びコポリマーを含む。本明細書に記載の沈殿性液体組成物(特に、ポリ(ビニルアルコール)及びポリ(エチレン-ビニルアルコール)を含む組成物)に使用されるビニルアルコールポリマーは、典型的には架橋されていない。
【0038】
本開示での使用に適したポリ(ビニルアルコール)ホモポリマーは、任意の適切な分子量のものであり得る。いくつかの有益な実施形態では、ポリ(ビニルアルコール)ホモポリマーは、1kDa以下~250kDa以上の範囲、例えば、1kDa~2.5kDa~5kDa~10kDa~25kDa~50kDa~100kDa~250kDaの範囲の重量平均分子量を有し得る。いくつかの有益な実施形態では、それらは、(a)少なくとも3kDa、典型的には少なくとも5kDa、より典型的には少なくとも10kDa、及び(b)最大150kDa、より典型的には最大100kDa、さらに典型的には最大75kDaの重量平均分子量を有し得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、液体組成物は、上述の球状金属粒子、ポリマー、及びポリマーが溶解している担体溶媒を含むゲル化液体組成物である。担体溶媒は、水性溶媒であっても、本明細書の他の箇所に記載されているような水混和性有機溶媒であってもよい。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ゲル化剤と接触してゲルを形成する。いくつかの実施形態では、ゲル化剤は架橋剤である。これらの実施形態のいくつかでは、ゲル化剤は体液中に自然に存在する(例えば、体液中に見出される二価及び多価の陽イオン)。いくつかの実施形態では、ゲル化剤が送達される。
【0040】
ある特定の実施形態では、本開示のゲル化液体組成物に使用されるポリマーは、多糖を含むか、多糖である。いくつかの実施形態において、ポリマーは、例えば、アルギン酸塩、ジェランガム、グアーガム、キサンタンガム、ウェランガム、キトサン、ヒアルロン酸もしくはデンプン、又はそれらの混合物、特にアルギン酸塩もしくはジェランガムであり得る。
【0041】
ポリマーが多糖であるいくつかの実施形態では、溶媒は水などの水性溶媒である。水溶液は、リン酸緩衝液又は他の薬学的に許容される緩衝液などの緩衝剤を含み得る。
多糖は、ゲル化剤と接触するとゲルを形成し得る。このような作用剤には、アルギン酸塩やジェランガムなどの負に帯電した多糖をゲル化するのに有用な、カルシウム、バリウム、ストロンチウムイオンなどの二価及び多価陽イオンが含まれる。
【0042】
これらの実施形態のいくつかでは、ゲル化液体組成物は、ゲル化剤を含む追加の液体組成物を含む系の一部である。いくつかの実施形態では、ゲル化剤を含む追加の液体組成物は水性組成物である。
【0043】
いくつかの実施形態では、ゲル化液体組成物は、温度、イオン強度及び/又はpHを含む生体内条件に応じてゾルゲル相転移が可能なポリマー組成物である。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、pHと温度の両方に応じてゾルゲル相転移が可能である。そのような組成物は、体内に送達される前は20℃で液体であり、37℃及びpH7ではゲルになる。この組成物は、球状金属粒子、ゾルゲル相転移が可能なポリマー、及び典型的には担体溶液を含む。いくつかの実施形態では、担体溶液は水性担体溶液であり、いくつかの実施形態では、水性担体溶液は薬学的に許容される緩衝液を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ABAトリブロックコポリマーなどのブロックコポリマーである。いくつかの実施形態では、BブロックはpH応答性ブロックであり、Aブロックは温度感受性ブロックである。
【0044】
いくつかの実施形態では、本開示の液体組成物は、(a)上記の球状金属粒子と、(b)1つ以上のモノマー及び/又はマクロモノマーと、(c)任意選択で担体溶液とを含む重合性液体組成物である。モノマー及び/又はマクロモノマーは、適切な重合開始剤と接触すると重合する。
【0045】
特定の実施形態では、本開示の重合性液体組成物のモノマー及び/又はマクロモノマーは、体液中に存在する開始剤と接触すると重合する。これらの実施形態のいくつかでは、重合性液体組成物は液体塞栓組成物であってもよく、この組成物中のモノマーは、血管系へ導入されると、血液中に見られる条件下で重合することで血管系内に塞栓を形成する。そのような重合性液体組成物の一例は、1つ以上のシアノアクリレートモノマー、例えばN-ブチル-2-シアノアクリレートを含むものである。重合性液体組成物が液体塞栓組成物である実施形態では、血管系に注入されると、N-ブチル-2-シアノアクリレートモノマーは、血液中に見られる条件下(すなわち、水の存在下)で急速に重合してその血管系内に塞栓を形成する。重合速度が速いことは、外傷や胃腸出血など、迅速な塞栓形成が必要な場合に有益であり得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、本開示の重合性液体組成物のモノマー及び/又はマクロモノマーは、追加の液体組成物中に存在する重合開始剤と接触すると重合する。いくつかの実施形態では、本開示の重合性液体組成物は、重合開始剤を含む追加の液体組成物をさらに含む系の一部である。重合性液体組成物は、患者への送達前又は送達中に追加の液体組成物と組み合わせることができる。重合性液体組成物及び追加の液体組成物はまた、重合性液体組成物及び追加の液体組成物が患者の体内のその場で混合されるように、患者に順次送達されてもよい。
【0047】
そのような重合開始剤の例としては、フリーラジカル開始剤が挙げられる。このようなモノマーの例としては、とりわけ、アシレートモノマー、メタクリレートモノマー、及びビニルモノマーなどのフリーラジカル重合性モノマーが挙げられる。このようなマクロモノマーの例としては、フリーラジカル重合性基をさらに含むポリマーを含む、フリーラジカル重合性マクロマーが挙げられる。このようなマクロモノマーには、とりわけ、アシレート末端マクロモノマー、メタクリレート末端マクロモノマー、及びビニル末端マクロモノマーが含まれる。重合性基で官能化されてマクロモノマーを形成し得るポリマーは、上記のポリマーから選択され得る。とりわけ液体塞栓として使用されるフリーラジカル重合性ポリマーの例は、国際公開第01/68720号に見出すことができる。この文献はフリーラジカル重合性PVAマクロマーを開示しており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0048】
液体組成物が、患者への送達前に重合開始剤を含む追加の液体組成物と組み合わされる重合性液体組成物であるか、又は液体組成物が、患者への送達前にゲル化剤を含む追加の液体組成物と組み合わされるゲル化液体組成物である実施形態では、材料が予測可能な所定の時間にわたって固化するように構成要素が選択される。これらの実施形態では、混合された組成物がデバイス内で固化することで、液体組成物を送達するデバイスが詰まることを避けるために、送達は限られた時間枠内で実施されるべきである。
【0049】
いくつかの実施形態では、重合性液体組成物は患者への送達中に重合開始剤を含む追加の液体組成物と組み合わされるか、又はゲル化液体組成物は患者への送達中にゲル化剤を含む追加の液体組成物と組み合わされる。これらの液体組成物及び追加の液体組成物をデュアルルーメンデバイスを介して送達することで、デバイスの遠位端で混合するまで、送達中に反応成分同士を分離された状態に確実に保つことができる。
【0050】
本開示の液体組成物に使用される、とりわけ上述したものを含むポリマー及びマクロマーには、ポリマー及びマクロマーにペンダントヨウ素含有基を提供することによって、例えばポリマー又はマクロマー骨格に沿ってペンダントヨウ素含有基を結合させることによって、ある程度の放射線不透過性を与えることができる。いくつかの実施形態では、本開示の液体組成物中のポリマー及びマクロマーは、(a)とりわけ上記のもののうち、1つ以上のヨウ素原子で置換されたペンダントフェニル基を含むものなどのポリマー及びマクロマー、(b)とりわけ上記のもののうち、1つ以上のヨウ素原子で置換されたペンダントフェニル基と、1つ以上の親水性部分(例えば、-OH、-COOH、-SO3H及び/又は-OPO3H2基を含む部分)で置換されたペンダントフェニル基とを含むものなどのポリマー及びマクロマー、及び(c)とりわけ上記のもののうち、(i)1つ以上のヨウ素原子及び(ii)1つ以上の親水性部分の両方で置換されたペンダントフェニル基を含むものなどのポリマー及びマクロマーを含み得る。特定の実施形態には、沈殿性疎水性注射用液体PHIL(登録商標)(MicroVention、米国カリフォルニア州タスティン)に見られる2,4,6-トリヨードフェノール-ラクチド-ラクチド-co-グリコール酸アクリレート及びヒドロキシエチル-メタクリレートのコポリマーなどのヨウ素化ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマーが含まれる。特定の実施形態には、ヨウ素化ビニルアルコールポリマー及びコポリマーも含まれる。球状金属粒子を含まず、ペンダントヨウ素含有基を有するポリマーを含む液体塞栓製剤は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2011/110589号、国際公開第2020003147号、国際公開第2020/003153号及び米国特許出願公開第2021/0015963号に記載されている。
【0051】
特定の実施形態では、ポリマーは、特に環状アセタール基を介して結合したペンダントモノヨード、ジヨード、トリヨードもしくはテトラヨードフェニル基、又は1つ以上のそのような基の組み合わせを有するPVA主鎖を含むポリマーである。そのようなポリマーは、国際公開第2020/003153号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。そのようなポリマーの1つでは、PVAは、以下の式Iの基を含む。
【0052】
【0053】
さらに特定の実施形態では、ポリマーは、第1のペンダント基及び第2のペンダント基を有するPVA主鎖を含み、第1のペンダント基は、例えば上述のように、環状アセタールを介してPVA主鎖に結合したモノヨード、ジヨード、トリヨード又はテトラヨードフェニル基であり、第2のペンダント基は、環状アセタールを介してPVA主鎖に結合したスルホン化フェニル基である。そのような基の例を式IIに示す。スルホン酸基は、ナトリウム塩などの塩の形態であってもよい。
【0054】
【0055】
そのようなポリマーは、国際公開第2021/009734号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
ある特定の実施形態では、沈殿性液体組成物のポリマーは、PVA主鎖が式Iの基及び式IIの基を含むヨウ素化PVAポリマーである。いくつかの特定の実施形態では、溶媒はDMSOである。いくつかの特定の実施形態では、沈殿性液体組成物は、溶媒に溶解した2~50%wt/wt、より典型的には3~25%wt/wtのヨウ素化ポリマーを含む。
【0056】
ポリマー又はマクロマーの放射線不透過性は、ポリマー中のヨウ素の量を調整することによって変化させることができる。これは、ペンダント基上のヨウ素原子の数を変えることによって、あるいはポリマー又はマクロマー中のヨウ素含有ペンダント基の数を変えることによって達成され得る。ヨウ素含有量は、ポリマー又はマクロマーの乾燥重量に基づいて参照することができる。本明細書で使用するための放射線不透過性ポリマー又はマクロマーは、ポリマー又はマクロマーの乾燥重量で少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%wt/wtのヨウ素を有利に含み得る。ヨウ素含有量は、液体組成物の体積基準で参照することもできる。ヨウ素含有量は、いくつかの実施形態では、1cm3当たり少なくとも10mgのヨウ素、少なくとも25mg/cm3のヨウ素、少なくとも50mg/cm3のヨウ素、又は少なくとも100mg/cm3のヨウ素を含むことが有益であり得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の液体組成物及び固化した組成物は、1つ以上の治療薬を含み得る(例えば、液体組成物が薬物デポ又は薬物放出コーティングを形成するために使用される場合)。
【0058】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の液体組成物及び固化した組成物は、生理的pHで帯電した及び/又は非帯電の治療薬を含み得る。帯電した治療薬は、固化した組成物内に静電気的に保持され、その後、イオン交換機構によってそこから放出され得る(例えば、固化した液体組成物中のポリマー及び/又はマクロマーが、とりわけ-COO-、SO3
-、-OPO3
2-、又は-NH3
+基などの帯電した基を含む場合)。固化した組成物中に静電気的に保持された帯電治療薬は、生理食塩水(0.90%w/vNaCl)などの電解質媒体中、又は生体内、例えば血液又は組織中で固化した組成物から溶出して、数時間、数日、さらには数週間にわたる治療薬の持続放出をもたらし得る。固化した組成物中の非荷電治療薬も、生体内で固化した組成物から溶出し得る。これは、例えば、治療薬を組織に迅速に送達するために急速な溶出又は「バースト効果」が求められる場合、又は、生理学的条件下での治療薬の低い溶解度(イオン相互作用ではなく)が放出プロファイルを決定する場合に特に有利であり得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、前述の実施形態のいずれかの液体組成物及び固化した組成物は、0.01mg/ml以下~10mg/ml以上、例えば、0.01mg/ml~0.025mg/ml~0.05mg/ml~0.10mg/ml~0.25mg/ml~0.5mg/ml~1mg/ml~2.5mg/ml~5mg/ml~10mg/mlの範囲の1つ以上の治療薬を含有し得る。
【0060】
前述の実施形態のいずれかの液体組成物及び固化した組成物に組み込むことができる治療薬(本明細書では薬学的活性成分とも呼ばれる場合がある)の例には、小分子治療薬(本明細書では、2000g/mol以下、典型的には1500g/mol未満、より典型的には1000g/mol未満の分子量を有する治療薬として定義される)、及び生体分子(例えば、抗体及び抗体断片及びオリゴペプチドなどのタンパク質及びタンパク質断片を含むポリペプチド、ならびに、デオキシリボ核酸、リボ核酸、ペプチド核酸、及びそれらの断片などの核酸及び核酸アナログを含むポリヌクレオチド及びオリゴヌクレオチド)が含まれる。
【0061】
治療薬の例としては、とりわけ、抗血管形成薬、細胞毒性薬、化学療法薬、チェックポイント阻害剤、免疫調節サイトカイン、T細胞アゴニスト、及びSTING(インターフェロン遺伝子刺激薬)アゴニストが挙げられる。
【0062】
治療薬の例には、とりわけ、PD-L1へのPD-1の結合阻害剤、CD80及び/又はCD86へのCTLA-4の結合阻害剤、CD-112へのTIGITの結合阻害剤、及びMHCクラスII分子へのLAG-3の結合阻害剤を含むチェックポイント阻害剤;以下のものに結合する抗体又はその抗原結合フラグメント:PD-1(例えば、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、ドムバナリマブなど)、PD-L1(例えば、アテゾリズマブ、アベルマ、デュルバルマブなど)、LAG-3(例えば、レラトリマブなど)、TIM-3(例えば、LY3321367、MBG453、TSR-022など)、TIGIT(例えば、エチギリマブ、チラゴルマブ、ビボストリマブなど)、又はCTLA-4(例えば、イピリムマブ、トレメリムマブなど);CD3、CD19、CD20、CD22、CD52、CD79B、CD30、CD33、CD38、CD52、CD79B、HER2、EGFR、VEGF、VEGFR2、EPCAM/CD3、GD2、IL-6、RANKL、SLAMF7、CCR4、PDGFRα、ネクチン-4又はTROP2に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント;IL-2、IL-12、IL-15、IL-23、インターフェロンガンマ(IFN-γ)及びgm-CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)などの免疫調節サイトカイン;T細胞アゴニスト、例えば、TLR3アゴニスト(例えば、ポリイノシン酸:ポリシチジル酸、二本鎖RNAなど)、TLR7アゴニスト(例えば、TMX-202、ガルジキモド、イミキモドなど)、TLR8アゴニスト(例えば、VTX-2337など)、TLR7/8アゴニスト(例えば、MEDI9197、R848、レシキモドなど)、TLR9アゴニスト(例えば、レフィトリモド(MGN1703)、ティルソトリモド、CpGオリゴデオキシヌクレオチド(例えば、アガトリモド)など);及びSTINGアゴニスト、例えば、GSK532、環状ジヌクレオチド(例えば、環状グアノシン一リン酸-アデノシン一リン酸)、CRD5500(LB-061)、E7766、ADU-S100、SB11285 MSA2、MK1454、TTI-10001など)が挙げられる。
【0063】
治療薬の例にはさらに、カンプトテシン(イリノテカン及びトポテカンなど)及びアントラシジン(ドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン及びエピルビシンなど)、抗血管新生剤(アキシチニブ、ボルテゾミブ、ボスチニブ、カネルチニブ、ドビチニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レスタウルチニブ、マスチニブ、ムビチニブ、パゾパニブ、パゾパニブ、セマキサニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、タンドゥチニブ、バンデタニブ、バタラニブ及びビスモデギブなどの血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)阻害剤など)、微小管集合阻害剤(ビンブラスチン、ビノレルビン及びビンクリスチンなど)、アロマターゼ阻害剤(アナストラゾールなど)、白金製剤(シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン及びミリプラチンなど)、ヌクレオシドアナログ(5-FU、シタラビン、フルダラビン及びゲムシタビンなど)、パクリタキセル、ドセタキセル、マイトマイシン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、ピンヤンマイシン、アビラテロン、アミホスチン、ブセレリン、デガレリックス、フォリン酸、ゴセレリン、ランレオチド、レナリドミド、レトロゾール、リュープロレリン、オクトレオチド、タモキシフェン、トリプトレリン、ベンダムスチン、クロラムブシル、ダカルバジン、メルファラン、プロカルバジン、テモゾロミド、ラパマイシン(及びゾタロリムス、エベロリムス、ウミロリムス及びシロリムスなどのアナログ)、メトトレキサート、ペメトレキセド、又はラルチトレキセドが挙げられる。
【0064】
いくつかの実施形態では、前述の実施形態のいずれかの液体組成物及び固化した組成物は、治療用及び/又は画像化可能な放射性同位体をさらに含み得る。治療用放射性同位体を含む液体組成物及び固化した組成物は、例えば選択的内部放射線療法(SIRT)又はがん治療などの小線源療法に使用することができ、他の実施形態に関連して本明細書の他の箇所に記載される方法のいずれかで送達することができる。1つのアプローチでは、放射性同位体はイオン相互作用によって結合されてもよいし、例えばキレート剤といった担体などを介して共有結合されてもよい。いくつかの実施形態では、放射性同位体は、液体組成物及び固化した組成物に組み込まれる粒子の形態であってもよく、粒子は放射性同位体を含む。そのような粒子は、典型的には5μmから500μmの範囲、特に100μm未満の最大直径を有するミクロスフェアの形態であってもよい。粒子は、例えばポリマーであってもよいし、セラミックであってもよい。そのようなセラミックの1つは、イットリウムアルミノケイ酸塩セラミックである(例えば、米国特許第4789501号を参照)。セラミックミクロスフェアのさらなる例は、国際公開第16082045号及び国際公開第05087274号に記載されている。治療用放射性同位体には、限定するものではないが、177Lu、90Y、131I、89Sr、153Sm、223Ra、224Ra、211At、225Ac、227Th、212Bi、213Bi、及び/又は212Pbが含まれる。いくつかの実施形態では、治療用放射性同位体は、177Lu、90Y、131I、89Sr、153Sm、及び/又は223Raのうちの1つ以上である。いくつかの実施形態では、治療用放射性同位体は90Yである。画像化可能な放射性同位体には、限定するものではないが、99mTc、201Th、51Cr、67Ga、68Ga、111In、64Cu、89Zr、59Fe、42K、82Rb、24Na、45Ti、44Sc、51Cr及び177Luが含まれる。いくつかの実施形態では、画像化可能な同位体は、99mTc、67Ga、68Ga、64Cu又は89Zrである。いくつかの実施形態では、画像化可能な同位体は99mTcである。いくつかの実施形態では、画像化可能な同位体は89Zrである。
【0065】
本開示の他の実施形態は、前述の実施形態のいずれかの液体組成物に対応する、又はそれから形成される医療組成物に関する。例えば、前述したように、そのような液体組成物は、塞栓、基準マーカー、組織を隔てる材料、治療薬デポ、及び医療装置のコーティングを形成するために使用することができる。
【0066】
本開示のさらに他の実施形態は、本明細書に記載の液体組成物を使用する医療処置に関する。例えば、いくつかの実施形態では、医療処置は、組織に栄養を与える1つ以上の血管内に液体組成物を送達することを含む組織塞栓形成の方法である。そのような処置は、動静脈奇形、胃腸出血の治療、動脈瘤の充填、固形腫瘍、特に肝臓、前立腺、腎臓、脳、結腸、骨、肺などの過血管腫瘍の治療を含む様々な症状ならびに前立腺肥大症や子宮筋腫などの良性過形成状態の治療に使用できる。
【0067】
いくつかの実施形態では、医療処置は、患者に(例えば、患者の組織上、患者の組織内に、患者の組織間などに)本明細書に記載の液体組成物を(例えば、注入、噴霧などによって)送達することを含む、局所的又は全身的な治療薬放出方法である。
【0068】
いくつかの実施形態では、医療処置は、本明細書に記載の液体組成物を患者の腫瘍内又は腫瘍上に(例えば、注入、噴霧などによって)送達することを含む治療方法であり、治療薬が腫瘍内に放出される。
【0069】
いくつかの実施形態では、医療処置は、第1の組織と第2の組織との間(例えば、前立腺組織と直腸組織との間)に本明細書に記載の液体組成物を送達(例えば、注入など)することを含む、第1の組織を第2の組織から隔てる方法である。
【0070】
なおさらなる実施形態では、本開示は、動静脈奇形の治療、胃腸出血の治療、動脈瘤の充填、固形腫瘍、特に、肝臓、前立腺、腎臓、脳、結腸、骨、肺などの過血管腫瘍の治療、及び前立腺過形成や子宮筋腫などの良性過形成状態の治療を含む、様々な疾患及び状態の治療のための医薬の製造における本明細書に記載の液体組成物の使用に関する。
【0071】
本開示はまた、治療薬が本明細書に記載の液体組成物又は固化した組成物に組み込まれる、そのような疾患及び状態の治療のための医薬の製造における本明細書に記載の任意の治療薬の使用にも関する。本開示はまた、治療薬が本明細書に記載の液組成物又は固化した組成物に組み込まれる、そのような疾患及び状態の治療における本明細書の任意の治療薬の使用にも関する。液体組成物は、液体組成物が、例えば経カテーテル経路により、注入により、埋め込みにより、又はスプレーにより送達される場合に特に使用され得る。
【0072】
実施例1:ヨウ素化PVAポリマーの合成
国際公開第2021/009734号の実施例13に従って、ヨウ素化PVAポリマーを調製した。簡単に説明すると、乾燥した600ml HEL Ltd PolyBLOCK(商標)容器に窒素ブランケットを取り付けた。乾燥DMSO(120ml、40.2体積)を500rpmで撹拌しながら添加し、続いてPVA(146~189kDa、99%加水分解、5.0g)を添加した。すべての固体が完全に溶解するまで、懸濁液を50℃に加熱した。次いで、1,3,5-トリヨードベンズアルデヒド(TIBA)を添加し(10.4g、PVA-1,3-ジオール単位に対して0.4当量)、続いて0.05当量の2-スルホベンズアルデヒドナトリウム塩(Sigma Aldrich UK)(F-SAS)を添加した。完全に溶解させた後、約20mLの冷DMSO中のメタンスルホン酸(11ml、3.37体積)を加え、撹拌を50℃で一晩続けた。淡黄色溶液を室温まで冷却し、アセトニトリル(250mL)を徐々に加えることにより沈殿させた。
【0073】
黄色の上清を真空で除去し、得られた白色ポリマーを50℃でDMSO(約100ml)に再溶解し、アセトニトリルで再沈殿させた。過剰な溶媒を真空により除去した。白色ポリマーをNaOH0.1N(100mL)中に20分間懸濁させ、次いで混合して均一な懸濁液を達成した。過剰な溶媒を除去した後、これを脱イオン水(100×3)でpH=7まで中和した。真空により過剰な水を除去した後、得られた白色ポリマーをアセトン(100mL×3)に懸濁させ、ブフナー漏斗を使用して固体を濾過により単離した。次いで固体を真空オーブン中28~32℃で一晩乾燥させて、所望の生成物を得た(白色固体、11~13.0g、収率約75~80%w/w)。
【0074】
実施例2:液体塞栓プロトタイプの全般的な調製
サンプルプロトタイプは、上記の全般的な合成プロトコルに従って調製されたヨウ素化PVAをDMSOに溶解することによって調製される。次に、濃い懸濁液を含むバイアルを密閉し、完全に溶解するまで(通常約4時間)超音波処理した。
【0075】
実施例3:タンタル懸濁液の全般的な調製
2800rpmで20分間ボルテックスすることにより、タンタル粉末をヨウ素化PVA調製物中に懸濁させた。球状Ta粉末を使用して調製した懸濁液は、非球状Taを使用して調製した懸濁液と比較して、視覚的により安定した粒子の分布を示した。以下のタンタル調製物が得られた。
【0076】
【0077】
実施例4:球状タンタル、凝集タンタル、及び粉砕タンタル調製物のレオロジー特性の比較。
液体塞栓製剤を、実施例1~3に従って調製した。製剤は球状又は凝集Ta粉末を含んでいた。Anton Paar MCR 302レオメーター(Anton Paar、英国セント・オールバンズ)を用い、以下の設定のコーンプレートセットアップを使用してそれらのレオロジー特性を比較した。
【0078】
セットアップ:コーンプレート
コーン形状:60mm(直径)、角度1°
測定位置におけるコーンプレートギャップ:0.122mm
温度範囲:19℃~40℃
加熱速度:2℃/分
せん断速度:50s-1
球状粉末の製剤は、所与のタンタル粉末濃度において、凝集粉末の製剤よりも一貫して粘度が低くなる(表2)。
【0079】
【0080】
液体塞栓ポリマーを、0.4当量のTIBA及び0.075当量のFSASを含む、146~189kDの分子量を有するPVAを使用して調製した。ポリマーをDMSOに溶解して、最終濃度7%w/w(最終的な3成分混合物中)を得た。
【0081】
実施例5:機械的試験
実施例4のポリマーを再度DMSOに溶解して、最終濃度7%w/wを得た。タンタルサンプル(球状、凝集A又は粉砕)を取り込ませて、最終濃度20%w/w又は35%w/wを達成した。20μlの円筒形ガラス製マイクロピペット(Drummond、米国ペンシルベニア州ブルームオール)を通して液体塞栓製剤をリン酸緩衝生理食塩水(pH7.0;37℃;PBS)中に約0.4ml/分(25mm/分)の一定の注入速度で押出しすることにより、機械的試験用の標本を得た。これは、Metcalディスペンサーチップ(OK International;米国90630カリフォルニア州サイプレス)の先端にピペットを接着し、適切なシリンジ駆動装置を使用して溶液を送達することによって行うことができる。ガラスピペットチップをPBSと接触した状態に維持した。形成されたままの状態のポリマーストリングは、直径約600μmの規則的な断面を有する円筒形をしている。長さは注入される総量によって異なる。サンプルを脱イオン水の中で一晩保存し、保存溶液から取り出した後は、乾燥を防ぐため、できるだけ早く試験及び使用した。
【0082】
各サンプルについて、形成されたストリングを光学顕微鏡で特性評価することで、それが規則的な円筒形であることを確認した。直径と長さを記録した。次に、ストリング(湿潤状態)の端を万能試験機(Lloyd(AMETEK)万能試験機(LF Plus LF1243、PN01471))の引張試験グリップに固定し、ストリングを引っ張って引張荷重下での機械的特性を測定した。次の試験条件を使用した:300Nで停止するように設定した500Nロードセル;初期試験片の長さ:約35mm;クロスヘッド速度:60mm/分(一定);試験片の断面:約600μm。
【0083】
ストリングの引張試験の結果、球状Taは形成された固体塞栓の機械的性能を大幅に向上させ、破断伸びは100%(凝集A)から300%(球状)に増加し、極限引張強さは0.28MPa(凝集A)から0.43MPa(球状)に増加したことが示された。
【0084】
図1Aは、引張試験のセットアップにおけるストリングを示す画像である。
図1Bは、球状Ta粒子の均一な分布を顕微鏡レベルで示す画像である。
図2Aは、Ta粒子を含まないストリングの顕微鏡画像である(引張試験のセットアップを挿入図に示す)。
図2Bは、球状のTa粒子を有するストリングの別の顕微鏡画像である。
図2Cは、凝集Ta粒子を有するストリングの顕微鏡画像である。球状Ta調製物は、調製物全体、つまりは形成された固体ストリング内でのTa粒子の均一な分布に非常に有利な唯一のものであった。凝集A Taを含む調製物から得られたストリングは、Ta粒子の凝集体が頻繁に形成された、粒子の非常に不均一な分布を示した。
【0085】
実施例6:イメージング
実施例5で調製したポリマー糸のサンプルを、Nuncクライオチューブバイアル(Sigma-Aldrich V7634、48mm×12.5mm)中の1%アガロースゲル(Sigma-Aldrich 英国)に懸濁させた。これらの「ビーズファントム」を、英国バークシャー州レディングのRSSL Laboratoriesでマイクロコンピューター断層撮影(μCT)システム(Bruker Skyscan 1172)を使用して画像化した。サンプルをNReconソフトウェアを使用して再構成し、精製水基準の関心領域(VOI)に対して校正した。値はハウンズフィールド単位及びグレースケールで報告された。典型的な再構成断面図を、同じサンプルのグレースケール値とハウンズフィールド値に対比させて
図3A~3Bに示す。同じ調製物のX線シャドウグラフを
図4A~4Bに示す。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリマー、モノマー、マクロモノマー、又はこれらの任意の2つ又は3つすべての組み合わせ、及び(b)球状金属粒子を含む医療用の液体組成物。
【請求項2】
前記球状金属粒子は、タンタル、タングステン、レニウム、ニオブ、モリブデン、及びこれらの合金から選択される、請求項1に記載の液体組成物。
【請求項3】
前記球状金属粒子は、以下の1つ、2つ、又は3つすべての特徴:(a)1.0~1.25の範囲の平均アスペクト比、(b)中央値直径の50%以内のD10値及びD90値、(c)1~10μmの範囲の中央粒径、を有する請求項
1に記載の液体組成物。
【請求項4】
0.1~0.9g/mlの前記球状金属粒子を含有する、請求項
1に記載の液体組成物。
【請求項5】
前記液体組成物は、対象に注入されるとその場で固化する無菌の注入可能な液体組成物である、請求項
1に記載の液体組成物。
【請求項6】
前記液体組成物は注射筒に入った状態で提供される、請求項5に記載の液体組成物。
【請求項7】
前記液体組成物は、前記球状金属粒子、前記モノマー及び/又は前記マクロモノマー、及び任意選択で担体溶液を含む重合性液体組成物であり、前記モノマー及び/又は前記マクロモノマーは重合開始剤と接触すると重合するものである、請求項
5に記載の液体組成物。
【請求項8】
前記液体組成物は、前記球状金属粒子、前記ポリマー、及び前記ポリマーが溶解している水混和性有機溶媒を含む担体溶媒を含む沈殿性液体組成物である、請求項
5に記載の液体組成物。
【請求項9】
前記液体組成物は、前記球状金属粒子、前記ポリマー、及び前記ポリマーが溶解している水性又は水混和性有機溶媒を含む担体溶媒を含むゲル化液体組成物である、請求項
5に記載の液体組成物。
【請求項10】
前記ポリマーの少なくとも一部は、ビニルアルコールホモポリマー又はコポリマーを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項11】
前記ポリマーの少なくとも一部は、多糖を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項12】
前記ポリマーの少なくとも一部は、ペンダントヨウ素含有基を含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項13】
前記マクロマーの少なくとも一部は、ビニルアルコールホモポリマー又はコポリマーを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項14】
前記マクロマーの少なくとも一部は、ペンダントヨウ素含有基を含む、請求項1~
7のいずれか一項に記載の液体組成物。
【国際調査報告】