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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】発光パッケージ
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/52 20100101AFI20240711BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20240711BHJP
【FI】
H01L33/52
H01L33/62
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502163
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 KR2022010234
(87)【国際公開番号】W WO2023287206
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/221,687
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506029004
【氏名又は名称】ソウル バイオシス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SEOUL VIOSYS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】65-16,Sandan-ro 163 Beon-gil,Danwon-gu,Ansan-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スン・グ・ミン
(72)【発明者】
【氏名】ウン・ジ・パク
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA02
5F142AA51
5F142BA32
5F142CD02
5F142CD16
5F142CD18
5F142DB02
5F142DB30
(57)【要約】
本発明は、発光パッケージに関する。本発明の実施例に係る発光パッケージは、胴体、発光ダイオードチップ及び透光部材を含むことができる。胴体は、上部が開放された構造のキャビティを含み、セラミックで形成され得る。発光ダイオードチップは、胴体のキャビティに実装され、紫外線を生成及び放出することができる。透光部材は、胴体の上部に配置され、キャビティを覆うことができる。また、透光部材は、サファイアで形成された透光層、及び透光層の少なくとも一面に形成された光損失防止層を含むことができる。光損失防止層は、透光層の下面に形成された下部光損失防止層を含むことができる。発光ダイオードチップと透光部材は離隔し、それらの間に空間が形成され得る。発光ダイオードチップから放出された紫外線は、空気層、下部光損失防止層及びサファイア層を順次通過しながら発光パッケージの外部に放出され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光パッケージにおいて、
上部が開放された構造のキャビティを含み、セラミックで形成された胴体;
前記胴体のキャビティに実装され、紫外線を生成及び放出する発光ダイオードチップ;及び
前記胴体の上部に配置され、前記キャビティを覆う透光部材;を含み、
前記透光部材は、サファイアで形成された透光層、及び前記透光層の少なくとも一面に形成された光損失防止層を含み、
前記光損失防止層は、前記透光層の下面に形成された下部光損失防止層を含み、
前記発光ダイオードチップと前記透光部材は離隔し、それらの間に空間が形成されており、
前記発光ダイオードチップから放出された紫外線は、空気層、下部光損失防止層及びサファイア層を順次通過しながら前記発光パッケージの外部に放出される発光パッケージ。
【請求項2】
前記胴体の内部に形成された回路を含み、
前記回路は、一部が前記胴体の前記キャビティに露出し、前記発光ダイオードチップと電気的に連結されている、請求項1に記載の発光パッケージ。
【請求項3】
前記発光ダイオードチップは、下部に導電性金属材質で形成された電極を含み、
前記発光ダイオードチップの前記電極は、前記胴体の前記キャビティに露出した前記回路と電気的に連結されている、請求項2に記載の発光パッケージ。
【請求項4】
前記発光パッケージは、下部から上部方向にセラミック層、金属層、紫外線生成層、空気層、光損失防止層及びサファイア層が位置する構造を有する、請求項3に記載の発光パッケージ。
【請求項5】
前記下部光損失防止層は単一層構造である、請求項3に記載の発光パッケージ。
【請求項6】
前記下部光損失防止層はフッ化マグネシウム(MgF)で形成されている、請求項3に記載の発光パッケージ。
【請求項7】
前記下部光損失防止層は複数の層を含む、請求項3に記載の発光パッケージ。
【請求項8】
前記下部光損失防止層の前記複数の層のうち少なくとも一層はフッ化マグネシウム(MgF)で形成され、他の層のうち少なくとも一つは酸化ハフニウムで形成されている、請求項7に記載の発光パッケージ。
【請求項9】
前記胴体と前記透光部材との間に配置される接着部材をさらに含む、請求項1に記載の発光パッケージ。
【請求項10】
前記接着部材は、シリカ(SiO)又はストロンチウム(Sr)で形成されている、請求項9に記載の発光パッケージ。
【請求項11】
前記胴体の上面に形成される密封部材をさらに含む、請求項1に記載の発光パッケージ。
【請求項12】
前記密封部材はメタライズ方式で形成される、請求項11に記載の発光パッケージ。
【請求項13】
前記透光部材は、前記透光層の上面に形成された上部光損失防止層をさらに含む、請求項3に記載の発光パッケージ。
【請求項14】
前記上部光損失防止層は単一層構造である、請求項13に記載の発光パッケージ。
【請求項15】
前記上部光損失防止層はフッ化マグネシウム(MgF)で形成されている、請求項14に記載の発光パッケージ。
【請求項16】
前記上部光損失防止層は複数の層を含む、請求項13に記載の発光パッケージ。
【請求項17】
前記上部光損失防止層の前記複数の層のうち少なくとも一層はフッ化マグネシウム(MgF)で形成され、他の層のうち少なくとも一つは酸化ハフニウムで形成されている、請求項16に記載の発光パッケージ。
【請求項18】
前記透光部材は、上面及び下面が平らな構造である、請求項1に記載の発光パッケージ。
【請求項19】
前記透光部材は、上面が上部方向に凸状であるドーム構造である、請求項1に記載の発光パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオードは、電子と正孔との再結合を通じて発生する光を放出する無機半導体素子である。近年、発光ダイオードは、ディスプレイ装置、車両用ランプ、一般照明などの多くの分野に用いられている。
【0003】
発光ダイオードは、寿命が既存の光源に比べて長く、消費電力が低く、応答速度が速いという長所を有する。このような長所により、発光ダイオードは、既存の光源に迅速に取って代わっている。
【0004】
チップ単位の発光ダイオード(以下、発光ダイオードチップ)は、セラミック、ホワイトシリコーン、基板などに実装されてパッケージされてもよい。このとき、発光ダイオードチップの上部には、レンズとしての役割をする透光部材が位置してもよい。
【0005】
一般に、発光パッケージのレンズは、価格及び光透過率を考慮してクォーツで形成される。しかし、クォーツの場合、強度が低いので、外部衝撃によって容易に破損し得る。
【0006】
よって、レンズがクォーツで形成された発光パッケージは、信頼性が低いという問題を有する。
【0007】
本背景技術に開示された前記情報は、本発明の概念の背景を理解するためのものに過ぎないので、先行技術を構成しない情報を含み得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は、信頼性と光抽出効率が全て向上し得る発光パッケージを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施例によると、胴体、発光ダイオードチップ及び透光部材を含む発光パッケージが提供される。
【0010】
前記胴体は、上部が開放された構造のキャビティを含み、セラミックで形成されてもよい。
【0011】
前記発光ダイオードチップは、前記胴体のキャビティに実装され、紫外線を生成及び放出することができる。
【0012】
前記透光部材は、前記胴体の上部に配置され、前記キャビティを覆うことができる。また、前記透光部材は、サファイアで形成された透光層、及び前記透光層の少なくとも一面に形成された光損失防止層を含むことができる。
【0013】
前記光損失防止層は、前記透光層の下面に形成された下部光損失防止層を含むことができる。
【0014】
前記発光ダイオードチップと前記透光部材は離隔し、それらの間に空間が形成されてもよい。
【0015】
前記発光ダイオードチップから放出された紫外線は、空気層、下部光損失防止層及びサファイア層を順次通過しながら前記発光パッケージの外部に放出され得る。
【0016】
前記胴体は、内部に形成された回路を含むことができる。前記回路は、その一部が前記胴体の前記キャビティに露出し、前記発光ダイオードチップと電気的に連結されてもよい。
【0017】
前記発光ダイオードチップは、下部に導電性金属材質で形成された電極を含むことができる。前記発光ダイオードチップの前記電極は、前記胴体の前記キャビティに露出した前記回路と電気的に連結されてもよい。
【0018】
前記発光パッケージは、下部から上部方向にセラミック層、金属層、紫外線生成層、空気層、光損失防止層及びサファイア層が位置する構造を有することができる。
【0019】
一実施例において、前記下部光損失防止層は単一層構造であってもよい。
【0020】
前記下部光損失防止層は、フッ化マグネシウム(MgF)で形成されてもよい。
【0021】
他の実施例において、前記下部光損失防止層は、複数の層を含むことができる。
【0022】
前記下部光損失防止層の前記複数の層のうち少なくとも一層は、フッ化マグネシウム(MgF)で形成されてもよい。また、他の層のうち少なくとも一つは、酸化ハフニウムで形成されてもよい。
【0023】
前記発光パッケージは、前記胴体と前記透光部材との間に配置される接着部材をさらに含むことができる。
【0024】
前記接着部材は、シリカ(SiO)又はストロンチウム(Sr)で形成されてもよい。
【0025】
前記発光パッケージは、前記胴体の上面に形成される密封部材をさらに含むことができる。
【0026】
前記密封部材は、メタライズ(metalize)方式で形成されてもよい。
【0027】
前記透光部材は、前記透光層の上面に形成された上部光損失防止層をさらに含むことができる。
【0028】
一実施例において、前記上部光損失防止層は単一層構造であってもよい。
【0029】
前記上部光損失防止層は、フッ化マグネシウム(MgF)で形成されてもよい。
【0030】
他の実施例において、前記上部光損失防止層は、複数の層を含むことができる。
【0031】
前記上部光損失防止層の前記複数の層のうち少なくとも一層は、フッ化マグネシウム(MgF)で形成されてもよい。また、他の層のうち少なくとも一つは、酸化ハフニウムで形成されてもよい。
【0032】
一実施例において、前記透光部材は、上面及び下面が平らな構造であってもよい。
【0033】
他の実施例において、前記透光部材は、上面が上部方向に凸状のドーム(dome)構造であってもよい。
【発明の効果】
【0034】
本発明の実施例に係る発光パッケージは、外部衝撃によっても容易に破損しないサファイアを用いて信頼性を向上させることができる。
【0035】
また、本発明の実施例に係る発光パッケージは、サファイア層に光損失防止層を形成することによって光抽出効率を向上させることができる。
【0036】
本発明の追加的な理解を提供するために含まれ、本明細書に統合され、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の実施例を示し、以下の詳細な説明と共に本発明の概念を説明する役割をする。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の第1実施例に係る発光パッケージを示した断面図である。
図2】本発明の第2実施例に係る発光パッケージを示した断面図である。
図3】本発明の第3実施例に係る発光パッケージを示した断面図である。
図4】本発明の第4実施例に係る発光パッケージを示した断面図である。
図5】本発明の第5実施例に係る発光パッケージを示した断面図である。
図6】本発明の第6実施例に係る発光パッケージを示した断面図である。
図7】本発明の第7実施例に係る発光パッケージを示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、添付の各図面を参考にして、本発明の各実施例を詳細に説明する。次に紹介する各実施例は、当業者に本発明の思想を十分に伝達するための例示として提供されるものである。よって、本発明は、以下で説明する各実施例に限定されなく、他の形態で具体化されてもよい。そして、各図面において、構成要素の幅、長さ、厚さなどは、便宜のために誇張して表現する場合がある。明細書全体にわたって同一の参照番号は同一の構成要素を示し、類似する参照番号は、対応する類似する構成要素を示す。
【0039】
以下では、図面を通じて本発明の発光パッケージに対して詳細に説明する。
【0040】
図1は、本発明の第1実施例に係る発光パッケージを示した断面図である。
【0041】
図1を参考にすると、第1実施例に係る発光パッケージ100は、胴体110、発光ダイオードチップ120及び透光部材150を含む。
【0042】
胴体110は絶縁材質で形成されてもよい。例えば、胴体110は、セラミック材質からなってもよい。セラミック材質は、低温焼成セラミック(LTCC:low temperature co-fired ceramic)又は高温焼成セラミック(HTCC:high temperature co-fired ceramic)を含むことができる。また、胴体110は、窒化物又は酸化物の絶縁性部材を含むことができる。又は、胴体110は、窒化物又は酸化物より高い熱伝導度を有する金属窒化物を含むことができる。例えば、胴体110は、SiO、Si、Si、Si、SiO、Al及びAlNのうち少なくとも一つを含むことができ、熱伝導度が140W/mK以上である金属窒化物を含むことができる。
【0043】
胴体110には、上面が開放されたキャビティが形成される。キャビティには発光ダイオードチップ120が実装される。図1を参考にすると、キャビティは、内壁がキャビティの底面に対して垂直な構造を有する。しかし、キャビティの内壁は、底面を基準にして一定角度だけ傾いた傾斜面であってもよい。
【0044】
図面には示していないが、胴体110の内部には、導電性物質からなるリードフレーム、電極などの回路が形成されてもよい。回路の一部は、胴体110の内部に位置する発光ダイオードチップ120と電気的に連結されてもよい。例えば、胴体110のキャビティの底面には、回路の一部が露出してもよい。キャビティの底面から露出した回路は、キャビティに配置された発光ダイオードチップ120の電極123と電気的に連結されてもよい。
【0045】
また、回路の他の一部は、胴体110の外部に露出してもよい。
【0046】
このような回路により、発光ダイオードチップ120と、発光パッケージ100の外部に位置する構成とが電気的に連結され得る。
【0047】
発光ダイオードチップ120は、紫外線領域の光を放出することができる。
【0048】
発光ダイオードチップ120は、成長基板121、半導体構造体122及び電極123を含む。図1を参考にすると、発光ダイオードチップ120は、電極123、半導体構造体122及び成長基板121が下部から上部方向に順次位置している。
【0049】
成長基板121は、半導体構造体122を成長できる基板であれば特に制限されない。例えば、成長基板121は、サファイア基板、窒化ガリウム基板、SiC基板などからなってもよい。
【0050】
半導体構造体122は成長基板121上に形成される。
【0051】
半導体構造体122は、図面には示していないが、第1導電型半導体層、活性層、及び第2導電型半導体層を含むことができる。
【0052】
半導体構造体122は、成長基板121上に第1導電型半導体層、活性層及び第2導電型半導体層が下部方向又は上部方向に順次積層された構造を有する。図1では、半導体構造体122が成長基板121の下部に位置する。
【0053】
第1導電型半導体層は、成長基板121上で成長した層であってもよい。例えば、第1導電型半導体層は、不純物がドーピングされたn型半導体層であってもよい。
【0054】
活性層は、第1導電型半導体層の上部に形成されてもよい。活性層は、単一量子井戸構造又は多重量子井戸構造を有することができる。
【0055】
活性層内での井戸層の組成及び厚さは、生成される光の波長を決定することができる。本実施例において、活性層は、井戸層の組成及び厚さによって紫外線を生成することができる。
【0056】
第2導電型半導体層は活性層上に位置する。例えば、第2導電型半導体層は、不純物がドーピングされたp型半導体層であってもよい。
【0057】
半導体構造体122は、紫外線を生成するための第1導電型半導体層、活性層、及び第2導電型半導体層のみならず、光効率の向上のための反射層、各層の絶縁のための絶縁層などをさらに含むことができる。
【0058】
半導体構造体122の詳細な構造は図1で省略されたが、光を生成及び放出するいずれの構造でも形成され得る。
【0059】
発光ダイオードチップは、一対の電極123を含むことができる。
【0060】
一つの電極123の一部は、半導体構造体122の第1半導体層と電気的に連結されてもよい。この電極123の他の一部は、胴体110のキャビティから露出した回路の一部と電気的に連結されてもよい。
【0061】
また、他の一つの電極123の一部は、半導体構造体122の第2半導体層と電気的に連結されてもよい。この電極123の他の一部は、胴体110のキャビティから露出した回路の他の一部と電気的に連結されてもよい。
【0062】
このように、電極123によって発光ダイオードチップ120と胴体110の回路とが電気的に連結されてもよい。
【0063】
回路を介して発光ダイオードチップ120に電源が供給されると、半導体構造体122で紫外線が生成される。半導体構造体122で生成された紫外線は、成長基板121を介して発光ダイオードチップ120の外部に放出され得る。
【0064】
このとき、発光ダイオードチップ120の上面から放出された紫外線は、透光部材150に向かうようになる。ここで、発光ダイオードチップ120の上面は、成長基板121の上面である。
【0065】
また、発光ダイオードチップ120の側面又は下面から放出される紫外線は、キャビティをなす胴体110の内壁で反射され、透光部材150に向かうことができる。
【0066】
透光部材150は、胴体110の上面に配置され、キャビティを覆うことができる。
【0067】
一実施例において、発光パッケージ100は、キャビティの内部を透光性樹脂で充填せず、透光部材150を胴体110の上面に配置することによってキャビティを覆うことができる。他の実施例において、発光パッケージ100は、キャビティの内部を透光性樹脂で充填し、透光部材150を胴体110の上面に配置することによってキャビティを覆うこともできる。
【0068】
透光部材150は、発光ダイオードチップ120から放出された紫外線が透過する材質で形成される。
【0069】
本発明の実施例によると、透光部材150は、透光層130及び光損失防止層140を含むことができる。
【0070】
従来は、透光部材の材料として、主にクォーツやシリコーンが使用されてきた。
【0071】
シリコーンで形成された透光部材は、紫外線透過率が低いので、発光パッケージの光効率が非常に低いという問題を有する。クォーツで形成された透光部材は、紫外線透過率が高いが、原資材であるクォーツの費用が高いので、発光パッケージの単価が上昇するという短所を有する。また、クォーツは、硬度が低く、衝撃によって割れやすいので、発光パッケージの信頼性が低いという問題もある。
【0072】
本発明の実施例に係る透光部材150の透光層130はサファイアで形成される。
【0073】
サファイアは、クォーツより高い強度を有する。よって、サファイアで形成された透光層130は、外部衝撃によっても容易に破損しないので、発光パッケージの高い信頼性を確保することができる。
【0074】
本発明の実施例によると、透光層130の下面に光損失防止層140が形成される。
【0075】
光損失防止層140は、発光ダイオードチップ120から放出される光が透光層130で反射されることを抑制できると共に、透光性である材質で形成されてもよい。
【0076】
図1を参考にすると、光損失防止層140は単一層からなってもよい。
【0077】
例えば、光損失防止層140は、フッ化マグネシウム(MgF)又は酸化ハフニウム(HfO)で形成されてもよい。
【0078】
本発明の実施例によると、光損失防止層140は、約25nm乃至50nmの厚さで形成されてもよい。このとき、発光ダイオードチップ120から放出される紫外線の波長帯が短いほど、光損失防止層140の厚さも薄くなり得る。例えば、発光ダイオードチップ120の紫外線がUVC又はUVBであると、光損失防止層140は約25nm乃至40nmの厚さで形成されてもよい。また、発光ダイオードチップ120の紫外線がUVAの場合、光損失防止層140は約40nm乃至50nmの厚さで形成されてもよい。
【0079】
一般に、サファイアは、クォーツより高い強度を有するが、紫外線透過率が低いものとして知られている。
【0080】
しかし、本実施例において、サファイアで形成された透光層130に光反射を抑制する光損失防止層140をコーティングすることによって、透光部材150の紫外線透過率を向上させることができる。
【0081】
このように、本発明の実施例に係る発光パッケージ100は、サファイアで形成された透光層130に、光反射を抑制する光損失防止層140をコーティングすることによって形成された透光部材150によって高い信頼性及び高い光抽出効率を有することができる。
【0082】
本発明の実施例に係る発光パッケージ100は、セラミック層、金属層、紫外線生成層、空気層、光損失防止層140、及びサファイア層が下部から上部方向に順次位置する構造を有することができる。ここで、セラミック層は胴体110で、金属層は、発光ダイオードチップ120の電極123である。また、紫外線生成層は、発光ダイオードチップ120の発光構造体の光放出面である。すなわち、紫外線生成層は、発光構造体の成長基板121であってもよい。空気層は、成長基板121と光損失防止層140との間の空間である。また、サファイア層は、透光部材150の透光層130である。
【0083】
よって、発光パッケージ100は、発光ダイオードチップ120の半導体構造体122で生成された紫外線が成長基板、空気層、光損失防止層140及びサファイア層を順次通過しながら外部に放出される構造を有することができる。
【0084】
すなわち、発光ダイオードチップ120で生成された紫外線は、屈折率が互いに異なる複数の層を通過するようになる。
【0085】
よって、本発明の実施例に係る発光パッケージ100は、紫外線経路上に配置された屈折率が互いに異なる複数の層を有する構造によって光抽出効率がさらに向上し得る。
【0086】
図1では、光損失防止層140が透光層130の下面に形成されるが、本発明の透光部材150の構造がこれに限定されることはない。光損失防止層140は、透光層130の上面に形成されることも可能である。
【0087】
その後、他の実施例の発光パッケージに対しては、以前に説明した発光パッケージとの相違点を中心に説明する。すなわち、他の実施例の発光パッケージを説明するとき、以前の実施例の発光パッケージと同一の構成に対しては説明を簡略にしたり省略する。よって、該当の構成に対する詳細な説明は、以前の実施例の説明を参考にすることができる。
【0088】
図2は、本発明の第2実施例に係る発光パッケージを示した断面図である。
【0089】
図2を参考にすると、第2実施例に係る発光パッケージ200は、胴体110、発光ダイオードチップ120及び透光部材250を含むことができる。
【0090】
第2実施例によると、透光部材250は、複数の層で形成された光損失防止層240を含むことができる。
【0091】
図2を参考にすると、光損失防止層240は、第1光損失防止層21及び第2光損失防止層22を含む2層構造である。このとき、第1光損失防止層21及び第2光損失防止層22は、互いに異なる材質で形成されてもよい。
【0092】
例えば、第1光損失防止層21はフッ化マグネシウムで形成されてもよく、第2光損失防止層22は酸化ハフニウムで形成されてもよい。
【0093】
本実施例は、2層構造の光損失防止層240を例示として説明したが、光損失防止層240は3層以上の層を含むことができる。
【0094】
また、本実施例において、光損失防止層240をなす各層が互いに異なる材質で形成されるが、これに光損失防止層240の構造が限定されることはない。すなわち、光損失防止層240は、同一の材質で形成された複数の層を含むように形成されてもよい。
【0095】
図3は、本発明の第3実施例に係る発光パッケージを示した断面図である。
【0096】
図3を参考にすると、第3実施例に係る発光パッケージ300は、胴体110、発光ダイオードチップ120及び透光部材350を含む。
【0097】
透光部材350は、サファイアで形成された透光層130及び光損失防止層340を含むことができる。
【0098】
また、光損失防止層340は、透光層130の下部に形成された下部光損失防止層341、及び透光層130の上部に形成された上部光損失防止層342を含むことができる。
【0099】
下部光損失防止層341及び上部光損失防止層342の構造及び材質は、図1及び図2に示した発光パッケージの光損失防止層340に対する説明を参考にすることができる。
【0100】
下部光損失防止層341及び上部光損失防止層342の構造及び材質は、同一であってもよく、互いに異なってもよい。
【0101】
本発明の第3実施例に係る発光パッケージ300は、セラミック層、金属層、紫外線生成層、空気層、下部光損失防止層341、サファイア層、及び上部光損失防止層342が下部から上部方向に順次位置する構造を有することができる。
【0102】
図4は、本発明の第4実施例に係る発光パッケージを示した断面図である。
【0103】
第4実施例に係る発光パッケージ400は、胴体110、発光ダイオードチップ120、透光部材350及び接着部材460を含むことができる。
【0104】
透光層130の下部に形成された光損失防止層340は、セラミック材質との接着力が低い場合がある。
【0105】
すなわち、下部光損失防止層341とセラミック材質で形成された胴体110との間の接着力が低い場合がある。
【0106】
本実施例の発光パッケージ400は、透光部材350と胴体110との間の低い接着力を補完するための接着部材460をさらに含むことができる。
【0107】
図4を参考にすると、接着部材460は、胴体110と透光部材350との間に形成される。
【0108】
例えば、接着部材460は、シリカ(SiO)又はストロンチウム(Sr)で形成されてもよい。
【0109】
よって、本実施例の発光パッケージ400において、キャビティの外側部分は、セラミック層、接着層、光損失防止層340及びサファイア層が順次積層された構造を有することができる。
【0110】
図5は、本発明の第5実施例に係る発光パッケージを示した断面図である。
【0111】
第5実施例に係る発光パッケージは、胴体110、発光ダイオードチップ120、透光部材150、接着部材460及び密封部材570を含むことができる。
【0112】
密封部材570は、発光パッケージ500の気密シール(hermetic seal)のために形成され得る。
【0113】
よって、密封部材570は胴体110の上面に形成され得る。
【0114】
図5を参考にすると、密封部材570は、胴体110の上面に形成されるので、胴体110と接着部材460との間に位置するようになる。
【0115】
一実施例において、密封部材570は、メタライズ技術を通じて胴体110の上面に形成されてもよい。
【0116】
例えば、密封部材570は、金(Au)又はニッケル(Ni)で形成されてもよい。また、密封部材570は、金で形成された層とニッケルで形成された層を全て含むことができる。
【0117】
よって、本実施例の発光パッケージ500において、キャビティの外側部分は、セラミック層、金属層、接着層、光損失防止層340及びサファイア層が順次積層された構造を有することができる。ここで、金属層は密封部材570である。
【0118】
本発明の実施例によると、発光ダイオードチップ120から放出される紫外線の波長帯によって発光パッケージ500の一部の構成の大きさが変わり得る。
【0119】
発光ダイオードチップ120から放出される紫外線がUVCである場合、空気層の全体の厚さAは約500μmであってもよい。すなわち、図5を基準にして、胴体110のキャビティの底面と透光部材350の下面との間の距離が約500μmであってもよい。
【0120】
また、空気層の最小厚さBは約100μmであってもよい。すなわち、発光ダイオードチップ120の光放出面である上面と透光部材350の下面との間の距離が約100μmであってもよい。
【0121】
発光ダイオードチップ120から放出される紫外線がUVCより短い波長帯の場合、空気層の全体の厚さAは約400μmであってもよい。
【0122】
また、空気層の最小厚さBは約280μmであってもよい。
【0123】
ここで、UVCより短い波長の紫外線は、UVB、UVA及び近紫外線であり得る。
【0124】
また、本発明の実施例によると、発光ダイオードチップ120から放出される紫外線の種類と関係なく、透光部材350の厚さCは約250μmであってもよい。
【0125】
下記の[表1]は、従来の発光パッケージと第3実施例に係る発光パッケージ300の光特性Wを測定した結果を示す。
【0126】
ここで、従来の発光パッケージは、クォーツで形成された透光部材が適用された発光パッケージである。また、[表1]において、紫外線は、下記のピーク波長を含む波長帯の紫外線である。
【0127】
また、[表1]において、光特性結果は、それぞれの発光パッケージで単位時間の間に発生する光エネルギーである放射束(Radiant Flux、W(J/s))を測定した結果である。
【0128】
【表1】
【0129】
[表1]を参考にすると、各紫外線波長帯別に、従来の発光パッケージと第3実施例に係る発光パッケージ300の光特性がほぼ類似するレベルである。
【0130】
この結果を通じて、サファイアで形成された透光層130に光損失防止層340が形成された透光部材350は、クォーツで形成された透光部材と類似する光抽出効率を有することが分かる。
【0131】
図6は、本発明の第6実施例に係る発光パッケージを示した断面図である。
【0132】
第6実施例によると、発光パッケージ600は、胴体110、発光ダイオードチップ120及び透光部材650を含むことができる。
【0133】
図6を参考にすると、透光部材650の透光層630は、ドーム形態で形成される。
【0134】
また、光損失防止層640は、透光層630の下面に形成される。
【0135】
図7は、本発明の第7実施例に係る発光パッケージを示した断面図である。
【0136】
第7実施例によると、発光パッケージ700は、胴体110、発光ダイオードチップ120及び透光部材750を含むことができる。
【0137】
図7を参考にすると、透光部材750の透光層730はドーム形態で形成される。
【0138】
また、光損失防止層740は、下部光損失防止層741及び上部光損失防止層742を含むことができる。下部光損失防止層741は透光層730の下面に形成され、上部光損失防止層742は透光層730の上面に形成される。
【0139】
図6及び図7において、透光層630、730は、いずれも下面が平らな構造である。すなわち、透光層630、730は、紫外線が入射される入射面が平らであるが、この構造に限定されるのではない。透光層630、730の入射面の構造は多様に変更され得る。
【0140】
下記の[表2]は、第6実施例に係る発光パッケージ600と第7実施例に係る発光パッケージ700の光特性(P retention、%)を測定した結果を示す。
【0141】
ここで、従来の発光パッケージは、透光部材が光損失防止層を含んでおらず、ドーム形態の透光層で形成された発光パッケージである。また、[表2]において、紫外線は、下記のピーク波長を含む波長帯の紫外線である。
【0142】
また、[表2]において、光特性は、透光層を含まない発光パッケージを基準にしたそれぞれの発光パッケージの放射束比率である。すなわち、[表2]のそれぞれの発光パッケージの光特性値は、透光層を含まない発光パッケージの放射束を100%にして計算されたものである。
【0143】
【表2】
【0144】
[表2]を参考にすると、各紫外線の波長帯別に、第7実施例の発光パッケージ700が第6実施例の発光パッケージ600より高い光特性を示すが、大きな差はない。
【0145】
また、透光層630、730の少なくとも一面に光損失防止層640、740が形成された第6実施例の発光パッケージ600と第7実施例の発光パッケージ700は、光損失防止層が省略された発光パッケージより高い光特性を示した。
【0146】
よって、光損失防止層640、740によって発光パッケージの光効率が向上することが分かる。
【0147】
このように、本発明の実施例によると、レンズとしての役割をする透光部材をサファイアで形成することによって発光パッケージの信頼性を向上させることができる。
【0148】
また、本発明の実施例によると、光損失防止層をサファイアの少なくとも一面に形成することによって発光パッケージの光抽出効率を向上させることができる。
【0149】
よって、本発明の実施例に係る発光パッケージは、信頼性と光効率を同時に向上させることができる。
【0150】
上記で説明したように、本発明に対する詳細な説明は、添付の図面を参照した実施例によってなされたが、上述した実施例は、本発明の好ましい例を挙げて説明したものに過ぎないので、本発明が前記実施例にのみ限定されると理解してはならなく、本発明の権利範囲は、後述する特許請求の範囲及びその等価概念で理解しなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】