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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】熱交換器の異常動作条件の検出
(51)【国際特許分類】
   F28F 27/00 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
F28F27/00 511G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502015
(86)(22)【出願日】2022-07-14
(85)【翻訳文提出日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 US2022073734
(87)【国際公開番号】W WO2023288272
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/222,619
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508147326
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤナン・ラマクリシュナン
(57)【要約】
熱交換器の異常動作条件を検出する方法が提供される。この方法は、熱交換器を通る実際の電流を判定することと、実際の電流を使用して異常動作条件を示すことと、障害状態を宣言することとを含む。ベースライン電流を実際の電流と比較する工程は、実際の電流を正規化することと、正規化された実際の電流とベースライン電流との間の差を計算することと、差が0より小さいと判定することとを含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器の異常動作条件を検出する方法であって:
熱交換器を通る実際の電流を判定することと;
実際の電流を使用して異常動作条件を示すことと;
障害状態を宣言することとを含む前記方法。
【請求項2】
ベースライン電流を判定することをさらに含み、実際の電流を使用して異常動作条件を示す工程は、ベースライン電流を実際の電流と比較することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ベースライン電流を判定する工程は:
ベースライン条件下で熱交換器を動作させることと;
熱交換器を通る電流を測定することとを含み、ここで、熱交換器を通る電流はベースライン電流である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ベースライン条件は、完全にプライミングされた熱交換器が最大デューティ負荷下でコールドスタートから起動することである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ベースライン条件は、異常動作条件の特定のタイプを表し、障害状態を宣言することは、異常動作条件の特定のタイプを宣言することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
異常動作条件の1つまたはそれ以上のタイプは、未プライミング、一部プライミング済み、およびプライミング済みからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ベースライン電流を実際の電流と比較する工程は:
実際の電流を正規化することと;
正規化された実際の電流とベースライン電流との間の差を計算することと;
差が0より小さいと判定することと;
ベースライン信号対雑音比を判定することと;
実際の信号対雑音比を計算することと;
実際の信号対雑音比をベースライン信号対雑音比と比較することと;
実際の信号対雑音比がベースライン信号対雑音比より大きいと判定することとを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
実際の電流を使用して異常動作条件を示す工程は:
ベースライン温度を判定することと;
熱交換器の基準温度抵抗および熱交換器の熱電気抵抗係数を判定することと;
実際の電流、熱交換器の基準温度抵抗、および熱交換器の熱電気抵抗係数を使用して、熱交換器の実際の温度を計算することと;
熱交換器の実際の温度がベースライン温度より大きいと判定することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ベースライン温度は、異常動作条件の特定のタイプを表し、障害状態を宣言することは、異常動作条件の特定のタイプを宣言することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
異常動作条件のタイプは、未プライミング、一部プライミング済み、およびプライミング済みからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
障害状態を宣言する工程は、グラフィカルインターフェースを介して、障害状態が存在するという視覚的な標示を表示することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
熱交換器を自動的にシャットオフすること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
適切に機能するために熱交換器に依拠する機器をシャットオフすること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
熱交換器の異常動作条件を検出するためのシステムであって:
熱交換器と;
該熱交換器に電力を供給するように構成された駆動回路であって、熱交換器を通る電流を測定するように構成された電流測定デバイスを含む駆動回路と;
プロセッサであって:
熱交換器を通る実際の電流を判定し、
実際の電流を使用して異常動作条件を示し、
障害状態を宣言するように構成されたプロセッサと;
障害状態が宣言されたという標示を表示するように構成されたグラフィカルディスプレイとを含む前記システム。
【請求項15】
電流測定デバイスはセンス抵抗器である、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
プロセッサは、実際の電流を使用して異常動作条件を示す工程のために、ベースライン電流を判定し、ベースライン電流を実際の電流と比較するようにさらに構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
プロセッサは、実際の電流を使用して異常動作条件を示す工程のために:
実際の電流を正規化し;
正規化された実際の電流とベースライン電流との間の差を計算し;
差が0より小さいと判定するようにさらに構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
プロセッサは、実際の電流を使用して異常動作条件を示す工程のために:
ベースライン温度を判定し;
熱交換器の基準温度抵抗および熱交換器の熱電気抵抗係数を判定し;
実際の電流、熱交換器の基準温度抵抗、および熱交換器の熱電気抵抗係数を使用して、熱交換器の実際の温度を計算し;
熱交換器の実際の温度がベースライン温度より大きいと判定するようにさらに構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
熱交換器の基準温度抵抗および熱交換器の熱電気抵抗係数を判定する工程は:
複数のデューティ条件下で熱交換器を動作させ;
複数のデューティ条件の各々に対する電流および温度を測定し;
測定された電流および温度を使用して、熱交換器の基準温度抵抗および熱交換器の熱電気抵抗係数を計算するように、プロセッサをさらに構成する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
熱交換器の障害状態を検出するように構成されたコンピュータプログラム製品であって、プログラム命令が共に具体化されるコンピュータ可読記憶媒体を含み、プログラム命令は、プロセッサに:
熱交換器を動作させ;
熱交換器を通る実際の電流を判定させ;
実際の電流を使用して異常動作条件を示させ;
障害状態を宣言させ;
障害状態が宣言されたという標示を表示させるように、プロセッサによって実行可能である、前記コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月16日に出願された「DETECTION OF ABNORMAL HEAT EXCHANGER OPERATING CONDITION」という名称の米国特許仮出願第63/222,619号の利益を主張するものであり、その開示をあらゆる目的で全体として参照によって本明細書に組み入れる。
【0002】
本明細書に記載する主題は、一般に、熱交換器の異常動作条件を検出する方法に関し、より詳細には、洗浄ヒータの障害状態を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
生体外診断医療デバイス(IVD)の環境では、洗浄ヒータによって所望の温度に温められた洗浄液によってプローブが洗浄される。ヒータは、リザーバからヒータ内へ流体を引き込む真空ポンプによってプライミングされる。完全かつ適切にプライミングされたとき、流体内にはほとんどまたはまったく気泡が存在せず、ヒータの出口に位置するサーミスタが、流体の温度を正確に感知することができる。
【0004】
多くの理由で、ヒータは適切にプライミングされないことがある。ヒータは、プライミングが不適切であることがあり、またはまったくプライミングされていないことがある。ヒータが適切にプライミングされていたとしても、漏れまたは他の要因によってそのプライミングを損なっている可能性がある。
【0005】
原因にかかわらず、プライミングが不適切であるヒータの流体内には、気泡または空気ポケットが存在する。これらの気泡および空気ポケットの存在により、2つの状況が発生する。1つ目の状況として、熱交換器の加熱要素と流体との間の熱伝達が低減される。2つ目の状況として、サーミスタが流体の温度を正確に感知することができず、実際の温度より低い温度を読み取る。それに応答して、システムは、流体の温度を上昇させるように動作し続ける。その結果、ヒータは過熱し始めて、最終的にヒータの損傷を引き起こす。
【0006】
ヒータが過熱し始める前に、ヒータのプライミングが不適切であることを検出できることが望ましいであろう。これは、ヒータに圧力センサを追加して異常な流れを検出することによって実現することもできるが、既存の機器のみを使用して検出を行うことができると好ましいであろう。理想的には、ヒータが既存のソフトウェアおよびハードウェア構成で容易に実装されるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
理想的な検出システムは、高感度かつ正確であるはずである。理想的な検出システムは即時的なものでもあるはずであり、したがって損傷する前にヒータをシャットオフすることができる。理想的な検出システムはまた、現場監視を可能にすることになる。さらに、理想的な検出システムは、障害状態が発生したことを示すだけでなく、障害状態のタイプも示すことになる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
いくつかの実施形態では、熱交換器の異常動作条件を検出する方法が提供される。いくつかの実施形態では、この方法は、熱交換器を通る実際の電流を判定することと、実際の電流を使用して異常動作条件を示すことと、障害状態を宣言することとを含む。
【0009】
他の実施形態では、この方法は、ベースライン電流を判定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、実際の電流を使用して異常動作条件を示す工程は、ベースライン電流を実際の電流と比較することを含む。
【0010】
他の実施形態では、ベースライン電流を判定する工程は、ベースライン条件下で熱交換器を動作させることと、熱交換器を通る電流を測定することとを含む。いくつかの実施形態では、ベースライン条件下で動作する熱交換器を通る電流がベースライン電流である。
【0011】
他の実施形態では、ベースライン条件は、完全にプライミングされた熱交換器が最悪条件および最大デューティ負荷下でコールドスタートから起動することである。
【0012】
他の実施形態では、ベースライン電流を実際の電流と比較する工程は、実際の電流を正規化することと、正規化された実際の電流とベースライン電流との間の差を計算することと、差が0より小さいと判定することとを含む。いくつかの実施形態では、この工程は、ベースライン信号対雑音比を判定することと、実際の信号対雑音比を計算することと、実際の信号対雑音比をベースライン信号対雑音比と比較することと、実際の信号対雑音比がベースライン信号対雑音比より大きいと判定することとをさらに含む。
【0013】
他の実施形態では、ベースライン条件は、異常動作条件の特定のタイプを表す。いくつかの実施形態では、異常動作条件の特定のタイプが宣言される。
【0014】
他の実施形態では、異常動作条件の1つまたはそれ以上のタイプは、未プライミング、一部プライミング済み、およびプライミング済みからなる群から選択される。
【0015】
いくつかの実施形態では、実際の電流を使用して異常動作条件を示す工程は、ベースライン温度を判定することと、熱交換器の基準温度抵抗および熱電気抵抗係数を判定することとを含む。いくつかの実施形態では、この工程は、熱交換器の基準温度抵抗および熱電気抵抗係数を使用して実際の温度を計算することと、熱交換器の実際の温度がベースライン温度より大きいと判定することとをさらに含む。
【0016】
他の実施形態では、ベースライン温度は、異常動作条件の特定のタイプを表す。いくつかの実施形態では、異常動作条件の特定のタイプが宣言される。
【0017】
他の実施形態では、異常動作条件は、未プライミング、一部プライミング済み、およびプライミング済みからなる群から選択される。
【0018】
他の実施形態では、障害状態を宣言する工程は、グラフィカルインターフェースを介して、障害状態が存在するという視覚的な標示を表示することを含む。
【0019】
他の実施形態では、この方法は、熱交換器を自動的にシャットオフすることをさらに含む。
【0020】
他の実施形態では、この方法は、適切に機能するために熱交換器に依拠する機器をシャットオフすることをさらに含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、熱交換器の異常動作条件を検出するためのシステムが提供される。いくつかの実施形態では、システムは、熱交換器と、電流測定デバイスを有する駆動回路と、プロセッサと、グラフィカルディスプレイとを含む。いくつかの実施形態では、駆動回路は、熱交換器を駆動するように構成される。いくつかの実施形態では、電流測定デバイスは、駆動回路を通る、したがって熱交換器を通る電流を測定するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサは、熱交換器を動作させ、熱交換器を通る実際の電流を判定し、実際の電流を使用して異常動作条件を示し、障害状態を宣言するように構成される。いくつかの実施形態では、グラフィカルディスプレイは、障害状態が宣言されたという標示を表示するように構成される。
【0022】
他の実施形態では、電流測定デバイスはセンス抵抗器である。
【0023】
他の実施形態では、プロセッサは、ベースライン電流を判定するようにさらに構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサは、実際の電流を使用して異常動作条件を示す工程のために、ベースライン電流を実際の電流と比較するようにさらに構成される。
【0024】
他の実施形態では、プロセッサは、実際の電流を使用して異常動作条件を示す工程のために、電流を正規化し;実際の電流とベースライン電流との間の差を計算し;差が0より小さいと判定するようにさらに構成される。
【0025】
他の実施形態では、プロセッサは、実際の電流を使用して異常動作条件を示す工程のために、ベースライン温度を判定し、熱交換器の基準温度抵抗および熱電気抵抗係数を判定するようにさらに構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサは、実際の電流、基準温度抵抗、および熱電気抵抗係数を使用して、熱交換器の実際の温度を計算し、実際の温度がベースライン温度より大きいと判定するようにさらに構成される。
【0026】
他の実施形態では、プロセッサは、熱交換器の基準温度抵抗および熱電気抵抗係数を判定する工程のために、複数のデューティ条件下で熱交換器を動作させ;デューティ条件の各々に対する電流および温度を測定し;測定された電流および温度を使用して、熱交換器の基準温度抵抗および熱電気抵抗係数を計算するようにさらに構成される。
【0027】
いくつかの実施形態では、熱交換器の障害状態を検出するように構成されたコンピュータプログラムが提供される。いくつかの実施形態では、コンピュータプログラムは、プログラム命令が共に具体化されるコンピュータ可読記憶媒体を含む。いくつかの実施形態では、プロセッサによって実行可能なプログラム命令は、熱交換器を通る実際の電流を判定させ、実際の電流を使用して異常動作条件を示させ、障害状態を宣言させ、障害状態が宣言されたという標示を表示させる。
【0028】
本発明の追加の構成および利点は、添付の図面を参照しながら進行する例示的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0029】
本発明の上記および他の態様は、添付の図面と併せて読めば、以下の詳細な説明から最もよく理解される。本発明を例示する目的で、これらの図面には、現在好ましい実施形態が示されているが、本発明は、開示される特有の手段に限定されるものではないことが理解されよう。図面には以下の図が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】洗浄ヒータ回路の一実施形態の図である。
図2】熱交換器を駆動する駆動回路の一例の図である。
図3】熱交換器を駆動する駆動回路の別の例の図である。
図4】熱交換器の異常動作条件を検出する方法の一実施形態の図である。
図5】実際の電流をベースライン電流と比較することによって熱交換器の異常動作条件を検出する方法の一実施形態の図である。
図6】計算された実際の温度をベースライン温度と比較することによって熱交換器の異常動作条件を検出する方法の一実施形態の図である。
図7】熱交換器の障害状態を検出するためのシステムの一実施形態の図である。
図8】本発明の実施形態を実装することができる例示的なコンピューティング環境を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示は、熱交換器の異常動作条件を検出するための方法、熱交換器の異常動作条件を検出するためのシステム、および熱交換器の異常動作条件を検出するためのコンピュータプログラム製品について説明する。
【0032】
図1は、洗浄ヒータ回路100の一実施形態の図である。洗浄液が、真空ポンプ170によって洗浄液リザーバ110から洗浄ヒータ130内へ引き込まれる。洗浄液は、所望の温度に到達した後、洗浄プローブ吐出システム180へ送られる。洗浄液は、洗浄プローブ181を通って洗浄プローブ吐出システム180を出て、キュベット190に入る。このようにして、キュベット190が、温められた洗浄液で洗浄される。
【0033】
図1に示すように、洗浄ヒータ130の出口にサーミスタ131が設けられる。上記で論じたように、このサーミスタ131は、プライミングが不適切である洗浄ヒータ130において、不自然に低い温度を読み取る(すなわち、測定される温度が実際の温度より低い)。
【0034】
熱交換器は、パルス幅変調(「PWM」)ドライブによって電力供給することができる。多くの場合、これらのPWMドライブはセンス抵抗器を有する。たとえば、図2は、熱交換器230を駆動する駆動回路200の一例である。この例では、Hブリッジ回路を使用する。この回路は、4つのトランジスタ215a、215b、215c、および215dを収容する。各トランジスタは、付随するベース端子(216a、216b、216c、216d)を有し、これらのベース端子には、スイッチングシーケンスのためのPWM制御論理に基づくPWM制御信号が印加され、そのスイッチング速度は、コントローラによって計算されるデューティサイクルによって決定される。トランジスタ215aおよび215bに217aおよび217bから正の電位が印加される。この回路は、トランジスタ215aおよび215cがオン、トランジスタ215bおよび215dがオフの状態で動作することができる。この回路はまた、トランジスタ230bおよび230cがオフ、トランジスタ230aおよび230dがオンの状態で動作することができる。この回路を通る電流は、センス抵抗器221によって測定される。回路接地は201である。
【0035】
図3は、熱交換器330を駆動することができる駆動回路300の別の例である。この実施形態では、駆動回路は、熱交換器を駆動するためのPWMドライブ320に対するハーフHブリッジ回路である。この回路は、2つのトランジスタ315eおよび315fを収容する。この回路はまた、熱交換器330の出力に位置するサーミスタ331と、信号調整要素341と、アナログデジタル変換器342と、デジタルローパスフィルタ343と、ヒータ基準温度要素344と、コントローラ310と、PWMドライブ320とを含む。いくつかの実施形態では、コントローラ310は、比例-積分-微分(「PID」)コントローラである。この回路を通る電流は、センス抵抗器321によって測定される。
【0036】
上記2つの例は、熱交換器を駆動することができる駆動回路の例を提供するが、本明細書の主題は、これら2つの例によって限定されるものではない。
【0037】
実際の電流をベースライン電流と比較することによって、障害条件を検出することができる。熱交換器の抵抗は、その温度が上昇するにつれて増大する。オームの法則に従って、一定の電源を想定すると、温度が上昇することによって熱交換器の抵抗が増大したとき、熱交換器を通る電流は減少する。ベースライン電流が分かっている場合、実際の電流がベースライン電流より小さいことで、熱交換器の障害条件を示すことができる。
【0038】
加えて、実際の温度をベースライン温度と比較することによって、障害条件を検出することができる。プライミングが不適切であると熱交換器の温度が上昇するため、熱交換器の実際の温度は、障害条件を示すことができる。上記で論じたように、熱交換器の出口に位置するサーミスタは、適切にプライミングされていない熱交換器の正確な温度の読取りを提供することはできない。しかし、回路を通る電力および電流が分かっている場合、実際の温度を計算することができる。
【0039】
熱交換器の抵抗は、次のように画成される:
R(T)=RRef・(1+α・[THtr-TRef])
【0040】
ここで、R(T)は特定の温度における熱交換器の抵抗であり、RRefは基準点における抵抗であり、αは熱交換器の熱電気抵抗係数であり、THtrは熱交換器の実際の温度であり、TRefは基準点における熱交換器の温度である。この数式をオームの法則に代入して解くと、熱交換器の実際の温度を得ることができる:
V=I・R
V=I・RRef・(1+α・[THtr-TRef])
【数1】
【0041】
ここで、γはデューティサイクルであり、VPsは熱交換器への最大電力入力であり、IHtrは実際の電流であり、αは熱交換器の熱電気抵抗係数である。これらの値がすべて分かっている場合、熱交換器の実際の温度を計算し、ベースライン温度と比較することができる。
【0042】
本明細書の主題は、これらの現象の実際的な応用例を開示する。
【0043】
熱交換器の異常動作条件を検出する方法
本開示のいくつかの実施形態は、熱交換器を通る実際の電流を使用して熱交換器の障害状態を検出する方法を対象とする。
【0044】
図4は、熱交換器の異常動作条件を検出する方法の一実施形態の図である。いくつかの実施形態では、この方法は、工程410で、熱交換器を通る実際の電流を判定することと、工程420で、実際の電流を使用して異常動作条件を示すことと、工程430で、障害状態を宣言することとを含む。
【0045】
熱交換器の異常動作条件を検出する方法:電流閾値
本開示のいくつかの実施形態は、実際の電流をベースライン電流と比較することによって熱交換器の障害状態を検出する方法を対象とする。
【0046】
図5は、実際の電流をベースライン電流と比較することによって熱交換器の異常動作条件を検出する方法500の一実施形態の図である。いくつかの実施形態では、この方法は、較正工程および検出工程を有する。いくつかの実施形態では、較正は、工程510で、ベースライン条件下で熱交換器を動作させることと、工程520で、それらの条件下で熱交換器を通る電流を測定してベースライン電流を取得することとを含む。好ましい実施形態では、ベースライン条件は、適切にプライミングされた熱交換器が最悪条件および最大デューティ負荷下でコールドスタートから起動することである。いくつかの実施形態では、この電流がベースライン電流を表す。
【0047】
いくつかの実施形態では、最大デューティサイクルは、ヒータ要素抵抗の変動、電源電圧の変動、周囲環境温度の変動、および他の不特定性を考慮することが必要とされる最大温度上昇(「ランプアップ」)である。いくつかの実施形態では、これらの変動は、複数の熱交換器にまたがると考えられ、熱交換器間の変動も考えられる。許容可能な最大デューティサイクルは、典型的には事前に設定される。いくつかの応用例では、設定された期間より長い期間にわたって最大デューティサイクルに留まった場合、熱交換器はシャットオフされる。いくつかの実施形態では、最大デューティサイクルは最悪条件と同じである。
【0048】
いくつかの実施形態では、ベースライン条件下の熱交換器の平均電流に基づいてベースライン電流を計算するために、較正工程を複数の熱交換器で実行することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、検出工程は、工程530、540、および550を含む。いくつかの実施形態では、工程530で、熱交換器を通る実際の電流が実際の動作条件下で測定される。他の実施形態では、実際の電流は、ある期間にわたってまたはいくつかの時点で測定された実際の電流の平均である。
【0050】
いくつかの実施形態では、工程540で、熱交換器を通る実際の電流がベースライン電流と比較される。いくつかの実施形態では、実際の電流をベースライン電流と比較することは、ベースライン電流と実際の電流との間の変化を計算することを含む。いくつかの実施形態では、数式は次のとおりである:
【数2】
【0051】
ここで、ΔIは電流の変化であり、γmaxは最大デューティサイクルであり、γは実際のデューティサイクルであり、IHtr(t)は熱交換器の実際の電流であり、
【数3】
はベースライン電流である。ベースライン電流が最悪条件下で得られるため、システムが障害状態を適切に宣言することが可能になるように、実際の電流を実際のデューティサイクルに正規化しなければならない。これは、上式に示すように、最大デューティ負荷を実際のデューティ負荷で割った値に掛けることによって行うことができる。電流の変化が負の値を有する場合、信号対雑音比を計算し、信号対雑音閾値と比較することができる。いくつかの実施形態では、信号対雑音比は、次の数式に従って計算される:
【数4】
【0052】
ここで、SNRは実際の信号対雑音比であり、ΔIは電流の変化であり、
【数5】
は較正工程中に測定される電流の標準偏差である。いくつかの実施形態では、信号対雑音比が信号対雑音閾値より大きい場合、障害状態が宣言される。好ましい実施形態では、信号対雑音閾値は7dBである。
【0053】
上述した実施形態では、正規化された実際の電流をベースライン電流と比較して、障害状態を宣言する。しかし、この方法を使用して、障害状態のタイプ、たとえば未プライミング、一部プライミング済み、またはプライミング済みを示すこともできる。それらの実施形態では、ベースライン電流が各障害状態に関連付けられており、たとえば未プライミングベースライン電流、一部プライミング済みベースライン電流、およびプライミング済みベースライン電流とされる。正規化された実際の電流をこれらのベースライン電流の各々と比較し、特定の障害状態を宣言することができる。これにより、熱交換器の現場監視が可能になる。
【0054】
障害状態が宣言された後、いくつかの実施形態は、障害状態の視覚的または音声的な標示を提供することをさらに含む。たとえば、いくつかの実施形態では、警報を鳴らすことができる。いくつかの実施形態では、光が点滅し、または黄色になる。他の実施形態では、「障害状態」などの語句が、グラフィカルユーザインターフェースに表示される。障害状態のタイプを示す実施形態では、「未プライミング」、「一部プライミング済み」、「プライミング済み」などの語句を、グラフィカルインターフェースに表示することができる。他の実施形態では、障害状態のタイプを示すために他のインジケータを使用することもできる。いくつかの実施形態では、障害状態を示したとき、この方法は、熱交換器を自動的にシャットオフすることをさらに含む。さらに他の実施形態では、この方法は、下流の機器に信号を送信することをさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法は、下流の機器をシャットオフすることをさらに含む。
【0055】
熱交換器の異常動作条件を検出する方法:温度閾値
本開示のいくつかの実施形態は、計算された実際の温度をベースライン温度と比較することによって熱交換器の異常動作条件を検出する方法を対象とする。
【0056】
図6は、計算された実際の温度をベースライン温度と比較することによって熱交換器の異常動作条件を検出する方法600の一実施形態の図である。いくつかの実施形態では、この方法は、較正工程および検出工程を有する。いくつかの実施形態では、較正工程は、工程610および620を含む。いくつかの実施形態では、較正工程は、工程610で、ベースライン温度を判定することを含む。いくつかの実施形態では、較正工程は、工程620で、熱交換器の基準温度抵抗および熱電気抵抗係数を判定することを含む。熱交換器の基準温度抵抗は、基準温度における熱交換器の抵抗である。いくつかの実施形態では、工程620は、異なるデューティサイクル条件下で熱交換器を動作させることと、それらの異なるデューティ条件下で熱交換器の電流および温度を測定することと、それらの値を使用して、熱交換器の基準温度抵抗および熱電気抵抗係数を推定することとを含む。他の実施形態では、熱交換器の基準温度抵抗および熱電気抵抗係数は分かっている。
【0057】
いくつかの実施形態では、熱交換器の平均基準温度抵抗および熱電気抵抗係数を推定するために、工程610および620を複数の熱交換器で実行することができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、検出工程は、工程630で、実際の動作条件下で熱交換器を通る実際の電流を測定することを含む。他の実施形態では、実際の電流は、ある期間にわたってまたはいくつかの時点で測定された実際の電流の平均である。いくつかの実施形態では、工程640で、次の数式に従って、実際の電流を使用して実際の温度を計算する:
【数6】
【0059】
ここで、THtrは実際の温度であり、γは実際のデューティサイクルであり、VPsはヒータへの最大電力入力であり、IHtrは実際の電流であり、RRefは熱交換器の基準温度抵抗であり、αは熱交換器の熱電気抵抗係数であり、TRefは基準点における熱交換器の温度である。いくつかの実施形態では、較正工程中に推定された熱交換器の基準温度抵抗および熱電気抵抗係数は、RRefおよびαとして使用される。他の実施形態では、基準温度抵抗および熱電気抵抗係数は事前に分かっており、したがって較正プロセスによって推論する必要はない。
【0060】
いくつかの実施形態では、工程650で、実際の温度がベースライン温度と比較される。いくつかの実施形態では、工程660で、実際の温度が温度閾値を超過した場合、工程670で、障害状態が宣言される。
【0061】
上述した実施形態では、計算された実際の温度をベースライン温度と比較して、障害状態を宣言する。しかし、この方法を使用して、障害状態のタイプ、たとえば未プライミング、一部プライミング済み、またはプライミング済みを示すこともできる。それらの実施形態では、ベースライン温度が各障害状態に関連付けられており、たとえば未プライミングベースライン温度、一部プライミング済みベースライン温度、およびプライミング済みベースライン温度とされる。計算された実際の温度をこれらのベースライン温度と比較し、特定の障害状態を宣言することができる。これにより、熱交換器の現場監視が可能になる。
【0062】
障害状態が宣言された後、いくつかの実施形態は、障害状態の視覚的または音声的な標示を提供することをさらに含む。たとえば、いくつかの実施形態では、警報を鳴らすことができる。いくつかの実施形態では、光が点滅し、または黄色になる。他の実施形態では、「障害状態」などの語句が、グラフィカルユーザインターフェースに表示される。障害状態のタイプを示す実施形態では、「未プライミング」、「一部プライミング済み」、「プライミング済み」などの語句を、グラフィカルインターフェースに表示することができる。他の実施形態では、障害状態のタイプを示すために他のインジケータを使用することもできる。いくつかの実施形態では、障害状態を示したとき、この方法は、熱交換器を自動的にシャットオフすることをさらに含む。さらに他の実施形態では、この方法は、下流の機器に信号を送信することをさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法は、下流の機器をシャットオフすることをさらに含む。
【0063】
熱交換器の異常動作条件を検出する方法:電流および温度閾値
いくつかの実施形態では、これらの方法の両方が使用される。いくつかの実施形態では、一方の方法で障害状態が感知された場合、障害状態が宣言される。他の実施形態では、両方の方法で障害状態が感知された場合、障害状態が宣言される。
【0064】
熱交換器の異常動作条件を検出するためのシステム
本開示の他の実施形態は、熱交換器の障害状態を検出するシステムを対象とする。いくつかの実施形態では、システムは、熱交換器と、電流測定要素を有する駆動回路と、プロセッサと、グラフィカルディスプレイとを含む。
【0065】
熱交換器は、流体を加熱または冷却するように構成される。熱交換器は限定されるものではない。たとえば、熱交換器は、抵抗加熱要素を有する任意のタイプのヒータとすることができる。好ましい実施形態では、熱交換器は、洗浄液を加熱するように構成された洗浄液ヒータである。他の実施形態では、熱交換器は、ペルチェ効果を使用して流体を冷却する熱電気デバイスとすることができる。そのような実施形態では、ベースラインに対する必要な電流の変化、または事前較正された基準値に対するペルチェ係数の推定される変化を使用して、上述したように異常動作条件を検出することができる。
【0066】
駆動回路は、熱交換器を駆動するように構成される。駆動回路は電流測定要素を含まなければならないが、それ以外の点では限定されるものではない。いくつかの実施形態では、駆動回路は、Hブリッジ回路内の1対のスイッチングトランジスタによって供給される。他の実施形態では、2つの熱交換器ユニットを同時に独立して駆動するために、フルHブリッジ回路が使用される。
【0067】
好ましい実施形態では、熱交換器は、ハーフHブリッジ回路からなるPWMドライブを使用して駆動される。いくつかの実施形態では、PWM制御信号はトランジスタのスイッチングを制御し、そのスイッチング速度は、コントローラによって計算されるデューティサイクルによって決定される。いくつかの実施形態では、鋸歯入力のような他の要素を有する比較器を使用して、PWM出力を生成することもできる。
【0068】
駆動回路は、回路を通る、したがって熱交換器を通る電流を測定する電流測定要素を含む。電流測定要素は限定されるものではない。電流測定要素は、電流を測定する任意の要素とすることができる。好ましい実施形態では、電流測定要素はセンス抵抗器である。
【0069】
図3に示すように、いくつかの実施形態では、熱交換器330は、PWMドライブ320へのハーフHブリッジ回路を使用して駆動される。回路300は、一端を+V端子に、他端を接地301に接続することができる。回路300はまた、1対のトランジスタ315eおよび315f、これらのトランジスタ間の負荷(熱交換器330)、ならびにセンス抵抗器321を含むことができる。いくつかの実施形態では、これらの要素は直列接続される。
【0070】
いくつかの実施形態では、PWMドライブは必要とされない。いくつかの実施形態では、PWM以外の電圧制御を使用することもできる。いくつかの実施形態では、PWM以外の電圧制御は、簡単なオン/オフまたはファジィ制御であり、ベースライン電流および温度と実際の電流および温度との間の誤差に応じて、DC電圧源がコントローラによって単に「オン」または「オフ」にされる。
【0071】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、本明細書に記載する方法を実装するように構成される。
【0072】
いくつかの実施形態は、グラフィカルディスプレイをさらに含む。いくつかの実施形態では、熱交換器の障害状態を検出したとき、グラフィカルディスプレイは、障害状態が宣言されたことを示す警告を使用者に表示することができる。いくつかの実施形態では、画面が「障害状態」という語句を表示する。
【0073】
図7は、熱交換器の障害状態を検出するためのシステム700の一実施形態である。この実施形態では、熱交換器730は、線762によって示すように、熱交換器730を離れる流体の実際の温度をプロセッサ740へ通信するように構成された温度センサ731をその出口に有する。プロセッサ740は、この情報を制御システム710へ通信するように構成され、制御システム710は、その情報に基づいて電流コマンド765を決定し、PWMドライブ720へ送信して熱交換器730を駆動する。プロセッサ740はまた、線764によって示すように、制御システム710へ設定点温度を通信するように構成される。
【0074】
この実施形態では、熱交換器730を駆動するPWMドライブ720は、センス抵抗器721を有する。センス抵抗器721は、PWMドライブ720を通る(したがって熱交換器730を通る)電流を感知し、線761によって示すように、その情報を制御システム710へ通信するように構成される。制御システムは次いで、線763によって示すように、その情報をプロセッサ740へ通信する。上述した方法によれば、プロセッサ740はその情報を使用して、障害状態を宣言するべきかどうかを判定する。障害状態を宣言したとき、プロセッサ740は、グラフィカルディスプレイ750と通信して、障害条件が存在するという標示をもたらすように構成される。
【0075】
コンピュータプログラム製品
本開示の他の実施形態は、熱交換器の障害状態を検出するためのコンピュータプログラム製品を対象とする。いくつかの実施形態では、コンピュータプログラム製品は、本明細書に記載する方法をプロセッサに実行させるためにプログラム命令が共に具体化されるコンピュータ可読記憶媒体を含む。
【0076】
図8は、本発明の実施形態を実装することができる例示的なコンピューティング環境800を示す。コンピューティング環境800は、コンピュータシステム810を含むことができ、コンピュータシステム810は、本発明の実施形態を実装することができるコンピューティングシステムの一例である。コンピュータシステム810およびコンピューティング環境800などのコンピュータおよびコンピューティング環境は、当業者には知られており、したがって本明細書では簡単に説明する。
【0077】
図8に示すように、コンピュータシステム810は、バス821などの通信機構、またはコンピュータシステム810内で情報を通信するための他の通信機構を含むことができる。コンピュータシステム810は、情報を処理するようにシステムバス821によって連結された1つまたはそれ以上のプロセッサ820をさらに含む。プロセッサ820は、1つまたはそれ以上の中央処理装置(CPU)、グラフィカル処理ユニット(GPU)、または当技術分野では知られている任意の他のプロセッサを含むことができる。
【0078】
コンピュータシステム810はまた、プロセッサ820によって実行予定の情報および命令を記憶するようにバス821に連結されたシステムメモリ830を含む。システムメモリ830は、読出し専用メモリ(ROM)831および/またはランダムアクセスメモリ(RAM)832などの揮発性および/または不揮発性メモリの形態のコンピュータ可読記憶媒体を含むことができる。システムメモリRAM832は、他のダイナミック記憶デバイス(たとえば、ダイナミックRAM、スタティックRAM、およびシンクロナスDRAM)を含むことができる。システムメモリROM831は、他のスタティック記憶デバイス(たとえば、プログラマブルROM、消去可能PROM、および電気的消去可能PROM)を含むことができる。加えて、システムメモリ830は、プロセッサ820による命令の実行中に一時変数または他の中間情報を記憶するために使用することができる。ROM831には、スタートアップ中などにコンピュータシステム810内の要素間で情報を伝達することを助ける基本ルーチンを収容する基本入出力システム833(BIOS)を記憶することができる。RAM832は、プロセッサ820によって即時アクセス可能かつ/または現在動作中のデータおよび/またはプログラムモジュールを収容することができる。システムメモリ830は、加えて、たとえばオペレーティングシステム834、アプリケーションプログラム835、他のプログラムモジュール836、およびプログラムデータ837を含むことができる。
【0079】
コンピュータシステム810はまた、磁気ハードディスク841およびリムーバブルメディアドライブ842(たとえば、フロッピーディスクドライブ、コンパクトディスクドライブ、テープドライブ、および/またはソリッドステートドライブ)など、情報および命令を記憶するための1つまたはそれ以上の記憶デバイスを制御するようにバス821に連結されたディスクコントローラ840を含む。記憶デバイスは、適当なデバイスインターフェース(たとえば、スモールコンピュータシステムインターフェース(SCSI)、統合デバイスエレクトロニクス(IDE)、ユニバーサルシリアルバス(USB)、またはFireWire)を使用して、コンピュータシステム810に追加することができる。
【0080】
コンピュータシステム810はまた、コンピュータの使用者に情報を表示するために、陰極線管(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイまたはモニタ866を制御するようにシステムバス821に連結されたディスプレイコントローラ865を含むことができる。コンピュータシステム810は、コンピュータの使用者と対話し、プロセッサ820に情報を提供するために、ユーザ入力インターフェース860と、キーボード862およびポインティングデバイス861などの1つまたはそれ以上の入力デバイスとを含む。ポインティングデバイス861は、たとえば、方向情報およびコマンド選択をプロセッサ820へ通信し、ディスプレイ866上のカーソルの動きを制御するためのマウス、トラックボール、またはポインティングスティックとすることができる。ディスプレイ866は、ポインティングデバイス861による方向情報およびコマンド選択の通信を補足または置換するための入力を可能にするタッチスクリーンインターフェースを提供することができる。
【0081】
コンピュータシステム810は、システムメモリ830などのメモリ内に収容された1つまたはそれ以上の命令の1つまたはそれ以上のシーケンスをプロセッサ820が実行したことに応答して、本発明の実施形態の処理工程の一部分またはすべてを実行することができる。そのような命令は、ハードディスク841またはリムーバブルメディアドライブ842などの別のコンピュータ可読媒体からシステムメモリ830内へ読み込むことができる。ハードディスク841は、本発明の実施形態によって使用される1つまたはそれ以上のデータストアおよびデータファイルを収容することができる。データストアコンテンツおよびデータファイルは、セキュリティを改善するために暗号化することができる。プロセッサ820はまた、システムメモリ830内に収容された命令の1つまたはそれ以上のシーケンスを実行するように、多重処理配置で用いることができる。代替実施形態では、ソフトウェア命令の代わりに、またはソフトウェア命令と組み合わせて、ハードワイヤード回路を使用することができる。したがって、実施形態は、ハードウェア回路およびソフトウェアのいかなる特有の組合せにも限定されるものではない。
【0082】
上述したように、コンピュータシステム810は、本明細書に提供する実施形態によってプログラムされた命令を保持し、本明細書に記載するデータ構造、表、記録、または他のデータを収容するための少なくとも1つのコンピュータ可読媒体またはメモリを含むことができる。本明細書では、「コンピュータ可読媒体」という用語は、実行のためにプロセッサ820に命令を提供することに関与する任意の媒体を指す。コンピュータ可読媒体は、それだけに限定されるものではないが、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体を含む、多くの形態をとることができる。不揮発性媒体の非限定的な例には、ハードディスク841またはリムーバブルメディアドライブ842などの光ディスク、ソリッドステートドライブ、磁気ディスク、および光磁気ディスクが含まれる。揮発性媒体の非限定的な例には、システムメモリ830などのダイナミックメモリが含まれる。伝送媒体の非限定的な例には、バス821を構成するワイヤを含む同軸ケーブル、銅線、および光ファイバが含まれる。伝送媒体はまた、無線波および赤外データ通信中に生成されるものなどの音響または光波の形態をとることができる。
【0083】
コンピューティング環境800は、遠隔コンピューティングデバイス880などの1つまたはそれ以上の遠隔コンピュータへの論理接続を使用してネットワーク環境で動作するコンピュータシステム810をさらに含むことができる。遠隔コンピューティングデバイス880は、パーソナルコンピュータ(ラップトップまたはデスクトップ)、移動デバイス、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ピアデバイス、または他の一般的なネットワークノードとすることができ、典型的には、コンピュータシステム810に関連して上述した要素の多くまたはすべてを含む。ネットワーク環境で使用されるとき、コンピュータシステム810は、インターネットなどのネットワーク871を介した通信を確立するためのモデム872を含むことができる。モデム872は、ユーザネットワークインターフェース870または別の適当な機構を介してシステムバス821に接続することができる。
【0084】
ネットワーク871は、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、直接接続もしくは直列接続、セルラー電話ネットワーク、またはコンピュータシステム810と他のコンピュータ(たとえば、遠隔コンピューティングデバイス880)との間の通信を容易にすることが可能な任意の他のネットワークもしくは媒体を含む、当技術分野では概して知られている任意のネットワークまたはシステムとすることができる。ネットワーク871は、有線、無線、またはこれらの組合せとすることができる。有線接続は、イーサネット、ユニバーサルシリアルバス(USB)、RJ-11、または当技術分野では概して知られている任意の他の有線接続を使用して実装することができる。無線接続は、Wi-Fi、WiMAX、およびBluetooth、赤外線、セルラーネットワーク、衛星、または当技術分野では概して知られている任意の他の無線接続方法を使用して実装することができる。加えて、いくつかのネットワークは、単独で機能することができ、またはネットワーク871内の通信を容易にするために互いに通信して機能することができる。
【0085】
本明細書に記載するように、様々なシステム、サブシステム、エージェント、マネージャ、およびプロセスは、ハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、および/またはこれらの組合せを使用して実装することができる。
【0086】
本発明について例示的な実施形態を参照して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の好ましい実施形態に多数の変更および修正を加えることができること、ならびにそのような変更および修正は本発明の真の精神から逸脱することなく加えることができることが、当業者には理解されよう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲に入るすべてのそのような同等の変形形態を包含すると解釈されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】