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特表2024-526814特に自動車用の、圧力媒体を導くように連係されるブレーキ圧力発生およびブレーキ圧力調整用の2つのアクチュエータユニットを有する、電子式にスリップコントロール可能な非人力ブレーキシステムの、切り離されたブレーキ回路の互いに割り当てられた回路分岐の、圧力媒体を導く規定通りの連係を検査する方法
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  • 特表-特に自動車用の、圧力媒体を導くように連係されるブレーキ圧力発生およびブレーキ圧力調整用の2つのアクチュエータユニットを有する、電子式にスリップコントロール可能な非人力ブレーキシステムの、切り離されたブレーキ回路の互いに割り当てられた回路分岐の、圧力媒体を導く規定通りの連係を検査する方法 図1
  • 特表-特に自動車用の、圧力媒体を導くように連係されるブレーキ圧力発生およびブレーキ圧力調整用の2つのアクチュエータユニットを有する、電子式にスリップコントロール可能な非人力ブレーキシステムの、切り離されたブレーキ回路の互いに割り当てられた回路分岐の、圧力媒体を導く規定通りの連係を検査する方法 図2
  • 特表-特に自動車用の、圧力媒体を導くように連係されるブレーキ圧力発生およびブレーキ圧力調整用の2つのアクチュエータユニットを有する、電子式にスリップコントロール可能な非人力ブレーキシステムの、切り離されたブレーキ回路の互いに割り当てられた回路分岐の、圧力媒体を導く規定通りの連係を検査する方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】特に自動車用の、圧力媒体を導くように連係されるブレーキ圧力発生およびブレーキ圧力調整用の2つのアクチュエータユニットを有する、電子式にスリップコントロール可能な非人力ブレーキシステムの、切り離されたブレーキ回路の互いに割り当てられた回路分岐の、圧力媒体を導く規定通りの連係を検査する方法
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/88 20060101AFI20240711BHJP
   B60T 17/22 20060101ALI20240711BHJP
   B60T 8/17 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
B60T8/88
B60T17/22
B60T8/17 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502524
(86)(22)【出願日】2022-04-07
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 EP2022059233
(87)【国際公開番号】W WO2023001415
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】102021207845.1
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】キンダー,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ,サブリナ
(72)【発明者】
【氏名】ブーベック,サミュエル
【テーマコード(参考)】
3D049
3D246
【Fターム(参考)】
3D049BB06
3D049BB14
3D049CC02
3D049CC07
3D049HH12
3D049HH20
3D049HH47
3D049HH48
3D049HH52
3D049HH53
3D049PP02
3D049RR04
3D049RR13
3D246BA02
3D246CA04
3D246DA01
3D246FA05
3D246GA01
3D246GB37
3D246HA03A
3D246HA43A
3D246HA44A
3D246HA45A
3D246LA33Z
3D246LA52Z
3D246LA61Z
3D246LA63Z
3D246LA73Z
3D246MA03
3D246MA11
3D246MA25
(57)【要約】
本発明は、特に自動車用の、圧力媒体を導くように連係されるブレーキ圧力発生およびブレーキ圧力調整用の2つのアクチュエータユニット(DPB,ESP)を有する、電子式にスリップコントロール可能な非人力ブレーキシステムの、切り離されたブレーキ回路(C1;C2)の互いに割り当てられた回路分岐(C1.1,C1.2;C2.1,C2.2)の、圧力媒体を導く規定通りの連係を検査する方法、およびこの種の非人力ブレーキシステム用の、本方法を実施すべく、発展形成されている電子式の制御装置(ECU)に関する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に自動車用の、圧力媒体を導くように連係されるブレーキ圧力発生およびブレーキ圧力調整用の2つのアクチュエータユニット(DPB;ESP)を有する、電子式にスリップコントロール可能な非人力ブレーキシステムの、切り離されたブレーキ回路(C1;C2)の互いに割り当てられた回路分岐(C1.1,C1.2;C2.1,C2.2)の、圧力媒体を導く規定通りの連係を検査する方法であって、
前記非人力ブレーキシステムは、
運転者により操作可能な、ブレーキリクエストを検出する装置(BRU)と、
第1のアクチュエータユニット(DPB)の、制御可能に駆動可能な、前記ブレーキ回路(C1;C2)内にブレーキ圧力を発生させる第1のブレーキ圧力発生器(PLU)と、
圧力媒体リザーバ(RSV)との前記第1のブレーキ圧力発生器(PLU)の第1の圧力媒体接続を制御するプランジャ供給弁(POV)と、
前記第1のブレーキ圧力発生器(PLU)により提供される前記圧力を検出する第1の圧力センサ(PS_AC)と、
第2のアクチュエータユニット(ESP)の、制御可能に駆動可能な、前記ブレーキ回路(C1;C2)のホイールブレーキ(WC1-WC4)内の前記ブレーキ圧力をホイール個別に調整する第2のブレーキ圧力発生器(RFP1;RFP2)と、
前記ブレーキ回路の1つ(C2)内の前記圧力を検出する第2の圧力センサ(PS_MC2)と、
前記ブレーキリクエスト検出装置(MC)から前記ブレーキ回路(C1;C2)への圧力媒体接続を制御する回路カット弁(CSV1;CSV2)と、
前記第1の圧力発生器(PLU)から前記ブレーキ回路(C1;C2)への圧力媒体接続を制御するプランジャカット弁(PSV1;PSV2)と、
前記センサ(PS_AC,PS_MC2)の信号(PC_AC’,PS_MC2’)を検出し、前記圧力発生器(PLU;RFP1,RFP2)および前記弁装置(POV,CSV1,CSV2;PSV1,PSV2)のための電気的な動作制御信号へとさらに処理する電子式の制御装置(ECU)と、
を有する、
方法において、
前記電子式の制御装置(ECU)により、前記プランジャ供給弁(POV)を相応に操作することで、前記圧力媒体リザーバ(RSV)との前記第1の圧力発生器(PLU)の前記圧力媒体接続を中断し(ステップS1)、
前記電子式の制御装置(ECU)により、前記回路カット弁(CSV1;CSV2)を相応に操作することで、前記ブレーキリクエスト検出装置(MC)から前記ブレーキ回路(C1,C2)への前記圧力媒体接続を中断し(ステップS2)、
前記電子式の制御装置(ECU)により、前記プランジャカット弁(PSV1,PSV2)を相応に操作することで、前記第1のブレーキ圧力発生器(PLU)と、前記第2の圧力センサ(PS_MC2)を装備した前記ブレーキ回路(C2)との間の前記圧力媒体接続を開放し、かつ前記第1のブレーキ圧力発生器(PLU)と、それぞれ他方の前記ブレーキ回路(C1)との間の対応する前記圧力媒体接続を遮断し(ステップS3)、
前記電子式の制御装置(ECU)により、前記第1のブレーキ圧力発生器(PLU)を操作することで、ブレーキ圧力を発生させ、前記ブレーキ圧力を前記第1の圧力センサ(PS_AC)により検出し、前記電子式の制御装置(ECU)に伝送し(ステップS4)、
同時に前記第2の圧力センサ(PS_MC2)により検出され、前記電子式の制御装置(ECU)に伝送される信号(PS_MC2’)が、前記第1の圧力センサ(PS_AC)により検出される前記信号(PS_AC’)と相関しないとき、前記電子式の制御装置(ECU)により、前記回路分岐(C1.1;C1.2;C2.1,C2.2)の取り違えられた連係を推定する(ステップS5)、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記回路分岐(C1.1,C1.2;C2.1,C2.2)の取り違えられた連係を突き止めるとともに、前記電子式の制御装置(ECU)により、警告信号を出力する(ステップS5)ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電子式の制御装置(ECU)の前記警告信号により、前記方法を実施する人に、光によりかつ/または音により、前記ブレーキ回路分岐(C1.1,C1.2;C2.1,C2.2)の前記取り違えられた連係について知らせることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
請求項1の前提部の特徴による電子式にスリップコントロール可能な非人力ブレーキシステムのホイールブレーキ(WC1-WC4)内のブレーキ圧力の増圧および調整用の電子式の制御装置であって、前記電子式の制御装置(ECU)は、請求項1の特徴による方法を実施すべく、発展形成されていることを特徴とする電子式の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の特徴による、特に自動車用の、圧力媒体を導くように連係されるブレーキ圧力発生およびブレーキ圧力調整用の2つのアクチュエータユニットを有する、電子式にスリップコントロール可能な非人力ブレーキシステムの、切り離されたブレーキ回路の互いに割り当てられた回路分岐の、圧力媒体を導く規定通りの連係を検査する方法、および並列の関係にある請求項4の特徴による、上述の方法を実施すべく、発展形成されている電子式の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非人力ブレーキシステムは、従来技術に数えられ、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
図1は、そのような本発明の根底にある非人力ブレーキシステムの液圧レイアウトを示している。この非人力ブレーキシステムは、安全上の理由から、互いに切り離された2つのブレーキ回路(C1;C2)に区分されている。非人力ブレーキシステムは、2つの独立したアクチュエータユニット(DPB;ESP)を有し、これらのアクチュエータユニット(DPB;ESP)は、2つの接続管路を介して圧力媒体を導くように互いに連係されている。これらの両アクチュエータユニット(DPB,ESP)は、互いに並列に両ブレーキ回路(C1;C2)に接続されている。第1のアクチュエータユニット(DPB)は、とりわけ、運転者により操作可能な、ブレーキリクエストを検出する装置(BRU)と、非人力により駆動可能な第1のブレーキ圧力発生器(PLU)と、制御弁(CSV1,CSV2;PSV1,PSV2;POV;SSV)とを、ブレーキリクエストに対応するブレーキ圧力を発生させ、かつ調整するために有している。
【0004】
第2のアクチュエータユニット(ESP)は、同じく非人力により駆動可能な第2のブレーキ圧力発生器(RFP1;RFP2)と、制御弁(IV1-4;OV1-4;SCC1;SCC2;HSR1,HSR2)とを装備しており、ブレーキ圧力をホイール個別に調整するために用いられる。ブレーキ圧力により、第2のアクチュエータユニット(ESP)に接続されているホイールブレーキ(WC1-WC4)が付勢される。これらのホイールブレーキ(WC1-WC4)は、非人力ブレーキシステムの両ブレーキ回路(C1;C2)に分配されており、対をなして、自動車のそれぞれ1つのアクスルに割り当てられているか、または図1に示すように、自動車の、対角状に向かい合っているホイール(FL,RR,FR,RL)に配置されている。
【0005】
ブレーキ圧力の調整は、特に、目下、自動車のこれらのホイール(FL,RR,FR,RL)において支配しているスリップ比に応じて実施される。このために車両ブレーキシステムは、電子式の制御装置(ECU)を装備しており、電子式の制御装置(ECU)は、関係する測定データを非人力ブレーキシステムおよび/または車両のセンサにより検出し、動作制御信号へと処理し、その動作制御信号によって、アクチュエータユニット(DPB;ESP)の、圧力媒体を制御する言及したコンポーネントは、動作制御される。アクチュエータユニット(DPB;ESP)内に設けられた制御弁により、このために、非人力ブレーキシステムの、圧力媒体を制御する説明したコンポーネント間の圧力媒体接続は、需要に適合されて解放され、絞られ、または遮断される。
【0006】
測定データは、とりわけ、第1のアクチュエータユニット(DPB)の圧力センサ(PS_AC)と、第2のアクチュエータユニット(ESP)の圧力センサ(PS_MC2)とにより提供される。第1の圧力センサ(PS-AC)は、第1のブレーキ圧力発生器(PLU)により提供される圧力を検出するのに対し、第2の圧力センサ(PS_MC2)は、第2のブレーキ回路(C2)内の圧力を測定する。
【0007】
念のため言及すると、ブレーキリクエスト検出装置(BRU)も、並列にブレーキ回路(C1;C2)に接続されており、この圧力媒体接続も、制御弁(CSV1;CSV2)を基に制御可能に構成されており、制御弁(CSV1;CSV2)は、それゆえ回路カット弁とも称呼される。
【0008】
非人力操作が失陥した例外的なケースのために、これにより、運転者は、筋力を介したブレーキリクエスト検出装置(BRU)の主シリンダ(MC)の操作により、ホイールブレーキ(WC1-WC4)内のブレーキ圧力を増圧し、ひいては車両を非人力アシストの欠如にもかかわらず制動することが可能になる。
【0009】
運転条件下、つまり、非人力操作が健全であるとき、主シリンダ(MC)とブレーキ回路(C1;C2)との間のこの圧力媒体接続は、回路カット弁(CSV1,CSV2)により中断されており、運転者は、ブレーキを、ブレーキリクエストの検出のために、圧力媒体により載荷可能なシミュレータ(PFS)内に踏み込む。シミュレータ(PFS)の載荷を制御するのは、シミュレータ制御弁(SSV)である。シミュレータ(PFS)は、運転者のために、一方では、主シリンダ(MC)の操作要素の操作ストロークをシミュレートし、他方では、操作力をシミュレートする。操作ストロークを検出すべく、ペダルストロークセンサ(PTS)が、第1のアクチュエータユニット(DPB)内に存在している。非人力ブレーキ装置の通常状態では、それゆえ、運転者は、ホイールブレーキ(WC1-WC4)から連結解除されており、ブレーキ圧力増圧には寄与しない。
【0010】
本発明の根底にある非人力ブレーキシステムは、言及したように、2つのアクチュエータユニット(DPB;ESP)を有し、これらのアクチュエータユニット(DPB;ESP)は、圧力媒体を案内する管路を介して互いに連係されている。この連係を実施するにあたり、重要なのは、第1のアクチュエータユニット(DPB)の、ブレーキ回路(C1;C2)に割り当てられた回路分岐(C1.1;C1.2)を、第2のアクチュエータユニット(ESP)の回路分岐(C2.1;C2.2)に対して取り違えないことである。
【0011】
その理由は、とりわけ、組み付けスペースおよびコスト上の理由から、両ブレーキ回路(C1;C2)には、同じには圧力センサが備え付けられておらず、その結果、互いに割り当てられたブレーキ回路分岐(C1.1,C1.2;C2.1,C2.2)の取り違えられた連係は、結果として、ブレーキ圧力の調整が、存在する調整パラメータが不足するため、電子式の制御装置(ECU)によりまったく不可能であるか、または少なくとも限定された範囲でしか可能でないことを招いてしまうからである。
【0012】
自動車内における非人力ブレーキシステムの把握しづらい組み込み状況に基づき、目検しただけでは、回路分岐(C1.1,C1.2;C2.1,C2.2)の液圧的な連係が、規定通りに執り行われたか、またはアクチュエータユニット(DPB;ESP)の連係の実施にあたり、回路分岐(C1.1,C1.2;C2.1,C2.2)が、過誤により互いに取り違えられたか、問題なく認識することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】独国特許出願公開第102018202884号明細書
【発明の概要】
【発明の効果】
【0014】
本発明により、非人力ブレーキ装置の組み込まれた状態で、ブレーキ回路(C1;C2)の連係が規定通りに執り行われたか否か、電気式に検査することが可能な方法を提案する。
【0015】
提案する方法は、非人力ブレーキシステムの組み上げられるコンポーネントの製造公差に対してロバストであり、これにより、エラーを伴って接続されてしまったブレーキ回路(C1;C2)を、極めて高い信頼性をもって認識する。本方法は、このために、いずれにしても車両ブレーキシステム内に存在しているコンポーネント、測定信号あるいは既存の信号路を利用しており、これに応じて、簡単かつ低コストに車両ブレーキシステムの電子式の制御装置(ECU)の制御ソフトウェアに統合され得る。
【0016】
本発明のさらなる利点または有利な発展形は、従属請求項あるいは以下の説明から看取可能である。
【0017】
本発明の一実施例を図面に示し、以下の説明の中で詳しく説明する。
【0018】
図面は、計3つの図を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の根底にあり、従来技術から既に公知であり、既に冒頭において認定をしたような非人力ブレーキシステムを示す図である。
図2図1に示した非人力ブレーキシステムではあるが、ブレーキ回路を取り違えて接続したものを示す図である。
図3】本発明の根底にある方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図中、互いに対応する構成部材には、同じ符号を付した。
【0021】
図2に示す非人力ブレーキシステムは、アクチュエータユニット(DPB;ESP)の、互いに割り当てられた回路分岐(C1.1,C1.2;C2.1,C2.2)の、圧力媒体を導く連係が、エラーを伴って実施されているという点を除き、図1に示した非人力ブレーキシステムに相当する。このエラーは、第1のアクチュエータユニット(DPB)の、第1のブレーキ回路(C1)に割り当てられた回路分岐(C1.1)が、第2のアクチュエータユニット(ESP)の、第2のブレーキ回路(C2)に割り当てられた第2の回路分岐(C2.2)に連係され、かつ相応に、第1のアクチュエータユニット(DPB)の、第2のブレーキ回路(C2)に割り当てられた第2の回路分岐(C1.2)が、第2のアクチュエータユニット(ESP)の、第1のブレーキ回路(C1)に割り当てられた回路分岐(C2.1)に接続されてしまっていることにある。手短にいえば、ブレーキ回路(C1;C2)の連係に際し、互いに割り当てられた回路分岐(C1.1;C1.2あるいはC2.1;C2.2)が、互いに取り違えられてしまっている。
【0022】
本発明により、非人力ブレーキシステムの電子式の制御装置(ECU)により、このようなエラーを伴った連係についてチェックすることが可能な検査方法を提案する。ブレーキ回路(C1;C2)相互のエラーを伴った連係は、これにより、自動車のボディー内への非人力ブレーキシステムの組み込みがなされた後にもまだ検査可能であり、かつ必要であれば、運転者または機械工もしくは組立工に、相応の警告表示によって表示可能である。この警告表示は、例えば、ディスプレイ上における光を用いた信号および/またはスピーカの音を用いた信号であってもよい。このために、車両側のディスプレイまたはスピーカが使用されてもよいし、検査を実施するために電子式の制御装置(ECU)に連結されている検査装置のディスプレイまたはスピーカが使用されてもよい。
【0023】
本発明に係る検査方法の理解を深めるために、以下に、まず、非人力ブレーキシステムの図2に示したレイアウトについてより詳細に言及する。
【0024】
この非人力ブレーキシステムの第1のアクチュエータユニット(DPB)は、ブレーキリクエスト検出装置(BRU)を有し、ブレーキリクエスト検出装置(BRU)を介して、運転者は、ブレーキリクエストを設定し得る。ブレーキリクエスト検出装置(BRU)は、このために、主ブレーキシリンダ(MC)からなり、主ブレーキシリンダ(MC)は、例示的にペダル(P)の形態で構成されている操作要素により操作可能である。主ブレーキシリンダ(MC)は、直接的に操作可能なロッドピストン(MC1)と、間接的に操作される浮動ピストン(MC2)とを有し、一方では、ロッドピストン(MC1)と浮動ピストン(MC2)との間に、あるいは他方では、浮動ピストン(MC2)と主ブレーキシリンダハウジングとの間に、2つの主シリンダチャンバ(MC1’;MC2’)が囲繞されている。各主ブレーキシリンダチャンバ(MC1’;MC2’)は、非人力ブレーキシステムの両ブレーキ回路(C1;C2)のそれぞれ一方に接続されている。
【0025】
ブレーキリクエストは、ペダル(P)の測定された操作ストロークから導き出される。このために、いわゆるペダルストロークセンサ(PTS)が、第1のアクチュエータユニット(DPB)内に存在しており、ペダルストロークセンサ(PTS)は、ペダル(P)が経た操作ストロークを電圧信号に変換し、この電圧信号を電子式の制御装置(ECU)に伝送する。
【0026】
非人力ブレーキシステムの通常状態では、主ブレーキシリンダ(MC)は、ブレーキ回路(C1;C2)のホイールブレーキ(WC1-WC4)から連結解除されており、すなわち、主ブレーキシリンダ(MC)と、それぞれ接続されるホイールブレーキ(WC1-WC4)を有するブレーキ回路(C1;C2)との間に存在する圧力媒体接続は、中断されている。このことは、2つのいわゆる回路カット弁(CSV1,CSV2)からなる第1の制御弁装置によりなされ、回路カット弁(CSV1,CSV2)は、電気的に動作制御されると直ちに、これらの接続を遮断し、あるいは電気式の動作制御がなされなければ、これらの接続を開放する。回路カット弁(CSV1;CSV2)は、図示の実施例では、例示的に常時開の2ポート2位置方向切換弁として構成されている。
【0027】
回路カット弁(CSV1;CSV2)が閉弁されているにもかかわらず、ペダル(P)の操作ストロークを可能にし、かつ運転者に機械的なリアクションを提供すべく、主ブレーキシリンダ(MC)のチャンバの1つ(MC1’)は、シミュレータ(PFS)に連結されている。シミュレータ(PFS)は、主ブレーキシリンダ(MC)の接続されるチャンバ(MC1’)からの圧力媒体によって載荷可能なピストン-シリンダ-装置である。ピストンは、圧力媒体による載荷時、シリンダ内に設けられた弾性的な戻し要素の力に抗して摺動される。シミュレータ(PFS)と主ブレーキシリンダ(MC)との間の圧力媒体接続は、シミュレータ制御弁(SSV)により制御される。図示のシミュレータ制御弁(SSV)は、電気式に動作制御可能な、常時閉の2ポート2位置方向切換弁である。
【0028】
既に説明したコンポーネントの他に、第1のアクチュエータユニット(DPB)は、加えて第1のブレーキ圧力発生器(PLU)を有している。第1のブレーキ圧力発生器(PLU)は、プランジャユニットとして構成されており、これに応じてプランジャピストンを備え付けており、プランジャピストンは、電気式に動作制御可能な第1のモータ(M1)により摺動可能に、プランジャシリンダ内に収容されている。プランジャユニットの作業室には、リザーバ(RSV)から圧力媒体が供給され、リザーバ(RSV)には、非人力ブレーキシステムの主ブレーキシリンダ(MC)の主シリンダチャンバ(MC1’;MC2’)も接続されている。プランジャユニットあるいは第1のブレーキ圧力発生器(PLU)の圧力媒体供給は、電気式に動作制御可能なプランジャ供給弁(POV)により制御可能であり、プランジャ供給弁(POV)は、例示的に常時遮断の2ポート2位置方向切換弁として形成されている。
【0029】
第1のブレーキ圧力発生器(PLU)は、第1のアクチュエータユニット(DPB)の2つの回路分岐(C1.1;C1.2)にブレーキ圧力下にある圧力媒体を供給し、この発生されたブレーキ圧力は、第1の圧力センサ(PS_AC)を基に検出可能であり、電気的な信号(PS_AC’)として制御装置(ECU)に供給可能である。第1の圧力センサ(PS-AC)は、このために、第1のアクチュエータユニット(DPB)の一部管路区間であって、第1のブレーキ圧力発生器(PLU)の出口をプランジャカット弁(PSV1;PSV2)と称呼される両制御弁に接続する管路区間内に配置されている。各ブレーキ回路(C1;C2)は、プランジャ制御弁(PSV1,PSV2)を装備しており、プランジャ制御弁(PSV1,PSV2)の役割は、第1のブレーキ圧力発生器(PLU)を、それぞれ割り当てられたブレーキ回路(C1;C2)から切り離すことにある。プランジャカット弁(PSV1;PSV2)は、このために、電気式に動作制御可能なかつ常時遮断の2ポート2位置方向切換弁として形成されている。
【0030】
第1のアクチュエータユニット(DPB)と同様に、第2のアクチュエータユニット(ESP)も、電気式に操作可能な制御弁(HSR;SCC;IV1-IV4;OV1-OV4)と、圧力発生器とを備え付けており、この圧力発生器は、以下では区別のために第2の圧力発生器と称呼する。この第2の圧力発生器は、第2のアクチュエータユニット(ESP)のブレーキ回路(C1;C2)毎にそれぞれ1つの、つまり計2つのポンプ(RFP1;RFP2)を有し、これらのポンプ(RFP1;RFP2)は、ともに1つの第2の駆動モータ(M2)により操作可能である。第2の圧力発生器のこれらのポンプ(RFP1;RFP2)の各々の吸込側は、それぞれ1つの割り振られた吸込管路(SL1;SL2)を介して非人力ブレーキシステムのリザーバ(RSV)に接続されている。各吸込管路(SL1;SL2)内には、ばね付勢されたチェック弁が存在し、チェック弁は、リザーバ(RSV)からポンプ(RFP1;RFP2)への圧力媒体流動を解放し、かつ反対方向、つまり、ポンプ(RFP1;RFP2)からリザーバ(RSV)への戻りを遮断する。
【0031】
第1のアクチュエータユニット(DPB)の回路カット弁(CSV1;CSV2)とプランジャ制御弁(PSV1;PSV2)とは、流出側でそれぞれ対をなしてこれらの吸込管路(SL1;SL2)の1つに接続されている。さらに吸込弁(HSR1;HSR2)が、割り振られた吸込管路(SL1;SL2)内に、第2のアクチュエータユニット(ESP)内に設けられた第2の圧力発生器のポンプ(RFP1;RFP2)の直接上流に設けられている。各ポンプ(RPP1;RPP2)の吐出側に設けられた圧力調整弁(SCC1;SCC2)とともに、これにより、各ブレーキ回路(C1;C2)内の、第2の圧力発生器のポンプ(RFP1;RFP2)により提供されるブレーキ圧力は、調整可能である。吸込弁(HSR1;HSR2)は、このために、電気式に動作制御可能な、常時遮断の2ポート2位置方向切換弁として構成されているのに対し、圧力調整弁(SCC1;SCCV2)は、常時開の2ポート2位置方向制御弁であり、圧力調整弁(SCC1;SCCV2)には、ホイールブレーキ(WC1-WC4)に向かって開弁するそれぞれ1つのチェック弁が並列接続されている。
【0032】
第2のブレーキ回路(C2)内のブレーキ圧力は、第2のアクチュエータユニット(ESP)内に設けられた第2の圧力測定装置、いわゆる回路圧力センサ(PS_MC2)により検出され、電圧信号(PS_MC2’)に変換され、電子式の制御装置(ECU)に評価のために伝送される。
【0033】
各ホイールブレーキ(WC1-WC4)には、最終的に、それぞれ1つの増圧弁(IV1-IV4)とそれぞれ1つの減圧弁(OV1-OV4)とからなるさらに1つの弁ペアが割り当てられており、これにより、それぞれのホイールブレーキ(WC1-WC4)の圧力をホイール個別に調節することが可能である。増圧弁(IV1-IV4)は、電気式に動作制御可能な、常時開の2ポート2位置方向制御弁として構成されているのに対し、減圧弁(OV1-OV4)は、常時閉の2ポート2位置方向切換弁である。減圧弁(OV1-OV4)は、それぞれのホイールブレーキ(WC1-WC4)から、第2のブレーキ圧力発生器(ESP)の割り当てられたポンプ(RFP1;RFP2)の吸込側へのリターン(RL1;RL2)内に存在している。このリターン内には、ブレーキ回路(C1;C2)毎に、それぞれ1つのいわゆる低圧アキュムレータ(ACC1;ACC2)が存在しており、低圧アキュムレータ(ACC1;ACC2)は、ホイールブレーキ(WC1-WC4)から排出された圧力媒体をひとまず、この圧力媒体が、割り当てられたポンプ(RFP1;RFP2)によりブレーキ圧力の上昇のために再び吸い出されるまで、バッファリングする。
【0034】
既に言及したように、両ブレーキ回路(C1;C2)は、両アクチュエータユニット(DPB;ESP)間で取り違えられて連係されてしまっている。すなわち、第1のアクチュエータユニット(DPB)のブレーキ回路分岐(C1.1)は、第2のアクチュエータユニット(ESP)の第2のブレーキ回路分岐(C2.2)に接続されている一方、第1のアクチュエータユニット(DPB)の第2のブレーキ回路分岐(C1.2)は、第2のアクチュエータユニット(ESP)の第1のブレーキ回路分岐(C2.1)に接続されている。この種のエラーは、電子式の制御装置(ECU)により、図3にフローチャートを基に示し、以下に説明する検査方法により突き止めることが可能である:
検査方法の開始(S)後、第1のステップ(S1)において、プランジャ供給弁(POV)を閉弁し、ひいては、リザーバ(RSV)との第1のブレーキ圧力発生器(PLU)の圧力媒体接続を中断する。
【0035】
続くステップ(S2)において、第1のアクチュエータユニット(DPB)の両回路カット弁(CSV1;CSV2)を、回路カット弁(CSV1;CSV2)が、その遮断位置を占め、ひいては主ブレーキシリンダ(MC)をブレーキ回路(C1;C2)から連結解除するように、電気的に動作制御する。
【0036】
図面に示したレイアウトの場合、回路カット弁(CSV1;CSV2)には、このために通電し、プランジャ供給弁(POV)には、(もはや)通電しない。
【0037】
そこで、ステップ3(S3)において、第1のアクチュエータユニット(DPB)の第1の回路分岐(C1.1)のプランジャカット弁(PSV1)を閉弁し、かつ第2の回路分岐(C1.2)のプランジャカット弁(PSV2)を開弁し、それに続けて第1のブレーキ圧力発生器(PLU)を操作する。プランジャ制御弁(PSV2)により解放された回路分岐(C1.2)は、回路分岐(C1.1,C1.2;C2.1,C2.2)の連係が正しいときは、回路分岐(C2.2)に、つまり、第2の圧力センサ(PS_MC2)が存在している回路分岐に接続されている。
【0038】
第1のブレーキ圧力発生器(PLU)の運転により引き起こされるブレーキ圧力増圧を第1のアクチュエータユニット(DPB)の第1の圧力センサ(PS_AC)により検出し、対応する信号(PS_AC’)を電子式の制御装置(ECU)に報知する。さらに回路圧力センサ(PS_MC2)の信号(PS_MC2’)を電子式の制御装置(ECU)に供給する(ステップ4)。
【0039】
電子式の制御装置(ECU)は、その後、ステップS5(ECU)において、入力された信号(PS_AC’;PS_MC2’)間における、存在するかもしれない相関あるいは無相関を確認すべく、信号比較を実施する。
【0040】
第2のアクチュエータユニット(ESP)の回路圧力センサ(PS_MC2)において、回路分岐(C1.1,C1.2;C2.1,C2.2)が、取り違えられてアクチュエータユニット(DPB;ESP)に接続されている場合、回路分岐(C2.2)に対して、これにより、閉弁されたプランジャカット弁(PSV1)に基づき、圧力媒体が第1のブレーキ圧力発生器(PLU)から供給されないので、並行した昇圧が行われない。したがって、電子式の制御装置(ECU)に入力された信号(PS_AC’;PS_MC2’)は、強く互いに偏差し、あるいは互いに相関しない。相関しない測定信号は、信号比較の範囲内で簡単に認識されることができ、回路分岐(C11,C1.2;C2.1,C2.2)の連係にエラーがあると解釈される。このエラー時、電子式の制御装置(ECU)は、その後、これに応じた警告表示の出力をし、その後、本方法を終了させる。
【0041】
回路分岐(C1.1,C1.2;C2.1,C2.2)が、図1の図示の通り、規定通りにアクチュエータユニット(DPB,ESP)に接続されていれば、第1のアクチュエータユニット(DPB)の第1の圧力センサ(PS_AC)における昇圧に並行して、対応する昇圧が、第2のアクチュエータユニット(ESP)の第2の圧力センサ(PS_MC2)において行われ、電子式の制御装置(ECU)に入力された信号(PS_AC’;PS_MC2’)は、互いに少なくとも略等しいか、あるいは互いに相関するであろう。電子式の制御装置(ECU)は、これに応じて、正しく実施されたブレーキ回路(C1;C2)の連係を推定し、本方法を警告信号の出力の抑制とともに終了させるであろう。
【0042】
独立請求項1および4の特徴により限定される保護範囲を逸脱することなく、説明した方法における変更または有利な発展形が可能であることは、自明である。
【符号の説明】
【0043】
ACC1;ACC2 低圧アキュムレータ
BRU ブレーキリクエストを検出する装置、ブレーキリクエスト検出装置
C1 第1のブレーキ回路
C1.1,C1.2 第1のアクチュエータユニットの回路分岐
C2 第2のブレーキ回路
C2.1,C2.2 第2のアクチュエータユニットの回路分岐
CSV1,CSV2 制御弁、回路カット弁
DPB 第1のアクチュエータユニット
ECU 電子式の制御装置
ESP 第2のアクチュエータユニット
FL,FR ホイール
HSR1,HSR2 制御弁、吸込弁
IV1-IV4 制御弁、増圧弁
M1 第1のモータ
M2 第2の駆動モータ
MC 主(ブレーキ)シリンダ
MC1 ロッドピストン
MC1’ 主(ブレーキ)シリンダチャンバ
MC2 浮動ピストン
MC2’ 主(ブレーキ)シリンダチャンバ
OV1-OV4 制御弁、減圧弁
P ペダル
RFP1;RFP2 ポンプ
PFS シミュレータ
PLU 第1のブレーキ圧力発生器
POV 制御弁、プランジャ供給弁
PS_AC 第1の圧力センサ
PS_AC’ 電気的な信号
PS_MC2 第2の圧力測定装置、第2の圧力センサ、回路圧力センサ
PS_MC2’ 電圧信号
PSV1,PSV2 制御弁、プランジャカット弁、プランジャ制御弁
PTS ペダルストロークセンサ
RFP1;RFP2 第2のブレーキ圧力発生器、ポンプ
RL,RR ホイール
RL1;RL2 リターン
RSV リザーバ
S 開始
S1 第1のステップ
S2 続くステップ
S3 ステップ
S4 ステップ
S5 ステップ
SCC1;SCC2 制御弁、圧力調整弁
SL1;SL2 吸込管路
SSV 制御弁、シミュレータ制御弁
WC1-WC4 ホイールブレーキ
図1
図2
図3
【国際調査報告】