(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】センサ受容空洞を有するトラックリンク
(51)【国際特許分類】
B62D 55/21 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
B62D55/21 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502442
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(85)【翻訳文提出日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 US2022037655
(87)【国際公開番号】W WO2023009356
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(71)【出願人】
【識別番号】524019092
【氏名又は名称】アジアトラック (ティエンジン) リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カルメス、ドナルド ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】シューメーカー、ウィリアム、ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ、ヤオドン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、リー
(57)【要約】
センサ受容空洞(62)を有するトラックリンク(22)、およびトラックリンク(22)を製造する方法(400)が開示される。トラックリンク(22)は、リンク本体(50)と、感知装置(32)を受容するように構成された、リンク本体(50)内に形成された空洞(62)とを含み得る。トラックリンク(22)はまた、空洞(62)を実質的に囲む突出部(76)を含み得る。突出部(76)は、実質的に平坦な表面(78)を含み得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックリンク(22)であって、
リンク本体(50)と、
感知装置(32)を受容するように構成された、前記リンク本体(50)内に形成された空洞(62)と、
前記空洞(62)を実質的に囲む突出部(76)であって、実質的に平坦な表面(78)を含む、突出部(76)と、を備える、トラックリンク(22)。
【請求項2】
前記実質的に平坦な表面(78)の形状が、前記空洞(62)の形状と実質的に類似している、請求項1に記載のトラックリンク。
【請求項3】
前記平坦な表面(78)の前記形状および前記空洞(62)の前記形状が、概して長方形である、請求項2に記載のトラックリンク。
【請求項4】
前記リンク本体(50)の長手方向軸に実質的に平行に延在する、前記リンク本体(50)内のへこみ(74)をさらに含む、請求項1に記載のトラックリンク。
【請求項5】
前記突出部(76)が、前記リンク本体(50)の表面(64)から延在する追加の材料を含み、前記突出部(76)の少なくとも一部分が、前記へこみ(74)の一部分から延在する、請求項4に記載のトラックリンク。
【請求項6】
トラックピンアセンブリ(24)を受容するように構成された、前記リンク本体(50)内に少なくとも一つの開口(54、56)をさらに含む、請求項1に記載のトラックリンク。
【請求項7】
前記リンク本体(50)および前記突出部(76)が、鍛造によって形成される、請求項1に記載のトラックリンク。
【請求項8】
前記平坦な表面(78)が、機械加工によって形成される、請求項7に記載のトラックリンク。
【請求項9】
トラックリンク(22)を製造する方法(400)であって、
前記トラックリンク(22)のリンク本体(50)の一般的な形状を形成することと、
前記リンク本体(50)の最終的な形状を形成することであって、前記形成されたリンク本体(50)が、前記リンク本体(50)の表面(64)から延在する突出部(76)を含む、形成することと、
前記突出部(76)上に平坦な表面(78)を形成することと、
前記突出部(76)の前記平坦な表面(78)内に空洞(62)を形成することと、を含む、方法(400)。
【請求項10】
前記リンク本体(50)の前記一般的な形状を形成することが、原材料を加熱して、前記加熱された原材料内に前記リンク本体(50)の前記一般的な形状を形成することを含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して機械用のトラックアセンブリに関し、より具体的には、センサ受容空洞を有するトラックリンクに関する。
【背景技術】
【0002】
軌道型機械は、典型的には、機械の各側面上のトラックチェーンを利用して、地面と係合して機械を推進させる。トラックチェーンを形成する個々のトラックリンクは、トラックシューとして公知の接地係合要素に接続されて、機械を移動させる。これらのトラックリンクは、経時的に摩耗し、交換または修理する必要がある場合がある。それぞれのトラックリンクの摩耗の表示を提供するために、摩耗センサがトラックリンクのうちの一つ以上に配置されてもよい。センサをトラックリンクに配置する際に、センサをトラックリンク内に固定、保持、および封止するために、材料が使用されてもよい。しかしながら、トラックリンクは、材料が固化する間に材料を適切に封止することを困難にする表面特徴を有する場合があり、したがって、固化する前に材料がトラックリンクから漏出する可能性がある。さらに、適切な封止がないと、材料が固化する際に材料が望ましくない形状を形成して(例えば、漏出に起因して)、センサを定位置に適切に保持および封止できない場合がある。
【0003】
こうしたトラックリンクの一つは、2016年10月25日に発行されたMcKinleyらの米国特許第9,475,526号(’526特許)に開示されている。’526特許のトラックリンクは、ポッティングエポキシによってトラックリンクの空洞内に保持することができる摩耗感知装置を含む。しかしながら、’526特許のトラックリンクは、一部の例では、ポッティングエポキシが硬化している間に空洞の不十分な封止を提供する場合がある。
【0004】
開示された方法およびシステムは、上述の問題および/または当技術分野における他の問題のうちの一つ以上を解決し得る。しかしながら、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義され、いかなる特定の問題を解決することができることによって定義されない。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、トラックリンクが開示される。トラックリンクは、リンク本体と、感知装置を受容するように構成された、リンク本体内に形成された空洞と、空洞を実質的に囲む突出部であって、実質的に平坦な表面を含む、突出部とを含む。
【0006】
別の態様では、トラックリンクを製造する方法が開示される。方法は、トラックリンクのリンク本体の一般的な形状を形成することと、リンク本体の最終的な形状を形成することであって、形成されたリンク本体がリンク本体の表面から延在する突出部を含む、形成することと、突出部上に平坦な表面を形成することと、突出部の平坦な表面内に空洞を形成することとを含む。
【0007】
さらに別の態様では、トラックリンクが開示される。トラックリンクは、リンク本体と、トラックピンアセンブリを受容するように構成された、リンク本体の少なくとも一つの開口と、リンク本体の長手方向軸に実質的に平行に延在する、リンク本体のへこみと、感知装置を受容するように構成された、リンク本体内に形成された空洞と、空洞を実質的に囲む突出部であって、実質的に平坦な表面を含む、突出部とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、様々な例示的な実施形態を示し、説明とともに、本開示の実施形態の原理を説明するのに役立つ。
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の態様による、一つ以上のトラックリンクを有する例示的な軌道型機械の概略図である。
【
図2】
図2は、
図1の機械から切り離された、例示的なトラックリンクの斜視図である。
【
図3】
図3Aおよび3Bは、本開示の態様による、封止方法を示す
図2のトラックリンクの斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1および
図2のトラックリンクを製造する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
前述の一般説明および以下の詳細な説明はどちらも、単に例示的および説明的なものにすぎず、特許請求する特徴を限定しない。本明細書で使用される「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、またはそれらの他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図し、それによって要素のリストを含む工程、方法、物品、または装置は、単にそれらの要素のみを含むのではなく、そのような工程、方法、物品、または装置に明示的に列挙されていないか、または内在していない他の要素を含んでもよい。さらに、本開示において、例えば、「約」、「実質的に」、「概して」、および「およそ」などの相対的な用語は、言及された値の±10%の可能性のある変動を示すために使用される。
【0011】
図1は、本開示による軌道型機械10を示す。機械10は、「連続的な」軌道型の牽引装置を動作させることによって駆動、推進、位置決め、および/または操作される任意の機械を具現化し得る。こうした機械は、例えば、軌道型トラクタ、スキッドステア、ドーザ、ショベル、バックホウ、トラックローダ、フロントショベル、ロープショベル、または任意の他のタイプのトラック操作可能な機械を含み得る。機械10は、機械10の両側に一対のトラックアセンブリ12(一つのみが示されている)を含んでもよく、少なくとも一つの駆動ギアまたはスプロケット16を介して、機械エンジンまたは他の電源(図示せず)などの駆動機構14によって駆動される。各トラックアセンブリ12は、別個の無限ループを形成し得る。複数のトラックシュー18は、地面の係合を助けるために、トラックアセンブリ12の外面に結合され得る。トラックアセンブリ12は、連続的なトラック、機械10の駆動システムの接地係合部分を形成する、複数の他の構成要素を含み得る。トラックアセンブリ12は、例えば、スプロケット16、少なくとも一つのアイドラー、複数のローラ、および当技術分野で公知の下部走行体アセンブリの任意の他の構成要素を含む、下部走行体アセンブリ20に結合され得る。
【0012】
トラックアセンブリ12は、複数の構造的に類似したリンクサブアセンブリを含むチェーンであってもよく、その各々は、一対のトラックリンクを含み得る。一対のトラックリンクは、トラックリンク22と、トラックリンク22と平行であり、かつトラックリンク22と反対側に離間したそれぞれ対のトラックリンク(側面図である
図2には示されていない)とを含み得る。一部の実施形態では、隣接するトラックリンク22は、複数のピンアセンブリ24を介して一緒に結合され得る。各トラックリンク22は、スプロケット16の歯によって係合されて、下部走行体アセンブリ20の周りにトラックアセンブリ12を駆動し得る。
【0013】
図1にさらに示すように、機械10は、少なくとも一つの感知装置32(
図1および
図3Aに破線で図示)、および少なくとも一つの通信装置34を含み得る。感知装置32は、トラックアセンブリ12のパラメータを検出し、パラメータを示す信号を通信装置34および/または遠隔装置に送信するように構成された電子装置であってもよい。例示的な実施形態では、感知装置32は、摩耗センサであってもよく、トラックリンク22が受ける摩耗量に関連付けられたパラメータを測定するように構成され得る。本明細書で使用される「摩耗パラメータ」とは、監視される構成要素が受ける摩耗量を示し得る、監視される構成要素または感知装置32の測定値または他の特性である(例えば、以前の測定値または他の以前の特性と比較した場合の)。感知装置32は、トラックリンク22に取り付けられ(
図3Aに示すように)、その摩耗パラメータを検出するように構成されてもよい。感知装置32は、トラックリンク22の本体の少なくとも一つの表面の摩耗に関連付けられた摩耗パラメータを検出するように構成されてもよい。例えば、感知装置32は、トラックリンク22の表面に位置付けられた摩耗部分33を含んでもよく、その結果、表面が摩耗するにつれて、感知装置32の摩耗部分33も摩耗する。一部の実施形態では、感知装置32は、超音波波、音波、レーザーなどを使用して、感知装置32からトラックリンク22の表面までの距離を決定する奥行きセンサを使用し得る。一つ以上のトラックリンク22は、以下でさらに詳述されるように、感知装置32を含み得る。
【0014】
図2は、本開示の態様による、例示的なトラックリンク22の斜視図である。
図2に示すように、トラックリンク22は、リンク本体50の周囲を定義し、従ってトラックリンク22の形状を定義する外面52を有するリンク本体50を含み得る。トラックリンク22は、200~280mmの高さ、80~200mmの幅、および50~150mmの厚さを含み得る。しかしながら、トラックリンク22は、所望に応じて、任意のサイズおよび/または形状を含み得ることが理解される。トラックリンク22は、外向き面64および内向き面(図示せず)を含み得る。トラックアセンブリ12が機械10上に取り付けられたときに、外向き面64は機械10から離れて面してもよく、内向き面は機械10に向かって面してもよい。各トラックリンク22は、当技術分野で公知の様式でトラックピンアセンブリ24の少なくとも一部分を受容するように構成された一つ以上の開口54、56を含み得る。例示的な実施形態では、トラックリンク22は、それぞれの対向する端部に、および/または各トラックリンク22の長手方向軸に沿って離間する、第一の開口54および第二の開口56を含む。トラックリンク22は、それぞれのトラックピンアセンブリ24を受容するための任意の数の開口54、56を含み得ることが理解される。
【0015】
各トラックリンク22はまた、リンク本体50の取り付け面60に一つ以上のシュー穴58(斜視図の角度により
図2では見えない)を含み得る。シュー穴58は、トラックリンク22の垂直軸に実質的に沿ってリンク本体50内に貫通穴として延在し得る。トラックシュー18は、トラックリンク22に取り付け面60上に取り付けられ得る。例えば、ボルト(図示せず)などの締結具(例えば、ねじ付き締結具)をシュー穴58内に配置して、トラックシュー18をトラックリンク22に取り付けてもよく、ナットなどの対応するねじ付き締結具がボルトの端部上に配置されてもよい。
【0016】
トラックリンク22はまた、リンク本体50(例えば、リンク本体50の表面64)内に形成され、以下でさらに詳述されるように、感知装置32を受容するように構成され得る空洞62を含む。空洞62は、感知装置32の少なくとも一部分を受容および収容するためのサイズおよび形状を含み得る。例えば、空洞62は、概して長方形または正方形の形状を含んでもよく、約31mmの高さ、約36mmの幅、および約32mmの奥行きを含んでもよい。しかしながら、空洞62は、所望に応じて、任意のサイズおよび/または形状を含み得ることが理解される。空洞62は、以下でさらに詳述されるように、感知装置32を空洞62内に固定するための封入材料を受容し得る。一部の実施形態では、通路66は、空洞62に接続されてもよく、感知装置32の摩耗部分を受容するように構成されてもよい。通路66は、感知装置32の摩耗部分が表面68とともに摩耗し得るように、表面68から空洞62まで延在し得る。例えば、表面68は摩耗面であってもよく、空洞62は表面68に隣接して位置してもよい。摩耗面は、トラックアセンブリ12の使用中に材料が摩耗する、リンク本体50の任意の表面であり得る。例えば、表面68の材料は、下部走行体アセンブリ20の構成要素(例えば、ローラ)および/または他の外部材料(例えば、地面)との接触を通して摩耗し得る。したがって、感知装置32は、表面68から摩耗した材料の量を検出し得る。
図2に示すように、表面68は、下部走行体アセンブリ20のローラなどの構成要素との相互作用を容易にするために、概して平坦であってもよい。しかしながら、表面68は、一つ以上の湾曲面またはこれに類するものなどの不均一な平坦でない表面を含み得ることが理解される。
【0017】
トラックリンク22は、リンク本体50の表面64上に一つ以上の表面特徴70を含み得る。
図2および
図3A~3Bに示すように、表面特徴は、一つ以上の締結具突出部72、一つ以上のへこみ74、および/または空洞突出部76を含み得る。本明細書で使用される「突出部」は、周囲の表面(例えば、表面64)に対して隆起している、または盛り上がっているトラックリンク22の一部分である。締結具突出部72は、表面64から延在してもよく、シュー穴58と概して位置合わせされてもよい。締結具突出部は、締結具のための、シュー穴58の追加的な支持または構造的完全性を提供し得る。一つ以上のへこみ74は、トラックリンク22の長手方向軸と実質的に平行な少なくとも一つのへこみ74を含み得る。へこみ74は、下部走行体アセンブリ20の構成要素からのトラックリンク22のクリアランス(例えば、トラックリンク22が摩耗したときのローラのフランジからのクリアランス)を提供し得る。一部の実例では、へこみ74は、トラックリンク22の長手方向軸に沿って実質的に延在してもよく、空洞62の少なくとも一部分は、へこみ74の一部分を通して形成されてもよい。上記に詳述されるように、へこみ74によって提供される不均一な表面に起因して、封入材料を固化する、乾燥させる、またはその他の方法で固める間に空洞を封止することは困難である場合がある。したがって、本開示のトラックリンク22は、封入材料が固化する間の改善された封止面を提供するために、平坦な表面78を有する空洞突出部76を提供し得る。
【0018】
空洞突出部76は、表面64から延在してもよく、空洞62を実質的に囲んでもよい。例えば、空洞突出部76は、以下でさらに詳述されるように、空洞62が空洞突出部76を通して形成されるように、トラックリンク22上に追加の材料を含み得る。突出部76の少なくとも一部分は、突出部76がへこみ74を中断するように、へこみ74の少なくとも一部分から延在してもよい。突出部76の少なくとも一部分はまた、少なくとも一つの締結具突出部72に隣接して位置してもよい。一部の実施形態では、突出部76は、少なくとも一つの締結具突出部72の少なくとも一部分に当接し得る。
図2および
図3A~3Bに示すように、突出部76は、一つ以上の締結具突出部72よりも大きな高さで表面64から延在してもよい。しかしながら、突出部76は、一つ以上の締結具突出部72の高さと等しいか、またはそれより小さい高さなど、所望に応じて任意の高さで表面64から延在し得ることが理解される。
【0019】
突出部76は、突出部76が空洞62の均一かつ連続的な縁部を形成するように、空洞62全体の周りに連続的かつ均一な高さを含んでもよい。例えば、突出部76は、約10mmの厚さ(例えば、表面64からの高さ)、約40mmの幅、および約40mmの長さを含み得る。表面64からの突出部76の高さまたは厚さは、平坦な表面78によって形成および定義され得る。平坦な表面78は、
図3Aおよび3Bに関して以下に詳述されるように、封入材料が固化する間に封止が形成されるように、封止装置80と相互作用する平面を提供し得る。例えば、平坦な表面78は、表面64によって形成される平面から離間し得る平面を形成し得る。平坦な表面78は、縁面(例えば、表面68)に対して実質的に垂直であってもよい。しかしながら、平坦な表面は、縁面に対して非垂直であってもよいことが理解される。平坦な表面78は、空洞62の形状と実質的に類似した形状を含み得る。例えば、平坦な表面78は、概して長方形または正方形の形状を形成してもよい。しかしながら、空洞突出部76の平坦な表面78は、所望に応じて、任意のサイズおよび/または形状を含み得ることが理解される。
【0020】
空洞62は、突出部76の平坦な表面78からリンク本体50内に延在し得る。例えば、空洞62は、空洞62がリンク本体50の奥行き全体よりも小さい奥行きでリンク本体50内の一部分のみに延在するように、ブラインド穴を含んでもよい。空洞62は、開口を形成するために、リンク本体50の全体を通って(例えば、平坦な表面78から平坦な表面78と反対側のリンク本体50の別の表面を通って)延在することを含む、所望の奥行きでリンク本体50内に延在し得ることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0021】
トラックリンク22の開示された態様は、一緒に結合されて一つ以上のトラックを形成するリンクを含む、軌道される下部走行体を含む任意の機械に用いられ得る。本明細書に記載されるトラックリンク22の空洞突出部76は、感知装置32の封入中に改善された封止面を提供するための平坦な表面78を提供し得る。空洞突出部76はまた、空洞62が、感知装置32を受容し、かつ封入材料を受容するための適切な奥行きを含み得るように、追加の材料を提供し得る。
【0022】
図3Aおよび3Bは、封入材料を固化する、またはその他の方法で固める間に、空洞62を封止するための封止方法を示す。
図3Aは、空洞62内の感知装置32の配置を示す。感知装置32は、空洞62内に配置され、封入材料によって固定され得る。例えば、感知装置32は、空洞62の後面(例えば、開放部分の反対側)に置かれてもよく、および/または空洞62の別の表面に置かれてもよい。しかしながら、感知装置32は、空洞62のいずれの表面にも接触しないように空洞62内に配置されてもよく、封入材料によって定位置に保持されてもよいことが理解される。感知装置32の摩耗部分33は、感知装置32が空洞62内に配置されたときに、通路66内に挿入されてもよい。したがって、上記に詳述されるように、摩耗部分33は、表面68が摩耗するときに摩耗部分33が摩耗するように、表面68に位置し得る。感知装置32が空洞62内に配置されたときに(例えば、そして摩耗部分33が通路66内に挿入されたときに)、封入材料が感知装置32の少なくとも一部分を覆うように、封入材料を空洞62内に感知装置32の周りに注ぐ、注入する、または別の方法で配置してもよい。封入材料は、例えば、感知装置32を有する空洞62の中に注がれる、および/または注入され得るポッティングエポキシを含み得る。封入材料を空洞62内に配置した後、封入材料が固化、乾燥、および/またはその他の方法で固まる間に、封止装置80を平坦な表面78上に配置し得る(
図3Bに示すように)。例えば、ポッティングエポキシを硬化させて固体材料を形成し、それによって感知装置32を定位置に保持してもよい。感知装置32は
図3Bに示されていないが(例えば、封止装置80が空洞62を覆っているため)、感知装置32は、
図3Bの実施形態の空洞62内に含まれていることが理解される。
図3Aに示す通り、封止装置80は、第一の端部と第二の端部との間に延在するハンドル82と、ハンドル82の第二の端部に位置するシール84とを有するプランジャ装置を含み得る。シール84は、エラストマーまたは当技術分野で公知の他の類似の材料を含み得る。シール84は、空洞62の形状(例えば、概して長方形および/または正方形)に概して対応する形状を含み得る。シール84のサイズは概して、空洞62よりも大きくてもよい。したがって、シール84は、シール84が空洞62を実質的に覆うように、平坦な表面78上に配置され得る。一部の実施形態では、シール84の一部分は、シール84が平坦な表面78上に配置されたときに、空洞62の一部分の中に挿入されてもよい。シール84はまた、シール84が平坦な表面78上に配置されたときに過剰な封入材料がへこみ86を通って流れ得るように、へこみ86を含んでもよい。したがって、封入材料の一部分は、平坦な表面78上に流れ得、封入材料が固化するにつれて、封入材料は空洞62に向かって戻るよう後退し得る。平坦な表面78はまた、平坦な表面78上に固化する過剰な封入材料の清掃を容易にし得る。封止装置80は、封入材料が固化する間に空洞62を封止するために空洞62の上に配置するシール84を含む、当技術分野で公知の任意の封止装置を含み得ることが理解される。さらに、封入材料は、感知装置32を定位置に保持するのに十分な強度を有する一方で、それを通して信号を送信することを可能にする(例えば、感知装置32が通信装置34と通信することを可能にする)能力も有する任意の材料を含み得ることが理解される。
【0023】
図4は、平坦な表面78を有するトラックリンク22を製造する方法を示すフローチャートである。ステップ402は、トラックリンク22のリンク本体50の一般的な形状を形成することを含み得る。一般的な形状のリンク本体50を形成することは、原材料(例えば、鋼)を加熱して、最終的なリンク本体50と近似の形状およびサイズを有するリンク本体50の一般的な形状を形成することを含み得る。
【0024】
ステップ404は、リンク本体50の最終的な形状を形成することを含み得る。例えば、リンク本体50の最終的な形状は、鍛造によって形成されてもよい。形成されたリンク本体50は、リンク本体50の表面64から延在する突出部76を含む。鍛造は、一つ以上のダイおよび/またはハンマータイプの機械を含むダイ鍛造を含み得る。例えば、鍛造は、一つのダイがリンク本体50を成形するために使用されるオープンダイ鍛造を含んでもよく、または二つのダイ(例えば、上部ダイおよび底部ダイ)がリンク本体50を成形するために使用されるクローズドダイ鍛造を含み得る。鍛造の形状は、加熱された原材料に対するダイの衝撃力が原材料をリンク本体50の鍛造形状に形成するように、ネガ画像としてダイに組み込まれ得る。例示的な実施形態では、ダイは、突出部76がリンク本体50の鍛造によって形成されるように、突出部76の形状を含む形状を含み得る。一部の実施形態では、感知装置32は、トラックアセンブリ12の単一のトラックリンク22(例えば、および/またはトラックリンク22の全体未満)に配置されてもよく、感知装置32を有するトラックリンク22を鍛造するためのダイは、感知装置32を有しないトラックリンク22を鍛造するためのダイとは異なり得る。例えば、感知装置32を有するトラックリンク22を鍛造するためのダイは、突出部76の形状を含んでもよく、感知装置32を有しないトラックリンク22を鍛造するためのダイは、突出部76の形状を含まなくてもよい。したがって、感知装置32を有しないトラックリンク22の鍛造において、より少ない材料が使用され得る。しかしながら、それぞれのトラックリンク22が感知装置32を含むかどうかにかかわらず、トラックアセンブリ12のトラックリンク22の全体が突出部76を含み得ることが理解される。
【0025】
ステップ406は、突出部76上に平坦な表面78を形成することを含み得る。平坦な表面78を形成することは、リンク本体50が鍛造される際に平坦な表面78を鍛造することを含み得る(例えば、ダイが、突出部76および平坦な表面78の形状を含み得る)。平坦な表面78を形成することはまた、リンク本体50が鍛造された後に、突出部76上に平坦な表面78を機械加工することを含み得る。例えば、突出部76の材料を取り除いて平坦な表面78を形成してもよい。一部の実施形態では、平坦な表面78は、鍛造と機械加工の組み合わせによって形成されてもよい。
【0026】
ステップ408は、突出部76の平坦な表面78内に空洞62を形成することを含み得る。例えば、突出部76におけるリンク本体50の材料を取り除き、機械加工によって空洞62が形成されてもよい。また、空洞62の形成中に通路66が形成されてもよい。一部の実施形態では、平坦な表面78は、空洞62が形成された後に形成されてもよい。例えば、リンク本体50が鍛造された後に空洞62が形成されてもよく、その後、突出部76上の空洞62の周りに平坦な表面78が形成されてもよい。
【0027】
本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の方法およびシステムに対して、さまざまな修正および変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。本方法およびシステムのその他の実施形態は、本明細書および本明細書に開示されるシステムの実践を考慮することで、当業者には明らかであろう。本明細書および実施例は、例としてのみ考慮されることが意図され、開示の真の範囲は、以下の特許請求の範囲およびそれらの等価物によって示される。
【国際調査報告】