(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】車輪付き滑走器具のための電動アシスト
(51)【国際特許分類】
A63C 17/12 20060101AFI20240711BHJP
A63C 17/01 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
A63C17/12
A63C17/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502090
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-02-19
(86)【国際出願番号】 EP2022069674
(87)【国際公開番号】W WO2023285566
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524016596
【氏名又は名称】ソリマン,モハメド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ソリマン,モハメド
(57)【要約】
本発明は、少なくとも2つの車輪(104)を備える電動アシスト式車輪付き滑走器具(400)であって、車輪付き器具の運動を表す物理量の値を測定する手段(13、14)、測定された上記運動を表す物理量の値の関数として、ユーザによる器具の足推進作用に対応する推進イベントを検出する手段(15)、及び推進イベントが検出された後、パルス持続時間(pulse duration)と呼ばれる所定の期間にわたって、少なくとも1つの車輪を回転駆動するよう構成されたモータ(105)を備える。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの車輪(104)を備える、電動アシスト式車輪付き滑走器具(20、60、70、80)のためのモジュール(103)であって、前記モジュールは:
‐前記車輪付き器具の運動を表す、三相電気モータの少なくとも1つの相の電圧を測定する手段(13、14);
‐足推進イベントが検出された後、「パルス持続時間(pulse duration)」と呼ばれる所定の期間にわたって、少なくとも1つの前記車輪を回転駆動するよう構成された、前記三相電気モータ(105);並びに
‐前記三相電気モータの少なくとも1つの相の電圧値及び少なくとも1つの所定の電圧限界の関数として、推進イベントを検出する手段(15)であって、前記イベントはユーザによる前記器具の足推進に対応する、手段(15)
を備える、モジュール(103)。
【請求項2】
前記検出する手段(15)は、前記モータの各相とグランドとの間の各逆起電力を、少なくとも1つの所定の電圧限界と比較する、請求項1に記載のモジュール(103)。
【請求項3】
前記検出する手段(15)は、前記三相電気モータ(105)の少なくとも1つの相の電圧値と複数の所定の電圧限界との比較結果に従って前記ユーザのペースを検出する手段(152)も備え、各前記所定の電圧限界は、前記ユーザのある1つのペースを表す、請求項1又は2に記載のモジュール(103)。
【請求項4】
前記検出する手段(15)は、前記三相電気モータ(105)に電気エネルギを供給する信号のデューティ比を、決定された前記ペースの関数として制御する手段(151)も備える、請求項3に記載のモジュール(103)。
【請求項5】
決定された前記ペースの関数として、パルス持続時間を制御する手段を備える、請求項3又は4に記載のモジュール(103)。
【請求項6】
前記検出する手段(15)は、制動イベントを、前記三相電気モータの少なくとも1つの相の電圧の導関数の値、及び「所定の導関数限界(predefined derivative limit)」と呼ばれる少なくとも1つの所定の負の限界値の関数として検出するよう構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載のモジュール(103)。
【請求項7】
前記三相電気モータの少なくとも1つの相の電圧の前記導関数の値が前記所定の導関数限界より小さい場合に、モータブレーキを起動する手段を備える、請求項6に記載のモジュール(103)。
【請求項8】
‐運動を表す物理量の値を測定する第2の手段であって、前記器具の傾斜を表す物理量の値を測定するよう構成された、角度変化を測定する手段(14)を備える、第2の手段
を備え、また:
‐前記検出する手段(15)は、測定された前記傾斜の増大又は減少を識別するための判定手段を備え;
‐前記器具は、測定された前記傾斜の値の関数として前記モータを抑制する手段(17)を備える、請求項1~7のいずれか1項に記載のモジュール(103)。
【請求項9】
前記器具はインラインスケート(20)又はローラースケート(60)であり、前記器具は:
‐少なくとも1つの角度差を計算する手段;
‐前記角度差を所定の角度限界値と比較する手段(16)を備える、前記ユーザによる制動を表す制動イベントを検出する手段(15)であって、前記制動イベントは前記角度差が前記所定の角度限界値より大きい場合に検出される、手段(15)
も備える、請求項8に記載のモジュール(103)。
【請求項10】
前記モータ(105)の駆動速度は、制動イベントが検出されたときに低減される、請求項9に記載のモジュール(103)。
【請求項11】
前記パルス持続時間は2秒未満、好ましくは1秒未満である、請求項1~10のいずれか1項に記載のモジュール(103)。
【請求項12】
少なくとも2つの車輪(104)を備える、電動アシスト車輪付き滑走器具(20、400、60、70、80)であって、前記器具は、請求項1~11のいずれか1項に記載のモジュールを備える、電動アシスト車輪付き滑走器具(20、400、60、70、80)。
【請求項13】
1ペアの器具(20、400、60)であって、各前記器具は請求項12に記載のものであり、ここで各前記器具はインラインスケート(20)又はローラースケート(60)であり、前記1ペアの器具のうちの1つについて、測定された電圧が所定の電圧限界より大きい場合に、推進イベントが検出される、1ペアの器具(20、400、60)。
【請求項14】
各前記器具(20‐1、20‐2、400‐1、400‐2)は、他方の前記器具と通信する手段を備え、前記手段は、前記通信する手段を備える前記器具が測定した電圧を通信するよう、及び/又は前記通信する手段を備える前記器具が測定した前記電圧が前記所定の電圧限界を超えた場合に通信するよう、構成される、請求項13に記載の1ペアの器具(20、400、60)。
【請求項15】
器具の少なくとも1つの検出手段(15)は、前記1ペアの各前記器具について、下り坂又は惰行イベントを:
‐前記三相電気モータ(105)の少なくとも1つの相の電圧値、及び少なくとも1つの所定の電圧限界;並びに
‐前記三相電気モータの前記相の前記電圧の導関数の符号
の関数として検出するよう構成される、請求項13又は14に記載の1ペアの器具(20、400、60)。
【請求項16】
各前記器具は、請求項6又は7に記載のモジュールを備え、前記検出する手段(15)は、前記相の前記電圧の前記導関数の値が「所定の導関数限界」より小さい場合に、惰行イベントを検出するよう構成される、請求項15に記載の1ペアの器具(20、400、60)。
【請求項17】
少なくとも2つの車輪を備える車輪付き滑走器具(20、60、70、80)のための電動アシストの方法(300)であって、前記方法(300)は:
‐前記車輪付き器具の運動を表す、三相電気モータの少なくとも1つの相の電圧を測定するステップ(301);
‐足推進イベントが検出された後、「パルス持続時間」と呼ばれる所定の期間にわたって、少なくとも1つの前記車輪を回転駆動するよう構成された、動力化のステップ(302);並びに、
‐前記三相電気モータの少なくとも1つの相の電圧値及び少なくとも1つの所定の電圧限界の関数として、推進イベントを検出するステップ(304)であって、前記イベントはユーザによる前記器具の足推進に対応する、ステップ(304)
を含むことを特徴とする、方法(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アシスト式車輪付き滑走器具、電動アシスト式車輪付き滑走器具のためのモジュール、及び車輪付き滑走器具のための電動アシストの方法に関する。本発明は特に、スケートボード、インラインスケート、ローラースケート、及びスクーター等の車輪付き滑走器具に適用される。
【背景技術】
【0002】
現在、複数のタイプの電気推進式装置が存在する。特に、例えば電気推進を用いる「ロングボード(longboard)」又は「ロングスケート(longskate)」タイプのスクーター、スケートボードが増えている。しかしながら、電気推進式の車輪付き器具上のユーザは、コントローラの操作によって、推進のための身体的労力を少しも伴わずに前進できるようになるため、最初に練習したスポーツの感覚を完全に失う。
【0003】
また、ユーザの労力に加えて、車輪に対する電気モータの作用によってユーザが目標速度を維持するのを補助できる、電動アシスト式自転車も公知である。しかしながら、電動アシスト式自転車は一般に、クランクセットの回転速度及び/又はペダルに印加される圧力を考慮して、モータが供給するべきエネルギを推定する。更に、電動アシスト式自転車に実装される装置は、それが動かす自転車の重量と、高トルクの印加を必要とする車輪のサイズとを考慮して、大型になる。
【0004】
ある一定の速度に到達するために供給するべき電気エネルギの量を決定するために、ホバーボードはジャイロメータを、電動スケートボードは遠隔制御(時に圧力センサ)を、スクーターはハンドルバー上のトリガ又はスロットルを使用する。
【0005】
特許文献1が公知であり、これは、加速度センサを使用してユーザの運動を検出する電動アシスト式インラインスケートを開示している。
【0006】
特許文献2も公知であり、これは、負荷センサ又は運動検出を使用して、ユーザが推進運動をしていることを判定する、電動アシスト式インラインスケートを開示している。
【0007】
これら2つの方法は、信号を処理するために積分及び様々なフィルタが必要となるため、要求される計算量が多くなる。また、1つ以上の専用センサ、例えば加速度計又は慣性ユニット、負荷センサ又はユーザの足及び手首上のセンサを追加しなければならないため、費用がかかり、扱いにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/184265号
【特許文献2】米国特許出願公開第2013/282216号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、これらの欠点のうちの全部又は一部を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明は、第1の態様によると、少なくとも2つの車輪を備える、電動アシスト式車輪付き滑走器具のためのモジュールに関し、上記モジュールは:
‐上記車輪付き器具の運動を表す、三相電気モータの少なくとも1つの相の電圧を測定する手段;
‐足推進イベントが検出された後、「パルス持続時間(pulse duration)」と呼ばれる所定の期間にわたって、少なくとも1つの上記車輪を回転駆動するよう構成された、三相電気モータ;並びに
‐上記三相電気モータの少なくとも1つの相の電圧値及び少なくとも1つの所定の電圧限界の関数として、推進イベントを検出する手段であって、このイベントはユーザによる上記器具の足推進に対応する、手段
を備える。
【0011】
これらの構成により、ユーザは、例えばインラインスケート、ローラースケート、スケートボード又はスクータリングである滑走スポーツの実施に関連する、足で押す感覚を保持したまま、登坂又は長距離移動のために足で押す動作をわずかな労力で実施する際に電動アシストを随時受ける。
【0012】
更に、三相電気モータは速度を制御する手段を有し、従って少なくとも1つの電圧を測定する手段を有するため、高価なセンサを追加する必要がない。上記モジュールは加速度計を使用せずに、発電機の相の間の電圧を処理するだけで、加速が必要かどうかを判定できる。いくつかの実施形態では、上記検出手段は、上記モータの各相とグランドとの間の各逆起電力を、少なくとも1つの所定の電圧限界と比較する。
【0013】
これらの構成により、上記モータの2つの相が同時にゼロとなることが可能であるため、所定の電圧限界より大きいモータの相のうちの少なくとも1つの逆起電力に対応する推進イベントをいつでも識別できる。
【0014】
いくつかの実施形態では、上記検出手段は、上記三相モータの少なくとも1つの相の電圧値と複数の所定の電圧限界との比較結果に従って上記ユーザのペースを検出する手段も備え、各上記所定の電圧限界は、上記ユーザのある1つのペースを表す。
【0015】
これらの構成により、一回の電圧測定に基づいて、どのようなペースで、換言するとどのような速度で、上記ユーザが移動しているかを決定できる。
【0016】
いくつかの実施形態では、上記検出手段は、上記三相電気モータに電気エネルギを供給する信号のデューティ比を、決定された上記ペースの関数として制御する手段も備える。
【0017】
これらの構成により、推進イベントが検出された場合に、上記モータに供給される電力を調整して上記ユーザをアシストできる。
【0018】
いくつかの実施形態では、本発明の主題である上記モジュールは、決定された上記ペースの関数として、パルス持続時間を制御する手段も備える。
【0019】
これらの構成により、上記パルス持続時間を上記ユーザのペースに適合させることができる。これは、推進イベント中に速く進むユーザほど、足が地面に着く時間が短いため、それに応じて推進時間を調整する必要があるためである。
【0020】
いくつかの実施形態では、上記検出手段は、制動イベントを、上記三相モータの少なくとも1つの相の電圧の導関数の値、及び「所定の導関数限界(predefined derivative limit)」と呼ばれる少なくとも1つの所定の負の限界値の関数として検出するよう構成される。
【0021】
いくつかの実施形態では、上記三相モータの少なくとも1つの相の電圧の上記導関数の値が上記所定の導関数限界より小さい場合に、モータブレーキを起動する手段。
【0022】
これらの構成により、上記モータブレーキを起動して、上記ユーザの制動労力をアシストできる。
【0023】
いくつかの実施形態では、本発明の主題である上記モジュールは:
‐運動を表す物理量の値を測定する第2の手段であって、上記器具の傾斜を表す物理量の値を測定するよう構成された、角度変化を測定する手段を備える、第2の手段
を備え、また:
‐上記検出手段は、測定された上記傾斜の増大又は減少を識別するための判定手段を備え;
‐この器具は、測定された上記傾斜の値の関数として上記モータを抑制する手段を備える。
【0024】
これらの構成により、上記ユーザが坂を下るときは電動アシストが停止され、これにより、上記ユーザにとって危険な過度の速度の発生が回避される。
【0025】
いくつかの実施形態では、上記器具はインラインスケート又はローラースケートであり、上記器具は:
‐少なくとも1つの角度差を計算する手段;
‐上記角度差を所定の角度限界値と比較する手段を備える、上記ユーザによる制動を表す制動イベントを検出する手段であって、上記制動イベントは角度変化が所定の角度限界値より大きい場合に検出される、手段
も備える。
【0026】
これらの構成により、上記モータの作用は、上記ユーザの動きに適合される。
【0027】
いくつかの実施形態では、上記モータの駆動速度は、制動イベントが検出されたときに低減される。
【0028】
これらの構成により、上記モータは、上記ユーザに制動のアシストを提供する。
【0029】
いくつかの実施形態では、本発明の主題である上記器具は、上記モータに電力供給するよう構成された自立電源を備え、上記モータは、電気エネルギを生成するよう構成された少なくとも1つの発電機を備え、上記自立電源は、生成された上記電気エネルギによって充電される。
【0030】
これらの構成により、上記電源は坂を下るときに充電される。インラインスケート及びローラースケートの場合、上記ユーザの一方の足に固定されたスケート又はインラインスケートに配置された上記電源は、上記ユーザのもう一方の足に固定されたローラースケート又はインラインスケートが地面と接触しているときに充電できる。
【0031】
いくつかの実施形態では、上記パルス持続時間は2秒未満、好ましくは1秒未満である。
【0032】
これらの構成により、上記電動アシストは運動の補助を提供するが、連続的な推進を提供するものではない。
【0033】
第2の態様によると、本発明は、少なくとも2つの車輪と、本発明の主題であるモジュールとを備える、電動アシスト式車輪付き滑走器具に関する。
【0034】
本発明の主題である器具の特定の目的、利点及び特徴は、本発明の主題であるモジュールの特定の目的、利点及び特徴と同様であるため、ここでは繰り返さない。
【0035】
いくつかの実施形態では、本発明は、本発明の主題である1ペアの器具に関し、ここで各上記器具はインラインスケート又はローラースケートであり、上記1ペアの器具のうちの1つについて、測定された電圧が所定の電圧限界より大きい場合に、推進イベントが検出される。
【0036】
これらの構成により、推進と、例えば坂を下る際に足が地面に着いたままとなっている状態との、混同が回避される。
【0037】
いくつかの実施形態では、各上記器具は、他方の上記器具と通信する手段を備え、上記手段は、上記通信手段を備える上記器具が測定した電圧を通信するよう、及び/又は上記通信手段を備える上記器具が測定した上記電圧が上記所定の電圧限界を超えた場合に通信するよう、構成される。
【0038】
これらの構成により、上記器具のうちの1つは、比較手段を備えることができるか、又はエネルギの使用を削減するために、測定された上記電圧が上記所定の電圧限界より大きい場合にのみ通信を実施できる。
【0039】
いくつかの実施形態では、器具の少なくとも1つの検出手段は、上記ペアの各上記器具について、下り坂又は惰行イベントを:
‐上記三相電気モータの少なくとも1つの相の電圧値、及び少なくとも1つの所定の電圧限界;並びに
‐上記三相モータの上記相の上記電圧の導関数の符号
の関数として検出するよう構成される。
【0040】
これらの構成により、追加のセンサを必要とすることなく、常に1回の電圧測定に基づいて、上記ユーザが坂を下っているのか惰行中であるのかを判定できる。
【0041】
いくつかの実施形態では、上記検出手段15は、上記相の上記電圧の上記導関数の値が「所定の導関数限界」より小さい場合に、惰行イベントを検出するよう構成される。
【0042】
これらの構成により、追加のセンサを必要とすることなく、上記ユーザが制動を実施しているのか惰行中であるのかを判定できる。
【0043】
第3の態様によると、本発明は、少なくとも2つの車輪を備える車輪付き滑走器具のための電動アシストの方法に関し、上記方法は:
‐上記車輪付き器具の運動を表す、三相電気モータの少なくとも1つの相の電圧を測定するステップ;
‐足推進イベントが検出された後、「パルス持続時間」と呼ばれる所定の期間にわたって、少なくとも1つの上記車輪を回転駆動するよう構成された、動力化のステップ;並びに
‐上記三相電気モータの少なくとも1つの相の電圧値及び少なくとも1つの所定の電圧限界の関数として、推進イベントを検出するステップであって、このイベントはユーザによる上記器具の足推進に対応する、ステップ
を含む。
【0044】
本発明の主題である方法の特定の目的、利点及び特徴は、本発明の主題である器具の特定の目的、利点及び特徴と同様であるため、ここでは繰り返さない。
【0045】
本発明の他の利点、目的及び特定の特徴は、添付書類に含まれる図面を参照した、本発明の主題である器具、モジュール及び方法の少なくとも1つの特定の実施形態に関する以下の非限定的な説明から、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】
図1は、本発明の主題である器具の第1の特定の実施形態の概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の主題である器具の、運動軸に沿った加速度を、時間の関数として表す曲線の概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の主題であるインラインスケート又はローラースケートの、横軸に沿った加速度を、時間の関数として表す曲線の概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の主題である器具の速度を、電動アシストを用いない器具の速度及び電気推進式器具の速度と比較して、時間の関数として表す曲線の概略図である。
【
図5】
図5は、検出されたイベントに応じた、モータの給電モードの概略図である。
【
図6】
図6は、本発明の主題であるローラースケートの第1の特定の実施形態の概略斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明の主題であるスケートボードの第1の特定の実施形態の概略斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の主題であるスクーターの第1の特定の実施形態の概略斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の主題である1ペアのインラインスケート及び携帯通信端末の第1の特定の実施形態の概略図である。
【
図10】
図10は、モータの相とグランドとの間で生成される電流の電圧を時間の関数として表す曲線の概略図である。
【
図11】
図11は、本発明の主題である方法の特定の実施形態の一連のステップの、論理図の形態の概略図である。
【
図12】
図12は、本発明の主題である器具の第2の特定の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本説明は非限定的なものであり、ある実施形態の各特徴は、他のいずれの実施形態の他のいずれの特徴と、有利な様式で組み合わせることができる。
【0048】
本説明の残りの部分では、以下の用語は以下の定義を有する:
‐「前(front)」又は「前方(fore)」:
図1の左側、かつ
図6、8の右側に位置する;
‐「後ろ(back)」又は「後方(rear)」:
図1の右側、かつ
図6、8の左側に位置する;
‐「左(left)」:
図1の前景、かつ
図6、8の背景に位置する;
‐「右(right)」:
図1の背景、かつ
図6、8の前景に位置する;
‐「横(lateral)」又は「側面(side)」:右側又は左側に位置する。
【0049】
これらの配向は、使用位置において、
図1、6、8に示されている器具の上に位置するユーザに関する配向に対応する。
【0050】
用語「足推進(foot propulsion)」は、「運動軸(axis of movement)」と呼ばれる所与の方向に器具を移動させるためにユーザの足によってなされる行為を指す。スケートボード又はスクーターの場合における足推進は、例えば、一方の足を、地面を押して所与の方向に移動するために地面に置き、もう一方の足をスクーター又はスケートボード上に置くものである。
【0051】
インラインスケート又はローラースケートの場合、足推進は、運動軸と90°未満の角度を形成する一方のインラインスケート又はローラースケート上の支持体の運動、及びこれに続くもう一方の運動に相当する。両足は当業者には公知の方法で「V」字型を形成する。
【0052】
車輪付き器具上の足を用いた推進による、インラインスケートで移動するための方法は、当業者には公知である。これらの方法は、足推進を用いる、即ち足で地面を押すことによるものである。
【0053】
運動軸100と、運動軸に垂直かつ車輪101の回転軸に平行な「横軸(lateral axis)」と呼ばれる軸と、運動軸及び横軸に対して垂直な「垂直軸(vertical axis)」102と呼ばれる軸とで構成された、座標空間が定義される。ここで、車輪付き器具の車輪の個数及び配置にかかわらず、車輪の複数の回転軸は平行であることに留意されたい。器具のタイプにかかわらず、これらの軸は同じである。従って、この座標空間は
図1、6、7、8に示されている。
【0054】
なお、車輪付き滑走器具とは、滑走スポーツを行うことを可能とする、車輪を備えた器具である。車輪付き滑走器具は、スクーター、スケートボード、インラインスケート、ローラースケートである。自転車及びバイシクルモトクロス(頭字語「BMX」)用バイクは滑走器具とはみなされない。車輪付き滑走器具は一般に直径80mm~200mmの車輪を有する。
【0055】
図面は正確な縮尺ではないことに留意されたい。
【0056】
正確な縮尺でない
図1は、本発明の主題である電動アシスト式車輪付き滑走器具20のある実施形態の概略図である。
【0057】
器具20はインラインスケートである。インラインスケート20は、平行な異なる回転軸を有する、少なくとも2つの車輪104、21及び/又は22を備える。図示されている実施形態では、インラインスケート20は3つの車輪104、21及び/又は22を備え、これらの回転軸は平行でありかつ等間隔である。車輪は、運動軸に平行な軸に沿って、当業者に公知の方法で整列される。いくつかの変形例(図示せず)では、インラインスケート20は4つの車輪を備える。
【0058】
インラインスケート20は、車輪104、21及び/又は22が固定されるフレーム23を備える。フレーム23は、靴又はユーザの足を受承するためのプレート、並びに靴又はユーザの足を固定する手段24、25、26、27及び/又は28も備える。
【0059】
好ましくは、固定手段24、25、26、27及び/又は28は、2つの部分24、25を備え、これらのうちの少なくとも一方は、フレーム23に対して、運動軸100に沿って並進移動できる。部分25は、靴又は足のかかとと接触して位置決めされるよう構成されるため、「後部(back part)」と呼ばれる。部分24は、つま先、又はつま先を包む靴の端部の位置に位置決めされるよう構成されるため、「前部(front part)」と呼ばれる。これらの実施形態により、インラインスケートは、あらゆるサイズの靴及び足に適合できるようになる。例えば、少なくとも1つの部分24又は25は、運動軸と平行な軸を有する摺動リンクを用いてフレームに固定されており、その実施形態は当業者には公知である。好ましくは、後部25はフレーム23に対して可動である。
【0060】
好ましくは、固定手段の2つの部分24、25は、部分24、25を摺動リンクの軸において互いに近接させるように構成された戻しばね(図示せず)によって接続される。従ってユーザは、2つの部分の間に靴又は足を置くことができ、上記ばねは各部分24、25を近接させて、最初にかかとに、次につま先の末端、又はつま先の末端を包む靴の部分に接触させる。
【0061】
好ましくは、前部24は、摺動リンクの軸に沿って後部から最も遠い末端に停止部を備え、後部25は、摺動リンクの軸に沿って前部から最も遠い末端に停止部を備え、これらの停止部により、固定手段の2つの部分24、25によって、靴及び/又は足をバイスのように所定の位置に確実に保持できる。
【0062】
いくつかの実施形態では、前部24は、ユーザの靴又は足を取り囲むよう構成された、車輪とは反対の方向に延在する固定具27を備える。固定具27は例えば、前部24の一方の側面に固定されたストラップを備え、これは、前部24の他方の側面に取り付けられたラッチに、当業者には公知の方法で挿入される。
【0063】
いくつかの実施形態では、後部25は、ユーザの足首を少なくとも部分的に取り囲むよう構成された、車輪とは反対の方向に延在する固定具28を備える。固定具28は例えば、後部25の一方の側面に固定されたストラップを備え、これは、後部25の他方の側面に取り付けられたラッチに、当業者には公知の方法で挿入される。
【0064】
好ましくは、後部25は、ユーザの足首を受承するよう構成された支持体26を備える。固定具28は好ましくは、支持体26に対向して位置決めされ、これによってユーザの足首が囲まれる。これらの実施形態により、例えば転倒時に足首の負傷を回避できる。
【0065】
インラインスケート20は電動アシストモジュール103を備え、これは:
‐車輪104、21及び/又は22を有する器具20の運動を表す物理量の値を測定する手段13又は14、
‐足推進イベントが検出された後、「パルス持続時間」と呼ばれる所定の期間にわたって、少なくとも1つの上記車輪104を回転駆動するよう構成された、三相電気モータ105;並びに
‐上記三相モータの少なくとも1つの相の電圧値及び少なくとも1つの所定の電圧限界の関数として、推進イベントを検出する手段15であって、このイベントはユーザによる器具20の足推進に対応する、手段
を備える。
【0066】
いくつかの実施形態では、モジュール103は取り外し可能である。換言すると、モジュール103は、器具20、60、70及び/又は80とは別個に販売できる。モジュール103を、自立電源19と、自立電源19を器具20、400、60、70及び/又は80に固定する手段とを共に含むキットの一部とすることができる。
【0067】
好ましくは、モジュール103は車輪104に組み込まれる。
【0068】
好ましくは、
図12に示されているように、モータ105は車輪104に組み込まれ、他の手段403はケーブルによってモータ105に接続される。他の手段403とは、既に説明された又はこれ以降で説明される、モジュール103のモータ又は車輪19に組み込まれていないいずれかの手段である。これらの他の手段403及び自立電源19は、バッグに組み込むことができる。これらの実施形態により、自立電源が遠隔式となるため、上記装置のコンパクト性を向上させ、各器具の重量を減少させることができる。これらの実施形態では、モジュール103は、少なくとも1つの車輪104と、自立電源19と、上記他の手段、特に測定手段13及び検出手段15と、1個の車輪104につき1本の接続ケーブルとを含む、キットとして販売される。
【0069】
図12に示されているいくつかの実施形態では、器具400はインラインスケートであり、車輪104は、インラインスケート400のためのいずれのタイプの靴401に適合するよう構成されたプレート402に固定されたモータ105を備える。
【0070】
モータ105は、足推進イベントが検出された後、「パルス持続時間」と呼ばれる所定の期間にわたって、起動される。好ましくは、上記パルス持続時間は2秒未満、更に好ましくは1秒未満である。例えば、上記パルス持続時間は500msである。上記パルス持続時間はメモリに記憶できる。
【0071】
いくつかの実施形態では、パルス持続時間は、機械学習アルゴリズムの適用に従って、又はモジュール103が発する調整コマンドに従って、調整される。いくつかの変形例では、上記調整コマンドは、通信手段を介してモジュール103によって受信される。
【0072】
好ましくは、三相電気モータ105はブラシレスモータであり、他に「自己制御式永久磁石同期機(self‐controlled permanent magnet synchronous machine)」とも呼ばれる。このようなタイプのモータは、回転する整流子を含まないため、ブラシを含まない。一方、制御手段は固定子巻線の電流の方向を転換する。好ましくは、上記制御手段は、当業者に公知の方法でモータに組み込まれる。
【0073】
なお、三相電気モータは3つの永久磁石を備える電気モータであり、従って電力は三相電流によって供給される。
【0074】
また、どのモータも起電力(頭字語「EMF」)を生成することにも留意されたい。EMFは、回転するモータによって生成される電圧を指す。モータの回転速度を決定するためのこの電圧の測定値は、逆起電力(頭字語「BEMF」)と呼ばれる。というのは、上記電圧は、モータの巻線に電力を供給する回路を「押し戻す(push back)」傾向があるためである。
【0075】
電気モータは電気エネルギを機械的エネルギへと変換する。反対に、発電機は機械的エネルギを受け取って、それを電気エネルギに変換する。大半のモータは、単にモータを回転させるだけで、発電機とすることができる。
【0076】
本発明者は、モータは発電機でもあるという概念を利用することによって、逆起電力の測定をモータの動きの制御に使用できることに気づいた。モータの回転時に観察される電圧は、モータの回転速度及びモータの物理的特性に正比例する。従って、光学エンコーダ又は他の形態の能動的フィードバックを用いることなく、モータの回転速度を計算できる。
【0077】
発電機としても動作するモータ105は、以下の2つのモードの動作を有することができる:
‐モータ:パルス幅変調を用いて電圧を印加することにより電気エネルギを消費する;
‐発電機:相と相との間、及び各相とグランドとの間に電圧を発生させる電気エネルギを生成し;この電圧は逆起電力(頭字語「BEMF」)と呼ばれる。
【0078】
図10に示されているように、ユーザがスケートをするとき、逆起電力201が発電機105の端子に生成される。ユーザがスケートをする前、モータは惰行モードにあり、制御されずに回転する。ひとたびユーザがスケートをすると、モータは発電機モードに切り替わって電圧201を生成する。
【0079】
三相電気モータ105では、端子において各相とグランドとの電圧を測定できる。従って、各相に関してBEMFを検出できる。
【0080】
いくつかの実施形態では、測定手段13は電圧を表す少なくとも1つの値を測定し、検出手段15は測定された電圧201を所定の電圧限界202と比較する手段16を備え、推進イベントは、測定された電圧201が少なくとも1つの所定の電圧限界202より大きい場合に検出される。
【0081】
電圧201が所定の電圧限界202を超える場合、モータ105は、パルス持続時間にわたって、所定の速度で動作するよう制御される。いくつかの実施形態では、速度はモータの端子に印加される電圧に比例する。
【0082】
これは電気推進の原理ではなく電動アシストの原理であるため、モータは無限に作動するものであってはならない。三相電気モータ105には、ユーザを支援し、加速に必要な労力を軽減する助けとなるよう、労力を要する段階のみにおいて電気エネルギが供給される。従って、所望の速度又はペースに到達すると、モータがモータモードで動作する必要は全くなくなる。モータはその後、パルス持続時間の終了時に惰行モードに切り替わる。
【0083】
好ましくは、所定の電圧限界202と比較される電圧201は、モータの各相とグランドとの間のBEMFである。
【0084】
モータ105がブラシレスモータである実施形態では、BEMFがモータの各相とグランドとの間で計算される。ブラシレスモータは少なくとも3つの相を有することに留意されたい。モータ105の回転により、各相とグランドとの間の電圧が同時にゼロであることはなく、この現象は、「ゼロクロッシング(zero crossing)」として公知である。ある相とグランドとの間の電位差は、正の値から負の値に移行するため、ゼロ値を通過する。ゼロ値への移行は、電気モータの回転速度を制御する手段によって検出され、その後、どの相に電圧を印加する必要があるかを選択するための処理が行われる。複数の相が同時にゼロ電圧となる場合もある。各相が生成する電圧を用いると、各相が交互にゼロ値へと移行するため、推進運動が行われていないときに推進イベントが検出されるのを回避できる。換言すると、モータの回転子の位置を決定でき、この位置が常に変化すると、各相とグランドとの間の電圧が交互にゼロ値へと移行する。
【0085】
図10は、X軸に時間の長さを示し、Y軸に発電機によって生成される電圧を示している。
【0086】
2ボルト超の電圧により加速を識別できることが分かる。
図10では、所定の電圧限界202は2ボルトに等しい。
図10では、4つの推進イベントが検出されている。
【0087】
いくつかの実施形態では、装置は1ペアの器具を含み、ここで各器具はインラインスケート20又はローラースケート60であり、推進イベントは、測定された電圧201が1ペアの器具のうちの1つについて所定の電圧限界202より大きい場合に検出される。
【0088】
ユーザがスケートで滑れば滑るほど、車輪104が速く回転し、従って内部の三相電気モータ105が速く回転する。モータはその回転速度に比例した電圧を生成する。従って本発明者は、追加のセンサを用いずに、モータの相とグランドとの間の電圧を測定することによって、特に異常を検出することによって、ユーザの加速/減速運動を正確に検出できることを発見した。
【0089】
好ましくは、推進イベントを検出する手段15は、三相モータの少なくとも1つの相の電圧値を複数の所定の電圧限界と比較し、各上記所定の電圧限界はユーザのある1つのペースを表す。
【0090】
例えば、昇順に編成された複数の異なる所定の電圧限界値を設定することにより、開始、低速度、小さな歩幅、大きな歩幅といったペースに対応する限界を定義できる。BEMFが、前回超えた所定の電圧限界よりも高い所定の電圧限界値を超えるたびに、ユーザは更に速く進みたがっているものと理解され、それに応じて動作するようにモータにコマンドが送信される。
【0091】
推進は、三相電気モータ105に供給される電力に正比例する、モータによって送達される電力に関連する。
【0092】
測定された物理量にかかわらず、モータ105がモータモードで動作するとき、パルス幅変調(頭字語「PWM」)を用いて電圧を印加することにより、電気エネルギが消費される。当業者には公知のパルス幅変調は、選択されたデューティ比を有する複数の離散状態の急速なサイクルを適用することによって、信号の平均値を考慮するだけでいずれの中間値を得ることを可能にするものである。
【0093】
結果として、パルス幅変調を実施するために選択されたデューティ比に基づいて、モータの端子に印加される電圧の平均値に正比例するモータの動作電力を選択できる。
【0094】
各相とグランドとの間に印加される電圧には同一のデューティ比が交互に印加される。
【0095】
好ましくは、上記デューティ比は0.5に等しい。
【0096】
なお、デューティ比及びパルス持続時間は、ユーザが、例えば器具20、60、70、及び/又は80と共に通信用携帯端末91を用いて、調整できる。
【0097】
いくつかの実施形態では、デューティ比及びパルス持続時間は、メモリに保存されたデータに基づく機械学習によって決定される。
【0098】
好ましくは、三相電気モータ105は、三相電気モータ105に供給される電流を表す信号のデューティ比を調整するよう構成された、パルス幅を変調する手段(図示せず)を備える。
【0099】
好ましくは、各所定の電圧限界、例えば2V、3V、4V、5Vは、1つのデューティ比の値、例えば20%、40%、60%、95%に関連付けられ、これによりモータは、上述のように提供されるユーザのペースに対応するレベルの電力を送達する。従って、使用中にモータの電力が常に固定されたままである場合、ユーザによって推進される車輪よりもモータの動作が遅いため、ユーザが一定の速度を超えたときにモータがユーザを減速させる可能性があり、又は対照的に、始動時にユーザを突然推進してしまう可能性がある。
【0100】
換言すると、検出手段15は:
‐三相モータ105の少なくとも1つの相の電圧値と複数の所定の電圧限界との比較の結果に従って、ユーザのペースを検出する手段152であって、各上記所定の電圧限界はユーザのある1つのペースを表す、手段152;
‐三相電気モータ105に電気エネルギを供給する信号のデューティ比を、決定された上記ペースの関数として制御する手段151
を備える。
【0101】
いくつかの実施形態では、制御手段151は、パルス持続時間を、決定された上記ペースの関数として制御するよう構成される。
【0102】
好ましくは、ペースが速くなればなるほど、即ち三相モータ105の少なくとも1つの相の電圧値が所定の電圧限界を大きく超えるほど、パルス持続時間は短くなる。換言すると、パルス持続時間はペースの減少関数である。これにより特に、ユーザの運動の妨害を回避できる。ユーザが速く進めば進むほど、足推進のためにユーザの足が地面にある時間が短くなる。ユーザがもはや動いていない間にモータが動作を継続した場合、ユーザは妨害される恐れがあり、又は転倒する恐れさえある。
【0103】
本発明者は、BEMFを用いていつモータブレーキを起動させるかを決定できることにも気づいた。結果として、検出手段15は、制動イベントを三相モータの少なくとも1つの相の電圧の導関数の値、及び「所定の導関数限界」と呼ばれる少なくとも1つの所定の負の限界値の関数として検出するよう構成される。
【0104】
電圧の導関数はBEMFの増加又は減少を表す。従って、少なくとも1つのBEMFの急な低減、例えば制動要素を表す、200ms以内で3Vから0VへのBEMF値の変化を検出できる。換言すると、三相モータの少なくとも1つの相の電圧の導関数の値が、「所定の導関数限界」と呼ばれる所定の負の限界値未満である場合、機械的制動イベントが検出され、モータはユーザを支援するためにモータブレーキモードに切り替わる。
【0105】
好ましくは、所定の電圧限界202と比較した電圧201の導関数の値は、モータの各相とグランドとの間のBEMFの導関数の値である。
【0106】
ここで、三相電気モータ105の場合、制御手段151は、モータブレーキを起動するために、既に印加されたトルクとは反対方向のトルクを印加するようにモータに電力供給するよう構成されることに留意されたい。
【0107】
2つのインラインスケート20又はローラースケート60がユーザの両足のためにペアとして組み合わされるいくつかの実施形態では、上記ペアの各要素は、相ごとに1つのBEMFを生成する三相電気モータ105を備える。
【0108】
好ましくは、1ペアのインラインスケート20又はローラースケート60はそれぞれ通信手段を備え、以下で説明されるように上記通信手段を用いて通信するよう構成される。
【0109】
ペアとなった2つの器具20又は60が通信すると、スケーターのペース及び制動を検出できるだけでなく、ユーザが静止しているか、惰行中であるか、又は坂を下っているかを決定することもできる。
【0110】
ユーザのスケートの運動は交互になっており、即ち、スケートで滑っている足のBEMF201は所定の電圧限界202より大きくなる一方で、スケートで滑っていない足の各BEMFは各所定の電圧限界202より小さいままとなる。
【0111】
従って、ユーザがスケートを終了すると決めたものの、靴を地面に置き続けている場合、各靴においてBEMFが生成される。BEMFは、ユーザが推進運動を実施していなくても、所定の電圧限界202より大きくなり得る。従って、ペアになった器具それぞれがゼロでないBEMFを生成している場合、モータを動作させず、発電機モードのままにしておく必要がある。
【0112】
好ましくは、各器具は、他方の器具と通信する手段を備え、上記手段は、上記通信手段を備える器具の測定された電圧を通信するよう、及び/又はこの測定された電圧が所定の電圧限界を超えた場合に通信するよう、構成される。
【0113】
ペアになった器具の両方について、測定された電圧201が所定の電圧限界202より大きい場合、ユーザが坂を下っている、又は推進を望んでいないという事実が検出され、各モータ105は発電機モード、換言すると「惰行モード(freewheeling mode)」に切り替わる。従って、ユーザが坂を下っていることの検出が可能になり、ジャイロスコープ又は角度変化を決定するためのいずれの他の手段を不要とすることができる。ただしジャイロスコープは、特にユーザの登りの検出を、より高精度で実現できる。
【0114】
各足のBEMFが同時に少なくとも1つの所定の電圧限界を超える場合、これは以下を意味する:
‐ユーザが坂を下っており、自分の意志ではなく重力により継続的に加速している。従って電動アシストは停止され、それによってモータは発電機モードに切り替わってバッテリを再充電する;又は
‐ユーザが、希望のペースに到達したため惰行しており、スケートをやめている。モータは惰行モードに切り替わる。
【0115】
ユーザが坂を下っているとき、所定の電圧限界より大きいBEMFに対応する電圧の導関数は、正である。ユーザが惰行中であるとき、所定の電圧限界より大きいBEMFに対応する電圧の導関数は、負である。
【0116】
従って、ペアになっている器具20又は60の検出手段15は、上記ペアの各器具の下り坂又は惰行イベントを:
‐三相電気モータの少なくとも1つの相の電圧値、及び少なくとも1つの所定の電圧限界;並びに
‐三相モータの上記相の上記電圧の導関数の符号
の関数として検出するよう構成される。
【0117】
好ましくは、惰行イベントと制動イベントとを区別するために、検出手段15は、上記相の上記電圧の導関数の値が「所定の導関数限界」の値より小さい場合に惰行イベントを検出するよう構成される。
【0118】
モータ105は、電気エネルギを生成するよう構成された発電機を備えることができる。例えば、モータが惰行モードにあるとき、車輪104の回転によりモータ105の磁石の位置に磁場が生成され、生成された磁場は電気エネルギに変換される。
【0119】
これはインラインスケート及びローラースケートの場合に特に有利である。というのは、一方の足で推進が行われると、もう一方の足は地面に置かれ、最初の足の車輪は惰行モードのままとなるため、推進に使用されたエネルギの一部を回収できるためである。
【0120】
好ましくは、パルス持続時間が終了すると、モータ105は惰行モードとなり、即ちモータに電気エネルギが供給されなくなる。
【0121】
好ましくは、モータ105は比例・積分・微分(頭字語「PID」)制御器を有し、これにより、いかなる妨害があっても、モータ105の出力速度、換言すると車輪104の速度が常に同一となることを保証する。
【0122】
いくつかの実施形態では、モジュール103は、モータ105に電力供給するよう構成された自立電源19を備える。モータ105が発電機を備える実施形態では、自立電源19は、生成された電気エネルギによって充電される。
【0123】
自立電源19は例えばバッテリである。
【0124】
いくつかの実施形態では、自立電源19は、自立電源19を充電するための電気ネットワークへの接続手段を備える。
【0125】
モータの端子における1つ以上の電圧の測定に基づく実施形態に適合したいくつかの実施形態では、測定手段13は、モジュール103が固定されている器具の、少なくとも運動軸100、並びに場合によっては横軸101及び垂直軸102に沿った加速を検出するよう構成された加速度計であり、上記器具は、
図1に関してはインラインスケート20、
図6に関してはローラースケート60、
図7に関してはスケートボード70、
図8に関してはスクーター80である。
【0126】
運動軸100に沿った加速は、器具20、60、70及び/又は80を用いて移動するためのユーザによる運動を表す。横軸101に沿った加速は、ユーザによって選択された方向転換若しくは方向、又は突然の加速のイベントにおけるユーザの転倒を表し得る。垂直軸102に沿った加速は例えば、器具20、60、70及び/又は80が坂を下ることを表し、同様に、垂直軸102に沿った加速の低下は例えば、器具が坂を登ることを表す。垂直軸102に沿った突然の加速は、転倒を表し得る。
【0127】
いくつかの実施形態では、モジュール103は、器具20、60、70、及び/又は80の傾斜を表す物理量の値を測定するよう構成された、ジャイロスコープ又は慣性ユニット等の、角度変化を測定する手段14を備える。好ましくは、角度変化を測定する上記手段は、冗長性を形成し、垂直軸102に沿った加速度の測定に関する精度を提供するように構成される。
【0128】
好ましくは、加速度計13及び角度変化を測定する手段14によって測定された値は、メモリ(図示せず)に記録される。
【0129】
図2は、加速度計13による、運動軸100に沿った加速を表す信号30の例を示す。信号30は座標空間内に示されており、ここでX軸31は時間を表し、Y軸は加速度計13によって測定された運動軸に沿った加速度の瞬間値を表す。足推進に対応する2つのイベント33、34が確認でき、ここで加速度は急に上昇する。
【0130】
「検出器(detector)」とも呼ばれる検出手段15は好ましくは、専用プログラムを実行するマイクロプロセッサ等の、論理動作を実行するように構成された装置である。
【0131】
検出手段15は、測定された運動を表す値の関数として推進イベントを検出するよう構成され、このイベントは、ユーザによる器具20、60、70、及び/又は80の足推進に対応する。
【0132】
検出手段15は比較手段16を備える。比較手段16は、少なくとも1つの所定の限界値を記録できるメモリ(図示せず)に接続できる。
【0133】
「比較器(comparator)」とも呼ばれる比較手段16は、運動軸100に沿った加速度を所定の加速度限界値と比較するよう構成される。検出手段15は、運動軸100に沿った加速度が所定の加速度限界値より大きい場合に、推進イベントを検出する。例えば、所定の加速度限界値は5m/s2である。
【0134】
いくつかの実施形態では、検出手段15は、測定された値を表す少なくとも1つの信号をフィルタリングする手段を備える。例えば、角度変化を測定する手段によって測定された各信号にカルマンフィルタを適用でき、また、加速度計13からの加速を表す各信号にデジタルアナログフィルタを適用できる。これらの実施形態では、所定の加速度限界値と比較される値は、フィルタリングされた値である。
【0135】
図3は、運動軸に沿ったインラインスケート20の傾斜を表す信号35を示す。上記信号は座標空間内に示され、ここでX軸38は時間を表し、Y軸39は角度を表す。ユーザがインラインスケート又はローラースケートで滑るとき、各足は交互に振り子運動をする。従って信号35は周期的な様相を呈する。
【0136】
図3に示されているグラフでは、信号35へのフィルタの適用を表す2つの信号36、37が確認できる。信号37は、信号35へのカルマンフィルタの適用を表す。信号36は、信号35への、ローパスフィルタとして作用する指数フィルタの適用を表す。
【0137】
当然のことながら、モジュール103は、加速度の値を測定する手段及び/又は電圧の値を測定する手段を備えることができる。上述されている実施形態と、これ以降で説明される実施形態とは、矛盾するものではない。
【0138】
いくつかの実施形態では、モジュール103は、少なくとも1つの車輪104の回転速度を表す物理量の値を測定するための少なくとも1つの手段29を含む。
【0139】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの車輪104の回転速度を表す物理量の値を測定する手段29は、加速度計13、及び/又は電圧を測定する手段13であり、運動軸に沿って測定された値により運動軸に沿った速度を計算でき、従って車輪の回転速度を計算できる。
【0140】
モータ105は、測定された回転速度以上で、及び/又は測定された回転速度の150%以下の速度で、推進イベントが検出された後に、パルス持続時間にわたって少なくとも1つの車輪104を回転駆動するよう構成される。
【0141】
いくつかの実施形態では、測定された回転速度は、推進イベントが検出された時点の瞬間的な速度に対応する。
【0142】
図4は、本発明の主題である器具の速度40を、電動アシストを用いない器具の速度41及び電気推進式器具の速度42と比較して、時間の関数として表す曲線を示す。複数の異なる曲線が座標空間内に示されており、ここでX軸は時間を表し、Y軸は速度を表す。
【0143】
電気推進式器具の速度42を表す曲線は、ユーザによって指定された目標値に依存する一定の曲線であることに留意されたい。電動アシストを用いない器具の速度41を表す曲線、及び電動アシストを用いる器具の速度40を表す曲線は、各極大値が足推進イベントの後に生じる振動を示すことに留意されたい。従って電動アシストモジュール103のユーザの感覚は、電動アシストモジュール103を有しない場合と同様の押す感覚であるが、足推進が必要とされる頻度が低いため、労力が少ない。
【0144】
好ましくは、モジュール10は、車輪104を惰行モードで動作させるように、即ちモータに制動も加速も生じさせないように構成された、モータ105を抑制する手段17を備える。
【0145】
いくつかの実施形態では、検出手段15は、測定された傾斜の増大又は減少を識別するための判定手段18を備える。判定手段18は、測定された複数の傾斜の値を比較できるか、又は運動軸100及び垂直軸102を含む平面内の角度を測定できる。
【0146】
従って、坂を下っていること又は坂を登っていることを識別できる。
【0147】
いくつかの実施形態では、坂を下る運動が識別されると、モータ105は惰行モードで動作する。モータ105が発電機を備える場合、モータ105は、坂を下るときに車輪104の回転によって生成されたエネルギを蓄積できる。
【0148】
他の実施形態では、坂を下るときに車輪104の回転によって生成されたエネルギを用いて、モータを即座に制動する。これらの実施形態により、ユーザは器具20、60、70及び/又は80を制御し続けることができる。
【0149】
上り坂イベントが検出されると、モータ105はトルクを増大させることにより、ユーザが提供する労力を低減する。例えば、モータ105の端子に適用されるデューティ比を自動的に増大させることによって、トルクをより大きくすることができる。
【0150】
インラインスケート20又はローラースケート60を表す、
図1、6に示されている実施形態では、角度変化を測定する手段は、傾斜を表す物理量の値を測定するよう構成される。傾斜は、例えば運動軸100と垂直軸102とを含む平面で発生する。
【0151】
インラインスケート20又はローラースケート60は、ユーザによる制動を表す制動イベントを検出する手段15を備え、これは、少なくとも1つの角度差を計算する手段16、及び上記角度差を所定の角度限界値と比較する手段16を備え、上記制動イベントは、角度変化が所定の角度限界値より大きい場合に検出される。
【0152】
制動イベントが検出されると、モータの駆動速度が低減され、従って車輪104は減速する。
【0153】
好ましくは、2つのインラインスケート20又はローラースケート60が、ユーザの両足のためにペアとして組み合わされる。いくつかの実施形態では、上記ペアのうちのどちらの器具が角度変化を検出するかに応じて、機械的又は電気的制動を検出できる。
【0154】
いくつかの実施形態では、計算手段は:
‐2つのインラインスケート20若しくはローラースケート60のうちの一方の傾斜と、このペアのインラインスケート20若しくはローラースケート60のうちのもう一方の傾斜との角度差;及び/又は
‐ある瞬間における傾斜と、その後のある瞬間、例えば500ms後における傾斜との角度差
を計算するよう形成される。
【0155】
いくつかの実施形態(図示せず)では、各インラインスケート20又はローラースケート60は圧力センサ、感知された圧力を所定の圧力限界と比較する手段を備え、制動イベントは、インラインスケート20又はローラースケート60のペアのうちの一方に関して、感知された圧力が所定の圧力限界より小さい場合、及びペアになったインラインスケート20又はローラースケート60のそれぞれにおいて測定された電圧が略等しい場合に検出される。これは、機械的制動を発揮する又はシミュレートするために、足の一部を持ち上げることによって、圧力が変更されるためである。足の持ち上げに基づいて、機械的又は電気的制動が発揮される。
【0156】
従って、ユーザは機械的制動か電気的制動かを選択できる。機械的制動は例えば、当業者には公知のシリコン又はゴム製のプラスチックパッドであり、これは地面に対する摩擦によって制動する。インラインスケート20に関して、機械式ブレーキは通常、インラインスケート20の後部に配置される。ローラースケート60に関して、機械式ブレーキは通常、ローラースケート60の前部に配置される。
【0157】
例えば:
‐機械式ブレーキを作動させるには、右足に配置されたインラインスケート20の前部を持ち上げるだけでよく、これにより、通常は隆起しているパッドが地面と擦れる;
‐電気式ブレーキを作動させるには、ユーザは左足に配置されたインラインスケート20の前部を持ち上げ、そしてモータトルクを運動の回転とは逆に印加することによって、モータブレーキが作動する;及び
‐ペアになったインラインスケート20の両方について略同一の値の角度変化が検出された場合、ユーザは坂を登っているとみなされる。
【0158】
モータ105の異なる複数の動作モードが
図5に示されている。
図5は、器具20、60、70及び/又は80の速度を時間の関数として表す曲線50を示す。曲線50は座標空間内に示されており、ここでX軸51は時間を表し、Y軸52は速度を表す。
【0159】
縦の破線53~57は、検出されたイベントを表す。ラベルは、検出されたイベントに応じたモータの動作モードを示す。
【0160】
時系列順に、イベントは以下の通りである:
‐足推進の検出53;
‐イベントと共に終了するパルス持続時間にわたるモータの動作54;
‐坂を下る運動の判定55;
‐制動イベントの検出56;及び
‐転倒の検出57。
【0161】
イベント53とイベント54との間の期間中に、モータ105が起動され、ユーザをアシストする。続いて、パルス持続時間が終了すると、モータ105は惰行モードとなる。ジャイロスコープは、器具20、60、70、及び/又は80が坂を下るのを検出55し、モータ105は発電機モードで動作する。ユーザが制動56を実施すると、速度が低下する。最後に、ユーザの転倒57が検出されると、モータは抑制されて惰行モードで動作する。
【0162】
いくつかの実施形態(図示せず)では、モジュールは、モジュールを起動する又は停止させるためのスイッチを備える。
【0163】
いくつかの実施形態(図示せず)では、モジュールは、Bluetooth(登録商標)規格、又は「Wi‐Fi」として知られるIEEE 802.11規格といった、無線通信手段を備える。この技術を実装する手段は例えば、アンテナの動作を制御するよう構成されたマイクロプロセッサに接続されたアンテナである。
【0164】
図9は、本発明の主題である1ペアのインラインスケート20‐1及び20‐2、並びに/又は400‐1及び400‐2を示す。各インラインスケート20‐1、20‐2、400‐1及び/又は400‐2は無線通信手段を備える。
【0165】
インラインスケート20‐1及び20‐2、並びに/又は400‐1及び400‐2上のモータの速度は、同期させる必要はない。インラインスケート20‐1及び20‐2、並びに/又は400‐1及び400‐2が通信するシナリオの3つの例を特定できる:
‐坂を下るとき、同一の負の角度が両方のインラインスケートで検出されることを確認するため、又は両方のインラインスケート20‐1及び20‐2、並びに/若しくは400‐1及び400‐2において、電圧201が所定の電圧限界202より大きい場合;
‐制動時に、機械的制動か電気的制動かを確認するため;
‐移動距離、各インラインスケート20‐1及び20‐2、並びに/又は400‐1及び400‐2の自律性といった統計を、通信用携帯端末91に通信するため。
一方のインラインスケート20‐1及び/又は400‐1において収集された情報は、他方のインラインスケート20‐2、及び/又は400‐2に伝送され、他方のインラインスケート20‐2、及び/又は400‐2は、一方のインラインスケート20‐1及び/又は400‐1において収集された情報を、他方のインラインスケート20‐2、及び/又は400‐2において収集された情報と校合し、校合された情報を通信用携帯端末91に通信する。
【0166】
いくつかの実施形態では、各器具20、60、70及び/又は80は、通信用携帯端末91と通信する手段を備えることができる。
【0167】
通信用携帯端末91は例えば、スマートフォン、デジタルタブレット、又は接続された腕時計であってよい。
【0168】
いくつかの実施形態では、通信用携帯端末91は、モジュールを制御する手段を備えることができる。例えば、通信用携帯端末91は以下の制御を含むことができる:
‐印加されたトルク、従って推進力を修正するために、モータ105の端子に印加された電圧のデューティ比を制御する;
‐推進、制動、転倒、坂を下る若しくは坂を登るというイベントを検出するための装置の感度を修正するために、各所定の限界値を制御する;及び/又は
‐ユーザが多少の労力を提供するように、パルス持続時間を制御する。
【0169】
いくつかの実施形態では、各所定の限界値に関して、モータ105の端子に印加される電圧のデューティ比、及びパルス持続時間は、機械学習によって、状況に応じて受信されたデータの関数として調整される。
【0170】
図11は、少なくとも2つの車輪104、21及び/又は22を備える車輪付き滑走器具20、60、70及び/又は80のための電動アシストの方法300の、特定の実施形態の一連のステップを示し、この方法は:
‐上記車輪付き器具の運動を表す、三相電気モータの少なくとも1つの相の電圧を測定するステップ301;
‐足推進イベントが検出された後、「パルス持続時間」と呼ばれる所定の期間にわたって、少なくとも1つの上記車輪を回転駆動するよう構成された、動力化のステップ302;並びに
‐上記三相電気モータの少なくとも1つの相の電圧値及び少なくとも1つの所定の電圧限界の関数として、推進イベントを検出するステップ304であって、このイベントはユーザによる上記器具の足推進に対応する、ステップ304
を含む。
【0171】
好ましくは、器具20、60、70及び/又は80の手段は、方法300のステップ及びその上述の実施形態を実装するよう構成され、方法300及びその様々な実施形態は、器具20、60、70及び/又は80を用いて実装できる。
【0172】
好ましくは、方法300のステップは、マイクロプロセッサによって実行される命令のセットを含むコンピュータプログラムによって実施できる。
【国際調査報告】