(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】NE金属からなる連続的な帯材材料の少なくとも1つの表面を加工する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B24B 7/12 20060101AFI20240711BHJP
B24B 49/12 20060101ALI20240711BHJP
B24D 13/10 20060101ALI20240711BHJP
B21B 45/02 20060101ALI20240711BHJP
B21B 45/06 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
B24B7/12
B24B49/12
B24D13/10
B21B45/02 330
B21B45/06 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501673
(86)(22)【出願日】2022-06-14
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 EP2022066144
(87)【国際公開番号】W WO2023285056
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】102021207450.2
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】アルテル・イェンス
(72)【発明者】
【氏名】フィック・グイード
(72)【発明者】
【氏名】イェプゼン・オーラフ・ノルマン
(72)【発明者】
【氏名】フォクト・マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ベッキング・ゼバスティアン
【テーマコード(参考)】
3C034
3C043
3C063
【Fターム(参考)】
3C034AA13
3C034AA19
3C034BB93
3C034CA05
3C034CB14
3C034DD18
3C043BB11
3C043CC06
3C043CC13
3C043DD02
3C043DD06
3C043DD15
3C063AA07
3C063AB09
3C063BA16
3C063BG10
(57)【要約】
本発明は、NE金属、特にアルミニウム若しくはアルミニウム合金を含む又はこれらの材料からなる、連続的な帯材材料(B)の少なくとも1つの表面を加工する装置(10)及び方法に関する。本発明により、回転するローラブラシ(12)であって、ローラブラシ(12)の胴中長さでもって帯材材料(B)の表面と接触させることが可能なローラブラシ(12)が使用される。このローラブラシ(12)は、200mm~1000mmの直径を有し、かつ割り当てられたモータ式の駆動部(14)により100~3600 1/minの回転数で回転し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NE金属からなる、特にアルミニウム若しくはアルミニウム合金を含む又はアルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる、連続的な帯材材料(B)の少なくとも1つの表面を加工する装置(10)であって、
回転する少なくとも1つのローラブラシ(12)であって、前記ローラブラシ(12)の胴中長さでもって前記帯材材料(B)の少なくとも1つの表面と接触させることが可能なローラブラシ(12)、
を備える、
装置(10)において、
前記ローラブラシ(12)は、200mm~1000mmの直径を有する、
ことを特徴とする、
NE金属からなる連続的な帯材材料(B)の少なくとも1つの表面を加工する装置(10)。
【請求項2】
前記ローラブラシ(12)は、200mm~500mmの直径を有し、好ましくは、前記ローラブラシ(12)の前記直径は、250mm~400mmであることを特徴とする、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
モータ式の駆動部(14)を備え、
前記モータ式の駆動部(14)は、回転する前記ローラブラシ(12)と相互作用関係にあり、前記ローラブラシ(12)を対応する回転軸線(D)回りに駆動し、
前記モータ式の駆動部(14)は、制御装置(S)に信号技術的に接続されており、かつ
前記制御装置(S)は、プログラム技術的に、これにより回転する前記ローラブラシ(12)が100~3600 1/minの回転数で回転するように、好ましくは、前記モータ式の駆動部(14)と、回転する前記ローラブラシ(12)との間に伝動機構が配置されているように、構成されている、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置(10)。
【請求項4】
回転する前記ローラブラシ(12)は、前記モータ式の駆動部(14)により1200~1800 1/minの回転数で回転することを特徴とする、請求項3に記載の装置(10)。
【請求項5】
回転する前記ローラブラシ(12)は、前記帯材材料(B)の帯材進行方向(T)に対して横方向で往復可動に配置されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項6】
回転する前記ローラブラシ(12)は、前記帯材材料(B)の帯材進行方向(T)に対して平行に往復可動に配置されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項7】
回転する前記ローラブラシ(12)は、前記帯材材料(B)の一方の側に配置されており、前記帯材材料(B)の、反対側に位置する側に、かつ前記ローラブラシ(12)に対して一直線に並んで、前記帯材材料(B)と接触して存在する支持ロールが配置されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項8】
回転する各ローラブラシ(12)に隣接して、かつ前記帯材材料(B)の同じ側に、少なくとも1つのクリーニング装置(16)が設けられており、前記クリーニング装置(16)により、前記帯材材料(B)の、回転する前記ローラブラシ(12)が接触して存在する表面が、クリーニング可能であり、前記クリーニング装置(16)により、圧縮空気が、前記帯材材料(B)の隣接する前記表面に対して、かつ/又は負圧が、前記帯材材料(B)の前記表面に隣接して、発生可能であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項9】
前記クリーニング装置(16)は、進入領域と退出領域とを有するハウジング(15)を有し、前記帯材材料(B)は、前記ハウジング(15)を通して前記進入領域から前記退出領域に向かって帯材進行方向(T)に沿って可動であり、前記ハウジング(15)は、周囲に対して遮蔽されていることを特徴とする、請求項8に記載の装置(10)。
【請求項10】
前記クリーニング装置(16)と、回転する前記ローラブラシ(12)とは、1つの構成ユニットにまとめられており、回転する前記ローラブラシ(12)は、前記ハウジング(15)内にカプセル化されて収容されていることを特徴とする、請求項8又は9に記載の装置(10)。
【請求項11】
前記帯材材料(B)の帯材進行方向(T)に沿って、かつ前記帯材材料(B)の同じ側に、回転する複数のローラブラシ(12)が配置されており、好ましくは、複数の前記ローラブラシ(12)は、それぞれ、固有のモータ式の駆動部(14)と、固有の高さ調節装置(11)とを装備していることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項12】
前記帯材材料(B)の帯材進行方向(T)で見て相前後して配置されている回転する2つ以上のローラブラシ(12)が、前記ローラブラシ(12)の長手方向延在に沿ってセグメントに区分されており、それにより、毛を含む領域(12m)と毛のない領域(12f)とが交番することを特徴とする、請求項11に記載の装置(10)。
【請求項13】
前記帯材材料(B)の帯材幅にわたって複数の個別ブラッシングロール(12E)が配置されており、好ましくは、前記個別ブラッシングロール(12E)は、それぞれ、固有のモータ式の駆動部(14)を有し、前記帯材材料(B)の方向で、すなわち前記帯材材料(B)に対して間隔を置いて互いに独立的に調整可能であることを特徴とする、請求項11又は12に記載の装置(10)。
【請求項14】
表面検査装置(18)を備え、
前記表面検査装置(18)は、エラー検出装置と制御装置(S)とを有する帯材トラッキングシステムを有し、前記エラー検出装置により、前記帯材材料(B)の、回転する前記ローラブラシ(12)を接触させることが可能な前記表面上の表面エラーの種類及び位置あるいはポジションが検知可能であり、この又はこれらの情報に基づき、回転する前記ローラブラシ(12)は、前記制御装置(S)により動作制御可能であることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項15】
回転する前記ローラブラシ(12)用のブラシ毛部(13)は、硬化された特殊鋼から製造されており、好ましくは、前記ブラシ毛部の個々の毛あるいはフィラメント(13)の引っ張り強さは、少なくとも200MPa/mm
2であり、好ましくは、800MPa/mm
2より大きいことを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項16】
NE金属からなる連続的な帯材材料(B)の少なくとも1つの表面を加工する方法であって、
前記帯材材料(B)を帯材進行方向(T)で動かし、回転する少なくとも1つのローラブラシ(12)を前記ローラブラシ(12)の胴中長さでもって前記帯材材料(B)の少なくとも1つの表面と接触させ、モータ式の駆動部(14)により駆動する、
方法において、
回転する前記ローラブラシ(12)を前記モータ式の駆動部(14)により駆動させ、100~3600 1/minの回転数で回転させる、
ことを特徴とする、
NE金属からなる連続的な帯材材料(B)の少なくとも1つの表面を加工する方法。
【請求項17】
回転する前記ローラブラシ(12)を前記モータ式の駆動部(14)により、1200~1800 1/minの回転数で回転させることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
回転する前記ローラブラシ(12)を、ブラッシング中、前記帯材材料(B)の前記帯材進行方向(T)に対して横方向で並進的に往復動させることを特徴とする、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
回転する前記ローラブラシ(12)を前記帯材材料(B)の前記帯材進行方向(T)に対して横方向で、5mm~200mm、好ましくは、5mm~100mmの振幅で、かつ0.005Hz~5Hz、好ましくは、0.01Hz~5Hzの振動数で動かすことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
回転する前記ローラブラシ(12)を、ブラッシング中、前記帯材材料(B)の前記帯材進行方向(T)に対して平行に並進的に往復動させることを特徴とする、請求項16から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
回転する前記ブラシを前記帯材材料(B)の帯材進行方向(T)で、10mm~200mmの振幅で、かつ0.2Hz~5Hzの振動数で動かすことを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記帯材材料(B)の前記帯材進行方向(T)で見て、回転する前記ローラブラシ(12)の上流に配置されていて、エラー検出装置と制御装置(S)とを有する帯材トラッキングシステムを有する表面検査装置(18)を設け、前記エラー検出装置により、前記帯材材料(B)の、回転する前記ローラブラシ(12)が接触する前記表面上の表面エラーの種類及び位置あるいはポジションを検知し、この又はこれらの情報に応じて、回転する前記ローラブラシ(12)を前記制御装置(S)により動作制御することを特徴とする、請求項18から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
回転する1つ又は複数の前記ローラブラシ(12)を動作制御する流れの中で、前記ローラブラシ(12)の回転数、前記帯材材料(B)に対する圧接力、前記帯材材料(B)の前記帯材進行方向(T)に対して横方向での運動及び/又は前記帯材材料(B)の前記帯材進行方向(T)での運動を調整あるいは変更し、ひいては、回転する前記ローラブラシ(12)と前記帯材材料(B)との間の、前記帯材進行方向(T)に対して横方向での相対速度及び/又は前記帯材進行方向(T)に対して平行な相対速度も調整あるいは変更することを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
回転する1つ又は複数の前記ローラブラシ(12)の前記動作制御を前記制御装置(S)により、前記エラー検出装置により検知した前記表面エラーに応じて、閉ループ制御回路の形態で、ひいては閉ループ制御して実施することを特徴とする、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
請求項1から15のいずれか一項に記載の装置(10)により実施することを特徴とする、請求項16から24のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の、NE金属からなる連続的な帯材材料の少なくとも1つの表面を加工する装置と、請求項16の前提部に記載の相応の方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
帯材鋳造設備(例えばロール・ブロック・鋳造機械又は帯材鋳造機械を有する熱間圧延設備)の運転中、非鉄(Nichteisen:以下では、NEという)金属、特にアルミニウム又はアルミニウム合金からなる鋳造された帯材は、一般に直接的に鋳造熱から熱間圧延される。帯材材料の表面が、さらに処理あるいはクリーニングされない場合、50μmまでの層厚さで、不純物が表面に生じることがあり、不純物は、鋳造プロセスによりもたらされる。これらの不純物は、別途のクリーニング措置が講じられなければ、続く圧延パスにおいて材料中に圧延により取り込まれてしまい、後のプロセス段においては、もはや効率的には除去されない。表面近傍の不純物は、後続のプロセス段及び表面品質特徴に対して不都合に作用してしまう。
【0003】
従来技術によれば、NE金属、特にアルミニウム又はアルミニウム合金からなる連続的に鋳造された帯材の表面を、例えばアブレシブ加工すること、例えば循環する研削ベルトを使用することで加工することが知られている。このことは、特許文献1において公知である。さらに、特許文献2において、アルミニウム鋳造帯材に絶え間ない交番曲げ負荷をかけ、これにより、鋳造帯材の脆性の表面層を破壊し得ることが公知である。前述の両特許文献は、鋳造帯材の上記表面加工に続けて、帯材表面と接触する回転するブラシを使用し、これにより、表面の取り去られた粒子を除去することができるという点で共通している。この場合、帯材表面の切りくず又はこれに類するものをクリーニングする回転するブラシに関して、このような切りくずが、ブラシあるいは対応するブラシ毛部内に固着してしまうことがあるという欠点がある。その結果、NE帯材の表面の所望のクリーニングのための効率は、低下してしまう。
【0004】
特許文献3において、帯材鋳造設備内で製造される金属帯材の表面を、進行する金属帯材上を転動するブラッシングロールによりクリーニングすることが公知である。この場合、ブラッシングロールを金属帯材の表面に押し付ける圧接力を測定し、必要な場合、好適に変更する。これに関して、ブラッシングロールの使用には、既に上で特許文献1あるいは特許文献2について説明したのと同じ欠点がある。それというのも、金属帯材の表面におけるクリーニング効率は、ブラッシングロールのブラシ毛部あるいはフィラメント内に汚れが固着することで、通例、悪化してしまうからである。
【0005】
化学的なクリーニング工程、例えば酸洗は、鋳造熱をもった圧延物には不適である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】西独国実用新案公開第7111221号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第19536820号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102009014006号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
相応に本発明の根底にある課題は、クリーニング目的で、非鉄金属、特にアルミニウム帯材の形態の非鉄金属のアブレシブ表面処理を、技術的に簡単な手段により最適化することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、請求項1に記載の特徴を備える装置と、同様に請求項16の特徴を備える方法とにより解決される。本発明の有利な発展形は、従属請求項に規定されている。
【0009】
本発明は、NE金属からなる、特にアルミニウム若しくはアルミニウム合金を含む又はこれらの材料からなる、連続的な帯材材料の少なくとも1つの表面を加工する装置に係る。本発明に係る装置は、回転する少なくとも1つのローラブラシであって、ローラブラシの胴中長さでもって帯材材料の少なくとも1つの表面と接触させることが可能なローラブラシを備えている。このローラブラシは、200mm~1000mmの直径を有している。好ましくは、このローラブラシの直径は、200~500mm、さらに好ましくは、250~400mmであり得る。
【0010】
同様に、本発明は、NE金属からなる連続的な帯材材料の少なくとも1つの表面を加工する方法であって、帯材材料を帯材進行方向で動かし、回転する少なくとも1つのローラブラシをローラブラシの胴中長さでもって帯材材料の少なくとも1つの表面と接触させ、モータ式の駆動部により駆動する方法にも係る。回転するローラブラシをモータ式の駆動部により、100~3600 1/minの回転数で回転させる。好ましくは、回転するローラブラシをモータ式の駆動部により、1200~1800 1/minの回転数で回転させる。
【0011】
本発明に係る装置の有利な発展形において、このために、モータ式の駆動部が設けられており、モータ式の駆動部は、回転するローラブラシと相互作用関係にあり、ローラブラシを対応する回転軸線回りに駆動する。このモータ式の駆動部は、制御装置に信号技術的に接続されている。制御装置は、プログラム技術的に、これにより回転するローラブラシが100~3600 1/minの回転数で回転し得るように構成されている。好ましくは、回転するローラブラシは、モータ式の駆動部と、モータ式の駆動部に信号技術的に接続される制御装置とにより、1200~1800 1/minの回転数で回転し得る、あるいは回転させられ得る。
【0012】
本発明の有利な一発展形によれば、モータ式の駆動部と、回転するローラブラシとの間に伝動機構が配置あるいは介挿されていることが可能である。このような伝動機構の使用により、モータ式の駆動部の回転数のために、回転するローラブラシに向かって減速又は増速を達成し、ひいては、回転するローラブラシの、結果として生じる回転数のための上記値を達成することが可能である。
【0013】
この箇所で別に付言すると、本発明の意味で、「帯材材料の表面」なる特徴は、帯材材料の加工のさらなる経過の中でローラと接触させられるあるいは圧延機構内で圧延される表面を意味している。これに関して、回転する1つ又は複数のローラブラシの使用あるいは配置が、これにより表面近傍の層が帯材材料から鋳造プロセスの直後に、ひいては第1の圧延パスの前に取り去られるあるいは除去されるように実施されることは、自明である。これにより、望まれない不純物が、例えば鋳造粉末封入の形態で帯材材料中に圧延により取り込まれてしまうことは、防止される。同様に、例えば鋳造工程からの圧痕、例えばジョイントマークにより生じる可能性がある表面エラーは、表面近傍の層を取り去ることで除去される。帯材材料の表面近傍の層内の化学的な偏差あるいは不規則性、例えば酸化物を取り去ることも、同じく可能である。本明細書の範囲内では、専ら表面加工又は表面クリーニングの概念のみを使用するが、圧痕を取り去ったり、化学的な表面偏差あるいは表面不規則性を取り去ったりすることも、同様に表面加工又は表面クリーニングの概念に包摂されている。
【0014】
この関連において別に付言すると、本発明により、かつ回転する少なくとも1つのローラブラシの使用により、帯材材料の上側及び/又は下側をブラッシングすることが可能であり、かつ/又は帯材材料の上側あるいは下側を、相前後して配置あるいは接続される複数のローラブラシにより複数回あるいは「2回」ブラッシングすることも可能である。
【0015】
さらに別に付言すると、加工すべき帯材材料が、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる場合、「アルミニウム帯材」なる特徴は、AAグルーピング(アルミニウム協会合金番号)によるすべての合金群1xxx、2xxx、3xxx、4xxx、5xxx、6xxx、7xxx及び8xxxのアルミニウム帯材を意味している。
【0016】
本発明の根底には、200mm~1000mmの範囲内にあり得るローラブラシの上記直径により、あるいはこの回転するローラブラシがローラブラシの回転軸線回りに駆動される100~3600min-1の特徴的な回転数により、ローラブラシの外側の周囲に設けられたブラシあるいはフィラメントが、十分に大きな遠心力に曝されており、ひいては、汚れあるいは帯材表面からブラッシングされて引き剥がされた夾雑物であって、当初は、回転するローラブラシの外周部あるいはローラブラシのブラシ毛部に引っ掛かったままとなる汚れあるいは夾雑物が、その後、効果的に外へ振り落とされることが達成されるという本質的な認識がある。結果として、これにより、回転するローラブラシのための有利なセルフクリーニングが生じ、このセルフクリーニングに伴い、加工された帯材材料の表面品質の改善も、ローラブラシの寿命の延長も生じる。
【0017】
回転する少なくとも1つのローラブラシによる帯材材料の1つ又は複数の表面のアブレシブ処理により、1つの共通の加工ステップにおいて、帯材材料から、表面不純物も、場合によっては存在する幾何学的な欠陥も、除去される。
【0018】
本発明の有利な発展形において、ローラブラシは、200~500mm、好ましくは、250~400mmの直径を有している。このような直径により、有利には、ローラブラシが、一方では、十分にコンパクトに形成されており、これにより、帯材材料の表面の適当な局所的な加工を達成することができ、かつ他方では、ローラブラシの外側の縁部に設けられたブラシあるいはフィラメントが前述のように十分に高い遠心力に曝されており、これにより汚れがブラシから半径方向外方に振り落とされることが達成される。
【0019】
回転するローラブラシにより、NE金属からなる帯材材料の少なくとも1つの表面から、500μmまでの厚さを有する層をアブレシブに取り去ることが可能である。技術的には、取り去られる層厚さは、好ましくは、1μm~200μmの範囲内にある。このような取り去りは、大域的に又は部分的に実施され得る。いずれにせよ、帯材材料の少なくとも1つの表面をブラシによりアブレシブ加工することは、これにより、可変の層厚さでの取り去りが可能であり、可変の層厚さでの取り去りは、加工品質、ひいては帯材材料の表面の仕上がり具合に影響を及ぼさないという利点と結び付いている。
【0020】
本発明の有利な発展形において、帯材材料の少なくとも1つの表面における帯材材料の適当な加工が、この表面と接触させられる回転するローラブラシが、ローラブラシの回転軸線回りに回転するように動かされることが可能なばかりか、帯材材料の帯材進行方向に対して相対的に動かされることも可能なことで、改善され得る。ローラブラシのこのような可動性に関して、ローラブラシが、帯材材料の帯材進行方向に対して横方向で並進的に往復可動に配置されていることが可能である。これに加えて又は代えて、回転するローラブラシが、帯材材料の帯材進行方向に対して平行に並進的に往復可動に配置されていることも同じく可能である。
【0021】
回転するローラブラシは、帯材進行方向(あるいは帯材鋳造方向)に対して横方向で可動に配置されていることができ、振動するように(すなわち往復可動に)5~200mmの振幅と、0.005~5Hzの振動数とで動かされる。好ましくは、振幅は、5~100mmの範囲内にあってもよく、振動数は、好ましくは、0.01Hz~0.5Hzであってもよい。
【0022】
回転するローラブラシを帯材進行方向に対して横方向で動かす振動駆動部として、電気式又は液圧式の駆動部が設けられていてもよい。この振動の振動数の調整あるいは選択は、ローラブラシ及び/又はこのために選択されたブラシ毛部の状態に依存している。
【0023】
回転するローラブラシの、帯材進行方向に対して横方向での並進の運動により、ローラブラシが接触する帯材材料の少なくとも1つの表面におけるさらに集中的なアブレシブ加工が達成される。
【0024】
前に既に記載したように、本発明の有利な一発展形によれば、補足的又は代替的に、回転するローラブラシが、帯材進行方向に対して平行にも並進的に往復可動に配置されている、あるいは帯材進行方向に対して平行に往復動されるようにしてもよい。この場合、ローラブラシは、ローラブラシの回転軸線回りの回転中、10~200mmの振幅と、0.2~5Hzの振動数とで振動するように、並進的に帯材進行方向に対して平行に(すなわち、帯材進行方向で、又は帯材進行方向とは反対方向で)動かされ得る。回転するローラブラシのこのような往復動のために、電気式又は液圧式の駆動部が設けられていてもよい。このような駆動部により、本発明により、回転するローラブラシを帯材進行方向に対して平行に動かす走行速度を可変に調整することも可能である。
【0025】
回転するローラブラシが、帯材材料の帯材進行方向で並進的に動かされる、ひいては動かされる帯材材料とともに「一緒に走行され」、好ましくは、帯材材料と同じ速度で走行される場合、これにより、帯材材料の同じ箇所が、その間に帯材進行方向で動かされつつ、この場合、回転するローラブラシによりアブレシブ加工されるという利点が達成される。換言すれば、この場合、帯材材料の同じ箇所が、回転するローラブラシにより、予め決めた滞留時間、アブレシブ加工され、この滞留時間は、回転するローラブラシが並進的に帯材進行方向で動かされる間のタイムスパンに相当する。既述のように、この場合、帯材進行方向でのローラブラシの並進の運動は、好ましくは、帯材材料自体と同じ速度を有している。これにより、帯材材料の表面における材料取り去りは、集中度が高められ、あるいは回転するローラブラシによる同じ箇所での帯材材料の加工は、より集中的に構成され得る。
【0026】
本発明の有利な発展形において、回転するローラブラシが、帯材材料の一方の側に配置されており、帯材材料の、反対側に位置する側に、かつ上記ローラブラシに対して一直線に並んで、帯材材料と接触して存在する支持ロールが配置されているようにしてもよい。このような支持ロールにより、ローラブラシが、その間にローラブラシの回転軸線回りに回転しつつ、同時に、予め決めた力で帯材材料に対してあるいは帯材材料上に押し付けられ、ただし、そのときに、こうして帯材材料が、加えられる力の方向で変形してしまわないようにすることが可能である。
【0027】
本発明の有利な一発展形によれば、回転するローラブラシがそれぞれ帯材材料の両側に配置されているようにしてもよい。このことは、このような回転するローラブラシが、帯材材料の両側に、すなわち、帯材材料の互いに反対側に配置されていることを意味する。この場合、而して帯材材料の両表面が、回転するローラブラシにより加工される。この関連において付言すると、帯材材料のそれぞれ反対側に設けられているローラブラシは、互いに直接上下にあるいは互いに一直線に並んで配置されていることができ、このことは、最適な力のフローを保証する。これに代えて、帯材材料のそれぞれ反対側のローラブラシが、それぞれ互いにずらされて配置されていることも可能であり、これにより、例えば、一緒に走行する鋳型を有する帯材鋳造機械(ブロックキャスタ)による帯材材料の製造時に生じることがあるジョイントマークを考慮することが可能である。
【0028】
本発明の有利な発展形において、帯材材料の帯材進行方向に沿って、かつ帯材材料の同じ側に、回転する複数のローラブラシが相前後して配置されていてもよい。これにより、プロセス技術的な冗長性、すなわち、帯材材料の表面上のあるいは帯材材料の表面に沿った同じ箇所が、繰り返し、回転するローラブラシによりアブレシブ加工されるという意味での冗長性が達成される。これにより、帯材表面に存在し得る、場合によっては彫りの深い表面エラーを取り除くことが達成され得る。この場合、これらのローラブラシが、而してそれぞれ、固有のモータ式の駆動部と、固有の高さ調節装置とを装備しているようにしてもよい。
【0029】
2つ以上のローラブラシが、相前後して帯材材料の1つの表面に作用する場合、それぞれのローラブラシは、セグメントに区分されていてもよい。1つの連続型のブラシロールの場合、毛を含む領域と毛のない領域とが交番する。これにより、ローラブラシの位置調節/持ち上げ次第で、正確な幅セクションが調整され得る。帯材材料のための表面加工のさらに正確な調整は、より短い複数の個別ブラッシングロールが、帯材進行方向で相前後して配置されているだけではなく、帯材幅にわたっても相前後して配置されているように、ローラブラシがセグメント化されているとき、可能である。より短い部分ブラシの個別位置調節の可能性により、帯材材料の表面エラーは、ピンポイントに取り除かれ得る。同様に個別位置調節は、加工すべき帯材材料の存在する輪郭へのより正確な適合を可能にする。
【0030】
本発明の有利な発展形において、回転する各ローラブラシに隣接して、かつ帯材材料の同じ側に、クリーニング装置が設けられており、クリーニング装置により、帯材材料の、回転するローラブラシが接触して存在する表面が、クリーニングされ得るようにしてもよい。このクリーニング装置により、圧縮空気が、帯材材料の隣接する表面に対して、かつ/又は吸引により負圧が、帯材材料の表面に隣接して、発生され得る。これにより、回転するローラブラシにより帯材材料の表面から取り去った汚れ、切りくず又はこれに類するものを、その後、続いて効果的に帯材材料の表面から除去することが達成される。これにより、続く圧延パスにおいて、このような汚れ又はこれに類するものが、帯材材料の表面内に圧延により取り込まれてしまうことが防止される。
【0031】
前述のクリーニング装置において、帯材材料の隣接する表面に向けられる圧縮空気が使用される場合、帯材表面のこのようなブローが、帯材進行方向に対して横方向で、すなわち、帯材材料の幅方向で実施されることは、合目的的である。これにより、帯材材料の表面上に位置する異物粒子又は類似の不純物が、集中的にかつ残渣なしに除去され、これにより、続く熱間圧延ステップにおいて、圧延により再び取り込まれてしまわないことが、同じく保証される。
【0032】
本発明の有利な発展形において、前述のクリーニング装置は、進入領域と退出領域とを有するハウジングを有していてもよい。この場合、帯材材料が、ハウジングを通して進入領域から退出領域に向かって帯材進行方向に沿って動かされ、ハウジングが、周囲に対して遮蔽されていると、合目的的である。これにより、ハウジングの内室は、周囲に対して好適に遮蔽され、外部の汚れ又はこれに類するものの侵入から保護されている。
【0033】
特別な場合、クリーニング装置のハウジングには、不活性ガスが充填されていてもよい、又は少なくともこのような不活性ガスの濃度が高められていてもよい。
【0034】
本発明の有利な発展形において、前述のクリーニング装置と、回転するローラブラシとが、1つの構成ユニットにまとめられており、回転するローラブラシは、クリーニング装置のハウジング内にカプセル化されて収容されているようにしてもよい。既述のように、クリーニング装置のハウジングの内室には、負圧がかけられてもよく、これにより、空気、そして特に、ローラブラシと、帯材材料の少なくとも1つの表面との転がり接触により生じ、内室内に含まれている摩滅粒子及び異物粒子は、好適に吸引され、運び去られる。これに関して、本発明により、クリーニング装置のハウジングの内室から吸引される空気と、この空気中に含まれる異物粒子とを、後の処理へ供給することが可能である。
【0035】
クリーニング装置のハウジング内での、回転するローラブラシの前述のカプセル化は、環境及びオペレータを保護するためだけでなく、帯材材料の表面上への異物粒子あるいは不純物の再堆積を回避するためにも役立つ。相応に、これにより、このような異物粒子あるいは不純物が、続く圧延パスにおいて、帯材材料の1つ又は複数の表面内に一緒に圧延により取り込まれてしまわないことが達成される。
【0036】
本発明の有利な発展形において、回転するローラブラシのために、内部の冷却が計画されていてもよい。これにより、毛及びブラシ本体を持続的な熱負荷に基づく過熱から保護することが可能である。
【0037】
本発明の有利な発展形において、表面検査装置が設けられており、表面検査装置は、帯材材料の帯材進行方向で見て、回転するローラブラシの上流に配置されており、エラー検出装置と制御装置とを有する帯材トラッキングシステムを有している。エラー検出装置により、帯材材料の、回転するローラブラシが接触する表面上の表面エラーの種類及び位置あるいはポジションを検知することができ、この又はこれらの情報に応じて、回転するローラブラシは、制御装置により動作制御される。このような表面検査装置は、本発明に係る装置のためにも、方法のためにも、設けられていることが可能である。
【0038】
エラー検出装置により、帯材材料の表面エラーは、検出され、すなわち、このような表面エラーの種類及び位置あるいはポジションに関して検出され得る。これらの情報に応じて、ローラブラシは、好ましくは、閉ループ制御されて調整あるいは動作制御され、すなわち、ローラブラシの回転数、帯材材料の表面に対する圧接力、帯材進行方向に対して横方向での並進の運動及び/又は帯材進行方向に対して平行な並進の運動に関して調整あるいは動作制御され得る。
【0039】
相応に、本発明に係る方法の有利な一発展形によれば、回転する1つ又は複数のローラブラシを動作制御する流れの中で、ローラブラシの回転数、帯材材料に対する圧接力、帯材材料の帯材進行方向に対して横方向での並進の運動及び/又は帯材材料の帯材進行方向での並進の運動を調整あるいは変更し、ひいては、回転するローラブラシと帯材材料との間の、帯材進行方向に対して横方向での相対速度及び/又は帯材進行方向での相対速度も調整あるいは変更する。既述のように、このことは、その都度、エラー検出装置により帯材材料の表面上に認識あるいは検知された表面エラーに応じて、場合によっては、閉ループ制御の形態でも実施され得る。
【0040】
エラー検出装置は、合目的的に、帯材材料の表面に方向付けられたハプティックセンサ及び/又は光学センサ若しくはカメラを有している。
【0041】
帯材トラッキングシステムと、対応する制御装置とにより、エラー検出装置によって検知した表面エラーを、帯材材料の表面における、帯材材料の幅方向及び帯材材料の長手方向延在の方向に関する正確な箇所あるいはポジションに割り当てることが可能である。
【0042】
本発明に係る装置の運転あるいは本発明に係る方法の実施は、測定した1つのエラー(あるいは測定した複数のエラー)に応じて、ブラッシング強度の閉ループ制御が実施され、すなわち、検知したエラーの位置及び/又はエラーのサイズ及び/又はエラーの周期性の考慮の下で実施されるように行われていてもよい。この場合、ローラブラシの前述の調整パラメータは、ブラッシング強度の調整のために利用され得る。
【0043】
この箇所で別に付言すると、説明したように、帯材材料の表面に沿ったあるいは帯材材料の表面上の存在するエラーを検知し得るエラー検出装置は、帯材材料の上側に(すなわち、帯材材料より上に)、かつ/又は帯材材料の下側に(すなわち、帯材材料より下に)配置されていることが可能である。このようなエラー検出装置に対する割り当てにおいて、この場合、回転するローラブラシは、それぞれ、帯材材料の上側あるいは下側に配置されている。帯材材料の上側も下側もクリーニングする目的で、回転するローラブラシが、帯材材料の両側に、すなわち、帯材材料の上側及び下側に配置されている場合、これらの回転するローラブラシは、ローラブラシの運動パラメータに関して、一緒に又は個々に閉ループ制御されて動作制御され得る。
【0044】
ローラブラシのブラシあるいはフィラメントの性状に関して、本発明にとって、以下の特徴も有意義である:
ブラシは、好ましくは硬化された特殊鋼からなっていてもよい;
かつ/又は:
ブラシは、選択的に波打って又は真っ直ぐに形成されていてもよい;
かつ/又は:
ブラシ毛部の個々の毛あるいはフィラメントの引っ張り強さは、200MPa/mm2より高い、好ましくは、800MPa/mm2より高い。
【0045】
特殊鋼からなる回転するローラブラシのブラシあるいはフィラメントの可能な性状は、これによりローラブラシとその毛部とが耐食性であるという利点に至る。
【0046】
本発明に係る方法にとって、ローラブラシの調整すべき運転パラメータに作用し得る以下のパラメータも重要であり得る:
鋳造速度は、1~300m/minにある。かつ/又は:
鋳造帯材厚さは、2mm~30mmにある。かつ/又は:
加工中の帯材材料の温度は、120~600℃、あるいは鋳造される帯材材料の素材次第では、液相線温度より40~300℃下にある。かつ/又は:
一方では、帯材材料と、他方では、回転するローラブラシとの間の相対速度は、10~300m/sにある。かつ/又は:
鋳造帯材の材料は、5~200MPaの降伏点あるいは耐熱性を有している。
【0047】
本発明は、NE金属の表面の加工に好適であり、これにより、例えば鋳造離型剤により引き起こされる不純物を効果的に除去することができる。NE金属からなる帯材材料の表面層のこのような除去あるいは部分的な取り去りは、第1の圧延パスの前に実施される。これにより、不純物が、このようなNE金属からなる帯材材料の圧延時に、初めて、材料中に圧延により取り込まれることが決してないという利点が達成される。換言すれば、本発明により、鋳造工程から結果として生じる望まれない不純物が、材料中にあるいは帯材材料の1つ又は複数の表面内に圧延により取り込まれてしまうことが防止される。その結果、本発明により、完成した最終製品の表面様相の改善が達成され、例えば表面の均質化及び光沢に関する改善が達成される。
【0048】
本発明に係る装置に関して、装置は、その回転するローラブラシでもって、帯材鋳造設備内に、鋳造装置と、鋳造装置に続く圧延装置との間に存在している。この関連において付言すると、本発明に係る装置は、既存の帯材鋳造設備内に事後的に組み込まれる、すなわち後付けされることも可能である。
【0049】
本発明により、熱間圧延されるNE金属からなる帯材材料のために、顕著な改善が、帯材材料の表面品質に関して達成される。これにより、続くプロセス段、例えば冷間圧延、酸洗及び/又はコーティングにおいて、必要なプロセスパラメータ及びこれにより達成可能な品質に関する利点並びに表面仕上がりの均質化、すなわち、帯材材料の1つ又は複数の表面の領域に沿ったあるいは領域内の均質化が生じる。
【0050】
本発明のさらなる詳細及び利点は、図面を基に説明する以下の実施例から看取可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】連続的な帯材材料を加工する本発明に係る装置を簡略化して示す図である。
【
図2a】
図1の装置の一部であることができ、連続的に延びるブラシ毛部を有するローラブラシを簡略化して示す側面図である。
【
図2b】
図1の装置の一部であることができ、セグメント化されたブラシ毛部を有するローラブラシを簡略化して示す側面図である。
【
図2c】回転するローラブラシがそれぞれ帯材材料の上下に配置されている
図1の本発明に係る装置の可能な一実施の形態を示す図である。
【
図2d】複数のローラブラシが、帯材材料の帯材進行方向で見て相前後して配置されている
図1の本発明に係る装置の可能な一実施の形態のための帯材材料の平面図である。
【
図3】本発明に係る方法による、
図1の本発明に係る装置の閉ループ制御のためのチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下に、
図1~3を参照しながら、NE金属からなる連続的な帯材材料の少なくとも1つの表面を加工する本発明に係る装置10及び対応する方法の好ましい実施の形態を図示し、説明する。図中の同じ特徴には、それぞれ同じ符号を付した。この箇所で別に付言すると、図面は、簡略化して、特に縮尺なしに示したにすぎない。
【0053】
少なくとも1つの表面が本発明により加工されるNE金属からなる帯材材料は、特にアルミニウムから、又は1種類若しくは複数種類のアルミニウム合金からなっていてもよい。代替的には、それに加えて、別のNE金属、例えば銅、マグネシウム、鉛若しくは亜鉛又はそれらの合金からなる帯材材料を加工することも可能である。
【0054】
本発明に係る装置10は、回転する少なくとも1つのローラブラシ12を備え、ローラブラシ12により、帯材進行方向Tで動かされるあるいは搬送される帯材材料Bは、クリーニングされる。
図1で見て、帯材進行方向は、左から右に延び、相応の矢印Tにより象徴的に示してある。
【0055】
必ずしも本発明に属するわけではない帯材鋳造設備内で、本発明に係る装置10は、帯材進行方向Tで見て、鋳造設備Gの下流であって、熱間圧延設備W及び対応する圧延スタンドの上流に配置されているようにポジショニングされている。
【0056】
図1は、帯材材料Bの上側及び/又は帯材材料Bの下側から見た、帯材材料Bの平面図である。このことは、回転するローラブラシ12が、それぞれ帯材材料Bの上側及び/又は帯材材料Bの下側に配置可能であることを意味する。換言すれば、本発明に係る装置10は、帯材材料Bの上側又は下側に配置されている回転する少なくとも1つのローラブラシ12を備えていることができる。これに代えて、
図1の装置12は、帯材材料の両側、すなわち帯材材料Bの上側と下側とに配置されている複数のローラブラシ12を備えていてもよい。
【0057】
本発明に係る装置及び対応する方法の機能形式の以下の説明にとって、
図1が、帯材材料Bの上側を示した平面図であるか、又は帯材材料Bの下側を示した図であるかは、重要ではない。回転するローラブラシ12の機能形式及びローラブラシ12の動きは、それぞれ同じである。
【0058】
ローラブラシ12は、
図1の実施の形態では、ローラブラシ12の胴中長さあるいは長手方向延在が、帯材材料Bの幅と比べて大きく形成されている。このことは、結果として、ローラブラシ12が、ローラブラシ12の胴中長さでもって帯材材料Bの表面と接触させられたとき、帯材材料Bが、帯材材料Bの幅全体にわたって、回転するローラブラシ12によりアブレシブ加工されることを伴う。
【0059】
装置10は、少なくとも1つのモータ式の駆動部14を備え、モータ式の駆動部14は、回転するローラブラシ12と相互作用関係にあり、ローラブラシ12を回転軸線回りに駆動する。図面(
図1、
図2a、
図2b、
図2d参照)において、この回転軸線は、それぞれ一点鎖線で略示し、「D」を付してある。
【0060】
モータ式の駆動部14は、回転するローラブラシ12の片側、すなわち、帯材材料Bの左側又は右側に配置されていることができる。これに代えて、2つのモータ式の駆動部14が、帯材材料Bのそれぞれ反対側に設けられていてもよく、これらの駆動部14は、それぞれローラブラシ12と協働し、ローラブラシ12をその回転軸線D回りに駆動する。ローラブラシ12毎に2つのモータ式の駆動部14を設けることは、特に、このようなローラブラシ12が、大きな幅を有しており、その点において、この場合、両端面から駆動されると、有利である。
【0061】
モータ式の駆動部14は、制御装置Sに信号技術的に接続されている。この信号技術的な接続は、
図1に点線により象徴的に示し、「V」を付してある。表示「Md」及び「n」は、一方が、ローラブラシ12がローラブラシ12の回転軸線D回りに回転駆動されるトルクを表し、他方が、回転数を表している。回転方向は、帯材進行方向にも、帯材進行方向とは反対方向にも選択可能であり、帯材進行方向とは反対方向の回転方向の方が、より高い効率に基づき、好ましい。
【0062】
前に別の箇所で既に説明したように、ローラブラシ12は、ローラブラシ12の直径が200mm~1000mmであるように形成されている。さらに制御装置Sは、プログラム技術的に、これにより、回転するローラブラシ12が、モータ式の駆動部14により駆動されて、100~3600min-1の回転数で、場合によっては、モータ式の駆動部14と、回転するローラブラシ12との間に配置されている(図示しない)伝動機構も使用の下、回転し得るように構成されている。
【0063】
ローラブラシ12は、ローラブラシ12の回転軸線D回りに回転され得るだけでなく、帯材材料Bに対して相対的に、方向x、y及びzでも動かされ得る。このデカルト座標系は、
図1の右下に象徴的に示してある。y方向での相対運動のために、例えば振動駆動部17が設けられており、振動駆動部17は、
図1に簡略化して象徴的にのみ示してある。
【0064】
方向x、y及びzでのローラブラシ12の可能な動きは、架構を利用して達成される。架構は、
図1に著しく簡略化して、象徴的に長方形でのみ示し、「11」を付してある。これについて以下に説明する。
【0065】
ローラブラシ12は、架構11内に回転可能に軸支されて配置されている。この架構11内には、(図示しない)軸受シェルが収容されており、軸受シェルによりあるいは軸受シェル内に、ローラブラシ12は、ローラブラシ12の回転軸線D回りに回転可能に軸支されて収容されている。ローラブラシ12をローラブラシ12の回転軸線D回りに駆動するモータ式の駆動部14との相互作用関係は、この場合、ローラブラシ12の端面において駆動軸又はこれに類するものにより実現されていることが可能である。
【0066】
ローラブラシ12を軸支する架構11は、さらに鉛直のストラットを有し、ストラットに沿って、ローラブラシ12用の軸受シェルは、可動に取着されている。この場合、軸受シェルは、調節機構20、好ましくは、液圧シリンダの形態の調節機構20に結合されており、調節機構20により、軸受シェルは、鉛直のストラットに沿って動かされる。こうしてローラブラシ12は、鉛直方向zで調節可能であり、これにより、帯材材料Bに対するローラブラシ12の高さあるいは間隔は、適当に調整することが可能である。
【0067】
この箇所で別に付言すると、信号技術的な接続Vは、一方では、制御装置Sと、他方では、振動駆動部17及び調節機構20との間でも生じ得る。それに基づき、振動駆動部17及び調節機構20は、制御装置Sにより動作制御することが可能である。
図1には、これらの信号技術的な接続Vも、同じく点線で象徴的に示してある。
【0068】
上記調節機構20により、ローラブラシ12に対し、ローラブラシ12を帯材材料Bに押し付ける適当な圧接力を及ぼすことも可能である。例えば圧接力は、0.1~2.8N/mm(ブラシ幅)であってもよい。いずれにせよ、ローラブラシ12のための圧接力は、クリーニングすべき材料の合金に適合されて調整可能である。調節機構20の調整は、制御装置Sの信号により実施される。
【0069】
上述の鉛直のストラットに沿ったローラブラシ12の可動の軸支に関して、これにより、ローラブラシ12を必要なときに帯材材料Bの表面から持ち上げることも可能であることは、自明である。
【0070】
既述のように、架構11には振動駆動部17が設けられており、振動駆動部17により、ローラブラシ12用の軸受シェルは、ひいてはローラブラシ12自体も、帯材材料Bの幅方向で、すなわちy方向で移動可能である。この振動駆動部17は、液圧シリンダ又はモータ式の駆動部として形成され、同じく制御装置Sに信号技術的に接続されていることができる。相応に、この振動駆動部17は、これにより好適に制御装置Sにより、例えば、ローラブラシ12用の軸受シェルが、ひいてはローラブラシ12自体も、y方向で振動するように、すなわち並進的に往復動されるように、動作制御され得る。
【0071】
ローラブラシ12が前述のように帯材進行方向Tに対して横方向で振動するように動かされ得る方向(y方向)は、
図1に付加的に双方向矢印R1により象徴的に示してある。
【0072】
架構11は、(図示しない)レールシステムも有し、レールシステムに沿ってあるいはレールシステム上を、ローラブラシ12は、ローラブラシ12の軸受シェルとともに、帯材進行方向Tに対して平行に(あるいはx方向で)並進的に移動可能である。帯材進行方向Tでの動きは、
図1に矢印「R2」により象徴的に示してあり、反対の方向、すなわち、帯材進行方向Tとは反対方向での動きは、
図1に矢印「R2
*」により象徴的に示してある。帯材進行方向Tに対して平行な、ローラブラシ12のこのような前後進運動を実現すべく、別の(図示しない)液圧シリンダ又は同等のモータ式のリニア駆動部が設けられており、この別の液圧シリンダ又はモータ式のリニア駆動部は、ローラブラシ12の軸受シェル又は架構11全体と相互作用関係にある。合目的的に、この液圧シリンダあるいは駆動部も、信号技術的に制御装置Sに接続されており、その結果、これにより、制御装置Sを用いた、1つ又は複数のローラブラシ12の、帯材進行方向Tに対して平行な運動あるいは移動を実現するための動作制御が可能である。
【0073】
方向R2及びR2*での、すなわち、帯材進行方向Tに対して平行に行き来する、ローラブラシ12の並進の往復動が、同じく振動するように実施され得る。この場合、方向R2のための(すなわち、帯材進行方向Tでの)速度と、方向R2*のための(すなわち、帯材進行方向Tとは反対方向での)速度とは、互いに相違しているあるいは制御装置Sによりそれぞれ異なる大きさの値に調整されるようにしてもよい。
【0074】
前述のように、ローラブラシ12のために、帯材進行方向Tに対して横方向(=y方向あるいはR1)でも、帯材進行方向に対して平行(=x方向あるいは方向R2及びR2*)にも設定可能な、振動するような運動との関連において、これらの運動が、回転軸線D回りのローラブラシ12の回転運動あるいは回転と重畳可能であることは、自明である。このことは、ローラブラシ12が、回転軸線D回りのローラブラシ12の回転と同時に、方向R1及びR2あるいはR2*でも動かされ得ることを意味する。
【0075】
本発明に係る装置10は、
図1の実施の形態では、ハウジング15を備え、ハウジング15内には、回転するローラブラシ12がカプセル化されて収容されている。相応に、回転するローラブラシ12は、ハウジング15により周囲に対して遮蔽されている。
【0076】
ハウジング15は、進入領域と退出領域とを有し、帯材材料Bは、ハウジング15を通して進入領域から退出領域に向かって帯材進行方向Tに沿って動かされる。
【0077】
ハウジング15は、吸引装置22に接続されており、吸引装置22により、空気と、空気中に含まれる異物粒子及び同等の不純物とが、ハウジング15の内室から吸引あるいは除去される。
【0078】
本発明に係る装置10は、クリーニング装置16を備え、クリーニング装置16は、回転するローラブラシ12に隣接して、かつ帯材材料Bの、ローラブラシ12と同じ側に配置されている。このクリーニング装置16により、回転するローラブラシ12が先だって接触させられていた帯材材料Bの表面が、クリーニングされ得る。このことは、例えば、クリーニング装置16が、同じく吸引装置22に接続されており、これにより負圧が発生され、負圧により、異物粒子及び類似の不純物が、帯材材料Bの1つの表面(あるいは複数の表面)から吸引されることにより実施され得る。
【0079】
補足的又は代替的に、クリーニング装置16に関して、これに伴い圧縮空気が、帯材材料Bの少なくとも1つの表面に、好ましくは、帯材進行方向Tに対して横方向の一方向で向けられるようにしてもよい。このような圧縮空気を当てることで、この場合、帯材材料Bの表面は、集中的にクリーニングされる。この場合、ユニット「22」は、送風機であってもよく、送風機により、このような圧縮空気が発生され、クリーニング装置16内に導入される。
【0080】
圧縮空気をクリーニング装置16内であるいはクリーニング装置16により帯材材料Bの少なくとも1つの表面に当てることは、空気の前述の吸引と重畳されてもよい。この場合、ハウジング15あるいはクリーニング装置16の内室において、一方では、圧縮空気が適当に、帯材材料Bの表面であって、回転するローラブラシ12と先だって接触させられていて、これによりアブレシブ加工された表面に向けられる。これと同時に又は続いて、ハウジング15あるいはクリーニング装置16の内室から空気が吸引され、これにより、空気中に含まれる異物粒子あるいは不純物を好適に除去することができる。
【0081】
本発明に係る装置10の好ましい一発展形によれば、クリーニング装置16と、回転するローラブラシ12がカプセル化されて内部に収容されているハウジング15とが、1つの構成ユニットに統合されている、あるいはまとめられていると、合目的的である。この場合、
図1の図示に示したハウジング15が、クリーニング装置16のハウジング15であることは、自明である。
【0082】
前述のようにクリーニング装置16をハウジング15と統合した場合であっても、帯材進行方向Tで見て、回転するローラブラシ12の下流に、付加的なクリーニング装置16が、
図1に示したように設けられているようにしてもよい。
【0083】
本発明に係る装置10は、表面検査装置18も備え、表面検査装置18は、帯材進行方向Tで見て、回転するローラブラシ12の上流に設けられている。この表面検査装置18は、(詳しくは図示しない)エラー検出装置、例えば光学センサ又はカメラの形態のエラー検出装置を有し、これにより、帯材材料Bの表面に沿ったあるいは帯材材料Bの表面上のエラーあるいはエラー箇所を検出し得る。これに関して、エラー検出装置が、帯材材料Bの、回転するローラブラシ12と同じ側であって、回転するローラブラシ12が、帯材材料Bの表面と接触させられている側にポジショニングされていることは、自明である。
【0084】
回転するローラブラシ12が、帯材材料Bの上側にも下側にも配置されている、本発明に係る装置10の一実施の形態(
図2c参照)では、別体のエラー検出装置が帯材材料Bの上側と下側とに同じように配置されており、その結果、帯材材料Bの、存在する可能性のあるエラーが、帯材材料Bの両側で検知可能であることは、合目的的である。
【0085】
前述のエラー検出装置は、表面検査装置18の一部である帯材トラッキングシステムに属し、制御装置Sに信号技術的に接続されている。こうして、帯材材料Bの表面上の認識したエラー箇所を帯材材料Bの特定のセクションに割り当てることが可能であり、それに基づき、引き続き、1つ又は複数のローラブラシ12の運動、すなわち、回転軸線12回りのローラブラシ12の回転及び対応する回転数nも、矢印R1の方向及び矢印R2あるいはR2*の方向での前述の振動するような運動も、制御装置Sにより、予め1つ又は複数の表面検査装置18により検出した表面エラー並びにその位置及びポジションに応じて、好ましくは閉ループ制御して調整することが可能である。
【0086】
1つのローラブラシ12及び/又は複数のローラブラシ12の性状及び配置に関するさらなる詳細は、
図2aないし
図2dに示してあり、以下に説明する。
【0087】
図2aの図示によれば、ローラブラシ12は、連続的に延びるブラシ毛部を有しているあるいは装備していることができる。
図2aの右側の領域には、ローラブラシ12の外周面の部分領域を拡大して、かつ著しく簡略化して示してあり、ここでは、毛の寸法は、ローラブラシ12の直径と比較し、縮尺通りには示していない。
図2aの拡大した部分領域には、毛先13が斜めに構成されており、本実施の形態では、毛先13の扁平化がローラブラシ12の回転方向で延在していることを、簡略化して示してある。
【0088】
図2bは、ブラシ毛部が連続的ではないローラブラシ12の可能な一実施の形態を示している。このことは、ローラブラシ12の長手方向延在に沿って、領域12m(毛あり)と領域12f(毛なし)とが交番することを意味する。
【0089】
図2cは、左側の図領域に、帯材材料Bの上下に、かつ互いに対向するように、すなわち、鉛直に上下に重なってポジショニングされて配置されているローラブラシ12の使用を示している。
【0090】
図2cの右側の図領域には、ローラブラシ12の配置に関する一変化態様を示してあり、ここでは、ローラブラシ12は、互いにずらされて配置されている。
【0091】
図2dは、ここでは、個別ブラッシングロール12Eの形態で形成されている複数のローラブラシの使用を示している。この場合、このような個別ブラッシングロール12Eは、多重に帯材材料Bの幅方向で配置されているのみならず、帯材進行方向Tで見て相前後して配置されてもいるようにしてもよい。これらの個別ブラッシングロール12Eに関して、個別ブラッシングロール12Eが、それぞれ固有のモータ式の駆動部14と、固有の位置調節システムあるいはレールシステムとを装備していてもよく、これにより、個別にそれぞれ異なる回転数n、トルクMd並びに矢印R1及びR2あるいはR2
*の方向での振動するような運動を達成することが可能であることは、自明である。
【0092】
図1及び2dは、回転軸線が帯材進行方向Tに対して直角に方向付けられているローラブラシの配置を示している。念のため付言すると、非直角の方向付けも同様に本発明によりカバーされる。
【0093】
図2aないし
図2dに示し、かつ前で説明したローラブラシ12の変化態様に関して、
図1の本発明に係る装置10に関するこれらの変化態様が、任意に互いに組み合わせ可能であることは、自明である。
【0094】
さらに
図3には、本発明に係る装置10を閉ループ制御するための、あるいは本発明に係る方法を実施するためチャートを示してある。
【0095】
本発明は、而るに以下のように機能する。
【0096】
帯材材料Bが鋳造機械Gから帯材進行方向Tで熱間圧延設備Wに向かって動かされる間に、ローラブラシ12による表面加工にかけ、この表面加工時、鋳造工程により生じる表面不純物を機械的に除去する。ローラブラシ12を、制御装置Sにより予め調整される運転パラメータ、例えば回転数n、トルクMd、圧着圧並びに帯材材料の搬送方向に対して横方向での振動運動及び/又は帯材材料の搬送方向に対して平行な振動運動で運転する。これらの運転パラメータの適合は、手動で、又は以下でさらに別に説明するように、プロセスモデルに基づいて実施してもよく、かつ/又は表面検査装置との連結により自動化して適合を行ってもよい。
【0097】
運転パラメータを自動化して適合する場合、帯材材料は、表面加工前に表面検査装置18を通過する。この場合、帯材材料Bの表面エラーは、表面検査装置18の1つ又は複数のエラー検出装置により検知することができる。換言すれば、帯材材料Bが表面検査装置18を通過するように動く経過中、帯材材料Bの、存在する可能性のある表面エラーを測定技術的に検出する。これに続いて、これらの表面エラーを表面検査装置18の帯材トラッキングシステムにより評価し、そこから形成される情報を制御装置Sに伝送する。それに基づき、この場合、制御装置Sにより、測定した表面エラーを考慮の下、回転する1つ又は複数のローラブラシ12のための運転パラメータを調整、すなわち、回転数n、トルクMd、圧着圧並びに帯材進行方向Tに対して横方向での振動するような運動(vy)及び/又は帯材進行方向Tに対して平行な振動するような運動(vx)に関して調整することが可能である。
【0098】
帯材進行方向Tに対して平行な、回転する1つ又は複数のローラブラシ12の振動するような運動との関連で、別に付言すると、ローラブラシ12のこの並進の前後進により、個別のブラッシング調整あるいは帯材材料Bのアブレシブ加工が達成される。例えば、帯材材料Bの予め決めたセクションを、予め検出した表面エラーに応じて、より短く又はより長くブラッシングすることが可能である。さらに、ローラブラシ12を帯材進行方向T(=方向R2)で、帯材材料B自体とちょうど同じ速度で動かすことで、帯材材料Bの予め決めたセクションのために、回転するローラブラシ12の、まさにこのセクションでの滞留時間も実現することが可能である。これにより、帯材材料Bのこの予め決めたセクションを、特に集中的に、回転するローラブラシ12によりアブレシブ加工する。
【0099】
さらに、帯材進行方向Tに対して平行な、ローラブラシ12の振動するような運動時、前後進速度(つまり、方向R2での速度と、反対の方向R2*での速度と)を互いに相違させ、ローラブラシ12によるブラッシングあるいはローラブラシ12の回転を両「走行方向」で実施することが可能である。
【0100】
本発明の別の一実施の形態によれば、回転する1つ又は複数のローラブラシ12のための運転パラメータの調整時、プロセスモデルを用いることが可能である。このことは、
図3のチャート内に「プロセスモデル」のブロックと、「制御装置」のブロックとの間の相応の矢印により象徴的に示してある。プロセスモデルにより、回転する1つ又は複数のローラブラシ12のための必要な運転パラメータを計算し、又は代替的に制御装置S内での計算を補助する。いずれにせよ、結果として、計算した運転パラメータを、それぞれのローラブラシ12に割り当てられたモータ式の駆動部あるいはアクチュエータに伝送する。
【0101】
本発明あるいは本発明に係る方法の別の一実施の形態によれば、閉ループ制御が予定されている。この閉ループ制御は、測定した表面エラーに応じて、具体的には、エラーの位置及び/又はエラーのサイズ及び/又はエラーの周期性に応じて実施され、ローラブラシ12の前述の調整パラメータは、ブラッシング強度の調整のために使用される。
【0102】
前述の閉ループ制御を実施すべく、制御装置Sが、このために好適なプロセスコンピュータを装備しているようにしてもよい。
【0103】
本発明の別の一実施の形態によれば、測定値(すなわち、エラー検出装置により検出した表面エラー)を評価する流れの中で、制御を最適化する適応計算を実施するようにしてもよい。このためにも、直前に述べたプロセスコンピュータを使用してもよい。
【0104】
図1の装置10のために、複数の、場合によってはセグメント化された部分ブラシ12が設けられている場合、これらの部分ブラシ12の各々のために、個別のあるいは別々の制御が可能であることは、自明である。
【0105】
回転するローラブラシ12が帯材材料Bの両側に配置されており、ひいては帯材材料Bの上側も下側もこれによりクリーニングされる場合、帯材材料Bの上下に配置されているこれらのローラブラシ12は、一緒に又は個々に動作制御あるいは閉ループ制御され得る。
【0106】
本発明の別の一実施の形態によれば、制御装置Sに、帯材材料Bの(目標値の意味での)表面の質に関する所定の設定を送信することが可能である。このことは、
図3のチャート内に、「設定 表面の質」のブロックと、「制御装置」のブロックとの間の破線の矢印により象徴的に示してある。検出した表面エラーに対する依存関係に加えて又は代えて、この場合、本発明に係る方法のために、回転する1つ又は複数のローラブラシ12のための運転パラメータを、制御装置Sにより、表面の質に関するこれらの所定の設定を考慮の下、調整あるいは閉ループ制御することも可能である。必要な場合、このことは、帯材材料Bの上側と下側とのために別々に実施してもよい。
【0107】
最後に付言すると、生成される帯材材料Bのために「完全にクリーンな」表面が達成されることは、いかなる場合にも必要というわけではない。例えば、回転する1つ又は複数のローラブラシ12に関する摩耗の理由から、帯材材料Bの表面を、まさに、この帯材材料のために実際に必要である程度にしか、あるいは直前で説明したように、表面の質に関する所定の設定に相当する程度にしか、クリーニングしないことが有意義な場合がある。この場合、表面の質に関する設定をプランニングシステムから制御装置S内に入力あるいは制御装置Sに送信することができ、これらの設定は、この場合、ターゲット値として用いられる。制御装置Sは、これらの設定を、回転する1つ又は複数のローラブラシ12のための運転パラメータの計算に際して、その後、好適に考慮する。
【符号の説明】
【0108】
10 装置
11 架構
12 回転するローラブラシ
12f 毛のないローラブラシ12の領域
12m 毛のあるローラブラシ12の領域
12E 個別ブラッシングロール
13 (ローラブラシ12の)毛先
14 モータ式の駆動部
15 ハウジング
16 クリーニング装置
17 振動駆動部
18 表面検査装置
20 液圧シリンダ
22 ポンプ/送風機
B 帯材材料
D (回転するローラブラシ12の)回転軸線
R1 帯材進行方向Tに対して横方向でのローラブラシ12の運動
R2 帯材進行方向Tに対して平行なローラブラシ12の運動
G 鋳造設備
S 制御装置
T 帯材進行方向
V 信号技術的な接続
W 熱間圧延設備
【手続補正書】
【提出日】2024-01-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NE金属からなる、特にアルミニウム若しくはアルミニウム合金を含む又はアルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる、連続的な帯材材料(B)の少なくとも1つの表面を加工する装置(10)であって、
回転する少なくとも1つのローラブラシ(12)であって、前記ローラブラシ(12)の胴中長さでもって前記帯材材料(B)の少なくとも1つの表面と接触させることが可能なローラブラシ(12)、
を備える、
装置(10)において、
前記ローラブラシ(12)は、200mm~1000mmの直径を有する、
ことを特徴とする、
NE金属からなる連続的な帯材材料(B)の少なくとも1つの表面を加工する装置(10)。
【請求項2】
前記ローラブラシ(12)は、200mm~500mmの直径を有し、好ましくは、前記ローラブラシ(12)の前記直径は、250mm~400mmであることを特徴とする、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
モータ式の駆動部(14)を備え、
前記モータ式の駆動部(14)は、回転する前記ローラブラシ(12)と相互作用関係にあり、前記ローラブラシ(12)を対応する回転軸線(D)回りに駆動し、
前記モータ式の駆動部(14)は、制御装置(S)に信号技術的に接続されており、かつ
前記制御装置(S)は、プログラム技術的に、これにより回転する前記ローラブラシ(12)が100~3600 1/minの回転数で回転するように、好ましくは、前記モータ式の駆動部(14)と、回転する前記ローラブラシ(12)との間に伝動機構が配置されているように、構成されている、
ことを特徴とする、請求項
1に記載の装置(10)。
【請求項4】
回転する前記ローラブラシ(12)は、前記モータ式の駆動部(14)により1200~1800 1/minの回転数で回転することを特徴とする、請求項3に記載の装置(10)。
【請求項5】
回転する前記ローラブラシ(12)は、前記帯材材料(B)の帯材進行方向(T)に対して横方向で往復可動に配置されていることを特徴とする、請求項
1に記載の装置(10)。
【請求項6】
回転する前記ローラブラシ(12)は、前記帯材材料(B)の帯材進行方向(T)に対して平行に往復可動に配置されていることを特徴とする、請求項
1に記載の装置(10)。
【請求項7】
回転する前記ローラブラシ(12)は、前記帯材材料(B)の一方の側に配置されており、前記帯材材料(B)の、反対側に位置する側に、かつ前記ローラブラシ(12)に対して一直線に並んで、前記帯材材料(B)と接触して存在する支持ロールが配置されていることを特徴とする、請求項
1に記載の装置(10)。
【請求項8】
回転する各ローラブラシ(12)に隣接して、かつ前記帯材材料(B)の同じ側に、少なくとも1つのクリーニング装置(16)が設けられており、前記クリーニング装置(16)により、前記帯材材料(B)の、回転する前記ローラブラシ(12)が接触して存在する表面が、クリーニング可能であり、前記クリーニング装置(16)により、圧縮空気が、前記帯材材料(B)の隣接する前記表面に対して、かつ/又は負圧が、前記帯材材料(B)の前記表面に隣接して、発生可能であることを特徴とする、請求項
1に記載の装置(10)。
【請求項9】
前記クリーニング装置(16)は、進入領域と退出領域とを有するハウジング(15)を有し、前記帯材材料(B)は、前記ハウジング(15)を通して前記進入領域から前記退出領域に向かって帯材進行方向(T)に沿って可動であり、前記ハウジング(15)は、周囲に対して遮蔽されていることを特徴とする、請求項8に記載の装置(10)。
【請求項10】
前記クリーニング装置(16)と、回転する前記ローラブラシ(12)とは、1つの構成ユニットにまとめられており、回転する前記ローラブラシ(12)は、前記ハウジング(15)内にカプセル化されて収容されていることを特徴とする、請求項
8に記載の装置(10)。
【請求項11】
前記帯材材料(B)の帯材進行方向(T)に沿って、かつ前記帯材材料(B)の同じ側に、回転する複数のローラブラシ(12)が配置されており、好ましくは、複数の前記ローラブラシ(12)は、それぞれ、固有のモータ式の駆動部(14)と、固有の高さ調節装置(11)とを装備していることを特徴とする、請求項
1に記載の装置(10)。
【請求項12】
前記帯材材料(B)の帯材進行方向(T)で見て相前後して配置されている回転する2つ以上のローラブラシ(12)が、前記ローラブラシ(12)の長手方向延在に沿ってセグメントに区分されており、それにより、毛を含む領域(12m)と毛のない領域(12f)とが交番することを特徴とする、請求項11に記載の装置(10)。
【請求項13】
前記帯材材料(B)の帯材幅にわたって複数の個別ブラッシングロール(12E)が配置されており、好ましくは、前記個別ブラッシングロール(12E)は、それぞれ、固有のモータ式の駆動部(14)を有し、前記帯材材料(B)の方向で、すなわち前記帯材材料(B)に対して間隔を置いて互いに独立的に調整可能であることを特徴とする、請求項1
1に記載の装置(10)。
【請求項14】
表面検査装置(18)を備え、
前記表面検査装置(18)は、エラー検出装置と制御装置(S)とを有する帯材トラッキングシステムを有し、前記エラー検出装置により、前記帯材材料(B)の、回転する前記ローラブラシ(12)を接触させることが可能な前記表面上の表面エラーの種類及び位置あるいはポジションが検知可能であり、この又はこれらの情報に基づき、回転する前記ローラブラシ(12)は、前記制御装置(S)により動作制御可能であることを特徴とする、請求項
1に記載の装置(10)。
【請求項15】
回転する前記ローラブラシ(12)用のブラシ毛部(13)は、硬化された特殊鋼から製造されており、好ましくは、前記ブラシ毛部の個々の毛あるいはフィラメント(13)の引っ張り強さは、少なくとも200MPa/mm
2であり、好ましくは、800MPa/mm
2より大きいことを特徴とする、請求項
1に記載の装置(10)。
【請求項16】
NE金属からなる連続的な帯材材料(B)の少なくとも1つの表面を加工する方法であって、
前記帯材材料(B)を帯材進行方向(T)で動かし、回転する少なくとも1つのローラブラシ(12)を前記ローラブラシ(12)の胴中長さでもって前記帯材材料(B)の少なくとも1つの表面と接触させ、モータ式の駆動部(14)により駆動する、
方法において、
回転する前記ローラブラシ(12)を前記モータ式の駆動部(14)により駆動させ、100~3600 1/minの回転数で回転させる、
ことを特徴とする、
NE金属からなる連続的な帯材材料(B)の少なくとも1つの表面を加工する方法。
【請求項17】
回転する前記ローラブラシ(12)を前記モータ式の駆動部(14)により、1200~1800 1/minの回転数で回転させることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
回転する前記ローラブラシ(12)を、ブラッシング中、前記帯材材料(B)の前記帯材進行方向(T)に対して横方向で並進的に往復動させることを特徴とする、請求項1
6に記載の方法。
【請求項19】
回転する前記ローラブラシ(12)を前記帯材材料(B)の前記帯材進行方向(T)に対して横方向で、5mm~200mm、好ましくは、5mm~100mmの振幅で、かつ0.005Hz~5Hz、好ましくは、0.01Hz~5Hzの振動数で動かすことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
回転する前記ローラブラシ(12)を、ブラッシング中、前記帯材材料(B)の前記帯材進行方向(T)に対して平行に並進的に往復動させることを特徴とする、請求項1
6に記載の方法。
【請求項21】
回転する前記ブラシを前記帯材材料(B)の帯材進行方向(T)で、10mm~200mmの振幅で、かつ0.2Hz~5Hzの振動数で動かすことを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記帯材材料(B)の前記帯材進行方向(T)で見て、回転する前記ローラブラシ(12)の上流に配置されていて、エラー検出装置と制御装置(S)とを有する帯材トラッキングシステムを有する表面検査装置(18)を設け、前記エラー検出装置により、前記帯材材料(B)の、回転する前記ローラブラシ(12)が接触する前記表面上の表面エラーの種類及び位置あるいはポジションを検知し、この又はこれらの情報に応じて、回転する前記ローラブラシ(12)を前記制御装置(S)により動作制御することを特徴とする、請求項1
8に記載の方法。
【請求項23】
回転する1つ又は複数の前記ローラブラシ(12)を動作制御する流れの中で、前記ローラブラシ(12)の回転数、前記帯材材料(B)に対する圧接力、前記帯材材料(B)の前記帯材進行方向(T)に対して横方向での運動及び/又は前記帯材材料(B)の前記帯材進行方向(T)での運動を調整あるいは変更し、ひいては、回転する前記ローラブラシ(12)と前記帯材材料(B)との間の、前記帯材進行方向(T)に対して横方向での相対速度及び/又は前記帯材進行方向(T)に対して平行な相対速度も調整あるいは変更することを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
回転する1つ又は複数の前記ローラブラシ(12)の前記動作制御を前記制御装置(S)により、前記エラー検出装置により検知した前記表面エラーに応じて、閉ループ制御回路の形態で、ひいては閉ループ制御して実施することを特徴とする、請求項2
2に記載の方法。
【請求項25】
請求項1から15のいずれか一項に記載の装置(10)により実施することを特徴とする、請求項16から24のいずれか一項に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0107
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0107】
最後に付言すると、生成される帯材材料Bのために「完全にクリーンな」表面が達成されることは、いかなる場合にも必要というわけではない。例えば、回転する1つ又は複数のローラブラシ12に関する摩耗の理由から、帯材材料Bの表面を、まさに、この帯材材料のために実際に必要である程度にしか、あるいは直前で説明したように、表面の質に関する所定の設定に相当する程度にしか、クリーニングしないことが有意義な場合がある。この場合、表面の質に関する設定をプランニングシステムから制御装置S内に入力あるいは制御装置Sに送信することができ、これらの設定は、この場合、ターゲット値として用いられる。制御装置Sは、これらの設定を、回転する1つ又は複数のローラブラシ12のための運転パラメータの計算に際して、その後、好適に考慮する。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下を含む。
1.
NE金属からなる、特にアルミニウム若しくはアルミニウム合金を含む又はアルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる、連続的な帯材材料(B)の少なくとも1つの表面を加工する装置(10)であって、
回転する少なくとも1つのローラブラシ(12)であって、前記ローラブラシ(12)の胴中長さでもって前記帯材材料(B)の少なくとも1つの表面と接触させることが可能なローラブラシ(12)、
を備える、
装置(10)において、
前記ローラブラシ(12)は、200mm~1000mmの直径を有する、
ことを特徴とする、
NE金属からなる連続的な帯材材料(B)の少なくとも1つの表面を加工する装置(10)。
2.
前記ローラブラシ(12)は、200mm~500mmの直径を有し、好ましくは、前記ローラブラシ(12)の前記直径は、250mm~400mmであることを特徴とする、上記1の装置(10)。
3.
モータ式の駆動部(14)を備え、
前記モータ式の駆動部(14)は、回転する前記ローラブラシ(12)と相互作用関係にあり、前記ローラブラシ(12)を対応する回転軸線(D)回りに駆動し、
前記モータ式の駆動部(14)は、制御装置(S)に信号技術的に接続されており、かつ
前記制御装置(S)は、プログラム技術的に、これにより回転する前記ローラブラシ(12)が100~3600 1/minの回転数で回転するように、好ましくは、前記モータ式の駆動部(14)と、回転する前記ローラブラシ(12)との間に伝動機構が配置されているように、構成されている、
ことを特徴とする、上記1又は2の装置(10)。
4.
回転する前記ローラブラシ(12)は、前記モータ式の駆動部(14)により1200~1800 1/minの回転数で回転することを特徴とする、上記3の装置(10)。
5.
回転する前記ローラブラシ(12)は、前記帯材材料(B)の帯材進行方向(T)に対して横方向で往復可動に配置されていることを特徴とする、上記1から4のいずれか一つの装置(10)。
6.
回転する前記ローラブラシ(12)は、前記帯材材料(B)の帯材進行方向(T)に対して平行に往復可動に配置されていることを特徴とする、上記1から5のいずれか一つの装置(10)。
7.
回転する前記ローラブラシ(12)は、前記帯材材料(B)の一方の側に配置されており、前記帯材材料(B)の、反対側に位置する側に、かつ前記ローラブラシ(12)に対して一直線に並んで、前記帯材材料(B)と接触して存在する支持ロールが配置されていることを特徴とする、上記1から6のいずれか一つの装置(10)。
8.
回転する各ローラブラシ(12)に隣接して、かつ前記帯材材料(B)の同じ側に、少なくとも1つのクリーニング装置(16)が設けられており、前記クリーニング装置(16)により、前記帯材材料(B)の、回転する前記ローラブラシ(12)が接触して存在する表面が、クリーニング可能であり、前記クリーニング装置(16)により、圧縮空気が、前記帯材材料(B)の隣接する前記表面に対して、かつ/又は負圧が、前記帯材材料(B)の前記表面に隣接して、発生可能であることを特徴とする、上記1から7のいずれか一つの装置(10)。
9.
前記クリーニング装置(16)は、進入領域と退出領域とを有するハウジング(15)を有し、前記帯材材料(B)は、前記ハウジング(15)を通して前記進入領域から前記退出領域に向かって帯材進行方向(T)に沿って可動であり、前記ハウジング(15)は、周囲に対して遮蔽されていることを特徴とする、上記8の装置(10)。
10.
前記クリーニング装置(16)と、回転する前記ローラブラシ(12)とは、1つの構成ユニットにまとめられており、回転する前記ローラブラシ(12)は、前記ハウジング(15)内にカプセル化されて収容されていることを特徴とする、上記8又は9の装置(10)。
11.
前記帯材材料(B)の帯材進行方向(T)に沿って、かつ前記帯材材料(B)の同じ側に、回転する複数のローラブラシ(12)が配置されており、好ましくは、複数の前記ローラブラシ(12)は、それぞれ、固有のモータ式の駆動部(14)と、固有の高さ調節装置(11)とを装備していることを特徴とする、上記1から10のいずれか一つの装置(10)。
12.
前記帯材材料(B)の帯材進行方向(T)で見て相前後して配置されている回転する2つ以上のローラブラシ(12)が、前記ローラブラシ(12)の長手方向延在に沿ってセグメントに区分されており、それにより、毛を含む領域(12m)と毛のない領域(12f)とが交番することを特徴とする、上記11の装置(10)。
13.
前記帯材材料(B)の帯材幅にわたって複数の個別ブラッシングロール(12E)が配置されており、好ましくは、前記個別ブラッシングロール(12E)は、それぞれ、固有のモータ式の駆動部(14)を有し、前記帯材材料(B)の方向で、すなわち前記帯材材料(B)に対して間隔を置いて互いに独立的に調整可能であることを特徴とする、上記11又は12の装置(10)。
14.
表面検査装置(18)を備え、
前記表面検査装置(18)は、エラー検出装置と制御装置(S)とを有する帯材トラッキングシステムを有し、前記エラー検出装置により、前記帯材材料(B)の、回転する前記ローラブラシ(12)を接触させることが可能な前記表面上の表面エラーの種類及び位置あるいはポジションが検知可能であり、この又はこれらの情報に基づき、回転する前記ローラブラシ(12)は、前記制御装置(S)により動作制御可能であることを特徴とする、上記1から13のいずれか一つの装置(10)。
15.
回転する前記ローラブラシ(12)用のブラシ毛部(13)は、硬化された特殊鋼から製造されており、好ましくは、前記ブラシ毛部の個々の毛あるいはフィラメント(13)の引っ張り強さは、少なくとも200MPa/mm
2
であり、好ましくは、800MPa/mm
2
より大きいことを特徴とする、上記1から14のいずれか一つの装置(10)。
16.
NE金属からなる連続的な帯材材料(B)の少なくとも1つの表面を加工する方法であって、
前記帯材材料(B)を帯材進行方向(T)で動かし、回転する少なくとも1つのローラブラシ(12)を前記ローラブラシ(12)の胴中長さでもって前記帯材材料(B)の少なくとも1つの表面と接触させ、モータ式の駆動部(14)により駆動する、
方法において、
回転する前記ローラブラシ(12)を前記モータ式の駆動部(14)により駆動させ、100~3600 1/minの回転数で回転させる、
ことを特徴とする、
NE金属からなる連続的な帯材材料(B)の少なくとも1つの表面を加工する方法。
17.
回転する前記ローラブラシ(12)を前記モータ式の駆動部(14)により、1200~1800 1/minの回転数で回転させることを特徴とする、上記16の方法。
18.
回転する前記ローラブラシ(12)を、ブラッシング中、前記帯材材料(B)の前記帯材進行方向(T)に対して横方向で並進的に往復動させることを特徴とする、上記16又は17の方法。
19.
回転する前記ローラブラシ(12)を前記帯材材料(B)の前記帯材進行方向(T)に対して横方向で、5mm~200mm、好ましくは、5mm~100mmの振幅で、かつ0.005Hz~5Hz、好ましくは、0.01Hz~5Hzの振動数で動かすことを特徴とする、上記18の方法。
20.
回転する前記ローラブラシ(12)を、ブラッシング中、前記帯材材料(B)の前記帯材進行方向(T)に対して平行に並進的に往復動させることを特徴とする、上記16から19のいずれか一つの方法。
21.
回転する前記ブラシを前記帯材材料(B)の帯材進行方向(T)で、10mm~200mmの振幅で、かつ0.2Hz~5Hzの振動数で動かすことを特徴とする、上記20の方法。
22.
前記帯材材料(B)の前記帯材進行方向(T)で見て、回転する前記ローラブラシ(12)の上流に配置されていて、エラー検出装置と制御装置(S)とを有する帯材トラッキングシステムを有する表面検査装置(18)を設け、前記エラー検出装置により、前記帯材材料(B)の、回転する前記ローラブラシ(12)が接触する前記表面上の表面エラーの種類及び位置あるいはポジションを検知し、この又はこれらの情報に応じて、回転する前記ローラブラシ(12)を前記制御装置(S)により動作制御することを特徴とする、上記18から21のいずれか一つの方法。
23.
回転する1つ又は複数の前記ローラブラシ(12)を動作制御する流れの中で、前記ローラブラシ(12)の回転数、前記帯材材料(B)に対する圧接力、前記帯材材料(B)の前記帯材進行方向(T)に対して横方向での運動及び/又は前記帯材材料(B)の前記帯材進行方向(T)での運動を調整あるいは変更し、ひいては、回転する前記ローラブラシ(12)と前記帯材材料(B)との間の、前記帯材進行方向(T)に対して横方向での相対速度及び/又は前記帯材進行方向(T)に対して平行な相対速度も調整あるいは変更することを特徴とする、上記22の方法。
24.
回転する1つ又は複数の前記ローラブラシ(12)の前記動作制御を前記制御装置(S)により、前記エラー検出装置により検知した前記表面エラーに応じて、閉ループ制御回路の形態で、ひいては閉ループ制御して実施することを特徴とする、上記22又は23の方法。
25.
上記1から15のいずれか一つの装置(10)により実施することを特徴とする、上記16から24のいずれか一つの方法。
【国際調査報告】