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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】部品の転送方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20240711BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
H01L21/52 C
H01L21/60 311S
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502213
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(85)【翻訳文提出日】2024-03-06
(86)【国際出願番号】 EP2022070415
(87)【国際公開番号】W WO2023001921
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】102021118957.8
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】エイエムエス-オスラム インターナショナル ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ams-OSRAM International GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D-93055 Regensburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エベッケ イェンス
【テーマコード(参考)】
5F044
5F047
【Fターム(参考)】
5F044KK01
5F044PP15
5F044PP16
5F044PP19
5F047AA17
5F047CA08
5F047FA01
5F047FA07
5F047FA57
(57)【要約】
本発明は、部品、特にオプトエレクトロニクス部品の転送方法に関し、支持ホルダを介して第1のキャリアに取り付けられ、第1のキャリアの反対側に転送領域を有する少なくとも1つの部品が提供される。光出射領域を有する導光持ち上げ要素が、光出射領域が転送領域に対向するように位置決めされ、第1のレーザ光パルスが生成される。それによって、光出射領域と転送領域との間の転送材料が融解され、それにより光出射領域が融解した転送材料によって転送領域に結合される。部品が持ち上げられ、受け台領域の上方に位置決めされる。その後第2のレーザ光パルスが生成され、それにより転送材料が新たに融解されるとともに、転送材料が凝固する前に持ち上げ要素が転送領域から移動され、持ち上げ要素の移動の結果部品が受け台領域に残存する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品、特にオプトエレクトロニクス部品の転送方法であって、
-支持ホルダを介して第1のキャリアに取り付けられる少なくとも1つの部品を提供する工程であって、前記少なくとも1つの部品が前記第1のキャリアの反対側に転送領域を有する、提供する工程と、
-光出射面を有する導光持ち上げ要素を、前記光出射面が前記転送領域に対向するように位置決めする工程と、
-光出射領域を通る第1のレーザ光パルスを生成する工程と、
-前記光出射面と転送領域との間に存在する転送材料を前記第1のレーザ光パルスによって局所的に融解させる工程と、
-前記融解された転送材料により前記光出射面を前記転送領域に結合する工程と、
-前記少なくとも1つの部品を持ち上げる工程であって、前記少なくとも1つの部品が前記支持ホルダから分離される、持ち上げる工程と、
-前記少なくとも1つの部品を受け台領域の上方に位置決めする工程と、
-前記光出射面を通る第2のレーザ光パルスを生成することで前記転送材料が新たに融解される工程と、
-前記転送材料が凝固する前に前記持ち上げ要素を前記転送領域から移動させることで前記部品が前記受け台領域に残存する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記レーザ光パルスが前記導光持ち上げ要素に沿って、特に前記導光持ち上げ要素内に生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のレーザ光パルスおよび/または第2のレーザ光パルスの持続時間が1ns~500nsの範囲、特に5ns~20nsの範囲にある、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記位置決めする工程は、
-前記転送材料が前記光出射面と前記転送領域の両方に接触するように、前記転送領域に前記導光持ち上げ要素を載置する工程、または、
-第1のレーザ光パルスの間に前記局所的融解によって引き起こされる形状変化によって前記転送材料が前記転送領域に接触するように、前記導光持ち上げ要素を前記転送領域の上方の予め定められた高さに位置決めする工程、
を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記局所的融解が、前記光出射面の面積よりも小さい領域において行われる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の光パルスの生成中、前記導光持ち上げ要素により前記転送領域に力が加えられる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記結合が、前記融解された転送材料が前記レーザ光パルスの生成後に再び凝固することにより行われ、前記転送領域および/または前記光出射面における前記転送材料の接着力は、前記支持ホルダにより加えられる保持力よりも大きい、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの部品を提供する前記工程が、前記転送領域に前記転送材料を設けることを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記転送領域が、前記転送領域の材料の一部である材料を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記転送領域が、前記部品のコンタクトの少なくとも一部を形成する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記持ち上げ要素の移動後、前記転送材料の一部のみ、特に前記転送領域における当初の質量に対して20質量%未満が残存する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記転送材料の表面成形のために、レーザ光パルスを生成することによって前記光出射面において前記転送材料を新たに融解すること、を更に含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記転送材料は、以下の材料、
-インジウム、
-ガリウム、
-ニッケル、
-銀、
-金、
-スズ、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記導光持ち上げ要素がガラス繊維を有し、前記ガラス繊維の端が前記光出射面を形成する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記光出射面の面積が、前記転送領域の面積の75%よりも小さい範囲にあり、特に前記転送領域の前記面積の10%~40%の範囲にある、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
結合する工程、特に前記受け台領域に第2のコンタクトをはんだ付けする工程であって、はんだ過程中、前記持ち上げ要素が前記転送材料を介して前記転送領域に結合されたままである、工程を更に含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記導光持ち上げ要素の先端部が以下の形状、
-半球形の先端部、
-円錐形の先端部、
-ボウリングピン形の先端部、
-内側に湾曲した凹部、
のうちの1つを有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
転送アセンブリであって、
-第1のレーザパルスおよび第2のレーザパルスを生成するための光生成装置と、
-光出射面を有する導光持ち上げ要素と、
-前記導光持ち上げ要素の光出射面を部品の転送領域の上方に位置決めするように、および前記持ち上げ要素を垂直方向にも移動させるように設計された移動装置と、を備え、
-前記転送領域において前記第1のレーザパルスにより融解された転送材料によって前記部品を前記持ち上げ要素に結合するように、かつ、
-転送後、前記転送材料による前記結合を第2のレーザパルスによって再び解除するように形成されている、転送アセンブリ。
【請求項19】
前記第1のレーザ光パルスおよび/または前記第2のレーザ光パルスの持続時間が1ns~500nsの範囲、特に5ns~20nsの範囲にある、請求項18に記載の転送アセンブリ。
【請求項20】
前記光出射面の面積が前記転送領域の面積の75%よりも小さい範囲にあり、特に前記転送領域の前記面積の10%~40%の範囲にある、請求項18または19に記載の転送アセンブリ。
【請求項21】
前記転送アセンブリは、前記第1の光パルスの生成中、前記導光持ち上げ要素により前記転送領域に力を加えるように設計されている、請求項18~20のいずれか一項に記載の転送アセンブリ。
【請求項22】
-受け台領域と前記光出射面との間の隔たり、または前記隔たりから導出される値を検出するための1つまたは複数のセンサと、
-前記1つまたは複数のセンサと、前記1つまたは複数のセンサの信号に応答して垂直移動を制御するための前記移動装置とに結合されている制御/コントロール回路と、
を更に備える、請求項18~21のいずれか一項に記載の転送アセンブリ。
【請求項23】
前記導光持ち上げ要素の先端部が以下の形状、
-半球形の先端部、
-円錐形の先端部、
-ボウリングピン形の先端部、
-内側に湾曲した凹部、
のうちの1つを有する、請求項18~22のいずれか一項に記載の転送アセンブリ。
【請求項24】
前記光出射面が前記転送材料により覆われている、請求項18~23のいずれか一項に記載の転送アセンブリ。
【請求項25】
前記光出射面に転送材料を供給するための転送材料リザーバを更に備える、請求項18~23のいずれか一項に記載の転送アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許文献1の優先権を主張し、この文献の開示内容は参照によってその全体が本出願に組み込まれている。本発明は、電子部品の転送方法および転送アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
電子コンポーネントおよび部品を成長キャリアから補助キャリアまたは目標基板もしくは回路基板に転送するための様々な方法が知られている。しかし、小型化されていく部品、特に小型オプトエレクトロニクス部品は、様々な作用により、誤りなく転送することを難しくする。小型の部品では個々の接着力(Haftkraefte)のコントロールが非常に困難であり、それにより、転送時にすべての部品が完全には移されないこともある。したがって、部品を置く際に、部品が従来のスタンプパッドにまだ付着したままであるか、または正確に配置されないという可能性もあり得る。
【0003】
例えば、オプトエレクトロニクス部品、いわゆる発光ダイオード、または縁の長さ(Kantenlaenge)が非常に小さいμ発光ダイオードも一種のゴムスタンプを用いて転送することができる。しかし、この場合、様々な大きさの引力を考慮しなければならず、それにより転送が時々不正確に、または不完全に行われる。決定的に重要なのは、とりわけ、スタンプと個々の部品との間の引力がキャリア上の部品の接着力よりも大きくなければならないが、他方で、部品とそれぞれの受け台領域(Ablegebereich)との間の接着力よりも小さくなければならないということである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願第102021118957.8号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、可能な限り安全な取り扱いと正確な転送を保証する電子部品の転送方法が引き続き必要とされる。
【0006】
上記問題および他の問題を解決するために、部品、特にオプトエレクトロニクス部品の転送方法が提案される。
【0007】
この場合、支持ホルダを介して第1のキャリアに取り付けられる少なくとも1つの部品が提供される。部品は、部品の第1のキャリアの反対側に配置された転送領域を更に有する。これに関連して、第1のキャリアは成長基板、補助キャリア、またはそれに類するものであり得、部品は、もう1つの存在する支持ホルダを介して第1のキャリアに保持される。
【0008】
第2の工程において、光出射領域(Lichtaustrittbereich)を有し、する導光持ち上げ要素(lichtleitendes Abhebeelement)が設けられる。光出射領域は、少なくとも1つの部品の転送領域に対向して位置決めされる。続いて、光出射領域を通る第1のレーザ光パルスが生成される。その場合、レーザ光パルスは、光出射領域と転送領域との間に配置されている転送材料の局所的融解をもたらすエネルギー入力を有する。転送材料の局所的融解によって、光出射領域が転送領域に結合され、それにより部品が持ち上げ要素に取り付けられる。
【0009】
この緊密な結合は、次いで、次の工程において少なくとも1つの部品を持ち上げることを可能にし、それにより部品が支持ホルダから分離される。局所的融解によって、持ち上げ要素の光出射領域と部品の転送領域との間の転送材料による接着力が大きくなり、部品を支持ホルダから分離する、例えば折り取るか、または引き離すことができる。持ち上げた後、このときには持ち上げ要素に取り付けられている部品が新たに受け台領域の上方に位置決めされる。この受け台領域はエンドキャリアの一部であってもよいし、PCB、他の部品の受け台面(Ablageflaeche)などであってもよい。
【0010】
少なくとも1つの部品を受け台領域の上方に位置決めした後、次に、光出射領域を通して第2のレーザ光パルスが生成される。次に、レーザ光パルスにより導入されたエネルギーによって転送材料が新たに局所的に融解される。それによって転送領域における少なくとも1つの部品と転送材料との間の接着力が低下し、それにより部品が受け台領域に落下するか、もしくは、次いで受け台領域によって保持される。転送材料の液状状態において、導光持ち上げ要素を新たに移動する(wegbewegen)ことができ、それにより部品が受け台領域に残存する。この最後の移動は、転送材料が新たに凝固する前に行われる。
【0011】
本明細書に提案される方法によって、スタンプパッドを用いる従来の技術とは異なり、持ち上げ要素と転送すべき部品との間の非常に強力で緊密な結合が生成される。導入される光パルスによってこの結合を生成し、更なる光パルスにより新たに分離することができ、それにより部品が目標位置に残存するか、もしくはそこに設置することができる。
【0012】
複数のこのような持ち上げ要素を使用することによって、大量転送を簡単に成し遂げることができる。それに加えて、個々の持ち上げ要素にレーザ光パルスを選択的に印加することも可能であり、それにより部品を持ち上げ要素に選択的に結合すること、およびこのような部品を選択的に取り外すことも可能である。このようにして、部品を選択的に転送すること、もしくは配置の際に部品をまだ空いている箇所に選択的に装着することができる。
【0013】
したがって、本明細書に提案される方法は、特に、ディスプレイもしくは表示装置の製造、および非常に小型のオプトエレクトロニクス部品、縁の長さがほんの数μmの範囲のいわゆるμLED部品の転送に用いることができる。
【0014】
いくつかの態様において、導光持ち上げ要素はガラス繊維として形成されており、このガラス繊維を通して光パルスが放出される。したがって、ガラス繊維の光出射面は、部品が転送材料により取り付けられる領域でもある。レーザ光パルスの使用によって、導入すべきエネルギー入力を制御でき、それにより融解が局所的にのみ行われ、転送材料に限定される。その場合、ほんの数ナノ秒の範囲、例えば5ns~20nsの範囲の非常に短いレーザパルスが局所的融解のために十分なエネルギーを生成し、その際、周辺の領域への熱伝導が回避されるほど短い。それによって、熱の発生による部品の損傷が防がれる。
【0015】
別の態様は、転送領域の上方もしくは上に導光持ち上げ要素を位置決めすることに関するものである。いくつかの態様において、導光持ち上げ要素が転送領域に載置されることが企図され、それにより転送材料が持ち上げ要素の光出射領域と部品の転送領域の両方に接触する。これに関連して、融解過程中、持ち上げ要素によって転送領域にわずかな力が加えられることを更に企図することができ、それにより転送材料がこれらの両方と緊密に結合する。
【0016】
代替的に、導光持ち上げ要素を転送領域の上方の予め定められた高さに位置決めすることもできる。その場合、部品の転送領域と持ち上げ要素もしくは転送材料との間の距離は、融解過程中に転送材料が形状変化を被り、それにより転送領域と接触するように選択されている。例えば、転送材料は、融解過程中にしずく形に変化することができ、それにより、より大きくなった長さを有することで転送領域に接触し、それにより材料が新たに凝固した後に転送領域を持ち上げ要素に結合する。
【0017】
いくつかの態様において、局所的融解の領域が光出射領域の面積よりも小さい。言い換えれば、局所的融解は、とりわけ、光パルスが転送材料に当たる領域において行われるが、エネルギー入力は、光パルスの領域の外側のエリアが融解しないか、またはわずかしか融解しないほど少ない。この効果を特に考慮するため、およびこの効果の利点を実現するために、いくつかの態様において、持ち上げ要素の光出射領域の特別な形状が実装される。
【0018】
したがって、出射領域を平らに設計することができ、それにより転送材料はこの平らな面において光出射領域に緊密に結合する。しかし代替的形態において、持ち上げ要素は、先細りになる先端部を備えて設計されており、持ち上げ要素の端に転送材料が設けられている。これに関連して、パルスが先端部の下端において転送材料を完全に融解し、それにより転送材料が溶けた状態でしずく形の構造を形成するように光パルスを設計することができる。部品は転送領域においてこのしずくにより捕らえられ、新たな凝固後、このしずく形の転送材料が部品を持ち上げ要素に結合する。
【0019】
代替的な一実施形態において、持ち上げ要素の光出射面を円錐形または半球形に形成することができる。他の可能性は、ボウリングピン形(kegelfoermig)に先細りになる先端部、角錐形に先細りになる先端部、または傾斜面であろう。いくつかの態様において、光出射面の面積(Flaeche)、もしくは一般に持ち上げ要素の先端部の面積は転送領域の面積よりも小さい。
【0020】
いくつかの実施形態において、導光持ち上げ要素は、転送領域の上方の予め定められた高さに位置決めされ、続いて光パルスが生成される。光パルスの生成中、導光持ち上げ要素は、液状の転送材料が転送領域に結合するまで、部品の転送領域の方向に引き続き導かれる。この移動は光パルス中に行うこともできるし、または光パルスの少し後に行うこともでき、転送材料は、この時点ではまだ液状もしくは半液状(halbfluessig)であり、それにより転送領域の接触および濡らし(Benetzung)と結合を行うことができる。
【0021】
転送材料の凝固後、転送領域における転送材料の接着力もしくは持ち上げ要素の光出射面における転送材料の接着力は、支持ホルダによって部品に加えられる対応する接着力よりも大きい。それによって、部品が持ち上げ要素から外れることなく、部品を支持要素から分離、例えば折り取るか、または引き離すことができる。
【0022】
上述の実施形態では、転送材料は持ち上げ要素に配置されており、持ち上げ要素により光パルスを生成することによって融解される。しかし別の実施形態では、転送材料を本来の転送プロセスの前に転送領域に設けることも可能である。転送材料の融解は、位置決め後、特に光出射面が転送材料に接触した後に行われ、それにより生成された光パルスが光出射面から転送材料に直接移り、そこで局所的融解をもたらす。この実施形態には、転送材料を、製造プロセス中にすでに様々な方法で転送領域に設けるもしくは堆積させることができるという利点がある。
【0023】
更に、これに関して、転送材料を他の工程および後からのプロセス遂行、例えば部品の接触にも利用できる場合が合目的的である。これらの態様において、新たな融解、および目標キャリアへの部品の設置後に転送材料が持ち上げ要素にわずかしか残存しないか、残残存しない場合が有意義であり得る。したがって、これらの態様において、転送領域は、同時に部品のコンタクトの一部を形成することもできる。
【0024】
別の態様において、転送材料は持ち上げ要素の一部であり、いくつかの態様においては転送後に部品の転送領域に残ってはならないか、もしくはわずかしか残ってはならない。いくつかの態様において、持ち上げ要素の移動後に転送材料の小部分のみが転送領域に残存する。この部分は転送材料の当初質量に対して20%未満、特に当初質量の10%未満、もしくは5%未満であり得る。いくつかの態様において、持ち上げ要素における転送材料を新しくしなくても部品の複数の転送プロセスを実行できるようにするために、持ち上げ要素における転送材料の損失は可能な限り少なくなければならない。
【0025】
いくつかの態様において、転送材料を新しくするために、持ち上げ要素を転送材料の供給層の上方に位置決めすることを企図することができる。次に、エネルギーの豊富な光パルスが生成され、それにより光出射面の下方に転送材料の融解がもたらされ、転送材料が持ち上げ要素に取り込まれる。
【0026】
いくつかの態様において、持ち上げ要素の移動後に持ち上げ要素に残った転送材料を溶かすために、新たな光パルスを生成することが合目的的である。新たな融解によって、光出射面における転送材料を平坦化するか、もしくは所望の形状にすることができる。この過程は、新たな転送プロセスのために可能な限り同形の表面を可能にするために合目的的である。
【0027】
使用すべき転送材料のために様々に異なる材料を使用することができる。1つには、基本的に、転送後に部品を更に加工するためにも必要な材料を使用することができる。そのような使用には、部品に残っている転送材料による、電気的機能性を損なうような激しい汚染が生じないという利点がある。他の態様において、転送材料は、部品の転送領域も形成する少なくとも1つの材料を含むことができる。
【0028】
このような材料は、例えばインジウム、ガリウム、ニッケル、銀、金、または更にスズである。部品のために、例えばITOなどの透明な電気的コンタクトが使用される場合、転送材料としてスズまたはインジウムを使用することが合目的的である。インジウムとガリウムはどちらも低融点(niedrigschmelzend)金属であり、したがってエネルギー入力と、それに伴い光パルスも可能な限り短くできるため、ガリウムも良好に使用することができる。
【0029】
他の態様において、金または銀は、とりわけこれらの材料がコンタクト面の表面処理(Veredelung)のため、および良好にはんだ付けできるコンタクトを作製するために適しているため、使用することができる。
【0030】
代替的に、転送材料として熱可塑性プラスチックもしくはシリコーンを使用することもできる。これらは、特に残留物のない持ち上げ方法によって特徴付けられ、転送材料が部品の転送領域にほとんど残らないか、またはごくわずかしか残らない。その場合、光パルスの強度および長さは、使用すべき転送材料に合わせて設定され、第1のキャリアにおける部品の接着力に打ち勝つために必要な量の転送材料のみが融解するように選択される。
【0031】
別の態様は、複数のガラス繊維ラインを有し、ガラス繊維ラインの端に光出射面が存在する転送アセンブリに関する。その場合、各ガラス繊維ラインは、ほんの数ナノ秒のレーザパルスを生成する光生成アセンブリに選択的に接続されている。その場合、複数のガラス繊維ラインの距離および形状は、部品を受け取るのに特に適するように選択されている。ガラス繊維ラインの光出射面にはそれぞれ融解可能な転送材料が配置されている。それに加えて、転送アセンブリは、ガラス繊維ラインを垂直方向と水平方向の両方に移動可能である移動装置を備える。本発明によれば、転送アセンブリは、ガラス繊維ラインの光出射面を複数の部品のそれぞれの転送領域の上方に位置決めするように、および続いてガラス繊維ラインの光出射面における転送材料を融解するために複数のレーザ光パルスを選択的に、または一緒に生成するように設計されている。
【0032】
いくつかの実施形態において、その場合、転送アセンブリは、複数のレーザ光パルスの生成中に垂直移動を実行するように、およびそれによりガラス繊維ラインにより転送領域の表面に力を加えるように設計されている。その場合、この力は、部品を損傷したり、もしくは支持ホルダから除去したりすることなく、融解した転送材料がガラス繊維ラインの端と部品のそれぞれの転送領域との間に結合をもたらすように選択されている。
【0033】
いくつかの実施形態では、垂直の位置合わせのために、ガラス繊維ラインの垂直移動をカップリング(Kopplung)により制御するレーザ干渉計または他の干渉計が設けられている。このようにして、部品の上方での垂直方向の特に正確な位置決めが可能である。代替的に、部品とガラス繊維との間の静電容量測定によって制御することもできる。
【0034】
その場合、光生成アセンブリは、ほんの数ナノ秒の範囲、例えば5~30nsの範囲のレーザ光パルスを生成するように設計されている。
【0035】
提案される原理による他の態様および実施形態は、添付の図面を参照しながら詳しく説明される様々な実施形態および例に関連して明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】提案される原理による部品の転送方法の第1の工程を示す図である。
図2】提案される原理による部品の転送方法の別の態様を示す図である。
図3】提案される原理による部品を転送するために使用可能なガラス繊維ラインの先端部の実施形態の断面を示す。
図4】提案される原理による部品の転送方法の別の例示的実施形態を示す図である。
図5】転送材料の引き離し過程の詳細図である。
図6】提案される原理による転送アセンブリの一例示的実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下の実施形態および例は、提案される原理による様々な態様とそれらの組み合わせを示す。実施形態および例は必ずしも縮尺通りではない。個々の態様を強調するために、様々な要素が拡大または縮小して示される可能性もある。当然のことながら、図に示される実施形態および例の個々の態様および特徴を、それによって本発明による原理が損なわれることなく互いに問題なく組み合わせることができる。いくつかの態様は、規則的な構造または形状を有する。実際には、本発明による思想に反しない範囲で理想の形状からのわずかな逸脱が起こり得ることに留意されたい。
【0038】
図1および図2は、これらの図のそれぞれの分割図である図1aおよび図1bならびに図2c~図eにおいて、提案される原理による電子部品を転送する様々な方法工程を示す。
【0039】
この例示的実施形態では、部品2はオプトエレクトロニクス部品として、いわゆるμ発光ダイオードとして設計されている。しかし、例えばシリコンベースの他の部品、または他のオプトエレクトロニクス部品をこの方法によって転送することも問題なく可能である。その限りで、本明細書に記載されているオプトエレクトロニクス部品は、単に一例と理解されるべきである。
【0040】
部品は、様々な半導体層53、54および55からなる半導体積層体50を含み、裏側の端子コンタクト52および上側の端子コンタクト(Anschlusskontakt)40を有する垂直型発光ダイオードとして設計されている。上側の端子コンタクト40は同時に転送領域41でもあり、部品はこの転送領域と共に、後からエンドキャリアに転送される。
【0041】
例示される実施形態では、部品2は、支持ホルダ61を介してキャリア基板60に接続されている。図示されるように、下側のコンタクト52は基板キャリア60の表面から離隔されており、それにより部品2は支持ホルダ61にのみ載っている。ここに図示される実施形態では、2つの支持ホルダ61が設けられている。部品の縁(Kante)に接するこれらの支持ホルダは、その横に配置された、ここに図示されない他の部品を支持するのにも適している。
【0042】
しかし、部品が取り付けられたただ1つの支持ホルダを中央に、またはずらして提供することも可能である。いくつかの例示的な実施形態では、部品の最下層とキャリア基板60との間の接着力が転送材料の融解および結合後の後からの接着力よりも小さい場合には、このような支持ホルダを省略することもできる。しかし、高い欠陥密度と、それに伴い機能障害を起こさないようにするために、このことによって後から持ち上げる際に部品が損傷しないように、特に個々の層が無傷のままであるように注意しなければならない。
【0043】
提案される原理による転送装置1は、設定可能な強度および設定可能な持続時間を有するレーザパルスを提供するための光生成装置10を含む。光生成装置10には複数のガラス繊維ライン20が接続されており、ここにはこれらのガラス繊維ラインのうちの1つが例示的に示されている。ガラス繊維ライン20は、長さと、例示的実施形態では対応する転送領域41の幅よりも小さい幅「d」とを含む。μLEDの縁の長さが10μm~20μmの範囲の場合、ガラス繊維ラインの先端部の幅は、例えば約5μmであり得る。そこから特定の面積比が求められる。いくつかの用途において、ガラス繊維ラインもしくは持ち上げ要素の先端部の面積が転送領域の面積の20%~40%の範囲にある場合が有意義であることが判明した。より大きい面積も可能ではあるが、その場合、わずかな誤った位置決めによってガラス繊維ラインが隣接する部品に接触するこのないように保証されていなければならない。
【0044】
ガラス繊維ライン20の下面および先端部に光出射面24がある。光出射面には転送材料30が設けられている。転送材料の高さ「h」は、導入される光パルスによって転送材料は融解し得るが、その際にその形状が変化しないか、もしくはごくわずかしか変化しないように選択されている。この例示的実施形態では、コンタクト40はITO、すなわち酸化インジウムスズの透明な導電性コンタクトとして設計されている。インジウムは転送材料30としても企図され、それによりコンタクト領域40もしくは転送領域41と転送材料30の両方が同じか、もしくは類似の材料を有する。
【0045】
次に、図1bにおいて、転送方法の第1の工程が詳しく示される。この場合、光出射面を有するガラス繊維ライン20が部品の方向に導かれ、それにより転送材料30が部品の転送領域41に接触する。この工程中、転送装置1の図示されない制御回路により垂直方向のコントロールと制御が行われ、制御回路は適切なフィードバックループにより高さを決定する。例えば、転送材料30が転送領域41に接触するまでの高さを干渉測定によって決定することができる。代替的に、転送材料30と部品の転送領域41との間の静電容量測定もしくは抵抗測定も可能である。このようにして距離を正確に決定することができ、過度な下降と、それに伴う部品の損傷を回避することができる。
【0046】
転送領域41に転送材料が接触した後、光生成装置10によってレーザ光パルスが生成され、それに伴い転送材料に局所限定的にエネルギーが供給される。レーザ光パルスは、光出射面の領域に転送材料30の局所的加熱と融解をもたらす。その場合、レーザ光パルスは、比較的長いエネルギー伝送と、特に転送領域およびその下に位置する部品への熱伝導がほとんど回避されるように短く選択されている。次いで、局所的融解は、転送材料30を一方で転送領域41と、他方でガラス繊維ライン20の光出射面と結合させる。言い換えれば、溶けた転送材料がガラス繊維ライン20の先端部と転送領域41との間にブリッジを形成する。融解された転送材料はレーザ光パルス後、直ぐに再び凝固し、ガラス繊維ライン20の先端部と部品2との間に緊密な結合を形成する。
【0047】
次いで、図2cに示される提案される方法の次の工程において、ガラス繊維ラインがガラス繊維ラインに接続された部品と共に上へ移動されることにより、部品2が支持ホルダ61から分離される。その場合、転送領域41およびガラス繊維ライン20との転送材料30の接着力は、部品における支持ホルダ61の対応する接着力よりも大きい。
【0048】
次に、分割図2dにおいて、別のキャリア70およびその上に配置されたコンタクト領域71の上方に部品が位置決めされる転送プロセスが行われる。位置決め後、部品は、この部品が、この場合もそのコンタクト領域52でコンタクト領域71に接触するまで再び下降される。それに加えて、次に、転送装置によって部品をコンタクト領域71に軽く押し付けることができ、それによって軽度の接触がすでに行われる。コンタクト領域71は、コンタクト領域52と同じ材料を有することができるが、はんだペーストまたは類似の材料を備えることもできる。特に、この材料は軟質材料を含むことができ、それにより部品2は、垂直方向にわずかに下へ移動することによってコンタクト領域71に押し込まれ、それによって良好な結合がすでに達成される。
【0049】
次いで、次の工程において、ガラス繊維ライン20に更なるレーザ光パルスが生成され、転送材料30が新たに融解される。同時に、分割図2eに示されるように、ガラス繊維ライン20と、任意的に光生成装置10の上への移動方向(Bewegungsrichtung)が生じ、それによりガラス繊維ライン20が、これに付いている転送材料30と共に転送領域41から分離されて持ち上げられる。この場合、この時点では融解している転送材料30と転送領域41との間の接着力は、軟質のコンタクト材料71とコンタクト要素52との間の対応する接着力よりも小さい。このようにしてコンタクト領域71に部品が残存する。
【0050】
代替的に、部品を目標位置よりもわずかに上方に位置合わせすることもでき、続いてレーザ光パルスを生成することができる。その場合、融解過程の後に部品がエンドキャリアへとわずかに落ち、続いて部品を取り付けることができる。両方の変形形態において、目標基板70およびコンタクト領域71への部品の確実な転送が保証される。
【0051】
図2eに示されるように、転送材料30はガラス繊維ライン20に残存する。その場合、ガラス繊維ライン20の光出射面における融解状態の転送材料30の接着力が転送領域41におけるよりも大きいことが確保される必要がある。このようにして、融解された転送材料を転送領域41から取り外すことができ、それにより転送領域にはわずかな残渣(Reste)しか残らない。転送材料の適切な使用では、この残渣は、転送領域41’の更なる加工において問題がなく、使用される転送材料によっては更なる加工のために使用することさえできる。
【0052】
しかし、同じガラス繊維ラインと同じ転送材料を用いて可能な限り多くの転送プロセスを可能にするために、この過程において可能な限り少ない転送材料を消費すること、すなわち転送領域41’の表面に残すことが合目的的である。したがって、これに関連して、垂直移動と光パルスの生成とを調和させ、それにより局所的融解中に同時にガラス繊維ライン20を上へ移動させることが有利であり得る。
【0053】
図3は、部品を転送するためのガラス繊維ライン20の先端部の考えられる実施形態を示す。左の図3aにおいて、ガラス繊維ライン20は半球形の先端部23を備えて形成されており、先端部は、図示されるように断面が半円形に延びる。この場合、この半球形の先端部23に転送材料31が設けられる。融解時に転送材料が少ししずくの形を形成し、それにより融解過程によって転送材料の高さがわずかに増す。それによって先端部を転送領域よりわずかに(ほんの数nm)上方に位置決めすることもでき、転送領域に接触させる必要はない。代替的実施形態では、先端部を融解過程中にいくらか下へ移動させることもでき、それにより転送領域への転送材料の接触面積が拡大され、材料が半球形の先端部と転送領域との間の中間空間を実質的に埋める。
【0054】
先端部23の球形の形状の他に、レンズ形または他の形態、特に先端部の表面の他の輪郭形状も可能である。それによって融解プロセスを一定程度制御できるようにするために、光を、例えば更に集束(fukussieren)もしくは発散させる(defokussieren)ことができる。
【0055】
中央の分割図3bにおいて、ガラス繊維ラインの先端部が円錐形に形成され、それにより融解された転送材料31がガラス繊維ラインの先端部にしずくとして集まる。それによって、転送材料の量をより容易に制御でき、融解プロセスによって、転送材料の構造およびしずくの形状を変化させることができる。したがって、この実施形態は、ガラス繊維ライン20の先端部を転送領域の上方に位置決めすること、続いて転送材料31を融解することを可能にし、それにより転送材料がガラス繊維ラインの先端部と転送領域との間にブリッジを形成する。
【0056】
右の分割図は、ガラス繊維ライン20の端22を内側に湾曲させた別の実施形態を示す。この場合、転送材料はこの凹部を満たし、平らで平滑な表面を形成する。この先端部を用いる転送プロセスでは、ガラス繊維ラインを部品および転送領域41へ下降させ、続いて、凹部における転送材料が融解される。次いで、転送材料が転送領域に結合し、それにより転送材料の凝固後に部品を持ち上げることができる。ガラス繊維先端部のこのような形態は、ガラス繊維先端部と転送材料および転送材料と転送領域の間の接着力(Adhaesionskraefte)がほぼ均衡を保つ場合に有利である。ガラス繊維先端部におけるより大きい表面によって、転送材料により大きい力が加えられ、それにより持ち上げプロセス後に転送材料が先端部に残存する。
【0057】
様々な接着力、融解プロセス、および移動の過程の形態に応じて異なった残留物(Rueckstaende)を転送領域の表面に形成することができる。持ち上げプロセスも転送材料の引き離し、もしくは切り離し(abschnueren)をもたらすことができるが、まさにそれにより、これらの領域には様々なパラメータの特別な組み合わせと設定が必要である。その一方で、この方法は、まさに様々なパラメータを相互に調整できることを可能にする。
【0058】
パラメータは、とりわけ、転送材料の温度、融解による転送材料の粘度、および移動の速度、すなわち第1の融解過程と第2の融解過程の両方における垂直移動であり得る。転送材料の選択と転送領域および光出射領域の様々に異なる表面性状も、この過程においてある役割を果たすことができる。分割図5a~図5cは、提案される原理のいくつかの態様を説明するために、このような持ち上げ過程の様々な段階を示す。
【0059】
分割図5aにおいて、部品が転送されて目標基板に置かれた後の部品の転送領域の一部が示される。その場合、部品は、転送材料30からなる材料ブリッジを介してガラス繊維ライン20の光出射面24に接続されている。この例示的実施形態に示されるように、転送領域41における転送材料30の接着面積(Haftflaeche)と光出射面24の接着面積とはほぼ同じ大きさである。次に分割図5bに示されるように、第2の融解過程による転送材料30の液化後にガラス繊維ラインがわずかに移動される。転送材料30と光出射面24の表面との間の接着力がより高いことにより、材料30の大部分がガラス繊維ラインに残存し、それにより転送領域41の表面と転送材料30との間に狭窄35(Einschnuerung)が形成される。この狭窄は材料量がより少ないことを特徴とする。次の工程において、目標基板におけるコンタクト領域71が更にコンタクト52にはんだ付けされるか、または他の方法で取り付けられる。この工程は、ガラス繊維ライン20と転送領域30との間に結合がまだ存在している場合に行うこともでき、場合によって、はんだ付け過程もしくは結合課程中に部品がガラス繊維ラインによって所定位置に保持されるという利点を有する。
【0060】
転送領域41の表面からのガラス繊維ラインの距離が増すにつれて狭窄35が強度になり、最終的にこれが引き離され、転送材料30の凝固するしずくがガラス繊維ライン20の光出射面24に存在するまでになる。転送領域41の表面には、転送材料の非常に少ない残余物(Ueberrest)36のみが残る。この残余物は、転送領域の表面の更なる加工のために副次的な役割を果たすにすぎず、したがって相応の清掃工程によって除去することができる。
【0061】
転送材料30を適切に選択した場合、残余物を完全に、またはほぼ完全に回避することができる。適切な選択によって、残余物を場合によっては更なる加工において使用することも可能である。例えば、金または銀が転送領域におけるコンタクトのための材料として使用される場合に、これらを転送材料としても使用することが考えられる。
【0062】
図4A図4Cは、提案される原理による電子部品の転送方法の別の例示的実施形態を示す。上述の例示的実施形態とは異なり、この実施形態では、転送材料30がガラス繊維ライン20の光出射面にではなく電子部品2自体に存在する。この実施形態には、転送材料を部品2の製造中にすでに転送領域41に設けることができ、この転送材料を転送した後に更なる加工工程のために利用できるという利点がある。部品2は、支持ホルダ61を介してキャリア60に結合されている。この例示的実施形態では、支持ホルダ61は中央に配置されており、それにより部品は実質的にホルダ61による支持のみでキャリア60に保持される。その場合、部品2とキャリア基板60との間の犠牲層が除去された。
【0063】
上述の例示的実施形態のように、転送装置が光生成装置10と、この光生成装置に接続された、先端部を含むガラス繊維ライン20とを有する。この例示的実施形態では、転送装置が楕円形に形成されている。転送プロセスのために、ガラス繊維ライン20が部品の方向に移動され、転送領域に配置された転送材料は、これに先端部24が軽く接触するまで移動される。正確な位置決めのために、上述の例示的実施形態のように、静電容量測定もしくは干渉測定を使用することもできる。
【0064】
先端部24のガラス繊維ラインが転送材料30の上方に正しく位置決めされた後にレーザ光パルスが生成され、レーザ光パルスは光出射面を介して放出される。この箇所で転送材料30が溶け、接着力によってガラス繊維ライン20の先端部の方へわずかに引っ張られる。レーザ光パルスがオフにされ、それにより転送材料30が凝固し、分割図4Bに示される球形の隆起36が形成される。続いて、部品を支持ホルダ61から取り外し、目標基板70に転送することができる。部品は、図4c)に示されるように、目標基板70のコンタクト領域71に設置され、この目標基板にわずかに押し込まれる。続いて、第2の光パルスが生成され、転送材料が新たに融解される。第2の融解過程中、および転送材料がまだ液状である時点に、ガラス繊維ライン20がわずかに上へ移動され、それによりガラス繊維ラインの先端部24から転送材料が流れ出して部品に残存する。転送材料が完全に冷えた後に、領域36’にのみわずかな隆起が残り得る。楕円形の表面の使用によって、転送材料は、第2の融解過程中に再び部品に流れて戻り、それにより光出射面の表面にはごくわずかな材料が残存する。
【0065】
本明細書に示されるプロセスは、複数の電子部品に適用することができ、簡単にスケーリングできる。このようにしてウェハからの部品の大量転送を行うことができる。転送中に、第2の光パルスによって部品を選択的にのみキャリア基板に置くことも可能であり、それにより、この方法によって修正の可能性も提供される。例えば、部品を装着されていない位置へ選択的に移動させることができ、新たなレーザ光パルスによってこの位置に置くことができる。
【0066】
追加的な光パルスによって、使用されたガラス繊維ラインから余った転送材料を清掃することができる。その一方で、この転送材料を新たに光ファイバに的確に設けることも考えられる。そのために、ガラス繊維ラインの先端部が材料リザーバの上方に位置決めされ、続いて、材料がそこで局所的に融解される。そしてガラス繊維が液状の転送材料中に沈められ、それによりそこで材料が先端部および光出射面に残存する。
【0067】
様々に異なる強度および長さの光パルスを生成することによって、転送材料へのエネルギー入力を制御することができる。更に、様々な転送すべき部品に対して異なる材料を設けることが考えられ、それにより全体として高い柔軟性が達成される。
【0068】
図6は、転送装置の一実施形態を模式的に示す。この転送装置は、すでに説明したように、複数のガラス繊維ライン20を備え、これらのガラス繊維ラインの間隔は、これらの間隔が転送すべき部品の間隔に相当するように選択されている。例示的実施形態に示されるように、ガラス繊維ラインは、光生成装置10によって個別に、しかし一緒に制御することもできる。したがって、その限りで、部品を選択的に受け取ったり置いたりすることが可能である。ガラス繊維ラインの先端部は適切な形にされている。いくつかの態様において、ガラス繊維ラインを交換することもでき、それにより部品のサイズに応じて様々な先端部を転送することができる。一般に、ガラス繊維ラインの先端部の面積は、転送領域の面積よりも小さく、このようにして、わずかにずれた場合でもなおガラス繊維ラインが転送領域に、または上方に位置決めされ、特に隣接する部品に接触しないことが保証されている。
【0069】
転送装置は、移動ユニット60を備え、この移動ユニットにより個々のガラス繊維ラインをその垂直方向とその水平方向の両方に移動させることができる。これに関して、移動ユニット60は、垂直および水平移動のためのステップモータまたは更に圧電素子を備えることができる。相応のコントロールのために、移動装置60と個々の光生成装置10の両方に結合されている制御/コントロール回路70が設けられている。
【0070】
制御/コントロール回路70は、正確な位置決めと位置合わせを可能にするために、複数のフィードバックループとセンサシステムとを含むことができる。これに関して、垂直方向の位置決めは、静電容量測定、抵抗測定、または更に干渉測定によって設定することができる。そのために、転送すべき部品を有するウェハおよび目標ウェハにレーザのための相応の基点(Stuetzpunkt)および測定点を設けることができる。静電容量測定の場合、ウェハおよびその上に存在する電子部品に一緒に、または個別に電位を印加することができ、それにより光出射面と部品の表面および転送領域との距離を決定することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 転送装置
2 部品
10 光生成装置
21、22、23 先端部
20 持ち上げ要素
24 光出射面
30 転送材料
31 転送材料
36、36’ 残余物
37
40 コンタクト
41 転送領域
50 層列
53、54、55 層
52 コンタクト
60 基板
61 支持ホルダ
70 目標基板
71 コンタクト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-03-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品、特にオプトエレクトロニクス部品の転送方法であって、
-支持ホルダを介して第1のキャリアに取り付けられる少なくとも1つの部品を提供する工程であって、前記少なくとも1つの部品が前記第1のキャリアの反対側に転送領域を有する、提供する工程と、
-光出射面を有する導光持ち上げ要素を、前記光出射面が前記転送領域に対向するように位置決めする工程と、
-光出射領域を通る第1のレーザ光パルスを生成する工程と、
-前記光出射面と転送領域との間に存在する転送材料を前記第1のレーザ光パルスによって局所的に融解させる工程と、
-前記融解された転送材料により前記光出射面を前記転送領域に結合する工程と、
-前記少なくとも1つの部品を持ち上げる工程であって、前記少なくとも1つの部品が前記支持ホルダから分離される、持ち上げる工程と、
-前記少なくとも1つの部品を受け台領域の上方に位置決めする工程と、
-前記光出射面を通る第2のレーザ光パルスを生成することで前記転送材料が新たに融解される工程と、
-前記転送材料が凝固する前に前記持ち上げ要素を前記転送領域から移動させることで前記部品が前記受け台領域に残存する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記レーザ光パルスが前記導光持ち上げ要素に沿って、特に前記導光持ち上げ要素内に生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のレーザ光パルスおよび/または第2のレーザ光パルスの持続時間が1ns~500nsの範囲、特に5ns~20nsの範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記位置決めする工程は、
-前記転送材料が前記光出射面と前記転送領域の両方に接触するように、前記転送領域に前記導光持ち上げ要素を載置する工程、または、
-第1のレーザ光パルスの間に前記局所的融解によって引き起こされる形状変化によって前記転送材料が前記転送領域に接触するように、前記導光持ち上げ要素を前記転送領域の上方の予め定められた高さに位置決めする工程、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記局所的融解が、前記光出射面の面積よりも小さい領域において行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の光パルスの生成中、前記導光持ち上げ要素により前記転送領域に力が加えられる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記結合が、前記融解された転送材料が前記レーザ光パルスの生成後に再び凝固することにより行われ、前記転送領域および/または前記光出射面における前記転送材料の接着力は、前記支持ホルダにより加えられる保持力よりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの部品を提供する前記工程が、前記転送領域に前記転送材料を設けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記転送領域が、前記転送領域の材料の一部である材料を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記転送領域が、前記部品のコンタクトの少なくとも一部を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記持ち上げ要素の移動後、前記転送材料の一部のみ、特に前記転送領域における当初の質量に対して20質量%未満が残存する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記転送材料の表面成形のために、レーザ光パルスを生成することによって前記光出射面において前記転送材料を新たに融解すること、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記転送材料は、以下の材料、
-インジウム、
-ガリウム、
-ニッケル、
-銀、
-金、
-スズ、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記導光持ち上げ要素がガラス繊維を有し、前記ガラス繊維の端が前記光出射面を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記光出射面の面積が、前記転送領域の面積の75%よりも小さい範囲にあり、特に前記転送領域の前記面積の10%~40%の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
結合する工程、特に前記受け台領域に第2のコンタクトをはんだ付けする工程であって、はんだ過程中、前記持ち上げ要素が前記転送材料を介して前記転送領域に結合されたままである、工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記導光持ち上げ要素の先端部が以下の形状、
-半球形の先端部、
-円錐形の先端部、
-ボウリングピン形の先端部、
-内側に湾曲した凹部、
のうちの1つを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
転送アセンブリであって、
-第1のレーザパルスおよび第2のレーザパルスを生成するための光生成装置と、
-光出射面を有する導光持ち上げ要素と、
-前記導光持ち上げ要素の光出射面を部品の転送領域の上方に位置決めするように、および前記持ち上げ要素を垂直方向にも移動させるように設計された移動装置と、を備え、
-前記転送領域において前記第1のレーザパルスにより融解された転送材料によって前記部品を前記持ち上げ要素に結合するように、かつ、
-転送後、前記転送材料による前記結合を第2のレーザパルスによって再び解除するように形成されている、転送アセンブリ。
【請求項19】
前記第1のレーザ光パルスおよび/または前記第2のレーザ光パルスの持続時間が1ns~500nsの範囲、特に5ns~20nsの範囲にある、請求項18に記載の転送アセンブリ。
【請求項20】
前記光出射面の面積が前記転送領域の面積の75%よりも小さい範囲にあり、特に前記転送領域の前記面積の10%~40%の範囲にある、請求項18に記載の転送アセンブリ。
【請求項21】
前記転送アセンブリは、前記第1の光パルスの生成中、前記導光持ち上げ要素により前記転送領域に力を加えるように設計されている、請求項18に記載の転送アセンブリ。
【請求項22】
-受け台領域と前記光出射面との間の隔たり、または前記隔たりから導出される値を検出するための1つまたは複数のセンサと、
-前記1つまたは複数のセンサと、前記1つまたは複数のセンサの信号に応答して垂直移動を制御するための前記移動装置とに結合されている制御/コントロール回路と、
を更に備える、請求項18に記載の転送アセンブリ。
【請求項23】
前記導光持ち上げ要素の先端部が以下の形状、
-半球形の先端部、
-円錐形の先端部、
-ボウリングピン形の先端部、
-内側に湾曲した凹部、
のうちの1つを有する、請求項18に記載の転送アセンブリ。
【請求項24】
前記光出射面が前記転送材料により覆われている、請求項18に記載の転送アセンブリ。
【請求項25】
前記光出射面に転送材料を供給するための転送材料リザーバを更に備える、請求項18に記載の転送アセンブリ。
【国際調査報告】